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特開2022-130855固体燃料粉砕装置及び発電プラント並びに固体燃料粉砕装置の運転方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022130855
(43)【公開日】2022-09-07
(54)【発明の名称】固体燃料粉砕装置及び発電プラント並びに固体燃料粉砕装置の運転方法
(51)【国際特許分類】
   B02C 23/26 20060101AFI20220831BHJP
   B02C 15/04 20060101ALI20220831BHJP
【FI】
B02C23/26 ZAB
B02C15/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021029491
(22)【出願日】2021-02-26
(71)【出願人】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112737
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 考晴
(74)【代理人】
【識別番号】100140914
【弁理士】
【氏名又は名称】三苫 貴織
(74)【代理人】
【識別番号】100136168
【弁理士】
【氏名又は名称】川上 美紀
(74)【代理人】
【識別番号】100172524
【弁理士】
【氏名又は名称】長田 大輔
(72)【発明者】
【氏名】山口 聡太朗
【テーマコード(参考)】
4D063
4D067
【Fターム(参考)】
4D063EE03
4D063EE12
4D063GA08
4D063GA10
4D063GC12
4D063GC29
4D063GC32
4D063GC40
4D063GD03
4D063GD04
4D063GD15
4D063GD22
4D067EE22
4D067EE45
4D067EE47
4D067GA04
4D067GA11
4D067GA20
4D067GB02
(57)【要約】
【課題】冷ガスダンパの制御性の低下を抑制し、搬送用ガスを好適に制御することを目的とする。
【解決手段】固体燃料粉砕装置100は、固体燃料を粉砕する粉砕機60と、冷ガスが内部を流通する冷ガス流路30bと、熱ガスが内部を流通する熱ガス流路30aと、を有し、熱ガス又は熱ガスと冷ガスとを混合した混合ガスを、粉砕した固体燃料を搬送する搬送用ガスとして粉砕機60へ供給する送風部30と、粉砕機60へシールガスを供給する第1シールガス供給部80と、を備えている。冷ガス流路30bには、開度を調整することで、内部を流通する冷ガスの流量を調整する冷ガスダンパ30dが設けられている。第1シールガス供給部80は、上流端が冷ガス流路30bの冷ガスダンパ30dよりも下流側に接続される第1シールガス配管81を有し、第1シールガス配管81を介して冷ガス流路30bを流通する冷ガスをシールガスとして粉砕機60へ供給する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
固体燃料を粉砕する粉砕機と、
冷ガスが内部を流通する冷ガス流路と、前記冷ガスよりも高温のガスである熱ガスが内部を流通する熱ガス流路と、を有し、前記熱ガス又は前記熱ガスと前記冷ガスとを混合した混合ガスを、粉砕した前記固体燃料を搬送する搬送用ガスとして前記粉砕機へ供給する搬送用ガス供給部と、
前記粉砕機へシールガスを供給する第1シールガス供給部と、を備え、
前記冷ガス流路には、開度を調整することで、内部を流通する前記冷ガスの流量を調整する冷ガスダンパが設けられていて、
前記第1シールガス供給部は、上流端が前記冷ガス流路の前記冷ガスダンパよりも下流側に接続される第1シールガス流路を有し、前記第1シールガス流路を介して前記冷ガス流路を流通する前記冷ガスをシールガスとして前記粉砕機へ供給する固体燃料粉砕装置。
【請求項2】
前記粉砕機は、前記固体燃料を粉砕する粉砕部と、前記粉砕部へ前記固体燃料を供給する固体燃料供給装置と、を有し、
前記第1シールガス供給部は、前記固体燃料供給装置へシールガスを供給し、
上流端が前記冷ガス流路の前記冷ガスダンパよりも上流側に接続される第2シールガス流路及び前記第2シールガス流路に設けられる送風部を有し、前記第2シールガス流路を介して前記冷ガス流路を流通する前記冷ガスをシールガスとして前記粉砕部へ供給する第2シールガス供給部をさらに備える請求項1に記載の固体燃料粉砕装置。
【請求項3】
前記冷ガス流路には、前記第1シールガス流路の上流端が接続する箇所よりも下流側に、内部を流通する冷ガスの圧力損失を増大させる圧力損失増大部が設けられている請求項1または請求項2に記載の固体燃料粉砕装置。
【請求項4】
前記冷ガス流路には、前記第1シールガス流路の上流端が接続する箇所よりも下流側に、ガスの逆流を防止する逆流防止部が設けられている請求項1から請求項3のいずれかに記載の固体燃料粉砕装置。
【請求項5】
前記粉砕機へ供給される前記搬送用ガスの流量を検出する搬送用ガス流量検出部と、
前記粉砕機へ供給される前記シールガスの流量を検出するシールガス流量検出部と、を備える請求項1から請求項4のいずれかに記載の固体燃料粉砕装置。
【請求項6】
前記第1シールガス流路の途中位置に合流するアシスト配管を備え、
前記アシスト配管は、前記第1シールガス配管の分岐点よりも圧力の高いシールガスを前記第1シールガス配管へ供給する請求項1から請求項5のいずれかに記載の固体燃料粉砕装置。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれかに記載の固体燃料粉砕装置と、
前記固体燃料粉砕装置で粉砕した固体燃料を燃焼して蒸気を生成するボイラと、
を備える発電プラント。
【請求項8】
固体燃料を粉砕する粉砕機と、
冷ガスが内部を流通する冷ガス流路と、前記冷ガスよりも高温のガスである熱ガスが内部を流通する熱ガス流路と、を有し、前記熱ガス又は前記熱ガスと前記冷ガスとを混合した混合ガスを、粉砕した前記固体燃料を搬送する搬送用ガスとして前記粉砕機へ供給する搬送用ガス供給部と、
前記粉砕機へシールガスを供給する第1シールガス供給部と、を備え、
前記冷ガス流路には、開度を調整することで、内部を流通する前記冷ガスの流量を調整する冷ガスダンパが設けられている固体燃料粉砕装置の運転方法であって、
前記第1シールガス供給部によって、上流端が前記冷ガス流路の前記冷ガスダンパよりも下流側に接続される第1シールガス流路を介して、前記冷ガス流路を流通する前記冷ガスをシールガスとして前記粉砕機へ供給する工程を備える固体燃料粉砕装置の運転方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、固体燃料粉砕装置及び発電プラント並びに固体燃料粉砕装置の運転方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、石炭やバイオマス燃料等の固体燃料(炭素含有固体燃料)は、粉砕機(ミル)で所定粒径範囲内の微粉状に粉砕して、燃焼装置へ供給される。ミルは、粉砕テーブルへ投入された石炭やバイオマス燃料等の固体燃料を、粉砕テーブルと粉砕ローラの間に挟み込んで粉砕し、粉砕テーブルの外周から供給される搬送用ガス(一次空気)によって、粉砕されて微粉状となった固体燃料のうち、所定粒径範囲内の微粉燃料を分級機で選別し、ボイラへ搬送して燃焼装置で燃焼させている。火力発電プラントでは、ボイラで微粉燃料を燃焼して生成された燃焼ガスとの熱交換により蒸気を発生させ、該蒸気により蒸気タービンを回転駆動して、蒸気タービンに接続した発電機を回転駆動することで発電が行われる。
【0003】
近年は加圧式のミルが主流となっている。加圧式のミルは、加圧された高温の一次空気をミル内に吹き込むことで、粉砕された固体燃料を乾燥させつつ、火炉まで搬送するものである。一次空気は、プライマリガスファンから直接供給される冷ガスとエアヒータを経由した熱ガスとを混合した後に、ミルに供給される。ミルに供給される一次空気の温度は、冷ガスと熱ガスとの混合割合によって調整される。混合割合は、冷ガスが流通する冷ガス流路に設けられた冷ガスダンパ及び熱ガスが流通する熱ガス流路に設けられた熱ガスダンパの開度を制御することで、調整される。このようなミルとして、例えば、特許文献1に記載のミルが知られている。
