(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022130659
(43)【公開日】2022-09-06
(54)【発明の名称】一体となった防漏封止部を有する成形エラストマー容器
(51)【国際特許分類】
B65D 43/22 20060101AFI20220830BHJP
【FI】
B65D43/22 100
【審査請求】有
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022106896
(22)【出願日】2022-07-01
(62)【分割の表示】P 2017546909の分割
【原出願日】2016-03-01
(31)【優先権主張番号】14/639,065
(32)【優先日】2015-03-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】518253428
【氏名又は名称】スタシャー インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100073184
【弁理士】
【氏名又は名称】柳田 征史
(74)【代理人】
【識別番号】100175042
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 秀明
(72)【発明者】
【氏名】カトウシャ ガミー ノウリ
(72)【発明者】
【氏名】ポール マグワイア
(57)【要約】 (修正有)
【課題】追加の部品を必要とせずに封止力を高める、一体となった防漏封止部を有するエラストマー容器を提供する。
【解決手段】シリコーンなどのエラストマーで作製され、一体となった防漏封止部を有する容器である。封止部は、容器内部の液体の漏れを防ぐ強力な封止を提供するのに十分な大きさおよび形状の圧入部を、組み入れている。封止部は、容器に一体となっており、外側からクリップも留め具も必要としない。開けるのを容易にするために、側部を引っ張って開けるために延伸しためくり部、および、圧入部を開け始めるときの力を低減するための非対称の窪み部などの追加の特徴物が、備えられている。容器自体が、台形など、非対称な形状であってもよく、強力な封止部に沿って広い開口部を提供しうる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エラストマー容器において、
エラストマーを全体的に含む、上側囲い部、および底側囲い部であって、前記上側囲い部および、前記底側囲い部が、前縁部と、前記前縁部と向かい合う後縁部と、左縁部と、前記左縁部と向かい合う右縁部とを備え、
前記上側囲い部および前記底側囲い部の前記前縁部と一体形成され、前記エラストマー容器を開閉して前記エラストマー容器の内部容積部へのアクセスを提供するように構成された封止部であって、
該封止部は、
前記底側囲い部に配置された底側圧入部であって、
垂直突出部と、該垂直突出部から水平方向に延伸する1つ以上の垂直方向にずれた隆起部と、
前記垂直突出部の前側に位置する前側の垂直窪み部と、
前記前側と向かい合う前記垂直突出部の後側に位置する後側の垂直窪み部と、
前記上側囲い部に配置され、前記1つ以上の垂直方向にずれた隆起部を受け入れるよう構成された凹部を含む上側圧入部と、
を含む、底側圧入部を含む、
エラストマー容器。
【請求項2】
前記上側圧入部が、前記底側圧入部に向かって垂直方向に延伸し、前記前側の垂直窪み部および前記後側の垂直窪み部にそれぞれ受け入れられる前側突出部および後側突出部をさらに含む、請求項1記載のエラストマー容器。
【請求項3】
前記底側圧入部が、前記前側の垂直窪み部と向かい合う前記後側の垂直窪み部の最も内側に第1の垂直区分をさらに含む、請求項1記載のエラストマー容器。
【請求項4】
前記上側囲い部は、前記後縁部、前記左縁部、前記右縁部に沿って、前記底側囲い部に結合されている、請求項1記載のエラストマー容器。
【請求項5】
前記1つ以上の垂直方向にずれた隆起部が、前記垂直突出部から水平方向に延伸する複数の垂直方向にずれた隆起部である、請求項1記載のエラストマー容器。
【請求項6】
前記左縁部から前記右縁部まで測定した前記前縁部の幅が、前記左縁部から前記右縁部まで測定した前記後縁部の幅より広いものである、請求項1に記載のエラストマー容器。
【請求項7】
前記上側圧入部から前方に延伸する上側めくり部、および、前記底側圧入部から前方に延伸する底側めくり部を、更に含む、請求項1に記載のエラストマー容器。
【請求項8】
前記底側めくり部が、前記上側めくり部より、更に前方に延伸する、請求項7に記載のエラストマー容器。
【請求項9】
前記後側の垂直窪み部の垂直深さが、前記前側の垂直窪み部の垂直深さとは異なるものである、請求項1に記載のエラストマー容器。
【請求項10】
前記封止部は、前記内部容積部から前記エラストマー容器を開封するのに必要な力に対して、前記垂直突出部の前記前側から低減した開封力を提供するよう構成されている、請求項9に記載のエラストマー容器。
【請求項11】
前記1つ以上の垂直方向にずれた隆起部が、水平面に対して傾斜した上面を含む、請求項1に記載のエラストマー容器。
【請求項12】
前記1つ以上の垂直方向にずれた隆起部が、前記水平面に対して平行な下面を含む、請求項11に記載のエラストマー容器。
【請求項13】
エラストマー容器において、
エラストマーを全体的に含む、上側囲い部、および底側囲い部であって、前記上側囲い部および、前記底側囲い部が、前縁部と、前記前縁部と向かい合う後縁部と、左縁部と、前記左縁部と向かい合う右縁部とを備え、前記上側囲い部と前記底側囲い部は水平面で会合している、上側囲い部、および底側囲い部と、
前記上側囲い部および前記底側囲い部の前記前縁部と一体形成され、前記エラストマー容器を開閉して前記エラストマー容器の内部容積部へのアクセスを提供するように構成された封止部であって、
該封止部は、
前記底側囲い部の面から延伸する垂直突出部であって、前記水平面の下方から前記水平面の上方へ延伸する垂直突出部と、
該垂直突出部から水平方向に延伸する1つ以上の垂直方向にずれた隆起部と、
前記垂直突出部の前側に位置し、前記水平面よりも下方に配置された前側の垂直窪み部と、
