(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022130737
(43)【公開日】2022-09-06
(54)【発明の名称】ニードルハブおよびそのようなニードルハブを備えるIVカテーテルシステム
(51)【国際特許分類】
A61M 25/06 20060101AFI20220830BHJP
【FI】
A61M25/06 512
【審査請求】有
【請求項の数】25
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022110707
(22)【出願日】2022-07-08
(62)【分割の表示】P 2020146455の分割
【原出願日】2015-12-30
(31)【優先権主張番号】1550001-0
(32)【優先日】2015-01-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】SE
(71)【出願人】
【識別番号】500559134
【氏名又は名称】グライナー バイオ-ワン ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100120857
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邉 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100116872
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 和子
(72)【発明者】
【氏名】ヒヴェルト マグヌス
(57)【要約】 (修正有)
【課題】カテーテルハブ、ニードルハブおよびニードルシールドを備えるIVカテーテルシステムを提供する。
【解決手段】カテーテルハブ、ニードルハブおよびニードルシールドを備えるIVカテーテルシステムニードルハブのニードルには、高摩擦面部分207が設けられる。高摩擦面部分は、ニードルシールドのベースプレートの遠位端部と接触する。ニードルのニードル先端部を覆うように中央でスナップする。これは、アーム上のかぎ状先端部304によってさらに容易になる。
【選択図】
図3b
【特許請求の範囲】
【請求項1】
IVカテーテルシステムであって、カテーテルハブ(100)と、ニードルハブ(200)と、ニードルシールド(300)と、を備え、
前記カテーテルハブ(100)は、管状カテーテル(101)を備え、前記管状カテーテル(101)は、管腔を有し、その近位端でカテーテルハブ本体(102)に取り付けられ、カテーテルハブキャビティ(103,107)が、前記管状カテーテル(101)の管腔と流体連通し、
前記ニードルハブ(200)は、ニードルハブ本体(202)から遠位に延びるニードル(201)を備え、前記ニードル(201)は、その遠位端部領域に高摩擦面部分(207)およびバルジ(204)を有し、
前記ニードルシールド(300)は、ベースプレート(302)から遠位に延びる少なくとも1つの弾性アーム(301)を備え、前記ベースプレート(302)は、通り穴を有し、前記通り穴は、そこを通る前記ニードル(201)を受け入れ、
前記ニードルハブ(200)は、前記カテーテルハブ(100)に配置され、前記ニードル(201)が前記カテーテル(101)の管腔を通じてスライド自在に配置されるようになっており、前記ニードル(201)が前記カテーテルハブ(100)から近位に引き込まれることができるようになっており、
前記ニードルシールド(300)は、前記カテーテルハブキャビティ(103,107)の中で、前記ニードルシールド(300)と、前記カテーテルハブ(100)の内壁と、の間の協働を通じて保持される仕方で、前記カテーテルハブキャビティ(103,107)に、および前記ニードル(201)に、配置され、少なくとも1つのアーム(301)が、前記ニードル(201)に支えられ、前記ニードル(201)によってばね付勢され、前記ニードル(201)が、組立状態で、前記ベースプレート(302)の前記通り穴内にスライド自在に配置されるようになっており、
前記ニードルバルジ(204)の外径は、前記ニードルシールド(300)を前記カテーテルハブ(100)から解放するように前記ニードルハブ(200)が前記カテーテルハブ(100)から引き出されるときに、前記ベースプレート(302)の前記通り穴の内径よりも大きく、前記少なくとも1つのアーム(301)は、解放状態で前記ニードル(201)の先端部をカバーする、IVカテーテルシステム。
【請求項2】
請求項1に記載のIVカテーテルシステムであって、前記高摩擦面部分(207)は、少なくとも部分的に前記ニードルバルジ(204)に適用される、IVカテーテルシステム。
【請求項3】
請求項2に記載のIVカテーテルシステムであって、前記高摩擦面部分(207)は、前記ニードルバルジ(204)をカバーする、IVカテーテルシステム。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項に記載のIVカテーテルシステムであって、コネクタ(104)を備え、前記コネクタ(104)は、前記カテーテルハブ本体(102)から横方向に延び、近位カテーテルハブキャビティ(107)の遠位に位置する、IVカテーテルシステム。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1項に記載のIVカテーテルシステムであって、バルブ(106,116)を備え、前記バルブは、通り穴を有し、前記通り穴は、そこを通る前記ニードル(201)を受け入れ、前記バルブ(106,116)は、遠位カテーテルハブキャビティ(103)と近位カテーテルハブキャビティ(107)との間に位置する、IVカテーテルシステム。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1項に記載のIVカテーテルシステムであって、IVカテーテルシステムは、オープンIVカテーテルシステムであり、前記コネクタ(104)は、前記バルブ(106)と直接接触するオープンコネクタであり、前記コネクタ(104)と、近位カテーテルハブキャビティ(107)と、遠位カテーテルハブキャビティ(103)と、近位カテーテルハブキャビティ(107)と、は、前記バルブ(106)から前記ニードルが引き出されたときに流体連通する、IVカテーテルシステム。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか1項に記載のIVカテーテルシステムであって、IVカテーテルシステムは、クローズドIVカテーテルシステムであり、前記コネクタ(104)は、遠位カテーテルハブキャビティ(103)と直接接触するチューブコネクタ(114)であり、前記チューブコネクタ(114)は、チューブ(115)に接続されることができ、前記バルブ(106)は、遠位カテーテルハブキャビティ(103)の近位および近位カテーテルハブキャビティ(107)の遠位の、セプタム(116)であり、前記セプタム(116)通り穴は、前記セプタム(116)から前記ニードルが引き出されたときに閉じる、IVカテーテルシステム。