IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022130557
(43)【公開日】2022-09-06
(54)【発明の名称】CD37を標的にするキメラ抗原受容体
(51)【国際特許分類】
   C07K 19/00 20060101AFI20220830BHJP
   C07K 14/725 20060101ALI20220830BHJP
   C07K 16/28 20060101ALI20220830BHJP
   C12N 5/10 20060101ALI20220830BHJP
   C12N 5/0783 20100101ALI20220830BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20220830BHJP
   A61P 37/02 20060101ALI20220830BHJP
   A61K 35/17 20150101ALI20220830BHJP
   A61K 38/04 20060101ALI20220830BHJP
   C12N 15/13 20060101ALN20220830BHJP
   C12N 15/12 20060101ALN20220830BHJP
   C12N 15/62 20060101ALN20220830BHJP
   C12N 15/63 20060101ALN20220830BHJP
【FI】
C07K19/00 ZNA
C07K14/725
C07K16/28
C12N5/10
C12N5/0783
A61P35/00
A61P37/02
A61K35/17 Z
A61K38/04
C12N15/13
C12N15/12
C12N15/62 Z
C12N15/63 Z
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022102796
(22)【出願日】2022-06-27
(62)【分割の表示】P 2019550784の分割
【原出願日】2018-03-16
(31)【優先権主張番号】62/472,275
(32)【優先日】2017-03-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/580,243
(32)【優先日】2017-11-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/584,060
(32)【優先日】2017-11-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】PCT/US2018/013213
(32)【優先日】2018-01-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】592017633
【氏名又は名称】ザ ジェネラル ホスピタル コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】マウス, マルセラ ヴィー.
(72)【発明者】
【氏名】スカルフォ, イレーネ
(57)【要約】      (修正有)
【課題】CD37を標的にするキメラ抗原受容体(CAR)、並びに関連分子及び方法を提供する。
【解決手段】a)CD37結合配列を含む細胞外ドメイン;b)膜貫通ドメイン;及びc)T細胞細胞内シグナル伝達ドメインを含む、キメラ抗原受容体(CAR)ポリペプチドである。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)CD37結合配列を含む細胞外ドメイン;
b)膜貫通ドメイン;及び
c)T細胞細胞内シグナル伝達ドメイン
を含む、キメラ抗原受容体(CAR)ポリペプチド。
【請求項2】
共刺激ドメインをさらに含む、請求項1に記載のCARポリペプチド。
【請求項3】
前記CD37結合配列が抗体試薬を含む、請求項1又は2に記載のCARポリペプチド。
【請求項4】
前記抗体試薬が一本鎖抗体(scFv)を含む、請求項3に記載のCARポリペプチド。
【請求項5】
前記scFvが、抗体重鎖に対する抗体軽鎖N末端を含む、請求項4に記載のCARポリペプチド。
【請求項6】
前記scFvが、抗体軽鎖に対する抗体重鎖N末端を含む、請求項4に記載のCARポリペプチド。
【請求項7】
前記抗体軽鎖が、配列番号4若しくは6の配列、若しくはその変異体を含み、且つ/又は前記重鎖が、配列番号2若しくは8の配列、若しくはその変異体を含む、請求項5又は6に記載のCARポリペプチド。
【請求項8】
前記抗体試薬が、配列番号1若しくは5から選択される配列、又はその変異体を含む、請求項3~7のいずれか一項に記載のCARポリペプチド。
【請求項9】
前記膜貫通ドメインが、CD8又は4-1BBからの前記膜貫通ドメインを含む、請求項1~7のいずれか一項に記載のCARポリペプチド。
【請求項10】
前記膜貫通ドメインが、配列番号12若しくは18の配列、又はその変異体を含む、請求項8に記載のCARポリペプチド。
【請求項11】
前記共刺激ドメインが、4-1BBの前記共刺激ドメインを含む、請求項2~8のいずれか一項に記載のCARポリペプチド。
【請求項12】
前記共刺激ドメインが、配列番号13若しくは19の配列、又はその変異体を含む、請求項11に記載のCARポリペプチド。
【請求項13】
前記T細胞細胞内ドメインが、CD3ζ細胞内シグナル伝達ドメインを含む、請求項1~12のいずれか一項に記載のCARポリペプチド。
【請求項14】
前記CD3ζ細胞内シグナル伝達ドメインが、配列番号14若しくは20の配列、又はその変異体を含む、請求項13に記載のCARポリペプチド。
【請求項15】
前記CD3ζ細胞内シグナル伝達ドメインが、1、2、又は3の免疫受容体チロシンに基づく活性化モチーフ(ITAM)を含み、且つ前記ITAMの天然チロシン残基が維持される、請求項14に記載のCARポリペプチド。
【請求項16】
前記CD3ζ細胞内シグナル伝達ドメインが、配列番号14又は20の配列を含む、請求項14に記載のCARポリペプチド。
【請求項17】
配列番号9若しくは15の配列、又はその変異体を含む、請求項1~16のいずれか一項に記載のCARポリペプチド。
【請求項18】
a)請求項1~16のいずれか一項に記載のCARポリペプチド;又は
b)請求項1~17のいずれか一項に記載のCARポリペプチドのいずれか1つをコードする核酸
を含む哺乳動物細胞。
【請求項19】
T細胞である、請求項18に記載の細胞。
【請求項20】
ヒト細胞である、請求項18又は19に記載の細胞。
【請求項21】
がん、形質細胞障害、又は自己免疫疾患を有する又は有すると診断された個体から得られる、請求項18~20のいずれか一項に記載の細胞。
【請求項22】
がん、形質細胞障害、又は自己免疫疾患の治療を、それを必要とする対象において行う方法であって、
a)T細胞を、前記T細胞表面上に請求項1~17のいずれか一項に記載のCARポリペプチドを含むように改変することと;
b)前記改変されたT細胞を前記対象に投与することと、
を含む、方法。
【請求項23】
がん、形質細胞障害、又は自己免疫疾患の治療を、それを必要とする対象において行う方法であって、請求項18~21のいずれか一項に記載の細胞を前記対象に投与することを含む、方法。
【請求項24】
前記がんがCD37+がんである、請求項22又は23に記載の方法。
【請求項25】
前記CD37+がんが、リンパ腫又は白血病である、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記リンパ腫が、B細胞非ホジキンリンパ腫(NHL)、マントル細胞リンパ腫、バーキットリンパ腫、B細胞リンパ芽球性リンパ腫、又はT細胞リンパ腫である、又は前記白血病が、急性骨髄性白血病(AML)である、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記T細胞リンパ腫が、末梢性T細胞リンパ腫(PTCL)である、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記PTCLが、皮膚T細胞リンパ腫(CTCL)又は未分化大細胞リンパ腫(ALCL)である、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
がん、形質細胞障害、又は自己免疫疾患の治療を、それを必要とする対象において行う方法であって、請求項18~21のいずれか一項に記載の細胞を前記対象に投与することを含み、前記細胞がCD37結合配列を含む細胞外ドメインを含むCARを含み、且つ前記対象が抗CD19及び/又は抗CD20療法に対して非応答性である、方法。
【請求項30】
がん、形質細胞障害、又は自己免疫疾患の治療を、それを必要とする対象において行う方法であって、
a)抗CD19及び/又は抗CD20療法に対して非応答性である対象を選択することと;
b)T細胞を、前記T細胞表面上に請求項1~17のいずれか一項に記載のCARポリペプチドを含むように改変することと;
c)前記改変されたT細胞を前記対象に投与することと、
を含み、前記対象が抗CD19及び/又は抗CD20療法に対して非応答性である、方法。
【請求項31】
がん、形質細胞障害、又は自己免疫疾患の治療を、それを必要とする対象において行う方法であって、
a)抗CD19及び/又は抗CD20療法に対して非応答性である対象を選択することと;
b)請求項18~21のいずれか一項に記載の細胞を前記対象に投与することと、
を含み、前記細胞がCD37結合配列を含む細胞外ドメインを含むCARを含み、且つ前記対象が抗CD19及び/又は抗CD20療法に対して非応答性である、方法。
【請求項32】
がん、形質細胞障害、又は自己免疫疾患の治療を、それを必要とする対象において行う方法であって、
a)T細胞を、前記T細胞表面上に請求項1~17のいずれか一項に記載のCARポリペプチドを含むように改変することと;
b)前記改変されたT細胞を前記対象に投与することと、
を含み、前記対象に抗CD19及び/又は抗CD20療法が同時に施される、方法。
【請求項33】
がん、形質細胞障害、又は自己免疫疾患の治療を、それを必要とする対象において行う方法であって、請求項18~21のいずれか一項に記載の細胞を前記対象に投与することを含み、前記細胞がCD37結合配列を含む細胞外ドメインを含むCARを含み、
前記対象に抗CD19及び/又は抗CD20療法が同時に施される、方法。
【請求項34】
がんの治療用に処方される、請求項1~17のいずれか一項に記載のCARポリペプチド又は請求項18~21のいずれか一項に記載の細胞を含む組成物。
【請求項35】
薬学的に許容できる担体をさらに含む、請求項34に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に記載の技術は、免疫療法に関する。
【背景技術】
【0002】
キメラ抗原受容体(CAR)は、選択された標的抗原、最も多くは腫瘍抗原又は腫瘍関連抗原を発現する標的細胞に対して細胞傷害性T細胞応答を駆動するための方法を提供する。CARは、抗原結合ドメインが誘導された標的抗原に特異的に結合する抗体の抗原結合ドメインと置換される場合のT細胞受容体の適応である。T細胞上に発現されるCAR(「CAR T細胞」又は「CAR-T」)による標的細胞の表面上での標的抗原の会合により、標的細胞の殺滅が促進される。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本発明は、各々が(a)CD37結合配列を含む細胞外ドメイン;(b)膜貫通ドメイン;及び(c)T細胞細胞内シグナル伝達ドメインを含むキメラ抗原受容体(CAR)ポリペプチドを提供する。CARポリペプチドは各々、任意選択的な共刺激ドメインをさらに含みうる。
【0004】
様々な実施形態では、CD37結合配列は、例えば一本鎖抗体(scFv)などの抗体試薬を含む。scFvは、抗体重鎖に対する抗体軽鎖N末端を含みうる、又はscFvは、抗体軽鎖に対する抗体重鎖N末端を含みうる。具体例には、抗体軽鎖は、配列番号4若しくは6の配列、又はその変異体を含み、且つ/又は重鎖は、配列番号2若しくは8の配列、又はその変異体を含む。他の具体例には、抗体試薬は、配列番号1若しくは5から選択される配列、又はその変異体を含む。
【0005】
様々な実施形態では、膜貫通ドメインは、CD8又は4-1BBの膜貫通ドメインを含む。具体例には、膜貫通ドメインは、配列番号12若しくは18の配列、又はその変異体を含む。CARポリペプチド中に含まれうる膜貫通ドメインの他の例が以下に提供される。
【0006】
様々な実施形態では、共刺激ドメインは、4-1BBの共刺激ドメインを含む。具体例には、共刺激ドメインは、配列番号13若しくは19の配列、又はその変異体を含む。CARポリペプチド中に含まれうる共刺激ドメインの他の例が以下に提供される。
【0007】
様々な実施形態では、T細胞細胞内ドメインは、CD3ζ細胞内シグナル伝達ドメインを含む。具体例には、CD3ζ細胞内シグナル伝達ドメインは、配列番号14若しくは20の配列、又はその変異体を含む。具体例には、CD3ζ細胞内シグナル伝達ドメインは、1、2、又は3の免疫受容体チロシンに基づく活性化モチーフ(ITAM)を含み、ITAMの天然チロシン残基が維持される。
【0008】
具体的な実施形態では、CARポリペプチドは、配列番号9若しくは15の配列、又はその変異体を含む。
【0009】
本発明はまた、(a)上記又は本明細書中の他の箇所のCARポリペプチド、又は(b)本明細書に記載又は本明細書中の他の箇所のCARポリペプチドのいずれか1つをコードする核酸を含む哺乳動物細胞を提供する。
【0010】
様々な実施形態では、細胞は、T細胞及び/又はヒト細胞である。様々な実施形態では、細胞(例えばT細胞)は、がん、形質細胞障害、又は自己免疫疾患を有する又は有すると診断された個体(例えばヒト)から得られる。
【0011】
本発明は、がん、形質細胞障害、又は自己免疫疾患の治療を、それを必要とする対象(例えばヒト患者)において行う方法をさらに提供する。これらの方法は、(a)T細胞表面上に上記又は本明細書中の他の箇所のCARポリペプチドを含む又は発現するようにT細胞を改変することと;(b)改変されたT細胞を対象に投与することと、を含みうる。
【0012】
本発明は、がん、形質細胞障害、又は自己免疫疾患の治療を、それを必要とする対象(例えばヒト患者)において行う方法をさらに含む。これらの方法は、上記又は本明細書中の他の箇所の1つ又は複数の細胞を対象に投与することを含みうる。
【0013】
上記及び本明細書中の他の箇所の方法の様々な実施形態では、がんは、CD37+がんである。例えば、CD37+がんは、リンパ腫又は白血病でありうる。具体例には、リンパ腫は、B細胞非ホジキンリンパ腫(NHL)、マントル細胞リンパ腫、バーキットリンパ腫、B細胞リンパ芽球性リンパ腫、若しくはT細胞リンパ腫であり、又は白血病は、急性骨髄性白血病(AML)である。別の具体例では、T細胞リンパ腫は、末梢性T細胞リンパ腫(PTCL)、例えば、皮膚T細胞リンパ腫(CTCL)又は未分化大細胞リンパ腫(ALCL)である。
【0014】
本発明はまた、がん、形質細胞障害、又は自己免疫疾患の治療を、それを必要とする対象(例えばヒト患者)において行う方法を提供する。これらの方法は、上記及び本明細書中の他の箇所の細胞を対象に投与することを含み、ここで細胞は、(例えば本明細書に記載のような)CD37結合配列を含む細胞外ドメインを含むCARを含み、対象は、抗CD19及び/又は抗CD20療法に対して非応答性である。
【0015】
さらに、本発明は、がん、形質細胞障害、又は自己免疫疾患の治療を、それを必要とする対象(例えばヒト患者)において行う方法を提供する。これらの方法は、(a)抗CD19及び/又は抗CD20療法に対して非応答性である対象を選択することと;(b)T細胞を、上記又は本明細書中の他の箇所のCARポリペプチドを含むように改変することと;(c)改変されたT細胞を、抗CD19及び/又は抗CD20療法に対して非応答性である対象に投与することと、を含む。
【0016】
本発明は、がん、形質細胞障害、又は自己免疫疾患の治療を、それを必要とする対象(例えばヒト患者)において行う方法をさらに提供する。これらの方法は、(a)抗CD19及び/又は抗CD20療法に対して非応答性である対象を選択することと;(b)上記又は本明細書中の他の箇所の細胞を対象に投与することと、を含み、ここで細胞は、(例えば本明細書に記載のような)CD37結合配列を含む細胞外ドメインを含むCARを含み;ここで対象は、抗CD19及び/又は抗CD20療法に対して非応答性である。
【0017】
本発明は、がん、形質細胞障害、又は自己免疫疾患の治療を、それを必要とする対象(例えばヒト患者)において行う方法をさらに提供する。これらの方法は、(a)T細胞を、T細胞表面上に上記又は本明細書中の他の箇所のCARポリペプチドを含む又は発現するように改変することと;(b)改変されたT細胞を対象に投与することと、を含み、ここで対象に抗CD19及び/又は抗CD20療法が同時に施される。
【0018】
さらに、本発明により、がん、形質細胞障害、又は自己免疫疾患の治療を、それを必要とする対象(例えばヒト患者)において行う方法が提供される。これらの方法は、上記又は本明細書中の他の箇所の細胞を対象に投与することを含み、ここで細胞は、(例えば本明細書に記載のような)CD37結合配列を含む細胞外ドメインを含むCARを含み;ここで対象に抗CD19及び/又は抗CD20療法が同時に施される。
【0019】
本発明はまた、がんの治療用に処方される、上記又は本明細書中の他の箇所のCARポリペプチド、核酸分子、又は細胞(例えばT細胞)の1つ以上を含む組成物を提供する。組成物は、薬学的に許容できる担体をさらに含みうる。
【0020】
本発明は、本明細書に記載の疾患又は症状の治療又は予防における本明細書に記載のポリペプチド、核酸分子、組成物、及び細胞の使用、並びにかかる疾患又は症状を予防又は治療するための薬剤の調製を目的とするこれらのポリペプチド、核酸分子、組成物、及び細胞の使用をさらに提供する。
【0021】
定義
便宜上、本明細書、実施例、及び貼付の特許請求の範囲において用いられるいくつかの用語及び語句の意味は下記に提供される。特に断りのない限り、又は文脈から示唆されるように、以下の用語及び語句は、以下に提供される意味を含む。技術の範囲があくまで特許請求の範囲によって限定されないことから、定義は、特定の実施形態の記述に役立つように提供され、特許請求される技術を限定することが意図されない。特段の定義がされていない限り、本明細書で用いられるすべての科学技術用語は、この技術が属する当業者により一般に理解される意味と同じ意味を有する。当該技術分野における用語の使用と本明細書に提供されるその定義との間に明白な矛盾が存在する場合、本明細書中に提供される定義が採用されるものとする。
【0022】
