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特開2022-130602抗fugetactic特性を有する改変されたナチュラルキラー細胞およびその使用
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  • 特開-抗fugetactic特性を有する改変されたナチュラルキラー細胞およびその使用 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022130602
(43)【公開日】2022-09-06
(54)【発明の名称】抗fugetactic特性を有する改変されたナチュラルキラー細胞およびその使用
(51)【国際特許分類】
   C12N 5/0783 20100101AFI20220830BHJP
   C12N 5/10 20060101ALI20220830BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20220830BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20220830BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20220830BHJP
   A61K 31/395 20060101ALI20220830BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20220830BHJP
   A61K 47/68 20170101ALI20220830BHJP
   A61K 35/17 20150101ALI20220830BHJP
【FI】
C12N5/0783
C12N5/10
A61P35/00
A61P43/00 121
A61K39/395 D
A61K39/395 N
A61K39/395 T
A61K31/395
A61K45/00
A61K47/68
A61K35/17 Z
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022104566
(22)【出願日】2022-06-29
(62)【分割の表示】P 2018514875の分割
【原出願日】2016-09-16
(31)【優先権主張番号】62/220,857
(32)【優先日】2015-09-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/303,364
(32)【優先日】2016-03-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/303,367
(32)【優先日】2016-03-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】310022017
【氏名又は名称】ザ ジェネラル ホスピタル コーポレーション ドゥーイング ビジネス アズ マサチューセッツ ジェネラル ホスピタル
(74)【代理人】
【識別番号】100113376
【弁理士】
【氏名又は名称】南条 雅裕
(74)【代理人】
【識別番号】100179394
【弁理士】
【氏名又は名称】瀬田 あや子
(74)【代理人】
【識別番号】100185384
【弁理士】
【氏名又は名称】伊波 興一朗
(74)【代理人】
【識別番号】100137811
【弁理士】
【氏名又は名称】原 秀貢人
(72)【発明者】
【氏名】ポツナンスキー マーク シー.
(72)【発明者】
【氏名】ヴィアネッロ ファブリッツィオ
(57)【要約】      (修正有)
【課題】腫瘍および/または転移性癌細胞を効果的および効率的に死滅させるために、腫瘍を標的化する治療および組成物を提供する。
【解決手段】改変されたNK細胞を含むエクスビボのナチュラルキラー(NK)細胞集団であって、前記NK細胞集団は、細胞表面上の受容体を通して個々のNK細胞に結合された抗fugetactic剤を有し、ここで、前記NK細胞集団は、患者に送達された場合に、インビボで、癌に対して全体的な抗fugetactic特性を示す、細胞集団である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
改変されたNK細胞を含むエクスビボのナチュラルキラー(NK)細胞集団であって、
前記NK細胞集団は、細胞表面上の受容体を通して個々のNK細胞に結合された抗fugetactic剤を有し、
ここで、前記NK細胞集団は、患者に送達された場合に、インビボで、癌に対して全体的な抗fugetactic特性を示す、
細胞集団。
【請求項2】
請求項1の細胞集団であって、
前記受容体は、CXCR4である、
細胞集団。
【請求項3】
請求項1または2の細胞集団であって、
前記抗fugetactic剤は、AMD3100またはその誘導体、KRH-1636、T-20、T-22、T-140、TE-14011、T-14012、TN14003、TAK-779、AK602、SCH-351125、タンニン酸、NSC 651016、サリドマイド、GF 109230X、およびCXCR4に対する抗体からなる群より選択される、
細胞集団。
【請求項4】
請求項3の細胞集団であって、
前記抗fugetactic剤は、AMD3100である、
細胞集団。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項の細胞集団であって、
前記NK細胞は、アロジェニックNK細胞、自己由来NK細胞、および、不死化NK細胞からなる群より選択される、
細胞集団。
【請求項6】
請求項5の細胞集団であって、
前記NK細胞は、NK-92細胞である、
細胞集団。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか一項の細胞集団であって、
前記NK細胞は、キメラ抗原受容体を発現するようにさらに改変される、
細胞集団。
【請求項8】
改変されたNK細胞を含む改変されたNK細胞集団を含む組成物であって、
前記NK細胞集団は、細胞表面上の受容体を通して個々のNK細胞に結合された抗fugetactic剤を有し、
ここで、前記NK細胞集団は、患者に送達された場合に、インビボで、癌に対して全体的な抗fugetactic特性を示す、
組成物。
【請求項9】
請求項8の組成物であって、
前記受容体は、CXCR4である、
組成物。
【請求項10】
請求項8または9の組成物であって、
前記抗fugetactic剤は、AMD3100またはその誘導体、KRH-1636、T-20、T-22、T-140、TE-14011、T-14012、TN14003、TAK-779、AK602、SCH-351125、タンニン酸、NSC 651016、サリドマイド、GF 109230X、およびCXCR4に対する抗体からなる群より選択される、
組成物。
【請求項11】
請求項10の組成物であって、
前記抗fugetactic剤は、AMD3100である、
組成物。
【請求項12】
請求項8から11のいずれか一項の組成物であって、
前記NK細胞は、アロジェニックNK細胞、自己由来NK細胞、および、不死化NK細胞からなる群より選択される、
組成物。
【請求項13】
請求項12の組成物であって、
前記NK細胞は、NK-92細胞である、
組成物。
【請求項14】
請求項8から13のいずれか一項の組成物であって、
前記NK細胞は、キメラ抗原受容体を発現するようにさらに改変される、
組成物。
【請求項15】
請求項8から14のいずれか一項の組成物であって、
薬学的に許容できる賦形剤をさらに含む、
組成物。
【請求項16】
請求項8から15のいずれか一項の組成物であって、
前記NK細胞と関連しない抗fugetactic剤をさらに含む、
組成物。
【請求項17】
癌を有する患者におけるNK細胞の腫瘍貫入を高める方法であって、
前記方法は、有効量の請求項1から7のいずれか一項の細胞集団または請求項8から16のいずれか一項の組成物を、前記患者に投与するステップを含む、
方法。
【請求項18】
請求項17の方法であって、
治療的に有効量の抗fugetactic剤を、前記患者に全身性投与するステップをさらに含む、
方法。
【請求項19】
請求項18の方法であって、
前記の治療的に有効量の抗fugetactic剤は、前記細胞集団または前記組成物の投与の前に投与される、
方法。
【請求項20】
請求項18の方法であって、
前記の治療的に有効量の抗fugetactic剤は、前記細胞集団または前記組成物の投与と同時に投与される、
方法。
【請求項21】
請求項18から20のいずれか一項の方法であって、
前記の治療的に有効量の抗fugetactic剤は、単回ボーラスとしてまたは時間をかけたインフュージョンによって投与される、
方法。
【請求項22】
癌を有する患者を治療する方法であって、
前記方法は、前記癌を治療するように、改変されたNK細胞を前記患者に投与するステップを含み、
ここで、前記の改変されたNK細胞は、細胞表面上の受容体を通して個々のNK細胞に結合された抗fugetactic剤を有する、
方法。
【請求項23】
癌を有する患者を治療する方法であって、
前記方法は:
a)NK細胞を抗fugetactic剤と接触させることによりNK細胞を改変して、改変されたNK細胞を提供するステップ;および
b)前記癌を治療するように、前記の改変されたNK細胞を前記患者に投与するステップ、
を含む、
方法。
【請求項24】
請求項22または23の方法であって、
前記NK細胞は、前記患者由来の自己由来NK細胞である、
方法。
【請求項25】
請求項22または23の方法であって、
治療的に有効量の抗fugetactic剤を、前記患者に全身性投与するステップをさらに含む、
方法。
【請求項26】
請求項25の方法であって、
前記の治療的に有効量の抗fugetactic剤は、前記の改変されたNK細胞の投与の前に投与される、
方法。
【請求項27】
請求項25の方法であって、
前記の治療的に有効量の抗fugetactic剤は、前記の改変されたNK細胞の投与と同時に投与される、
方法。
【請求項28】
請求項22から27のいずれか一項の方法であって、
前記NK細胞は、前記癌に特異的なキメラ抗原受容体を発現するように改変される、
方法。
【請求項29】
全体的な抗fugetactic特性を有する改変されたNK細胞組成物を作製するための方法であって、
前記方法は、(a)CXCR4受容体を有するNK細胞を提供するステップ、および(b)前記NK細胞集団を抗fugetactic剤と接触させて、改変されたNK細胞集団を提供するステップ、を含む、
方法。
【請求項30】
請求項29の方法であって、
前記抗fugetactic剤は、AMD3100またはその誘導体、KRH-1636、T-20、T-22、T-140、TE-14011、T-14012、TN14003、TAK-779、AK602、SCH-351125、タンニン酸、NSC 651016、サリドマイド、GF 109230X、およびCXCR4に対する抗体からなる群より選択される、
方法。
【請求項31】
請求項30の方法であって、
前記抗fugetactic剤は、AMD3100である、
方法。
【請求項32】
請求項29から31のいずれか一項の方法であって、
前記NK細胞は、アロジェニックNK細胞、自己由来NK細胞、および、不死化NK細胞からなる群より選択される、
方法。
【請求項33】
請求項29から31のいずれか一項の方法であって、
前記NK細胞を提供するステップは、癌を有する患者から自己由来NK細胞を抽出して、NK細胞集団を提供するステップを含む、
方法。
【請求項34】
請求項29から33のいずれか一項の方法であって、
前記NK細胞は、前記抗fugetactic剤と接触されて、患者へのその後の投与のために保管される、
方法。
【請求項35】
請求項29から33のいずれか一項の方法であって、
前記NK細胞は、患者への前記の改変されたNK細胞集団の投与の直前に、前記抗fugetactic剤と接触される、
方法。
【請求項36】
請求項1から7のいずれか一項の細胞集団または請求項8から16のいずれか一項の組成物の使用であって、
癌を有する患者におけるNK細胞の腫瘍貫入を高めるための、
使用。
【請求項37】
