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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022130852
(43)【公開日】2022-09-07
(54)【発明の名称】加振装置
(51)【国際特許分類】
   G01M 7/02 20060101AFI20220831BHJP
【FI】
G01M7/02 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021029487
(22)【出願日】2021-02-26
(71)【出願人】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112737
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 考晴
(74)【代理人】
【識別番号】100140914
【弁理士】
【氏名又は名称】三苫 貴織
(74)【代理人】
【識別番号】100136168
【弁理士】
【氏名又は名称】川上 美紀
(74)【代理人】
【識別番号】100172524
【弁理士】
【氏名又は名称】長田 大輔
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 高記
(57)【要約】
【課題】試験対象物に対して適切に振動試験を行うことを目的とする。
【解決手段】加振装置10は、試験対象物1を振動させて試験対象物1の振動試験を行う加振装置10である。加振装置10は、振動装置本体12からの駆動力によって振動するテーブル13と、テーブル13に連結される治具と、を備えている。治具は、試験対象物1が固定される固定部22を有している。固定部22は、X軸方向の一端から他端までの長さが、テーブル13のX軸方向の一端から他端まで長さよりも長い。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
試験対象物を振動させて前記試験対象物の振動試験を行う加振装置であって、
加振部からの駆動力によって振動する振動部と、
前記振動部に連結される治具と、を備え、
前記治具は、前記試験対象物が固定される固定部を有し、
前記固定部は、一方向の一端から他端までの長さが、前記振動部の前記一方向の一端から他端までの長さよりも長い加振装置。
【請求項2】
前記治具の振動を許容するように、前記治具を下方から支持する架台を備えている請求項1に記載の加振装置。
【請求項3】
前記振動部は、所定方向に振動し、
前記架台と前記治具との前記所定方向の相対移動を許容しつつ、前記所定方向と交差する方向の相対移動を規制する規制部を備えている請求項2に記載の加振装置。
【請求項4】
前記振動部が振動する方向は、鉛直上下方向である請求項1から請求項3のいずれかに記載の加振装置。
【請求項5】
前記振動部が振動する方向は、水平方向である請求項1から請求項4のいずれかに記載の加振装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、加振装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
振動応答を調べる等の目的で、試験対象物に対して振動を加える試験(加振試験)を行う装置が知られている(例えば、特許文献1)。
特許文献1には、供試体に変異と荷重を載荷するために、供試体に連結される加振機構を備える装置が記載されている。加振機構は、供試体に連結される変位・荷重伝達機構と、変位・荷重伝達機構に連結される複数の加振機と、を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3418667号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、例えば、トラック等で輸送する物体は、輸送中における路面の段差やトラックの飛び跳ねによる振動や衝撃により損傷する可能性がある。このため、物体の製品開発の過程で、輸送中に損傷が発生しない程度の強度を有しているかを、振動試験装置を用いた振動試験で確認する場合がある。振動試験装置として、テーブルの上に振動試験を行う物体(以下、「試験対象物」と称する)を載置して、テーブルを振動させることで試験を行う装置が存在する。
【0005】
