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特開2022-130896通信プログラム、基地局および通信システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022130896
(43)【公開日】2022-09-07
(54)【発明の名称】通信プログラム、基地局および通信システム
(51)【国際特許分類】
   H04J 99/00 20090101AFI20220831BHJP
   H04L 27/26 20060101ALI20220831BHJP
   H04B 7/0452 20170101ALI20220831BHJP
   H04W 74/08 20090101ALI20220831BHJP
【FI】
H04J99/00 100
H04L27/26 410
H04B7/0452
H04W74/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021029542
(22)【出願日】2021-02-26
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)令和2年度、総務省、第5世代移動通信システムの更なる高度化に向けた研究開発 産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(71)【出願人】
【識別番号】504133110
【氏名又は名称】国立大学法人電気通信大学
(74)【代理人】
【識別番号】100205350
【弁理士】
【氏名又は名称】狩野 芳正
(74)【代理人】
【識別番号】100117617
【弁理士】
【氏名又は名称】中尾 圭策
(72)【発明者】
【氏名】原 郁紀
(72)【発明者】
【氏名】石橋 功至
【テーマコード(参考)】
5K067
【Fターム(参考)】
5K067AA13
5K067AA14
5K067EE02
5K067EE10
5K067GG01
5K067KK03
(57)【要約】
【課題】複数の端末と基地局との間の無線通信を、低遅延で、かつ、効率よく行う。
【解決手段】通信プログラムは、複数の端末との無線通信を行う基地局の処理を、基地局の演算装置に実行させて実現する。処理は、時間同期している複数の端末のうちの少なくとも1つのアクティブ端末が、互いに独立にかつ基地局に対してグラントフリーに送信する、複数のOFDMシンボルを含むリソースブロック信号を、複数のアンテナ素子で受信することと、リソースブロック信号に基づいてアクティブ端末を検出することと、アクティブ端末から基地局へリソースブロック信号が伝播した伝播路のインパルス応答を推定することと、インパルス応答に基づいて伝播路の周波数応答を補完することと、周波数応答に基づいてリソースブロックに含まれるデータを推定することとを含む。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の端末との無線通信を行う基地局の処理を、前記基地局の演算装置に実行させることによって実現する通信プログラムであって、
前記処理は、
時間同期している前記複数の端末のうちの、少なくとも1つのアクティブ端末が、互いに独立に、かつ、前記基地局に対してグラントフリーに送信する、複数のOFDMシンボルを含むリソースブロック信号を、複数のアンテナ素子を含むアンテナで受信することと、
前記リソースブロック信号に基づいて、前記アクティブ端末を検出することと、
検出した前記アクティブ端末から前記基地局へ前記リソースブロック信号が伝播した伝播路のインパルス応答を推定することと、
推定した前記インパルス応答に基づいて、前記伝播路の周波数応答を補完することと、
補完した前記周波数応答に基づいて、前記リソースブロック信号に含まれるデータを推定することと
を含む
通信プログラム。
【請求項2】
請求項1に記載の通信プログラムにおいて、
前記インパルス応答を推定することは、
前記複数の端末から前記複数のアンテナ素子の各々への前記伝播路のそれぞれについて、前記複数のアンテナ素子が受信した前記リソースブロック信号に含まれるパイロット情報の各々との組み合わせに係るインパルス応答を推定すること
を含む
通信プログラム。
【請求項3】
請求項1または2に記載の通信プログラムにおいて、
前記周波数応答を補完することは、
前記リソースブロック信号の内部に拡散されている信号をインパルス応答の推定値に基づいて変換することによって前記周波数応答を推定すること
を含む
通信プログラム。
【請求項4】
複数の端末との無線通信を行う基地局であって、
時間同期している前記複数の端末のうちの、少なくとも1つのアクティブ端末が、互いに独立に、かつ、前記基地局に対してグラントフリーに送信する、複数のOFDMシンボルを含むリソースブロック信号を受信する複数のアンテナ素子を含むアンテナと、
演算装置と
を備え、
前記演算装置は、
前記リソースブロック信号に基づいて、前記アクティブ端末を検出し、
検出した前記アクティブ端末から前記基地局へ前記リソースブロック信号が伝播した伝播路のインパルス応答を推定し、
推定した前記インパルス応答に基づいて、前記伝播路の周波数応答を補完し、
補完した前記周波数応答に基づいて、前記リソースブロック信号に含まれるデータを推定する
基地局。
【請求項5】
基地局と、
前記基地局と無線通信を行う複数の端末と
を備え、
