(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022130772
(43)【公開日】2022-09-07
(54)【発明の名称】払込票処理システム
(51)【国際特許分類】
G06Q 20/10 20120101AFI20220831BHJP
【FI】
G06Q20/10 300
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021029341
(22)【出願日】2021-02-26
(71)【出願人】
【識別番号】500107267
【氏名又は名称】株式会社しんきん情報サービス
(74)【代理人】
【識別番号】100098589
【弁理士】
【氏名又は名称】西山 善章
(74)【代理人】
【識別番号】100098062
【弁理士】
【氏名又は名称】梅田 明彦
(74)【代理人】
【識別番号】100147599
【弁理士】
【氏名又は名称】丹羽 匡孝
(72)【発明者】
【氏名】馬場 英一
(72)【発明者】
【氏名】久慈 日出夫
(72)【発明者】
【氏名】志田 成之
【テーマコード(参考)】
5L055
【Fターム(参考)】
5L055AA32
(57)【要約】 (修正有)
【課題】マルチペイメントネットワークを利用した払込票処理システムにおいて、金融機関でのOCR認識で誤読されても一部のデータについては、補正できるため、正確なデータを作成することができる払込票処理システムを提供する。
【解決手段】払込票処理システムにおいて、金融機関の営業店5の受付端末15は、払込票3のバーコードの情報と文字コードをOCR装置14で読み取ったOCRデータを取得する。受付端末15は、払込票3から読み取ったバーコードの示す払込票発行者情報が地方公共団体であるとき、取得したOCRデータとバーコードによる情報とがそれぞれ示す払込票発行情報、払込期限情報及び払込金額情報の整合性を確認し、整合しない場合、OCRデータをバーコードデータの数値に補正し、確定したOCRデータをマルチペイメントネットワーク51を通じて、地方公共団体システム23へ送信する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
地方公共団体等が発行した払込票を処理する払込票処理システムであって、
一連の払込票発行者情報、納税者情報、払込金額情報がバーコードと文字コードとでそれぞれ表記されている払込票と、
金融機関の店舗内に配置されて、前記払込票の前記バーコードの情報と前記文字コードをOCR装置で読み取ったOCRデータを取得する受付端末と、
収納代行会社に配置される決済管理サーバと、
前記決済管理サーバ及び前記地方公共団体のシステムが接続されるマルチペイメントネットワークと、を備えて、
前記受付端末が読み取った前記バーコードの示す前記払込票発行者情報が取扱い可能な地方公共団体等であるとき、前記バーコードによる情報と前記OCRデータがそれぞれ示す前記払込票発行情報、払込期限情報、払込金額情報の整合性を確認し、確定した前記OCRデータを前記マルチペイメントネットワークを通じて前記地方公共団体のシステム送信することを特徴とする払込票処理システム。
【請求項2】
前記決済管理サーバは、前記受付端末が前記払込票の受付時に前記バーコードから読み取った前記払込票発行者情報がマルチペイメントでの取扱い以外のときには、前記払込票発行者情報、払込期限情報、払込金額情報を該当する払込票発行者に前記バーコード情報を送信することで当該払込票発行者による消込処理を可能にし、再度、前記受付端末が同じ前記払込票の前記バーコードを読み取った前記払込票発行者情報、払込期限情報、払込金額情報を既に前記払込票発行者に送信した前記払込票発行者情報、払込期限情報、払込金額情報と突き合わせて処理の完結を確認するようにした請求項1に記載の払込票処理システム。
【請求項3】
前記受付端末は、前記払込票の前記バーコードの再度の認識に合わせて前記OCRデータを取得することを特徴とする請求項2に記載の払込票処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば信用金庫等の金融機関において処理される払込票処理システムに関し、特に払込票を受領して処理する信用金庫などの払込票処理機関が契約していない地方公共団体などの払込票を処理し得るようにした払込票処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
NTT、NHK、各地方公共団体などから各顧客に送付された払込票を処理する払込票処理システムとして、従来、コンビニエンスストア型の払込票処理システム及び金融機関型の払込票処理システムが知られている(例えば、特許文献1を参照)。この特許文献1のシステムは、コンビニエンスストア型及び金融機関型の両方の払込票処理システムを同時に実現している。