【0004】
特許文献1には、粉砕テーブルの下側に、一次空気を供給する一次空気供給ダクトが接続されており、一次空気供給ダクトから供給された一次空気を、ミル本体ケーシング内に吹込んで、粉砕した微粉炭の乾燥を行うと共に、微粉炭の搬送を行うミルが記載されている。このミルでは、押込み通風機から送給される空気の一部が、プライマリエアファンにより加圧され、一部は加熱側空気ダクトを介して空気予熱器に導かれ、排ガスと熱交換を行って加熱された熱空気となり、流量調節用のホットエアダンパを介して一次空気供給ダクトに導かれるようになっており、更にプライマリエアファンからの空気の他部は、空気予熱器を通らない冷空気ダクトにより冷空気のままコールドエアダンパを介して一次空気供給ダクトに導かれるようになっており、互いに逆作動されるエアダンパの開度の調節によりミル出口の温度が例えば70℃に保持されるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平10-15427号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、近年ではミルの要求する一次空気の温度が高温化する傾向にある。これは、例えば、燃料費削減等のために、水分を多く含み乾燥に要する熱量が大きい粗悪炭をミルで粉砕する場合などがあるからである。ミルの要求する一次空気の温度が高温化に伴って、熱ガスダンパの開度を大きくし、冷ガスダンパの開度を小さくする傾向にあり、冷ガスダンパの開度は全閉付近となることもある。ダンパは、その性質上、中間開度付近では開度と流量の関係が線形に近く制御性が良いが、全閉又は全開付近では開度に対する流量特性が低下する。このため、一次空気温度及び流量の制御性が低下するという問題があった。
【0007】
本開示は、このような事情に鑑みてなされたものであって、搬送用ガスの制御性の低下を抑制し、搬送用ガスの温度及び流量を好適に調整することができる固体燃料粉砕装置及び発電プラント並びに固体燃料粉砕装置の運転方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本開示の固体燃料粉砕装置及び発電プラント並びに固体燃料粉砕装置の運転方法は以下の手段を採用する。
本開示の一態様に係る固体燃料粉砕装置は、固体燃料を粉砕する粉砕機と、冷ガスが内部を流通する冷ガス流路と、前記冷ガスよりも高温のガスである熱ガスが内部を流通する熱ガス流路と、を有し、前記熱ガス又は前記熱ガスと前記冷ガスとを混合した混合ガスを、粉砕した前記固体燃料を搬送する搬送用ガスとして前記粉砕機へ供給する搬送用ガス供給部と、前記粉砕機へシールガスを供給する第1シールガス供給部と、を備え、前記冷ガス流路には、開度を調整することで、内部を流通する前記冷ガスの流量を調整する冷ガスダンパが設けられていて、前記第1シールガス供給部は、上流端が前記冷ガス流路の前記冷ガスダンパよりも下流側に接続される第1シールガス流路を有し、前記第1シールガス流路を介して前記冷ガス流路を流通する前記冷ガスをシールガスとして前記粉砕機へ供給する。
【0009】
本開示の一態様に係る固体燃料粉砕装置の運転方法は、固体燃料を粉砕する粉砕機と、冷ガスが内部を流通する冷ガス流路と、前記冷ガスよりも高温のガスである熱ガスが内部を流通する熱ガス流路と、を有し、前記熱ガス又は前記熱ガスと前記冷ガスとを混合した混合ガスを、粉砕した前記固体燃料を搬送する搬送用ガスとして前記粉砕機へ供給する搬送用ガス供給部と、前記粉砕機へシールガスを供給する第1シールガス供給部と、を備え、前記冷ガス流路には、開度を調整することで、内部を流通する前記冷ガスの流量を調整する冷ガスダンパが設けられている固体燃料粉砕装置の運転方法であって、前記第1シールガス供給部によって、上流端が前記冷ガス流路の前記冷ガスダンパよりも下流側に接続される第1シールガス流路を介して、前記冷ガス流路を流通する前記冷ガスをシールガスとして前記粉砕機へ供給する工程を備える。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、搬送用ガスの制御性の低下を抑制し、搬送用ガスを好適に制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本開示の実施形態に係る固体燃料粉砕装置およびボイラを示す構成図である。
図2】本開示の実施形態に係る固体燃料粉砕装置およびボイラの要部を示す構成図である。
図3】本開示の実施形態に係る固体燃料粉砕装置およびボイラにおける一次空気通風機からバーナまで流通する一次空気の各地点での圧力を示すグラフである。
図4】本開示の実施形態の変形例に係る固体燃料粉砕装置およびボイラの要部を示す構成図である。
図5】本開示の実施形態の変形例に係る固体燃料粉砕装置およびボイラの要部を示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本開示に係る粉砕機及び発電プラント並びに粉砕機の運転方法の実施形態について、図面を参照して説明する。本実施形態に係る発電プラント1は、固体燃料粉砕装置100とボイラ200とを備えている。
以降の説明では、上方とは鉛直上側の方向を、上部や上面などの“上”とは鉛直上側の部分を示している。また同様に“下”とは鉛直下側の部分を示すものであり、鉛直方向は厳密ではなく誤差を含むものである。
【0013】
本実施形態の固体燃料粉砕装置100は、一例として石炭やバイオマス燃料等の固体燃料(炭素含有固体燃料)を粉砕し、微粉燃料を生成してボイラ200のバーナ(燃焼装置)220へ供給する装置である。
図1に示す固体燃料粉砕装置100とボイラ200とを含む発電プラント1は、1台の固体燃料粉砕装置100を備えるものであるが、1台のボイラ200の複数のバーナ220のそれぞれに対応する複数台の固体燃料粉砕装置100を備えるシステムとしてもよい。
【0014】
本実施形態の固体燃料粉砕装置100は、ミル(粉砕部)10と、給炭機(固体燃料供給装置)20と、送風部(搬送用ガス供給部)30と、状態検出部40と、制御部(判定部)50とを備えている。ミル10と給炭機20とは、粉砕機60を構成している。
【0015】
ボイラ200に供給する石炭やバイオマス燃料等の固体燃料を、微粉状の固体燃料である微粉燃料へと粉砕するミル10は、石炭のみを粉砕する形式であっても良いし、バイオマス燃料のみを粉砕する形式であっても良いし、石炭とともにバイオマス燃料を粉砕する形式であってもよい。
ここで、バイオマス燃料とは、再生可能な生物由来の有機性資源であり、例えば、間伐材、廃木材、流木、草類、廃棄物、汚泥、タイヤ及びこれらを原料としたリサイクル燃料(ペレットやチップ)などであり、ここに提示したものに限定されることはない。バイオマス燃料は、バイオマスの成育過程において二酸化炭素を取り込むことから、地球温暖化ガスとなる二酸化炭素を排出しないカーボンニュートラルとされるため、その利用が種々検討されている。
【0016】
ミル10は、ハウジング11と、粉砕テーブル(回転テーブル)12と、粉砕ローラ13と、駆動部14と、駆動部14に接続され粉砕テーブル12を回転駆動させるミルモータ15と、回転式分級機16と、燃料供給部17と、回転式分級機16を回転駆動させる分級機モータ18とを備えている。
ハウジング11は、鉛直方向に延びる筒状に形成されるとともに、粉砕テーブル12と粉砕ローラ13と回転式分級機16と、燃料供給部17とを収容する筐体である。
ハウジング11の天井部42の中央部には、燃料供給部17が取り付けられている。この燃料供給部17は、バンカ21から導かれた固体燃料をハウジング11内に供給するものであり、ハウジング11の中心位置に上下方向に沿って配置され、下端部がハウジング11内部まで延設されている。
【0017】
ハウジング11の底面部41付近には駆動部14が設置され、この駆動部14に接続されたミルモータ15から伝達される駆動力により回転する粉砕テーブル12が回転自在に配置されている。
