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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022130630
(43)【公開日】2022-09-06
(54)【発明の名称】ベンダムスチンの製剤
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/4184 20060101AFI20220830BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20220830BHJP
   A61P 35/02 20060101ALI20220830BHJP
   A61K 9/08 20060101ALI20220830BHJP
   A61K 47/10 20060101ALI20220830BHJP
   A61K 47/20 20060101ALI20220830BHJP
   A61K 47/02 20060101ALI20220830BHJP
   A61K 47/36 20060101ALI20220830BHJP
【FI】
A61K31/4184
A61P35/00
A61P35/02
A61K9/08
A61K47/10
A61K47/20
A61K47/02
A61K47/36
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022105477
(22)【出願日】2022-06-30
(62)【分割の表示】P 2021125009の分割
【原出願日】2021-07-30
(31)【優先権主張番号】61/613,173
(32)【優先日】2012-03-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】61/669,889
(32)【優先日】2012-07-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】509085984
【氏名又は名称】イーグル・ファーマシューティカルズ・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】特許業務法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】スンダラム,スリカンス
(57)【要約】      (修正有)
【課題】薬物をより少ない容量で、そしてより短時間で投与するベンダムスチン製剤を用いる治療方法を提供する。
【解決手段】対象における癌又は悪性疾患を治療又は予防するための方法は、a)約0.05から約12.5mg/mlのベンダムスチン又はその薬学的に許容される塩、b)ポリエチレングリコール及びプロピレングリコールを含んでいる可溶化剤であって、ポリエチレングリコールが約0.3から約45容量%の量で存在し、プロピレングリコールが約0.03から約5容量%の量で存在する可溶化剤、及び場合によってc)非経口的に許容される希釈剤を含んでいる約325ml以下の容量の液体組成物を、それを必要としている対象に約30分以下の実質的に連続した時間にわたって非経口的に投与することを含む。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象における癌又は悪性疾患を治療又は予防するための方法であって、
a)約0.05から約12.5mg/mlのベンダムスチン又はその薬学的に許容される塩、
b)ポリエチレングリコール及びプロピレングリコールを含んでいる可溶化剤であって、ポリエチレングリコールが約0.3から約45容量%の量で存在し、プロピレングリコールが約0.03から約5容量%の量で存在する可溶化剤、及び場合によって
c)非経口的に許容される希釈剤
を含んでいる約325ml以下の容量の液体組成物を、それを必要としている対象に約30分以下の実質的に連続した時間にわたって非経口的に投与することを含む方法。
【請求項2】
対象が、ヒトである請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ベンダムスチン又は薬学的に許容される塩の濃度が、約0.1から約6.0mg/mlである請求項1に記載の方法。
【請求項4】
ベンダムスチン又は薬学的に許容される塩の濃度が、約0.05から約3.2mg/mlである請求項1に記載の方法。
【請求項5】
ベンダムスチン又は薬学的に許容される塩の濃度が、約0.5から約5.6mg/mlである請求項1に記載の方法。
【請求項6】
可溶化剤の量が、約0.5から約26.5容量%である請求項1に記載の方法。
【請求項7】
可溶化剤の量が、約0.2から約5容量%である請求項1に記載の方法。
【請求項8】
可溶化剤の量が、約2.0から約22.4容量%である請求項1に記載の方法。
【請求項9】
ポリエチレングリコールが、PEG400である請求項1に記載の方法。
【請求項10】
ポリエチレングリコール対プロピレングリコールの重量比が約90:10である請求項1に記載の方法。
【請求項11】
ポリエチレングリコール対プロピレングリコールの重量比が約85:15である請求項5に記載の方法。
【請求項12】
投与される容量が、約250、100、50、30又は15mlである請求項1に記載の方法。
【請求項13】
組成物が、抗酸化剤をさらに含む請求項1に記載の方法。
【請求項14】
抗酸化剤が、モノチオグリセロールである請求項13に記載の方法。
【請求項15】
投与される容量が、約50ml+/-15%以下であり、組成物が、約10分以下の時間にわたって投与される請求項10に記載の方法。
【請求項16】
投与される容量が、約100ml+/-15%以下であり、組成物が、約15分以下の時間にわたって投与される請求項10に記載の方法。
【請求項17】
