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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022130689
(43)【公開日】2022-09-06
(54)【発明の名称】SGC刺激剤の固体形態
(51)【国際特許分類】
   C07D 413/14 20060101AFI20220830BHJP
   A61K 31/506 20060101ALI20220830BHJP
   A61P 9/12 20060101ALI20220830BHJP
   A61P 9/00 20060101ALI20220830BHJP
   A61P 3/10 20060101ALI20220830BHJP
   A61P 13/12 20060101ALI20220830BHJP
   A61P 9/04 20060101ALI20220830BHJP
   A61P 9/06 20060101ALI20220830BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20220830BHJP
   A61P 21/00 20060101ALI20220830BHJP
   A61P 25/28 20060101ALI20220830BHJP
   A61P 25/16 20060101ALI20220830BHJP
   A61P 17/02 20060101ALI20220830BHJP
   A61P 9/10 20060101ALI20220830BHJP
   A61P 3/04 20060101ALI20220830BHJP
   A61P 1/16 20060101ALI20220830BHJP
   A61P 3/06 20060101ALI20220830BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20220830BHJP
   A61P 31/12 20060101ALI20220830BHJP
   A61P 37/06 20060101ALI20220830BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20220830BHJP
【FI】
C07D413/14
A61K31/506
A61P9/12
A61P9/00
A61P3/10
A61P13/12
A61P9/04
A61P9/06
A61P35/00
A61P21/00
A61P25/28
A61P25/16
A61P17/02
A61P9/10
A61P3/04
A61P1/16
A61P3/06
A61P29/00
A61P29/00 101
A61P31/12
A61P37/06
A61P43/00 111
【審査請求】有
【請求項の数】18
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022107994
(22)【出願日】2022-07-04
(62)【分割の表示】P 2019500453の分割
【原出願日】2017-07-06
(31)【優先権主張番号】62/359,466
(32)【優先日】2016-07-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】519163876
【氏名又は名称】サイクレリオン・セラピューティクス,インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100122644
【弁理士】
【氏名又は名称】寺地 拓己
(72)【発明者】
【氏名】セスラマン,バス
(72)【発明者】
【氏名】ハシャシュ,アフマド
(72)【発明者】
【氏名】シュー,ソン
(72)【発明者】
【氏名】リビングストン,ロバート・シー
(72)【発明者】
【氏名】ンティ-アデー,クワミ・ウィレドゥ
(57)【要約】      (修正有)
【課題】可溶性グアニル酸シクラーゼ(sGC)の刺激剤の固体形態を提供する。
【解決手段】7.4、18.8~19.3、21.1、24.8および25.5の°2θから選択される、XRPDスペクトル中の1つまたは複数のピークにより特徴付けられる、下記化合物Iの結晶性遊離形態である形態Eを提供する。

【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
【化1】
の結晶性固体形態。
【請求項2】
形態A、形態B、形態D、形態E、形態F、形態Hまたは形態Gから選択される結晶性遊離形態である、請求項1に記載の結晶性固体形態。
【請求項3】
塩酸塩である、請求項1に記載の結晶性固体形態。
【請求項4】
7.4、18.8~19.3、21.1、24.8および25.5の°2θから選択される、XRPDスペクトル中の1つまたは複数のピークにより特徴付けられる、請求項2に記載の化合物Iの結晶性遊離形態である形態E。
【請求項5】
7.4、13.9、15.1、16.3、17.6、18.8~19.3、21.1、22.3~22.5、24.8、25.5および27.1の°2θから選択される、XRPDスペクトル中の1つまたは複数のピークにより特徴付けられる、請求項4に記載の化合物Iの結晶性遊離形態である形態E。
【請求項6】
図2または図6に示されるものと実質的に同様のXRPDスペクトルにより特徴付けられる、請求項2に記載の化合物Iの結晶性遊離形態である形態E。
【請求項7】
図10に示されるものと実質的に同様のFT-ラマンスペクトルにより特徴付けられる、請求項2に記載の化合物Iの結晶性遊離形態である形態E。
【請求項8】
1690cm-1においてピーク最大値を示すIRスペクトルにより特徴付けられる、請求項2に記載の化合物Iの結晶性遊離形態である形態E。
【請求項9】
1515cm-1においてピーク最大値を示すIRスペクトルにより特徴付けられる、請求項2に記載の化合物Iの結晶性遊離形態である形態E。
【請求項10】
1690および1515cm-1においてバンド極大を示すIRスペクトルにより特徴付けられる、請求項2に記載の化合物Iの結晶性遊離形態である形態E。
【請求項11】
6.0、18.3、19.3、20.2および22.0の°2θから選択される、XRPDスペクトル中の1つまたは複数のピークにより特徴付けられる、請求項2に記載の化合物Iの結晶性遊離形態である形態A。
【請求項12】
6.0、8.5、9.5、12.4~12.9、13.4、17.1、18.3、19.3、20.2、22.0、30.1および34.1の°2θから選択される、XRPDスペクトル中の1つまたは複数のピークにより特徴付けられる、請求項11に記載の化合物Iの結晶性遊離形態である形態A。
【請求項13】
6.0、6.7、8.5、9.5、10.9、12.4~12.9、13.4、16.2、17.1、18.3、19.3、20.2、22.0、23.0、24.1~24.8、25.8、30.1および34.1の°2θから選択される、XRPDスペクトル中の1つまたは複数のピークにより特徴付けられる、請求項12に記載の化合物Iの結晶性遊離形態である形態A。
【請求項14】
図2または図3Aに示されるものと実質的に同様のXRPDスペクトルにより特徴付けられる、請求項2に記載の化合物Iの結晶性遊離形態である形態A。
【請求項15】
6.1(80.81%の相対強度)、9.6(40.35%)、12.6(41.26%)、13.6(43.19%)、18.4(53.57%)、19.4(100.00%)、20.3(57.01%)および22.0(56.64)の°2θから選択される、XRPDスペクトル中の1つまたは複数のピークにより特徴付けられる、請求項2に記載の化合物Iの結晶性遊離形態である形態A。
【請求項16】
図3Cに示されるものと実質的に同様のXRPDスペクトルにより特徴付けられる、請求項2に記載の化合物Iの結晶性遊離形態である形態A。
【請求項17】
図10に示されるものと実質的に同様のFT-ラマンスペクトルにより特徴付けられる、請求項2に記載の化合物Iの結晶性遊離形態である形態A。
【請求項18】
1730cm-1においてバンド極大を示すIRスペクトルにより特徴付けられる、請求項2に記載の化合物Iの結晶性遊離形態である形態A。
【請求項19】
40℃および75%の相対湿度の安定性条件下で14か月間保管された時、本質的に変化しないXRPDトレースを示すことにより特徴付けられる、請求項2に記載の化合物Iの結晶性遊離形態である形態A。
【請求項20】
18.8の2θにおける、XRPDスペクトル中のピークにより特徴付けられる、請求項2に記載の化合物Iの結晶性遊離形態である形態D。
【請求項21】
17.1、18.1、18.8、および25.0の°2θから選択される、XRPDスペクトル中の1つまたは複数のピークにより特徴付けられる、請求項20に記載の化合物Iの結晶性遊離形態である形態D。
【請求項22】
8.8、17.1、18.1、18.8、および25.0の°2θから選択される、XRPDスペクトル中の1つまたは複数のピークにより特徴付けられる、請求項21に記載の化合物Iの結晶性遊離形態である形態D。
【請求項23】
図2または図5Aに示されるものと実質的に同様のXRPDスペクトルにより特徴付けられる、請求項2に記載の化合物Iの結晶性遊離形態である形態D。
【請求項24】
4.7(97.11%の相対強度)、8.3(64.04%)、18.1(80.97%)、18.6(100.00%)、および26.8(65.25)の°2θから選択される、XRPDスペクトル中の1つまたは複数のピークにより特徴付けられる、請求項2
に記載の化合物Iの結晶性遊離形態である形態D。
【請求項25】
図5Cに示されるものと実質的に同様のXRPDスペクトルにより特徴付けられる、請求項2に記載の化合物Iの結晶性遊離形態である形態D。
【請求項26】
図10に示されるものと実質的に同様のFT-ラマンスペクトルにより特徴付けられる、請求項2に記載の化合物Iの結晶性遊離形態である形態D。
【請求項27】
1665cm-1においてバンド極大を示すIRスペクトルにより特徴付けられる、請求項2に記載の化合物Iの結晶性遊離形態である形態D。
【請求項28】
1639cm-1においてバンド極大を示すIRスペクトルにより特徴付けられる、請求項2に記載の化合物Iの結晶性遊離形態である形態D。
【請求項29】
968cm-1においてバンド極大を示すIRスペクトルにより特徴付けられる、請求項2に記載の化合物Iの結晶性遊離形態である形態D。
【請求項30】
1665、1639および968cm-1においてバンド極大を示すIRスペクトルにより特徴付けられる、請求項2に記載の化合物Iの結晶性遊離形態である形態D。
【請求項31】
40℃および75%の相対湿度の安定性条件下で14か月間保管された時、本質的に変化しないXRPDトレースを示すことにより特徴付けられる、請求項2に記載の化合物Iの結晶性遊離形態である形態D。
【請求項32】
18.8~19.1の°2θにおける、XRPDスペクトル中の1つまたは複数のピークにより特徴付けられる、請求項2に記載の化合物Iの結晶性遊離形態である形態B。
【請求項33】
8.8、16.4、17.2、18.8~19.1、20.1、および21.1~21.6の°2θから選択される、XRPDスペクトル中の1つまたは複数のピークにより特徴付けられる、請求項32に記載の化合物Iの結晶性遊離形態である形態B。
【請求項34】
8.8、10.6、12.6~13.0、14.6、16.4、17.2、18.8~19.1、20.1、21.1~21.6、24.5、25.3、27.0~27.5、28.9、29.8および30.5の°2θから選択される、XRPDスペクトル中の1つまたは複数のピークにより特徴付けられる、請求項33に記載の化合物Iの結晶性遊離形態である形態B。
【請求項35】
図2または図4Aに示されるものと実質的に同様のXRPDスペクトルにより特徴付けられる、請求項2に記載の化合物Iの結晶性遊離形態である形態B。
【請求項36】
7.0(44.44%の相対強度)、8.9(76.55%)、17.4(57.67%)、19.1(100.00%)、20.3(49.78%)、21.8(36.16%)、および25.5(52.26)の°2θから選択される、XRPDスペクトル中の1つまたは複数のピークにより特徴付けられる、請求項2に記載の化合物Iの結晶性遊離形態である形態B。
【請求項37】
図4Cに示されるものと実質的に同様のXRPDスペクトルにより特徴付けられる、請求項2に記載の化合物Iの結晶性遊離形態である形態B。
【請求項38】
図10に示されるものと実質的に同様のFT-ラマンスペクトルにより特徴付けられる
、請求項2に記載の化合物Iの結晶性遊離形態である形態B。
【請求項39】
1200cm-1においてピーク最大値を示すIRスペクトルにより特徴付けられる、請求項2に記載の化合物Iの結晶性遊離形態である形態B。
【請求項40】
40℃および75%の相対湿度の安定性条件下で14か月間保管された時、本質的に変化しないXRPDトレースを示すことにより特徴付けられる、請求項2に記載の化合物Iの結晶性遊離形態である形態B。
【請求項41】
5.3(100.00%の相対強度)、8.6(58.80%)、16.4(62.95%)、および19.0(48.51%)の°2θから選択される、XRPDスペクトル中の1つまたは複数のピークにより特徴付けられる、請求項2に記載の化合物Iの結晶性遊離形態である形態F。
【請求項42】
図7に示されるものと実質的に同様のXRPDスペクトルにより特徴付けられる、請求項2に記載の化合物Iの結晶性遊離形態である形態F。
【請求項43】
10.7(55.47%の相対強度)、13.9(42.47%)、18.33(100.00%%)、および21.6(40.73%)の°2θから選択される、XRPDスペクトル中の1つまたは複数のピークにより特徴付けられる、請求項2に記載の化合物Iの結晶性遊離形態である形態G。
【請求項44】
図8に示されるものと実質的に同様のXRPDスペクトルにより特徴付けられる、請求項2に記載の化合物Iの結晶性遊離形態である形態G。
【請求項45】
5.77(89.22%の相対強度)、6.39(100.00%%)、9.1(84.17%)、および18.5(67.04%)の°2θから選択される、XRPDスペクトル中の1つまたは複数のピークにより特徴付けられる、請求項2に記載の化合物Iの結晶性遊離形態である形態H。
【請求項46】
5.77(89.22%の相対強度)、6.39(100.00%%)、9.1(84.17%)、18.5(67.04%)、および18.83(67.04%)の°2θから選択される、XRPDスペクトル中の1つまたは複数のピークにより特徴付けられる、請求項2に記載の化合物Iの結晶性遊離形態である形態H。
【請求項47】
図9に示されるものと実質的に同様のXRPDスペクトルにより特徴付けられる、請求項2に記載の化合物Iの結晶性遊離形態である形態H。
【請求項48】
256℃の融点により特徴付けられる、請求項3に記載の塩酸塩。
【請求項49】
pH1.4における0.5mg/mLの水溶解度により特徴付けられる、請求項3に記載の塩酸塩。
【請求項50】
図11に示されるものと実質的に同様のXRPDパターンにより特徴付けられる、請求項3に記載の塩酸塩。
【請求項51】
化合物Iの結晶性遊離形態である形態Eを調製する方法であって、
a.粗製の化合物Iを、最低で60℃でMeOHに溶解して、溶液を得るステップと、
b.溶液を濾過し、最低で60℃で濾液を加熱するステップと;
c.濾液に水を添加して水溶液を形成し、水溶液を室温(rt)に冷却するステップと

d.水溶液を濾過し、濾液を真空下で乾燥するステップと
を含む方法。
【請求項52】
化合物Iの結晶性遊離形態である形態Aを調製する方法であって、
a.結晶性遊離形態である形態Eを、最低で70℃で酢酸エチルに溶解して、溶液を得るステップと、
b.溶液を濾過し、得られた濾液を20~25℃で16時間にわたり撹拌して、スラリーを形成するステップと、
c.スラリーを、真空下で濃縮し、濾過し、乾燥するステップと
を含む方法。
【請求項53】
化合物Iの結晶性遊離形態である形態Aを調製する方法であって、
a.粗製の化合物Iを、最低で70℃で酢酸エチルに溶解して、溶液を得るステップと、
b.溶液を濾過し、得られた濾液を20~25℃で16時間にわたり撹拌して、スラリーを形成するステップと、
c.スラリーを、真空下で濃縮し、濾過し、乾燥するステップと
を含む方法。
【請求項54】
化合物Iの結晶性遊離形態である形態Aを調製する方法であって、
a.DMSO中の粗製の化合物Iを、最低で60℃で加熱して、溶液を形成ステップと、
b.水を添加して、スラリーを形成するステップと、
c.スラリーを濾過して、結晶性遊離形態である形態Aを単離するステップと
を含む方法。
【請求項55】
化合物Iの結晶性遊離形態である形態Aを調製する方法であって、
a.粗製の化合物Iを、ヘプタン、IPAC、エタノール、酢酸エチル、もしくはデカンまたはこれらの混合物から選択される溶媒中でスラリー化するステップと、
b.14~30時間、rtで撹拌するステップと、
c.スラリーを濾過し、真空下で乾燥するステップと
を含む方法。
【請求項56】
化合物Iの結晶性遊離形態である形態Dを調製する方法であって、
a.結晶性遊離形態である形態Eを、n-デカンと145~155℃で混合して、スラリーを得るステップと、
b.スラリーを、20~30℃まで1時間にわたり冷却するステップと、
c.スラリーを濾過し、真空下で乾燥するステップと
を含む方法。
【請求項57】
化合物Iの結晶性遊離形態である形態Dを調製する方法であって、結晶性遊離形態である形態F、形態B、形態E、形態G、もしくは形態Hのいずれか1つ、またはこれらの混合物を、他物質を含まず、180℃で加熱するステップを含む方法。
【請求項58】
化合物Iの結晶性遊離形態である形態Bを調製する方法であって、
a.粗製の化合物Iを、アセトニトリルと混合して、溶液を形成するステップと、
b.溶液を濾過し、濾液を形成して、濾液を70~75℃で加熱するステップと、
c.加熱された濾液に水を添加するステップと、
d.52~62℃に冷却して、スラリーを形成するステップと、
e.スラリーを、0~5℃まで少なくとも4時間さらに冷却するステップと、
f.冷却されたスラリーを濾過し、得られた濾液を真空下で乾燥するステップと
を含む方法。
【請求項59】
化合物Iの結晶性遊離形態である形態Fを調製する方法であって、形態Aを、他物質を含まず、160℃で加熱するステップを含む方法。
【請求項60】
化合物Iの結晶性遊離形態である形態Gを調製する方法であって、
a.アセトン中の粗製の化合物Iを、室温で約2時間混合して、スラリーを形成するステップと、
b.スラリーを濾過し、真空下で乾燥するステップと
を含む方法。
【請求項61】
化合物Iの結晶性遊離形態である形態Gを調製する方法であって、
a.アセトン中の形態Hを、室温で約2時間撹拌して、スラリーを形成するステップと;
b.スラリーを濾過し、真空下で乾燥するステップと
を含む方法。
【請求項62】
化合物Iの結晶性遊離形態である形態Hを調製する方法であって、
a.粗製の化合物Iを、アセトンと45~50℃で混合して、溶液を得るステップと、
b.濾過し、冷却して、スラリーを形成するステップと、
c.スラリーを撹拌し、濾過し、真空下で乾燥するステップと
を含む方法。
【請求項63】
請求項2に記載の化合物のI結晶性遊離形態または請求項3に記載の塩酸塩、および少なくとも1つの薬学的に許容される賦形剤または担体を含む医薬組成物。
【請求項64】
請求項1、2または3のいずれか一項に記載の化合物Iの結晶性固体形態を含む医薬剤形。
【請求項65】
処置を必要とする対象における疾患、健康状態または障害を処置する方法であって、治療有効量の、請求項1~50のいずれか一項に記載の化合物Iの結晶性固体形態、または請求項63に記載の医薬組成物、または請求項64に記載の医薬剤形を、処置を必要とする対象に投与することを含み、疾患、健康状態または障害が:
・高血圧症および減少した冠血流に関連する障害;増加した急性および慢性の冠血圧;動脈性高血圧;心臓および腎臓の合併症に起因する血管障害;心臓疾患、脳卒中、大脳虚血または腎不全に起因する血管障害;抵抗性高血圧;糖尿病性高血圧;本態性高血圧;二次性高血圧;妊娠性高血圧;子癇前症;門脈圧亢進症;心筋梗塞;
・心不全、HFPEF、HFREF;急性および慢性のHF;より特異的な形態のHF:急性非代償性HF、右室不全、左室不全、総HF、虚血性心筋症、拡張型心筋症、先天性心欠損、心臓弁奇形を有するHF、僧帽弁狭窄、僧帽弁閉鎖不全、大動脈弁狭窄、大動脈弁閉鎖不全、三尖弁狭窄、三尖弁閉鎖不全、肺動脈弁狭窄、肺動脈弁閉鎖不全、複合心臓弁奇形;糖尿病性心不全;アルコール性心筋症または保管肥大型心筋症;拡張期HF、収縮期HF;急性期の既存の慢性HF(悪化HF);拡張期または収縮期の機能障害;冠機能不全;不整脈;心室前負荷の減少;心肥大;心不全/心腎症候群;門脈圧亢進症;内皮機能障害または傷害;心房および心室調律の妨害および伝導妨害:段階I~III(AVB I~III)の房室ブロック、上室性頻脈性不整脈、心房細動、心房粗動、心室細動、心室粗動、心室性頻脈性不整脈、多形性心室頻拍症、心房および心室性の期外収縮、AV接合部期外収縮、洞不全症候群、失神、AV結節リエントリー性頻拍;ウォルフ・パ
ーキンソン・ホワイト症候群または急性冠症候群;ボクサー心筋症;心室性期外収縮;心筋症;がん誘発性心筋症;化学療法誘発性心毒性;
・血栓塞栓性障害および虚血;心筋虚血;梗塞;心筋梗塞;心臓発作;心筋機能不全;内皮機能障害;脳卒中;一過性脳虚血発作(TIA);閉塞性血栓性血管炎;安定または不安定な狭心症;冠攣縮または末梢動脈の攣縮;異型狭心症;プリンツメタル狭心症;心肥大;子癇前症;血栓形成性障害;虚血-再灌流傷害;臓器移植に関連する虚血-再灌流;肺移植(lung transplant)、肺移植(pulmonary transplant)、心臓移植、静脈グラフト不全症;外傷患者における保存血液置換(conserving blood substituent)に関連する虚血-再灌流;
・末梢血管疾患;末梢動脈疾患;末梢動脈閉塞性疾患;筋緊張亢進;レイノー症候群または現象(原発性および二次性);レイノー病;重症下肢虚血;末梢塞栓症;間欠性跛行;血管閉塞性クリーゼ;筋ジストロフィー、デュシェンヌ型筋ジストロフィー、ベッカー型筋ジストロフィー;微小循環異常;血管漏出または浸透性の制御;腰部脊柱管狭窄;閉塞性血栓性血管炎;血栓性血管炎;末梢灌流妨害;動脈および静脈の血栓症;微量アルブミン尿;末梢性および自律神経ニューロパチー;糖尿病性神経障害疼痛;糖尿病性細小血管症;肝臓血管閉塞性障害;鎌状赤血球症における血管閉塞性クリーゼ;高血圧クリーゼ;
・浮腫;心不全が原因の腎性浮腫;
・アルツハイマー病;パーキンソン病;血管性認知症;血管性認知障害;脳血管攣縮;先天性筋無力症症候群;くも膜下出血;外傷性脳損傷;外傷性脳損傷;軽度認知障害に起きるもの、加齢性の学習および記憶の障害、加齢性の記憶喪失、血管性認知症、頭部損傷、脳卒中、脳卒中後の認知症、外傷性頭部損傷後、集中の一般的妨害ならびに学習および記憶の問題を伴う小児における集中の妨害などの、認知障害後の知覚、集中能力、学習または記憶の履行の能力の改善;レビー小体型認知症;ピック症候群を含む前頭葉変性を伴う認知症;進行性核上性麻痺;皮質基底核変性を伴う認知症;筋萎縮性側索硬化症(ALS);ハンチントン病;脱髄;多発性硬化症;視床変性;クロイツフェルト・ヤコブ認知症;HIV認知症;認知症またはコルサコフ精神病を伴う統合失調症;多系統萎縮症および他の形態のパーキンソニズムプラス;運動障害;神経保護;不安、緊張および抑うつまたは外傷後ストレス障害(PTSD);双極性障害;統合失調症;CNS関連の性機能障害および睡眠障害;病理学的摂食障害ならびに高級食糧および依存性薬物の使用;制御性脳灌流;片頭痛;脳梗塞(脳卒中(apoplexia cerebri))の予防および結果の制御;脳卒中、大脳虚血および頭部損傷の予防および結果の制御;CNS疾患に関連するニューロパチー;MSに関連する神経障害性疼痛;化学療法誘発性の神経障害性疼痛;帯状疱疹に関連する神経障害性疼痛;脊椎外科手術に関連する神経障害性疼痛;
・ショック;心原性ショック;敗血症;敗血症性ショック;アナフィラキシーショック;動脈瘤;白血球活性化の制御;血小板凝集の抑制または調節;多臓器機能障害症候群(MODS);多臓器不全(MOF);
・肺性/呼吸状態:肺高血圧(PH);肺動脈性高血圧(PAH)、および関連する肺血管性再構築;局在性血栓症および右心肥大の形態における血管性再構築;肺性筋緊張亢進;原発性肺高血圧;二次性肺高血圧;家族性肺高血圧;孤発性肺高血圧;前毛細血管肺高血圧;特発性肺高血圧;他の形態のPH;左室疾患、HIV、SCD、血栓塞栓症(CTEPH)、サルコイドーシス、COPD、肺線維症、急性呼吸促迫症候群(ARDS)、急性肺傷害、α1アンチトリプシン欠損症(AATD)、肺気腫、喫煙誘発性の気腫および嚢胞性線維症(CF)に関連するPH;血栓性肺動脈症;多因性肺動脈症;嚢胞性線維症;気管支収縮または肺性気管支収縮;急性呼吸器症候群;肺線維症、肺移植;喘息性疾患;
・左室機能障害、低酸素血症、WHO群I、II、III、IVおよびVの高血圧、僧帽弁疾患、収縮性心膜炎、大動脈弁狭窄、心筋症、縦隔線維症、肺線維症、肺静脈還流異常、肺静脈閉塞症、肺性血管炎、膠原病性血管疾患、先天性心疾患、肺静脈圧上昇、間質性肺疾患、睡眠呼吸障害、睡眠時無呼吸、肺胞低換気障害、高高度への慢性曝露、新生児
肺疾患、肺胞毛細血管異形成、鎌状赤血球症、他の血液凝固障害、慢性血栓塞栓症、肺塞栓症に関連するかまたは関する肺高血圧;腫瘍、寄生虫または異物が原因の肺塞栓症;結合組織疾患、ループス、ループス腎炎、住血吸虫症、サルコイドーシス、慢性閉塞性肺疾患、喘息、気腫、慢性気管支炎、肺毛細血管腫症、組織球症X、リンパ管腫症、圧縮肺血管(compressed pulmonary vessels);腺症、腫瘍または線維化性縦隔炎が原因の圧縮肺血管;
・動脈硬化性疾患または状態:アテローム性動脈硬化症;内皮傷害、血小板および単球の接着および凝集、平滑筋の増殖または遊走に関連するアテローム性動脈硬化症;再狭窄;血栓溶解療法、経皮経管血管形成術(PTA)、経管冠動脈形成術(PTCA)、心臓移植、バイパス手術または炎症過程後に発達した再狭窄;
・微小血管および大血管の損傷(血管炎);増加したレベルのフィブリノーゲンおよび低密度のDLD;増加した濃度のプラスミノーゲン活性化因子阻害剤1(PA-1);
・メタボリックシンドローム;代謝性疾患またはメタボリックシンドロームに関連する疾患:肥満;過剰皮下脂肪;過剰体脂肪蓄積;糖尿病;高血圧症;脂質関連障害、高脂血症、脂質異常症、高コレステロール血症、減少した高密度リポタンパク質コレステロール(HDL-コレステロール)、中程度に上昇した低密度リポタンパク質コレステロール(LDL-コレステロール)レベル、高トリグリセリド血症、高グリセリド血症、低リポタンパク質貧血、シトステロール血症、脂肪肝疾患、アルコール性脂肪肝疾患(AFLD)、非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)、肝炎;子癇前症;多発性腎臓疾患進行;肝脂肪変性または肝臓中の異常な脂質蓄積、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH);心臓、腎臓または筋肉の脂肪変性;アルファベータリポタンパク血症;シトステロール血症;黄色腫症;タンジール病;高アンモニア血症および関連疾患;肝性脳症;他の中毒性脳症;ライ症候群;
・性的、婦人科および泌尿器科の状態の障害:勃起機能障害;インポテンス;早漏;女性性機能障害;女性性的刺激機能障害;低機能性的刺激障害;膣萎縮;性交疼痛症;萎縮性腟炎;良性前立腺肥大(BPH)、前立腺肥大、前立腺腫大;膀胱下尿道閉塞;膀胱痛症候群(BPS);間質性膀胱炎(IC);過活動膀胱;神経因性膀胱および失禁;糖尿病性腎症;原発性および二次性の月経困難症;下部尿路症候群(LUTS);子宮内膜症;骨盤痛;男性および女性の泌尿生殖器系の臓器の良性および悪性の疾患;
・慢性腎臓疾患;急性および慢性の腎機能不全;急性および慢性の腎不全;ループス腎炎;根本的なまたは関連する腎臓疾患:低灌流、透析中の低血圧、閉塞性尿路疾患、糸球体症、糸球体腎炎、急性糸球体腎炎、糸球体硬化症、尿細管間質障害、腎障害疾患、原発性および先天性の腎臓疾患、腎炎;異常に減少したクレアチニンおよびまたは水分排出により特徴付けられる疾患;尿素、窒素、カリウムおよび/またはクレアチニンの異常に増加した血液濃度により特徴付けられる疾患;腎臓酵素の変化した活性により特徴付けられる疾患、グルタミル合成酵素の変化した活性により特徴付けられる疾患;変化した尿浸透圧または尿量により特徴付けられる疾患;増加した微量アルブミン尿により特徴付けられる疾患、顕性アルブミン尿により特徴付けられる疾患;糸球体および細動脈の病変、尿細管拡大、高リン血症および/または透析の必要により特徴付けられる疾患;腎機能不全の続発症;肺水腫関連の腎機能不全;HF関連の腎機能不全;尿毒症または貧血関連の腎機能不全;電解質異常(ヘルカレミア、低ナトリウム血症);骨および炭水化物代謝の妨害;急性腎臓傷害;
・緑内障、網膜症および糖尿病性網膜症などの眼の疾患または障害
から選択される、方法。
【請求項66】
処置を必要とする対象における疾患、健康状態または障害を処置する方法であって、治療有効量の、請求項1~50のいずれか一項に記載の化合物Iの結晶性固体形態、または請求項63に記載の医薬組成物、または請求項64に記載の医薬剤形を、処置を必要とする対象に投与することを含み、疾患、健康状態または障害が:
・心筋炎症(心筋炎);慢性心筋炎;急性心筋炎;ウイルス性心筋炎;
・血管炎;膵炎;腹膜炎;リウマチ様疾患;
・腎臓の炎症性疾患;免疫学的腎臓疾患:腎臓移植拒絶反応、免疫複合体誘発性の腎臓疾患、毒素誘発性の腎症、造影剤誘発性の腎症;糖尿病性および非糖尿病性の腎症、腎盂腎炎、腎嚢胞、腎硬化症、高血圧性腎硬化症およびネフローゼ症候群;
・慢性間質性炎症、炎症性腸疾患(IBD)、クローン病、潰瘍性大腸炎(UC);
・炎症性皮膚疾患;
・眼の炎症性疾患、眼瞼炎、ドライアイ症候群、およびシェーグレン症候群;眼線維症から選択される、方法。
【請求項67】
処置を必要とする対象における疾患、健康状態または障害を処置する方法であって、治療有効量の、請求項1~50のいずれか一項に記載の化合物Iの結晶性固体形態、または請求項63に記載の薬学的に許容されるその塩、医薬組成物、または請求項64に記載の医薬剤形を、処置を必要とする対象に投与することを含み、疾患、健康状態または障害が:糖尿病性の創傷または潰瘍の治癒;微小血管灌流改良;傷害に続くかまたは周術期ケアにおける炎症性応答に対抗する微小血管灌流改良;裂肛;糖尿病性潰瘍;糖尿病性足部潰瘍;骨治癒機転;破骨細胞性骨吸収および再構築;ならびに新骨形成から選択される、方法。
【請求項68】
処置を必要とする対象における疾患、健康状態または障害を処置する方法であって、治療有効量の、請求項1~50のいずれか一項に記載の化合物Iの結晶性固体形態、または請求項63に記載の医薬組成物、または請求項64に記載の医薬剤形を、処置を必要とする対象に投与することを含み、疾患、健康状態または障害が:
・泌尿生殖器系または腎臓障害:糖尿病性腎症;慢性腎臓疾患または腎機能不全に起因する腎線維症および腎不全;蓄積/沈着および組織傷害が原因の腎線維症および腎不全;腎硬化症;進行性硬化症;糸球体腎炎;巣状分節性糸球体硬化症;ネフローゼ症候群;前立腺肥大;腎臓線維症;間質性腎線維症;
・肺系統障害:肺線維症;特発性肺線維症;嚢胞性線維症;進行性塊状線維症;肺に影響を及ぼす進行性塊状線維症;
・心臓に影響を及ぼす障害:心内膜心筋線維症;陳旧性心筋梗塞;心房線維症;心臓間質性線維症;心臓再構築および線維症;心肥大;
・肝臓および関連する臓器の障害:肝臓硬化症または肝硬変;慢性肝臓疾患に関連する肝硬変;肝線維症;肝星細胞活性化;NASH;肝線維性コラーゲンおよび総コラーゲン蓄積;壊死性炎症性および/または免疫学的起源の肝臓疾患;原発性胆汁性肝硬変;原発性硬化性胆管炎;他の胆汁うっ滞性肝臓疾患:肉芽腫性肝臓疾患に関連するもの、肝悪性腫瘍、妊娠の肝内胆汁うっ滞、肝炎、敗血症、薬物または毒素、移植片対宿主病、肝臓移植後、総胆管結石、胆管腫瘍、膵癌、ミリッツィ症候群、AIDS胆管症または寄生虫;住血吸虫症;肝細胞癌;
・消化器系疾患または障害:クローン病;潰瘍性大腸炎;消化器の硬化症;アカラシア;
・皮膚または眼の疾患:腎性線維症;増殖性硝子体網膜症;糖尿病性網膜症;眼線維症;
・線維性局所的または皮膚の障害もしくは状態;真皮性線維症;強皮症、皮膚線維症;モルフェア;肥厚性瘢痕;母斑;ケロイド;サルコイド;肉芽腫;
・神経系に影響を及ぼす疾患:筋萎縮性側索硬化症(ALS);海馬硬化症、多発性硬化症(MS);巣状硬化症;原発性側索硬化症;
・骨の疾患;骨硬化症;
・耳硬化症;他の聴覚疾患または障害;難聴、部分的または全体的な聴力損失;部分的または全体的な聴覚喪失;耳鳴;騒音性聴力損失;
・自己免疫、炎症または線維症を含む他の疾患:強皮症;局在性強皮症または限局性強皮症;縦隔線維症;線維症縦隔炎;骨髄線維症;後腹膜線維症;関節線維症;ペロニー病
;デュピュイトラン拘縮;硬化性苔癬;いくつかの形態の癒着性関節包炎;アテローム性動脈硬化症;結節性硬化症;全身性硬化症;多発性筋炎;皮膚筋炎;多発性軟骨炎;好酸球性筋膜炎;全身性エリテマトーデスまたはループス;骨髄線維症(bone marrow fibrosis)、骨髄線維症(myelofibrosis)または骨骨髄線維症;サルコイドーシス;子宮筋腫;子宮内膜症
から選択される、方法。
【請求項69】
処置を必要とする対象における疾患、健康状態または障害を処置する方法であって、治療有効量の、請求項1~50のいずれか一項に記載の化合物Iの結晶性固体形態、または請求項63に記載の医薬組成物、または請求項64に記載の医薬剤形を、処置を必要とする対象に投与することを含み、疾患、健康状態または障害が、特定の種類のがん;鎌状赤血球症;鎌状赤血球貧血;がん転移;骨粗鬆症;胃不全麻痺;機能性ディスペプシア;糖尿病性合併症;脱毛症または毛髪脱落;内皮機能障害に関連する疾患;減少した一酸化窒素産生に関連する神経障害;アルギノコハク酸尿症;神経筋疾患;デュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)、ベッカー型筋ジストロフィー(BMD)、肢帯型筋ジストロフィー、遠位型ミオパチー、I型およびII型の筋緊張性ジストロフィー、顔面肩甲腓骨筋ジストロフィー、常染色体性およびX連鎖性エメリ-ドレフュス型筋ジストロフィー、眼咽頭型筋ジストロフィー、筋萎縮性側索硬化症および脊髄性筋萎縮症(SMA)
から選択される、方法。
【請求項70】
処置または予防を必要とする対象における疾患、健康状態または障害を処置または予防する方法であって、単独または併用療法で、治療有効量の請求項1~50のいずれか一項に記載の化合物Iの結晶性固体形態を、対象に投与することを含み、疾患または障害が、sGC刺激からまたはNOおよび/もしくはcGMPの濃度増加から恩恵を受け得る疾患または障害である、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本開示は、可溶性グアニル酸シクラーゼ(sGC)の刺激剤の固体形態に関する。これらの固体形態の調製方法も本明細書に提供される。本発明はまた、これらの固体形態を含む医薬製剤および剤形、ならびに、単独でまたは1つもしくは複数のさらなる薬剤との組み合わせで、様々な疾患または障害を処置および/または予防するためのその使用にも関し、これらの疾患または障害は、sGC刺激からまたは一酸化窒素(NO)および/もしくは環状グアノシン一リン酸(cGMP)の濃度増加から恩恵を受け得る疾患または障害である。
【背景技術】
【0002】
[0002]sGCは、in vivoにおけるNOの主要な受容体である。sGCは、NO-依存性およびNO-非依存性の機構の両方を介して活性化され得る。この活性化に応答して、sGCは、グアノシン-5’-三リン酸塩(GTP)を二次伝達物質のcGMPに変換する。cGMPの上昇されたレベルは、次々に、プロテインキナーゼ、ホスホジエステラーゼ(PDE)を含む下流エフェクターおよびイオンチャネルの活性を調節する。
【0003】
[0003]身体内で、NOは、様々な一酸化窒素合成酵素(NOS)により、かつ無機硝酸塩の連続的還元により、アルギニンおよび酸素から合成される。NOSの3種の異なるアイソフォーム、活性化マクロファージ細胞中で見出される誘導性NOS(iNOSまたはNOS II)、神経伝達および長期増強に関与する常在性の神経型NOS(nNOSまたはNOS I)、ならびに平滑筋弛緩および血圧を調節する常在性の内皮型NOS(eNOSまたはNOS III)が同定された。実験的および臨床的なエビデンスは、低減されたNOの濃度もしくは生物学的利用能および/または内因的に産生されたNOに対する減少した応答性が、疾患の発達の一因となることを示す。
【0004】
[0004]NO-非依存性、ヘム-依存性のsGC刺激剤は、sGC活性化因子と比較すると、いくつかの重要な区別的特徴を示し、これはその活性に関する、還元された補欠分子ヘム部分の存在への決定的な依存性、NOと結合した時の強い相乗的な酵素活性化、およびNOに非依存性のsGCの直接的刺激によるcGMP合成の刺激を含む。ベンジルインダゾール化合物YC-1は、同定された最初のsGC刺激剤であった。改善された効力およびsGC特異性を有するさらなるsGC刺激剤が、その後、開発されてきた。