粉砕テーブル12は、平面視円形の部材であり、燃料供給部17の下端部が対向するように配置されている。粉砕テーブル12の上面は、例えば、中心部が低く、外側に向けて高くなるような傾斜形状をなし、外周部が上方に曲折した形状をなしていてもよい。燃料供給部17は、固体燃料(本実施形態では例えば石炭やバイオマス燃料)を上方から下方の粉砕テーブル12に向けて供給し、粉砕テーブル12は供給された固体燃料を粉砕ローラ13との間で粉砕する。
【0018】
固体燃料が燃料供給部17から粉砕テーブル12の略中央領域へ向けて投入されると、粉砕テーブル12の回転による遠心力によって、固体燃料は粉砕テーブル12の外周側へと導かれ、粉砕テーブル12と粉砕ローラ13との間に挟み込まれて粉砕される。粉砕された固体燃料は、搬送用ガス流路(以降は、一次空気流路と記載する)100aから導かれた搬送用ガス(以降は、一次空気と記載する)によって上方へと吹き上げられ、回転式分級機16へと導かれる。
ハウジング11の外周には、一次空気流路100aの下流端が接続されている。また、粉砕テーブル12の外周には、一次空気流路100aから流入する一次空気を、ハウジング11内の粉砕テーブル12の上方の空間に流出させる吹出口(図示省略)が設けられている。吹出口には旋回羽根(図示省略)が設置されており、吹出口から吹き出した一次空気に旋回力を与える。旋回羽根により旋回力が与えられた一次空気は、旋回する速度成分を有する気流となって、粉砕テーブル12上で粉砕された固体燃料を、ハウジング11内の上方にある回転式分級機16へと搬送する。なお、粉砕された固体燃料のうち、所定粒径より大きいものは回転式分級機16により分級されて、または、回転式分級機16まで到達することなく落下して、粉砕テーブル12上に戻されて、粉砕テーブル12と粉砕ローラ13との間で再度粉砕される。
また、本実施形態に係るミル10は、一次空気通風機31によって加圧された一次空気をミル10内に吹き込むことで、粉砕された固体燃料を乾燥しつつ、火炉210まで搬送する、いわゆる加圧式のミルである。このため、ハウジング11内の圧力が、大気よりも高い圧力となっている。
【0019】
粉砕ローラ13は、燃料供給部17から粉砕テーブル12上に供給された固体燃料を粉砕する回転体である。粉砕ローラ13は、粉砕テーブル12の上面に押圧されて粉砕テーブル12と協働して固体燃料を粉砕する。
図1では、粉砕ローラ13が代表して1つのみ示されているが、粉砕テーブル12の上面を押圧するように、周方向に一定の間隔を空けて、複数の粉砕ローラ13が配置される。例えば、外周部上に120°の角度間隔を空けて、3つの粉砕ローラ13が周方向に均等な間隔で配置される。この場合、3つの粉砕ローラ13が粉砕テーブル12の上面と接する部分(押圧する部分)は、粉砕テーブル12の回転中心軸からの距離が等距離となる。
【0020】
粉砕ローラ13は、ジャーナルヘッド45によって、上下に揺動可能となっており、粉砕テーブル12の上面に対して接近離間自在に支持されている。粉砕ローラ13は、外周面が粉砕テーブル12の上面の固体燃料に接触した状態で、粉砕テーブル12が回転すると、粉砕テーブル12から回転力を受けて連れ回りするようになっている。燃料供給部17から固体燃料が供給されると、粉砕ローラ13と粉砕テーブル12との間で固体燃料が押圧されて粉砕される。
【0021】
ジャーナルヘッド45の支持アーム47は、中間部が水平方向に沿った支持軸48によって、ハウジング11の側面部に支持軸48を中心として粉砕ローラ13を上下方向に揺動可能に支持されている。また、支持アーム47の鉛直上側にある上端部には、押圧装置49が設けられている。押圧装置49は、ハウジング11に固定されており、粉砕ローラ13を粉砕テーブル12に押し付けるように、支持アーム47等を介して粉砕ローラ13に荷重を付与する。
【0022】
駆動部14は、粉砕テーブル12に駆動力を伝達し、粉砕テーブル12を中心軸回りに回転させる装置である。駆動部14は、ミルモータ15に接続されており、ミルモータ15の駆動力を粉砕テーブル12に伝達する。
【0023】
回転式分級機16は、ハウジング11の上部に設けられ中空状の略逆円錐形状の外形を有している。回転式分級機16は、その外周位置に上下方向に延在する複数のブレード16aを備えている。各ブレード16aは、回転式分級機16の中心軸線周りに所定の間隔(均等間隔)で設けられている。
回転式分級機16は、粉砕テーブル12と粉砕ローラ13により粉砕された固体燃料(以降、粉砕された固体燃料を「粉砕燃料」という。)を、所定粒径(例えば、石炭では70~100μm)より大きいもの(以降、所定粒径を超える粉砕燃料を「粗粉燃料」という。)と、所定粒径以下のもの(以降、所定粒径以下の粉砕燃料を「微粉燃料」という。)に分級する装置である。回転により分級する回転式分級機16は、ロータリセパレータとも呼ばれ、制御部50によって制御される分級機モータ18により回転駆動力を与えられ、ハウジング11の上下方向に延在する円筒軸(図示省略)を中心に燃料供給部17の周りを回転する。
なお、分級機としては、固定された中空状の逆円錐形状のケーシングと、そのケーシングの外周位置にブレード16aに替わって複数の固定旋回羽根とを備えた固定式分級機を用いてもよい。
【0024】
回転式分級機16に到達した粉砕燃料は、ブレード16aの回転により生じる遠心力と、一次空気の気流による向心力との相対的なバランスにより、大きな径の粗粉燃料は、ブレード16aによって叩き落とされ、粉砕テーブル12へと戻されて再び粉砕され、微粉燃料はハウジング11の天井部42にある出口ポート19に導かれる。回転式分級機16によって分級された微粉燃料は、一次空気とともに出口ポート19から微粉燃料供給流路100bへ排出され、ボイラ200のバーナ220へ供給される。微粉燃料供給流路100bは、固体燃料が石炭の場合には、微粉炭管とも呼ばれる。
【0025】
燃料供給部17は、ハウジング11の天井部42を貫通するように上下方向に沿って下端部がハウジング11内部まで延設されて取り付けられ、燃料供給部17の上部から投入される固体燃料を粉砕テーブル12の略中央領域に供給する。燃料供給部17は、給炭機20から固体燃料が供給される。
【0026】
給炭機20は、搬送部22と、給炭機モータ23とを備える。搬送部22は、例えばベルトコンベアであり、給炭機モータ23から与えられる駆動力によって、バンカ21の直下にあるダウンスパウト24の下端部から排出される固体燃料を、ミル10の燃料供給部17の上部まで搬送し、燃料供給部17の内部へ投入する。
通常、ミル10の内部には、微粉燃料をバーナ220へ搬送するための一次空気が供給されており、給炭機20やバンカ21よりも圧力が高くなっている。バンカ21の直下にある上下方向に延在する管であるダウンスパウト24には、内部に燃料が積層状態で保持されていて、ダウンスパウト24内に積層された固体燃料層により、ミル10側の一次空気と微粉燃料がバンカ21側へ逆流しないようなシール性を確保している。
ミル10へ供給される固体燃料の供給量は、例えば、搬送部22のベルトコンベアの移動速度によって調整される。
【0027】
送風部30は、粉砕燃料を乾燥させるとともに、回転式分級機16へ搬送するための一次空気を、ハウジング11の内部へ送風する装置である。
送風部30は、ハウジング11の内部へ送風される一次空気の流量と温度を適切に調整するために、本実施形態では、一次空気通風機(PAF:Primary Air Fan)31と、熱ガス流路30aと、冷ガス流路30bと、熱ガスダンパ30cと、冷ガスダンパ30dとを備えている。
【0028】
本実施形態では、熱ガス流路30aは、一次空気通風機31から送出された空気(外気)の一部を、例えば空気予熱器などの熱交換器34を通過して加熱された熱ガスとして供給する。熱ガス流路30aの下流側には、熱ガスダンパ30cが設けられている。熱ガスダンパ30cの開度は、制御部50によって制御される。熱ガスダンパ30cの開度によって、熱ガス流路30aから供給する熱ガスの流量が決定される。
【0029】
