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特開2022-130877移動式給排水システム、および、これを用いた給排水方法
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  • 特開-移動式給排水システム、および、これを用いた給排水方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022130877
(43)【公開日】2022-09-07
(54)【発明の名称】移動式給排水システム、および、これを用いた給排水方法
(51)【国際特許分類】
   F04B 23/00 20060101AFI20220831BHJP
   B60P 3/00 20060101ALI20220831BHJP
   F04B 53/00 20060101ALI20220831BHJP
   F02D 29/02 20060101ALI20220831BHJP
   A01G 25/09 20060101ALI20220831BHJP
【FI】
F04B23/00 A
B60P3/00 R
F04B53/00 J
F02D29/02 F
A01G25/09 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021029517
(22)【出願日】2021-02-26
(71)【出願人】
【識別番号】000117135
【氏名又は名称】芦森工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000222901
【氏名又は名称】東洋電産株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001841
【氏名又は名称】弁理士法人ATEN
(72)【発明者】
【氏名】谷口 泉
(72)【発明者】
【氏名】広川 登朗
(72)【発明者】
【氏名】石並 慧
(72)【発明者】
【氏名】永田 祐也
【テーマコード(参考)】
3G093
3H071
【Fターム(参考)】
3G093AA01
3G093BA00
3G093DA06
3G093EB09
3H071AA01
3H071BB04
3H071CC33
3H071DD84
(57)【要約】
【課題】所望の性能の水中ポンプを好適に駆動させることが可能な移動式給排水システム、および、これを用いた給排水方法を提供する。
【解決手段】車両2と、積み降ろし可能に車両2に積載された水中ポンプ3と、車両2に搭載され、車両2のエンジンの回転により駆動される発電機10と、車両2に積載された発動発電機11と、車両2に搭載され、水中ポンプ3に電力を供給する電気機器と、を有する。水中ポンプ3を駆動させるのに必要な電力は、発電機10の最大発電量、および、発動発電機11の最大発電量の各々よりも大きい。電気機器は、発電機10が発電した電力と、発動発電機11が発電した電力とを合わせた電力を水中ポンプ3に供給する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両と、
積み降ろし可能に前記車両に積載された水中ポンプと、
前記車両に搭載され、前記車両のエンジンの回転により駆動される発電機と、
前記車両に積載された発動発電機と、
前記車両に搭載され、前記水中ポンプに電力を供給する供給手段と、
を有し、
前記水中ポンプを駆動させるのに必要な電力は、前記発電機の最大発電量、および、前記発動発電機の最大発電量の各々よりも大きく、
前記供給手段は、前記発電機が発電した電力と、前記発動発電機が発電した電力とを合わせた電力を前記水中ポンプに供給することを特徴とする移動式給排水システム。
【請求項2】
前記車両は、車両総重量が3.5トン未満で、最大積載量が2.0トン未満であることを特徴とする請求項1に記載の移動式給排水システム。
【請求項3】
前記発電機は、前記車両に標準で搭載されるオルタネータの代わりに前記車両に搭載されており、
前記発電機の最大発電量は、前記オルタネータの最大発電量よりも大きいことを特徴とする請求項1又は2に記載の移動式給排水システム。
【請求項4】