免疫学及び分子生物学における一般的用語の定義は、The Merck Manual of Diagnosis and Therapy,19th Edition,Merck Sharp & Dohme Corp.により発行,2011(ISBN978-0-911910-19-3);Robert S.Porter et al.(eds.)、The Encyclopedia of Molecular Cell Biology and Molecular Medicine,Blackwell Science Ltd.により発行,1999-2012(ISBN9783527600908);及びRobert A.Meyers(ed.)、Molecular Biology and Biotechnology:a Comprehensive Desk Reference,VCH Publishers,Inc.により発行,1995(ISBN1-56081-569-8);Immunology by Werner Luttmann,Elsevierにより発行,2006;Janeway’s Immunobiology,Kenneth Murphy,Allan Mowat,Casey Weaver(eds.)、Taylor & Francis Limited,2014(ISBN0815345305,9780815345305);Lewin’s Genes XI,Jones & Bartlett Publishersにより発行,2014(ISBN-1449659055);Michael Richard Green and Joseph Sambrook,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,4th ed.,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,N.Y.,USA(2012)(ISBN1936113414);Davis et al.,Basic Methods in Molecular Biology,Elsevier Science Publishing,Inc.,New York,USA(2012)(ISBN044460149X);Laboratory Methods in Enzymology:DNA,Jon Lorsch(ed.)Elsevier,2013(ISBN0124199542);Current Protocols in Molecular Biology(CPMB)、Frederick M.Ausubel(ed.)、John Wiley and Sons,2014(ISBN047150338X,9780471503385)、Current Protocols in Protein Science(CPPS)、John E.Coligan(ed.)、John Wiley and Sons,Inc.,2005;及びCurrent Protocols in Immunology(CPI)(John E.Coligan,ADA M Kruisbeek,David H Margulies,Ethan M Shevach,Warren Strobe,(eds.)John Wiley and Sons,Inc.,2003(ISBN0471142735,9780471142737)(これら各々の内容はすべて、それら全体が参照により本明細書中に援用される)に見出すことができる。
【0023】
用語「減少する」、「低下した」、「低下」又は「阻害する」はすべて、統計学的に有意な量の低下を意味するように本明細書で用いられる。いくつかの実施形態では、「低下する」、「低下」又は「減少する」又は「阻害する」は、典型的には、参照レベル(例えば、所与の治療又は薬剤の不在)と比べて少なくとも10%の減少を意味し、例えば、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、少なくとも約99%又はそれ以上の減少を含みうる。本明細書で用いられるとき、「低下」又は「阻害」は、参照レベルと比べての完全な阻害又は低下を包含しない。「完全阻害」は、参照レベルと比べての100%の阻害である。適用可能である場合、減少は、好ましくは所与の障害を有しない個体において正常範囲内として認められたレベルまでの低下でありうる。
【0024】
用語「増加した」、「増加させる」、「増強する」又は「活性化する」はすべて、統計学的に有意な量の増加を意味する本明細書で用いられる。いくつかの実施形態では、用語「増加した」、「増加する」、「増強する」又は「活性化する」は、参照レベルと比べて少なくとも10%の増加、例えば、参照レベルと比べて、少なくとも約20%、若しくは少なくとも約30%、若しくは少なくとも約40%、若しくは少なくとも約50%、若しくは少なくとも約60%、若しくは少なくとも約70%、若しくは少なくとも約80%、若しくは少なくとも約90%の増加、又は100%を含むそれ以下の増加、又は10~100%の間の任意の増加、又は参照レベルと比べて、少なくとも約2倍、若しくは少なくとも約3倍、若しくは少なくとも約4倍、若しくは少なくとも約5倍若しくは少なくとも約10倍の増加、又は2倍と10倍以上との間の任意の増加を意味しうる。マーカー又は症状との関連で、「増加」は、かかるレベルにおける統計学的に有意な増加である。
【0025】
本明細書で用いられるとき、「対象」は、ヒト又は動物を意味する。通常、動物は、霊長類、齧歯類、家畜又は狩猟動物などの脊椎動物である。霊長類は、例えば、チンパンジー、カニクイザル、クモザル、及びマカク、例えば、アカゲザルを含む。齧歯類は、例えば、マウス、ラット、マーモット、フェレット、ウサギ及びハムスターを含む。家畜又は狩猟動物は、例えば、雌ウシ、ウマ、ブタ、シカ、バイソン、水牛、ネコ種、例えば、イエネコ、イヌ種、例えば、イヌ、キツネ、オオカミ、トリ種、例えば、ニワトリ、エミュー、ダチョウ、及び魚、例えば、マス、ナマズ及びサケを含む。いくつかの実施形態では、対象は、哺乳動物、例えば霊長類、例えばヒトである。用語「個体」、「患者」及び「対象」は、本明細書で交換可能に用いられる。
【0026】
好ましくは、対象は、哺乳動物である。哺乳動物は、ヒト、非ヒト霊長類、マウス、ラット、イヌ、ネコ、ウマ、又は雌ウシでありうるが、これらの例に限定されない。ヒト以外の哺乳類は、有利には、疾患、例えばがんの動物モデルを表す対象として用いることができる。対象は、雄又は雌でありうる。
【0027】
対象は、治療を必要とする状態(例えば、特に白血病又は別タイプのがん)又はかかる状態に関連した1つ以上の合併症を患うか又は有すると以前に診断又は同定されている、任意選択的には状態又は状態に関連した1つ以上の合併症に対する治療を既に受けている対象でありうる。あるいは、対象はまた、かかる状態又は関連合併症を有すると以前に診断されていない対象でありうる。例えば、対象は、状態又は状態に関連する1つ以上の合併症における1つ以上のリスク因子を呈する対象又はリスク因子を呈しない対象でありうる。
【0028】
特定の状態に対する治療を「を必要とする対象」は、その状態を有するか、その状態を有すると診断されたか、又はその状態を発現するリスクがある対象でありうる。
【0029】
「疾患」は、動物がホメオスタシスを維持できず、疾患が寛解されない場合、動物の健康が悪化し続ける、動物、例えばヒトの健康状態である。それに対し、動物における「障害」は、動物がホメオスタシスを維持することができるが、動物の健康状態が障害の不在下で予想される状態よりも好ましくないような健康状態である。障害は、治療されないままで、動物の健康状態におけるさらなる低下を生じるとは限らない。
【0030】
本明細書で用いられるとき、用語「腫瘍抗原」及び「がん抗原」は、がん細胞により別々に発現される抗原を指すように交換可能に用いられ、それ故、がん細胞を標的にするために用いることができる。がん抗原は、潜在的には腫瘍特異的免疫応答を明らかに刺激しうる抗原である。これらの抗原の一部はコードされるが、必ずしも正常細胞によって発現されない。これらの抗原は、通常は正常細胞内でサイレントである(すなわち発現されない)もの、分化の特定ステージに限って発現されるもの、並びに胚性及び胎児抗原などの一時的に発現されるものとして特徴づけることができる。他のがん抗原は、突然変異細胞遺伝子、例えば癌遺伝子(例えば活性化ras癌遺伝子)、サプレッサー遺伝子(例えば突然変異体p53)、及び内部欠失又は染色体転座から生じる融合タンパク質によってコードされる。さらに他のがん抗原は、例えばRNA及びDNA腫瘍ウイルス上で運ばれるようなウイルス遺伝子によってコードされうる。多数の腫瘍抗原が、複数の固形腫瘍:免疫によって規定されるMAGE1、2、及び3;MART-1/Melan-A、gp100、癌胎児性抗原(CEA)、HER2、ムチン(すなわちMUC-1)、前立腺特異抗原(PSA)、及び前立腺酸性ホスファターゼ(PAP)の観点から定義されている。さらに、B型肝炎(HBV)、エプスタイン・バー(EBV)、及びヒト乳頭腫(HPV)によってコードされるものなどのウイルスタンパク質は各々、肝細胞がん、リンパ腫、及び子宮頸がんの発現において重要であることが示されている。
【0031】
本明細書で用いられるとき、用語「キメラ」は、少なくとも2つ以上の異なるポリヌクレオチド分子の部分間の融合の生成物を指す。一実施形態では、用語「キメラ」は、既知のエレメント又は他のポリヌクレオチド分子の操作を通じて生成される遺伝子発現エレメントを指す。
【0032】
いくつかの実施形態では、「活性化」は、検出可能な細胞増殖を誘導するように十分に刺激されているT細胞の状態を指しうる。いくつかの実施形態では、活性化は、誘導されたサイトカイン産生を指しうる。他の実施形態では、活性化は、検出可能なエフェクター機能を指しうる。少なくとも、「活性化T細胞」は、本明細書で用いられるとき、増殖性T細胞である。
【0033】
本明細書で用いられるとき、用語「特異的結合」及び「特異的に結合する」は、2つの分子、化合物、細胞及び/又は粒子の間での物理的相互作用であって、第1の実体が、標的である第2の実体に、非標的である第3の実体に結合するよりも高い特異性及び親和性で結合する場合を指す。いくつかの実施形態では、特異的結合は、第1の実体の第2の標的実体に対する、同じ条件下で第3の非標的実体に対する親和性よりも少なくとも10倍、少なくとも50倍、少なくとも100倍、少なくとも500倍、少なくとも1000倍又はそれ以上高い親和性を指しうる。所与の標的に対して特異的な試薬は、アッセイが利用されている条件下でその標的に対して特異的結合を示すものである。非限定例として、同族結合パートナー(例えば、T細胞上に存在する刺激及び/又は共刺激分子)タンパク質を認識し、それと結合する、抗体、又はリガンドが挙げられる。
【0034】
「刺激リガンド」は、本明細書で用いられるとき、抗原提示細胞(APC、例えば、マクロファージ、樹状細胞、B細胞、人工APCなど)上に存在するとき、T細胞上の同族結合パートナー(本明細書で「刺激分子」又は「共刺激分子」と称される)と特異的に結合し、それにより、限定はされないが、増殖、活性化、免疫応答の開始などを含む、T細胞による一次応答を媒介しうるリガンドを指す。刺激リガンドは、当該技術分野で周知であり、特に、ペプチドが負荷されたMHCクラスI分子、抗CD3抗体、スーパーアゴニスト抗CD28抗体、及びスーパーアゴニスト抗CD2抗体を包含する。
【0035】
「刺激分子」は、用語が本明細書で用いられるとき、抗原提示細胞上に存在する同族刺激リガンドと特異的に結合するT細胞上の分子を意味する。
【0036】
「同時刺激リガンド」、用語が本明細書で用いられるとき、T細胞上の同族共刺激分子に特異的に結合し、それにより、例えばTCR/CD3複合体とペプチドが負荷されたMHC分子との結合により提供される一次シグナルに加えて、限定はされないが、増殖、活性化、分化などを含むT細胞応答を媒介するシグナルを提供するAPC上の分子を含む。同時刺激リガンドは、限定はされないが、4-1BBL、OX40L、CD7、B7-1(CD80)、B7-2(CD86)、PD-L1、PD-L2、誘導性同時刺激リガンド(ICOS-L)、細胞間接着分子(ICAM)、CD30L、CD40、CD70、CD83、HLA-G、MICA、MICB、HVEM、リンホトキシンβ受容体、3/TR6、ILT3、ILT4、HVEM、Toll様受容体に結合する作動薬又は抗体及びB7-H3に特異的に結合するリガンドを含みうる。同時刺激リガンドはまた、限定はされないが、T細胞上に存在する共刺激分子に特異的に結合する抗体、例えば限定はされないが、CD27、CD28、4-1BB、OX40、CD30、CD40、PD-1、ICOS、リンパ球機能関連抗原-1(LFA-1)、CD2、CD7、LIGHT、NKG2C、B7-H3、及びCD83に特異的に結合するリガンドを含みうる。
【0037】
「共刺激分子」は、同時刺激リガンドに特異的に結合し、それによりT細胞による同時刺激応答、例えば限定はされないが増殖を媒介する、T細胞上の同族結合パートナーを指す。共刺激分子は、限定はされないが、MHCクラスI分子、BTLA、Toll様受容体、CD27、CD28、4-1BB、OX40、CD30、CD40、PD-1、ICOS、リンパ球機能関連抗原-1(LFA-1)、CD2、CD7、LIGHT、NKG2C、B7-H3、及びCD83を含む。
【0038】
一実施形態では、用語「改変される」及びその文法的等価物は、本明細書で用いられるとき、核酸、例えば生物のゲノム内の核酸の1つ以上のヒト向けに設計された変更を指しうる。別の実施形態では、改変されるは、遺伝子の変更、付加、及び/又は欠失を指しうる。「改変された細胞」は、付加、欠失及び/又は変更された遺伝子を有する細胞を指しうる。用語「細胞」又は「改変された細胞」及びそれらの文法的等価物は、本明細書で用いられるとき、ヒト又は非ヒト動物由来の細胞を指しうる。
【0039】
本明細書で用いられるとき、用語「作動可能に連結される」は、第1のポリヌクレオチド分子、例えばプロモーターが、第2の転写可能な(transcribable)ポリヌクレオチド分子、例えば目的の遺伝子と接続されることを指し、この場合のポリヌクレオチド分子は、第1のポリヌクレオチド分子が第2のポリヌクレオチド分子の機能に影響するように配列される。2つのポリヌクレオチド分子は、単一の隣接ポリヌクレオチド分子の一部であってもなくてもよく、また隣接していてもしていなくてもよい。例えば、プロモーターが細胞内での目的の遺伝子の転写を制御又は媒介する場合、プロモーターは目的の遺伝子に作動可能に連結される。
【0040】
本明細書に記載の様々な実施形態では、記載の特定ポリペプチドのいずれかの変異体(天然に存在するか又はそれ以外)、対立遺伝子、ホモログ、保存的に修飾された変異体、及び/又は保存的置換変異体が包含されることがさらに検討される。アミノ酸配列に関して、当業者は、コードされた配列内の単一のアミノ酸又は低い百分率のアミノ酸を変更する、核酸、ペプチド、ポリペプチド、又はタンパク質配列に対する個別の置換、欠失又は付加が、改変がアミノ酸と化学的に類似したアミノ酸との置換をもたらし、ポリペプチドの所望される活性を保持する場合の「保存的に修飾された変異体」であることを理解するであろう。かかる保存的に修飾された変異体は、それに加えて、本開示に一致する多型変異体、種間ホモログ、及び対立遺伝子を除外しない。
【0041】
所与のアミノ酸は、類似の生理化学的特徴を有する残基で置換されうるが、例えば、1つの脂肪族残基を他のもの(Ile、Val、Leu、又はAlaなどを相互に)置換すること、又は1つの極性残基の他のものとの(LysとArg;GluとAsp;又はGlnとAsnとの間での)置換が挙げられる。他のかかる保存的置換、例えば類似の疎水性特徴を有する全領域の置換は周知である。保存的アミノ酸置換を含むポリペプチドは、本明細書に記載のアッセイのいずれか1つにおいて試験することで、所望される活性、例えば天然又は参照ポリペプチドのリガンド媒介受容体活性及び特異性が保持されることを確認することができる。
【0042】
アミノ酸は、(A.L.Lehninger,in Biochemistry,second ed.,pp.73-75,Worth Publishers,New York(1975)における)それらの側鎖の特性:(1)非極性:Ala(A)、Val(V)、Leu(L)、Ile(I)、Pro(P)、Phe(F)、Trp(W)、Met(M);(2)非荷電極性:Gly(G)、Ser(S)、Thr(T)、Cys(C)、Tyr(Y)、Asn(N)、Gln(Q);(3)酸性:Asp(D)、Glu(E);(4)塩基性:Lys(K)、Arg(R)、His(H)における類似性に従ってグループ化されうる。あるいは、天然に存在する残基は、共通の側鎖特性:(1)疎水性:ノルロイシン、Met、Ala、Val、Leu、Ile;(2)中性親水性:Cys、Ser、Thr、Asn、Gln;(3)酸性:Asp、Glu;(4)塩基性:His、Lys、Arg;(5)鎖配向性に影響を及ぼす残基:Gly、Pro;(6)芳香族:Trp、Tyr、Pheに基づいてグループ分けされうる。非保存的置換は、これらのクラスの1メンバーを別クラスと交換することを伴うことになる。特定の保存的置換として、例えば、AlaをGly又はSerへ;ArgをLysへ;AsnをGln又はHisへ;AspをGluへ;CysをSerへ;GlnをAsnへ;GluをAspへ;GlyをAla又はProへ;HisをAsn又はGlnへ;IleをLeu又はValへ;LeuをIle又はValへ;LysをArg、Gln又はGluへ;MetをLeu、Tyr又はIleへ;PheをMet、Leu又はTyrへ;SerをThrへ;ThrをSerへ;TrpをTyrへ;TyrをTrpへ;及び/又はPheをVal、Ile又はLeuへ、が挙げられる。
【0043】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のポリペプチド(又はかかるポリペプチドをコードする核酸)は、本明細書に記載のアミノ酸配列の1つの機能断片でありうる。本明細書で用いられるとき、「機能断片」は、当該技術分野で公知である、又は本明細書中の以下に記載されるアッセイによると、野生型参照ポリペプチドの活性の少なくとも50%を保持する、ペプチドの断片又はセグメントである。機能断片は、本明細書に開示される配列の保存的置換を含みうる。
【0044】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のポリペプチドは、本明細書に記載のようなポリペプチド又は分子の変異体でありうる。いくつかの実施形態では、変異体は、保存的に修飾された変異体である。保存的置換変異体は、例えば、天然ヌクレオチド配列の突然変異によって得られうる。「変異体」は、本明細書で参照されるとき、天然又は参照ポリペプチドに対して実質的に相同であるが、1つ又は複数の欠失、挿入、又は置換が理由で天然又は参照ポリペプチドの場合と異なるアミノ酸配列を有するポリペプチドである。変異体ポリペプチドをコードするDNA配列は、天然又は参照DNA配列と比べて、ヌクレオチドの1つ以上の付加、欠失、又は置換を含むが、非変異体ポリペプチドの活性を保持する変異体タンパク質又はその断片をコードする、配列を包含する。多種多様なPCRに基づく部位特異的変異原性手法は、当該技術分野で公知であり、当業者によって適用されうる。
【0045】
変異体のアミノ酸又はDNA配列は、天然又は参照配列に対して、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又はそれ以上同一でありうる。天然及び突然変異体配列の間の相同性(パーセント同一性)の程度は、例えば、一般にワールドワイドウェブ上でこの目的のために用いられる自由に利用可能なコンピュータプログラム(例えば、デフォルト設定でのBLASTp又はBLASTn)を用いて2つの配列を比較することにより決定されうる。
