(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022131010
(43)【公開日】2022-09-07
(54)【発明の名称】手術支援ロボット用ガウン
(51)【国際特許分類】
A61B 46/10 20160101AFI20220831BHJP
A61B 90/98 20160101ALI20220831BHJP
【FI】
A61B46/10
A61B90/98
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021029725
(22)【出願日】2021-02-26
(71)【出願人】
【識別番号】522156346
【氏名又は名称】エーアイ バイオエレクトロニック ヘルステック コー., リミテッド.
【氏名又は名称原語表記】AI Bioelectronic Healthtech Co., Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】100107364
【弁理士】
【氏名又は名称】斉藤 達也
(72)【発明者】
【氏名】イェン-ワイ ホ
(57)【要約】
【課題】 手術支援ロボット用ガウンを提供することを課題とする。
【解決手段】 手術支援ロボット用ガウンであって、手術支援ロボットに応用され、ブロックチェーンネットワークへの信号接続をする。手術支援ロボットは、メスと、ロボットアームと、を備える。手術支援ロボット用ガウンは、防水ガウンと、チップセットと、手術時間計測モジュールと、を備える。防水ガウンは、ロボットアームを覆い、メスを防水ガウンから外部に露出させる。チップセットは、防水ガウンに設けられ、手術支援ロボットによる手術のデータをブロックチェーンネットワークに記録することで、追跡を容易にするためのブロックチェーントレーサーを備える。手術時間計測モジュールは、防水ガウンに設けられ、チップセットへの信号接続をし、手術支援ロボットの手術時間を計測するために用いられる。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
メスと、ロボットアームと、を備えた手術支援ロボットに応用され、ブロックチェーンネットワークへの信号接続をし、
前記ロボットアームを覆い、前記メスを防水ガウンから外部に露出させる防水ガウンと、
前記防水ガウンに設けられ、前記手術支援ロボットによる手術のデータを前記ブロックチェーンネットワークに記録することで、追跡を容易にするためのブロックチェーントレーサーを備えるチップセットと、
前記防水ガウンに設けられ、前記チップセットへの信号接続をし、前記手術支援ロボットの手術時間を計測するための手術時間計測モジュールと、
を含む手術支援ロボット用ガウン。
【請求項2】
前記チップセットは、無線周波数識別(Radio Frequency Identification)の方法で前記手術支援ロボット用ガウンの情報を記録するための電子タグを更に備える請求項1に記載の手術支援ロボット用ガウン。
【請求項3】
前記防水ガウンに設けられると共に前記チップセット、前記手術時間計測モジュール及び外部コンピュータへの信号接続をするための無線モジュールを更に備える請求項2に記載の手術支援ロボット用ガウン。
【請求項4】
前記防水ガウンに設けられ、電力を前記チップセット、前記手術時間計測モジュール及び前記無線モジュールに供給するためのバッテリーを更に備える請求項3に記載の手術支援ロボット用ガウン。
【請求項5】
前記防水ガウンは、緊結口を更に備え、前記メスが前記緊結口から外部に露出する請求項4に記載の手術支援ロボット用ガウン。
【請求項6】
前記防水ガウンは、熱可塑性ウレタン(Thermoplastic Urethane、TPU)で製造される請求項5に記載の手術支援ロボット用ガウン。
【請求項7】
前記手術時間は、手術開始時刻及び手術終了時刻を含む請求項6に記載の手術支援ロボット用ガウン請求項6に記載の手術支援ロボット用ガウン。
【請求項8】
前記手術支援ロボットによる手術のデータは、電源投入時刻、電源切断時刻、手術種類及び患者情報を含む請求項7に記載の手術支援ロボット用ガウン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、手術支援ロボット用ガウンに関し、特に、手術中、手術支援ロボットに体液が飛散することによって損傷するのを防ぐことができる手術支援ロボット用ガウンに関する。
【背景技術】
【0002】
医療技術の発展及び低侵襲手術の精度要求につれ、業者は外科手術支援ロボットを開発した。外科手術支援用ロボットは、安定性が高く、操作が柔軟で、動きが正確で、精神的疲労がないという特徴があるため、多くの病院において外科手術支援ロボットで手術されている。
【0003】
しかしながら、外科手術支援ロボットの構造は、精密機械であり、手術を行う際に、患者の体液が外科手術支援ロボットに飛散する可能性があり、これは、時間の経過とともに外科手術支援ロボットの部品に発錆や損傷を引き起こす可能性がある。このため手術中、手術支援ロボットに体液が飛散することによって損傷するのを防ぐことができるガウンを提供する必要があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の主な目的は、手術中、手術支援ロボットに体液が飛散することによって損傷するのを防ぐことができる手術支援ロボット用ガウンを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するため、本発明の手術支援ロボット用ガウンは、手術支援ロボットに応用され、ブロックチェーンネットワークへの信号接続をし、手術支援ロボットがメスと、ロボットアームと、を備える。手術支援ロボット用ガウンは、防水ガウンと、チップセットと、手術時間計測モジュールと、を備える。防水ガウンは、ロボットアームを覆い、メスを防水ガウンから外部に露出させる。チップセットは、防水ガウンに設けられ、手術支援ロボットによる手術のデータをブロックチェーンネットワークに記録することで、追跡を容易にするためのブロックチェーントレーサーを備える。手術時間計測モジュールは、防水ガウンに設けられ、チップセットへの信号接続をし、手術支援ロボットの手術時間を計測するために用いられる。
