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特開2022-131052温度調整装置および温度調整システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022131052
(43)【公開日】2022-09-07
(54)【発明の名称】温度調整装置および温度調整システム
(51)【国際特許分類】
   F25B 1/00 20060101AFI20220831BHJP
   A61F 7/00 20060101ALI20220831BHJP
【FI】
F25B1/00 D
F25B1/00 399Y
A61F7/00 300
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021029781
(22)【出願日】2021-02-26
(71)【出願人】
【識別番号】000103921
【氏名又は名称】オリオン機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104787
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 伸司
(72)【発明者】
【氏名】諏訪 琢眞
(72)【発明者】
【氏名】高牟禮 英治
【テーマコード(参考)】
4C099
【Fターム(参考)】
4C099AA02
4C099CA11
4C099EA05
4C099GA30
4C099JA20
4C099NA20
4C099PA01
(57)【要約】
【課題】筐体を傾けた状態においても好適に使用・保管が可能な温度調整装置を提供する。
【解決手段】冷凍サイクル11およびポンプ13が筐体10内に収容されて、温度調整した水を供給対象に供給して供給対象の温度を調整可能に構成され、筐体10に対して相対的に傾動可能に構成されて冷凍サイクル11およびポンプ13が固定される機構取付け部43を有し、仮想水平面Xに対する筐体10の傾動時に機構取付け部43の傾動角度が筐体10の傾動角度よりも小さくなるように筐体10の傾動とは逆向きへの機構取付け部43の相対的な傾動を許容して仮想水平面Xに対する冷凍サイクル11およびポンプ13の傾動を抑制する水平維持機構14を備えると共に、圧縮機31が、筐体10に対する機構取付け部43の相対的な傾動における傾動中心Oに位置するように機構取付け部43に固定されている。
【選択図】図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱媒液の温度を調整する冷凍サイクルと、前記熱媒液の供給および回収を行うポンプとが筐体内に収容されて、前記熱媒液を供給対象に供給して当該供給対象の温度を調整可能に構成された温度調整装置であって、
前記筐体に対して相対的に傾動可能に構成されると共に前記冷凍サイクルおよび前記ポンプが固定される固定部を有し、仮想水平面に対する前記筐体の傾動時に当該仮想水平面に対する前記固定部の傾動角度が当該仮想水平面に対する当該筐体の傾動角度よりも小さくなるように当該筐体の傾動とは逆向きへの当該固定部の相対的な傾動を許容して当該仮想水平面に対する当該冷凍サイクルおよび当該ポンプの傾動を抑制する傾動抑制機構を備えると共に、前記冷凍サイクルの圧縮機が、前記筐体に対する前記固定部の相対的な傾動における傾動中心に位置するように当該固定部に固定されている温度調整装置。
【請求項2】
前記傾動抑制機構は、前記筐体に固定された基部を備え、当該基部に規定された傾動中心軸を中心として前記固定部が当該基部に対して相対的に傾動可能となるように構成されている請求項1記載の温度調整装置。
【請求項3】
前記傾動抑制機構は、前記基部に対して前記固定部を相対的に付勢して当該固定部を予め規定された基準傾動位置に案内する付勢部材を備えている請求項2記載の温度調整装置。
【請求項4】
前記熱媒液を貯液可能に構成されて前記固定部に固定された貯液槽と、
前記熱媒液を導入可能に前記筐体に開口された導入口を前記貯液槽に連通させる接続用配管とを備え、
前記接続用配管は、可撓性を有する管体で構成されると共に、一端部が前記導入口に連結され、かつ他端部が前記貯液槽に連結されている請求項1から3のいずれかに記載の温度調整装置。
【請求項5】
前記筐体は、直方体状に形成されると共に、4つの側面のうちのいずれか1つの面と上面との角部に前記導入口が開口されている請求項4記載の温度調整装置。
【請求項6】
請求項1から5のいずれかに記載の温度調整装置と、
前記温度調整装置から供給される前記熱媒液との熱交換によって装着者の身体の温度を調整可能に構成された温度調整用ジャケットとを備えている温度調整システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷凍サイクルによって温度を調整した熱媒液を供給対象に供給して供給対象の温度を調整可能に構成された温度調整装置、およびそのような温度調整装置を備えて構成された温度調整システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の温度調整装置および温度調整システムとして、冷却衣に冷却水を供給することで冷却衣の装着者(人体)を冷却可能に構成された可搬型冷却装置(以下、単に「冷却装置」ともいう)が下記の特許文献に開示されている。この冷却装置は、略直方体状の本体部を備えている。また、本体部には、水を冷却するための冷凍サイクル(圧縮機、凝縮器、毛細管(膨張弁)、蒸発器およびファン)、水(氷)を貯蔵可能に構成された蓄氷タンク、冷却衣に水を圧送して回収する循環ポンプ、および冷却装置の各部を制御する制御部などが収容されている。さらに、本体部には、蓄氷タンク内に給水するための給水口が上面に開口され、冷却衣から回収される水を導入するインレット、および冷却衣に向けて水を送出するアウトレットが正面に開口され、かつ本体部内を冷却するための通気孔が側面に開口されると共に、冷却装置(本体部)を搬送するための取っ手が上面に取り付けられている。
【0003】