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか1項に記載のIVカテーテルシステムであって、前記高摩擦面部分(207)は、サンドブラスト、エッチング(化学的方法)、浸食、電子ビーム表面処理、プラズマ処理、放電加工およびレーザテクスチャ加工などの、工程を通じて作られたニードルシャフト206の金属合金の区間である、IVカテーテルシステム。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか1項に記載のIVカテーテルシステムであって、前記高摩擦面部分(207)の、その遠位端部からその近位端部までの、長さは、0.5~20mm、好ましくは1~5mmである、IVカテーテルシステム。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか1項に記載のIVカテーテルシステムであって、近位カテーテルハブキャビティ(107)の近位端部には、隆起(108)が設けられる、IVカテーテルシステム。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか1項に記載のIVカテーテルシステムであって、前記カテーテルハブ本体(102)は、ポリカーボネートまたはポリカーボネートとポリエステルとのコポリマーで製造される、IVカテーテルシステム。
【請求項12】
請求項1~11のいずれか1項に記載のIVカテーテルシステムであって、前記カテーテルハブ本体(102)は、射出成形される、IVカテーテルシステム。
【請求項13】
請求項5~12のいずれか1項に記載のIVカテーテルシステムであって、前記バルブ(106,116)は、シリコーンまたはゴムで作られている、IVカテーテルシステム。
【請求項14】
請求項1~13のいずれか1項に記載のIVカテーテルシステムであって、前記カテーテルハブ本体(102)の近位端部は、組立状態で前記ニードルハブ本体(202)の遠位端部と協働する、IVカテーテルシステム。
【請求項15】
請求項1~14のいずれか1項に記載のIVカテーテルシステムであって、前記ニードルハブ本体(202)の遠位接続フランジ(203)は、保持する仕方で前記カテーテルハブ本体(102)の外側近位表面と協働する、IVカテーテルシステム。
【請求項16】
請求項1~15のいずれか1項に記載のIVカテーテルシステムであって、前記ニードルシールド(300)は、前記ベースプレート(302)の周囲を通じて近位カテーテルハブキャビティ(107)の中で前記カテーテルハブ本体(102)の内壁と協働する、IVカテーテルシステム。
【請求項17】
請求項1~16のいずれか1項に記載のIVカテーテルシステムであって、前記ベースプレート(302)の周囲には、少なくとも1つの弾性タング(303)が設けられ、それは順に前記カテーテルハブ本体(102)と協働する、IVカテーテルシステム。
【請求項18】
請求項1~17のいずれか1項に記載のIVカテーテルシステムであって、前記ベースプレート(302)の周囲には、3~5つの弾性タング(303)が設けられる、IVカテーテルシステム。
【請求項19】
請求項1~18のいずれか1項に記載のIVカテーテルシステムであって、タング(303)は、前記ベースプレート(302)の周囲に沿って均一に分布する、IVカテーテルシステム。
【請求項20】
請求項1~19のいずれか1項に記載のIVカテーテルシステムであって、少なくとも1つのタング(303)には、横方向に延びる突起(305)が設けられる、IVカテーテルシステム。
【請求項21】
請求項1~20のいずれか1項に記載のIVカテーテルシステムであって、前記ニードルシールド(300)は、一体プラスチック体であり、前記ニードルシールド(300)のプラスチック材料は、POM、PBTP、PMMA、ABS、SAN、ASA、PS、SB、LCP、PA、PSU、PEI、PC、PPO、および/またはPPO/SBから成るグループから選択される、IVカテーテルシステム。
【請求項22】
ニードルハブ(200)であって、前記ニードルハブ(200)は、ニードルハブ本体(202)から遠位に延びるニードル(201)を備え、前記ニードル(201)は、その遠位端部領域に高摩擦面部分(207)およびバルジ(204)を有する、ニードルハブ。
【請求項23】
請求項22に記載のニードルハブ(200)であって、前記高摩擦面部分(207)は、少なくとも部分的に前記バルジ(204)に適用される、ニードルハブ。
【請求項24】
請求項23に記載のニードルハブ(200)であって、前記高摩擦面部分(207)は、前記バルジ(204)をカバーする、ニードルハブ。
【請求項25】
シールドニードルシステム(600)であって、請求項22~24のいずれか1項に記載のニードルハブ(200)と、ニードルシールド(300)と、を備え、
前記ニードルシールド(300)は、ベースプレート(302)から遠位に延びる少なくとも1つの弾性アーム(301)を備え、前記ベースプレート(302)は、通り穴を有し、前記通り穴は、そこを通る前記ニードル(201)を受け入れ、
前記ニードルシールドは、前記バルジ(204)と、前記ニードルハブ本体(202)の遠位端部と、の間に位置する、シールドニードルシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、IVカテーテルシステムに関し、そのIVカテーテルシステムは、ニードルハブと、カテーテルがカテーテルハブ本体の遠位に接続されたカテーテルハブと、ニードルシールドアセンブリと、を備え、前記のカテーテルハブ本体は、カテーテルハブ本体から横方向に延びるカテーテルを有し、カテーテルは、カテーテルハブ本体キャビティおよびカテーテルの管腔と流体連通する。本発明は、IVカテーテルシステムになるそのようなカテーテルハブと協働するニードルハブにも関する。
【背景技術】
【0002】
カテーテル、特に血管内(IV)カテーテルは、生理食塩水、さまざまな薬剤および完全静脈栄養などの、流体を患者に注入するのに、患者から採血するのに、または患者の血管系のさまざまなパラメーターをモニターするのに、使用される。周辺IVカテーテルは、比較的短くなる傾向にあり、典型的に長さが約2インチ以下のオーダーである。最も一般的なIVカテーテルは、オーバーザニードル周辺IVカテーテルである。
【0003】
その名称が示唆するように、オーバーザニードルカテーテルは、鋭い遠位先端部を有する誘導ニードル上に取り付けられる。カテーテルの少なくとも遠位部分は、ニードルの外表面に強固に係合し、カテーテルのピールバックを防ぎ、従って血管へのカテーテルの挿入を容易にする。カテーテルおよび誘導ニードルは、誘導ニードルの遠位先端部が、カテーテルの遠位先端部を越えて延び、ニードルのベベルが患者の皮膚から離れて向き合うように、組み立てられる。
【0004】
カテーテルおよび誘導ニードルアセンブリは、浅い角度で患者の皮膚を通って血管に挿入される。そのようなカテーテルおよび誘導ニードルアセンブリを患者に挿入する多くの方法がある。一挿入法では、誘導ニードルおよびカテーテルは、共に血管に完全に挿入される。別の方法では、誘導ニードルは、血管への初期挿入の後にカテーテルに部分的に引き込まれる。カテーテルは、その後ニードルに沿って通り、血管に完全に挿入される。
【0005】