冷ガス流路30bは、一次空気通風機31から送出された空気の一部を常温の冷ガスとして供給する。冷ガス流路30bの下流側には、冷ガスダンパ30dが設けられている。冷ガスダンパ30dの開度は、制御部50によって制御される。冷ガスダンパ30dの開度によって、冷ガス流路30bから供給する冷ガスの流量が決定される。
【0030】
一次空気の流量は、本実施形態では、熱ガス流路30aから供給する熱ガスの流量と冷ガス流路30bから供給する冷ガスの流量の合計の流量となり、一次空気の温度は、熱ガス流路30aから供給する熱ガスと冷ガス流路30bから供給する冷ガスの混合比率で決まり、制御部50によって制御される。
本実施形態では、熱ガス流路30aと冷ガス流路30bとの合流地点Mよりも下流側の流路を一次空気流路100aとして説明する。
また、熱ガス流路30aから供給する熱ガスに、図示しないガス再循環通風機を介してボイラ200から排出された燃焼ガスの一部を導き、混合することで、一次空気流路100aからハウジング11の内部へ送風する一次空気の酸素濃度を調整してもよい。
【0031】
本実施形態では、ミル10の状態検出部40により、計測または検出したデータを制御部50に送信する。本実施形態の状態検出部40は、例えば、差圧計測手段であり、一次空気流路100aからハウジング11の内部へ一次空気が流入する部分における圧力と、ハウジング11の内部から微粉燃料供給流路100bへ一次空気と微粉燃料が排出される出口ポート19における圧力との差圧を、ミル10の差圧として計測する。このミル10の差圧の増減は、回転式分級機16の分級効果によってハウジング11内部の回転式分級機16付近と粉砕テーブル12付近の間を循環している粉砕燃料の循環量の増減に対応する。すなわち、このミル10の差圧に応じて回転式分級機16の回転数を調整することで、ミル10に供給する固体燃料の供給量に対して、出口ポート19から排出される微粉燃料の量を調整することができるので、微粉燃料の粒度がバーナ220の燃焼性に影響しない範囲で、ミル10への固体燃料の供給量に対応した量の微粉燃料を、ボイラ200に設けられたバーナ220に安定して供給することができる。
また、本実施形態の状態検出部40は、例えば、温度計測手段であり、ハウジング11の内部へ供給される一次空気の温度(ミル入口における一次空気温度)や、ハウジング11の内部の粉砕テーブル12上部の空間から出口ポート19までの一次空気の温度を検出して、上限温度を超えないように送風部30を制御する。上限温度は、固体燃料への着火の可能性等を考慮して決定される。なお、一次空気は、ハウジング11の内部において、粉砕燃料を乾燥しながら搬送することによって冷却され、出口ポート19での一次空気の温度は、例えば約60~90度程度となる。
【0032】
制御部50は、固体燃料粉砕装置100の各部を制御する装置である。
制御部50は、例えば、ミルモータ15に駆動指示を伝達して粉砕テーブル12の回転速度を制御してもよい。
制御部50は、例えば、分級機モータ18へ駆動指示を伝達して回転式分級機16の回転速度を制御して分級性能を調整し、ミル10の差圧、すなわちミル10内部の粉砕燃料の循環量を所定の範囲に適正化することにより、微粉燃料をバーナ220へ安定して供給することができる。
また、制御部50は、例えば給炭機20の給炭機モータ23へ駆動指示を伝達することにより、搬送部22が固体燃料を搬送して燃料供給部17へ供給する固体燃料の供給量(給炭量)を調整することができる。
また、制御部50は、開度指示を送風部30に伝達することにより、熱ガスダンパ30cおよび冷ガスダンパ30dの開度を制御して一次空気の流量と温度を調整することができる。具体的には、制御部50は、ハウジング11の内部へ供給される一次空気の流量と、出口ポート19における一次空気の温度が、固体燃料の種別毎に、給炭量に対応して設定された所定値となるように、熱ガスダンパ30cおよび冷ガスダンパ30dの開度を制御する。
【0033】
制御部50は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、及びコンピュータ読み取り可能な記憶媒体等から構成されている。そして、各種機能を実現するための一連の処理は、一例として、プログラムの形式で記憶媒体等に記憶されており、このプログラムをCPUがRAM等に読み出して、情報の加工・演算処理を実行することにより、各種機能が実現される。なお、プログラムは、ROMやその他の記憶媒体に予めインストールしておく形態や、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体に記憶された状態で提供される形態、有線又は無線による通信手段を介して配信される形態等が適用されてもよい。コンピュータ読み取り可能な記憶媒体とは、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、DVD-ROM、半導体メモリ等である。また、HDDはソリッドステートディスク(SSD)等で置き換えられてもよい。
【0034】
次に、固体燃料粉砕装置100から供給される微粉燃料を用いて燃焼を行って蒸気を発生させるボイラ200について説明する。ボイラ200は、火炉210とバーナ220とを備えている。
【0035】
バーナ220は、微粉燃料供給流路100bから供給される微粉燃料を含む一次空気と、押込気通風機(FDF:Forced Draft Fan)32から送出される空気(外気)を熱交換器34で加熱して供給される二次空気とを用いて、微粉燃料を燃焼させて火炎を形成する装置である。微粉燃料の燃焼は火炉210内で行われ、高温の燃焼ガスは、蒸発器、過熱器、節炭器などの熱交換器(図示省略)を通過した後にボイラ200の外部に排出される。
【0036】
バーナ220の上部に、二次空気の一部を分岐してボイラ200内に投入する追加空気投入ポート(図示省略)を設けてもよい。これにより、ボイラ200内のバーナ220と追加空気投入ポートの間に還元領域を形成することで、バーナ220付近で発生したNOxを還元することでボイラ200から排出される燃焼ガス中のNOx濃度を低減することができる。
【0037】
ボイラ200から排出された燃焼ガスは、煙道36内を流通する。煙道36内を流通する燃焼ガスは、環境装置(脱硝装置35、図示省略の電気集塵機、脱硫装置など)で所定の処理を行う。脱硝装置35は、アンモニア、尿素水等の窒素酸化物を還元する作用を有する還元剤を燃焼ガスが流通する流路内に供給し、還元剤が供給された燃焼ガス中の窒素酸化物と還元剤との反応を、脱硝装置35内に設置された脱硝触媒の触媒作用により促進させることで、燃焼ガス中の窒素酸化物を除去、低減するものである。所定の処理を行われた燃焼ガスは、例えば空気予熱器などの熱交換器34で一次空気通風機31から送出される空気と押込気通風機32から送出される空気との熱交換が行われ、誘引通風機(IDF:Induced Draft Fan)33を介して煙突(図示省略)へと導かれて外気へと放出される。熱交換器34において燃焼ガスにより加熱された一次空気通風機31から送出される空気は、前述した熱ガス流路30aに供給される。
ボイラ200の各熱交換器への給水は、節炭器(図示省略)において加熱された後に、蒸発器(図示省略)および過熱器(図示省略)によって更に加熱されて高温高圧の蒸気が生成され、発電部である蒸気タービン(図示省略)へと送られて蒸気タービンを回転駆動し、蒸気タービンに接続した発電機(図示省略)を回転駆動して発電が行われ、発電プラント1を構成する。
【0038】
ボイラ200へ供給される空気の流量は、PAF31から供給される一次空気とシールガス及びFDF32から供給させる二次空気を合算したものであり、その流量は、ボイラ200の負荷に応じて設定されたボイラ排ガス中の酸素濃度に合致するように制御される。すなわち、ボイラ200の負荷が同じ場合、シールガスの流量が増加すると、一次空気と二次空気の合算流量が減少することとなる。
【0039】
次に、本実施形態に係る第2シールガス供給部70及び第1シールガス供給部80について、図1及び図2を用いて詳細に説明する。
【0040】