前記前側と向かい合う前記垂直突出部の後側に位置し、前記水平面よりも下方に配置された後側の垂直窪み部と、
前記上側囲い部の面に延伸し、前記1つ以上の垂直方向にずれた隆起部を含む溝を受け入れるように構成された1つ以上の凹部を含む溝部と、
を含む、エラストマー容器。
【請求項14】
前記封止部が、前記上側囲い部の面から前記底側囲い部の面に向かって垂直方向に延伸し、前記前側の垂直窪み部および前記後側の垂直窪み部にそれぞれ受け入れられる前側突出部および後側突出部をさらに含む、請求項13記載のエラストマー容器。
【請求項15】
前記底側圧入部が、前記垂直突出部と向かい合う前記後側の垂直窪み部の最も内側に第1の垂直区分をさらに含む、請求項13に記載のエラストマー容器。
【請求項16】
前記上側囲い部は、前記後縁部、前記左縁部、前記右縁部に沿って、前記底側囲い部に結合されている、請求項13に記載のエラストマー容器。
【請求項17】
前記左縁部から前記右縁部まで測定した前記前縁部の幅が、前記左縁部から前記右縁部まで測定した前記後縁部の幅より広いものである、請求項13に記載のエラストマー容器。
【請求項18】
前記上側圧入部から前方に延伸する上側めくり部、および、前記底側圧入部から前方に延伸する底側めくり部を、更に含み、
前記底側めくり部は、前記上側めくり部より、更に前方に延伸する、請求項13に記載のエラストマー容器。
【請求項19】
前記1つ以上の垂直方向にずれた隆起部が、前記水平面に対して傾斜した上面を含む、請求項13に記載のエラストマー容器。
【請求項20】
前記1つ以上の垂直方向にずれた隆起部が、前記水平面に対して平行な下面を含む、請求項19に記載のエラストマー容器。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本特許出願は、2015年3月4日出願の米国特許出願第14/639,065号の優先権の利益を主張し、その記載は、参照により本明細書に組み込まれる。
【技術分野】
【0002】
1つ以上の実施形態は、保存運搬袋および容器の分野、並びに、これらの袋および容器用封止部に関する。特に、1つ以上の実施形態では、一体となった防漏封止部を有する成形エラストマー袋が実現可能だが、それに限定されるものではない。実施形態は、液体を含む食料の保存、運搬、および、調理用に、並びに、他の利用に使用されてもよい。実施形態は、耐久性を有し、再利用可能であってもよい。本発明の実施形態は、防漏封止部を組み入れて、容器と一体となった機構を用いて、封止を高めている。
【背景技術】
【0003】
密封袋および容器は、当技術分野で、よく知られている。例えば、Ziploc(登録商標)のビニール袋は、袋の開口部と一体となった、ジッパー状の封止機構を有する。更に最近の技術革新において、密封袋は、より高い耐久性を有する再利用可能な容器に改良され、シリコーンを材料とすることが多い。例えば、特許文献1のMunguiaおよび特許文献2のLeBoeufは、封止部を有するシリコーン食料保存袋を教示している。
【0004】
密封袋の既存技術は、一体となった封止部の設計が、比較的弱い封止力を与えるという点で限界がある。例えば、「Ziploc」の袋は、閉じることは可能だが、漏れを完全に防ぐものではない。「Ziploc」の封止領域は、比較的小さく、封止部の形状が、単純なレール状凸部および溝部であることにより、結果的に、このように漏れを防いでいない。LeBoeufは、レール状凸部および溝部を有する封止部を開示しているが、閉じる方法として、追加の物理的留め具を加える必要があるかもしれないと、具体的に記載している。したがって、LeBoeufが開示した、容器と一体となった封止部は、外側からの留め部材がないと、漏れを防がないかもしれない。
【0005】
一体となった防漏封止部を備えることが、このように困難であることを、1946年に、Koeppelが、特許文献3で教示している。Koeppelは、「このような種類の容器閉じ部は、様々な方法で形成されてきたが、袋または容器の開口部を、立方体状の氷、または、比較的大きな氷の塊を受け入れるように十分大きくすると、開口部を効果的に封止することが困難になる。この困難を克服しようと、容器の開口部の開口縁部の周りに、相補的ジグザグ状面、または、凸部面および溝部面を有する厚い部分を備えて、封止部を形成することが行われてきた。しかしながら、そのような構成でも、かなりの力で、面が互いに押圧されない限り、効果的に漏れを防ぐものではない。」と述べている。次に、Koeppelは、必要な封止力を提供するために、袋の外側に取り付けられた物理的クリップを用いる設計を教示している。この意味で、Koeppelは、外側からの留め具を用いたLeBoeufと同様の解決策に到達したといえる。
【0006】
外側からのクリップまたは物理的留め具を使用することで、封止部を備えうるが、ユーザにとって便利さを欠き、追加の製造コストおよび複雑な処理を要するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許出願公開第2013/0105352号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2009/0110335号明細書
【特許文献3】米国特許第2,500,363号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、そのような追加の部品を必要とせずに封止力を高める、一体となった防漏封止部を有するエラストマー容器が、必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の実施形態は、一体となった防漏封止部を有する成形エラストマー容器を、実施可能にするものである。そのような容器は、例えば、食料製品を含む、液体、固体、または、それらの両方を、保存運搬するのに使用してもよい。本発明の実施形態は、矩形、正方形、円形、台形、円柱状、楕円形、多角形、立方体状、または、容器の意図した使用に便利な任意の形状を含む、様々な形状および大きさであってよいが、それらに限定されるものではない。本発明の実施形態は、材料の一部として、エラストマーを使用し、可撓性、耐熱性、耐微生物性、および、製造容易性などの物性を有するようにしている。他の材料も、形成のため、強度を上げるため、装飾のため、または、任意の他の目的のために使用してもよい。いくつかの実施形態では、シリコーンを、容器のエラストマーの1つとして採用してもよい。シリコーンは、非有毒性、付着し難さ、オーブンなどでの加熱可能性、冷凍庫などでの冷凍可能性、および、製造工程における様々な形状への成形性を含む、いくつかの潜在的な利点を提供しうる。