可撓性カテーテルチューブの内部に取り付けられた先のとがった中空ニードルの臨床的利用は、カテーテルの誘導についての医術でよく知られている。そのような医療機器では、カテーテルチューブは、ニードルがカテーテルチューブの長さに沿ってスライドすることおよび順にはめ込むことができるように、ニードルの周りに強固に位置づけられる。使用前に、ニードルの先端部は、カテーテルチューブの開口を通ってわずかに突き出て、皮膚を通る容易な進入を可能にする。皮膚を刺してニードルを誘導すると、カテーテルチューブの遠位端部は、血管(例えば静脈)の内側などの、患者の所望の標的体腔内の内側の場所に同時に運び込まれる。ニードルは、カテーテルの誘導を支援するその務めを果たし、カテーテルを通じて後ろに引かれることによって引き込まれる。ニードルを解放すると、カテーテルは、長期期間に及び、例えば、流体または液剤タイプの薬剤の周期的投与または注入、血液サンプルなどの収集を含む、その意図した作動モードに設定される。
【0006】
オーバーザニードルカテーテルに関し、主として2つの主な代替がある。第1のものである、オープンIVカテーテルは、ルアーを備え、ルアーを通じて、ニードルが血管へのカテーテルの挿入後に引き込まれ、ルアーは、採血または注入手段、および同じ目的の任意のポートに接続可能である。第2のものである、クローズドIVカテーテルシステムは、カテーテルハブにセプタムを備え、それを通じて、ニードルが血管へのカテーテルの挿入後に引き込まれ、環境から「ニードルチャネル」を閉じ、代わりにカテーテルハブから横方向に延びる延長チューブを有し、延長チューブは、カテーテルハブキャビティと、血管に位置付けられるカテーテルの管腔と、流体連通する。これらの2つの代替は、異なる問題および便益を伴う。
【0007】
近年、患者の血液での臨床医の汚染に対する大きな懸念、および「血液汚染した鋭利なもの」が不測の針刺しを回避するように配置されなければならないという認識がある。この懸念は、病気に感染した人から別の人への体液の交換によって伝染することがある、後天性免疫不全症候群(“AIDS”)、肝炎などの、現在不治および致死的疾患の出現のために生じた。
【0008】
「血液汚染した鋭利なもの」による不測の針刺しの結果として、さまざまなニードルシールドが、静脈内カテーテルと併せて使用するために開発されてきた。
【0009】
注入および注射用の装置の分野内などの、医療分野では、ニードル先端部シールド装置を注射または注入ニードル上に配置することが知られており、前記のシールド装置は、ニードルを引き込むとニードル先端部の前でスナップする性能を有する。これらのニードル先端部シールド装置は、歴史的にステンレス鋼で製造されてきた。注入および注射用の装置の製造および包装の後で、装置は、衛生的理由で殺菌される。
【0010】
そのようなニードル先端部シールド装置は、例えば特許文献1に開示されている。しかしながら、ニードル先端部シールド装置は、例えばカテーテルハブに配置されるときに、ポリマーカテーテルハブ管腔を引っかきおよび引き裂き、患者の血流にプラスチック材料を流す大きな危険性をもたらす。また、ステンレス鋼のそのようなシールド装置の製造は、厄介で費用がかかる。いくつかの打ち抜きおよび曲げ加工ステーションが使用されなければならないからである。また、そのような装置の金属シートのために、ニードルシャフトに「引き出し効果(drawer effect)」の高い危険性がある。
【0011】
柔らかいニードルシールド装置が、そのような引っかきを回避するために使用され得る。例として、プラスチックニードルシールドは、カテーテルハブのプラスチックに傷をつけない。しかしながら、そのようなニードルシールドの柔らかい材料の特徴は、それが、ニードル先端部に近い止め具をスライドし、ニードルを離れることができるという危険性も作り出す。
【0012】
従って、IVカテーテルシステムに関して適切でないニードルシールドアセンブリ解放の危険性が減少した柔らかいニードルシールドアセンブリが、望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0014】
従って、本発明は、好ましくは、以下のIVカテーテルシステムを提供することによって、1つ以上の上記の技術的不備および不都合な点を単独または組み合わせで、軽減、緩和、除去しようとし、少なくとも上記の問題を解決する:IVカテーテルシステムであって、カテーテルハブと、ニードルハブと、ニードルシールドと、を備え、前記カテーテルハブは、管状カテーテルを備え、前記管状カテーテルは、管腔を有し、その近位端でカテーテルハブ本体に取り付けられ、カテーテルハブキャビティが、前記管状カテーテルの管腔と流体連通し、前記ニードルハブは、ニードルハブ本体から遠位に延びるニードルを備え、前記ニードルは、その遠位端部領域に高摩擦面部分およびバルジを有し、前記ニードルシールドは、ベースプレートから遠位に延びる少なくとも1つの弾性アームを備え、前記ベースプレートは、通り穴を有し、前記通り穴は、そこを通る前記ニードルを受け入れ、前記ニードルハブは、前記カテーテルハブに配置され、前記ニードルが前記カテーテルの管腔を通じてスライド自在に配置されるようになっており、前記ニードルが前記カテーテルハブから近位に引き込まれることができるようになっており、前記ニードルシールドは、前記カテーテルハブキャビティの中で、前記ニードルシールドと、前記カテーテルハブの内壁と、の間の協働を通じて保持される仕方で、前記カテーテルハブキャビティに、および前記ニードルに、配置され、少なくとも1つのアームが、前記ニードルに支えられ、前記ニードルによってばね付勢され、前記ニードルが、組立状態で、前記ベースプレートの前記通り穴内にスライド自在に配置されるようになっており、前記ニードルバルジの外径は、前記ニードルシールドを前記カテーテルハブから解放するように前記ニードルハブが前記カテーテルハブから引き出されるときに、前記ベースプレートの前記通り穴の内径よりも大きく、前記少なくとも1つのアームは、解放状態で前記ニードルの先端部をカバーする、IVカテーテルシステム、およびそのようなニードルハブ。
【0015】
本発明の有利な特徴は、従属請求項に定められる。
【0016】
本発明が可能なこれらのおよび他の態様、特徴および利点は、本発明の非限定的実施形態の以下の説明から、明らかにされ、および解明され、添付図面が参照される。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の実施形態に従った、組立状態での、カテーテルハブ、ニードルハブ、およびニードルシールドを含む、オープンIVカテーテルシステムの断面図である。
【
図2a】本発明の一実施形態による、ニードルシステムの断面図である。
【
図2b】本発明の一実施形態による、シールドニードルシステムの断面図である。
【
図2c】本発明の一実施形態による、シールドニードルシステムの断面図である。
【
図3a】本発明の一実施形態による、ニードルの先端部を覆うニードルシールドが配置されたニードルの側面図である。
【
図3b】本発明の一実施形態による、ニードルの先端部を覆うニードルシールドが配置されたニードルの断面図である。
【
図3c】本発明の一実施形態による、ニードルの上面図である。
【
図4】本発明の実施形態に従った、組立状態での、カテーテルハブ、ニードルハブ、およびニードルシールドを含む、クローズドIVカテーテルシステムの断面図である。
【
図5a】本発明の一実施形態による、ニードルシステムの断面図である。
【