ミル10は、回転運動や直線運動する運動部品と、固定された静止部品とを備えている。この運動部品と静止部品との間には、運動部品の運動を許容するように、隙間が形成される。この隙間からハウジング11内のガスや粉砕燃料が漏洩しないように、ミル10には、隙間をシールするシール部が複数箇所に設けられている。シール部には、第2シールガス供給部70からシールガスが供給される。シール部の一例としては、例えば、ハウジング11(静止部品)と粉砕テーブル12(運動部品)との隙間をシールするシール部や、粉砕ローラ13(運動部品)と粉砕ローラ13を回転自在に支持するジャーナル軸部(静止部品)との隙間をシールするシール部等が挙げられる。
【0041】
上述のように、シール部には、第2シールガス供給部70によってシールガスが供給される。第2シールガス供給部70は、図1及び図2に示すように、冷ガス流路30bから分岐する第2シールガス配管(第2シールガス流路)71と、第2シールガス配管71に設けられるシールガスファン72と、を有している。第2シールガス供給部70は、シール部にシールガスファン72で加圧された高圧(ミル10のハウジング11の内部の圧力よりも高い圧力)のシールガスを投入することで、ミル10の内部から外部への粉砕燃料の漏洩を防止している。なお、第2シールガス配管71の下流端において、ハウジング11の内部圧力よりも高い圧力が得られる場合には、シールガスファン72を設置しなくてもよい。
【0042】
第2シールガス配管71の上流端は、冷ガス流路30bの冷ガスダンパ30dよりも上流側に接続されている。第2シールガス配管71の下流端は、ミル10に接続されている。詳細には、第2シールガス配管71の下流端は、ミル10に設けられたシール部に接続されている。なお、図1及び図4では、第2シールガス配管71の下流端がミル10のハウジング11の底面部41に接続されているように図示しているが、これは第2シールガス配管71の下流端がミル10に設けられたシール部に接続されていることを示しているもので、第2シールガス配管71の接続部分を具体的に示しているものではない。第2シールガス配管71の下流端は、ミル10に設けられた全てのシール部又は一部のシール部に接続されている。
【0043】
また、ミル10へ固体燃料を供給する給炭機20は、燃料供給部17を介してミル10と連通している。給炭機20の内部には、搬送部22などの駆動部が多数設けられていることから、第1シールガス供給部80によって、給炭機20にシールガスを投入し、図2の矢印Aで示すように、加圧されているミル10に向かって空気の流れを作ることで、ミル10からの粉砕された固体燃料の逆流を防止している。すなわち、給炭機20に供給されたシールガスは、ミル10に向かって流通する。
【0044】
第1シールガス供給部80は、図1及び図2に示すように、冷ガス流路30bから分岐する第1シールガス配管(第1シールガス流路)81を有している。
第1シールガス配管81の上流端は、冷ガス流路30bの冷ガスダンパ30dよりも下流側に接続されている。第1シールガス配管81の下流端は、給炭機20に接続されている。詳細には、第1シールガス配管81の下流端は、給炭機20の外殻を為す、給炭機ハウジング25に接続されている。
【0045】
また、図2に示すように、一次空気流路100aには、内部を流通する一次空気の流量を計測する一次空気流量計(搬送用ガス流量検出部)101が設けられている。一次空気流量計101は、ミル10へ供給される一次空気の流量を検出している。
【0046】
また、第1シールガス配管81には、内部を流通するシールガスの流量を計測するシールガス流量計(シールガス流量検出部)82が設けられている。シールガス流量計82は、給炭機20へ供給されるシールガスの流量を検出している。
【0047】
上述のように、給炭機20に供給されるシールガスは、ミル10内へ流入する。このため、給炭機20に供給されるシールガスは、ミル10内で一次空気と混合され、微粉燃料供給流路100bを介して火炉210へ導かれる。このため、給炭機20へ供給されるシールガスも火炉210へ導かれる一次空気の流量の一部とみなすことができる。このため、制御部50は、一次空気流量計101が計測した一次空気の流量と、シールガス流量計82が計測したシールガスの流量とに基づいて、火炉210へ導かれる一次空気の流量を導出する。このとき、制御部50は、各計測器で計測された流量に対して、計測されるガスの温度及び/又は圧力に基づいて補正を行い、補正後の値を用いて火炉210へ導かれる一次空気の流量を導出してもよい。
【0048】
なお、ミル10へ導かれる一次空気の流量を検出する手段は、上述の手段に限定されない。例えば、一次空気流量計101の代わりに、図2の破線で示すように、熱ガス流路30a内を流通する熱ガスの流量を計測する熱ガス流量計30e及び冷ガス流路30b内を流通する冷ガスの流量を計測する冷ガス流量計30fを設け、熱ガス流量計30e及び冷ガス流量計30fが計測した値に基づいて、ミル10へ供給される一次空気の流量を検出してもよい。この場合には、熱ガス流量計30eは、熱ガス流路30aと冷ガス流路30bの合流地点Mの上流側に設けられる。また、冷ガス流量計30fは、第1シールガス配管81の分岐位置よりも上流側に設けられる。また、制御部50は、各計測器で計測された流量に対して、計測されるガスの温度及び/又は圧力に基づいて補正を行い、補正後の値を用いてミル10へ導かれる一次空気の流量を導出してもよい。
また、冷ガス流量計30fは、第1シールガス配管81の分岐位置よりも下流側に設けられてもよい。この場合には、制御部50は、熱ガス流量計30e及び冷ガス流量計30fで計測した値に加えて、シールガス流量計82が計測する値も利用して、ミル10へ導かれる一次空気の流量を導出してもよい。また、制御部50は、各計測器で計測された流量に対して、計測されるガスの温度及び/又は圧力に基づいて補正を行い、補正後の値を用いてミル10へ導かれる一次空気の流量を導出してもよい。
【0049】
本実施形態の一次空気及びシールガスの流れについて説明する。
図1の示すように、一次空気通風機31によって系内に取り入れられた外気は、熱ガス流路30a及び冷ガス流路30bに分岐して流通する。熱ガス流路30a内に流入した外気は、熱交換器34によって加熱され熱ガスとなる。熱ガス流路30a内を流通する熱ガスは、熱ガスダンパ30cによって流量が調整され、合流地点Mから一次空気流路100aに流入する。一方、冷ガス流路30b内に流入した外気は、冷ガスとして冷ガス流路30b内を流通する。冷ガス流路30b内を流通する冷ガスの一部は、第2シールガス配管71に流入する。第2シールガス配管71に流入した冷ガスは、シールガスファン72によってミル10のシール部へ導かれる。第2シールガス配管71に流入しなかった冷ガスは、冷ガス流路30b内を流通し、冷ガスダンパ30dによって流量が調整される。流量が調整された冷ガスの一部は、第1シールガス配管81に流入する。第1シールガス配管81に流入した冷ガスは、給炭機20へ導かれる。第1シールガス配管81に流入しなかった冷ガスは、合流地点Mから一次空気流路100aに流入する。一次空気流路100aに流入した冷ガス及び熱ガスは一次空気流路100a内で混合され、一次空気としてミル10に導かれる。
【0050】
本実施形態によれば、以下の作用効果を奏する。
本実施形態では、第1シールガス配管81が、冷ガス流路30bのうち冷ガスダンパ30dよりも下流側から分岐している。これにより、冷ガスダンパ30dを通過するガスの量は、ミル10に供給される一次空気に用いられる冷ガスと、給炭機20へ供給されるシールガスとの合計量となる。すなわち、ミル10に供給される一次空気に用いられる冷ガスのみが冷ガスダンパ30dを通過する場合と比較して、冷ガスダンパ30dを通過するガスの量が多くなる。ダンパは、その性質上、全閉付近では開度に対する流量特性が低下するが、本実施形態では、冷ガスダンパ30dを通過するガスの量が多くなるので、冷ガスダンパ30dの開度を大きくすることになり、制御性が高い(良好な)開度域にて冷ガスダンパ30dを運用することができる。以上から、冷ガスダンパ30dの制御性の低下を抑制し、ミル10に供給される一次空気の温度及び流量を好適に調整することができる。
