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  • 特開-体動監視装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022130913
(43)【公開日】2022-09-07
(54)【発明の名称】体動監視装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/113 20060101AFI20220831BHJP
   G08B 21/02 20060101ALI20220831BHJP
【FI】
A61B5/113
G08B21/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021029564
(22)【出願日】2021-02-26
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BLUETOOTH
(71)【出願人】
【識別番号】520202935
【氏名又は名称】株式会社プレシャスケア
(74)【代理人】
【識別番号】100140866
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 武史
(72)【発明者】
【氏名】金 俊
【テーマコード(参考)】
4C038
5C086
【Fターム(参考)】
4C038VA04
4C038VB01
4C038VB33
5C086AA22
5C086BA07
5C086CA25
5C086FA02
5C086GA01
(57)【要約】
【課題】苦慮なく簡単に装着可能で、しかも廉価に実現することができる体動監視装置を提供する。
【解決手段】使用者の着衣に装着され、身体の動きを監視する体動監視装置Aは、動きを検知する検知センサ21と、検知センサ21を収容する検知部2と、検知センサ21に接続され、当該検知センサ21からの信号に応じて報知可能なブザー機構B1、バイブレーション機構B2(報知手段)と、報知手段を収容する本体部1とを備える。検知部2と本体部1との間には、着衣を挟持可能な隙間Sが設けられ、検知センサ21は、検知部2において使用者の身体側に曲げ変形可能に配置される板バネ21Bを有する。検知部2は、板バネ21Bを覆いつつ使用者の身体側に膨出する弾性カバー22を有する。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用者の着衣に装着され、身体の動きを監視する体動監視装置であって、
動きを検知する検知手段と、
前記検知手段を収容する検知部と、
前記検知手段に接続され、当該検知手段からの信号に応じて報知可能な報知手段と、
前記報知手段を収容する本体部と、を備え、
前記検知部と前記本体部との間には、前記着衣を挟持可能な隙間が設けられ、
前記検知手段は、前記検知部において使用者の身体側に曲げ変形可能に配置される検知片を有し、
前記検知部は、前記検知片を覆いつつ使用者の身体側に膨出する弾性変形可能なカバーを有することを特徴とする、体動監視装置。
【請求項2】
前記検知片は、前記カバーの周端部から膨出した頂部へと延びていることを特徴とする、請求項1に記載の体動監視装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば乳幼児の動きを監視することが可能な体動監視装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば乳幼児の規則的な動きを監視するために、非接触式の近接センサを複数備え、少なくとも1つの近接センサから得られた測定距離のパターンが所定限度まで変化すると警報を発するように構成された体動監視装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6371302号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の体動監視装置では、測定距離のパターン認識や識別といった複雑な処理を行う制御回路を複数の近接センサと共に設けなければならないので、部品コストや価格が高騰しがちであった。また、予め定められた測定距離のパターンを基本として警報が発せられることから、取付位置によっては想定外の誤動作が発生するおそれがあるので、取付位置に留意しながら取り付けなければならいという煩わしさもあった。
【0005】
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであり、苦慮なく簡単に装着可能で、しかも廉価に実現することができる体動監視装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために、本発明は、以下のような特徴を有する。