【0010】
本発明の実施形態は、上側囲い部および底側囲い部と称する、囲い部の2つの部分を含んでいてもよい。上側囲い部と底側囲い部とは、それらの縁部のいくつかに沿って連結され、開口部を有する容器を形成してもよい。本明細書では、開口部に最も近い縁部を、前縁部と称し、前縁部と向かい合う縁部を、後縁部と称する。後縁部と前縁部の間を延伸する縁部を、左縁部および右縁部と称する。囲い部の部分の間の連結部も、エラストマーで作製されるか、他の材料で作製されてもよい。成形、接着、テープ留め、縫い留め、ホチキス留め、溶接、または、任意の他の技術などの任意の連結技術を用いて、囲い部を形成してもよい。囲い部は、容器内の物質を保存または運搬するように設計された内部容積部を、部分的に囲んでいてもよい。いくつかの実施形態では、容器が空の場合でも、この内部容積部が存在するように、容器が十分に硬くてもよい。他の実施形態では、容器は、空の場合には、潰れるように設計されて、容器内に品物がない限りは、内部容積部が見てわからなくてもよい。
【0011】
実施形態は、物質を出し入れするために完全または部分的に開いていてもよい、囲い部の1つ以上の縁部を有していてもよい。実施形態は、これらの開いた縁部に隣接または近接し、容器の内部を閉じ込めるように設計されて容器の開閉に用いられる封止部を、含んでいてもよい。いくつかの実施形態において、封止部は、圧入部と称する2つの構成要素を含み、圧入部は、互いに押圧されて閉じられた時に、封止するように設計されている。本明細書では、圧入部を、上側圧入部および底側圧入部と称する。それらは、封止部を備えることが、必要か、または、便利である、容器上の任意の場所に、位置していてもよい。これらの圧入部は、構成要素が互いに押圧された時に共通境界部で合体する、相補的輪郭を有していてもよい。本発明の様々な実施形態は、圧入部について、封止部の強度に寄与するような設計を採用している。いくつかの実施形態において、封止部は、漏れを防ぐように設計されている。例えば、いくつかの実施形態は、封止部を下に向けて、容器を逆さまにしても、容器内に、1から2カップの水を漏らすことなく保持しうる封止部を備えている。
【0012】
1つ以上の実施形態では、封止部の防漏性は、圧入部に十分な材料厚さを用いることによって、高められる。圧入部の材料が厚いほど、封止部の封止力が高まる。圧入部の間の共通境界部の端から端で平均材料厚さを測定した場合に、いくつかの実施形態では、上側圧入部および底側圧入部の両方の平均材料厚さは、少なくとも0.25cmであり、他の実施形態では、0.5cmまでの任意の値であり、他の実施形態では、0.5cmと0.75cmの間の任意の値であり、他の実施形態では、1.0cmである。他の実施形態では、封止を更に高めるために、もっと厚い材料も使用してもよい。いくつかの実施形態では、封止強度に関する主要因として、材料厚さに依存せず、それに代えて、または、それに加え、圧入部の形状を用いて、防漏性を高めてもよい。
【0013】
本発明の1つ以上の実施形態において、囲い部の前縁部は、後縁部より長くてもよい。例えば、容器は、略台形で、前縁部が、後縁部より長くてもよい。そのような実施形態は、物質を出し入れするための開口部領域を大きくするという利点がある。封止部の圧入部に厚い材料を使用する時には、開口部が、左縁部および右縁部で狭くなるかもしれないので、この利点は、特に価値がある。
【0014】
1つ以上の実施形態において、上側圧入部および底側圧入部は、係合して封止部の一部を形成する1つ以上の雄型および雌型の構成要素を有する。異なる実施形態では、これらの雄型および雌型の構成要素について、任意の便利な形状、大きさ、および、数を採用してもよい。いくつかの実施形態において、上側圧入部、または、底側圧入部、若しくは、それらの両方が、他方の圧入部上の窪み部内まで上方または下方に延伸する、垂直突出部を有していてもよい。いくつかの実施形態では、1つ以上の垂直突出部は、垂直突出部から水平方向に突出する1つ以上の水平隆起部を有していてもよい。これらの隆起部は、向い合う圧入部上の対応する凹部内に適切な位置でロックされるように、備えられていてもよい。いくつかの実施形態では、単一の垂直突出部に、異なる高さで、垂直方向に間隔を開けて取り付けられた少なくとも2つの水平隆起部を用いて、更なる封止力を有するようにしている。他の実施形態では、単一の水平隆起部のみを用いるか、または、水平隆起部を全く用いなくてもよい。垂直突出部および水平隆起部がある場合に、実施形態によって、形状および大きさが、異なっていてもよい。例えば、水平隆起部は、垂直突出部から水平方向に延伸する、三角形、円形、楕円形、正方形、矩形、または、任意の他の形状であってもよい。いくつかの実施形態では、垂直突出部は、少なくとも0.2cmで、それは、例えば、上側および底側圧入部の全厚さの80%、または、任意の他のパーセントであってもよく、他の実施形態では、0.4cmと0.6cmの間の任意の値であってもよく、他の実施形態では、0.8cmの高さであってもよい。いくつかの実施形態では、水平隆起部は、少なくとも0.1cmの幅か、または、0.2cm以上など、0.1cmより大きな任意の値を含む、任意の他の幅であってもよい。
【0015】