前記複数の端末は、時間同期しており、少なくとも1つのアクティブ端末を含み、
前記少なくとも1つのアクティブ端末は、互いに独立に、かつ、前記基地局に対してグラントフリーに、複数のOFDMシンボルを含むリソースブロック信号を送信し、
前記基地局は、
複数のアンテナ素子を含み、前記リソースブロック信号を受信するアンテナと、
演算装置と
を備え、
前記演算装置は、
前記リソースブロック信号に基づいて、前記アクティブ端末を検出し、
検出した前記アクティブ端末から前記基地局へ前記リソースブロック信号が伝播した伝播路のインパルス応答を推定し、
推定した前記インパルス応答に基づいて、前記伝播路の周波数応答を補完し、
補完した前記周波数応答に基づいて、前記リソースブロック信号に含まれるデータを推定する
通信システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は通信プログラムと、この通信プログラムを用いて動作する基地局と、この基地局を用いる通信システムとに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、IoT(Internet of Things:モノのインターネット)などの発展により、多数の無線端末による低遅延通信の実現が、第5世代移動通信システムの高度化(Beyond 5G)や、第6世代移動通信システム(6G)などで求められている。
【0003】
この解決策として、多数の無線端末が基地局からの許可(グラント)を受けずにランダムに伝送を行うことのできる、GF-NOMA(Grant Free Non Orthogonal Multiple Access:グラントフリー非直交多元接続)が注目を集めている。
【0004】
しかしながら、GF-NOMAではアクティブとなる無線端末、通信路利得および送信データの全てを推定する必要があり、遅延を数ミリ秒以下に抑えようとする厳しい制約下では、多数の無線端末によるデータ伝送を可能とする有効な検討がなされていない。
【0005】
上記に関連して、特許文献1(特開2019-004311号公報)には、送信装置が開示されている。この送信装置は、設定部と、通信処理部とを備える。この設定部は、グラントフリー送信可能リソース、及び互いに異なる所定の情報に対応する複数の送信パターンに関する設定を行う。この通信処理部は、グラントフリー送信可能リソースにおいて、複数の送信パターンの中から選択した送信パターンを用いてデータをグラントフリー送信する。
【0006】
また、特許文献2(特表2020-524437号公報)には、無線デバイスによって、第1のタイプの構成済み周期的許可の1つ以上の第1の構成パラメータを含む無線リソース制御メッセージを受信する方法が開示されている。この方法において、1つ以上の第1の構成パラメータは、第1のタイプの構成済み周期的許可のアップリンク許可のリソースを識別するタイミングオフセットおよびシンボル番号と、第1のタイプの構成済み周期的許可の第1の周期性であって、第1の周期性が、第1のタイプの構成済み周期的許可の2つの続くリソース間の時間間隔を示す、第1の周期性と、第1のタイプの構成済み周期的許可の1つ以上の復調基準信号パラメータと、を示す。この方法は、無線リソース制御メッセージに応答して、構成済み周期的許可をアクティブ化することと、タイミングオフセット、シンボル番号、および第1の周期性に基づいて、第1のタイプの構成済み周期的許可のアップリンク許可のリソースの1つ以上のシンボルを決定することと、リソースを介して、1つ以上の復調基準信号パラメータを用いる1つ以上のトランスポートブロックを送信することと、を含む。
【0007】
また、非特許文献1(Y. Zhou, M. Herdin, A. M. Sayeed, E. Bonek著、「Experimental study of MIMO channel statics and capacity via the virtual channel representation」、Univ. Wisconsin-Madison Tech. Rep.、2007年)には、端末と基地局の間の伝播路における周波数応答のモデルが記載されている。
【0008】
また、非特許文献2(M. Ke, Z. Gao, Y. Wu, et al.著、「Compressive sensing-based adaptive active user detection and channel estimation: Massive access meets massive MIMO」、IEEE Trans. Signal Process.、vol. 68、pp. 764-779、2020年1月)には、GMMV-AMP(Generalized Multiple Measurement Vector Approximate Message Passing)が記載されている。
【0009】
また、非特許文献3(T. Takahashi, S. Ibi, and S. Sampei著、「Design of adaptively scaled belief in multi-dimensional signal detection for higher-order modulation」、IEEE Trans. Commun.、vol. 67、no. 3、pp. 1986-2001、2019年3月)には、GaBP(Gaussian Belief Propagation:ガウス近似確率伝播法)が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2019-004311号公報