【0003】
特許文献1における金融機関型の払込票処理システムの概略を
図5で説明する。このシステムでは、収納代行会社9は、金融機関との契約により収納代行を行うことを委託している。また、金融機関も払込票を発行する払込票発行者(払込受領者)25との間で収納代理契約がされている。
【0004】
同図において、金融機関の営業店5に設置される払込票受付装置7は客によって持ち込まれた払込票6のバーコードをバーコードリーダ16で読み取り、読み取ったバーコード情報に示されている払込票発行者情報、納税者情報、払込金額情報などから処理可能な払込票6であるときには、顧客から払込金額を受け取り、収納代行会社9の収納代行装置12にネットワーク10を通して収納情報を送信し、収納代行装置12はこれを記憶する。そして、収納代行装置12は、各営業店の収納情報を準備し、金融機関本部11はその情報をインターネット経由にて本部処理装置22へ取込む。
【0005】
また、営業店は、1日の営業の終了で、収納端末17に記憶している収納情報、関連帳票情報、それぞれの収納情報を集計した集計情報などを整理して、帳票プリンタ18から関連帳票19、集計票20などプリントアウトして、払込票6と共にメール便で金融機関本部11に送付する。
【0006】
そして、金融機関本部11では、各営業店5から送付された払込票発行者25単位の関連帳票19、集計票20、払込票6などが払込票発行者25単位で、さらに纏められる。次いで、本部処理装置22に記憶されている収納情報と、メール便で送られてきた各払込票6、関連帳票19、集計票20などが合っているかどうかが確認される。
【0007】
この後、金融機関本部11では、契約している地方公共団体であれば払込票と回収金額を指定されている期日までに指定金融機関等へ持ち込む。また、それ以外の収納情報は、収納代行装置12より払込票発行者26のサーバ(例えば、NTT、NHKなどのサーバ)へネットワーク24を通じて送信されて、消込処理が行われる。
【0008】
上記のシステムにおいては、払込票発行者25が地方公共団体であるときには、地方公共団体は指定金融機関制度によって収納情報を送信することはできない。
【0009】
しかしながら、日本マルチペイメントネットワーク推進協議会(JAMPA)が提供する収納機関と金融機関を共同のネットワークで結ぶマルチペイメントネットワークを利用すれば、金融機関でも払込票の処理が可能となる(例えば、特許文献2を参照)。
図6は、このマルチペイメントネットワーク51を利用した払込票処理システムの概略を示している。この場合、マルチペイメントネットワーク51に接続するための機能を提供する金融機関共同利用センター50と接続することで地方公共団体とで決済が行えるようになっている。
【0010】
マルチペイメントネットワークを利用したこの払込票処理システムにおいては、営業店5は持ち込まれた払込票6を受け付けると、払込票6の現物をメール便で金融機関本部11に直接送付し、金融機関本部11では営業店7から集まった払込票に印刷されている文字情報をOCR(Optical Character Reader)装置30で認識して作成したデータを端末装置31からマルチペイメントネットワークの金融機関共同利用センター50へ送信し、金融機関共同利用センター50のセンターサーバ50aはマルチペイメントネットワーク51を介して決済と共に営業店でOCR認識により作成したデータを地方公共団体23へ送信する。これにより、指定金融機関制度下で指定されている金融機関でも地方公共団体23の発行した払込票を処理することが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特許第5256139号公報
【特許文献2】特開2018-205983号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、上記のマルチペイメントネットワーク51を利用した払込票処理システムにおいて、金融機関本部11でのOCR認識で誤読されたときには地方公共団体23で誤りを生じることになる。また、OCR認識で読み取れない文字があるときには、地方公共団体23に払込票6を直接配送しなければならず運用面で大きな負担となる。
【0013】