図5b】本発明の一実施形態による、ニードルシステムの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の実施形態は、当業者が本発明を実施することができるように、添付図面を参照して以下でより詳しく説明される。本発明は、しかしながら、多くの異なる形で実施されてよく、ここに示される実施形態に限定されると解釈されるべきではない。むしろ、これらの実施形態は、この開示が徹底的かつ完全になるように、および発明の範囲を当業者に十分に伝えるように、提供される。
【0019】
さらに、添付図面に示される特定の実施形態の詳細な説明で使用される専門用語は、本発明を限定するものではない。具体的には、「近位」という用語は、ここに開示されているIVカテーテルシステムの通常使用時に、ユーザー(すなわち臨床医)に最も近く、IVカテーテルシステムを受ける患者から最も離れた、アイテムまたはアイテムの部分の位置または方向を示す。同様に、「遠位」という用語は、ここに開示されているIVカテーテルシステムの通常使用時に、患者に最も近く、臨床医から最も離れた、アイテムまたはアイテムの部分の位置または方向を示す。「横方向に」という用語は、少なくともベクトル成分がIVカテーテルシステムの中心軸に垂直になるように、IVカテーテルシステムの中心軸から離れる方向を示し、組み立てられたIVカテーテルシステムのニードルおよびカテーテルは、IVカテーテルシステムの中心軸と重なる。
【0020】
図1に従って、オープンIVカテーテルシステムのカテーテルハブ100の一実施形態が示される。カテーテルハブ100は、その遠位端部で長手方向および管状カテーテル101を備える。カテーテル101は、上記の通りに、患者の血管に挿入されるように意図されている。カテーテル101は、その近位端部でカテーテルハブ本体102に取り付けられ、カテーテルがカテーテルハブ本体102から遠位に延びるようになっている。カテーテル101の管腔は、遠位カテーテルハブキャビティ103と流体連通している。カテーテルハブ本体102は、好ましくは、射出成形により作製され、そして射出成形およびシステムの他の部品との接続および相互作用に適した剛性プラスチック材料で作製される。そのような適切な材料は、ポリカーボネートまたはポリカーボネートとポリエステルとのコポリマーである。
【0021】
図1による一実施形態では、オープンコネクタ104が、カテーテルハブ本体102に設けられる。オープンコネクタ104は、カテーテルハブ本体102から横方向に延びる。オープンコネクタ104は、例えば管状であってよい。オープンコネクタ104は、既知の方法で配置されたシリンジまたはチューブを受けるように適合された、ルアーロックまたはルアースリップなどの、ルアーフィッティングであってよい。オープンコネクタ104は、注入ポートキャップなどの、蓋を有してよい。蓋は、ばね力作動であってよい。オープンコネクタ104は、遠位カテーテルハブキャビティ103で二機能バルブ106に接続し、チューブまたはシリンジがチューブコネクタ104に接続されることができ、二機能バルブ106およびカテーテル101を通るニードルがないときに、近位カテーテルハブキャビティ107への、さらにカテーテル101へ、最終的に患者の血流への、オープンチューブコネクタ104を通じた注入が可能であるようになっている。遠位カテーテルハブキャビティ103は、近位で二機能バルブ106で終わる。この二機能バルブ106は、中央貫通流路を有し、それは、
図1に従って、ニードルハブ200のニードル201が貫通してよい。ニードル201がカテーテルハブ100から取り出されたとき、二機能バルブ106は、前記の貫通流路を開いたままにし、遠位カテーテルハブキャビティ103が近位カテーテルハブキャビティ107と接触するようになっている。さらに、二機能バルブ106は、好ましくは、適切なゴム材料またはシリコーンから成る。二機能バルブ106の近位側に、近位カテーテルハブキャビティ107が位置する。近位カテーテルハブキャビティ107は、カテーテルハブ本体102の管状壁および二機能バルブ106の近位端壁の形の遠位端壁によって形成される。カテーテルハブ本体102に遠位に延びる、この近位カテーテルハブキャビティ107は、
図1に開示されるように、ニードルシールド300を収容するように寸法および形状が適合される。
【0022】
ニードルハブ200は、
図2a~2cに見られるように、ニードルハブ本体202から遠位に延びるニードル201を備え、ニードルシャフト206、ニードル先端部205、バルジ204、およびその遠位端領域に高摩擦面部分207を含む。高摩擦面部分207は、少なくとも部分的にバルジ204におよび/またはバルジ204の近位に(すなわち、バルジ204よりもニードルハブ本体202に近い)適用されてよい。高摩擦面部分207は、バルジ204をカバーしてもよく、バルジ204の近位におよび/または遠位に延びてよい。皮膚進入を容易にするために、高摩擦面部分207は、しかしながら、ニードル先端部205および/または使用可能状態でIVカテーテルシステム上のカテーテルを越えて遠位に延びるニードル201の部分をカバーしない。
【0023】
ニードルバルジ204は、バルジ204の半径がニードルシャフト206の半径よりも大きい、ニードルの短区間である。これは、ニードルシャフト206のわずかな局部変形によって実現されてよい。ニードルシャフト206の長さ軸に垂直な、ニードルシャフト206の2つの向かい合う側部のわずかな平坦化によって、
図2a~2cに見られるように、平坦化領域間の増加半径移行は、ニードルシャフトから遠位に突き出て、ニードルバルジ206の隆起を提供する。ニードルバルジ204は、例えばニードルシャフト206に溶接を提供することによって得ることもできる。
【0024】
ニードルバルジ204領域は、少なくともニードルバルジ204をカバーする、高摩擦面部分207を有し、ニードルシャフト206に沿ってバルジ204の近位におよび/または遠位に広がってよい。
【0025】
図2aによる一実施形態では、ニードルシステム500が提供され、ニードルハブ200を備え、ニードルハブ200は、ニードルハブ本体202から遠位に延びるニードル201を備え、ニードルバルジ204が、高摩擦面部分207を有するその遠位端領域にある。
【0026】
ニードルシールド300は、ベースプレート301を備える。ベースプレート301には、そこを通って(すなわち、ベースプレート301の近位側からベースプレート301の遠位側に)広がる穴302が設けられる。好ましくは、穴302は、ベースプレート301に中央に配置され、ニードル201が、カテーテル器具の待機位置に従って配置されながら、前記の穴302を通るニードル201の配置が容易になるようになっている。少なくとも1つの弾性アーム303は、前記のベースプレート301にある取付ポイントから遠位に延びる。好ましくは、製造上の理由で、取付ポイントは、ベースプレート301の周辺に位置する。弾性アーム303は、静止状態を有し、静止状態から、それは、張力状態で前記のベースプレート301の軸方向に前記の穴を通るニードル201用の自由通路を生じるようにされてよい。この解放静止状態は、
図2cに開示されている。弾性アーム303は、
図1に従って、カテーテル器具100がその待機位置にあるときに、その張力状態にある。弾性アーム303は、弾性アーム303が前記の静止状態にあるときに、穴302を通って延びるニードル201のニードル先端部205をクランプするのに適している。このため、前記のベースプレート301の軸方向に前記の穴302を通って長手方向に延びる直線状の仮想的な線は、前記の弾性アーム303が前記の静止状態にあるときに、前記の少なくとも1つの弾性アーム303と一致する。