前記発電機の発電量が所定範囲となるように、前記エンジンの回転数を制御する回転数制御装置を有することを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の移動式給排水システム。
【請求項5】
前記回転数制御装置は、前記発電機の発電コイル主軸の回転数を測定して前記車両のアクセルペダルの踏み込み量を任意にコントロールするペダル踏み込み装置を含み、
前記ペダル踏み込み装置は、前記アクセルペダルの近傍において前記車両に着脱可能に取り付けられていることを特徴とする請求項4に記載の移動式給排水システム。
【請求項6】
前記車両は、スライド式の側部ドアを有していることを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の移動式給排水システム。
【請求項7】
請求項6に記載の移動式給排水システムを用いた給排水方法であって、
前記水中ポンプによる作業中は、前記側部ドアを開放状態にしておくことを特徴とする、移動式給排水システムを用いた給排水方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動式給排水システム、および、これを用いた給排水方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、2トントラックのような平床貨物運搬車に、発動発電機を搭載するとともに、水中ポンプなどの給排水機材を積載した、移動式給排水設備が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002-188562号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、汎用性向上の観点から、普通免許で公道を運転可能な普通車に、水中ポンプなどの給排水機材および発動発電機を積載できることが望まれている。しかしながら、普通車では車載スペースが狭いために、普通車に積載可能な発動発電機では、所望の性能の水中ポンプを駆動させるのに必要な発電量を得ることができないという問題がある。また、発動発電機の積載重量が大きくなると、他の搭載物が制限される結果、要求仕様を満たす給排水システムを構築することができないという問題がある。
【0005】
本発明の目的は、所望の性能の水中ポンプを好適に駆動させることが可能な移動式給排水システム、および、これを用いた給排水方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、車両と、積み降ろし可能に前記車両に積載された水中ポンプと、前記車両に搭載され、前記車両のエンジンの回転により駆動される発電機と、積み降ろし可能に前記車両に積載された発動発電機と、前記車両に搭載され、前記水中ポンプに電力を供給する供給手段と、を有し、前記水中ポンプを駆動させるのに必要な電力は、前記発電機の最大発電量、および、前記発動発電機の最大発電量の各々よりも大きく、前記供給手段は、前記発電機が発電した電力と、前記発動発電機が発電した電力とを合わせた電力を前記水中ポンプに供給することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によると、発電機が発電した電力と、発動発電機が発電した電力とを合わせた電力が水中ポンプに供給される。水中ポンプを駆動させるのに必要な電力は、発電機の最大発電量、および、発動発電機の最大発電量の各々よりも大きいので、発電機や発動発電機の発電量だけでは、水中ポンプを駆動させるのに必要な電力を得ることができない。そこで、発電機が発電した電力と、発動発電機が発電した電力とを合わせることで、水中ポンプを駆動させるのに必要な電力を得ることができる。これにより、所望の性能の水中ポンプを好適に駆動させることができる。また、車両のエンジンの回転により駆動される発電機を採用することで、車載スペースを確保することができる。また、水中ポンプの駆動に必要な発電量から発電機で得られる発電量を減算した発電量を発電可能な発動発電機を採用することが可能となり、積載重量も小さくすることができる。これらの結果、普通車でも所望の性能の水中ポンプを駆動させることが可能な移動式給排水システムを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】移動式給排水システムの上面図である。