【特許文献2】特表2020-524437号公報
【非特許文献】
【0011】
【非特許文献1】Y. Zhou, M. Herdin, A. M. Sayeed, E. Bonek著、「Experimental study of MIMO channel statics and capacity via the virtual channel representation」、Univ. Wisconsin-Madison Tech. Rep.、2007年
【非特許文献2】M. Ke, Z. Gao, Y. Wu, et al.著、「Compressive sensing-based adaptive active user detection and channel estimation: Massive access meets massive MIMO」、IEEE Trans. Signal Process.、vol. 68、pp. 764-779、2020年1月
【非特許文献3】T. Takahashi, S. Ibi, and S. Sampei著、「Design of adaptively scaled belief in multi-dimensional signal detection for higher-order modulation」、IEEE Trans. Commun.、vol. 67、no. 3、pp. 1986-2001、2019年3月
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
複数の端末と基地局との間の無線通信を、低遅延で、かつ、効率よく行う。その他の課題と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0013】
以下に、(発明を実施するための形態)で使用される番号を用いて、課題を解決するための手段を説明する。これらの番号は、(特許請求の範囲)の記載と(発明を実施するための形態)との対応関係を明らかにするために付加されたものである。ただし、それらの番号を、(特許請求の範囲)に記載されている発明の技術的範囲の解釈に用いてはならない。
【0014】
一実施の形態によれば、通信プログラムは、複数の端末との無線通信を行う基地局の処理を、基地局の演算装置に実行させることによって実現する。処理は、時間同期している複数の端末のうちの、少なくとも1つのアクティブ端末が、互いに独立に、かつ、基地局に対してグラントフリーに送信する、複数のOFDMシンボルを含むリソースブロック信号を、複数のアンテナ素子を含むアンテナで受信することと、リソースブロック信号に基づいてアクティブ端末を検出することとを含む。処理は、検出したアクティブ端末から基地局へリソースブロック信号が伝播した伝播路のインパルス応答を推定することとをさらに含む。処理は、推定したインパルス応答に基づいて伝播路の周波数応答を補完することと、補完した周波数応答に基づいてリソースブロックに含まれるデータを推定することとをさらに含む。
【0015】
一実施の形態によれば、基地局は、複数の端末との無線通信を行う。基地局は、アンテナと、演算装置とを備える。アンテナは、時間同期している複数の端末のうちの、少なくとも1つのアクティブ端末が、互いに独立に、かつ、基地局に対してグラントフリーに送信する、複数のOFDMシンボルを含むリソースブロック信号を受信する複数のアンテナ素子を含む。演算装置は、リソースブロック信号に基づいてアクティブ端末を検出し、検出したアクティブ端末から基地局へリソースブロック信号が伝播した伝播路のインパルス応答を推定し、推定したインパルス応答に基づいて伝播路の周波数応答を補完し、補完した周波数応答に基づいてリソースブロックに含まれるデータを推定する。
【0016】
一実施の形態によれば、通信システムは、基地局と、基地局と無線通信を行う複数の端末とを備える。複数の端末は、時間同期しており、少なくとも1つのアクティブ端末を含む。少なくとも1つのアクティブ端末は、互いに独立に、かつ、基地局に対してグラントフリーに、複数のOFDMシンボルを含むリソースブロック信号を送信する。基地局は、複数のアンテナ素子を含み、リソースブロック信号を受信するアンテナと、演算装置とを備える。演算装置は、リソースブロック信号に基づいてアクティブ端末を検出し、検出したアクティブ端末から基地局へリソースブロック信号が伝播した伝播路のインパルス応答を推定し、推定したインパルス応答に基づいて伝播路の周波数応答を補完し、補完した周波数応答に基づいてリソースブロックに含まれるデータを推定する。
【発明の効果】
【0017】
一実施の形態によれば、複数の端末と基地局との間の無線通信を、低遅延で、かつ、効率よく行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1図1は、一実施の形態による通信システムの一構成例を示す図である。
図2図2は、一実施の形態による基地局の一構成例を示すブロック回路図である。
図3図3は、一実施の形態による端末の一構成例を示すブロック回路図である。
図4図4は、一実施の形態による通信プログラムの一構成例を示すフローチャートである。
図5図5は、一実施の形態によるリソースブロックの一構成例を示す図である。
図6A図6Aは、一実施の形態で行われる演算の一例を概略的に示す図である。