上記点から本発明は、マルチペイメントネットワークを利用した払込票処理システムにおいて、金融機関ではOCR認識とバーコードデータの共通項目の整合性をとることで、より正確なOCRデータを送信する払込票処理システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記の目的を達成するために、本発明による払込票処理システムは、地方公共団体等が発行した払込票を処理する払込票処理システであって、一連の払込票発行者情報、納税者情報、払込金額情報がバーコードと文字コードとでそれぞれ表記されている払込票と、金融機関の店舗内に配置されて、前記払込票の前記バーコードの情報と前記文字コードをOCR装置で読み取ったOCRデータを取得する受付端末と、収納代行会社に配置される決済管理サーバと、前記決済管理サーバ及び前記地方公共団体のシステムが接続されるマルチペイメントネットワークと、を備えて、前記受付端末が読み取った前記バーコードの示す前記払込票発行者情報が取扱い可能な地方公共団体等であるとき、前記バーコードによる情報と前記OCRデータがそれぞれ示す前記払込票発行情報、納税者情報、払込期限情報、払込金額情報の整合性を確認し、確定した前記OCRデータを前記マルチペイメントネットワークを通じて前記地方公共団体のシステム送信することを特徴としている。
【0015】
そして、前記決済管理サーバは、前記受付端末が前記払込票の受付時に前記バーコードから読み取った前記払込票発行者情報が地方公共団体以外のときには、前記払込票発行者情報、納税者情報、払込期限情報、払込金額情報を該当する払込票発行者にバーコード情報を送信することで当該払込票発行者による消込処理を可能にし、再度、前記受付端末が同じ前記払込票の前記バーコード読み取った前記払込票発行者情報、払込期限情報、払込金額情報を既に前記払込票発行者に送信した前記払込票発行者情報、納税者情報、払込期限情報、払込金額情報と突き合わせて処理の完結を確認するようにすることで、地方公共団体以外の払込票発行者が発行する払込票の処理も可能となる。
【0016】
また、前記受付端末は、前記払込票の前記バーコードの再度の認識に合わせて前記OCRデータを取得するようにするとよい。
【発明の効果】
【0017】
本発明によればマルチペイメントネットワークを利用した払込票処理システにおいて、一連の払込票発行者情報、納税者情報、払込金額情報がバーコードと文字コードとでそれぞれ表記している払込票から共通項目の整合性を取り収納情報を生成して送信するため、地方公共団体では間違いが発生しにくく、しかも払込票の受け取りを廃止できるため業務の効率化が図れる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明に係る払込票処理システムの概略構成図を示す。
【
図3】本発明に係る払込票処理システムおける払込票の受付処理時の動作のフローチャートを示す。
【
図4】(a)は本発明に係る払込票処理システムおける地方公共団体以外の払込発行者が発行する払込票の場合の後処理動作のフローチャートを示し、(b)は地方公共団体が発行する払込票の場合の後処理動作のフローチャートを示す。
【
図5】従来の払込票処理システムの概略構成図を示す。
【
図6】マルチペイメントネットワークを利用した払込票処理システムの概略構成図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1は、本発明に係る払込票処理システム1の構成図を示しており、
図6で説明した金融機関共通の仕組みである金融機関共同利用センター50によるマルチペイメントネットワーク(MPN)51を利用している。そして、
図5で説明の収納代行会社9は、この場合払込票3を発行する地方公共団体23と金融機関とのそれぞれの契約により収納代行装置21によって収納代行を行うことが委託している。
【0020】
収納代行装置21は、マルチペイメントネットワーク51に接続するための機能を提供する金融機関共同利用センター50のセンターサーバ50aとネットワーク32を介して接続される決済管理サーバ22を備える。金融機関の各営業店5には決済管理サーバ22とネットワーク31を介して通信を行う受付端末15が設置されている。
【0021】
また、収納代行会社9は、地方公共団体23以外の払込票発行者(払込受領者)25とも契約で収納代行を行うことが委託されているが、この払込票発行者25とは金融機関共同利用センター50を介さず直接、処理を行うようになっている。よって、この実施形態の払込票処理システム1においては、決済管理サーバー22は、ネットワーク33を介して契約した払込票発行者25とも繋がっている。
【0022】
払込票3は、払込票発行者情報、納税者情報、払込金額情報などをバーコードと数値が羅列された文字コードとで表記されている。
図2は地方公共団体が発行する払込票(納付書)の模式的な説明図を示すもので、払込票発行者情報(地方公共団体名)、納税者情報、払込金額情報などが83桁の数字でコード化して表記している文字コード部3aと、これら情報をバーコードで表記しているバーコード表示部3bとが設けられている。
【0023】