図2図1のA-A断面図である。
図3図1のB-B断面図である。
図4】移動式給排水システムの電気的構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の好適な実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0010】
(移動式給排水システムの構成)
本発明の実施形態による移動式給排水システムは、増水した河川からの緊急排水作業や、土木工事現場における湧水の排水作業、農業地における灌漑用給水作業などに用いられるものである。移動式給排水システム1の上面図である図1図1のA-A断面図である図2、および、図1のB-B断面図である図3に示すように、移動式給排水システム1は、車両2と、水中ポンプ3と、消防ポンプ4と、ホース5と、吸管6と、自立水槽7と、投光器8と、スロープ9と、発電機10と、発動発電機11と、電気機器12と、制御機器13と、を有している。
【0011】
車両2は、いわゆる普通車である。具体的には、車両2は、車両総重量が3.5トン未満で、最大積載量が2.0トン未満のバンタイプの普通車である。そのため、車両総重量が3.5トン未満で、最大積載量が2.0トン未満の自動車を運転可能な免許(例えば普通免許など)を有する運転者が、公道で、この車両2を運転することが可能である。
【0012】
車両2は、スライド式の側部ドア2aを有している。車両2の車内には、運転席31と、助手席32と、後部座席33とが設けられている。車両2の車内における後部座席33よりも後方は、車載スペース34となっている。
【0013】
車載スペース34の床面には、鋼板(例えば縞鋼板)が敷かれている。車載スペース34の床面には、車両2の前後方向に沿って、2本のレール15が取り付けられている。このレール15は、例えばエアラインレール(登録商標)である。
【0014】
2本のレール15の間は、水中ポンプ3などの載置スペース35となっている。つまり、載置スペース35は、車載スペース34の一部である。載置スペース35の両側には、棚16がそれぞれ配置されている。
【0015】
水中ポンプ3、消防ポンプ4、吸管6、および、発動発電機11は、積み降ろし可能に載置スペース35(車両2)に積載されている。なお、水中ポンプ3、消防ポンプ4、吸管6、および、発動発電機11の配置形態は、図示のものに限定されない。水中ポンプ3、消防ポンプ4、および、発動発電機11は、車両2の移動中に移動しないように、固定ベルト(図示せず)によりレール15に固定される。
【0016】
水中ポンプ3は、車輪付きのフレームにポンプ本体が取り付けられて構成されている。ポンプ本体は、例えば、重量が50kgで、吐出量が毎分2.5m3である。水中ポンプ3の駆動により、吸水作業や排水作業が行われる。水中ポンプ3の使用時に、水中ポンプ3を駆動させるために必要な電力は、発電機10および発動発電機11から供給される。詳しくは後述する。
【0017】
消防ポンプ4は、キャスター付きである。消防ポンプ4は、消火活動などで放水を行う際に使用される。消防ポンプ4は、自身に積み込まれた燃料で発電して駆動する。つまり、消防ポンプ4の使用時に、消防ポンプ4を駆動させるために必要な電力は、消防ポンプ4で賄われる。このように、消防ポンプ4は、独立して駆動する。
【0018】
ホース5は、複数の分割ホース5aに分割されて、車両2の左側(図1の下側)の棚16に収納されている。ホース5は、水中ポンプ3用のホース5bと、消防ポンプ4用のホース5cとを含む。水中ポンプ3用のホース5bは、水中ポンプ3に接続されて、水中ポンプ3が汲んだ水の搬送に使用される。消防ポンプ4用のホース5cは、消防ポンプ4に接続されて、消防ポンプ4からの放水に使用される。
【0019】
水中ポンプ3用のホース5bは、例えば、直径が200mmである。水中ポンプ3用のホース5bは、例えば、それぞれが20mの2本の分割ホース5aと、10mの1本の分割ホース5aとに分割されている。消防ポンプ4用のホース5cは、例えば、直径が65mmである。消防ポンプ4用のホース5cは、例えば、それぞれが20mの5本の分割ホース5aに分割されている。
【0020】
