(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022130641
(43)【公開日】2022-09-06
(54)【発明の名称】コイル部品
(51)【国際特許分類】
H01F 17/04 20060101AFI20220830BHJP
H01F 27/29 20060101ALI20220830BHJP
H01F 1/153 20060101ALI20220830BHJP
【FI】
H01F17/04 F ZNM
H01F17/04 A
H01F27/29 123
H01F1/153 133
H01F1/153 108
【審査請求】有
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022106234
(22)【出願日】2022-06-30
(62)【分割の表示】P 2019164162の分割
【原出願日】2019-09-10
(31)【優先権主張番号】10-2018-0147490
(32)【優先日】2018-11-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】594023722
【氏名又は名称】サムソン エレクトロ-メカニックス カンパニーリミテッド.
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】パク、イル ジン
(72)【発明者】
【氏名】ファン、グァン ファン
(72)【発明者】
【氏名】リー、ジュン スン
(72)【発明者】
【氏名】クォン、スン クァン
(57)【要約】 (修正有)
【課題】薄型を可能にし、飽和電流、インダクタンス、透磁率及びコアロス値に優れたコイル部品を提供する。
【解決手段】コイル部品1000は、互いに向かい合う一面106及び他面105並びに一面及び他面を夫々連結する複数の壁面101~104を有し、一面から他面までの距離が0.65mm以下(但し、0を除く)である本体100と、本体に埋設されたコイル部300と、を含む。本体は、化学式1で表されるFe-Si-B-Nb-Cu系金属磁性粉末を含み、Fe-Si-B-Nb-Cu系金属磁性粉末は、20nm以下(但し、0を除く)の結晶粒(Crystal Grain)を含む。
[化学式1]
Fe
aSi
bB
cNb
dCu
e
73原子%≦a≦77原子%、10原子%≦b≦14原子%、9原子%≦c≦11原子%、2原子%≦d≦3原子%、0.5原子%≦e≦1原子%、及びa+b+c+d+e=100を満たす。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに向かい合う一面及び他面、ならびに前記一面及び他面をそれぞれ連結する複数の壁面を有し、前記一面から前記他面までの距離が0.65mm以下(但し、0を除く)である本体と、
前記本体に埋設された絶縁基板と、
前記絶縁基板に配置されたコイルパターンと、を含み、前記本体に埋設されたコイル部を含み、
前記本体は、下記化学式1で表されるFe-Si-B-Nb-Cu系金属磁性物質を含み、
前記Fe-Si-B-Nb-Cu系金属磁性物質は、20nm以下(但し、0を除く)の粒子(Particle)を含み、
前記コイルパターンは、前記絶縁基板に配置された第1導電層及び前記第1導電層上に配置された第2導電層を含み、
前記第1導電層の厚さは1.5μm以上3μm以下である、コイル部品。
[化学式1]
FeaSibBcNbdCue
(ここで、73at%≦a≦77at%、10at%≦b≦14at%、9at%≦c≦11at%、2at%≦d≦3at%、0.5at%≦e≦1at%、及びa+b+c+d+e=100を満たす)
【請求項2】
前記粒子のサイズは10nm以上である、請求項1に記載のコイル部品。
【請求項3】
前記Fe-Si-B-Nb-Cu系金属磁性物質は、平均粒径が10μm以上50μm以下の球状である、請求項1または2に記載のコイル部品。
【請求項4】
前記Fe-Si-B-Nb-Cu系金属磁性物質は、ワーデルの球形度(Wardell's sphericity)
【数1】
が0.8以上1.0以下である、請求項3に記載のコイル部品。
【請求項5】
前記粒子はFe3Siを含む、請求項1から4のいずれか一項に記載のコイル部品。
【請求項6】
前記コイル部の両端部は、前記本体の複数の壁面のうち互いに向かい合う両端面にそれぞれ露出する、請求項1から5のいずれか一項に記載のコイル部品。
【請求項7】
前記本体の両端面にそれぞれ形成され、前記コイル部の両端部とそれぞれ連結される第1及び第2外部電極をさらに含む、請求項6に記載のコイル部品。
【請求項8】
前記コイルパターンは、
前記絶縁基板の互いに向かい合う一面及び他面にそれぞれ配置された第1及び第2コイルパターンを含む、請求項1から7のいずれか一項に記載のコイル部品。
【請求項9】
前記第1及び第2コイルパターンのそれぞれの端部は、前記本体の複数の壁面のうち互いに向かい合う両端面に露出する、請求項8に記載のコイル部品。
【請求項10】
前記本体の両端面にそれぞれ形成され、前記第1及び第2コイルパターンの両端部とそれぞれ連結される第1及び第2外部電極をさらに含む、請求項9に記載のコイル部品。
【請求項11】
前記本体にそれぞれ形成され、前記第1及び第2コイルパターンの両端部とそれぞれ連結される第1及び第2外部電極をさらに含み、
前記第1及び第2外部電極はそれぞれ、
前記本体の一面に互いに離隔配置された第1及び第2パッド部、及び前記本体の少なくとも一部を貫通して前記第1及び第2パッド部と前記第1及び第2コイルパターンの両端部とをそれぞれ連結する第1及び第2連結部を含む、請求項9に記載のコイル部品。
【請求項12】
前記第1及び第2コイルパターンはそれぞれ、
前記第1導電層、及び前記第2導電層を含む、請求項8に記載のコイル部品。
【請求項13】
前記第1及び第2導電層はそれぞれ銅(Cu)を含み、
前記第1導電層における銅の密度は、前記第2導電層における銅の密度よりも低い、請求項12に記載のコイル部品。
【請求項14】
前記第2導電層は、前記第1導電層の側面をカバーして前記絶縁基板と接触する、請求項1から13のいずれか一項に記載のコイル部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コイル部品に関するものである。
【背景技術】
【0002】