このような装置で、長尺状の試験対象物を試験する場合には、テーブルから試験対象物がはみ出してしまう場合がある。この場合には、テーブルからはみ出している部分とテーブルとを固定することはできないので、試験対象物は、テーブル上に載置されている部分で、テーブルに固定されることとなる。すなわち、試験対象物の固定箇所に制約が生じることとなる。このため、試験時の固定箇所が、実際に輸送される際の固定箇所と異なることがある。試験対象物とテーブルとの固定箇所が、実際に輸送される際の固定箇所と異なる場合には、試験対象物の振動試験を適切に行えない可能性があった。
【0006】
本開示は、このような事情に鑑みてなされたものであって、試験対象物に対して適切に振動試験を行うことができる加振装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本開示の加振装置は以下の手段を採用する。
本開示の一態様に係る加振装置は、試験対象物を振動させて前記試験対象物の振動試験を行う加振装置であって、加振部からの駆動力によって振動する振動部と、前記振動部に連結される治具と、を備え、前記治具は、前記試験対象物が固定される固定部を有し、前記固定部は、一方向の一端から他端までの長さが、前記振動部の前記一方向の一端から他端まで長さよりも長い。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、試験対象物に対して適切に振動試験を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本開示の第1実施形態に係る加振装置を示す正面図である。
図2図1の加振装置に設けられた架台を示す正面図である。
図3】本開示の第2実施形態に係る加振装置の正面図である。
図4】本開示の第2実施形態に係る加振装置の平面図である。
図5図3のA-A矢視断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本開示に係る加振装置10の実施形態について、図面を参照して説明する。
以下の説明及び図面では、上下方向をZ軸方向とし、水平方向のうち試験対象物1の延在する方向(長手方向)をX軸方向とし、Z軸方向及びX軸方向と直交する方向(試験対象物1の短手方向)をY軸方向として説明する。
【0011】
以下の実施形態では、試験対象物1に対して、加振装置10で振動を作用させることで振動試験を行う。試験対象物1は、例えば、一方向(本実施形態では、一例として、X軸方向)に長い長尺状の部材である。具体的には、試験対象物1は、例えば、飛翔体を輸送する際に収納する箱であってもよい。また、試験対象物1は、収納箱単体であってもよく、飛翔体を収納した状態の収納箱であってもよい。
試験対象物1のX軸方向の長さは、例えば、2m以上である。また、試験対象物1の重量は、一般的な導電型加振機の搭載可能重量よりも重い重量であって、例えば、2t以上である。
【0012】
〔第1実施形態〕
以下、本開示の第1実施形態に係る加振装置10ついて、図1及び図2を用いて説明する。本実施形態に係る加振装置10は、試験対象物1を鉛直上下方向(Z軸方向)に振動させる。すなわち、本実施形態では、試験対象物1を鉛直上下方向に振動させることで振動試験を行う。
【0013】
図1に示すように、加振装置10は、振動装置11と、振動装置11に連結される治具20と、治具20を下方から支持する架台30と、を備えている。試験対象物1は、治具20に固定される。本実施形態の加振装置10は、地面2に立設している。詳細には、地面2の平坦部2aに架台30がアンカーボルト等で固定され、平坦部2aから下方に凹む凹部2bの底面に振動装置11が載置されている。また、試験対象物1は、X軸方向に離間する2つの固定点(固定点P1及び固定点P2)で加振装置10に固定されている。本実施形態では、試験対象物1が加振装置10(詳細には、後述する固定部材22a)に固定される位置(固定点P1及びP2)は、試験後の試験対象物1をトラック等の輸送体で輸送する際に試験対象物1を固定する位置と同じ位置とされている。
【0014】
振動装置11は、地面2に載置される振動装置本体(加振部)12と、振動装置本体12の上方に配置されるテーブル(振動部)13とを有する。振動装置11は、いわゆる導電型加振機(電磁加振機)であって、電動でテーブル13をZ軸方向に振動させる。
【0015】
振動装置本体12は、地面2の凹部2bの底面に載置されている。振動装置本体12は、電力によって、テーブル13を振動させる。
