(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022130789
(43)【公開日】2022-09-07
(54)【発明の名称】LED照明装置
(51)【国際特許分類】
H05B 45/50 20220101AFI20220831BHJP
H05B 47/20 20200101ALI20220831BHJP
H05B 45/30 20200101ALI20220831BHJP
H05B 45/37 20200101ALI20220831BHJP
【FI】
H05B45/50
H05B47/20
H05B45/30
H05B45/37
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021029376
(22)【出願日】2021-02-26
(71)【出願人】
【識別番号】000100562
【氏名又は名称】アール・ビー・コントロールズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106105
【弁理士】
【氏名又は名称】打揚 洋次
(72)【発明者】
【氏名】北川 厚
【テーマコード(参考)】
3K273
【Fターム(参考)】
3K273AA03
3K273AA09
3K273BA30
3K273BA36
3K273CA02
3K273EA06
3K273EA24
3K273EA36
3K273EA38
3K273EA43
3K273FA08
3K273FA13
3K273FA14
3K273FA33
3K273FA39
3K273GA03
3K273GA12
3K273GA14
3K273HA14
3K273HA17
(57)【要約】
【課題】
図3の誤5に示す誤配線が発生し、かつ充電媒体34に十分な電力が充電されていない状態では、点消灯スイッチ11に対するオンオフ操作に対応して照明用LED23が点消灯するので、照明用LED23は一見正常に作動する。ただし、停電発生時と同じように非常用回路部3には電力が供給されないので非常用LED37が点灯するはずであるが、充電媒体34の電荷が不足しているため非常用LED37が点灯しない。その場合には施工業者は誤5の誤配線の発生を認識できないという不具合が生じる。
【解決手段】点灯禁止回路4を設けて、ターミナル1とターミナル2との間に交流電源からの電力が供給されると、イネーブル端子51をLoに落としてAC/DCコンバータの作動を停止させて照明用LED23が点灯しないようにした。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部の交流電源から供給される電力で常時充電される充電媒体を備え、この充電媒体への充電電力が消失すると充電媒体に充電されている電力で点灯させる非常用LEDと、上記外部の交流電源から点消灯スイッチを介して供給される電力によって点灯する照明用LEDとを備えたLED照明装置であって、上記交流電源の両極の各々のラインのうち、一方のラインが接続されるターミナル1と、この一方のラインから上記点消灯スイッチを介するラインが接続されるターミナル2と、上記交流電源の両極の各々のラインのうち、他方のラインが接続されるターミナル3とを備え、上記充電媒体はターミナル1とターミナル3とに接続され、上記照明用LEDはターミナル2とターミナル3とに接続されたものにおいて、上記照明用LEDに点灯用の電力を供給するAD/DCコンバータはイネーブル端子(EN端子)を有しており、ターミナル1とターミナル2との間に上記交流電源からの電力が供給されると、このイネーブル端子への信号を遮断して上記AC/DCコンバータの作動を停止させて上記照明用LEDが点灯しないようにしたことを特徴とするLED照明装置。
【請求項2】
上記ターミナル1とターミナル2との間に、フォトカプラを構成するLEDを接続すると共に、このフォトカプラを構成するフォトトランジスタがオンになると充電されるコンデンサを設け、このコンデンサの充電電圧が所定の電圧になるとオンするスイッチ素子を設けて、このスイッチ素子がオンになることによって上記イネーブル端子をLoに落として上記AC/DCコンバータの作動を停止させることを特徴とする請求項1に記載のLED照明装置。
【請求項3】
上記コンデンサを充電するための電力は、上記ターミナル2に接続された電源回路によって生成することを特徴とする請求項2に記載のLED照明装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外部の交流電源に接続され、照明用LEDと非常用LEDとの2系統のLEDを備えており、停電発生時には内蔵する充電媒体に充電しておいた電力によって非常用LEDを点灯させる機能を有するLED照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