請求項36の使用であって、
治療的に有効量の抗fugetactic剤を、前記患者に全身性投与するステップをさらに含む、
使用。
【請求項38】
請求項37の使用であって、
前記の治療的に有効量の抗fugetactic剤は、前記細胞集団または前記組成物の投与の前に投与される、
使用。
【請求項39】
請求項37の使用であって、
前記の治療的に有効量の抗fugetactic剤は、前記細胞集団または前記組成物の投与と同時に投与される、
使用。
【請求項40】
請求項37の使用であって、
前記の治療的に有効量の抗fugetactic剤は、単回ボーラスとしてまたは時間をかけたインフュージョンによって投与される、
使用。
【請求項41】
癌を有する患者を治療するための、改変されたNK細胞の使用であって、
前記の改変されたNK細胞は、細胞表面上の受容体を通して個々のNK細胞に結合された抗fugetactic剤を有する、
使用。
【請求項42】
癌を有する患者を治療するための、改変されたNK細胞の使用であって:
a)NK細胞を抗fugetactic剤と接触させることによりNK細胞を改変して、改変されたNK細胞を提供するステップ;および
b)前記癌を治療するように、前記の改変されたNK細胞を前記患者に投与するステップ、
を含む、
使用。
【請求項43】
請求項41または42の使用であって、
前記NK細胞は、前記患者由来の自己由来NK細胞である、
使用。
【請求項44】
請求項41または42の使用であって、
治療的に有効量の抗fugetactic剤を、前記患者に全身性投与するステップをさらに含む、
使用。
【請求項45】
請求項44の使用であって、
前記の治療的に有効量の抗fugetactic剤は、前記の改変されたNK細胞の投与の前に投与される、
使用。
【請求項46】
請求項45の使用であって、
前記の治療的に有効量の抗fugetactic剤は、前記の改変されたNK細胞の投与と同時に投与される、
使用。
【請求項47】
請求項41または42の使用であって、
前記NK細胞は、前記癌に特異的なキメラ抗原受容体を発現するように改変される、
使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本出願は、2015年9月18日に出願された米国仮出願番号62/220,857;2016年3月3日に出願された62/303,367;および、2016年3月3日に出願された62/303,364に対して、合衆国法典第35巻第119条(e)の下での優先権を主張するものであり;それぞれ、その全体で参照により本明細書中に援用される。
【背景技術】
【0002】
特定の刺激に応答した細胞運動は、原核生物および真核生物において生じる。これらの生物で見られる細胞運動は、3つのタイプ:化学走性、または化学物質の濃度の増大に向かう勾配に沿った細胞の運動;化学刺激の勾配を下がる運動として定義されているネガティブ化学走性;および、化学運動性、または化学的薬剤によって誘導される細胞の増大されたランダムな運動に、分類されている。
【0003】
化学走性および化学運動性は、ケモカインと呼ばれるタンパク質のクラスに応答して、哺乳類細胞において観察されている。加えて、化学忌避物質、またはfugetactic活性が、哺乳類細胞において観察されている。例えば、一部の腫瘍細胞は、腫瘍の部位から免疫細胞を忌避するのに十分な濃度のケモカインを分泌し、それにより、腫瘍を標的化および根絶する免疫系の能力を低減させる。転移性癌細胞は、同様のメカニズムを使用して免疫系を回避し得る。例えば、高レベルのCXCL12またはインターロイキン8(IL-8)を発現している腫瘍からの、腫瘍抗原特異的T細胞のような免疫細胞の反発作用は、腫瘍細胞が免疫制御を回避するのを可能にする。
【0004】
CXCR4は、ヒトにおいて、CXCR4遺伝子によってコードされるタンパク質である。CXCR4は、多数の正常細胞によって、ならびに、腫瘍上に発現される。CXCR4は、リンパ球に関する強力な走化性活性を併せ持つケモカイン、間質由来因子-1(SDF-1、CXCL12としても知られる)に関するα-ケモカイン受容体である。85%もの固形腫瘍および白血病が、腫瘍からの免疫細胞の反発のようなfugetactic効果を有するのに十分なレベルで、CXCL12を発現する。そのようなレベルでCXCL12を頻繁に発現する癌は、限定されないが、前立腺癌、肺癌、乳癌、膵癌、卵巣癌、胃癌、食道癌、および白血病を含む。
【0005】
抗fugetactic剤は、腫瘍細胞のfugetactic活性を阻害して、患者の免疫系が腫瘍を標的化するのを可能にする。抗fugetactic剤および抗fugetactic剤の全身性送達は、当技術分野で知られている(例えば、米国特許出願公開2008/0300165を参照、その全体で参照により本明細書中に援用される)。しかしながら、これまでに説明される抗fugetactic剤の送達は、抗fugetactic剤の一部を腫瘍上のCXCR4受容体または他の部位に結合させる可能性があり、したがって、免疫細胞に結合する効果的な濃度の抗fugetactic剤を予測不能にさせる。
【0006】
さらに、免疫細胞療法(すなわち、患者への、自己由来、アロジェニック、または不死化免疫細胞のインフュージョン)は、インフュージョンされた免疫細胞が特定の組織において「スタック」して、標的癌細胞にそれらが到達することができる前に、インフュージョンされた免疫細胞の根絶をもたらし得ることが示されている。特に、インフュージョンされたナチュラルキラー(NK)細胞は、肺、脾臓、および/または肝臓内に優先的に群集し得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、腫瘍および/または転移性癌細胞を効果的および効率的に死滅させるために、腫瘍を標的化する治療および組成物に関する必要性が残っている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
AMD3100のような抗fugetactic剤は、ナチュラルキラー(NK)細胞と関連または結合して、それにより、NK細胞に関するケモカインのfugetactic活性をブロックして、NK細胞が腫瘍または癌細胞を標的化するのを可能にする。関連性または結合は、例えば、NK細胞上のCXCR4受容体に対する結合を介するものを含む、任意の適切なメカニズムによるものであってよい。驚くべきことに、これらの抗fugetactic剤の抗fugetactic特性は、濃度依存性であることが見いだされている。特に、高すぎる濃度の抗fugetactic剤に免疫細胞が遭遇すると、抗fugetactic効果が失われることが見いだされている。免疫細胞は、したがって、腫瘍に効果的に貫入するまたは転移性癌細胞に的を絞ることが防止される。
【0009】
CXCR4受容体は、多数の組織内ならびに腫瘍上に見られる。T細胞は、特に、CXCR4を発現することが知られ、ヒト体内のT細胞集団は、1兆の細胞に近づき、または超える。理論によって拘束されることを望まないが、細胞表面受容体、例えば、CXCR4を標的化する抗fugetactic剤の全身性送達は、体全体にわたる受容体へのその薬剤の無差別な結合をもたらすと考えられる。この結合は、薬剤を希薄化して、十分な免疫細胞のインビボ改変が、抗fugetacticであって患者において腫瘍および/または癌細胞を効率的および効果的に根絶するのを、より非効率にさせる。
【0010】
上記に示す知見に少なくとも一部基づき、エクスビボでのNK細胞への抗fugetactic剤の結合は、NK細胞と抗fugetactic剤の関連性の量を制御する改善された能力を提供して(例えば、CXCR4または抗fugetactic剤と結合する他の細胞表面受容体を介する)、患者に投与された場合に、全体的に、所望の抗fugetactic特性を保持する改変されたNK細胞集団を提供することが見いだされている。すなわち、改変されたNK細胞集団は、腫瘍または細胞を効果的に標的化するために、腫瘍または癌細胞のfugetactic効果を克服することが可能である。
【0011】
細胞表面上のCXCR4受容体に結合された抗fugetactic剤を有するNK細胞は、投与の前にfugetactic剤と接触されなかったNK細胞と比較して、改善された腫瘍貫入を有すると考えられる。加えて、本明細書に記載の改変されたNK細胞は、腫瘍および癌細胞をより良好に標的化および貫入すると考えられて、および、非癌性/非標的組織において「スタック」するのを避けると考えられる。
【0012】
改変されたNK細胞の投与の前または同時の非結合の抗fugetactic剤を用いた患者の治療は、NK細胞の腫瘍標的化および抗fugetactic応答にさらなる改善を提供する。特に、非結合の抗fugetactic剤を用いた治療は、インフュージョンされた免疫細胞上のCXCR4に結合した抗fugetactic剤に関して、より低い競合をもたらすと考えられる。すなわち、インフュージョンされた細胞によって遭遇される内因性CXCR4受容体の少なくともサブセットは、抗fugetactic剤によって占有されて、したがって、インフュージョンされた細胞と関連した抗fugetactic剤と競合することができない。
【0013】
本発明によれば、そのような改変されたNK細胞集団は、任意の適切な方法を介して投与され得る。一部の実施態様では、改変されたNK細胞集団は、腫瘍または腫瘍部位(単数または複数)、または癌細胞に、局所的または隣接して投与される。あるいは、改変されたNK細胞集団は、全身性に、例えば、静脈内インフュージョンによって投与され得る。
【0014】
同様に、非結合の抗fugetactic剤は、局所的または全身性を含む任意の適切な方法を介して投与され得る。
【0015】
一態様では、本開示は、改変されたヒトNK細胞を含むエクスビボのNK細胞集団に関し、前記NK細胞集団は、個々のNK細胞に結合した抗fugetactic剤を有する。一実施態様では、抗fugetactic剤は、細胞表面上の受容体を通して細胞に結合される。一実施態様では、受容体は、CXCR4である。一実施態様では、様々な量の抗fugetactic剤が、個々のNK細胞に結合される。一実施態様では、それぞれの細胞上の受容体の少なくとも一部は、薬剤によって占有されている。一実施態様では、抗fugetactic剤は、個々のNK細胞に結合される。
【0016】
一実施態様では、NK細胞集団は、患者に送達された場合に、インビボで、癌に対して全体的な抗fugetactic特性を示す。一実施態様では、NK細胞集団は、患者に送達された場合に、インビボで、腫瘍に貫入することが可能である(そのような高い能力を有する)。一実施態様では、NK細胞は、患者に送達された場合に、インビボで、腫瘍または癌細胞を標的化する改善された能力を有する。
【0017】
一態様では、本開示は、改変されたヒトNK細胞を含む改変されたNK細胞集団を含む組成物に関し、前記NK細胞集団は、個々のNK細胞に結合した抗fugetactic剤を有する。一実施態様では、抗fugetactic剤は、細胞表面上のCXCR4受容体(単数または複数)を通して細胞に結合される。一実施態様では、様々な量の抗fugetactic剤が、個々のNK細胞に結合される。一実施態様では、NK細胞集団は、患者に送達された場合に、インビボで、癌に対して全体的な抗fugetactic特性を示す。一実施態様では、NK細胞集団は、患者に送達された場合に、インビボで、腫瘍に貫入することが可能である(そのような高い能力を有する)。一実施態様では、NK細胞は、患者に送達された場合に、インビボで、腫瘍または癌細胞を標的化する改善された能力を有する。
【0018】
好ましい実施態様では、NK細胞は、アロジェニックNK細胞、自己由来NK細胞、または不死化NK細胞である。一実施態様では、NK細胞は、NK-92細胞である。一実施態様では、NK細胞は、キメラ抗原受容体(CAR)を発現するようにさらに改変される。
【0019】
一実施態様では、抗fugetactic剤は、AMD3100(モゾビル/プレリキサフォル)またはその誘導体、KRH-1636、T-20、T-22、T-140、TE-14011、T-14012、TN14003、TAK-779、AK602、SCH-351125、タンニン酸、NSC 651016、サリドマイド、GF 109230X、CXCR4に対する抗体、および、fugetacticケモカインに関する受容体の二量体化を妨げる抗体からなる群より選択される。好ましい実施態様では、抗fugetactic剤は、CXCR4に結合する。好ましくは、抗fugetactic剤は、AMD3100である。