コイル部品の一つであるインダクタ(Inductor)は、抵抗(Resistor)及びキャパシタ(Capacitor)とともに電子機器に用いられる代表的な受動電子部品である。
【0003】
一方、電子機器が次第に高性能化し、小さくなるにつれて、電子機器に用いられるコイル部品も益々高性能化及び小型化している。
【0004】
このため、コイル部品を製造する際に用いられる金属磁性粉末は、高透磁率及び低コアロスを有するようにする必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】韓国公開特許第10-2016-0011685号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明のいくつかの目的のうちの一つは、薄型化(Low-profile)を可能にするとともに、飽和電流、インダクタンス、透磁率、コアロス値に優れたコイル部品を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一側面によると、互いに向かい合う一面及び他面、ならびに上記一面及び他面をそれぞれ連結する複数の壁面を有し、上記一面から上記他面までの距離が0.65mm以下(但し、0を除く)である本体と、上記本体に埋設されたコイル部と、を含み、上記本体は、下記化学式1で表されるFe-Si-B-Nb-Cu系金属磁性粉末を含み、上記Fe-Si-B-Nb-Cu系金属磁性粉末は、20nm以下(但し、0を除く)の結晶粒(Crystal Grain)を含む、コイル部品が提供される。
[化学式1]
FeaSibBcNbdCue
(ここで、73原子%≦a≦77原子%、10原子%≦b≦14原子%、9原子%≦c≦11原子%、2原子%≦d≦3原子%、0.5原子%≦e≦1原子%、及びa+b+c+d+e=100を満たす)
【発明の効果】
【0008】
本発明の実施例によると、コイル部品を薄型化(Low-profile)するとともに、コイル部品の飽和電流、インダクタンス、透磁率、及びコアロスを改善させることができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の第1実施例によるコイル部品を概略的に示す図である。
【
図2】
図1のI-I'線に沿った断面を示す図である。
【
図3】
図1のII-II'線に沿った断面を示す図である。
【
図6】本実施例による球状のFe-Si-B-Nb-Cu系金属磁性粉末の断面図である。
【
図8】本発明の第2実施例によるコイル部品を概略的に示す図である。
【
図11】
図8のIII-III'線に沿った断面を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本明細書で用いられた用語は、単に特定の実施例を説明するために使用されたものであって、本発明を限定する意図ではない。単数の表現は、文脈上明らかに異なる意味ではない限り、複数の表現を含む。本明細書において、「含む」又は「有する」などという用語は、明細書上に記載された特徴、数字、段階、動作、構成要素、部品又はこれらを組み合わせたものが存在することを指定するためのものであって、一つ又はそれ以上の他の特徴や数字、段階、動作、構成要素、部品又はこれらを組み合わせたものの存在又は付加可能性を予め排除しないものと理解されるべきである。また、明細書全体において、「上に」とは、対象部分の上又は下に位置することを意味するものであり、必ずしも重力方向を基準に上側に位置することを意味するものではない。
【0011】
また、組み合わせとは、各構成要素間の接触関係において、各構成要素間の物理的に直接接触している場合だけを意味するのではなく、他の構成が各構成要素間に介在し、その他の構成が各構成要素間に介在して、その他の構成に構成要素がそれぞれ接触している場合までを包括する概念として使用する。
【0012】
図面に示された各構成のサイズと厚さは、説明の便宜のために任意に示したものであるため、本発明は必ずしも図示されたものに限定されない。
【0013】
図面において、L方向は第1方向又は長さ方向、W方向は第2方向又は幅方向、T方向は第3方向又は厚さ方向と定義することができる。
【0014】
以下では、添付の図面を参照し、本発明の実施例よるコイル部品について説明する。添付図面を参照して説明するにあたり、同一であるか、又は対応する構成要素に対しては同一の図面符号を付与し、これに対する重複説明は省略する。
【0015】
電子機器には、様々な種類の電子部品が用いられるが、このような電子部品の間には、ノイズ除去などを目的に、様々な種類のコイル部品が適切に用いられることができる。
【0016】
すなわち、電子機器のコイル部品は、パワーインダクタ(Power Inductor)、高周波インダクタ(HF Inductor)、通常のビーズ(General Bead)、高周波用ビーズ(GHz Bead)、コモンモードフィルタ(Common Mode Filter)などで用いられることができる。
【0017】
(第1実施例)
図1は本発明の第1実施例によるコイル部品を概略的に示す図面であり、
図2は
図1のI-I'線に沿った断面を示す図であり、
図3は
図1のII-II'線に沿った断面を示す図であり、
図4は
図1のAを拡大したものを示す図であり、
図5は
図1のAの変形例を示す図であり、
図6は本実施例による球状のFe-Si-B-Nb-Cu系金属磁性粉末の断面図であり、
図7は
図6の変形例を示す図である。
【0018】
図1から
図7を参照すると、本発明の一実施例によるコイル部品1000は、本体100、絶縁基板200、コイル部300、及び外部電極400、500を含み、絶縁膜600をさらに含むことができる。
【0019】
本体100は、本実施例によるコイル部品1000の全体的な外観をなし、内部に絶縁基板200及びコイル部300を埋設する。
【0020】
本体100は、全体的に六面体状に形成することができる。
【0021】
図1から
図3を基準に、本体100は、長さ方向Lにおいて向かい合う第1面101及び第2面102、幅方向Wにおいて向かい合う第3面103及び第4面104、厚さ方向Tにおいて向かい合う第5面105及び第6面106を含む。本体100の第1面から第4面101、102、103、104はそれぞれ、本体100の第5面105と第6面106を連結する本体100の壁面に該当する。以下、本体100の両端面は本体100の第1面101及び第2面102を意味し、本体100の両側面は本体100の第3面103及び第4面104を意味し、本体100の一面は本体100の第6面106を意味し、本体100の他面は本体100の第5面105を意味することができる。なお、以下、本体100の上面及び下面はそれぞれ