図6B図6Bは、関連技術で行われる演算の一例を概略的に示す図である。
図7図7は、一実施の形態による通信システムの動作をシミュレーションするために用いる諸元の一例を示す表である。
図8図8は、一実施の形態による通信システムの動作のシミュレーション結果の一例を示すグラフである。
図9図9は、一実施の形態による通信システムの動作のシミュレーション結果の一例を示すグラフである。
図10図10は、一実施の形態による通信システムの動作のシミュレーション結果の一例を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
添付図面を参照して、本発明による通信プログラム、基地局および通信システムを実施するための形態を以下に説明する。
【0020】
(実施の形態)
図1に示すように、一実施の形態による通信システム1は、基地局2と、複数の端末3とを含む。基地局2は、複数の端末3との間で無線通信を行う。
【0021】
図2に示すように、基地局2は、バス20と、アンテナ21と、演算装置22と、記憶装置23とを備える。バス20は、アンテナ21、演算装置22および記憶装置23を、互いに通信可能に接続している。
【0022】
アンテナ21は、図1に示した複数のアンテナ素子211~21Mを備えるアレイアンテナである。アンテナ素子211~21Mの総数をアンテナ素子数Mとして示す。一例として、アンテナ21は、M個のアンテナ素子211~21Mを、所定の間隔で配置した線形アレイアンテナであってもよい。ここで、所定の間隔は、無線通信で使用する周波数の半波長であってもよい。
【0023】
基地局2は、いわゆるコンピュータを含んでいてもよい。つまり、基地局2が有する機能は、演算装置22が、記憶装置23に格納されている所定のプログラムを実行することによって実現される処理を含んでいてもよい。一例として、演算装置22が、記憶装置23に格納されている通信プログラム231を実行することによって、基地局2は端末3との間で無線通信を行ってもよい。
【0024】
通信プログラム231は、非一時的で有形の記録媒体24から読み出されて記憶装置23に格納されたものであってもよい。通信プログラム231は、アンテナ21または他の図示しないインタフェースを介して受信されて記憶装置23に格納されたものであってもよい。
【0025】
図3に示すように、端末3は、バス30と、アンテナ31と、演算装置32と、記憶装置33とを備える。バス30は、アンテナ31、演算装置32および記憶装置33を、互いに通信可能に接続している。
【0026】
端末3は、いわゆるコンピュータを含んでいてもよい。つまり、端末3が有する機能は、演算装置32が、記憶装置33に格納されている所定のプログラムを実行することによって実現される処理を含んでいてもよい。一例として、演算装置32が、記憶装置33に格納されている通信プログラム331を実行することによって、端末3は基地局2との間で無線通信を行ってもよい。
【0027】
通信プログラム331は、非一時的で有形の記録媒体34から読み出されて記憶装置33に格納されたものであってもよい。通信プログラム331は、アンテナ31または他の図示しないインタフェースを介して受信されて記憶装置33に格納されたものであってもよい。
【0028】
一般的に、端末3は、限られた時間帯において基地局2との間で無線通信を行い、他の時間帯においては基地局2との間で無線通信を行わない。図1の例では、無線通信を行っている状態の端末3を、無線通信を行っていない状態の端末3と区別して、アクティブ端末3A、3B、3Cと表している。
【0029】
複数の端末3の総数を、端末数Kと呼ぶ。また、ある瞬間におけるアクティブ端末3A、3B、3Cの総数を、アクティブ端末数Kaと呼ぶ。図1の例では、Kは8であり、Kaは3であるが、これらの数値は一例にすぎず、一実施形態を限定しない。
【0030】
アクティブ端末3A、3B、3Cのそれぞれは、図1に示された瞬間においては基地局2との間で無線通信を行っている状態にあるが、別の瞬間においては基地局2との間で無線通信を行っていない状態にあってもよい。また、図1に示されたアクティブ端末3A、3B、3C以外の端末3は、図1に示された瞬間においては基地局2との間で無線通信を行っていない状態にあるが、別の瞬間においては基地局2との間で無線通信を行っている状態にあってもよい。
【0031】
一実施の形態において、アクティブ端末3A、3B、3Cは、互いに独立に、かつ、グラントフリーに、送信信号を基地局2に送信する。言い換えれば、基地局2は、複数の端末3のうちのどれがアクティブ端末3A、3B、3Cであるかを把握する前に、アクティブ端末3A、3B、3Cから送信された信号を受信する。また、アクティブ端末3A、3B、3Cを含む複数の端末3も、どの端末3がアクティブ端末3A、3B、3Cであるかを把握していなくてよい。ただし、アクティブ端末3A、3B、3Cを含む複数の端末3は、時間同期している。
【0032】
図4のフローチャートを参照して、一実施の形態による通信システム1の動作の一例について説明する。図4のフローチャートでは、主に基地局2の動作について説明する。基地局2が動作を開始すると、図4のフローチャートのステップS01が実行される。ステップS01が実行される前に、複数の端末3が時間を同期していることが好ましい。
【0033】