特に、一次空気の流量の絶対値の少ない小型のミル(例えば、1時間当たりの粉砕量が20トン以下のミル)では、冷ガスダンパ30dの開度が小さくなり、ダンパの制御性が低下し易い。このため、本実施形態の構成は、小型のミルにおいて、特に有効である。
また、発電プラント1の低負荷帯では、一次空気の流量の絶対値が少なく、さらに熱ガスの温度も低下する。このため、冷ガスダンパ30dの開度が小さくなり、ダンパの制御性が低下し易い。このため、本実施形態の構成は、発電プラント1の低負荷帯での運用においても有効である。
【0051】
また、本実施形態では、第1シールガス配管81が、冷ガス流路30bのうち冷ガスダンパ30dよりも下流側から分岐している。すなわち、冷ガスダンパ30dによって流量を調整された後の冷ガスを給炭機20へのシールガスとして利用している。このため、給炭機20へ供給されるシールガスとミル10に供給される一次空気との合計量が、熱ガスダンパ30c及び冷ガスダンパ30dで調整された量となる。
一方、例えば、第1シールガス配管81が、冷ガス流路30bのうち冷ガスダンパ30dよりも上流側から分岐している場合には、ミル10に供給される一次空気の量は、熱ガスダンパ30c及び冷ガスダンパ30dで調整された量となる。したがって、給炭機20へ供給されるシールガスとミル10に供給される一次空気との合計量は、熱ガスダンパ30c及び冷ガスダンパ30dで調整された一次空気に、給炭機20へ供給されるシールガスに導かれるシールガスを加えた量となる。
以上から、本実施形態では、給炭機20へ供給されるシールガスとミル10に供給される一次空気との合計量を低減することができる。特に、シールガスとして流量調整後の冷ガスを抽気しているので、ミル10へ供給される冷ガスの流量を低減することができる。上述したように、給炭機20へ供給されるシールガスとミル10に供給される一次空気とは、ミル10内で混合され火炉210へ向かう。よって、給炭機20へ供給されるシールガスとミル10に供給される一次空気との合計量を低減することができる本実施形態では、ミル10から火炉210へ向かう一次空気の流量を低減することができる。
【0052】
このように、本実施形態では、ミル10から火炉210へ向かう一次空気の流量を低減することができる。すなわち、微粉燃料供給流路100b内を流通する一次空気とシールガスとの混合流体の流量の増加を抑制することができる。微粉燃料供給流路100bの流路断面積は一定であるので、流路内を流通する混合流体の流量が増加すると流速が増大してしまうが、本実施形態では混合流体の流量の増加を抑制することができるので、流速の増大を抑制することができる。したがって、混合流体によって搬送される微粉燃料による微粉燃料供給流路100bの流路内面の摩耗を抑制することができる。したがって、微粉燃料供給流路100bの損傷を抑制することができるので、微粉燃料供給流路100bを長寿命化することができる。
【0053】
また、微粉燃料供給流路100b内を流通する混合流体の流量が増加すると、その分、バーナ220へ供給される二次空気とバーナ220の上部に供給される追加空気の流量割合が減少する。この場合、バーナ220での好適な燃焼に必要な空気の供給バランス(一次空気、二次空気、追加空気の流量割合)が崩れ、燃焼ガス中のNOx濃度や燃焼灰中の未燃炭素分が増加する可能性がある。例えば、NOxが増加すると、ボイラ200の後流に配置された脱硝装置35において、燃焼ガス中のNOxを還元するためのアンモニアの消費量が増加する。また、灰中の未燃炭素分が増加すると灰として系外に排出される熱損失(未燃分損失)が増加し、燃料消費量が増加する。このため、発電プラント1の運転コストが増大する可能性がある。一方、本実施形態では、微粉燃料供給流路100b内を流通する混合流体の流量の増加を抑制することができる。これにより、バーナ220での好適な燃焼に必要な空気の供給バランスが確保され、燃焼ガス中のNOx濃度の増加や燃焼灰中の未燃炭素分の増加を抑制することができる。よって、脱硝装置35において、燃焼ガス中のNOxを還元するため還元剤(例えば、アンモニア等)の消費量の増加や燃焼消費量の増加を抑制することができるので、発電プラント1の運転コストの増大を抑制することができる。
【0054】
また、本実施形態では、冷ガスダンパ30dの開度を制御性の良好な範囲としつつ、ミル10へ供給される冷ガスの流量を低減することができるので、ミル10のハウジング11内を流通する一次空気の温度を上昇させることができる。したがって、固体燃料の乾燥効率を向上させることができる。
【0055】
給炭機20とミル10との間の燃料供給部17には、シールガス流量を絞るような構造物を設置することができない。このため、給炭機20へシールガスを供給する第1シールガス供給部80では、大量のシールガスを消費する。したがって、例えば、給炭機20へシールガスを供給する第1シールガス配管81が、ミル10へシールガスを供給する第2シールガス配管71から分岐している場合には、シールガスファン72の大型化や、シールガスファン72の消費動力の増加の原因となる。
一方、本実施形態では、給炭機20へシールガスを供給する第1シールガス配管81と、ミル10へシールガスを供給する第2シールガス配管71とが別の流路となっている。すなわち、給炭機20へシールガスを供給する系統と、ミル10へシールガスを供給する系統とが別の系統とされている。これにより、シールガスファン72で送風するガスをミル10へ供給するシールガスのみとすることができるので、シールガスファン72が送風するガスの量を低減することができる。したがって、シールガスファン72を小型化することができる。また、シールガスファン72の消費エネルギーを低減することができる。
【0056】
給炭機20が要求するシールガスの圧力は、ミル10のシール部が要求するシールガス圧力よりも低い。このため、例えば、給炭機20へシールガスを供給する第1シールガス配管81が、ミル10へシールガスを供給する第2シールガス配管71から分岐している場合には、シールガスファン72で生成される高圧のシールガスを、絞り弁等で減圧して給炭機20へ供給しており、シールガスの圧力を変化させるためのエネルギーが無駄となっていた。
一方、本実施形態では、給炭機20へシールガスを供給する第1シールガス配管81と、ミル10へシールガスを供給する第2シールガス配管71とが別の流路となっている。また、第1シールガス配管81には、シールガスの圧力を増大させる装置(ファン等)を設けていない。このため、シールガスの圧力を変化させる必要がないので、エネルギー効率を向上させることができる。
【0057】
エネルギー効率の向上効果について、図3を用いて詳細に説明する。図3は、本実施形態における、一次空気通風機31から火炉210のバーナ220まで流通する一次空気の各地点での圧力を示すグラフである。図3の縦軸は一次空気の圧力を示し、図3の横軸は各地点を示している。
【0058】
図3において、P7は一次空気通風機31の地点を示し、P6は熱ガス流路30aと冷ガス流路30bとの分岐地点(図1参照)を示している。P5は熱ガス流路30aにおいて熱交換器34(熱ガスHが熱交換された後)の地点を示し、P4は熱ガスダンパ30cもしくは冷ガスダンパ30dが設けられる地点を示し、P3は熱ガス流路30aと冷ガス流路30bとの合流地点(図1のP)を示している。P2はミル10の入口である地点を示し、P1はミル10の出口である地点を示している。
【0059】
P7からP6までの区間A7では、一次空気(一次空気通風機31によって取り込まれた外気)は、配管を流通することで生じる圧力損失によって圧力が徐々に低減する。分岐地点P6において、一次空気は、冷ガス流路30bを流通する冷ガスCと、熱ガス流路30aを流通して熱交換器34で加熱される熱ガスHとに分かれる。
【0060】
熱ガスHは、地点P6から地点P5までの間の区間A6において、熱交換器34で熱交換することで圧力が大きく低減する。また、熱ガスHは、地点P5から熱ガスダンパ30cが設けられる地点P4までの間の区間A5において、熱ガス流路30aを流通することで生じる圧力損失によって圧力が徐々に低減する。次に、熱ガスHは、地点P4から熱ガス流路30aと冷ガス流路30bとの合流地点である地点P3までの間の区間A4において、熱ガスダンパ30cの圧力損失によって大きく圧力が低下する。