投与される容量が、約250ml+/-15%以下であり、組成物が、約30分以下の時間にわたって投与される請求項11に記載の方法。
【請求項18】
非経口的に許容される希釈剤が、注射用水、0.9%生理食塩水(通常生理食塩水)、0.45%生理食塩水(半通常生理食塩水)、及び2.5デキストロース/0.45%生理食塩水から成る群から選択される請求項1に記載の方法。
【請求項19】
癌又は悪性疾患が、慢性リンパ球性白血病である請求項1に記載の方法。
【請求項20】
組成物が、28日サイクルの1日目及び2日目に約10分未満で静脈内に投与される請求項15に記載の方法。
【請求項21】
組成物が、28日サイクルの1日目及び2日目に約20分未満で静脈内に投与される請求項15に記載の方法。
【請求項22】
組成物が、最高6サイクルにわたって投与される請求項16に記載の方法。
【請求項23】
対象に投与される組成物の容量が、その対象に約25mg/m2から約100mg/m2の範囲のベンダムスチン投薬量を提供する請求項15に記載の方法。
【請求項24】
癌又は悪性疾患が、無痛性のB細胞非ホジキンリンパ腫である請求項1に記載の方法。
【請求項25】
組成物が、21日サイクルの1日目及び2日目に20分未満で静脈内に投与される請求項19に記載の方法。
【請求項26】
組成物が、最高8サイクルにわたって投与される請求項20に記載の方法。
【請求項27】
対象に投与される組成物の容量が、対象に約60mg/m2から約120mg/m2の範囲のベンダムスチン投薬量を提供する請求項19に記載の方法。
【請求項28】
対象におけるベンダムスチン応答性の状態を治療又は予防する方法であって、
【表1】
を含んでいる325ml以下の液体組成物を、それを必要としている対象に約30分以下の実質的に連続した時間にわたって投与することを含む方法。
【請求項29】
対象におけるベンダムスチン応答性の状態を治療又は予防する方法であって、
【表2】
を含んでいる325ml以下の液体組成物を、それを必要としている対象に約30分以下の実質的に連続した時間にわたって投与することを含む方法。
【請求項30】
ベンダムスチンが、塩酸塩として存在する請求項1から29までのいずれかに記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
ベンダムスチンは、白血病、ホジキン病及び多発性骨髄腫を含めた多くの癌の治療において使用される。ペンダムスチン(HCl塩として存在する)は、市販用の製品Treanda(商標)の有効成分、再構成のための凍結乾燥粉末である。現在の品質表示は、再構成された製品が、500mLの非経口的に許容される希釈剤、例えば、0.9%生理食塩水(通常生理食塩水)又は2.5%デキストロース/0.45%生理食塩水など、に速やかに(30分以内)希釈され、30分かけて100mg/m2又は60分かけて120mg/m2を送達する静脈内注入の一部として投与されることを求めている。その希釈された混合剤は、2~8℃で最大24時間まで、又は室温(15~30℃)で3時間まで保存することができ、投与は、水溶液の状態での限られた化学安定性のために、この時間内に完了しなければならない。
【0002】
現在認可されている及び/又は入手できる製剤による2~8℃での溶解度限界は、現在の製剤が、150mlより少ない容量では25℃でさえ溶解度が十分ではなく、最大でも約150mlまでのより高濃度のより小さい輸液量で投与されることを妨げていると考えられる。血管外漏出並びに注射部位の局所紅斑、腫脹及び疼痛と関連する副作用も輸液ができるだけ希薄であることを規定する。それ故、事前注意が、血管外漏出を回避するために、ベンダムスチンの投与中及び投与後の発赤、腫脹、疼痛、感染、及び壊死に対する静脈内注入部位の監視を含めて講じられる。より高い輸液量及びより長い輸液時間は、しかしながら多くの欠点と関連している。例えば、再構成後、現在の製品は、短時間の安定性を有し、薬物の分解が、再構成の時間から全体の大きい容量の輸液が完全に投与されるまで起こる。Treanda(商標)に対する現在のラベルは、それ故、混合剤は患者投与の時間にできるだけ近づけて調製されるべきであること、及びTreanda(商標)の投与は上に示されている持続時間内に完了されなければならないことを指示している。患者の快適さ及び看護管理の観点から、より高い輸液量及びより長い輸液時間は望ましくない。より高い輸液量は、重量増加及び浮腫のより高い可能性と関連し得る。より短い輸液時間及びより少ない輸液量は、患者に対する全体的な「ストレス」を減少し、輸液クリニック(infusion clinic)で費やされる時間を減少することによって、患者に対してより良い生活の質の経験をもたらす。より短い輸液時間(及びより少ない容量)は、また、血管外漏出の可能性を減らし(そして必要な患者監視時間を短縮する)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
薬物がより少ない容量で、そしてより短時間で投与することがもしできればそれは有利なはずである。本発明はこれらの必要性に対処する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の第一の態様においては、ヒト等の対象における癌又は悪性疾患を治療又は予防する方法が提供される。この方法は、
a)約0.05から約12.5mg/mlのベンダムスチン又はその薬学的に許容される塩、
b)ポリエチレングリコール及びプロピレングリコールを含んでいる可溶化剤、及び場合によって
c)非経口的に許容される希釈剤
を含んでいる約325ml以下の容量の液体組成物を、それを必要としている対象に約30分以下の実質的に連続した時間にわたって非経口的に投与することを含む。
【0005】
本発明の別の態様においては、ヒト等の対象におけるベンダムスチン応答性の状態の治療又は予防の方法が提供される。第一の実施形態において、この方法は、
【0006】
【表1】