ステップS01において、複数の端末3のうちのアクティブ端末3A、3B、3Cが、互いに独立に信号を送信し、基地局2はこれらの信号を、複数のアンテナ素子211~21Mのそれぞれで受信する。このとき、アクティブ端末3A、3B、3Cは、基地局2からのグラントを取得してない。言い換えれば、アクティブ端末3A、3B、3Cは、信号の送信をグラントフリーに行う。
【0034】
アクティブ端末3A、3B、3Cのそれぞれが送信する信号の単位をリソースブロックと呼ぶ。1つのリソースブロックは、複数のOFDMシンボルを含む。アクティブ端末3A、3B、3Cのそれぞれが送信する信号を、便宜上、リソースブロック信号と呼ぶ。
【0035】
図5は、一実施の形態によるリソースブロック信号の一構成例を示す図である。図5において、横軸は時間を表し、縦軸は周波数を表す。時間軸上の単位時間を、便宜上、時間スロットと呼ぶ。また、周波数軸上の単位周波数幅を、便宜上、サブキャリア幅と呼ぶ。全てのアクティブ端末3A、3B、3Cが送信するリソースブロック信号は、同じ構成を有している。
【0036】
リソースブロック信号の構成について説明する。図5に示すように、1つのリソースブロック信号は、複数の時間スロットにまたがっており、また、複数のサブキャリア幅にまたがっている。1つのリソースブロック信号は、時間スロットごとに1つのOFDMシンボルを含む。言い換えれば、1つのリソースブロック信号は、連続する複数の時間スロットのそれぞれに1つずつ送信される複数のOFDMシンボルとして構成される。1つのリソースブロック信号に含まれるOFDMシンボルの総数を、OFDMシンボル数Tと呼ぶ。
【0037】
1つのOFDMシンボルは、データを送信するためのデータ用サブキャリアと、その他の情報を送信するためのパイロット用サブキャリアとを含む。1つのOFDMシンボルのうち、データ用サブキャリアの集合を、データ部と呼ぶ。1つのデータを複数のサブキャリアに直接マッピングしながら送信するため、1つのデータを送信するのに用いるサブキャリア数を、データサブキャリア数Dと呼ぶ。1つのOFDMシンボルに含まれるパイロット用サブキャリアの総数を、パイロットサブキャリア数Pと呼ぶ。1つのOFDMシンボルのうち、パイロット用サブキャリアの集合を、パイロット部と呼ぶ。アクティブ端末3A、3B、3Cは、それぞれ固有の非直交系列を用いて、パイロット情報をパイロット部に配置し、上述のマッピングに従って、データをデータ部に配置する。
【0038】
図5の例では、データ用サブキャリアを白く表しており、パイロット用サブキャリアを薄いハッチングで表している。なお、図5の例では、使用されない不使用サブキャリアを濃いハッチングで表している。FFT(Fast Fourier Transform:高速フーリエ変換)を行うデータの総数をFFTサイズと呼ぶとき、FFTサイズは2のべき乗である必要があるが、1つのOFDMシンボルで使用されるサブキャリアの総数が2のべき乗ではない場合に、FFTサイズとの差を埋めるために不使用サブキャリアが定義されてもよい。
【0039】
図5に示すように、一実施の形態では、データ用サブキャリアを時間の経過に関わらず常に同じ周波数帯域に配置してもよい。同様に、一実施の形態では、パイロット用サブキャリアを時間の経過に関わらず常に同じ周波数帯域に配置してもよい。
【0040】
基地局2が受信するリソースブロックのうち、OFDMシンボルのパイロット部に対応する受信信号について説明する。基地局2は、まず、受信したリソースブロックに含まれるT個のOFDMシンボルのそれぞれについて、CP(Cyclic Prefix:サイクリックプレフィックス)の除去を行う。基地局2が受信した信号のうち、CPを除去したt番目のOFDMシンボルのパイロット部に対応する部分を、パイロット部受信信号y(t)と呼ぶ。パイロット部受信信号y(t)は、以下の「数1」式のように表現できる。
【数1】
【0041】
「数1」式において、「A」はアクティブ端末3A、3B、3Cの集合である。「k」は端末3の番号である。「t」はOFDMシンボルの番号である。「s (t)」はk番目の端末3のt番目のOFDMシンボルにおける拡散系列であり、P個の複素数要素で構成されるベクトルであり、これらP個の複素数のそれぞれの振幅値は1である(1からPまでの整数pにおいて|sk,p (t)|=1)。「G」はk番目の端末3と基地局2との間のCFR(Channel Frequency Response:伝播路の周波数応答)であり、[gk,1,・・・,gk,Pで表されるP行M列の行列であり、1からPまでの整数pにおいて「gk,p」はM個の複素数要素で構成されるベクトルであり、一実施形態では非特許文献1(Y. Zhou, M. Herdin, A. M. Sayeed, E. Bonek著、「Experimental study of MIMO channel statics and capacity via the virtual channel representation」、Univ. Wisconsin-Madison Tech. Rep.、2007年)に記載のモデルに従う。「Z(t)」は雑音であり、P×M個の複素数要素で構成されるP行M列の行列であり、これらの要素のそれぞれはCN(0,σ )に従う。
【0042】