【0005】
[0005]NO-非依存性の方式でsGCを刺激する化合物は、異常なNO経路を標的とする他の現在の代替治療を超えるかなりの利点をもたらす。新規な、十分に特徴付けされたsGCの刺激剤を開発する必要性がある。化合物Iは、前臨床モデルにおいて、多数のNO関連の障害の処置に関する実証された有効性を有するsGC刺激剤である。化合物Iは、WO2014144100、実施例1に、淡オレンジ色固体として既に記載された。化合物Iは、様々な結晶体で存在し得、またいくつかの薬学的に許容される塩も形成し得る。
【0006】
[0006]薬物としてのその有効性に関する固体の特性は、固体の形態に依存し得る。例えば、原薬において、固体形態の多様性は、溶解度および溶出速度、表面特性(例えば、濡れ性)、粉末特性(流動、粘着、容積密度、混合挙動、圧縮性、静電気など)、錠剤特性(硬度、均質性、破砕性、崩壊、熱および湿度に対する安定性など)、経口吸収、生物学的利用能、保管特性(固化、吸湿性)、毒性学結果および臨床試験結果などの特性における差異をもたらし得る。
【0007】
[0007]多形体の特徴付けは、例えば、原薬および製品の不一致(例えば、ロット間の不一致)、水和物の水和または脱水、化学分解、製剤品におけるアモルファス化または多形転移を回避するために、薬物の臨床試験および/または商業化中に起きる特定の問題を予防するのに有用である。ある多形体はまた、その化合物の別の多形体またはその非晶質体と比較して、溶解度および/または生物学的利用能を改善する場合に好ましいことがある。ある多形体はまた、それが増加した物理的または化学的な安定性を付与し、より高い融点を提供し(改善された機械的特性をもたらす)、より許容される味覚もしくはにおい、またはより中性に近いpHなどを有するため、好ましいことがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
[0008]一態様では、本発明は、以下に示される、化合物Iの結晶性固体形態:
【0009】
【化1】
【0010】
に関する。
[0009]本開示の目的上、「化合物I」は、特に明記されない限り、上に表示される構造の遊離塩基または塩酸塩を表す。化合物Iは、その結晶性遊離塩基として、高度に多形性であり、7種の結晶体(形態A、B、D、E、F、GおよびH)、同様に複数の溶媒和物を有することが公知である。化合物Iは、WO2014144100、実施例1に、淡オレンジ色固体として既に記載された。
【0011】
[0010]一実施形態では、本明細書に開示される化合物Iの結晶性固体形態は、遊離塩基の多形体である。別の実施形態では、化合物Iの結晶性固体形態は、塩酸塩である。一実施形態では、化合物Iの多形体は、結晶性遊離塩基形態である。別の実施形態では、それらは溶媒和物である。
【0012】
[0011]別の態様では、化合物Iの上述の結晶性遊離形態および塩の調製方法も本明細書に提供される。
[0012]別の態様では、本発明は、本明細書に開示される化合物Iの1つもしくは複数の多形体、または化合物Iの塩酸塩、および少なくとも1つの薬学的に許容される賦形剤または担体を含む医薬組成物に関する。別の実施形態では、本発明は、前記医薬組成物を含む医薬剤形に関する。
【0013】
[0013]別の実施形態では、本発明は、それを必要とする対象における疾患、健康状態または障害を処置する方法に関し、単独または併用療法で、治療有効量の本明細書に開示される化合物Iの多形体、またはその多形体の混合物、またはその塩酸塩を対象に投与することを含み;該疾患または障害は、sGC刺激からまたはNOおよび/もしくはcGMP
の濃度増加から恩恵を受け得る疾患または障害である。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】化合物Iの非晶質体のXRPDパターンを示す図である。
図2】5~45の2-シータ-スケール範囲における、形態A、形態B、形態Dおよび形態Eの重ね合わせたXRPDパターン(下方から上方へ、縮尺された、オフセット表示)を示す図である。
図3A】5~45の2-シータ-スケール範囲における、形態AのXRPDパターンを示す図である。
図3B】14か月間の保管の前後における形態AのXRPDパターンを示す図である。
図3C】3~40の2-シータ-スケール範囲における、形態AのXRPDパターンを示す図である。
図4A】5~45の2-シータ-スケール範囲における、形態BのXRPDパターンを示す図である。
図4B】14か月間の保管の前後における形態BのXRPDパターンを示す図である。
図4C】3~40の2-シータ-スケール範囲における、形態BのXRPDパターンを示す図である。
図5A】5~45の2-シータ-スケール範囲における、形態DのXRPDパターンを示す図である。
図5B】14か月間の保管の前後における形態DのXRPDパターンを示す図である。
図5C】3~40の2-シータ-スケール範囲における、形態DのXRPDパターンを示す図である。
図6】5~45の2-シータ-スケール範囲における、形態EのXRPDパターンを示す図である。
図7】3~40の2-シータ-スケール範囲における、形態FのXRPDパターンを示す図である。
図8】3~40の2-シータ-スケール範囲における、形態GのXRPDパターンを示す図である。
図9】3~40の2-シータ-スケール範囲における、形態HのXRPDパターンを示す図である。
図10】1800~200cm-1の波数範囲における、形態A、形態B、形態Dおよび形態Eの重ね合わせたFT-ラマンスペクトル(下方から上方へ、縮尺された、オフセット表示)を示す図である。
図11】0~40の2-シータ-スケール範囲における、化合物IのHCl塩のXRPDパターンを示す図である。
図12】粗製の化合物I、多形形態A、形態B、形態D、形態E、形態F、形態Gおよび形態Hの関係を示す図である。
【0015】
[0014]該図は、例として提供され、本発明の範囲を限定することが目的とされるものではない。
【発明を実施するための形態】
【0016】
[0015]本発明の特定の実施形態がここで詳細に参照され、その例が添付の構造および式において説明される。本発明は、列挙される実施形態と関連して記載されるが、本発明をこれらの実施形態に限定することが目的とされるものではないことが理解されよう。むしろ、本発明は、特許請求の範囲により定義される本発明の範囲内に含まれ得る全ての代替物、修正および均等物を包含することが目的とされる。本発明は、本明細書に記載される
方法および材料に限定されないが、本発明の実施において使用され得る、本明細書に記載されるものと同様または等価の任意の方法および材料を含む。1つまたは複数の組み込まれた文献参照、特許または同様の材料が、定義された用語、用語使用、記載された技術などを含むがこれらに限定されず、本出願と異なるかまたは矛盾する場合、本出願が規定する。
【0017】
定義および一般用語
[0016]本開示の目的上、化学元素は、元素周期表、CASバージョン、およびHandbook of Chemistry and Physics、第75版、1994年に基づいて同定される。加えて、有機化学の一般原理は、「Organic Chemistry」、Thomas Sorrell、University Science Books、Sausalito:1999年、および「March’s Advanced Organic Chemistry」、第5版、Smith、M.B.およびMarch,J.,eds.John Wiley & Sons、New York:2001年に記載されており、これらはその全容が参照により本明細書に組み込まれる。
【0018】
[0017]本開示はまた、同位体標識された化合物も包含し、これは、1つまたは複数の原子が、通例、自然に見出される原子質量または質量数とは異なる原子質量または質量数を有する原子によって置き換えられること以外は、本明細書に引用されたものと同一である。規定されたあらゆる特定の原子または元素の全ての同位体は、本発明の化合物、およびその使用の範囲内と考えられる。m同位体は、水素、炭素、窒素、酸素、リン、硫黄、フッ素、塩素、およびヨウ素の同位体、それぞれ、H、H、11C、13C、14C、13N、15N、15O、17O、18O、32P、33P、35S、18F、36Cl、123I、および125Iなどを含む。特定の同位体標識された本発明の化合物(例えば、Hおよび14Cで標識された化合物)は、化合物および/または基質の組織分布アッセイにおいて有用である。トリチウム標識された(すなわち、H)および炭素-14(すなわち、14C)の同位体は、その調製および検出可能性の容易さのために有用である。さらに、重水素(すなわち、H)などのより重い同位体での置換は、より大きい代謝的安定性から生じる特定の治療的利点をもたらし得(例えば、増加されたin vivoにおける半減期または低減された必要投薬量)、したがって、状況次第で好まれ得る。15O、13N、11C、および18Fなどの陽電子放出同位体は、基質の受容体占有率を評価するための陽電子放出断層撮影(PET)研究に有用である。同位体標識された本発明の化合物は、本明細書中以下の図式および/または実施例に開示される手順と類似の以下の手順により、非同位体標識試薬の代わりに同位体標識試薬を置き換えることによって、一般に調製され得る。
【0019】
[0018]本明細書で使用される場合、化合物Iの「固体形態」は、前記化合物の特定の固相格子構造(単位格子規模における)を特徴とするかまたは表す。
[0019]化合物Iなどの化合物は、その「他物質を含まない形態(neat form)」または「遊離塩基形態」で存在し得、遊離塩基形態は、結晶性または非晶質のいずれかであり得る。化合物の遊離塩基形態は、前記化合物の分子によってのみ形成される。
【0020】
[0020]本明細書で使用される場合、「非晶質」または「非晶質体」は、長距離分子秩序を伴わない固体形態であり、したがって、特徴的なX線粉末回折パターン(XRPD)がない。
【0021】
[0021]「結晶」または「結晶体」は、構成要素間の一定距離を有する、原子、イオン、または分子の繰り返しの三次元パターンにより形成される、均質の固体である。用語「結晶」はまた、そのようなパターンの単位格子を示すためにも使用され得る。
【0022】
[0022]本明細書で使用される場合、「結晶化」は、溶液、溶融物、蒸気、異なる固相、またはよりまれに気体から直接沈着することから、固体結晶の形成をもたらす過程である。結晶化は、自然のまたは人工的な過程であり得る。結晶化はまた、液体の溶液から純粋な固体の結晶相へと溶質の物質移動が起きる、化学的な固体-液体分離技術でもある。
【0023】
[0023]本明細書で使用される場合、「多形性」は、1種より多い結晶体で存在するか、または異なる結晶構造で結晶化する、化合物(例えば、化合物I)の能力である。「多形体」は、化合物(例えば、化合物I)のそれぞれの異なる結晶構造である。多形体は、化合物の遊離形態の結晶構造(すなわち、結晶性遊離形態)または、例えば化合物Iのような化合物が、溶媒と共に結晶化する、それらの溶媒和物(すなわち、「多成分結晶体」)である。いくつかの実施形態では、結晶化させる溶媒が水である時、溶媒和物は水和物である。
【0024】
[0024]本明細書で使用される場合、「溶媒和物」は、1つまたは複数の溶媒分子(室温で液体である物質の分子)と、結晶体における化合物(例えば、化合物I)との会合体または複合物を表し、新しい特徴の結晶性固体を生じる。本開示は、化合物Iの遊離塩基形態のいくつかの「非溶媒和物(ansolvate)」(すなわち、結晶性遊離形態であり、かつ溶媒和物ではない化合物Iの固体形態)を記載する。
【0025】
[0025]形成され得る他の種類の固体形態がある。例えば、室温で存在する時に、多成分結晶体中の両方の化合物が独立して固体である時、得られた固体形態は、「共結晶」と呼ばれる。
【0026】
[0026]該固体形態中の成分の1つが、プロトンをその他の成分に明らかに移動させ、かつ得られた多成分結晶体の成分がイオン性である時、得られた固体形態は「塩」と呼ばれる。
【0027】
[0027]共結晶において、固体形態の異なる成分間にイオン移動は起こらず、その結果、得られた成分は、非イオン性形態で存在する。共結晶において、多成分結晶体の2種(またはそれ以上)の成分は、室温で互いに独立して存在する時、固体および非イオン性である。
【0028】
[0028]2種の物質が混合された時、塩または共結晶のどちらが形成されるかは、2種の成分のpKa間の差異がどのくらい大きいかによって決定される。
[0029]本開示は、塩(塩酸塩)である、化合物Iの1種の固体形態を記載する。
【0029】
[0030]当業者が結晶性物質を得ることができる、使用可能な多くの結晶化技術がある。溶液から結晶化を起こすためには、溶液は「過飽和」でなければならない。これは、溶液は、熱力学的平衡状態下で溶質を含有する(飽和溶液)より、さらに多くの溶解した溶質の存在(分子またはイオン)を含有しなければならないことを意味する。これは、様々な方法により達成され得、例えば:1)「冷却結晶化」;2)溶質の溶解度を低減するための、第2の溶媒の添加(「抗溶媒結晶化」として公知の技術);3)化学反応;4)pHの変化;および5)有機および/または水性の溶媒系におけるスラリー変換は、産業的操作において使用される最も一般的な方法である。「溶媒蒸発結晶化」などの他の方法もまた使用され得る。本明細書で使用される場合、「過飽和」は、同一の温度における溶液の濃度(C)と、平衡時の濃度(C*)との差異である。これは濃度単位で測定される。
【0030】
[0031]用語「化学的に安定な」は、化合物Iの固体形態(例えば、多形体または塩)を特徴付けて、これが、例えば、40℃/75%相対湿度のような規定された条件に、例えば、1日、2日間、3日間、1週間、2週間、1か月間、2か月間、3か月間、6か月間
、12か月間、18か月間、24か月間、またはより長い期間のような規定された期間、さらされた時、1つまたは複数の新しい異なる化学的化合物に分解しないことを示す。いくつかの実施形態では、規定された条件下で、25%未満の化合物Iの多形体が分解し;いくつかの実施形態では、20%未満、15%未満、10%未満、5%未満、3%未満、1%未満または0.5%未満の化合物Iの多形体が分解する。いくつかの実施形態では、検出可能な量の所与の化合物Iの多形体は、特定の期間後に、規定された条件下で分解しない(使用される分析技術の最低検出限界により決定される)。
【0031】
[0032]用語「物理的に安定な」は、化合物Iの結晶性固体形態(例えば、多形体または塩)を特徴付けて、結晶性固体形態が、例えば、40℃/75%相対湿度のような規定された条件に、例えば、1日、2日間、3日間、1週間、2週間、1か月間、2か月間、3か月間、6か月間、12か月間、18か月間、24か月間、またはより長い期間のような規定された期間、さらされた時、化合物Iの1つまたは複数の異なる結晶性固体形態(例えば、XRPDなどの分析技術により測定した場合、化合物Iの異なる多形体に変化する多形体)または非晶質体に変化しないことを意味する。いくつかの実施形態では、規定された条件にさらされた時、25%未満の化合物Iの結晶性固体形態が、1つまたは複数の異なる固体形態(別の結晶性固体形態または非晶質体)に変化する。いくつかの実施形態では、規定された条件にさらされた時、20%未満、15%未満、10%未満、5%未満、3%未満、1%未満または0.5%未満の化合物Iの結晶性固体形態が、化合物Iの1つまたは複数の異なる結晶性固体形態または非晶質体に変化する。いくつかの実施形態では、検出可能な量の所与の化合物Iの固体形態は、規定された条件下で、化合物Iの1つまたは複数の異なる固体形態に変化しない。
【0032】
[0033]用語「実質的に純粋」が、示された化合物Iの結晶性固体形態(例えば、本明細書に記載される化合物Iの多形体または塩)を表す時、示された結晶性固体形態が、20%(重量)未満の残留成分(化合物Iの、別の(alternate)多形体(複数可)もしくは非晶質体または付加的な溶媒分子もしくは不純物など)を含有することを意味する。他の実施形態では、実質的に純粋な化合物Iの結晶性固体形態は、10%(重量)未満の化合物Iの、交替する多形体もしくは非晶質体または付加的な溶媒分子もしくは不純物を含有する。他の実施形態では、これは、5%(重量)未満の化合物Iの、交替する多形体もしくは非晶質体または付加的な溶媒分子もしくは不純物を含有する。さらに他の実施形態では、これは、1%(重量)未満の化合物Iの、交替する多形体もしくは非晶質体または付加的な溶媒分子もしくは不純物を含有する。
【0033】
[0034]用語「実質的に同様の」は、本明細書で使用される場合、スペクトル、トレース、熱曲線などを表す時に、示された化合物Iの固体形態(例えば、本明細書に記載される化合物Iの多形体または塩)の特徴が、スペクトル、トレース、熱曲線などが本明細書に図として示され考察されている特定の化合物Iの固体形態に割り当てられるスペクトル、トレースまたは曲線におけるピークと異なるピークを、10%未満含むと表されることを意味する。他の実施形態では、これは、異なるピークを5%未満含む。さらに他の実施形態では、これは、異なるピークを1%未満含む。
【0034】
[0035]XRPDスペクトルを比較して、あるスペクトルが、特定の化合物Iの固体形態に関して、本開示に示されるものと「実質的に同様」である時、前記スペクトル中の特徴的ピークは、本開示の図に示されるものと同一の°2θ値において、または前記図に示されるピークのものと+もしくは-0.5単位の°2θの範囲内で測定される。化合物Iの固体形態のXRPDは、前記固体形態のXRPDが特定の長さの期間の前後に、特定の条件下で、「実質的に同様」である場合、特定の長さの期間後に、特定の条件下で、「本質的に変化しない」と考えられる。
【0035】
[0036]本開示は、しばしば、本明細書に開示される化学的、物理的または生物学的パラメータの評価を表す。当業者は、そのようなパラメータが、本明細書に開示されていなくても、固体形態の同定に関して本質的に同様である他の化学的、物理的または生物学的パラメータで置き換えられ得ることを理解するであろう。
【0036】
実施形態
[0037]一態様では、本発明は、以下に示される、化合物Iの結晶性固体形態:
【0037】
【化2】
【0038】
に関する。
[0038]化合物Iは、前臨床モデルにおいて、多数のNO関連の障害の処置に関する実証された有効性を有するsGC刺激剤である。化合物Iは、様々な結晶形または多形体で存在し得る。これらの多形体のいくつかは、結晶性遊離塩基形態である。他の多形体は、溶媒和物である。いくつかの実施形態では、溶媒和物は水和物である。化合物Iはまた、その塩酸塩を含む、いくつかの薬学的に許容される塩も形成する。
【0039】
[0039]一実施形態では、本明細書に開示される化合物Iの固体形態は、多形体である。別の実施形態では、化合物Iの固体形態は、その塩酸塩である。化合物Iは、少なくとも、7種の他物質を含まない多形体または結晶性遊離形態:形態A、形態B、形態D、形態E、形態F、形態Gおよび形態Hで存在する。化合物Iは、WO2014144100、実施例1に、淡オレンジ色固体として既に記載された。
【0040】
[0040]一実施形態では、化合物Iの結晶性固体形態は、多形形態Eである。形態Eは、実施例部門に記載されるように調製された粗製の化合物Iを、>60℃(例えば、>70℃)でMeOHに溶解して溶液を得、続いて濾過し、濾液を>60℃で加熱し、水を添加し、室温(rt)に冷却し、続いて濾過し、真空下で80℃で72時間にわたり乾燥する時に、形成される。
【0041】
[0041]別の実施形態では、化合物Iの結晶性固体形態は、多形形態Aである。形態Aは、化合物Iを、>70℃で酢酸エチルに溶解し、溶液を得、続いて濾過し、濾液を20~25℃で16時間にわたりさらに撹拌してスラリーを得、該スラリーを真空下で濃縮し、ヘプタンを添加し、得られたスラリーをさらに濃縮し、濾過し、真空下で100℃で3時間にわたり乾燥する時に、形成される。
【0042】
[0042]別の実施形態では、多形形態Aは、多形形態Eを、>70℃で酢酸エチルに溶解し、溶液を得、続いて濾過し、濾液を20~25℃で16時間にわたりさらに撹拌してスラリーを得、該スラリーを真空下で濃縮し、ヘプタンを添加し、得られたスラリーをさら
に濃縮し、濾過し、真空下で100℃で3時間にわたり乾燥する時に、形成される。
【0043】
[0043]別の実施形態では、多形形態Aを、DMSO中で60℃より高い温度で加熱し、続いて水を添加することによりスラリーを形成し、該スラリーを濾過して、粗製の化合物Iから直接得ることができる。
【0044】
[0044]別の実施形態では、多形形態Aはまた、粗製の化合物Iを、溶媒中で室温でスラリー化し、14~30時間撹拌しておく時にも、単離される。いくつかの実施形態では、溶媒は、ヘプタン、酢酸イソプロピル(IPAC)、エタノール、酢酸エチルもしくはデカン、またはこれらの混合物から選択される。次に、スラリーを濾過し、真空下で乾燥する。
【0045】
[0045]別の実施形態では、化合物Iの固体形態は、多形形態Dである。形態Dは、上述のように調製された形態Eを、145~155℃で45分間、n-デカンと混合してスラリーを得、続いて該スラリーを20~30℃まで1時間にわたり冷却し、濾過し、真空下で80℃で72時間にわたり乾燥する時に、形成される。
【0046】
[0046]別の実施形態では、形態Dは、多形形態である形態E、形態B、形態F、形態Gもしくは形態Hのうちの任意のもの、またはこれらの混合物を、他物質を含まず(溶媒の非存在下)、180℃で加熱することにより、形成され得る。
【0047】
[0047]別の実施形態では、化合物Iの固体形態は、多形形態Bである。形態Bは、実施例部門に記載されるように調製された粗製の化合物Iを、70~75℃でアセトニトリルと混合して溶液を形成し、続いて濾過し、濾液を70~75℃でさらに加熱し、水を添加し、52~62℃に冷却してスラリーを形成し、該スラリーを0~5℃まで4時間を超えて冷却し、濾過し、真空下で90~100℃で最短で30時間にわたり乾燥する時に、形成される。
【0048】
[0048]別の実施形態では、化合物Iの固体形態は、多形形態Fである。形態Fは、実施例部門に記載されるように調製された形態Aを、他物質を含まず、160℃で加熱する時に得られる。
【0049】
[0049]別の実施形態では、化合物Iの固体形態は、多形形態Gである。形態Gは、実施例部門に記載されるように調製された粗製の化合物Iを、アセトン中で周囲温度で2時間スラリー化し、続いて濾過し、真空下で30~40℃で乾燥する時に得られる。別の実施形態では、多形形態Gは、多形形態Hを、アセトン中でrt(室温)で撹拌し、続いて濾過し、真空下で30~40℃で乾燥する時に得られる。
【0050】
[0050]別の実施形態では、化合物Iの固体形態は、多形形態Hである。形態Hは、実施例部門に記載されるように調製された粗製の化合物Iを、45~50℃でアセトンと混合して溶液を形成し、続いて濾過し、室温に冷却してスラリーを形成し、次に室温で5時間撹拌し、続いて濾過し、真空下で30~40℃で乾燥する時に得られる。
【0051】
[0051]一態様では、化合物Iの固体形態は、多形形態Aである。
[0052]いくつかの実施形態では、形態Aは、図10に示されるものと実質的に同様のFT-ラマンスペクトルにより特徴付けられる。
【0052】
[0053]いくつかの実施形態では、形態Aは、そのIRスペクトルが、1730cm-1においてバンド極大(band maximum)を示すという点で特徴付けられる。
[0054]いくつかの実施形態では、形態Aは、図2または図3Aに示されるものと実質的
に同様のXRPDスペクトルにより特徴付けられる。
【0053】
[0055]他の実施形態では、形態Aは:6.0、18.3、19.3、20.2および22.0の°2θから選択される、XRPDスペクトル中の1つまたは複数のピークにより特徴付けられる。
【0054】
[0056]他の実施形態では、形態Aは:6.0、8.5、9.5、12.4~12.9、13.4、17.1、18.3、19.3、20.2、22.0、30.1および34.1の°2θから選択される、XRPDスペクトル中の1つまたは複数のピークにより特徴付けられる。
【0055】
[0057]他の実施形態では、形態Aは:6.0、6.7、8.5、9.5、10.9、12.4~12.9、13.4、16.2、17.1、18.3、19.3、20.2、22.0、23.0、24.1~24.8、25.8、30.1および34.1の°2θから選択される、XRPDスペクトル中の1つまたは複数のピークにより特徴付けられる。
【0056】
[0058]いくつかの実施形態では、形態Aは、図3Cに示されるものと実質的に同様のXRPDスペクトルにより特徴付けられる。
[0059]他の実施形態では、形態Aは、6.1(80.81%の相対強度またはrel int)、18.4(53.57%)、19.4(100.00%)、20.3(57.01%)および22.0(56.64)の°2θから選択される、XRPDスペクトル中の1つまたは複数のピークにより特徴付けられる。
【0057】
[0060]他の実施形態では、形態Aは、6.1(80.81%の相対強度)、9.6(40.35%)、12.6(41.26%)、13.6(43.19%)、18.4(53.57%)、19.4(100.00%)、20.3(57.01%)および22.0(56.64)の°2θから選択される、XRPDスペクトル中の1つまたは複数のピークにより特徴付けられる。
【0058】
[0061]他の実施形態では、形態Aは、40℃および75%の相対湿度の安定性条件下で14か月間保管された時、本質的に変化しないXRPDトレースを示すことにより特徴付けられる。これらの条件下での保管の前後における形態Aに関するXRPDトレースは、図3Bに示される。
【0059】
[0062]一態様では、化合物Iの固体形態は、多形形態Bである。
[0063]いくつかの実施形態では、形態Bは、図10に示されるものと実質的に同様のFT-ラマンスペクトルにより特徴付けられる。
【0060】
[0064]いくつかの実施形態では、形態Bは、そのIRスペクトルが、1200cm-1においてピーク最大値を示すという点で特徴付けられる。
[0065]いくつかの実施形態では、形態Bは、図2または図4Aに示されるものと実質的に同様のXRPDスペクトルにより特徴付けられる。
【0061】
[0066]他の実施形態では、形態Bは、18.8~19.1の2θにおける、XRPDスペクトル中の1つまたは複数のピークにより特徴付けられる。
[0067]別の実施形態では、形態Bは、8.8、16.4、17.2、18.8~19.1、20.1および21.1~21.6の°2θから選択される、XRPDスペクトル中の1つまたは複数のピークにより特徴付けられる。
【0062】
[0068]別の実施形態では、形態Bは、8.8、10.6、12.6~13.0、14.
6、16.4、17.2、18.8~19.1、20.1、21.1~21.6、24.5、25.3、27.0~27.5、28.9、29.8および30.5の°2θから選択される、XRPDスペクトル中の1つまたは複数のピークにより特徴付けられる。
【0063】
[0069]いくつかの実施形態では、形態Bは、図4Cに示されるものと実質的に同様のXRPDスペクトルにより特徴付けられる。
[0070]他の実施形態では、形態Bは、8.9(76.55%の相対強度)、17.4(57.67%)、19.1(100.00%)、および25.5(52.26)の°2θから選択される、XRPDスペクトル中の1つまたは複数のピークにより特徴付けられる。
【0064】
[0071]他の実施形態では、形態Bは、7.0(44.44%の相対強度)、8.9(76.55%)、17.4(57.67%)、19.1(100.00%)、20.3(49.78%)、21.8(36.16%)、および25.5(52.26)の°2θから選択される、XRPDスペクトル中の1つまたは複数のピークにより特徴付けられる。
【0065】
[0072]他の実施形態では、形態Bは、40℃および75%の相対湿度の安定性条件下で14か月間保管された時、本質的に変化しないXRPDトレースを示すことにより特徴付けられる。これらの条件下での保管の前後における形態Bに関するXRPDトレースは、図4Bに示される。
【0066】
[0073]一態様では、化合物Iの固体形態は、多形形態Dである。
[0074]いくつかの実施形態では、形態Dは、図10に示されるものと実質的に同様のFT-ラマンスペクトルにより特徴付けられる。
【0067】
[0075]いくつかの実施形態では、形態Dは、そのIRスペクトルが、1665、1639および968cm-1においてバンド極大を示すという点で特徴付けられる。いくつかの実施形態では、形態Dは、そのIRスペクトルが、1665cm-1においてバンド極大を示すという点で特徴付けられる。他の実施形態では、形態Dは、そのIRスペクトルが、1639cm-1においてバンド極大を示すという点で特徴付けられる。他の実施形態では、形態Dは、そのIRスペクトルが、968cm-1においてバンド極大を示すという点で特徴付けられる。
【0068】
[0076]いくつかの実施形態では、形態Dは、図2または図5Aに示されるものと実質的に同様のXRPDスペクトルにより特徴付けられる。
[0077]他の実施形態では、形態Dは、40℃および75%の相対湿度の安定性条件下で14か月間保管された時、本質的に変化しないXRPDトレースを示すことにより特徴付けられる。これらの条件下での保管の前後における形態Dに関するXRPDトレースは、図5Bに示される。
【0069】
[0078]他の実施形態では、形態Dは、18.8の2θにおける、XRPDスペクトル中のピークにより特徴付けられる。
[0079]別の実施形態では、形態Dは、17.1、18.1、18.8および25.0の°2θから選択される、XRPDスペクトル中の1つまたは複数のピークにより特徴付けられる。
【0070】
[0080]別の実施形態では、形態Dは、8.8、17.1、18.1、18.8および25.0の°2θから選択される、XRPDスペクトル中の1つまたは複数のピークにより特徴付けられる。
【0071】
[0081]いくつかの実施形態では、形態Dは、図5Cに示されるものと実質的に同様のXRPDスペクトルにより特徴付けられる。
[0082]他の実施形態では、形態Dは、4.7(97.11%の相対強度)、18.1(80.97%)、18.6(100.00%)、および26.8(65.25)の°2θから選択される、XRPDスペクトル中の1つまたは複数のピークにより特徴付けられる。
【0072】
[0083]他の実施形態では、形態Dは、4.7(97.11%の相対強度)、8.3(64.04%)、18.1(80.97%)、18.6(100.00%)、および26.8(65.25)の°2θから選択される、XRPDスペクトル中の1つまたは複数のピークにより特徴付けられる。
【0073】
[0084]一態様では、化合物Iの固体形態は、多形形態Eである。
[0085]いくつかの実施形態では、形態Eは、図10に示されるものと実質的に同様のFT-ラマンスペクトルにより特徴付けられる。
【0074】
[0086]いくつかの実施形態では、形態Eは、そのIRスペクトルが、1690および1515cm-1においてバンド極大を示すという点で特徴付けられる。いくつかの実施形態では、形態Eは、そのIRスペクトルが、1690cm-1においてピーク最大値を示すという点で特徴付けられる。いくつかの実施形態では、形態Eは、そのIRスペクトルが、1515cm-1においてピーク最大値を示すという点で特徴付けられる。
【0075】
[0087]いくつかの実施形態では、形態Eは、図2または図6に示されるものと実質的に同様のXRPDスペクトルにより特徴付けられる。
[0088]他の実施形態では、形態Eは、7.4、18.8~19.3、21.1、24.8および25.5の°2θから選択される、XRPDスペクトル中の1つまたは複数のピークにより特徴付けられる。
【0076】
[0089]他の実施形態では、形態Eは、7.4、13.9、15.1、16.3、17.6、18.8~19.3、21.1、22.3~22.5、24.8、25.5および27.1の°2θから選択される、XRPDスペクトル中の1つまたは複数のピークにより特徴付けられる。
【0077】
[0090]一態様では、化合物Iの固体形態は、多形形態Fである。
[0091]いくつかの実施形態では、形態Fは、図7に示されるものと実質的に同様のXRPDスペクトルにより特徴付けられる。
【0078】
[0092]他の実施形態では、形態Fは、5.3(100.00%の相対強度)、8.6(58.80%)、および16.4(62.95%)の°2θから選択される、XRPDスペクトル中の1つまたは複数のピークにより特徴付けられる。
【0079】
[0093]別の実施形態では、形態Fは、5.3(100.00%の相対強度)、8.6(58.80%)、16.4(62.95%)、および19.0(48.51%)の°2θから選択される、XRPDスペクトル中の1つまたは複数のピークにより特徴付けられる。
【0080】
[0094]一態様では、化合物Iの固体形態は、多形形態Gである。
[0095]いくつかの実施形態では、形態Gは、図8に示されるものと実質的に同様のXRPDスペクトルにより特徴付けられる。
【0081】
[0096]他の実施形態では、形態Gは、10.7(55.47%の相対強度)および18.33(100.00%%)の°2θから選択される、XRPDスペクトル中の1つまたは複数のピークにより特徴付けられる。
【0082】
[0097]別の実施形態では、形態Gは、10.7(55.47%の相対強度)、13.9(42.47%)、18.33(100.00%%)、および21.6(40.73%)の°2θから選択される、XRPDスペクトル中の1つまたは複数のピークにより特徴付けられる。
【0083】
[0098]一態様では、化合物Iの固体形態は、多形形態Hである。
[0099]いくつかの実施形態では、形態Hは、図9に示されるものと実質的に同様のXRPDスペクトルにより特徴付けられる。
【0084】
[00100]他の実施形態では、形態Hは、5.77(89.22%の相対強度)、6.3
9(100.00%%)、9.1(84.17%)、および18.5(67.04%)の°2θから選択される、XRPDスペクトル中の1つまたは複数のピークにより特徴付けられる。
【0085】
[00101]別の実施形態では、形態Hは、5.77(89.22%の相対強度)、6.3
9(100.00%%)、9.1(84.17%)、18.5(67.04%)、および18.83(67.04%)の°2θから選択される、XRPDスペクトル中の1つまたは複数のピークにより特徴付けられる。
本発明の薬学的に許容される塩。
【0086】
[00102]語句「薬学的に許容される塩」は、本明細書で使用される場合、化合物Iの薬
学的に許容される有機または無機の塩を表す。化合物Iの薬学的に許容される塩は、医薬に使用され得る。しかしながら、薬学的に許容されない塩は、化合物Iの他の固体形態の調製における中間体として有用であり得る。
【0087】
[00103]薬学的に許容される塩は、対イオンとして作用する別の原子または分子の包含
を含む。対イオンは、親化合物上の電荷を安定させる、任意の有機または無機の部分であり得る。さらに、薬学的に許容される塩は、その構造中に1個より多い荷電原子を有し得る。複数の荷電原子が薬学的に許容される塩の一部である場合は、複数の対イオンを有することができる。場合によっては、対イオンは同一であってもよい。他の場合には、これらは、それぞれの荷電原子によって異なってもよい。したがって、薬学的に許容される塩は、1個もしくは複数個の荷電原子および/または1個もしくは複数個の対イオンを有することができる。
【0088】
[00104]本明細書に記載される薬学的に許容される塩および他の典型的な薬学的に許容
される塩の調製は、Bergら、「Pharmaceutical Salts」、J.Pharm.Sci.,1977年:66:1~19ページにより十分に記載されており、その全容が参照により本明細書に組み込まれる。
【0089】
[00105]一実施形態では、化合物Iの薬学的に許容される塩は、化合物Iの塩酸塩であ
る。
[00106]化合物Iの塩酸塩は、上述のように調製されたその多形形態Dにおける化合物
Iを、1MのHCl中で懸濁させ、それをi-PrOHと混合し、20~40℃の間の温度サイクルで、40℃/時の加熱速度で、かつ5℃/時の冷却速度で撹拌することにより調製され得る。
【0090】
[00107]化合物Iの塩酸塩は、256℃の融点により特徴付けられる。
[00108]化合物Iの塩酸塩は、pH1.4における0.5mg/mLの水溶解度により
特徴付けられる。水溶解度は、飽和溶液のpHにおいて決定された。該塩を、水中で25℃で24時間振盪した。濾過後、その濃度は、HPLCにより、pH1.4において0.5mg/mLであると決定された。
【0091】
[00109]化合物Iの塩酸塩は、図11に示されるものと実質的に同様のXRPDパター
ンにより特徴付けられる。
医薬組成物および投与方法
[00110]本明細書に開示される結晶性固体形態は、医薬組成物または「製剤」として製
剤化され得る。
【0092】
[00111]典型的な製剤は、化合物Iの結晶性固体形態および担体、希釈剤または賦形剤