【0027】
ニードルシールド300は、1つ、2つ、3つかそれ以上のタング303を備えてよく、それは、ベースプレート302の横の円形の周囲から、近位に延びる。タング303は、上記に従って、弾性を有し、それらは、圧縮状態から拡張状態に弾性的に抵抗する。近位カテーテルハブキャビティ107内での組立状態で、タング303は、いくらか圧縮され、カテーテルハブ100の内壁に力を及ぼす。ニードルシールド300は、それによってその場所に保持される、すなわち、ニードルシールド300とカテーテルハブ100との間の持続する空間的関係が提供される。複数のタング303は、ベースプレート302の周囲に均一に広がってよく、それぞれのタング303は、本質的に同じ力でカテーテルハブ100の内表面と接触する。
【0028】
タング303は、中心軸に本質的に垂直な方向またはニードルシールド300の横方向に延びる突起305を備えてよい。タング303に突起305が設けられるとき、突起305と交差する水平面にあるベースプレート302の直径は、近位カテーテルハブキャビティ107の直径、および特に、水平面に沿った、その近位開口よりも大きくてよい。そして、ニードルシールド300は、タング303の柔軟性のために、圧縮されることができ、それが、圧縮状態で近位カテーテルハブキャビティ107内に挿入されることができるようになっている。挿入位置で、タング303上の突起305は、保持する径方向外側に向けられる圧力を、近位カテーテルハブキャビティ107の内壁に加える。近位カテーテルハブキャビティ107の開口の隆起108は、ニードル201バルジ204がニードルシールドの近位の停止要素を引くまで、ニードルシールド300をキャビティ内に保ち、近位カテーテルハブキャビティ107の内壁上の突起305の圧力は克服され、また突起305は隆起108を越えて内側に押され、ニードルシールド300を近位カテーテルハブキャビティ107から安全に解放する。ニードルシールド300と近位カテーテルハブキャビティ107との間の相互作用を促進するために、隆起108は、遠位におよび/または近位にいくらか傾いている。突起305は、同じように遠位におよび/または近位に傾いている。好ましくは、突起の傾斜は、遠位方向よりも近位方向に急であり、ニードルシールド300は、突起の近位側が隆起108を越えて遠位に通るときに、スナップ作用で保持された、近位カテーテルハブキャビティ107内にスムーズに挿入されることができ、また近位領域でのより急な傾斜のためにより安全に保たれる。
【0029】
図2bによる一実施形態では、シールドニードルシステム600が提供され、ニードルハブ200およびニードルシールド300を備えている。ニードルハブ200は、ニードルハブ本体202から遠位に延びるニードル201を備え、ニードルバルジ204が、高摩擦面部分207を有するその遠位端領域にある。ニードルシールド300は、ニードルに取り付けられ、ニードルシャフト206は、ニードルシールドベースプレートの穴を通って延び、ベースプレートは、近位端部に、および少なくとも遠位端部にある弾性アーム303にある。ニードルシールドは、ニードルに取り付けられ、ニードルハブ200とニードルバルジ204との間に位置する。
【0030】
高摩擦面部分207は、少なくともニードルバルジ204をカバーするように意図され、好ましくは、ニードルシャフト206に沿って、バルジ204の近位におよび場合により遠位に延びる。高摩擦面部分207の、その遠位端部からその近位端部までの長さは、ニードルの直径などの要素により変化してよいが、0.2~20mm、好ましくは0.5~5mmの範囲にある。ニードルの通常研磨された合金鋼とより太いプラスチックとの間の摩擦係数は、0.05(μs)よりも低くすることができる。これは、ニードルシールドの最適な動作に好ましい特性であり、ニードルシールドベースプレート302の通り穴を通るスムーズで静かなニードル移動を確かにする。しかしながら、ニードルシールド300などのポリマー本体の弾性率は、低く(ポリマー(PC)2300MPaまたは(LCP)7000MPa)、研磨された(低摩擦)ニードルバルジで、ニードルシールド300がニードルバルジ204を通ることができるほどに変形する危険性があるという結果になる。ニードルバルジ204に高摩擦面部分207を提供することによって、摩擦係数は、ニードルシールド300とニードルバルジ204の高摩擦面部分207との間で20倍まで増加する。これは、ニードルシールド300がニードルバルジ204を通るのに必要な力を大いに増加させる。医療用研磨ニードルの表面粗さは、0.2Raである。従って、高摩擦面部分207の表面粗さは、0.2Raを上回って選択され、0.25~25Raなどであり、より好ましくは0.25~10Raであり、さらにより好ましくは0.5~5Raであり、0.75~3Raなどである。このようにして、表面粗さは、カテーテルハブ100からのニードルハブ200の引き抜き時に、カテーテルと相互作用しないように適合され、一方、同時に、ニードルシールド300とニードルハブ200のニードル201との間、およびより正確にはバルジ204とニードルシールド300との間、の増大した相互作用を可能にし、ニードルシールド300がニードル201上により良く保持されるようになっている。
【0031】
ニードルバルジ204の近位に、ニードルシャフト206に沿って高摩擦面部分207を延ばすことによって、ニードルシールド300は、ニードルシールドベースプレート302がニードルバルジ204と相互作用する以前に、ニードルシャフト206との高摩擦接触にさらされる。これは、ニードルシールド300が、横方向の力を受ける、またはニードルシャフト206の長さ軸に関してわずかに傾く場合に、さらにより顕著である。これは、ニードルシールドベースプレート302がニードルバルジ204と接触する直前に、ニードルシールド300とニードルシャフト206との間の増大する妨げをもたらし、カテーテルハブ100からニードルシールド300を解放するのに必要な力の一部を提供し、ニードルバルジ204がニードルシールド300を解放しやすくする。
【0032】
高摩擦面部分207は、サンドブラスト、エッチング(化学的方法)、浸食、電子ビーム表面処理、プラズマ処理、放電加工およびレーザテクスチャ加工などの、工程によって実現することができる。必要に応じて、高摩擦面部分207は、高摩擦面部分207の領域に、高摩擦コーティングまたは層などの、表面層または表面フィルムを加えることによって、実現され得る。
【0033】
ニードルシールド300は、ニードルハブ200のニードル201に配置されるように意図され、それは順に、カテーテルハブ100の中に配置されるように意図される。