この冷却装置の使用に際しては、本体部、冷却衣および接続用のホースを使用場所まで搬送する。次いで、冷却衣を装着すると共に、本体部のインレットおよびアウトレットと冷却衣とをホースによって接続した状態で本体部に冷却処理を開始させる。この場合、この冷却装置では、冷凍サイクルの蒸発器が蓄氷タンク内に収容されており、給水口から給水された水が蓄氷タンク内で冷却されて蓄氷タンク内に氷が生成される構成が採用されている。また、蓄氷タンク内において氷結しなかった水や、蓄氷タンク内において氷が融解して生じた水が循環ポンプによって冷却衣に供給され、冷却衣において人体との熱交換によって人体を冷却することで温度上昇させられた後に蓄氷タンク内に回収される。これにより、蓄氷タンク内における水の冷却(氷の生成)および循環ポンプによる水の圧送(本体部と冷却衣との間での循環)を継続させることで、冷却衣を装着している者(人体)が継続的に冷却される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2018-013261号公報(第3-6頁、第1-3図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、上記特許文献に開示の冷却装置には、以下のような解決すべき課題が存在する。具体的には、上記の冷却装置では、冷凍サイクルの各構成要素や蓄氷タンクなどの構成部品が略直方体状の本体部(筐体)内に収容されている。この場合、上記特許文献には具体的な説明が存在しないものの、この種の装置では、上記の構成部品が、筐体内において、筐体の底部、或いは、筐体に固定された基部(筐体が取り付けられるフレーム等)に対して位置決め固定されている。したがって、使用時や保管時に本体部を設置(載置)する設置面が傾斜しているときには、本体部が設置面と同様に傾いた状態となり、本体部に対して位置決め固定されている構成部品も本体部と共に傾いた状態となる。
【0006】
この場合、この種の装置に搭載される冷凍サイクルでは、オイルレスタイプの圧縮機よりも長寿命かつ軽量で比較的安価な給油式の圧縮機が広く採用されている。この給油式の圧縮機は、正立状態から大きく傾けられたときに、構成部品に対して潤滑油を正常に給油するのが困難となることが知られている。このため、冷凍サイクルの稼働中(すなわち、冷却装置の動作中)に、本体部に対して位置決め固定されている圧縮機が本体部と共に大きく傾けられたときには、給油不良が生じて圧縮機の構成部品が摩耗したり、最悪の場合には、焼き付きが生じて動作を継続させることができなくなったりする。また、非稼働状態であっても、圧縮機が大きく傾けられた状態で長時間に亘って放置されたときには、圧縮機から潤滑油が漏出するおそれがある。
【0007】
また、上記の冷却装置では、稼働中に、冷却衣を装着している者が本体部から遠く離れた場所に移動する必要があるとき(接続用のホースの長さを超えて本体部から離れる必要があるとき)に本体部を移動させる必要がある。この場合、上記の冷却装置では、本体部の上面に取っ手が取り付けられているため、搬送時に取っ手に手を掛けて本体部を持ち上げることで、搬送者の手から本体部が垂下された状態となる。この際に、取っ手に対して手を掛ける位置によっては、本体部が大きく傾いた状態で垂下されることがある。
【0008】
このため、上記の冷却装置では、稼働中の本体部を移動させる際に本体部と共に圧縮機等に傾きが生じて前述のようなトラブルを招くことがないように、移動に先立って冷却装置(冷凍サイクルや循環ポンプ)を停止させて、移動先(新たな設置場所)まで搬送を終えた後に冷却装置を再始動させる必要がある。したがって、上記の冷却装置では、本体部を頻繁に移動させる必要があるような広い作業場所において使用するときに、停止および再始動の操作が煩雑となっている。また、移動時間が長いとき(すなわち、停止状態の継続時間が長いとき)には、冷凍サイクルによる冷却処理や、循環ポンプによる冷却水の供給処理が長時間に亘って停止した状態となるため、人体を快適な温度に保つのが困難となっている。
【0009】
なお、冷凍サイクルの圧縮機が大きく傾けられた際に生じるトラブルについて説明したが、上記の冷却装置のように蓄氷タンク(貯水タンク)を備えた装置において、タンクの構造や配管構造によっては、それらが本体部(筐体)と共に大きく傾けられた際に、タンクから水が溢れ落ちるおそれもある。
【0010】
本発明は、かかる解決すべき課題に鑑みてなされたものであり、筐体を傾けた状態においても好適に使用・保管が可能な温度調整装置および温度調整システムを提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成すべく、請求項1記載の温度調整装置は、熱媒液の温度を調整する冷凍サイクルと、前記熱媒液の供給および回収を行うポンプとが筐体内に収容されて、前記熱媒液を供給対象に供給して当該供給対象の温度を調整可能に構成された温度調整装置であって、前記筐体に対して相対的に傾動可能に構成されると共に前記冷凍サイクルおよび前記ポンプが固定される固定部を有し、仮想水平面に対する前記筐体の傾動時に当該仮想水平面に対する前記固定部の傾動角度が当該仮想水平面に対する当該筐体の傾動角度よりも小さくなるように当該筐体の傾動とは逆向きへの当該固定部の相対的な傾動を許容して当該仮想水平面に対する当該冷凍サイクルおよび当該ポンプの傾動を抑制する傾動抑制機構を備えると共に、前記冷凍サイクルの圧縮機が、前記筐体に対する前記固定部の相対的な傾動における傾動中心に位置するように当該固定部に固定されている。
【0012】
請求項2記載の温度調整装置は、請求項1記載の温度調整装置において、前記傾動抑制機構は、前記筐体に固定された基部を備え、当該基部に規定された傾動中心軸を中心として前記固定部が当該基部に対して相対的に傾動可能となるように構成されている。
【0013】
請求項3記載の温度調整装置は、請求項2記載の温度調整装置において、前記傾動抑制機構は、前記基部に対して前記固定部を相対的に付勢して当該固定部を予め規定された基準傾動位置に案内する付勢部材を備えている。
【0014】
請求項4記載の温度調整装置は、請求項1から3のいずれかに記載の温度調整装置において、前記熱媒液を貯液可能に構成されて前記固定部に固定された貯液槽と、前記熱媒液を導入可能に前記筐体に開口された導入口を前記貯液槽に連通させる接続用配管とを備え、前記接続用配管は、可撓性を有する管体で構成されると共に、一端部が前記導入口に連結され、かつ他端部が前記貯液槽に連結されている。
【0015】
請求項5記載の温度調整装置は、請求項4記載の温度調整装置において、前記筐体は、直方体状に形成されると共に、4つの側面のうちのいずれか1つの面と上面との角部に前記導入口が開口されている。
【0016】
請求項6記載の温度調整システムは、請求項1から5のいずれかに記載の温度調整装置と、前記温度調整装置から供給される前記熱媒液との熱交換によって装着者の身体の温度を調整可能に構成された温度調整用ジャケットとを備えている。
【発明の効果】
【0017】
請求項1記載の温度調整装置では、筐体に対して相対的に傾動可能に構成されると共に冷凍サイクルおよびポンプが固定される固定部を有し、仮想水平面に対する筐体の傾動時に仮想水平面に対する固定部の傾動角度が仮想水平面に対する筐体の傾動角度よりも小さくなるように筐体の傾動とは逆向きへの固定部の相対的な傾動を許容して仮想水平面に対する冷凍サイクルおよびポンプの傾動を抑制する傾動抑制機構を備えると共に、冷凍サイクルの圧縮機が、筐体に対する固定部の相対的な傾動における傾動中心に位置するように固定部に固定されている。また、請求項6記載の温度調整システムでは、上記の温度調整装置を備えて構成されている。