【0046】
天然アミノ酸配列の変更は、当業者に公知の幾つかの技術のいずれかにより達成されうる。突然変異は、例えば、天然配列の断片へのライゲーションを可能にする制限部位によって隣接される、突然変異体配列を有するオリゴヌクレオチドを合成することにより、特定の遺伝子座に導入されうる。ライゲーション後、得られる再構築された配列は、所望されるアミノ酸の挿入、置換、又は欠失を有する類似体をコードする。あるいは、オリゴヌクレオチドに誘導される部位特異的変異原性手法を用いて、要求される置換、欠失、又は挿入に従って変更された特定コドンを有する変更されたヌクレオチド配列を提供することができる。かかる変更を設けるための技術は、十分に確立されており、例えば、Walder et al.(Gene 42:133,1986);Bauer et al.(Gene 37:73,1985);Craik(BioTechniques,January 1985,12-19);Smith et al.(Genetic Engineering:Principles and Methods,Plenum Press,1981);並びに米国特許第4,518,584号明細書及び米国特許第4,737,462号明細書(それら全体は参照により本明細書中に援用される)に開示されたものを含む。ポリペプチドの適切な立体構造を維持することに関与しない任意のシステイン残基はまた、一般にセリンと置換されることで、分子の酸化安定性を改善し、異常な架橋を阻止することができる。逆に、システイン結合をポリペプチドに付加することで、その安定性を改善し、オリゴマー形成を促進することができる。
【0047】
本明細書で用いられるとき、用語「DNA」は、デオキシリボ核酸と定義される。用語「ポリヌクレオチド」は、ヌクレオシドのポリマーを示すため、「核酸」と交換可能に本明細書で用いられる。典型的には、ポリヌクレオチドは、リン酸ジエステル結合によって接続されたDNA又はRNA(例えば、アデノシン、チミジン、グアノシン、シチジン、ウリジン、デオキシアデノシン、デオキシチミジン、デオキシグアノシン、及びデオキシシチジン)において天然に見出されるヌクレオシドから構成される。しかし、用語は、天然に存在する核酸中に見出されるか否かにかかわらず、化学的又は生物学的に修飾された塩基、修飾された骨格などを有するヌクレオシド又はヌクレオシド類似体を含む分子を包含し、かかる分子は、特定用途にとって好ましいことがある。本願がポリヌクレオチドを指す場合、DNA、RNAの双方、並びに各場合における一本鎖及び二本鎖形態の双方(及び各一本鎖分子の相補鎖)が提供されることは理解されている。「ポリヌクレオチド配列」は、本明細書で用いられるとき、ポリヌクレオチド材料自体及び/又は特定の核酸を生化学的に特徴づける配列情報(すなわち塩基における略称として用いられる一連の文字)を指しうる。本明細書で提示されるポリヌクレオチド配列は、別段の指示がない限り、5’から3’方向で示される。
【0048】
用語「ポリペプチド」は、本明細書で用いられるとき、アミノ酸のポリマーを指す。用語「タンパク質」及び「ポリペプチド」は、本明細書で交換可能に用いられる。ペプチドは、典型的には約2~60の間のアミノ酸長の比較的短いポリペプチドである。本明細書で用いられるポリペプチドは、典型的には、最も一般的にはタンパク質中に見出される20Lのアミノ酸などのアミノ酸を有する。しかし、当該技術分野で公知の他のアミノ酸及び/又はアミノ酸類似体を用いることができる。ポリペプチド中のアミノ酸の1つ以上が、例えば、炭水化物基、リン酸基、脂肪酸基、コンジュゲーション用のリンカー、機能分化などの化学的実体の付加により修飾されてもよい。それと共有結合的又は非共有結合的に会合された非ポリペプチド部分を有するポリペプチドは、やはり「ポリペプチド」と考えられる。例示的修飾は、グリコシル化及びパルミトイル化を含む。ポリペプチドは、例えば、天然供給源から精製されうるか、組換えDNA技術を用いて生成されうるか、又は通常の固相ペプチド合成などの化学的手段によって合成されうる。用語「ポリペプチド配列」又は「アミノ酸配列」は、本明細書で用いられるとき、ポリペプチド材料自体及び/又はポリペプチドを生化学的に特徴づける配列情報(すなわちアミノ酸名における略称として用いられる一連の文字又は3文字コード)を指しうる。本明細書で提示されるポリペプチド配列は、別段の指示がない限り、N末端からC末端方向で示される。
【0049】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のようなポリペプチド(例えばCARポリペプチド)をコードする核酸は、ベクターによって含まれる。本明細書に記載の態様の一部では、本明細書に記載のような所与のポリペプチドをコードする核酸配列、又はその任意のモジュールは、ベクターに作動可能に連結される。用語「ベクター」は、本明細書で用いられるとき、宿主細胞への送達又は異なる宿主細胞間の導入向けに設計された核酸構築物を指す。本明細書で用いられるとき、ベクターは、ウイルス又は非ウイルスでありうる。用語「ベクター」は、適切な調節エレメントと会合する際に複製能力があり、且つ遺伝子配列を細胞に導入しうる任意の遺伝要素を包含する。ベクターは、限定はされないが、クローニングベクター、発現ベクター、プラスミド、ファージ、トランスポゾン、コスミド、人工染色体、ウイルス、ビリオンなどを含みうる。
【0050】
本明細書で用いられるとき、用語「発現ベクター」は、ベクター上の転写制御配列に連結された配列からRNA又はポリペプチドの発現を誘導するベクターを指す。発現される配列は、必然ではないが、細胞に対して異種となることが多い。発現ベクターは、追加的配列を含んでもよく、例えば発現ベクターは2つの複製系を有してもよく、それにより2つの生物、例えば発現用のヒト細胞並びにクローニング及び増幅用の原核生物宿主におけるその維持が可能になる。用語「発現」は、RNA及びタンパク質の生成、また必要に応じて、タンパク質の分泌に関与する細胞プロセス、適用可能であれば、例えば限定はされないが、転写、転写物プロセシング、翻訳及びタンパク質のフォールディング、修飾及びプロセシングなどを指す。「発現産物」は、遺伝子から転写されたRNA、及び遺伝子から転写されたmRNAの翻訳により得られたポリペプチドを含む。用語「遺伝子」は、適切な制御配列に作動可能に連結されるとき、インビトロ又はインビボで(DNAから)RNAに転写される核酸配列を意味する。遺伝子は、コード領域に先行及び後続する領域、例えば、5’非翻訳(5’UTR)又は「リーダー」配列及び3’UTR又は「トレーラー」配列、並びに個別のコードセグメント(エクソン)間の介在配列(イントロン)を含んでも含まなくてもよい。
【0051】
本明細書で用いられるとき、用語「ウイルスベクター」は、ウイルス起源の少なくとも1つの配列を含み、ウイルスベクター粒子にパッケージングされる能力を有する核酸ベクター構築物を指す。ウイルスベクターは、非必須なウイルス遺伝子の代わりに本明細書に記載のようなポリペプチドをコードする核酸を含有しうる。ベクター及び/又は粒子は、インビトロ又はインビボのいずれかで核酸を細胞に導入することを目的として利用されてもよい。極めて多数のウイルスベクターの形態は、当該技術分野で公知である。
【0052】
「組換えベクター」は、インビボで発現する能力がある異種核酸配列又は「導入遺伝子」を含むベクターを意味する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のベクターを他の好適な組成物及び治療と組み合わせ可能であることは理解されるべきである。いくつかの実施形態では、ベクターはエピソームである。好適なエピソームベクターの使用により、高コピー数の染色体外DNAで対象における目的のヌクレオチドを維持し、それにより染色体組込みの潜在的影響を除去する手段が提供される。
【0053】
本明細書で用いられるとき、用語「治療する(treat)」、「治療(treatment)」、「治療する(treating)」又は「寛解」は、対象が疾患又は障害、例えば急性リンパ性白血病若しくは他のがん、疾患、又は障害に関連した状態の進行又は重症度に対する逆転、軽減、寛解、阻害、緩徐化、又は停止に至るための治療的処置を指す。用語「治療する」は、状態、疾患又は障害の少なくとも1つの有害作用又は症状を低減又は軽減することを含む。治療は、1つ以上の症状又は臨床マーカーが低下する場合、一般に「有効」である。あるいは、治療は、疾患の進行が低下又は停止する場合、「有効」である。すなわち、「治療」は、症状又はマーカーの改善だけでなく、治療の不在下で想定されることと比べての、症状の進行又は悪化の休止、又は少なくとも緩徐化を含む。有利な又は所望される臨床結果として、限定はされないが、1つ以上の症状の軽減、疾患の程度の低下、疾患の安定化(すなわち悪化していない)状態、疾患進行の遅延又は緩徐化、病態の寛解又は緩和、寛解(部分又は完全と無関係に)、及び/又は死亡率の低下(検出可能又は検出不能と無関係に)が挙げられる。疾患の用語「治療」はまた、疾患の症状又は副作用からの軽減(対症療法を含む)を提供することを含む。
【0054】
本明細書で用いられるとき、用語「医薬組成物」は、薬学的に許容できる担体、例えば医薬品業界で一般に用いられる担体と組み合わせた活性薬剤を指す。語句「薬学的に許容できる」は、健全な医学的判断の範囲内で、合理的なリスク・ベネフィット比に見合う、過剰な毒性、刺激作用、アレルギー反応、又は他の課題若しくは合併症を伴わずにヒト及び動物の組織との接触における使用に適した化合物、材料、組成物、及び/又は剤形を指すように本明細書で用いられる。態様のいずれかのいくつかの実施形態では、薬学的に許容できる担体は、水以外の担体でありうる。態様のいずれかのいくつかの実施形態では、薬学的に許容できる担体は、クリーム、乳剤、ゲル、リポソーム、ナノ粒子、及び/又は軟膏でありうる。態様のいずれかのいくつかの実施形態では、薬学的に許容できる担体は、人工的な又は改変された担体、例えば活性成分が天然に存在することが見出されないような担体でありうる。
【0055】
本明細書で用いられるとき、用語「投与する」は、所望される部位への薬剤の少なくとも部分的な送達をもたらす方法又は経路による、本明細書で開示されるような治療又は医薬組成物の対象への配置を指す。本明細書で開示されるような薬剤を含む医薬組成物は、対象における効果的治療をもたらす任意の適切な経路により投与されうる。
【0056】
用語「統計学的に有意な」又は「有意に」は、統計学的有意性を指し、一般に2標準偏差(2SD)又はより大きい差異を意味する。
【0057】
実験実施例以外又は他の指示がある場合以外には、本明細書で用いられる成分の量又は反応条件を表すすべての数は、すべての例において用語「約」によって修飾されるように理解されるべきである。用語「約」は、百分率との関連で用いられるとき、±1%を意味しうる。
【0058】
本明細書で用いられるとき、用語「~を含む」は、提示される定義された要素に加えて、他の要素も存在しうることを意味する。「~を含む」の使用は、限定ではなく包含を示す。
【0059】
用語「~からなる」は、本明細書に記載のような組成物、方法、及びその各構成要素を指し、実施形態のその記述の中に列挙されない任意の要素が除外される。
【0060】
本明細書で用いられるとき、用語「本質的に~からなる」は、所与の実施形態にとって必要とされる要素を指す。用語は、技術の実施形態の基本的且つ新規な又は機能的特徴に実質的に影響しない追加的要素の存在を許容する。
【0061】
単数形「a」、「an」及び「the」は、文脈から明らかにそうでないことが示されなければ、複数の参照対象を含む。同様に、用語「or」は、文脈から明らかにそうでないことが示されなければ、「and」を含むことが意図される。本明細書に記載の場合に類似又は相当する方法及び材料が本開示の実行又は試験において用いることができるが、好適な方法及び材料が以下に説明される。略称「e.g.」は、ラテン語のexempli gratiaに由来し、非限定例を示すために本明細書で用いられる。したがって、略称「e.g.」は、用語「for example」と同義である。
【0062】
態様のいずれかのいくつかの実施形態では、本明細書に記載の開示内容は、ヒトをクローン化するためのプロセス、ヒトの生殖系列の遺伝的同一性を修飾するためのプロセス、産業若しくは商業目的でのヒト胚の使用、又は罹患をもたらしやすく、ヒト若しくは動物に対して実質的な医学的恩恵を全く伴わない動物の遺伝的同一性を修飾するためのプロセス、ひいてはかかるプロセスから生じる動物に関連しない。
【0063】
他の用語は、以下の技術の様々な態様及び実施形態の説明の範囲内で定義される。
【図面の簡単な説明】
【0064】
図1図1は、指定された細胞におけるCD37の発現を示す。
図2図2は、抗CD37 CARの模式図を提示する。
図3図3は、抗CD37 CARの発現を示すプロット及びグラフを提示する。
図4図4は、抗CD37 CAR T細胞の増殖を示すグラフ及びプロットを提示する。
図5-1】図5は、抗CD37 CAR T細胞がCD37陽性T細胞を溶解することを示す、細胞傷害性アッセイの結果を示すグラフを提示する。
図5-2】図5は、抗CD37 CAR T細胞がCD37陽性T細胞を溶解することを示す、細胞傷害性アッセイの結果を示すグラフを提示する。
図6図6は、細胞傷害性アッセイ及び標的クローンの発現分析のグラフを提示する。
図7-1】図7は、抗CD37 CAR T細胞のCD37による刺激後の細胞増殖を示す。アッセイは、17日目、CAR+に対するFACSゲーティングを用いて開始した。
図7-2】図7は、抗CD37 CAR T細胞のCD37による刺激後の細胞増殖を示す。アッセイは、17日目、CAR+に対するFACSゲーティングを用いて開始した。
図8図8は、NSGマウスにおける抗CD37 CAR T細胞生着及び腫瘍クリアランスについての実験設計の模式図を提示する。
図9図9は、CARの設計図を提示する。pMGH69(上の構築物):軽-重鎖立体配置を伴う抗CD37scFv。pMGH70(下の構築物):重-軽鎖立体配置を伴う抗CD37scFv。
図10図10は、フローによるがん細胞株でのCD37の発現を示す。Jeko-1(MCL)、RAJI(バーキットリンパ腫)、及びOSU-CLL(CLL)は高レベルのCD37を明らかに発現する。NALM6細胞(ALL)はCD37を発現しない。
図11図11は、抗CD37 CAR T細胞の生成及び拡大を示す。左側のグラフは、抗CD37-CAR T細胞における増殖曲線を示す。0日目に開始し、T細胞はDynabeadsを用いてインビトロで10日目まで拡大され、次にT細胞は抗原で刺激され、この場合、照射したK562細胞がCD37及びCD19を発現する。右側のプロットは、培養10日目のCAR T細胞のこの特定バッチの形質導入効率を示す(全細胞の19.5%及び23.5がCAR Tである)。左下:3つの異なる正常ドナーの形質導入効率
図12図12は、抗原特異的活性化を示すグラフである。CD37-CAR構築物が形質導入されたJurkat-NFATレポーター細胞株が標的細胞(RAJI、OSU-CLL、Jeko-1、NALM-CD37)の存在下で活性化されるが、NALM6又は培地単独によって活性化されない。
図13図13は、CAR T細胞の増殖能力を示す。増殖アッセイ:CAR T細胞は、細胞トレースバイオレットで標識され、抗原の存在下又は不在下で共培養される。図は、CD37+細胞の存在下でCAR T細胞の拡大を示すが、CD37が陰性の細胞下では示さない。
図14図14は、インビトロでの腫瘍細胞死を示す。CD37-CAR T、CD19-CAR、又は対照T細胞(UTD)が腫瘍細胞と異なるE:T比で共培養されるとき、16時間後の細胞傷害性。増加濃度のCD37-CAR T又はCAR T-19のいずれかが標的細胞死を類似レベルでもたらした一方で、対照群(UTD)では細胞死が認められなかった。
図15-1】図15は、腫瘍細胞とともに1:1のE:T比で16時間インキュベートされたCD37-CAR、CD19-CAR、又はUTDによるサイトカイン産生が、LUMINEX FLEXMAP 3D(登録商標)アッセイにより培養上清中で分析されたことを示す。技術的複製物(N=1、生物学的)。
図15-2】図15は、腫瘍細胞とともに1:1のE:T比で16時間インキュベートされたCD37-CAR、CD19-CAR、又はUTDによるサイトカイン産生が、LUMINEX FLEXMAP 3D(登録商標)アッセイにより培養上清中で分析されたことを示す。技術的複製物(N=1、生物学的)。
図16図16は、NSGマウスに1×10の腫瘍細胞が注射された(Jeko-1 CBG-GFP、静脈内)実験模式図を示す。1週後、マウスは、腫瘍量に従って無作為化され、1×10(左)又は2×10(右)の陽性CAR T細胞又はUTD細胞が注射された。マウスは7日ごとに画像化され、生物発光を測定することで腫瘍増殖が分析された(グラフに表される)。両方の実験において、UTDで治療されたマウスは、疾患進行を示した(青線)。CAR T-19細胞は、両条件において応答を誘導する能力がある。
図17図17は、インビボでのCARの有効性を示す。第2の実験の代表的マウスが図に示される。T細胞注射から14日後の末梢血中のCAR T細胞の存在:血液からの細胞が染色され、ヒトCD3の発現に基づいてゲーティングされる。mCherry陽性細胞(CAR+)の百分率がグラフに表示される。
図18A-B】図18A及び18Bは、正常細胞(図18A)及び腫瘍細胞(図18B)におけるCD37タンパク質の発現を示す。図18A:正常細胞でのCD37タンパク質の発現は、リンパ系組織に制限される。図18B:腫瘍細胞株でのCD37の発現。CD37は、マントル細胞リンパ腫(JEKO-1)、バーキットリンパ腫(RAJI)、及びB細胞慢性リンパ性白血病(OSU-CLL)を含む非ホジキンリンパ腫(NHL)において高度に発現されるが、急性リンパ性白血病細胞株(NALM6)において不在である。
図19図19は、例示的なCAR-37 T細胞の設計を示す。レンチウイルスベクターによってコードされ、4-1BB共刺激ドメインを有する、抗CD37第二世代CARの設計。ヒト化マウス抗体由来の一本鎖可変断片の2つの異なる配向性:V-V(CAR-37 L-H、上)又はV-V(CAR-37 H-L、下)。
図20A-D】図20A~20Dは、CAR-37 T細胞の生成及び拡大を示す。図20A.CD3/CD28ビーズによる活性化から10日後の一次ヒトT細胞の形質導入効率の代表的フローのプロット。図20B.拡大されたT細胞は、38%(L-H)及び75%(H-L)の平均(N=3)とともにCAR-37発現の変数を含んだ。図20C.38日間の健常ドナーにおける静的培養条件を用いてのCD3/CD28ビーズで活性化されたT細胞の生体外での集積/増殖。図20D.異なるCAR構築物が形質導入され、腫瘍細胞と共培養されたJurkatレポーター(NFAT-Luc)T細胞の活性化。ルシフェラーゼ活性が16時間後に測定された(CD3-CD28ビーズ;陽性対照)。