図1から
図3方向を基準に決定した本体100の第5面105及び第6面106を意味することができる。
【0022】
本体100は、後述する外部電極400、500が形成された本実施例によるコイル部品1000が、2.0mmの長さ、1.2mmの幅、及び0.65mmの厚さを有するように形成されることができるが、これに制限されるものではない。または、本体100は、外部電極400、500が形成された本実施例によるコイル部品1000が、2.0mmの長さ、1.6mmの幅、及び0.55mmの厚さを有するように形成されることができる。または、本体100は、外部電極400、500が形成された本実施例によるコイル部品1000が、2.0mmの長さ、1.2mmの幅、及び0.55mmの厚さを有するように形成されることができる。または、本体100は、外部電極400、500が形成された本実施例によるコイル部品1000が、1.2mmの長さ、1.0mmの幅、及び0.55mmの厚さを有するように形成されることもできる。但し、上述した本実施例によるコイル部品1000のサイズは、例示的なものに過ぎないため、上述したサイズ以下のサイズで形成された場合を本発明の範囲から除外させることはない。
【0023】
本体100は、金属磁性粉末P及び絶縁樹脂Rを含むことができる。具体的には、本体100は、絶縁樹脂R及び絶縁樹脂Rに分散した金属磁性粉末Pを含む磁性複合シートを一つ以上積層した後、磁性複合シートを硬化することにより形成することができる。
【0024】
金属磁性粉末Pは、鉄(Fe)、シリコン(Si)、クロム(Cr)、コバルト(Co)、モリブデン(Mo)、アルミニウム(Al)、ニオブ(Nb)、銅(Cu)、ホウ素(B)、及びニッケル(Ni)からなる群より選択されたいずれか一つ以上を含むことができる。例えば、金属磁性粉末Pは、Fe-Si-B-Nb-Cu系合金粉末であることができる。
【0025】
図6を参照すると、本実施例に適用されるFe-Si-B-Nb-Cu系金属磁性粉末Pは、内部に10nm以上20nm以下のサイズ(d)の結晶粒(Crystale Grain、CG)が形成されている。ナノスケールの結晶粒(CG)がFe-Si-B-Nb-Cu系金属磁性粉末Pに形成されれば、金属磁性粉末Pが既に結晶粒(CG)を含む状態であるため、その後の熱処理工程において組織の結晶化(Crystallization)が抑制され、熱に対する安定性に優れる。また、Fe-Si-B-Nb-Cu系金属磁性粉末Pは、結晶化した結晶粒(CG)を含むため、非晶質の金属磁性粉末に比べて比較的高い透磁率を示すことができる。尚、Fe-Si-B-Nb-Cu系金属磁性粉末Pは、20nm以下のサイズの結晶粒(CG)を含むため、結晶異方性が0に近くなり得る。したがって、Fe-Si-B-Nb-Cu系金属磁性粉末Pは、非晶質の金属磁性粉末に比べて低コアロス(core loss)を実現することができる。
【0026】
結晶粒(CG)は、ケイ化鉄(Fe3Si)を含むことができる。ケイ化鉄(Fe3Si)の結晶粒(CG)は、後述するFe-Si-B-Nb-Cu系金属磁性粉末Pの製造方法による場合、急冷された磁性粉末を熱処理する際に、金属磁性粉末P内に形成されることができる。
【0027】
本実施例に適用されるFe-Si-B-Nb-Cu系金属磁性粉末Pは、下記化学式1で表されることができ、下記化学式1において、73原子%=a≦=77原子%、10原子%=b≦=14原子%、9原子%=c≦=11原子%、2原子%=d≦=3原子%、0.5原子%=e≦=1原子%、及びa+b+c+d+e=100を満たすことができる。
[化学式1]
FeaSibBcNbdCue
【0028】
この際、各元素の組成比に応じて透磁率を変化させることができ、透磁率の変化に応じてコイル部品のインダクタンスを調節することができる。
【0029】
本実施例に適用されるFe-Si-B-Nb-Cu系金属磁性粉末Pは、球状に形成されることができる。本実施例に適用される球状のFe-Si-B-Nb-Cu系金属磁性粉末Pは、10μm以上50μm以下の平均粒径で形成されることができる。また、球状により、パワーインダクタなどのコイル部品の製造時に、充填率(Packing Factor)を高めることができる。このように高まった充填率により、本実施例によるコイル部品は、高透磁率を有することができる。一方、本明細書において、金属磁性粉末Pの平均粒径とは、D50またはD90の粒度分布による平均粒径を意味する。
【0030】
粒子の形状が球状に近いかどうかを判断する指標として、ワーデルの球形度(Wardell's sphericity)
【数1】
が知られているが、ワーデルの球形度
【数1】
とは、実際の粒子の表面積と実際の粒子と同一の体積を有する球の表面積の割合を意味し、下記数学式によって定義される。
【数2】
【0031】
一般に、任意の体積を有する粒子の中では、球状を有する粒子の表面積が最も小さい。ワーデルの球形度
【数1】
では、一般の粒子は1以下の数値を有し、完全な球状では1に収束するようになる。
【0032】
本実施例に適用される球状のFe-Si-B-Nb-Cu系金属磁性粉末Pは、ワーデルの球形度(Wardell's sphericity)
【数1】
が0.8以上であり、1.0以下の範囲を有することができる。
【0033】
本実施例に適用される球状のFe-Si-B-Nb-Cu系金属磁性粉末Pがワーデルの球形度
【数1】
を基準に0.8未満の場合には、金属粉末の充填率の向上効果が大きくなく、ワーデルの球形度
【数1】
の定義に照らしてみると、1.0を超える球形度を有する球状の粉末は存在することができない。
【0034】
本実施例に適用されるFe-Si-B-Nb-Cu系金属磁性粉末Pは、Fe-Si-B-Nb-Cu系合金材料を設ける段階、上記合金材料を溶融する段階と、上記溶融した合金材料をガス噴霧工程(gas atomize)で球状の金属磁性粉末を製造する段階、及び上記金属磁性粉末を熱処理してナノスケールの結晶粒を形成する段階を経て製造することができる。
【0035】