ステップS02において、基地局2は、複数の端末3の中からアクティブ端末3A、3B、3Cを検出する。言い換えれば、基地局2は、K個の端末3のそれぞれが、アクティブ端末集合Aに含まれるかどうかを推定する。アクティブ端末3A、3B、3Cの検出には、非特許文献2(M. Ke, Z. Gao, Y. Wu, et al.著、「Compressive sensing-based adaptive active user detection and channel estimation: Massive access meets massive MIMO」、IEEE Trans. Signal Process.、vol. 68、pp. 764-779、2020年1月)に記載のGMMV-AMP(Generalized Multiple Measurement Vector Approximate Message Passing)アルゴリズムが用いられてもよい。GMMV-AMPアルゴリズムによって算出される信用指標(Belief Indicator)γk,m (q)を用いて、k番目の端末3について指標γk,maxが得られる。k番目の端末3について指標γk,maxは、以下の「数2」式のように定義される。
【数2】
【0043】
「数2」式において、「k」は端末3の番号であり、1からKまでの整数である。「l」は伝播路の番号であり、1からLまでの整数である。「L」はCIR(Channel Impulse Response:伝播路のインパルス応答)のタップ長である。「q」はGMMV-AMPアルゴリズムに含まれる繰り返し処理を繰り返した回数を表す整数である。
【0044】
k番目の端末3の指標γk,maxは0から1までの範囲に含まれ、指標γk,maxが1に近ければ近いほどk番目の端末3がアクティブ端末集合Aに含まれている期待値が高く、反対に指標γk,maxが0に近ければ近いほどk番目の端末3がアクティブ端末集合Aに含まれていない期待値が高い。そこで、0と1との間の閾値を適宜に設定し、k番目の端末3の指標γk,maxがこの閾値より大きければk番目の端末3はアクティブ端末集合Aに含まれると推定し、反対にk番目の端末3の指標γk,maxがこの閾値以下であればk番目の端末3はアクティブ端末集合Aに含まれないと推定する。閾値は、例えば1/2である。閾値の設定は、ステップS01が実行される前に行われてもよい。
【0045】
ステップS03において、基地局2は、アクティブ端末3A、3B、3Cと、アンテナ素子211~21Mとの間の伝播路のそれぞれについて、インパルス応答を推定する。インパルス応答の推定値は、以下の「数3」式の関係により得られる。一実施の形態によれば、伝播路のインパルス応答を直接的に推定することに注目されたい。
【数3】
【0046】
「数3」式において、「X(q)」(正確には、「X」の上にハット記号がある)は、GMMV-AMPアルゴリズムにおけるq回目の繰り返し処理における受信信号の推定値である。「P」はパイロットサブキャリア数である。「T」はOFDMシンボル数である。「H」(正確には、「H」の上にハット記号がある)はインパルス応答の推定値である。
【0047】
ステップS04において、基地局2は、推定したインパルス応答に基づいて、データ部に対応する周波数応答を補完する。「数1」式の周波数応答「G」のうち、k番目の端末3と基地局2との間のp番目のパイロット用サブキャリアにおける周波数応答は、以下の「数4」式のようにモデル化される。
【数4】
【0048】
「数4」式において、「Lpath」は伝播路の総数である。1からLpathまでの整数lにおいて「βk,l」はl番目の伝播路のチャネル利得であり、CN(0,1/Lpath)に従う。「φk,l」はk番目の端末3からl番目の伝播路を介して基地局2のアンテナ21に信号が到達する到来角である。「a(φk,l)」は到来角φk,lに応じたアンテナアレイ応答ベクトルである。「τk,l」はl番目の伝播路の遅延量であり、[0,Ncp/B]の範囲に含まれ、「Ncp」はCP長(サイクリックプレフィックスの長さ)であり、「B」は帯域幅である。「N」は全サブキャリア数である。
【0049】
「数1」式を、インパルス応答を用いて表現し直すと、以下の「数5」が得られる。
【数5】
【0050】
「数5」式において、「FP,L」(正確には、「F」の上にバー記号がある)はN行N列の離散フーリエ変換行列のパイロット部に対応する、P行L列の、各列のノルムを正規化した行列である。「P」はパイロットサブキャリア数である。「L」はインパルス応答のタップ長である。「H」はk番目の端末3と基地局2との間のインパルス応答であり、L行M列の行列である。「M」はアンテナ素子数である。「A(t)」は以下のように定義される。
(t)=[A (t),...,A (t)
ここで、端末3の番号kが1からKまでの整数であるとき、A (t)は以下の「数6」式のように定義される。
【数6】
【0051】
「数5」式において、「H」(正確には、「H」の上にチルダ記号がある)は以下の「数7」式のように定義される。
【数7】
ここで、端末3の番号kが1からKまでの整数であるとき、「H」(正確には、「H」の上にチルダ記号がある)は、以下の「数8」式のように定義される。
【数8】
【0052】
ステップS05において、基地局2は、受信したリソースブロック信号に含まれるデータ部のデータを推定する。このとき、ステップS02で推定したアクティブ端末3A、3B、3Cに対応する、ステップS04で得られた周波数応答を用いて、データの推定を行う。非特許文献3(T. Takahashi, S. Ibi, and S. Sampei著、「Design of adaptively scaled belief in multi-dimensional signal detection for higher-order modulation」、IEEE Trans. Commun.、vol. 67、no. 3、pp. 1986-2001、2019年3月)に記載されたGaBP(Gaussian Belief Propagation:ガウス近似確率伝播法)を用いることで、リソースブロック信号のデータ部を、以下の「数9」式に基づいて効率的に推定することができる。