図21A-C】図21A~21Cは、CAR-37 T細胞のインビトロ細胞傷害性活性を示す。JEKO-1、CD19及びCD37を発現するK562(図21A)、OSU-CLL(図21B)、及びRAJI(図21C)と指定のE:T比で共培養されたCAR T細胞の16時間後の細胞傷害性。増加濃度のCAR-37及びCAR-19 T細胞が特定の死滅をもたらした一方で、対照群(UTD)では死滅が認められなかった。
図22A-C】図22A~22Cは、CAR-37 T細胞のインビトロサイトカイン産生を示す。JEKO-1(図22A)、RAJI(図22B)、及びOSU-CLL(図22C)細胞とともに1:1のE:T比で24時間インキュベートされたCAR-37、CAR-19、又はUTD T細胞によるサイトカイン産生が、Luminexアッセイにより培養上清中で分析された。
図23A-C】図23A~23Cは、CAR-37 T細胞のインビトロエフェクター機能を示す。図23A.実験模式図:雌NSGマウスに1×10のJEKO-1細胞(CBG-GFP+)が静脈内注射された。7日目、マウスが腫瘍量(BLI)に基づいて無作為化され、2×10の対照T細胞(UTD)、CAR-37、又はCAR-19を受けた(2の正常ドナー、N=10)。図23B.経時的なJEKO-1増殖の代表的生物発光画像。図23C.各治療群からの腫瘍増殖曲線が経時的に表示される。統計分析:二元配置分散分析(P<0.001)。
図24図24は、腫瘍細胞におけるCD37の発現を示す。上パネルは、フローサイトメトリーによる評価としての、NALM6、CD19 CD38 K562、JEKO-1、RAJI、及びOSU-CLL細胞株におけるCD37及びCD19の発現を示す。下パネルは、フローサイトメトリーによる評価としての、MCL患者由来の異種移植片(PDX)細胞株PDX_44685、PDX_98848、及びPDX_96069におけるCD37及びCD17の発現を示す。右下パネル上のグラフは、MCL PDX細胞株におけるCD19及びCD37のパーセント発現を示す。
図25A-C】図25A~25Cは、MCL PDX腫瘍に対するCAR-37 T細胞のインビボ有効性を示す。図25Aは実験模式図を示す。39日目、マウスに1×10のPDX_98848 MCL PDX細胞が静脈内投与された。-28日目及び-14日目にフローサイトメトリーが実施された。-1日目にBLIが実施された。0日目に3×10のUTD(対照)又はCAR T陽性細胞(CAR-37 H-L又はCAR-19)がマウスに静脈内投与された。3、7、10、14、17、21、及び35日目にマウスが画像化され、腫瘍増殖が生物発光を測定することで分析された(図25B及び25C)。CAR-37 T細胞は、インビボでMCL PDX腫瘍に対して強力な抗腫瘍有効性を有した。
図26A-C】図26Aは、フローサイトメトリーによる評価としての、末梢性T細胞リンパ腫(PTCL)細胞株HUT78(皮膚T細胞リンパ腫(CTCL))(左パネル)及びFEPD(未分化大細胞リンパ腫(ALCL))(右パネル)におけるCD37の発現を示す。図26Bは、フローサイトメトリーによる評価としての、非刺激(unstim)及び刺激(stim)CAR T細胞におけるCD69の発現を示す。左パネルは、フローサイトメトリーによる評価としてのmCherryの発現(CAR+)を示す。図26Cは、培地、FEPD細胞、HUT78細胞、又はCDR-CD28ビーズで刺激された、CD69+UTD(対照)CAR-37 L-H、及びCAR-37 H-L細胞の百分率を示す。
図27図27は、HUT78(CTCL)及びFEPD(ALCL)PTCL細胞株に対する、UTD(対照)、CAR-37 L-H、及びCAR-37 H-L T細胞のインビトロエフェクター機能を示す。グラフは、指定のE:T比におけるパーセント特異的溶解をプロットする。
図28図28は、フローサイトメトリーによる評価としてのAML細胞株TF1、MOM13、及びTHP1におけるCD37の発現を示す。
【発明を実施するための形態】
【0065】
本発明は、本明細書に記載の通り、CD37に特異的なキメラ抗原受容体(CAR)を提供する。さらに、本発明は、これらのCARを発現する細胞、それらをコードする核酸分子、核酸分子を含むベクター、これらの分子を使用及び作成する方法、及びそれらを含むキットを提供する。CAR及び関連分子は、例えば、がん及び自己免疫疾患などを含む疾患の治療及び予防において用いることができる。本発明のCARを用いて治療又は予防可能ながん及び自己免疫疾患のタイプの具体例が本明細書で以下に提供される。本発明のCAR及び関連分子を用いるさらなる方法は、診断及びイメージング方法を含む。本発明のCAR及び関連分子並びに方法は、技術のこれら及びその他の態様を作成及び使用するための考察後、さらに以下に説明される。
【0066】
キメラ抗原受容体
本明細書に記載の技術は、免疫療法における使用を意図した改善されたCARを提供する。以下、CAR及び様々な改善について論じる。
【0067】
用語「キメラ抗原受容体」又は「CAR」又は「CARs」は、本明細書で用いられるとき、リガンド又は抗原特異性をT細胞(例えば、ナイーブT細胞、セントラルメモリーT細胞、エフェクターメモリーT細胞又はそれらの組み合わせ)に移植する、改変されたT細胞受容体を指す。CARはまた、人工的T細胞受容体、キメラT細胞受容体又はキメラ免疫受容体として知られる。
【0068】
CARは、細胞の表面上に発現される標的、例えばポリペプチドに特異的に結合するキメラ細胞外標的結合ドメインを、T細胞受容体分子の膜貫通ドメイン及び細胞内ドメインを含む構築物に対するT細胞応答における標的になるように配置する。一実施形態では、キメラ細胞外標的結合ドメインは、T細胞応答における標的になるように細胞上に発現される抗原に特異的に結合する抗体の抗原結合ドメインを含む。CARの細胞内シグナル伝達ドメインの特性は、当該技術分野で公知の通り、また本明細書で開示される通り、変化しうるが、キメラ標的/抗原結合ドメインは、キメラ標的/抗原結合ドメインが標的細胞の表面上の標的/抗原に結合するとき、受容体をシグナル伝達活性化に対して感受性にする。
【0069】
細胞内シグナル伝達ドメインに関して、いわゆる「第一世代」CARは、抗原結合時にCD3ゼータ(CD3ζ)シグナルを単独で提供するものを含む。いわゆる「第二世代」CARは、同時刺激(例えばCD28又はCD137)及び活性化(CD3ζ)ドメインの双方を提供するものを含み、またいわゆる「第三世代」CARは、複数の同時刺激(例えばCD28及びCD137)ドメイン及び活性化ドメイン(例えばCD3ζ)を提供するものを含む。様々な実施形態では、CARは、標的/抗原に対して高い親和性又は結合活性を有するように選択され、例えば、抗体由来の標的又は抗原結合ドメインは、一般に、天然に存在するT細胞受容体の場合よりも標的抗原に対する高い親和性及び/又は結合活性を有することになる。この特性は、抗体についての選択を可能にする高い特異性と組み合わせて、CAR T細胞により高度に特異的なT細胞標的化をもたらす。
【0070】
本明細書で用いられるとき、「CAR T細胞」又は「CAR-T」は、CARを発現するT細胞を指す。T細胞内で発現されるとき、CARは、T細胞の特異性及び反応性を非MHC制限様式で選択された標的の方へ再誘導し、モノクローナル抗体の抗原結合特性を利用する能力を有する。非MHC制限抗原認識は、CARを発現するT細胞に、抗原プロセシングと独立に抗原を認識し、それにより腫瘍エスケープの主要な機構をバイパスする能力を与える。
【0071】
本明細書で用いられるとき、用語「細胞外標的結合ドメイン」は、標的への結合を促進するのに十分である、細胞の外側に見出されるポリペプチドを指す。細胞外標的結合ドメインは、その結合パートナー、すなわち標的に特異的に結合することになる。非限定例として、細胞外標的結合ドメインは、同族結合パートナー(例えばCD37)タンパク質を認識し、それと結合する、抗体の抗原結合ドメイン、又はリガンドを含みうる。これに関連して、リガンドは、タンパク質及び/又は受容体の一部に特異的に結合する分子である。本明細書に記載の方法及び組成物において有用なリガンドの同族結合パートナーは、一般に細胞の表面上に見出されうる。リガンド:同族パートナー結合は、リガンドを有する受容体の改変をもたらす、又は生理学的応答を活性化、例えばシグナル伝達経路を活性化する可能性がある。一実施形態では、リガンドは、ゲノムに対して非天然でありうる。任意選択的には、リガンドは、少なくとも2つの種にわたる保存された機能を有する。一実施形態では、細胞外標的結合ドメインは、非抗体リガンドを含む。
【0072】
抗体試薬
様々な実施形態では、本明細書に記載のCARは、抗体試薬又はその抗原結合ドメインを細胞外標的結合ドメインとして含む。
【0073】
本明細書で用いられるとき、用語「抗体試薬」は、少なくとも1つの免疫グロブリン可変ドメイン又は免疫グロブリン可変ドメイン配列を含み、且つ所与の抗原に特異的に結合するポリペプチドを指す。抗体試薬は、抗体又は抗体の抗原結合ドメインを含むポリペプチドを含みうる。態様のいずれかのいくつかの実施形態では、抗体試薬は、モノクローナル抗体又はモノクローナル抗体の抗原結合ドメインを含むポリペプチドを含みうる。例えば、抗体は、重(H)鎖可変領域(本明細書でVと略記)、及び軽(L)鎖可変領域(本明細書でVと略記)を含みうる。別の例では、抗体は、2つの重(H)鎖可変領域及び2つの軽(L)鎖可変領域を含む。用語「抗体試薬」は、抗体の抗原結合断片(例えば、一本鎖抗体、Fab及びsFab断片、F(ab’)2、Fd断片、Fv断片、scFv、CDRs、及びドメイン抗体(dAb)断片(例えば、de Wildt et al.,Eur J.Immunol.26(3):629-639,1996を参照;その全体が参照により本明細書中に援用される))並びに完全抗体を包含する。抗体は、IgA、IgG、IgE、IgD、又はIgM(並びにサブタイプ及びそれらの組み合わせ)の構造的特徴を有しうる。抗体は、マウス、ウサギ、ブタ、ラット、及び霊長類(ヒト及び非ヒト霊長類)を含む任意の供給源に由来する、並びに霊長類化抗体でありうる。抗体はまた、ミディボディ、ヒト化抗体、キメラ抗体などを含む。完全ヒト抗体結合ドメインは、当業者に公知の方法を用いて、例えばファージディスプレイライブラリーから選択されうる。
【0074】
及びV領域は、さらに、「フレームワーク領域」(「FR」)と称されるより保存された領域が散在した「相補性決定領域」(「CDR」)と称される超可変性の領域に細分化されうる。フレームワーク領域及びCDRの範囲は、以前に定義されている(Kabat,E.A.et al.(1991)Sequences of Proteins of Immunological Interest,Fifth Edition,U.S.Department of Health and Human Services,NIH Publication No.91-3242、及びChothia et al.,J.Mol.Biol.196:901-917,1987を参照;それらの各々はそれら全体が参照により本明細書中に援用される)。V及びVの各々は、典型的には、アミノ末端からカルボキシ末端にかけて以下の順序:FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、FR4で配列された、3つのCDRと4つのFRとから構成される。
【0075】
一実施形態では、抗体又は抗体試薬は、ヒト抗体又は抗体試薬でない(すなわち抗体又は抗体試薬はマウスである)が、ヒト化されている。「ヒト化抗体又は抗体試薬」は、ヒトにおいて天然に産生された抗体又は抗体試薬の変異体に対するその類似性を高めるためにタンパク質配列レベルで修飾されている非ヒト抗体又は抗体試薬を指す。抗体をヒト化するための一手法では、マウス又は他の非ヒトCDRのヒト抗体フレームワークへの移植が利用される。
【0076】
一実施形態では、CARの細胞外標的結合ドメインは、フレキシブルリンカーペプチドを介して、抗体、一般にモノクローナル抗体のV及びVドメインを融合することによって作出される一本鎖Fv(scFv)断片を含む、又は本質的にそれからなる。様々な実施形態では、scFvは、膜貫通ドメイン及びT細胞受容体細胞内シグナル伝達ドメイン、例えば本明細書に記載のような改変された細胞内シグナル伝達ドメインに融合される。
【0077】
それらを選択し、クローン化するための抗体結合ドメイン及び方法は、当業者に周知である。別の実施形態では、抗体試薬は、抗CD37抗体試薬であり、且つ配列番号1又は5から選択される配列を有する。一実施形態では、抗CD37抗体試薬は、配列番号1若しくは5の配列に対応する;又は配列番号1若しくは5の配列を含む、又は配列番号1若しくは5の配列に対して、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%若しくはより高い配列同一性を有する配列を含む。
【0078】
一実施形態では、本明細書に記載の技術において有用なCARは、少なくとも2つの抗原特異的標的化領域、細胞外ドメイン、膜貫通ドメイン、及び細胞内シグナル伝達ドメインを含む。かかる実施形態では、2つ以上の抗原特異的標的化領域は、少なくとも2つの異なる抗原を標的にし、タンデムに配列され、リンカー配列によって分離されてもよい。別の実施形態では、CARは、二重特異性CARである。二重特異性CARは、2つの異なる抗原に特異的である。
【0079】
標的/抗原
任意の細胞表面部分は、CARにより標的にされうる。最も多くは、標的は、T細胞応答について標的にすることが所望される細胞上で差次的に又は優先的に発現される細胞表面ポリペプチドとなる。これに関連して、腫瘍抗原又は腫瘍関連抗原は、魅力的な標的を提供し、腫瘍細胞を標的にする一方で、非腫瘍細胞又は組織へのコラテラルダメージを回避するか又は少なくとも限定するための手段を提供する。腫瘍抗原又は腫瘍関連抗原の非限定例として、CD37、BCMA(腫瘍壊死因子受容体スーパーファミリーメンバー17(TNFRSF17);NCBI Gene ID:608;NCBI Ref Seq NP_001183.2)及びmRNA(例えば、NCBI Ref Seq NM_001192.2)、CEA、未熟ラミニン受容体、TAG-72、HPV E6及びE7、BING-4、カルシウム活性化クロライドチャネル2、サイクリンB1、9D7、Ep-CAM、EphA3、Her2/neu、テロメラーゼ、メソテリン、SAP-1、サバイビン、BAGEファミリー、CAGEファミリー、GAGEファミリー、MAGEファミリー、SAGEファミリー、XAGEファミリー、NY-ESO-1/LAGE-1、PRAME、SSX-2、Melan-A/MART-1、Gp100/pmel17、チロシナーゼ、TRP-1/-2、MC1R、BRCA1/2、CDK4、MART-2、p53、Ras、MUC1、及びTGF-βRIIが挙げられる。
【0080】
上記の通り、本発明のCAR分子の標的はCD37である。CD37は、4つの疎水性膜貫通ドメインを有する細胞表面タンパク質である。CD37は、免疫細胞上で排他的に発現される。それは成熟B細胞上で高度に発現され、T細胞及び骨髄系細胞上で中程度に発現される。CD37配列は、幾つかの種、例えばヒトCD37(NCBI Gene ID:951)ポリペプチド(例えば、NCBI Ref Seq NP_001035120.1)及びmRNA(例えば、NCBI Ref Seq NM_001040031.1)として公知である。CD37は、天然に存在する変異体、分子、及びその対立遺伝子を含むヒトCD37を指しうる。態様のいずれかのいくつかの実施形態では、例えば獣医学適用においては、CD37は、例えば、イヌ、ネコ、雌ウシ、ウマ、ブタなどのCD37を指しうる。ヒトCD37のホモログ及び/又はオルソログは、かかる種について、当業者が例えばNCBIオルソログ探索機能を用いる、又は所与の種における利用可能な配列データを参照CD37配列に類似した配列について探索することにより容易に同定される。
【0081】
一実施形態では、CD37結合配列は、CD37のリガンド又はCD37に特異的に結合する抗体試薬を含む。
【0082】
膜貫通ドメイン
本明細書に記載のような各CARは、細胞外標的結合ドメインを細胞内シグナル伝達ドメインに連結する膜貫通ドメインを必然的に含む。
【0083】
本明細書で用いられるとき、「膜貫通ドメイン」(TMドメイン)は、細胞の原形質膜を横切る、CARの一般的に疎水性の領域を指す。TMドメインは、膜貫通タンパク質(例えば、I型膜貫通タンパク質又は他の膜貫通タンパク質)、人工的疎水性配列、又はそれらの組み合わせの膜貫通領域又はその断片でありうる。具体例が本明細書中で提示され、実施例中で用いられる一方で、他の膜貫通ドメインは、当業者にとって明白なものとなり、技術の代替的実施形態に関連して用いることができる。選択された膜貫通領域又はその断片であれば、好ましくはCARの意図される機能に干渉しないであろう。「その断片」は、タンパク質又はポリペプチドの膜貫通ドメインに関連して用いられるとき、タンパク質を細胞表面に固着又は付着させるのに十分である膜貫通ドメインの一部を指す。
【0084】
一実施形態では、CARの膜貫通ドメイン又はその断片は、CD8の膜貫通ドメインに由来するか又はそれを含む。代替的実施形態では、本明細書に記載のCARの膜貫通ドメイン又はその断片は、T細胞受容体のα、β若しくはζ鎖、CD28、CD3ε、CD45、CD4、CD5、CD8、CD9、CD16、CD22、CD33、CD37、CD64、CD80、CD86、CD134、CD137、CD154、KIRDS2、OX40、CD2、CD27、LFA-1(CDl la、CD18)、ICOS(CD278)、4-1BB(CD137)、GITR、CD40、BAFFR、HVEM(LIGHTR)、SLAMF7、NKp80(KLRFI)、CD160、CD19、IL2Rβ、IL2Rγ、IL7Ra、ITGA1、VLA1、CD49a、ITGA4、IA4、CD49D、ITGA6、VLA-6、CD49f、ITGAD、CDl ld、ITGAE、CD103、ITGAL、CDl la、LFA-1、ITGAM、CDl lb、ITGAX、CDl lc、ITGB1、CD29、ITGB2、CD18、LFA-1、ITGB7、TNFR2、DNAM1(CD226)、SLAMF4(CD244、2B4)、CD84、CD96(Tactile)、CEACAM1、CRT AM、Ly9(CD229)、CD160(BY55)、PSGL1、CD100(SEMA4D)、SLAMF6(NTB-A、Lyl08)、SLAM(SLAMF1、CD150、IPO-3)、BLAME(SLAMF8)、SELPLG(CD162)、LTBR、PAG/Cbp、NKp44、NKp30、NKp46、NKG2D、及び/又はNKG2Cの膜貫通ドメインから選択される膜貫通ドメインを含む。
【0085】
CD8は、細胞傷害性Tリンパ球の細胞表面上に優先的に見出される抗原である。CD8は、免疫系内部の細胞-細胞相互作用を媒介し、T細胞共受容体として作用する。CD8は、α(CD8α)及びβ(CD8β)鎖から構成される。CD8a配列は、幾つかの種において公知であり、例えば、ヒトCD8a、(NCBI Gene ID:925)ポリペプチド(例えば、NCBI Ref Seq NP_001139345.1)及びmRNA(例えば、NCBI Ref Seq NM_000002.12)が挙げられる。CD8は、天然に存在する変異体、分子、及びその対立遺伝子を含むヒトCD8を指しうる。態様のいずれかのいくつかの実施形態では、例えば獣医学適用においては、CD8は、例えば、イヌ、ネコ、雌ウシ、ウマ、ブタなどのCD8を指しうる。ヒトCD8のホモログ及び/又はオルソログは、かかる種について、当業者が例えばNCBIオルソログ探索機能を用いる、又は所与の種における利用可能な配列データを参照CD8配列に類似した配列について探索することにより容易に同定される。