テーブル13は、平板状の部材ある。テーブル13は、下面が振動装置本体12に連結されている。テーブル13は、振動装置本体12からの駆動力によって、Z軸方向に振動する。テーブル13のX軸方向の長さ及びY軸方向の長さは、Z軸方向に振動する一般的な導電型加振機におけるテーブル13と同様であって、例えば、略50cmとされている。
【0016】
治具20は、テーブル13と連結する連結部21と、検査対象物を固定する固定部22と、架台30と連結する本体部23と、を有する。
【0017】
連結部21は、上端が本体部23に固定されている。連結部21と本体部23とは、例えば、複数のボルト(図示省略)で固定されている。連結部21は、下端がテーブル13の上面に固定されている。連結部21とテーブル13とは、例えば、複数のボルト(図示省略)で固定されている。連結部21とテーブル13とは、治具20の重量がテーブル13に作用しないように固定されている。治具20の重量は、後述する空気バネ33を介して、架台30に作用する。
【0018】
固定部22は、本体部23の上端部に設けられる複数(本実施形態では、一例として2つ)の固定部材22aを有する。各固定部材22aは、試験対象物1を固定する。2つの固定部材22aは、X軸方向に沿って並んで配置されている。固定部材22a同士は、離間して配置される。固定部22同士が離間する距離は、本実施形態ではL1とされている。すなわち、本実施形態では、固定部22のX軸方向の一端から他端までの長さは、長さL1とされている。固定部22のX軸方向(一方向)の長さL1は、テーブル13のX軸方向の長さL2よりも長い。
なお、固定部22の態様は上記の説明の態様に限定されない。例えば、固定部22は、2つ以上の複数の固定部材22aを有していてもよい。また、固定部22は、X軸方向に延在する単数の固定部材22aを有していてもよい。
【0019】
本体部23は、正面視で台形状の枠体である外枠部23aと、外枠部23aの上部と下部とを連結する複数の治具鉛直部23bと、を有している。
外枠体の上部には、複数の固定部材22aが設けられている。また、外枠体の下部には、治具ブラケット23cを介して後述の空気バネ33が固定されている。また、本体部23には、後述のリニアガイド14の移動部16が設けられている。
【0020】
架台30は、図1及び図2に示すように、地面2に固定される基部31と、基部31の上端から上方に延びる複数の柱部32と、を有する。
基部31は、凹部2bを跨ぐように地面2(詳細には平坦部2a)に載置されている。基部31は、地面2に立設する柱状の複数の架台鉛直部31aと、架台鉛直部31a同士を連結する水平部31bと、を有する。架台鉛直部31aは、下端が複数のアンカーボルト(図示省略)によって地面2に固定されている。また、架台鉛直部31aの上端には、後述する空気バネ33が固定されている。
【0021】
各柱部32は、水平部31bの上面から上方に延びている。複数(本実施形態では、一例として2本)の柱部32は、X軸方向に沿って所定の間隔で並んで配置されている。柱部32の側面には、後述するリニアガイド14のレール部15が固定されている。
【0022】
治具20の本体部23と、架台30の基部31とは空気バネ33を介して連結されている。すなわち、架台30は、空気バネ33を介することで、治具20の振動(Z軸方向の振動)を許容しつつ、治具20を下方から支持している。
【0023】
なお、架台30と振動装置11とは、治具20を介して連結されている。すなわち、架台30と振動装置11とは、直接連結されていない。
【0024】
上述のように、治具20と架台30とは、図1に示すように、リニアガイド(規制部)14によって、係合している。リニアガイド14は、架台30に対する治具20のZ軸方向の相対移動を許容する。すなわち、リニアガイド14は、架台30に対する治具20の振動方向の相対移動を許容する。また、リニアガイド14は、架台30に対する治具20のX軸方向及びY軸方向の相対移動を規制する。
【0025】
リニアガイド14は、架台30の柱部32の側面に固定されているレール部15(図2参照)と、治具20の本体部23に固定されている移動部16とを有する。
レール部15は、Z軸方向に延在している。また、移動部16は、レール部15と係合しており、レール部15に沿ってZ軸方向に移動可能とされている。また、レール部15と移動部16とは、X軸方向及びY軸方向の相対移動を規制するように係合している。
【0026】
次に、本実施形態の加振装置10を用いて、試験対象物1に対して振動試験を行う方法について説明する。