図1による、そのような組立状態で、ニードル201は、二機能バルブ106を貫通し、カテーテル101を通って延びる。好ましくは、ニードル201は、カテーテル101の遠位端部を越えて延び、皮膚および血管進入が促進されるようになっている。その位置で、ニードルシールド300は、近位カテーテルハブキャビティ107に配置され、そのアーム301がニードル201によって横方向に押される。ニードルシールド300は、好ましくは、カテーテルハブ100の近位端部の近位に延びないが、代わりに、カテーテルハブ100の近位カテーテルハブキャビティ107に完全に収容される。このようにして、ニードルハブ200のニードルハブ本体202は、ニードルシールド300などの中間体構造なしに、カテーテルハブ100のカテーテルハブ本体102と協働することができる。これは、ニードルハブ200上の遠位接続フランジ203を通じて達成することができる。遠位接続フランジ203は、そしてカテーテルハブ100のカテーテル本体102の遠位端部を収容することができる。この接続は、スナップフィットであってよい。代替的に、ニードルハブ本体202は、ニードルシールド300の一部を収容する遠位キャビティを有し、一方、依然としてカテーテルハブ本体102に接続可能であるように適合される。この位置で、ニードルシールド300は、ニードルシールドベースプレート302とカテーテルハブ本体102の内側管状壁との間の相互作用を通じて近位カテーテルハブキャビティ107の中で所定の位置に保持される。これは、タング303によって達成することができ、タング303は、ベースプレート302の横方向に延び、近位カテーテルハブキャビティ107の内側のカテーテルハブ本体102の内側管状壁に横方向の圧力を及ぼすために内側にいくらか曲げられる。ニードルシールド300の周囲とカテーテルハブ100との間の協働をさらに増大させるために、周囲隆起108が、近位カテーテルハブキャビティ107の開口に形成されてよい。ベースプレート302には、中央に配置された通り穴が設けられ、ニードル200がその中を自由に延びることができるようになっている。
【0034】
カテーテル101が患者の血管の内側にしっかりと置かれた後に、ニードルハブ200をカテーテルハブ100から引き抜くときに、ニードルハブ200は、まず、カテーテル本体102の周囲からの接続フランジ203の解放によってなどで、カテーテルハブ本体102とニードルハブ本体202との間の協働から切り離される。ニードル201は、ニードル201のニードル先端部205がカテーテル101を出てカテーテルハブ本体102に入るまで、カテーテル101内で近位に移動する。カテーテルハブ本体102に入るときに、ニードル201のニードル先端部205は、遠位カテーテルハブ本体103へと近位に続き、さらに二機能バルブ106を通る。ニードル201のニードル先端部205が、その近位側で二機能バルブ106を出るときに、ニードル201のニードル先端部205は、カテーテルハブ100の近位カテーテルハブキャビティ107に入り、ニードルシールド300は、カテーテルハブ本体102の内側管状壁としっかりと相互作用する。ニードル201のニードル先端部205がアーム301の近位を通るときに、アーム301は、ニードル200のニードル先端部205を覆うように中央でスナップする。これは、アーム301上のかぎ状先端部304によってさらに容易になる。ニードル201の先端部の前でのアーム301のスナップにちょうど続いて、ニードル201上のバルジ204を取り囲んでいる高摩擦面部分207は、ニードルシールド300ベースプレート302の遠位端部と接触する。従って、ニードルハブ200の引き抜きは、近位カテーテルハブキャビティ107からニードルシールド300をさらに近位で安全に引き出す。これは、タング303からの保持作用を適用することによって達成され、これからの保持力が適切な引き抜き力によって克服されるようになっている。ニードルバルジ204の高摩擦面部分207は、適切な引き抜き力がニードルシールド300に適用されることを確実にし、近位カテーテルハブキャビティ107からのニードルシールドの安全な解放を確実にする。その後、ニードルハブは、カテーテルハブから切り離され、ニードルシールド300は、
図2c、3aおよび3bに見ることができるように、ニードル200の先端部にしっかりと配置され、不測の針刺しを妨げるおよび防ぐ。ニードル201のニードル先端部205が二機能バルブ106の近位側を出たときに、二機能バルブ106は、遠位カテーテルハブキャビティ103と近位カテーテルハブキャビティ107との間のオープン接続を提供する。同時に、二機能バルブ106は、オープンコネクタ104と近位カテーテルハブキャビティ107との間の接続を開く。
【0035】
図4による一実施形態では、チューブコネクタ114が、カテーテルハブ本体102に設けられる。チューブコネクタ114は、カテーテルハブ本体112から横方向に延びる。チューブコネクタ114は、遠位カテーテルハブキャビティ103と流体連通する管腔を有し、チューブ115がチューブコネクタ114に接続されることができ、チューブ115からチューブコネクタ114への、さらに遠位カテーテルハブキャビティ103への、カテーテル101へ、最終的に患者の血流への、注入が可能であるようになっている。チューブコネクタ114は、例えば管状であってよい。チューブ115に適した材料は、ポリ塩化ビニルまたはエチレン酢酸ビニルである。カテーテル遠位カテーテルハブキャビティ103は、近位でセプタム116で終わる。セプタム116は、中央貫通流路を有し、それは、
図2に従って、ニードルハブ200のニードル201が貫通してよい。ニードル201がカテーテルハブ100から取り出されたとき、セプタム116は、前記の貫通流路を閉じ、遠位カテーテルハブキャビティ103が近位方向に周囲から区切られるようになっている。このため、セプタム116は、好ましくは、適切なゴム材料またはシリコーンから成る。セプタム116の近位側に、近位カテーテルハブキャビティ107が位置する。近位カテーテルハブキャビティ107は、カテーテルハブ本体102の管状壁およびセプタム116の近位端壁の形の遠位端壁によって形成される。カテーテルハブ本体102に遠位に延びる、この近位カテーテルハブキャビティ107は、ニードルシールド300を収容するように寸法および形状が適合される。
【0036】
一実施形態によると、ニードルシールド300は、プラスチック材料製であってよい。好ましくは、プラスチック材料は、その意図した目的で、引っ張り強さ、剛性、疲労抵抗、弾性、クリープ変形抵抗の、適切な組み合わせを有する。適切なプラスチック材料は、高いクリープ変形抵抗を有する、すなわち、それは、加えられる外部圧力の影響下でゆっくりと動くまたは永久的に変形する傾向が低い。従って、ニードルシールド300を備える本発明のカテーテルシステムは、アーム301またはタング303の広範囲にわたるクリープ変形なしに、長時間組立準備モードで保管されることができる。プラスチックニードルシールド300の利点は、金属と比べて、ニードル201の引き抜き時にニードルシールド300がプラスチックカテーテルハブ100から取り出されるときに、プラスチックカテーテルハブ100の引っかきによる、例えば微小プラスチックチップの放出の、極めて減少した傾向を含む。従って、影響を受けるコネクタを通じた漏れをもたらし得る、引っかき傷の形成の傾向が、大いに減少する。また、プラスチックニードル先端部205シールド装置は、その特定の用途に応じて、容易に色分けされてよく、または透明であってよい。
【0037】