防漏封止部を実現するために、本発明の1つ以上の実施形態では、十分な大きさおよび材料厚さの圧入部を組み入れてもよい。そのような設計は、封止部が、上側および底側囲い部から、かなりの距離、延伸するかもしれないという点で、潜在的な課題となりうる。この影響を軽減するために、本発明の1つ以上の実施形態では、上側圧入部と底側圧入部をずらして、容器の水平面に沿って、もっと中心に寄るようにしてもよい。特に、1つ以上の実施形態では、上側圧入部または底側圧入部、若しくは、それらの両方が、上側囲い部と底側囲い部の間の中心水平面の上方および下方の両方に延伸する、窪み部と突出部とを有していてもよい。例えば、底側圧入部は、中心水平面の下方の窪み部、および、中心水平面の上方に延伸する垂直突出部を有していてもよい。したがって、1つ以上の実施形態は、囲い部の側面と、もっと位置が合わせられたか、または、中心に寄った封止部を有する、防漏封止部を備えた容器を可能にする。更に、封止部が厚くなると、容器を落とす可能性を最小限にして容器を保持する、接触感知領域を備えることになる。したがって、静摩擦係数、および、望ましい中身を確実に保持するための封止部の形状に基づき、封止部が十分に厚い1つ以上の実施形態において、封止部は、容器を保持するための把手部として構成される。
【0016】
本発明のいくつかの実施形態において、上側および底側圧入部は、上側および底側囲い部の左縁部または右縁部の一部まで延伸していてもよい。そのような実施形態では、容器を開けるための機構は、ヒンジ領域、または、同様の設計を、側面に沿って組み入れて、容器を、前縁部だけで開けうる場合より、大きく開けられるようにしてもよい。そのような実施形態は、ユーザが、もっと容易に、品物を容器に入れたり、品物を容器から取り出したりできるようにして、かなり便利にするかもしれない。
【0017】
本発明の1つ以上の実施形態は、前縁部から、若しくは、上側また底側圧入部の側面から延伸する、めくり部、または、つまみ部を備えていてもよい。そのようなめくり部、または、つまみ部は、封止された状態から、容器を引っ張って開けるために、容器の縁部を保持するのに使用されてもよい。このようなめくり部は任意の便利な大きさ、または、形状で、任意の便利な位置に配置されてもよい。いくつかの実施形態では、例えば、めくり部は、最も広い部分が前縁部の中心に位置した略円弧状であってもよい。他の実施形態では、めくり部は、前縁部の中心から、または、他の位置から突出する、単純なつまみ部から構成されていてもよい。いくつかの実施形態では、底側つまみ部、および、上側つまみ部があり、底側つまみ部が、上側つまみ部より長くてもよい。他の実施形態では、これと逆の配列で、底側つまみ部より長い、上側つまみ部を有していてもよい。他の実施形態では、めくり部、または、つまみ部は、等しい大きさであってもよい。めくり部、または、つまみ部が長くなれば、ユーザが封止部を引っ張って開ける時に、レバーアームを提供することになり、ユーザは、もっと容易に封止部を開けられるようになるかもしれない。漏れを防ぐように設計された非常に強力な封止部について、ユーザは、容器を開ける時に封止力に打ち勝つ機構を有しなければならないので、この特徴は、特に価値があるかもしれない。1つ以上の実施形態において、上側めくり部と底側めくり部の間に隙間があってもよく、それにより、ユーザは、開けるために、めくり部の1つまたは両方を、もっと容易に把持できるようになる。
【0018】
1つ以上の実施形態において、上側または底側圧入部は、2つの窪み部に囲まれた垂直突出部を組み入れてもよく、1つの窪み部は、垂直突出部の前方にあり、もう1つの窪み部は、垂直突出部の後方にある。いくつかの実施形態では、これらの2つの窪み部の深さは、等しくなくてもよい。例えば、1つ以上の実施形態において、前方窪み部は、後方窪み部より浅くてもよい。圧入部について、そのような非対称形状は、前方縁部から封止部を開け始めるのに必要な力が、後縁部側の封止力より小さくてもよいという潜在的な利点がありうる。これにより、強力な封止を維持しながら、ユーザが容易に開けるのを可能にするかもしれない。ユーザは、前方窪み部で封止を解いたら、圧入部の開いた部分によって提供された追加のレバーアームを用いて、封止部の後側部分を続けて開けてもよい。
【0019】
本発明の実施形態は、圧入部について、様々な形状および大きさを組み入れてもよい。いくつかの実施形態では、上側圧入部と底側圧入部の間の境界部の形状は、封止力に大きく寄与するものであってもよい。実施形態は、境界部について、多数回、方向が変わる屈曲経路を用いて、封止を向上させてもよい。そのような屈曲経路は、2つの潜在的な利点を提供する。第1に、圧入部の多方向への移動を防ぎうることである。第2に、液体が封止部から抜け出るのに進まなければならない距離を長くして、防漏性を向上しうることである。移動を防ぐ方向は、境界面に対する法線ベクトルの向きで、表される。いくつかの実施形態において、境界経路は、上向き、下向き、前向き、後向きの4つの異なる方向に向いた法線ベクトルを、提供してもよい。いくつかの実施形態は、それより多い、または、少ない法線ベクトルを提供してもよい。法線ベクトルは、表面が平面または曲面であろうと、平面または曲面に沿った特定の点で、表面に直交する。いくつかの実施形態では、境界面に対する法線ベクトルは、略これらの4つの方向に向いているが、容器の前後方向の軸に垂直な垂直平面の4つの全象限のどこかに向いていてもよい。法線ベクトルが、全象限に向いた状態で、圧入部は、全方向に封止力を提供する。他の実施形態において、境界部の屈曲経路は、多数回、方向を変えて、境界経路内の異なる区分上で、全方向の多数の法線ベクトルを提供してもよい。例えば、1つ以上の実施形態では、境界経路の少なくとも3つの異なる区分があって、4つの各向き、または、4つの各象限に、法線ベクトルを提供してもよい。そのような経路は、封止力を、更に高める。
【0020】
1つ以上の実施形態において、圧入境界部の屈曲経路は、圧入部を横切る水平方向の前後の直線距離より、非常に長くなるだろう。このように長くなった経路は、液体が封止部から出るのに進まなくてはならない距離を長くすることによって、封止を向上させる。例えば、いくつかの実施形態では、境界経路の長さは、境界経路の始点と終点の間の水平方向の前後の距離の少なくとも2倍である。他の実施形態では、もっと大きな距離の比を有する、更に長い境界経路を用いてもよい。
【0021】
本開示を通して伝えられる上記および他の態様、特徴および利点は、添付の図面と共に示される、以下のより詳細な記載から、更に明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明の一実施形態の斜視図を示し、封止部が閉じられた状態である。