振動試験を行う際には、まず、治具20の固定部22に長尺状の試験対象物1を固定する。このとき、試験対象物1が固定部22(詳細には、固定部材22a)に固定される位置(固定点P1及びP2)は、試験後の試験対象物1をトラック等の輸送体で輸送する際に試験対象物1を固定する位置と同じ位置とされている。
試験対象物1を固定した後に、振動装置11を稼働させる。振動装置11を稼働させると、振動装置11がテーブル13を上下方向(Z軸方向)に振動させる。テーブル13は、治具20(詳細には連結部21)と連結されているので、テーブル13が振動することで治具20も振動する。これにより、治具20に固定されている試験対象物1も上下方向(Z軸方向)に振動させることができる。このようにして、試験対象物1のZ軸方向の振動試験を行うことができる。
なお、治具20は、空気バネ33によって架台30に支持されている。このため、振動装置11からの振動によって、治具20には、Z軸方向と交差する方向(X軸方向及びY軸方向)にも移動しようとする力が作用するが、本実施形態では、リニアガイド14によって、治具20と架台30とのX軸方向及びY軸方向の相対移動を規制している。これにより、治具20は、上下方向のみに移動(振動)することとなる。
【0027】
本実施形態によれば、以下の作用効果を奏する。
本実施形態では、治具20がテーブル13に連結されている。これにより、振動装置本体12からの振動が治具20に入力される。換言すれば、治具20は、振動装置本体12からの駆動力によって、テーブル13を介して振動する。また、本実施形態では、試験対象物1が固定される固定部22のX軸方向の長さが、テーブル13のX軸方向の長さよりも長い。これにより、テーブル13に試験対象物1を固定する場合と比較して、試験対象物1において、固定部22に固定可能な範囲(固定点を設けることができる範囲)をX軸方向に長くすることができる。すなわち、試験対象物1を複数箇所で固定する場合に、X軸方向により離れた複数箇所で試験対象物1を固定部22に固定することができる。したがって、試験対象物1をより適切な位置で固定することができるので、試験対象物1に対して適切に振動試験を行うことができる。
本実施形態では、試験対象物1が加振装置10に固定される位置(固定点P1及びP2)は、試験後の試験対象物1をトラック等の輸送体で輸送する際に試験対象物1を固定する位置と同じ位置とされている。これにより、実際に輸送体で輸送される際の固定態様と同じ固定態様で振動実験を行うことができるので、より適切に輸送時を想定した振動試験を行うことができる。
【0028】
また、テーブル13に過大な重量が作用すると、振動装置本体12の駆動力によって振動を発生させることができず、振動試験を行うことができなくなる可能性がある。また、テーブル13や振動装置本体12が損傷する虞がある。
一方、本実施形態では、治具20を下方から支持する架台30を備えている。これにより、治具20及び治具20に固定される試験対象物1の重量が架台30に作用する。したがって、テーブル13に作用する重量を低減することができる。よって、試験可能な重量範囲を広げることができるので、重量が大きい試験対象物1に対しても振動試験を行うことができる。
また、架台30は、空気バネ33を介して治具20を支持している。このため、架台30は、治具20の振動を阻害することなく支持することができる。
【0029】
また、本実施形態では、架台30と治具20とのZ軸方向(振動する方向)の相対移動を許容しつつ、所定方向と交差する方向の相対移動を規制するリニアガイド14を備えている。これにより、リニアガイド14が治具20をX軸方向に案内することができる。したがって、治具20を好適にZ軸方向に振動させることができる。よって、好適に試験対象物1の振動試験を行うことができる。
【0030】
〔第2実施形態〕
以下、本開示の第2実施形態に係る加振装置ついて、図3から図5を用いて説明する。本実施形態に係る加振装置は、振動対象物を水平方向(具体的には、Y軸方向)に振動させる点で上記第1実施形態と異なっている。すなわち、本実施形態では、試験対象物を水平方向に振動させることで振動試験を行う。これに伴って、加振装置の構造が第1実施形態と一部異なっている。第1実施形態と同様の構成については、同一の符号を付してその詳細な説明は省略する。
【0031】
本実施形態に係る加振装置40は、図3から図5に示すように、振動装置41と、振動装置41に連結される治具50と、治具50を下方から支持する架台60とを備えている。試験対象物1は、治具50に固定される。第1実施形態と同様に、加振装置40は、地面2の平坦部2aに架台60がアンカーボルト等で固定され、平坦部2aから下方に凹む凹部2bの底面に振動装置41が載置されている。