ニードルシールド300は、成形プラスチック材料製の、一体または均質射出成形ニードルシールド300である。本発明の実施形態によるニードルシールド300のさまざまな部分の特定の構成によって、ニードルシールド300は、射出成形などで、そのさまざまな部分間に接合部分がない、1つの均質、すなわち、一体部品および/または1つの一体型ユニットに成形されてよい。一体ニードルシールド300の利点は、組み立てられる必要がある1つより多くの部品から成る他の装置と比べて低い製造コストを含む。ニードルシールド300は、この点において熱可塑性ポリマー製であってよい。熱可塑性ポリマーは、結晶質、非晶質であり得る、または結晶質および非晶質交代領域を備え得る。選択される熱可塑性ポリマーのクリープ抵抗は、好ましくは、少なくとも1200MPa(ISO 527,ASTM D638)であってよい。ニードルシールド300に適したプラスチックは、以下を含むグループから選択されてよい。ポリオキシメチレン(POM)、ポリブチレンテレフタレート(PBTP)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、アクリロニトリル‐ブタジエン‐スチレン(ABS)、スチレン‐アクリロニトリル(SA)、アクリロニトリル‐スチレン‐アクリレート(ASA)、ポリスチレン(PS)、スチレン‐ブタジエン(SB)、液晶ポリマー(LCP)、ポリアミド(PA)、ポリスルホン(PSU)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリカーボネート(PC)、ポリフェニレンオキサイド(PPO)、および/またはPPO/SB、およびその共重合体および三元重合体。これらのポリマーは、引張状態でも、強化された格納能力と、これらのポリマーの優れた構造記憶のために、カテーテルハブに関して優れた協働性能と、を提供する利点を特に有する。
【0038】
カテーテルハブ100に取り付けられたニードルシールド300などの、平滑な形状の2つの本体を接触させることは、これらの本体の間に、特に接触領域が大きくてそれらが共に押し付けられる場合に、かなりの引力をもたらすことがある。この種の引力の基礎となるものは、2つの本体の分子間の分子間引力を含み、2つの本体の表面張力および分子ファン・デル・ワールス相互作用は、重要な要素である。密接に相互作用する表面間の共有結合形成は、引力にも寄与する。そのような共有結合形成、およびこれらの2つの表面間の他の種類の引力は、例えばカテーテル器具を殺菌する放射線処理などの、放射線処理の際のこともある。この種の引力は、ニードルシールド300がカテーテルハブ100から今にも解放されるときに、顕著になり得る。ニードルシールド300をカテーテルハブ100から解放するのに必要な力は、予想以上に著しく高くなる。「引力効果」と称されることもあるこの効果は、例えば、カテーテルハブの一部からの、ばね付勢式アームなどの、装置の一部の自動解放に依存する場合に、ニードル先端部205シールド装置の意図した機能を危険にさらすことさえある。ニードルシールド300は、ニードルシールド300とカテーテルハブ100との間の少なくとも1つの接合面を介して、組立状態でカテーテルハブ100と接する。従って、一実施形態では、カテーテルハブの内側管腔と接触するニードルシールド300の表面は、カテーテルハブのポリマー材料と異なるポリマー材料から成っている。この場合、ニードルバルジ204の高摩擦面部分207は、さらなる安全性を提供する。それは、そのような引力の場合にニードルシールドに追加の牽引力を及ぼすことを可能にするからである。
【0039】
特許請求の範囲において、「備える/備えている」という用語は、他の要素またはステップの存在を除外しない。さらに、個々に記載されたが、複数の手段、要素または方法ステップが、例えば単一のユニットまたはプロセッサによって実現されてよい。また、個々の特徴は、異なる請求項に含まれる場合があるが、これらは有利に組み合わせられることもでき、異なる請求項に含めることは、特徴の組み合わせが、実行可能でないおよび/または有利でないことを意味しない。加えて、単数の言及は、複数を除外しない。「一つの(a)」、「一つの(an)」、「第1」、「第2」等の用語は、複数を除外しない。特許請求の範囲の引用符号は、単に例を明らかにするものとして提供され、決して特許請求の範囲を限定するものと見なされるべきではない。
【手続補正書】
【提出日】2022-08-05
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
IVカテーテルシステムであって、カテーテルハブ(100)と、ニードルハブ(200)と、ニードルシールド(300)と、を備え、
前記カテーテルハブ(100)は、管状カテーテル(101)を備え、前記管状カテーテル(101)は、管腔を有し、その近位端でカテーテルハブ本体(102)に取り付けられ、カテーテルハブキャビティ(103,107)が、前記管状カテーテル(101)の管腔と流体連通し、
前記ニードルハブ(200)は、ニードルハブ本体(202)から遠位に延びるニードル(201)を備え、前記ニードル(201)は、その遠位端部領域に高摩擦面部分(207)およびニードルバルジ(204)を有し、
前記ニードルシールド(300)は、ベースプレート(302)から遠位に延びる少なくとも1つの弾性アーム(301)を備え、前記ベースプレート(302)は、通り穴を有し、前記通り穴は、そこを通る前記ニードル(201)を受け入れ、
前記ニードルハブ(200)は、前記カテーテルハブ(100)に配置され、前記ニードル(201)が前記管状カテーテル(101)の管腔を通じてスライド自在に配置されるようになっており、前記ニードル(201)が前記カテーテルハブ(100)から近位に引き込まれることができるようになっており、
前記ニードルシールド(300)は、前記カテーテルハブキャビティ(103,107)の中で、前記ニードルシールド(300)と、前記カテーテルハブ(100)の内壁と、の間の協働を通じて保持される仕方で、前記カテーテルハブキャビティ(103,107)に、および前記ニードル(201)に、配置され、少なくとも1つのアーム(301)が、前記ニードル(201)に支えられ、前記ニードル(201)によってばね付勢され、前記ニードル(201)が、組立状態で、前記ベースプレート(302)の前記通り穴内にスライド自在に配置されるようになっており、
前記ニードルバルジ(204)の外径は、前記ニードルシールド(300)を前記カテーテルハブ(100)から解放するように前記ニードルハブ(200)が前記カテーテルハブ(100)から引き出されるときに、前記ベースプレート(302)の前記通り穴の内径よりも大きく、前記少なくとも1つのアーム(301)は、解放状態で前記ニードル(201)の先端部をカバーし、前記高摩擦面部分(207)は、少なくとも部分的に前記ニードルバルジ(204)に適用され、
前記ニードル上の前記高摩擦面は、0.25~10Raの範囲にある表面粗さを有する、IVカテーテルシステム。
【請求項2】
請求項1に記載のIVカテーテルシステムであって、前記高摩擦面部分(207)は、少なくとも部分的に前記ニードルバルジ(204)に適用される、IVカテーテルシステム。
【請求項3】