【0020】
一実施態様では、組成物は、薬学的に許容できる賦形剤をさらに含む。
【0021】
一実施態様では、組成物は、免疫細胞と結合/関連しない抗fugetactic剤をさらに含む。
【0022】
一実施態様では、NK細胞は、癌を有する患者から得られる。一実施態様では、NK細胞は、アロジェニックNK細胞である。一実施態様では、NK細胞は、NK細胞株、例えば、NK-92である。
【0023】
一態様では、本開示は、癌を有する患者において、NK細胞による腫瘍貫入を高める方法に関し、当該方法は、有効量の本明細書に記載の細胞集団または組成物を、患者に投与するステップを含む。
【0024】
一態様では、本開示は、癌を有する患者を治療する方法に関し、当該方法は:
a)NK細胞を提供するステップ;
b)NK細胞を抗fugetactic剤と接触させることによりNK細胞を改変して、本明細書に記載の改変されたNK細胞を提供するステップ;および
c)癌を治療するように、改変されたNK細胞を患者に投与するステップ、を含む。
【0025】
一実施態様では、ステップa)は、患者由来の自己由来NK細胞を抽出するステップを含む。
【0026】
一部の実施態様では、治療的に有効量の抗fugetactic剤は、患者に全身性に投与される。一実施態様では、治療的に有効量の抗fugetactic剤は、改変されたNK細胞の投与前に投与される。一実施態様では、治療的に有効量の抗fugetactic剤は、改変されたNK細胞の投与と同時に投与される。
【0027】
一部の実施態様では、当該方法は、癌に特異的なキメラ抗原受容体を発現するように、NK細胞を遺伝子改変するステップをさらに含む。好ましくは、細胞は、NK細胞を抗fugetactic剤と接触させるステップの前に遺伝子改変される。
【0028】
一態様では、本開示は改変されたNK細胞組成物を作製するための方法に関し、当該方法は、(a)抗fugetactic剤と結合する受容体(例えば、CXCR4)を有するNK細胞を提供するステップ、および(b)NK細胞集団を抗fugetactic剤と接触させて、本明細書に記載の改変されたNK細胞集団を提供するステップ、を含む。
【0029】
一実施態様では、NK細胞を提供するステップは、癌を有する患者から自己由来NK細胞を抽出して、NK細胞集団を提供するステップを含む。
【0030】
一実施態様では、NK細胞は、前記抗fugetactic剤と接触されて、患者へのその後の投与のために保管される。一実施態様では、NK細胞は、患者への改変されたNK細胞集団の投与の直前に、抗fugetactic剤と接触される。
【0031】
本発明の一実施態様は、(a)CXCR4受容体を有する自己由来NK細胞を患者から抽出して、NK細胞集団を提供するステップ、および(b)NK細胞集団を抗fugetactic剤と接触させて、腫瘍または癌の効果的および効率的な治療に関する抗fugetactic特性を有する改変されたNK細胞集団を提供するステップによる、全体的な抗fugetactic特性を有する改変された自己由来NK細胞組成物を作製するためのエクスビボの方法に関する。
【0032】
本発明の一実施態様は、(a)contacting 自己由来NK細胞を患者から抽出して、NK細胞集団を提供するステップ、および(b)NK細胞集団を抗fugetactic剤と接触させて、腫瘍または癌の効果的および効率的な治療に関する抗fugetactic特性を有する改変されたNK細胞集団を提供するステップによる、全体的な抗fugetactic特性を有する改変された自己由来NK細胞組成物を作製するためのエクスビボの方法に関する。
【0033】
本発明の一実施態様は、それを必要とする患者への本明細書に記載の改変されたNK細胞組成物の全身性投与による、腫瘍または癌を治療するための方法に関する。
【0034】
本発明の一実施態様は、患者における腫瘍または部位(単数または複数)または癌細胞への、または隣接する、本明細書に記載の改変されたNK細胞組成物の局所投与による、腫瘍または癌を治療するための方法に関する。
【0035】
一実施態様では、腫瘍は、固形腫瘍である。一実施態様では、腫瘍は、非固形腫瘍である。一実施態様では、腫瘍は、白血病である。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1】ヒトT細胞に対する、増加する量のAMD3100の二峰性の走化性効果を示す。
図2】ヒトT細胞に対する、増加する量のAMD3100の二峰性のfugetactic効果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0037】
この説明を読んだ後は、様々な代替の実施態様および代替の適用での本発明の実施のやり方が、当業者に明らかになるであろう。しかしながら、本発明の全ての実施態様が本明細書に記載されるわけではない。ここに示される実施態様は例としてのみ示され、制限ではないことが理解されよう。したがって、様々な代替の実施態様の、この詳細な説明は、以下に記載の本発明の範囲または幅を制限すると解釈されるべきではない。
【0038】
本発明が開示および記載される前に、以下に記載される態様は、特定の組成物、そのような組成物を調製する方法、またはそれらの使用に限定されず、したがってもちろん変化し得ることが理解されるべきである。また、本明細書で用いられる専門用語は、特定の態様を説明する目的のためのみであり、限定されることを意図しないことも理解されるべきである。
【0039】
[定義]
別段の定義がされない限り、本明細書で用いられる全ての技術的および科学的用語は、本発明が属する当業者の1人によって一般に理解されるのと同一の意味を有する。
【0040】
本明細書において、および、その後の特許請求の範囲において、以下の意味を有することが定義されるいくつかの用語に対して参照がなされる:
【0041】
本明細書で用いられる専門用語は、特定の実施態様を説明する目的のためのみであり、本発明の限定を意図しない。本明細書において用いられる単数形「a」、「an」および「the」は、文脈が明確に別段の指示をしない限り、複数形も同様に含むことが意図される。
【0042】
範囲を含む全ての数字表示、例えば、pH、温度、時間、濃度、量、および分子量は、適切な場合、10%、1%、または0.1%(+)または(-)に変動する近似値である。常に明示的に述べられるわけではないが、全ての数字表示は、用語「約」が前に付いてよいことが理解される。また、常に明示的に述べられるわけではないが、本明細書に記載される試薬は単なる例示であること、および、そのような同等物は当技術分野で知られていることも理解される。
【0043】
「任意選択の(optional)」または「任意選択で(optionally)」は、その後に記載される事象または状況が生じ得るまたは生じ得ないこと、および、事象または状況が生じる事実およびそうでない事実をその記載が含むことを意味する。
【0044】
用語「含む(comprising)」または「含む(comprises)」は、組成物および方法が、挙げられたエレメントを含むが、他のものを除かないことを意味することを意図する。「から本質的になる」は、組成物および方法を定義するために用いられる場合、組み合わせに対する任意の本質的な意義の他のエレメントを除くことを意味する。例えば、本明細書に定義されるエレメントから本質的になる組成物は、特許請求の範囲に記載された発明の基礎および新規の特徴(単数または複数)に実質的に影響を与えない他のエレメンツを除外しない。「からなる」は、微量より多い他の成分および挙げられた実質的な方法ステップを除くことを意味する。これらの移行用語のそれぞれによって定義される実施態様は、本発明の範囲内である。
【0045】
用語「患者」、「対象」、「個体」などは、本明細書において相互交換可能に用いられ、インビトロまたはインサイチュであろうと、本明細書に記載の方法に適している任意の動物またはその細胞を指す。好ましい実施態様では、患者、対象、または個体は、哺乳類である。一部の実施態様では、哺乳類は、マウス、ラット、モルモット、非ヒト霊長類、イヌ、ネコ、または家畜動物(例えば、ウマ、ウシ、ブタ、ヤギ、ヒツジ)である。特に好ましい実施態様では、患者、対象または個体は、ヒトである。
【0046】
用語「癌」は、体の部分(単数または複数)における異常な細胞の無制御な分裂によって引き起こされる疾患を指す。用語「腫瘍」は、組織の異常な集合体を指す。腫瘍は、良性または悪性(癌性)であってよい。
【0047】
用語「治療(treating)」または「治療(treatment)」は、ヒトなどの対象における、本明細書に記載の疾患または障害の治療をカバーし、および、(i)疾患または障害を阻害する、すなわち、その発達を停止させる;(ii)疾患または障害を緩和させる、すなわち、障害の回帰を生じさせる;(iii)障害の進行を遅延させる;および/または、(iv)疾患または障害の1つまたは複数の症候の進行を阻害、緩和、または遅延させることを含む。例えば、癌または腫瘍の治療は、制限されないが、腫瘍のサイズの縮小、腫瘍および/またはその転移の除去、癌の寛解、腫瘍の転移の阻害、癌の少なくとも1つの兆候の縮小または除去などを含む。
【0048】
対象への、薬剤、薬、または、ナチュラルキラー細胞の「投与(administering)」または「投与(administration)」という用語は、その意図した機能を発揮するために、化合物を対象に導入または送達する任意の経路を含む。投与は、経口、鼻腔内、非経口的(静脈内、筋肉内、腹腔内、または皮下)、または局所的を含む、任意の適切な経路によって行なうことができる。投与は、自己投与および他人による投与を含む。好ましくは、投与は、静脈内投与、または、(例えば、腫瘍、腫瘍付近へ、または、体の特定の領域への)直接注入による。例えば、改変されたNK細胞および/または抗fugetactic剤の投与は、腫瘍内への直接注入によるものであってよい。改変されたNK細胞および/または抗fugetacticは、あるいは、腫瘍部位の近位に投与され得て、または、改変されたNK細胞および/または抗fugetacticは、腫瘍と関連する血管中に、(例えば、腫瘍内の、その付近の、またはそれに供給する、血管中へのマイクロカテーテル注入を介して)直接投与され得る。
【0049】
また、記載される医学的疾患および症状の治療または予防の様々なモデルは、「実質的」を意味することが意図されることも理解されるべきであり、それは、全てを含むが、全てよりも少ない治療または予防も含み、一部の生物学的または医学的に関連のある結果が達成される。
【0050】
用語「同時的な」投与は、同時または実質的に同時の、同一または異なる経路による、少なくとも2つの有効成分の投与を指す。
【0051】
用語「別個の」投与は、異なる経路による同時または実質的に同時の少なくとも2つの有効成分の投与を指す。
【0052】
用語「連続的な」投与は、異なる時の、少なくとも2つの有効成分の投与を指し、投与経路は同一または異なる。より具体的には、連続的な使用は、他方(単数または複数)の投与の開始前の、有効成分のうちの一方の全体的な投与を指す。したがって、他方の有効成分(単数または複数)の投与の前に、有効成分のうちの一方を、数分、数時間、または数日にわたって投与することが可能である。この場合は、同時の治療は存在しない。
【0053】
用語「同時の」治療的使用は、少なくとも2つの有効成分を、同一経路によって、同時または実質的に同時に投与することを指す。
【0054】
本明細書において用いられる用語「治療的」は、治療および/または予防を意味する。治療的効果は、病状の抑制、寛解、または根絶によって得られる。
【0055】
用語「治療的に有効量」または「有効量」は、投与された場合に、所望の効果を引き起こすのに十分な、薬剤の量を指す。例えば、有効量の抗fugetactic剤は、癌細胞または腫瘍に対して抗fugetactic効果を有する(例えば、腫瘍または癌細胞からのfugetactic効果を減衰する)のに十分な量であり得る。治療的に有効量の薬剤は、治療される癌のタイプおよびその重症度、ならびに、治療される患者の年齢、体重などに応じて変化する。熟練した当業者は、これらおよび他の因子に応じて適切な用量を決定することができる。また、組成物は、1つまたは複数のさらなる治療的化合物と組み合わせて投与してもよい。本明細書に記載の方法では、治療的化合物は、疾患または障害の1つまたは複数の兆候または症候を有する対象に投与され得る。