【0061】
一方、冷ガスCは、地点P6から冷ガスダンパ30dが設けられる地点P4までの間の区間A6及び区間A5において、冷ガス流路30bを流通することで生じる圧力損失によって圧力が徐々に低減する。次に、冷ガスCは、地点P4から熱ガス流路30aと冷ガス流路30bとの合流地点である地点P3までの間の区間A4において、冷ガスダンパ30dの圧力損失によって大きく圧力が低下する。
区間A6及び区間A5の途中において、一部の冷ガスCが、第2シールガス配管71(図1参照)にシールガスS2として流入する。第2シールガス配管71に流入したシールガスS2は、シールガスファン72によって昇圧されるため、圧力が急激に上昇する。次に、シールガスS2は、第2シールガス配管71を流通することで生じる圧力損失によって圧力が徐々に低減する。その後、シールガスS2は、ミル10のシール部へ供給されることに起因する圧力損失によって圧力が急激に低下し、ミル10内のガスと混合する。
区間A4の途中において、一部の冷ガスCが、第1シールガス配管81にシールガスS1として流入する。第1シールガス配管81に流入したシールガスS1は、第1シールガス配管81を流通することで生じる圧力損失によって圧力が徐々に低減する。その後、シールガスS1は、給炭機20へ供給されることに起因する圧力損失によって圧力が急激に低下するとともに、給炭機20からミル10へ流通し、ミル10内のガスと混合する。
【0062】
地点P3で合流した冷ガスCと熱ガスHは、一次空気として一次空気流路100aを流通する。一次空気は、ミル10の入口である地点P2までの区間A2において、一次空気流路100aを流通することで生じる圧力損失によって圧力が徐々に低減する。地点P2からミル10の出口P1までの区間A2において、一次空気は、ミル10内の様々な要因(例えば、粉砕テーブル12の外周部を吹き上げる際の圧力損失等)によって、圧力が低下する。地点P1でミル10から排出された一次空気は、微粉燃料供給流路100bを流通する。一次空気は、バーナ220が設けられる地点P0までの区間A1において、微粉燃料供給流路100bを流通することで生じる圧力損失によって圧力が徐々に低減する。
【0063】
一方、図3の破線S1´は、第2シールガス配管71の途中位置から第1シールガス配管81´(図1参照)を分岐させた場合の給炭機20へ供給される場合におけるシールガスの圧力を示している(以下、この場合を「比較例」と称する。)。比較例では、上述のように、シールガスファン72で生成される高圧のシールガスを、絞り弁等で減圧して給炭機20へ供給することとなるので、S1よりもさらに急激に圧力が低減していることがわかる(圧力差D参照)。このように、本実施形態では、比較例と比較して、エリアB2で示される圧力を削減することができるので、この分エネルギー効率を向上させることができる。また、比較例では、冷ガス流路30bから分岐する第2シールガス配管71内を流通する冷ガスの流量も、本実施形態よりも多くなる。このため、シールガスファン72によって昇圧する際のエネルギーも増大する。したがって、本実施形態では、比較例と比較して、B2で示される領域の圧力削減に加えて、B1で示した領域の分だけ、シールガスファン72により消費するエネルギーが低減することとなる。したがって、この点からも、エネルギー効率を向上させることができる。
【0064】
また、本実施形態では、一次空気流量計101及びシールガス流量計82を備えている。これにより、一次空気流量計101が計測した一次空気の流量と、シールガス流量計82が計測したシールガスの流量とに基づいて、火炉210へ導かれる一次空気の流量を導出することができる。
【0065】
[変形例1]
なお、図2に示すように、冷ガス流路30bに、内部を流通する冷ガスに圧力損失を与える絞り部90を設けてもよい。絞り部(圧力損失増大部)90は、冷ガス流路30bのうち、第1シールガス配管81の上流端が接続する箇所よりも下流側に設けられている。絞り部90は、例えば、固定オリフィスであってもよく、また、可変オリフィスであってもよい。
【0066】
給炭機20への冷ガス分配を行う場合、配置上、一次空気の経路(一次空気流路100a等)と、給炭機20へ供給されるシールガス用の経路(第1シールガス配管81等)とで、圧力損失が異なる場合がある。特に、第1シールガス配管81の圧力損失が、一次空気流路100aの圧力損失よりも高い場合、給炭機20へ所望の量のシールガスが流れない可能性がある。したがって、このような場合に、上述の絞り部90を設けることで、第1シールガス配管81内をシールガスが流通し易くすることができる。よって、好適に給炭機20へシールガスを供給することができる。
【0067】
[変形例2]
また、図4に示すように、冷ガス流路30bに、ガスの逆流を防止する逆止弁(逆流防止部)91を設けてもよい。逆止弁91は、冷ガス流路30bのうち、第1シールガス配管81の上流端が接続する箇所よりも下流側(熱ガス流路30aと冷ガス流路30bとの合流地点M側)に設けられている。
【0068】
高水分炭などを使用する等、ミル10が想定以上に熱量を要求した場合、冷ガスダンパ30dが絞られ過ぎ、熱ガス流路30aから冷ガス流路30bへ熱ガスが逆流し、逆流した熱ガスが、第1シールガス配管81を介して、給炭機20へ導かれる可能性がある。給炭機20に熱ガスが流入すると、給炭機20内の固体燃料が過熱される恐れがある。また、高温の熱ガスによって、給炭機20の搬送部22のベルト等ゴム部品が劣化し、故障の原因となる。
逆止弁91を設けることで、熱ガス流路30aから冷ガス流路30bへ熱ガスが逆流した場合であっても、逆止弁91によって、熱ガスが妨げられる。したがって、冷ガス流路30bにおいて、高温の熱ガスが逆止弁91よりも上流側を流通しない。よって、高温の熱ガスが第1シールガス配管81に流入する事態を発生し難くすることができる。よって、給炭機20への熱ガスの流入を防止することができる。
【0069】
また、逆流弁は、開度を調整可能なダンパ(図5参照)であってもよい。すなわち、逆流を防止する際に、ダンパを全閉状態とすることで、逆流を防止することができる。なお、このダンパの開度を調整することで、変形例1の絞り部90と同じ機能を持たせてもよい。
【0070】
[変形例3]
図5に示すように、第1シールガス配管81の途中位置に合流するアシスト配管92を設けてもよい。
第1シールガス配管81の圧力損失が大きい場合等、給炭機20の要求するシールガス量を満たすシールガスを供給できない場合がある。この場合には、アシスト配管92を介して、不足する分のシールガス(アシストガス)を供給してもよい。アシスト配管92の上流端は、第1シールガス配管81の分岐点よりも圧力の高い、シールガスファン72の出口や、冷ガス流路32bの冷ガスダンパ32dよりも上流側に接続されていてもよい。また、アシスト配管92には、アシスト弁93を設けて補充されるアシストするガスの供給を制御してもよい。また、圧力の高いアシストガスが第1シールガス配管81の分岐点側(冷ガス流路30b側)への逆流を防止する逆止弁94を設けてもよい。
【0071】
なお、本開示は、上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において、適宜変形が可能である。
例えば、上述した実施形態では、本開示のミルとしたが、固体燃料としては、バイオマス燃料や石油精製時に発生するPC(石油コークス:Petroleum Coke)燃料等の固体燃料であってもよく、また、これらの固体燃料を混合して使用してもよい。
【0072】
以上説明した実施形態に記載の固体燃料粉砕装置及び発電プラント並びに固体燃料粉砕装置の運転方法は、例えば以下のように把握される。
