(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022130639
(43)【公開日】2022-09-06
(54)【発明の名称】ネットワーク内部での位置検出
(51)【国際特許分類】
G01V 3/12 20060101AFI20220830BHJP
G08B 25/10 20060101ALI20220830BHJP
【FI】
G01V3/12 A
G08B25/10 A
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022105798
(22)【出願日】2022-06-30
(62)【分割の表示】P 2018534768の分割
【原出願日】2016-08-04
(31)【優先権主張番号】15/084,002
(32)【優先日】2016-03-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】15/227,717
(32)【優先日】2016-08-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/252,954
(32)【優先日】2015-11-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/219,457
(32)【優先日】2015-09-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】321006121
【氏名又は名称】イバーニ, エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】Ivani, LLC
【住所又は居所原語表記】79 Hubble Drive, #105 Dardenne Prairie, MO 63368 (US)
(74)【代理人】
【識別番号】100136630
【弁理士】
【氏名又は名称】水野 祐啓
(74)【代理人】
【識別番号】100201514
【弁理士】
【氏名又は名称】玉井 悦
(72)【発明者】
【氏名】ウートン, ジョン
(72)【発明者】
【氏名】ウートン, マシュー
(72)【発明者】
【氏名】ニスマン, クリス
(72)【発明者】
【氏名】プレストン, ビクトリア
(72)【発明者】
【氏名】クラーク, ジョナサン
(72)【発明者】
【氏名】マッキニー, ジャスティン
(72)【発明者】
【氏名】バーンズ, クレア
(57)【要約】 (修正有)
【課題】ネットワーク内の人体の存在を基準要素なしで検出するためのシステムおよび方法を提供する。
【解決手段】通信ネットワークにおける生物質量体の存在によって引き起こされるRF波の信号吸収ならびに信号の前方および反射後方散乱を使用する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
人間の存在を検出するための方法であって、
検出領域内の第1位置に配置された第1トランシーバを準備する段階と;
前記検出領域内の第2位置に配置された第2トランシーバを準備する段階と;
前記第1トランシーバに通信可能に結合されたコンピュータサーバーと;
前記第1トランシーバが、第1組のワイヤレス信号を、前記第2トランシーバから前記ワイヤレス通信ネットワークを介して受信する段階と;
前記コンピュータサーバーが、前記第1トランシーバから第1組の信号データを受信する段階であって、前記第1組の信号データは、前記第1組のワイヤレス信号の特性に関するデータを含み、前記特性データは、前記通信ネットワーク上の前記第1トランシーバの通常動作の一部として生成される、受信する段階と;
前記コンピュータサーバーが、前記第2トランシーバから前記第1トランシーバへの通信に関するベースライン信号プロファイルを生成する段階であって、前記ベースライン信号プロファイルは、前記受信された第1組の信号データの前記ワイヤレス信号特性に少なくとも部分的に基づいており、かつ、人間が前記検出領域に存在しないときの、前記第2トランシーバから前記第1トランシーバへのワイヤレス送信の特性を表す、生成する段階と;
前記第1トランシーバが、前記第2トランシーバから前記ワイヤレス通信ネットワークを介して第2組のワイヤレス信号を受信する段階と;
前記コンピュータサーバーが、前記第1トランシーバから第2組の信号データを受信する段階であって、前記第2組の信号データは、前記第2組のワイヤレス信号の特性に関するデータを含み、前記特性データは、前記通信ネットワーク上の前記第1トランシーバの通常動作の一部として生成される、受信する段階と;
前記コンピュータサーバーが、人間が前記検出領域内に存在するか否かを判断する段階であって、前記判断は、前記受信された第2組のワイヤレス信号データの前記ワイヤレス信号特性の、前記ベースライン信号プロファイルとの比較に少なくとも部分的に基づく、判断する段階とを含む方法。
【請求項2】
前記第1組の信号特性は、前記第1トランシーバによって特定されるワイヤレスネットワーク信号プロトコル特性を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ワイヤレスネットワーク信号プロトコル特性は、受信された信号強度、待ち時間、およびビット誤り率からなる群から選択される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記検出領域内の第3位置に配置された第3トランシーバを準備する段階と;
前記第1トランシーバは、前記第3トランシーバから前記ワイヤレス通信ネットワークを介して第3組のワイヤレス信号を受信する段階と;
前記コンピュータサーバーが、前記第1トランシーバから第3組の信号データを受信する段階であって、前記第3組の信号データは、前記第3組のワイヤレス信号の特性に関するデータを含み、前記特性データは、前記通信ネットワーク上の前記第1トランシーバの通常動作の一部として生成される、受信する段階と;
前記コンピュータサーバーが、前記第3トランシーバから前記第1トランシーバへの通信に関する第2ベースライン信号プロファイルを生成する段階であって、前記第2ベースライン信号プロファイルは、前記受信された第3組の信号データの前記ワイヤレス信号特性に少なくとも部分的に基づいており、かつ、人間が前記検出領域に存在しないときの、前記第3トランシーバから前記第1トランシーバへのワイヤレス送信の特性を表す、生成する段階と;
前記第1トランシーバは、前記第3トランシーバから前記ワイヤレス通信ネットワークを介して第4組のワイヤレス信号を受信する段階と;
前記コンピュータサーバーが、前記第1トランシーバから第4組の信号データを受信する段階であって、前記第4組の信号データは、前記第4組のワイヤレス信号の特性に関するデータを含み、前記特性データは、前記通信ネットワーク上の前記第1トランシーバの通常動作の一部として生成される、受信する段階と;
前記判断する段階において、前記コンピュータサーバーは、人間が前記検出領域内に存在するか否かを、前記受信された第4組のワイヤレス信号データの前記ワイヤレス信号特性の、前記第2ベースライン信号プロファイルとの比較に少なくとも部分的に基づいて判断する段階とをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記判断する段階は、人間の存在を判断するために、統計的方法を前記第2組のワイヤレス信号データに適用する、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記コンピュータサーバーが前記検出領域内の人間の存在または不在を連続的に判断する段階であって、前記判断は、前記ベースライン信号プロファイルの、前記第1トランシーバから前記コンピュータサーバーで連続的に受信される前記第1組のワイヤレス信号の特性に関するデータを含む信号データとの比較に少なくとも部分的に基づく、判断する段階と;
前記コンピュータは、前記連続的に受信される信号データが前記検出領域内における人間の不在を示すときに、前記連続的に受信される信号データに基づいて前記ベースライン信号プロファイルを連続的に更新する段階とをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記コンピュータサーバーが、前記検出領域内に存在する人間の数を特定する段階をさらに含み、当該特定は、前記受信された第2組の信号特性の、前記ベースライン信号プロファイルとの比較に少なくとも部分的に基づく、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記コンピュータサーバーが、前記検出領域内に存在する1人以上の人間の位置を特定する段階をさらに含み、当該特定は、前記受信された第2組の信号特性の、前記ベースライン信号プロファイルとの比較に少なくとも部分的に基づく、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記コンピュータサーバーが第2システムに動作可能に結合されている段階をさらに含み;
前記コンピュータは、前記コンピュータサーバーが前記検出領域内に人間の存在を検出した後のみに、前記第2システムを動作させる、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記検出ネットワークおよび前記第2システムが、同じ通信プロトコルを用いて通信するよう構成されている、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記第2システムは電気システムである、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記第2システムは照明システムである、請求項9に記載の方法。
【請求項13】
前記第2システムは、暖房、換気および空調(HVAC)システムである、請求項9に記載の方法。
【請求項14】
前記第2システムは警備システムである、請求項9に記載の方法。
【請求項15】
前記第2システムは産業オートメーションシステムである、請求項9に記載の方法。
【請求項16】
前記ワイヤレス通信プロトコルは、ブルートゥース(登録商標)、ブルートゥース(登録商標)ローエネルギー、アント、アント+、ワイファイ、ジグビー、およびZ-ウェイブからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記ワイヤレス通信ネットワークは、850 MHzから17.5 GHzまでの範囲の搬送周波数を備える、請求項1に方法。
【請求項18】
人間が前記検出領域内に存在するか否かの前記判断は、機械学習に基づいて調節され、これは:
前記検出領域内で基準要素を備えた人間の第1サンプル位置を特定する段階であって、前記第1サンプル位置は前記基準要素の検出に基づいて特定される、特定する段階と;
前記検出領域内で前記人間の第2サンプル位置を特定する段階であって、前記第2サンプル位置は、前記受信された第2組の信号データの、前記ベースライン信号プロファイルとの比較に少なくとも部分的に基づいて、前記基準要素を使用しないで特定される、特定する段階と;
前記第1サンプル位置を前記第2サンプル位置と比較する段階と;
前記特定する段階を、前記システムの位置計算能力を向上させるため、非基準要素位置に基づいて調節する段階とを含み、前記調節は前記比較する段階に基づく、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
前記検出領域内に人間が一定時間にわたって存在していたか否かを示す複数の履歴データ記録を、前記コンピュータサーバーが格納する段階であって、前記履歴データ記録のぞれぞれは、前記検出領域内で検出された人間の数と、前記数の人間が前記検出領域内で検出されたときの日付および時刻との指示を含む、格納する段階と、
前記コンピュータサーバーが、前記履歴データ記録を、1つ以上の外部コンピュータシステムにインターフェースを介して利用可能とする段階とをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
人間の存在を検出するための方法であって、
検出領域内の第1位置に配置された第1トランシーバを準備する段階と;
前記検出領域内の第2位置に配置された第2トランシーバを準備する段階と;
前記第1トランシーバに通信可能に結合されたコンピュータサーバーを準備する段階と;
前記コンピュータサーバーに動作可能に結合された第1外部システムを準備する段階と;
前記コンピュータサーバーに動作可能に結合された第2外部システムを準備する段階と;
前記コンピュータサーバーが、前記第1トランシーバから一組のベースライン信号データを受信する段階であって、前記一組のベースライン信号データは、前記検出領域内に人間が存在しないときに、前記第1トランシーバによって前記第2トランシーバから受信された第1組のワイヤレス信号の信号特性に関する特性データを含み、前記特性データは、前記通信ネットワーク上の前記第1トランシーバの通常動作の一部として前記第1トランシーバによって生成される、受信する段階と;
前記検出領域内に人間が存在しないときに、前記コンピュータサーバーが、前記第2トランシーバから前記第1トランシーバへの通信に関するベースライン信号プロファイルを生成する段階であって、前記ベースライン信号プロファイルは、人間が前記検出領域に存在しないときの、前記第2トランシーバから前記第1トランシーバへのワイヤレス送信の特性を表す前記特性データに少なくとも部分的に基づく、生成する段階と;
前記コンピュータサーバーが、前記第1トランシーバから第1組のサンプルベースライン信号データを受信する段階であって、前記第1組のサンプルベースライン信号データは、前記検出領域内に人間が存在するときに、前記第1トランシーバによって前記第2トランシーバから受信された第2組のワイヤレス信号の信号特性に関する特性データを含み、前記特性データは、前記通信ネットワーク上の前記第1トランシーバの通常動作の一部として前記第1トランシーバによって生成される、受信する段階と;
前記検出領域内に人間が存在するときに、前記コンピュータサーバーが、前記第2トランシーバから前記第1トランシーバへの通信に関する第1サンプルベースライン信号プロファイルを生成する段階であって、前記第1サンプルベースライン信号プロファイルは、人間が前記検出領域に存在するときの、前記第2トランシーバから前記第1トランシーバへのワイヤレス送信の特性を表す、前記第1組のサンプルベースライン信号データの前記特性データに少なくとも部分的に基づく、生成する段階と;