【0056】
細胞/細胞集団に関して、用語「死滅させる」は、その細胞/細胞集団の死を導く任意のタイプの操作を含むことを目的とする。
【0057】
本明細書において用いられる「抗体」は、従来の方法論に従って調製される、ポリクローナル、モノクローナル、単鎖、キメラ、ヒト化およびヒト抗体を含む。
【0058】
「サイトカイン」は、1つの細胞亜集団から放出されて、そして、例えば免疫応答の発生または制御において細胞間メディエータ―として作用する、非抗体、可溶性タンパク質の総称である。Human Cytokines:Handbook for Basic&Clinical Research(Agrawal,et al.eds.,Blackwell Scientific,Boston,Mass.1991)を参照(全ての目的のために、その全体で参照により本明細書中に援用される)。
【0059】
「CXCR4/CXCL12拮抗薬」は、CXCR4へのCXCL12の結合に拮抗する、または、CXCL12のfugetactic効果をその他の方法で低減させる、化合物を指す。
【0060】
「fugetactic活性」または「fugetactic効果」は、遊走能力を有する真核生物細胞を忌避する(または化学忌避する)薬剤の能力を意味する(すなわち、細胞は、忌避刺激から遠ざかることができる)。また、その用語は、腫瘍細胞などの細胞によって分泌されるケモカインの化学忌避効果も指す。通常、fugetactic効果は、細胞の周りの領域に存在し、そこでは、ケモカインの濃度は、fugetactic効果を与えるのに十分である。インターロイキン8およびCXCL12を含む一部のケモカインは、高濃度(例えば、約100nMよりも上)でfugetactic活性を発揮し得て、一方で、より低い濃度は、fugetactic効果を示さず、化学誘引物質にさえもなり得る。
【0061】
したがって、fugetactic活性を有する薬剤は、「fugetactic剤」である。そのような活性は、当技術分野でよく知られている任意の様々なシステムを用いて検出することができる(例えば、米国特許第5,514,555号および米国特許出願公開番号2008/0300165を参照、それぞれ、その全体で参照により本明細書中に援用される)。本明細書における使用に好ましいシステムは、米国特許第6,448,054号に記載され、その全体で参照により本明細書中に援用される。
【0062】
用語「抗fugetactic効果」は、抗fugetactic剤がケモカインのfugetactic効果を減衰または除去する効果を指す。
【0063】
本明細書において用いられる用語「免疫細胞」は、抗原の特異的な認識に関与する造血系起源の細胞である。免疫細胞は、抗原提示細胞(APC)、例えば、樹状細胞またはマクロファージ、B細胞、T細胞などを含む。好ましくは、本明細書における用語「免疫細胞」は、ナチュラルキラー細胞を指す。
【0064】
本明細書において用いられる用語「自己由来」または「自己由来細胞」は、取得されて同一患者に投与された、NK細胞を指す。
【0065】
本明細書において用いられる用語「アロジェニック」または「アロジェニック細胞」は、それらが投与される患者以外の対象から得られたNK細胞を指す。用語「アロジェニック」および「同種異系」は、本明細書において相互交換可能である。
【0066】
本明細書において用いられる用語「不死化」または「不死化細胞」は、インビトロで不死化されているNK細胞を指す。すなわち、それらは、インビトロの細胞培養において増殖および繁殖することができる。例は、NK-92細胞を含む。
【0067】
本明細書において用いられる用語「抗癌治療」または「抗癌剤」は、化学療法および放射線療法、ならびに、免疫療法、チェックポイント阻害剤、およびワクチン療法を含む、伝統的な癌治療を指す。
【0068】
本明細書において用いられる「キメラ抗原受容体」または「CAR」は、抗原認識部分およびT細胞活性化ドメインからなる融合タンパク質を指す。Eshhar et al.,(1993)Proc.Natl.Acad.Sci.,90(2):720-724。CARは、T細胞シグナリングまたはT細胞活性化ドメインに結合された抗体の抗原結合ドメイン(例えば、単鎖可変フラグメント(scFv))を含む、人工的に構築された複合型タンパク質またはポリペプチドである。CARは、MHCに制約されない様式で、細胞特異性および反応性を、選択された標的(すなわち、腫瘍細胞)の方へ向け直す能力を有し、モノクローナル抗体の抗原結合特性を利用する。MHCに制約されない抗原認識は、CARを発現している細胞に、抗原プロセッシングとは独立に抗原を認識する能力を与え、したがって、腫瘍エスケープの主なメカニズムを迂回する。
【0069】
[抗fugetactic剤]
抗fugetactic剤は、当技術分野で知られている任意の薬剤であってよい。一実施態様では、抗fugetactic剤は、米国特許出願公開番号2008/0300165に記載の抗fugetactic剤であり、その全体で参照により本明細書中に援用される。好ましい実施態様では、抗fugetactic剤は、AMD3100(モゾビル/プレリキサフォル;1,1’-[1,4-フェニレンビス(メチレン)]ビス[1,4,8,11-テトラアザシクロテトラデカン])またはその誘導体、KRH-1636、T-20、T-22、T-140、TE-14011、T-14012、TN14003、TAK-779、AK602、SCH-351125、タンニン酸、NSC 651016、サリドマイド、GF 109230X、CXCR4に対する抗体、および、fugetacticケモカインに関する受容体の二量体化を妨げる抗体からなる群より選択される。例えば、抗体は、CXCL12、IL-8、CXCR3、またはCXCR4の二量体化を阻害し得る。一実施態様では、抗fugetactic剤は、ケモカインの、その受容体への結合を妨げる抗体である。
【0070】
好ましい実施態様では、抗fugetactic剤は、CXCR4拮抗薬である。特に好ましい実施態様では、抗fugetactic剤は、AMD3100である。
【0071】
一実施態様では、抗fugetactic剤は、AMD3100誘導体である。AMD3100誘導体は、限定されないが、米国特許第7,935,692号および第5,583,131号(USRE42152)に見られるものを含み、それぞれ、その全体で参照により本明細書中に援用される。
【0072】
抗fugetactic剤は、ケモカインおよび/またはケモカイン受容体の二量体化を特異的に阻害し、それにより、fugetactic剤に対する化学忌避応答をブロックする、任意の薬剤を含む。IL-8およびCXCL12を含む特定のケモカインは、多くのケモカインが二量体として存在する高濃度(例えば、100nMよりも上)で、化学忌避物質としての役割を果たすこともできる。ケモカインの二量体化は、細胞において示差的応答を誘発して、ケモカイン受容体の二量体化を引き起こし、その活性は、化学忌避物質シグナルとして解釈される。腫瘍によって分泌される高濃度のケモカインの化学忌避効果のブロックは、例えば、ケモカイン二量体形成またはケモカイン受容体二量体形成を阻害する抗fugetactic剤によって達成され得る。例えばリガンド結合または二量体化ドメインの妨害によって、例えばケモカイン受容体二量体化を標的化およびブロックする抗体は、抗fugetactic剤であり得る。他の作用機構を介して作用する、例えば、細胞によって分泌されるfugetacticサイトカインの量を低減させる、二量体化を阻害する、および/または、標的受容体に対するケモカインの結合を阻害する、抗fugetactic剤も、本発明に含まれる。所望の場合は、この効果は、単量体ケモカインの走化性作用を阻害せずに達成することができる。
【0073】
他の実施態様では、抗fugetactic剤は、CXCR4拮抗薬、CXCR3拮抗薬、CXCR4/CXCL12拮抗薬、または、選択的なPKC阻害剤である。
【0074】
CXCR4拮抗薬は、制限されないが、AMD3100またはその誘導体、KRH-1636、T-20、T-22、T-140、TE-14011、T-14012、またはTN14003、CXCR4に対する抗体、または、CXCR4の二量体化を妨げる抗体であってよい。さらなるCXCR4拮抗薬は、例えば、米国特許公開番号2014/0219952およびDebnath et al.Theranostics,2013;3(1):47-75に記載されて、それぞれ、その全体で参照により本明細書中に援用され、および、TG-0054(burixafor)、AMD3465、NIBR1816、AMD070、および、それらの誘導体を含む。
【0075】
CXCR3拮抗薬は、制限されないが、TAK-779、AK602、またはSCH-351125、または、CXCR3の二量体化を妨げる抗体であってよい。
【0076】
CXCR4/CXCL12拮抗薬は、制限されないが、タンニン酸、NSC 651016、または、CXCR4および/またはCXCL12の二量体化を妨げる抗体であってよい。
【0077】
選択的なPKC阻害剤は、制限されないが、サリドマイドまたはGF 109230Xであってよい。
【0078】
好ましい実施態様では、抗fugetactic剤は、AMD3100(プレリキサフォル)である。AMD3100は、米国特許第5,583,131号に記載され、その全体で参照により本明細書中に援用される。
【0079】
一実施態様では、抗fugetactic剤は、腫瘍または癌の標的化を可能にする分子と連結される。一実施態様では、抗fugetactic剤は、標的化すべき腫瘍に特異的な抗体と連結(例えば結合)される。一実施態様では、抗fugetactic剤は、腫瘍または癌の標的化を可能にする分子に連結される。
【0080】
[ナチュラルキラー(NK)細胞]
ナチュラルキラー(NK)細胞は、ヒトにおけるリンパ球のおよそ10%を典型的に含む、リンパ球のクラスである。NK細胞は、腫瘍および感染した(標的)細胞に対して、先天性の細胞性免疫応答を与える。CD3-/CD56+表現型を有するものとして特徴付けられるNK細胞は、様々な活性化および抑制性の細胞表面受容体を提示する。NK細胞抑制性受容体は、主に、正常細胞の表面上の主要組織適合複合体クラスI(「MHC-I」)タンパク質とエンゲージして、NK細胞の活性化を防ぐ。MHC-I分子は、特定の個体に「属する」ものとして細胞を定義する。腫瘍またはウイルスが感染した細胞の場合に多いような、これらの「自己」MHC-I分子が欠失または欠損している細胞によってのみ、NK細胞は活性化され得ると考えられる。
【0081】
NK細胞がトリガーされて、標的細胞上の対応するリガンドへの活性化NK細胞受容体の結合またはライゲーションの際に、標的細胞に対して直接的に細胞傷害性効果を与える。細胞傷害性効果は、NK細胞による様々なサイトカインの分泌によって仲介されて、次々に、他の免疫系薬剤を刺激および動員して、標的に対して作用する。また、活性化されたNK細胞は、酵素パーフォリンおよびグランザイムの分泌、アポトーシスを開始する受容体の刺激、および他のメカニズムを介して、標的細胞を溶解させる。
【0082】
NK細胞は、特定の癌の治療での免疫療法薬として評価されている。この目的のために用いられるNK細胞は、自己由来または非自己由来(すなわち、ドナー由来)であってよい。
【0083】
一実施態様では、本明細書における組成物および方法で用いられるNK細胞は、自己由来NK細胞である。一実施態様では、本明細書における組成物および方法で用いられるNK細胞は、非自己由来NK細胞である。
【0084】
一実施態様では、本明細書における組成物および方法で用いられるNK細胞は、遺伝子改変されたNK細胞である。NK細胞は、野生型NK細胞によって発現されない1つまたは複数のタンパク質を細胞が発現するように、細胞内に遺伝子またはRNAを挿入することによって遺伝子改変され得る。一実施態様では、NK細胞は、キメラ抗原受容体(CAR)を発現するように遺伝子改変される。好ましい実施態様では、CARは、当該方法または組成物によって標的化される癌に特異的である。
