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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022131006
(43)【公開日】2022-09-07
(54)【発明の名称】加熱調理器
(51)【国際特許分類】
   F24C 15/00 20060101AFI20220831BHJP
   F24C 7/02 20060101ALI20220831BHJP
   H05B 6/12 20060101ALI20220831BHJP
【FI】
F24C15/00 D
F24C15/00 M
F24C7/02 301G
H05B6/12 313
H05B6/12 324
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021029721
(22)【出願日】2021-02-26
(71)【出願人】
【識別番号】399048917
【氏名又は名称】日立グローバルライフソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】北川 英明
(72)【発明者】
【氏名】河野 悠平
(72)【発明者】
【氏名】大泉 仁
(72)【発明者】
【氏名】今井 健太
【テーマコード(参考)】
3K151
3L086
【Fターム(参考)】
3K151AA01
3K151CA42
3K151CA63
3L086AA12
3L086CA07
3L086CA16
3L086CB05
3L086CC02
3L086CC16
3L086DA22
3L086DA28
3L086DA30
(57)【要約】
【課題】加熱調理器の記憶媒体の容量を削減し、低価格である加熱調理器を提供する。
【解決手段】調理用データには、制御データ、遷移条件データ、アクションデータが含まれており、制御データは各工程において加熱手段で被加熱物を加熱する際の火力や制御温度に関するデータを含んでおり、遷移条件データは次の工程に遷移するための条件に関するデータを含んでおり、アクションデータは、遷移条件データに基づいて次の工程に遷移することに関する報知音又は音声に関するデータを含んでいる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
インターネットを介してサーバと通信することができるネットワーク通信部を備えた加熱調理器において、
前記サーバから受信した調理用データを保存する記憶部と、前記調理用データに基づいて加熱手段に対して加熱指示を出す制御部と、を備え、
前記調理用データには、制御データ、遷移条件データ、アクションデータが含まれており、前記制御データは各工程において加熱手段で被加熱物を加熱する際の火力や制御温度に関するデータを含んでおり、前記遷移条件データは次の工程に遷移するための条件に関するデータを含んでおり、前記アクションデータは、前記遷移条件データに基づいて次の工程に遷移することに関する報知音又は音声に関するデータを含んでいる、加熱調理器。
【請求項2】
請求項1に記載の加熱調理器において、
前記記憶部には異常加熱などに対する保護機能に関する保護シーケンスが保存されており、前記ネットワーク通信部が不調で前記調理用データに基づく加熱調理が不可の場合であっても前記加熱手段に対して前記保護シーケンスに基づいた指示が可能である、加熱調理器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加熱調理器に関する。
【背景技術】
【0002】
通信ネットワークを介して加熱調理器用の調理情報や調理レシピを供給するシステムとして、特許文献1がある。特許文献1には、電子レンジに対して料理メニューを加熱調理するための加熱制御データを含むメニューデータを送信する電子レンジシステムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000-346366号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
通信ネットワークを介して受信したメニューデータに基づいて調理を行う場合、メニュー毎に調理用制御データが必要であるため、調理用制御データを記録するための記録媒体を加熱調理器に搭載する必要がある。加熱調理器で調理可能なメニュー数が増えるほど調理用制御データは増大し、記憶媒体の容量も大きなものが必要になり、部品のコストが増大し加熱調理器本体のコストアップに繋がる。
【0005】
特許文献1を含む従来のネットワークを介した調理システムは、調理するメニューを指示するデータのみを加熱調理器に送信する構成、またはメニューに応じた複数の工程の火力と時間の組み合わせたデータを送信する構成である。よって、メニュー毎の調理用制御データを加熱調理器本体の制御部に搭載する必要があった。
【0006】
本発明は、加熱調理器の記憶媒体の容量を削減し、低価格である加熱調理器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
調理用データには、制御データ、遷移条件データ、アクションデータが含まれており、制御データは各工程において加熱手段で被加熱物を加熱する際の火力や制御温度に関するデータを含んでおり、遷移条件データは次の工程に遷移するための条件に関するデータを含んでおり、アクションデータは、遷移条件データに基づいて次の工程に遷移することに関する報知音又は音声に関するデータを含んでいる。