受付端末15は、バーコードスキャナー16による払込票3のバーコードの読み取り機能と、OCR装置14による払込票3の83桁の数字をOCR認識する機能とを有する。尚、バーコードと数値による文字コードとは、それぞれ払込票発行者情報、納税者情報、払込金額情報などをコード化して示すものであるが、文字コードの方が示す情報の種類が多い。したがって、後に明らかとなるが、文字コードをOCR装置14で読み取って取得するOCRデータとバーコードデータとを比較するとき、両方の共通項目の情報が一致しているか否かを確認することになる。
【0024】
上記構成の払込票処理システムの動作を説明する。営業店5に払込票3が持ち込まれて
図3にフローチャートで示す受付処理となると、払込票3のバーコードがバーコードスキャナー16で読み取られる(ステップS1)。そして、受付端末15は読み取ったバーコード情報から当該払込票3が収納代行会社9が契約した払込票発行者が発行したものであるかを判断する(ステップS2)。
【0025】
払込票3が収納代行が委託された地方公共団体23若しくは払込票発行者が発行した払込票であるときには(ステップS2の「YES」)、営業店5は顧客から払込金額情報相当の払込金を受け取ると共に、バーコードから読み取った払込票発行者情報、納税者情報、払込金額情報などを示す収納情報を決済管理サーバ22に送信する(ステップS4)。そして、決済管理サーバ22は、送られてきた収納情報を保持して終了する(ステップS4)。
【0026】
一方、取り扱えない払込票発行者25が発行した払込票3であれば(ステップS2の「NO」)、受付端末15は取扱不能であることを表示して終了する。
【0027】
営業店5が業務中は、払込票3が顧客によって持ち込まれるたびにかかる受付処理が行われる。そして、営業店5の業務の終了により後処理が行われる。後処理では、業務中にバーコード情報を読み取った払込票3が地方公共団体23以外の払込票発行者が発行したものである場合には
図4(a)のフローチャートで示す後処理1となる。
【0028】
後処理1では、受付端末15は受付処理した地方公共団体以外の払込票3のバーコードを再度読み取り、受付端末15に一時記録されている各収納情報との突き合わせをそれぞれ行う(ステップS11)。このように、全ての突き合わせ処理することにより収納漏れ等を防ぐことが出来る。突き合わせ処理が全て終了したところで受付端末15の処理を終了させる。受付端末を終了すると完了通知が収納代行装置21に送られて(ステップS12)、収納代行会社9は払込票発行者と決めた日程による収納情報の確定情報を送信し払込票発行者は消込処理を行い終了とする。
【0029】
後処理で、地方公共団体23の発行した払込票3の場合には、
図4(b)のフローチャートで示す後処理2となる。後処理2では、営業店5においては払込票3毎に83桁の数字情報をOCR装置14に架けて受付端末15へOCRデータを取り込む(ステップS13)。そして、受付端末15はこのOCRデータが示す収納情報と受付端末15に一時記憶されている収納情報と突き合せ処理(ステップS14)を行う。この突き合せでは前述したように、OCRデータとバーコードデータの両方が示している共通項目の情報が一致しているか否かを確認することになる。
【0030】
そして、突合せ処理で整合性を確認すると、このOCRデータを収納代行装置21へ送る(ステップS15)。このとき、整合性が確認出来ない場合、バーコードデータに含まれる数値であれば、OCRデータをバーコードデータの数値に補正し、補正後のOCRデータを収納代行装置21へ送る。そして、決済管理サーバ22は確定した地方公共団体情報、納税者情報、払込金額情報などOCRデータを金融機関共同利用センター50のセンターサーバ50aへ送信する(ステップS16)。
【0031】
そして、センターサーバ50aは送られてきた地方公共団体情報、納税者情報、払込金額情報などのデータから該当する地方公共団体23への決済処理と共に、これらデータの地方公共団体23への送信を行い終了する(ステップS17)。これにより、地方公共団体23では消込処理を行うことができ、地方公共団体23への消込情報をデータ送信することで払込票3の授受を廃止することができる。しかも、決済管理サーバ22で収納情報とOCRデータとの整合性の確認により正確な消込のデータが作成されて金融機関共同利用センター50を介し地方公共団体23へ提供されるため、地方公共団体23での処理日数の短縮化が図れる。
【0032】
このようにして、地方公共団体23から指定金融機関であっても、金融機関共同利用センター50を介することで、当該地方公共団体23が発行する払込票3の処理を行うことができる。そして、金融機関側では営業店5に受付端末15を配置して、営業店5から受付端末15から収納情報とOCRデータとを決済管理サーバ22へ直接送信するため営業店5から本部へ払込票3の現物をメール便で送る必要がなくなる。
【符号の説明】
【0033】
1 払込票処理システム
3 払込票
14 OCR装置
15 受付端末
22 決済管理サーバ
23 地方公共団体
25 払込票発行者
51 マルチペイメントネットワーク