外部の交流電源からの電力によってLEDを点灯させるLED照明装置では、交流電源から供給される電力で充電媒体に電力を充電しておき、停電が発生すると、その充電媒体に充電されている電力によって非常用LEDを点灯させるように構成されたLED照明装置が知られている。
【0003】
このようなLED照明装置では停電の発生を検知する必要があるため、点消灯スイッチによって点消灯する照明用LEDのほかに、点消灯スイッチを介することなく常時上記充電媒体を充電させる電力供給を行っており、充電媒体の充電が停止すると停電発生を検知する。そのため、LED照明装置には外部の商用電源の一方のラインに点消灯スイッチが設けられた2本のラインの他に、点消灯スイッチをバイパスするもう1本のラインを配線する必要があり、LED照明装置には合計3本のラインが接続されることになる(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2018-195470号公報(
図4、
図5)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述のような停電発生時に非常用LEDを点灯させる機能を有していないLED照明装置であれば、LED照明装置には2本のラインを接続すればよく、また、いずれのラインに点消灯スイッチが設けられていても、照明用LEDの点消灯を行うことができるので、誤配線という問題は生じない。ところが、上記のように外部の交流電源に対して3本のラインを介して接続されるLED照明装置では、これら3本のラインの誤配線という問題が生じる。LED照明装置を取り付けする現場では配線工事を行った後で点消灯スイッチをオンオフさせて正常に作動するかを確認するが、そのような確認では特定できない誤配線が発生するおそれがある。
【0006】
図3を参照して、1はLED照明装置である。このLED照明装置1には外部の交流電源PSから交流電力が供給される。交流電源PSからの2本の電力供給用のラインには便宜上、「+」と「-」を付して区別する。また、一方のラインであるAC+から点消灯スイッチ11を介して接続されるラインをSWとして、正常に配線された場合、ターミナル1にはAC+が接続され、ターミナル2にはSWが接続され、ターミナル3にはAC-が接続される。
【0007】
一方、LED照明装置1内には点消灯スイッチ11に対する操作によって照明用LED23が点消灯する照明用回路部2と、停電などの発生により交流電源PSからの電力供給が停止すると非常用LED37を連続点灯させるための非常用回路部3とが設けられている。
【0008】
照明用回路部2はターミナル2とターミナル3とに接続されており、点消灯スイッチ11がオンになると照明用回路部2に交流電力が供給され、点消灯スイッチ11がオフになると照明用回路部2への電力供給が停止する。この照明用回路部2に供給された交流電力はダイオードブリッジ(以下、単にブリッジという)21で全波整流され、AC/DCコンバータ22で所定の電圧の直流電力に変換され、照明用LED23に供給される。
【0009】
一方、上記非常用回路部3にはターミナル1とターミナル3とが接続されており、点消灯スイッチ11のオンオフ状態の如何に関わらず、交流電源PSからの交流電力が常に供給される。その供給された交流電力はブリッジ31とAC/DCコンバータ32とで所定の電圧の直流電力に変換された後、DC/DCコンバータ33で充電媒体34を充電するための電圧と電流に変換して、この充電媒体34を充電する。停電などによって充電媒体34に対する充電が停止すると停電検知回路35がその充電停止を検知して、充電媒体34に充電されている電力で非常用LED37を点灯させる。
【0010】
上記充電媒体34は充電可能な2次電池を利用してもよいが、メンテナンス性に優れた電気二重層コンデンサを用いてもよい。ただし、充電媒体34を急速に充電するためには多くの電力が消費される点と、停電が発生する頻度はそれほど多くない点とを考慮して、DC/DCコンバータ33は充電媒体34に充電されている電力がゼロの状態から非常用LED37を点灯させるのに十分な電力が充電されるまでに少なくとも数時間を要するほどの小電力で充電媒体34を充電するように設定されている。従って、LED照明装置1を設置した直後は、充電媒体34が十分に充電されていない場合もあり、そのような充電電力が足りない状態では、停電が発生しても非常用LED37が点灯しない場合が生じる。
【0011】
上記構成で、交流電源PSからの3本のラインが各ターミナルに対して正常に配線されていればよいが、誤配線が生じた場合に、その誤配線を施工業者がいち早く認識して正常な配線に修正する必要がある。
【0012】
誤配線のパターンは