【0086】
共刺激ドメイン
本明細書に記載の各CARは、任意選択的には、共刺激分子の細胞内ドメイン、又は共刺激ドメインを含む。本明細書で用いられるとき、用語「共刺激ドメイン」は、共刺激分子の細胞内シグナル伝達ドメインを指す。共刺激分子は、Tリンパ球の抗原への結合時の効率的な活性化及び機能に要求される第2のシグナルを提供する抗原受容体又はFc受容体以外の細胞表面分子である。かかる共刺激分子の例示的例として、CARD11、CD2、CD7、CD27、CD28、CD30、CD40、CD54(ICAM)、CD83、CD134(OX40)、CD137(4-1BB)、CD150(SLAMF1)、CD152(CTLA4)、CD223(LAG3)、CD270(HVEM)、CD273(PD-L2)、CD274(PD-L1)、CD278(ICOS)、DAP10、LAT、NKD2C SLP76、TRIM、及びZAP70が挙げられる。一実施形態では、細胞内ドメインは、4-1BBの細胞内ドメインである。
【0087】
4-1BBLは、TNFスーパーファミリーに属するタイプ2膜貫通糖タンパク質である。4-1BBLは、活性化Tリンパ球上に発現される。4-1BBL配列は、幾つかの種において公知であり、例えば、TNFSF9としても公知のヒト4-1BBL(NCBI Gene ID:8744)ポリペプチド(例えば、NCBI Ref Seq NP_003802.1)及びmRNA(例えば、NCBI Ref Seq NM_003811.3)が挙げられる。4-1BBLは、天然に存在する変異体、分子、及びその対立遺伝子を含むヒト4-1BBLを指しうる。態様のいずれかのいくつかの実施形態では、例えば獣医学適用においては、4-1BBLは、例えば、イヌ、ネコ、雌ウシ、ウマ、ブタなどの4-1BBLを指しうる。ヒト4-1BBLのホモログ及び/又はオルソログは、かかる種について、当業者が例えばNCBIオルソログ探索機能を用いる、又は所与の種における利用可能な配列データを参照4-1BBL配列に類似した配列について探索することにより容易に同定される。
【0088】
細胞内シグナル伝達ドメイン
本明細書に記載のようなCARは、細胞内シグナル伝達ドメインを含む。「細胞内シグナル伝達ドメイン」は、標的抗原への有効なCARの結合のメッセージを免疫エフェクター細胞の内部に形質導入し、エフェクター細胞機能を誘導すること、例えば、活性化、サイトカイン産生、増殖及び細胞傷害性活性、例えば、細胞傷害性因子のCAR結合標的細胞への放出、又は細胞外CARドメインへの抗原結合後に誘発される他の細胞応答などに関与するCARポリペプチドの一部を指す。技術において特に用いられるITAM含有細胞内シグナル伝達ドメインの非限定例として、TCRζ、FcRγ、FcRβ、CD3γ、CD3θ、CD3δ、CD3ε、CD3ζ、CD22、CD79a、CD79b、及びCD66dに由来するものが挙げられる。
【0089】
CD3は、適切な同時刺激と同時に会合されるとき(例えば共刺激分子の結合)、Tリンパ球活性化を促進するT細胞共受容体である。CD3複合体は、4つの異なる鎖からなり;哺乳動物CD3は、CD3γ鎖、CD3δ鎖、及び2つのCD3ε鎖からなる。これらの鎖は、T細胞受容体(TCR)及びCD3ζとして知られる分子と会合し、Tリンパ球における活性化シグナルを生成する。完全TCR複合体は、TCR、CD3ζ、及び完全CD3複合体を含む。
【0090】
任意の態様のいくつかの実施形態では、本明細書に記載のCARポリペプチドは、CD3ゼータ(CD3ζ)からの免疫受容体チロシンに基づく活性化モチーフすなわちITAMを含む細胞内シグナル伝達ドメインを含む。任意の態様のいくつかの実施形態では、ITAMは、CD3ζのITAMの3つのモチーフ(ITAM3)を含む。任意の態様のいくつかの実施形態では、CD3ζのITAMの3つのモチーフは、突然変異されないことから、天然又は野生型配列を含む。いくつかの実施形態では、CD3ζ配列は、下に示される通り、配列番号14又は20の配列を含む。
【0091】
CAR及びCAR T細胞のより詳細な説明は、Maus et al.Blood 2014 123:2624-35;Reardon et al.Neuro-Oncology 2014 16:1441-1458;Hoyos et al.Haematologica 2012 97:1622;Byrd et al.J Clin Oncol 2014 32:3039-47;Maher et al.Cancer Res 2009 69:4559-4562;及びTamada et al.Clin Cancer Res 2012 18:6436-6445(これらの各々はその全体が参照により本明細書中に援用される)に見出すことができる。
【0092】
一実施形態では、CARは、リンカードメインをさらに含む。本明細書で用いられるとき、「リンカードメイン」は、本明細書に記載のようにCARのドメイン/領域のいずれかを一緒に連結する、約2~100アミノ酸長のオリゴ又はポリペプチド領域を指す。いくつかの実施形態では、リンカーは、隣接タンパク質ドメインが相互に関連して自由に動くように、グリシン及びセリンなどの可動性残基を含みうる、又はそれらから構成されうる。2つの隣接ドメインが立体的に相互に干渉しないことを保証することが望ましいとき、より長いリンカーを用いてもよい。リンカーは、切断可能であっても切断不能であってもよい。切断可能なリンカーの例として、2Aリンカー(例えばT2A)、2A様リンカー又はその機能的等価物及びそれらの組み合わせが挙げられる。一実施形態では、リンカー領域は、ゾセア・アシグナ(Thosea asigna)ウイルス由来のT2Aである。この技術において使用可能なリンカーの非限定例として、P2A及びF2Aが挙げられる。
【0093】
一実施形態では、本明細書に記載のようなCARは、例えば非浸潤性イメージング(例えば陽電子放射断層撮影PETスキャン)を可能にするため、レポーター分子をさらに含む。レポーター分子を含む二重特異性CARでは、第1の細胞外結合ドメイン及び第2の細胞外結合ドメインは、異なる又は同じレポーター分子を含みうる。二重特異性CAR T細胞では、第1のCAR及び第2のCARは、異なる又は同じレポーター分子を発現しうる。別の実施形態では、本明細書に記載のようなCARは、単独で又は基質又は化学物質(例えば、9-[4-[18F]フルオロ-3-(ヒドロキシメチル)ブチル]グアニン([18F]FHBG))と組み合わせて画像化可能であるレポーター分子(例えばハイグロマイシンホスホトランスフェラーゼ(hph))をさらに含む。別の実施形態では、本明細書に記載のようなCARは、非浸潤性技術を用いて容易に画像化可能であるナノ粒子(例えば、64Cu2+で官能化された金ナノ粒子(GNP))をさらに含む。非浸潤性イメージングのためのCAR T細胞の標識は、例えば、Bhatnagar et al.,Integr Biol.(Camb).5(1):231-238,2013、及びKeu et al.,Sci Transl.Med.18;9(373)、2017(それら全体が参照により本明細書中に援用される)にレビューされている。
【0094】
GFP及びmCherryは、T細胞上に発現されるCAR(例えばCAR T細胞)を画像化するのに有用な蛍光タグとして本明細書で示される。この目的のための蛍光タグとして、当該技術分野で公知の本質的に任意の蛍光タンパク質が使用可能であることが想定されている。臨床用途において、CARは、蛍光タグ又は蛍光タンパク質を含む必要はない。
【0095】
一実施形態では、CARポリペプチド配列は、配列番号9又は15から選択される配列の、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%又はそれ以上の配列同一性を有する配列に対応する、又はそれを含む。様々な実施形態では、かかるCARポリペプチドのCD3ζ配列は、天然又は野生型配列である。
【0096】
本明細書に記載の技術の一態様は、本明細書に記載のCARポリペプチドのいずれかを含む哺乳動物細胞;又は本明細書に記載のCARポリペプチドのいずれかをコードする核酸に関する。一実施形態では、哺乳動物細胞は、抗体、抗体試薬、その抗原結合部分、又は本明細書に記載のCARのいずれか、又はかかる抗体、抗体試薬、その抗原結合部分、若しくは本明細書に記載のCARのいずれかをコードする核酸を含む。哺乳動物細胞又は組織は、ヒト、霊長類、ハムスター、ウサギ、齧歯類、雌ウシ、ブタ、ヒツジ、ウマ、ヤギ、イヌ又はネコ由来でありうるが、任意の他の哺乳動物細胞を用いてもよい。任意の態様の好ましい実施形態では、哺乳動物細胞はヒトである。
【0097】
一実施形態では、細胞はT細胞である。任意の態様の代替的実施形態では、細胞は免疫細胞である。本明細書で用いられるとき、「免疫細胞」は、免疫応答における役割を果たす細胞を指す。免疫細胞は、造血由来であり、リンパ球、例えばB細胞及びT細胞;ナチュラルキラー細胞;骨髄系細胞、例えば単球、マクロファージ、好酸球、マスト細胞、好塩基球、及び顆粒球を含む。いくつかの実施形態では、細胞は、T細胞;NK細胞;NKT細胞;リンパ球、例えばB細胞及びT細胞;並びに骨髄系細胞、例えば、単球、マクロファージ、好酸球、マスト細胞、好塩基球、及び顆粒球である。
【0098】
一実施形態では、細胞は、がん、形質細胞障害、又は自己免疫疾患を有する又は有すると診断された個体から得られる。
【0099】
「がん」は、本明細書で用いられるとき、特有の形質、正常な細胞制御の減少が、制御されない増殖、分化の欠如、局所組織浸潤、及び転移をもたらす場合の細胞の過剰増殖を指す可能性があり、白血病、リンパ腫、多発性骨髄腫、又は固形腫瘍でありうる。白血病の非限定例として、急性骨髄性白血病(AML)、慢性骨髄性白血病(CML)、急性リンパ球性白血病(ALL)、及び慢性リンパ性白血病(CLL)が挙げられる。一実施形態では、がんは、ALL又はCLLである。リンパ腫の非限定例として、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、濾胞性リンパ腫、慢性リンパ性白血病(CLL)、小リンパ球性リンパ腫(SLL)、マントル細胞リンパ腫(MCL)、辺縁帯リンパ腫、バーキットリンパ腫、ヘアリー細胞白血病(HCL)、及びT細胞リンパ腫(例えば、皮膚T細胞リンパ腫(CTCL)及び未分化大細胞リンパ腫(ALCL)を含む末梢性T細胞リンパ腫(PTCL))が挙げられる。一実施形態では、がんは、DLBCL又は濾胞性リンパ腫である。固形腫瘍の非限定例として、副腎皮質腫瘍、胞状軟部肉腫、がん、軟骨肉腫、結腸直腸癌、類腱腫、線維形成性小円形細胞腫瘍、内分泌腫瘍、卵黄嚢腫瘍、類上皮血管内皮腫、ユーイング肉腫、胚細胞腫瘍(固形腫瘍)、骨及び軟部組織の巨細胞腫、肝芽腫、肝細胞がん、メラノーマ、腎腫瘍、神経芽細胞腫、非横紋筋肉腫軟部肉腫(NRSTS)、骨肉腫、傍脊椎肉腫、腎細胞がん、網膜芽細胞腫、横紋筋肉腫、滑膜肉腫、及びウィルムス腫瘍が挙げられる。固形腫瘍は、骨、筋肉、又は臓器に見出すことができ、肉腫又はがんでありうる。本明細書に記載の技術の任意の態様が、本願中に列挙されないがんを含むがんのあらゆるタイプを治療するのに使用可能であると考察される。本明細書で用いられるとき、用語「腫瘍」は、例えば悪性タイプ又は良性タイプの細胞又は組織の異常な増殖を指す。
【0100】
本明細書で用いられるとき、「自己免疫疾患又は障害」は、自身の免疫系が外来細胞と健常細胞とを識別できないことによって特徴づけられる。この結果、自身の免疫系がプログラム細胞死として自身の健常細胞を標的にする。自己免疫疾患又は障害の非限定例として、炎症性関節炎、1型糖尿病、多発性硬化症、乾癬、炎症性腸疾患、SLE、及び血管炎、アレルギー性炎症、例えばアレルギー性喘息、アトピー性皮膚炎、及び接触過敏症が挙げられる。自己免疫関連疾患又は障害の他の例として、限定されるものとして解釈されるべきでないが、関節リウマチ、多発性硬化症(MS)、全身性エリテマトーデス、グレーブス病(過活動性甲状腺)、橋本甲状腺炎(低活動性甲状腺)、セリアック病、クローン病及び潰瘍性大腸炎、ギラン・バレー症候群、原発性胆汁性硬化症/硬変、硬化性胆管炎、自己免疫性肝炎、レイノー現象、強皮症、シェーグレン症候群、グッドパスツール病、ウェゲナー肉芽腫症、リウマチ性多発筋痛症、側頭動脈炎/巨細胞性動脈炎、慢性疲労症候群CFS)、乾癬、自己免疫アジソン病、強直性脊椎炎、急性散在性脳脊髄炎、抗リン脂質抗体症候群、再生不良性貧血、特発性血小板減少性紫斑病、重症筋無力症、眼球クローヌス・ミオクローヌス症候群、視神経炎、オード甲状腺炎、天疱瘡、悪性貧血、犬の多発性関節炎、ライター症候群、高安動脈炎、温式自己免疫性溶血性貧血、ウェゲナー肉芽腫症及び線維筋痛症(FM)が挙げられる。
【0101】
一実施形態では、哺乳動物細胞は、外来細胞(すなわちウイルス又は細菌細胞)と戦う自身の能力を阻害する、免疫系における異常に低い活性、又は免疫不全障害をもたらす免疫系障害を有する患者において得られる。
【0102】
形質細胞は、感染と戦うために必要な抗体を産生及び放出するように機能するBリンパ球から産生する白血球である。本明細書で用いられるとき、「形質細胞障害又は疾患」は、形質細胞の異常な増殖によって特徴づけられる。異常な形質細胞は、健常な形質細胞を「押し出す」能力があり、それにより外来性対象、例えばウイルス又は細菌細胞と戦う能力の低下をもたらす。形質細胞障害の非限定例として、アミロイドーシス、ワルデンストレームマクログロブリン血症、骨硬化性骨髄腫(POEMS症候群)、意義不明の単クローン性免疫グロブリン血症(MGUS)、及び形質細胞骨髄腫が挙げられる。
【0103】
T細胞は、当該技術分野で公知の標準的技術を用いて対象から得ることができる。例えば、T細胞は、ドナー又は患者から採取される末梢血から単離されうる。T細胞は、哺乳動物から単離されうる。好ましくは、T細胞は、ヒトから単離される。
【0104】
細胞、例えばT細胞は、本明細書に記載のCARポリペプチドのいずれか;又は本明細書に記載のCARポリペプチドのいずれかをコードする核酸を含むように改変されうる。一実施形態では、本明細書に記載のCARポリペプチドのいずれかは、レンチウイルスベクター内に含まれる。レンチウイルスベクターは、感染の標準的技法を用いて、細胞内でCARポリペプチドを発現するように用いられる。
【0105】
レトロウイルス、例えばレンチウイルスは、遺伝子、すなわち目的のキメラ遺伝子をコードする核酸配列を送達するための便宜的なプラットフォームを提供する。選択された核酸配列は、当該技術分野で公知の技術を用いて、ベクターに挿入され、レトロウイルス粒子にパッケージングされうる。次に、組換えウイルスは、例えばインビトロ又は生体外で単離され、細胞に送達されうる。レトロウイルス系は、当該技術分野で周知であり、例えば米国特許第5,219,740号明細書;Kurth and Bannert(2010)“Retroviruses:Molecular Biology,Genomics and Pathogenesis”Calster Academic Press(ISBN:978-1-90455-55-4);及びHu et al.,Pharmacological Reviews 52:493-512,2000(すべてはそれら全体が参照により本明細書中に援用される)に記載されている。効率的なDNA送達のためのレンチウイルス系は、OriGene;Rockville,MDから購入することができる。他の実施形態では、本明細書に記載のCARSのいずれかのCARポリペプチドは、哺乳動物細胞においてCARをコードする核酸を含む発現ベクターのトランスフェクション又はエレクトロポレーションを介して発現される。トランスフェクション又はエレクトロポレーションの方法は、当該技術分野で公知である。
【0106】
本明細書に記載のCARポリペプチドのいずれかのCARポリペプチドの効率的発現は、mRNA、DNA、又はCARをコードする核酸の遺伝子産物を検出する標準的アッセイを用いて評価されうる。例えば、RT-PCR、FACS、ノーザンブロッティング、ウエスタンブロッティング、ELISA、又は免疫組織化学が挙げられる。
【0107】
一実施形態では、本明細書に記載のCARポリペプチドは、構成的に発現される。一実施形態では、本明細書に記載のCARポリペプチドは、組換え核酸配列によってコードされる。
【0108】
本明細書に記載の技術の一態様は、がん、形質細胞障害、又は自己免疫疾患の治療を、それを必要とする対象において行う方法であって、T細胞表面上に本明細書に記載のCARポリペプチドのいずれかを含むようにT細胞を改変することと;改変されたT細胞を対象に投与することと、を含む、方法に関する。
【0109】
本明細書に記載の技術の一態様は、がん、形質細胞障害、又は自己免疫疾患の治療を、それを必要とする対象において行う方法であって、本明細書に記載のCARポリペプチドのいずれかを含む哺乳動物細胞のいずれかの細胞を投与することを含む、方法に関する。
【0110】
クラスター分化(CD)分子は、白血球上に存在する細胞表面マーカーである。白血球が分化し、成熟するとき、そのCD特性が変化する。白血球ががん細胞(すなわちリンパ腫)に変化する場合、そのCD特性は、疾患を診断する上で重要である。特定タイプのがんの治療及び予後は、がん細胞のCD特性の決定に依存する。「CDX+」(式中、「X」はCDマーカーである)がCDマーカーががん細胞内に存在することを示す一方で、「CDX-」はマーカーが存在しないことを示す。当業者は、標準的技術を用いて、例えば免疫蛍光を用いてがん細胞上に存在するCD分子を評価し、CD分子に結合された市販抗体を検出できることになる。
【0111】
一実施形態では、がんは、CD及び腫瘍抗原を発現する。一実施形態では、がんは、CD37+又はBCMA+がんである。一実施形態では、CD37+がんは、リンパ腫又は白血病である。一実施形態では、リンパ腫は、B細胞非ホジキンリンパ腫(NHL)、マントル細胞リンパ腫、バーキットリンパ腫、B細胞リンパ芽球性リンパ腫又はT細胞リンパ腫(例えば、皮膚T細胞リンパ腫(CTCL)及び未分化大細胞リンパ腫(ALCL)を含む末梢性T細胞リンパ腫(PTCL))である。
【0112】
本明細書に記載の技術の一態様は、がん、形質細胞障害、又は自己免疫疾患の治療を、それを必要とする対象において行う方法であって、T細胞表面上に本明細書に記載のCARポリペプチドのいずれかを含むようにT細胞を改変することと;改変されたT細胞を対象に投与することと、を含み、ここで対象が抗CD19及び/又は抗CD20療法に対して非応答性である、方法に関する。
【0113】