本開示の一態様に係る固体燃料粉砕装置(100)は、固体燃料を粉砕する粉砕機(60)と、冷ガスが内部を流通する冷ガス流路(30b)と、前記冷ガスよりも高温のガスである熱ガスが内部を流通する熱ガス流路(30a)と、を有し、前記熱ガス又は前記熱ガスと前記冷ガスとを混合した混合ガスを、粉砕した前記固体燃料を搬送する搬送用ガスとして前記粉砕機(60)へ供給する搬送用ガス供給部(30)と、前記粉砕機(60)へシールガスを供給する第1シールガス供給部(80)と、を備え、前記冷ガス流路(30b)には、開度を調整することで、内部を流通する前記冷ガスの流量を調整する冷ガスダンパ(30d)が設けられていて、前記第1シールガス供給部(80)は、上流端が前記冷ガス流路(30b)の前記冷ガスダンパ(30d)よりも下流側に接続される第1シールガス流路(81)を有し、前記第1シールガス流路(81)を介して前記冷ガス流路(30b)を流通する前記冷ガスをシールガスとして前記粉砕機(60)へ供給する。
【0073】
上記構成では、シールガス流路が、冷ガス流路のうち冷ガスダンパよりも下流側から分岐している。これにより、冷ガスダンパを通過するガスの量は、搬送用ガスに用いられる冷ガスとシールガスとの合計量となる。すなわち、搬送用ガスに用いられる冷ガスのみが冷ガスダンパを通過する場合と比較して、冷ガスダンパを通過するガスの量が多くなる。ダンパは、その性質上、全閉付近では開度に対する流量の制御性が低下するが、上記構成では、冷ガスダンパを通過するガスの量が多くなるので、冷ガスダンパの開度を大きくすることができる。以上から、冷ガスダンパの制御性の低下を抑制し、搬送用ガスの温度及び流量を好適に調整することができる。
【0074】
また、本開示の一態様に係る固体燃料粉砕装置は、前記粉砕機(60)は、前記固体燃料を粉砕する粉砕部(10)と、前記粉砕部(10)へ前記固体燃料を供給する固体燃料供給装置(20)と、を有し、前記第1シールガス供給部(80)は、前記固体燃料供給装置(20)へシールガスを供給し、上流端が前記冷ガス流路(30b)の前記冷ガスダンパ(30d)よりも上流側に接続される第2シールガス流路(71)及び前記第2シールガス流路(71)に設けられる送風部を有し、前記第2シールガス流路(71)を介して前記冷ガス流路(30b)を流通する前記冷ガスをシールガスとして前記粉砕部(10)へ供給する第2シールガス供給部(70)をさらに備える。
【0075】
上記構成では、固体燃料供給装置へシールガスを供給する第1シールガス流路と、粉砕部へシールガスを供給する第2シールガス流路とが別の流路となっている。すなわち、固体燃料供給装置へシールガスを供給する系統と、粉砕部へシールガスを供給する系統とが別の系統とされている。これにより、送風部で送風するガスを粉砕部へ供給するシールガスのみとすることができるので、送風部が送風するガスの量を低減することができる。したがって、送風部を小型化することができる。また、送風部の消費エネルギーを低減することができる。
【0076】
また、本開示の一態様に係る固体燃料粉砕装置は、前記冷ガス流路(30b)には、前記第1シールガス流路(81)の上流端が接続する箇所よりも下流側に、内部を流通する冷ガスの圧力損失を増大させる圧力損失増大部(90)が設けられている。
【0077】
上記構成では、冷ガス流路のうち、第1シールガス流路の上流端が接続する箇所よりも下流側に、圧力損失増大部が設けられている。これにより、冷ガス流路のうち、第1シールガス流路の上流端が接続する箇所よりも下流側において、圧力損失が増大する。したがって、第1シールガス流路内をシールガスが流通し易くすることができる。よって、好適に粉砕機へシールガスを供給することができる。
【0078】
また、本開示の一態様に係る固体燃料粉砕装置は、前記冷ガス流路(30b)には、前記第1シールガス流路(81)の上流端が接続する箇所よりも下流側に、ガスの逆流を防止する逆流防止部(91)が設けられている。
【0079】
上記構成では、冷ガス流路のうち、第1シールガス流路の上流端が接続する箇所よりも下流側に、逆流防止部が設けられている。これにより、例えば、粉砕機内の高温のガスが搬送用ガス供給部を逆流した場合に、逆流防止部によって、高温のガスが妨げられる。したがって、冷ガス流路において、高温のガスが逆流防止部よりも上流側を流通しない。よって、高温のガスが第1シールガス流路に流入する事態を発生し難くすることができる。
【0080】
また、本開示の一態様に係る固体燃料粉砕装置は、前記粉砕機(60)へ供給される前記搬送用ガスの流量を検出する搬送用ガス流量検出部(101)と、前記粉砕機(60)へ供給される前記シールガスの流量を検出するシールガス流量検出部(82)と、を備える。
【0081】
上記構成では、搬送用ガス流量検出部とシールガス流量検出部とを備えている。これにより、粉砕機へ供給されるガスの合計量を検出することができる。したがって、粉砕機から排出されるガスの量を検出することができる。
【0082】
また、本開示の一態様に係る固体燃料粉砕装置は、前記第1シールガス流路(81)の途中位置に合流するアシスト配管(92)を備え、前記アシスト配管(92)は、前記第1シールガス配管(81)の分岐点よりも圧力の高いシールガスを前記第1シールガス配管81へ供給する。
【0083】
第1シールガス配管の圧力損失が大きい場合等、供給先の要求するシールガス量を満たすシールガスを供給できない場合がある。
上記構成では、前記第1シールガス配管の分岐点よりも圧力の高いシールガスを前記第1シールガス配管81へ供給するアシスト配管を備えている。これにより、圧力の高いシールガスを第1シールガス配管に供給することができるので、第1シールガス配管内を流通するシールガスの圧力を増大させることができる。したがって、第1シールガス配管の圧力損失が大きい場合等であっても、供給先へシールガスを送り易くすることができる。
【0084】
本開示の発電プラントは、上記いずれかに記載の固体燃料粉砕装置(100)と、前記固体燃料粉砕装置(100)で粉砕した固体燃料を燃焼して蒸気を生成するボイラ(200)と、を備えている。
【0085】
本開示の一態様に係る固体燃料粉砕装置の運転方法は、固体燃料を粉砕する粉砕機(60)と、冷ガスが内部を流通する冷ガス流路(30b)と、前記冷ガスよりも高温のガスである熱ガスが内部を流通する熱ガス流路(30a)と、を有し、前記熱ガス又は前記熱ガスと前記冷ガスとを混合した混合ガスを、粉砕した前記固体燃料を搬送する搬送用ガスとして前記粉砕機(60)へ供給する搬送用ガス供給部(30)と、前記粉砕機(60)へシールガスを供給する第1シールガス供給部(80)と、を備え、前記冷ガス流路(30b)には、開度を調整することで、内部を流通する前記冷ガスの流量を調整する冷ガスダンパ(30d)が設けられている固体燃料粉砕装置(100)の運転方法であって、前記第1シールガス供給部(80)によって、上流端が前記冷ガス流路(30b)の前記冷ガスダンパ(30d)よりも下流側に接続される第1シールガス流路(81)を介して、前記冷ガス流路(30b)を流通する前記冷ガスをシールガスとして前記粉砕機(60)へ供給する工程を備える。
【符号の説明】
【0086】
1 :発電プラント
10 :ミル(粉砕部)
11 :ハウジング
12 :粉砕テーブル
13 :粉砕ローラ
14 :駆動部
15 :ミルモータ
16 :回転式分級機
16a :ブレード
17 :燃料供給部
18 :分級機モータ
19 :出口ポート
20 :給炭機(固体燃料供給装置)
21 :バンカ
22 :搬送部
23 :給炭機モータ
24 :ダウンスパウト
25 :給炭機ハウジング
30 :送風部
30a :熱ガス流路
30b :冷ガス流路
30c :熱ガスダンパ
30d :冷ガスダンパ
30e :熱ガス流量計
30f :冷ガス流量計
31 :一次空気通風機
32 :押込気通風機
32b :冷ガス流路
32d :冷ガスダンパ
34 :熱交換器
35 :脱硝装置
36 :煙道
40 :状態検出部
41 :底面部
42 :天井部
45 :ジャーナルヘッド
47 :支持アーム
48 :支持軸
49 :押圧装置
50 :制御部
60 :粉砕機
70 :第2シールガス供給部
71 :第2シールガス配管
72 :シールガスファン
80 :第1シールガス供給部
81 :第1シールガス配管
81´ :第1シールガス配管
82 :シールガス流量計
90 :絞り部
91 :逆止弁
92 :アシスト配管
93 :アシスト弁
100 :固体燃料粉砕装置
100a :一次空気流路
100b :微粉燃料供給流路
101 :一次空気流量計
200 :ボイラ
210 :火炉
220 :バーナ
図1
図2
図3
図4
図5