【0018】
したがって、請求項1記載の温度調整装置、および請求項6記載の温度調整システムによれば、筐体の傾動時に固定部に固定されている圧縮機等が大きく傾く事態を傾動抑制機構によって好適に回避することができ、また、その重量が比較的重い圧縮機を傾動中心に配置したことで、温度調整装置に対して水平方向成分を有する大きな加速度の力が加わったとしても、圧縮機等が固定されている固定部が筐体に対して不要に移動する(すなわち、圧縮機等が不要に傾く)事態を好適に回避することができる。これにより、潤滑油を必要とする圧縮機を採用した場合においても、動作中の温度調整装置において圧縮機に潤滑油の給油不良が生じたり、保管中の温度調整装置において圧縮機から潤滑油が漏出したりする事態を招くことがなくなるため、筐体を傾けた状態においても好適に使用・保管をすることができる。また、移動に際して温度調整装置を停止させなくて済むため、「供給対象」の温度を好適な温度に保つことができる。
【0019】
請求項2記載の温度調整装置、およびそのような温度調整装置を備えた温度調整システムによれば、基部に規定された傾動中心軸を中心として固定部が基部に対して相対的に傾動可能となるように傾動抑制機構を構成したことにより、比較的簡易な構成でありながら、傾動中心軸を中心とする固定部の傾動を十分に抑制することができるため、温度調整装置の製造コストが高騰したり、傾動抑制機構の大形化に伴って温度調整装置が大形化したりする事態を招くことなく、筐体を傾けた状態においても好適に使用・保管をすることが可能な温度調整装置を提供することができる。
【0020】
請求項3記載の温度調整装置、およびそのような温度調整装置を備えた温度調整システムによれば、基部に対して固定部を相対的に付勢して固定部を予め規定された基準傾動位置に案内する付勢部材を備えて傾動抑制機構を構成したことにより、固定部を基準傾動位置に位置させた状態を維持させて、基部に対する固定部の意図しない移動(すなわち、固定部に固定されている圧縮機等の意図しない傾動)を一層好適に回避することができる。
【0021】
請求項4記載の温度調整装置、およびそのような温度調整装置を備えた温度調整システムでは、熱媒液を貯液可能に構成されて固定部に固定された貯液槽と、熱媒液を導入可能に筐体に開口された導入口を貯液槽に連通させる接続用配管とを備え、接続用配管が、可撓性を有する管体で構成されると共に、一端部が導入口に連結され、かつ他端部が貯液槽に連結されている。したがって、請求項4記載の温度調整装置、およびそのような温度調整装置を備えた温度調整システムによれば、筐体の傾動時に、熱媒液の貯液によってその重量が重くなる貯液槽についても圧縮機等と同様に大きく傾く事態が好適に回避されるため、貯液槽内の熱媒液がこぼれ落ちる事態を好適に回避することができる。
【0022】
請求項5記載の温度調整装置、およびそのような温度調整装置を備えた温度調整システムによれば、筐体を直方体状に形成すると共に、4つの側面のうちのいずれか1つの面と上面との角部に導入口を開口したことにより、仮想水平面に対して筐体を正立させた状態、およびいずれか1つの面を下向きにして仮想水平面に対して筐体を倒した状態のいずれの状態であっても、導入口が温度調整装置の最上部に位置した状態となるため、いずれの状態においても、導入口から熱媒液を導入して貯液槽に貯液させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】冷却システム1におけるチラー2の正面図である。
図2】チラー2の側面図である。
図3】取っ手24aを引き延ばした状態におけるチラー2の背面図である。
図4】チラー2の内部構造について説明するための説明図である。
図5】チラー2の内部構造について説明するための他の説明図である。
図6】チラー2の内部構造について説明するための他の説明図である。
図7】チラー2における水平維持機構14の動作原理について説明するための説明図である。
図8】チラー2における水平維持機構14の動作原理について説明するための他の説明図である。
図9】冷却システム1の構成を示すブロック図である。
図10】仮想水平面Xに対してチラー2を傾斜させた状態について説明するための説明図である。
図11】背面24を下向きにしてチラー2を倒した状態について説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、添付図面を参照して、温度調整装置および温度調整システムの実施の形態について説明する。
【0025】
最初に、冷却システム1の構成について、添付図面を参照して説明する。
【0026】
冷却システム1は、「温度調整システム」の一例であって、図9に示すように、チラー2、ウォータージャケット3および連結ホース4を備えている。この冷却システム1は、後述するように、チラー2において冷却した水(一例として、飲料用保存水のように不純物の含有量が十分に少ない真水:「熱媒液」の一例)をウォータージャケット3に対して連結ホース4を介して供給することでウォータージャケット3(すなわち、ウォータージャケット3の装着者:人体:「供給対象」の一例)を冷却する(温度調整する)ことができるように構成されている。また、チラー2は、「温度調整装置」の一例であって、図1~6,9に示すように、筐体10、冷凍サイクル11、タンク12、ポンプ13、水平維持機構14、操作部15、表示部16、制御部17および記憶部18を備え、電源ケーブルC(図6,10,11参照)を介して接続した商用交流から電力を得て各部を動作させることができるように構成されている。
【0027】
筐体10は、「筐体」の一例であって、図1~3に示すように、上下方向に長い直方体状(一例として高さ50cm程度)に形成されると共に、図4~6に示すように、冷凍サイクル11、タンク12、ポンプ13および水平維持機構14などを収容可能に構成されている。この場合、図1~3に示すように、本例のチラー2では、筐体10の底面21における四隅に自在キャスタ21aがそれぞれ取り付けられている。また、本例のチラー2では、筐体10の正面22に排気口22aが開口されると共に、側面23に吸気口23aが開口され、かつ取っ手23bが取り付けられている。さらに、本例のチラー2では、筐体10の背面24に伸縮式の取っ手24aが取り付けられている。
【0028】
また、本例のチラー2では、筐体10の正面22と上面25との間に斜め上向きの角面26(「筐体の4つの側面のうちのいずれか1つの面と上面との角部」の一例)が設けられており、この角面26に給水口26a(「導入口」の一例)、供給口26oおよび回収口26iが開口されると共に、操作部15および表示部16が配設されている。この場合、給水口26aにはキャップ26bが取り付けられている。また、供給口26oには、チラー2において冷却した水をウォータージャケット3に供給する連結ホース4を接続可能な接続具が取り付けられ、回収口26iには、ウォータージャケット3から水を回収する連結ホース4を接続可能な接続具が取り付けられている。