Fe-Si-B-Nb-Cu系合金材料を設ける段階では、インゴット(ingot)の形でFe-Si-B-Nb-Cu系合金材料を設けることができるが、これに限定されるものではない。
【0036】
合金材料を溶融する段階では、Fe-Si-B-Nb-Cu系合金材料の融点(melting point)以上の温度である1250℃以上の温度で加熱し、上記合金材料を溶融させるが、必要に応じて、1,600℃まで温度を加えることができる。
【0037】
溶融した合金材料をガス噴霧工程(gas atomize)で球状の金属磁性粉末を製造する段階では、溶融した合金材料を液滴(droplet)の状態で流れる水の中に落下させて急冷させることで、球状の金属磁性粉末を形成するようになる。
【0038】
ガス噴霧工程(gas atomize)装置は、溶融したFe-Si-B-Nb-Cu系合金材料を含む貯蔵タンク、上記貯蔵タンクから落下する溶融した合金材料の液滴を受ける水槽、上記水槽内の水、上記溶融液滴の落下時に不活性ガスを吹き入れるノズル、及び上記水槽内で球状に形成された金属磁性粉末を回収する回収装置を含むことができる。
【0039】
金属磁性粉末を熱処理してナノスケールの結晶粒を形成する段階では、球状に形成された金属磁性粉末を520℃~560℃の温度で30~90分間熱処理し、球状の金属磁性粉末にナノスケールの結晶粒を形成させることができる。
【0040】
この際、熱処理温度及び熱処理時間は、金属磁性粉末の粒子サイズなどによって調節することができる。
【0041】
図7を参照すると、本実施例の変形例に適用される金属磁性粉末P'は、表面を囲む絶縁コーティング層Cをさらに含むことができる。絶縁コーティング層Cは、電気的絶縁樹脂であるエポキシ樹脂またはポリイミド樹脂を含むことができるが、これに制限されるものではない。
【0042】
本体100は、絶縁樹脂Rに分散した2種類以上の金属磁性粉末を含むことができる。本体100が2種類以上の金属磁性粉末を含む場合、本体100は、上述した本実施例に適用される金属磁性粉末Pを少なくとも一種含むことができる。ここで、金属磁性粉末が異なる種類を有するとは、絶縁樹脂Rに分散した金属磁性粉末が直径、組成、結晶性、及び形状のいずれかで互いに区別されることを意味する。一例として、本体100は、直径が互いに異なる2以上の金属磁性粉末を含むことができる。
【0043】
絶縁樹脂Rは、エポキシ(epoxy)、ポリイミド(polyimide)、液晶結晶性ポリマー(Liquid Crystal Polymer)などを単独または混合して含むことができるが、これに限定されるものではない。
【0044】
本体100は、後述するコイル部300を貫通するコア110を含む。コア110は、磁性複合シートを積層及び硬化する工程において、磁性複合シートの少なくとも一部がコイル部300の貫通孔を充填することによって形成されることができるが、これに制限されるものではない。
【0045】
絶縁基板200は本体100に埋設される。絶縁基板200は、後述するコイル部300を支持する構成である。
【0046】
絶縁基板200は、エポキシ樹脂のような熱硬化性絶縁樹脂、ポリイミドのような熱可塑性絶縁樹脂、または感光性絶縁樹脂を含む絶縁物質で形成されるか、またはこれらの絶縁樹脂にガラス繊維または無機フィラーのような補強材が含浸された絶縁物質で形成されることができる。一例として、絶縁基板200は、プリプレグ(prepreg)、ABF(Ajinomoto Build-up Film)、FR-4、BT(Bismaleimide Triazine)フィルム、PID(Photo Imageable Dielectric)フィルムなどの絶縁物質で形成されることができるが、これに制限されるものではない。
【0047】
無機フィラーとしては、シリカ(SiO2)、アルミナ(Al2O3)、炭化ケイ素(SiC)、硫酸バリウム(BaSO4)、タルク、泥、マイカ粉、水酸化アルミニウム(AlOH3)、水酸化マグネシウム(Mg(OH)2)、炭酸カルシウム(CaCO3)、炭酸マグネシウム(MgCO3)、酸化マグネシウム(MgO)、窒化ホウ素(BN)、ホウ酸アルミニウム(AlBO3)、チタン酸バリウム(BaTiO3)、及びジルコン酸カルシウム(CaZrO3)からなる群より選択された少なくとも一つ以上が用いられることができる。
【0048】
絶縁基板200が補強材を含む絶縁物質で形成される場合、絶縁基板200は、より優れた剛性を提供することができる。絶縁基板200がガラス繊維を含まない絶縁物質で形成される場合、絶縁基板200は、コイル部300の全体の厚さを薄型化するのに有利である。絶縁基板200が感光性絶縁樹脂を含む絶縁物質で形成される場合、コイル部300を形成するための工程数が減り、生産コストの削減に有利であり、微細なビアを形成することができる。
【0049】
コイル部300は、絶縁基板200に配置された平面らせん状のコイルパターン311、312を含み、本体100に埋設され、コイル部品の特性を発現する。例えば、本実施例のコイル部品1000がパワーインダクタとして活用される場合、コイル部300は、電場を磁場で保存して出力電圧を維持することにより、電子機器の電源を安定させる役割を果たすことができる。
【0050】
コイル部300は、コイルパターン311、312及びビア320を含む。具体的には、
図1、
図2、及び
図3の方向を基準に、本体100の第6面106と向かい合う絶縁基板200の下面に第1コイルパターン311が配置され、絶縁基板200の上面に第2コイルパターン312が配置される。ビア320は、絶縁基板200を貫通して第1コイルパターン311及び第2コイルパターン312にそれぞれ接触連結される。このようにすることにより、コイル部300は、全体的にコア110を中心に一つ以上のターン(turn)を形成した一つのコイルとして機能することができる。
【0051】
第1及び第2コイルパターン311、312はそれぞれ、コア110を軸に、少なくとも一つのターン(turn)を形成した平面らせん状を有するようになる。一例として、第1コイルパターン311は、
図2の方向を基準に、絶縁基板200の下面においてコア110を軸に少なくとも一つのターン(turn)を形成することができる。
【0052】
第1及び第2コイルパターン311、312の端部はそれぞれ、後述する第1及び第2外部電極400、500と連結される。すなわち、第1コイルパターン311の端部は第1外部電極400と連結され、第2コイルパターン312の端部は第2外部電極500と連結される。