【数9】
【0053】
「数9」式において、「y1,d (t)」~「yM,d (t)」は、mが1からMまでの整数であるときの、以下の「数10」式で表される。
【数10】
【0054】
「数10」式において、「ym,d (t)」はt番目のOFDMシンボルのデータ部に対応する、m番目のアンテナ素子21mで受信した信号である。「xk,d (t)」はk番目の端末3のデータシンボルである。「gk,d,m」はデータ部に対応するk番目の端末3と基地局2との間の伝播路の周波数応答である。「Gd,m」はアクティブ端末3A、3B、3Cの周波数応答を横方向に並べて得られる行列である。「x (t)」はアクティブ端末3A、3B、3Cのデータシンボルを並べて得られるベクトルである。「zm,d (t)」は各要素がCN(0,σ )に従う雑音である。
【0055】
残りのデータについては、以下の「数11」式を用いて補完することができる。
【数11】
【0056】
「数11」式において、mが1からMまでの整数であるとき、「gk,d,m」(正確には、「g」の上にハット記号がある)はk番目の端末3から送信され、d番目のデータ用サブキャリアに含まれ、m番目のアンテナ素子21mで受信された周波数応答の推定値である。「M」はアンテナ素子数である。「FD,L」はN行N列の離散フーリエ変換行列のデータ部に対応する、D行L列の行列である。「D」はデータサブキャリア数である。「L」はインパルス応答のタップ数である。「H」(正確には、「H」の上にはハット記号がある)はk番目の端末3のインパルス応答の推定値である。
【0057】
T個のOFDMシンボル全体に対応した受信信号は、以下の「数12」式で与えられる。
【数12】
【0058】
「数12」式において、「A」は観測行列であり、以下の「数13」式のように定義され、また、以下の「数14」式の条件を満たす。
【数13】
【数14】
【0059】
「数12」式において、「X」は所望信号であり、以下の「数15」式のように定義される。
【数15】
なお、遅延領域における伝播路のスパース性により、所望信号Xは行スパースな行列であり、非特許文献2のGMMV-AMPアルゴリズムを用いて推定される。
【0060】
このように、一実施の形態では、アンテナ領域と遅延時間領域に係るインパルス応答を推定し、拡散されている受信信号をインパルス応答の推定値に基づいて変換することによって周波数応答を推定する。その一方で、関連技術においては、アンテナ領域と周波数領域に係る周波数応答を推定する。この違いを、図6A図6Bとを参照して概略的に説明する。
【0061】
図6Aは、一実施の形態で行われる演算の一例を概略的に示す図である。左側の列にある太線の正方形は、M個のアンテナ素子211~21Mのそれぞれが受信したP×T個のパイロット情報にそれぞれ対応するM×P×T個のノードを表す。中央の列にある円は、アンテナ素子211~21Mのそれぞれが受信した信号が伝播したK×L個の伝播路のインパルス応答にそれぞれ対応するM×K×L個のノードを表す。右側の列にあるハッチングされた正方形は、それぞれのアンテナ素子211~21Mのそれぞれに対応するK×L個のインパルス応答が非零になるかどうかという状態を模擬するM×K×L個のノードを表す。
【0062】
左側の列にある太線の正方形の各々は、中央の列にある円の各々に接続されており、これらの接続を示す線のそれぞれは、それぞれの線が接続する正方形と円が表すパイロット情報と伝播路との組み合わせに係る演算を行うことを示している。言い換えれば、一実施の形態では、複数の端末3から複数のアンテナ素子211~21Mの各々への伝播路のそれぞれについて、複数のアンテナ素子211~21Mが受信したリソースブロック信号に含まれるパイロット情報の各々との組み合わせに係るインパルス応答を推定する。中央の列にある円と、右側の列にある細線の正方形とは、行ごとに一対一対応で接続されており、これらの接続を示す線のそれぞれは、伝播路のインパルス応答の値に応じて、対応する端末3がアクティブか非アクティブかを推定する演算、すなわち、アクティブ端末3A、3B、3Cの検出に関する演算を行うことを示している。
【0063】
図6Bは、関連技術で行われる演算の一例を概略的に示す図である。図6Bは、P枚のレイヤーを含んでいる。これらのレイヤーは、P個のパイロット用サブキャリアのそれぞれにおいて独立した演算が行われることを示している。それぞれのレイヤーにおいて、左側の列にある太線の正方形は、M個のアンテナ素子211~21Mのそれぞれが受信したT個のパイロット情報にそれぞれ対応するM×T個のノードを表す。それぞれのレイヤーにおいて、中央の列にある円は、それぞれのアンテナ素子211~21Mと、K個の端末3との間で行われる無線通信の周波数応答とにそれぞれ対応するM×K個のノードを表す。それぞれのレイヤーにおいて、右側の列にあるハッチングされた正方形は、それぞれのアンテナ素子211~21Mに対応する伝播路の周波数応答が非零になるかどうかという状態を模擬するM×K個のノードを表す。
【0064】