【0085】
改変されたNK細胞の非限定的な例は、例えば、Glienke,et al.2015,Advantages and applications of CAR-expressing natural killer cells,Frontiers in Pharmacol.6,article 21;PCT特許公開番号WO2013154760およびWO2014055668に見ることができ;それぞれ、その全体で参照により本明細書中に援用される。
【0086】
一部の実施態様では、NK細胞は、NK細胞株である。NK細胞株は、制限されずに、NK-92、NK-YS、KHYG-1、NKL、NKG、SNK-6、およびIMC-1を含む。Klingemann et al.Front Immunol.2016;7:91を参照し、それは、その全体で参照により本明細書中に援用される。
【0087】
[NK-92細胞]
NK-92細胞株は、非ホジキンリンパ腫を患っている対象の血液中に発見された。NK-92細胞は、正常なNK細胞によって提示される主な抑制性受容体を欠失しているが、活性化受容体の大部分を保持している。NK-92細胞は、NK細胞よりもかなり広範囲の腫瘍および感染した細胞型に対して細胞傷害性であり、しばしば、これらの標的に対してより高いレベルの細胞傷害性を示す。しかしながら、NK-92細胞は、正常細胞を攻撃せず、免疫拒絶反応も誘発しない。加えて、NK-92細胞は、連続的な細胞培養において、容易および安定的に増殖および維持することができ、したがって、c-GMP準拠した品質管理の下で大量に調製することができる。この特徴の組み合わせは、多数のタイプの癌の治療に関して現在行なわれている臨床試験にNK-92が入る結果となっている。
【0088】
本明細書に記載の組成物および方法において用いられるNK-92細胞は、野生型(すなわち、非遺伝子改変)NK-92細胞または遺伝子改変NK-92細胞であってよい。NK-92細胞は、野生型NK-92細胞によって発現されない1つまたは複数のタンパク質を細胞が発現するように、細胞内に遺伝子またはRNAを挿入することによって遺伝子改変され得る。一実施態様では、NK-92細胞は、細胞表面上にキメラ抗原受容体(CAR)を発現するように遺伝子改変される。好ましい実施態様では、CARは、当該方法または組成物によって標的化される癌に特異的である。一実施態様では、NK-92細胞は、細胞表面上にFc受容体を発現するように遺伝子改変される。好ましい実施態様では、Fc受容体を発現しているNK-92細胞は、抗体依存性の細胞媒介細胞傷害性(ADCC)を仲介することができる。一実施態様では、Fc受容体は、CD16である。一実施態様では、NK-92細胞は、サイトカイン(例えば、IL-2)を発現するように遺伝子改変される。
【0089】
一実施態様では、改変されたNK-92細胞は、治療されるべき癌に特異的な抗体と合わせて投与される。好ましい実施態様では、抗体と組み合わせて投与される改変されたNK-92細胞は、ADCCを仲介する能力がある。NK-92細胞の例は、ATCC CRL-2407としてAmerican Type Culture Collection(ATCC)から利用可能である。
【0090】
改変されたNK-92細胞の非限定的な例は、例えば、米国特許第7,618,817号および第8,034,332号;および米国特許公開番号2002/0068044および2008/0247990に記載されて、それぞれ、その全体で参照により本明細書中に援用される。改変されたNK-92細胞の例は、ATCC CRL-2408、ATCC CRL-2409、PTA-6670、PTA-6967、PTA-8837、およびPTA-8836として、ATCCから利用可能である。CAR改変NK-92細胞の非限定的な例は、例えば、Glienke,et al.2015,Advantages and applications of CAR-expressing natural killer cells,Frontiers in Pharmacol.6,article 21に見ることができ;その全体で参照により本明細書中に援用される。
【0091】
[キメラ抗原受容体]
現在または将来に当業者に公知である任意のCARは、本開示によって包含される。一実施態様では、CARは、腫瘍特異的抗原に特異的である。腫瘍特異的抗原は、癌特異的抗原とも呼ばれ得る。一実施態様では、CARは、腫瘍関連抗原に特異的である。腫瘍関連抗原は、癌関連抗原とも呼ばれ得る。腫瘍特異的抗原は、癌細胞に特有のタンパク質または他の分子であり、一方で、腫瘍関連抗原は、特定の腫瘍細胞と高い相関の抗原であり、典型的に、正常細胞と比較して腫瘍細胞上により高いレベルでみられる。腫瘍特異的抗原は、非限定的な例として、米国特許第8,399,645号、米国特許第7,098,008号;WO1999/024566;WO2000/020460;およびWO2011/163401に記載されて、それぞれ、その全体で参照により本明細書中に援用される。
【0092】
一部の公知のCARの例が、表2に開示される。一実施態様では、CARは、制限されないが、α-葉酸受容体、CAIX、CD19、CD20、CD30、CD33、CEA、EGP-2、erb-B2、erb-B 2,3,4、FBP、GD2、GD3、Her2/neu、IL-13R-a2、k-軽鎖、LeY、MAGE-A1、メソテリン、または、PSMAのような、腫瘍関連抗原を標的化する。
【0093】
一部の実施態様では、CARは、特定の癌タイプ、例えば、制限されないが、卵巣癌、腎細胞癌、B細胞悪性腫瘍、急性リンパ芽球性白血病白血病(ALL)、慢性リンパ性白血病(CLL)、B細胞悪性腫瘍、難治性小胞リンパ腫、マントル細胞リンパ腫、無痛性B細胞リンパ腫、急性骨髄性白血病(AML)、ホジキンリンパ腫、頸部癌腫、乳癌(炎症性乳癌を含む)、結腸直腸癌、前立腺癌、神経芽細胞腫、メラノーマ、横紋筋肉腫、髄芽腫、腺癌、または腫瘍血管新生と関連する抗原を認識する。一部の実施態様では、CARは、表2に挙げた抗原を認識する。
【0094】
【表1】
【0095】
免疫細胞は、当技術分野で知られている任意の方法によって、所望のCARを発現するように遺伝子改変され得る。所望のCARをコードするポリヌクレオチドを含むベクターは、物理的、化学的、または生物学的手段によって、免疫細胞内に容易に導入され得る。ポリヌクレオチドを免疫細胞内に導入するための物理的方法は、リン酸カルシウム沈殿、リポフェクション、微粒子銃、マイクロインジェクション、エレクトロポレーションなどを含む。ベクターおよび/または外来性の核酸を含む改変された細胞を産生する方法は、当技術分野でよく知られている。例えば、Sambrook et al.(2001,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory,New York)を参照。目的のポリヌクレオチドを免疫細胞内に導入するための生物学的方法は、DNAおよびRNAベクターの使用を含む。ウイルスベクター、および特にレトロウイルスベクターは、ヒトなどの哺乳類の細胞内に遺伝子を挿入するための、最も広く用いられる方法となっている。他のウイルスベクターは、レンチウイルス、ポックスウイルス、単純ヘルペスウイルスI、アデノウイルスおよびアデノ関連ウイルスなどに由来し得る。例えば、米国特許第5,350,674号および第5,585,362号を参照。ポリヌクレオチドを免疫細胞内に導入するための化学的手段は、コロイド分散系、例えば、高分子複合体、ナノカプセル、マイクロスフェア、ビーズ、および、水中油エマルション、ミセル、混合ミセルおよびリポソームを含む、脂質ベース系を含む。
【0096】
[改変されたNK細胞組成物]
本発明によれば、改変されたNK細胞組成物は、本明細書に記載の方法によって、エクスビボ(すなわち、対象の体外)で調製される
【0097】
一態様では、本開示は、改変されたヒトNK細胞を含むエクスビボのNK細胞集団に関し、前記NK細胞集団は、個々のNK細胞に結合した抗fugetactic剤を有する。一実施態様では、抗fugetactic剤は、細胞表面上の受容体を通して細胞に結合される。一実施態様では、受容体は、CXCR4である。一実施態様では、様々な量の抗fugetactic剤が、個々のNK細胞に結合される。一実施態様では、それぞれの細胞上の受容体の少なくとも一部は、薬剤によって占有されている。一実施態様では、抗fugetactic剤は、個々のNK細胞に結合される。
【0098】
一実施態様では、「受容体の少なくとも一部」は、特定のタイプの受容体(例えば、CXCR4受容体)の、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、または少なくとも95%が、薬剤によって占有されていることを指す。
【0099】
一部の実施態様では、本明細書に記載の組成物の作製での使用のための自己由来NK細胞は、当技術分野で知られている方法に従って、癌性腫瘍または他の癌を有する患者の血液、骨髄、または他の免疫細胞を含む臓器から抽出または他の方法で単離される。
【0100】
一部の実施態様では、アロジェニックNK細胞は、治療されるべき癌を有する患者以外の対象の血液、骨髄、または他の免疫細胞を含む臓器から抽出または他の方法で単離される。
【0101】
一部の実施態様では、NK細胞株が提供される。一部の実施態様では、NK細胞株は、NK-92細胞株または遺伝子改変NK-92細胞株である。一部の実施態様では、細胞株は、NK-YS、KHYG-1、NKL、NKG、SNK-6、またはIMC-1、または、それら由来の遺伝子改変細胞株である。
【0102】
NK細胞は、それから、所定の量の本明細書に記載の抗fugetactic剤、好ましくはAMD3100と、NK細胞集団が全体的な抗fugetactic特性を有するような条件下で、接触、混合、または他の方法で合わせられる。例えば、その条件は、抗fugetactic剤が、集団内の個々の細胞の表面上のCXCR4受容体の少なくともサブセットに結合するのを可能にし得る。当業者によって理解されるように、抗fugetactic剤の量は、例えば、米国特許出願公開番号2008/0300165に記載のように決定され得て、それは、その全体で参照により本明細書中に援用される。
【0103】
NK細胞は、抗fugetactic剤と接触されて、抗fugetactic特性を有する(例えば、腫瘍を標的化および/または貫入する改善された能力を有する)改変されたNK細胞集団または組成物を形成して、それから、癌を有する患者へのその後の投与のために、血液製品に関して当技術分野で知られている条件下で保管され得る。一実施態様では、NK細胞は、血液製品に関して当技術分野で知られている条件下で保管されて(および任意選択で抽出されて)、それから、改変されたNK細胞集団または組成物の患者への投与の直前に、抗fugetactic剤と接触される。別の実施態様では、NK細胞は、改変されたNK細胞集団または組成物の患者への投与の直前に、抗fugetactic剤と接触される(および任意選択で抽出される)。
【0104】
[抗癌治療]
一部の実施態様では、少なくとも1つのさらなる抗癌治療は、改変されたNK細胞と組み合わせて投与される。抗癌治療は、制限されないが、化学療法、放射線(例えば、陽子線療法、近接照射療法、外部ビーム療法など)、免疫療法、ワクチン療法などを含む、癌を治療するために用いられる任意の治療であってよい。
【0105】
一部の実施態様では、抗癌治療は、改変されたNK細胞の投与前に投与される。一部の実施態様では、抗癌治療は、改変されたNK細胞の投与後に投与される。一部の実施態様では、抗癌治療は、改変されたNK細胞の投与と同時に投与される。
【0106】
一部の実施態様では、抗癌治療は、改変されたNK細胞と同一の組成物において投与される。一部の実施態様では、抗癌治療および改変されたNK細胞は、異なる組成物において投与される。
【0107】
一部の実施態様では、抗癌治療および改変されたNK細胞の投与は、所望の治療的成果が到達されるまで交互にされる。
【0108】
[投与量および投与]