を混合することにより調製される。好適な担体、希釈剤および賦形剤は、当業者に周知であり、炭水化物、ワックス、水溶性および/または膨潤性のポリマー、親水性または疎水性の物質、ゼラチン、油脂、溶媒、水などの物質を含む。使用される特定の担体、希釈剤または賦形剤は、化合物Iの多形体または薬学的に許容される塩が製剤化される手段および目的に応じて変わる。溶媒は、一般に、当業者により、哺乳類に投与されて安全(GRAS-一般に安全と認められる(Generally Regarded as Safe))と認められる溶媒に基づいて選択される。一般に、安全な溶媒は、水および水に可溶性または混和性である他の無毒性溶媒などの無毒性の水性溶媒である。好適な水性溶媒は、水、エタノール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール(例えば、PEG400、PEG300)などおよびこれらの混合物を含む。製剤はまた、1つまたは複数の緩衝剤、安定化剤、粘着防止剤、界面活性剤、湿潤剤、滑沢剤、乳化剤、結合剤、懸濁化剤、崩壊剤、充填剤、吸着剤、コーティング剤(例えば、腸溶性または低速放出)、防腐剤、抗酸化剤、不透明化剤(opaquing agent)、流動促進剤、加工助剤、着色剤、甘味料、芳香剤、香味剤および医薬製品(すなわち、医薬)の製造において、薬物または助剤の上質な外観を提供する他の公知の添加剤などの他の種類の賦形剤も含み得る。
【0093】
[00112]製剤は、従来の溶解および混合の手順を使用して調製され得る。例えば、容積
の大きい原薬(すなわち、化合物Iの多形体または薬学的に許容される塩)は、1つまたは複数の上述の賦形剤の存在下で、好適な溶媒に溶解される。所望される程度の純度を有する化合物は、薬学的に許容される希釈剤、担体、賦形剤または安定剤と任意選択で混合され、凍結乾燥された製剤、破砕粉末、または水溶液の形態となる。製剤化は、周囲温度で、適切なpHで、かつ所望される程度の純度で、生理学的に許容される担体と混合することにより行われ得る。製剤のpHは、主に化合物の特定の使用および濃度に依存するが、約3~約8の範囲であり得る。本明細書に記載される製剤が、溶媒プロセスにより形成される固体非晶質分散体である時、添加剤などが溶液中にスラリーとして溶解するかまたは懸濁する混合物を形成する時に、添加剤は噴霧乾燥溶液に直接添加され得、次に噴霧乾燥され得る。あるいは、添加剤は、最終的な製剤化生成物の形成において補助するために、噴霧乾燥プロセスに続いて添加されてもよい。
【0094】
[00113]化合物Iの多形体または薬学的に許容される塩は、典型的には、医薬剤形に製
剤化され、薬物の容易に制御可能な投薬を提供し、かつ処方されたレジメンについての患者コンプライアンスを可能にする。化合物Iの多形体または薬学的に許容される塩の医薬製剤は、投与の様々な経路および種類のために調製され得る。異なる病状では、異なる投与経路を用いることが正当化されるため、同一の化合物に関して、様々な剤形が存在し得る。
【0095】
[00114]単一剤形を提供するために担体物質と組み合わせられ得る活性材料の量は、処
置される対象および特定の投与様式に応じて変化し得る。例えば、ヒトに対する経口投与が目的とされる徐放性製剤は、全組成物(重量:重量)の約5~約95%で変動し得る適切かつ簡便な担体物質量と配合された、およそ1~1000mgの活性物質を含有し得る。医薬組成物は、容易に測定可能な投与量を提供するために調製され得る。例えば、点滴静注が目的とされる水溶液は、好適な体積の注入が約30mL/時の速度で起こり得るために、溶液の1ミリリットル当たり約3~500μgの活性材料を含有し得る。一般の提案として、投与される阻害剤の開始時の薬学的有効量は、1用量当たり約0.01~100mg/kgの範囲内、すなわち1日当たり約0.1~20mg/患者の体重のkgで、使用される化合物の典型的な開始時の範囲が0.3~15mg/kg/日である。
【0096】
[00115]用語「治療有効量」は、本明細書で使用される場合、研究者、獣医師、医師ま
たは他の臨床医により探求されている組織、系、動物またはヒトにおける、生物学的または医薬的な応答を誘発する、活性化合物または医薬剤の量を意味する。投与される化合物の治療有効量または薬学的有効量は、そのような配慮により管理され、疾患または障害または1つもしくは複数のその症状を改善し、治癒させるかまたは処置するのに必要な最小量である。
【0097】
[00116]化合物Iの多形体または薬学的に許容される塩の医薬組成物は、良好な医療行
為と調和の取れた様式で、すなわち、量、濃度、スケジュール、コース、ビヒクル、および投与経路で製剤化され、投与量に分けられ、投与される。本文脈における配慮の要素は、処置される特定の障害、処置される特定の哺乳類、個々の患者の病態、障害の原因、薬剤送達の部位、投与方法、投与スケジュール、および個々の患者の年齢、体重、および応答などの医療専門家に公知の他の要素を含む。
【0098】
[00117]用語「予防的有効量」は、疾患または障害を妨げるかもしくは発症する機会を
実質的に少なくするか、または発症する前に疾患または障害の重症度を低下させるか、または1つもしくは複数のその症状の重症度を、該症状が発達する前に低下させるのに有効な量を表す。概略では、予防的手段は、一次予防(疾患の発達を妨げること)および二次予防(疾患が既に発達しており、これによって患者はこの過程が悪化することから保護される)に分けられる。
【0099】
[00118]許容される希釈剤、担体、賦形剤、および安定剤は、利用される投薬量および
濃度において受容者にとって無毒性であり、かつリン酸塩、クエン酸塩、および他の有機酸などの緩衝剤;アスコルビン酸およびメチオニンを含む抗酸化剤;防腐剤(塩化アンモニウムオクタデシルジメチルベンジル;塩化ヘキサメトニウム;塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム;フェノール、ブチルまたはベンジルアルコール;メチルもしくはプロピルパラベンなどのアルキルパラベン;カテコール;レソルシノール;シクロヘキサノール;3-ペンタノール;およびm-クレゾールなど);血清アルブミン、ゼラチン、もしくは免疫グロブリンなどのタンパク質;ポリビニルピロリドンなどの親水性ポリマー;グリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アルギニン、またはリジンなどのアミノ酸;グルコース、マンノース、もしくはデキストリンを含む単糖類、二糖類、および他の炭水化物;EDTAなどのキレート剤;スクロース、マンニトール、トレハロースまたはソルビトールなどの糖;ナトリウムなどの塩形成対イオン;金属錯体(例えばZn-タンパク質錯体);ならびに/またはTWEEN(登録商標)、PLURONICS(登録商標)またはポリエチレングリコール(PEG)などの非イオン性界面活性剤を含む。活性医薬成分はまた、例えば、それぞれヒドロキシメチルセルロースもしくはゼラチン-マイクロカプセルおよびポリ-(メタクリル酸メチル)マイクロカプセルのような、例えば、コアセルベーション技術によるかもしくは界面重合により調製されたマイクロカプセル中に;コロイド性薬物送達系(例えば、リポソーム、アルブミン小球体、マイクロ乳剤、ナノ粒子およびナノカプセル)中に、またはマクロ乳剤中に封入され得る。そのような技術は、Remington’s:The Science and Practice of Pharmacy、第21版、University of the Sciences in Philadelphia、Eds.、2005年(以下、「Remington’s」)に開示される。
【0100】
[00119]用語「投与する」、「投与すること」または「投与」は、本発明の固体形態、
組成物または製剤に関して、この化合物を、処置を必要とする動物の系内に導入することを意味する。本発明の化合物が、1つまたは複数の他の活性薬剤と組み合わせて提供される時、「投与」およびその変形は、それぞれ、化合物および他の活性剤の同時および/または連続的な導入を含むことが理解される。
【0101】
[00120]本明細書に記載される組成物は、例えば、経口的に(例えば、カプセル剤、散
剤、液剤、懸濁剤、錠剤、舌下錠などを使用)、吸入により(例えば、エアロゾル、ガス、インヘラー、噴霧器または同様のものを用いる)、耳に(例えば、点耳薬を使用)、局所的に(例えば、クリーム剤、ゲル剤、リニメント剤、ローション剤、軟膏剤、ペースト、経皮パッチなどを使用)、眼用に(例えば、点眼薬、眼用ゲル、眼用軟膏剤を用いる)、直腸的に(例えば、浣腸または坐剤を使用)、経鼻的に、バッカル的に、経膣的に(例えば、圧注器、子宮内避妊器具、腟坐薬、膣リングまたは錠剤などを使用)、埋込式リザーバーもしくは同様のものを介して、または非経口的に、処置される疾患の重症度および種類に応じて、全身にまたは局所的に投与され得る。
【0102】
[00121]用語「非経口的」は、本明細書で使用される場合、皮下、静脈内、筋肉内、関
節内、滑液嚢内、胸骨内(intrasternal)、くも膜下腔内、肝内、病巣内および頭蓋内の注射または注入技術を含むが、これらに限定されない。該組成物は、経口的に、腹腔内にまたは静脈内に投与されることが好ましい。
【0103】
[00122]本明細書に記載される医薬組成物は、カプセル剤、錠剤、水性懸濁剤または液
剤を含むが、これらに限定されない、任意の経口的に許容される剤形で経口的に投与され得る。経口投与用の液体剤形は、薬学的に許容される乳剤、マイクロ乳剤、液剤、懸濁剤、シロップ剤およびエリキシル剤を含むが、これらに限定されない。活性化合物(複数可)に加えて、液体剤形は、当技術分野で一般的に使用される、例えば、水または他の溶媒などの不活性希釈剤、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、ジメチルホルムアミドなどの可溶化剤および乳化剤、油脂(詳細には、綿実、塊根、トウモロコシ、胚芽、オリーブ、キャスター、およびゴマの油脂)、グリセリン、テトラヒドロフルフリルアルコール、ポリエチレングリコールおよびソルビタンの脂肪酸エステル、ならびにこれらの混合物を含有し得る。不活性希釈剤以外に、経口用組成物はまた、湿潤剤、乳化剤および懸濁化剤、甘味剤、香味剤、ならびに芳香剤などのアジュバントも含み得る。
【0104】
[00123]経口投与用の固体剤形は、カプセル剤、錠剤、丸剤、散剤、および顆粒剤を含
む。そのような固体剤形では、活性化合物は、クエン酸ナトリウムまたはリン酸二カルシウムなどの少なくとも1つの不活性の、薬学的に許容される賦形剤または担体、ならびに/またはa)デンプン、ラクトース、スクロース、グルコース、マンニトール、およびケイ酸などの充填剤または増量剤、b)例えば、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸塩、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、スクロース、およびアラビアゴムなどの結合剤、c)グリセリンなどの保水剤、d)寒天、炭酸カルシウム、ジャガイモまたはタピオカのデンプン、アルギン酸、特定のシリケート、および炭酸ナトリウムなどの崩壊作用剤、e)パラフィンなどの溶液遅延剤、f)第4級アンモニウム化合物などの吸収促進剤、g)例えば、セチルアルコールおよびモノステアリン酸グリセリンなどの湿潤剤、h)カオリンおよびベントナイト粘土などの吸収剤、ならびにi)タルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固体ポリエチレングリコール、硫酸ラウリルナトリウムなどの滑沢剤、ならびにこれらの混合物と混合される。錠剤は、コーティングされなくてもよく、またはマイクロカプセル化を含む公知の技術により、不快な味覚をマスキングするために、もしくは消化器中での崩壊および吸着を遅延させ、それによって長期間にわたる持続作用を提供するために、コーティングされてもよい。例えば、モノステアリン酸グリセリルもしくはジステアリン酸グリセリルなどの時間遅延物質が単独でまたはワックスと共に利用されてもよい。ヒドロキシプロピル-メチルセルロースまたはヒドロキシプロピル-セルロースなどの水溶性の味覚マスキング物質が利用されてもよい。
【0105】
[00124]経口投与に好適な化合物Iの多形体または化合物Iの薬学的に許容される塩の
製剤は、錠剤、丸剤、トローチ剤、薬用ドロップ、水性または油性の懸濁剤、分散性の散剤または顆粒剤、乳剤、例えば、ゼラチンカプセル剤のような硬カプセル剤または軟カプセル剤、シロップ剤またはエリキシル剤などの個別単位として調製され得る。経口使用が目的とされる化合物の製剤は、医薬組成物の製造用に当技術分野で公知の任意の方法に基づいて調製され得る。
【0106】
[00125]経口使用の製剤は、活性材料が、例えば炭酸カルシウム、リン酸カルシウムも
しくはカオリンのような不活性の固体希釈剤と混合される硬ゼラチンカプセル剤として、または活性材料が、ポリエチレングリコールなどの水溶性担体もしくは例えばピーナッツ油、液体パラフィン、もしくはオリーブ油のような油媒質と混合される軟ゼラチンカプセル剤としても提供され得る。
【0107】
[00126]活性固体形態もまた、上述の1つまたは複数の賦形剤と共にマイクロカプセル
化形態であり得る。
[00127]経口使用に水性懸濁液が必要とされる時、活性材料は、乳化剤および懸濁化剤
と組み合わせられる。所望ならば、特定の甘味剤および/または香味剤が添加されてもよい。シロップ剤およびエリキシル剤は、例えばグリセリン、プロピレングリコール、ソルビトールまたはスクロースのような甘味剤と共に製剤化され得る。そのような製剤はまた、粘滑薬、防腐剤、香味剤および着色剤ならびに抗酸化剤も含有し得る。
【0108】
[00128]本明細書に記載される組成物の無菌の注射用形態(例えば、非経口投与用)は
、水性または油性の懸濁剤であり得る。これらの懸濁剤は、当技術分野で公知の技術に基づいて、好適な分散剤または湿潤剤および懸濁化剤を使用しては製剤化され得る。無菌の注射用調製物はまた、例えば1,3-ブタンジオールまたはPEG400中の溶液として、無毒性の非経口的に許容される希釈剤または溶媒中の、無菌の注射用の液剤または懸濁剤であってもよい。利用され得る許容されるビヒクルおよび溶媒の中には、水、リンゲル液および等張性の塩化ナトリウム溶液がある。加えて、溶媒または懸濁化媒質として、無菌の、不揮発性油が従来から利用される。この目的のために、合成のモノ-グリセリドまたはジ-グリセリドを含む任意の刺激の少ない不揮発性油が利用され得る。オレイン酸およびそのグリセリド誘導体などの脂肪酸は、オリーブ油またはヒマシ油、特にそのポリオキシエチル化されたものなどの、自然の薬学的に許容される油脂として注射用剤の調製において有用である。これらの油脂の液剤または懸濁剤はまた、カルボキシメチルセルロースなどの長鎖アルコールの希釈剤もしくは分散剤、または乳剤および懸濁剤を含む薬学的に許容される剤形の製剤化において一般的に使用される同様の分散剤も含有し得る。Tween、Spanなどの他の一般的に使用される界面活性剤、および薬学的に許容される固体、液体、または他の剤形の製造に一般的に使用される、他の乳化剤または生物学的利用能促進薬もまた、注射用製剤の目的のために使用され得る。
【0109】
[00129]油状懸濁剤は、例えばラッカセイ油、オリーブ油、ゴマ油もしくはココナッツ
油のような植物油中で、または液体パラフィンなどの鉱油中で、化合物Iの多形体または薬学的に許容されるその塩を懸濁化することによって製剤化され得る。油状懸濁剤は、例えば、蜜蝋、固形パラフィンまたはセチルアルコールのような増稠剤を含有し得る。上に明示されるものなどの甘味剤、および香味剤は、美味な経口用調製物を提供するために添加され得る。これらの組成物は、ブチル化ヒドロキシアニソールまたはアルファ-トコフェロールなどの抗酸化剤の添加により保存され得る。
【0110】
[00130]化合物Iの多形体または化合物Iの薬学的に許容される塩の水性懸濁剤は、水
性懸濁剤の製造に好適な賦形剤との混和で活性物質を含有する。そのような賦形剤は、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、クロスカルメロース、ポビドン、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、トラガカントガムおよびアラビアゴムなどの懸濁化剤、ならびに自然起源のホスファチド(例えば、レシチン)などの分散剤または湿潤剤、酸化アルキレンと脂肪酸との縮合物(例えば、ステアリン酸ポリオキシエチレン)、酸化エチレンと長鎖脂肪族アルコールとの縮合物(例えば、ヘプタデカエチレンオキシセタノール)、酸化エチレンと脂肪酸およびヘキシトール無水物由来の部分エステルとの縮合物(例えば、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート)を含む。水性懸濁剤はまた、p-ヒドロキシ-安息香酸エチルまたはp-ヒドロキシ-安息香酸n-プロピルなどの1つまたは複数の防腐剤、1つまたは複数の着色剤、スクロースまたはサッカリンなどの1つまたは複数の香味剤および1つまたは複数の甘味剤も含有し得る。
【0111】
[00131]注射用製剤は、例えば、細菌保持フィルターに通して濾過するか、または滅菌
剤を組み入れることにより、使用前に減菌水もしくは他の無菌の注射用媒質に溶解されるかもしくは分散され得る無菌の固体組成物の形態において、無菌化され得る。
【0112】
[00132]注射用の液剤またはマイクロ乳剤は、局所的ボーラス注射により患者の血流内
に導入され得る。あるいは、当該化合物の一定の循環濃度を維持するような方法で、液剤またはマイクロ乳剤を投与することが有利であり得る。そのような一定濃度を維持するために、連続的静脈内送達装置が利用され得る。そのような装置の一例は、Deltec CADD-PLUS(商標)model 5400 静脈内ポンプである。
【0113】
[00133]直腸内または膣内の投与用の組成物は、好ましくは、本明細書に記載される固
体形態と、カカオバター、蜜蝋、ポリエチレングリコールなどの好適な非刺激性の賦形剤もしくは担体とを混合するか、または周囲温度で固体であるが体温で液体であり、したがって直腸もしくは膣腔内で溶融して活性化合物を放出する坐剤ワックスとを混合することにより調製され得る坐剤である。膣内投与に好適な他の製剤は、ペッサリー、タンポン、クリーム剤、ゲル剤、ペースト、発泡剤またはスプレー剤として提供され得る。
【0114】
[00134]本明細書に記載される医薬組成物はまた、眼、耳、皮膚、または下部腸管の疾
患を含め、処置の標的が特に、局所適用により容易に到達できる領域または臓器を含む時、局所的に投与され得る。好適な局所製剤は、これらのそれぞれの領域または臓器用に、容易に調製される。
【0115】
[00135]本明細書に記載される化合物の局所投与または経皮投与用の剤形は、軟膏剤、
ペースト、クリーム剤、ローション剤、ゲル剤、散剤、液剤、スプレー剤、吸入剤またはパッチを含む。活性成分は、そうすることが必要ならば薬学的に許容される担体および任意の必要な防腐剤または緩衝剤と無菌条件下で混和される。眼用製剤、点耳薬、および点眼薬もまた、本発明の範囲内であると考えられる。加えて、本発明は、身体への化合物の制御送達を提供するというさらなる利点を有する経皮パッチの使用を考える。そのような
剤形は、化合物を適切な媒質に溶解するかまたは分配することにより作製され得る。吸収促進薬もまた、化合物の皮膚を通る流動性を増大するために使用され得る。速度は、速度制御膜を設けるかまたは化合物をポリマーマトリックスもしくはゲル中に分散させるかのいずれかにより制御され得る。下部腸管に対する局所適用は、直腸内坐剤(上記参照のこと)または好適な浣腸製剤において達成され得る。局所経皮パッチもまた、使用され得る。
【0116】
[00136]局所適用のために、医薬組成物は、1つまたは複数の担体中に懸濁されるかま
たは溶解される活性成分を含有する好適な軟膏剤に製剤化され得る。本発明の固体形態の局所投与用の担体は、鉱油、流動ワセリン、白色ワセリン、プロピレングリコール、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン化合物、乳化ワックスおよび水を含むが、これらに限定されない。あるいは、医薬組成物は、1つまたは複数の薬学的に許容される担体中に懸濁されるかまたは溶解される活性成分を含有する、好適なローション剤またはクリーム剤に製剤化され得る。好適な担体は、鉱油、ソルビタンモノステアレート、ポリソルベート60、セチルエステルワックス、セテアリールアルコール、2オクチルドデカノール、ベンジルアルコールおよび水を含むが、これらに限定されない。
【0117】
[00137]眼科的使用のために、医薬組成物は、等張性のpH調節された無菌の生理食塩
水中で微粒子化懸濁剤として、または好ましくは、等張性のpH調節された無菌の生理食塩水中で液剤として、塩化ベンジルアルコニウムなどの防腐剤を伴うかまたは伴わないかのいずれかで、製剤化され得る。あるいは、眼科的使用のために、医薬組成物は、ワセリンなどの軟膏剤に製剤化され得る。眼または、例えば口および皮膚のような他の外部組織の処置用に、製剤は、例えば、0.075~20%w/wの量で、活性材料(複数可)を含有する局所的な軟膏剤またはクリーム剤として適用され得る。軟膏剤に製剤化される時、活性材料は、油脂ベース、パラフィン性または水混和性の軟膏剤ベースのいずれかを用いて利用され得る。
【0118】
[00138]あるいは、活性材料は、水中油型のクリーム剤ベースを用いて、クリーム剤に
製剤化され得る。所望ならば、クリーム剤ベースの水性相は、プロピレングリコール、ブタン1,3-ジオール、マンニトール、ソルビトール、グリセリンおよびポリエチレングリコール(PEG400を含む)ならびにこれらの混合物などの多価アルコール、すなわち、2個以上のヒドロキシル基を有するアルコールを含み得る。局所製剤は、望ましくは、皮膚または他の患部を通した活性材料の吸収または透過を増強する化合物を含み得る。そのような真皮性透過促進薬の例は、ジメチルスルホキシドおよび関連する類似体を含む。
【0119】
[00139]化合物Iの多形体または化合物Iの薬学的に許容される塩を使用して調製され
た乳剤の油状相は、公知の材料から公知の方式で構成され得る。該相が、単に1つの乳化剤(あるいは利尿剤として公知)を含み得る一方、少なくとも1つの乳化剤と、脂肪または油脂または脂肪および油脂の両方との混合物を含むことが望ましい。親水性の乳化剤は、安定剤として作用する親油性の乳化剤と共に含まれ得る。いくつかの実施形態では、乳化剤は、油脂および脂肪の両方を含む。共に、乳化剤(複数可)は、安定剤(複数可)を伴うかまたは伴わず、いわゆる乳化ワックスを構成し、該ワックスは、油脂および脂肪と共に、クリーム製剤の油状の分散相を形成する、いわゆる乳化軟膏剤ベースを構成する。化合物Iの多形体または化合物Iの薬学的に許容される塩の製剤における使用に好適な利尿剤および乳化安定剤は、Tween(商標)-60、Span(商標)-80、セトステアリルアルコール、ベンジルアルコール、ミリスチルアルコール、グリセリルモノ-ステアレートおよび硫酸ラウリルナトリウムを含む。
【0120】
[00140]医薬組成物はまた、経鼻エアロゾルによるかまたは吸入により投与され得る。
そのような組成物は、医薬製剤の技術分野で周知の技術に基づいて調製され、ベンジルアルコールまたは他の好適な防腐剤、生物学的利用能を増強するための吸収促進剤、フルオロカーボン、および/または他の従来の可溶化剤もしくは分散剤を利用して、生理食塩水中の溶液として調製され得る。肺内または経鼻の投与に好適な製剤は、肺胞嚢に到達するために、鼻孔を通した迅速吸入によるかまたは口を通した吸入により投与される、例えば、0.1~500マイクロメートル(micros)(0.5、1、30、35マイクロメートルなど、マイクロメートル単位で増加する、0.1~500マイクロメートルの範囲の粒子を含む)の範囲の粒度を有する。
【0121】
[00141]使用される医薬組成物(または製剤)は、薬物を投与するのに使用される方法
に応じて、様々な手段で包装され得る。一般に、流通用物品は、適切な形態の医薬製剤を入れた容器を含む。好適な容器は、当業者に周知であり、瓶(プラスチックおよびガラス)、小袋、アンプル、ビニール袋、金属シリンダーなどのものを含む。容器はまた、包装の内容物への不用意なアクセスを防止する不正開封防止の組み合わせも含み得る。加えて、容器は、容器の内容物を示すラベルを上に貼付される。該ラベルもまた、適切な注意を含んでもよい。
【0122】
[00142]製剤は、例えば、密封されたアンプルおよびバイアルのような単位用量または
複数回用量の容器に包装され得、使用直前に注射用に、例えば水のような無菌の液体担体の添加のみを必要とする、フリーズドライ(凍結乾燥)の状態で保管され得る。即時調合の注射液および懸濁剤は、既に記載された種類の、無菌の粉剤、顆粒剤および錠剤から調製される。好ましい単位投薬量製剤は、本明細書に上述するような、活性材料の、1日用量もしくは単位1日サブ用量、またはその適切な分割分を含有する製剤である。
【0123】
[00143]別の態様では、化合物Iの多形体または化合物Iの薬学的に許容される塩は、
獣医用の担体を含む獣医用の組成物に製剤化され得る。獣医用の担体は、組成物を投与する目的に有用な物質であり、他の場合には不活性であるかまたは獣医学の分野において容認され、かつ活性材料と混合可能である、固体、液体またはガス状の物質であり得る。これらの獣医用の組成物は、非経口的、経口的または任意の他の所望の経路により投与され得る。
治療方法
[00144]別の態様では、本発明は、本明細書に開示される化合物Iの結晶性固体形態を
、単独もしくは組み合わせのいずれかで、またはそれらを含む医薬組成物で、それを必要とする患者において使用することによる、特定の障害の処置に関する。
【0124】
[00145]本開示は、化合物Iの結晶性固体形態、およびその医薬製剤、ならびに、単独
でまたは1つもしくは複数のさらなる薬剤との組み合わせで、NOの濃度増加またはcGMPの濃度増加が望ましい、様々な疾患を処置および/または予防するためのその使用に関する。
【0125】
[00146]組織中の増加したNO生成または増加したcGMP濃度は、他にも効果はある
が、中でも、血管拡張、血小板の凝集および粘着の阻害、降圧性効果、抗再構築効果、抗線維化、抗アポトーシス性効果、抗炎症性効果およびニューロシグナル伝達効果をもたらす。
【0126】
[00147]他の実施形態では、本明細書に開示される化合物Iの結晶性固体形態は、酸化
ストレスまたはニトロソ化ストレスの状態に関連するものなどの、生物学的利用能および/または生物学系における(例えば、人体における)NOに対する感受性の望ましくない低減により特徴付けられる、疾患および障害の予防および/または処置において有用である。
【0127】
[00148]用語「心血管系疾患」(または「心血管系障害」)は、本明細書で使用される
場合、心臓、血管(動脈、毛細血管、および静脈)またはその両方などの循環器の異常な症状に基づく疾患を表す。該用語はまた、とりわけ、心疾患、脳の血管疾患、腎臓、肝臓および関連臓器、または肺の血管疾患、ならびに末梢動脈疾患を含む、一般に心血管系に影響を及ぼす任意の疾患も含む。
【0128】
[00149]「sGC関連の心血管系疾患」は、NO/sGC/cGMP系が関わることが
公知であるかまたは疑われるものであり、sGC活性化/刺激により、NO合成酵素の活性化により、またはNOもしくはL-アルギニンもしくはL-シトルリンなどのNO-ドナーもしくはNO前駆物質の添加により、またはcGMPの崩壊の原因となるPDE(ホスホジエステラーゼ)酵素の阻害により、または任意の上述の方法の組み合わせにより、処置または予防され得る心血管系疾患である。
【0129】
[00150]用語「血管拡張」は、本明細書で使用される場合、血管を広げることを表す。
これは、管壁内の、詳細には大静脈、大動脈、およびより細い細動脈中の、平滑筋細胞の弛緩に起因する。本質において、該過程は、血管が狭小化する「血管収縮」の逆である。血管が拡張する時、血管抵抗の減少が原因で、血流が増加する。したがって、動脈血管(主に細動脈)の拡張は、血圧を低下させる。この応答は、内因性(周囲組織における局部的過程による)または外因性(ホルモンまたは神経系による)であり得る。加えて、該応答は、特定の臓器に局在し得る(激しい運動中の、特定の組織の代謝要求に応じて)か、または全身性(体循環全体にわたり見られる)であり得る。
【0130】
[00151]用語「血管収縮」は、本明細書で使用される場合、筋肉収縮が原因で、血管が
狭小化することを表す。血管収縮は、身体が、平均動脈圧(MAP)を調節し、かつ維持する1つの機構である。全般的な血管収縮は、通例、体血圧の上昇をもたらすが、また、特定の組織においても起こり得、血流の局在的な減少を起こす。
【0131】
[00152]本明細書で使用される場合、用語「気管支収縮」は、肺における気道の収斂を
定義するために使用され、周囲の平滑筋が堅く締まることに起因し、結果として咳嗽、喘鳴、および息切れを伴う。該状態は、多くの原因を有し、最も一般的なのは喘息である。運動およびアレルギーは、他の場合には無症候である者にこの症状を生じさせる。慢性閉塞性肺疾患(COPD)などの他の状態もまた、気管支収縮を呈し得る。
【0132】
[00153]本開示の全体にわたり、用語「高血圧」、「動脈性高血圧」または「高血圧症
(HBP)」は、互換的に使用され、動脈中の血圧(BP)が正常または所望の血圧より高い、非常に一般的かつ高度に予防可能な慢性の状態を表す。適切に制御されない場合、それは、いくつかの重篤な心血管系および腎臓状態に関する著しい危険因子を代表する。高血圧は、「本態性高血圧」もしくは「特発性高血圧」と呼ばれる原発性疾患であり得るか、または他の疾患により引き起こされ得るかもしくは他の疾患に関連し得、その場合は「二次性高血圧」として分類される。本態性高血圧が、全例の90~95%を占める。
【0133】
[00154]本明細書で使用される場合、用語「抵抗性高血圧」は、異なる降圧薬クラスに
属する3種の降圧剤の同時使用にもかかわらず、目標血圧(通例、140/90mmHg未満であるが、併存症の糖尿病または腎臓疾患を有する患者に対しては130/80mmHg未満のより低い目標が推奨される)より上のままである高血圧を表す。自身の血圧を制御するために、4種以上の薬物を必要とする人も、抵抗性高血圧を有すると考えられる。高血圧は、糖尿病における非常に一般的な併存症の状態であり、糖尿病を有する約20~60%の患者に影響を及ぼし、肥満、民族性、および年齢に依存する。この種類の高血圧は、本明細書において、「糖尿病性高血圧」と表される。2型糖尿病において、高血圧は、インスリン抵抗性のメタボリックシンドロームの一部としてしばしば現れ、中心性肥満および脂質異常症も含む。1型糖尿病において、高血圧は、糖尿病性腎症の発症をもたらし得る。
【0134】
[00155]「肺高血圧(PH)」は、本明細書で使用される場合、肺血管系(肺動脈、肺
静脈および肺毛細血管)における血圧の持続的上昇により特徴付けられる疾患であり、これは右心肥大をもたらし、最終的に右心不全および死に至る。PHの一般的な症状は、息切れ、眩暈および失神を含み、この全てが労作によって増悪する。処置なしでは、診断後の平均余命中央値は、2.8年である。PHは、多くの異なる形態で存在し、これは、その病因に基づいてカテゴリー化される。カテゴリーは、肺動脈性高血圧(PAH)、左心疾患を有するPH、肺疾患および/または低酸素血症に関連するPH、慢性の血栓性および/または塞栓性の疾患が原因のPHならびに種々のPHを含む。PAHは、一般集団においてまれであるが、有病率は、HIV感染、強皮症および鎌状赤血球症などの特定の一般的な状態に関連して増加する。PHの他の形態は、一般にPAHより一般的であり、例えば、PHと慢性閉塞性肺疾患(COPD)との関連が、特に懸念される。肺高血圧に対する現在の処置は、疾患の病期および機構に依存する。
【0135】
[00156]用語「冠動脈疾患」は、心筋への血液供給が部分的または完全に遮断された(
心筋または心筋層の虚血)状態を表す。この心筋層への低減された血液供給は、多くの「急性心筋症候群」をもたらし得る:胸痛(「狭心症(angina)」、「狭心症(angina pectoris)」とも呼ばれる、安定または不安定)および異なる種類の心臓発作(「心筋梗塞」またはMI)。冠動脈疾患の1つの一般的な原因は、動脈壁における脂肪沈着、次にアテローム性プラークの形成を通して狭小化し最終的に動脈中の血流の遮断へと進行し得ることが原因の、動脈の硬化を表す「アテローム性動脈硬化症」である。このアテローム性動脈硬化症の過程は、単に心臓の動脈だけでなく、他の動脈にも同様に影響を及ぼし得る。通例、動脈は、アテローム性プラーク(アテローム)が原因で既に部分的に遮断されているので、血餅は動脈の遮断の最も一般的な原因である。アテロームが、破裂するかまたは裂けて、血塊の形成に至り得るのである。時折、冠動脈疾患は、自然発症的にまたは特定の薬物(例えば、コカイン、ニコチン)の使用の結果として起こり得る、冠動脈の攣縮により起こる。まれに、冠動脈疾患の原因は、先天性欠損、ウイルス感染(例えば、川崎病)、全身性エリテマトーデス(ループス)、動脈の炎症(動脈炎)、心腔から冠動脈の1つへ移動した血餅または身体的損傷(例えば、傷害もしくは放射線療法から)である。
【0136】
[00157]「不安定狭心症」は、本明細書で使用される場合、遷延性のまたは悪化した狭
心症および初発の重度の症状を含む、狭心症症状のパターンの変化を表す。
[00158]MI(心筋梗塞)は、2種類に分類され得る:「非ST部分上昇型」MIおよ
び「ST部分上昇型」MI。急性冠症候群の合併症は、どのくらいの大きさで、どのくらいの期間、かつどこで冠動脈が遮断されたかに依存する。遮断が、大量の心筋に影響を及ぼす場合、心臓は、効率的にポンピングしない。遮断が、心臓の電気系への血流を止めた場合、心リズムが影響され得る。心臓発作が起きた時、心筋層の一部が死滅する。死滅組織およびそれを置き換える瘢痕組織は、収縮しない。瘢痕組織は、心臓の残りの部分が収縮しようとする時、時々、膨張または膨隆さえする。結果的に、血液をポンピングする筋肉はより少ない。十分な筋肉が死滅した場合、心臓のポンピング能力は非常に低下し得るため、心臓は、酸素および血液に対する身体の需要に応えることができない。心不全、低血圧またはその両方が次に発生する。の半分を超える心筋層が損傷を受けるかまたは死滅した場合、心臓は、一般に機能することができず、重度の能力障害または死の可能性がある。
【0137】
[00159]本明細書で使用される場合、「心不全」(HF)は、障害を受けた心機能およ
び循環性うっ血が決定的な特色であり、血液および栄養分の体組織への不十分な送達をもたらす、最後には複合型臨床症候群となる左室(LV)心筋再構築の進行性障害である。この状態は、心臓が損傷を受けるかまたは過度に働き、体循環からそこに戻る全血液をポンピングして送り出すことができない時に起きる。より少ない血液がポンピングして送り出されるため、心臓に戻る血液が増大し、体液が身体の他の部分で増大する。心不全はまた、ナトリウムおよび水を廃棄する腎臓の能力を障害し、体液貯留をさらに複雑にする。心不全は、自律神経障害、神経ホルモン活性化、およびサイトカインの過剰産生により特徴付けられ、進行性循環不全の一因となる。心不全の症状は、両方とも肺水腫を示唆する、突然息がきれることが原因の、運動中または休息中および夜間に目覚めている間の呼吸困難(息切れ);全身疲労または脱力感;足、足首および脚の浮腫;短期間の体重増加;または粘液または血液を生じるものを含む慢性咳嗽を含む。その臨床症状に応じて、心不全は、新規、一過性、急性、急性後期または慢性に分類される。急性心不全、すなわち、緊急治療を必要とする症状の急速なまたは緩やかな発症は、新規かまたは慢性心不全が非代償性となった結果として発生し得る。用語「心不全」は、しばしば、「慢性心不全」を意味して使用される。用語「うっ血性心不全(congestive heart failure)(CHF)」または「うっ血性心不全(congestive cardiac failure)(CCF)」は、しばしば、慢性心不全について互換的に使用される。心不全の一般的な原因は、既往の心筋梗塞(心臓発作)、高血圧症、心房細動、心臓弁膜症、および心筋症を含む、冠動脈疾患を含む。これらは、心臓の構造または機能のいずれかを変化させることにより心不全を起こす。
【0138】
[00160]2種類の主要な心不全がある:「左室収縮期機能障害が原因の心不全」または
「収縮期心不全」としても公知の「駆出率低下が原因の心不全(HFREF)」、および「拡張期心不全」または「正常駆出率を有する心不全(HFNEF)」としても公知の「駆出率保持型心不全(HFPEF)」。駆出率は、心臓において1回の収縮中にポンピングして心臓から送り出される血液の比率である。これは、正常で50~75%の間の百分率である。
【0139】
[00161]用語「急性」(「急性HF」におけるなど)は、急速な発症を意味して使用さ
れ、「慢性」は、長い持続時間を表す。慢性心不全は長期の状況であり、通例、安定処置される総体症状を伴う。「急性非代償性」心不全は、悪化するかまたは非代償性の心不全であり、患者が心不全の徴候および症状における変化を有し、緊急治療または入院の必要がもたらされることにより特徴付けられ得るエピソードを表す。心不全はまた、心室収縮期機能は正常であるが、心臓が血液量の重要な増大に対処することができない、高拍出性の状況で起こり得る(そこで「高拍出性心不全」と名付けられる)。