図3の上部に示した表に記載したように、誤1から誤5までの5個のパターンが考えられる。
【0013】
誤1であれば、照明用回路部2にはAC+とSWが配線されるが、AC+とSWは同電位であるため電力が供給されず、点消灯スイッチ11をオンオフ操作しても照明用LED23は点灯せず、従って誤配線であることを直ちに認識できる。
【0014】
誤2であれば、照明用回路部2にはAC+とAC-とが配線され、照明用LED23は点灯するが、点消灯スイッチ11をオフにしても照明用LED23は消灯せず、従って誤配線であることを直ちに認識できる。
【0015】
誤3であれば、誤1と同様に点消灯スイッチ11をオンオフ操作しても照明用LED23が点灯しないので誤配線であることを直ちに認識できる。
【0016】
誤4であれば、誤2と同様に点消灯スイッチ11をオフにしても照明用LED23は点灯し続けるので、誤配線であることを直ちに認識できる。
【0017】
誤5であれば、照明用回路部2には点消灯スイッチ11を介して電力が供給されるので、点消灯スイッチ11に対するオンオフ操作に対応して照明用LED23が点消灯するので、照明用LED23は一見正常に作動する。ただし、非常用回路部3には電力が供給されず、停電が発生した場合と同様の状態になるので、本来は点灯しない非常用LED37が点灯するはずである。ところが、上述のように充電媒体34が十分に充電されていなければ、充電されるまでに数時間を要するので、LED照明装置1を施工した直後では停電検知回路35が停電発生を検知しても非常用LED37が点灯しない場合が生じ、その場合には施工業者は誤配線の発生を認識できないという不具合が生じる。
【0018】
そこで本発明は、上記の問題点に鑑み、交流電源からの3本のラインが接続されるターミナルを備えたLED照明装置であって、施工時に各ターミナルに対して誤配線が発生した場合に、その誤配線の発生を確実に認識できるLED照明装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
上記課題を解決するために本発明によるLED照明装置は、外部の交流電源から供給される電力で常時充電される充電媒体を備え、この充電媒体への充電電力が消失すると充電媒体に充電されている電力で点灯させる非常用LEDと、上記外部の交流電源から点消灯スイッチを介して供給される電力によって点灯する照明用LEDとを備えたLED照明装置であって、上記交流電源の両極の各々のラインのうち、一方のラインが接続されるターミナル1と、この一方のラインから上記点消灯スイッチを介するラインが接続されるターミナル2と、上記交流電源の両極の各々のラインのうち、他方のラインが接続されるターミナル3とを備え、上記充電媒体はターミナル1とターミナル3とに接続され、上記照明用LEDはターミナル2とターミナル3とに接続されたものにおいて、上記照明用LEDに点灯用の電力を供給するAD/DCコンバータはイネーブル端子(EN端子)を有しており、ターミナル1とターミナル2との間に上記交流電源からの電力が供給されると、このイネーブル端子への信号を遮断して上記AC/DCコンバータの作動を停止させて上記照明用LEDが点灯しないようにしたことを特徴とする。
【0020】
正常に配線されると、ターミナル1とターミナル2との間には、上記交流電源からの電力は供給されない。誤配線によってこれらターミナル1とターミナル2との間に交流電源からの電力が供給される状態になっていると、照明用LEDが点灯しないように構成して、誤配線の発生を検知する。
【0021】
なお、上記AC/DCコンバータの作動を停止させる具体的な構成として、上記ターミナル1とターミナル2との間に、フォトカプラを構成するLEDを接続すると共に、このフォトカプラを構成するフォトトランジスタがオンになると充電されるコンデンサを設け、このコンデンサの充電電圧が所定の電圧になるとオンするスイッチ素子を設けて、このスイッチ素子がオンになることによって上記イネーブル端子をLoに落として上記AC/DCコンバータの作動を停止させるように構成することができる。
【0022】
なお、上記コンデンサを充電するための電力は、上記ターミナル2に接続された電源回路によって生成すればよい。
【発明の効果】
【0023】
以上の説明から明らかなように、本発明は、外部の商用電源からの配線が接続される3個のターミナルを有するLED照明装置に関し、施工時の誤配線を施工直後に識別することができ、誤配線の修正を直ちに行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図3】従来のLED照明装置の構成を示すブロック図
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1を参照して、上記
図3と同じ符号を付した構成は