前記コンピュータサーバーが、前記第1トランシーバから第2組のサンプルベースライン信号データを受信する段階であって、前記第2組のサンプルベースライン信号データは、前記検出領域内に人間が存在するときに、前記第1トランシーバによって前記第2トランシーバから受信された第3組のワイヤレス信号の信号特性に関する特性データを含み、前記特性データは、前記通信ネットワーク上の前記第1トランシーバの通常動作の一部として前記第1トランシーバによって生成される、受信する段階と;
前記検出領域内に人間が存在するときに、前記コンピュータサーバーが、前記第2トランシーバから前記第1トランシーバへの通信に関する第2サンプルベースライン信号プロファイルを生成する段階であって、前記第2サンプルベースライン信号プロファイルは、人間が前記検出領域に存在するときの、前記第2トランシーバから前記第1トランシーバへのワイヤレス送信の特性を表す、前記第2組のサンプルベースライン信号データの前記特性データに少なくとも部分的に基づく、生成する段階と;
前記コンピュータサーバーが、前記第1トランシーバから第3組のサンプルベースライン信号データを受信する段階であって、前記第3組のサンプルベースライン信号データは、前記検出領域内に人間が存在するときに、前記第1トランシーバによって前記第2トランシーバから受信された第4組のワイヤレス信号の信号特性に関する特性データを含み、前記特性データは、前記通信ネットワーク上の前記第1トランシーバの通常動作の一部として前記第1トランシーバによって生成される、受信する段階と;
前記コンピュータサーバーは、前記第3組のサンプルベースライン信号データの前記特性データが前記第1サンプルベースライン信号プロファイルに一致するとの前記コンピュータサーバーによる判断に基づいて、前記第1外部システムを動作させるよう決定する段階と、
前記コンピュータサーバーは、前記第3組のサンプルベースライン信号データの前記特性データが前記第2サンプルベースライン信号プロファイルに一致しないとの前記コンピュータサーバーによる判断に基づいて、前記第2外部システムを動作させないよう決定する段階とを含む、方法。
【請求項21】
前記第1外部システムを動作させるという決定および前記第2外部システムを動作させないという決定の少なくとも1つは、機械学習に基づいて調節され、これは:
前記検出領域内で基準要素を備えた人間の第1サンプル位置を特定する段階であって、前記第1サンプル位置は前記基準要素の検出に基づいて特定される、特定する段階と;
前記検出領域内で前記人間の第2サンプル位置を特定する段階であって、前記第2サンプル位置は、前記受信された第2組の信号データの、前記ベースライン信号プロファイルとの比較に少なくとも部分的に基づいて、前記基準要素を使用しないで特定される、特定する段階と;
前記第1サンプル位置を前記第2サンプル位置と比較する段階と;
前記少なくとも1つの特定する段階を、前記システムの位置計算能力を向上させるため、非基準要素位置に基づいて調節する段階とを含み、前記調節は前記比較する段階に基づく、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記ワイヤレス信号の前記特性データは、受信された信号強度、待ち時間、およびビット誤り率からなる群から選択される信号特性に関するデータを含む、請求項20に記載の方法。
【請求項23】
前記コンピュータサーバーは、統計的方法を前記第1組のサンプルベースライン信号データに適用することで、前記第1サンプルベースライン信号プロファイルを生成し、前記コンピュータサーバーは、統計的方法を前記第2組のサンプルベースライン信号データに適用することで、前記第2サンプルベースライン信号プロファイルを生成する、請求項20に記載の方法。
【請求項24】
前記コンピュータサーバーが、前記第1トランシーバから付加的な組のベースライン信号データを受信する段階であって、前記付加的な組の信号データは、前記第1トランシーバによって前記第2トランシーバから受信される第2組のワイヤレス信号の信号特性に関する特性データを含み、前記特性データは、前記通信ネットワーク上の前記第1トランシーバの通常動作の一部として前記第1トランシーバによって生成される、受信する段階と、前記コンピュータサーバーは、前記連続的に受信される付加的な組のベースライン信号データが前記検出領域内における人間の不在を示すときに、前記連続的に受信される付加的な組のベースライン信号データに基づいて前記ベースライン信号プロファイルを更新する段階とをさらに含む、請求項20に記載の方法。
【請求項25】
前記コンピュータサーバーが前記第1トランシーバから一組の信号データを受信する段階であって、前記一組の信号データは、1人以上の人間が前記検出領域内に存在するときに、前記第1トランシーバによって前記第2トランシーバから受信される第2組のワイヤレス信号の信号特性に関する特性データを含み、前記特性データは、前記通信ネットワーク上の前記第1トランシーバの通常動作の一部として前記第1トランシーバによって生成される、受信する段階と;
前記コンピュータサーバーは、前記検出領域内に存在する人間の数量を、前記一組の信号データの、前記ベースライン信号プロファイルとの比較に少なくとも部分的に基づいて特定する段階とをさらに含む、請求項20に記載の方法。
【請求項26】
前記コンピュータサーバーが前記検出領域内に存在する前記1人以上の人間それぞれの位置を特定する段階をさらに含み、当該特定は、前記一組の信号データの、前記ベースライン信号プロファイルとの比較に少なくとも部分的に基づく、請求項21に記載の方法。
【請求項27】
人間が前記検出領域内に存在しているときに、前記第3組のサンプルベースライン信号データの前記特性データが前記第2サンプルベースライン信号プロファイルに一致する場合であっても、前記コンピュータサーバーは、人間が前記検出領域内に存在していると判断し、前記第1外部システムを動作させる、請求項21に記載の方法。
【請求項28】
人間が前記検出領域内に存在しているときに、前記第3組のサンプルベースライン信号データの前記特性データが前記第2サンプルベースライン信号プロファイルに一致する場合のみに、前記コンピュータサーバーは、人間が前記検出領域内に存在していると判断し、前記第2外部システムを動作させる、請求項21に記載の方法。
【請求項29】
前記ワイヤレス通信ネットワークは、850 MHzから17.5 GHzまでの範囲の搬送周波数を備える、請求項21に方法。
【請求項30】
前記検出領域内に人間が一定時間にわたって存在していたか否かを示す複数の履歴データ記録を、前記コンピュータサーバーが格納する段階であって、前記履歴データ記録のぞれぞれは、前記検出領域内で検出された人間の数と、前記数の人間が前記検出領域内で検出されたときの日付および時刻との指示を含む、格納する段階と、
前記コンピュータサーバーが、前記履歴データ記録を、1つ以上の外部コンピュータシステムにインターフェースを介して利用可能とする段階とをさらに含む、請求項21に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
関連出願の参照
本願は、2016年3月29日付けで提出され、かつ、審査に係属中の米国特許出願15/084,002号の継続出願である2016年8月3日付けで提出され、かつ、審査に係属中の米国特許出願15/227,717号の優先権を主張し、2015年9月9日付けで提出され、かつ、審査に係属中の米国仮特許出願62/252,954号および2015年9月16日付けで提出され、かつ、審査に係属中の米国仮特許出願62/219,457号の利益を主張する。上記文書の開示全体は、引用してここに援用する。
【技術分野】
【0002】
1. 技術分野
本開示は、物体検出の分野に、より詳細にはワイヤレス通信ネットワーク内の生物質量体(a biological mass)の存在を検出するためのシステムおよび方法に関する。
【0003】
2. 関連技術の説明
物体の追跡は多くの技法を用いて実行できる。例えば、移動トランシーバを物体に取り付けてもよい。こうしたシステムの例は、地上トランシーバと通信するために軌道周回衛星を使用するGPSなどの全地球測位位置システムを含んでいる。しかし、こうしたシステムは一般的に、衛星信号が遮断されることがある室内では有効性が低くなり、正確性が低下する。よって、室内ではブルートゥース(登録商標)ビーコンなどの他の技術がしばしば使用されるが、これらはローミングするまたは未知のトランシーバの位置を計算する。このローミングトランシーバは基準要素(fiducial element)として作用する。
【0004】
これらのシステムには、追跡される物体がトランシーバを含む必要があるなどの幾つかの短所がある。幾つかの応用例では、追跡すべき物体は、そうした基準要素を備えていないか、または住宅内への侵入者のように、任意のそうした要素を能動的に動作不能にしようとする。
【0005】
基準要素を使用することなく物体を検出かつ追跡可能な他の技術も存在する。例えば、レーダーは、航空機、船舶、宇宙船、誘導ミサイル、自動車両、気象形成物、および地形を含む物体の範囲、角度、または速度などを特定するためにRF波を用いる尊い物体検出システムである。レーダーは、電磁波を送信することによって動作し、概して、その経路上の任意物体から反射する電磁スペクトルの無線周波数(「RF」)波を使用する。受信機は、典型的には送信機と同じシステムの一部であり、物体の特性を調べるためこれら反射波を受信し、かつ、処理する。レーザーからの紫外線、可視光線、または近赤外線光などの、電磁スペクトルの他の部分を使用するレーダーに似た他のシステムも類似の方式で使用できる。
【0006】
レーダー技術は基準要素を必要としないが、他の欠点がある。例えば、レーダービームは、信号の雑音または内部の電気部品に起因する信号の不規則な変動や、自然のバックグラウンド放射線などの外部源からの雑音や干渉に影響を受けやすい。レーダーも、ビーム路を遮断する介在物体などの外部混信源に対して脆弱であり、特定の大きさ、形状、および配向の物体により欺かれることがある。
【発明の概要】
【0007】
以下は、本発明の幾つかの側面を基本的に理解するための本発明の概要である。本概要は、本発明の重要または不可欠な要素を特定したり、本発明の範囲を定めたりすることを意図したものではない。この項目の唯一の目的は、本発明の幾つかの概念を、後述するより詳細な説明の序文として簡略形式で示すことである。
【0008】
本発明の分野におけるこれら及び他の問題のために、本明細書で記載されているものの一つは、人間の存在を検出するための方法であって、当該方法は:検出領域内の第1位置に配置された第1トランシーバを準備する段階と;前記検出領域内の第2位置に配置された第2トランシーバを準備する段階と;前記第1トランシーバに通信可能に結合されたコンピュータサーバーと;前記第1トランシーバは、前記第2トランシーバから前記ワイヤレス通信ネットワークを介して第1組のワイヤレス信号を受信する段階と;前記コンピュータサーバーが、前記第1トランシーバから第1組の信号データを受信する段階であって、前記第1組の信号データは、前記第1組のワイヤレス信号の特性に関するデータを含み、前記特性データは、前記通信ネットワーク上の前記第1トランシーバの通常動作の一部として生成される、受信する段階と;前記コンピュータサーバーが、前記第2トランシーバから前記第1トランシーバへの通信に関するベースライン信号プロファイルを生成する段階であって、前記ベースライン信号プロファイルは、前記受信された第1組の信号データの前記ワイヤレス信号特性に少なくとも部分的に基づいており、かつ、人間が前記検出領域に存在しないときの、前記第2トランシーバから前記第1トランシーバへのワイヤレス送信の特性を表す、生成する段階と;前記第1トランシーバは、前記第2トランシーバから前記ワイヤレス通信ネットワークを介して第2組のワイヤレス信号を受信する段階と;前記コンピュータサーバーが、前記第1トランシーバから第2組の信号データを受信する段階であって、前記第2組の信号データは、前記第2組のワイヤレス信号の特性に関するデータを含み、前記特性データは、前記通信ネットワーク上の前記第1トランシーバの通常動作の一部として生成される、受信する段階と;前記コンピュータサーバーが、人間が前記検出領域内に存在するか否かを判断する段階であって、前記判断は、前記受信された第2組のワイヤレス信号データの前記ワイヤレス信号特性の、前記ベースライン信号プロファイルとの比較に少なくとも部分的に基づく、判断する段階とを含む。
【0009】
前記方法の一実施形態では、前記第1組の信号特性は、前記第1トランシーバによって特定されるワイヤレスネットワーク信号プロトコル特性を含む。
【0010】
前記方法の別の実施形態では、前記ワイヤレスネットワーク信号プロトコル特性は、受信された信号強度、待ち時間、およびビット誤り率からなる群から選択される。
【0011】
前記方法の別の実施形態では、前記方法は、前記検出領域内の第3位置に配置された第3トランシーバを準備する段階と;前記第1トランシーバは、前記第3トランシーバから前記ワイヤレス通信ネットワークを介して第3組のワイヤレス信号を受信する段階と;前記コンピュータサーバーが、前記第1トランシーバから第3組の信号データを受信する段階であって、前記第3組の信号データは、前記第3組のワイヤレス信号の特性に関するデータを含み、前記特性データは、前記通信ネットワーク上の前記第1トランシーバの通常動作の一部として生成される、受信する段階と;前記コンピュータサーバーが、前記第3トランシーバから前記第1トランシーバへの通信に関する第2ベースライン信号プロファイルを生成する段階であって、前記第2ベースライン信号プロファイルは、前記受信された第3組の信号データの前記ワイヤレス信号特性に少なくとも部分的に基づいており、かつ、人間が前記検出領域に存在しないときの、前記第3トランシーバから前記第1トランシーバへのワイヤレス送信の特性を表す、生成する段階と;前記第1トランシーバは、前記第3トランシーバから前記ワイヤレス通信ネットワークを介して第4組のワイヤレス信号を受信する段階と;前記コンピュータサーバーが、前記第1トランシーバから第4組の信号データを受信する段階であって、前記第4組の信号データは、前記第4組のワイヤレス信号の特性に関するデータを含み、前記特性データは、前記通信ネットワーク上の前記第1トランシーバの通常動作の一部として生成される、受信する段階と;前記判断する段階において、前記コンピュータサーバーは、人間が前記検出領域内に存在するか否かを、前記受信された第4組のワイヤレス信号データの前記ワイヤレス信号特性の、前記第2ベースライン信号プロファイルとの比較に少なくとも部分的に基づいて判断する段階とをさらに含む。