【0140】
[00162]循環生理学では、用語「駆出率(EF)」は、心拍動または心周期毎にポンピ
ングして送り出される、左室および右心室中の血液の割合と定義される。医学画像により可能となる有限数学では、EFは、肺動脈弁を介して血液を肺循環に駆出する右心室、または大動脈弁を介して血液を脳循環および体循環に駆出する左室の両方に適用される。
【0141】
[00163]用語「駆出率保持型心不全(HFPEF)」は、一般的に、55%を超える駆
出率を有する心不全の徴候および症状の発現を表すと理解される。それは、左室における圧力増加に至る、左室コンプライアンスの減少により特徴付けられる。増加した左心房の大きさは、乏しい左室機能の結果として、HFPEFにしばしば見られるうっ血性心不全、心房細動、および肺高血圧に対する増加したリスクがある。危険因子は、高血圧、高脂血症、糖尿病、喫煙、および閉塞型睡眠時無呼吸である。この種類の心不全では、弛緩期に、心筋は良好に収縮するが、心室が血液で良好に満たされない。
【0142】
[00164]用語「駆出率低下を有する心不全(HFREF)」は、駆出率が40%未満で
ある心不全を表す。
[00165]糖尿病は、心不全を有する患者に一般的な併存症であり、より乏しい転帰と同
様に、処置の有効性を潜在的に損なうことに関連する。他の重要な併存症は、全身性高血圧、慢性気流閉塞、睡眠時無呼吸、認知機能障害、貧血、慢性腎臓疾患および関節炎を含む。慢性左心不全は、肺高血圧の発達に頻繁に関連する。特定の併存症の頻度は、男女差がある:女性の間では、高血圧および甲状腺疾患がより一般的である一方、男性は通常、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、末梢血管疾患、冠動脈疾患および腎機能不全を患う。うつ病は、心不全の高頻度の併存症であり、2つの状態が、互いに併発し得、かつしばしば併発する。悪液質は、重篤な、かつ高頻度の心不全の合併症と長く認識されており、全ての心不全患者の15%までに影響を及ぼし、予後不良に関連する。心臓悪液質は、6か月間にわたる、非浮腫性の、体重の少なくとも6%の随意的でない損失と定義される。
【0143】
[00166]用語「不整脈」は、本明細書で使用される場合、心臓発作を経験した人の90
%超に起きる異常な心リズムを表す。時に、問題は、心拍動および心拍が遅すぎ得る誘因となる心臓の部分にあり、他の時は、問題は、心臓に急速すぎるかまたは不規則の拍動を起こし得ることである。時に、拍動のシグナルは、心臓の一部からその他の部分へ伝わらず、心拍動が遅くなるかまたは停止し得る。加えて、死滅していないが乏しい血流を有する心筋層の領域は過敏となり得る。これが、心室頻拍または心室細動などの心リズムの問題を起こす。心臓がポンピングを完全に停止した場合、これは心停止に至り得る。
【0144】
[00167]「心膜」は、心臓を取り囲む袋または膜である。「心膜炎」またはこの膜の炎
症は、心臓発作の結果として発達し得、発熱、心膜液貯留、肺を覆う膜(胸膜)の炎症、胸水貯留、および関節痛をもたらし得る。心臓発作後の他の合併症は、僧帽弁の機能不全、心筋の破裂、心室壁における膨隆(心室瘤)、血餅、および低血圧を含み得る。
【0145】
[00168]用語「心筋症」は、心腔の筋肉壁の構造および機能の進行性障害を表す。主な
種類の心筋症は、拡張型で、肥厚性および拘束性である。心筋症は、しばしば、心不全の症状を起こし、また胸痛、失神および突然死も起こし得る。
【0146】
[00169]用語「僧帽弁逆流(mitral valve regurgitation
)」、「僧帽弁逆流(mitral regurgitation)」、「僧帽弁閉鎖不全(mitral insufficiency)」または「僧帽弁閉鎖不全症(mitral incompetence)」は、心臓の僧帽弁が堅固に閉まらず、血液が心臓に逆流することが可能になる状況を表す。結果として、血液が心臓を通ってまたは身体の残りの部分に効率的に進むことができず、疲労または息切れをもたらす。
【0147】
[00170]用語「睡眠時無呼吸」は、最も一般的な睡眠呼吸障害を表す。これは、上気道
の閉塞を含むかまたは含まなくてもよい、間欠性、周期性の気流の減少または完全停止により特徴付けられる状態である。3種類の睡眠時無呼吸がある:最も一般的な形態の閉塞型睡眠時無呼吸、中枢型睡眠時無呼吸および混合型睡眠時無呼吸。
【0148】
[00171]「中枢型睡眠時無呼吸(CSA)」は、気道の物理的遮断ではなく、呼吸する
ための脳の正常なシグナルにおける機能不全により起きる。呼吸努力の欠如は、血液中の二酸化炭素の増加をもたらし、患者を覚醒させ得る。CSAは、一般集団においてまれであるが、収縮期心不全を有する患者に相対的に頻発する。
【0149】
[00172]本明細書で使用される場合、用語「メタボリックシンドローム」、「インスリ
ン抵抗性症候群」または「シンドロームX」は、代謝状態の群または集団形成(腹部肥満、上昇した空腹時血糖、「脂質異常症」(すなわち、上昇した脂質レベル)および上昇した血圧(HBP))を表し、偶然に単独で起こるより頻繁に同時に起こり、共に2型糖尿病および心血管系疾患の発達を促進する。メタボリックシンドロームは、増加したトリグリセリドの特異的な脂質プロファイル、減少した高密度リポタンパク質コレステロール(HDL-コレステロール)および場合によっては中程度に上昇した低密度リポタンパク質コレステロール(LDL-コレステロール)レベル、同様に成分危険因子の圧力が原因の「動脈硬化性疾患」の加速度的な進行により特徴付けられる。数種類の脂質異常症がある:「高コレステロール血症」は、上昇したコレステロールレベルを表す。家族性高コレステロール血症は、染色体19(19p13.1-13.3)の欠損が原因の、特異的な形態の高コレステロール血症である。「高グリセリド血症」は、上昇したグリセリドレベル(例えば、「高トリグリセリド血症」は上昇したトリグリセリドレベルを含む)を表す。「高リポタンパク血症」は、上昇したリポタンパク質レベル(通例、特に指示がない限り、LDL)を表す。
【0150】
[00173]用語「脂肪変性」は、細胞内の脂質の異常な保持を表す。これは、通例、トリ
グリセリドの合成および除去の正常な過程の障害を反映する。過剰な脂肪が、細胞の細胞質を置き換える小胞中に蓄積する。重度の場合では、細胞が破裂し得る。肝臓は脂肪代謝に主に関連する臓器であるため、通例、脂肪変性は、肝臓で観察される。これはまた、心臓、腎臓および筋肉組織中でも観察される。
【0151】
[00174]本明細書で使用される場合、用語「末梢血管疾患(PVD)」は、一般的に「
末梢動脈疾患(PAD)」または「末梢動脈閉塞性疾患(PAOD)」とも表され、冠血管、大動脈弓血管系、または脳内ではない、大動脈の閉塞を表す。PVDは、アテローム性動脈硬化症、狭窄、塞栓症、血小板塞栓形成または他の種類の閉塞に至る炎症過程に起因し得る。これは、急性または慢性の「虚血(血液供給の欠如)」のいずれかを起こす。PVDは、しばしば、下肢に見出されるアテローム性動脈硬化性の遮断を表すために使用される用語である。PVDはまた、動脈の挿間的狭小化(例えば、「レイノー現象」)、またはその拡大化(紅痛症)、すなわち、血管攣縮に起因する微小血管疾患に分類される疾患のサブセットも含む。末梢動脈疾患は、閉塞性の血栓性血管炎、末梢動脈閉塞性疾患、レイノー病、およびレイノー症候群を含む。一般的な症状は、冷たい脚または足、間欠性跛行、下肢痛および重症下肢虚血(下肢の潰瘍および壊死)である。末梢動脈疾患に関する診断および処置の指針は、Eur.J.Vasco Endovasc.Surg、2007年、33(1)、Slに見出され得る。
【0152】
[00175]用語「狭窄」は、本明細書で使用される場合、血管または他の管状の臓器もし
くは構造における異常な狭小化を表す。これはまた、時に、「狭窄(stricture)」(尿道狭窄におけるなど)とも呼ばれる。用語「縮窄」は同義であるが、一般的に、大動脈縮窄の文脈においてのみ使用される。用語「再狭窄」は、処置後の狭窄の再発を表す。
【0153】
[00176]用語「血栓症」は、循環系を通る血流を閉塞する、血管内部の血餅(「血小板
塞栓」)の形成を表す。血管が損傷された時、身体は、血小板(platelet)(血小板(thrombocytes))およびフィブリンを使用して、失血を妨げるために血餅を形成する。あるいは、血管が損傷されていない時でさえ、適切な条件が存在する場合、血餅は身体内に形成され得る。凝固が激しすぎて、かつ血塊が離れた場合、移動する血塊はここで「塞栓」として知られる。用語「血栓塞栓症」は、血栓症とその主要な合併症「塞栓症」の組み合わせを表す。血小板塞栓が、動脈管腔の表面積の75%を超えて占めた時、供給される組織への血流は、減少した酸素(低酸素)および乳酸のような代謝産物の蓄積(「痛風」)が原因となる症状を起こすのに十分なほど減少されている。90%を超える閉塞は、酸素の完全な欠乏症の無酸素症、および細胞死の状態の「梗塞」をもたらし得る。
【0154】
[00177]「塞栓症」(複数の塞栓症)は、身体の離れた部分において遮断(血管閉塞)
を起こす、動脈床の狭い毛細血管内に、塞栓(その起源から遠く離れた部位で動脈毛細血管床を詰まらせることができる分離した血管内腫瘤)をもたらす事象である。これは、起源部位で遮断する血小板塞栓と混同してはならない。塞栓症を形成する物質は、多くの異なる起源を有し得る:物質が血液である場合、「塞栓」は「血小板塞栓」と名付けられ;固体物質はまた、脂肪、細菌の残存物、感染した組織なども含み得る。
【0155】
[00178]「虚血」は、組織への血液供給における制限であり、細胞代謝(組織を生存さ
せておくための)に必要な酸素およびグルコースの不足を起こす。虚血は、一般に血管に関し、結果としての損傷または組織の機能障害に関する問題により起こされる。これはまた、時に、うっ血(血管収縮、血栓症または塞栓症など)に起因する、身体の所与の部分における局所的貧血も意味する。「虚血」が心筋(または「心筋層」)中で起きた場合、虚血は、心筋虚血と名付けられる。他の種類の虚血は、例えば、脳虚血、重症下肢虚血などである。
【0156】
[00179]「再灌流」は、血液供給が虚血期間後に組織に戻った時に起きる。組織への循
環の回復時に、炎症および酸化ストレスの過程が発生し得る。この一連の事象の一例は、臓器移植に関連する虚血-再灌流である。
【0157】
[00180]「再灌流障害」は、虚血期間後に組織に血液供給が戻り、かつ正常機能の回復
よりむしろ炎症および酸化損傷が結果として生じた時に起こされる組織損傷である。虚血性の問題の再灌流は、しばしば、微小血管傷害に関連し、詳細には、組織を超える拡散および流体濾過の増加をもたらす毛細血管および細動脈の増加した浸透性が原因である。活性化内皮細胞は、再灌流に続き、より多くの活性酸素種を生み出すが、より少ないNOを生み出し、その不均衡が炎症性応答を引き起こす。白血球は、組織損傷に応答して、新しく戻された血流によりその領域に運ばれ、多数の炎症性因子およびフリーラジカルを放出する。回復された血流は、これと共に、細胞タンパク質、DNAおよび細胞膜に損傷を与える酸素を運ぶ。この虚血-再灌流の過程はまた、慢性的創傷(例えば、褥瘡または糖尿病性潰瘍)を治癒するための形成および不全の原因となるとも考えられる。
【0158】
[00181]用語「脈管障害」は、本明細書で使用される場合、血管(動脈、静脈、および
毛細血管)の疾患に関する総称である。最も一般的で、かつ最も蔓延している脈管障害は、慢性糖尿病の一般的な合併症の「糖尿病性脈管障害」である。別の一般的な種類の脈管障害は、コンゴーレッド親和性脈管障害としても公知の「脳アミロイド脈管症」(CAA)であり、アミロイド沈着物が中枢神経系の血管壁に形成される。コンゴーレッド親和性という用語は、アミロイドの異常な凝集の存在が、コンゴーレッドと呼ばれる特別な染色の適用後に、脳組織の顕微鏡検査により実証され得るため使用される。該アミロイド物質は、脳においてのみ見出され、したがって、該疾患は、他の形態のアミロイドーシスと関連性がない。
【0159】
[00182]「脳卒中」または脳血管障害(CVA)は、脳への血液供給における妨害が原
因の、急速な脳機能(複数可)の損失である。これは、遮断(血栓症、動脈塞栓症、脂肪蓄積もしくは攣縮)、または出血(血液の漏出)により起こされる「虚血」(血流の欠如と結果としての組織への不十分な酸素およびグルコース供給を伴う)が原因であり得る。結果として脳の患部は機能することができず、身体の片側の1つまたは複数の肢を動かすことができなくなるか、話を理解するかもしくは組み立てることができなくなるか、または視野の片側を見ることができなくなり得る。脳卒中に関する危険因子は、高齢、高血圧、既往の脳卒中または一過性脳虚血発作(TIA)、糖尿病、高コレステロール、喫煙および心房細動を含む。高血圧症は、脳卒中の最も重要な修正可能な危険因子である。「虚血性脳卒中」は、たまに、血栓溶解(「血栓を溶かす薬」としても公知)を用いて病院で処置され、出血性脳卒中は、神経系外科手術から恩恵を受けるものもある。再発予防は、アスピリンおよびジピリダモールなどの抗血小板薬の投与、高血圧の制御および低減、ならびにスタチンの使用を含み得る。選択された患者は、頸動脈内膜剥離術および抗凝固薬の使用から恩恵を受け得る。
【0160】
[00183]「血管性認知症」は、高齢者の間で第2の最も一般的な認知症の原因である。
これは、男性の間でより一般的であり、通例、70歳以降に始まる。これは、血管性の危険因子(例えば、高血圧、糖尿病、高脂血症、喫煙)を有する人および数回の脳卒中を経験した人に、より頻繁に起きる。多くの人は、血管性認知症およびアルツハイマー病の両方を有する。血管性認知症は、典型的には、複数の小さな脳梗塞(または、時折の出血)が、脳機能を障害するのに十分なニューロンまたは軸索の損失を起こす時に起きる。血管性認知症は、以下の種類を含む:複数のラクナ梗塞(微小血管が影響され、梗塞が白質および灰白質の半球内深くに起きる);多発梗塞性認知症(中ぐらいの大きさの血管が影響される);戦略的な単一梗塞性認知症(単一の梗塞が、角回または視床などの脳の非常に大事な領域に起きる);ビンスワンガー認知症または皮質下動脈硬化性脳症(小血管認知症は、重度の不十分に制御された高血圧および全身性血管疾患に関連し、梗塞、または脳の白質への血液供給の損失が原因の、広範な神経膠症、組織死と共に軸索およびミエリンの拡散した、かつ不規則な損失を起こす)。
【0161】
[00184]用語「神経膠腫」は、脳または脊椎で始まる腫瘍の1種を表す。それは膠細胞
から生じるため、神経膠腫と呼ばれる。神経膠腫の最も一般的な部位は脳である。神経膠腫は、全ての脳および中枢神経系の腫瘍の約30%を構成し、かつ全ての悪性脳腫瘍の80%を構成する。
【0162】
[00185]アメリカ精神医学会の精神障害の診断および統計マニュアル(America
n Psychiatric Association’s Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders)、第4版(DSM-IV)に基づいて、用語「性機能障害」は、「性反応周期に関連する性的欲望および心理生理学的変化における妨害により特徴付けられる」一連の状態を包含し;この種の問題は一般的であるが、該問題が患者に苦悩をもたらす時にのみ、性機能障害は存在すると考えられる。これは、身体的または心理学的のいずれかの起源であり得る。性機能障害は、原発性状態として、一般に本質的にホルモンに関するものとして存在し得るが、最も多くは、他の医学的状態または前記状態に対する薬物治療に対する二次性である。全ての種類の性機能障害は、生涯にわたる、後天性の、状況によるかもしくは全般性の(またはこれらの組み合わせ)としてさらに分類され得る。
【0163】
[00186]DSM-IV-TRは、「女性性機能障害」の5つの主要なカテゴリー:性的
欲望/性的関心障害;「性的刺激障害(生殖器の、主観的および混合性を含む)」;オルガスム障害;性交疼痛症および腟痙;ならびに持続的性的刺激障害を規定する。
【0164】
[00187]「女性性的刺激障害(FSAD)」は、十分なレベルの性的興奮に達するかま
たは維持するための持続性または循環発生性の不能と定義され、個人的な苦悩をもたらす。FSADは、興奮の主観的感覚の欠如(すなわち、主観的性的刺激障害)および潤滑および膨潤などの身体反応の欠如(すなわち、生殖器/身体的性的刺激障害)の両方を包含する。FSADは、一般に医学的または生理学的要因により起きるかまたは複雑化するけれども、厳密には心理学的な起源であり得る。低エストロゲン症は、FSADに関連する最も一般的な生理的状態であり、泌尿生殖器萎縮および膣の潤滑の減少に至る。
【0165】
[00188]本明細書で使用される場合、「勃起機能障害(ED)」は、性行為中の陰茎の
勃起を発達させるかまたは維持する不能により特徴付けられる、男性の性機能障害である
。陰茎勃起は、陰茎内のスポンジ状部分に入ってきて保持される血液の水力効果である。この過程は、しばしば、性的興奮の結果として、シグナルが脳から陰茎内の神経に伝達された時に始まる。勃起が生じるのが困難である時、勃起機能障害であることが示される。最も重要な器質性の原因は、心血管系疾患および糖尿病、神経学的問題(例えば、前立腺切除手術の外傷)、ホルモン不足(性腺機能低下症)および薬物副作用である。
【0166】
[00189]一実施形態では、本明細書に記載される化合物Iの多形体および薬学的に許容
される塩は、したがって、以下の種類の心臓、肺、末梢性、肝臓、腎臓、または脳血管/内皮の、循環に関連する障害、状態および疾患の予防および/または処置に有用である:・高血圧症および減少した冠血流に関連する障害;増加した急性および慢性の冠血圧;動脈性高血圧;心臓および腎臓の合併症に起因する血管障害;心臓疾患、脳卒中、大脳虚血または腎不全に起因する血管障害;抵抗性高血圧;糖尿病性高血圧;本態性高血圧;二次性高血圧;妊娠性高血圧;子癇前症;門脈圧亢進症;心筋梗塞;
・心不全、HFPEF、HFREF;急性および慢性のHF;より特異的な形態のHF:急性非代償性HF、右室不全、左室不全、総HF、虚血性心筋症、拡張型心筋症、先天性心欠損、心臓弁奇形を有するHF、僧帽弁狭窄、僧帽弁閉鎖不全、大動脈弁狭窄、大動脈弁閉鎖不全、三尖弁狭窄、三尖弁閉鎖不全、肺動脈弁狭窄、肺動脈弁閉鎖不全、複合心臓弁奇形;糖尿病性心不全;アルコール性心筋症または保管肥大型心筋症;拡張期HF、収縮期HF;急性期の既存の慢性HF(悪化HF);拡張期または収縮期の機能障害;冠機能不全;不整脈;心室前負荷の減少;心肥大;心不全/心腎症候群;門脈圧亢進症;内皮機能障害または傷害;心房および心室調律の妨害および伝導妨害:段階I~III(AVB I~III)の房室ブロック、上室性頻脈性不整脈、心房細動、心房粗動、心室細動、心室粗動、心室性頻脈性不整脈、多形性心室頻拍症、心房および心室性の期外収縮、AV接合部期外収縮、洞不全症候群、失神、AV結節リエントリー性頻拍;ウォルフ・パーキンソン・ホワイト症候群または急性冠症候群;ボクサー心筋症;心室性期外収縮;心筋症;がん誘発性心筋症;化学療法誘発性心毒性;
・血栓塞栓性障害および虚血;心筋虚血;梗塞;心筋梗塞;心臓発作;心筋機能不全;内皮機能障害;脳卒中;一過性脳虚血発作(TIA);閉塞性血栓性血管炎(thromboanginitis);安定または不安定な狭心症;冠攣縮または末梢動脈の攣縮;異型狭心症;プリンツメタル狭心症;心肥大;子癇前症;血栓形成性障害;虚血-再灌流傷害;臓器移植に関連する虚血-再灌流;肺移植(lung transplant)、肺移植(pulmonary transplant)、心臓移植、静脈グラフト不全症;外傷患者における保存血液置換に関連する虚血-再灌流;
・末梢血管疾患;末梢動脈疾患;末梢動脈閉塞性疾患;筋緊張亢進;レイノー症候群または現象(原発性および二次性);レイノー病;重症下肢虚血;末梢塞栓症;間欠性跛行;血管閉塞性クリーゼ;筋ジストロフィー、デュシェンヌ型筋ジストロフィー、ベッカー型筋ジストロフィー;微小循環異常;血管漏出または浸透性の制御;腰部脊柱管狭窄;閉塞性血栓性血管炎;血栓性血管炎;末梢灌流妨害;動脈および静脈の血栓症;微量アルブミン尿;末梢性および自律神経ニューロパチー;糖尿病性神経障害疼痛;糖尿病性細小血管症;肝臓血管閉塞性障害;鎌状赤血球症における血管閉塞性クリーゼ;高血圧クリーゼ;
・浮腫;心不全が原因の腎性浮腫;
・アルツハイマー病;パーキンソン病;血管性認知症;血管性認知障害;脳血管攣縮;先天性筋無力症症候群;くも膜下出血;外傷性脳損傷;軽度認知障害に起きるもの、加齢性の学習および記憶の障害、加齢性の記憶喪失、血管性認知症、頭部損傷、脳卒中、脳卒中後の認知症、外傷性頭部損傷後、集中の一般的妨害ならびに学習および記憶の問題を伴う小児における集中の妨害などの、認知障害後の知覚、集中能力、学習または記憶の履行の能力の改善;レビー小体型認知症;ピック症候群を含む前頭葉変性を伴う認知症;進行性核上性麻痺;皮質基底核変性を伴う認知症;筋萎縮性側索硬化症(ALS);ハンチントン病;脱髄;多発性硬化症;視床変性;クロイツフェルト・ヤコブ認知症;HIV認知
症;認知症またはコルサコフ精神病を伴う統合失調症;多系統萎縮症および他の形態のパーキンソニズムプラス(Parkinsonism Plus);運動障害;神経保護;不安、緊張および抑うつまたは外傷後ストレス障害(PTSD);双極性障害;統合失調症;CNS関連の性機能障害および睡眠障害;病理学的摂食障害ならびに高級食糧および依存性薬物の使用;制御性脳灌流;片頭痛;脳梗塞(脳卒中(apoplexia cerebri))の予防および結果の制御;脳卒中、大脳虚血および頭部損傷の予防および結果の制御;CNS疾患に関連するニューロパチー;MSに関連する神経障害性疼痛;化学療法誘発性の神経障害性疼痛;帯状疱疹に関連する神経障害性疼痛;脊椎外科手術に関連する神経障害性疼痛;
・ショック;心原性ショック;敗血症;敗血症性ショック;アナフィラキシーショック;動脈瘤;白血球活性化の制御;血小板凝集の抑制または調節;多臓器機能障害症候群(MODS);多臓器不全(MOF);
・肺性/呼吸状態:肺高血圧(PH);肺動脈性高血圧(PAH)、および関連する肺血管性再構築;局在性血栓症および右心肥大の形態における血管性再構築;肺性筋緊張亢進;原発性肺高血圧;二次性肺高血圧;家族性肺高血圧;孤発性肺高血圧;前毛細血管肺高血圧;特発性肺高血圧;他の形態のPH;左室疾患、HIV、SCD、血栓塞栓症(CTEPH)、サルコイドーシス、COPD、肺線維症、急性呼吸促迫症候群(ARDS)、急性肺傷害、α1アンチトリプシン欠損症(AATD)、肺気腫、喫煙誘発性の気腫および嚢胞性線維症(CF)に関連するPH;血栓性肺動脈症;多因性肺動脈症;嚢胞性線維症;気管支収縮または肺性気管支収縮;急性呼吸器症候群;肺線維症、肺移植;喘息性疾患;
・左室機能障害、低酸素血症、WHO群I、II、III、IVおよびVの高血圧、僧帽弁疾患、収縮性心膜炎、大動脈弁狭窄、心筋症、縦隔線維症、肺線維症、肺静脈還流異常、肺静脈閉塞症、肺性血管炎、膠原病性血管疾患、先天性心疾患、肺静脈圧上昇、間質性肺疾患、睡眠呼吸障害、睡眠時無呼吸、肺胞低換気障害、高高度への慢性曝露、新生児肺疾患、肺胞毛細血管異形成、鎌状赤血球症、他の血液凝固障害、慢性血栓塞栓症、肺塞栓症に関連するかまたは関する肺高血圧;腫瘍、寄生虫または異物が原因の肺塞栓症;結合組織疾患、ループス、ループス腎炎、住血吸虫症、サルコイドーシス、慢性閉塞性肺疾患、喘息、気腫、慢性気管支炎、肺毛細血管腫症、組織球症X、リンパ管腫症、圧縮肺血管(compressed pulmonary vessels);腺症、腫瘍または線維化性縦隔炎が原因の圧縮肺血管;
・動脈硬化性(arterosclerotic)疾患または状態:アテローム性動脈硬化症;内皮傷害、血小板および単球の接着および凝集、平滑筋の増殖または遊走に関連するアテローム性動脈硬化症;再狭窄;血栓溶解療法、経皮経管血管形成術(PTA)、経管冠動脈形成術(PTCA)、心臓移植、バイパス手術または炎症過程後に発達した再狭窄;
・微小血管および大血管の損傷(血管炎);増加したレベルのフィブリノーゲンおよび低密度のDLD;増加した濃度のプラスミノーゲン活性化因子阻害剤1(PA-1);
・メタボリックシンドローム;代謝性疾患またはメタボリックシンドロームに関連する疾患:肥満;過剰皮下脂肪;過剰体脂肪蓄積;糖尿病;高血圧症;脂質関連障害、高脂血症、脂質異常症、高コレステロール血症、減少した高密度リポタンパク質コレステロール(HDL-コレステロール)、中程度に上昇した低密度リポタンパク質コレステロール(LDL-コレステロール)レベル、高トリグリセリド血症、高グリセリド血症、低リポタンパク質貧血、シトステロール血症、脂肪肝疾患、アルコール性脂肪肝疾患(AFLD)、非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)、肝炎;子癇前症;多発性腎臓疾患進行;肝脂肪変性または肝臓中の異常な脂質蓄積、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH);心臓、腎臓または筋肉の脂肪変性;アルファベータリポタンパク血症;シトステロール血症;黄色腫症;タンジール病;高アンモニア血症および関連疾患;肝性脳症;他の中毒性脳症;ライ症候群;
・性的、婦人科および泌尿器科の状態の障害:勃起機能障害;インポテンス;早漏;女
性性機能障害;女性性的刺激機能障害;低機能性的刺激障害;膣萎縮;性交疼痛症(dyspaneuria);萎縮性腟炎;良性前立腺肥大(BPH)、前立腺肥大、前立腺腫大;膀胱下尿道閉塞;膀胱痛症候群(BPS);間質性膀胱炎(IC);過活動膀胱;神経因性膀胱および失禁;糖尿病性腎症;原発性および二次性の月経困難症;下部尿路症候群(LUTS);子宮内膜症;骨盤痛;男性および女性の泌尿生殖器系の臓器の良性および悪性の疾患;
・慢性腎臓疾患;急性および慢性の腎機能不全;急性および慢性の腎不全;ループス腎炎;根本的なまたは関連する腎臓疾患:低灌流、透析中の低血圧、閉塞性尿路疾患、糸球体症、糸球体腎炎、急性糸球体腎炎、糸球体硬化症、尿細管間質障害、腎障害疾患、原発性および先天性の腎臓疾患、腎炎;異常に減少したクレアチニンおよびまたは水分排出により特徴付けられる疾患;尿素、窒素、カリウムおよび/またはクレアチニンの異常に増加した血液濃度により特徴付けられる疾患;腎臓酵素の変化した活性により特徴付けられる疾患、グルタミル合成酵素の変化した活性により特徴付けられる疾患;変化した尿浸透圧または尿量により特徴付けられる疾患;増加した微量アルブミン尿により特徴付けられる疾患、顕性アルブミン尿により特徴付けられる疾患;糸球体および細動脈の病変、尿細管拡大、高リン血症および/または透析の必要により特徴付けられる疾患;腎機能不全の続発症;肺水腫(pulmonary enema)関連の腎機能不全;HF関連の腎機能不全;尿毒症または貧血関連の腎機能不全;電解質異常(ヘルカレミア、低ナトリウム血症);骨および炭水化物代謝の妨害;急性腎臓傷害;
・緑内障、網膜症および糖尿病性網膜症などの眼の疾患または障害。
【0167】
[00190]用語「炎症」は、病原、損傷細胞、または刺激原などの有害な刺激に対する、
血管性組織の複雑な生物学的応答を表す。急性炎症の古典的な徴候は、疼痛、発熱、発赤、膨潤、および機能喪失である。炎症は、傷害性刺激を除去し、かつ治癒過程を開始するための、生命体による保護的試みである。炎症と感染はしばしば相関するけれども、炎症は、感染と同義ではない(炎症は、しばしば感染の結果である)。炎症はまた、感染がない場合にも起こり得るが、そのような種類の炎症は、通例、非適応性である(アテローム性動脈硬化症におけるなど)。炎症は、定型化した応答であり、したがって、各病原に特異的である適応免疫と比較して、自然免疫の機構と考えられる。炎症がない場合の組織の進行性破壊は、生命体の生存を危険にさらす。一方、慢性炎症は、枯草熱、歯周炎、アテローム性動脈硬化症、関節リウマチ、およびがんでさえ(例えば、胆嚢癌)などの宿主疾患に至り得る。それは、炎症が、通常は身体により正常に、厳密に調節されるという理由による。炎症は、急性または慢性のいずれかに分類され得る。急性炎症は、有害な刺激に対する身体の初期応答であり、血液から傷害組織への血漿および白血球(特に顆粒球)の移動増加により達成される。生化学的事象のカスケードは、傷害組織内の局所血管系、免疫系、および様々な細胞を含む、炎症性応答を伝播し、かつ成熟させる。慢性炎症として公知の長期の炎症は、炎症部位に存在する細胞の種類に進行性移行をもたらし、炎症過程からの組織の同時的破壊および治癒により特徴付けられる。
【0168】
[00191]別の実施形態では、本明細書に記載される化合物Iの多形体および薬学的に許
容される塩は、したがって、以下の種類の、炎症または炎症過程を含み得る、心臓、肺、末梢性、肝臓、腎臓、消化または中枢神経系の障害、状態および疾患の予防および/または処置に有用である:
・心筋炎症(心筋炎);慢性心筋炎;急性心筋炎;ウイルス性心筋炎;
・血管炎;膵炎;腹膜炎;リウマチ様疾患;
・腎臓の炎症性疾患;免疫学的腎臓疾患:腎臓移植拒絶反応、免疫複合体誘発性の腎臓疾患、毒素誘発性の腎症、造影剤誘発性の腎症;糖尿病性および非糖尿病性の腎症、腎盂腎炎、腎嚢胞、腎硬化症、高血圧性腎硬化症およびネフローゼ症候群;
・慢性間質性炎症、炎症性腸疾患(IBD)、クローン病、潰瘍性大腸炎(UC);
・炎症性皮膚疾患;
・眼の炎症性疾患、眼瞼炎、ドライアイ症候群、およびシェーグレン症候群;眼線維症。
【0169】
[00192]用語「創傷治癒」は、皮膚(または別の臓器または組織)が、傷害後にそれ自
体を修復する、入り組んだ過程を表す。例えば、正常な皮膚では、表皮(最外層)および真皮(内層またはさらに深い層)は、定常状態の平衡で存在して、外部環境に対する保護壁を形成する。ひとたび該保護壁が壊されると、創傷治癒の正常な(生理学的)過程が直ちに発動する。創傷治癒の古典的モデルは、3つまたは4つの連続的な、また重複する、相に分けられる:(1)止血(著者によっては相と考えない)、(2)炎症、(3)増殖および(4)再構築。皮膚への傷害時に、一連の複雑な生化学的事象が、傷害を修復するために密接に組織化されたカスケードで起きる。傷害後の最初の数分以内に、血小板は傷害部位に接着し、活性化され、凝集し(互いに結び付く)、架橋したフィブリンタンパク質の網目中に凝集した血小板の血塊を形成する、凝固カスケードの活性化が続く。この血塊が、活動性の出血を止める(「止血」)。炎症相中に、細菌および細胞片が白血球により貪食され、創傷から除去される。血小板由来の成長因子(血小板のアルファ顆粒中に保存される)が、創傷中に放出され、これが増殖相中に細胞の遊走および分裂を起こす。増殖相は、血管新生、コラーゲン沈着、肉芽組織形成、上皮化、および創傷収縮により特徴付けられる。「血管新生」では、血管内皮細胞が新しい血管を形成する。「線維増殖」および肉芽組織形成では、線維芽細胞が成長し、コラーゲンおよびフィブロネクチンを排出することにより、新しい一時的な細胞外基質(ECM)を形成する。同時に、表皮の「再上皮化」が起こり、上皮細胞が増殖し、創傷床の上を「ゆっくり動き」、新しい組織にカバーをもたらす。創傷収縮中に、筋線維芽細胞が、創傷端部をしっかりつかみ、かつ平滑筋細胞における機構と類似する機構を使用して収縮させることにより、創傷の大きさを小さくする。細胞の役割が完了に近づくと、不必要な細胞はアポトーシスを遂げる。成熟および再構築中に、コラーゲンが再構築され、かつ張力ラインに沿って再編成され、もはや必要とされない細胞はアポトーシスにより除去される。しかしながら、この過程は、複雑なだけでなく脆弱であり、中断または失敗しやすく、非治癒性の慢性創傷の形成に至る(一例は糖尿病性の創傷または潰瘍、および、詳細には、糖尿病性足部潰瘍を含む)。非治癒性の慢性創傷の一因となる要因は、糖尿病、静脈または動脈の疾患、感染、および高齢者の代謝欠損である。
【0170】
[00193]用語「骨治癒機転」、または「骨折治癒機転」は、身体が骨折の修復を促進す
る、増殖性の生理学的過程を表す。骨折治癒機転の過程では、いくつかの回復相が、骨折および脱臼の周囲の領域の増殖および保護を促進する。該過程の長さは、傷害の程度に依存し、ほとんどの上半身の骨折の修復には、2~3週間の通常のマージンが与えられ;下半身の傷害には、4週間超の任意の期間が与えられる。治癒過程は、主に「骨膜」(骨を覆う結合組織膜)により決定される。骨膜は、骨の治癒に必須である「軟骨芽細胞」および骨芽細胞に発達する、前駆細胞の1つの源である。骨髄(存在する時)、骨内膜、微小血管、および線維芽細胞は、前駆細胞の他の源である。
【0171】
[00194]別の実施形態では、本明細書に記載される化合物Iの多形体および薬学的に許
容される塩は、したがって、創傷または骨治癒機転の過程の刺激が望ましい、以下の種類の疾患、障害または状態の処置に有用である:
・糖尿病性の創傷または潰瘍の治癒;微小血管灌流改良;傷害に続くかまたは周術期ケアにおける炎症性応答に対抗する微小血管灌流改良;裂肛;糖尿病性潰瘍;糖尿病性足部潰瘍;骨治癒機転;破骨細胞性骨吸収および再構築;ならびに新骨形成。
【0172】
[00195]用語「結合組織」(CT)は、支持し、結合するか、または身体の異なる種類
の組織および臓器を分離する、一種の動物組織を表す。これは、動物組織の4つの一般クラスの1つであり、その他は上皮、筋肉、および神経の組織である。結合組織は、中枢神
経系を含む至る所で見出される。これは、他の組織と組織の間に位置する。全てのCTは、3つの主要成分である基質、線維および細胞を有し、これら全ての成分は、体液に浸っている。
【0173】
[00196]用語「結合組織障害または状態」は、身体の1つまたは複数の部分における結
合組織に異常性を含む任意の状態を表す。特定の障害は、通例、正常組織(例えば、特定の臓器の正常組織)と結合組織との置き換えで、結果としての組織に対する炎症および全身性損傷を伴う、免疫系の活動過剰により特徴付けられる。他の障害は、結合組織自体の生化学的異常性または構造上の欠陥を含む。これらの障害のいくつかは遺伝性であり、かついくつかは未知の病因である。
【0174】
[00197]結合組織疾患が自己免疫性起源である時、それらは、「リウマチ障害」、「自
己免疫性リウマチ障害」または「自己免疫性コラーゲン-血管障害」として分類される。
[00198]「自己免疫性障害」では、抗体または身体により生成される他の細胞が、身体
自身の組織を攻撃する。多くの自己免疫性障害は、種々の臓器における結合組織に影響を及ぼす。自己免疫性障害では、炎症および免疫応答が、腎臓または消化管臓器などの、生命の維持に必要不可欠な重要臓器を含む、関節の周りおよび他の組織中の結合組織傷害も来たし得る。心臓を取り囲む嚢(心膜)、肺を覆う膜(胸膜)、縦隔(胸郭中の構造の正確に表現されていない群、疎性結合組織に取り囲まれ、心臓、心臓の大血管、食道、気管、横隔神経、心臓神経、胸管、胸腺、および中心胸部のリンパ節を含む)および脳でさえ、影響され得る。
【0175】
[00199]用語「線維症」は、本明細書で使用される場合、身体の特定の臓器または部分
における、結合組織または線維性組織(瘢痕組織、コラーゲン)の蓄積を表す。線維症が単一の細胞系統から生じる場合、「線維腫」と呼ばれる。線維症は、身体が、損傷を受けた細胞を修復し、かつ置き換えようと試みるために起こり、したがって反応性、良性または病理学的な状態であり得る。生理学的線維症は、瘢痕の過程と同様である。病理学的状態は、対象となる組織が繰り返し、かつ連続して損傷を受けた時に発達する。傷害の単一エピソードは、たとえ重度であっても、通例、線維症は起こさない。傷害が繰り返されるかまたは連続的である場合(例えば、慢性肝炎において起きるなど)、身体は、傷害を修復しようと試みるが、その試みは、代わりに瘢痕組織の過剰蓄積をもたらす。瘢痕組織は、瘢痕組織が遂行することができない特定の機能を遂行する臓器の通常の組織を置き換え始め;それは、血流を妨げ、他の細胞への血液供給を制限することにもなり得る。結果として、これらの他の機能細胞は死滅し始め、より多くの瘢痕組織が形成される。これが肝臓で起きる時、腸から肝臓へ血液を運ぶ静脈(門脈)中の血圧が増加し、「門脈圧亢進症」として公知の状態を起こす。
【0176】
[00200]用語「硬化症」は、通例、正常な臓器特異性組織と結合組織との置き換えによ
る、正常には柔軟である組織または構造または臓器の硬化または硬直を表す。
[00201]肺線維症(特発性肺線維症、嚢胞性線維症)、肝臓の線維症(または「肝硬変
”)、心内膜心筋線維症、陳旧性心筋梗塞、心房線維症、縦隔線維症、骨髄線維症(骨髄に影響を及ぼす)、後腹膜線維症、進行性塊状線維症(肺に影響を及ぼす)、腎性線維症(皮膚に影響を及ぼす)、クローン病、関節線維症、ペロニー病(陰茎に影響を及ぼす)、デュピュイトラン拘縮(手および指に影響を及ぼす)、いくつかの形態の癒着性関節包炎(肩部に影響を及ぼす)を含むが、これらに限定されない、多くの種類の線維症または線維性疾患がある。
【0177】
[00202]筋萎縮性側索硬化症(ALS);アテローム性動脈硬化症;巣状分節性糸球体
硬化症およびネフローゼ症候群;海馬硬化症(脳に影響を及ぼす);硬化性苔癬(膣および陰茎の結合組織を硬化させる疾患);肝臓硬化症(肝硬変);多発性硬化症または巣状