図3に示したものと同様であるので、それらについての説明は省略する。
【0026】
本発明によるLED照明装置1の特徴は、誤配線の複数のパターンのうち、ターミナル1とターミナル2との間に交流電源PSからの電力が供給されると、イネーブル端子51をLoに落としてAC/DCコンバータ22の作動を停止させて照明用LED23が点灯しないようにするための点灯禁止回路4を設けた点にある。
【0027】
この点灯禁止回路4はターミナル1とターミナル2に接続されている。従って、正常に配線されていれば点灯禁止回路4に商用電源PSの電圧が印加されることはない。ただし、ターミナル1とターミナル2との間に商用電源PSからの交流電力が印加される状態になると、フォトカプラの構成部品であるLED41が交流電源の周波数で点滅することになる。このLED41と対を成すフォトトランジスタ42はLED41が発行する度にオンになるので、コンデンサ43は交流電源の周波数で断続的に充電され、充電電位が段階的に上昇する。このコンデンサ43の充電電位が所定の電位まで上昇すると、トランジスタ44がオン状態になり、イネーブル端子51をLoに落とす。本実施例ではAC/DCコンバータ22内のIC5は内部でイネーブル端子51をHiに引き上げるように構成されており、イネーブル端子51がLoに落とされていない状態では内部でHiに引き上げられ、IC5は作動して、AC/DCコンバータ22は照明用LED23に電力を供給できるが、上述のように、イネーブル端子51がLoに落とされると、LC5は作動を停止して、AD/DCコンバータ22は照明用LED23に電力を供給することができなくなり、その結果、照明用LED23は点灯しない。なお、この点灯禁止回路4の作動電力であるHV10はターミナル2から供給される電力によって電源回路6で生成するように構成した。
【0028】
この電源回路6にはツェナーダイオード61が内蔵されており、所定の降伏電圧でコンデンサ62が充電され、その降伏電圧がHV10として電源回路6から出力される。
【0029】
上記構成で、
図2を参照して、3つのターミナル1から3に図示のように正常に配線がされると、点消灯スイッチ11がオフの状態では電源回路6が作動せず点灯禁止回路4は作動しない。また、点消灯スイッチ11がオンになると電源仮6は作動するが、ターミナル1とターミナル2とが同電位になり、フォトカプラのLED41は点灯しない。従って、点灯禁止回路4は作動しない。この結果、点消灯スイッチ11のオンオフに従って照明用LED23が点消灯して配線が正常であることが確認できる。
【0030】
次に誤1に示す誤配線が生じていると、点消灯スイッチ11のオンオフにかかわらず、電源回路6が作動し、かつイネーブル端子51がLoに落ちるので、照明用LED23は消灯したままの状態になり、誤配線の発生を確認できる。
【0031】
次に誤2に示す誤配線が生じていると、点消灯スイッチ11がオフの状態であると、照明用回路部2に交流電力が供給されて照明用LED23は点灯するが、点消灯スイッチ11をオンにすると、点灯禁止回路4が作動して照明灯LED23を消灯させる。すなわち、点消灯スイッチ11のオンオフ状態と照明用LED23の点消灯状態とが逆になるので誤配線の発生を確認することができる。
【0032】
次に誤3に示す誤配線が生じていると、点消灯スイッチ11のオンオフにかかわらず照明用回路部2に交流電力が供給されないので、照明用LED23は点灯せず、誤配線の発生を確認することができる。
【0033】
次に誤4に示す誤配線が生じていると、照明用回路部2には常に交流電力が供給される。そして、点消灯スイッチ11のオンオフにかかわらずLED41が点灯しないのでイネーブル端子51はLoに落ちない。そのため、点消灯スイッチ11をオンオフしても照明用LED23は点灯し続け、誤配線の発生を確認することができる。
【0034】
最後に誤5に示す誤配線が発生していると、ターミナル1とターミナル2とに交流電力が供給されるため、イネーブル端子51はLoに落とされ、点消灯スイッチ11のオンオフにかかわらず照明用LED23は消灯したままの状態になり、誤配線の発生を確認することができる。
【0035】
このように、上記構成であれば全ての誤配線の発生と配線が正常に行われている場合とを区別することができ、照明器具を設置しているその場で誤配線の発生を確認することができ、誤配線の発生を防止することができる。
【0036】
なお、本発明は上記した形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変更を加えてもかまわない。
【符号の説明】
【0037】
1 照明装置
2 照明用回路部
3 非常用回路部
4 点灯禁止回路
11 点消灯スイッチ
23 照明用LED
37 非常用LED
51 イネーブル端子