【0007】
(1)使用者の着衣に装着され、身体の動きを監視する体動監視装置であって、
動きを検知する検知手段と、
前記検知手段を収容する検知部と、
前記検知手段に接続され、当該検知手段からの信号に応じて報知可能な報知手段と、
前記報知手段を収容する本体部と、を備え、
前記検知部と前記本体部との間には、前記着衣を挟持可能な隙間が設けられ、
前記検知手段は、前記検知部において使用者の身体側に曲げ変形可能に配置される検知片を有し、
前記検知部は、前記検知片を覆いつつ使用者の身体側に膨出する弾性変形可能なカバーを有することを特徴とする、体動監視装置。
【0008】
(1)の発明では、使用者の着衣に装着され、身体の動きを監視する体動監視装置が提供される。体動監視装置は、検知手段と、検知部と、報知手段と、本体部とを備える。
検知手段は、動きを検知する。
検知部は、検知手段を収容する。
報知手段は、検知手段に接続され、当該検知手段からの信号に応じて報知可能である。
本体部は、報知手段を収容する。
検知部と本体部との間には、着衣を挟持可能な隙間が設けられる。
検知手段は、検知部において使用者の身体側に曲げ変形可能に配置される検知片を有する。
検知部は、検知片を覆いつつ使用者の身体側に膨出する弾性変形可能なカバーを有する。
【0009】
(1)の発明によれば、検知部のカバーを使用者の身体側に対向させた姿勢で検知部と本体部との隙間に着衣を挟持させるように装着するだけでよいので、苦慮なく簡単に本装置を装着することができる。
また、単に一つの検知手段からの信号に応じて報知手段が報知するように構成されているので、部品点数や製造コストが抑えられることから、廉価に実現することができる。
【0010】
(2)前記検知片は、前記カバーの周端部から膨出した頂部へと延びていることを特徴とする、(1)に記載の体動監視装置。
【0011】
(2)の発明によれば、カバーの膨出した頂部が押圧されると検知片が曲げ変形し、それに応じて検知手段が使用者の動きを検知するので、機械式の簡易な検知手段を採用することができ、そのような検知手段でも正確に動きを検知して報知することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、苦慮なく簡単に装着可能で、しかも廉価に実現することができる体動監視装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の一実施形態に係る体動監視装置の外観斜視図である。
図2】本発明の一実施形態に係る体動監視装置の要部を上方から示す分解斜視図である。
図3】本発明の一実施形態に係る体動監視装置の要部を下方から示す分解斜視図である。
図4】本発明の一実施形態に係る体動監視装置の上面図である。
図5】本発明の一実施形態に係る体動監視装置の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。以下の説明において、同一又は類似の構成には同一の符号を付す。
【0015】
図1は、本発明の一実施形態に係る体動監視装置Aの外観斜視図であり、図2及び図3は、体動監視装置Aの要部(検知部2)を上方及び下方から示す分解斜視図である。図4は、体動監視装置Aの上面図であり、図5は、体動監視装置Aの断面図である。本実施形態の体動監視装置Aは、例えば乳幼児のうつ伏せ寝による乳幼児突然死症候群を予防すべく、乳幼児を使用者としてその動きを監視し、使用者の不適切な動態を検知した際に音や振動によってその旨を報知することが可能なものである。なお、本実施形態の体動監視装置Aは、例えば寝たきりの医療患者や要介護者等にも適用可能である。
【0016】
体動監視装置Aは、例えば使用者の背中付近にある着衣の端を挟み込むようにして使用される。体動監視装置Aは、大別すると本体部1と検知部2とを有して構成される。本体部1と検知部2との間には、着衣を挟み込むための隙間Sがある。
【0017】
図5に示すように、本体部1は、本体ベース部材10、本体カバー11、回路基板12、充電池13、報知手段としてのブザー機構B1やバイブレーション機構B2等を備える。検知部2は、検知ベース部材20、検知手段としての検知センサ21、弾性カバー22、滑り止めパッド23、固定用カバー24等を備える。
【0018】
本体ベース部材10は、本体部1の底部を形成し、回路基板12及び充電池13を保持する。本体ベース部材10の一端部には、本体カバー11が組み付けられる。
【0019】
本体カバー11は、卵状を呈し、本体部1の上部全体を形成する。本体カバー11は、ボス11Aを介して本体ベース部材10に組み付けられる。本体カバー11の両側部には、手で取り扱いやすくするための凸部110が形成されている。本体カバー11の先端部には、後述する充電コネクタ120を外部に露出させる充電口111が形成されている。