【0032】
振動装置41は、図4及び図5に示すように、地面2に載置される振動装置本体(加振部)42と、振動装置本体42とY軸方向に並んで配置されるテーブル(振動部)43とを有する。
【0033】
テーブル43は、平板状の部材である。テーブル43は、Y軸方向の端部が振動装置本体42に連結されている。テーブル43は、振動装置本体12からの駆動力によって、Y軸方向に振動する。テーブル43のX軸方向の長さ及びY軸方向の長さは、Y軸方向に振動する一般的な導電型加振機におけるテーブル13と同様であって、例えば、略120cmとされている。
【0034】
治具50は、テーブル43と連結するブラケット51と、検査対象物を固定する固定部52と、架台60と連結する本体部53と、を有する。
ブラケット51は、図5に示すように、側端が本体部53に固定されている。ブラケット51と本体部53とは、例えば、複数のボルト51aで固定されている。ブラケット51は、下端がテーブル43の上面に固定されている。ブラケット51とテーブル43とは、治具50の重量がテーブル43に作用しないように固定されている。治具50の重量は、後述するリニアガイド44(図3参照)を介して、架台60に作用する。
固定部52は、複数の固定部材22aを有している。固定部52の構造は、第1実施形態の固定部22と略同様であるので詳細な説明は省略する。固定部52のX軸方向(一方向)の長さL3(図3参照)は、テーブル43のX軸方向の長さL4(図4参照)よりも長い。
【0035】
本体部53は、X軸方向に延在している。本体部53の下面には、リニアガイド44の移動部46が設けられている。
【0036】
架台60は、2つ設けられている。2つの架台60は、凹部2bを挟んでX軸方向に沿って並んで配置されている。一方の架台60は、本体部53のX軸方向の一端部を下方から支持している。また、他方の架台60は、本体部53のX軸方向の他端部を下方から支持している。架台60の下端は、複数のアンカーボルト(図示省略)によって地面2に固定されている。架台60の上端には、後述するリニアガイド44のレール部45が固定されている。
【0037】
治具50の本体部53は、架台60に、リニアガイド44を介して支持されている。架台60は、リニアガイド44を介することで、治具50の振動(Y軸方向の振動)を許容しつつ、治具50を下方から支持している。
【0038】
治具50と架台60とは、リニアガイド(規制部)44によって、係合している。リニアガイド44は、架台60に対する治具50のY軸方向の相対移動を許容する。すなわち、リニアガイド44は、架台60に対する治具50の振動方向の相対移動を許容する。また、リニアガイド44は、架台60に対する治具50のX軸方向の相対移動を規制する。
【0039】
リニアガイド44は、図3に示すように、架台30の上面に固定されているレール部45と、治具50の本体部53に固定されている移動部46とを有する。
レール部45は、Y軸方向に延在している。また、移動部46は、レール部45と係合しており、レール部45に沿ってY軸方向に移動可能とされている。また、レール部45と移動部46とは、X軸方向の相対移動を規制するように係合している。
【0040】
本実施形態の加振装置40を用いて、試験対象物1に対して振動試験を行う方法は、第1実施形態で説明した振動試験を行う方法と略同様であるので、同様の工程はその詳細な説明を省略する。
本実施形態の振動装置41は、テーブル43をY軸方向に振動させる。これに伴って、治具50及び治具50に固定されている試験対象物1もY軸方向に振動する。このようにして、試験対象物1のY軸方向の振動試験を行うことができる。
なお、治具50は、リニアガイド44を介して架台60に支持されている。このため、リニアガイド44によって、治具50と架台60とのX軸方向の相対移動が規制される。また、治具50と架台60とのZ軸方向の相対移動は、重力によって規制される。よって、治具50及び試験対象物1は、Y軸方向のみに移動(振動)することとなる。
【0041】
本実施形態によっても、上記第1実施形態と同様の効果を奏する。
【0042】
なお、本開示は、上記各実施形態にかかる発明に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において、適宜変形が可能である。