がん細胞は、そのCD特性を改変するための処置に応答して進化することで、前記処置を回避しうる。例えば、CD19+白血病を有する患者は、抗CD19療法で治療されうる。治療後、がん細胞は、再発するか又は治療後に回復し、もはやCD19マーカーを発現せず、CD19-白血病をもたらす可能性がある。このがん細胞は、もはや抗CD19療法により標的化できないことになる。一実施形態では、対象は、抗CD19及び/又は抗CD20療法に対して非応答性である、又は不応性である。一実施形態では、対象は、CD19-及び/又はCD20-であるがんを有する。一実施形態では、対象は、再発性があり、且つCD19又はCD20をもはや発現しないがんを有する。
【0114】
本明細書に記載の技術の別の態様は、がん、形質細胞障害、又は自己免疫疾患の治療を、それを必要とする対象において行う方法であって、本明細書に記載のCARポリペプチドのいずれかを含む哺乳動物細胞のいずれかを対象に投与することを含み、ここで細胞がCD37結合配列を含む細胞外ドメインを含むCARを含み;ここで対象が抗CD19及び/又は抗CD20療法に対して非応答性である、方法に関する。
【0115】
本明細書に記載の技術の別の態様は、がん、形質細胞障害、又は自己免疫疾患の治療を、それを必要とする対象において行う方法であって、抗CD19及び/又は抗CD20療法に対して非応答性である対象を選択することと;T細胞表面上に本明細書に記載のCARポリペプチドのいずれかを含むようにT細胞を改変することと;改変されたCAR T細胞を対象に投与することと、を含み、ここで対象が抗CD19及び/又は抗CD20療法に対して非応答性である、方法に関する。
【0116】
本明細書に記載の技術の別の態様は、がん、形質細胞障害、又は自己免疫疾患の治療を、それを必要とする対象において行う方法であって、抗CD19及び/又は抗CD20療法に対して非応答性である対象を選択することと;本明細書に記載のCARポリペプチドのいずれかを含む哺乳動物細胞のいずれかを対象に投与することと、を含み、ここで細胞がCD37結合配列を含む細胞外ドメインを含むCARを含み;ここで対象が抗CD19及び/又は抗CD20療法に対して非応答性である、方法に関する。
【0117】
本明細書に記載の技術の別の態様は、がん、形質細胞障害、又は自己免疫疾患の治療を、それを必要とする対象において行う方法であって、T細胞表面に本明細書に記載のCARポリペプチドのいずれかを含むようにT細胞を改変することと;改変されたCAR T細胞を対象に投与することと、を含み、ここで対象に抗CD19及び/又は抗CD20療法が同時に施される、方法に関する。
【0118】
本明細書に記載の技術の別の態様は、がん、形質細胞障害、又は自己免疫疾患の治療を、それを必要とする対象において行う方法であって、本明細書に記載のCARポリペプチドのいずれかを含む哺乳動物細胞のいずれかを対象に投与することを含み、ここで細胞がCD37結合配列を含む細胞外ドメインを含むCARを含み;ここで対象に抗CD19及び/又は抗CD20療法が同時に施される、方法に関する。
【0119】
態様のいずれかのいくつかの実施形態では、改変されたCAR-T細胞は、対象への投与前に刺激及び/又は活性化される。
【0120】
投与
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法は、がん、形質細胞疾患若しくは障害、又は自己免疫疾患若しくは障害を有する又は有すると診断された対象を、本明細書に記載のCARポリペプチドのいずれか、又は本明細書に記載のCARポリペプチドのいずれかをコードする核酸を含む哺乳動物細胞を用いて治療することに関する。本明細書で用いられるとき、「本明細書に記載のようなCAR T細胞」は、本明細書に記載のCARポリペプチドのいずれか、又は本明細書に記載のCARポリペプチドのいずれかをコードする核酸を含む哺乳動物細胞を指す。本明細書で用いられるとき、「状態」は、がん、形質細胞疾患若しくは障害、又は自己免疫疾患若しくは障害を指す。状態を有する対象は、医師により状態を診断する現行の方法を用いて同定されうる。状態の症状及び/又は合併症は、これらの状態を特徴づけ、診断を補助するものであり、当該技術分野で周知であり、限定はされないが、疲労、持続性感染、及び持続性出血を含む。例えば状態の診断を補助することがある試験は、限定はされないが、血液スクリーニング及び骨髄検査が挙げられ、所与の状態にとって当該技術分野で公知である。状態における家族歴、又は状態におけるリスク因子への曝露もまた、対象が状態を有する可能性が高いか否かを判定する、又は状態の診断を行うことを補助しうる。
【0121】
本明細書に記載の組成物は、状態を有する又は有すると診断された対象に投与されうる。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法は、状態の症状を軽減するため、本明細書に記載の活性化CAR T細胞を有効量で対象に投与することを含む。本明細書で用いられるとき、「状態の症状を軽減すること」は、状態に関連した任意の状態又は症状を寛解することである。対応する未治療対照と比較されるとき、かかる低減は、任意の標準的技術による測定として、少なくとも5%、10%、20%、40%、50%、60%、80%、90%、95%、99%又はそれ以上である。本明細書に記載の組成物を対象に投与するための種々の手段は、当業者に公知である。一実施形態では、本明細書に記載の組成物は、全身的又は局所的に投与される。好ましい実施形態では、本明細書に記載の組成物は、静脈内に投与される。別の実施形態では、本明細書に記載の組成物は、腫瘍部位に投与される。
【0122】
用語「有効量」は、本明細書で用いられるとき、疾患又は障害の少なくとも1つ以上の症状を軽減するのに必要な活性化CAR T細胞の量を指し、細胞調製物又は組成物が所望される効果をもたらすのに十分な量に関する。したがって、用語「治療有効量」は、典型的対象に投与されるとき、特定の抵抗状態効果(anti-condition effect)をもたらすのに十分な活性化CAR T細胞の量を指す。有効量はまた、本明細書で用いられるとき、様々な状況下で、疾患の症状の発現を遅延させる、症状・疾患の経過を変更する(例えば限定はされないが、状態の進行を緩徐化する)、又は状態の症状を逆転させるための十分な量を含むことになる。したがって、一般には正確な「有効量」を特定することは実行可能でない。しかし、ある特定の場合には、適切な「有効量」は、専ら通常の実験を用いて当業者により決定されうる。
【0123】
有効量、毒性、及び治療効果は、細胞培養物又は実験動物において標準医薬品手順により評価されうる。用量は、用いられる剤形及び利用される投与経路に応じて変動しうる。毒性効果と治療効果との間の用量比は治療指数であり、LD50/ED50比として表現されうる。大きい治療指数を示す組成物及び方法が好ましい。治療有効量は、最初に細胞培養アッセイから評価されうる。また、用量は、細胞培養、又は適切な動物モデルにおいて決定されるように、IC50(すなわち、症状の最大半量阻害を達成する活性化CAR T細胞の濃度)を含む循環血漿濃度範囲を達成するため、動物モデルにおいて配合されうる。血漿におけるレベルは、例えば高性能液体クロマトグラフィーにより測定されうる。任意の特定用量の効果は、特に、好適なバイオアッセイ、例えば骨髄検査用のアッセイにより監視されうる。用量は、医師により決定され、必要に応じて、治療の観察される効果に適するように調節されうる。
【0124】
技術の一態様では、本明細書に記載の技術は、本明細書に記載のような活性化CAR T細胞、及び任意選択的には薬学的に許容できる担体を含む医薬組成物に関する。医薬組成物の活性成分は、少なくとも本明細書に記載のような活性化CAR T細胞を含む。いくつかの実施形態では、医薬組成物の活性成分は、本質的に本明細書に記載のような活性化CAR T細胞からなる。いくつかの実施形態では、医薬組成物の活性成分は、本明細書に記載のような活性化CAR T細胞からなる。細胞に基づく治療製剤用の薬学的に許容できる担体は、生理食塩水及び水性緩衝液、リンゲル液、及び血清成分、例えば血清アルブミン、HDL及びLDLを含む。「賦形剤」、「担体」、「薬学的に許容できる担体」などの用語は、本明細書で交換可能に用いられる。
【0125】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のような活性化CAR T細胞を含む医薬組成物は、非経口投与形態でありうる。非経口剤形の投与が典型的には汚染物質に対する患者の天然防御をバイパスすることから、CAR T細胞自体以外の成分は、患者への投与前、好ましくは無菌状態である、又は無菌化されうる。非経口剤形の例として、限定はされないが、注射用溶液、注射用の薬学的に許容できる媒体に容易に溶解又は懸濁される乾燥生成物、注射用懸濁液、及び乳濁液が挙げられる。これらのいずれかは、投与前、活性化CAR T細胞調製物に添加されうる。
【0126】
中に開示のような活性化CAR T細胞の非経口剤形を提供するために使用可能な好適な媒体は、当業者に周知である。例として、限定はされないが、生理食塩水;グルコース溶液;水性媒体、例えば限定はされないが、塩化ナトリウム注射剤、リンゲル注射剤、ブドウ糖注射剤、ブドウ糖及び塩化ナトリウム注射剤、及び乳酸リンゲル注射剤;水混和性媒体、例えば限定はされないが、エチルアルコール、ポリエチレングリコール、及びプロピレングリコール;並びに非水性媒体、例えば限定はされないが、トウモロコシ油、綿実油、ピーナッツ油、ゴマ油、オレイン酸エチル、ミリスチン酸イソプロピル、及び安息香酸ベンジルが挙げられる。
【0127】
用量
「単位剤形」は、用語が本明細書で用いられるとき、好適な単回投与のための用量を指す。例として、単位剤形は、送達装置、例えばシリンジ又は静脈内点滴バッグで処理される治療薬の量でありうる。一実施形態では、単位剤形は、単回投与で投与される。別の実施形態では、2以上の単位剤形が同時に投与されうる。
【0128】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の活性化CAR T細胞は、単独療法として投与される、すなわち状態に対する他の治療薬は、対象に同時に投与されない。
【0129】
本明細書に記載のT細胞を含む医薬組成物は、一般に、10~10細胞/kg体重、場合によっては10~10細胞/kg体重の用量(それら範囲内のすべての整数値を含む)で投与されうる。必要であれば、T細胞組成物はまた、これらの用量で複数回投与されうる。細胞は、免疫療法において一般に知られる注入技術を用いることにより投与されうる(例えば、Rosenberg et al.,New Eng.J.Med.319:1676,1988を参照)。
【0130】
特定の態様では、活性化CAR T細胞を対象に投与し、次にその後に血液を再採取し(又はアフェレーシスを実施し)、本明細書に記載のようなそれからのT細胞を活性化し、これらの活性化及び拡大されたT細胞を患者に再注入することが所望されることがある。このプロセスは、数週ごとに複数回実施されうる。特定の態様では、T細胞は、l0cc~400ccの血液採取物から活性化されうる。特定の態様では、T細胞は、20cc、30cc、40cc、50cc、60cc、70cc、80cc、90cc、又はl00ccの血液採取物から活性化される。
【0131】
投与モードは、例えば静脈内(i.v.)注射又は注入を含みうる。本明細書に記載の組成物は、患者の経動脈的、腫瘍内、節内(intranodally)、又は髄内に投与されうる。いくつかの実施形態では、T細胞の組成物は、腫瘍、リンパ節、又は感染部位に直接的に注射されてもよい。一実施形態では、本明細書に記載の組成物は、体腔又は体液(例えば、腹水症、胸水、腹水、又は脳脊髄液)に投与される。
【0132】
特定の例示的態様では、対象は、白血球除去を受けてもよく、ここで白血球は収集され、濃縮され、又は生体外枯渇がなされ、目的の細胞、例えばT細胞が選択及び/又は単離される。これらT細胞単離物は、本明細書に記載のようなAPC、例えば抗CD28及び抗CD3 CDRを発現するAPCと接触させることにより拡大され、技術の1つ以上のCAR構築物が導入され、それによりCAR T細胞が生成されてもよいように処理されうる。それを必要とする対象は、その後に高用量化学療法を用いる標準的治療、その後に末梢血幹細胞移植を受けうる。移植後又は移植と同時に、対象は、拡大されたCAR T細胞の注入を受けうる。一実施形態では、拡大された細胞は、手術前又は手術後に投与される。
【0133】
いくつかの実施形態では、対象に対して、本明細書に記載のような1つ以上のCAR T細胞を投与する前、リンパ球枯渇がなされる。かかる実施形態では、リンパ球枯渇は、メルファラン、シトキサン、シクロホスファミド、及びフルダラビンの1つ以上を投与することを含みうる。
【0134】
患者に投与されるべき上記治療薬の用量は、治療中の状態及び治療のレシピエントの正確な性質に応じて変化することになる。ヒト投与用の用量のスケーリングは、当該技術分野で認められた慣習に従って実施されうる。
【0135】
いくつかの実施形態では、単一の治療計画が必要とされる。その他では、1以上の後続用量の投与又は治療計画が実施されうる。例えば、隔週で3か月にわたる治療後、治療は、1か月、6か月又は1年又はそれ以上につき1回で反復されうる。いくつかの実施形態では、初期治療後、追加的治療が実施されない。
【0136】
本明細書に記載のような組成物の用量は、医師により決定され、必要に応じて、治療の観察される効果に適するように調節されうる。治療の持続時間及び頻度に関連して、治療が治療効果をもたらしている時を判定し、またさらなる細胞を投与するべきか否か、治療を中断するべきか否か、治療を再開するべきか否か、又はその治療計画以外で変更を行うべきか否かを判定するため、熟練臨床医が対象を監視することは典型的である。用量は、有害な副作用、例えばサイトカイン放出症候群を引き起こす程に高用量であるべきではない。一般に、用量は、患者の年齢、状態、及び性別に応じて変化することになり、当業者により決定されうる。用量はまた、何らかの合併症が生じる場合には、個別医師により調節されうる。
【0137】
併用療法
本明細書に記載の活性化CAR T細胞は、他の公知の薬剤及び治療法と併用されうる。一実施形態では、対象は、抗BCMA療法がさらに施される。一実施形態では、対象は、抗BCMA療法に対して抵抗性を示す。「組み合わせ」投与は、本明細書で用いられるとき、障害による対象の苦悩の過程において2(又は3以上)の異なる治療薬が対象に送達され、例えば、対象が障害を有すると診断されてから、また障害が治癒又は除去されている、又は他の理由で治療が終了している以前に2つ以上の治療薬が送達される。いくつかの実施形態では、一方の治療薬の送達が、第2の送達が開始する時、依然として行われていることで、投与については重複がある。これは、時として本明細書中で「同時」又は「併用送達」と称される。他の実施形態では、一方の治療薬の送達は、他方の治療薬の送達が開始する前に終了する。いずれかの場合のいくつかの実施形態では、治療薬は、組み合わせ投与が理由でより有効である。例えば、第2の治療薬がより有効であり、例えば、等価な効果が第2の治療薬の低減とともに見られる、又は第2の治療薬が、第2の治療薬が第1の治療薬の不在下で投与された場合に見られるよりも広範囲に症状を低減する、又は類似の状況が第1の治療薬の存在下で見られる。いくつかの実施形態では、送達は、症状における低減、又は障害に関する他のパラメータの程度が、一方の治療薬が他方の不在下で送達される場合に認められる場合よりも大きいようになされる。2つの治療薬の効果は、部分的に相加的、完全に相加的、又は相加的以上でありうる。送達は、送達される第1の治療薬の効果が、第2の治療薬が送達されるときに依然として検出可能であるようになされうる。本明細書に記載の活性化CAR T細胞及び少なくとも1つの追加的治療薬は、同時に、同じ組成物中で又は別々の組成物中で、又は逐次的に投与されうる。逐次投与においては、本明細書に記載のCARを発現する細胞が最初に投与可能であり、追加的薬剤が2番目に投与可能であり、又は投与順序が逆転可能である。CAR T療法及び/又は他の治療薬、手順又は様式は、活動的な障害の期間中、又は寛解若しくはあまり活動的でない疾患の期間中に実施することができる。CAR T療法は、別の治療前、治療と並行して、治療後、又は障害の寛解中に施すことができる。
【0138】
組み合わせて投与されるとき、活性化CAR T細胞及び追加的薬剤(例えば第2又は第3の薬剤)、又は全部が、例えば単独療法として、個別に用いられる各薬剤の量又は用量よりも高い、それよりも低い又はそれと同じ量又は用量で投与されうる。特定の実施形態では、活性化CAR T細胞、追加的薬剤(例えば第2又は第3の薬剤)、又は全部の投与量又は用量は、個別に用いられる各薬剤の量又は用量よりも(例えば、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、又は少なくとも50%)低い。他の実施形態では、所望される効果(例えばがんの治療)をもたらす、活性化CAR T細胞、追加的薬剤(例えば第2又は第3の薬剤)、又は全部の量又は用量は、同じ治療効果を達成するために個別に要求される各薬剤の量又は用量よりも低い(例えば、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、又は少なくとも50%低い)。さらなる実施形態では、本明細書に記載の活性化CAR T細胞は、手術、化学療法、放射線、mTOR経路阻害剤、免疫抑制剤、例えば、シクロスポリン、アザチオプリン、メトトレキサート、ミコフェノール酸塩、及びFK506、抗体、又は他の免疫除去剤(immunoablative agents)、例えば、CAMPATH、抗CD3抗体若しくは他の抗体治療薬、サイトシン(cytoxin)、フルダラビン、ラパマイシン、ミコフェノール酸、ステロイド、FR901228、サイトカイン、又はペプチドワクチン、例えば、Izumoto et al.,J.Neurosurg.108:963-971,2008に記載のものと組み合わせた治療計画の中で用いることができる。
【0139】
一実施形態では、本明細書に記載の活性化CAR T細胞は、チェックポイント阻害剤と併用されうる。例示的なチェックポイント阻害剤として、抗PD-1阻害剤(ニボルマブ、MK-3475、ペンブロリズマブ、ピディリズマブ、AMP-224、AMP-514)、抗CTLA4阻害剤(イピリムマブ及びトレメリムマブ)、抗PDL1阻害剤(アテゾリズマブ、アベルマブ、MSB0010718C、MEDI4736、及びMPDL3280A)、及び抗TIM3阻害剤が挙げられる。
【0140】