【0053】
一例として、第1コイルパターン311の端部は本体100の第1面101に露出し、第2コイルパターン312の端部は本体100の第2面102に露出する。これにより、本体100の第1面及び第2面101、102にそれぞれ配置された第1及び第2外部電極400、500と接触連結されることができる。
【0054】
第1及び第2コイルパターン311、312はそれぞれ、絶縁基板200に接触形成された第1導電層311a、312a、及び第1導電層311a、312aに配置された第2導電層311b、312bを含む。すなわち、第1コイルパターン311は、
図4及び
図5の方向を基準に、絶縁基板200の下面に接触形成された第1導電層311a、及び第1導電層311aに配置された第2導電層311bを含み、第2コイルパターン312は、
図4及び
図5の方向を基準に、絶縁基板200の上面に接触形成された第1導電層312a、及び第1導電層312aに配置された第2導電層312bを含む。
【0055】
第1導電層311a、312aは、第2導電層311b、312bを電解めっきで形成するためのシード層であってもよい。第2導電層311b、312bのシード層である第1導電層311a、312aは、第2導電層311b、312bに比べて薄く形成される。第1導電層311a、312aは、スパッタリングなどの薄膜工程または無電解めっき工程で形成されることができる。第1導電層311a、312aをスパッタリングなどの薄膜工程で形成した場合には、第1導電層311a、312aを構成する物質の少なくとも一部が絶縁基板200に浸透した形を有することができる。これは、絶縁基板200において第1導電層311a、312aを構成する金属物質の濃度が本体100の厚さ方向Tに沿って異なり得ることが確認できる。
【0056】
第1導電層311a、312aの厚さは1.5μm以上3μm以下であってもよい。第1導電層311a、312aの厚さを1.5μm未満とする場合には、第1導電層311a、312aを実現することが難しい。これに対し、第1導電層311a、312aの厚さが3μmを超えると、限られた本体100の体積内における第2導電層311b、312bの体積を比較的大きく形成することが難しい。
【0057】
図4を参照すると、第2導電層311b、312bは、第1導電層311a、312aの側面の少なくとも一部を露出する。本実施例の場合には、絶縁基板200の両面のそれぞれの全面に第1導電層311a、312aを形成するためのシード膜を形成し、シード膜に第2導電層311b、312bの形成のためのめっきレジストを形成し、電解めっきで第2導電層311b、312bを形成し、めっきレジストを除去した後、第2導電層311b、312bが形成されていないシード膜を選択的に除去することにより、第1導電層311a、312a及び第2導電層311b、312bを形成することができる。したがって、シード膜が選択的に除去されて形成された第1導電層311a、312aの側面の少なくとも一部は、第2導電層311b、312bによってカバーされることなく露出する。シード膜は、絶縁基板200に無電解めっきまたはスパッタリングを行うことにより形成することができる。または、シード膜は、銅箔積層板(Copper Clad Laminate、CCL)の銅箔であってもよい。めっきレジストは、めっきレジスト形成用材料をシード膜に塗布した後、フォトリソグラフィ工程を行うことによって形成されることができる。フォトリソグラフィ工程後のめっきレジストは、第2導電層311b、312bが形成される領域に対応する開口を有することができる。シード膜の選択的除去は、レーザー工程及び/またはエッチング工程を用いて行うことができる。エッチングでシード膜を選択的に除去する場合、第1導電層311a、312aの側面は、第2導電層311b、312bから絶縁基板200に近いほど断面積が増加する形で形成されることができる。
【0058】
図5を参照すると、第2導電層311b、312bは、第1導電層311a、312aをカバーする。本変形例の場合、
図4の場合とは異なり、絶縁基板200の両面のそれぞれに平面らせん状の第1導電層311a、312aを形成し、第1導電層311a、312aに第2導電層311b、312bを電解めっきで形成する。第2導電層311b、312bを異方めっきで形成する場合、めっきレジストを用いなくてもよいが、これに制限されるものではない。すなわち、第2導電層311b、312bを形成する場合、第2導電層を形成するためのめっきレジストを用いることができる。第2導電層を形成するためのめっきレジストには、第1導電層311a、312aを露出するための開口が形成される。開口の直径は、第1導電層311a、312aの線幅(Line Width)よりも大きく形成されることができ、結果として、開口を充填する第2導電層311b、312bは、第1導電層311a、312aの側面をカバーすることができる。
【0059】
ビア320は、少なくとも一つ以上の導電層を含むことができる。一例として、ビア320を電解めっきで形成する場合、ビア320は、絶縁基板200を貫通するビアホールの内壁に形成されたシード層、及びシード層が形成されたビアホールを充填する電解めっき層を含むことができる。ビア320のシード層は、第1導電層311a、312aと同一の工程でともに形成されて相互一体に形成されてもよく、第1導電層311a、312aと異なる工程で形成されて両者の間に境界が形成されていてもよい。本実施例の場合には、ビア320のシード層及び第1導電層311a、312aが互いに異なる工程で形成されて相互間に境界が形成され得る。
【0060】
コイルパターン311、312の線幅(Line Width)が大きすぎる場合には、同一の本体100の体積内の磁性体体積が減少し、インダクタンスに悪影響を及ぼすことがある。制限されない一例として、コイルパターン311、312のアスペクト比(Aspect Ratio、AR)は3:1~9:1であることができる。
【0061】