例えば、試験対象物1の形状は、上記各実施形態で説明した形状に限定されない。
また、第1実施形態及び第2実施形態で説明した加振装置は、一般的な導電型加振機を上記説明の振動装置として利用し、当該導電型加振機に治具及び架台を取り付けることで製造してもよい。
【0043】
以上説明した実施形態に記載の加振装置は、例えば以下のように把握される。
本開示の一実施形態に係る加振装置は、試験対象物(1)を振動させて前記試験対象物(1)の振動試験を行う加振装置(10)であって、加振部(12)からの駆動力によって振動する振動部(13)と、前記振動部(13)に連結される治具(50)と、を備え、前記治具(50)は、前記試験対象物(1)が固定される固定部(22)を有し、前記固定部(22)は、一方向(X軸方向)の一端から他端までの長さが、前記振動部(13)の前記一方向(X軸方向)の一端から他端までの長さよりも長い。
【0044】
上記構成では、治具が振動部に連結されている。これにより、加振部からの振動が治具に入力される。換言すれば、治具は、加振部からの駆動力によって、振動部を介して振動する。また、上記構成では、試験対象物が固定される固定部の一方向の長さが、振動部の一方向の長さよりも長い。これにより、振動部に試験対象物を固定する場合と比較して、試験対象物において、固定部に固定可能な範囲を一方向に長くすることができる。すなわち、試験対象物を複数箇所で固定する場合に、一方向により離れた複数箇所で試験対象物を固定部に固定することができる。したがって、試験対象物をより適切な位置で固定することができるので、試験対象物に対して適切に振動試験を行うことができる。なお、適切な固定位置とは、例えば、実際に使用される際の固定位置と同じ又は近い固定位置である。
【0045】
また、本開示の一実施形態に係る加振装置は、前記治具(50)の振動を許容するように、前記治具(50)を下方から支持する架台(30)を備えている。
【0046】
振動部に過大な重量が作用すると、加振部の駆動力によって振動を発生させることができず、振動試験を行うことができなくなる可能性がある。また、振動部や加振部が損傷する虞がある。
一方、上記構成では、治具を下方から支持する架台を備えている。これにより、治具及び治具に固定される試験対象物の重量が架台に作用する。したがって、振動部に作用する重量を低減することができる。よって、試験可能な重量範囲を広げることができるので、重量が大きい試験対象物に対しても振動試験を行うことができる。
【0047】
また、本開示の一実施形態に係る加振装置は、前記振動部(13)は、所定方向(Z軸方向)に振動し、前記架台(30)と前記治具(50)との前記所定方向(Z軸方向)の相対移動を許容しつつ、前記所定方向(Z軸方向)と交差する方向の相対移動を規制する規制部(14)を備えている。
【0048】
上記構成では、架台と治具との所定方向(振動する方向)の相対移動を許容しつつ、所定方向と交差する方向の相対移動を規制する規制部を備えている。これにより、規制部が治具を所定方向に案内することができる。したがって、治具を好適に所定方向に振動させることができる。よって、好適に試験対象物の振動試験を行うことができる。
【0049】
また、本開示の一実施形態に係る加振装置は、前記振動部(13)が振動する方向は、鉛直上下方向である。
上記構成では、試験対象物に対して、鉛直上下方向の振動試験を適切に行うことができる。
【0050】
また、本開示の一実施形態に係る加振装置は、前記振動部(13)が振動する方向は、水平方向である。
上記構成では、試験対象物に対して、水平方向の振動試験を適切に行うことができる。
【符号の説明】
【0051】
1 :試験対象物
2 :地面
2a :平坦部
2b :凹部
10 :加振装置
11 :振動装置
12 :振動装置本体(加振部)
13 :テーブル(振動部)
14 :リニアガイド(規制部)
15 :レール部
16 :移動部
20 :治具
21 :連結部
22 :固定部
22a :固定部材
23 :本体部
23a :外枠部
23b :治具鉛直部
23c :治具ブラケット
30 :架台
31 :基部
31a :架台鉛直部
31b :水平部
32 :柱部
33 :空気バネ
40 :加振装置
41 :振動装置
42 :振動装置本体
43 :テーブル
44 :リニアガイド
45 :レール部
46 :移動部
50 :治具
51 :ブラケット
51a :ボルト
52 :固定部
53 :本体部
60 :架台
P1 :固定点
P2 :固定点
図1
図2
図3
図4
図5