【0012】
前記方法の別の実施形態では、前記判断する段階は、人間の存在を判断するために、統計的方法を前記第2組のワイヤレス信号データに適用する。
【0013】
前記方法の別の実施形態では、前記方法は、前記コンピュータサーバーが前記検出領域内の人間の存在または不在を連続的に判断する段階であって、前記判断は、前記ベースライン信号プロファイルの、前記第1トランシーバから前記コンピュータサーバーで連続的に受信される前記第1組のワイヤレス信号の特性に関するデータを含む信号データとの比較に少なくとも部分的に基づく、判断する段階と;前記コンピュータは、前記連続的に受信される信号データが前記検出領域内における人間の不在を示すときに、前記連続的に受信される信号データに基づいて前記ベースライン信号プロファイルを連続的に更新する段階とをさらに含む。
【0014】
前記方法の別の実施形態では、前記方法は、前記コンピュータサーバーが、前記検出領域内に存在する人間の数を特定する段階をさらに含み、当該特定は、前記受信された第2組の信号特性の、前記ベースライン信号プロファイルとの比較に少なくとも部分的に基づく。
【0015】
前記方法の別の実施形態では、前記方法は、前記コンピュータサーバーが、前記検出領域内に存在する1人以上の人間の位置を特定する段階をさらに含み、当該特定は、前記受信された第2組の信号特性の、前記ベースライン信号プロファイルとの比較に少なくとも部分的に基づく。
【0016】
前記方法の別の実施形態では、前記方法は、前記コンピュータサーバーが第2システムに動作可能に結合されている段階をさらに含み;前記コンピュータは、前記コンピュータサーバーが前記検出領域内に人間の存在を検出した後のみに、前記第2システムを動作させる。
【0017】
前記方法の別の実施形態では、前記検出ネットワークおよび前記第2システムが、同じ通信プロトコルを用いて通信するよう構成されている。
【0018】
前記方法の別の実施形態では、前記第2システムは電気システムである。
【0019】
前記方法の別の実施形態では、前記第2システムは照明システムである。
【0020】
前記方法の別の実施形態では、前記第2システムは、暖房、換気および空調(HVAC)システムである。
【0021】
前記方法の別の実施形態では、前記第2システムは警備システムである。
【0022】
前記方法の別の実施形態では、前記第2システムは産業オートメーションシステムである。
【0023】
前記方法の別の実施形態では、前記ワイヤレス通信プロトコルは、ブルートゥース(登録商標)、ブルートゥース(登録商標)ローエネルギー、アント、アント+、ワイファイ、ジグビー、およびZ-ウェイブからなる群から選択される。
【0024】
前記方法の別の実施形態では、前記ワイヤレス通信ネットワークは、850 MHzから17.5 GHzまでの範囲の搬送周波数を備える。
【0025】
前記方法の別の実施形態では、人間が前記検出領域内に存在するか否かの前記判断は、機械学習に基づいて調節され、これは:前記検出領域内で基準要素を備えた人間の第1サンプル位置を特定する段階であって、前記第1サンプル位置は前記基準要素の検出に基づいて特定される、特定する段階と;前記検出領域内で前記人間の第2サンプル位置を特定する段階であって、前記第2サンプル位置は、前記受信された第2組の信号データの、前記ベースライン信号プロファイルとの比較に少なくとも部分的に基づいて、前記基準要素を使用しないで特定される、特定する段階と;前記第1サンプル位置を前記第2サンプル位置と比較する段階と;前記特定する段階を、前記システムの位置計算能力を向上させるため、非基準要素位置に基づいて調節する段階とを含み、前記調節は前記比較する段階に基づく。
【0026】
前記方法の別の実施形態では、前記方法は、前記検出領域内に人間が一定時間にわたって存在していたか否かを示す複数の履歴データ記録を、前記コンピュータサーバーが格納する段階であって、前記履歴データ記録のぞれぞれは、前記検出領域内で検出された人間の数と、前記数の人間が前記検出領域内で検出されたときの日付および時刻との指示を含む、格納する段階と、前記コンピュータサーバーが、前記履歴データ記録を、1つ以上の外部コンピュータシステムにインターフェースを介して利用可能とする段階とをさらに含む。
【0027】
本明細書でさらに記載されているものの一つは、人間の存在を検出するための方法であって、当該方法は:検出領域内の第1位置に配置された第1トランシーバを準備する段階と;前記検出領域内の第2位置に配置された第2トランシーバを準備する段階と;前記第1トランシーバに通信可能に結合されたコンピュータサーバーと;前記コンピュータサーバーに動作可能に結合された第1外部システムを準備する段階と;前記コンピュータサーバーに動作可能に結合された第2外部システムを準備する段階と;前記コンピュータサーバーが、前記第1トランシーバから一組のベースライン信号データを受信する段階であって、前記一組のベースライン信号データは、前記検出領域内に人間が存在しないときに、前記第1トランシーバによって前記第2トランシーバから受信された第1組のワイヤレス信号の信号特性に関する特性データを含み、前記特性データは、前記通信ネットワーク上の前記第1トランシーバの通常動作の一部として前記第1トランシーバによって生成される、受信する段階と;前記検出領域内に人間が存在しないときに、前記コンピュータサーバーが、前記第2トランシーバから前記第1トランシーバへの通信に関するベースライン信号プロファイルを生成する段階であって、前記ベースライン信号プロファイルは、人間が前記検出領域に存在しないときの、前記第2トランシーバから前記第1トランシーバへのワイヤレス送信の特性を表す前記特性データに少なくとも部分的に基づく、生成する段階と;前記コンピュータサーバーが、前記第1トランシーバから第1組のサンプルベースライン信号データを受信する段階であって、前記第1組のサンプルベースライン信号データは、前記検出領域内に人間が存在するときに、前記第1トランシーバによって前記第2トランシーバから受信された第2組のワイヤレス信号の信号特性に関する特性データを含み前記特性データは、前記通信ネットワーク上の前記第1トランシーバの通常動作の一部として前記第1トランシーバによって生成される、受信する段階と;前記検出領域内に人間が存在するときに、前記コンピュータサーバーが、前記第2トランシーバから前記第1トランシーバへの通信に関する第1サンプルベースライン信号プロファイルを生成する段階であって、前記第1サンプルベースライン信号プロファイルは、人間が前記検出領域に存在するときの、前記第2トランシーバから前記第1トランシーバへのワイヤレス送信の特性を表す、前記第1組のサンプルベースライン信号データの前記特性データに少なくとも部分的に基づく、生成する段階と;前記コンピュータサーバーが、前記第1トランシーバから第2組のサンプルベースライン信号データを受信する段階であって、前記第2組のサンプルベースライン信号データは、前記検出領域内に人間が存在するときに、前記第1トランシーバによって前記第2トランシーバから受信された第3組のワイヤレス信号の信号特性に関する特性データを含み、前記特性データは、前記通信ネットワーク上の前記第1トランシーバの通常動作の一部として前記第1トランシーバによって生成される、受信する段階と;前記検出領域内に人間が存在するときに、前記コンピュータサーバーが、前記第2トランシーバから前記第1トランシーバへの通信に関する第2サンプルベースライン信号プロファイルを生成する段階であって、前記第2サンプルベースライン信号プロファイルは、人間が前記検出領域に存在するときの、前記第2トランシーバから前記第1トランシーバへのワイヤレス送信の特性を表す、前記第2組のサンプルベースライン信号データの前記特性データに少なくとも部分的に基づく、生成する段階と;前記コンピュータサーバーが、前記第1トランシーバから第3組のサンプルベースライン信号データを受信する段階であって、前記第3組のサンプルベースライン信号データは、前記検出領域内に人間が存在するときに、前記第1トランシーバによって前記第2トランシーバから受信された第4組のワイヤレス信号の信号特性に関する特性データを含み、前記特性データは、前記通信ネットワーク上の前記第1トランシーバの通常動作の一部として前記第1トランシーバによって生成される、受信する段階と;前記コンピュータサーバーは、前記第3組のサンプルベースライン信号データの前記特性データが前記第1サンプルベースライン信号プロファイルに一致するとの前記コンピュータサーバーによる判断に基づいて、前記第1外部システムを動作させるよう決定する段階と、前記コンピュータサーバーは、前記第3組のサンプルベースライン信号データの前記特性データが前記第2サンプルベースライン信号プロファイルに一致しないとの前記コンピュータサーバーによる判断に基づいて、前記第2外部システムを動作させないよう決定する段階とを含む。
【0028】
前記方法の別の実施形態では、前記第1外部システムを動作させるという決定および前記第2外部システムを動作させないという決定は、機械学習に基づいて調節され、これは:前記検出領域内で基準要素を備えた人間の第1サンプル位置を特定する段階であって、前記第1サンプル位置は前記基準要素の検出に基づいて特定される、特定する段階と;前記検出領域内で前記人間の第2サンプル位置を特定する段階であって、前記第2サンプル位置は、前記受信された第2組の信号データの、前記ベースライン信号プロファイルとの比較に少なくとも部分的に基づいて、前記基準要素を使用しないで特定される、特定する段階と;前記第1サンプル位置を前記第2サンプル位置と比較する段階と;前記特定する段階を、前記システムの位置計算能力を向上させるため、非基準要素位置に基づいて調節する段階とを含み、前記調節は前記比較する段階に基づく。
【0029】
前記方法の別の実施形態では、前記ワイヤレス信号の前記特性データは、受信された信号強度、待ち時間、およびビット誤り率からなる群から選択される信号特性に関するデータを含む。
【0030】
前記方法の別の実施形態では、前記コンピュータサーバーは、統計的方法を前記第1組のサンプルベースライン信号データに適用することで、前記第1サンプルベースライン信号プロファイルを生成し、前記コンピュータサーバーは、統計的方法を前記第2組のサンプルベースライン信号データに適用することで、前記第2サンプルベースライン信号プロファイルを生成する。
【0031】
前記方法の別の実施形態では、前記方法は:前記コンピュータサーバーが、前記第1トランシーバから付加的な組のベースライン信号データを受信する段階であって、前記付加的な組の信号データは、前記第1トランシーバによって前記第2トランシーバから受信される第2組のワイヤレス信号の信号特性に関する特性データを含み、前記特性データは、前記通信ネットワーク上の前記第1トランシーバの通常動作の一部として前記第1トランシーバによって生成される、受信する段階と;前記コンピュータサーバーは、前記連続的に受信される付加的な組のベースライン信号データが前記検出領域内における人間の不在を示すときに、前記連続的に受信される付加的な組のベースライン信号データに基づいて前記ベースライン信号プロファイルを更新する段階とをさらに含む。
【0032】
前記コンピュータサーバーが前記第1トランシーバから一組の信号データを受信する段階であって、前記一組の信号データは、1人以上の人間が前記検出領域内に存在するときに、前記第1トランシーバによって前記第2トランシーバから受信される第2組のワイヤレス信号の信号特性に関する特性データを含み、前記特性データは、前記通信ネットワーク上の前記第1トランシーバの通常動作の一部として前記第1トランシーバによって生成される、受信する段階と;前記コンピュータサーバーは、前記検出領域内に存在する人間の数量を、前記一組の信号データの、前記ベースライン信号プロファイルとの比較に少なくとも部分的に基づいて特定する段階とをさらに含む、請求項20に記載の方法。
【0033】
前記方法の別の実施形態では、前記コンピュータサーバーが前記検出領域内に存在する前記1人以上の人間それぞれの位置を特定する段階をさらに含み、当該特定は、前記一組の信号データの、前記ベースライン信号プロファイルとの比較に少なくとも部分的に基づく。
【0034】
前記方法の別の実施形態では、人間が前記検出領域内に存在しているときに、前記第3組のサンプルベースライン信号データの前記特性データが前記第2サンプルベースライン信号プロファイルに一致する場合であっても、前記コンピュータサーバーは、人間が前記検出領域内に存在していると判断し、前記第1外部システムを動作させる。
【0035】
前記方法の別の実施形態では、人間が前記検出領域内に存在しているときに、前記第3組のサンプルベースライン信号データの前記特性データが前記第2サンプルベースライン信号プロファイルに一致する場合のみに、前記コンピュータサーバーは、人間が前記検出領域内に存在していると判断し、前記第2外部システムを動作させる。
【0036】
前記方法の別の実施形態では、前記ワイヤレス通信ネットワークは、850 MHzから17.5 GHzまでの範囲の搬送周波数を備える。
【0037】
前記方法の別の実施形態では、前記方法は、前記検出領域内に人間が一定時間にわたって存在していたか否かを示す複数の履歴データ記録を、前記コンピュータサーバーが格納する段階であって、前記履歴データ記録のぞれぞれは、前記検出領域内で検出された人間の数と、前記数の人間が前記検出領域内で検出されたときの日付および時刻との指示を含む、格納する段階と、前記コンピュータサーバーが、前記履歴データ記録を、1つ以上の外部コンピュータシステムにインターフェースを介して利用可能とする段階とをさらに含む。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【