【
図2】
図1に示された実施形態の上側および底側囲い部、並びに、上側および底側圧入部を、1つの要素から形成した場合に、または、上側の部分と底側の部分とを互いに取り付ける前の状態で、例示的に分解図で示している。
【
図3】
図2の上側および底側囲い部、並びに、上側および底側圧入部の側面図を、示す。
【
図4】
図3の囲い部および圧入部の側面図を、中心水平面について示す。
【
図5】本発明の一実施形態の囲い部および圧入部の側面図を示し、それらの共通境界部が、例示的に太線で示されている。
【
図6】本発明の一実施形態の底側圧入部の特徴を、詳細に示す。
【
図7】本発明の一実施形態の上面図を示し、前縁部が、後縁部より長いものである。
【
図8】本発明の一実施形態の上側および底側圧入部を示し、前側垂直窪部が、後側垂直窪み部より浅いものである。
【
図9】
図8に示された本発明の一実施形態の圧入境界部を、境界部に対する水平方向の法線ベクトルに沿って示す。
【
図10】
図8に示された本発明の一実施形態の圧入境界部を、境界部に対する垂直方向の法線ベクトルに沿って示す。
【
図11】
図8に示された本発明の一実施形態の圧入境界部を、境界部の経路長と共に示す。
【
図12】1つの要素から形成した場合、または、例えば、上部と底部の少なくとも一部を取り付ける前の本発明の一実施形態を、分解図で示し、封止部の圧入部が、前縁部から、囲い部の左縁部および右縁部に延伸した状態であり、この実施形態は、封止部より前方に延伸する、上側めくり部および底側めくり部も示している。
【
図14】本発明の他の実施形態を示し、封止部の圧入部が、前縁部から囲い部の左縁部および右縁部の一部に延伸し、更に、上側および底側めくり部が、間に垂直方向の隙間を有して構成され、めくり部を把持し易くしている。
【発明を実施するための形態】
【0023】
ここで、一体となった防漏封止部を有する成形エラストマー容器を、記載する。以下の例示的記載では、本明細書中で記載する発明のより完全な理解のために、数々の具体的詳細を示す。しかしながら、本明細書に記載される発明の実施形態は、本明細書に記載された具体的詳細の全態様を組み入れることなく実施してもよいことが、当業者には、明らかであろう。他の場合において、開示を曖昧にしないために、当業者によく知られた具体的な態様は、記載していない。本開示を通して、革新的概念の例が示されるが、本発明を規定するのは、請求項、および、それらの任意の等価物の全範囲であることに留意して、本明細書は読まれるべきである。
【0024】
図1は、本発明の一実施形態を、容器の封止部が閉じられた状態で、斜視図で示している。いくつかの実施形態において、容器の材料は、シリコーン、若しくは、他のゴムまたはポリマーなどの、エラストマーを、含んでいてもよい。様々な実施形態では、他の材料が含まれていてもよい。容器の本体は、いくつかの実施形態では、硬く、他の実施形態では、可撓性であってもよい。シリコーンを含む実施形態は、耐熱性の利点があるので、例えば、そのような実施形態は、容器内の食料を加熱するために、オーブン内に置かれてもよい。いくつかの実施形態は、再利用されるように構成されてもよく、他の実施形態は、一回だけ使用されるように構成されてもよい。
【0025】
図1は、上側囲い部101および底側囲い部102を有する容器の実施形態を示している。上側囲い部101は、前縁部110、後縁部111、左縁部112、および、右縁部113を有する。示された実施形態において、1つの要素から形成されるか、または、複数の要素を用いて装置を形成する実施形態については、後縁部、左縁部、および、右縁部に沿った継ぎ目を介して連結された場合には、上側囲い部と底側囲い部とは、つながっている。前縁部は、永久的には連結されないが、閉じられて、前縁部から前方に延伸する封止部によって、閉じられた状態で保持される場合には、互いに接触する。上側および底側囲い部は、両方の囲い部の一体成形を用いて、若しくは、エラストマーの構成要素を互いに連結させる様々な他の方法によって、形成または連結されてもよい。いくつかの実施形態では、上側囲い部と底側囲い部の間の連結部が、隙間なく連続し、容器が液体を漏らすことなく保持しうることが好ましい。更に、封止部110などの封止部が厚くなると、容器を落とす可能性を最小限にして容器を保持する、接触感知領域を備えることになる。したがって、1つ以上の実施形態では、封止部110は、容器の少なくとも封止部を構成するのに使われた材料の静摩擦係数に基づいて、および、封止部の形状に基づいて、十分に厚い場合には、封止部は、望ましい中身を確実に保持するために、例えば、上方(
図1、12、14では、右側)から、容器を保持するための把手部として構成される。
【0026】
図2は、
図1の分解図であり、上側囲い部101と底側囲い部102とが、別に分かれて示されている。
図1に示されたように、上側囲い部101は、縁部110、111、112、113を有する。上側圧入部231が、上側囲い部101の前縁部110から、前方に延伸している。
図2において、底側囲い部102の縁部である、前縁部210、後縁部211、左縁部212、および、右縁部213も見えている。示された実施形態において、容器が閉じられた時には、底側囲い部の縁部210、211、212、213は、上側囲い部の縁部110、111、112、113と、各々接触する。他の実施形態においては、容器が閉じられても、上側囲い部の縁部と底側囲い部の縁部とは、完全には触れずに、開けるためのめくり部、若しくは、当業者なら分かるであろう、穴または取付け部を有する他の構造物を備えることを可能にしていてもよい。底側囲い部102の前縁部には、底側圧入部232が取り付けられている。示された実施形態において、圧入部は、囲い部の各片方の前縁部から前方に延伸している。他の実施形態において、これらの圧入部は、異なる方向に向いていてもよく、例えば、いくつかの実施形態では、圧入部は、上側および底側囲い部の前縁部から後方に延伸していてもよい。圧入部の特定の位置は、互いに係合して、容器を封止できる限りは、様々な位置であってもよい。いくつかの実施形態において、圧入部は、前縁部から、上側および底側囲い部の左縁部または右縁部の一部まで、延伸していてもよい。