【0029】
冷凍サイクル11は、「熱媒液の温度を調整する冷凍サイクル」の一例であって、図9に示すように、圧縮機31、凝縮器32、膨張弁33、蒸発器34およびファン35を備えている。この場合、本例のチラー2では、圧縮機31として給油式の冷媒圧縮機が採用されている。また、本例のチラー2では、図5,6に示すように、ファン35が凝縮器32の近傍に配設されており、ファン35によって送風した空気(筐体10内の空気)が凝縮器32を通過させられる際に冷凍サイクル11の冷媒を冷却(凝縮)させて温度上昇させられた後に排気口22aから筐体10外に排気され、これに伴って筐体10外の空気が吸気口23aから筐体10内に吸気される構成が採用されている。さらに、本例のチラー2では、図4~6に示すように、一例として、蒸発器34がコイル状に形成されてタンク12内に収容されると共に、冷媒との熱交換によってタンク12内の水を冷却する構成が採用されている。
【0030】
タンク12は、「貯液槽」の一例であって、上記のように冷凍サイクル11の蒸発器34(冷却コイル)を収容可能に構成されると共に、「熱媒液」としての水を貯水(貯液)可能に構成されている。この場合、本例のチラー2では、図6に示すように、前述の給水口26aにフィラーチューブ(ある程度の固さを有する管体で構成されたチューブ)が取り付けられると共に、このフィラーチューブの先端とタンク12とが蛇腹ホース(「可撓性を有する管体で構成された接続用配管」の一例)で接続されている(「接続用配管の一端部が導入口に連結され、かつ他端部が貯液槽に連結されている」との構成の一例)。また、本例のチラー2では、前述の回収口26iに取り付けられた接続具とタンク12とが可撓性を有する樹脂製の耐圧ホースで連結されている。なお、本明細書において参照する各図では、上記の蛇腹ホースや耐圧ホースの図示を省略している。
【0031】
ポンプ13は、「ポンプ」の一例であって、制御部17の制御下で、タンク12内の水を圧送してウォータージャケット3に供給する。この場合、本例のチラー2では、ポンプ13の吸入口がタンク12に接続されると共に、ポンプ13の吐出口と前述の回収口26iに取り付けられた接続具とが可撓性を有する樹脂製の耐圧ホースで連結されている。なお、本明細書において参照する各図では、上記の耐圧ホースの図示を省略している。
【0032】
また、本例の冷却システム1では、後述するようにチラー2とウォータージャケット3とを連結ホース4によって連結することにより、タンク12から、ポンプ13、供給口26o(接続具)、供給口26oに接続された連結ホース4、ウォータージャケット3、回収口26iに接続された連結ホース4、および回収口26i(接続具)を経てタンク12に戻る循環路が形成される構成が採用されている。したがって、本例の冷却システム1では、ポンプ13によってウォータージャケット3に水を圧送することで、ウォータージャケット3からチラー2(タンク12)に水を回収することが可能となっている。
【0033】
水平維持機構14は、「傾動抑制機構」の一例であって、図7,8に示すように、基部41,41、ガイド部42,42、機構取付け部43、ローラー44a,44a,44b,44b(以下、区別しないときには「ローラー44」ともいう)およびスプリング45a,45a,45b,45b(以下、区別しないときには「スプリング45」ともいう)を備えて筐体10内に配設されている。基部41は、「基部」の一例であって、筐体10に固定されている。ガイド部42は、いわゆる「ガイドレール」であって、内側にローラー44を嵌入可能な断面C字状の鋼材によって側面視C字状に形成されて基部41に固定されている。機構取付け部43は、「固定部」の一例であって、図5に示すように、平面視方形の浅皿状に形成されると共に、図4~6に示すように、冷凍サイクル11の各構成要素31~35やタンク12およびポンプ13を固定可能に構成されている。
【0034】
ローラー44は、前述のようにガイド部42に嵌入可能に構成されると共に、その回動軸が機構取付け部43に固定されている。スプリング45は、「付勢部材」の一例であるコイルスプリングであって、ローラー44と共にガイド部42内に配設されると共に、図7,8に示すように、スプリング45aの一端部がガイド部42の一端部に固定され、かつスプリング45aの他端部がローラー44aの回動軸に固定されると共に、スプリング4baの一端部がガイド部42の他端部に固定され、かつスプリング45bの他端部がローラー44bの回動軸に固定されている。なお、両図では、ガイド部42内におけるスプリング45の配設位置に関する理解を容易とするために、スプリング45のコイル部を網線で塗り潰して図示している。
【0035】
このスプリング45は、筐体10に対する機構取付け部43の相対的な傾動、すなわち、筐体10に固定された基部41に対する機構取付け部43の相対的な傾動に伴って各ローラー44がガイド部42内で転動させられたときに、ローラー44aに固定されているスプリング45aが伸張方向(または、縮長方向)に弾性変形させられ、かつローラー44bに固定されているスプリング45bが縮長方向(または、伸張方向)に弾性変形させられることにより、各ローラー44が固定されている機構取付け部43を基部41に対して付勢して、機構取付け部43を「予め規定された基準傾動位置(詳細は後述する)」に向けて案内する。
【0036】
この場合、本例の水平維持機構14では、基部41に規定された傾動中心O(図7,8参照)を「傾動中心軸」として基部41に対する機構取付け部43の相対的な傾動が許容されるように構成されている(「傾動抑制機構」としての水平維持機構14が「1つの軸線を中心とする傾動が許容される機構」で構成されている例)。具体的には、上記のガイド部42が、傾動中心Oを中心とする円環状の軌跡でローラー44を案内する(ガイド部42内におけるローラー44の転動を許容する)ことにより、基部41に対する機構取付け部43の相対的な傾動が許容される。
【0037】
また、本例のチラー2では、図4,6に示すように、基部41が固定されている筐体10が仮想水平面(水平な設置面)X上に正立させられている状態(筐体10の正面22、側面23,23および背面24のそれぞれの延面が仮想水平面Xに対して直交している状態:仮想水平面Xに対する筐体10の傾きが生じていない状態)、および図10に示すように、筐体10が仮想水平面Xに対して傾斜させられている状態(筐体10の正面22および背面24のそれぞれの延面が仮想水平面Xに対して鈍角または鋭角に交差している状態:仮想水平面Xに対する筐体10の傾きが生じている状態)の双方において、冷凍サイクル11、タンク12およびポンプ13が固定されている機構取付け部43が仮想水平面Xと平行な状態(すなわち、機構取付け部43の上面が水平な状態)が維持される構成が採用されている。