【発明の効果】
【0008】
加熱調理器の記憶媒体の容量を削減し、低価格である加熱調理器を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施形態に係る加熱調理器をシステムキッチンに組み込んだ状態の斜視図である。
図2】本発明の実施形態に係る加熱調理器の制御ブロック図である。
図3】本発明の実施形態に係るシステム構成を表した説明図である。
図4】調理用データの例を示す表である。
図5】メニューAの調理用データの例を示す表である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面等を用いて、本発明の実施例について説明する。本発明を説明するための全図において、同一の機能を有するものは、同一の符号を付け、その繰り返しの説明は省略する場合がある。
【0011】
図1は本発明の実施例に係る加熱調理器の外観斜視図である。図1に示すように、グリルユニット4(加熱調理器)は、加熱調理器3、操作部5などを備えた本体2と一体に構成され、本体2がシステムキッチン1の上面から落とし込んで設定されている。グリルユニット4および操作部5は、システムキッチン1の前面部から操作できるようになっている。操作部5は、主にグリルユニット4の電源の入・切やメニューの選択・設定の操作を行うものである。
【0012】
加熱調理器3は、鍋等の被加熱物(図示せず)を載せる耐熱ガラスなどで構成されたトッププレート6を備えている。なお、図1に示す符号3a、3b、3cは加熱範囲となる被加熱物(鍋)を載置する載置部を示している。そして載置部3a、3b、3cに対応してトッププレート6の下方の本体2内には、被加熱物を加熱するための後述する加熱コイルユニット201がそれぞれ配置されている。載置部右3aの下部には加熱コイルユニット右201aが、載置部左3bの下部には加熱コイルユニット左201bが、載置部中央3cの下部には加熱コイルユニット中央201cが設けられている。また、トッププレート6の周囲の縁部は、プレート枠14によって保護されている。
【0013】
トッププレート6の前面部(手前側)には、上面操作部9が設けられ、その奥側に上面表示部10が設けられている。上面操作部9は、主に加熱コイルユニット201の火力やオートメニューなどを設定するための操作を行うものである。上面表示部10は、上面操作部9で設定された火力などの設定状態や加熱状態などを表示するものである。
【0014】
本体2の内部には、加熱コイルユニット201や電子部品、および、これら発熱部品や電子部品を冷却するための送風ファン(図示せず)が設けられている。
【0015】
また、本体2の後部上面には、グリルユニット4からの排気や、加熱コイルユニット201や電子部品を冷却した後の廃熱を本体2の外部に排出する排気口右8a,排気口左8bが設けられている。
【0016】
グリルユニット4は、魚や肉、ピザなどを焼く機能を有するものであり、本体2の加熱コイルユニット左201bの下方に配置されている。なお、グリルユニット4は、本体2の左側に配置された状態を示しているが、本体2の右側に配置されていてもよい。また、グリルユニット4は、ロースター、オーブンと称することもある。
【0017】
また、グリルユニット4は、例えば、前後方向(奥行き方向)に引き出し可能なドア32を備えている。ドア32の前面には、開閉する際に手を掛けて使用されるハンドル11が設けられている。
【0018】
図2は、本発明の実施例に係る加熱調理器の制御ブロック図である。図2に示すように、本体2の商用電源210のラインにはフィルタ回路を搭載したフィルタ手段211が設けられ、インバータ回路(203,204,205)より生じる雑音ノイズを抑制し、雑音ノイズが商用電源210に漏洩することを防いでいる。
【0019】
215は、入力電流を検出する入力電流検出回路で、検出値を後述する制御手段212へ伝達している。
【0020】
216は、入力電圧を検出する入力電圧検出回路で、検出値を後述する制御手段212へ伝達している。
【0021】
マイクロコンピュータで構成された制御手段212は、操作パネル5に設けた前面操作部5a、上面操作部9などの入力手段から入力した入力情報を受け、表示手段である上面表示部10に表示する表示信号を出力する。
【0022】
また、制御手段212は、前記入力情報に従い、ヒータ制御回路206に制御信号を出力して加熱源であるヒータ202の通電を制御し、また前記各々の検出値と載置部に載置した鍋底の温度を検出する温度検出手段(図示なし)からの温度信号を基にインバータ回路203、204、205に制御信号を出力して加熱コイルユニット201a、201b、201cに供給する電力の制御を行う。
【0023】
また加熱開始の時間や加熱時間を計時し加熱(調理)の終了等を報知手段213より報知を行う。
【0024】