【0027】
図2に示された実施形態において、上側囲い部101および底側囲い部102は、互いに連結された時に、容器に囲まれた内部容積部があるように、湾曲した形状を有する。いくつかの実施形態において、容器が空の場合でも、この容積部が存在するように、囲い部の材料および形状は、十分に硬くてもよい。他の実施形態において、材料および形状は、もっと可撓性で、容器が空の場合には、薄いビニール袋のように、上側囲い部と底側囲い部とが互いに押し潰されてもよい。
【0028】
図3は、
図1および2に示された実施形態の側面図であり、上側囲い部101と底側囲い部102とが、別に分かれて示されている。この側面図は、上側圧入部231および底側圧入部232が、成形されて、次に、嵌合するように向けられて、容器に封止部を備えることを、よりはっきりと示している。本実施形態において、底側圧入部232は、上方に延伸して、上側圧入部231の対応する凹部に嵌入する、三角形の最上部を有する突出部を有する。他の実施形態では、上側および底側圧入部について、異なる形状を採用してもよい。
【0029】
図4は、
図3の説明付き図を示す。本実施形態で、前後方向の軸に沿って延びる中心水平面401は、上側囲い部101と底側囲い部102とが、それに沿って連結される平面である。本実施形態において、上側囲い部101の縁部は、平面401上に位置し、底側囲い部102の縁部も、同じである。他の実施形態において、異なる形状が用いられてもよく、縁部が、全て共通平面上にある必要はない。本実施形態では、上側圧入部231の一部は、平面401の下方に延伸し、本実施形態では、底側圧入部232の一部は、平面401の上方に延伸している。他の実施形態において、1つ以上の圧入部が、完全に、中心水平面の片側にあってもよい。
図4は、上側囲い部101が、水平面401の上方に、囲まれた容積部の高さ402を有し、底側囲い部102が、水平面401の下方に、囲まれた容積部の高さ403を有することも示している。本実施形態において、上側囲い部と底側囲い部とは、中心水平面を挟んで、互いに略鏡像になっている。他の実施形態は、他の形状を採用してもよく、鏡像ではない形状、または、共通の水平面に平坦な縁部を有しない形状を含む。異なる実施形態では、容器が閉じられた時に、容器によって囲まれる容積部について、様々な大きさおよび形状を有していてもよい。
【0030】
図5は、
図4に示された実施形態の上側圧入部231および底側圧入部232の拡大側面図を示している。閉じられて、封止された場合には、圧入部は、共通境界部501で接触し合う。示された実施形態において、底側圧入部は、中心垂直突出部を有し、突出部の両側に溝部を有している。上側圧入部は、突出部を受け入れる、対応する凹部を有すると共に、下側に延伸して底側圧入部の溝部に嵌入する突出部を有している。圧入部の材料の厚さは、封止部の強度に寄与する重要な要因である。
図5に示された実施形態において、圧入部の端から端まで、厚さが変化している。例えば、圧入部の後縁部の近くでは、底側圧入部は、厚さ504を有し、上側圧入部は、厚さ502を有する。底側突出部の中心において、底側圧入部は、厚さ505を有し、上側圧入部は、厚さ503を有する。共通境界部501の端から端までの、上側および底側圧入部の平均材料厚さは、1つ以上の実施形態においては、少なくとも0.25cmであり、他の実施形態においては、0.5cmまでの任意の値であり、他の実施形態においては、0.5cmと0.75cmの間の任意の値であり、他の実施形態においては、1.0cmである。これらの範囲、または、範囲を超えた材料厚さは、囲い部が閉じられて、封止された時に、防漏封止部の形成に寄与しうる。例えば、圧入部が、約0.8cmの平均厚さを有する一実施形態において、封止部に水による圧力が加えられるように、容器を逆さまに(前部を下側に向けて)保持しても、1から2カップの水を漏らさずに入れるのに十分な封止部であることが、実験で示された。
【0031】
いくつかの実施形態では、圧入部の形状および寸法も、封止部の防漏性に大きく寄与するかもしれない。
図6は、
図5に示された実施形態の底側圧入部232を、詳細に示している。本実施形態において、垂直突出部601が、底側圧入部から上方に延伸し、窪み部606、607が、この垂直突出部の両側にある。他の実施形態では、異なる数および形状の突出部および窪み部を有していてもよく、容器の封止部が閉じられた時に嵌合する雄型部および雌型部として、構成されている。突出部601などの主要垂直突出部は、
図6に示されているように、底側圧入部上ではなく、いくつかの実施形態では、上側圧入部上に位置していてもよい。図示のように、垂直突出部は、対称であるが、所定の利用において望ましい防漏性を有するように封止部が形成される限りは、任意の非対称形状も用いてもよい。
【0032】
図6に示された実施形態において、垂直突出部601は、垂直突出部から水平方向に外側に向かって延伸する2つの水平隆起部602、603を有する。これらの隆起部は、三角形の傾斜した上面を有し、上側圧入部の対応する窪み部へ容易に挿入できるようにしている。更に、平坦な水平下面も有し、突出部が、一旦、上側窪み部に挿入され際には、開け難くしている。他の実施形態では、1つだけの水平隆起部を有するか、または、2つより多い数の水平隆起部を有する、垂直突出部を有していてもよい。いくつかの実施形態において、垂直突出部は、水平隆起部を全く有さないでもよく、圧入部の形状または材料の他の特徴が、十分な封止力を与えてもよい。
【0033】
図6に示された実施形態では、垂直突出部601が、中心水平面401の上方に延伸し、窪み部606、607が、中心水平面401の下方に延伸している。このような圧入部の構成要素の配列は、封止部を、上側および底側囲い部に対して、中心寄りにする効果がある。そのような設計は、圧入部の材料が比較的厚い実施形態について、大きな利点があり、そのような設計でないと、封止部が、上側または底側囲い部の外面より非常に上方または下方まで潜在的に延伸しうるからである。これと比べて、非常に薄いビニール袋は、袋の片側の上方に、全て延伸する突出部を含む封止部を有して、袋のその片側の下方には、対応する窪み部がなくてもよい。そのような設計は、封止部が非常に薄い場合には、受け入れうるかもしれないが、そのような封止部は、もっと厚い材料の封止部と同じ程度には、漏れを防がないかもしれない。