を含んでいる325ml以下の液体組成物を、それを必要としている対象に約30分以下の実質的に連続した時間にわたって投与することを含む。
【0007】
本発明のこの態様が関連する第二の実施形態において、この方法は、
【0008】
【表2】

を含んでいる325ml以下の液体組成物を、それを必要としている対象に約30分以下の実質的に連続した時間にわたって投与することを含む。
【0009】
本発明の方法は、ベンダムスチンHClの濃度が、それが入れられるビヒクルの室温溶解限度より低いという事実をうまく利用している。その結果、ベンダムスチンは、患者への投与中に沈殿することはなく、それによって、さもなければ治療量の薬物の少容量投与の間に起こるはずの副作用を実質的に回避している。加えて、ベンダムスチン応答性の状態を有する患者又は対象は、標準的な500mlの投与量をはるかに下回る実質的により少ない非経口の容量を用いて治療され得る。
【発明を実施するための形態】
【0010】
他に明らかにされていない限り、本明細書で使用されている技術及び科学用語はすべて、この発明が属する当業者によって普通に理解されているのと同じ意味を有する。本明細書で用語に対して複数の定義がある場合には、別の記載がない限り、この項のものが優先する。
【0011】
本発明の第一の態様においては、好ましくはヒトである対象又は患者における癌又は悪性疾患を治療又は予防する方法が提供される。この方法は、
a)約0.05から約12.5mg/mlのベンダムスチンHCl又はその薬学的に許容される塩(HCl塩が好ましい)、
b)ポリエチレングリコール及びプロピレングリコールを含んでいる可溶化剤、及び場合によって
c)非経口的に許容される希釈剤
を含んでいる約325ml以下の容量の液体組成物を、それを必要としている対象に約30分以下の実質的に連続した時間にわたって非経口的に投与することを一般に含む。
【0012】
その製剤の可溶化剤部分は、投与される合計の又は最終的な容量に基づいて計算して、約0.3から約45容量%のポリエチレングリコール(PEG)及び約0.03から約5容量%のプロピレングリコール(PG)を好ましくは含む。別な言い方をすれば、PEGの最終濃度は大体約3から約500mg/mlの範囲であり、一方PGの最終濃度は、大体約0.5から約51mg/mlの範囲である。これらの大体の範囲内で、本発明の特定の態様は、PEGに対しては約45から約500mg/ml又は約3.3から約63.3mg/ml、PGに対しては約4.7から約50.6、又は約0.02から約6.5mg/mlの濃度範囲を含む。
【0013】
本発明のいくつかの態様において、そのベンダムスチンは、静脈内注入の一部として静脈内に投与される。意図される輸液量は、好ましくは325ml未満であり、その容量は、例えば約250ml、100ml、及び50mlで、各容量が約+/-10%又は+/-15%変動することがいくつかの実施形態において好ましい。本発明の別の態様において、この静脈内投与量は、IVボーラス投与に適しており、ビヒクルの溶解度をベンダムスチンの濃度未満に低下させない量の薬学的に許容される希釈剤、例えば、通常生理食塩水又は本明細書に記載されているその他の希釈剤のうちの1種を含むこともできる。別の言い方をすれば、ベンダムスチンの最終濃度は、プロピレングリコール及びPEG及び希釈剤の混合物を含んでいる組合せビヒクルの溶解度より下である。本発明の殆んどの態様は、すべてのビヒクル成分、賦形剤などを含めて約325ml未満を投与する状況で記載されているが、数ミリリットル、例えば約2ミリリットル程度の少ない容量が、そのビヒクルが十分な可溶化剤を含んでいてその中のベンダムスチンの溶解度を患者に投与する間維持する限り、使用され得ることは当然である。
【0014】
本発明の目的に対して、輸液量又は濃度を限定するために使用されるときの語「約」は、約+/-10%又は15%の量で変動し得る値を含むものと理解すべきである。輸液量が約50mlである特定の実施形態において、ベンダムスチンHCl又はその他の薬学的に許容されるそれらの塩の濃度は、好ましくは約0.5から約5.6mg/mlである。輸液量が約100mlである実施形態において、ベンダムスチンHCl又はその他の薬学的に許容されるそれらの塩の濃度は、好ましくは約0.1から約3.2mg/mlであり得る。同様に、輸液量が約250mlである本発明のいくつかの態様において、ベンダムスチンHCl又はその他の薬学的に許容されるそれらの塩の濃度は、約0.05から約1.4mg/mlである。
【0015】
その可溶化剤は、好ましくは、ポリエチレングリコール、以後「PEG」、とプロピレングリコール、以後「PG」、との混合物である。この可溶化剤は、場合によって抗酸化物質、例えばモノチオグリセロールなどを含むこともできる。その含まれる抗酸化物質の量は、製剤を安定化させる量であり、モノチオグリセロールの場合、約2から約10mg/mlの範囲である。該PEGは、好ましくは、約400の分子量を有しており、即ちPEG400である。当業者に知られているその他の分子量のPEG類が別の実施形態において必要に応じて含められ得る。
【0016】
本発明の特定の態様は、可溶化剤中で見出されるPEG対PGの比が約90:10であることを必要とする。別の態様において、PEG対PGの比は、約85:15である。
【0017】
本発明のいくつかの態様において、約100~115mlの輸液量中に含まれる可溶化剤、即ちPEGとPGのブレンドの総量は、約0.5から約26.5容量%であり、一方、その可溶化剤についての約0.2から約5容量%の量が、好ましくは約250~265mlの輸液量中に含まれ、約2.0から約22.4容量%の可溶化剤量が約50~65mlの輸液量中に含まれる。
【0018】
その可溶化剤はブレンドであるので、さまざまな容量におけるPEG及びPGの量(容量%として計算される)は以下の通りであり得る:
【0019】
【表3】