【0038】
具体的には、本例のチラー2では、図4~6に示すように、冷凍サイクル11の構成要素のなかでも重量が重く、かつ、前述のように大きく傾けられることで各種のトラブルを生じる可能性がある圧縮機31を水平維持機構14における機構取付け部43の平面視における中心部に固定することにより、図6に示すように、圧縮機31を上記の傾動中心Oに配置している。また、本例のチラー2では、図5,6に示すように、冷凍サイクル11の構成要素のなかで圧縮機31に次いで重量が重い凝縮器32を機構取付け部43における正面側に固定すると共に、蒸発器34を収容した状態のタンク12、およびポンプ13を機構取付け部43における背面側に固定することで、機構取付け部43の正面側および背面側で重量配分を均衡させている。これにより、本例のチラー2では、機構取付け部43の上面が水平な状態、すなわち、機構取付け部43に固定されている冷凍サイクル11、タンク12およびポンプ13が仮想水平面Xに対して傾いていない状態が維持される(「仮想水平面に対する冷凍サイクルおよびポンプの傾動を抑制する」との動作の一例)。
【0039】
なお、本例の水平維持機構14では、仮想水平面Xに対して筐体10が正立させられている状態(図4,6に示す状態)における機構取付け部43の基部41(ガイド部42)に対する位置が、前述の「基準傾動位置」に相当する。つまり、本例の水平維持機構14では、仮想水平面Xに対して筐体10が正立させられている状態における機構取付け部43の位置において各スプリング45の付勢力が均衡した状態となるように構成されており、筐体10の傾動に伴って機構取付け部43(各ローラー44)がガイド部42の案内に従って基部41に対して相対的に移動させられたときに、各スプリング45によって機構取付け部43を「基準傾動位置」に復帰させようとする力が加わることとなる。
【0040】
操作部15は、チラー2(冷却システム1)の動作を開始/停止させる操作スイッチや、チラー2(冷却システム1)の動作条件(ウォータージャケット3に供給される水の温度や、自動停止させるまでの運転時間等)を設定するための操作スイッチを備え、スイッチ操作に応じた操作信号を制御部17に出力する。表示部16は、制御部17の制御に従い、チラー2の動作条件を設定する画面や、チラー2の動作状態を示す画面(いずれも図示せず)を表示する。制御部17は、チラー2を総括的に制御する。具体的には、制御部17は、冷凍サイクル11(圧縮機31、膨張弁33およびファン35)を制御してタンク12内の水を冷却させる。また、制御部17は、ポンプ13を制御してタンク12内の水をウォータージャケット3に圧送(供給)させる。記憶部18は、制御部17の動作プログラムや、操作部15の操作によって設定された動作条件についてのデータを記憶する。
【0041】
なお、本例のチラー2では、図4,6に示すように、筐体10の内部において、冷凍サイクル11、タンク12、ポンプ13および水平維持機構14などが収容される下方空間S1と、制御部17や記憶部18などが収容される上方空間S2とが仕切り板によって仕切られている。これにより、圧縮機31などの発熱に起因して制御部17や記憶部18の正常動作が妨げられる事態が回避されると共に、重量が重い各構成要素11~14を下方空間S1に収容することで、チラー2の低重心化が図られて、意図しない転倒を好適に回避することが可能となっている。
【0042】
一方、ウォータージャケット3は、「温度調整用ジャケット」の一例であって、チラー2の供給口26oに接続された連結ホース4を接続可能な導入口、および回収口26iに接続された連結ホース4を接続可能な排出口が設けられると共に、導入口および排出口の間が、複数の細管で連結されている(図示せず)。これにより、ウォータージャケット3では、各細管を通過させられる水によって装着者の人体を冷却することが可能となっている。連結ホース4は、チラー2およびウォータージャケット3を相互に連結するための管体であって、可撓性を有する2m~5m程度(一例として3m)の圧力ホースで構成されている。
【0043】
次に、冷却システム1の使用方法について、添付図面を参照して説明する。
【0044】
冷却システム1の使用に際しては、チラー2、ウォータージャケット3および連結ホース4を使用場所まで搬送する。次いで、チラー2およびウォータージャケット3を連結ホース4によって連結すると共に、給水口26aからタンク12に水を給水し、電源ケーブルCを商用交流に接続した状態において、予め規定された手順に従って水の循環路内の空気を脱気する。なお、上記の連結、給水および脱気については、冷却システム1の保管場所において実施した状態で使用場所に搬送することもできる。次いで、一例として、装着者がウォータージャケット3を装着した後に操作部15を操作することにより、チラー2からウォータージャケット3への水の供給を開始させる。
【0045】
この際に、制御部17は、冷凍サイクル11を制御してタンク12内の水の冷却を開始させると共に、ポンプ13を制御してタンク12内の水の圧送を開始させる。これにより、タンク12内において蒸発器34内の冷媒との熱交換によって十分に冷却された水が、ポンプ13によって連結ホース4を介してウォータージャケット3に供給され、ウォータージャケット3における熱交換によって装着者の人体が冷却される。また、ウォータージャケット3における熱交換によって温度上昇させられた水は、連結ホース4を介してタンク12に回収され、タンク12内において再び冷却された後に連結ホース4を介してウォータージャケット3に供給される。したがって、冷凍サイクル11およびポンプ13の動作を継続させることで、ウォータージャケット3の装着者(人体)を快適な温度に維持することができる。
【0046】
この場合、図4,6に示すように、水平な設置面(仮想水平面X)上にチラー2を設置しているとき、すなわち、チラー2の筐体10が仮想水平面X上に正立させられている状態(仮想水平面Xに対する筐体10の傾きが生じていない状態)においては、前述したように、冷凍サイクル11、タンク12およびポンプ13の固定面(機構取付け部43の上面)が水平維持機構14によって水平状態に維持され、仮想水平面Xに対する冷凍サイクル11、タンク12およびポンプ13の傾きが生じていない状態となっている。したがって、給油式の圧縮機31において潤滑油の給油不良が生じたり、タンク12内の水がこぼれ落ちたりする事態を招くことなく、チラー2を好適に動作継続させることができる。
【0047】
一方、ウォータージャケット3を装着している者が連結ホース4のホース長を超えてチラー2から離れる必要があるときには、チラー2を移動させる。この際に、本例の冷却システム1(チラー2)では、チラー2における水の冷却や圧送を停止させることなく(冷凍サイクル11やポンプ13を動作させたまま)、チラー2を移動させることができる。