請求項2に記載のIVカテーテルシステムであって、前記高摩擦面部分(207)は、前記ニードルバルジ(204)をカバーする、IVカテーテルシステム。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項に記載のIVカテーテルシステムであって、コネクタ(104)を備え、前記コネクタ(104)は、前記カテーテルハブ本体(102)から横方向に延び、近位カテーテルハブキャビティ(107)の遠位に位置する、IVカテーテルシステム。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1項に記載のIVカテーテルシステムであって、バルブ(106,116)を備え、前記バルブは、通り穴を有し、前記通り穴は、そこを通る前記ニードル(201)を受け入れ、前記バルブ(106,116)は、遠位カテーテルハブキャビティ(103)と近位カテーテルハブキャビティ(107)との間に位置する、IVカテーテルシステム。
【請求項6】
請求項4を引用する請求項5に記載のIVカテーテルシステムであって、IVカテーテルシステムは、オープンIVカテーテルシステムであり、前記コネクタ(104)は、前記バルブ(106)と直接接触するオープンコネクタであり、前記コネクタ(104)と、近位カテーテルハブキャビティ(107)と、遠位カテーテルハブキャビティ(103)と、近位カテーテルハブキャビティ(107)と、は、前記バルブ(106)から前記ニードルが引き出されたときに流体連通する、IVカテーテルシステム。
【請求項7】
請求項4を引用する請求項5に記載のIVカテーテルシステムであって、IVカテーテルシステムは、クローズドIVカテーテルシステムであり、前記コネクタ(104)は、遠位カテーテルハブキャビティ(103)と直接接触するチューブコネクタ(114)であり、前記チューブコネクタ(114)は、チューブ(115)に接続されることができ、前記バルブ(106)は、遠位カテーテルハブキャビティ(103)の近位および近位カテーテルハブキャビティ(107)の遠位の、セプタム(116)であり、前記セプタム(116)の通り穴は、前記セプタム(116)から前記ニードルが引き出されたときに閉じる、IVカテーテルシステム。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか1項に記載のIVカテーテルシステムであって、前記高摩擦面部分(207)は、工程を通じて粗く作られたニードルシャフト(206)の金属合金の区間であり、前記工程は、サンドブラスト、エッチング、浸食、電子ビーム表面処理、プラズマ処理、放電加工およびレーザテクスチャ加工のいずれかを含む、IVカテーテルシステム。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか1項に記載のIVカテーテルシステムであって、前記高摩擦面部分(207)の、その遠位端部からその近位端部までの、長さは、0.5~20mm、好ましくは1~5mmである、IVカテーテルシステム。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか1項に記載のIVカテーテルシステムであって、近位カテーテルハブキャビティ(107)の近位端部には、隆起(108)が設けられる、IVカテーテルシステム。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか1項に記載のIVカテーテルシステムであって、前記カテーテルハブ本体(102)は、ポリカーボネートまたはポリカーボネートとポリエステルとのコポリマーで製造される、IVカテーテルシステム。
【請求項12】
請求項1~11のいずれか1項に記載のIVカテーテルシステムであって、前記カテーテルハブ本体(102)は、射出成形される、IVカテーテルシステム。
【請求項13】
請求項5から7のいずれか1項、または請求項5から7のいずれか1項を引用する請求項8から12のいずれか1項に記載のIVカテーテルシステムであって、前記バルブ(106,116)は、シリコーンまたはゴムで作られている、IVカテーテルシステム。
【請求項14】
請求項1~13のいずれか1項に記載のIVカテーテルシステムであって、前記カテーテルハブ本体(102)の近位端部は、組立状態で前記ニードルハブ本体(202)の遠位端部と協働する、IVカテーテルシステム。
【請求項15】
請求項1~14のいずれか1項に記載のIVカテーテルシステムであって、前記ニードルハブ本体(202)の遠位接続フランジ(203)は、保持する仕方で前記カテーテルハブ本体(102)の外側近位表面と協働する、IVカテーテルシステム。
【請求項16】
請求項1~15のいずれか1項に記載のIVカテーテルシステムであって、前記ニードルシールド(300)は、前記ベースプレート(302)の周囲を通じて近位カテーテルハブキャビティ(107)の中で前記カテーテルハブ本体(102)の内壁と協働する、IVカテーテルシステム。
【請求項17】
請求項1~16のいずれか1項に記載のIVカテーテルシステムであって、前記ベースプレート(302)の周囲には、少なくとも1つの弾性タング(303)が設けられ、それは順に前記カテーテルハブ本体(102)と協働する、IVカテーテルシステム。
【請求項18】
請求項1~17のいずれか1項に記載のIVカテーテルシステムであって、前記ベースプレート(302)の周囲には、3~5つの弾性タング(303)が設けられる、IVカテーテルシステム。
【請求項19】
請求項1~18のいずれか1項に記載のIVカテーテルシステムであって、タング(303)は、前記ベースプレート(302)の周囲に沿って均一に分布する、IVカテーテルシステム。
【請求項20】
請求項1~19のいずれか1項に記載のIVカテーテルシステムであって、少なくとも1つのタング(303)には、横方向に延びる突起(305)が設けられる、IVカテーテルシステム。
【請求項21】
請求項1~20のいずれか1項に記載のIVカテーテルシステムであって、前記ニードルシールド(300)は、一体プラスチック体であり、前記ニードルシールド(300)のプラスチック材料は、POM、PBTP、PMMA、ABS、SAN、ASA、PS、SB、LCP、PA、PSU、PEI、PC、PPO、および/またはPPO/SBから成るグループから選択される、IVカテーテルシステム。
【請求項22】
ニードルハブ(200)であって、前記ニードルハブ(200)は、ニードルハブ本体(202)から遠位に延びるニードル(201)を備え、前記ニードル(201)は、その遠位端部領域に高摩擦面部分(207)およびバルジ(204)を有し、前記高摩擦面部分(207)は、少なくとも部分的に前記バルジ(204)に適用され、
前記ニードル上の前記高摩擦面は、0.25~10Raの範囲にある表面粗さを有する、ニードルハブ。
【請求項23】
請求項22に記載のニードルハブ(200)であって、前記高摩擦面部分(207)は、少なくとも部分的に前記バルジ(204)に適用される、ニードルハブ。
【請求項24】
請求項23に記載のニードルハブ(200)であって、前記高摩擦面部分(207)は、前記バルジ(204)をカバーする、ニードルハブ。
【請求項25】
シールドニードルシステム(600)であって、請求項22~24のいずれか1項に記載のニードルハブ(200)と、ニードルシールド(300)と、を備え、
前記ニードルシールド(300)は、ベースプレート(302)から遠位に延びる少なくとも1つの弾性アーム(301)を備え、前記ベースプレート(302)は、通り穴を有し、前記通り穴は、そこを通る前記ニードル(201)を受け入れ、
前記ニードルシールドは、前記バルジ(204)と、前記ニードルハブ本体(202)の遠位端部と、の間に位置する、シールドニードルシステム。
【外国語明細書】