本明細書に記載の改変されたNK細胞組成物は、有効量で患者にインビボで投与される。有効量は、投与モード、治療される特定の状態および所望の成果に依存する。それはまた、状態のステージ、対象の年齢および健康状態、もしあるならば同時的な治療の性質、および、医師によく知られた同様の因子にも依存する。治療的適用については、医学的に望ましい結果を達成するのに十分な量である。
【0109】
患者に投与されるべき改変されたNK細胞組成物の量は、とりわけ、用いられるNK細胞のタイプに依存する。自己由来、アロジェニック、および/または不死化NK細胞の投与量は、当技術分野で知られていて、有資格医師によって決定され得る。一部の実施態様では、本明細書に記載のように改変されなかったNK細胞の標準的な投与量と比較して、低減された量の細胞が用いられ得る。理論に拘束されずに、腫瘍への細胞の改善された標的化/貫入は、より少ない合計細胞が、治療に必要とされることとなると考えられる。
【0110】
一般に、本発明の改変されたNK細胞組成物の投与量は、1日あたり約5mg/kg体重~1日あたり約50mg/kgの抗fugetactic剤であり、その間の全ての値および範囲を含めて、エンドポイントを含む。一実施態様では、投与量は、1日あたり約10mg/kg~約50mg/kgである。一実施態様では、投与量は、1日あたり約10mg/kg~約40mg/kgである。一実施態様では、投与量は、1日あたり約10mg/kg~約30mg/kgである。好ましい実施態様では、投与量は、1日あたり約10mg/kg~約20mg/kgである。一実施態様では、投与量は、1日あたり約50mg/kgを超えない。
【0111】
抗fugetactic剤が免疫細胞とともに投与される場合は、抗fugetactic剤の投与量は、1日あたり約5mg/kg体重~1日あたり約50mg/kgであってよく、その間の全ての値および範囲を含めて、エンドポイントを含む。一実施態様では、投与量は、1日あたり約10mg/kg~約50mg/kgである。一実施態様では、投与量は、1日あたり約10mg/kg~約40mg/kgである。一実施態様では、投与量は、1日あたり約10mg/kg~約30mg/kgである。好ましい実施態様では、投与量は、1日あたり約10mg/kg~約20mg/kgである。一実施態様では、投与量は、1日あたり約50mg/kgを超えない。
【0112】
一実施態様では、改変されたNK細胞組成物および/または非結合の抗fugetactic剤の投与量は、1週あたり約50mg/kg~1週あたり約350mg/kgの抗fugetactic剤であり、その間の全ての値および範囲を含めて、エンドポイントを含む。一実施態様では、投与量は、1週あたり約50mg/kgである。一実施態様では、投与量は、1週あたり約60mg/kgである。一実施態様では、投与量は、1週あたり約70mg/kgである。一実施態様では、投与量は、1週あたり約80mg/kgである。一実施態様では、投与量は、1週あたり約90mg/kgである。一実施態様では、投与量は、1週あたり約100mg/kgである。一実施態様では、投与量は、1週あたり約110mg/kgである。一実施態様では、投与量は、1週あたり約120mg/kgである。一実施態様では、投与量は、1週あたり約130mg/kgである。一実施態様では、投与量は、1週あたり約140mg/kgである。一実施態様では、投与量は、1週あたり約150mg/kgである。一実施態様では、投与量は、1週あたり約160mg/kgである。一実施態様では、投与量は、1週あたり約170mg/kgである。一実施態様では、投与量は、1週あたり約180mg/kgである。一実施態様では、投与量は、1週あたり約190mg/kgである。一実施態様では、投与量は、1週あたり約200mg/kgである。一実施態様では、投与量は、1週あたり約210mg/kgである。一実施態様では、投与量は、1週あたり約220mg/kgである。一実施態様では、投与量は、1週あたり約230mg/kgである。一実施態様では、投与量は、1週あたり約240mg/kgである。一実施態様では、投与量は、1週あたり約250mg/kgである。一実施態様では、投与量は、1週あたり約260mg/kgである。一実施態様では、投与量は、1週あたり約270mg/kgである。一実施態様では、投与量は、1週あたり約280mg/kgである。一実施態様では、投与量は、1週あたり約290mg/kgである。一実施態様では、投与量は、1週あたり約300mg/kgである。一実施態様では、投与量は、1週あたり約310mg/kgである。一実施態様では、投与量は、1週あたり約320mg/kgである。一実施態様では、投与量は、1週あたり約330mg/kgである。一実施態様では、投与量は、1週あたり約340mg/kgである。一実施態様では、投与量は、1週あたり約350mg/kgである。
【0113】
本発明の一態様では、改変されたNK細胞組成物および/または非結合の抗fugetactic剤の投与は、抗fugetactic効果を有する(例えば、腫瘍細胞のfugetactic効果を減衰させる)のに十分な期間、拍動性である。一実施態様では、ある量の改変されたNK細胞組成物および/または非結合の抗fugetactic剤が、1時間毎~24時間毎、例えば、1時間毎、2時間毎、3時間毎、4時間毎、5時間毎、6時間毎、7時間毎、8時間毎、9時間毎、10時間毎、11時間毎、12時間毎、13時間毎、14時間毎 15時間毎、16時間毎、17時間毎、18時間毎、19時間毎、20時間毎、21時間毎、22時間毎、23時間毎、または24時間毎に投与される。一実施態様では、ある量の改変されたNK細胞組成物および/または非結合の抗fugetactic剤が、1日毎、2日毎、3日毎、4日毎、5日毎、6日毎、7日毎、8日毎、9日毎、または10日毎に投与される。
【0114】
様々な投与経路が利用可能である。本発明の方法は、一般的に言えば、医学的に許容できる任意の投与モードを用いて実施され得て、臨床上受け入れ難い副作用を引き起こさずに効果的なレベルの活性化合物を生産する任意のモードを意味する。
【0115】
改変されたNK細胞組成物および/または非結合の抗fugetactic剤は、少なくとも1つの抗癌治療/薬剤と組み合わせて投与され得る。「組み合わせて」は、連続的または同時の投与を含む、任意の組み合わせを指す。一実施態様では、改変されたNK細胞組成物および/または非結合の抗fugetactic剤は、抗癌治療/薬剤とは別に投与される。一実施態様では、改変されたNK細胞組成物および/または非結合の抗fugetactic剤は、抗癌剤(単数または複数)とともに単一の組成物で投与される。
【0116】
一実施態様では、改変されたNK細胞組成物および/または非結合の抗fugetactic剤および/または抗癌剤は、静脈内、皮下、経口で、または腹腔内に投与される。一実施態様では、改変されたNK細胞組成物および/または非結合の抗fugetactic剤および/または抗癌剤は、腫瘍の近位(例えば、同一の体腔内または付近)に投与される。一実施態様では、改変されたNK細胞組成物および/または非結合の抗fugetactic剤および/または抗癌剤は、腫瘍内に、または腫瘍に供給する血管内に、直接投与される。一実施態様では、改変されたNK細胞組成物および/または非結合の抗fugetactic剤および/または抗癌剤は、全身性に投与される。さらなる実施態様では、改変されたNK細胞組成物および/または非結合の抗fugetactic剤および/または抗癌剤は、マイクロカテーテル、または埋め込まれたデバイス、および埋め込まれた剤形によって投与される。
【0117】
一実施態様では、改変されたNK細胞組成物および/または非結合の抗fugetactic剤は、非経口的に投与される。一実施態様では、改変されたNK細胞組成物および/または非結合の抗fugetactic剤は、腫瘍に近位の血管中に、マイクロカテーテルを介して投与される。一実施態様では、改変されたNK細胞組成物および/または非結合の抗fugetactic剤は、腫瘍内の血管中に、マイクロカテーテルを介して投与される。一実施態様では、改変されたNK細胞組成物および/または非結合の抗fugetactic剤は、皮下に投与される。一実施態様では、改変されたNK細胞組成物および/または非結合の抗fugetactic剤は、皮内に投与される。
【0118】
一実施態様では、改変されたNK細胞組成物および/または非結合の抗fugetactic剤は、所定の期間、連続的な様式で投与される。別の実施態様では、改変されたNK細胞組成物および/または非結合の抗fugetactic剤は、拍動性の様式で投与される。例えば、改変されたNK細胞組成物および/または非結合の抗fugetactic剤は、長年にわたり間欠的に投与され得る。
【0119】
加えて、本発明の重要な実施態様は、特に、非結合の抗fugetactic剤の投与に関して、ポンプに基づくハードウェア送達システムを含み、その一部は埋め込みに適合される。そのような埋め込み型ポンプは、制御放出マイクロチップを含む。好ましい制御放出マイクロチップは、Santini,J T Jr.et al.,Nature,1999,397:335-338に記載され、その内容は参照により本明細書中に明示的に援用される。
【0120】
一実施態様では、改変されたNK細胞組成物および/または非結合の抗fugetactic剤および/または少なくとも1つのさらなる抗癌剤は、腫瘍部位に直接投与される。一実施態様では、改変されたNK細胞組成物および/または非結合の抗fugetactic剤および/または少なくとも1つのさらなる抗癌剤は、腫瘍内に直接注入によって投与される。一実施態様では、改変されたNK細胞組成物および/または非結合の抗fugetactic剤および/または少なくとも1つのさらなる抗癌剤は、腫瘍部位の近位に投与される。好ましい実施態様では、改変されたNK細胞組成物および/または非結合の抗fugetactic剤および/または少なくとも1つのさらなる抗癌剤は、腫瘍と関連する血管中に、(例えば、腫瘍内の、その付近の、またはそれに供給する、血管中へのマイクロカテーテル注入を介して)直接投与される。
【0121】
ケモカインのfugetactic効果を減衰させるのに十分な期間、本開示に従った有効量の改変されたNK細胞組成物(非結合の抗fugetactic剤の投与を伴うまたは伴わない)による腫瘍または癌の治療は、腫瘍に対する免疫防御を回復させて、抗癌剤(例えば、化学療法薬、放射線療法薬、免疫療法など)が、腫瘍または癌を低減または根絶させるために、腫瘍または癌により良好にアクセスするのも可能にし得ることが理解されるべきである。理論に拘束されずに、本明細書に記載の改変されたNK細胞組成物および抗癌剤の同時投与は、いずれかの治療単独を用いるよりも患者が良好な成果を有するように、腫瘍または癌を有する患者において相乗の応答をもたらすと考えられる。抗癌剤は、制限されずに、公知の癌治療、例えば化学療法、放射線療法、免疫療法、および/またはワクチン療法を含む。
【0122】
抗癌剤は、任意の適切な方法によって投与され得る。化学療法薬、放射線療法薬、および抗癌ワクチンを含む抗癌剤に関する、用量、治療プロトコル、および、投与経路は、当技術分野で知られていて、および/または、治療のタイプ、癌のタイプなどに基づいて熟練した臨床医が決定する能力内である。
【0123】
本発明の一態様では、改変されたNK細胞組成物および/または非結合の抗fugetactic剤および/または抗癌剤(単数または複数)は、連続して投与される。すなわち、改変されたNK細胞組成物および/または非結合の抗fugetactic剤は、改変されたNK細胞による腫瘍または癌細胞の標的化および/または貫入を可能にするのに十分な期間、投与されて、抗癌剤がその後に投与される。
【0124】
本発明の一態様では、抗癌剤は、改変されたNK細胞組成物および/または非結合の抗fugetactic剤の投与の期間後に投与される。一実施態様では、抗癌剤は、癌細胞/腫瘍のfugetactic効果が、改変されたNK細胞組成物および/または非結合の抗fugetactic剤によって減衰される期間のあいだ、投与される。抗癌剤の投与の時間の長さおよびモードは、用いられる抗癌剤、治療される腫瘍のタイプ、患者の状態などに応じて変化する。そのようなパラメーターの決定は、熟練した臨床医の能力の範囲内である。
【0125】