図1】本開示によるシステムの実施形態のブロック図である。
【
図2】本開示による方法の実施形態のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0039】
発明を実施するための最良の形態
次の詳細な説明および開示は、実例による説明であって限定による説明ではない。この説明は、開示されたシステムおよび方法の当業者による製造および使用を明確に可能とし、かつ、開示されたシステムおよび方法の幾つかの実施形態、調節、変更、変形、および使用を説明するものである。本開示の範囲を逸脱することなく上記の構成に対して様々な変更を施すことが可能であるから、この説明に含まれまたは添付の図面に示された全ての事項は、例示的なものとして解釈すべきであり、限定的な意味で解釈すべきではないことが意図されている。
【0040】
一般的に、本明細書には、基準要素なしでネットワーク内の物体の存在を検出するためのシステムおよび方法などが記載されている。一般的に、本明細書に記載されたシステムおよび方法は、一般にメッシュネットワークである通信ネットワークにおける生物質量体の存在によって引き起こされるRF通信の信号吸収ならびに信号の前方および反射後方散乱を使用する。
【0041】
この開示全体を通じて、「コンピュータ」という用語は、一般に、デジタル計算技術とりわけマイクロプロセッサに関連付けられた計算機能によってもたらされる機能を実装するハードウェアを指すものである。「コンピュータ」という用語は、任意特定の種類の計算装置に限定することを意図したものではないが、次を含むがそれらに限定されないあらゆる計算装置を含むことを意図し、それらは:処理装置、マイクロプロセッサ、パーソナルコンピュータ、デスクトップコンピュータ、ラップトップコンピュータ、ワークステーション、端末、サーバー、クライアント、携帯型計算装置、手持ち型コンピュータ、スマートフォン、タブレットコンピュータ、モバイル装置、サーバーファーム、ハードウェア機器、ミニコンピュータ、メインフレームコンピュータ、ビデオゲームコンソール、手持ち型ビデオゲーム製品、ならびにアイウェア、リストウェア、ペンダント、およびクリップ留め装置を含むがそれらに限定されないウェアラブル計算装置である。
【0042】
本明細書では、「コンピュータ」は、必然的に、特定の役割のコンピュータに特徴的なハードウェアおよびアクセサリを備えた単一の計算装置によってもたらされる機能の抽象概念である。限定ではなく例示を目的として、ラップトップコンピュータに関する「コンピュータ」という用語は、マウスまたはトラックパッドなどのポインタに基づく入力装置によりもたらされる機能を含むものと当業者には理解される一方、企業クラスサーバーに関する「コンピュータ」という用語は、RAIDドライブおよび二重電源などの冗長システムによってもたらされる機能を含むものと当業者には理解されるはずである。
【0043】
また、単一のコンピュータの機能を多数の個別マシンに分散してもよいことは当業者には周知である。この分散は、特定のマシンが特定のタスクを実行するような機能的であってもよいし、各マシンが他の任意マシンの殆どもしくはすべての機能を実行可能で、任意時点で利用可能なリソースに基づいてタスクを割り当てられる均衡式としてもよい。よって、「コンピュータ」という用語は、本明細書では、単一でタンドアローンの自己完結型装置、または、ネットワークサーバーファーム、「クラウド」計算システム、サース(software-as-a-service)、もしくは他の分散型もしくは共同的コンピュータネットワークを含むがそれらに限定されない、協力してもしくは独立して動作する複数の装置を指すことができる。
【0044】
通常の技能を備えた当業者であれば、従来は「コンピュータ」とは考えられていない装置であっても一定の文脈では「コンピュータ」の特徴を示すことも理解するはずである。こうした装置が本明細書に記載した「コンピュータ」の機能を実行する場合は、「コンピュータ」という用語はその限りにおいてそうした装置を含む。この種の装置は、ネットワークハードウェア、プリントサーバー、ファイルサーバー、NASおよびSAN、ロードバランサー、ならびに従来の「コンピュータ」に関して本明細書で記載したシステムおよび方法と相互作用できる他の任意ハードウェアを含むがそれらに限定されない。
【0045】
本開示全体を通じて、「ソフトウェア」という用語は、コードオブジェクト、プログラムロジック、コマンド構造、データ構造および定義、ソースコード、実行可能および/またはバイナリファイル、マシンコード、オブジェクトコード、コンパイル済のライブラリ、インプリメンテーション、アルゴリズム、ライブラリ、またはコンピュータプロセッサにより実行可能な、または仮想プロセッサを含むがそれらに限定されないコンピュータプロセッサ、実行時環境、仮想マシン、および/またはインタプリタによって実行可能な形式に変換可能な任意の命令もしくは一組の命令を指す。通常の技能を備えた当業者であれば、ソフトウェアは、マイクロチップを含むがそれに限定されないハードウェアに組み込みまたは埋め込むことができるが、本開示の意味においてはなお「ソフトウェア」と考慮できることは理解するはずである。本開示の目的では、ソフトウェアは、RAM、ROM、フラッシュメモリBIOS、CMOS、マザーもしくはドーターボード回路、ハードウェアコントローラ、USBコントローラもしくはホスト、周辺装置およびコントローラ、ビデオカード、オーディオコントローラ、ネットワークカード、ブルートゥース(登録商標)および他のワイヤレス通信装置、仮想メモリ、記憶装置および関連したコントローラ、ファームウェア、ならびにデバイスドライバに記憶されたまたは記憶できる命令を含むがそれらに限定されない。本明細書に記載したシステムおよび方法は、コンピュータと、コンピュータまたは機械可読記憶媒体もしくはメモリに典型的には記憶されたコンピュータソフトウェアとを使用することが考慮されている。
【0046】
本開示全体を通じて、「媒体」、「記憶媒体」、および「メモリ」などの用語を含むがそれらに限定されないソフトウェアを保持する媒体を記述または指すために使われる用語は、信号および搬送波などの一過性媒体を含んでもよいし、除外してもよい。
【0047】
本開示全体を通じて、「ネットワーク」という用語は、概して、コンピュータ同士がそれを介して互いに通信する音声、データ、または他の通信ネットワークを指す。「サーバー」という用語は、概して、ネットワークを介してサービスを提供するコンピュータを指し、「クライアント」という用語は、概して、ネットワークを介してサーバーにより提供されるサービスにアクセスまたは利用するコンピュータを指す。通常の技能を備えた当業者であれば、「サーバー」および「クライアント」という用語は、文脈によって、ハードウェア、ソフトウェア、および/またはハードウェアとソフトウェアの組合せを指すことができるのは理解するはずである。通常の技能を備えた当業者であれば、「サーバー」および「クライアント」という用語は、ネットワークソケット結合を含むが必ずしもそれに限定されないネットワーク通信またはネットワーク接続のエンドポイントを指すことができるのは理解するはずである。通常の技能を備えた当業者であれば、「サーバー」は、1つまたは一組のサービスを提供する複数のソフトウェアおよび/またはハードウェアを含むことができることをさらに理解するはずである。通常の技能を備えた当業者であれば、「ホスト」という用語は、名詞の形式では、ネットワーク通信またはネットワークのエンドポイントを指す(例えば、「リモートホスト」)ことができ、動詞の形式では、ネットワークを介してサービスを提供する(例えば、「ウェブサイトをホストする」)サーバーまたはネットワークを介したサービスのアクセスポイントを指すことができるのは理解するはずである。
【0048】
本開示全体を通じて、「リアルタイム」という用語は、所与のイベントが開始または完了するための、または、所与のモジュール、ソフトウェア、もしくはシステムが応答するための動作デッドライン以内でソフトウェアが動作することを指し、さらに、概してその応答または実行時間が、通常のユーザ感覚および考慮された技術的文脈では、かつ、参照イベント(reference event)と事実上概ね同時であることを連想させる。通常の技能を備えた当業者であれば、「リアルタイム」という用語は、システムが、即時に入力を処理しかつ/または応答することを文字通り意味するのでなく、システムによる処理および/または応答が十分に迅速であって、その処理または応答時間が、プログラムの動作の文脈においては一般の人間にはリアルタイムの経過と知覚されると理解している。通常の技能を備えた当業者であれば、動作の文脈がグラフィカルユーザ・インターフェースであれば、「リアルタイム」は、1秒以下の実際時間の応答時間であって、好適には数ミリ秒または数マイクロ秒であることを通常は意味することは理解している。しかし、通常の技能を備えた当業者であれば、他の動作の文脈では、「リアルタイム」で動作するシステムは、特にネットワークの動作が関係する場合、1秒を上回る遅れを示すことがあることも理解している。
【0049】
本開示全体を通じて、「送信機」という用語は、メッセージ、信号、データ、または他の情報を伝達する電磁波を生成しかつ送信するためのハードウェア、回路、および/またはソフトウェアを備えた装置または一組の装置を指す。送信機は、こうしたメッセージ、信号、データ、または他の情報を含む電気信号を受信し、それらをそうした電磁波に変換するための構成要素を含むこともできる。「受信機」という用語は、そうした送信された電磁波を受信し、かつ、それらをそうしたメッセージ、信号、データ、または他の情報がその中から抽出される通常は電気的な信号に変換するためのハードウェア、回路、および/またはソフトウェアを備えた装置または一組の装置を指す。「トランシーバ」という用語は、必ずしも限定するものではないが双方向無線またはワイヤレスネットワーキング・ルータもしくはアクセスポイントなどの送信機および受信機の両方を含んだ装置またはシステムを概して指す。本開示の目的では、3つの用語はすべて、特に断らなければ入れ替え可能であると理解すべきであって、例えば、「送信機」という用語は受信機の存在も意味していると理解すべきであり、「受信機」という用語は送信機の存在も意味していると理解すべきである。
【0050】
本開示の目的では、「検出ネットワーク」という用語は、本開示のシステムおよび方法で使用されるワイヤレスネットワークを指し、このネットワークは、その通信領域内に配置された生物質量体の存在を検出するためのものである。検出ネットワークは一般的なネットワーキングプロトコルおよび標準を使用でき、特別目的ネットワークでもよいが、必ずしもそうである必要はない。すなわち、ネットワーク内のノードは本発明に従ってワイヤレス検出ネットワークを設定するという特別な目的で配置可能ではあるが、これらはその必要もないし、一般的にはそうではない。他の目的のために設定された通常のワイヤレスネットワークを、本明細書に記載したシステムおよび方法を実装するために使用できる。好適な実施形態では、この検出ネットワークは、複数のブルートゥース(登録商標)ローエネルギー・ノードを使用する。各ノードは、ネットワークを介して通信する適切な送信機および受信機を備えたコンピュータとして動作する。これらコンピュータそれぞれは、メッセージを送信するときは常にネットワーク内で一意の識別子を与え、受信するコンピュータが、そのメッセージの発信起点を識別できるようにする。こうしたメッセージ発信起点情報は、詳細な説明で記載されているように本発明の機能には通常不可欠である。次に、受信したコンピュータが、信号強度、ビット誤り率、およびメッセージ遅れを含むがそれらに限定されない受信信号の特性を分析する。この検出ネットワークはメッシュネットワークでよく、これは、各ノードがネットワークからのデータをリレーするネットワークトポロジーであることを意味する。
【0051】
本開示全体を通じて、「ノード」という用語は、ネットワーク通信のスタートポイントおよびエンドポイントであって、概して、ワイヤレストランシーバを備え,かつ検出ネットワークの一部である装置を指す。ノードは、ワイヤレスルータ、ワイヤレス・アクセスポイント、短距離ビーコンなどの概してタンドアローンで自己完結型のネットワーキング装置である。ノードは、汎用デバイスでも、本明細書に記載された検出ネットワークで使用するよう構成された専用デバイスでもよい。限定ではなく例示を目的として、ノードは、本明細書に記載されたシステムおよび方法を実装するための、すなわち、信号強度、ビット誤り率、およびメッセージ遅れを含むがそれらに限定されない信号特性の有意な変化を検出するための専用ハードウェア、回路、構成要素、またはプログラミングを付加した市販品のワイヤレスネットワーキング装置のワイヤレス送信機能を備えた装置でよい。検出ネットワーク内で、各ノードは、ネットワークへの信号の送信機としても、他のノードが情報をプッシュする受信機としても機能する。好適な実施形態では、これらノードは、ブルートゥース(登録商標)ローエネルギー(BLE)をワイヤレスネットワーキング・システムとして使用する。
【0052】
本開示全体を通じて、「連続」という用語は、事象が数学的に連続的であっても不連続的であっても、時間的に継続して起こっているの何らかのことを指す。「連続関数」の一般に受け入れられている数学的定義は、孔や跳びがなく、一般に両側極限により記述される関数である。本明細書に記載された技術は、トランシーバが離散的間隔で送信し、受信された生データが離散的に、すなわち離散的な時間間隔で受け取られる電気通信システムへの外乱に基づく。得られるデータ自体は、それが特定の観察窓(すなわち、時間間隔)中のシステムの特性を捕らえているという点で離散的でありうる。物理的または数学的意味で、この機構は、本質的に一組の時間的な離散データ点であり、不連続関数を意味する。しかし、この技術の文脈では、通常の技能を備えた当業者は、そうした測定が経時的に継続して行われるのであれば、この種の挙動を示すシステムを「連続的」なものであると理解するはずである。
【0053】