【0020】
回路基板12には、図示しない電源回路や制御回路が形成されているとともに、ブザー機構B1やバイブレーション機構B2、充電コネクタ120が搭載されている。充電コネクタ120は、電源回路を通じて充電池13と電気的に接続され、例えばUSBケーブルが接続可能である。図外の外部電源からUSBケーブルを介して充電コネクタ120に供給された電力は、電源回路を通じて過充電を防止しつつ充電池13に供給される。ブザー機構B1は、制御回路と電気的に接続され、後述する検知センサ21からの信号が途絶えた際に報知音としてブザー音を発する。バイブレーション機構B2は、制御回路と電気的に接続されたアンバランスウェイトモータにより構成され、後述する検知センサ21からの信号が途絶えた際に報知動作として振動を発生する。
【0021】
検知ベース部材20は、検知部2の中芯部を形成し、検知センサ21を先端部の下面側に保持する。検知ベース部材20の基端部は、本体カバー11のボス11Aに対して本体ベース部材10の一端部を挟みつつネジ30によって締結・固定される。検知ベース部材20の先端部から中央部付近までは、検知センサ21を覆いつつ上下両面全体が覆われるように弾性カバー22が装着される。図2に示すように、検知ベース部材20の上面には、弾性カバー22を位置決めしつつ滑り止めパッド23を嵌め込んで固定するためのボス孔20Aが複数設けられている。
【0022】
検知センサ21は、いわゆる板バネ接点方式の接触型センサであり、センサ本体21Aと、検知片としての板バネ21Bとを有する。センサ本体21Aは、回路基板12の制御回路と電気的に接続され、体動監視装置Aが使用者に対して異常なく装着された正常装着状態においては、板バネ21Bがセンサ本体21Aの図示しない接点と接触することで例えば一定レベルの検知信号を制御回路に出力する一方、異常な装着状態となり、板バネ21Bが接点に対して非接触状態となると、検知信号を出力しない状態となる。これにより、制御回路は、検知信号が途絶えた状態になると、ブザー機構B1やバイブレーション機構B2を作動させる。
【0023】
板バネ21Bは、金属製の曲げ変形可能な薄片である。図5に示すように、板バネ21Bは、その基端部がセンサ本体21Aに片持ち支持され、体動監視装置Aの非装着状態においては、基端部から先端部へと進むにつれて検知ベース部材20との間隔が大きくなるように、図中では若干下向きに傾斜している。板バネ21Bは、正常装着状態において、後述する弾性カバー22の下面膨出部22Aが使用者の身体に圧迫されることで上方に曲げ変形し、センサ本体21Aの接点に対して接触した状態となる。これにより、板バネ21Bが接点に対して接触状態となり、センサ本体21Aから検知信号が出力される。一方、弾性カバー22の下面膨出部22Aが使用者の身体に圧迫されずに異常な装着状態になると、板バネ21Bは、非装着状態と同じ姿勢となり、センサ本体21Aの接点に対して非接触状態となる。板バネ21Bが接点に対して非接触状態となると、センサ本体21Aから検知信号が出力されなくなり、その結果、制御回路は、異常な装着状態としてブザー機構B1やバイブレーション機構B2を作動させる。
【0024】
弾性カバー22は、例えばシリコーン製の弾性変形可能な外装部材である。弾性カバー22は、検知ベース部材20に対してその先端側から差し込むようにして装着される。図3及び図5に示すように、弾性カバー22の下面には、その中央付近で下方に湾曲して膨らむように下面膨出部22Aが形成されており、下面膨出部22Aの周辺部位に平坦な下面周端部22Bが形成されている。弾性カバー22の下面側と検知ベース部材20との隙間は、下面周端部22Bよりも下面膨出部22Aの方が大きくなっており、下面周端部22Bから下面膨出部22Aの頂部へと板バネ21Bが延びるような姿勢で配置される。このような弾性カバー22の下面は、上面よりも使用者の身体に対して近い面となる。
【0025】
図2に示すように、弾性カバー22の上面には、後述する滑り止めパッド23を位置決めするための凹部22Cが形成されているとともに、この凹部22Cにおいて検知ベース部材20のボス孔20Aを滑り止めパッド23に臨ませるように貫通孔22Dが形成されている。このような弾性カバー22の上面は、本体ベース部材10の下面との間に隙間Sを形成し、その隙間Sに滑り止めパッド23を介して使用者の着衣を挟み込む面となる。
【0026】