吸管6は、消防ポンプ4の使用時に、消防ポンプ4に接続されて使用される。消防ポンプ4の駆動により、吸管6から水が吸い込まれる。
【0021】
自立水槽7は、ビニール製の折り畳み式の水槽である。自立水槽7は、後部座席33の側方に収納されている。自立水槽7の容量は、例えば3トンである。例えば、消火活動を行う際には、水中ポンプ3で川などから汲み上げた水を自立水槽7内に貯留し、自立水槽7内の水を吸管6で吸い上げて消防ポンプ4で放水する。
【0022】
投光器8は、照明である。投光器8は、車両2の右側(図1の上側)の棚16に収納されている。投光器8は、例えば夜間に使用される。投光器8の使用時に、投光器8に必要な電力は、発動発電機11から供給される。つまり、発動発電機11が発電した電力から、水中ポンプ3の駆動に使用される電力を除いた余剰電力で、投光器8が点灯される。
【0023】
スロープ9は、水中ポンプ3、消防ポンプ4、および、発動発電機11を車両2から降ろしたり、車両2に積み込んだりする際に使用される。スロープ9は、折り畳み式であり、車載スペース34の上部に収納される。スロープ9の使用時には、スロープ9は広げられ、載置スペース35の床面と地面との間に架け渡される。
【0024】
発電機10は、車両2に搭載されている。具体的には、発電機10は、車両2のエンジンルームに配置されている。発電機10は、車両2のエンジンの回転により駆動される。
【0025】
発電機10は、車両2に標準で搭載されるオルタネータの代わりに車両2に搭載されている。発電機10の発電量は、エンジンの回転数により変動する。発電機10の最大発電量は、オルタネータの最大発電量よりも大きい。発電機10の最大発電量は、例えば、8kVAである。なお、エンジンルーム内のスペースに余裕がある場合には、発電機10とオルタネータとを併用してもよい。
【0026】
発動発電機11は、キャスター付きである。発動発電機11は、発動機付きの発電機であり、自身に積み込まれた燃料で発電する。発動発電機11の発電量は、例えば、5.5kVAである。
【0027】
電気機器(供給手段)12は、車両2の右側の棚16に収納されている。電気機器12は、水中ポンプ3に電力を供給する。電気機器12には、発電機10の発電量が表示される。
【0028】
水中ポンプ3による作業中は、側部ドア2aは開放状態にされる。このようにしても、他の通行車両の邪魔にならない。
【0029】
ここで、水中ポンプ3を駆動させるのに必要な電力は、発電機10の最大発電量、および、発動発電機11の最大発電量の各々よりも大きい。よって、発電機10や発動発電機11の発電量だけでは、水中ポンプ3を駆動させるのに必要な電力を得ることができない。
【0030】
そこで、電気機器12は、発電機10が発電した電力と、発動発電機11が発電した電力とを合わせた電力を水中ポンプ3に供給する。発電機10が発電した電力と、発動発電機11が発電した電力とを合わせることで、水中ポンプ3を駆動させるのに必要な電力を得ることができる。これにより、所望の性能の水中ポンプ3を好適に駆動させることができる。この移動式給排水システム1は、揚程にもよるが、例えば約4000リットル/分の排水が可能な排水能力を有している。
【0031】
また、普通免許を有する運転者が、公道で車両2を運転することができる。よって、移動式給排水システム1の汎用性を高めることができる。
【0032】
また、発電機10の最大発電量は、オルタネータの最大発電量よりも大きい。よって、オルタネータを用いる場合に比べて、発動発電機11が発電する必要がある発電量を抑えることができるので、よりコンパクトで軽量な発動発電機11を用いることができる。
【0033】
また、水中ポンプ3を駆動して給排水作業を行っている際に、側部ドア2aを開けたままにすることで、車両2内の電気機器12に表示された発電機10の発電量や、車両2のインストルメントパネルに取り付けられているタコメーターに表示されたエンジンの回転数を、側部ドア2aから随時確認することができる。
【0034】
制御機器13は、車載スペース34の床面にフック17で固定されている。制御機器13は、水中ポンプ3を制御する。
【0035】
(移動式給排水システムの電気的構成)