RF信号の測定可能なエネルギー密度シグネチャーは、環境吸収体および反射体によって影響を受ける。人間のような多くの生物質量体は、大部分は水であり、有意なエネルギー吸収体として作用する。衣服、宝石類、内部臓器等のような人間の他の属性は、すべて測定可能なエネルギー密度にさらに影響を与える。このことは、ブルートゥース(登録商標)、ワイファイ(登録商標)、ジグビー、およびZ-ウェイブトランシーバのように、RF通信装置が、比較的短い距離(例えば50メートル未満)を送信している場合に特に当てはまる。人間がネットワークの物理的空間を通過すると、信号の吸収および混乱を引き起こす。人体は、大きさ、密度、および質量組成が比較的均一なので、特徴的な信号吸収、散乱、測定可能な反射を引き起こすことができる。信号の挙動の変化および/または特性の変化は、本明細書では概して「アーティファクト」と呼ぶ。そうした現象は、RFスペクトルの工業、科学、および医療用帯域で特に有用だが、これらを超えた帯域でも概して観察可能である。
【0054】
空間で分離された送信機と受信機とを含むRF通信システムにおいて、受信機により受信された所与の送信機からの信号は、受信機に到着した元々の送信メッセージからのエネルギーから成る。伝送路上の物体は、受信機に到着する最終的な信号の特性に影響を与える。
【0055】
通信システムはこうした問題に対処するよう概ね設計されており、それでも送信機からのメッセージを忠実に再現する。RF通信が影響を受ける限りにおいて、人間は水の塊として存在するので、検出ネットワークにおける人間の存在と不在とのそうした観察可能な1つの差は、人間による信号吸収である。概して、送信機または受信機に近づくほど、吸収の影響は大きくなる。
【0056】
概して、人間は、検出アルゴリズムによってプログラムで検出または識別可能な予測可能な様態で、検出ネットワークにおいてアーティファクトを発生させることが予想される。さらに、アーティファクトをネットワークで相互相関して、アーティファクトを発生させる物体の推定位置を求めることができる。この推定の正確度は、選択/作成されたアルゴリズムによって、また、個別のシステムで使用される装置によって変化する。
【0057】
選択/作成されたそれぞれの所与のアルゴリズムについて、システムは、検出領域に人間が存在しない場合のベースライン信号プロファイルと、検出領域に人間が存在する場合のサンプルベースライン信号データとの組合せとしてそうした検出を構築する。新たな受信サンプルベースライン信号データは、既知のサンプルベースライン信号データとベースライン信号プロファイルとの両方に比較して、空間内の人間の存在または不在を判断できる。
【0058】
短距離の低出力通信ネットワークは、典型的には、人間による吸収が観察されているエネルギー周波数に十分含まれることがよく知られている2.4GHzの周波数帯の信号を用いて動作する。上述したように、検出ネットワークに物理的に配置された人体は、2つ以上のノード間で通信される信号の少なくとも一部を吸収および/または反射する。しかし、前方および後方散乱などの他の影響が発生することもありうる。ベースラインを確立するために人間の存在なしに検出ネットワーク内でのデータ収集を利用し、さらに、1人以上の人間の物理的存在によって典型的には示される統計学的に有意な差異に関して、当該人間が移動しているかどうかにかかわらず、上記データの未来要素を検査することによって、検出ネットワークは、そのネットワーク内の人間の存在または不在に関する判断を行う。
【0059】
通信ネットワーク自体、使用されるハードウェア、および人間によって、これらの変化はネットワーク内で異なる様態で示され、異なる結果を生み出すが、そうした変化は検出可能である。これは、物体の検出が必ずしも信号の反射のみに基づかないまたは依存するのでなく、むしろしばしば反対の原理、すなわち吸収(異なる物理的な位置における、送信機と受信機との間の信号特性の測定可能な変化を介して検出される)に依存するという意味でレーダー技術とは異なる。
【0060】
ネットワーク内におけるノード間の信号特性の変化を分析することで、ネットワークに対して混乱をもたらすもの、例えば人体の位置を計算できる。単に人体が存在するだけで十分なので、このシステムは必ずしも基準要素を含まず、運動または動きに依存する必要がない。基準要素が必要でないため、本明細書に記載されたシステムおよび方法は、匿名位置データ報告サービスを提供でき、追加の構成要素または装置を追跡対象の人体に関連付ける必要もなく、交通、移動ルート、および占有に関するデータ収集を可能とする。一般的に言って、本明細書に記載されたシステムおよび方法は、リアルタイムで動作する。
【0061】
図1は、本開示によるシステムおよび方法の概略図である。
図1に図示した実施形態(101)では、複数のノード(107)を含む検出ネットワーク(103)は、部屋、廊下、玄関、または出入口などの物理的空間(102)内に配置されている。
図1に図示した実施形態では、室内空間(102)が使用されているが、本明細書に記載されたシステムおよび方法は外部環境でも動作可能である。図示した実施形態では、ノード(107A)は、イントラネット、相互接続ネットワーク、またはインターネットなどの電気通信ネットワーク(115)に通信可能に接続されている(111)。サーバーコンピュータ(109)も電気通信ネットワーク(115)に通信可能に接続(113)でき、従って接続されたノード(107A)とも接続できる。図示したサーバー(109)は、本明細書に記載されたシステムを実装し、かつ、本明細書に記載された方法のステップを実行するためのプログラミング命令を含む。しかし、一実施形態では、このサーバーにより実行される機能は、適切なソフトウェア/プログラミング命令を備えた、または、適切に修正された1つ以上のノード(107)によって実行されるようにしてもよい。
【0062】
図1に示した実施形態では、各ノード(107)は、検出ネットワーク(103)内の少なくとも1つの他のノード(107)と通信可能に接続されており、さらに、検出ネットワーク(103)内の2つ以上またはすべての他のノード(107)に通信可能に接続してもよい。例えば、典型的なワイヤレスネットワーク配置戦略では、複数のワイヤレスアクセス・ポイントが物理的空間102全体に配置され、高品質の信号があらゆる場所で利用できることを概ね保証している。これらノード(107)は、検出ネットワーク(103)を共同で形成し、データを互いに送信したり、1つのルータまたは一組のルータのみに通信したりできる。
図1に示した実施形態では、ノード(107A)はワイヤレスルータであり、残りのノード(107B)、(107C)、および(107D)はワイヤレスアクセス・ポイントである。しかし、これは1つの可能な構成にしかすぎない。さらに、任意のノード(107)は、特定種類のワイヤレスデバイスである必要はない。任意の数のノード(107)が、ルータ、アクセスポイント、ビーコン、または他の種類のワイヤレストランシーバであってもよい。さらに、任意の数のノード(107)が実施形態に存在できるが、最小数2台が好ましい。空間102内のノード(107)を多くすればデータ収集量が増加するので(本明細書の他の箇所で記載したように)、人間が少なくとも2つのノード(107)の間に概ね挟まれる可能性が増大し、位置解像度が向上する。
【0063】
通常の動作の過程では、ノード(107)は、ワイヤレス送信および受信を頻繁に行う。例えば、ワイヤレスルータ(107A)がデータパケットを受信すると、ワイヤレスルータ(107A)は、典型的にはこのパケットを含むワイヤレス送信を同報通信する。これは、ルータ(107A)の同報送信半径内にある任意の受信機が、その信号を、それがそれらに意図されたものであるかに関わらず受信できることを意味する。同様に、アクセスポイントによってローカルデータが受信されるときは、そうしたデータも同様に同報送信され、他のアクセスポイントおよびルータによって検出可能である。ネットワークで積極的に送信されているユーザデータがないときでも、他のデータは頻繁に送信される。これら他の送信には、状態データ、サービススキャン、およびネットワークスタックの低レベル層の機能のためのデータ交換が含まれる。
【0064】
よって、典型的な検出ネットワーク(103)における各ノード(107)は、常に変わることなく送信を受け、使用度が高いネットワークでは、これは実質的に連続的となることがある。従って、検出ネットワーク(103)を使用して、ネットワーク(103)の送信範囲内に物理的に配置された生物質量体(104)または(105)の存在および/または位置を計算できる。人体の存在は、ネットワーク(103)内の2つ以上のノード(107)間で送信される信号の特性に影響を与えるので、そうした存在は、そうした特徴の変化を見つけるように監視することで検出できる。この検出は、送受信されているデータパケット内のデータが送受信されている最中に実行してもよい。すなわち、この検出は、この検出にかかわらず継続する2つ以上のノード間での通常のデータ交換に付随するものである。特に、このワイヤレスネットワークは、ノード間でデータを転送するよう動作する一方で、同時に、そのデータが組み込まれたデータパケットが送信路上の物体の存在によってどのように影響を受けたのかに関する特性を用いてその物体を検出しその位置を求めることができる。
【0065】
図1に示した実施形態では、少なくとも1つのノード(107)が、それ自体(107)と少なくとも1つの他のノード(107)との間の通信シグネチャーを信号特性の統計的に有意な変化に関して監視する一方、それは、それ自体と他のノード(107)との間の通信を待ち、受信し、かつ/または送信する。物理的環境内の装備品の存在および位置も含めた物理的空間(102)の幾可学的形状は、一般にシステムに影響を与えないが、それは監視が、人間の特性を示すまたは証明する信号特性の統計的に有意な変化に関するものだからである。すなわち、信号特性の変化は、検出ネットワーク(103)の有効範囲に含まれる物理的環境すなわち通信空間における、人体のような吸収体または反射体の変化に起因すると考えられる。検出ネットワーク(103)内における人間の存在の検出は、本明細書の他の箇所で記載されているような感知アルゴリズムを使うなどして、信号に統計的分析方法を使用することによって実行できる。再度述べると、これは人間を基準要素に関連付けることを要件とせず、人間が運動状態にある必要もない。むしろ、検出ネットワーク(103)が、ネットワーク通信の特性が変化したことを検出するのは、新たな物体(概ね人間である物体)が通信空間に導入されたこと、および、その物体の存在がノード(107)間で通信されているデータパケットの特性に変化をもたらしたことが理由である。
【0066】
変化を検出するため、概して、最近送信された信号が比較される対象となる通信のベースラインが、設定される。ノード(107)間の信号特性のこのベースラインは、概して検出器としての検出ネットワーク(103)の使用前に設定される。これは、有意な生物質量体が検出ネットワーク(103)の物理的同報送信空間内に配置されていない状態で、検出ネットワーク(103)がデータパケットを通信するという、典型的または通常状態で、検出ネットワーク(103)が動作することによって行えばよい。そうした動作の時間中は、2つ以上のノード(107)間の信号特性は、監視され、収集され、データベースに格納される。一実施形態では、サーバー(109)はそうしたデータを受信して格納するが、一実施形態では、1つ以上のノード(107)は、そうしたデータを受信しかつ/または格納するよう構成されたハードウェアシステムを含むこともできる。
【0067】
例えば、ノード(107)は、本開示に従って使用するための特別目的ハードウェアおよびプログラミングを含むが、そうしたノード(107)はそれ自体の信号特性データを格納できる。そうした信号特性データは、特定のノード(107)によって1つ以上の他のノード(107)から受信された信号の受信エネルギー特性に関連したデータでよい。ベースラインデータは、各ノード(107)に関してシグネチャー特性プロファイルを設定するものであり、これは、本質的には、検出ネットワーク(103)に有意な生物質量体が配置されていない通常の動作状況において当該ノード(107)により受信された信号の典型的かつ/または一般的な特徴を定義するデータの収集体である。ノード(107)は、それがデータを受信する元となる他の各ノード(107)に付いて、1つのそうしたプロファイルを備えることができる
【0068】
一実施形態では、ベースラインシグネチャーが検出されかつ収集された後は、検出ネットワーク(103)は、概ね同一または同様の態様で動作を継続するが、生物質量体の存在の検出がこの時点で可能となる。これは、検出ネットワーク(103)がデータパケットを送受信する通常モードで動作する際に、概してリアルタイムで、付加的な信号特性を検出しかつ収集することで行われる。これらの新たに生成されたリアルタイムの信号特性プロファイルも、概ね検出ネットワーク(103)内にある特定の2つのノード(107)間の信号特性なので、同じ特定の2つのノード(107)に関する対応するベースライン信号特性プロファイルと比較できる。すると、これら2つのプロファイル間の特定の特性における統計的に有意な差は、人間などの有意な生物質量体の存在によって引き起こされたものと解釈できる。
【0069】
この比較動作は、所与のノード(107)の適切なハードウェアによって実行したり、リアルタイム信号特性プロファイルを、処理および比較のためにサーバー(109)に送信したりすればよい。さらなる実施形態では、リアルタイムデータのコピーが格納されサーバーを介してアクセス可能となるようこれら両方が実行され、信号特性プロファイルの履歴を効果的に提供する。
【0070】
これは、本明細書で記載されているように、ネットワーク内に配置されている生物質量体が、その生物質量体と交差しかつ/または概して相互作用するデータパケットが送信されるときに、概して、少なくとも幾らかの信号特性を少なくとも2つのノード間で変化させるからである。この変化の程度および性質は、概して、配置された生物質量体の性質(例えば、大きさ、形状、および組成)およびネットワーク(103)内での位置に関連する。例えば、イエバエが検出ネットワーク(103)を横切って飛翔する場合、信号の変化量は、信号特性の自然の変動から区別できないほど小さくなりうる。しかし、人間のようなより大きい質量では、信号特性のより大きくかつ統計的に有意な変化を引き起こすことができる。
【0071】