【0006】
本発明の一実施例によれば、チップセットは、無線周波数識別(Radio Frequency Identification)の方法で手術支援ロボット用ガウンの情報を記録するための電子タグをさらに備える。
【0007】
本発明の一実施例によれば、手術支援ロボット用ガウンは、防水ガウンに設けられると共にチップセット、手術時間計測モジュール及び外部コンピュータへの信号接続をするための無線モジュールを更に備える。
【0008】
本発明の一実施例によれば、手術支援ロボット用ガウンは、防水ガウンに設けられ、電力をチップセット、手術時間計測モジュール及び無線モジュールに供給するためのバッテリーを更に備える。
【0009】
本発明の一実施例によれば、防水ガウンは、緊結口を更に備え、メスが緊結口から外部に露出する。
【0010】
本発明の一実施例によれば、防水ガウンは、熱可塑性ウレタン(Thermoplastic Urethane、TPU)で製造される。
【0011】
本発明の一実施例によれば、手術時間は、手術開始時刻及び手術終了時刻を含む。
【0012】
本発明の一実施例によれば、手術支援ロボットによる手術のデータは、電源投入時刻、電源切断時刻、手術種類及び患者情報を含む。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の一実施例に係る手術支援ロボット用ガウンを示す模式図である。
【
図2】本発明の一実施例に係る手術支援ロボット用ガウンを手術支援ロボットに応用した様子を示す図である。
【
図3】本発明の一実施例に係る手術支援ロボット用ガウン、手術支援ロボット、外部コンピュータ及びブロックチェーンネットワークのシステム構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
審査官に本発明の技術内容をより理解してもらうため、以下、好ましい実施例を挙げて説明する。
【0015】
以下、本発明の一実施例に係る手術支援ロボット用ガウンについては、
図1乃至
図3を参照されたい。
図1は、本発明の一実施例に係る手術支援ロボット用ガウンを示す模式図であり;
図2は、本発明の一実施例に係る手術支援ロボット用ガウンを手術支援ロボットに応用した様子を示す図であり;
図3は、本発明の一実施例に係る手術支援ロボット用ガウン、手術支援ロボット、外部コンピュータ及びブロックチェーンネットワークのシステム構成図である。
【0016】
図1乃至
図3に示すように、本発明の一実施例において、手術支援ロボット用ガウン1は、手術支援ロボット900に応用され、手術中、手術支援ロボット900に体液が飛散することによって損傷するのを防ぐことができ、かつ手術支援ロボット用ガウン1がブロックチェーンネットワーク200への信号接続をする。手術支援ロボット900は、メス910と、ロボットアーム920と、を備える。メス910は、ロボットアーム920に連結されて、患者の患部に対し手術を行う。ロボットアーム920は、移動機能を備えた精密機械であり、メス910を手術に適した位置まで移動させるために用いられる。
【0017】
本発明の一実施例において、手術支援ロボット用ガウン1は、防水ガウン10と、チップセット20と、手術時間計測モジュール30と、無線モジュール40と、バッテリー50と、を備える。防水ガウン10は、熱可塑性ウレタン(Thermoplastic Urethane、TPU)などの防水、抗菌効果を有する分解可能な素材で製造されるものとするが、防水ガウン10の素材はこれに限定されないものとする。防水ガウン10は、ロボットアーム920を覆い、メス910を防水ガウン10から外部に露出させる。防水ガウン10は、緊結口11を備え、緊結口11が例えば伸縮帯を設けて絞縮機能が生じる開口部であり、メス910が緊結口11から外部に露出され、緊結口11がメス910とロボットアーム920の連結部を緊結できることで、患者の体液がロボットアーム920に飛散するのを防ぐ。
【0018】
本発明の一実施例において、チップセット20は、防水ガウン10に設けられ、ブロックチェーントレーサー21と、電子タグ22と、を備える。ブロックチェーントレーサー21は、ブロックチェーンネットワーク200への信号連接をする演算チップであり、手術支援ロボット900による手術のデータをブロックチェーンネットワーク200に記録するために用いられ、このようにしてブロックチェーンの追跡可能かつ記録が改ざんされにくい特性を通じて、手術のデータを記録すると共に追跡できる。本発明の一実施例によれば、手術支援ロボット900による手術のデータは、電源投入時刻、電源切断時刻、手術種類及び患者情報等を含むが、手術のデータ種類が上述に限定されない。なお、手術支援ロボット900による手術のデータには、外部コンピュータ100を通じて手術のデータをブロックチェーントレーサー21に入力して記録してからブロックチェーントレーサー21を通じて手術支援ロボット900による手術のデータをブロックチェーンネットワーク200に記録することもできる。電子タグ22は、無線周波数識別(Radio Frequency Identification)の方法で手術支援ロボット用ガウン1の型番、防水ガウン10の使用期限、及び適した手術支援ロボット900の型番等の手術支援ロボット用ガウン1の情報を記録する。電子タグ22に記録された情報は、外部コンピュータ100を通じて入力できる。ただし手術支援ロボット用ガウン1の情報は、上述に限定されるものでなく、設計ニーズに応じて変更することができる。