移動式給排水システム1の電気的構成を図4に示す。移動式給排水システム1は、車両2のエンジン21を有している。発電機10は、エンジン21の回転により駆動される。電気機器12は、第1コンバータ22と、第2コンバータ23と、インバータ24と、を有している。
【0036】
第1コンバータ22は、AC-DCコンバータであり、発電機10からの三相交流を直流に変換する。なお、発電機10と第1コンバータ22との間に、三相交流の電圧を安定化させる交流安定化電源装置(ACスタビライザ等)を有していてもよい。
【0037】
第2コンバータ23は、AC-DCコンバータであり、発動発電機11からの単相交流を直流に変換する。
【0038】
第1コンバータ22から出力された直流と、第2コンバータ23から出力された直流とは、合流点Aにおいて合流される。インバータ24は、DC-ACインバータであり、合流点Aにおいて合流された直流を三相交流に変換する。インバータ24から出力された三相交流は、水中ポンプ3に供給される。つまり、発電機10が発電した電力と、発動発電機11が発電した電力とを合わせた電力が水中ポンプ3に供給される。なお、インバータ24と水中ポンプ3との間に、高周波ノイズを除去する三相ノイズフィルタを有していてもよい。
【0039】
また、移動式給排水システム1は、回転数制御装置25を有している。回転数制御装置25は、アイドルアップ26と、コントローラ27と、を有している。アイドルアップ26は、アイドリングの際に、エンジン21の回転数を細かく制御する装置である。コントローラ27は、発電機10の発電量が所定範囲となるように、アイドルアップ26を制御することで、エンジン21の回転数を制御する。
【0040】
以下、アイドルアップ26について具体的に説明する。アイドルアップ(ペダル踏み込み装置)26は、例えば車両2のアクセルペダルの近傍において、車両2に着脱可能に取り付けられるアクセルペダルアクチュエータである。アイドルアップ26は、アクセルペダルの踏み込み量を任意にコントロールする。
【0041】
アイドルアップ26は、ペダル制御部材と、固定部材と、を有している。ペダル制御部材は、箱状の躯体と、踏み込み量調整部材と、回転駆動手段と、を有している。踏み込み量調整部材は、躯体内に収められて、アクセルペダルの踏み込み量を調整する。回転駆動手段は、踏み込み量調整部材を駆動させる。
【0042】
踏み込み量調整部材は、円盤状の薄いローラーと、回転軸と、を有している。回転軸は、ローラーの中心から側方に少し偏心した位置において突出するように設けられている。回転駆動手段は、例えばモーターである。回転駆動手段の出力軸には、踏み込み量調整部材の回転軸が固定されており、回転駆動手段が駆動すると回転軸が周方向に回転し、ローラーが回転するようになっている。回転駆動手段は、ケーブルでコントローラ27に接続されており、その駆動状態はコントローラ27で制御される。
【0043】
固定部材は、プレートと、ロッドと、を有している。ロッドは、プレートから延びて、ペダル制御部材の躯体の側面に回転自在に取り付けられている。ペダル制御部材の躯体は、ロッドの長手方向にスライドできるようになっており、プレートからの距離を調整することが可能になっている。
【0044】
車両2へのアイドルアップ26の取り付けは、プレートをボルト等で車両2の床面に固定し、躯体の位置をロッド上でスライド調整するとともに、躯体をロッドに対して回転させ、アクセルペダルとローラーとがわずかに接触するように調整して行う。
【0045】
コントローラ27は、水中ポンプ3を駆動している間、発電機10の発電量を絶えず測定するようになっている。発電機10の発電量が所定範囲よりも低下したことをコントローラ27が検知すると、回転駆動手段に信号を送り、回転駆動手段を所定量だけ回転駆動させる。コントローラ27は、発電機10が発電している間、発電機10の発電コイルのローター軸(主軸)の回転数を測定している。ローター軸の回転数が低下し、それをコントローラ27が検知すると、回転駆動手段に信号を送り、回転駆動手段を所定量だけ回転駆動させて、ローター軸の回転数が元の回転数になるように制御する。回転駆動手段は、回転軸を介してローラーを回転させる。ローラーの回転によって、アクセルペダルが所定量踏み込まれてエンジン21の回転数が上がり、発電機10の発電量は所定範囲に保たれる。なお、回転駆動手段の駆動量を少し大きくするだけでローラーは偏心回転し、アクセルペダルが大きく踏み込まれる。