こうした変化は、必ずしも検出ネットワーク(103)のすべての信号特性プロファイルに現れないこともある。例えば、この質量が検出ネットワーク(103)の端部に配置されている場合、その端部に最も近いノード(107)が統計的に有意な信号特性の変化を受ける可能性が高く、検出ネットワーク(103)の反対側のノード(それらの互いへの信号はこの生物質量体を通過またはその周囲を通過しない)は統計的に有意な信号特性の変化をほとんど、または全く受けない可能性が高い。従って、ノード(107)の物理的な位置も既知であれば、システムは、生物質量体が検出ネットワーク(103)内に存在すると判断できるだけでなく、どのノード(107)が変化を受けているかを判断し、かつ、それら変化の大きさを計算することで、その推定位置の計算も可能である。
【0072】
これは
図1に示した実施形態で見ることができる。
図1では、A(104)またはB(105)のいずれか一方の人間だけが存在すると仮定すると、A(104)は、概して、(107A)とノード(107C)との間よりもノード(107C)と(107A)との間の信号特性により大きな影響をもたらすはずである。さらに、A(104)が、概してノード(107B)と(107D)との間の信号特性に及ぼす二方向性の影響はより小さいくなるはずである。対照的に、B(105)は、ノード(107A)と(107C)との間の信号特性に加え、ノード(107B)と(107D)との間にも二方向性の影響及ぼすはずである。
【0073】
すべてのノードは互いと通信する間に、A(104)および/またはB(105)がノード間の伝送路に概ね直線上に位置していない場合は、A(104)およびB(105)の影響は概してより小さくなる。例えば、いずれの人物(104)または(105)も、ノード(107A)と(107B)との間の伝送路に存在しないため、これらノードの間の通信に重大な影響を与えない可能性が高い。しかし、A(104)は、ノード(107C)と(107D)との間の通信に影響を及ぼしうる。
【0074】
検出ネットワーク(103)の通信領域内における生物質量体の存在または不在が、データ通信の変化をもたらすとは限らないことは注意すべきである。検出ネットワーク(103)は、その標準的な既存のプロトコル、手段、および方法(あらゆる形式の再送信および誤り検査を含む)を使用して、通信されているデータパケット内のデータが確実かつ正確に受信、処理、かつ作用を受けることが予期される。要するに、検出ネットワークの標準的なデータ通信に加えて、検出ネットワーク(103)の検出処理が実行される。
【0075】
このことから、検出ネットワーク(103)内のノード(107)によって通信されるデータパケット内のデータは、概して、検出ネットワーク(103)の通信領域内の生物質量体の検出には直接利用されないことが理解されるはずである。すなわち、このデータは単に何らかの理由で検出ネットワーク(103)を介して通信されているデータであり、生物質量体の検出とはしばしば何の関係もない。さらに、本開示は、概して、データパケットの形式でのパケット化通信を考慮しているが、代替的な実施形態では、このデータは非パケット化形式で連続的に通信してもよい。
【0076】
一実施形態では、検出ネットワーク(103)による特定の生物質量体の存在または不在を検出可能とするため、本システムは訓練側面またはステップを含む。この側面は、ベースラインが設定された後、1人以上の人間がネットワーク内の1つ以上の箇所に意図的に配置され、さらに、1つ以上の組のベースラインデータが収集かつ格納されることを含むことができる。この2番目のベースラインは、ネットワーク内に配置された生物質量体の大きさ、形状、および/もしくはその他の特徴を検出する際の正確性の向上を目指した比較のため、並びに/または位置特定の正確性を向上させるために使用できる。こうした訓練は、監視付きまたは監視付きでない学習を用い、かつ/または機械学習の分野の当業者には公知の技術を使用してもよい。
【0077】
一実施形態では、検出ネットワーク(103)は、制御メッセージング構造および/または形式を含む専用プロトコルを含むことができ、1つのノード(107)から別のもの(107)へこれを制御でき、どのノード(107)からメッセージが発信されたかの特定がより簡潔で容易になり、送られた信号の構成、送信された信号強度、および信号継続時間などの側面の制御が可能となる。さらに、こうした制御は、処理の向上を促進し、ネットワーク(103)の検出側面に独特の信号の品質および/または特性の受信機による識別ならびに使用を促進するが、これは同じネットワーク(103)を共有する一般的なネットワーキング側面とは異なることがある。送信されかつ位置特定された質量の対向面で受け取られるメッセージを制御すれば、信号を走査として送信したり、空間の一領域を掃引したりする必要はないが、それはこうした機能が、ノード(107)間の典型的な同報送信または指向性送信に必要なものよりかなり高価な機器が必要とする傾向があるからである。概して、メッセージは、これらメッセージが使用される通信ネットワークで最適に機能するよう構成された検出アルゴリズムが使用可能なデータを最適に生成するように構成されている。概して、こうした構成では、ネットワークが送信する信号を波形レベルで分析する必要性を回避できる。
【0078】
図示した実施形態では、各ノード(107)は、概して、そうしたノード(107)が受信したパケットの発信ノード(107)を特定できる。こうしたメッセージ発信情報は、典型的には、そのメッセージ自体の中で符号化されており、これは通信ネットワーク分野の当業者には公知である。限定ではなく例示目的だが、これを実行するには、ネットワーキングスタック内の確立されたプロトコルに埋め込まれたデータを検証したり、または、本明細書に記載されたシステムおよび方法を実施する目的で送信ノード(107)によって送信されたデータを検査したりすればよい。典型的には、各ノード(107)は、受信したメッセージを分析するのに適したハードウェアおよび処理能力を備えている。多くの異なるトポロジおよびメッセージングプロトコルが、本明細書に記載された機能をもたらすことができるが、概して、メッシュネットワーキング・トポロジおよび通信方法が使用可能な結果をもたらすはずである。
【0079】
図2は、本開示による方法の一実施形態(201)を示し、
図1のシステムに関連して理解すべきである。図示した実施形態では、この方法は、本開示に従って複数の通信ノード(107)を含む検出ネットワーク(103)を確立すること(203)から開始(203)される。通信システムの設定分野の当業者には周知のはずだが、こうしたネットワーク(103)の設定には多くの異なるアプローチがあり、多くの異なるネットワーク(103)トポロジは、この枠組み内で実行可能となるかもしれない。
【0080】
次に、検出ネットワーク(103)の物理ノード(107)の幾何学形状を示したメモリ内のデジタルマップを生成(205)できる。本明細書に記載された検出アルゴリズムは、物理的環境(102)内のどこにノード(107)が配置されているかに関する情報を概ね使用する。ノード(107)のそうした物理的位置に関するデータは、物理ネットワーク環境(102)の正確な図に手動で与えてもよいし、かつ/またはソフトウェアを用いて、検出ネットワーク(103)内にある1つ以上のノード(107)の関係位置マップを自動的に生成し、ノード(107)をそうした環境マップまたは図に容易に配置できるようにしてもよい。
【0081】
代替的には、検出のために相関(絶対でなく)距離を用いてブランクもしくは空白のマップまたは図に、ノード(107)を配置してもよい。こうした無次元系でも、メッセージは、システム(101)内の人間の検出に関連したアルゴリズムから生成でき、さらに、ネットワーク(103)内の人間の存在および/または動きに関してどのメッセージが送信されるかに関するユーザ入力などの付加的な手動処理を含めることもできる。
【0082】
自動ノード(107)位置検出を行う一実施形態では、ノード(107)位置は、次を含むがそれらに必ずしも限定されない要因に基づいて、1つ以上のノード(107)および/またはコンピュータサーバー(109)により、アルゴリズム的にかつ/またはプログラム的に検出され、それら要因とは:ノード(107)および各ノード(107)の1つ以上の他のノード(107)に対する位置などの特定ハードウェア構成要素の物理的位置を含む検出ネットワーク(103)の設定および構成;信号強度標識;ならびに送信遅延である。図示された実施形態では、このステップ(205)は、生成されたマップを、建物の間取り図のような検出ネットワーク(103)が占有する物理的空間(102)または環境のデジタルマップ(本明細書では「環境マップ」と呼ぶ)に重ね合わせることをさらに含む。このステップ(205)は、通常の技能を備えた当業者であれば理解するように、生成されたマップの縮尺を環境マップに整合させるためのスケーリング要素と、生成されたマップを微調整するために調節して、それをノード(107)の実際の幾何学的配置により一致させるユーザ操作可能かつ/または修正可能な入力要素と、をさらにかつオプションで含むこともできる。代替的な実施形態では、各ノード(107)は、環境マップ上のその適切な位置に、相対的位置アルゴリズムを使用することなく手動で配置してもよい。
【0083】
いずれの方法でも、このステップ(205)は、検出ネットワーク(103)内のノード(107)の物理的位置を確立し、これによって、検出ネットワーク(103)内の人間の存在に起因する配置された生物質量体の位置の特定が容易になる。ノード(107)をマップ上に配置することによって(手動または自動的手段によって)、ノード(107)は、ベースライン信号が様々なノード(107)間の通信にどのように影響を及ぼすかに基づいて、ネットワーク(103)内の人間の存在を追跡できる。すると、システム101は、データ処理アルゴリズムに知られた一組の送信済み情報を与えられており、受信機に達する信号について収集された情報を利用する。このデータ処理アルゴリズムが、人間がネットワーク(103)内に存在するか否かおよび/またはその人間がネットワーク(103)内のどこに位置しているのかを最終的に判断する。
【0084】
次に、メッセージは、ネットワーク(103)内の生物質量体の存在を検出するのに適していると判断された形式でかつプロトコルに従って作成され、交換される(207)。これは、OSIネットワークモデルのプロトコルなどの本発明の分野で公知の汎用ネットワーキングプロトコル、または、そうした汎用ネットワーキングプロトコルの代わりとなるもしくは補う特別目的のプロトコルを用いて実行できる。
【0085】
概して、このステップは、検出ネットワーク(103)内で転送されるメッセージを、人間の存在を検出しかつ簡略統計分析を容易にするという具体的な目的のため制御し、かつ/または修正すること(207)をさらに含むことが好ましい。メッセージの交換を制御することで(207)、システム(101)は、検出ネットワーク(103)を介して送られる共通の内容に適応しつつ、送信間隔;送信電力;メッセージ長および/または内容;ならびに意図されたメッセージ受信者を含むが、必ずしもそれらには限定されないパラメータの調節も容易にする。繰り返し述べると、システムは、波形レベルでの分析に依存する必要がなく、ワイヤレス通信標準の範囲内で動作可能となる。
【0086】
こうしたパラメータを制御することで(207)、定義済みのもしくは予期されているメッセージ内容または特性に少なくとも部分的には基づくことがある統計および/または分析論の形成が容易になる。こうした内容および/または特性は、送信タイムスタンプおよび/または送信電力レベルを含むことができるが、それらに限定するわけではない。これらの側面を制御しかつ修正することで(207)、必ずしも限定するわけではないがノード(107)の一定の受信機ハードウェアに組み込み可能な自動利得制御(AGC)回路などの、本開示による検出ネットワーク(103)で使用する際に望ましくない結果をもたらすハードウェア特徴を含むハードウェアの制限を克服可能となる。
【0087】
図示した実施形態(201)では、次に、空間102から有意な生物質量体、とりわけ人間(205)を除去する(209)。次に、信号強度の統計的ベースラインは、各ノード(107)によってローカルで作成される(211)。再度述べると、手動および/または自動的手段によって、ノード(107)をステップ(205)でマップ上に配置することによって、ノード(107)は、ベースライン信号がノード(107)間の通信に関してどのように影響されるかに基づいて、ネットワーク(103)内の人間の存在を追跡できる。
【0088】
次に、生物質量体が検出ネットワーク(103)に入り(213)、信号吸収および他のひずみを引き起こし、これらはノード(107)間の信号特性の変化に現れる。これらの変化は、それらが人間の存在を示すものか、または、検出ネットワーク(103)が検出するよう構成されている他種類の生物質量体の存在を示すものかを判断するために、検出され(215)かつ分析される(217)。そうした検出は、ネットワーク上の3つのノード間の内部領域など、少なくともノード間の領域までさらに限定できるが、その時点で使用されているアルゴリズムおよびハードウェアによってはより高い精度で行うことも可能である。
【0089】
概ね、これは、1つ以上のノード(107)またはサーバーコンピュータ(109)のいずれかによって実行される検出アルゴリズムを用いて行われる。ノード(107)および/またはサーバー(109)は、1つ以上の検出アルゴリズムを使って検出ネットワーク(103)内の検出された生物質量体の位置を推定するためにソフトウェアを用いる。そうしたアルゴリズムは、概して、ベースラインプロファイルを新たに検出された信号と比較し、限定するわけではないが、次の様々なデータおよび他の側面を用い、または、それらに基づくことができ、それらは:ノード(107)および各ノード(107)の1つ以上の他のノード(107)に対する位置などの特定ハードウェア構成要素の物理的位置を含む検出ネットワーク(103)の設定および構成;信号強度標識;ならびに送信遅延である。
【0090】