コイルパターン311、312及びビア320はそれぞれ、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、銀(Ag)、スズ(Sn)、金(Au)、ニッケル(Ni)、鉛(Pb)、チタン(Ti)、クロム(Cr)、またはこれらの合金などの導電性物質で形成されることができるが、これに限定されるものではない。制限されない一例として、第1導電層311a、312aをスパッタリングで形成し、第2導電層311b、312bを電解めっきで形成する場合、第1導電層311a、312aは、モリブデン(Mo)、クロム(Cr)、及びチタン(Ti)のうち少なくとも一つを含み、第2導電層311b、312bは、銅(Cu)を含むことができる。制限されない他の例として、第1導電層311a、312aを無電解めっきで形成し、第2導電層311b、312bを電解めっきで形成する場合、第1導電層311a、312a及び第2導電層311b、312bはそれぞれ、銅(Cu)を含むことができる。この場合、第1導電層311a、312aにおける銅(Cu)の密度は、第2導電層311b、312bにおける銅(Cu)の密度よりも低くてよい。
【0062】
外部電極400、500は、本体100の表面に配置され、コイル部300の両端部とそれぞれ連結される。本実施例の場合、コイル部300の両端部はそれぞれ、本体100の第1面及び第2面101、102に露出する。これにより、第1外部電極400は、第1面101に配置され、本体100の第1面101に露出した第1コイルパターン311の端部と接触連結され、第2外部電極500は、第2面102に配置され、本体100の第2面103に露出した第2コイルパターン312の端部と接触連結されることができる。
【0063】
外部電極400、500は、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、銀(Ag)、スズ(Sn)、金(Au)、ニッケル(Ni)、鉛(Pb)、チタン(Ti)、またはこれらのの合金などの導電性物質で形成されることができるが、これに限定されるものではない。
【0064】
外部電極400、500は、単層または複数層の構造で形成されることができる。一例として、第1外部電極400は、銅を含む第1層、第1層上に配置され、ニッケル(Ni)を含む第2層、及び第2層上に配置され、スズ(Sn)を含む第3層で構成されることができる。ここで、第1層から第3層はそれぞれ、めっきで形成されてもよいが、これに制限されるものではない。他の例として、第1外部電極400は、導電性粉末と樹脂を含む樹脂電極層、及び樹脂電極層上にめっき形成されためっき層を含むことができる。この場合、樹脂電極層は、銅(Cu)及び銀(Ag)のうち少なくとも一つの導電性粉末、及び熱硬化性樹脂の硬化物を含むことができる。また、めっき層は、ニッケル(Ni)を含む第1めっき層、及びスズ(Sn)を含む第2めっき層を含むことができる。
【0065】
絶縁膜600は、絶縁基板200及びコイル部300に形成されることができる。絶縁膜600は、コイル部300を本体100から絶縁させるためのものであって、パリレンなどの公知の絶縁物質を含むことができる。絶縁膜600に含まれる絶縁物質は、いかなるものであってもよく、特に制限されない。絶縁膜600は、気相蒸着などの方法で形成することができるが、これに制限されるものではなく、絶縁フィルムを絶縁基板200の両面に積層することにより形成することもできる。前者の場合、絶縁膜600は、絶縁基板200及びコイル部300の表面に沿ってコンフォーマル(conformal)な膜の形で形成されることができる。後者の場合、絶縁膜600は、コイルパターン311、312の隣接したターンとターンとの間の空間を満たす形で形成されることができる。一方、上述した説明のように、第2導電層311b、312bを形成するために、めっきレジストを絶縁基板200に形成することができる。かかるめっきレジストは、除去されない永久レジストであることができる。この場合、絶縁膜600は、永久レジストのめっきレジストであることができる。一方、本発明において、絶縁膜600は、選択的な構成であるため、本実施例によるコイル部品1000の動作条件で、本体100が十分な絶縁抵抗を確保することができれば、絶縁膜600は省略してもよい。
【0066】
実験例1
Fe73.5Si13.5B9Nb3Cu1組成の合金材料を溶融し、ガス噴霧工程(gas atomize)を用いて球状の金属磁性粉末Pを製造した後、525℃の温度で30分間熱処理して球状の金属磁性粉末のナノスケールの結晶粒(CG)を形成する。
【0067】
ナノスケールの結晶粒(CG)が形成された球状のFe-Si-B-Nb-Cu系金属磁性粉末をエポキシ(epoxy)系樹脂に分散して磁性複合シートを製造する。
【0068】
次に、絶縁基板に、薄膜工程を用いて第1及び第2コイルパターンを含むコイル部を形成する。
【0069】
コイル部が形成された絶縁基板の両面に磁性複合シートを積層し、厚さ0.6mmの本体を形成する。
【0070】
実験例2
Fe73.5Si13.5B9Nb3Cu1組成の合金材料を溶融し、ガス噴霧工程(gas atomize)を用いて球状の金属磁性粉末を製造する。
【0071】
球状のFe-Si-B-Nb-Cu系金属磁性粉末をエポキシ(epoxy)系樹脂に分散して磁性複合シートを製造する。
【0072】
次に、絶縁基板に、薄膜工程を用いて第1及び第2コイルパターンを含むコイル部を形成する。
【0073】
コイル部が形成された絶縁基板の両面に磁性複合シートを積層し、厚さ0.6mmの本体を形成する。
【0074】
一方、上記実験例1及び2において、コイル部は、ターン数、コイルパターンの厚さ、コイルパターンの線幅(Line Width)、コイルパターンのピッチ(Pitch)がすべて同一となるように製作された。
【0075】
実験例1及び2によって製造された本体に対して、インピーダンスアナライザ(Impedance Analyzer)でインダクタンス及び透磁率を測定し、BHアナライザ(BH Analyzer)でコアロスを測定する。
【0076】
実験周波数は3MHzである。
【0077】
【0078】
表1を参照すると、実験例1、すなわち、内部にナノ結晶粒が形成された球状のFe-Si-B-Nb-Cu系金属磁性粉末を用いたコイル部品の場合には、インダクタンス及び透磁率が最も高く、コアロスも最も低いことが分かる。
【0079】
一方、上記本実施例及び実験例は、本発明が薄膜型コイル部品であることを前提としたが、これは、説明の便宜のためのものに過ぎない。したがって、本発明の内部にナノ結晶粒が形成されたFe-Si-B-Nb-Cu系金属磁性粉末Pは、薄膜型コイル部品だけでなく、巻線型コイル部品の磁性コア及び/または本体を形成することにも用いることができる。