左側の列にある太線の正方形の各々は、中央の列にある円の各々に接続されており、これらの接続を示す線のそれぞれは、それぞれの線が接続する正方形と円が表すパイロット情報と端末3との組み合わせに係る演算を行うことを示している。言い換えれば、パイロット情報と端末3との組み合わせごとに周波数応答の推定を行うことを示している。中央の列にある円と、右側の列にある細線の正方形とは、行ごとに一対一対応で接続されており、これらの接続を示す線のそれぞれは、伝播路の周波数応答の値に応じて、対応する端末3がアクティブか非アクティブかを推定する演算、すなわち、アクティブ端末3A、3B、3Cの検出に関する演算を行うことを示している。
【0065】
このように、図6Bに示した関連技術ではサブキャリアごとに独立して周波数応答の推定を行う。その一方で、図6Aに示した一実施の形態では全てのサブキャリアをまとめてインパルス応答の推定を行い、インパルス応答の推定値に基づいて周波数応答の推定を行う。
【0066】
図7に示すシミュレーション諸元を用いてコンピュータシミュレーションを行い、一実施の形態によるシミュレーション結果と、理論値と、図6Bに係る関連技術によるシミュレーション結果とを比較した結果を以下に示す。
【0067】
図8は、一実施の形態による通信システム1の動作のシミュレーション結果の一例を示すグラフである。図8において、横軸はSNR(Signal to Noise Ratio:信号対雑音比)を示し、縦軸はNMSE(Normalized Mean Square Error:正規化平均二乗誤差)を示す。図8はグラフG1、G2、G3を含む。グラフG1は、一実施形態によるシミュレーション結果を示す。グラフG2は、一実施形態においてアクティブ端末集合Aが既知である場合の理論値を示す。グラフG3は、図6Bに係る関連技術によるシミュレーション結果を示す。
【0068】
図8に示すように、グラフG1はグラフG3よりも下側に位置しており、このことは一実施の形態の性能が関連技術の性能を上回っていることを示している。また、グラフG1とグラフG2との差は小さく、このことは一実施の形態の性能が理想に近いことを示している。
【0069】
図9は、一実施の形態による通信システム1の動作のシミュレーション結果の一例を示すグラフである。図9において、横軸はSNRを示し、縦軸はAER(Activity Error Rate:アクティビティエラーレート)を示す。図9はグラフG4、G5を含む。グラフG4は、一実施形態によるシミュレーション結果を示す。グラフG5は、図6Bに係る関連技術によるシミュレーション結果を示す。
【0070】
図9に示すように、グラフG4はグラフG5よりも下側に位置しており、このことは一実施の形態の性能が関連技術の性能を上回っていることを示している。
【0071】
図10は、一実施の形態による通信システム1の動作のシミュレーション結果の一例を示すグラフである。図10において、横軸はSNRを示し、縦軸はBER(Bit Error Rate:ビットエラーレート)を示す。図10はグラフG6、G7、G8を含む。グラフG6は、一実施形態によるシミュレーション結果を示す。グラフG7は、一実施形態においてアクティブ端末集合Aが既知である場合の理論値を示す。グラフG8は、一実施形態においてアクティブ端末集合Aと伝播路が既知である場合の理論値を示す。
【0072】
図10に示すように、グラフG6はグラフG7およびグラフG8より上側に位置しているものの、グラフG7との差は非常に小さく、グラフG8との差も十分小さい。このことは、一実施の形態の性能が十分に良いと評価できることを示している。
【0073】
以上に説明したように、一実施の形態によれば、複数の端末3と基地局2との間の無線通信を、低遅延で、かつ、効率よく行うことができる。
【0074】
一実施の形態の変形例について説明する。図5の例では、1つのリソースブロックのパラメータが、時間軸上の長さは時間スロットの8倍であり、周波数軸上の長さは単位サブキャリアの12倍である場合について説明したが、これらの数値は一例であり、一実施の形態を限定しない。例えば、リソースブロックの時間軸上のパラメータと周波数軸上のパラメータを第5世代移動通信システムのパラメータに一致させることで、一実施の形態による通信プログラム231、基地局2および通信システム1を第5世代移動通信システムで使用することが可能となる。
【0075】
以上、発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。また、実施の形態に説明したそれぞれの特徴は、技術的に矛盾しない範囲で自由に組み合わせることが可能である。
【符号の説明】
【0076】
1 通信システム
2 基地局
20 バス
21 アンテナ
211~21M アンテナ素子
22 演算装置
23 記憶装置
231 通信プログラム
24 記録媒体
3 端末
3A、3B、3C アクティブ端末
30 バス
31 アンテナ
32 演算装置
33 記憶装置
331 通信プログラム
34 記録媒体
帯域幅
D データサブキャリア数
G1、G2、G3、G4、G5、G6、G7、G8 グラフ
K 端末数
Ka アクティブ端末数
L インパルス応答のタップ長
path 伝播路数
M アンテナ素子数
N 全サブキャリア数
P パイロットサブキャリア数
T OFDMシンボル数
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図7
図8
図9
図10