一般的に、本明細書の他の箇所に記載されているように、これらアルゴリズムは、新たに収集された信号特性プロファイルをベースライン信号特性プロファイル(211)と比較して(215)、変化を特定し、かつ、その変化の性質に基づいて、その変化が人間の存在を示すものかを判断することを含む。この判断は、本明細書の他の箇所に記載された機械学習により開発された訓練データを少なくとも部分的に用いて実行できる。
【0091】
一実施形態では、検出アルゴリズムは、時間および相対的な影響について相関された、検出ネットワーク(103)でのノード(107)の1つ以上の対の間で観察された1つまたは複数の信号特性変化を使用することもさらに含むことができる。これらの要因は、そうした信号変化が発生した検出ネットワーク(103)内の物理的位置の特定を容易にし、これにより、そうした信号特性変化の原因となった人間の物理的位置の推定が可能となり、さらに、これを用いて生物質量体が配置された検出ネットワーク(103)環境内での物理的位置を推定できる。そうした物理的位置は、座標系による単純なx、y、z座標として与えてもよいし、またはマップの上などに視覚的に示してもよい。
【0092】
複数の人間が検出ネットワーク(103)内に存在している場合、これら様々な個人の影響を互いから分離することはより困難であり、より多くのノード(107)を追加することで正確性は概して向上するはずである。一実施形態では、高度フィルタリングおよび予測経路アルゴリズムなどの技法を用いて、ネットワーク(103)内の複数個人の位置を別々に特定できる。このシステムおよび方法が適切に動作するためにはネットワーク(103)内の人間の動きは必要ないが、移動していることまたは移動していないことを用いて、例えば、一個人の経路を予測することなどによって検出の正確度を向上させることができる。これによって、個人が検出ネットワーク(103)から統計的に「消失した」が、システムは、その個人がネットワーク(103)内にまだ存在していると推定するに十分なデータを持っているという場合を特定する助けとなりうる。
【0093】
例えば、個人の移動経路が予測されていて、別の検出された個人の隣で終端している場合、システム(101)はこれら2人の個人が近すぎて、信号特性プロファイル変化がそれらを分離して識別できないと判断するかもしれないが、この個人の移動経路では、この個人がネットワーク(103)の検出範囲から出たとは判断されなかったので、アルゴリズムは、この個人が居合わせており、移動しておらず、別の検出された個人に隣接していると判断する。次に、これら2人の隣接し静止した人間の一方が移動すると、アルゴリズムは、再びそれぞれを別個に識別し、観察された信号特性プロファイル変化に基づいて経路の予測を再開できる。
【0094】
このようにすることで、本開示によるシステムおよび方法は、ネットワーク(103)内の1人以上の個人を、移動しているかいないかに関わらず、そうした人間が基準要素に関連付けられているか否かに関わらず、追跡できる。特定の個人の識別には、どれがどの人物なのかを推定するため、必ずしも限定するわけではないが人間追跡技術のためにロボット産業で使用されているものなどの、他の経路予測および感知アルゴリズムを用いて実行してもよい。個々人は様々な信号特性に個別で独特の影響を及ぼすことがあり、特定個人の識別が可能となり、さらに、特定の個人が他者から区別可能となることにも注目すべきである。さらに、そうした影響は、検出ネットワーク内で特定個人の位置を特定するために使用できる。
【0095】
こうした1つまたは複数の検出アルゴリズムは、概して、通信信号の特性を利用し、必ずしも限定するわけではないが1つまたは複数信号の周波数およびそれら信号の送信電力レベルなどの要素を考慮するよう構成されている。一実施形態では、これらアルゴリズムは、通信ネットワーク内のRF環境における信号特性への人間の存在が及ぼす影響を特定し、次にその影響が後に観察された時を特定するデータ駆動型の方法を使用して、人間の存在を検出する。
【0096】
例えば、一実施形態では、人体の存在によって変化する信号特性には、ノード(107)間に示される信号強度がある。これはBLEネットワーク内では特に当てはまり、経時的な信号強度に関する統計データは、ネットワーク内の人間の存在を示すことができる。これらアーティファクトが1つまたは複数の検出アルゴリズムにより使用されることで、そのアーティファクトを生じさせた物体の物理的位置に関する情報を得ることができる。すなわち、ネットワーク(103)内で捕捉されたアーティファクトに関する様々な統計を組み合わせることで、システムは、そのアーティファクトが物理的空間(102)内のどこに位置しているか、すなわち、人間がネットワーク(103)内のどこに居るのかを特定できる。
【0097】
最も単純な使用例では、これらアルゴリズムは、人間の存在により生じるものと知られている(例えば、訓練から)変化に似た信号特性の変化を単に特定し、かつ、ベースラインに対するそうした変化が検出されたときは常に検出イベントを単にトリガする(219)ことができる。これは、使用されるシステム(101)によって、信号強度の平均、標準偏差、ゆがみ、または分散の調整のように見えるかもしれない。検出された信号特性プロファイルがベースラインに似たプロファイルに復帰するときに、物理的環境(102)は、人間が存在するかどうかに関しては空の状態に復帰したと推定される。
【0098】
機能するには運動を必要とする、そうした特定に使用される他の技術(典型的には、受動型赤外線(PIR)センサ)と比較して、本明細書に記載されたシステムおよび方法は、空間(102)内での静止状態の人間の存在を、運動しているか否かに関わらず検出でき、より正確には空間(102)内に人間がすでに居なくなったときを検出できる。警備(security)および占有感知などの応用例に関して、このシステムをだますのはより困難なはずである。PIRまたは他の類似の運動に基づく技術をだますことができる策略の幾つかの例には、人間が空間に入るときに一枚のシートを自分の前にかざし、入場した後で非常にゆっくり移動するか、一カ所に概ね静止状態を維持することが含まれる。別の利点は、本システムは、通常のネットワーク通信で使用されるもの以上の追加ハードウェアを必ずしも必要としないことである。これは、追加ソフトウェアおよび処理機能が、外部構成要素または既存のハードウェアを修正することで得られるからであり、これは、例えば、この適切なソフトウェアを市販品の通信モジュールに取り付けたシステムオンチェップ(SOC)として実装することにより行われる。さらなる処理能力が必要であれば、ノード(107)間で伝搬する信号を分析するために1つまたは複数の追加の処理ノードを付加してもよく、または、こうした作業負荷を専用サーバーマシン(109)に送信し、処理させてもよい。
【0099】
人間の存在および/または位置の特定は、分析されている信号の種類の詳細と、そうした特定を最適に達成するためのネットワーク(103)のノード(107)間で送信される信号の制御に関連することがある。元々の信号が既知で送信電力が変調可能なネットワーク(103)内で制御通信パルスを送信することで、ノード(107)間に人間が追加配置されたことによる信号吸収、反射、後方散乱等に関連した例示的なデータを生成できる。ベースラインシステムは人間が存在しない状態で構成でき、かつ、そうしたベースラインは人間が存在する場合とは統計的に異なるはずであると概ね推定されるため、信号特性の変化はネットワーク内での人間の存在によるものであるとさらに推定できる。タイマーの入力を可能にし、かつ空間(102)が空であるときにベースライン定義を改良するようにシステムを概ね構成ですることで、より高い正確性を達成するため、本システムは定期的にそれ自体を再調整することができる。位置特定技術分野の通常の技能を備えた当業者には知られているはずだが、概して、追跡アルゴリズムは、使用可能な最善の三角測量計算を統計的方法と組み合わせ、ネットワーク(103)内で人間を検出するための検出アルゴリズムと合わせて使用する。
【0100】
本開示は、検出された人間に関連付けられた基準要素を必要としないし、ネットワークと通信可能な装置をその人間が保持している必要もないが、そうした要素がシステム内に配置されれば、そうした技術はそれらを利用するはずである。そうした要素を付加することで、システムに掛かる計算負荷を緩和し、正確性を向上させることができる。本明細書に記載されたシステムおよび方法は、そうした付加的な機能を排除するものでなく、それによってその能力を向上させることができる。推論エンジンを用いた検出を増強すると、感知ハードウェアに、誤認警報状態または他のエッジケースから回復する機能が付加され、システムのロバスト性が向上する。
【0101】
一実施形態では、本明細書に記載されたシステムおよび方法を実装する検出ネットワーク(103)は、人間の検出された存在および/または位置に基づいて動作(219)を行うための要素をさらに含むこともできる。これを行うには、例えば、制御信号をネットワーク上で送信し、コンピュータを用いて第一にネットワーク上の人間の存在および/または位置を特定し、次に、ネットワーク上での人間の存在および/または位置に基づいてとるべき動作を決定し、かつ、その動作をとるためのメッセージをネットワークを介して送信すればよい。通信ネットワークおよび検出を実行するネットワークは同じネットワークであってもよいので、本明細書に記載の発明は、付加的な感知ハードウェアを必要とすることなく、人間の検出および/または位置検出を含むように通信ネットワークの従来の機能を拡張する。
【0102】
ネットワーク上のコンピュータ要素は、付加的な計算を行う必要があり、通信信号を巧みに作成できる。これはコンピュータに掛かる計算負担を軽減するが、このネットワークは、検出ネットワークとしてのネットワークからは独立して、指揮・統制ネットワークとしても機能できる。
【0103】
本システムは、全体として広範囲の用途に使用でき、その範囲は、照明制御および/または警備に使用するなのどの占有感知から、ヒートおよび/または交通マップに必要となるような空間内の人数計数や、空間内を移動する個別の人間を追跡するシステムにまで及ぶ。この技術はネットワークノード自体に組み込んでもよいし、所望の情報を判断するための計算を実行するために処理要素(例えばネットワーク上で直接的にまたはクラウドの)に情報を送信するノードの組み合わせてでもよい。最終的な総合製品スイートは用途に合わせてカスタマイズでき、さらに、様々な異なる方法で使用可能である。
【0104】
付加的なセンサは必要ではなく、かつ、従来のRF通信スタックからの統計を計算することによって効果的に検出が行われる。こうしたシステムは、空間を歩いて通過する人々からの個人データの収集は防止するが、それは、当該システムが、概ね人間の大きさの水塊、器官、衣服などが通過したことのみを知っているからであり、このシステムは、基準要素として機能する別個の装置は必要としないからである。よって、この技術は、空間を移動する人間を追跡するための従来の方法からの大きく異なるものである。
【0105】
本明細書に記載されたシステムおよび方法の論理的な拡張は、統計的解析において機能ネットワークメッセージを動的に処理して、システムの付加的なメッセージングオーバーヘッドを回避または減らすことである。一実施形態では、本明細書に記載されたシステムおよび方法を拡張して、ネットワークおよび/もしくはメッセージ構造、構成、ならびに/または動作パラメータを、ネットワーク内で送信される機能メッセージに少なくとも部分的には基づいて、動的に調整することを含むことも意図されている。
【0106】
さらに、追跡は概して人間の質量によって影響されている信号に基づくので、このシステムは、検出をおこなうために人間の移動に依存しない。移動に依存しないので、受動型赤外線および超音波感知技術など、従来の存在感知技術の多くの欠点が克服されている。
【0107】
人間が基準要素を携帯しない通信ネットワーク内でその人間の存在を検出するためにそのネットワークのノード間信号を利用することは、現在の非基準要素検出方法とは大きく異なり、全く新規なやり方で存在感知を実行するため通信ネットワークを用いる。本明細書に記載されている、人間の存在を検出する目的での検出技法と、ネットワークノードの送信機・受信機の組合せとしての利用との組合せは、当該通信装置ネットワーク自体を形成するのに必要なもの以上に付加的な機器を必要としない新たな種類の人間存在検出システムを構成する。
【0108】
本明細書に記載されたシステムおよび方法は、通信ネットワーク内で、通常の通信を目的とした当該ネットワーク自体の動作に影響を及ぼすことなく、実装できる。このネットワークは、通信ネットワークとしてその主たる機能を実行し続けるが、この場合、通信の幾つかは、ネットワーク内に存在する人間の位置を計算するために使用される。本明細書に記載されたシステムおよび方法は、ネットワークの基本的な動作を利用するので、ネットワークが認識しているトランシーバ装置を付加的に携帯しているネットワーク内の人間をより正確に検出しかつ位置特定できる。そうしたトランシーバ装置は、例えば、携帯電話、移動電話、スマートフォン、タブレットコンピュータ、ウェアラブルコンピュータ技術などのワイヤレストランシーバを備えたモバイル計算装置を含むことができ、ネットワークに接続して、当業者には周知の従来の三角測量法を用いてネットワークによってその位置特定が可能である。機械学習アルゴリズムは、さらに性能を向上できるそうしたトランシーバを人間が携帯しているときにも適用できる。
【0109】
既知のトランシーバ装置の位置計算を、本明細書に記載された非トランシーバ側面によって求められた人の位置と比較してもよい。通信ネットワークが当該ネットワーク内の基準要素と人間の位置を報告することで、これら二つの位置を比較できる。一般に、基準要素の検出済み位置は、ネットワーク通信だけに基づいて推定された人間の位置よりも正確性が高いので、ネットワーク内における人間の位置の位置計算を、機械学習アルゴリズムを用いて調節して、ネットワークに入る次の人間に関するシステムの位置計算能力を向上させることができる。
【0110】