一実施形態では、本明細書に記載の活性化CAR T細胞は、化学療法剤と併用されうる。例示的化学療法剤として、アントラサイクリン(例えば、ドキソルビシン(例えば、リポソームドキソルビシン))、ビンカアルカロイド(例えば、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシン、ビノレルビン)、アルキル化剤(例えば、シクロホスファミド、ダカルバジン、メルファラン、イホスファミド、テモゾロミド)、免疫細胞抗体(例えば、アレムツズマブ、ゲムツズマブ、リツキシマブ、トシツモマブ)、代謝拮抗剤(例えば、葉酸拮抗剤、ピリミジン類似体、プリン類似体及びアデノシンデアミナーゼ阻害剤(例えばフルダラビン)を含む)、mTOR阻害剤、TNFRグルココルチコイド誘導性TNFR関連タンパク質(GITR)作動薬、プロテアソーム阻害剤(例えば、アクラシノマイシンA、グリオトキシン又はボルテゾミブ)、免疫調節薬、例えばサリドマイド又はサリドマイド誘導体(例えばレナリドミド)が挙げられる。併用療法における使用について検討される一般的化学療法剤は、アナストロゾール(Arimidex(登録商標))、ビカルタミド(Casodex(登録商標))、ブレオマイシン硫酸塩(Blenoxane(登録商標))、ブスルファン(Myleran(登録商標))、ブスルファン注射剤(Busulfex(登録商標))、カペシタビン(Xeloda(登録商標))、N4-ペントキシカルボニル-5-デオキシ-5-フルオロシチジン、カルボプラチン(Paraplatin(登録商標))、カルムスチン(BiCNU(登録商標))、クロラムブシル(Leukeran(登録商標))、シスプラチン(Platinol(登録商標))、クラドリビン(Leustatin(登録商標))、シクロホスファミド(Cytoxan(登録商標)又はNeosar(登録商標))、シタラビン、シトシンアラビノシド(Cytosar-U(登録商標))、シタラビンリポソーム注射剤(DepoCyt(登録商標))、ダカルバジン(DTIC-Dome(登録商標))、ダクチノマイシン(アクチノマイシンD、Cosmegan)、ダウノルビシン塩酸塩(Cerubidine(登録商標))、ダウノルビシンクエン酸塩リポソーム注射液(DaunoXome(登録商標))、デキサメタゾン、ドセタキセル(Taxotere(登録商標))、ドキソルビシン塩酸塩(アドリアマイシン(Adriamycin)(登録商標)、Rubex(登録商標))、エトポシド(Vepesid(登録商標))、リン酸フルダラビン(Fludara(登録商標))、5-フルオロウラシル(Adrucil(登録商標)、Efudex(登録商標))、フルタミド(Eulexin(登録商標))、テザシチビン、ゲムシタビン(ジフルオロデオキシシチジン)、ヒドロキシ尿素(Hydrea(登録商標))、イダルビシン(Idamycin(登録商標))、イホスファミド(IFEX(登録商標))、イリノテカン(Camptosar(登録商標))、L-アスパラギナーゼ(ELSPAR(登録商標))、ロイコボリンカルシウム、メルファラン(Alkeran(登録商標))、6-メルカプトプリン(Purinethol(登録商標))、メトトレキサート(Folex(登録商標))、ミトキサントロン(Novantrone(登録商標))、マイロターグ(mylotarg)、パクリタキセル(Taxol(登録商標))、フェニックス(Yttrium90/MX-DTPA)、ペントスタチン、カルムスチンインプラントを伴うポリフェプロサン20(Gliadel(登録商標))、タモキシフェンクエン酸塩(Nolvadex(登録商標))、テニポシド(Vumon(登録商標))、6-チオグアニン、チオテパ、チラパザミン(Tirazone(登録商標))、注射用トポテカン塩酸塩(Hycamptin(登録商標))、ビンブラスチン(Velban(登録商標))、ビンクリスチン(Oncovin(登録商標))、及びビノレルビン(Navelbine(登録商標))を含む。例示的アルキル化剤として、限定はされないが、ナイトロジェンマスタード、エチレンイミン誘導体、スルホン酸アルキル、ニトロソウレア及びトリアゼン):ウラシルマスタード(Aminouracil Mustard(登録商標)、Chlorethaminacil(登録商標)、Demethyldopan(登録商標)、Desmethyldopan(登録商標)、Haemanthamine(登録商標)、Nordopan(登録商標)、Uracil nitrogen mustard(登録商標)、Uracillost(登録商標)、Uracilmostaza(登録商標)、Uramustin(登録商標)、Uramustine(登録商標))、クロルメチン(Mustargen(登録商標))、シクロホスファミド(Cytoxan(登録商標)、Neosar(登録商標)、Clafen(登録商標)、Endoxan(登録商標)、Procytox(登録商標)、Revimmune(商標))、イホスファミド(Mitoxana(登録商標))、メルファラン(Alkeran(登録商標))、クロラムブシル(Leukeran(登録商標))、ピポブロマン(Amedel(登録商標)、Vercyte(登録商標))、トリエチレンメラミン(Hemel(登録商標)、Hexalen(登録商標)、Hexastat(登録商標))、トリエチレンチオホスホラミン(triethylenethiophosphoramine)、テモゾロミド(Temodar(登録商標))、チオテパ(Thioplex(登録商標))、ブスルファン(Busilvex(登録商標)、Myleran(登録商標))、カルムスチン(BiCNU(登録商標))、ロムスチン(CeeNU(登録商標))、ストレプトゾシン(Zanosar(登録商標))、及びダカルバジン(DTIC-Dome(登録商標))が挙げられる。追加的な例示的アルキル化剤として、限定はされないが、オキサリプラチン(Eloxatin(登録商標));テモゾロミド(Temodar(登録商標)及びTemodal(登録商標));ダクチノマイシン(アクチノマイシン-D、Cosmegen(登録商標)
としても公知);メルファラン(L-PAM、L-サルコリシン、及びフェニルアラニンマスタード、Alkeran(登録商標)としても公知);アルトレタミン(ヘキサメチルメラミン(HMM)、Hexalen(登録商標)としても公知);カルムスチン(BiCNU(登録商標));ベンダムスチン(Treanda(登録商標));ブスルファン(Busulfex(登録商標)及びMyleran(登録商標));カルボプラチン(Paraplatin(登録商標));ロムスチン(CCNU、CeeNU(登録商標)としても公知);シスプラチン(CDDP、Platinol(登録商標)及びPlatinol(登録商標)-AQとしても公知);クロラムブシル(Leukeran(登録商標));シクロホスファミド(Cytoxan(登録商標)及びNeosar(登録商標));ダカルバジン(DTIC、DIC及びイミダゾールカルボキサミド、DTIC-Dome(登録商標)としても公知);アルトレタミン(ヘキサメチルメラミン(HMM)、Hexalen(登録商標)としても公知);イホスファミド(Ifex(登録商標));プレドヌムスチン(Prednumustine);プロカルバジン(Matulane(登録商標));メクロレタミン(ナイトロジェンマスタード、ムスチン及びメクロレタミン塩酸塩、Mustargen(登録商標)としても公知);ストレプトゾシン(Zanosar(登録商標));チオテパ(チオホスホアミド、TESPA及びTSPA、Thioplex(登録商標)としても公知);シクロホスファミド(Endoxan(登録商標)、Cytoxan(登録商標)、Neosar(登録商標)、Procytox(登録商標)、Revimmune(登録商標));及びベンダムスチンHC1(Treanda(登録商標))が挙げられる。例示的なmTOR阻害剤として、例えば、テムシロリムス;リダフォロリムス(以前はデフェロリムスとして公知、(lR,2R,45)-4-[(2R)-2[(1R,95,125,15R,16E,18R,19R,21R,235,24E,26E,28Z,305,325,35R)-l,18-ジヒドロキシ-19,30-ジメトキシ-15,17,21,23,29,35-ヘキサメチル-2,3,10,14,20-ペンタオキソ-ll,36-ジオキサ-4-アザトリシクロ[30.3.1.04’9]ヘキサトリアコンタ-16,24,26,28-テトラエン-12-イル]プロピル]-2-メトキシシクロヘキシルジメチルホスフィネートとして公知であり、AP23573及びMK8669としても公知、またPCT公開の国際公開第03/064383号パンフレットに記載);エベロリムス(Afinitor(登録商標)又はRADOOl);ラパマイシン(AY22989、Sirolimus(登録商標));シマピモド(simapimod)(CAS164301-51-3);エムシロリムス(emsirolimus)、(5-{2,4-ビス[(35,)-3-メチルモルホリン-4-イル]ピリド[2,3-(i]ピリミジン-7-イル}-2-メトキシフェニル)メタノール(AZD8055);2-アミノ-8-[iraw5,-4-(2-ヒドロキシエトキシ)シクロヘキシル]-6-(6-メトキシ-3-ピリジニル)-4-メチル-ピリド[2,3-JJピリミジン-7(8H)-オン(PF04691502,CAS1013101-36-4);及びN2-[l,4-ジオキソ-4-[[4-(4-オキソ-8-フェニル-4H-l-ベンゾピラン-2-イル)モルホリニウム-4-イル]メトキシ]ブチル]-L-アルギニルグリシル-L-a-アスパルチルL-セリン-、分子内塩(SF1126、CAS936487-67-1)、及びXL765が挙げられる。例示的な免疫調節薬として、例えば、アフツズマブ(Roche(登録商標)から入手可能);ペグフィルグラスチム(Neulasta(登録商標));レナリドミド(CC-5013、Revlimid(登録商標));サリドマイド(Thalomid(登録商標))、アクチミド(CC4047);及びIRX-2(インターロイキン1、インターロイキン2、及びインターフェロンγを含むヒトサイトカインの混合物、CAS951209-71-5、IRX Therapeuticsから入手可能)が挙げられる。例示的なアントラサイクリンとして、例えば、ドキソルビシン(Adriamycin(登録商標)及びRubex(登録商標));ブレオマイシン(lenoxane(登録商標));ダウノルビシン(ダウノルビシン塩酸塩、ダウノマイシン、及びルビドマイシン塩酸塩、Cerubidine(登録商標));ダウノルビシンリポソーム(ダウノルビシンクエン酸塩リポソーム、DaunoXome(登録商標));ミトキサントロン(DHAD、Novantrone(登録商標));エピルビシン(Ellence(商標));イダルビシン(Idamycin(登録商標)、Idamycin PFS(登録商標));マイトマイシンC(Mutamycin(登録商標));ゲルダナマイシン;ハービマイシン;ラビドマイシン;及びデアセチルラビドマイシン(desacetylravidomycin)が挙げられる。例示的なビンカアルカロイドとして、例えば、ビノレルビン酒石酸塩(Navelbine(登録商標))、ビンクリスチン(Oncovin(登録商標))、及びビンデシン(Eldisine(登録商標)));ビンブラスチン(ビンブラスチン硫酸塩、ビンカロイコブラスチン及びVLB、Alkaban-AQ(登録商標)及びVelban(登録商標)としても公知);及びビノレルビン(Navelbine(登録商標))が挙げられる。例示的なプロテオソーム阻害剤として、ボルテゾミブ(Velcade(登録商標));カルフィルゾミブ(PX-171-007、(5)-4-メチル-N-((5)-l-(((5)-4-メチル-l-((R)-2-メチルオキシラン-2-イル)-l-オキソペンタン-2-イル)アミノ)-l-オキソ-3-フェニルプロパン-2-イル)-2-((5,)-2-(2-モルホリノアセトアミド)-4-フェニルブタンアミド)-ペンタンアミド);マリゾミブ(NPT0052);イキサゾミブクエン酸塩(MLN-9708);デランゾミブ(CEP-18770);及びO-メチル-N-[(2-メチル-5-チアゾリル)カルボニル]-L-セリル-O-メチル-N-[(llS’)-2-[(2R)-2-メチル-2-オキシラニル]-2-オキソ-l-(フェニルメチル)エチル]-L-セリナミド(ONX-0912)が挙げられる。
【0141】
当業者は、使用する化学療法剤を容易に同定することができる(例えば、Physicians’Cancer Chemotherapy Drug Manual 2014,Edward Chu,Vincent T.DeVita Jr.,Jones & Bartlett Learning;Principles of Cancer Therapy,Chapter 85 in Harrison’s Principles of Internal Medicine,18th edition;Therapeutic Targeting of Cancer Cells:Era of Molecularly Targeted Agents and Cancer Pharmacology,Chs.28-29 in Abeloff’s Clinical Oncology,2013 Elsevier;及びFischer DS(ed):The Cancer Chemotherapy Handbook,4th ed.St.Louis,Mosby-Year Book,2003を参照)。
【0142】
一実施形態では、本明細書に記載の活性化CAR T細胞は、GITRを標的にし且つ/又はGITR機能を調節する分子のレベル及び/又は活性を低下させる分子、Treg細胞集団を減少させる分子、mTOR阻害剤、GITR作動薬、キナーゼ阻害剤、非受容体チロシンキナーゼ阻害剤、CDK4阻害剤、及び/又はBTK阻害剤と組み合わせて対象に投与される。
【0143】
有効性
例えば、本明細書に記載の状態の治療における、又は本明細書に記載のような応答(例えばがん細胞における減少)を誘導するための活性化CAR T細胞の有効性は、熟練した臨床医により判定されうる。しかし、治療は、用語が本明細書で用いられ、本明細書に記載の状態の徴候又は症状の1つ以上が有利な様式で改変される場合、他の臨床的に認められた症状が改善され、又はさらに寛解され、又は所望される応答が誘導されるとき(例えば本明細書に記載の方法に従う治療後に少なくとも10%)、「有効な治療」と考えられる。有効性は、例えば、本明細書に記載の方法に従って治療される状態のマーカー、指標、症状、及び/若しくは発生率、又は任意の他の測定可能な適切なパラメータを測定することにより評価されうる。本明細書に記載の方法に従う治療は、状態のマーカー又は症状のレベルを、例えば、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%若しくは少なくとも90%又はそれ以上低下させうる。
【0144】
有効性はまた、入院による評価として個体が悪化しないこと、又は医学的介入についての必要性(すなわち疾患の進行が停止する)により評価されうる。これらの指標を測定する方法は、当業者に公知であり、且つ/又は本明細書に記載される。
【0145】
治療は、個体又は動物(いくつかの非限定例として、ヒト又は動物が挙げられる)における疾患の任意の治療を含み、(1)疾患を阻害する、例えば症状(例えば疼痛又は炎症)の悪化を予防すること;又は(2)疾患の重症度を軽減する、例えば症状の回復を引き起こすこと、を含む。疾患の治療における有効量は、それを必要とする対象に投与されるとき、疾患に対する、本明細書で定義される通りの有効な治療をもたらすのに十分である量を意味する。薬剤の有効性は、状態又は所望される応答の身体的指標を評価することによって判定されうる。かかるパラメータのいずれか1つ、又はパラメータの任意の組み合わせを測定することにより、投与及び/又は治療の有効性を監視することは、十分に当業者の能力の範囲内にある。所与の手法の有効性は、本明細書に記載の状態の動物モデル、例えばALLの治療において評価されうる。実験動物モデルを用いるとき、治療の有効性は、マーカーにおける統計学的に有意な変化が認められるとき、証明される。
【0146】
本願全体を通じて引用される、すべての特許及び他の公開物、例えば、参考文献、交付済み特許、特許出願公開、及び同時係属特許出願は、例えば、本明細書に記載の技術と関連して用いてもよいような公開物中に記載される方法を説明及び開示することを目的として、明確に参照により本明細書中に援用される。これらの公開物は、あくまで本願の出願日に先行するそれらの開示を意図して提供される。これに関連して、発明者が先行技術の理由で又は任意の他の理由でかかる開示に先行する権限が与えられないことの承認として解釈されるべきではない。これらの文書の内容に関する日付又は表現についてのすべての記載内容は、出願人が入手可能な情報に基づくものであり、これらの文書の日付又は内容の正確性についての承認を示すものでは決してない。
【0147】
本開示の実施形態の記載内容は、本開示を開示される正確な形態にまで厳密化又は限定することは意図されない。本開示における具体的な実施形態、及び実施例が例示目的で本明細書に記載される一方で、様々な等価な修飾が、当業者が理解する通り、本開示の範囲内で可能である。例えば、方法ステップ又は機能が所与の順序で提示される一方で、代替的実施形態では異なる順序で機能を実施してもよい、又は実質的に同時に機能を実施してもよい。本明細書に提供される開示の教示内容は、必要に応じて他の手順又は方法に適用されうる。本明細書に記載の様々な実施形態を組み合わせることで、さらなる実施形態を提示することができる。本開示の態様は、必要があれば修飾し、上記の参考文献及び出願の組成物、機能及び概念を活用することで、本開示のさらなる実施形態をさらに提示することができる。さらに、生物学的・機能的な同等性を考察することにより、タンパク質構造において、種類又は量における生物学的又は化学的作用に影響することなく、いくらかの変更を行うことができる。詳細な説明のおかげで、本開示にこれら及びその他の変更を行うことができる。すべてのかかる修飾は、添付の特許請求の範囲の範囲内に含まれることは意図されない。
【0148】
前述の実施形態のいずれかの具体的要素は、他の実施形態における要素と組み合わせる、又は置き換えることができる。さらに、本開示の特定の実施形態に関連した利点がこれらの実施形態との関連で記載されている一方で、他の実施形態もかかる利点を示してもよく、実施形態のすべてが、かかる利点が本開示の範囲内に含まれることを必ずしも示す必要はない。
【0149】
本明細書に記載の技術は、以下の実施例によりさらに例示されるが、さらに限定するものとして解釈されるべきでは決してない。
【実施例0150】
実施例1
本明細書では、例えばB細胞-NHLを含むCD37陽性悪性腫瘍を治療するための抗CD37キメラ抗原受容体(CAR)を発現する遺伝子組換えT細胞の使用について述べる。これらの例示的なCARは、CD37結合ドメイン、CD8膜貫通ドメイン、4-1BB同時刺激シグナル伝達領域、及びCD3ζシグナル伝達ドメインを含む。他の実施形態では、CD8膜貫通ドメイン、4-1BB同時刺激シグナル伝達領域、及び/又はCD3ζドメインは、別の対応する配列、例えば本明細書に記載のようなもので置き換えることができる。CAR T細胞は、CD37-CARを含むレンチウイルスベクターを一次ヒトT細胞に導入することにより作製することができる。本明細書に記載のインビトロデータは、抗CD37CAR T細胞によるCD37陽性がん細胞の特異的活性化、増殖、及び死滅を示す。
【0151】
CD37は、特定のがん関連細胞株において検出可能である(図1)。図2に示す成分を含む抗CD37 CARを構築した。2つの構築物間の差異は、CARの一本鎖抗体成分における重鎖及び軽鎖の順序である。これらの構築物は、細胞において発現されたが、マーカータンパク質mCherryの検出によりCAR発現について分析した(図3)。形質導入T細胞の拡大を測定し(図4)、標的がん細胞を溶解するそれらの能力を示した(図5)。抗CD37 CAR T細胞は、CD37形質導入白血病細胞の混合集団、並びにCD37の高発現体(クローン1)及びCD37のより低い発現体(クローン2)を溶解することができた(図6)。抗CD37は、CD37刺激に応答して増殖を示した(図7)。抗CD37 CAR T細胞をマウスに投与することで、インビボで腫瘍クリアランスを示すことができる(図8)。