いくつかの好ましい実施形態において、本発明の方法は、約50ml又は約100ml又は約250mlの容量を有する小さい容量の輸液として投与されるベンダムスチンHClを含んでいる組成物を使用して有利に行われる。そのようなより小さい容量は、約50mlの容量を含んでいる静脈内注入の一部として約10分以下、約100mlの容量を含んでいる静脈内注入の一部として約15分以下の時間で投与され、或は約250mlの容量が注入されるときはそのIV注入は、約30分以下の時間で投与される薬物を可能にする。投与される薬物の量によって、十分な量の薬物を含んでいるIVボーラス容量は、50ml未満であり、約10又は15から30mlの量で十分である。
【0020】
本発明の多くの態様における注入可能な組成物は、非経口的に許容される希釈剤、例えば注射用水(WFI)、0.9%生理食塩水(通常生理食塩水、優先される)、0.45%生理食塩水(半通常生理食塩水)又は2.5%デキストロース/0.45%生理食塩水なども好ましくは含む。本明細書に記載されている方法を行うために大変都合よくできている製剤は、内容が参照により本明細書に組み込まれている同一出願人による2011年1月28日に出願された米国特許出願第13/016,473号及び2013年2月14日に出願された同第13/767,672号にも記載されている。前記第13/767,672号に概説されているように、いくつかの好ましいベンダムスチン製剤は、少量のpH調整剤、例えば、ギ酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、水酸化カリウム、リン酸又は、好ましくは、水酸化ナトリウムを含むこともできる。
【0021】
本発明の別の実施形態においては、本明細書に記載されている方法で使用されるベンダムスチン製剤は、それぞれの内容が参照により本明細書に組み込まれている米国特許第8,344,006号及び第8,076,366号、並びに米国特許出願第2013/0041004号、同第2012/0071532号、同第2010/0216858号、同第2006/0159713号、及び同第2013/0041003号に記載されている1つ以上のものであり得る。当然のことであるが、当該ベンダムスチンHClが入れられるビヒクルは、その中に含まれる薬物の濃度を超える十分なベンダムスチン溶解度を有する。
【0022】
必要に応じて、濃縮されていつでも使用できる十分な量の液体製剤、例えば25mg/mlのベンダムスチンHClを含む、十分な可溶化剤と既に混ぜられているものが、適切な固定容量の希釈剤容器、例えば50、100、250mlの通常生理食塩水又は同種のものを含んでいるバッグなどに移送され得る。別法では、凍結乾燥されたベンダムスチンHClが再構成され、本明細書に記載されている十分な可溶化剤ブレンドと混合され、そして本発明の方法に従って投与され得る。そのような実施形態において、患者に送達される実際の量は、薬物/可溶化剤ビヒクルの追加を可能にするように希釈剤量より少し多い。
【0023】
本発明のいくつかの態様において、慢性リンパ球性白血病(CLL)を治療又は予防する方法が提供される。少容量の輸液が、ベンダムスチンが含まれる任意の治療プロトコールの一部として与えられ得る。従って、本明細書に記載されている組成物は、本明細書に記載されている高濃度のベンダムスチン組成物が、著しく短い投与期間の間、より小さい輸液量で投与されることを除いては、既知のプロトコールに従うポリ薬品治療レジメンの一部として投与され得る。例えば、いくつかのCLL治療レジメンは、本明細書に記載されている組成物を約100mlの輸液の一部として28日サイクルの1日目及び2日目に約20分以下で、より好ましくは約15分以下で静脈内に投与し、臨床的に適切である場合はそのサイクルを最高6回以上繰り返すことを含むことができる。250ml容量がベンダムスチンを送達するために使用される場合、その投与の時間は好ましくは約30分以下である。50ml容量がベンダムスチンを送達するために使用される場合、その投与の時間は好ましくは約10分以下である。
【0024】
より小さい容量にも関わらず、いくつかの好ましい実施形態における投与量(輸液又はその他)当たりのそれを必要としている患者に投与されるベンダムスチンHClの量は、約100mg/m2である。本発明のいくつかの別の態様において、50、100又は250mlの輸液の一部としてそれを必要としている患者に投与されるベンダムスチンHClの量は、50又は25mg/m2の用量を提供するのに十分な量である。追加の投与用量は、必要以上の実験をしないでも、臨床経験、患者の必要性に基づいて当業者には明らかであろう。
【0025】
本発明のその他の態様においては、無痛性のB細胞非ホジキンリンパ腫の悪性疾患を治療又は予防する方法が存在する。これらの態様において、該組成物は、100mlの輸液として、臨床的に適切である場合は最高8サイクル以上で、21日サイクルの1日目及び2日目に20分以内で、より好ましくは約15分以内で静脈内に投与される。250ml容量がベンダムスチンを送達するために使用される場合、その投与の時間は好ましくは約30分以下である。50ml容量がベンダムスチンを送達するために使用される場合、その投与の時間は好ましくは約10分以下である。対象に投与されるベンダムスチンの量は、好ましくは約120mg/m2であり、けれども、別の実施形態においては投与される量は、約90又は60mg/m2の範囲である。当然のことであろうが、さらに別の投薬量は、必要以上の実験をしないでも、臨床経験、患者の必要性に基づいて当業者には明らかであろう。
【0026】
上記の体表面積(BSA)に対してmg/m2で計算された用量は、本明細書に同様に記載されているベンダムスチンHCl濃度、例えば、0.5から5.6mg/mlと一致することは当業者には理解されよう。別法として、本発明はまた、注射器により投与できる容量、例えば数ミリリットルから最大約50ミリリットル中に、その中の薬物のビヒクル溶解度を超えない濃度で治療量の薬物を含むベンダムスチン含有製剤の静脈内ボーラス投与を意図している。
【0027】
本発明のさらなる実施形態としては、ヒト等の対象におけるベンダムスチン応答性の状態を治療又は予防する方法が挙げられる。第一の実施形態において、その方法は、
【0028】
【表4】

を含んでいる325ml以下の液体組成物を、それを必要としている対象に約30分以下の実質的に連続した時間にわたって投与することを含む。より好ましくは、その投与時間は30分をはるかに下回り、その投与時間は投与される容量が減少するにつれて減少する。
【0029】
上記の成分を含んでいるベンダムスチン製剤は、約325mlから約15mlに至るまでの範囲の容量の薬学的に許容される希釈剤で、HCl塩としての薬物をほぼ25mgを送達することができる。例えば、
【0030】
【表5】

を含んでいるEagle Pharmaceuticalsから入手できる1mlのベンダムスチンHClのいつでも使用できる液体が、300mlの通常生理食塩水希釈剤と混合されて、301mlを含んでおり、ベンダムスチンの最終濃度が0.08mg/mlの最終のIV輸液を提供する。
【0031】
1mlの25mg/ml EagleベンダムスチンHClが、下に示されているように、さらなる希釈剤容量中に希釈される:
【0032】
【表6】

ベンダムスチンHClの希釈剤/可溶化剤の組合せ(50mlの希釈剤プラス1mlの25mg/mlベンダムスチンHCl及び可溶化剤など)中の室温で測定された溶解度は、通常生理食塩水を使用して10.5mg/ml及び半通常生理食塩水/デキストロースを使用して14.2mg/mlであった。希釈剤/可溶化剤の組合せの溶解度はベンダムスチン濃度をはるかに超えており、従って、投与前又は投与中の薬物の沈殿は回避される。当業者には明らかなように、小さい投与用量における全容量に対して可溶化剤の濃度が増加してもベンダムスチンの溶解度は維持される。
【0033】
本発明のこの態様の関連する第二の実施形態において、その方法は、
【0034】
【表7】