【0046】
アイドルアップ26が車両2に対して着脱可能であるので、アイドルアップ26が故障しても車両2の走行に支障が生じない。また、アイドルアップ26を作動している間は、アクセルペダルを足で操作することができないので、給排水作業中に誤って車両2を走らせることがない。
【0047】
上述したように、発電機10の発電量は、エンジン21の回転数によって変動する。発電機10の発電量は、エンジン21の回転数が所定値以上になると、所定範囲で安定する。そこで、水中ポンプ3を駆動する際には、回転数制御装置25でエンジン21の回転数を制御して、発電機10の発電量を所定範囲に維持することで、水中ポンプ3を安定して駆動させることができる。
【0048】
(効果)
以上に述べたように、本実施形態に係る移動式給排水システム1によれば、発電機10が発電した電力と、発動発電機11が発電した電力とを合わせた電力が水中ポンプ3に供給される。水中ポンプ3を駆動させるのに必要な電力は、発電機10の最大発電量、および、発動発電機11の最大発電量の各々よりも大きいので、発電機10や発動発電機11の発電量だけでは、水中ポンプ3を駆動させるのに必要な電力を得ることができない。そこで、発電機10が発電した電力と、発動発電機11が発電した電力とを合わせることで、水中ポンプ3を駆動させるのに必要な電力を得ることができる。これにより、所望の性能の水中ポンプ3を好適に駆動させることができる。
【0049】
また、車両2は、車両総重量が3.5トン未満で、最大積載量が2.0トン未満である。そのため、車両総重量が3.5トン未満で、最大積載量が2.0トン未満の自動車を運転可能な免許(例えば普通免許など)を有する運転者が、公道で車両2を運転することができる。よって、移動式給排水システム1の汎用性を高めることができる。
【0050】
また、発電機10は、車両2に標準で搭載されるオルタネータの代わりに車両2に搭載されており、発電機10の最大発電量は、オルタネータの最大発電量よりも大きい。これにより、オルタネータを用いる場合に比べて、発動発電機11が発電する必要がある発電量を抑えることができるので、よりコンパクトで軽量な発動発電機11を用いることができる。
【0051】
また、発電機10の発電量が所定範囲となるように、エンジン21の回転数が制御される。発電機10の発電量は、エンジン21の回転数によって変動する。エンジン21の回転数を制御して、発電機10の発電量を所定範囲に維持することで、水中ポンプ3を安定して駆動させることができる。
【0052】
また、アイドルアップ26が車両2に対して着脱可能であるので、アイドルアップ26が故障しても車両2の走行に支障が生じない。また、アイドルアップ26を作動している間は、アクセルペダルを足で操作することができないので、給排水作業中に誤って車両2を走らせることがない。
【0053】
また、水中ポンプ3による作業中は、側部ドア2aが開放状態にされる。このようにしても、他の通行車両の邪魔にならない。そして、開放状態の側部ドア2aから、車両2内の電気機器12に表示された発電機10の発電量や、車両2のインストルメントパネルに取り付けられているタコメーターに表示されたエンジンの回転数を、随時確認することができる。
【0054】
以上、本発明の実施形態を説明したが、具体例を例示したに過ぎず、特に本発明を限定するものではなく、具体的構成などは、適宜設計変更可能である。また、発明の実施の形態に記載された、作用及び効果は、本発明から生じる最も好適な作用及び効果を列挙したに過ぎず、本発明による作用及び効果は、本発明の実施の形態に記載されたものに限定されるものではない。
【符号の説明】
【0055】
1 移動式給排水システム
2 車両
3 水中ポンプ
4 消防ポンプ
5 ホース
6 吸管
7 自立水槽
8 投光器
9 スロープ
10 発電機
11 発動発電機
12 電気機器(供給手段)
13 制御機器
15 レール
16 棚
17 フック
21 エンジン
22 第1コンバータ
23 第2コンバータ
24 インバータ
25 回転数制御装置
26 アイドルアップ(ペダル踏み込み装置)
27 コントローラ
31 運転席
32 助手席
33 後部座席
34 車載スペース
35 載置スペース
図1
図2
図3
図4