【0152】
実施例2
抗CD37キメラ抗原受容体T細胞:B細胞悪性腫瘍に対する新しい有望な治療選択肢
CD37は、成熟B細胞上に発現されるが、初期前駆細胞又は高分化型形質細胞上で不在であるテトラスパニンである。CD37は、非ホジキンリンパ腫(NHL)、例えば、マントル細胞リンパ腫(MCL)、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、濾胞性リンパ腫(FL)、バーキットリンパ腫及びB細胞慢性リンパ性白血病(CLL)における悪性B細胞上に高度に発現される。したがって、CD37は、B細胞悪性腫瘍、特に共通のB細胞抗原CD19及びCD20を標的にする既存の治療法を回避する変異体における有望な標的を表す。
【0153】
本明細書では、B細胞悪性腫瘍を治療するための抗CD37 CAR(CAR-37)について述べる。詳細には、本明細書では、レンチウイルスベクターによってコードされ、且つ4-1BB共刺激ドメインを有する、第二世代CARについて述べる。ヒト化マウス抗体由来一本鎖可変断片の2つの異なる配向性(V-V又はV-V)について試験し、前臨床データパネルを本明細書に提示する。
【0154】
結果
CAR T-37細胞のインビトロ細胞傷害性活性を、CAR T-37細胞をCD37を発現するヒト腫瘍細胞株(RAJI、OSU-CLL、及びJEKO-1)と異なるエフェクター対標的比で共培養することにより評価した。B細胞悪性腫瘍の複数のモデルにおいて、CD37駆動性のCAR T細胞により、抗原特異的活性化、増殖、サイトカイン産生、及び細胞傷害性活性がインビトロで示された。次に、抗リンパ腫の有効性を、マントル細胞リンパ腫モデルにおいてインビボで評価した。CAR-37治療により、腫瘍細胞が2週以内に除去され、マウスは耐久性寛解を維持した。注射の7日後、CAR T細胞はマウスの血液中で検出可能であった。進行中の試験では、マウスにおけるCAR T細胞の長期持続性を評価中である。
【0155】
まとめると、これらの結果は、抗CD37 CARを発現するT細胞が、B細胞悪性腫瘍に対してインビトロ及びインビボで実質的活性を有することを示す。これらの知見は、CD37-CAR T細胞が、CD37発現腫瘍を有する患者を治療するための新規な有望な治療薬であることを示す。
【0156】
実施例3
CD37は、B細胞悪性腫瘍において高度に発現される(図10)。抗CD37 CARを、ヒト化抗CD37 mAb BI836826(Boehringer Ingelheim)を用いて構築し、レンチウイルスベクターにクローン化した。細胞内ドメインは、CD3ζに連結された41BB(CD137)ICDである。
【0157】
抗CD37 CAR T細胞は、刺激(図11)及び活性化(図12)時に拡大することが示された。抗CD37 CAR T細胞は、標的抗原での刺激時、拡大した(図13)。抗CD37 CAR T細胞は、インビトロで腫瘍細胞を溶解することが示され(図14)、様々なサイトカインの産生が測定された(図15)。抗CD37 CAR Tのインビボ有効性が示された(図16及び17)。
【0158】
実施例4
scFv配列
CD37 scFv VH-VL(配列番号1)は、VH鎖(アミノ酸1~116(配列番号2))、リンカー領域(アミノ酸117~136(配列番号3))、及びVL鎖(アミノ酸137~244(配列番号4))を含む。
【0159】
VH鎖(配列番号2(配列番号1のアミノ酸1~116)
【0160】
リンカー領域(配列番号3(配列番号1のアミノ酸117~136)
GGGGSGGGGSGGGGSGGGGS(配列番号3)
【0161】
VL鎖(配列番号4(配列番号1のアミノ酸137~244)
【0162】
CD37 scFv VL-VH(配列番号5)は、VL鎖(アミノ酸1~108(配列番号6))、リンカー領域(アミノ酸109~128(配列番号7))、及びVH鎖(アミノ酸129~244(配列番号8))を含む。
【0163】
VL鎖(配列番号6(配列番号5のアミノ酸1~108))
【0164】
リンカー領域(配列番号7(配列番号5のアミノ酸109~128))
GGGGSGGGGSGGGGSGGGGS(配列番号7)
【0165】
VH鎖(配列番号8(配列番号5のアミノ酸129~244))
【0166】
実施例5
CAR配列
pMGH8-CD8リーダー配列(アミノ酸1~21(配列番号10));抗CD37 L-H(アミノ酸22~265(配列番号11));CD8ヒンジ及びTMドメイン(アミノ酸266~334(配列番号12));4-1BB(アミノ酸335~376(配列番号13));及びCD3ζ(アミノ酸377~488(配列番号14))を含むCD8リーダー/抗CD37 L-H/CD8ヒンジ+TM/4-1BB/CD3ζ(配列番号9)
【0167】
CD8リーダー配列(配列番号10(配列番号9のアミノ酸1~21))
MALPVTALLLPLALLLHAARP(配列番号10)
【0168】
抗CD37 L-H(配列番号11(配列番号9のアミノ酸22~265))
【0169】
CD8ヒンジ及びTMドメイン配列番号12(配列番号9のアミノ酸266~334)
【0170】
4-1BB(配列番号13(配列番号9のアミノ酸335~376))
KRGRKKLLYIFKQPFMRPVQTTQEEDGCSCRFPEEEEGGCEL(配列番号13)
【0171】
CD3ζ(配列番号14(配列番号9のアミノ酸377~488))
【0172】
pMGH8-CD8リーダー配列(アミノ酸1~21(配列番号16));抗CD37 H-L(アミノ酸22~265(配列番号17));CD8ヒンジ及びTMドメイン(アミノ酸266~334(配列番号18));4-1BB(アミノ酸335~376(配列番号19));及びCD3ζ(アミノ酸377~488(配列番号20))を含むCD8リーダー/抗CD37 H-L/CD8ヒンジ+TM/4-1BB/CD3ζ(配列番号15)
【0173】
CD8リーダー配列(配列番号16(配列番号15のアミノ酸1~21))
MALPVTALLLPLALLLHAARP(配列番号16)
【0174】
抗CD37 H-L(配列番号17(配列番号15のアミノ酸22~265))
【0175】
CD8ヒンジ及びTMドメイン配列番号18(配列番号15のアミノ酸266~334)
【0176】
4-1BB(配列番号19(配列番号15のアミノ酸335~376))
KRGRKKLLYIFKQPFMRPVQTTQEEDGCSCRFPEEEEGGCEL(配列番号19)
【0177】
CD3ζ(配列番号20(配列番号15のアミノ酸377~488))
【0178】
実施例6
B細胞悪性腫瘍に対して有効な抗CD37 CAR-T細胞
上記の通り、CD37は、成熟B細胞上に発現されるが、初期前駆細胞又は高分化型形質細胞上で不在であるテトラスパニンである。それは悪性B細胞上に高度に発現され、B細胞悪性腫瘍、特に共通のB細胞抗原CD19及びCD20を標的にする既存の治療法を回避する変異体における有望な標的を表す。本発明者は、B細胞悪性腫瘍を治療するための第1の抗CD37 CAR(CAR-37)を設計した。CART-37細胞のインビトロ細胞傷害性活性を、CART-37細胞をCD37を発現するヒト腫瘍細胞株と異なるエフェクター対標的比で共培養することにより評価した。B細胞悪性腫瘍の複数のモデルにおいて、CD37駆動性のCAR T細胞により、抗原特異的増殖、サイトカイン産生、及び細胞傷害性活性がインビトロで示された。本発明者は、抗リンパ腫の有効性を、マントル細胞リンパ腫モデルにおいてインビボで評価した。CAR-37治療により、腫瘍細胞が2週以内に除去され、マウスは耐久性寛解を維持した。まとめると、これらの結果は、抗CD37 CARを発現するT細胞が、B細胞悪性腫瘍に対してインビトロ及びインビボで実質的活性を有することを示す。これらの知見は、CD37-CAR T細胞が、CD37発現腫瘍を有する患者を治療するための新規な有望な治療薬であることを示した。
【0179】
正常組織では、CD37の発現は、リンパ器官に制限される(図18A)。しかし、それはB細胞白血病及びリンパ腫細胞上で高度に発現される(図18B)。CAR-37 T細胞は、図19に示す設計に基づいて作製した。CAR-37 T細胞は、生体外で増殖及び拡大することができる(図20A~20D)。抗CD37 CARを発現するT細胞は、マントル細胞リンパ腫、バーキットリンパ腫、及びB細胞リンパ芽球性白血病腫瘍細胞に対して実質的なインビトロ活性を有し(図21A~21D)、図22A~22Cに示すようにサイトカインを産生する。抗CD37 CARを発現するT細胞は、インビボでのマントル細胞リンパ腫モデルにおいて強力な抗腫瘍活性を有する(図23A~23C)。
【0180】
実施例7
ヒト腫瘍細胞株におけるCD37及びCD19の発現
ヒト腫瘍細胞株におけるCD37及びCD19の発現を評価した。図24の上パネルは、図18Aに示すデータを再現し、CD37が、MCL(JEKO-1)、バーキットリンパ腫(RAJI)、及びB細胞慢性リンパ性白血病(OSU-CLL)を含む非ホジキンリンパ腫において高度に発現されるが、ALL細胞株NALM6中に不在であることを示す。図24の下パネルは、MCL患者由来の異種移植片(PDX)株PDX_44685、PDX_98848、及びPDX_96069におけるCD37及びCD19の発現、並びにPDX細胞株におけるCD19及びCD37のパーセント発現を示す。MCL PDX細胞株は、CD37とCD19の双方を発現した。
【0181】
実施例8
抗CD37 CAR-T細胞はMCL PDX腫瘍に対して有効である
MCL PDX細胞に対する抗CD37 CAR-T細胞の有効性をインビボで評価した。図25Aは実験模式図を示し;非肥満糖尿病/重症複合免疫不全マウスに1×10のPDX_98848細胞を静脈内注射した。0日目、マウスは、3×10の対照T細胞(UTD)、CAR-37 H-L、又はCAR-19を受けた。3日目、7日目、10日目、14日目、17日目、21日目、及び35日目、腫瘍増殖をBLIにより評価した。PDX増殖の経時的な代表的生物発光画像を図25Bに示す。抗CD37 CARを発現するT細胞は、インビボでMCL PDXに対して強力な抗腫瘍活性を有する(図25A~25C)。
【0182】
実施例9
末梢性T細胞リンパ腫(PTCL)におけるCD37の発現
HUT78(皮膚T細胞リンパ腫(CTCL))及びFEPD(未分化大細胞リンパ腫(ALCL))を含むPTCL細胞株において、CD37の発現を評価した(図26A)。両方の細胞株においてCD37が発現された。CAR刺激後、初期活性化マーカーCD69の発現を試験した(図26B及び26C)。
【0183】
実施例10
抗CD37 CAR-T細胞はPTCL細胞株に対するインビトロ細胞傷害性活性を有する
PTCL株に対する抗CD37 CAR-T細胞のインビトロ細胞傷害性活性を評価した(図27)。抗CD37 CARを発現するT細胞は、CTCL及びALCL腫瘍モデルを含むPTCL株に対して実質的なインビトロ活性を有する(図27)。これらの知見は、CD37-CAR T細胞が、CTCL及びALCLを含むPTCLを有する患者を治療するための治療薬として有用であることを示した。
【0184】
実施例11
AMLにおけるCD37の発現
AMLサンプル中でCD37の発現が検出されている(Pereira et al.,Mol.Cancer Ther.14(7):1650-1660,2015)。AML細胞株におけるCD37の発現を、AML細胞株TF1、MOLM13、及びTHPにおいてフローサイトメトリーにより評価した(図28)。3つ全部のAML細胞株がCD37を発現した(図28)。これらの知見は、CD37-CAR T細胞が、AMLを有する患者を治療するための治療薬として有用であることを示した。
【0185】
本発明は、以下の付番されたパラグラフ内でさらに説明する。
a.CD37結合配列を含む細胞外ドメイン;
b.膜貫通ドメイン;及び
c.T細胞細胞内シグナル伝達ドメイン
を含むキメラ抗原受容体(CAR)ポリペプチド。
【0186】
共刺激ドメインをさらに含む、パラグラフ1のCARポリペプチド。
【0187】
CD37結合配列が抗体試薬を含む、パラグラフ1若しくは2のCARポリペプチド。
【0188】
抗体試薬が一本鎖抗体(scFv)を含む、パラグラフ3のCARポリペプチド。
【0189】
scFvが抗体重鎖に対する抗体軽鎖N末端を含む、パラグラフ4のCARポリペプチド。
【0190】
scFvが抗体軽鎖に対する抗体重鎖N末端を含む、パラグラフ4のCARポリペプチド。
【0191】
抗体軽鎖が、配列番号4若しくは6の配列、若しくはその変異体を含み、且つ/又は重鎖が、配列番号2若しくは8の配列、若しくはその変異体を含む、パラグラフ5又は6のCARポリペプチド。
【0192】
抗体試薬が、配列番号1若しくは5から選択される配列、又はその変異体を含む、パラグラフ3~7のいずれか1つのCARポリペプチド。
【0193】
膜貫通ドメインが、CD8又は4-1BBからの膜貫通ドメインを含む、パラグラフ1~7のいずれか1つのCARポリペプチド。
【0194】
膜貫通ドメインが、配列番号12若しくは18の配列、又はその変異体を含む、パラグラフ8のCARポリペプチド。
【0195】
共刺激ドメインが、4-1BBの共刺激ドメインを含む、パラグラフ2~8のいずれか1つのCARポリペプチド。
【0196】
共刺激ドメインが、配列番号13若しくは19の配列、又はその変異体を含む、パラグラフ11のCARポリペプチド。
【0197】
T細胞細胞内ドメインが、CD3ζ細胞内シグナル伝達ドメインを含む、パラグラフ1~12のいずれか1つのCARポリペプチド。
【0198】
CD3ζ細胞内シグナル伝達ドメインが、配列番号14若しくは20の配列、又はその変異体を含む、パラグラフ13のCARポリペプチド。
【0199】
CD3ζ細胞内シグナル伝達ドメインが1、2、又は3の免疫受容体チロシンに基づく活性化モチーフ(ITAM)を含み、且つITAMの天然チロシン残基が維持される、パラグラフ14のCARポリペプチド。
【0200】
CD3ζ細胞内シグナル伝達ドメインが、配列番号14若しくは20の配列を含む、パラグラフ14のCARポリペプチド。
【0201】
配列番号9若しくは15の配列、又はその変異体を含む、パラグラフ1~16のいずれか1つのCARポリペプチド。
【0202】
a.パラグラフ1~16のいずれか1つのCARポリペプチド;又は
b.パラグラフ1~17のいずれか1つのCARポリペプチドのいずれか1つをコードする核酸
を含む哺乳動物細胞。
【0203】
細胞がT細胞である、パラグラフ18の細胞。
【0204】
細胞がヒト細胞である、パラグラフ18又は19の細胞。
【0205】
がん、形質細胞障害、又は自己免疫疾患を有する又は有すると診断された個体から得られる、パラグラフ18~20のいずれか1つの細胞。
【0206】
がん、形質細胞障害、又は自己免疫疾患の治療を、それを必要とする対象において行う方法であって、
a.T細胞を、T細胞表面上のパラグラフ1~17のいずれか1つのCARポリペプチドを含むように改変することと;
b.改変されたT細胞を対象に投与することと、
を含む、方法。
【0207】
がん、形質細胞障害、又は自己免疫疾患の治療を、それを必要とする対象において行う方法であって、パラグラフ18~21のいずれか1つの細胞を対象に投与することを含む、方法。
【0208】
がんが、CD37+がんである、パラグラフ22又は23の方法。
【0209】
CD37+がんが、リンパ腫又は白血病である、パラグラフ24の方法。
【0210】
リンパ腫が、B細胞非ホジキンリンパ腫(NHL)、マントル細胞リンパ腫、バーキットリンパ腫、B細胞リンパ芽球性リンパ腫、若しくはT細胞リンパ腫である、又は白血病が、急性骨髄性白血病(AML)である、パラグラフ25の方法。
【0211】
T細胞リンパ腫が、末梢性T細胞リンパ腫(PTCL)である、パラグラフ26の方法。
【0212】
PTCLが、皮膚T細胞リンパ腫(CTCL)又は未分化大細胞リンパ腫(ALCL)である、パラグラフ27の方法。
【0213】
がん、形質細胞障害、又は自己免疫疾患の治療を、それを必要とする対象において行う方法であって、パラグラフ18~21のいずれか1つの細胞を対象に投与することを含み、細胞がCD37結合配列を含む細胞外ドメインを含むCARを含み、且つ対象が抗CD19及び/又は抗CD20療法に対して非応答性である、方法。
【0214】
がん、形質細胞障害、又は自己免疫疾患の治療を、それを必要とする対象において行う方法であって、
a.抗CD19及び/又は抗CD20療法に対して非応答性である対象を選択することと;
b.T細胞を、T細胞表面上のパラグラフ1~17のいずれか1つのCARポリペプチドを含むように改変することと;
c.改変されたT細胞を対象に投与することと、
を含み、対象が抗CD19及び/又は抗CD20療法に対して非応答性である、方法。
【0215】
がん、形質細胞障害、又は自己免疫疾患の治療を、それを必要とする対象において行う方法であって、
a.抗CD19及び/又は抗CD20療法に対して非応答性である対象を選択することと;
b.パラグラフ18~21のいずれか1つの細胞を対象に投与することと、
を含み、ここで細胞がCD37結合配列を含む細胞外ドメインを含むCARを含み、且つ対象が抗CD19及び/又は抗CD20療法に対して非応答性である、方法。
【0216】
がん、形質細胞障害、又は自己免疫疾患の治療を、それを必要とする対象において行う方法であって、
a.T細胞を、T細胞表面上のパラグラフ1~17のいずれか1つのCARポリペプチドを含むように改変することと;
b.改変されたT細胞を対象に投与することと;
を含み、対象に抗CD19及び/又は抗CD20療法が同時に施される、方法。
【0217】
がん、形質細胞障害、又は自己免疫疾患の治療を、それを必要とする対象において行う方法であって、パラグラフ18~21のいずれか1つの細胞を対象に投与することを含み、ここで細胞がCD37結合配列を含む細胞外ドメインを含むCARを含み;
対象に抗CD19及び/又は抗CD20療法が同時に施される、方法。
【0218】
がんの治療用に処方される、パラグラフ1~17のいずれか1つのCARポリペプチド又はパラグラフ18~21のいずれか1つの細胞を含む組成物。
【0219】
薬学的に許容できる担体をさらに含む、パラグラフ34の組成物。
【0220】
他の実施形態が、以下の特許請求の範囲内に含まれる。
図1
図2
図3
図4
図5-1】
図5-2】
図6
図7-1】
図7-2】
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15-1】
図15-2】
図16
図17
図18A-B】
図19
図20A-D】
図21A-C】
図22A-C】
図23A-C】
図24
図25A-C】
図26A-C】
図27
図28
【配列表】
2022130557000001.app
【手続補正書】
【提出日】2022-07-25
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
明細書に記載された一発明。
【外国語明細書】