一実施態様では、改変されたNK細胞組成物および/または非結合の抗fugetactic剤および抗癌剤の投与は交互にされる。好ましい実施態様では、改変されたNK細胞組成物および/または非結合の抗fugetactic剤および抗癌剤の投与は、患者の状態が改善するまで交互にされる。改善は、制限されずに、腫瘍および/またはその転移のサイズの縮小、腫瘍および/またはその転移の除去、癌の寛解、および/または、癌の少なくとも1つの兆候の減衰を含む。
【0126】
一実施態様では、改変されたNK細胞組成物および/または非結合の抗fugetactic剤および抗癌剤(単数または複数)は、連続して投与される。例えば、改変されたNK細胞組成物および/または非結合の抗fugetactic剤は、例えば、改変されたNK細胞組成物および/または非結合の抗fugetactic剤が抗fugetactic効果を有するように、腫瘍のfugetactic効果を低減または減衰させるのに十分な期間、投与され得て;それから、腫瘍のfugetactic効果が低減または減衰される期間、抗癌剤が投与され得る。一実施態様では、改変されたNK細胞組成物および/または非結合の抗fugetactic剤および抗癌剤は、少なくとも患者の状態が改善するまで、交互の様式で連続して投与される。患者の状態の改善は、制限されずに、腫瘍サイズの縮小、癌の少なくとも1つの兆候の縮小、腫瘍および/またはその転移の除去、患者の生存増大などを含む。
【0127】
[化学療法薬]
本発明の一態様では、改変されたNK細胞組成物および/または非結合の抗fugetactic剤は、化学療法薬と組み合わせて投与される。化学療法薬は、1つまたは複数のタイプの癌に治療的効果を有する任意の薬剤であってよい。多くの化学療法薬が現在のところ当技術分野で知られている。化学療法薬のタイプは、非限定的な例として、アルキル化剤、代謝拮抗剤、抗腫瘍抗生物質、トポイソメラーゼ(totpoisomerase)阻害剤、分裂阻害剤、コルチコステロイドなどを含む。
【0128】
化学療法薬の非限定的な例は、:ナイトロジェンマスタード、例えば、メクロレタミン(ナイトロジェンマスタード)、クロラムブシル、シクロホスファミド(シトキサン(登録商標))、イホスファミド、およびメルファラン);ニトロソウレア、例えば、ストレプトゾシン、カルムスチン(BCNU)、およびロムスチン;ブスルファンのようなスルホン酸アルキル;ダカルバジン(DTIC)およびテモゾロミド(テモダール(登録商標))のようなトリアジン類;チオテパおよびアルトレタミン(ヘキサメチルメラミン)のようなエチレンイミン類;シスプラチン、カルボプラチン、およびオキサリプラチン(oxalaplatin)のようなプラチナ薬;5-フルオロウラシル(5-FU);6-メルカプトプリン(6-MP);カペシタビン(ゼローダ(登録商標));シタラビン(Ara-C(登録商標));フロクスウリジン;フルダラビン;ゲムシタビン(ジェムザール(登録商標));ヒドロキシ尿素;メトトレキサート;ペメトレキセド(アリムタ(登録商標));アントラサイクリン、例えば、ダウノルビシン、ドキソルビシン(アドリアマイシン(登録商標))、エピルビシン、イダルビシン;アクチノマイシン-D;ブレオマイシン;マイトマイシン-C;ミトキサントロン;トポテカン;イリノテカン(CPT-11);エトポシド(VP-16);テニポシド;ミトキサントロン;タキサン:パクリタキセル(タキソール(登録商標))およびドセタキセル(タキソテレ(登録商標));エポチロン類:イキサベピロン(イグゼンプラ(登録商標));ビンカアルカロイド:ビンブラスチン(Velban(登録商標))、ビンクリスチン(オンコビン(登録商標))、およびビノレルビン(ナベルビン(登録商標));エストラムスチン(Emcyt(登録商標));プレドニゾン;メチルプレドニソロン(ソルメドロール(登録商標));デキサメタゾン(デカドロン(登録商標));L-アスパラギナーゼ;ボルテゾミブ(ベルケイド(登録商標))を含む。さらなる化学療法薬は、例えば、米国特許出願公開番号2008/0300165に挙げられ、その全体で参照により本明細書中に援用される。
【0129】
化学療法薬に関する投与量および投与プロトコルは、当技術分野でよく知られている。熟練した臨床医は、投与される化学療法薬(単数または複数)、治療される癌のタイプ、癌のステージ、患者の年齢および状態、患者サイズ、腫瘍の位置などを含む因子に基づいて、使用すべき適切な投薬レジメンを容易に決定することができる。
【0130】
[放射線療法薬]
本発明の一態様では、改変されたNK細胞組成物および/または非結合の抗fugetactic剤は、放射線療法薬と組み合わせて投与される。放射線療法薬は、1つまたは複数のタイプの癌に対して治療的効果を有する任意のそのような薬剤であってよい。多くの放射線療法薬が、現在のところ、当技術分野で知られている。放射線療法薬のタイプは、非限定的な例として、X線、γ線、および荷電粒子を含む。一実施態様では、放射線療法薬は、体の外側の機械によって届けられる(体外照射療法)。好ましい実施態様では、放射線療法薬は、腫瘍/癌細胞付近の体内に置かれ(近接照射療法)、または、全身性放射線療法である。
【0131】
体外照射療法は任意の手段によって施され得る。体外照射療法の非限定的な例は、直線加速器によって施される放射線療法、三次元原体照射法(3D-CRT)、強度変調放射線療法(IMRT)、画像誘導放射線療法(IGRT)、トモセラピー、定位放射線手術、光子療法、定位放射線療法、陽子線療法、および電子ビーム療法を含む。
【0132】
内部放射線療法(近接照射療法)は、任意の技術または薬剤によるものであってよい。内部放射線療法の非限定的な例は、ラジウム-226(Ra-226)、コバルト-60(Co-60)、セシウム-137(Cs-137)、セシウム-131、イリジウム-192(Ir-192)、金-198(Au-198)、ヨウ素-125(I-125)、パラジウム-103、イットリウム-90などのような、腫瘍内または近位に配置され得る任意の放射性薬剤を含む。そのような薬剤は、シード(seed)、ニードル、または任意の他の投与経路によって投与され得て、一時的または永久であってよい。
【0133】
全身性放射線療法は、任意の技術または薬剤によるものであってよい。全身性放射線療法の非限定的な例は、放射性ヨウ素、イブリツモマブチウキセタン(ゼヴァリン(登録商標))、トシツモマブおよびヨウ素I 131トシツモマブ(ベキサール(登録商標))、サマリウム-153-レキシドロナム(クアドラメット(登録商標))、ストロンチウム-89クロライド(メタストロン(登録商標))、メタヨードベンジルグアニジン、ルテチウム-177、イットリウム-90、ストロンチウム-89などを含む。
【0134】
一実施態様では、放射線増感剤も患者に投与される。放射線増感剤は、癌細胞に対する放射線の損傷効果を増大させる。
【0135】
放射線療法薬に関する投与量および投与プロトコルは、当技術分野でよく知られている。熟練した臨床医は、投与される薬剤(単数または複数)、治療される癌のタイプ、癌のステージ、腫瘍の位置、患者の年齢および状態、患者サイズなどを含む因子に基づいて、使用すべき適切な投薬レジメンを容易に決定することができる。
【0136】
[免疫療法薬]
本発明の一態様では、改変されたNK細胞組成物および/または非結合の抗fugetactic剤は、さらなる免疫療法薬と組み合わせて投与される。
【0137】
T細胞
T細胞は、T細胞受容体を細胞表面に有するリンパ球である。T細胞は、特異的な病原体に対する体の免疫応答を仕立てることにより、細胞が仲介する免疫において中心的な役割を果たす。T細胞、特に、改変されたT細胞は、臨床試験において腫瘍を縮小または除去する見込みが示されている。一般に、そのようなT細胞は、改変されて、および/または、養子細胞移入(ACT)を受ける。ACTおよびその変形は、当技術分野でよく知られている。例えば、米国特許第8,383,099号および第8,034,334号を参照し、それらの全体で参照により本明細書中に援用される。
【0138】
米国特許出願公開番号2014/0065096および2012/0321666(それらの全体で参照により本明細書中に援用される)は、T細胞またはNK細胞の癌治療に関する方法および組成物を記載する。T細胞は、例えば、米国特許第6,352,694号;第6,534,055号;第6,905,680号;第6,692,964号;第5,858,358号;第6,887,466号;第6,905,681号;第7,144,575号;第7,067,318号;第7,172,869号;第7,232,566号;第7,175,843号;第5,883,223号;第6,905,874号;第6,797,514号;第6,867,041号;および米国特許出願公開番号2006/0121005に記載の方法を用いて一般に拡大および活性化することができ、それぞれ、その全体で参照により本明細書中に援用される。
【0139】
一実施態様では、本明細書における組成物および方法で用いられるT細胞は、自己由来T細胞である(すなわち、患者から得られる)。一実施態様では、本明細書における組成物および方法で用いられるT細胞は、非自己由来(異種;例えばドナーまたは細胞株由来)T細胞である。一実施態様では、T細胞は、癌性/形質転換されたT細胞(単数または複数)またはT細胞(単数または複数)に由来する細胞株である。
【0140】
好ましい実施態様では、本明細書に記載の方法および組成物で用いられるT細胞は、改変されたT細胞である。一実施態様では、T細胞は、T細胞の表面上にCARを発現するように改変される。好ましい実施態様では、CARは、当該方法または組成物によって標的化される癌に特異的である。一実施態様では、T細胞は、細胞表面タンパク質またはサイトカインを発現するように改変される。例示的な、改変されたT細胞の非限定的な例は、米国特許第8,906,682号;PCT特許公開番号WO2013154760およびWO2014055668に記載されて;それぞれ、その全体で参照により本明細書中に援用される。
【0141】
一実施態様では、T細胞は、T細胞株である。例示的なT細胞株は、米国特許第5,272,082号に記載のT-ALL細胞株を含み、それは、その全体で参照により本明細書中に援用される。
【0142】
抗体
また、免疫療法は、抗腫瘍抗体を用いた治療も指す。すなわち、特定のタイプの癌(例えば、標的癌細胞によって発現される細胞表面タンパク質)に特異的な抗体を、癌を有する患者に投与することができる。抗体は、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、キメラ抗体、抗体フラグメント、ヒト抗体、ヒト化抗体、または非ヒト抗体(例えばミューリン、ヤギ、霊長類など)であってよい。治療的抗体は、任意の腫瘍特異的または腫瘍関連抗原に特異的であってよい。例えば、Scott et al.,Cancer Immunity 2012,12:14を参照し、その全体で参照により本明細書中に援用される。
【0143】
一実施態様では、免疫療法薬は、抗癌抗体である。非限定的な例は、トラスツズマブ(ハーセプチン(登録商標))、ベバシズマブ(アバスチン(登録商標))、セツキシマブ(アービタックス(登録商標))、パニツムマブ(ベクチビックス(登録商標))、イピリムマブ(ヤーボイ(登録商標))、リツキシマブ(リツキサン(登録商標))、アレムツズマブ(キャンパス(登録商標))、オファツムマブ(アーゼラ(登録商標))、ゲムツズマブオゾガマイシン(マイロターグ(登録商標))、ブレンツキシマブベドチン(アドセトリス(登録商標))、90Y-イブリツモマブチウキセタン(ゼヴァリン(登録商標))、および、131I-トシツモマブ(ベキサール(登録商標))を含む。
【0144】
さらなる抗体が、表1に提供される。
【表2】
【0145】
免疫チェックポイント阻害剤
一実施態様では、免疫療法薬は、チェックポイント阻害剤である。免疫チェックポイントタンパク質は、一部のタイプの免疫系細胞、例えば、T細胞、および、一部の癌細胞によって作られる。T細胞が癌細胞を死滅させるのを防ぐことができるこれらのタンパク質は、チェックポイント阻害剤によって標的化される。チェックポイント阻害剤は、癌細胞を死滅させるT細胞の能力を増大させる。T細胞または癌細胞上に見られるチェックポイントタンパク質の例は、PD-1/PD-L1およびCTLA-4/B7-1/B7-2を含む。
【0146】