を含んでいる325ml以下の液体組成物を、それを必要としている対象に約30分以下の実質的に連続した時間にわたって投与することを含む。上記の場合と同様に、投与時間は投与される容量の減少と共に減少する。
【0035】
上記の成分を含んでいるベンダムスチン製剤は、約325mlから約15mlに至るまでの範囲の容量の薬学的に許容される希釈剤でHCl塩としての薬物ほぼ360mgを送達することができる。上記の場合と同様に、室温で測定されたベンダムスチンHClの希釈剤/可溶化剤の組合せ(1mg薬物+可溶化剤など及び50mlの希釈剤)中の溶解度は通常生理食塩水を使用して10.5mg/ml及び半通常生理食塩水/デキストロースを使用して14.2mg/mlであった。
【0036】
1mlの上記のEagle 25mg/mlベンダムスチンHClのいつでも使用できる液体のみを使用する代わりに、14.4mlが、さまざまな量の希釈剤と組み合わされる。
【0037】
【表8】

それぞれの場合において、希釈剤/可溶化剤の組合せの溶解度は、ベンダムスチン濃度を超え、従って、投与前又は投与中の薬物の沈殿の回避が確保される。
[実施例]
以下の実施例は、本発明のさらなる正しい理解を提供するために役立つが、本発明の有効な範囲を多少なりとも限定するものではない。
[実施例1]
2つの異なる供給源から得られたベンダムスチンHClの、0.9%生理食塩水への及びポリエチレングリコール400及びプロピレングリコールの混合物(90:10の容量比) (5mg/mlのモノチオグリセロールを含む又は含まない)を含んでいるさまざまな量の非水性可溶化剤を含んでいる0.9%生理食塩水への溶解度が、室温(22~23℃)及び冷蔵温度(5℃)の両方で測定された。原則的に過剰のベンダムスチンHClが、0.9%生理食塩水中のさまざまな容量パーセントの非水性可溶化剤を含んでいる溶媒に加えられ、室温で30分間又は冷蔵温度で24時間振とうしながら平衡化された。平衡段階の終わりで、その懸濁液は溶解されないベンダムスチンを除去するために0.2ミクロンのフィルターを通して濾過され、その濾液はベンダムスチンHCl含量についてHPLCアッセイを用いて分析され、定量化はベンダムスチンHCl参照基準と対照して実施された。その溶解度データは表1に示されている。
【0038】
【表9】

[実施例2]
90%のポリエチレングリコール400及び10%のプロピレングリコールを含んでいる混合物に5mg/mlのチオグリセロールを加えることによってベンダムスチン含有組成物が調製される。下の表2に示されているように、ポリエチレングリコール(PEG)に対するUSPモノグラフに要点がまとめられているpH法を用いる測定で6.5以上の見掛けのpHを得る十分な量でNaOHをそのPEGに加えることができる。ベンダムスチン(BDM)が次にその試料に10mg/mlの濃度になるように加えられる。
【0039】
【表10】

これらの組成物は、次に、ベンダムスチンHClの総投与量に基づいて、言い換えると患者の体表面積(BSA)及び投与レジメンに基づくベンダムスチンHClの総投与量に基づいて通常生理食塩水と混合される(CLLに対しては100mg/m2及びNLLに対しては120mg/m2、けれども、90、60、50、及び25mg/m2の投与量修正が可能であり、最も高い2つの投与レジメンだけは、これらは注入中にベンダムスチンの最高濃度をもたらすので例証目的とみなされる)。100mlの輸液が、最後の混合剤に、適切な投与量のベンダムスチン(HCl塩としての)を含んでいる注入可能な組成物を提供するために、用量に対応する容量の10mg/ml溶液を100ml分の通常生理食塩水と混合することによって次に作られ、それは約15分かけてそれを必要としている患者に静脈内投与をすることができる。
【0040】
表3において見られるように、ベンダムスチン(HCl塩としての)の濃度及び非水性成分の対応する容量パーセントは、表1に詳細に記されているように室温及び冷蔵温度の両方での対応する溶解度をはるかに下回っている。例えば、120mg/m2で投与される2.0m2(平均)の患者に対して、100ml混合剤中のベンダムスチンHClの最終濃度は1.94mg/mLである。これは現在認可されているTreanda(商標)製品に関する場合と同じように、何らの非水性成分のない冷蔵保存条件におけるベンダムスチンHClの溶解度(100%の通常生理食塩水に対して表1に示されている1.175mg/ml)を上回り、それによって、冷蔵条件における100mlの混合剤容量の調製及び保存を不可能にしている。しかしながら、この実施例に記載されている非水性ベンダムスチン製剤の使用は、最終混合剤中に19.4%の非水性成分の存在をもたらし、それは溶解度を約3.8mg/mLに改善する(表1に示されているように、20%非水性成分で2~8℃において3.824mg/mLの溶解度)。それ故、非水性製剤での溶解度は、1.94mg/mLの最終濃度(ベンダムスチンHClの)をはるかに上回り、100mlの混合剤の冷蔵条件での調製及び保存を可能にする。この実施例において、100%の通常生理食塩水及び80%の通常生理食塩水(20%の非性水成分を含む)における室温の溶解度は、それぞれ、約3.3mg/ml及び8.5mg/mlであり(表1参照)、それは同様に1.94mg/mlの最終濃度よりはるかに上回る。それ故、実施例中に記載されている非水性製剤の100mlの混合剤は、同様に、室温で調製及び保存され得る。加えて、この実施例において表2に記載されているベンダムスチンの非水性製剤は、現在入手できる製剤と比較して、ベンダムスチンを長期間にわたって溶液のまま継続しながら250ml以下の範囲のより小さい輸液量に希釈し、室温又は冷蔵温度で保存することができる。
【0041】
【表11】