機械学習アルゴリズムを使用すれば、このシステムは、トランシーバからの既知の位置に基づいて位置予測アルゴリズムの正確性を向上させることができる。これによって以前の特定を検証し、将来の特定を洗練させられることがある。例えば、仮に以前の特定が同じ量で常に外れることがあれば、その量を将来の特定に、調節として適用してもよい。こうすることで、このシステムは、ネットワーク内での人間の位置特定を改善するため、それ自身を継続的に向上させ、訓練することができる。同様に、機械学習は、検出および誤認警報率を継続して向上させることができる。限定ではなく例示目的だが、施設における以前の往来パターンに関するデータを用いて、特定の施設が一般に占有され又は一般に空いている時間または日の範囲に関するデフォルト、推定、または期待を確立できる。こうしたデータは、システムの性能を向上させるためにシステムが使用できる。
【0111】
このシステムは、ネットワーク要素との物理的相互作用に基づいて推論を行うことができる。こうした物理的相互作用は、本システムの目的で相互作用を受けた時点で基準要素と考えることができる。一例として、ネットワークの一部である光スイッチが作動された場合、このシステムは、このスイッチが作動された時刻においてその位置に人間が存在していたことが分かるはずである。従って、このシステムは、その情報を、機械学習を適用できる既知のデータ点として使用して、将来の人間存在の予測を向上させることも可能である。さらに、そうしたイベントは、警備警報などの他の目的で存在トリガとしての役割を果たすこともできる。一例として、このシステムが警備モードとなっていて、誰かが自身の存在を隠す方法を見つけたが、それでもスイッチと相互作用するならば、このシステムは、誰かがそこに存在していたと判断して、スイッチとの相互作用に基づいて警報を送るはずである。一般的に言って、このシステムとの相互作用は、物理的なものと論理的なものと定義でき、論理的な相互作用は、時間や外部入力などに基づいた典型的な使用パターンを含むはずである。そうしたシステムは、RF存在感知のバックアップとして機能し、付加的な機械学習アルゴリズム機能をシステムに与えることになる。
【0112】
さらに、このシステムは、人間がネットワーク内のどこに装置を放置しているのかななど、ネットワーク内の携帯トランシーバが実際に人間が携帯しているか否かを推定できる。このシステムは、信号特性の変化を介して人間を1つの生物量(biomass)として検出できるので、このシステムは、人間の生物量がネットワーク内に存在しないときにトランシーバがそこに存在しているか否かを判断できる。
【0113】
様々な信号特性を収集しかつそれらを様々なアルゴリズムで処理できることの一つの副作用として、システムは、多くの検出計算を同時に実行して、同一のシステムに関して異なる性能基準を達成することができる。一例として、同じ通信ネットワークを照明と警備に関連付けられた複数の検出のため使用できるが、収集した統計データをこれら2つの用途のために、異なる様態で、しかし同時に処理できる。こうすることで、照明用途は、誤認警報の率は高いものの検出に掛かる時間が短くできる一方で、警備用途は、誤認警報の率を低下させつつわずかに検出に要する時間が長くなりうる。システムが処理する信号特性は用途によって異なることがあるが、すべてはその通信ネットワークから得られたものであり、多くの方法で同時に処理できる。そうした処理方法は、ベースライン信号プロファイルに対して検出を判断するための、異なるサンプルベースライン信号データからなる多くの組にカプセル化してよい。
【0114】
本開示によるシステムの一実施形態では、上記システムは、ネットワーク上の2つ以上のコンピュータ間の信号に関する情報から、1人以上の人間の存在を確認できる通信システムを含み、各コンピュータは:通信用のトランシーバと;計算を実行するための計算要素とを含み、各コンピュータは、信号をネットワーク上の1つ以上の他のコンピュータに送信し、その信号はその信号を送ったコンピュータの一意の識別子を含み、各コンピュータは、1人以上の人間の存在を確認するために受け取られた上記信号を処理し、上記1人以上の人間は、上記ネットワークと通信可能な装置を身につけている必要はない。
【0115】
そうしたシステムの一実施形態では、上記アルゴリズムは、1人以上の人間の存在を確認するための統計的方法を使用する。そうしたシステムのさらなる実施形態では、上記統計的方法は、その場にいる人の数を特定する。そうしたシステムのさらに別の実施形態では、上記システムは、上記ネットワーク上の上記1人以上の人間の物理的位置を特定できる。そうしたシステムのさらに異なる実施形態では、上記システムは、上記1人以上の人間の物理的位置を経時的に追跡できる。そうしたシステムのさらに別の実施形態では、上記システムは、1人以上の人間の存在に関する情報を用いて上記ネットワーク上の装置を制御する。一実施形態では、上記ネットワークはメッシュネットワークである。
【0116】
一実施形態では、上記コンピュータはそれらの相対的な物理的位置を特定し、さらに、上記ネットワーク上の上記1人以上の人間の上記相対的な物理的位置を特定する。さらなる実施形態では、統計的方法は、人間の存在を特定するために信号強さの測定に適用される。さらなる実施形態によれば、人間の存在の検出を容易にするため、送信される信号を制御する。さらなる実施形態では、人間の存在を容易にするため、送信される信号の電力レベルを制御する。別の実施形態では、上記システムは、占有感知システムとして機能する。さらなる実施形態では、上記占有感知システムは照明システムを制御する。さらなる実施形態では、上記照明システムを制御するための上記ネットワークおよび占有感知に用いられる上記ネットワークは、同一の通信技術およびハードウェアを利用する。さらなる実施形態では、上記コンピュータが使用する通信技術は、ブルートゥース(登録商標)ローエネルギー、ワイファイ、ジグビー、およびZ-ウェイブからなるリストから選択される。
【0117】
さらなる実施形態では、上記システムは、警備用途の感知システムとして機能する。さらなる実施形態では、上記の警備感知システムは警備システムを制御する。さらなる実施形態では、上記警備システムを制御するためのネットワークおよび警備感知に用いられるネットワークは、同一の通信技術およびハードウェアを利用する。さらなる実施形態では、上記システムは、ロボットシステムの人間検出器として機能する。さらなる実施形態では、上記ロボットシステムは、当該ロボットシステムの様々な要素の、互いに対する相対的な位置を特定するコンピュータを備えている。さらなる実施形態では、上記ロボットシステムを制御するためのネットワークおよび上記システムの人間検出器として機能するネットワークは、同一の通信技術およびハードウェアを利用する。
【0118】
別の実施形態では、上記システムは、その検出能力を向上させるために機械学習を用いるものであって、ここでは基準要素を携帯している人間が当該システムを訓練するが:それを、(1)上記基準要素の位置を特定するために既知の位置特定技法を使用すること;(2)上記人間の位置を特定するために上述のシステムを使用すること;(3)この段落中の上記方法(1)によって計算された位置をこの段落中の上記方法(2)と比較すること;(4)上記システムの位置計算能力を向上させるために、機械学習アルゴリズムを用いて上記位置特定方法を調節すること、を介して達成する。
【0119】
別の実施形態では、上記システムは、上記ネットワーク内の人間の存在を、これら人間の上記ネットワークの1つ以上のコンピュータとの何らかの様態による相互作用に基づいて推定できる。さらなる実施形態では、上記システムは、人間の推定された存在を、その検出能力を向上させるために機械学習の入力として使用できる。
【0120】
本開示によるシステムの一実施形態では、上記システムは、上記ネットワーク上の2つ以上のコンピュータ間の信号に関する情報から、1人以上の人間の静止状態および移動中の存在を確認できる通信システムを含み、各コンピュータは:通信用のトランシーバと;計算を実行するための計算要素とを含み、各コンピュータは、信号をネットワーク上の1つ以上の他のコンピュータに送信し、その信号はその信号を送ったコンピュータの一意の識別子を含み;各コンピュータは1人以上の人間の存在を確認するために受け取られた上記信号を処理し;上記1人以上の人間は、上記ネットワークと通信可能な装置を身につけている必要はない。
【0121】
一実施形態では、上記アルゴリズムは、1人以上の人間の存在を確認するための統計的方法を使用する。別の実施形態では、上記統計的方法は、存在する人の数を特定する。別の実施形態では、上記システムは、上記ネットワーク上の上記1人以上の人間の物理的位置を特定できる。別の実施形態では、上記システムは、上記ネットワーク上の上記1人以上の人間の物理的位置を経時的に追跡できる。別の実施形態では、上記システムは、1人以上の人間の存在に関する情報を用いて上記ネットワーク上の装置を制御する。別の実施形態では、1人以上の人間の存在に関する上記情報は、存在の特定に直接関係しない1つ以上のシステムが利用できる。別の実施形態では、上記システムは、1つ以上の前もって設定された判断基準に従って所与の性能を達成するために自己最適化を実行する能力を備えている。
【0122】
他の実施形態では、上記通信プロトコルまたはネットワークは、ブルートゥース(登録商標)ローエネルギー、ワイファイ、ジグビー、およびZ-ウェイブなどのプロトコルに限定されないがそれらを含む、標準委員により概ね定義される。別の実施形態では、統計的方法は、人間の存在を特定するために受信された信号強さの測定に適用される。 別の実施形態では、上記ネットワーク上の送受信装置は、人間の検出を容易にする目的で上記システムによって選択されかつ作動されうる。別の実施形態では、人間の存在を容易にするため、送信される信号の電力レベルを制御する。別の実施形態では、上記システムは、照明システムのための占有感知システムとして機能する。別の実施形態では、上記占有感知システムは照明システムを制御する。別の実施形態では、上記照明システムを制御するためのネットワークおよび占有感知に用いられるネットワークは、同一の通信技術およびハードウェアを利用する。
【0123】
別の実施形態では、上記システムは、警備用途の感知システムとして機能する。別の実施形態では、上記の警備感知システムは警備システムを制御する。別の実施形態では、上記警備システムを制御するためのネットワークおよび警備感知に用いられる上記ネットワークは、同一の通信技術およびハードウェアを利用する。別の実施形態では、上記システムは、暖房、換気および空調(HVAC)システムのための占有感知センサとして機能する。別の実施形態では、上記占有感知システムは上記HVACシステムを制御する。別の実施形態では、上記HVACシステムを制御するためのネットワークおよび占有感知に用いられる上記ネットワークは、同一の通信技術およびハードウェアを利用する。
【0124】
別の実施形態では、上記システムは、その検出能力を向上させるために機械学習を用いるものであって、ここでは基準要素を携帯している人間が当該システムを訓練するが:それを、(1)上記基準要素の位置を特定するために既知の位置特定技法を使用すること;(2)上記人間の位置を特定するために上記システムを使用すること;(3)この段落中の(1)によって計算された位置をこの段落中の(2)と比較すること;(4)上記システムの位置計算能力を向上させるために、機械学習アルゴリズムを用いて上記位置特定方法を調節すること、を介して達成する。
【0125】
別の実施形態では、上記システムは、上記ネットワーク内の人間の存在を、これら人間の上記ネットワークのいずれかのコンピュータとの何らかの様態による相互作用に基づいて推定できる。別の実施形態では、上記システムは、人間の推定された存在を、その検出能力を向上させるために機械学習の入力として使用できる。
【0126】
本明細書には、上記ネットワーク上の2つ以上のコンピュータ間の信号に関する情報から、1人以上の人間の静止状態および移動中の存在を確認できる通信システムが記載され、各コンピュータは:通信用のトランシーバと;計算を実行するための計算要素とを含み、各コンピュータは、信号をネットワーク上の1つ以上の他のコンピュータに送信し、その信号はその信号を送ったコンピュータの一意の識別子を含み、各コンピュータは、1人以上の人間の存在を確認するために受け取られた上記信号を、同時に2つ以上の目的で機能することが求められる別々の性能基準を達成するために、2つ以上の方法で処理し、上記1人以上の人間は、上記ネットワークと通信可能な装置を身につけている必要はない。
【0127】
一実施形態では、上記アルゴリズムは、2つ以上の組の性能基準にしたがって、1人以上の人間の存在を確認するための2つ以上の統計的方法を使用する。別の実施形態では、上記システムは、2つ以上の前もって設定された判断基準に従って2つ以上の組の性能を達成するために自己最適化を実行する能力を備えている。他の実施形態では、上記通信プロトコルまたはネットワークは、ブルートゥース(登録商標)ローエネルギー、ワイファイ、ジグビー、およびZ-ウェイブなどのプロトコルに限定されないがそれらを含む、標準委員により概ね定義される。別の実施形態では、2つ以上の統計的方法は、2つ以上の組の性能基準に従って人間の存在を特定するために受信された信号強さの測定に適用される。別の実施形態では、上記システムは、存在を特定するための2つ以上の方法の検出能力を向上させるために機械学習を用いるものであって、ここでは基準要素を携帯している人間が当該システムを訓練するが:それを、(1)上記基準要素の位置を特定するために既知の位置特定技法を使用すること;(2)上記人間の位置を特定するために上記システムを使用すること;
(3)この段落中の(1)によって計算された位置をこの段落中の(2)と比較すること;(4)上記システムの位置計算能力を向上させるために、機械学習アルゴリズムを用いて上記位置特定方法を調節すること、を介して達成する。
【0128】
好適な実施形態であると現時点で考えられているものを含む、本発明を幾つかの実施形態の説明に関連して開示したが、この詳細な説明は例示を意図したものであり、本開示の範囲を限定するものと理解されるべきではない。通常の技能を備えた当業者であれば理解できるように、本明細書で詳細に説明したもの以外の実施形態も本発明に包含される。説明した実施形態の修正及び変更は、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく可能である。
【手続補正書】
【提出日】2022-07-25
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
図面及び明細書に記載の方法。
【外国語明細書】