【0048】
具体的には、例えば、移動距離が短く、かつ、設置面に自在キャスタ21aの転動を妨げるような大きな凹凸が存在しないときには、一例として、4つの自在キャスタ21aを設置面に接触させたままチラー2を設置面に沿って移動させる。この際には、仮想水平面Xに対する筐体10の傾きが生じていない状態が維持されて、冷凍サイクル11、タンク12およびポンプ13が仮想水平面Xに対して傾くことがないため、給油式の圧縮機31において潤滑油の給油不良が生じたり、タンク12内の水がこぼれ落ちたりする事態を招くおそれがない。したがって、チラー2の動作を継続させたまま(すなわち、ウォータージャケット3の装着者を快適な温度に冷却しながら)チラー2を移動させることができる。
【0049】
また、移動距離が長いときや、設置面にやや大きな凹凸が存在しているときには、一例として、引き延ばした取っ手24aに手を掛けた状態で、図10に示すように、設置面(仮想水平面X)に対して筐体10を背面24側に倒すようにして傾動させる。この際には、4つの自在キャスタ21aのうちの背面側の2つだけが設置面に接した状態となるため、この2つの自在キャスタ21aを転動させるようにしてチラー2を設置面に沿って移動させる。この場合、引き延ばした状態の取っ手24aに手を掛けてチラー2を任意の方向に移動させることで、無理な姿勢を強いられることなく、チラー2を容易に移動させることができる。
【0050】
この際に、本例のチラー2では、前述したように、筐体10が仮想水平面Xに対して傾斜させられている状態(仮想水平面Xに対する筐体10の傾きが生じている状態)においても、冷凍サイクル11、タンク12およびポンプ13の固定面(機構取付け部43の上面)が水平維持機構14によって水平状態に維持され、仮想水平面Xに対する冷凍サイクル11、タンク12およびポンプ13の傾きが生じていない状態が維持される。
【0051】
具体的には、本例のチラー2では、図10に示すように、背面24側の2つの自在キャスタ21aを中心として筐体10が仮想水平面Xに対して矢印Aの向きで傾動させられたときに、筐体10に固定されている基部41が筐体10と共に矢印Aの向きで傾動させられる。この際には、機構取付け部43に取り付けられている各ローラー44が、基部41に取り付けられているガイド部42の案内に従って基部41に対して相対的に移動させられることにより、機構取付け部43が傾動中心Oを中心として基部41に対して矢印Bの向きに相対的に傾動させられる(「筐体の傾動とは逆向きへの固定部の相対的な傾動」の一例)。
【0052】
また、前述したように、本例のチラー2では、給水口26a(給水口26aに取り付けられたフィラーチューブ)およびタンク12の間、供給口26oおよびポンプ13の間、並びに回収口26iおよびタンク12の間が、可撓性を有する管体でそれぞれ連結されている。したがって、本例のチラー2では、基部41が固定されている筐体10(給水口26a、供給口26oおよび回収口26iが開口されている部位)に対するタンク12およびポンプ13等(機構取付け部43に固定されている物品)の筐体10内における移動(筐体10に対する相対的な傾動)が、連結用の管体によって阻害される事態を招くことなく、スムースに移動(傾動)させることが可能となっている。
【0053】
これにより、筐体10が仮想水平面Xに対して傾動させられた状態において、機構取付け部43に固定されている冷凍サイクル11、タンク12およびポンプ13が仮想水平面Xに対して傾動しない状態(「仮想水平面に対する固定部の傾動角度が仮想水平面に対する筐体の傾動角度よりも小さくなる」との状態、すなわち、「固定部に固定されている冷凍サイクルおよびポンプの仮想水平面に対する傾動角度が仮想水平面に対する筐体の傾動角度よりも小さくなる」との状態の一例)となる。したがって、給油式の圧縮機31において潤滑油の給油不良が生じたり、タンク12内の水がこぼれ落ちたりする事態を招くことなく、チラー2の動作を継続させたまま(すなわち、ウォータージャケット3の装着者を快適な温度に冷却しながら)チラー2を移動させることができる。
【0054】
さらに、設置面に大きな凹凸が存在し、自在キャスタ21aを好適に転動させることができないときには、筐体10の側面23,23に取り付けられている取っ手23b,23bに手を掛けてチラー2を持ち上げた(設置面から離間させた)状態で移動させる。この際に、チラー2がある程度の重さを有しているため、チラー2を持ち上げるとき、チラー2を持ち上げた状態で歩行するとき、およびチラー2を設置面上に下ろすときに、筐体10の背面24(または、取っ手24aの下方部位)を作業者の脚部や復部に押しつけた状態とする必要が生じることがある。この際に、構成部品の中で最も重い圧縮機31を機構取付け部43の中央に配置している本例のチラー2では、両側面23,23に取り付けられている取っ手23b,23bに両手を掛けて持ち上げることで、筐体10が左右方向に大きく傾く事態を回避できる。
【0055】
しかしながら、作業者の体格や動作時の体制によっては、チラー2が前後方向にやや傾いた状態となるおそれがある。このような状態においても、本例のチラー2では、冷凍サイクル11、タンク12およびポンプ13の固定面(機構取付け部43の上面)が水平維持機構14によって水平状態に維持され、仮想水平面Xに対する冷凍サイクル11、タンク12およびポンプ13の傾きが生じていない状態が維持される。したがって、給油式の圧縮機31において潤滑油の給油不良が生じたり、タンク12内の水がこぼれ落ちたりする事態を招くことなく、チラー2の動作を継続させたまま(すなわち、ウォータージャケット3の装着者を快適な温度に冷却しながら)チラー2を移動させることができる。
【0056】
この場合、上記のいずれかの方法によるチラー2の移動に際して、チラー2を急激に移動させたり、移動中のチラー2を急停止させたりしたときに、チラー2の各構成要素に対して筐体10の前後方向沿った大きな加速度の力が加わることがある。この際に、本例のチラー2とは異なり、水平維持機構14がスプリング45,45・・を備えていない構成が採用されている場合には、上記のような大きな加速度の力が加わったときに、移動(または制止)状態に移行させられる筐体10に対して、慣性の法則により、冷凍サイクル11、タンク12およびポンプ13などは、制止(または移動)を維持しようとする状態となる。このため、冷凍サイクル11等が固定されている機構取付け部43が、筐体10に固定されている基部41に対して大きく移動して、冷凍サイクル11、タンク12およびポンプ13などに傾きが生じるおそれがある。
【0057】