硬化症(協調運動に影響を及ぼす疾患);骨硬化症(骨密度が著しく低下する疾患);耳硬化症(耳に影響を及ぼす疾患);結節性硬化症(多系統に影響を及ぼすまれな遺伝性疾患);原発性硬化性胆管炎(cholanginitis)(胆管の硬化);原発性側索硬化症(随意筋における進行性筋力低下);およびケロイドを含むが、これらに限定されない、多くの種類の硬化症または「硬化性疾患」がある。
【0178】
[00203]用語「強皮症」または「全身性硬化症」または「進行性全身性強皮症」は、関
節、皮膚および内臓の瘢痕、同様に血管異常性を含む状態を表す。全身性硬化症は、例えば、時に、皮膚のみにもしくは主に皮膚の特定の部分のみに影響を及ぼすかまたはCREST症候群(躯幹ではなく皮膚の周辺部が含まれる)として、時に、限定された形態で起こり得る。全身性硬化症の通常の初期症状は膨潤であり、次に指先の皮膚の肥厚および強固化である。「レイノー現象」は、指が突然かつ一時的に非常に蒼白となり、うずくかもしくは麻痺し、有痛性であるかまたはその両方が一般的である。
【0179】
[00204]用語「多発性筋炎」は、筋肉の炎症を表す。用語「皮膚筋炎」は、皮膚炎を伴
う筋肉の炎症を表す。用語「多発性軟骨炎」は、軟骨の炎症を表す。
[00205]用語「好酸球性筋膜炎(oesinophilic fasciitis)」
は、好酸球性免疫細胞が放出され、皮膚の真下で、筋肉の上および間にある強靱な線維性組織の層である、「筋膜」の炎症および硬化をもたらすまれな障害を表す。筋膜は、腕および脚において、痛んで炎症を起こし、腫脹し、かつ徐々に硬化する。腕および脚の皮膚が進行性に硬化するため、腕および脚は動かすことが困難になる。最終的に、これらは通常の位置で動かなくなる。時に、腕が関与する場合は、患者は手根管症候群に発達し得る。
【0180】
[00206]別の実施形態では、本明細書に記載される化合物Iの多形体または薬学的に許
容される塩を投与することにより、処置および/または予防され得る障害の特異的な疾患は、炎症、自己免疫または線維症(すなわち、線維性疾患)を含む以下の種類の疾患を含むが、これらに限定されない:
・泌尿生殖器系または腎臓障害:糖尿病性腎症;慢性腎臓疾患または腎機能不全に起因する腎線維症および腎不全;蓄積/沈着および組織傷害が原因の腎線維症および腎不全;腎硬化症;進行性硬化症;糸球体腎炎;巣状分節性糸球体硬化症;ネフローゼ症候群;前立腺肥大;腎臓線維症;間質性腎線維症;
・肺系統障害:肺線維症;特発性肺線維症;嚢胞性線維症;進行性塊状線維症;肺に影響を及ぼす進行性塊状線維症;
・心臓に影響を及ぼす障害:心内膜心筋線維症;陳旧性心筋梗塞;心房線維症;心臓間質性線維症;心臓再構築および線維症;心肥大;
・肝臓および関連する臓器の障害:肝臓硬化症または肝硬変;慢性肝臓疾患に関連する肝硬変;肝線維症;肝星細胞活性化;NASH;肝線維性コラーゲンおよび総コラーゲン蓄積;壊死性炎症性および/または免疫学的起源の肝臓疾患;原発性胆汁性肝硬変;原発性硬化性胆管炎;他の胆汁うっ滞性肝臓疾患:肉芽腫性肝臓疾患に関連するもの、肝悪性腫瘍、妊娠の肝内胆汁うっ滞、肝炎、敗血症、薬物または毒素、移植片対宿主病、肝臓移植後、総胆管結石、胆管腫瘍、膵癌、ミリッツィ症候群、AIDS胆管症または寄生虫;住血吸虫症;肝細胞癌;
・消化器系疾患または障害:クローン病;潰瘍性大腸炎;消化器の硬化症;アカラシア;
・皮膚または眼の疾患:腎性線維症;増殖性硝子体網膜症(vitroretinopathy);糖尿病性網膜症;眼線維症;
・線維性局所的または皮膚の障害もしくは状態;真皮性線維症;強皮症、皮膚線維症;モルフェア;肥厚性瘢痕;母斑;ケロイド;サルコイド;肉芽腫;
・神経系に影響を及ぼす疾患:筋萎縮性側索硬化症(ALS);海馬硬化症、多発性硬
化症(MS);巣状硬化症;原発性側索硬化症;
・骨の疾患;骨硬化症;
・耳硬化症;他の聴覚疾患または障害;難聴、部分的または全体的な聴力損失;部分的または全体的な聴覚喪失;耳鳴;騒音性聴力損失;
・自己免疫、炎症または線維症を含む他の疾患:強皮症;局在性強皮症または限局性強皮症;縦隔線維症;線維症縦隔炎;骨髄線維症;後腹膜線維症;関節線維症;ペロニー病;デュピュイトラン拘縮;硬化性苔癬;いくつかの形態の癒着性関節包炎;アテローム性動脈硬化症;結節性硬化症;全身性硬化症;多発性筋炎;皮膚筋炎;多発性軟骨炎;好酸球性筋膜炎;全身性エリテマトーデスまたはループス;骨髄線維症(bone marrow fibrosis)、骨髄線維症(myelofibrosis)または骨骨髄線維症;サルコイドーシス;子宮筋腫;子宮内膜症。
【0181】
[00207]別の実施形態では、本明細書に記載される化合物Iの多形体または薬学的に許
容される塩を投与することにより、処置および/または予防され得る障害の特異的な疾患は:特定の種類のがん;鎌状赤血球症;鎌状赤血球貧血;がん転移;骨粗鬆症;胃不全麻痺;機能性ディスペプシア;糖尿病性合併症;脱毛症または毛髪脱落;内皮機能障害に関連する疾患;減少した一酸化窒素産生に関連する神経障害;アルギノコハク酸尿症;神経筋疾患:デュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)、ベッカー型筋ジストロフィー(BMD)、肢帯型筋ジストロフィー、遠位型ミオパチー、I型およびII型の筋緊張性ジストロフィー、顔面肩甲腓骨筋ジストロフィー、常染色体性およびX連鎖性エメリ-ドレフュス型筋ジストロフィー、眼咽頭型筋ジストロフィー、筋萎縮性側索硬化症および脊髄性筋萎縮症(SMA)を含むが、これらに限定されない。
【0182】
[00208]いくつかの実施形態では、本発明は、対象における疾患、健康状態または障害
を処置する方法に関し、治療有効量の本明細書に記載される化合物Iの多形体または薬学的に許容される塩を、処置を必要とする対象に投与することを含み、該疾患、健康状態または障害は、上に収載した疾患の1つから選択される。
【0183】
[00209]別の実施形態では、本発明の固体形態は、ステントなどの埋込式装置の形態で
送達され得る。ステントは、疾患誘発性の、局在性流動収斂を予防するかまたは対抗するために、身体中の自然の通路/導管に挿入される網目状の「管」である。該用語はまた、手術のためのアクセスを可能にするように、そのような自然の導管を一時的に開いたままにしておくために使用される管も表し得る。
【0184】
[00210]薬剤溶出性ステント(DES)は、狭くなった、病的な末梢動脈または冠動脈
内に入れられ、薬物をゆっくり放出して細胞増殖、通例、平滑筋細胞増殖を遮断する、末梢ステントまたは冠動脈ステント(スキャフォールド)である。これは、血塊(血小板塞栓)と共に、ステントがなかったならばステント留置された動脈を遮断(これは再狭窄と呼ばれる過程である)し得る線維症を予防する。ステントは、通例、介入性の心臓病専門医または介入性の放射線科医によって、血管形成手順中に、末梢動脈または冠動脈内に入れられる。細胞増殖を遮断するために、DESにおいて一般的に使用される薬物は、パクリタキセルまたはラパマイシン類似体を含む。
【0185】
[00211]本発明のいくつかの実施形態では、本発明の化合物Iの多形体もしくは薬学的
に許容される塩、またはその医薬組成物は、固体形態または医薬組成物でコーティングされた薬剤溶出性ステントにより送達され得る。本発明の化合物Iの固体形態(または医薬組成物)でコーティングされた薬剤溶出性ステントは、経皮的冠動脈形成術中のステント再狭窄および血栓症の予防に有用であり得る。本発明の化合物Iの固体形態(または医薬組成物)でコーティングされた薬剤溶出性ステントは、滑らかな細胞の増殖を妨げ、同様にステントが挿入される動脈の内皮組織の血管再建および再生を補助することが可能であ
り得る。
【0186】
[00212]冠動脈閉塞性疾患が原因の難治性狭心症の処置のための経皮的冠動脈形成術に
対する代替術は、冠動脈バイパス術(CABG)と名称付けされた手順である。CABGは、グラフトアテローム性動脈硬化症の急速な発達によりさらに複雑となる、進行中の過程の緩和のみを提供する。伏在静脈グラフトは、CABG手術において最も一般的に使用される導管である。静脈性CABGの長期臨床的成功は、3つの主要な理由によって妨害される:加速度的なグラフトアテローム性動脈硬化症、不完全な内皮化および血栓症。
【0187】
[00213]いくつかの実施形態では、本発明の化合物Iの固体形態は、CABG中の伏在
グラフト不全の予防に使用され得る。本発明の固体形態は、内皮化の過程を補助し、かつ血栓症の予防の助けとなり得る。この効能では、化合物Iの固体形態は、ゲルの形態で局所的に送達される。
【0188】
[00214]用語、「疾患」、「障害」および「状態」は、sGC、cGMPおよび/また
はNOを介した医学的または病理学的な状態を表すために、本明細書で互換的に使用され得る。
【0189】
[00215]本明細書で使用される時、用語「対象」および「患者」は、互換的に使用され
る。用語「対象」および「患者」は、動物(例えば、ニワトリ、ウズラ類もしくはシチメンチョウなどの鳥類、または哺乳類)、詳細には、非霊長類(例えば、ウシ、ブタ、ウマ、ヒツジ、ウサギ、モルモット、ラット、ネコ、イヌ、およびマウス)を含む「哺乳類」ならびに霊長類(例えば、サル、チンパンジーおよびヒト)、ならびにより詳細にはヒトを表す。いくつかの実施形態では、対象は、家畜(例えば、ウマ、ウシ、ブタもしくはヒツジ)、またはペット(例えば、イヌ、ネコ、モルモットもしくはウサギ)などの非ヒト動物である。いくつかの実施形態では、対象はヒトである。
【0190】
[00216]本発明はまた、対象における上述の疾患、状態および障害の1つを処置する方
法も提供し、治療有効量の化合物Iの多形体または薬学的に許容される塩を、処置を必要とする対象に投与することを含む。あるいは、本発明は、処置を必要とする対象における、これらの疾患、状態および障害の1つの処置における、化合物Iの多形体または薬学的に許容される塩の使用を提供する。本発明は、化合物Iの多形体または薬学的に許容される塩を使用することを含む、これらの疾患、状態および障害の1つを処置するのに有用な医薬を作製または製造する方法をさらに提供する。
【0191】
[00217]用語「生物試料」は、本明細書で使用される時、in vitroまたはex
vivoの試料を表し、限定されることなく、細胞培養物またはその抽出物;哺乳類から得られた生検材料またはその抽出物;血液、唾液、尿、糞便、精液、涙、リンパ液、眼液、硝子体液、もしくは他の体液またはその抽出物を含む。
【0192】
[00218]本明細書で使用される時、用語「処置」または「処置すること」は、互換的に
使用される。これらの用語は、有益なまたは所望の結果を得るための手法を表し、治療的利益を含むが、これに限定されない。治療的利益は、処置されるべき根本的な障害の根絶もしくは改善を含み、また、患者が根本的な障害に依然として苦しんでいる恐れがあるにもかかわらず、患者において改善が見られるような、根本的な障害に関連する1つまたは複数の症状の根絶もしくは改善を含む。
【0193】
[00219]本明細書で使用される時、用語「処置する」、「処置」および「処置すること
」は、1つまたは複数の治療薬(例えば、本発明の化合物Iの多形体もしくは薬学的に許容される塩またはその組成物などの1つもしくは複数の治療剤)の投与に起因する、進行
、重症度ならびに/またはsGC、cGMPおよび/もしくはNOを介した状態の持続期間の低減もしくは改善、または前記状態の1つもしくは複数の症状(好ましくは、1つもしくは複数の識別可能な症状)の改善(すなわち、状態を「治癒すること」なく「管理すること」)を表す。特定の実施形態では、用語「処置する」、「処置」および「処置すること」は、sGC、cGMPおよび/またはNOを介した状態の、少なくとも1つの測定可能な身体的パラメータの改善を表す。他の実施形態では、用語「処置する」、「処置」および「処置すること」は、例えば、識別可能な症状の安定化によるような身体的、または例えば、身体的パラメータの安定化によるような生理学的のいずれか、またはその両方での、sGC、cGMPおよび/またはNOを介した状態の進行の阻害を表す。
【0194】
[00220]用語「予防すること」は、本明細書で使用される時、疾患または障害の1つま
たは複数の症状の出現を、前もって防ぐかまたは未然に防ぐために、医薬を投与することを表す。医療分野で通常の技術を有する者は、用語「予防する」は絶対的な用語ではないことを認識する。医療分野では、それが、状態、もしくは状態の症状の可能性または重篤度を実質的に減弱させるための、薬物の予防的投与を表すことが理解され、これが本開示において意図される主意である。本分野における標準的文書である、医師用添付文書集(Physician’s Desk Reference)は、用語「予防する」を何百回となく使用する。該文書で使用される時、用語「予防する」、「予防すること」および「予防」は、障害または疾患に関して、疾患または障害自体が完全に顕在化する前に、疾患または障害の原因、影響、症状または進行を防ぐことを表す。
【0195】
[00221]一実施形態では、本発明の方法は、sGC、cGMPおよび/またはNO関連
の疾患、障害または症状へと発達する素因(例えば、遺伝的素因)を有する患者にとって、詳細にはヒトにとって、予防のまたは「先制の」手段である。
【0196】
[00222]他の実施形態では、本発明の方法は、患者にsGC、cGMPまたはNO関連
の疾患、障害または症状へと発達させる危険性がある、疾患、障害または状態に苦慮している患者にとって、詳細にはヒトにとって、予防のまたは「先制の」手段である。
【0197】
[00223]本明細書に記載される固体形態および医薬組成物は、sGC、cGMPおよび
/またはNOにより媒介され、制御されるかまたは影響される疾患または障害の処置または予防のために、単独または併用療法で使用され得る。
【0198】
[00224]本明細書に開示される固体形態および組成物はまた、イヌ、ネコ、マウス、ラ
ット、ハムスター、スナネズミ、モルモット、ウサギ、ウマ、ブタおよびウシを限定されることなく含む、伴侶動物、外来性の動物および家畜の、獣医用の処置にも有用である。
【0199】
[00225]他の実施形態では、本発明は、生物試料におけるsGC活性を刺激する方法で
あって、前記生物試料と本発明の固体形態または組成物とを接触させることを含む方法を提供する。生物試料におけるsGC刺激剤の使用は、当技術分野で公知の種々の目的に有用である。そのような目的の例は、生物学的アッセイおよび生物学的標本保存を限定されることなく含む。
【0200】
併用療法
[00226]本明細書に記載される固体形態および医薬組成物は、1つまたは複数のさらな
る治療剤を用いる併用療法に使用され得る。1種より多い活性薬剤を用いる併用処置に関して、該活性薬剤が別々の投薬製剤である場合、該活性薬剤は、別々にまたは併せて投与され得る。加えて、1要素の投与は、他の薬剤の投与の前、同時に、または後であってもよい。
【0201】
[00227]他の薬剤と同時投与される時、例えば、別の治療薬物と同時投与される時、第
2の薬剤の「有効量」は、使用される薬物の種類に依存する。好適な投薬量は、承認された薬剤に関して公知であり、かつ対象の状態、処置される状態(複数可)の種類および使用される本明細書に記載される化合物の量に基づいて、当業者により調節され得る。量が明記されていない場合には、有効量が想定される。例えば、本明細書に記載される固体形態は、約0.01~約10,000mg/kg体重/日、約0.01~約5000mg/kg体重/日、約0.01~約3000mg/kg体重/日、約0.01~約1000mg/kg体重/日、約0.01~約500mg/kg体重/日、約0.01~約300mg/kg体重/日、約0.01~約100mg/kg体重/日の間の投薬量範囲で、対象に投与され得る。
【0202】
[00228]「併用療法」が利用される時、有効量は、第1の量の化合物Iの多形体または
薬学的に許容される塩および第2の量のさらなる好適な治療剤を使用して達成され得る。
[00229]本発明の一実施形態では、化合物Iの多形体または薬学的に許容される塩、お
よびさらなる治療剤は、有効量(すなわち、それぞれ、単独で投与される場合の治療上有効である量)でそれぞれ投与される。別の実施形態では、化合物Iの多形体または薬学的に許容される塩、およびさらなる治療剤は、単独では治療効果を提供しない量(サブ治療用量)で、それぞれ投与される。さらに別の実施形態では、化合物Iの多形体または薬学的に許容される塩は有効量で投与され得、一方、さらなる治療剤はサブ治療用量で投与される。さらに別の実施形態では、化合物Iの多形体または薬学的に許容される塩はサブ治療用量で投与され得、一方、例えば、好適ながん治療剤のようなさらなる治療剤は有効量で投与される。
【0203】
[00230]本明細書で使用される時、用語「組み合わせて」または「同時投与」は、1種
より多い治療薬の使用(例えば、1つまたは複数の予防的および/または治療的な薬剤)を表すために、互換的に使用され得る。該用語の使用は、治療薬(例えば、予防的および/または治療的な薬剤)が対象に投与される順序を制限しない。
【0204】
[00231]同時投与は、例えば一定比率の第1および第2の量を有するカプセル剤もしく
は錠剤のような単一の医薬組成物、または複数のそれぞれ別々のカプセル剤もしくは錠剤などの、本質的に同時方式における第1および第2の量の化合物の投与を包含する。加えて、そのような同時投与はまた、連続方式で、いずれの順序でも、それぞれの化合物の使用も包含する。同時投与が、第1の量の化合物Iの多形体または薬学的に許容される塩、および第2の量のさらなる治療剤の別々の投与を含む時、化合物は、所望の治療効果を有するように、十分に近接した時間内に投与される。例えば、所望の治療効果をもたらし得る各投与の間の期間は、分の範囲から時間の範囲であり得、効力、溶解度、生物学的利用能、血漿半減期および動態学的特質などの各化合物の特性を考慮して決定され得る。例えば、化合物Iの多形体または薬学的に許容される塩および第2の治療剤は、互いに約24時間以内に、互いに約16時間以内に、互いに約8時間以内に、互いに約4時間以内に、互いに約1時間以内に、または互いに約30分以内に、任意の順序で投与され得る。
【0205】
[00232]より詳細には、第1の治療薬(例えば、予防的または治療的な量の本明細書に
記載される化合物Iの多形体または薬学的に許容される塩)は、第2の治療薬(例えば、抗がん剤などの予防的または治療的な薬剤)の投与の前(例えば、5分間、15分間、30分間、45分間、1時間、2時間、4時間、6時間、12時間、24時間、48時間、72時間、96時間、1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、8週間、もしくは12週間前)に付随して、または第2の治療の後(例えば、5分間、15分間、30分間、45分間、1時間、2時間、4時間、6時間、12時間、24時間、48時間、72時間、96時間、1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、8週間、もしくは12週間後)で、対象に投与され得る。
【0206】
[00233]化合物Iの多形体または薬学的に許容される塩と組み合わせられ、別々にまた
は同一の医薬組成物中のいずれかで投与され得る、他の治療剤の例は:
(1)血管内皮由来の放出因子(EDRF);
(2)NOドナーの、例えばニトロソチオール、ニトリル、シドノニミン、NONOate、N-ニトロソアミン、N-ヒドロキシルニトロソアミン、ニトロソイミン、ニトロチロシン、ジアゼチン二酸化物、オキサトリアゾール5-イミン、オキシム、ヒドロキシルアミン、N-ヒドロキシグアニジン、ヒドロキシ尿素またはアンチフロキサン(antifuroxan)など。これらの種類の化合物のいくつかの例は:三硝酸グリセリル(GTN、ニトログリセリン(nitroglycerin)、ニトログリセリン(nitroglycerine)、およびトリニトログリセリン(trinitrogylcerin)としても公知)、グリセロールの硝酸エステル;ニトロプルシドナトリウム(SNP)、鉄金属に1分子の一酸化窒素が配位して、両四角錐(square bipyramidal)錯体を形成する;3-モルホリノシドノンイミン(SIN-1)、モルホリンとシドノンイミンとの組み合わせにより形成される双性イオン性化合物;S-ニトロソ-N-アセチルペニシラミン(SNAP)、ニトロソチオール官能基を有するN-アセチルアミノ酸誘導体;ジエチレントリアミン/NO(DETA/NO)、ジエチレントリアミンに共有結合的に連結した一酸化窒素の化合物;およびNCX4016、アセチルサリチル酸のm-ニトロキシメチルフェニルエステルを含む。これらのクラスのNOドナーのいくつかのより特異的な例は:ニトログリセリン、亜硝酸アミル、二硝酸イソソルビド、5-一硝酸イソソルビドおよびニコランジルを含む有機ニトレートおよび亜硝酸エステルなどの古典的ニトロ血管拡張薬;イソソルビド(Dilatrate(登録商標)-SR、Imdur(登録商標)、Ismo(登録商標)、Isordil(登録商標)、Isordil(登録商標)、Titradose(登録商標)、Monoket(登録商標))、FK409(NOR-3);FR144420(NOR-4);3-モルホリノシドノンイミン;リンシドミンクロロ水和物(「SIN-1」);S-ニトロソ-N-アセチルペニシラミン(「SNAP」);AZD3582(CINOD リード化合物)、NCX4016、NCX701、NCX1022、HCT1026、NCX1015、NCX950、NCX1000、NCX1020、AZD4717、NCX1510/NCX1512、NCX2216,およびNCX4040(全てNicOx S.A.から入手可能)、S-ニトロソグルタチオン(GSNO)、ニトロプルシドナトリウム、S-ニトロソグルタチオンモノ-エチル-エステル(GSNO-エステル)、6-(2-ヒドロキシ-1-メチル-ニトロソヒドラジノ)-N-メチル-1-ヘキサンアミン(NOC-9)またはジエチルアミンNONOateを含む。一酸化窒素ドナーはまた、米国特許第5,155,137号、同5,366,997号、同5,405,919号、同5,650,442号、同5,700,830号、同5,632,981号、同6,290,981号、同5,691,423号、同5,721,365号、同5,714,511号、同6,511,911号、および同5,814,666号、Chrysselisら、(2002年)J Med Chem. 45:5406-9(NOドナー 14~17など)、およびNitric Oxide Donors for Pharmaceutical and Biological Research、Eds:Peng George Wang、Tingwei Bill Cai、Naoyuki Taniguchi、Wiley、2005年にも開示されている;
(3)cGMP濃度を増加させる他の物質の、例えばプロトポルフィリンIX、アラキドン酸およびフェニルヒドラジン誘導体など;
(4)一酸化窒素合成酵素基質:例えば、N[G]-ヒドロキシ-L-アルギニン(NOHA)、1-(3,4-ジメトキシ-2-クロロベンジリデンアミノ)-3-ヒドロキシグアニジン、およびPR5(1-(3,4-ジメトキシ-2-クロロベンジリデンアミノ)-3-ヒドロキシグアニジン)などのn-ヒドロキシグアニジンをベースとする類似体;L-アルギニン誘導体(ホモ-Arg、ホモ-NOHA、N-tert-ブチルオキ
シ-およびN-(3-メチル-2-ブテニル)オキシ-L-アルギニン、カナバニン、イプシロングアニジン-カルポ酸、アグマチン、ヒドロキシル-アグマチン、およびL-チロシル-L-アルギニンなど);N-アルキル-N’-ヒドロキシグアニジン(N-シクロプロピル-N’-ヒドロキシグアニジンおよびN-ブチル-N’-ヒドロキシグアニジンなど)、N-アリール-N’-ヒドロキシグアニジン(N-フェニル-N’-ヒドロキシグアニジンおよびそれぞれ、-F、-Cl、-メチル、-OH置換基を持つ、そのパラ-置換誘導体など);3-(トリフルオロメチル)プロピルグアニジンなどのグアニジン誘導体;ならびにCaliら(2005年、Current Topics in Medicinal Chemistry 5:721-736)に概説される他のものおよびそこに引用される文献に開示される他のもの;
(5)eNOS転写を増強する化合物:例えば、WO 02/064146、WO 02/064545、WO 02/064546およびWO 02/064565、ならびにUS2003/0008915、US2003/0022935、US2003/0022939およびUS2003/0055093などの対応する特許文献に記載されるもの。US20050101599に記載されるものを含む他のeNOS転写促進薬(例えば、2,2-ジフルオロベンゾ[1,3]ジオキソール-5-カルボン酸インダン-2-イルアミド、および4-フルオロ-N-(インダン-2-イル)-ベンズアミド)、ならびにサノフィ・アベンティス化合物AVE3085およびAVE9488(CA Registry NO.916514-70-0;Schaferら、Journal of
Thrombosis and Homeostasis 2005年;第3巻、Supplement 1:要約番号P1487);
(6)NO非依存性ヘム-依存性のsGC活性化因子:BAY 58-2667(特許刊行物DE19943635を参照のこと)
【0207】
【化3】
【0208】
HMR-1766(アタシグアトナトリウム(ataciguat sodium)、特許刊行物WO2000002851を参照のこと)
【0209】
【化4】
【0210】
S3448(2-(4-クロロ-フェニルスルホニルアミノ)-4,5-ジメトキシ-N-(4-(チオモルホリン-4-スルホニル)-フェニル)-ベンズアミド(特許刊行物DE19830430およびWO2000002851を参照のこと)
【0211】
【化5】
【0212】
;ならびに
HMR-1069(サノフィ・アベンティス)
を含むが、これらに限定されない。
【0213】
(7)ヘム-依存性のsGC刺激剤:
YC-1(特許刊行物EP667345およびDE19744026を参照のこと)
【0214】
【化6】
【0215】
リオシグアト(BAY 63-2521、アデムパス、市販製品、DE19834044に記載される)
【0216】
【化7】
【0217】
ネリシグアト(Neliciguat)(BAY 60-4552、WO 2003095451に記載される)
【0218】
【化8】
【0219】
ベリシグアト(Vericiguat)(BAY 1021189、リオシグアトに対する臨床的バックアップ)、
BAY 41-2272(DE19834047およびDE19942809に記載される)
【0220】
【化9】
【0221】
BAY 41-8543(DE19834044に記載される)
【0222】
【化10】
【0223】
エトリシグアト(Etriciguat)(WO 2003086407に記載される)
【0224】
【化11】
【0225】
CFM-1571(特許刊行物WO2000027394を参照のこと)
【0226】
【化12】
【0227】
A-344905、そのアクリルアミド類似体A-350619およびアミノピリミジン類似体A-778935。
【0228】
【化13】
【0229】
【化14】
【0230】
刊行物の1つに開示される化合物:US20090209556、US8455638、US20110118282(WO2009032249)、US20100292192、US20110201621、US7947664、US8053455(WO2009094242)、US20100216764、US8507512、(WO2010099054)、US20110218202(WO2010065275)、US20130012511(WO2011119518)、US20130072492(WO2011149921)、US20130210798(WO2012058132)およびTetrahedron Letters(2003年)、44(48):8661-8663に開示される他の化合物
を含むが、これらに限定されない。
【0231】
(8)cGMPの分解を阻害する化合物:
PDE5阻害剤の、例えば、シルデナフィル(Viagra(登録商標))ならびに他の関連する薬剤の、例えばアバナフィル、ロデナフィル(Lodenafil)、ミロデナフィル(Mirodenafil)、シルデナフィルクエン酸塩(Revatio(登録商標))、タダラフィル(Cialis(登録商標)またはAdcirca(登録商標))、バルデナフィル(Levitra(登録商標))およびウデナフィルなど;アルプロスタジル;およびジピリダモール;PF-00489791など;
例えば、PF-04447943などのPDE9阻害剤;など
(9)カルシウムチャネル遮断薬:
ジヒドロピリジンカルシウムチャネル遮断薬:アムロジピン(ノルバスク)、アラニジピン(サプレスタ(Sapresta))、アゼルニジピン(カルブロック)、バルニジピン(ヒポカ)、ベニジピン(コニール)、シルニジピン(アテレック、シナロング、シスカード(Siscard))、クレビジピン(クレビプレックス(Cleviprex))、ジルチアゼム、エホニジピン(ランデル)、フェロジピン(プレンジル(Plendil))、ラシジピン(モテンス(Motens)、ラシピル(Lacipil))、レルカニジピン(ザニジップ(Zanidip))、マニジピン(カルスロット、マジピン(Madipine))、ニカルジピン(カルデン(Cardene)、カルデンSR(Carden Sr))、ニフェジピン(プロカジア、アダラート)、ニルバジピン(ニバジール)、ニモジピン(ニモトップ(Nimotop))、ニソルジピン(バイミカード、スラー(Sular)、シスコール(Syscor))、ニトレンジピン(カージフ(Cardif)、ニトレピン(Nitrepin)、バイロテンシン)、プラニジピン(Pranidipine)(アカラス(Acalas))、イスラジピン(ロミール(Lomir));など
フェニルアルキルアミンカルシウムチャネル遮断薬:ベラパミル(カラン、イソプチン)
【0232】
【化15】
【0233】
ガロパミル(プロコラム(Procorum)、D600);
ベンゾチアゼピン:ジルチアゼム(カルディゼム);
【0234】
【化16】
【0235】
非選択性カルシウムチャネル阻害剤:ミベフラジル、ベプリジルおよびフルスピリレン、フェンジリンなど;
(10)エンドセリン受容体アンタゴニスト(ERA):例えば、2種の(ETおよびET)エンドセリン受容体アンタゴニスト、ボセンタン(Tracleer(登録商標)として市販);シタキセンタン(Sitaxentan)、Thelin(登録商標)の名称で市販;アンブリセンタンは米国でLetairis(登録商標)として市販;2008年に臨床試験に入った、2種の/非選択性エンドセリンアンタゴニスト、アクテリオン-1(Actelion-1);
(11)プロスタサイクリン誘導体または類似体:例えば、プロスタサイクリン(プロスタグランジンI)、エポプロステノール(合成のプロスタサイクリン、Flolan(登録商標)として市販);トレプロスチニル(Remodulin(登録商標))、イロプロスト(Ilomedin(登録商標))、イロプロスト(Ventavis(登録商標)として市販);開発中の経口および吸入形態のRemodulin(登録商標);ベラプロスト、日本および韓国で入手可能な口プロスタノイド;
(12)抗脂質異常症薬:胆汁酸捕捉剤(例えば、コレスチラミン、コレスチポール、コレスチランおよびコレセベラム);アトルバスタチン、シンバスタチン、ロバスタチン、フルバスタチン、ピタバスタチン、ロスバスタチンおよびプラバスタチンなどのスタチン;エゼチミブなどのコレステロール吸収阻害剤;イコサペント酸エチルエステル、オメガ3脂肪酸エチルエステル、レデュコール(Reducol)などの他の抗高脂血症剤;クロフィブレート、ベザフィブレート、クリノフィブレート、ゲムフィブロジル、ロニフィブレート、ビニフェブレート(Binifibrate)、フェノフィレート(Fenofirate)、シプロフィブレート、コリンフェノフィブレートなどのフィブリン酸誘導体:アシピモックスおよびナイアシンなどのニコチン酸誘導体;また、スタチン、ナイアシン、腸コレステロール吸収-阻害サプリメント(エゼチミブなど)およびフィブレートの組み合わせ;クロピドグレル二硫酸塩などの抗血小板療法;など
(13)抗凝固薬、以下の種類など:
・クマリン(ビタミンKアンタゴニスト):Warfarin(登録商標)(クマジン)、主にUSおよびUKで使用される;Acenocoumaro(登録商標)およびPhenprocoumon(登録商標)、主に他の国々で使用される;Phenindione(登録商標);
・ヘパリンおよび誘導体物質:ヘパリン;低分子量ヘパリン、フォンダパリナックスおよびイドラパリナックス;など
・直接トロンビン阻害剤:アルガトロバン、レピルジン、ビバリルジンおよびダビガトラン;キシメラガトラン(Exanta(登録商標))、USでは承認されていない;など
・組織プラスミノーゲン活性化因子、血塊を溶解し、かつ動脈の閉塞を取り除くために使用される、アルテプラーゼなど;
(14)抗血小板薬:例えば、ロピドグレル(Lopidogrel)およびチクロピジンなどのチエノピリジン;ジピリダモール;アスピリン;
(15)ACE阻害剤、例えば、以下の種類:
・カプトプリル(商標名Capoten(登録商標))、最初のACE阻害剤およびゾフェノプリルなどのスルフヒドリル含有の薬剤;
・エナラプリル(バソテック(Vasotec)/Renitec(登録商標))などのジカルボキシレート含有の薬剤;ラミプリル(アルテース(Altace)/トリテース(Tritace)/ラメース(Ramace)/Ramiwin(登録商標));キナプリル(Accupril(登録商標))、ペリンドプリル(コバシル/Aceon(登録商標));リシノプリル(リソヅル(Lisodur)/ロプリル(Lopril)/ノバテック(Novatec)/プリニビル(Prinivil)/Zestril(登録商標))およびベナゼプリル(Lotensin(登録商標));
・ホシノプリルなどのホスホネート含有の薬剤;
・特に発酵乳のような乳製品の摂取後に自然発生する、カゼインおよびホエーの分解産物である、カソキニン(Casokinin)およびラクトキニン(lactokinin)などの自然起源のACE阻害剤;生菌ラクトバチルス・ヘルベティカスにより生成されるかまたはカゼイン由来のラクトトリペプチドVal-Pro-ProおよびIle-Pro-Proもまた、ACE-阻害および抗高血圧性機能を有する;
・アラセプリル、デラプリル、シラザプリル、イミダプリル、トランドラプリル、テモカプリル、モエキシプリル、スピラプリルなどの他のACE阻害剤、
(16)酸素補給療法;
(17)以下の種類などのベータ遮断薬:
・非選択的薬剤:Alprenolol(登録商標)、Bucindolol(登録商標)、Carteolol(登録商標)、Carvedilol(登録商標)(付加的なα-遮断作用を有する)、Labetalol(登録商標)(付加的なα-遮断作用を有する)、Nadolol(登録商標)、Penbutolol(登録商標)(内因性交感神経刺激作用を有する)、Pindolol(登録商標)(内因性交感神経刺激作用を有する)、オクスプレノロール(Oxprenonol)、アセブトロール、ソタロール、メピンドロール、セリプロロール、アロチノロール、テルタトロール、アモスラロール、ニプラジロール、Propranolol(登録商標)およびTimolol(登録商標);
・β-選択的薬剤:Acebutolol(登録商標)(内因性交感神経刺激作用を有する)、Atenolol(登録商標)、Betaxolol(登録商標)、Bisoprolol(登録商標)、Celiprolol(登録商標)、ドブタミン塩酸塩、イルソグラジンマレイン酸塩、カルベジロール、タリノロール、Esmolol(登録商標)、Metoprolol(登録商標)およびNebivolol(登録商標);
・β-選択的薬剤:Butaxamine(登録商標)(弱いα-アドレナリン作動性アゴニスト作用);
(18)抗不整脈剤:以下の種類など
・I型(ナトリウムチャネル遮断薬):キニジン、リドカイン、フェニトイン、プロパフェノン
・III型(カリウムチャネル遮断薬):アミオダロン、ドフェチリド、ソタロール
・V型:アデノシン、ジゴキシン
(19)利尿薬:例えば、クロロチアジド、クロルタリドン、およびヒドロクロロチアジド、ベンドロフルメチアジド、シクロペンチアジド、メチクロチアジド、ポリチアジド、キネタゾン、キシパミド、メトラゾン、インダパミド、シクレタニンのようなチアジド系利尿薬;フロセミドおよびトレサミド(Toresamide)などのループ利尿薬;アミロライド、スピロノラクトン、カンレノ酸カリウム、エプレレノンおよびトリアムテレンなどのカリウム保持性利尿薬;これらの薬剤の組み合わせ;アセタゾラミドおよびカルペリチドなどの他の利尿薬など
(20a)ヒドララジン塩酸塩、ジアゾキシド、ニトロプルシドナトリウム、カドララジンなどの直接作用性血管拡張薬;二硝酸イソソルビドおよび5-一硝酸イソソルビドなどの他の血管拡張薬;
(20b)外因性血管拡張薬:
・Adenocard(登録商標)、アデノシンアゴニスト、抗不整脈薬として主に使用される;
・アルファ遮断薬(アドレナリンの血管収縮性効果を遮断する):プラゾシン、インドラミン、ウラピジル、ブナゾシン、テラゾシン、ドキサゾシンなどのアルファ-1-アドレナリン受容体アンタゴニスト