【0034】
図6の垂直突出部601は、窪み部606、607の上方に、垂直方向の高さ604を有し、水平隆起部602は、幅(後側から前側まで測定された)605を有する。本発明の1つ以上の実施形態において、1つ以上の垂直突出部は、例えば、少なくとも0.2cmの高さ604を有し、それは、例えば、上側および底側圧入部の全厚さの80%、または、他の任意のパーセントであり、他の実施形態では、0.4cmと0.6cmの間の任意の値であり、他の実施形態では、0.8cmである。他の実施形態において、垂直突出部から延伸する1つ以上の水平隆起部は、少なくとも0.1cmの幅605、または、0.2cm以上など、0.1cmより大きな任意の値を含む、任意の他の幅を有する。これらの例示的な値などの寸法は、封止力の向上に寄与し、容器を、漏れを防ぐものにする。いくつかの実施形態では、個々の垂直突出部および水平隆起部は、これらの例示的寸法より小さくても、合わせて十分な封止力を提供する、複数の垂直突出部、または、複数の水平隆起部を有していてもよい。1つ以上の実施形態において、封止部の幅は異なり、もっと高いか、もっと低い防漏性能を有していてもよい。
【0035】
図7は、本発明の一実施形態の上面図であり、上側囲い部101が示されている。本実施形態において、前縁部110の長さ701は、後縁部111の長さ702より長い。したがって、上側囲い部101の縁部は、矩形ではなく、むしろ略台形を形成している。そのような実施形態は、前縁部110に沿った開口部が、もっと大きくなるので、もっと容易に、品物を容器の開口部内に置いたり、品物を容器から取り出したりできるという潜在的な利点を提供しうる。封止部が、もっと大きく、もっと厚くなると、左縁部および右縁部において、開口が狭くなる傾向があるかもしれないので、そのような設計は、封止部が、もっと大きく、もっと厚い場合に、特に有益かもしれない。
【0036】
図8は、本発明の他の実施形態の上側および底側圧入部の拡大側面図を示している。本実施形態において、底側圧入部232は、垂直突出部601と、垂直突出部の両側に窪み部606、607とを有する。この基本的構造は、
図6に示された実施形態の構造と同様である。しかしながら、
図8の実施形態では、後側の垂直窪み部607は、中心水平面401から下方に深さ801を有し、その深さ801は、前側の垂直窪み部606の深さ802より深い。この非対称性は、より深い窪み部を後側に維持して、容器内部から封止部を押す圧力に耐えながら、封止部を前側から開け始めるのに必要な力を軽減という潜在的な利点を提供しうる。したがって、ユーザが容器を開けるのに必要な力に対する、この防漏性の影響を軽減しながら、封止部の防漏性に寄与する。他の実施形態では、異なる配列および寸法の窪み部および突出部を有する非対称形状を備えて、開ける力を軽減しながら、強力な封止部であるという、同じ目的を達成してもよい。
【0037】
本発明の実施形態は、多方向の力に耐える、上側圧入部および底側圧入部の向い合った表面を、提供する。これらの多方向で向い合った表面は、封止部の強度、および、封止部の防漏性に寄与する。1つ以上の実施形態において、上側圧入部と底側圧入部の間には、反対方向の力が、上向き、下向き、前向き、および、後向き(側面図から見た場合)の4つの各方向に存在する。いくつかの実施形態において、反対方向の力の向きは、前縁部に垂直な平面の4つの象限の全てに存在するが、厳密に、垂直軸および水平軸に沿っていなくてもよい。実際の力のベクトル和は、垂直方向および水平方向の正負の要素を含むので、そのような実施形態は、効果的に、4つの全方向に反対方向の力を与える。
【0038】
1つ以上の実施形態において、共通境界部の多数の区分は、各方向の力に対する抵抗を与える。多数の区分が、様々な方向に抵抗力を与えるので、封止部の強度が、更に高められるかもしれない。
【0039】
上側圧入部と底側圧入部の間の反対方向の力の向きが、上側圧入部と底側圧入部の間の共通の圧入境界部に対する法線ベクトルとして示される。
図8に示された本発明の一実施形態について、
図9は、この境界部901を示している。
図9において、この境界部について、いくつかの水平方向の法線ベクトルが示されている。法線ベクトル902、903、904、905は、水平方向に前方に向いている。法線ベクトル906、907、908は、水平方向に後方に向いている。本実施形態において、水平方向で前向きの法線ベクトルが、少なくとも4つ、各々、境界部の異なる区分上にあり、水平方向で後向きの法線ベクトルが、少なくとも3つ、各々、境界部の異なる区分上にある。
【0040】
図9に示された実施形態について、
図10は、垂直方向の法線ベクトルを示している。本実施形態において、法線ベクトル1001、1002、1003は、垂直方向に上方に向き、法線ベクトル1004、1005、1006、1007は、垂直方向に下方に向いている。したがって、本実施形態において、垂直方向に上向きの法線ベクトルが、少なくとも3つ、各々、境界部の異なる区分上にあり、垂直方向に下向きの法線ベクトルが、少なくとも4つ、各々、境界部の異なる区分上にある。
【0041】
図9および10は、本発明の例示的な実施形態を示し、境界部の少なくとも3つの異なる区分が、各々、前向き、後向き、上向き、および、下向きの法線ベクトルを有する。示された実施形態は、多数回、方向を変える屈曲した境界部を有し、各方向に力を与えている。本発明の他の実施形態では、4つの各向きの法線ベクトルについて、単一の区分のみを備えるか、4つの各向きに、3つより多くの区分を備えていてもよい。いくつかの実施形態では、水平方向の力に法線ベクトルを与える区分の数が、もっと多くて、水平方向の圧力に対する封止部の抵抗を高めてもよい。本発明の異なる実施形態では、本実施形態についての容器を利用する際に予期される力に最適な境界経路形状を、採用してもよい。様々な実施形態では、境界部の区分は、利用に適するように、平坦、尖った、湾曲した、区分に分かれた、または、それらの任意の組合せであってもよい。