これに対して、本例のチラー2では、前述したように、重量が重い圧縮機31が傾動中心Oに配置されているため、上記のような大きな加速度の力が加わって圧縮機31に慣性の法則が働いたとしても、圧縮機31が制止(または移動)を維持しようとする力によって機構取付け部43が基部41(筐体10)に対して大きく傾動する事態が生じ難くなっている。また、水平維持機構14がスプリング45,45・・を備えている本例のチラー2では、上記のような大きな加速度の力が加わって慣性の法則が働いたとしても、スプリング45,45・・の付勢力によって基部41における「基準傾動位置」に向けて機構取付け部43が案内される。これにより、本例のチラー2では、機構取付け部43に固定されている冷凍サイクル11、タンク12およびポンプ13などに大きな傾きが生じる事態が好適に回避される。
【0058】
一方、本例の冷却システム1では、傾斜している設置面にチラー2を設置した状態でも好適に使用することができる。具体的には、4つの自在キャスタ21aを接触させる設置面に傾きが生じているとき(4つの自在キャスタ21aを設置面に接触させたときに筐体10が正面22側、または背面24側に倒れるようにしてチラー2が傾斜した状態となるとき)に、本例のチラー2では、冷凍サイクル11、タンク12およびポンプ13の固定面(機構取付け部43の上面)が水平維持機構14によって水平状態に維持され、仮想水平面Xに対する冷凍サイクル11、タンク12およびポンプ13の傾きが生じていない状態が維持される(図示せず)。したがって、給油式の圧縮機31において潤滑油の給油不良が生じたり、タンク12内の水がこぼれ落ちたりする事態を招くことなく、チラー2の動作を継続させることができる。
【0059】
なお、傾斜した設置面上にチラー2を設置して使用するときには、4つの自在キャスタ21aのうちの2つ(本例では、正面22側の2つ)に設けられているロック機構を操作して両自在キャスタ21a,21aの意図しない転動を規制する。また、設置面がやや大きく傾斜しているときには、傾斜面の下方に位置している2つの自在キャスタ21a,21aに、図示しない車止めを配設して両自在キャスタ21a,21aの意図しない転動を規制する。これにより、チラー2の意図しない移動を回避することができる。
【0060】
また、ロック機構の操作や、車止めの配設ではチラー2の移動を確実に規制するのが困難な程度に設置面が大きく傾斜しているときには、チラー2を倒した状態(各自在キャスタ21aを設置面から離間させた状態)とすることができる。さらに、上下方向に長い筐体10を有する本例のチラー2では、搬送時や収納時に、上下方向のスペースを確保することができないときなどにも、チラー2を倒した状態とすることができる。
【0061】
具体的には、例えば、搬送時や収納時に、正立状態のままチラー2を配置可能なスペースを確保できないときには、図11に示すように、背面24を下向きにして筐体10を倒した状態とする。この際に、本例のチラー2では、冷凍サイクル11、タンク12およびポンプ13の固定面(機構取付け部43の上面)が水平維持機構14によって水平状態に維持され、仮想水平面Xに対する冷凍サイクル11、タンク12およびポンプ13の傾きが生じていない状態が維持される。したがって、圧縮機31から潤滑油が漏出したり、タンク12から水がこぼれ落ちたりする事態を好適に回避することができる。
【0062】
また、図示を省略するが、大きく傾いた設置面に設置してチラー2を動作させるときにも、背面24を下向きにして筐体10を倒した状態とする。この際にも、冷凍サイクル11、タンク12およびポンプ13の固定面(機構取付け部43の上面)が水平維持機構14によって水平状態に維持され、仮想水平面Xに対する冷凍サイクル11、タンク12およびポンプ13の傾きが生じていない状態が維持される。したがって、給油式の圧縮機31において潤滑油の給油不良が生じたり、タンク12内の水がこぼれ落ちたりする事態を招くことなく、チラー2の動作を継続させることができる。
【0063】
さらに、背面24を下向きにして筐体10を倒した状態においては、各自在キャスタ21aが設置面から離間した状態となり、背面24に取り付けられている取っ手24aが設置面に接触した状態となる。これにより、傾斜している設置面上に設置した状態でチラー2を動作させている最中や、使用場所までチラー2を搬送している最中、および保管場所においてチラー2を保管している最中に、チラー2が意図せず移動する事態を好適に回避することができる。
【0064】
また、本例のチラー2では、筐体10の正面22と上面25との間の角面26に給水口26aが開口されて、蛇腹ホースを介してタンク12に接続されている。したがって、本例のチラー2では、図2に示すように、仮想水平面Xに対して筐体10を正立させた状態、および図11に示すように、背面24を下向きにして仮想水平面Xに対して筐体10を倒した状態のいずれの状態であっても、給水口26aがチラー2の最上部に位置した状態となる。これにより、本例のチラー2では、筐体10を正立させた状態および倒した状態のいずれの状態であっても、給水口26aから水を給水してタンク12に貯水させることが可能となっている。
【0065】
このように、このチラー2では、筐体10に対して相対的に傾動可能に構成されると共に冷凍サイクル11およびポンプ13が固定される機構取付け部43を有し、仮想水平面Xに対する筐体10の傾動時に仮想水平面Xに対する機構取付け部43の傾動角度が仮想水平面Xに対する筐体10の傾動角度よりも小さくなるように筐体10の傾動とは逆向きへの機構取付け部43の相対的な傾動を許容して仮想水平面Xに対する冷凍サイクル11およびポンプ13の傾動を抑制する水平維持機構14(傾動抑制機構)を備えると共に、冷凍サイクル11の圧縮機31が、筐体10に対する機構取付け部43の相対的な傾動における傾動中心Oに位置するように機構取付け部43に固定されている。また、この冷却システム1は、上記のチラー2を備えて構成されている。
【0066】
したがって、このチラー2および冷却システム1によれば、筐体10の傾動時に機構取付け部43に固定されている圧縮機31等が大きく傾く事態を水平維持機構14によって好適に回避することができ、また、その重量が比較的重い圧縮機31を傾動中心Oに配置したことで、チラー2に対して水平方向成分を有する大きな加速度の力が加わったとしても、圧縮機31等が固定されている機構取付け部43が筐体10に対して不要に移動する(すなわち、圧縮機31等が不要に傾く)事態を好適に回避することができる。これにより、潤滑油を必要とする圧縮機31を採用している本例においても、動作中のチラー2において圧縮機31に潤滑油の給油不良が生じたり、保管中のチラー2において圧縮機31から潤滑油が漏出したりする事態を招くことがなくなるため、筐体10を傾けた状態においても好適に使用・保管をすることができる。また、移動に際してチラー2を停止させなくて済むため、ウォータージャケット3(装着者の身体)の温度を好適な温度に保つことができる。