上面操作部9を操作して調理したいメニューを設定すると、制御手段212は設定したメニューに応じて、例えば揚げ物調理であれば予熱を行うために、火力を設定値(目標値)となるように入力電流検出回路215による検出値と入力電圧検出回路216による検出値から入力電力を算出し、火力が設定値となるようにインバータ回路を制御する。制御方法としては、前記入力電力が低くい場合は入力電力を大きくするようにインバータ回路を制御して火力を設定値となるように大きくする。しかし、特有の加熱特性により加熱効率の悪い鍋を使用した場合は、入力電力を大きくする方向へインバータ回路を制御した場合、過大な電流が流れるため、その時は加熱コイルユニットやインバータ回路の保護のために、入力電力を大きくする制御は止めて設定値より低い火力で制御して鍋を加熱する。加熱効率の良い鍋は、加熱コイルユニットやインバータ回路に過大な負荷をかける事無く、この前記入力電力が設定値に略等し火力で鍋を加熱することができる。
【0025】
記憶手段220は、後述する調理用データなどを保存する手段である。さらに、インターネット15(図3)を介して外部と通信するネットワーク通信部214を備えている。ネットワーク通信部214を介してサーバ7から受信した調理用データに基づいて、制御手段212は加熱手段に対して加熱指示を出す。なお、記憶手段220に保存されている調理用データを加熱調理器3で加工した加工済み調理用データに基づいて、制御手段212は加熱手段に対して加熱指示を出しても良い。
【0026】
図3は、本発明の実施形態に係るシステム構成を表した説明図である。図3を用いて加熱調理器3のインターネット15との接続について構成を説明する。
【0027】
13は宅内に設置された無線ルータ、15はインターネット、7はサーバである。サーバ7は、加熱調理器3で選択あるいは情報通信端末12で選択した調理メニューの情報から調理に必要な自動調理制御の各工程における火力または制御温度、時間、工程の遷移条件の調理用データを既定したフォーマットを保存するデータ保存部60を備えている。サーバ7は調理用データをインターネット15を介して加熱調理器3に送信し、加熱調理器3は受信した調理用データから各調理工程のデータを識別し、記憶手段220に保存する。
【0028】
図4は、調理用データの例を示す表である。調理用データには調理工程が複数用意されている。制御データ、遷移条件データ、アクションデータは加熱調理器3に対して指示するデータである。
【0029】
制御データは、工程数、各工程の加熱パターン、一定加熱の場合の火力レベル、温調制御の場合の制御温度の情報を含んでいる。つまり、加熱コイルユニット201で被加熱物を加熱する際の火力や制御温度に関するデータを含んでいる。
【0030】
調理工程を遷移する条件を示す遷移条件データは、条件1として鍋の検出温度の到達条件、条件2として鍋の検出温度の温度上昇値、条件3として条件1成立後の次工程への遷移までの遅延時間(秒)、条件4として条件2成立後の次工程への遷移までの遅延時間(秒)、条件5として工程内の運転時間を含んでいる。
【0031】
アクションデータは、遷移条件データに基づいて次の工程に遷移することに関する、言い換えると各遷移条件成立時の報知音又は音声情報、遷移先の工程情報を含んでいる。
【0032】
架空のメニューAの調理制御の内容に対応した調理用データの例を図5に示す。メニューAを選択して、図5に示す調理用データがサーバより送信されて加熱調理器3に設定された状態で、加熱調理器3のスタートキーを押下すると、最初に工程のデータを参照して、そのデータに応じて加熱制御を開始する。
【0033】
図5の例では、調理工程1から調理工程3までしか使用しない。調理工程1の加熱制御は、2000W(火力レベル20)の一定加熱である。調理工程1から調理工程2への遷移条件は、温度検出部が検知した鍋底の検出温度が90℃となった場合である。時間経過によっては調理工程2には遷移しない。温度検出部が90℃を検出した場合、報知音2を出力して調理工程2へ遷移する。調理工程2では、温度検出部の検出温度が100℃近辺を維持するように温調制御する。そして、調理工程2に遷移したのちに30秒経過した場合、報知音3を出力して調理工程3へ遷移する。調理工程3は温度検出部の検出温度が80°℃近辺を維持するように温調制御する。調理工程3に遷移したのちに300秒経過した場合、報知音50を出力して加熱制御を停止する。
加熱調理する際にサーバから一時的にダウンロードした調理用データは、調理終了後に消去しても良いし、異なるメニューの調理用データをダウンロードする際に上書きしても良い。以上のように、調理メニューに関する調理用データ(制御データ等)をサーバ7から取得する構成にする。調理制御のバリエーションを増やすことで高付加価値にできながら、加熱調理器の記憶媒体の容量を削減できることで、より安価な製品を提供できる。
【0034】
なお、万が一の異常加熱が発生するなど不安全な状態を検出した場合の保護制御に関する保護シーケンスは、記憶手段220に保存されている。保護シーケンスは、加熱手段(加熱コイルユニットやインバータ回路)に対して、火力を低減したり加熱調理を中止するよう指示を出すためのシーケンスである。これにより、ネットワーク通信手段214が不調の場合でも加熱手段に対して保護シーケンスに基づいた指示が可能となる。一方、調理用データはサーバからダウンロードする構成となっている。これにより、加熱調理器の記憶媒体の容量を削減しつつ、ネットワークとの接続が不安定な状態でも、安全性を確保することができる構成としている。
【符号の説明】
【0035】
1 システムキッチン、2 本体、3 加熱調理器、3a 載置部右、3b 載置部左、3c 載置部中央、6 トッププレート、7 サーバ、12 情報通信端末、60 データ保存部、212 制御手段、214 ネットワーク通信手段、220 記憶手段
図1
図2
図3
図4
図5