・心房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP);
・エタノール
・マスト細胞および好塩基性顆粒球からヒスタミン放出を誘発することにより、タンパク質C3a、C4aおよびC5aの働きを補完するヒスタミン誘導物質;
・テトラヒドロカンナビノール(THC)、少ない血管拡張薬効果を有するマリファナ中の主要な活性化学物質;
・パパベリン、ケシ属ケシの催眠薬に見出されるアルカロイド;など
(21)気管支拡張薬:以下に例示される主要な2種類の気管支拡張薬、βアゴニストおよび抗コリン薬がある:
・βアゴニスト:Salbutamol(登録商標)またはアルブテロール(一般的商品名:ベントリン)およびTerbutaline(登録商標)は、COPD症状の急速軽減用の短時間作用型βアゴニストである。Salmeterol(登録商標)およびFormoterol(登録商標)などの長時間作用型βアゴニスト(LABA);
・抗コリン薬:Ipratropium(登録商標)は、最も広く処方される短時間作用型抗コリン薬である。Tiotropium(登録商標)は、COPDにおいて最も一般的に処方される長時間作用型抗コリン薬である;
・Theophylline(登録商標)、気管支拡張薬およびホスホジエステラーゼ阻害薬;
(22)副腎皮質ステロイド薬:ベクロメタゾン、メチルプレドニゾロン、ベタメタゾン、プレドニゾン、プレニソロン(prenisolone)、トリアムシノロン、デキサメタゾン、フルチカゾン、フルニソリドおよびヒドロコルチゾン、ならびにブデソニドなどの副腎皮質ステロイド薬類似体など
(23)栄養補助食品:例えば、オメガ-3油脂;葉酸、ナイアシン、亜鉛、銅、朝鮮紅参、イチョウ、松樹皮、ハマビシ(Tribulus terrestris)、アルギニン、エンバク、碇草(horny goat weed)、マカ球根、ムイラプアマ(muira puama)、ノコギリヤシ、およびスウェーデンフラワー(Swedish flower)花粉;ビタミンC、ビタミンE、ビタミンK2;テストステロン補充剤、テストステロン経皮パッチ;ゾラキセル(Zoraxel)、ナルトレキソン、ブレメラノチド(Bremelanotide)(以前はPT-141)、メラノタンII(Melanotan II)、hMaxi-K;プレロックス(Prelox):自然起源材料の特許薬(Proprietary)の混合/組み合わせ、L-アルギニンアスパラギン酸塩およびピクノジェノール(Pycnogenol);など
(24)PGD2受容体アンタゴニスト:米国出願公開US20020022218、US20010051624、およびUS20030055077、PCT出願公開W09700853、W09825919、WO03066046、WO03066047、WO03101961、WO03101981、WO04007451、WO0178697、WO04032848、WO03097042、WO03097598、WO03022814、WO03022813、およびWO04058164、欧州特許出願EP945450およびEP944614に、PGD2拮抗性作用を有すると記載された化合物、ならびに:Torisuら、2004年、Bioorg Med Chem Lett 14:4557、Torisuら、2004年、Bioorg Med Chem Lett 2004 14:4891、およびTorisuら、2004年、Bioorg & Med Chem 2004 12:4685に収載されたものを含むが、これらに限定されない;
(25)免疫抑制剤:シクロスポリン(シクロスポリンA、Sandimmune(登録商標)Neoral(登録商標))、タクロリムス(FK-506、Prograf(登録商標))、ラパマイシン(シロリムス、Rapamune)および他のFK-506型免疫抑制剤、ならびにミコフェノレート、例えば、ミコフェノール酸モフェチル(CellCept(登録商標));など
(26)非ステロイド系抗喘息薬:β2-アゴニスト(例えば、テルブタリン、メタプロテレノール、フェノテロール、イソエタリン、アルブテロール、サルメテロール、ビトルテロールおよびピルブテロール)ならびにβ2-アゴニスト-副腎皮質ステロイド薬の組み合わせ(例えば、サルメテロール-フルチカゾン(Advair(登録商標))、ホルモテロール-ブデソニド(Symbicort(登録商標)))、テオフィリン、クロモリン、クロモグリク酸ナトリウム、ネドクロミル、アトロピン、イプラトロピウム、イプラトロピウム臭化物、ロイコトリエン生合成阻害剤(ジロートン、BAY1005);など
(27)非ステロイド系抗炎症剤(NSAID):プロピオン酸誘導体(例えば、アルミノプロフェン、ベノキサプロフェン、ブクロキス酸、カルプロフェン、フェンブフェン、フェノプロフェン、フルプロフェン(fluprofen)、フルルビプロフェン、イブプロフェン、インドプロフェン、ケトプロフェン、ミロプロフェン(miroprofen)、ナプロキセ、オキサプロジン、ピルプロフェン、プラノプロフェン、スプロフェン、チアプロフェン酸およびチオキサプロフェン(tioxaprofen))、酢酸誘導体(例えば、インドメタシン、アセメタシン、アルクロフェナク、クリダナク、ジクロフェナク、フェンクロフェナク、フェンクロズ酸、フェンチアザク、フロフェナク(furofenac)、イブフェナク、イソキセパク(isoxepac)、オキシピナク(oxpinac)、スリンダク、チオピナク(tiopinac)、トルメチン、ジドメタシン(zidometacin)およびゾメピラク)、フェナム酸誘導体(例えば、フルフェナム酸、メクロフェナム酸、メフェナム酸、ニフルミン酸およびトルフェナム酸)、ビフェニルカルボン酸誘導体(例えば、ジフルニサルおよびフルフェニサル(flufenisal))、オキシカム(oxicam)(例えば、イソキシカム、ピロキシカム、スドキシカムおよびテノキシカム(tenoxican))、サリチレート(例えば、アセチルサリチル酸およびスルファサラジン)ならびにピラゾロン(例えば、アパゾン、ベズピペリロン、フェプラゾン、モフェブタゾン、オキシフェンブタゾンおよびフェニルブタゾン)など;
(28)シクロオキシゲナーゼ-2(COX-2)阻害剤:セレコキシブ(Celebrex(登録商標))、ロフェコキシブ(Vioxx(登録商標))、バルデコキシブ、エトリコキシブ、パレコキシブおよびルミラコキシブなど;
コデイン、フェンタニル、ヒドロモルホン、レボルファノール、メペリジン、メタドン、モルヒネ、オキシコドン、オキシモルフォン、プロポキシフェン、ブプレノルフィン、ブトルファノール、デゾシン、ナルブフィンおよびペンタゾシンなどのオピオイド鎮痛薬;ならびに
(29)抗糖尿病剤:インスリンおよびインスリン様薬剤、スルホニル尿素(例えば、グリブリド、グリベンクラミド、グリピジド、グリクラジド、グリキドン、グリメピリド、メグリナチド(Meglinatide)、トルブタミド、クロルプロパミド、アセトヘキサミド、トラザミド)、ビグアナイド薬、例えば、メトホルミン(Glucophage(登録商標))、α-グルコシダーゼ阻害剤(アカルボース、エパルレスタット、ボグリボース、ミグリトールなど)、チアゾリジノン化合物、例えば、ロシグリタゾン(Avandia(登録商標))、トログリタゾン(Rezulin(登録商標))、シグリタゾン、ピオグリタゾン(Actos((登録商標))およびエングリタゾン;ピオグリタゾンおよびロシグリタゾンなどのインスリン増感剤;レパグリニド、ナテグリニドおよびミチグリニドなどのインスリン分泌促進剤;エキサナチド(Exanatide)およびリラグルチドなどのインクレチン様薬剤;プラムリンチドなどのアミリン類似体;ピコリン酸クロム(任意選択でビオチンと組み合わせる)などの血糖降下剤;シタグリプチン、ビルダグリプチン、サクサグリプチン、アログリプチンおよびリナグリプチンなどのジペプチジルペプチダーゼIV阻害剤;糖尿病の処置用に現在開発されているワクチン;AVE-0277、Alum-GAD、BHT-3021、IBC-VS01;アナキンラ、カナキヌマブ、ジアセレイン、ゲボキズマブ、LY-2189102、MABP-1、GIT-027などの糖尿病の処置用に開発中のサイトカイン標的療法など;
(30)HDLコレステロール上昇剤:アナセトラピブ、MK-524A、CER-001、DRL-17822、ダルセトラピブ、JTT-302、RVX-000222、TA-8995など;
(31)抗肥満薬:メタンフェタミン塩酸塩、アンフェプラモン塩酸塩(Tenuate(登録商標))、フェンテルミン(Ionamin(登録商標))、ベンズフェタミン塩酸塩(Didrex(登録商標))、フェンジメトラジンタルトレート(Bontril(登録商標)、Prelu-2(登録商標)、Plegine(登録商標))、マジンドール(Sanorex(登録商標))、オルリスタット(Xenical(登録商標))、シブトラミン塩酸塩一水和物(Meridia(登録商標)、Reductil(登録商標))、リモナバン(Acomplia(登録商標))、アンフェプラモン、ピコリン酸クロム、RM-493、TZP-301;フェンテルミン/トピラメート、ブプロピオン/ナルトレキソン、シブトラミン/メトホルミン、ブプロピオンSR/ゾニサミドSR、サルメテロール、キシナホエート/プロピオン酸フルチカソン;ロルカセリン塩酸塩、フェンテルミン/トピラメート、ブプロピオン/ナルトレキソン、セチリスタット、エキセナチド、KI-0803、リラグルチド、メトホルミン塩酸塩、シブトラミン/メトホルミン、876167、ALS-L-1023、ブプロピオンSR/ゾニサミドSR、CORT-108297、カナグリフロジン、ピコリン酸クロム、GSK-1521498、LY-377604、メトレレプチン、オビネピチド(Obinepitide)、P-57AS3、PSN-821、キシナホ酸サルメテロール/プロピオン酸フルチカゾン、タングステン酸ナトリウム、ソマトロピン(組換え型)、TM-30339、TTP-435、テサモレリン、テソフェンシン(Tesofensine)、ベルネペリト、ゾニサミド、BMS-830216、ALB-127158、AP-1030、ATHX-105、AZD-2820、AZD-8329、ベロラニブヘミオキサレート(Beloranib hemioxalate)、CP-404、HPP-404、ISIS-FGFR4Rx、インスリノトロピン(Insulinotropin)、KD-3010PF、05212389、PP-1420、PSN-842、ペプチドYY3-36、レスベラトロール、S-234462;S-234462、ソベチローム(Sobetirome)、TM-38837、テトラヒドロカンナビバリン(Tetrahydrocannabivarin)、ZYO-1、ベータ-ラパコンなどの組み合わせ;など
(32)アンジオテンシン受容体遮断薬:ロサルタン、バルサルタン、カンデサルタンシレキセチル、エプロサラン(Eprosaran)、イルベサルタン、テルミサルタン、オルメサルタンメドキソミル(Olmesartran medoxomil)、アジルサルタンメドキソミルなど;
(33)レニン阻害剤:アリスキレンヘミフミレートなど;
(34)中枢作用性のアルファ-2-アドレナリン受容体アゴニスト:メチルドパ、クロニジン、グアンファシンなど;
(35)アドレナリン作動性ニューロン遮断薬:グアネチジン、グアナドレルなど;
(36)イミダゾリンI-1受容体アゴニスト:リメニジン(Rimenidine)リン酸二水素およびモクソニジン塩酸塩水和物など;
(37)アルドステロンアンタゴニスト:スピロノラクトンおよびエプレレノンなど
(38)カリウムチャネル活性化因子:ピナシジルなど
(39)ドーパミンD1アゴニスト:フェノルドパムメシレートなど;イボパミン、ドペキサミンおよびドカルパミンなどの他のドーパミンアゴニスト;
(40)5-HT2アンタゴニスト:ケタンセリンなど;
(42)バソプレシンアンタゴニスト:トルバプタンなど;
(43)カルシウムチャネル増感剤:レボシメンダンなどまたはニコランジルなどの活性化因子;
(44)PDE-3阻害剤:アムリノン、ミルリノン、エノキシモン、ベスナリノン、ピモベンダン、オルプリノンなど;
(45)アデニル酸シクラーゼ活性化因子:コルホルシンダプロペート塩酸塩など;
(46)陽性変力薬:ジゴキシンおよびメチルジゴキシンなど;ユビデカレノンなどの代謝性強心薬;ネシリチドなどの脳性ナトリウム利尿ペプチド(naturetic peptide);
(47)勃起機能障害の処置に使用される薬物:アルプロスタジル、アビプタジル(Aviptadil)、フェントラミンメシル酸塩、ウェイゲ(Weige)、アルプロスタジルなど;
(48)抗肥満薬:
【0236】
【表1】
【0237】
(49)アルツハイマー病の処置に使用される薬物:例えば、Razadyne(登録
商標)(ガランタミン)、Exelon(登録商標)(リバスチグミン)、およびAricept(登録商標)(ドネペジル)、Cognex(登録商標)(タクリン)を含む、軽度から中等度のアルツハイマー病に処方されるコリンエステラーゼ阻害剤;中等度から重度のアルツハイマー病を処置するために処方される、Namenda(登録商標)(メマンチン)、N-メチル-D-アスパラギン酸(NMDA)アンタゴニスト、およびAricept(登録商標);ビタミンE(抗酸化剤)。
【0238】
(50)抗うつ薬:アミトリプチリン(Elavil(登録商標))、デシプラミン(Norpramin(登録商標))、イミプラミン(Tofranil(登録商標))、アモキサピン(Asendin(登録商標))、ノルトリプチリンなどの三環系抗うつ薬;パロキセチン(Paxil(登録商標))、フルオキセチン(Prozac(登録商標))、セルトラリン(Zoloft(登録商標))、およびシタロプラム(citralopram)(Celexa(登録商標))などの選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI’s);ならびにドキセピン(Sinequan(登録商標))およびトラゾドン(Desyrel(登録商標))などの他のもの;SNRI(例えば、ベンラファキシンおよびレボキセチン);ドーパミン作動性抗うつ薬(例えば、ブプロピオンおよびアミネプチン)。
【0239】
(51)神経保護薬:例えば、メマンチン、L-ドーパ、ブロモクリプチン、ペルゴリ、タリペキソール、プラミペキソール、カベルゴリン、現在開発中の神経保護薬で、抗アポトーシス性薬物(CEP 1347およびCTCT346)、ラザロイド(lazaroids)、生体エネルギー療法、抗グルタミン酸薬剤およびドーパミン受容体を含む。他の臨床的に評価される神経保護薬は、例えば、モノアミンオキシダーゼB阻害剤のセレギリンおよびラサギリン、ドーパミンアゴニスト、および複合体Iミトコンドリア強化剤コエンザイムQ10である。
【0240】
(52)抗精神病薬物療法:例えば、ジプラシドン(Geodon(商標))、リスペリドン(Risperdal(商標))、およびオランザピン(Zyprexa(商標))。
【0241】
(53)NEP阻害剤:サクビトリル(Sacubitril)、オマパトリラトなど。
(54)メチレンブルー(MB)
を含むが、これらに限定されない。
【0242】
キット
[00234]本明細書に記載される固体形態および医薬製剤は、キット中に含まれ得る。キ
ットは、それぞれ個々に包装されるかもしくは製剤化された、単回もしくは複数回の投与量の2種以上の薬剤を、または組み合わせて包装されるかもしくは製剤化された、単回もしくは複数回の投与量の2種以上の薬剤を含有し得る。したがって、1つまたは複数の薬剤は第1の容器中に存在し得、キットは、任意選択で、1つまたは複数の薬剤を第2の容器中に含み得る。容器または複数の容器はパッケージ内に入れられ、パッケージは、任意選択で、投与または投薬量の説明書を含んでもよい。キットは、シリンジまたは薬剤と同様に希釈剤を投与するための他の手段または製剤用の他の手段などのさらなる構成要素を備え得る。したがって、キットは:a)本明細書に記載される化合物および薬学的に許容される担体、ビヒクルまたは希釈剤を含む医薬組成物;ならびにb)容器または包装を備え得る。キットは、任意選択で、本明細書に記載される1つまたは複数の方法(例えば、本明細書に記載される1つまたは複数の疾患および障害を予防するかまたは処置する)の中の、該医薬組成物を使用する1つの方法を記載する説明書を備え得る。キットは、任意選択で、同時療法使用のための本明細書に記載される1つもしくは複数のさらなる薬剤を
含む第2の医薬組成物、薬学的に許容される担体、ビヒクルまたは希釈剤を含んでもよい。キット中に含まれる、本明細書に記載される化合物を含む医薬組成物および第2の医薬組成物は、任意選択で、同一の医薬組成物中に組み合わせられてもよい。
【0243】
[00235]キットは、医薬組成物を含有するための容器または包装を備え得、また分割瓶
または分割ホイルパケットなどの分割容器も備え得る。容器は、例えば、紙または段ボールの箱、ガラスもしくはプラスチックの瓶または広口瓶、再封可能な袋(例えば、錠剤の「補充用」を異なる容器内に入れておくため)、または、治療スケジュールに基づいてパックから押し出すための個々の投与量を含むブリスター包装であり得る。単一剤形を市販するために、1個より多い容器が、単一パッケージ内で共に使用され得ることが実行可能である。例えば、錠剤が瓶内に含有され得、その瓶は次に箱内に含有される。
【0244】
[00236]キットの一例は、いわゆるブリスター包装である。ブリスター包装は、包装産
業で周知であり、医薬的単位剤形(錠剤、カプセル剤など)の包装に広く使用されている。ブリスター包装は、一般に、好ましくは透明なプラスチック材料のホイルで覆われた、相対的に堅い材料のシートで構成される。包装プロセス中に、プラスチックホイル中に凹部が形成される。該凹部は、包装される個々の錠剤もしくはカプセル剤の大きさおよび形状を有するか、または包装される複数の錠剤および/もしくはカプセル剤を収容するための大きさおよび形状を有し得る。次に、錠剤またはカプセル剤は、それに合うように凹部に入れられ、相対的に堅い材料のシートは、凹部が形成された方向とは逆に、ホイル表面でプラスチックホイルに対して密封される。結果として、錠剤またはカプセル剤は、所望に応じてプラスチックホイルとシートとの間の凹部内に個々に密封されるかまたはまとめて密封される。シートの強さは、凹部に手で圧力をかけることにより、凹部の位置でシートに開口部が形成され、錠剤またはカプセル剤がブリスター包装から取り出され得るような強さであることが好ましい。次に、錠剤またはカプセル剤は、前記開口部を介して取り出され得る。
【0245】
[00237]治療薬物がいつ摂取されるべきかに関して、医師、薬剤師または対象のための
情報および/または説明書を含む記憶補助の書面を提供することが望ましいことがある。「1日用量」は、ある1日に摂取されるべき単一の錠剤もしくはカプセル剤または数個の錠剤もしくはカプセル剤であり得る。キットが別々の組成物を含有する時は、キットの1日用量の1つまたは複数の組成物は、1個の錠剤またはカプセル剤で構成され得、一方、キットの1日用量の別の1つまたは複数の組成物は、数個の錠剤またはカプセル剤で構成され得る。キットは、その意図される使用のために、1度に1つの1日用量を分注するように設計された、ディスペンサの形態をとることができる。該ディスペンサは、レジメンについてのコンプライアンスをさらに促進するために、記憶補助具を装備し得る。このような記憶補助具の一例は、分注された1日用量の数を示す機械的計数器である。このような記憶補助具の別の例は、例えば、最後の1日用量が摂取された日付を読み出し、かつ/または次の投与量がいつ摂取されるべきか思い出させる、液晶表示または可聴式の合図信号と一体となった電池式のマイクロチップメモリである。
【実施例0246】
実施例1
粗製の化合物Iの調製
i):N-メトキシ-N-メチルイソオキサゾール-3-カルボキサミド(2’)を提供するための、化合物(1’)とN,O-ジメチルヒドロキシルアミンとのカップリング
【0247】
【化17】
【0248】
[00238]イソオキサゾール-3-カルボン酸((1’)、241.6g、2137mm
ole、1.0当量)、トルエン(1450mL)およびDMF(7.8g、107mmole、0.05当量)を、機械式撹拌機およびデジタル温度計を装備した好適な反応容器に投入した。得られたスラリーを45~50℃に加熱した。次に、塩化オキサリル(325g、2559mmole、1.2当量)を、反応温度を45~50℃の間に維持しながら、添加漏斗を介して2時間にわたり投入し、活発なガス発生が観察された。添加後、褐色混合物を得た。該褐色混合物を、87~92℃まで1時間にわたり加熱し、87~92℃で1時間撹拌した。HPLCにより示されるように、反応は完了とされた。加熱中に、該褐色混合物は、暗色溶液に変化した。反応を、反応混合物の一部をピペリジンへとクエンチし、ピペリジンアミドをHPLCによりモニタリングすることにより監視した。暗色混合物を20~25℃まで冷却し、次に、焼結ガラス漏斗を通して濾過して、不溶性物質を除去した。暗色濾液を、400mLの体積の暗色油状物まで減圧下で濃縮した。
【0249】
[00239]炭酸カリウム(413g、2988mmole、1.4当量)および水(10
00mL)を、機械式撹拌機およびデジタル温度計を装備した好適な反応容器に投入した。反応溶液を、-10~-5℃まで冷却した。N,O-ジメチルヒドロキシアミン塩酸塩(229g、2348mmole、1.1当量)を、好適な反応容器に投入し、水(1000mL)に溶解した。次に、N,O-ジメチルヒドロキシアミン溶液およびジクロロメタン(2500mL)を、炭酸カリウム溶液に投入した。
【0250】
[00240]次に、上記の暗色油状物(400mL)を、反応温度を-10~0℃に維持し
ながら、添加漏斗を介してゆっくりと投入した。添加はわずかに発熱性であり、添加後に褐色混合物を得た。この混合物を、0~5℃で20分間にわたり撹拌し、次に、20~25℃に加温した。下部の有機層を収集し、上部の水性層をジクロロメタン(400mL)で抽出した。合わせた有機層を、15%塩化ナトリウム溶液(1200mL)で洗浄した。該有機層を硫酸マグネシウム上で脱水させ、次に濾過した。濾液を減圧下で濃縮し、中間体(2’)を暗色油状物として得た(H-NMRにより、261.9g、97質量%、76%収率、3質量%のトルエン、KFにより、0.04質量%の水含有量)。1H-NMR (500 MHz, CDCl3) δ ppm 8.48 (s, 1 H); 6.71(s, 1 H); 3.78 (s, 3 H); 3.38 (s, 3 H)。
【0251】
ii):(E)-エチル4-(イソオキサゾール-3-イル)-2-(メトキシ(メチル)アミノ)-4-オキソブタ-2-エノエート(3’)を提供するための、化合物(2’)とプロピオル酸エチルとのアルキル化
【0252】
【化18】
【0253】
[00241]中間体(2’)(72.2g、96質量%、444mmole、1.0当量)
、プロピオル酸エチル(65.7g、670mmole、1.5当量)および無水THF(650mL)を、機械式撹拌機およびデジタル温度計を装備した好適な反応容器に投入した。この溶液を、-65~-55℃まで冷却した。次に、THF中のナトリウムビス(トリメチルシリル)アミド(1M、650mL、650mmole、1.46当量)を、反応温度を-65~-55℃に維持しながら、添加漏斗を介してゆっくりと投入した。この混合物を、添加が完了した後、-55℃未満で10分間にわたり撹拌した。次に、1NのHCl(650mL、650mmole、1.46当量)を投入し、反応温度を-20℃未満に維持しながら、反応をクエンチし、続いて直ちに酢酸エチル(1500mL)および水(650mL)を添加した。上部の酢酸エチル層を収集し、下部の水性層を酢酸エチル(800mL)で抽出した。合わせた有機層を、10%のクエン酸(1000mL)および飽和塩化ナトリウム溶液(650mL)で洗浄した。該有機層を、減圧下で濃縮し、暗色油状物を得た。
【0254】
[00242]該暗色油状物を、ジクロロメタン/酢酸エチル/ヘプタン(150mL/10
0mL/100mL)の溶液に溶解した。この溶液を、シリカパッド(410g)に載せ、該シリカパッドを、酢酸エチル/ヘプタン(1/1v/v)で溶離した。濾液(約3000mL)を収集し、次に、150mLの体積まで減圧下で濃縮して、放置時にスラリーを得た。次に、ヘプタン(200mL)を該スラリーに添加し、該スラリーを、150mLの体積まで減圧下で濃縮した。得られたスラリーを濾過し、濾過ケーキをヘプタン(150mL)で洗浄した。次に、該濾過ケーキを終夜、空気乾燥し、中間体(3’)を褐色固体として得た(63.4g、56%収率、HPLCにより>99%純度)。1H-NMR (500 MHz, CDCl3) δ ppm 8.42 (d, J=1.53 Hz, 1 H); 6.76 (d, J=1.53 Hz, 1 H); 6.18 (s, 1 H); 4.47 (q, J=7.07 Hz, 2H); 3.75 (s, 3 H); 3.21 (s, 3 H); 1.41 (t, J=7.17 Hz, 3 H)。
【0255】
iii):エチル1-(2-フルオロベンジル)-5-(イソオキサゾール-3-イル)-1H-ピラゾール-3-カルボキシレート(4’)を提供するための、化合物3’および2-フルオロベンジルヒドラジンの環化
【0256】
【化19】
【0257】
[00243]中間体(3’)(72.9g、287mmole、1.0当量)および無水エ
タノール(730mL)を、機械式撹拌機およびデジタル温度計を装備した好適な反応容器に投入した。この混合物を、0~5℃まで冷却した。次に、2-フルオロベンジルヒドラジン(48.2g、344mmole、1.2当量)を、該混合物に投入した。該混合物を、0~10℃で1時間にわたり撹拌し、次に、20~25℃に加温し、20~25℃で16時間にわたり撹拌した。HPLCにより反応は完了とされた。濃HCl(33.9g、37質量%、344mmole、1.2当量)を、反応混合物に1分間にわたり投入し、発熱してバッチ温度は20℃から38℃となった。スラリーを得た。この混合物を、0~10℃まで1時間にわたり冷却し、0~10℃で1時間撹拌した。得られたスラリーを濾過し、濾過ケーキをエタノール(200mL)で洗浄した。該濾過ケーキを、真空下で30~40℃で16時間にわたり乾燥し、中間体(4’)を灰色がかった白色固体として得た(81.3g、90%収率、HPLCにより>99%純度)。1H-NMR (500 MHz, CDCl3) δ ppm 8.47 (d, J=1.68 Hz, 1 H); 7.15 - 7.26 (m, 2 H); 6.94 - 7.08 (m, 2H); 6.77 - 6.87 (m, 1 H); 6.55 (d, J=1.68 Hz, 1 H); 5.95 (s, 2 H); 4.43 (q, J=7.02 Hz, 2 H); 1.41 (t, J=7.17 Hz, 3 H)。
【0258】
iv):1-(2-フルオロベンジル)-5-(イソオキサゾール-3-イル)-1H-ピラゾール-3-カルボキシミドアミド塩酸塩(5’B)を提供するための、化合物(4’)のアミノ化
【0259】
【化20】
【0260】
[00244]無水塩化アンモニウム(267g、4991mmole、5.0当量)および
トルエン(5400mL)を、機械式撹拌機およびデジタル温度計を装備した好適な反応容器に投入した。トルエン中のトリメチルアルミニウム(2M、2400mL、4800mmole、4.8当量)を、反応温度を20~40℃に維持しながら、添加漏斗を介してゆっくりと投入した(注釈:添加中にメタンガス発生が観察された)。次に、この混合物を75~80℃まで30分間にわたり加熱し、澄んだ白色溶液を得た。中間体(4’)(315g、999mmole、1.0当量)を、4つの等量分に分けて、75~90℃で1時間にわたり、反応混合物に投入した。この反応物を、80~90℃で30分間にわたり撹拌し、次に、100~110℃に加熱し、100~110℃で3時間にわたり撹拌した。HPLCにより反応は完了とされた。反応混合物を10~20℃まで冷却し、メタノール(461g、14.4mole、14.4当量)を、反応温度を10~40℃に維持しながら、添加漏斗を介してゆっくりと投入した。注釈:クエンチは非常に発熱性であり、多くのガス発生が観察された。濃いスラリーを得た。次に、3NのHCl(6400mL、3N、19.2mole、19.2当量)を、反応温度を20~45℃に維持しながら、添加漏斗を介してゆっくりと投入した。この混合物を、80~85℃に加熱し、80~85℃で10分間にわたり撹拌し、澄んだ二相混合物を得た。この混合物を、0~5℃まで3時間にわたり冷却し、0~5℃で1時間にわたり撹拌した。得られたスラリーを濾過し、濾過ケーキを水(3000mL)で洗浄した。該濾過ケーキを、真空下で40~50℃で24時間にわたり乾燥して、中間体(5’B)を灰色がかった白色固体として得た(292g、91%収率、HPLCにより>99%純度)。1H-NMR (500 MHz, DMSO-d6) δ ppm 9.52 (s, 2 H); 9.33 (s, 2 H); 9.18 (d, J=1.53 Hz, 1 H); 7.88 (s, 1 H); 7.29 - 7.38 (m, 1 H); 7.19 - 7.25 (m, 1 H); 7.10 - 7.16 (m, 1 H); 7.03 (d, J=1.53 Hz, 1 H); 6.92 - 6.98 (m, 1 H); 5.91 (s, 2 H). M.P. 180-185℃。
【0261】
v):5-フルオロ-2-(1-(2-フルオロベンジル)-5-(イソオキサゾール-3-イル)-1H-ピラゾール-3-イル)ピリミジン-4,6-ジオール(6’)を提供するための、化合物(5’B)およびジエチルフルオロマロネートの環化
【0262】
【化21】
【0263】
[00245]中間体(5’B)(224.6g、698mmole、1.0当量)、メタノ
ール(2250mL)およびジエチルフルオロマロネート(187g、1050mmole、1.5当量)を、機械式撹拌機およびデジタル温度計を装備した好適な反応容器に投入した。次に、メタノール溶液中のナトリウムメトキシド(567g、30質量%、3149mmole、4.5当量)を、反応温度を20~35℃に維持しながら、添加漏斗を介して投入した。この混合物を20~35℃で30分間にわたり撹拌し、薄い懸濁液を得た。HPLCにより反応は完了とされた。1.5NのHCl溶液(2300mL、3450mmole、4.9当量)を、反応温度を20~30℃に維持しながら、添加漏斗を介して1時間にわたり投入した。白色懸濁液を得た。反応混合物のpHは、pH試験紙により約1であった。スラリーを、20~30℃で30分間にわたり撹拌した。得られたスラリーを濾過し、濾過ケーキを、事前混合したメタノールおよび水(500mL/500mL)溶液で、次に水(1000mL)で洗浄した。該濾過ケーキを、真空下で50~60℃で16時間にわたり乾燥して、中間体(6’)を灰色がかった白色固体として得た(264g、97%収率、HPLCにより>99%純度)。1H-NMR (500 MHz, DMSO-d6) δ ppm 12.82 (br. s., 1 H); 12.31 (br. s., 1 H); 9.14 (d, J=1.53 Hz, 1 H); 7.55 (s, 1 H); 7.31 - 7.37 (m, 1 H); 7.18 - 7.25 (m, 1 H); 7.10 - 7.15 (m, 2 H); 6.97 - 7.02 (t, J=7.55 Hz, 1 H); 5.88 (s, 2 H)。
【0264】
vi):3-(3-(4,6-ジクロロ-5-フルオロピリミジン-2-イル)-1-(2-フルオロベンジル)-1H-ピラゾール-5-イル)イソオキサゾール(7’)を提供するための、化合物(6’)の塩素化
【0265】
【化22】
【0266】
[00246]中間体(6’)(264g、711mmole、1.0当量)、アセトニトリ
ル(4000mL)およびN,N-ジメチルアニリン(138g、1137mmole、1.6当量)を、機械式撹拌機およびデジタル温度計を装備した好適な反応容器に投入した。スラリー混合物を、70~80℃に加熱した。次に、亜リン酸オキシクロリド(655g、4270mmole、6.0当量)を、反応温度を70~80℃に維持しながら、添加漏斗を介して1時間にわたり投入した。この混合物を75~80℃で22時間にわたり撹拌し、褐色溶液を得た。HPLCにより反応は完了とされた。次に、該混合物を0~5℃の間まで冷却し、25℃で綿状固体が沈殿した。水(3000mL)を、反応温度を0~10℃に維持しながら、添加漏斗を介してゆっくりと投入した。スラリーを、0~10℃で30分間にわたり撹拌した。得られたスラリーを濾過し、濾過ケーキを、事前混合したアセトニトリルおよび水(500mL/500mL)溶液で洗浄した。該濾過ケーキを、真空下で35~45℃で16時間にわたり乾燥して、中間体(7’)を灰色がかった白色固体として得た(283g、98%収率、HPLCにより>99%純度)。1H-NMR (500 MHz, CDCl3) δ ppm 8.48 (d, J=1.68 Hz, 1 H); 7.44 (s, 1 H); 7.19 - 7.25 (m, 1 H); 6.96 - 7.08 (m, 2 H); 6.81 - 6.88 (m, 1 H); 6.60 (d, J=1.68 Hz, 1 H); 6.03
(s, 2 H)。
【0267】
vii):3-(3-(4-クロロ-5-フルオロ-6-メトキシピリミジン-2-イル)-1-(2-フルオロベンジル)-1H-ピラゾール-5-イル)イソオキサゾール(8’)を提供するための、化合物(7’)のメトキシドを用いた置換
【0268】
【化23】
【0269】
[00247]メタノール(3400mL)およびメタノール中のナトリウムメトキシド(1
54mL、5.4M、832mmole、1.2当量)を、機械式撹拌機およびデジタル温度計を装備した好適な反応容器に投入した。この反応混合物を、23~27℃に加熱した。中間体(7’)(283g、693mmole、1.0当量)を、反応温度を23~27℃に維持しながら、少量に分けて(それぞれ5~10g)、40分間にわたり該混合物に投入した。スラリーを23~27℃で30分間にわたり撹拌した。HPLCにより反応は完了とされた。得られたスラリーを濾過し、濾過ケーキを、メタノール(850mL)で、次に水(850mL)で洗浄した。該濾過ケーキを、真空下で35~45℃で16時間にわたり乾燥し、中間体(8’)を灰色がかった白色固体として得た(277g、99%収率、HPLCにより97%純度)。1H-NMR (500 MHz, CDCl3) δ ppm 8.47 (d, J=1.83 Hz, 1 H); 7.38 (s, 1 H); 7.18 - 7.25 (m, 1 H); 7.01 - 7.08 (m, 1 H); 6.94 - 7.00 (m, 1 H); 6.81 - 6.88 (m, 1 H); 6.60 (d, J=1.68 Hz, 1 H); 6.00 (s, 2 H); 4.21 (s, 3 H)。
【0270】
viii):3-(3-(5-フルオロ-4-メトキシピリミジン-2-イル)-1-(2-フルオロベンジル)-1H-ピラゾール-5-イル)イソオキサゾール(9’)を提供するための、化合物(8’)の水素化
【0271】
【化24】
【0272】
[00248]中間体(8’)(226g、560mmole、1.0当量)、パラジウム(
活性炭上の10%、公称上50%水湿潤、22.6g、0.01mole、0.018当量)、テトラヒドロフラン(3400mL)およびトリエチルアミン(91g、897mmole、1.6当量)を、機械式撹拌機およびデジタル温度計を装備した好適な反応容器に投入した。窒素を、テフロン(登録商標)管を介して、20~30℃で10分間にわたり、反応混合物に吹き込んだ。次に、該混合物を40~50℃に加熱し、反応温度を40~50℃に維持しながら、水素ガスを、テフロン管を介して6時間にわたり、該反応混合物に吹き込んだ。HPLCにより反応は完了とされた。次に、窒素を、テフロン管を介して、40~50℃で10分間にわたり該反応混合物に吹き込んだ。該反応混合物を、Hypo Supercel(商標)を通して熱濾過し、濾過ケーキを、テトラヒドロフラン(2000mL)で洗浄した。濾液を、約1300mLの体積まで減圧下で濃縮し、スラリーを得た。次に、減圧下でメタノール(3000mL)の連続供給を介して、テトラヒドロフランをメタノールに溶媒交換した。溶媒交換後の最終体積は1300mLであった。得られたスラリーを濾過し、濾過ケーキをメタノール(500mL)で洗浄した。該濾過ケーキを、真空下で20~25℃で16時間にわたり乾燥して、中間体(9’)を白色固体として得た(192g、93%収率、HPLCにより98%純度)。1H-NMR (500 MHz, CDCl3) δ ppm 8.47 (d, J=1.68 Hz, 1 H); 8.41 (d, J=2.59 Hz, 1 H); 7.36 (s, 1 H); 7.17 - 7.24 (m, 1 H); 6.95 - 7.07 (m, 2 H); 6.83 - 6.90 (m, 1 H); 6.60 (d, J=1.68 Hz, 1 H); 5.99 (s, 2 H); 4.19 (s, 3 H)。
【0273】