【0019】
本発明の一実施例において、手術時間計測モジュール30は、防水ガウン10に設けられ、チップセット20への信号接続をする。手術時間計測モジュール30は、手術時間計測機能を備えたチップであり、手術支援ロボット900の手術時間を計測するために用いられる。手術時間は、手術開始時刻及び手術終了時刻を含む。手術時間計測モジュール30の手術時間計測機能を通じて、手術支援ロボット900の詳細な手術経過時間を確認できる。
【0020】
本発明の一実施例において、無線モジュール40は、例えばネットワークチップであり、防水ガウン10に設けられ、チップセット20、手術時間計測モジュール30、外部コンピュータ100及び手術支援ロボット900への信号接続をする。無線モジュール40は、チップセット20及び手術時間計測モジュール30によって計測された情報を外部コンピュータ100に伝送して、医療従事者が外部コンピュータ100を操作することで、手術支援ロボット用ガウン1のデータを理解できるようにする。
【0021】
本発明の一実施例において、バッテリー50は、防水ガウン10に設けられ、電力をチップセット20、手術時間計測モジュール30及び無線モジュール40に供給することで、チップセット20、手術時間計測モジュール30及び無線モジュール40の正常な運転を確保することができる。
【0022】
図1乃至
図3に示すように、手術支援ロボット900による手術の前、医療従事者は先に手術支援ロボット用ガウン1を手術支援ロボット900に装着させ、防水と抗菌効果を持つ防水ガウン10でロボットアーム920を覆うと共にメス910を防水ガウン10の緊結口11から外部に露出させることができる。緊結口11は、メス910の一端を緊結することで、患者の体液がロボットアーム920に飛散するのを防ぐことができ、このようにして手術中、ロボットアーム920に体液が飛散することによって損傷するのを防ぐことができる。
【0023】
次に、手術支援ロボット900による手術の時、手術時間計測モジュール30は無線モジュール40を通じて手術支援ロボット900に接続されて、手術支援ロボット900の手術開始時刻及び手術終了時刻を計測する。手術時間計測モジュール30の手術時間計測機能を通じて、手術支援ロボット900の詳細な手術経過時間を確認することができる。
【0024】
なお、医療従事者は、外部コンピュータ100を操作して無線モジュール40に接続し、無線周波数識別によって手術支援ロボット用ガウン1の型番、防水ガウン10の使用期限、及び適した手術支援ロボット900の型番等の手術支援ロボット用ガウン1の情報を電子タグ22に入力することもできる。これによって、今後医療従事者は、無線周波数識別リーダーで電子タグ22に記録されているデータを読み取ることで、手術支援ロボット用ガウン1の関連情報を速やかに理解できる。
【0025】
さらに、医療従事者も外部コンピュータ100を操作して手術支援ロボット900による手術のデータをブロックチェーントレーサー21に入力してからブロックチェーントレーサー21を通じて手術支援ロボット900による手術のデータをブロックチェーンネットワーク200に記録することができる。ブロックチェーン追跡イベント履歴の機能を介して、手術支援ロボット900による手術のデータの電源投入時刻、電源切断時刻、手術種類及び患者情報等が、ブロックチェーンネットワーク200に記録されることができる。このようにして、ブロックチェーンの追跡可能かつ記録が改善しにくい特性を通じて、手術支援ロボット900による手術のイベント履歴を明確に記録かつ管理することができる。
【産業上の利用可能性】
【0026】
本発明の手術支援ロボット用ガウン1の設計により、手術支援ロボット用ガウン1に多様で便利な複数の機能を持たせることができ、例えば手術支援ロボットによる手術のイベント履歴を追跡し、無線周波数識別方法で手術支援ロボット用ガウン1を記録して、医療従事者が速やかにデータを読み取り、手術支援ロボットの詳細な手術経過時間を確認することを容易にし、ならびに手術中、手術支援ロボットに体液が飛散することによって損傷するのを防ぐことができる。なお、防水ガウンは、分解可能な素材で製造され、自然環境において微生物に分解されることができるため、環境保全の効果を有する。
【0027】
上記は本発明の実施例に過ぎず、本発明は、これらの実施例に限定されないことに留意されたい。例えば本発明の基本構造から逸脱しないものは、本発明が主張する権利の範囲であるべきであり、従って本発明の保護範囲は、特許請求の範囲で指定した内容を基準とする。
【符号の説明】
【0028】
100 外部コンピュータ
10 防水ガウン
1 手術支援ロボット用ガウン
11 緊結口
200 ブロックチェーンネットワーク
20 チップセット
21 ブロックチェーントレーサー
22 電子タグ
30 手術時間計測モジュール
40 無線モジュール
50 バッテリー
900 手術支援ロボット
910 メス
920 ロボットアーム