[実施例3]
実施例2の手順が、用量に対応する容量の10mg/mlのベンダムスチン溶液が250mlの通常生理食塩水中に希釈されることを除いて繰り返される。250ml容量の容器中のベンダムスチンの最終濃度は、約0.05mg/mlから約1.3mg/mlの範囲である。
[実施例4]
実施例2のほぼ100mlのベンダムスチンHCl輸液が、患者に約15分間で投与される。
[実施例5]
90%のポリエチレングリコール400及び10%のプロピレングリコールに5mg/mlのチオグリセロールを加えることによってベンダムスチン含有組成物を調製することができる。下の表4に示されているように、ポリエチレングリコール(PEG)に対するUSPモノグラフに要点がまとめられているpH法を用いる測定で6.5以上の見掛けのpHを得る十分な量でNaOHを加えることができる。ベンダムスチンが次に下の表4に示されているようにその試料に25mg/mlの濃度になるように加えられる。
【0042】
【表12】

これらの組成物は、次に、ベンダムスチンHClの総投与量に基づいて、言い換えると患者の体表面積(BSA)及び投与レジメンに基づくベンダムスチンHClの総投与量に基づいて通常生理食塩水と混合される(CLLに対しては100mg/m2及びNLLに対しては120mg/m2、けれども、90、60、50、及び25mg/m2の投与量修正が可能であり、最も高い2つの投与レジメンだけは、これらは注入中にベンダムスチンの最高濃度をもたらすので例証目的とみなされる)。下の表5は、250mlから50mlまで変動する容量に対して、最終混合剤におけるベンダムスチン(HCl塩としての)の最終濃度を提供している。
【0043】
表5において見られるように、ベンダムスチン(HCl塩としての)の濃度及び対応する非水性成分の容量パーセントは、50ml以下のすべての混合剤容量に対して、表1に詳細に記されているように室温での対応する溶解度をはるかに下回っている。例えば、120mg/m2で投与される2.0m2(平均)の患者に対して、50ml混合剤中のベンダムスチンHClの最終濃度は4.03mg/mlである。これは現在認可されているTreanda製品に関する場合と同じように、何らの非水性成分のない冷蔵及び室温条件の両方におけるベンダムスチンHClの溶解度(100%通常生理食塩水に対して表1に示されているように、2~8℃において1.175mg/ml及び室温で3.304~3.461mg/ml)を上回り、それによって、50mlの混合剤容量の調製及び保存を不可能にしている。しかしながら、この実施例に記載されている非水性ベンダムスチン製剤の使用は、最終混合剤中に16.1%の非水性成分の存在をもたらし、それは室温の溶解度を約6.5mg/mlに改善する(表1に示されているように、15%の非水性成分で6.554mg/ml及び7.012mg/mlの溶解度)。それ故、非水性製剤での溶解度は、4.03mg/mLの最終濃度(ベンダムスチンHClの)をはるかに上回り、100mlの混合剤の室温条件での調製及び保存を可能にする。それ故、この実施例に記載されているベンダムスチンの非水性製剤は、室温で維持される場合、ベンダムスチンが溶液のままであり続ける250ml以下の範囲のより小さい輸液量に希釈され得る。しかしながら、冷蔵温度においては、ベンダムスチン(HCl塩としての)の濃度及び対応する非水性成分の容量パーセントは、150ml以下のすべての混合剤容量に対して表1に詳細に記載されている対応する溶解度を超える。上記のシナリオにおいて、15%の非水性成分を含む冷蔵条件での溶解度は、2.9mg/mlまで改善されたが、依然として4.03mg/mlの最終濃度を下回っている。従って、本実施例に記載されている非水性製剤の50mlの混合剤は、冷蔵温度で調製及び保存することができない。しかしながら、150mlの混合剤については、このシナリオにおけるベンダムスチンHClの最終濃度は、約6.0%の非水性成分で1.5mg/mlであり、これは溶解度限界(2~8℃において5%の非水性で2.022mg/ml)より下回る。従って、この実施例に記載されているベンダムスチンの非水性製剤は、250mlから50mlまでの範囲のより小さい輸液量に希釈し、ベンダムスチンを溶液のまま維持し続けながら、室温でのみ(冷蔵温度ではなく)保存することができる。冷蔵温度での保存のためには、使用できる最低の混合剤容量は150ml以上である。
【0044】
【表13】

[実施例6]
250ml及び100mlの通常生理食塩水と混合されたときの表4(実施例5)に示されている非水性ベンダムスチン製剤の溶血の可能性が評価された。この溶血の調査は、これらの混合剤容量で期待される最高の最終ベンダムスチンHCl濃度で、即ち、120mg/m2で投与される3.0m2の患者に対して実施された。この投与において、250ml及び100ml混合剤容量に対する最終ベンダムスチンHCl濃度は、それぞれ1.36mg/ml及び3.15mg/mlである(表5)。ヒトの全血(1ml)が、1.4mg/ml又は3.2mg/mlで混合されたベンダムスチンHCl溶液と、それぞれ1:2及び1:1の血液対薬液の容量比で、37℃でほぼ30分間インキュベートされた。これらの容量比は、250ml及び100mlの混合剤容量に対してそれぞれ15分及び10分の輸液時間に相当する。ベンダムスチン製剤のプラセボ(有効成分を含まない)もこれらの濃度及び容量比で評価された。陽性対照(1%サポニン溶液)、陰性対照(通常生理食塩水)、及び処方情報に記載されている最高濃度(0.6mg/ml)まで通常生理食塩水中に希釈されたTreanda(商標)がこの調査に含まれた。試料のインキュベーション及び遠心分離に続いて、血漿が採取され、溶血が上澄み中のヘモグロビンに対する分光光度分析によって評価された。その結果は、表6にまとめられている。溶血は、各々の濃度又は容量(血液:薬液)比の生理食塩水で希釈されたとき、非水性ベンダムスチン製剤では、又は同程度の試料容量を有する対応するプラセボでは観察されず、すべての試料からの上澄みは、淡黄色であった。結論として、非水性ベンダムスチン製剤では、より小さい容量(100から250ml)に希釈され、現在の実践よりも短時間(10~15分)で注入されるとき、溶血作用が観察されない。
【0045】
【表14】