滑り止めパッド23は、弾性カバー22と同様に比較的弾性変形しやすい部材であり、本体ベース部材10と弾性カバー22との隙間Sに挟み込まれた着衣に咬み合うことで体動監視装置Aの脱落を防ぐものである。滑り止めパッド23の上面は、隙間Sに臨む面であり、この上面には、図2に示すように、着衣に咬み合う鋸歯部23Aが複数形成されている。鋸歯部23Aは、着衣が差し込まれる隙間Sの奥方へと進むにつれて徐々に大きくなるように傾斜している。図3に示すように、滑り止めパッド23の下面には、弾性カバー22の貫通孔22D(図2参照)に挿通され、検知ベース部材20のボス孔20Aに係止されるフック部23Bが複数形成されている。このような滑り止めパッド23は、弾性カバー22の凹部22Cに位置決め固定され、複数の鋸歯部23Aが本体ベース部材10の下面と殆ど接した状態にあることで着衣に対して確実に食い込むことにより、隙間Sに挟み込まれた着衣からの脱落が防止される。
【0027】
固定用カバー24は、検知ベース部材20に装着された状態の弾性カバー22の基端部を押さえるとともにネジ30を覆いながら検知ベース部材20の基端部に嵌め込むようにして組み付けられる。
【0028】
次に、体動監視装置Aの使用時における動作について、以下に詳述する。
【0029】
図1図4図5に示すように、本体部1と弾性カバー22との隙間Sには、白抜き矢印の向きに使用者の背中側にある着衣が相対的に差し込まれる。このとき、弾性カバー22の下面膨出部22Aは、本体部1や隙間Sよりも使用者の身体に対して最も近い部位となる。
【0030】
下面膨出部22Aは、使用者の身体に圧迫されることで弾性的に内側に押し込まれた姿勢となる。それに伴い、下面膨出部22Aの内側に位置する検知センサ21の板バネ21Bの先端部は、より内側へと押し曲げられる。その結果、センサ本体21Aの接点に板バネ21Bの基端部が接触する。その結果、センサ本体21Aから本体部1の回路基板12へと検知信号が出力され、この検知信号が出力されている間は正常装着状態とされ、ブザー機構B1やバイブレーション機構B2による報知動作が行われることはない。
【0031】
一方、使用者が背中を上向きの姿勢としてうつ伏せ寝の状態になると、使用者の身体(背中)からの圧迫度合いが弱まることなり、弾性カバー22の下面膨出部22Aが内側に大きく押し込まれず、非装着状態と同様の姿勢か、あるいはその際と同程度の姿勢となる。
【0032】
つまり、使用者の背中側に体動監視装置Aを装着した状態でうつ伏せ寝の状態になると、検知センサ21の板バネ21Bは、非装着状態と同程度の真っ直ぐ傾いた姿勢になるので、センサ本体21Aの接点に板バネ21Bの基端部が接触しない状態となる。その結果、センサ本体21Aから本体部1の回路基板12へと出力される検知信号が途絶えることとなり、この検知信号の出力途絶に基づいて異常装着状態が検知され、それに応じてブザー機構B1やバイブレーション機構B2による報知動作が行われる。
【0033】
このような体動監視装置Aによれば、検知部2の弾性カバー22の下面膨出部22Aを使用者の身体側に向けた姿勢で弾性カバー22と本体部1との隙間Sに着衣を挟み込むように装着するだけでよいので、苦慮なく簡単に本装置を装着することができる。
【0034】
また、単に一つの検知センサ21からの検知信号に応じて報知手段としてのブザー機構B1やバイブレーション機構B2が報知動作を行うように構成されているので、部品点数や製造コストが抑えられることから、廉価に実現することができる。
【0035】
また、弾性カバー22の下面膨出部22Aにおける頂部が圧迫されると、検知センサ21の板バネ21Bが曲げ変形し、それに応じてセンサ本体21Aが使用者の動きを検知するので、機械式の簡易な検知センサ21を採用することができ、そのような検知センサ21でも正確に動きを検知して報知することができる。
【0036】
なお、本発明は、上記の実施形態に限定されるものではない。
【0037】
上記の実施形態では、本体部1に報知手段(ブザー機構B1、バイブレーション機構B2)を内蔵し、本体部1において直接報知を行うようにしているが、例えばWi-FiやBluetoothによる通信回路を本体部1に内蔵し、本体部1から無線で外部に検知信号を送信することにより、外部のスマートフォンやパソコンといった通信機器で報知動作を行うようにしてもよい。
【0038】
また、本実施形態では、体動監視装置Aを背中側に装着し、板バネ21Bの曲げ変形が解除されて検知信号の出力が途絶えた際に報知動作を行うものとして説明したが、逆に、体動監視装置Aを腹部側に装着し、板バネ21Bが曲げ変形することで検知信号が出力された際に報知動作を行うように構成してもよい。
【符号の説明】
【0039】
A 体動監視装置
B1 ブザー機構(報知手段)
B2 バイブレーション機構
S 隙間
1 本体部
2 検知部
21 検知センサ(検知手段)
21B 板バネ(検知片)
22 弾性カバー
22A 膨出部
22B 周端部
図1
図2
図3
図4
図5