一実施態様では、チェックポイント阻害剤は、チェックポイントタンパク質、例えば、PD-1、PDL-1、またはCTLA-4に対する抗体である。チェックポイント阻害剤抗体は、制限されずに、BMS-936559、MPDL3280A、MedI-4736、ランブロリズマブ、アレムツズマブ、アテゾリズマブ、イピリムマブ、ニボルマブ、オファツムマブ、ペンブロリズマブ、およびリツキシマブを含む。
【0147】
サイトカイン
一実施態様では、免疫療法薬はサイトカインである。サイトカインは、患者の免疫応答を刺激する。サイトカインは、インターフェロンおよびインターロイキンを含む。一実施態様では、サイトカインはインターロイキン-2である。一実施態様では、サイトカインはインターフェロン-αである。
【0148】
[抗癌ワクチン]
本発明の一態様では、改変されたNK細胞組成物および/または非結合の抗fugetactic剤は、抗癌ワクチン(癌ワクチンとも呼ばれる)と組み合わせて投与される。抗癌ワクチンは、免疫反応を刺激することによって既存の癌を治療または癌の進行を防止して癌細胞を死滅させるワクチンである。好ましい実施態様では、抗癌ワクチンは、既存の癌を治療する。
【0149】
抗癌ワクチンは、1つまたは複数のタイプの癌に対して治療的効果を有する任意のそのようなワクチンであり得る。多くの抗癌ワクチンが、現在のところ、当技術分野で知られている。そのようなワクチンは、制限されずに、dasiprotimut-T、シプリューセル-T、タリモジーン・ラハーパレプベック、HSPPC-96複合体(ビテスペン)、L-BLP25、gp100メラノーマワクチン、および、患者に投与された場合に癌細胞に対する免疫応答を刺激する任意の他のワクチンを含む。
【0150】
[癌]
改変されたNK細胞組成物および/または非結合の抗fugetactic剤および本明細書に記載の方法を用いて治療され得る癌または腫瘍は、限定されないが:胆管癌;グリア芽腫および髄芽腫を含む脳腫瘍;乳癌(炎症性乳癌を含む);子宮頸癌;絨毛癌;結腸癌;子宮内膜癌;食道癌、胃癌;急性リンパ性および骨髄性白血病を含む血液腫瘍;多発性骨髄腫;AIDS関連の白血病および成人T細胞白血病リンパ腫;ボーエン病およびパジェット病を含む上皮内腫瘍;肝癌(肝細胞癌);肺癌;ホジキン病およびリンパ性リンパ腫を含むリンパ腫;神経芽細胞腫;扁平上皮細胞癌腫を含む口腔癌;上皮細胞、間質細胞、生殖細胞および間葉系細胞から生じるものを含む卵巣癌;膵臓癌;前立腺癌;直腸癌;平滑筋肉腫、横紋筋肉腫、脂肪肉腫、線維肉腫および骨肉腫を含む肉腫;メラノーマ、カポシ肉腫、基底細胞癌および扁平上皮細胞癌を含む皮膚癌;胚腫瘍(セミノーマ、非セミノーマ[テラトーマ、絨毛癌])、間質腫瘍および胚細胞腫瘍を含む精巣癌;甲状腺癌および髄様癌を含む甲状腺癌;および、腺癌およびウィルムス腫瘍を含む腎癌を含む。重要な実施態様では、免疫認識を回避する癌または腫瘍は、グリオーマ、結腸癌腫、結腸直腸癌、リンパ系細胞由来の白血病、絨毛癌、乳癌、卵巣癌、前立腺癌、および、メラノーマを含む。
【0151】
好ましい実施態様では、腫瘍は固形腫瘍である。一実施態様では、腫瘍は白血病である。特に好ましい実施態様では、腫瘍は、CXCL12を発現または過剰発現する。一実施態様では、腫瘍のCXCL12の発現は、本明細書に記載の組成物の投与の前に評価され得る。例えば、CXCL12を発現または過剰発現することが判定された腫瘍を有する患者は、本明細書に記載の方法および/または組成物を用いて治療される。
【0152】
一実施態様では、腫瘍は脳腫瘍である。手術不可能な脳腫瘍のような脳腫瘍は、本明細書に記載の組成物が注入され得ることが検討される。一実施態様では、抗fugetactic剤は、脳腫瘍内または近位の血管中に、カテーテルを介して、脳腫瘍に直接投与される。カテーテルまたはマイクロカテーテル投与のさらなる議論を以下に述べる。
【0153】
[医薬組成物]
また、本発明は、有効量の本発明の改変されたNK細胞組成物(非結合の抗fugetactic剤を伴うまたは伴わない)、および、1つまたは複数の薬学的に許容できる賦形剤を含む、医薬組成物も提供する。本発明の改変されたNK細胞組成物を含む医薬組成物を調製するために、不活性および薬学的に許容できる賦形剤または担体が用いられる。液体医薬組成物は、皮内、皮下、非経口、または静脈内投与に適切な、例えば、溶液、懸濁液、およびエマルションを含む。改変されたNK細胞組成物の滅菌水溶液、または、水、緩衝水、生理食塩水、PBS、エタノール、または、プロピレングリコールを含む溶媒中の改変されたNK細胞組成物の滅菌溶液は、非経口投与に適切な液体組成物の例である。組成物は、生理学的条件に近づけるために、必要に応じて、薬学的に許容できる補助物質、例えば、pH調整剤および緩衝剤、浸透圧調整剤、湿潤剤、洗浄剤などを含んでよい。
【0154】
改変されたNK細胞組成物を含む医薬組成物は、予防的および/または治療的な治療のために投与され得る。治療的適用では、組成物は、腫瘍または癌細胞の増殖によって悪化され得る状態を既に患っている患者に、状態の症候およびその合併症を防止、治療、反転、または、少なくとも部分的に遅延または抑止するのに十分な量で投与される。これを達成するために適切な量は、「治療的に効果的な投与量」と定義される。この使用に効果的な量は、疾患または状態の重症度、および、患者の体重および全般的状態に依存する。適切な投与量は、毎日、毎週、隔週、または毎月の間隔で投与され得る。組成物の単一または多数の投与は、治療医師により選択される投与量レベルおよびパターンによって行なわれ得る。任意のイベントにおいて、医薬製剤は、患者に投与された場合に所望の抗fugetactic特性を提供して、治療的目的のために患者における腫瘍細胞の増殖、急増、または生存を効果的に阻害するのに十分な量の本発明の改変されたNK細胞組成物を提供すべきである。
【0155】
本発明の医薬組成物は、様々な薬物輸送システムでの使用に適切である。本発明での使用に適切な製剤は、Remington’s Pharmaceutical Sciences,Mack Publishing Company,Philadelphia,Pa.,17th ed.(1985)に見られる。薬物輸送のための方法の簡潔なレビューについては、Langer,Science 249:1527-1533(1990)を参照。本発明の医薬組成物は、皮下、皮内、経皮、筋肉内、静脈内、または腹腔内などの様々な経路によって投与され得る。
【0156】
[治療の方法]
本発明の一態様では、それを必要とする患者において、本明細書に記載の改変されたNK細胞組成物の投与によって、癌を治療する方法が提供される。好ましい実施態様では、改変されたNK細胞組成物は、非結合の抗fugetactic剤と組み合わせて投与される。一実施態様では、少なくとも1つのさらなる抗癌剤も投与される。
【0157】
一態様では、本発明は、fugetactic効果を生じるのに十分な量のケモカインを発現している癌細胞を死滅させるための方法に関し、当該方法は、a)NK細胞がfugetactic効果を克服する、例えば癌細胞を標的化するのを可能にするように、十分な期間、前記細胞を、有効量の本明細書に記載の改変されたNK細胞組成物と接触させるステップを含む。一実施態様では、当該方法は、b)前記細胞を、少なくとも1つの抗癌剤と接触させるステップをさらに含む。一実施態様では、当該方法は、必要に応じてa)および/またはb)を繰り返して、前記細胞を死滅させるステップをさらに含む。
【0158】
一態様では、本発明は、哺乳類において腫瘍を治療するための方法に関し、前記腫瘍は、fugetactic効果を生じるのに十分な量のケモカインを発現していて、当該方法は、a)NK細胞がfugetactic効果を克服する、例えば、腫瘍を標的化および/または貫入するのを可能にするように、十分な期間、有効量の本発明に記載の改変されたNK細胞組成物を、前記哺乳類に投与するステップを含む。一実施態様では、当該方法は、a’)前記fugetactic効果を減衰させるように、十分な期間、有効量の非結合の抗fugetactic剤を、前記哺乳類に投与するステップをさらに含み、ここで、a’)は、a)の前、ともに、または後に行なわれ得る。一実施態様では、当該方法は、b)少なくとも1つの抗癌剤を、前記哺乳類に投与するステップをさらに含む。一実施態様では、ステップa)、a’)、および/またはb)は、必要に応じて繰り返されて、哺乳類の状態の改善を提供する。
【0159】
一実施態様では、抗癌剤は、改変されたNK細胞組成物および/または非結合の抗fugetactic剤の投与の期間後に投与される。一実施態様では、抗癌剤は、fugetactic効果が減衰される期間のあいだ、投与される。
【0160】
一実施態様では、ケモカインは、CXCL12である。一実施態様では、癌細胞は、固形腫瘍細胞である。一実施態様では、癌細胞は、白血病細胞である。一実施態様では、抗癌剤は、抗fugetactic剤と細胞の接触の完了の約3日以内に投与される。一実施態様では、抗癌剤は、抗fugetactic剤と細胞の接触の完了の約1日以内に投与される。
【実施例0161】
以下の実施例は、説明目的のためのみであり、特許請求の範囲に記載された発明の限定として解釈されるべきでない。当業者が利用できる様々な代替の技術および手順が存在し、意図された発明をうまく実施するのを同様に可能にする。
【0162】
実施例1:AMD3100の抗fugetactic対Fugetactic量の決定
新鮮に調製および精製されたヒトCD3T細胞を、健康なドナー末梢血から調製した。20,000のT細胞に、0.1μM~10μMの濃度のAMD3100を、コントロール、走化性またはfugetacticのセッティングで、トランスウェルの上側チャンバーにロードした。遊走した細胞を下側チャンバー内でカウントして、以前に説明したように、遊走を定量化した。Vianello et al.The Journal of Immunology,2006,176:2902-2914;Righi et al.,Cancer Res.;71(16);5522-34、それぞれ、その全体で本明細書中に援用される。
【0163】
AMD3100に対するヒトCD3+ T細胞の、二成分または二峰性の走化性(図1;1μMでCI 2.3)およびfugetactic(図2;0.1μMでCI=1.6)応答の明白な証拠(ここで、CIまたは走化性インデックス=1.0はコントロールである)が観察された。全てのウェルはトリプリケートで行なわれた。
【0164】
実施例2:AMD3100の局所的な抗fugetactic量の決定
定量的な遊出アッセイのために、精製されたヒトCD3T細胞(およそ2×10細胞)を、イスコフ改変培地の全容量150μlまで、各ウェル内のトランスウェル(登録商標)インサートの上側チャンバーに添加する。0.5% FCSを含むDMEMにおいて哺乳類の腫瘍から単離された腫瘍細胞を、トランスウェルの下側、上側、または、下側および上側の両方のチャンバーに添加して、化学走性、fugetaxis、および化学運動性の測定を含む細胞遊走の標準的な「チェッカーボード」分析を作成する。
【0165】
AMD3100の抗fugetactic濃度を決定するために、チャンバーへの添加の前に、0.01μM~10mMのAMD3100とともにT細胞をインキュベートする。
【0166】
3時間後に細胞を下側チャンバーから採取して、血球計数器を用いて細胞計数を行なう。
【0167】
ある濃度のAMD3100と事前にインキュベートされるT細胞は、抗fugetactic効果はより低い濃度で観察されてfugetactic効果はより高い濃度で、二峰性の効果を示すことが予測される。
【0168】
実施例3:改変されたT細胞および抗fugetactic剤を用いた腫瘍の治療
膠芽腫を有する65才の患者からT細胞を単離して、インビトロで拡大してT細胞集団を提供する。T細胞集団を、それから、AMD3100と混合およびインキュベートする。患者は、1.6×10の改変されたT細胞/AMD3100組成物を、腫瘍中への直接的なインフュージョンを介して受け取る。改変されたT細胞およびAMD3100を用いた治療は、併用治療が腫瘍サイズの縮小をもたらすように、相乗効果を有すると考えられる。
図1
図2
【手続補正書】
【提出日】2022-07-05
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本願明細書に記載の発明。
【外国語明細書】