【0042】
本発明の1つ以上の実施形態は、部分的には、上側圧入部と底側圧入部の間の境界部について屈曲経路を用いることによって、漏れを防いでいる。封止部が閉じられた場合に、封止部の隙間を通って流れる液体は、この屈曲経路を全て通り抜けなければならない。したがって、経路が、長く、曲がりくねったものとなるほど、封止部の防漏性が高められる。異なる実施形態では、そのような屈曲経路について、様々な形状が採用されてもよい。
図8に示された実施形態について、
図11は、境界経路を示している。
図11には、境界部の異なる区分の相対的長さが示され、例えば、最も左側の水平な区分の長さ1102は、1.0である。(互いの相対的長さが示されているにすぎず、特定の単位で示されていない)。示された実施形態において、屈曲した境界部経路の全長1103は、17.5である。経路の始点から終点までの水平方向の距離1101は、7.0である。したがって、経路長は、水平方向の距離の約2.5倍である。この水平方向の距離に対する経路長の比は、封止力および防漏性に寄与するものである、境界経路が屈曲して方向を変える程度を、定量化するものである。
図11に示された実施形態など、本発明のいくつかの実施形態は、経路の始点と終点の間の水平方向の距離の少なくとも2倍の境界経路長を有する。
【0043】
本発明のいくつかの実施形態は、多くの技術を利用して、封止部の防漏性を高めている。例えば、
図8に示された実施形態では、上向き、下向き、後向き、および、前向きの、4つの各向きに3つ以上の法線ベクトルを有すると共に、水平方向の距離の2倍より長い屈曲した境界部経路を備えている。いくつかの実施形態では、そのような技術が、厚い平均材料厚さ、若しくは、圧入部について、他の寸法または材料を変えることと組み合わされて、更に、防漏性を高めてもよい。
【0044】
本発明の1つ以上の実施形態において、封止部の圧入部は、上側および底側囲い部の、左縁部、右縁部、または、それらの両方の一部まで、延伸していてもよい。
図12は、圧入部が、前縁部に沿って位置すると共に、左縁部および右縁部の前側部分にも沿って位置する実施形態を示している。
図12は、上側囲い部101および底側囲い部102の分解図を示している。本実施形態において、上側圧入部231は、左側面112に近接した部分1201、および、右側面113に近接した部分1202を有する。同様に、底側圧入部232は、左側面212に近接した部分1203、および、右側面213に近接した部分1204を有する。示された実施形態では、圧入部が、前縁部と左縁部の間、および、前縁部と右縁部の間の角部で、湾曲している。他の実施形態では、圧入部は、角部で直角を形成するか、前縁部から、左縁部および右縁部に延伸する任意の湾曲した、または、多角形の形状を形成してもよい。実施形態は、角部について、円形、卵形、楕円形、または、任意の他の形状であってもよい、湾曲した形状を採用してもよい。実施形態は、角部について、矩形であってもよい、多角形の形状を採用するか、区分間の角度が任意の角度である多数の区分を採用してもよい。いくつかの実施形態では、圧入部は、左縁部または右縁部の1つだけに延伸していてもよい。圧入部が左縁部および右縁部に延伸する実施形態で実現しうる潜在的な利点は、容器の開口部を広くして、物の出し入れを簡単にするかもしれないということである。
【0045】
本発明の1つ以上の実施形態において、容器は、開口部に近接した、上側めくり部、底側めくり部、または、それらの両方を有していてもよい。これらのめくり部は、例えば、容器を開閉する時に、容器の縁部を把持するために使用されてもよい。
図12は、上側めくり部1210および底側めくり部1211を有する、本発明の一実施形態を示している。いくつかの実施形態では、上側めくり部と底側めくり部の両方がある場合に、それらの形状および大きさは、異なっていてもよい。このことが、上側めくり部1210が、上側前縁部の略中央1/3の部分から延伸する円弧を形成し、一方、底側めくり部1211が、全底側前縁部に沿って延伸している、
図12に示されている。
図13は、
図12に示された実施形態の前側の拡大図を、閉じられた状態で示している。
図13に示されたように、本実施形態では、底側めくり部1211が、上側めくり部1210より、更に前方に延伸している。異なる大きさのめくり部を採用する実施形態は、ユーザが、めくり部の1つを把持して、容易に開け始められるようにすることによって、開けるのを簡単にするかもしれない。異なる実施形態では、上側および底側めくり部が同じ形状である対称の設計、並びに、
図13に示されたような非対称の設計を含む、異なる大きさ、および、形状のめくり部を使用してもよい。
【0046】
図14は、上側めくり部と底側めくり部の間の垂直方向の隙間を有する、本発明の一実施形態を示し、開けるために、めくり部を容易に把持することができる。本実施形態では、上側めくり部1210は、底側めくり部1211から、距離1401だけ、垂直方向にずれた湾曲形状を有する。この形状は、ユーザが、めくり部の間の空間に、もっと容易に指を挿入できるようにするかもしれない。本実施形態では、底側めくり部1211は、容器の前縁部と平行に延びる一連の隆起部を有する。
図14に示された実施形態では、圧入部は、前縁部に沿って位置すると共に、左縁部および右縁部の前側部分にも沿って位置している。上側圧入部231は、左側面112に近接した部分1201、および、右側面113に近接した部分1202を有する。同様に、底側圧入部は、左縁部および右縁部に延伸している。本実施形態において、圧入部は、前縁部と左縁部の間、および、前縁部と右縁部の間の角部で湾曲している。
【0047】
本明細書で開示する発明を、特定の実施形態および応用例を用いて記載したが、当業者には、請求項に記載の本発明の範囲を逸脱することなく、数々の変更および変形が可能であろう。
【符号の説明】
【0048】
101 上側囲い部
102 底側囲い部
110,210 前端部
111,211 後端部
112、212 左縁部
113、213 右縁部
231 上側圧入部
232 底側圧入部
601 垂直突出部
606、607 窪み部
1210 上側めくり部
1211 底側めくり部