ix:5-フルオロ-2-(1-(2-フルオロベンジル)-5-(イソオキサゾール-3-イル)-1H-ピラゾール-3-イル)ピリミジン-4-オール(10’)を提供するための、化合物(9’)の脱メチル化
【0274】
【化25】
【0275】
[00249]中間体(9’)(230g、623mmole、1.0当量)、MeOH(3
450mL)および濃HCl(307g、37質量%、3117mmole、5.0当量)を、機械式撹拌機およびデジタル温度計を装備した好適な反応容器に投入した。この混合物を60~65℃に加熱し、溶液を得た。次に、該混合物を60~65℃で17時間にわたり撹拌し、スラリーを得た。HPLCにより反応は完了とされた。該スラリーを、20~25℃まで2時間にわたり冷却し、20~25℃で30分間にわたり撹拌した。得られたスラリーを濾過し、濾過ケーキをメタノール(1000mL)で洗浄した。該濾過ケーキを、真空下で35~45℃で16時間にわたり乾燥し、中間体(10’)を白色固体として得た(214g、97%収率、HPLCにより>99%純度)。1H-NMR (500 MHz, DMSO-d6) δ ppm 12.90 - 13.61 (br. s., 1 H); 9.11 (d, J=1.68 Hz, 1 H); 8.16 (s, 1 H); 7.64 (s, 1 H); 7.29 - 7.42 (m, 1 H); 7.17 - 7.28 (m, 2 H); 7.08 - 7.15 (m, 1 H); 6.97 (s, 1 H); 5.91 (s, 3 H)。
【0276】
x):3-(3-(4-クロロ-5-フルオロピリミジン-2-イル)-1-(2-フルオロベンジル)-1H-ピラゾール-5-イル)イソオキサゾール(式IV)を提供するための、化合物(10’)の塩素化
【0277】
【化26】
【0278】
[00250]中間体(10’)(214g、602mmole、1.0当量)、アセトニト
リル(3000mL)およびN,N-ジメチルアニリン(109g、899mmole、1.5当量)を、機械式撹拌機およびデジタル温度計を装備した好適な反応容器に投入した。スラリー混合物を、70~80℃に加熱した。次に、亜リン酸オキシクロリド(276g、1802mmole、3.0当量)を、反応温度を70~80℃に維持しながら、添加漏斗を介して30分間にわたり投入した。この混合物を75~80℃で2時間にわたり撹拌し、緑色溶液を得た。HPLCにより反応は完了とされた。次に、該混合物を、0~5℃まで冷却した。水(1500mL)を、反応温度を0~10℃に維持しながら、添加漏斗を介してゆっくりと投入した。スラリーを、0~10℃で30分間にわたり撹拌した。得られたスラリーを濾過し、濾過ケーキを、事前混合したアセトニトリルおよび水(500mL/500mL)溶液で、および水(500mL)で洗浄した。該濾過ケーキを、真空下で30~40℃で16時間にわたり乾燥し、式IVの中間体を灰色がかった白色からピンク色の固体として得た(214g、95%収率、HPLCにより>99%純度)。1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ ppm 8.65 (s, 1 H); 8.48 (d, J=1.68 Hz, 1 H); 7.44 (s, 1 H); 7.21 - 7.25 (m, 1 H); 6.97 - 7.06 (m, 2 H); 6.83 - 6.87 (m, 1 H); 6.61 (d, J=1.68 Hz, 1 H); 6.03 (s, 2 H)。
【0279】
a):2-(ブロモメチル)-3,3,3-トリフルオロ-2-((トリメチルシリル)オキシ)プロパンニトリル(16)を提供するための、中間体(15)のシアノ化
【0280】
【化27】
【0281】
[00251]トリメチルシランカルボニトリル(153g、1.54mole、0.97当
量)およびトリエチルアミン(4.44mL、3.22g、0.032mole、0.02当量)を、機械式撹拌機およびデジタル温度計を装備した好適な反応容器に投入した。この混合物を、5℃まで冷却した。3-ブロモ-1,1,1-トリフルオロプロパン-2-オン((15)、304g、1.59mole、1.0当量)を、反応温度を10~20℃の間に維持しながら、添加漏斗を介して35分間にわたり投入した。添加後、この混合物を、20~30℃で3時間にわたり撹拌し、中間体(16)を濃い油状物として得、これを次のステップで直接使用した。1H-NMR (500 MHz, CDCl3) δ ppm 3.68 (d, J=11.14 Hz, 1 H); 3.57 (d, J=11.14 Hz, 1 H), 0.34 - 0.37 (m, 9 H)。
【0282】
b):2-(ブロモメチル)-3,3,3-トリフルオロ-2-ヒドロキシプロパンアミド(17)を提供するための、ニトリル化合物(16)のアミドへの変換
【0283】
【化28】
【0284】
[00252]濃硫酸(339mL、6.37mole、4.0当量)を、機械式撹拌機、デ
ジタル温度計および添加漏斗を装備した好適な反応容器中で撹拌した。この硫酸を、45℃に加熱した。上記中間体(16)を、温度を75℃未満に保ちながら、添加漏斗を介して50分間にわたり添加した。反応混合物を75℃で2時間撹拌し、次に室温まで放冷した。H-NMRは、反応の完了を示した。反応混合物を、-15℃まで冷却し、温度を-15~5℃の間に保ちながら、酢酸エチル(1824mL)で添加漏斗を介して45分間にわたり希釈した(非常に発熱性)。水(1520mL)を、-10~0℃の間で、1時間20分添加漏斗を介してゆっくりと添加した(非常に発熱性)。層を分離し、有機層を、15%の塩化ナトリウム水溶液(1520mL)、25%の炭酸ナトリウム水溶液(911mL)、続いて15%の塩化ナトリウム水溶液(911mL)で洗浄した。該有機層を濾過し、減圧下で濃縮して、348gの中間体(17)を淡黄色油状物として得た。該油状物を、メタノール(1200mL)に溶解し、濃縮して、380gの中間体(17)を得た。(296gの補正重量、79%収率)。1H-NMR (500 MHz, CDCl3) δ 6.61 - 6.94 (m, 1 H); 5.92 - 6.26 (m, 1 H); 3.93 - 4.00 (m, 1 H); 3.68 (d, J=11.14 Hz, 1 H)。
【0285】
c):2-(アミノメチル)-3,3,3-トリフルオロ-2-ヒドロキシプロパンアミド(14)を提供するための、化合物(17)のN-アルキル化
【0286】
【化29】
【0287】
[00253]メタノール中の7Nのアンモニア溶液(600mL、4.28mole、10
当量)を、機械式撹拌機およびデジタル温度計を装備した好適な反応容器に投入した。この溶液を、0~5℃まで冷却した。次に、中間体(17)(102g、0.432mole、1当量)を、添加漏斗を介して0~5℃で30分間にわたり添加した。反応混合物を、20~25℃まで1時間にわたり加温し、72時間保持した。HPLCにより反応は完了とされた。反応混合物を0~5℃まで冷却し、ナトリウムメトキシド(78mL、5.4M、0.421mole、0.97当量)を2分間にわたり添加した。次に、該反応混合物を、300mLの体積まで減圧下で濃縮した。2Lの酢酸エチルを添加し、700mLの体積まで減圧下で濃縮を継続し、スラリーを得た。700mLの酢酸エチルを該スラリーに添加し、最終体積を1400mLとした。102mLの水を添加し、2分間撹拌して、二相溶液を得た。この層を分離した。酢酸エチル層を、600mLの体積まで減圧下で濃縮した。次に、酢酸エチル層を>60℃に加熱し、ヘプタン(600mL)を、55~60℃の間でゆっくりと添加した。この混合物を、15~20℃まで冷却し、スラリーを得た。該スラリーを15~20℃で2時間撹拌し、濾過した。固体を、真空下で25℃で16時間乾燥して、アミン(14)を白色固体として得た(48g、64%収率)。1H-NMR (500 MHz, MeOH-d4) δ ppm 2.94 (d, J= 13.73 Hz, 1H); 3.24 (d, J= 13.58 Hz, 1H)。
【0288】
d):(R)-2,2-ジメチル-5-(トリフルオロメチル)オキサゾリジン-5-カルボキサミド(18A)と(D)-リンゴ酸との1:1塩としてのアミン(14)のキラル分割
【0289】
【化30】
【0290】
[00254]アミン(14)(105g、0.608mole、1.0当量)、(D)-リ
ンゴ酸(82g、0.608mole、1.0当量)およびアセトン(1571mL)を、機械式撹拌機およびデジタル温度計を装備した好適な反応容器に投入した。反応混合物を20~25℃で16時間撹拌した。得られたスラリーを濾過し、ウェットケーキをアセトン(300mL)で洗浄した。該ウェットケーキを、反応容器に戻し、アセトン(625mL)を投入した。このスラリーを53℃に加熱し、6時間保持した。該スラリーを、20~25℃まで冷却し、この温度で16時間保持した。該スラリーを濾過し、ウェットケーキをアセトン(200mL)で洗浄した。該ウェットケーキを、真空下で40℃で4時間乾燥して、82.4gの(18A)と(D)-リンゴ酸との1:1塩を白色固体として得た(82.4g、39%収率、97%ee)。1H-NMR (500 MHz, D2O) δ ppm 4.33 (br, s, 1H); 3.61 (br, d, J= 13.58 Hz, 1H); 3.40 - 3.47 (m, 1H); 2.76 (br, d, J= 15.87 Hz, 1H); 2.53 - 2.63 (m, 1H); 2.16 (br, s, 4H)。
【0291】
e):(R)-3,3,3-トリフルオロ-2-(((5-フルオロ-2-(1-(2-フルオロベンジル)-5-(イソオキサゾール-3-イル)-1H-ピラゾール-3-イル)ピリミジン-4-イル)アミノ)メチル)-2-ヒドロキシプロパンアミド(化合物I)を提供するための、中間体(18A)の1:1(D)-リンゴ酸塩と式IVとのカップリング
【0292】
【化31】
【0293】
[00255]中間体(18A)と(D)-リンゴ酸との1:1塩(74.1g、0.214
mole、2.5当量)および水(44.8mL)を、機械式撹拌機およびデジタル温度計を装備した好適な反応容器に投入した。反応混合物を70℃に加熱し、20分間撹拌した。反応中に生成されたアセトンを、窒素を吹き付けることにより除去した。反応混合物を30~40℃まで冷却し、式IV(32g、0.086mole、1.0当量)、DMSO(448mL)およびヒューニッヒ塩基(44.7mL、0.257mole、3.0当量)を投入した。反応混合物を90℃に加熱し、90℃で17時間にわたり撹拌した。HPLCにより反応は完了とされた。次に、この混合物を、60℃まで冷却した。さらなるヒューニッヒ塩基(104mL、0.599mole、7.0当量)を投入し、続いて水(224mL)を55~62℃で投入した。反応混合物を、55~60℃で15分間撹拌し、反応種源(seed bed)を形成した。水(320mL)を、添加漏斗を介して55~62℃で30分間にわたり添加し、得られたスラリーを、55~60℃で1時間撹拌した。得られたスラリーを濾過し、濾過ケーキを、事前混合したメタノールおよび水(320mL/320mL)の溶液で、続いて水(640mL)で洗浄した。次に、該濾過ケーキを、真空下で40℃で16時間にわたり乾燥し、化合物Iを灰色がかった白色固体として得た(40g、92%収率、HPLCにより99%純度、98%ee)。1H-NMR (500 MHz, DMSO-d6) δ ppm 9.10 (s, 1 H); 8.33 (d, J=2.90 Hz, 1 H); 7.93 (s, br, 1 H); 7.90 (s, 1 H); 7.78 (s, br, 1 H); 7.69 (s, br, 1 H); 7.52 (s, 1 H); 7.33 (q, J=7.02 Hz, 1 H); 7.17 - 7.25 (m, 1 H); 7.17 - 7.25 (m, 1 H); 7.10 (t, J=7.48 Hz,1 H); 6.98 (t, J=7.55 Hz, 1 H); 5.90 (s, 2 H); 3.92-4.05 (m, 2 H)。
【0294】
[00256]粗製の化合物I、およびその多形性形態である形態A、形態B、形態D、形態
E、形態F、形態Gおよび形態Hの間の相互関係が、図12において説明される。
実施例2
粗製の(R)-3,3,3-トリフルオロ-2-(((5-フルオロ-2-(1-(2-フルオロベンジル)-5-(イソオキサゾール-3-イル)-1H-ピラゾール-3-イル)ピリミジン-4-イル)アミノ)メチル)-2-ヒドロキシプロパンアミド(粗製の化合物I)の、多形形態Bへの再結晶
[00257]粗製の化合物I(0.68kg、1.33mol)およびアセトニトリル(2
0.4L)を、30Lのジャケット付き反応容器に投入した。反応混合物を、低速度で撹拌し、ほとんどの固体が溶解するまで、70~75℃に加熱した。30Lのジャケット付き反応容器中の溶液を、ガス拡散管(粗いフリット)を介して、100Lのジャケット付き反応容器内にインライン濾過した。次に、反応混合物を70~75℃に加熱し、バッチ温度を1時間にわたり>65℃に維持しながら、水(20.4L)を投入した。反応混合物を、52~62℃まで冷却し、52~62℃で最短で1時間にわたり撹拌して、反応種
源を形成した。得られたスラリーを、0~5℃まで最短で4時間にわたり冷却し、0~5℃で最短で1時間にわたり保持した。該スラリーを濾過し、濾過ケーキを、事前混合したアセトニトリルおよび水(3.4L/3.4L)の溶液で洗浄した。次に、該濾過ケーキを、真空下で90~100℃で最短で30時間にわたり乾燥し、化合物Iを多形形態Bとして、白色固体として得た(0.58kg、85%収率)。1H-NMR (500 MHz, DMSO-d6) δ ppm 9.10 (s, 1 H); 8.33 (d, J=2.90 Hz, 1 H); 7.93 (s, br, 1 H); 7.90 (s, 1 H); 7.78 (s, br, 1 H); 7.69 (s, br, 1 H); 7.52 (s, 1 H); 7.33 (q, J=7.02 Hz, 1 H); 7.17 - 7.25 (m, 1 H); 7.17 - 7.25 (m, 1 H); 7.10 (t, J=7.48 Hz,1 H); 6.98 (t, J=7.55 Hz, 1 H); 5.90 (s, 2 H); 3.92-4.05 (m, 2 H)。
【0295】
実施例3
粗製の(R)-3,3,3-トリフルオロ-2-(((5-フルオロ-2-(1-(2-フルオロベンジル)-5-(イソオキサゾール-3-イル)-1H-ピラゾール-3-イル)ピリミジン-4-イル)アミノ)メチル)-2-ヒドロキシプロパンアミド(化合物I)の、多形形態Eへの再結晶
[00258]機械式撹拌機、コンデンサ、滴下漏斗、窒素入出口、熱電対および加熱-冷却
能力を装備した5Lの4つ口丸底フラスコに、粗製の化合物I(67.4g、132mmol)およびメタノール(2500mL)を投入した。この混合物を、>60℃まで(例えば、70℃より高く)加熱し、溶液を得た。該溶液を濾過し、濾液を>60℃に加熱した。水(1500mL)を、温度を>60℃に維持しながら、この混合物に添加した。該混合物を、室温まで1時間にわたり放冷し、この温度で1時間にわたり保持した。スラリーを濾過し、濾過ケーキをメタノール/水(600mL、1/1 v/v)ですすいだ。該濾過ケーキを収集し、真空下で80℃で72時間にわたり乾燥して、化合物Iを多形形態Eとして、白色固体として得た(59.5g、88%収率)。
【0296】
実施例4A
(R)-3,3,3-トリフルオロ-2-(((5-フルオロ-2-(1-(2-フルオロベンジル)-5-(イソオキサゾール-3-イル)-1H-ピラゾール-3-イル)ピリミジン-4-イル)アミノ)メチル)-2-ヒドロキシプロパンアミドの多形形態Eの、多形形態Aへの再結晶
[00259]機械式撹拌機、コンデンサ、滴下漏斗、窒素入出口、熱電対および加熱-冷却
能力を装備した1Lの4つ口丸底フラスコに、多形形態Eとしての化合物I(19.3g、38mmol)および酢酸エチル(600mL)を投入した。この混合物を、>70℃に加熱し、溶液を得た。該溶液を濾過し、濾液を20~25℃で16時間にわたり撹拌して、スラリーを得た。該スラリーを、約150mLの最終体積まで真空下で濃縮した。ヘプタン(300mL)を、該スラリーに20分間にわたり添加し、この混合物を、約350mLの最終体積まで真空下で濃縮した。該スラリーを濾過し、濾過ケーキをヘプタン(50mL)ですすいだ。該濾過ケーキを収集し、真空下で100℃で3時間にわたり乾燥して、多形形態Aを白色固体として得た(19.1g、99%収率)。
【0297】
実施例4B
粗製の(R)-3,3,3-トリフルオロ-2-(((5-フルオロ-2-(1-(2-フルオロベンジル)-5-(イソオキサゾール-3-イル)-1H-ピラゾール-3-イル)ピリミジン-4-イル)アミノ)メチル)-2-ヒドロキシプロパンアミド(化合物I)の、多形形態Aへの再結晶
[00260]多形形態Aはまた、形態Eの代わりに粗製の化合物Iを出発物質として使用し
て、実施例4Aに記載されるものと類似の方法により、酢酸エチルから単離することにより、粗製の化合物Iから直接得られた。
【0298】
[00261]多形形態Aはまた、60℃より高く加熱した後、DMSO/水から単離するこ
とにより、粗製の化合物Iから直接得られた。
[00262]多形形態Aはまた、粗製の化合物Iを、溶媒であるヘプタン、(酢酸イソプロ
ピル)IPAC、エタノール、酢酸エチルまたはデカンのうちの任意の溶媒中で、室温でスラリー化し、14~30時間撹拌しておく時にも、単離された。この試料を濾過し、残留固体をXRPDにより分析した。
【0299】
実施例5A
(R)-3,3,3-トリフルオロ-2-(((5-フルオロ-2-(1-(2-フルオロベンジル)-5-(イソオキサゾール-3-イル)-1H-ピラゾール-3-イル)ピリミジン-4-イル)アミノ)メチル)-2-ヒドロキシプロパンアミドの多形形態Eの、多形形態Dへの再結晶
[00263]機械式撹拌機、コンデンサ、滴下漏斗、窒素入出口、熱電対および加熱-冷却
能力を装備した2Lの4つ口丸底フラスコに、多形形態Eとしての化合物I(14.0g、28mmol)およびn-デカン(560mL)を投入した。この混合物を、145~155℃に加熱し、145~155℃で45分間保持した。得られたスラリーを、20~30℃まで1時間にわたり冷却し、次に濾過した。濾過ケーキをヘプタン(280mL)ですすいだ。該濾過ケーキを収集し、真空下で80℃で72時間にわたり乾燥して、化合物Iを形態Dとして、白色固体として得た(12.9g、92%収率)。
【0300】
実施例5B
多形形態Dを得るための他の方法
[00264]多形形態Dはまた、その他の多くの多形性形態(他物質を含まず)を、180
℃で、図12に要約され、かつ以下に記載されるように加熱することにより得られた。いくつかの実施形態では、化合物Iを加熱して多形形態Dを得た。いくつかの実施形態では、多形形態Fを加熱して多形形態Dを得た。いくつかの実施形態では、多形形態Bを加熱して多形形態Dを得た。いくつかの実施形態では、多形形態Eを加熱して多形形態Dを得た。いくつかの実施形態では、多形形態Gを加熱して多形形態Dを得た。いくつかの実施形態では、多形形態Hを加熱して多形形態Dを得た。
【0301】
[00265]100mLの丸底フラスコに、化合物I、形態F、形態B、形態E、形態Gま
たは形態H(5g)を投入した。この固体を、180℃に加熱し、180℃で5分間にわたり保持した。全ての化合物Iの固体はゆっくりと融解し、再凝固させて、固体を得た。該固体を乳鉢および乳棒を用いて粉砕し、約4.8gの粉末を得た。HPLCは99.8%の純度を示した。XRPDは、それが形態Dであることを示した。DSCは、196℃で鋭いピークを示した。
【0302】
実施例6
形態Fの調製
[00266]新しい多形形態Fを、形態Aを、他物質を含まず160℃で加熱する時に得た
。この形態は、rtで不安定であると考えられ、純粋に単離されなかった。
【0303】
実施例7
粗製の(R)-3,3,3-トリフルオロ-2-(((5-フルオロ-2-(1-(2-フルオロベンジル)-5-(イソオキサゾール-3-イル)-1H-ピラゾール-3-イル)ピリミジン-4-イル)アミノ)メチル)-2-ヒドロキシプロパンアミド(化合物I)の、多形形態Gへの再結晶
[00267]撹拌機を装備したフラスコに、粗製の化合物I(2.0g)およびアセトン(
15.0mL)を投入した。この混合物を室温(22~25℃)で2時間撹拌した。次に、得られたスラリーを濾過した。濾過ケーキをアセトン(5mL)ですすいだ。該濾過ケーキを収集し、真空下で40℃で15時間にわたり乾燥して、多形形態Gを白色固体として得た。
【0304】
[00268]多形形態Gはまた、以下に記載されるように得られた多形形態Hを、アセトン
中で、室温で撹拌し、続いて濾過し、真空下で30~40℃で乾燥することにより得られた。
【0305】
実施例8
粗製の(R)-3,3,3-トリフルオロ-2-(((5-フルオロ-2-(1-(2-フルオロベンジル)-5-(イソオキサゾール-3-イル)-1H-ピラゾール-3-イル)ピリミジン-4-イル)アミノ)メチル)-2-ヒドロキシプロパンアミドの、多形形態Hへの再結晶
[00269]撹拌機を装備したフラスコに、粗製の化合物I(2.0g)およびアセトン(
15.0mL)を投入した。この混合物を45~50℃に加熱し、溶液が形成されるまで撹拌した。次に、この熱溶液を濾過し、撹拌しながらゆっくりと室温まで冷却した。さらに15時間撹拌し、次に得られたスラリーを濾過した。濾過ケーキをアセトン(5mL)ですすいだ。該濾過ケーキを収集し、真空下で40℃で15時間にわたり乾燥して、多形形態Hを白色固体として得た。
【0306】
実施例9
多形体の特徴付け
粉末X線回折(XRPD):
粉末X線回折トレースを、D8 Advance、Bruker装置を使用して;2種の方法の1つを使用して得た:
5~45°の2-シータ走査、0.02°のステップ幅、1ステップ当たり1秒;または 3~40°の2-シータ走査、0.037°のステップ幅、1ステップ当たり1.5秒 フーリエ変換赤外分光法(FTIR):
FTIRトレースを、ThermoFisher ScientificからのNicolet iS10 FTIR装置を使用して得た。
【0307】
方法:32走査および解像度4を用いて、525~4000cm-1の波数範囲にわたり、各測定前に得たバックグラウンドを用いて、減衰した全反射により分析した。
実施例10
HCl塩の調製
プロトコル1:
50.5mgのその多形形態Dとしての化合物Iおよび98.2mLの1MのHClを、2mLのi-PrOH中で懸濁させた。この懸濁液を、20℃~40℃の間の温度サイクルで撹拌した。40℃/時の加熱速度および5℃/時の冷却速度を使用した。8日後、該懸濁液を濾過し、固体を真空下で(およそ5mbar、1時間)乾燥した。
【0308】
プロトコル2:
299.9mgのその多形形態Dとしての化合物Iおよび上記で得られた塩酸塩(プロトコル1から)の少ない結晶を、5mLのi-PrOH中で懸濁させた。次に、589mLの1MのHClおよび5mLのi-PrOHを添加し、懸濁液を20℃~40℃の間の温度サイクルで撹拌した。40℃/時の加熱速度および5℃/時の冷却速度を使用した。6日後、該懸濁液を濾過し、固体を真空下で(およそ5mbar、1時間)乾燥した。
【0309】
実施例11
HCl塩の特徴付け
化合物IのHCl塩は、図11のXRPDパターンにより特徴付けられる。
【0310】
化合物IのHCl塩は、元素分析により特徴付けられ、以下の表に示される1:1比(形態D:HCl)に関して、測定値および計算値を得た:
【0311】
【表2】
【0312】
[00270]本明細書で使用される用語は、特定の実施形態を説明することのみを目的とし
たものであり、本発明を限定することが目的とされるものではない。本明細書で使用される場合、単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈よりそうでない旨が明確に示されない限り、同様に複数形を含むことが目的とされる。用語「含む(comprise)」(ならびに「含む(comprises)」および「含む(comprising)」などのcompriseの任意の形態)、「有する(have)」(ならびに「有する(has)」および「有する(having)」などのhaveの任意の形態)、「含む(include)」(ならびに「含む(includes)」および「含む(including)」などのincludeの任意の形態)、「含有する(contain)」(ならびに「含有する(contains)」および「含有する(containing)」などのcontainの任意の形態)、ならびに任意の他のそれらの文法的変形は、オープンエンド型の連結動詞であることがさらに理解されよう。結果として、1つまたは複数のステップまたは要素を「含む(comprises)」、「有する(has)」、「含む(includes)」または「含有する(contains)」方法または装置は、これらの1つまたは複数のステップまたは要素を所有するが、これらの1つまたは複数のステップまたは要素のみを所有することに限定されない。同じく、1つまたは複数の特色を「含む(comprises)」、「有する(has)」、「含む(includes)」または「含有する(contains)」方法のステップまたは装置の要素は、これらの1つまたは複数の特色を所有するが、これらの1つまたは複数の特色のみを所有することに限定されない。さらに、特定の方式で構成される装置または構造は、少なくともそのように構成されるが、収載されない方式でも構成され得る。
【0313】
[00271]本明細書で使用される時、用語「含む(comprising)」、「有する
(has)」、「含む(including)」、「含有する(containing)」、および他のそれらの文法的変形は、用語「からなる(consisting of)」および「から本質的になる(consisting essentially of)」を包含する。
【0314】
[00272]語句「から本質的になる」またはその文法的変形は、本明細書で使用される時
、述べられた特色、整数、ステップまたは成分を規定するために使われるが、そのさらなる特色、整数、ステップ、成分または群が、請求項に記載される組成物、装置または方法の基本的かつ新規な特徴を著しく変えない場合に限り、1つまたは複数のそのさらなる特色、整数、ステップ、成分または群を付け足すことを妨げるものではない。
【0315】
[00273]本明細書に引用される全ての刊行物は、それぞれ個々の刊行物が詳細に、かつ
個別的に本明細書に参照により組み込まれると明記されているかの如く、完全に明示されているかのように、本明細書に参照により組み込まれる。
【0316】
[00274]参照により組み込まれた主題は、特に明示的に示されない限り、請求項の任意
の限定に変わるものと考えられるべきではない。
[00275]本明細書の全体にわたり、1つまたは複数の範囲が示される場合、各範囲は、
情報を与えるための簡潔な書式であることが目的とされ、これと同一のものは、離散点が本明細書に完全に明示されているかの如く、その範囲内にそれぞれの離散点を包含すると理解される。
【0317】
[00276]本発明のいくつかの態様および実施形態が、本明細書に記載され、かつ示され
るが、代替の態様および実施形態が、同一の目標を成し遂げるために、当業者により変え
られ得る。したがって、本開示および添付の特許請求の範囲は、本発明の真の趣旨および
範囲内に入るように、全てのそのようなさらなる、かつ代替的な態様および実施形態を包
含することが目的とされる。
本明細書は以下の発明の開示を包含する。
[1]
【化32-1】
の結晶性固体形態。
[2]形態A、形態B、形態D、形態E、形態F、形態Hまたは形態Gから選択される
結晶性遊離形態である、[1]に記載の結晶性固体形態。
[3]塩酸塩である、[1]に記載の結晶性固体形態。
[4]7.4、18.8~19.3、21.1、24.8および25.5の°2θから
選択される、XRPDスペクトル中の1つまたは複数のピークにより特徴付けられる、[
2]に記載の化合物Iの結晶性遊離形態である形態E。
[5]7.4、13.9、15.1、16.3、17.6、18.8~19.3、21
.1、22.3~22.5、24.8、25.5および27.1の°2θから選択される
、XRPDスペクトル中の1つまたは複数のピークにより特徴付けられる、[4]に記載
の化合物Iの結晶性遊離形態である形態E。
[6]図2または図6に示されるものと実質的に同様のXRPDスペクトルにより特徴
付けられる、[2]に記載の化合物Iの結晶性遊離形態である形態E。
[7]図10に示されるものと実質的に同様のFT-ラマンスペクトルにより特徴付け
られる、[2]に記載の化合物Iの結晶性遊離形態である形態E。
[8]1690cm-1においてピーク最大値を示すIRスペクトルにより特徴付けら
れる、[2]に記載の化合物Iの結晶性遊離形態である形態E。
[9]1515cm-1においてピーク最大値を示すIRスペクトルにより特徴付けら
れる、[2]に記載の化合物Iの結晶性遊離形態である形態E。
[10]1690および1515cm-1においてバンド極大を示すIRスペクトルに
より特徴付けられる、[2]に記載の化合物Iの結晶性遊離形態である形態E。
[11]6.0、18.3、19.3、20.2および22.0の°2θから選択され
る、XRPDスペクトル中の1つまたは複数のピークにより特徴付けられる、[2]に記
載の化合物Iの結晶性遊離形態である形態A。
[12]6.0、8.5、9.5、12.4~12.9、13.4、17.1、18.
3、19.3、20.2、22.0、30.1および34.1の°2θから選択される、
XRPDスペクトル中の1つまたは複数のピークにより特徴付けられる、[11]に記載
の化合物Iの結晶性遊離形態である形態A。
[13]6.0、6.7、8.5、9.5、10.9、12.4~12.9、13.4
、16.2、17.1、18.3、19.3、20.2、22.0、23.0、24.1
~24.8、25.8、30.1および34.1の°2θから選択される、XRPDスペ
クトル中の1つまたは複数のピークにより特徴付けられる、[12]に記載の化合物Iの
結晶性遊離形態である形態A。
[14]図2または図3Aに示されるものと実質的に同様のXRPDスペクトルにより
特徴付けられる、[2]に記載の化合物Iの結晶性遊離形態である形態A。
[15]6.1(80.81%の相対強度)、9.6(40.35%)、12.6(4
1.26%)、13.6(43.19%)、18.4(53.57%)、19.4(10
0.00%)、20.3(57.01%)および22.0(56.64)の°2θから選
択される、XRPDスペクトル中の1つまたは複数のピークにより特徴付けられる、[2
に記載の化合物Iの結晶性遊離形態である形態A。
[16]図3Cに示されるものと実質的に同様のXRPDスペクトルにより特徴付けら
れる、[2]に記載の化合物Iの結晶性遊離形態である形態A。
[17]図10に示されるものと実質的に同様のFT-ラマンスペクトルにより特徴付
けられる、[2]に記載の化合物Iの結晶性遊離形態である形態A。
[18]1730cm-1においてバンド極大を示すIRスペクトルにより特徴付けら
れる、[2]に記載の化合物Iの結晶性遊離形態である形態A。
[19]40℃および75%の相対湿度の安定性条件下で14か月間保管された時、本
質的に変化しないXRPDトレースを示すことにより特徴付けられる、[2]に記載の化
合物Iの結晶性遊離形態である形態A。
[20]18.8の2θにおける、XRPDスペクトル中のピークにより特徴付けら
れる、[2]に記載の化合物Iの結晶性遊離形態である形態D。
[21]17.1、18.1、18.8、および25.0の°2θから選択される、X
RPDスペクトル中の1つまたは複数のピークにより特徴付けられる、[20]に記載の
化合物Iの結晶性遊離形態である形態D。
[22]8.8、17.1、18.1、18.8、および25.0の°2θから選択さ
れる、XRPDスペクトル中の1つまたは複数のピークにより特徴付けられる、[21]
に記載の化合物Iの結晶性遊離形態である形態D。
[23]図2または図5Aに示されるものと実質的に同様のXRPDスペクトルにより
特徴付けられる、[2]に記載の化合物Iの結晶性遊離形態である形態D。
[24]4.7(97.11%の相対強度)、8.3(64.04%)、18.1(8
0.97%)、18.6(100.00%)、および26.8(65.25)の°2θか
ら選択される、XRPDスペクトル中の1つまたは複数のピークにより特徴付けられる、
[2]に記載の化合物Iの結晶性遊離形態である形態D。
[25]図5Cに示されるものと実質的に同様のXRPDスペクトルにより特徴付けら
れる、[2]に記載の化合物Iの結晶性遊離形態である形態D。
[26]図10に示されるものと実質的に同様のFT-ラマンスペクトルにより特徴付
けられる、[2]に記載の化合物Iの結晶性遊離形態である形態D。
[27]1665cm-1においてバンド極大を示すIRスペクトルにより特徴付けら
れる、[2]に記載の化合物Iの結晶性遊離形態である形態D。
[28]1639cm-1においてバンド極大を示すIRスペクトルにより特徴付けら
れる、[2]に記載の化合物Iの結晶性遊離形態である形態D。
[29]968cm-1においてバンド極大を示すIRスペクトルにより特徴付けられ
る、[2]に記載の化合物Iの結晶性遊離形態である形態D。
[30]1665、1639および968cm-1においてバンド極大を示すIRスペ
クトルにより特徴付けられる、[2]に記載の化合物Iの結晶性遊離形態である形態D。
[31]40℃および75%の相対湿度の安定性条件下で14か月間保管された時、本
質的に変化しないXRPDトレースを示すことにより特徴付けられる、[2]に記載の化
合物Iの結晶性遊離形態である形態D。
[32]18.8~19.1の°2θにおける、XRPDスペクトル中の1つまたは複
数のピークにより特徴付けられる、[2]に記載の化合物Iの結晶性遊離形態である形態
B。
[33]8.8、16.4、17.2、18.8~19.1、20.1、および21.
1~21.6の°2θから選択される、XRPDスペクトル中の1つまたは複数のピーク
により特徴付けられる、[32]に記載の化合物Iの結晶性遊離形態である形態B。
[34]8.8、10.6、12.6~13.0、14.6、16.4、17.2、1
8.8~19.1、20.1、21.1~21.6、24.5、25.3、27.0~2
7.5、28.9、29.8および30.5の°2θから選択される、XRPDスペクト
ル中の1つまたは複数のピークにより特徴付けられる、[33]に記載の化合物Iの結晶
性遊離形態である形態B。
[35]図2または図4Aに示されるものと実質的に同様のXRPDスペクトルにより
特徴付けられる、[2]に記載の化合物Iの結晶性遊離形態である形態B。
[36]7.0(44.44%の相対強度)、8.9(76.55%)、17.4(5
7.67%)、19.1(100.00%)、20.3(49.78%)、21.8(3
6.16%)、および25.5(52.26)の°2θから選択される、XRPDスペク
トル中の1つまたは複数のピークにより特徴付けられる、[2]に記載の化合物Iの結晶
性遊離形態である形態B。
[37]図4Cに示されるものと実質的に同様のXRPDスペクトルにより特徴付けら
れる、[2]に記載の化合物Iの結晶性遊離形態である形態B。
[38]図10に示されるものと実質的に同様のFT-ラマンスペクトルにより特徴付
けられる、[2]に記載の化合物Iの結晶性遊離形態である形態B。
[39]1200cm-1においてピーク最大値を示すIRスペクトルにより特徴付け
られる、[2]に記載の化合物Iの結晶性遊離形態である形態B。
[40]40℃および75%の相対湿度の安定性条件下で14か月間保管された時、本
質的に変化しないXRPDトレースを示すことにより特徴付けられる、[2]に記載の化
合物Iの結晶性遊離形態である形態B。
[41]5.3(100.00%の相対強度)、8.6(58.80%)、16.4(
62.95%)、および19.0(48.51%)の°2θから選択される、XRPDス
ペクトル中の1つまたは複数のピークにより特徴付けられる、[2]に記載の化合物Iの
結晶性遊離形態である形態F。
[42]図7に示されるものと実質的に同様のXRPDスペクトルにより特徴付けられ
る、[2]に記載の化合物Iの結晶性遊離形態である形態F。
[43]10.7(55.47%の相対強度)、13.9(42.47%)、18.3
3(100.00%%)、および21.6(40.73%)の°2θから選択される、X
RPDスペクトル中の1つまたは複数のピークにより特徴付けられる、[2]に記載の化
合物Iの結晶性遊離形態である形態G。
[44]図8に示されるものと実質的に同様のXRPDスペクトルにより特徴付けられ
る、[2]に記載の化合物Iの結晶性遊離形態である形態G。
[45]5.77(89.22%の相対強度)、6.39(100.00%%)、9.
1(84.17%)、および18.5(67.04%)の°2θから選択される、XRP
Dスペクトル中の1つまたは複数のピークにより特徴付けられる、[2]に記載の化合物
Iの結晶性遊離形態である形態H。
[46]5.77(89.22%の相対強度)、6.39(100.00%%)、9.