[実施例7]
100mlの通常生理食塩水と混合され、10分間にわたって注入されたときの、表4(実施例5)に示されている非水性ベンダムスチン含有組成物の局所耐性(静脈内(IV)及び血管周囲(PV))が、評価された。ニュージーランド白ウサギ(3匹の雄[IV]及び2匹の雄[PV])が、それぞれ左及び右の耳にベンダムスチン製剤(3.2mg/mlのベンダムスチンHClの最終濃度になるように100mlの生理食塩水と混合された)及び対応するプラセボの単回投与を受けた。その製剤は、局所耐性を測定するために、各々静脈内注入(10分で5mg/kg)又は血管周囲注射(250μl)として投与された。再構成され、0.6mg/ml(ラベルに記載されている最高濃度)の最終濃度に通常生理食塩水と混合されたTreanda(商標)もまた各々30分のIV輸液(ラベルに記載されている最短の輸液時間)、並びに血管周囲注射(250μl)として調査された。動物は、96時間(投与後)の観察時間の間保持された。観察時間中、すべての投与部位に対して皮膚スコアが記録された。観察時間の終わりに、動物は安楽死させられ、両方の耳の肉眼及び顕微鏡検査が実施された。その調査中に評価されたパラメータは、生存率、臨床的観察、体重、巨視的観察及び顕微鏡による病状であった。
【0046】
その局所耐性調査の結果は、表7(生存中の皮膚観察)及び表8(血管周囲投与に対する顕微鏡による病状)にまとめられている。
【0047】
生存中の皮膚観察:
表7において見られるように、各々ベンダムスチン含有製剤又はプラセボ材料を静脈内に受けている群のそれぞれにおいて、投与後24時間と72時間の間に書き留められた軽度から中程度の紅斑及び中程度の浮腫の形の一時的な皮膚刺激が存在した。96時間では、刺激は、試験又はプラセボ物で処理された少しの個体部位に限定された。限定された数の動物のみが影響され、刺激の一貫したパターンは投与群の中には(試験物又はプラセボのどちらにも)存在しなかった。ベンダムスチン製剤は、静脈内に投与されたとき皮膚刺激を生じないと考えられた。
【0048】
ベンダムスチン製剤(0.25mlの注入量)血管周囲投与は、すべての群において皮膚刺激を生じた。血管周囲投与後の皮膚刺激の局所兆候は、軽度(群6-Treanda(商標))又は軽度から中程度(群7-実施例5の非水性ベンダムスチン製剤)の紅斑、及び軽度の浮腫(群7)によって殆んど特徴付けられた。観察された刺激の重症度は、投与された試験物の投与量及び/又は濃度と相関し、プラセボ群は、対応する試験物の製剤よりも低レベルの刺激を一般に示した。
【0049】
【表15】
顕微鏡による病状:
試験物/プラセボの静脈内投与は、一般に十分に耐性があり、試験物と関係する影響は見られなかった。ベンダムスチン含有製剤(Treanda(商標)を含む)の血管周囲投与が、投与量及び/又は濃度と関係する最低限から際立った浮腫/コラーゲン変性及び血管周囲組織中の混合型炎症と関連付けられた。ベンダムスチンの非水性製剤(群7)は、Treanda(商標)よりグレードが名目上、重症であった(群6)。
【0050】
【表16】