【0080】
コイル部品が薄型化するほど、コイル部品内における磁性体の総体積は減少せざるを得ないため、容量の実現が困難になる可能性がある。これを解決するために、コイル部品内の磁性粉末のサイズを増加させることができるが、この場合、磁性粉末のサイズ増加に伴う渦電流(eddy current)が増加するため副作用が発生する。
【0081】
本実施例の場合には、本体100が、内部にナノ結晶粒(CG)が形成されたFe-Si-B-Nb-Cu系金属磁性粉末Pを含むことにより、本体100の厚さを抑えるとともに、高透磁率を実現することができ、結果として、コイル部品1000の容量を実現することができる。また、本実施例に適用されるFe-Si-B-Nb-Cu系金属磁性粉末Pは、内部にナノスケールの結晶粒(CG)が形成されるため、従来の金属磁性粉末に比べてサイズを増加させることなく、容量の実現が可能となる。これにより、渦電流などによるコアロスを低減させることができる。
【0082】
実験例3から9
表2は、金属磁性粉末の粒径と本体の厚さによる金属磁性粉末の充填率、インダクタンス、透磁率、及びコアロスを示したものである。
【0083】
実験例3から9は、実験例1と同一の条件で球状の金属磁性粉末を形成するが、金属磁性粉末の粒径(D50)、及び本体の厚さを変化させたものである。
【0084】
一方、上記実験例3から9において、コイル部は、ターン数、コイルパターンの厚さ、コイルパターンの線幅(Line Width)、コイルパターンのピッチ(Pitch)がすべて同一となるように製作された。
【0085】
実験例3から9で製造された本体に対して、インピーダンスアナライザ(Impedance Analyzer)でインダクタンス及び透磁率を測定し、BHアナライザ(BH Analyzer)でコアロスを測定する。
【0086】
実験周波数は3MHzである。
【0087】
【0088】
表2を参照すると、実験例4から6はそれぞれ、本体の厚さが0.65mm以下であり、金属磁性粉末の粒径が10μm~18μmである場合である。
【0089】
実験例4から6はそれぞれ、実験例3と比較すると、充填率、インダクタンス、及び透磁率を向上させることができる。また、実験例4から6はそれぞれ、実験例7に比べてコアロスを減少させることができ、実験例8及び9に比べて本体の厚さを薄くすることができる。
【0090】
すなわち、実験例4から6はそれぞれ、実験例3、及び7から9と比較して本体の厚さを薄くすることができるとともに、充填率、インダクタンス、透磁率、及びコアロス特性を向上させることができる。
【0091】
(第2実施例)
図8は本発明の第2実施例によるコイル部品を概略的に示す図であり、
図9は
図8を下部側から見たものを示す図であり、
図10はコイル部を分解したものを示す図であり、
図11は
図8のIII-III'線に沿った断面を示す図である。
【0092】
図1から
図11を参照すると、本実施例によるコイル部品2000は、本発明の第1実施例によるコイル部品1000と比較すると、コイル部300及び外部電極400、500が異なる。したがって、本実施例を説明するにあたり、本発明の第1実施例とは異なるコイル部300及び外部電極400、500についてのみ説明する。本実施例の残りの構成に対しては、本発明の第1実施例における説明がそのまま、または変形されて適用されることができる。
【0093】
本実施例に適用されるコイル部300は、コイルパターン311、312、引出パターン331、332、補助引出パターン341、342、及びビア321、322、323を含む。
【0094】
具体的には、
図8、
図10及び
図11の方向を基準に、本体100の第6面106と向かい合う絶縁基板200の下面に、第1コイルパターン311、第1引出パターン331、及び第2引出パターン332が配置され、絶縁基板200の下面と向かい合う絶縁基板200の上面に、第2コイルパターン312、第1補助引出パターン341、及び第2補助引出パターン342が配置される。本実施例の第1及び第2引出パターン331、332は、上述した第1実施例の第1及び第2コイルパターン311、312の両端部と同様に、外部電極400、500と接触連結される構成である。
【0095】
図8及び
図10を参照すると、絶縁基板200の下面における第1コイルパターン311は、第1引出パターン331と接触連結され、第1コイルパターン311及び第1引出パターン331はそれぞれ、第2引出パターン332と離隔される。また、絶縁基板200の上面における第2コイルパターン312は、第2補助引出パターン342と接触連結され、第2コイルパターン312及び第2補助引出パターン342はそれぞれ、第1補助引出パターン341と離隔される。また、第1ビア321は、絶縁基板200を貫通して第1コイルパターン311及び第2コイルパターン312にそれぞれ接触し、第2ビア322は、絶縁基板200を貫通して第1引出パターン331及び第1補助引出パターン341にそれぞれ接触し、第3ビア323は、絶縁基板200を貫通して第2引出パターン332及び第2補助引出パターン342にそれぞれ接触する。このようにすることにより、コイル部200は、全体的に一つのコイルとして機能することができる。
【0096】
引出パターン331、332及び補助引出パターン341、342はそれぞれ、本体100の両端面101、102に露出する。すなわち、第1引出パターン331及び第1補助引出パターン341はそれぞれ本体100の第1面101に露出し、第2引出パターン332及び第2補助引出パターン342はそれぞれ本体100の第2面102に露出する。
【0097】
コイルパターン311、312、ビア321、322、323、引出パターン331、332、及び補助引出パターン341、342のうち少なくとも一つは、少なくとも一つ以上の導電層を含むことができる。
【0098】