1(84.17%)、18.5(67.04%)、および18.83(67.04%)の
°2θから選択される、XRPDスペクトル中の1つまたは複数のピークにより特徴付け
られる、[2]に記載の化合物Iの結晶性遊離形態である形態H。
[47]図9に示されるものと実質的に同様のXRPDスペクトルにより特徴付けられ
る、[2]に記載の化合物Iの結晶性遊離形態である形態H。
[48]256℃の融点により特徴付けられる、[3に記載の塩酸塩。
[49]pH1.4における0.5mg/mLの水溶解度により特徴付けられる、[3
に記載の塩酸塩。
[50]図11に示されるものと実質的に同様のXRPDパターンにより特徴付けられ
る、[3]に記載の塩酸塩。
[51]化合物Iの結晶性遊離形態である形態Eを調製する方法であって、
a.粗製の化合物Iを、最低で60℃でMeOHに溶解して、溶液を得るステップと、
b.溶液を濾過し、最低で60℃で濾液を加熱するステップと;
c.濾液に水を添加して水溶液を形成し、水溶液を室温(rt)に冷却するステップと

d.水溶液を濾過し、濾液を真空下で乾燥するステップと
を含む方法。
[52]化合物Iの結晶性遊離形態である形態Aを調製する方法であって、
a.結晶性遊離形態である形態Eを、最低で70℃で酢酸エチルに溶解して、溶液を得
るステップと、
b.溶液を濾過し、得られた濾液を20~25℃で16時間にわたり撹拌して、スラリ
ーを形成するステップと、
c.スラリーを、真空下で濃縮し、濾過し、乾燥するステップと
を含む方法。
[53]化合物Iの結晶性遊離形態である形態Aを調製する方法であって、
a.粗製の化合物Iを、最低で70℃で酢酸エチルに溶解して、溶液を得るステップと

b.溶液を濾過し、得られた濾液を20~25℃で16時間にわたり撹拌して、スラリ
ーを形成するステップと、
c.スラリーを、真空下で濃縮し、濾過し、乾燥するステップと
を含む方法。
[54]化合物Iの結晶性遊離形態である形態Aを調製する方法であって、
a.DMSO中の粗製の化合物Iを、最低で60℃で加熱して、溶液を形成ステップと

b.水を添加して、スラリーを形成するステップと、
c.スラリーを濾過して、結晶性遊離形態である形態Aを単離するステップと
を含む方法。
[55]化合物Iの結晶性遊離形態である形態Aを調製する方法であって、
a.粗製の化合物Iを、ヘプタン、IPAC、エタノール、酢酸エチル、もしくはデカ
ンまたはこれらの混合物から選択される溶媒中でスラリー化するステップと、
b.14~30時間、rtで撹拌するステップと、
c.スラリーを濾過し、真空下で乾燥するステップと
を含む方法。
[56]化合物Iの結晶性遊離形態である形態Dを調製する方法であって、
a.結晶性遊離形態である形態Eを、n-デカンと145~155℃で混合して、スラ
リーを得るステップと、
b.スラリーを、20~30℃まで1時間にわたり冷却するステップと、
c.スラリーを濾過し、真空下で乾燥するステップと
を含む方法。
[57]化合物Iの結晶性遊離形態である形態Dを調製する方法であって、結晶性遊離
形態である形態F、形態B、形態E、形態G、もしくは形態Hのいずれか1つ、またはこ
れらの混合物を、他物質を含まず、180℃で加熱するステップを含む方法。
[58]化合物Iの結晶性遊離形態である形態Bを調製する方法であって、
a.粗製の化合物Iを、アセトニトリルと混合して、溶液を形成するステップと、
b.溶液を濾過し、濾液を形成して、濾液を70~75℃で加熱するステップと、
c.加熱された濾液に水を添加するステップと、
d.52~62℃に冷却して、スラリーを形成するステップと、
e.スラリーを、0~5℃まで少なくとも4時間さらに冷却するステップと、
f.冷却されたスラリーを濾過し、得られた濾液を真空下で乾燥するステップと
を含む方法。
[59]化合物Iの結晶性遊離形態である形態Fを調製する方法であって、形態Aを、
他物質を含まず、160℃で加熱するステップを含む方法。
[60]化合物Iの結晶性遊離形態である形態Gを調製する方法であって、
a.アセトン中の粗製の化合物Iを、室温で約2時間混合して、スラリーを形成するス
テップと、
b.スラリーを濾過し、真空下で乾燥するステップと
を含む方法。
[61]化合物Iの結晶性遊離形態である形態Gを調製する方法であって、
a.アセトン中の形態Hを、室温で約2時間撹拌して、スラリーを形成するステップと

b.スラリーを濾過し、真空下で乾燥するステップと
を含む方法。
[62]化合物Iの結晶性遊離形態である形態Hを調製する方法であって、
a.粗製の化合物Iを、アセトンと45~50℃で混合して、溶液を得るステップと、
b.濾過し、冷却して、スラリーを形成するステップと、
c.スラリーを撹拌し、濾過し、真空下で乾燥するステップと
を含む方法。
[63][2]に記載の化合物のI結晶性遊離形態または[3]に記載の塩酸塩、およ
び少なくとも1つの薬学的に許容される賦形剤または担体を含む医薬組成物。
[64][1]、[2]または[3]のいずれかに記載の化合物Iの結晶性固体形態を
含む医薬剤形。
[65]処置を必要とする対象における疾患、健康状態または障害を処置する方法であ
って、治療有効量の、[1]~[50]のいずれかに記載の化合物Iの結晶性固体形態、
または[63]に記載の医薬組成物、または[64]に記載の医薬剤形を、処置を必要と
する対象に投与することを含み、疾患、健康状態または障害が:
・高血圧症および減少した冠血流に関連する障害;増加した急性および慢性の冠血圧;
動脈性高血圧;心臓および腎臓の合併症に起因する血管障害;心臓疾患、脳卒中、大脳虚
血または腎不全に起因する血管障害;抵抗性高血圧;糖尿病性高血圧;本態性高血圧;二
次性高血圧;妊娠性高血圧;子癇前症;門脈圧亢進症;心筋梗塞;
・心不全、HFPEF、HFREF;急性および慢性のHF;より特異的な形態のHF
:急性非代償性HF、右室不全、左室不全、総HF、虚血性心筋症、拡張型心筋症、先天
性心欠損、心臓弁奇形を有するHF、僧帽弁狭窄、僧帽弁閉鎖不全、大動脈弁狭窄、大動
脈弁閉鎖不全、三尖弁狭窄、三尖弁閉鎖不全、肺動脈弁狭窄、肺動脈弁閉鎖不全、複合心
臓弁奇形;糖尿病性心不全;アルコール性心筋症または保管肥大型心筋症;拡張期HF、
収縮期HF;急性期の既存の慢性HF(悪化HF);拡張期または収縮期の機能障害;冠
機能不全;不整脈;心室前負荷の減少;心肥大;心不全/心腎症候群;門脈圧亢進症;内
皮機能障害または傷害;心房および心室調律の妨害および伝導妨害:段階I~III(A
VB I~III)の房室ブロック、上室性頻脈性不整脈、心房細動、心房粗動、心室細
動、心室粗動、心室性頻脈性不整脈、多形性心室頻拍症、心房および心室性の期外収縮、
AV接合部期外収縮、洞不全症候群、失神、AV結節リエントリー性頻拍;ウォルフ・パ
ーキンソン・ホワイト症候群または急性冠症候群;ボクサー心筋症;心室性期外収縮;心
筋症;がん誘発性心筋症;化学療法誘発性心毒性;
・血栓塞栓性障害および虚血;心筋虚血;梗塞;心筋梗塞;心臓発作;心筋機能不全;
内皮機能障害;脳卒中;一過性脳虚血発作(TIA);閉塞性血栓性血管炎;安定または
不安定な狭心症;冠攣縮または末梢動脈の攣縮;異型狭心症;プリンツメタル狭心症;心
肥大;子癇前症;血栓形成性障害;虚血-再灌流傷害;臓器移植に関連する虚血-再灌流
;肺移植(lung transplant)、肺移植(pulmonary tran
splant)、心臓移植、静脈グラフト不全症;外傷患者における保存血液置換(co
nserving blood substituent)に関連する虚血-再灌流;
・末梢血管疾患;末梢動脈疾患;末梢動脈閉塞性疾患;筋緊張亢進;レイノー症候群ま
たは現象(原発性および二次性);レイノー病;重症下肢虚血;末梢塞栓症;間欠性跛行
;血管閉塞性クリーゼ;筋ジストロフィー、デュシェンヌ型筋ジストロフィー、ベッカー
型筋ジストロフィー;微小循環異常;血管漏出または浸透性の制御;腰部脊柱管狭窄;閉
塞性血栓性血管炎;血栓性血管炎;末梢灌流妨害;動脈および静脈の血栓症;微量アルブ
ミン尿;末梢性および自律神経ニューロパチー;糖尿病性神経障害疼痛;糖尿病性細小血
管症;肝臓血管閉塞性障害;鎌状赤血球症における血管閉塞性クリーゼ;高血圧クリーゼ

・浮腫;心不全が原因の腎性浮腫;
・アルツハイマー病;パーキンソン病;血管性認知症;血管性認知障害;脳血管攣縮;
先天性筋無力症症候群;くも膜下出血;外傷性脳損傷;外傷性脳損傷;軽度認知障害に起
きるもの、加齢性の学習および記憶の障害、加齢性の記憶喪失、血管性認知症、頭部損傷
、脳卒中、脳卒中後の認知症、外傷性頭部損傷後、集中の一般的妨害ならびに学習および
記憶の問題を伴う小児における集中の妨害などの、認知障害後の知覚、集中能力、学習ま
たは記憶の履行の能力の改善;レビー小体型認知症;ピック症候群を含む前頭葉変性を伴
う認知症;進行性核上性麻痺;皮質基底核変性を伴う認知症;筋萎縮性側索硬化症(AL
S);ハンチントン病;脱髄;多発性硬化症;視床変性;クロイツフェルト・ヤコブ認知
症;HIV認知症;認知症またはコルサコフ精神病を伴う統合失調症;多系統萎縮症およ
び他の形態のパーキンソニズムプラス;運動障害;神経保護;不安、緊張および抑うつま
たは外傷後ストレス障害(PTSD);双極性障害;統合失調症;CNS関連の性機能障
害および睡眠障害;病理学的摂食障害ならびに高級食糧および依存性薬物の使用;制御性
脳灌流;片頭痛;脳梗塞(脳卒中(apoplexia cerebri))の予防およ
び結果の制御;脳卒中、大脳虚血および頭部損傷の予防および結果の制御;CNS疾患に
関連するニューロパチー;MSに関連する神経障害性疼痛;化学療法誘発性の神経障害性
疼痛;帯状疱疹に関連する神経障害性疼痛;脊椎外科手術に関連する神経障害性疼痛;
・ショック;心原性ショック;敗血症;敗血症性ショック;アナフィラキシーショック
;動脈瘤;白血球活性化の制御;血小板凝集の抑制または調節;多臓器機能障害症候群(
MODS);多臓器不全(MOF);
・肺性/呼吸状態:肺高血圧(PH);肺動脈性高血圧(PAH)、および関連する肺
血管性再構築;局在性血栓症および右心肥大の形態における血管性再構築;肺性筋緊張亢
進;原発性肺高血圧;二次性肺高血圧;家族性肺高血圧;孤発性肺高血圧;前毛細血管肺
高血圧;特発性肺高血圧;他の形態のPH;左室疾患、HIV、SCD、血栓塞栓症(C
TEPH)、サルコイドーシス、COPD、肺線維症、急性呼吸促迫症候群(ARDS)
、急性肺傷害、α1アンチトリプシン欠損症(AATD)、肺気腫、喫煙誘発性の気腫お
よび嚢胞性線維症(CF)に関連するPH;血栓性肺動脈症;多因性肺動脈症;嚢胞性線
維症;気管支収縮または肺性気管支収縮;急性呼吸器症候群;肺線維症、肺移植;喘息性
疾患;
・左室機能障害、低酸素血症、WHO群I、II、III、IVおよびVの高血圧、僧
帽弁疾患、収縮性心膜炎、大動脈弁狭窄、心筋症、縦隔線維症、肺線維症、肺静脈還流異
常、肺静脈閉塞症、肺性血管炎、膠原病性血管疾患、先天性心疾患、肺静脈圧上昇、間質
性肺疾患、睡眠呼吸障害、睡眠時無呼吸、肺胞低換気障害、高高度への慢性曝露、新生児
肺疾患、肺胞毛細血管異形成、鎌状赤血球症、他の血液凝固障害、慢性血栓塞栓症、肺塞
栓症に関連するかまたは関する肺高血圧;腫瘍、寄生虫または異物が原因の肺塞栓症;結
合組織疾患、ループス、ループス腎炎、住血吸虫症、サルコイドーシス、慢性閉塞性肺疾
患、喘息、気腫、慢性気管支炎、肺毛細血管腫症、組織球症X、リンパ管腫症、圧縮肺血
管(compressed pulmonary vessels);腺症、腫瘍または
線維化性縦隔炎が原因の圧縮肺血管;
・動脈硬化性疾患または状態:アテローム性動脈硬化症;内皮傷害、血小板および単球
の接着および凝集、平滑筋の増殖または遊走に関連するアテローム性動脈硬化症;再狭窄
;血栓溶解療法、経皮経管血管形成術(PTA)、経管冠動脈形成術(PTCA)、心臓
移植、バイパス手術または炎症過程後に発達した再狭窄;
・微小血管および大血管の損傷(血管炎);増加したレベルのフィブリノーゲンおよび
低密度のDLD;増加した濃度のプラスミノーゲン活性化因子阻害剤1(PA-1);
・メタボリックシンドローム;代謝性疾患またはメタボリックシンドロームに関連する
疾患:肥満;過剰皮下脂肪;過剰体脂肪蓄積;糖尿病;高血圧症;脂質関連障害、高脂血
症、脂質異常症、高コレステロール血症、減少した高密度リポタンパク質コレステロール
(HDL-コレステロール)、中程度に上昇した低密度リポタンパク質コレステロール(
LDL-コレステロール)レベル、高トリグリセリド血症、高グリセリド血症、低リポタ
ンパク質貧血、シトステロール血症、脂肪肝疾患、アルコール性脂肪肝疾患(AFLD)
、非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)、肝炎;子癇前症;多発性腎臓疾患進行;肝
脂肪変性または肝臓中の異常な脂質蓄積、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH);心臓
、腎臓または筋肉の脂肪変性;アルファベータリポタンパク血症;シトステロール血症;
黄色腫症;タンジール病;高アンモニア血症および関連疾患;肝性脳症;他の中毒性脳症
;ライ症候群;
・性的、婦人科および泌尿器科の状態の障害:勃起機能障害;インポテンス;早漏;女
性性機能障害;女性性的刺激機能障害;低機能性的刺激障害;膣萎縮;性交疼痛症;萎縮
性腟炎;良性前立腺肥大(BPH)、前立腺肥大、前立腺腫大;膀胱下尿道閉塞;膀胱痛
症候群(BPS);間質性膀胱炎(IC);過活動膀胱;神経因性膀胱および失禁;糖尿
病性腎症;原発性および二次性の月経困難症;下部尿路症候群(LUTS);子宮内膜症
;骨盤痛;男性および女性の泌尿生殖器系の臓器の良性および悪性の疾患;
・慢性腎臓疾患;急性および慢性の腎機能不全;急性および慢性の腎不全;ループス腎
炎;根本的なまたは関連する腎臓疾患:低灌流、透析中の低血圧、閉塞性尿路疾患、糸球
体症、糸球体腎炎、急性糸球体腎炎、糸球体硬化症、尿細管間質障害、腎障害疾患、原発
性および先天性の腎臓疾患、腎炎;異常に減少したクレアチニンおよびまたは水分排出に
より特徴付けられる疾患;尿素、窒素、カリウムおよび/またはクレアチニンの異常に増
加した血液濃度により特徴付けられる疾患;腎臓酵素の変化した活性により特徴付けられ
る疾患、グルタミル合成酵素の変化した活性により特徴付けられる疾患;変化した尿浸透
圧または尿量により特徴付けられる疾患;増加した微量アルブミン尿により特徴付けられ
る疾患、顕性アルブミン尿により特徴付けられる疾患;糸球体および細動脈の病変、尿細
管拡大、高リン血症および/または透析の必要により特徴付けられる疾患;腎機能不全の
続発症;肺水腫関連の腎機能不全;HF関連の腎機能不全;尿毒症または貧血関連の腎機
能不全;電解質異常(ヘルカレミア、低ナトリウム血症);骨および炭水化物代謝の妨害
;急性腎臓傷害;
・緑内障、網膜症および糖尿病性網膜症などの眼の疾患または障害
から選択される、方法。
[66]処置を必要とする対象における疾患、健康状態または障害を処置する方法であ
って、治療有効量の、[1]~[50]のいずれかに記載の化合物Iの結晶性固体形態、
または[63]に記載の医薬組成物、または[64]に記載の医薬剤形を、処置を必要と
する対象に投与することを含み、疾患、健康状態または障害が:
・心筋炎症(心筋炎);慢性心筋炎;急性心筋炎;ウイルス性心筋炎;
・血管炎;膵炎;腹膜炎;リウマチ様疾患;
・腎臓の炎症性疾患;免疫学的腎臓疾患:腎臓移植拒絶反応、免疫複合体誘発性の腎臓
疾患、毒素誘発性の腎症、造影剤誘発性の腎症;糖尿病性および非糖尿病性の腎症、腎盂
腎炎、腎嚢胞、腎硬化症、高血圧性腎硬化症およびネフローゼ症候群;
・慢性間質性炎症、炎症性腸疾患(IBD)、クローン病、潰瘍性大腸炎(UC);
・炎症性皮膚疾患;
・眼の炎症性疾患、眼瞼炎、ドライアイ症候群、およびシェーグレン症候群;眼線維症
から選択される、方法。
[67]処置を必要とする対象における疾患、健康状態または障害を処置する方法であ
って、治療有効量の、[1]~[50]のいずれかに記載の化合物Iの結晶性固体形態、
または[63]に記載の薬学的に許容されるその塩、医薬組成物、または[64]に記載
の医薬剤形を、処置を必要とする対象に投与することを含み、疾患、健康状態または障害
が:糖尿病性の創傷または潰瘍の治癒;微小血管灌流改良;傷害に続くかまたは周術期ケ
アにおける炎症性応答に対抗する微小血管灌流改良;裂肛;糖尿病性潰瘍;糖尿病性足部
潰瘍;骨治癒機転;破骨細胞性骨吸収および再構築;ならびに新骨形成から選択される、
方法。
[68]処置を必要とする対象における疾患、健康状態または障害を処置する方法であ
って、治療有効量の、[1]~[50]のいずれかに記載の化合物Iの結晶性固体形態、
または[63]に記載の医薬組成物、または[64]に記載の医薬剤形を、処置を必要と
する対象に投与することを含み、疾患、健康状態または障害が:
・泌尿生殖器系または腎臓障害:糖尿病性腎症;慢性腎臓疾患または腎機能不全に起因
する腎線維症および腎不全;蓄積/沈着および組織傷害が原因の腎線維症および腎不全;
腎硬化症;進行性硬化症;糸球体腎炎;巣状分節性糸球体硬化症;ネフローゼ症候群;前
立腺肥大;腎臓線維症;間質性腎線維症;
・肺系統障害:肺線維症;特発性肺線維症;嚢胞性線維症;進行性塊状線維症;肺に影
響を及ぼす進行性塊状線維症;
・心臓に影響を及ぼす障害:心内膜心筋線維症;陳旧性心筋梗塞;心房線維症;心臓間
質性線維症;心臓再構築および線維症;心肥大;
・肝臓および関連する臓器の障害:肝臓硬化症または肝硬変;慢性肝臓疾患に関連する
肝硬変;肝線維症;肝星細胞活性化;NASH;肝線維性コラーゲンおよび総コラーゲン
蓄積;壊死性炎症性および/または免疫学的起源の肝臓疾患;原発性胆汁性肝硬変;原発
性硬化性胆管炎;他の胆汁うっ滞性肝臓疾患:肉芽腫性肝臓疾患に関連するもの、肝悪性
腫瘍、妊娠の肝内胆汁うっ滞、肝炎、敗血症、薬物または毒素、移植片対宿主病、肝臓移
植後、総胆管結石、胆管腫瘍、膵癌、ミリッツィ症候群、AIDS胆管症または寄生虫;
住血吸虫症;肝細胞癌;
・消化器系疾患または障害:クローン病;潰瘍性大腸炎;消化器の硬化症;アカラシア

・皮膚または眼の疾患:腎性線維症;増殖性硝子体網膜症;糖尿病性網膜症;眼線維症

・線維性局所的または皮膚の障害もしくは状態;真皮性線維症;強皮症、皮膚線維症;
モルフェア;肥厚性瘢痕;母斑;ケロイド;サルコイド;肉芽腫;
・神経系に影響を及ぼす疾患:筋萎縮性側索硬化症(ALS);海馬硬化症、多発性硬
化症(MS);巣状硬化症;原発性側索硬化症;
・骨の疾患;骨硬化症;
・耳硬化症;他の聴覚疾患または障害;難聴、部分的または全体的な聴力損失;部分的
または全体的な聴覚喪失;耳鳴;騒音性聴力損失;
・自己免疫、炎症または線維症を含む他の疾患:強皮症;局在性強皮症または限局性強
皮症;縦隔線維症;線維症縦隔炎;骨髄線維症;後腹膜線維症;関節線維症;ペロニー病
;デュピュイトラン拘縮;硬化性苔癬;いくつかの形態の癒着性関節包炎;アテローム性
動脈硬化症;結節性硬化症;全身性硬化症;多発性筋炎;皮膚筋炎;多発性軟骨炎;好酸
球性筋膜炎;全身性エリテマトーデスまたはループス;骨髄線維症(bone marr
ow fibrosis)、骨髄線維症(myelofibrosis)または骨骨髄線
維症;サルコイドーシス;子宮筋腫;子宮内膜症から選択される、方法。
[69]処置を必要とする対象における疾患、健康状態または障害を処置する方法であ
って、治療有効量の、[1]~[50]のいずれかに記載の化合物Iの結晶性固体形態、
または[63]に記載の医薬組成物、または[64]に記載の医薬剤形を、処置を必要と
する対象に投与することを含み、疾患、健康状態または障害が、特定の種類のがん;鎌状
赤血球症;鎌状赤血球貧血;がん転移;骨粗鬆症;胃不全麻痺;機能性ディスペプシア;
糖尿病性合併症;脱毛症または毛髪脱落;内皮機能障害に関連する疾患;減少した一酸化
窒素産生に関連する神経障害;アルギノコハク酸尿症;神経筋疾患;デュシェンヌ型筋ジ
ストロフィー(DMD)、ベッカー型筋ジストロフィー(BMD)、肢帯型筋ジストロフ
ィー、遠位型ミオパチー、I型およびII型の筋緊張性ジストロフィー、顔面肩甲腓骨筋
ジストロフィー、常染色体性およびX連鎖性エメリ-ドレフュス型筋ジストロフィー、眼
咽頭型筋ジストロフィー、筋萎縮性側索硬化症および脊髄性筋萎縮症(SMA)から選択
される、方法。
[70]処置または予防を必要とする対象における疾患、健康状態または障害を処置ま
たは予防する方法であって、単独または併用療法で、治療有効量の[1]~[50]のい
ずれかに記載の化合物Iの結晶性固体形態を、対象に投与することを含み、疾患または障
害が、sGC刺激からまたはNOおよび/もしくはcGMPの濃度増加から恩恵を受け得
る疾患または障害である、方法。
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図4A
図4B
図4C
図5A
図5B
図5C
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
【手続補正書】
【提出日】2022-08-03
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
化合物I
【化1】
の結晶性遊離形態である形態Eであって:
(i)7.4、18.8~19.3、21.1、24.8および25.5°の2θから選択される、XRPDスペクトル中の1つまたは複数のピーク、(ii)7.4、13.9、15.1、16.3、17.6、18.8~19.3、21.1、22.3~22.5、24.8、25.5および27.1°の2θから選択される、XRPDスペクトル中の1つまたは複数のピーク、(iii)図2または図6に示されるものと実質的に同様のXRPDスペクトル、(iv)図10に示されるものと実質的に同様のFT-ラマンスペクトル、(v)1690cm -1 においてピーク最大値を示すIRスペクトル、(vi)1515cm -1 においてピーク最大値を示すIRスペクトル、または(vii)1690および1515cm -1 においてバンド極大を示すIRスペクトルにより特徴付けられる、前記形態E。
【請求項2】
化合物I
【化2】
の結晶性遊離形態である形態Aであって:
(i)6.0、18.3、19.3、20.2および22.0°の2θから選択される、XRPDスペクトル中の1つまたは複数のピーク、(ii)6.0、8.5、9.5、12.4~12.9、13.4、17.1、18.3、19.3、20.2、22.0、30.1および34.1°の2θから選択される、XRPDスペクトル中の1つまたは複数のピーク、(iii)6.0、6.7、8.5、9.5、10.9、12.4~12.9、13.4、16.2、17.1、18.3、19.3、20.2、22.0、23.0、24.1~24.8、25.8、30.1および34.1°の2θから選択される、XRPDスペクトル中の1つまたは複数のピーク、(iv)図2または図3Aに示されるものと実質的に同様のXRPDスペクトル、(v)6.1(80.81%の相対強度)、9.6(40.35%)、12.6(41.26%)、13.6(43.19%)、18.4(53.57%)、19.4(100.00%)、20.3(57.01%)および22.0(56.64)°の2θから選択される、XRPDスペクトル中の1つまたは複数のピーク、(vi)図3Cに示されるものと実質的に同様のXRPDスペクトル、(vii)図10に示されるものと実質的に同様のFT-ラマンスペクトル、または(viii)1730cm -1 においてバンド極大を示すIRスペクトルにより特徴付けられる、前記形態A。
【請求項3】
化合物I
【化3】
の結晶性遊離形態である形態Dであって:
(i)18.8の2θにおける、XRPDスペクトル中のピーク、(ii)17.1、18.1、18.8、および25.0°の2θから選択される、XRPDスペクトル中の1つまたは複数のピーク、(iii)8.8、17.1、18.1、18.8、および25.0°の2θから選択される、XRPDスペクトル中の1つまたは複数のピーク、(iv)図2または図5Aに示されるものと実質的に同様のXRPDスペクトル、(v)4.7(97.11%の相対強度)、8.3(64.04%)、18.1(80.97%)、18.6(100.00%)、および26.8(65.25)°の2θから選択される、XRPDスペクトル中の1つまたは複数のピーク、(vi)図5Cに示されるものと実質的に同様のXRPDスペクトル、(vii)図10に示されるものと実質的に同様のFT-ラマンスペクトル、(viii)1665cm -1 においてバンド極大を示すIRスペクトル、(ix)1639cm -1 においてバンド極大を示すIRスペクトル、(x)968cm -1 においてバンド極大を示すIRスペクトル、または(xi)1665、1639および968cm -1 においてバンド極大を示すIRスペクトルにより特徴付けられる、前記形態D。
【請求項4】
化合物I
【化4】
の結晶性遊離形態である形態Bであって:
(i)18.8~19.1°の2θにおける、XRPDスペクトル中の1つまたは複数のピーク、(ii)8.8、16.4、17.2、18.8~19.1、20.1、および21.1~21.6°の2θから選択される、XRPDスペクトル中の1つまたは複数のピーク、(iii)8.8、10.6、12.6~13.0、14.6、16.4、17.2、18.8~19.1、20.1、21.1~21.6、24.5、25.3、27.0~27.5、28.9、29.8および30.5°の2θから選択される、XRPDスペクトル中の1つまたは複数のピーク、(iv)図2または図4Aに示されるものと実質的に同様のXRPDスペクトル、(v)図4Cに示されるものと実質的に同様のXRPDスペクトル、(vi)7.0(44.44%の相対強度)、8.9(76.55%)、17.4(57.67%)、19.1(100.00%)、20.3(49.78%)、21.8(36.16%)、および25.5(52.26%)°の2θから選択される、XRPDスペクトル中の1つまたは複数のピーク、(vii)図10に示されるものと実質的に同様のFT-ラマンスペクトル、または(viii)1200cm -1 においてピーク最大値を示すIRスペクトルにより特徴付けられる、前記形態B。
【請求項5】
化合物I
【化5】
の結晶性遊離形態である形態Fであって:
(i)5.3(100.00%の相対強度)、8.6(58.80%)、16.4(62.95%)、および19.0(48.51%)°の2θから選択される、XRPDスペクトル中の1つまたは複数のピーク、または(ii)図7に示されるものと実質的に同様のXRPDスペクトルにより特徴付けられる、前記形態F。
【請求項6】
化合物I
【化6】
の結晶性遊離形態である形態Gであって:
(i)10.7(55.47%の相対強度)、13.9(42.47%)、18.33(100.00%%)、および21.6(40.73%)°の2θから選択される、XRPDスペクトル中の1つまたは複数のピーク、または(ii)図8に示されるものと実質的に同様のXRPDスペクトルにより特徴付けられる、前記形態G。
【請求項7】
(i)5.77(89.22%の相対強度)、6.39(100.00%)、9.1(84.17%)、および18.5(67.04%)°の2θから選択される、XRPDスペクトル中の1つまたは複数のピーク、(ii)5.77(89.22%の相対強度)、6.39(100.00%%)、9.1(84.17%)、18.5(67.04%)、および18.83(67.04%)°の2θから選択される、XRPDスペクトル中の1つまたは複数のピーク、または(iii)図9に示されるものと実質的に同様のXRPDスペクトルにより特徴付けられる、前記形態H。
【請求項8】
化合物Iの結晶性遊離形態である形態Eを調製する方法であって、
a.粗製の化合物Iを、最低で60℃でMeOHに溶解して、溶液を得るステップと、
b.溶液を濾過し、最低で60℃で濾液を加熱するステップと;
c.濾液に水を添加して水溶液を形成し、水溶液を室温(rt)に冷却するステップと、
d.水溶液を濾過し、濾液を真空下で乾燥するステップと
を含む方法。
【請求項9】
化合物Iの結晶性遊離形態である形態Aを調製する方法であって、
(i)下記ステップ:
a.結晶性遊離形態である形態Eを、最低で70℃で酢酸エチルに溶解して、溶液を得るステップと、
b.溶液を濾過し、得られた濾液を20~25℃で16時間にわたり撹拌して、スラリーを形成するステップと、
c.スラリーを、真空下で濃縮し、濾過し、乾燥するステップ
(ii)下記ステップ:
a.粗製の化合物Iを、最低で70℃で酢酸エチルに溶解して、溶液を得るステップと、
b.溶液を濾過し、得られた濾液を20~25℃で16時間にわたり撹拌して、スラリーを形成するステップと、
c.スラリーを、真空下で濃縮し、濾過し、乾燥するステップ、
(iii)下記ステップ:
a.DMSO中の粗製の化合物Iを、最低で60℃で加熱して、溶液を形成ステップと、
b.水を添加して、スラリーを形成するステップと、
c.スラリーを濾過して、結晶性遊離形態である形態Aを単離するステップ、または
(iv)下記ステップ:
a.粗製の化合物Iを、ヘプタン、IPAC、エタノール、酢酸エチル、もしくはデカンまたはこれらの混合物から選択される溶媒中でスラリー化するステップと、
b.14~30時間、rtで撹拌するステップと、
c.スラリーを濾過し、真空下で乾燥するステップ
を含む方法。
【請求項10】
化合物Iの結晶性遊離形態である形態Dを調製する方法であって、
(i)下記ステップ:
a.結晶性遊離形態である形態Eを、n-デカンと145~155℃で混合して、スラリーを得るステップと、
b.スラリーを、20~30℃まで1時間にわたり冷却するステップと、
c.スラリーを濾過し、真空下で乾燥するステップ、または
(ii)結晶性遊離形態である形態F、形態B、形態E、形態G、もしくは形態Hのいずれか1つ、またはこれらの混合物を、他物質を含まず、180℃で加熱するステップ
を含む方法。
【請求項11】
化合物Iの結晶性遊離形態である形態Bを調製する方法であって、
a.粗製の化合物Iを、アセトニトリルと混合して、溶液を形成するステップと、
b.溶液を濾過し、濾液を形成して、濾液を70~75℃で加熱するステップと、
c.加熱された濾液に水を添加するステップと、
d.52~62℃に冷却して、スラリーを形成するステップと、
e.スラリーを、0~5℃まで少なくとも4時間さらに冷却するステップと、
f.冷却されたスラリーを濾過し、得られた濾液を真空下で乾燥するステップと
を含む方法。
【請求項12】
化合物Iの結晶性遊離形態である形態Fを調製する方法であって、形態Aを、他物質を含まず、160℃で加熱するステップを含む方法。
【請求項13】
化合物Iの結晶性遊離形態である形態Gを調製する方法であって、
(i)下記ステップ:
a.アセトン中の粗製の化合物Iを、室温で約2時間混合して、スラリーを形成するステップと、
b.スラリーを濾過し、真空下で乾燥するステップ、または
(ii)下記ステップ
a.アセトン中の形態Hを、室温で約2時間撹拌して、スラリーを形成するステップと;
b.スラリーを濾過し、真空下で乾燥するステップ
を含む方法。
【請求項14】
化合物Iの結晶性遊離形態である形態Hを調製する方法であって、
a.粗製の化合物Iを、アセトンと45~50℃で混合して、溶液を得るステップと、
b.濾過し、冷却して、スラリーを形成するステップと、
c.スラリーを撹拌し、濾過し、真空下で乾燥するステップと
を含む方法。
【請求項15】
化合物I
【化7】
の塩酸塩の結晶性固体形態であって:
256℃の融点、pH1.4で0.5mg/mLである水溶性、または図11に示されるものと実質的に同様のXRPDスペクトル、により特徴づけられてもよい、前記結晶性固体形態。
【請求項16】
化合物Iの塩酸塩の結晶性固体形態を調製する方法であって、
a.結晶性遊離形態の形態Dを1MのHClに懸濁させて、懸濁液を得るステップと、
b.i-PrOHと懸濁液を混合するステップと、
c.i-PrOHの前記懸濁液を、40℃/時間の加熱速度と5℃/時間の冷却速度で20~40℃の間で温度循環を伴って撹拌するステップ
を含む方法。
【請求項17】
請求項1~7のいずれか1項に記載の化合物Iの結晶性遊離形態または請求項15に記載の塩酸塩、および少なくとも1つの薬学的に許容される賦形剤または担体を含む医薬組成物。
【請求項18】
処置を必要とする対象における疾患、健康状態または障害を処置する方法において使用のための、請求項1~7のいずれか1項に記載の化合物Iの結晶性遊離形態または請求項15に記載の塩酸塩を含む医薬組成物、または請求項17に記載の医薬組成物であって、
疾患、健康状態または障害が:
・高血圧症および減少した冠血流に関連する障害;増加した急性および慢性の冠血圧;動脈性高血圧;心臓および腎臓の合併症に起因する血管障害;心臓疾患、脳卒中、大脳虚血または腎不全に起因する血管障害;抵抗性高血圧;糖尿病性高血圧;本態性高血圧;二次性高血圧;妊娠性高血圧;子癇前症;門脈圧亢進症;心筋梗塞;
・心不全、HFPEF、HFREF;急性および慢性のHF;より特異的な形態のHF:急性非代償性HF、右室不全、左室不全、総HF、虚血性心筋症、拡張型心筋症、先天性心欠損、心臓弁奇形を有するHF、僧帽弁狭窄、僧帽弁閉鎖不全、大動脈弁狭窄、大動脈弁閉鎖不全、三尖弁狭窄、三尖弁閉鎖不全、肺動脈弁狭窄、肺動脈弁閉鎖不全、複合心臓弁奇形;糖尿病性心不全;アルコール性心筋症または保管肥大型心筋症;拡張期HF、収縮期HF;急性期の既存の慢性HF(悪化HF);拡張期または収縮期の機能障害;冠機能不全;不整脈;心室前負荷の減少;心肥大;心不全/心腎症候群;門脈圧亢進症;内皮機能障害または傷害;心房および心室調律の妨害および伝導妨害:段階I~III(AVB I~III)の房室ブロック、上室性頻脈性不整脈、心房細動、心房粗動、心室細動、心室粗動、心室性頻脈性不整脈、多形性心室頻拍症、心房および心室性の期外収縮、AV接合部期外収縮、洞不全症候群、失神、AV結節リエントリー性頻拍;ウォルフ・パーキンソン・ホワイト症候群または急性冠症候群;ボクサー心筋症;心室性期外収縮;心筋症;がん誘発性心筋症;化学療法誘発性心毒性;
・血栓塞栓性障害および虚血;心筋虚血;梗塞;心筋梗塞;心臓発作;心筋機能不全;内皮機能障害;脳卒中;一過性脳虚血発作(TIA);閉塞性血栓性血管炎;安定または不安定な狭心症;冠攣縮または末梢動脈の攣縮;異型狭心症;プリンツメタル狭心症;心肥大;子癇前症;血栓形成性障害;虚血-再灌流傷害;臓器移植に関連する虚血-再灌流;肺移植(lung transplant)、肺移植(pulmonary transplant)、心臓移植、静脈グラフト不全症;外傷患者における保存血液置換(conserving blood substituent)に関連する虚血-再灌流;
・末梢血管疾患;末梢動脈疾患;末梢動脈閉塞性疾患;筋緊張亢進;レイノー症候群または現象(原発性および二次性);レイノー病;重症下肢虚血;末梢塞栓症;間欠性跛行;血管閉塞性クリーゼ;筋ジストロフィー、デュシェンヌ型筋ジストロフィー、ベッカー型筋ジストロフィー;微小循環異常;血管漏出または浸透性の制御;腰部脊柱管狭窄;閉塞性血栓性血管炎;血栓性血管炎;末梢灌流妨害;動脈および静脈の血栓症;微量アルブミン尿;末梢性および自律神経ニューロパチー;糖尿病性神経障害疼痛;糖尿病性細小血管症;肝臓血管閉塞性障害;鎌状赤血球症における血管閉塞性クリーゼ;高血圧クリーゼ;
・浮腫;心不全が原因の腎性浮腫;
・アルツハイマー病;パーキンソン病;血管性認知症;血管性認知障害;脳血管攣縮;先天性筋無力症症候群;くも膜下出血;外傷性脳損傷;外傷性脳損傷;軽度認知障害に起きるもの、加齢性の学習および記憶の障害、加齢性の記憶喪失、血管性認知症、頭部損傷、脳卒中、脳卒中後の認知症、外傷性頭部損傷後、集中の一般的妨害ならびに学習および記憶の問題を伴う小児における集中の妨害などの、認知障害後の知覚、集中能力、学習または記憶の履行の能力の改善;レビー小体型認知症;ピック症候群を含む前頭葉変性を伴う認知症;進行性核上性麻痺;皮質基底核変性を伴う認知症;筋萎縮性側索硬化症(ALS);ハンチントン病;脱髄;多発性硬化症;視床変性;クロイツフェルト・ヤコブ認知症;HIV認知症;認知症またはコルサコフ精神病を伴う統合失調症;多系統萎縮症および他の形態のパーキンソニズムプラス;運動障害;神経保護;不安、緊張および抑うつまたは外傷後ストレス障害(PTSD);双極性障害;統合失調症;CNS関連の性機能障害および睡眠障害;病理学的摂食障害ならびに高級食糧および依存性薬物の使用;制御性脳灌流;片頭痛;脳梗塞(脳卒中(apoplexia cerebri))の予防および結果の制御;脳卒中、大脳虚血および頭部損傷の予防および結果の制御;CNS疾患に関連するニューロパチー;MSに関連する神経障害性疼痛;化学療法誘発性の神経障害性疼痛;帯状疱疹に関連する神経障害性疼痛;脊椎外科手術に関連する神経障害性疼痛;
・ショック;心原性ショック;敗血症;敗血症性ショック;アナフィラキシーショック;動脈瘤;白血球活性化の制御;血小板凝集の抑制または調節;多臓器機能障害症候群(MODS);多臓器不全(MOF);
・肺性/呼吸状態:肺高血圧(PH);肺動脈性高血圧(PAH)、および関連する肺血管性再構築;局在性血栓症および右心肥大の形態における血管性再構築;肺性筋緊張亢進;原発性肺高血圧;二次性肺高血圧;家族性肺高血圧;孤発性肺高血圧;前毛細血管肺高血圧;特発性肺高血圧;他の形態のPH;左室疾患、HIV、SCD、血栓塞栓症(CTEPH)、サルコイドーシス、COPD、肺線維症、急性呼吸促迫症候群(ARDS)、急性肺傷害、α1アンチトリプシン欠損症(AATD)、肺気腫、喫煙誘発性の気腫および嚢胞性線維症(CF)に関連するPH;血栓性肺動脈症;多因性肺動脈症;嚢胞性線維症;気管支収縮または肺性気管支収縮;急性呼吸器症候群;肺線維症、肺移植;喘息性疾患;
・左室機能障害、低酸素血症、WHO群I、II、III、IVおよびVの高血圧、僧帽弁疾患、収縮性心膜炎、大動脈弁狭窄、心筋症、縦隔線維症、肺線維症、肺静脈還流異常、肺静脈閉塞症、肺性血管炎、膠原病性血管疾患、先天性心疾患、肺静脈圧上昇、間質性肺疾患、睡眠呼吸障害、睡眠時無呼吸、肺胞低換気障害、高高度への慢性曝露、新生児肺疾患、肺胞毛細血管異形成、鎌状赤血球症、他の血液凝固障害、慢性血栓塞栓症、肺塞栓症に関連するかまたは関する肺高血圧;腫瘍、寄生虫または異物が原因の肺塞栓症;結合組織疾患、ループス、ループス腎炎、住血吸虫症、サルコイドーシス、慢性閉塞性肺疾患、喘息、気腫、慢性気管支炎、肺毛細血管腫症、組織球症X、リンパ管腫症、圧縮肺血管(compressed pulmonary vessels);腺症、腫瘍または線維化性縦隔炎が原因の圧縮肺血管;
・動脈硬化性疾患または状態:アテローム性動脈硬化症;内皮傷害、血小板および単球の接着および凝集、平滑筋の増殖または遊走に関連するアテローム性動脈硬化症;再狭窄;血栓溶解療法、経皮経管血管形成術(PTA)、経管冠動脈形成術(PTCA)、心臓移植、バイパス手術または炎症過程後に発達した再狭窄;
・微小血管および大血管の損傷(血管炎);増加したレベルのフィブリノーゲンおよび低密度のDLD;増加した濃度のプラスミノーゲン活性化因子阻害剤1(PA-1);
・メタボリックシンドローム;代謝性疾患またはメタボリックシンドロームに関連する疾患:肥満;過剰皮下脂肪;過剰体脂肪蓄積;糖尿病;高血圧症;脂質関連障害、高脂血症、脂質異常症、高コレステロール血症、減少した高密度リポタンパク質コレステロール(HDL-コレステロール)、中程度に上昇した低密度リポタンパク質コレステロール(LDL-コレステロール)レベル、高トリグリセリド血症、高グリセリド血症、低リポタンパク質貧血、シトステロール血症、脂肪肝疾患、アルコール性脂肪肝疾患(AFLD)、非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)、肝炎;子癇前症;多発性腎臓疾患進行;肝脂肪変性または肝臓中の異常な脂質蓄積、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH);心臓、腎臓または筋肉の脂肪変性;アルファベータリポタンパク血症;シトステロール血症;黄色腫症;タンジール病;高アンモニア血症および関連疾患;肝性脳症;他の中毒性脳症;ライ症候群;
・性的、婦人科および泌尿器科の状態の障害:勃起機能障害;インポテンス;早漏;女性性機能障害;女性性的刺激機能障害;低機能性的刺激障害;膣萎縮;性交疼痛症;萎縮性腟炎;良性前立腺肥大(BPH)、前立腺肥大、前立腺腫大;膀胱下尿道閉塞;膀胱痛症候群(BPS);間質性膀胱炎(IC);過活動膀胱;神経因性膀胱および失禁;糖尿病性腎症;原発性および二次性の月経困難症;下部尿路症候群(LUTS);子宮内膜症;骨盤痛;男性および女性の泌尿生殖器系の臓器の良性および悪性の疾患;
・慢性腎臓疾患;急性および慢性の腎機能不全;急性および慢性の腎不全;ループス腎炎;根本的なまたは関連する腎臓疾患:低灌流、透析中の低血圧、閉塞性尿路疾患、糸球体症、糸球体腎炎、急性糸球体腎炎、糸球体硬化症、尿細管間質障害、腎障害疾患、原発性および先天性の腎臓疾患、腎炎;異常に減少したクレアチニンおよびまたは水分排出により特徴付けられる疾患;尿素、窒素、カリウムおよび/またはクレアチニンの異常に増加した血液濃度により特徴付けられる疾患;腎臓酵素の変化した活性により特徴付けられる疾患、グルタミル合成酵素の変化した活性により特徴付けられる疾患;変化した尿浸透圧または尿量により特徴付けられる疾患;増加した微量アルブミン尿により特徴付けられる疾患、顕性アルブミン尿により特徴付けられる疾患;糸球体および細動脈の病変、尿細管拡大、高リン血症および/または透析の必要により特徴付けられる疾患;腎機能不全の続発症;肺水腫関連の腎機能不全;HF関連の腎機能不全;尿毒症または貧血関連の腎機能不全;電解質異常(ヘルカレミア、低ナトリウム血症);骨および炭水化物代謝の妨害;急性腎臓傷害;
・緑内障、網膜症および糖尿病性網膜症などの眼の疾患または障害;
または疾患、健康状態または障害が、鎌状赤血球症、好ましくは鎌状赤血球貧血;
または疾患、健康状態または障害が、血管閉塞性クリーゼ、好ましくは鎌状赤血球症の血管閉塞性クリーゼ;
から選択される、医薬組成物
【外国語明細書】