結論:
IV経路によるベンダムスチンの非水性製剤については試験物と関係する刺激作用は見られず、この製剤の適切な投与は、有害な局所反応を何らもたらさないことを示した。血管外漏出が起こるはずの場合に起こり得る作用に主として関係している非水性ベンダムスチン製剤の血管周囲投与は、一般にTreandaに相当する刺激をもたらした。それ故、本明細書に記載されているベンダムスチンの非水性製剤は、より高い濃度のより小さい輸液量の調合液にもかかわらず、十分に耐えられる。
[実施例8]
50ml及び100mlの通常生理食塩水と混合されたときの、表4(実施例5)に示されている非水性ベンダムスチン製剤(25mg/ml)の化学安定性が評価された。各混合剤容量に対して、その混合剤溶液は、予期される最低濃度(25mg/m2で投与される1.0m2の患者に相当する)及び最高濃度(120mg/m2で投与される3.0m2の患者に相当する)の最終混合剤中のベンダムスチンHClが用意された。50mlの混合剤容量に対して、試験された最低及び最高濃度は、それぞれ約0.5mg/ml及び6.0mg/mlである。100 mlの混合剤容量に対して、試験された最低及び最高濃度は、それぞれ約0.25mg/ml及び3.2mg/mlである。Treanda(商標)の化学安定性もラベルに記載されている最低(0.2mg/ml)及び最高(0.6mg/ml)の混合された濃度で測定された。その化学安定性は、有効なHPLC分析を用いて最大24時間までの定期的な間隔で室温で測定された。その結果は表9にまとめられている。
【0051】
【表17】
表9に示されているように、ラベルに指図されているように調製されたときのTreanda(商標)(最終濃度は0.2~0.6mg/mlの間)は、室温で3時間で約5~6%の全分解を示し(ラベル中の室温安定性のクレームと対応している)、モノヒドロキシベンダムスチンが主な分解物である。対照的に、50ml又は100mlの生理食塩水のどちらかの中で混合された非水性ベンダムスチン製剤は、試験された最も低い濃度での6時間で5~6%未満の全分解を示し、これらの混合剤は分解する傾向が著しく低いことを指し示している。この安定効果は、これらの濃度において24時間にわたり化学安定性が明白なことにより、より高い濃度(より典型的である)において特に言明される。ベンダムスチンの非水性製剤は、従って、より小さい容量中に混合されるとき、Treanda(商標)より良好な化学安定性を提供する。
【0052】
本発明の実施形態として例えば以下を挙げることができる。
[実施形態1]
対象における癌又は悪性疾患を治療又は予防するための方法であって、
a)約0.05から約12.5mg/mlのベンダムスチン又はその薬学的に許容される塩、
b)ポリエチレングリコール及びプロピレングリコールを含んでいる可溶化剤であって、ポリエチレングリコールが約0.3から約45容量%の量で存在し、プロピレングリコールが約0.03から約5容量%の量で存在する可溶化剤、及び場合によって
c)非経口的に許容される希釈剤
を含んでいる約325ml以下の容量の液体組成物を、それを必要としている対象に約30分以下の実質的に連続した時間にわたって非経口的に投与することを含む方法。
[実施形態2]
対象が、ヒトである実施形態1に記載の方法。
[実施形態3]
ベンダムスチン又は薬学的に許容される塩の濃度が、約0.1から約6.0mg/mlである実施形態1に記載の方法。
[実施形態4]
ベンダムスチン又は薬学的に許容される塩の濃度が、約0.05から約3.2mg/mlである実施形態1に記載の方法。
[実施形態5]
ベンダムスチン又は薬学的に許容される塩の濃度が、約0.5から約5.6mg/mlである実施形態1に記載の方法。
[実施形態6]
可溶化剤の量が、約0.5から約26.5容量%である実施形態1に記載の方法。
[実施形態7]
可溶化剤の量が、約0.2から約5容量%である実施形態1に記載の方法。
[実施形態8]
可溶化剤の量が、約2.0から約22.4容量%である実施形態1に記載の方法。
[実施形態9]
ポリエチレングリコールが、PEG400である実施形態1に記載の方法。
[実施形態10]
ポリエチレングリコール対プロピレングリコールの重量比が約90:10である実施形態1に記載の方法。
[実施形態11]
ポリエチレングリコール対プロピレングリコールの重量比が約85:15である実施形態5に記載の方法。
[実施形態12]
投与される容量が、約250、100、50、30又は15mlである実施形態1に記載の方法。
[実施形態13]
組成物が、抗酸化剤をさらに含む実施形態1に記載の方法。
[実施形態14]
抗酸化剤が、モノチオグリセロールである実施形態13に記載の方法。
[実施形態15]
投与される容量が、約50ml+/-15%以下であり、組成物が、約10分以下の時間にわたって投与される実施形態10に記載の方法。
[実施形態16]
投与される容量が、約100ml+/-15%以下であり、組成物が、約15分以下の時間にわたって投与される実施形態10に記載の方法。
[実施形態17]
投与される容量が、約250ml+/-15%以下であり、組成物が、約30分以下の時間にわたって投与される実施形態11に記載の方法。
[実施形態18]
非経口的に許容される希釈剤が、注射用水、0.9%生理食塩水(通常生理食塩水)、0.45%生理食塩水(半通常生理食塩水)、及び2.5デキストロース/0.45%生理食塩水から成る群から選択される実施形態1に記載の方法。
[実施形態19]
癌又は悪性疾患が、慢性リンパ球性白血病である実施形態1に記載の方法。
[実施形態20]
組成物が、28日サイクルの1日目及び2日目に約10分未満で静脈内に投与される実施形態15に記載の方法。
[実施形態21]
組成物が、28日サイクルの1日目及び2日目に約20分未満で静脈内に投与される実施形態15に記載の方法。
[実施形態22]
組成物が、最高6サイクルにわたって投与される実施形態16に記載の方法。
[実施形態23]
対象に投与される組成物の容量が、その対象に約25mg/m2から約100mg/m2の範囲のベンダムスチン投薬量を提供する実施形態15に記載の方法。
[実施形態24]
癌又は悪性疾患が、無痛性のB細胞非ホジキンリンパ腫である実施形態1に記載の方法。[実施形態25]
組成物が、21日サイクルの1日目及び2日目に20分未満で静脈内に投与される実施形態19に記載の方法。
[実施形態26]
組成物が、最高8サイクルにわたって投与される実施形態20に記載の方法。
[実施形態27]
対象に投与される組成物の容量が、対象に約60mg/m2から約120mg/m2の範囲のベンダムスチン投薬量を提供する実施形態19に記載の方法。
[実施形態28]
対象におけるベンダムスチン応答性の状態を治療又は予防する方法であって、
【表18】
を含んでいる325ml以下の液体組成物を、それを必要としている対象に約30分以下の実質的に連続した時間にわたって投与することを含む方法。
[実施形態29]
対象におけるベンダムスチン応答性の状態を治療又は予防する方法であって、
【表19】
を含んでいる325ml以下の液体組成物を、それを必要としている対象に約30分以下の実質的に連続した時間にわたって投与することを含む方法。
[実施形態30]
ベンダムスチンが、塩酸塩として存在する実施形態1から29までのいずれかに記載の方法。
【手続補正書】
【提出日】2022-07-25
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象における癌又は悪性疾患を治療又は予防するための方法であって、
a)約0.05から約12.5mg/mlのベンダムスチン又はその薬学的に許容される塩、
b)ポリエチレングリコール及びプロピレングリコールを含んでいる可溶化剤であって、ポリエチレングリコールが約0.3から約45容量%の量で存在し、プロピレングリコールが約0.03から約5容量%の量で存在する可溶化剤、及び場合によって
c)非経口的に許容される希釈剤
を含んでいる約325ml以下の容量の液体組成物を、それを必要としている対象に約30分以下の実質的に連続した時間にわたって非経口的に投与することを含む方法。