一例として、第2コイルパターン312、補助引出パターン341、342、及びビア321、322、323を絶縁基板200の他面にめっきで形成する場合、第2コイルパターン312、補助引出パターン341、342、及びビア321、322、323はそれぞれ無電解めっき層などのシード層と電解めっき層を含むことができる。ここで、電解めっき層は、単層構造であってもよく、多層構造であってもよい。多層構造の電解めっき層は、一方の電解めっき層を他方の電解めっき層がカバーするコンフォーマル(conformal)な膜構造で形成されてもよく、一方の電解めっき層の一面のみに他方の電解めっき層が積層された形状に形成されてもよい。第2コイルパターン312のシード層、補助引出パターン341、342のシード層、及びビア321、322、323のシード層は一体に形成され、相互間に境界が形成されなくてもよいが、これに制限されるものではない。また、第2コイルパターン312の電解めっき層、補助引出パターン341、342の電解めっき層、及びビア321、322、323の電解めっき層は一体に形成され、相互間に境界が形成されなくてもよいが、これに制限されるものではない。
【0099】
コイルパターン311、312、引出パターン331、332、及び補助引出パターン341、342は、
図8及び
図11を基準に、絶縁基板200の下面及び上面からそれぞれ突出形成されることができる。他の例として、第1コイルパターン311及び引出パターン331、332は絶縁基板200の下面に突出形成され、第2コイルパターン312及び補助引出パターン341、342は、絶縁基板200の上面に埋め込まれ、第2コイルパターン312及び補助引出パターン341、342のそれぞれの上面が絶縁基板200の上面に露出することができる。この場合、第2コイルパターン312及び/または補助引出パターン341、342の上面には凹部が形成され、第2コイルパターン312及び/または補助引出パターン341、342の上面と絶縁基板200の上面は同一平面上に位置しなくてよい。他の例として、上述した他の例の逆の場合も可能である。
【0100】
コイルパターン311、312、引出パターン331、332、補助引出パターン341、342、及びビア321、322、323はそれぞれ、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、銀(Ag)、スズ(Sn)、金(Au)、ニッケル(Ni)、鉛(Pb)、チタン(Ti)、またはこれらの合金などの導電性物質で形成されることができるが、これに限定されるものではない。
【0101】
一方、
図10を参照すると、第1補助引出パターン341は、コイル部300の残りの構成間の電気的な接続とは関わりがないため、本発明では省略することができる。但し、本体100の第5面105と第6面106を区別する工程を省略するために、第1補助引出パターン341を形成することが好ましい。
【0102】
第1及び第2外部電極400、500はそれぞれ、本体100の第6面106に互いに離隔配置された第1及び第2パッド部410、510、ならびに第1及び第2連結部420、520を含む。具体的には、第1外部電極400は、本体100の第6面106に形成された第1パッド部410、及び本体100の少なくとも一部を貫通してコイル部300の第1引出パターン331及び第1パッド部410にそれぞれ接触連結された第1連結部420を含む。第2外部電極500は、本体100の第6面106に形成された第2パッド部510、及び本体100の少なくとも一部を貫通してコイル部300の第2引出パターン332及び第2パッド部510にそれぞれ接触連結された第2連結部520を含む。
【0103】
第1及び第2パッド部410、510は、単層または複数層の構造で形成されることができる。一例として、第1パッド部410は、銅(Cu)を含む第1層、第1層上に配置され、ニッケル(Ni)を含む第2層、及び第2層上に配置され、スズ(Sn)を含む第3層を含むことができる。
【0104】
第1及び第2連結部420、520は、本体100の少なくとも一部を貫通する。すなわち、本実施例の場合、本体100の表面を介して、第1及び第2外部電極400、500と第1及び第2引出パターン331、332とを連結するのではなく、本体100内に配置された第1及び第2連結部420、520を介して、第1及び第2パッド部410、510と第1及び第2引出パターン331、332とを連結する。
【0105】
第1及び第2連結部420、520はそれぞれ、コイル部300から延長されることができる。一例として、第1及び第2連結部420、520は、第1及び第2引出パターン331、332上に開口を有するめっきレジストを形成した後、めっきレジストの開口を介して露出した第1及び第2引出パターン331、332からめっき成長することができる。または、第1及び第2連結部420、520はそれぞれ、本体100を形成した後、本体100の第6面側にビアホールを加工し、ビアホールに導電性物質を充填して形成することができる。前者の場合、第1及び第2引出パターン331、332が、第1及び第2連結部420、520のそれぞれを電解めっきで形成するにあたり、給電層として機能することができる。結果として、第1及び第2連結部420、520とコイル部300の境界には、無電解めっき層などの別のシード層が存在しなくてもよいが、これに制限されるものではない。後者の場合、第1及び第2連結部420、520は、ビアホールの内面に形成されたシード層を含んでもよいが、これに制限されるものではない。すなわち、金属磁性粉末Pが電解めっき時のめっき電流及び電圧で十分な導電性を有することができれば、後者の場合でも、別のシード層が形成されなくてもよい。
【0106】
一方、
図8などには、第1及び第2連結部420、520がそれぞれ、単一で形成され、円柱の形で形成されるように示されているが、これは図示及び説明の便宜のためのものに過ぎない。制限されない他の例として、第1連結部420は、複数で形成されることができ、それぞれが四角柱の形で形成されることができる。
【0107】
以上、本発明の実施例について詳細に説明したが、本発明の範囲はこれに限定されず、特許請求の範囲に記載された本発明の技術的思想から外れない範囲内で多様な修正及び変形が可能であるということは、当技術分野の通常の知識を有する者には明らかである。
【符号の説明】
【0108】
100 本体
110 コア
200 絶縁基板
300 コイル部
311、312 コイルパターン
311a、312a 第1導電層
311b、312b 第2導電層
320、321、322、323 ビア
331、332 引出パターン
341、342 補助引出パターン
400、500 外部電極
410、510 パッド部
420、520 連結部
600 絶縁膜
P 金属磁性粉末
R 絶縁樹脂
CG 結晶粒
C 絶縁コーティング層
1000、2000 コイル部品