【0067】
また、このチラー2および冷却システム1によれば、基部41に規定された「傾動中心軸(傾動中心Oを通過する直線)」を中心として機構取付け部43が基部41に対して相対的に傾動可能となるように水平維持機構14を構成したことにより、比較的簡易な構成でありながら、「傾動中心軸」を中心とする機構取付け部43の傾動を十分に抑制することができるため、チラー2の製造コストが高騰したり、「傾動抑制機構」の大形化に伴って「温度調整装置」が大形化したりする事態を招くことなく、筐体10を傾けた状態においても好適に使用・保管をすることが可能なチラー2を提供することができる。
【0068】
さらに、このチラー2および冷却システム1によれば、基部41に対して機構取付け部43を相対的に付勢して機構取付け部43を予め規定された「基準傾動位置」に案内するスプリング45を備えて水平維持機構14を構成したことにより、機構取付け部43を「基準傾動位置」に位置させた状態を維持させて、基部41に対する機構取付け部43の意図しない移動(すなわち、機構取付け部43に固定されている圧縮機31等の意図しない傾動)を一層好適に回避することができる。
【0069】
また、このチラー2および冷却システム1では、水(熱媒液)を貯水(貯液)可能に構成されて機構取付け部43に固定されたタンク12と、水を導入可能に筐体10に開口された給水口26aをタンク12に連通させる「接続用配管」とを備え、「接続用配管」が、可撓性を有する管体(本例では、蛇腹ホース)で構成されると共に、一端部が給水口26aに連結され、かつ他端部がタンク12に連結されている。したがって、このチラー2および冷却システム1によれば、筐体10の傾動時に、水の貯水(貯液)によってその重量が重くなるタンク12についても圧縮機31等と同様に大きく傾く事態が好適に回避されるため、タンク12内の水がこぼれ落ちる事態を好適に回避することができる。
【0070】
さらに、このチラー2および冷却システム1によれば、筐体10を直方体状に形成すると共に、4つの側面のうちのいずれか1つの面(本例では、正面22)と上面25との角部(角面26)に給水口26aを開口したことにより、仮想水平面Xに対して筐体10を正立させた状態、および背面24を下向きにして仮想水平面Xに対して筐体10を倒した状態のいずれの状態であっても、給水口26aがチラー2の最上部に位置した状態となるため、いずれの状態においても、給水口26aから水を給水してタンク12に貯水させることができる。
【0071】
なお、「温度調整装置」および「温度調整システム」の構成は、上記のチラー2および冷却システム1の構成の例に限定されない。
【0072】
例えば、冷凍サイクル11、タンク12およびポンプ13などを固定する機構取付け部43(「固定部」の一例)が仮想水平面Xに対して傾かない状態(水平状態)を維持する水平維持機構14を「傾動抑制機構」として備えて構成した例について説明したが、「傾動抑制機構」の構成は、「固定部」を水平状態に維持する構成に限定されず、「固定部」を許容範囲内で僅かに傾けた状態に維持する構成(非水平状態を維持する構成)を採用することもできる。
【0073】
また、「傾動抑制機構」の構成は、「固定部」を水平状態、または、許容範囲内の傾斜状態に維持する構成に限定されず、「仮想水平面」に対する「筐体」の傾動時に、「仮想水平面」に対する「冷凍サイクル」および「ポンプ」の傾動角度(すなわち、「固定部」の傾斜角度)が、「仮想水平面」に対する「筐体」の傾動角度よりも小さいとの条件を満たす範囲内において、「冷凍サイクル」および「ポンプ」の「仮想水平面」に対する傾動が許容される構成(「冷凍サイクル」および「ポンプ」が僅かに傾動する構成:すなわち、「仮想水平面」に対する「固定部」の傾斜状態が変化する構成:図示せず)を採用することもできる。そのような構成を採用した場合においても、「傾動抑制機構」を備えていない構成と比較して「筐体」の傾動時における「固定部」の傾動量(すなわち、「圧縮機」や「貯液槽」などの傾動量)が十分に小さくなるため、筐体を傾けた状態においても好適に使用・保管をすることができる。
【0074】
さらに、筐体10に固定された基部41を有する水平維持機構14を備えた構成を例に挙げて説明したが、このような構成に代えて、水平維持機構14における基部41に相当する構成要素を「筐体」に設ける(「筐体」の一部を基部41と同様に機能させるように形成する)ことで「基部」を備えずに「傾動抑制機構(水平維持機構)」を構成することもできる。また、機構取付け部43に軸支させたローラー44をガイド部42(ガイドレール)によって案内することで基部41に対して機構取付け部43をスムースに移動させて相対的な傾動を許容する(基部41(筐体10)の傾動とは逆向きへの機構取付け部43の相対的な傾動を許容する)構成を例に挙げて説明したが、ローラー(車輪)やボール(球体)を「固定部」に軸支させずに、「固定部」と「ガイド部(ガイドレール):「基部(筐体)」との間に介在させることで、「ガイド部」に対して「固定部」をスムースに移動させて相対的な傾動を許容する(「基部(筐体)」の傾動とは逆向きへの「固定部」の相対的な傾動を許容する)構成を採用することもできる。
【0075】
さらに、「筐体」の水平方向に沿って配設した「支持軸」によって「筐体」または「基部」に対して「固定部」を軸支させることで、「仮想水平面」に対する「冷凍サイクル」および「ポンプ」の傾動を抑制する構成を採用することもできる(図示せず)。また、平面視において互いに交差する複数の「傾動中心軸」が存在するように「傾動抑制機構」を構成することで、前後方向(または、左右方向)への「筐体」の傾動時に「冷凍サイクル」や「ポンプ」の傾動を抑制するだけでなく、前後左右の各方向への「筐体」の傾動時に「圧縮機」等の傾動を抑制する構成を採用することもできる。また、筐体10内において「基部」に対して「釣支部材(紐や棒など)」によって「固定部」を釣支させることで「仮想水平面」に対する各種方向への「冷凍サイクル」や「ポンプ」の傾動を抑制する構成を採用することもできる(図示せず)。
【0076】
さらに、「可撓性を有する管体」で構成された「接続用配管」は、前述のチラー2において採用されている蛇腹ホースに限定されず、可撓性を有する樹脂製ホースや、各種材料で形成されたフレキシブルホースなどで構成することもできる。また、筐体10の底面21に4つの自在キャスタ21aを配設した構成を例に挙げて説明したが、配設する車輪(キャスタ)の数はこれに限定されない。例えば、上記のチラー2のように筐体10を背面24側に倒して移動可能に構成する場合に、チラー2における正面22側の2つの自在キャスタ21a,21aに代えて、背面24側の自在キャスタ21aと同程度の高さ(長さ)の「脚(一例として、先端部に弾性樹脂のキャップを取り付けた脚)」を取り付けることで、仮想水平面Xに対して筐体10を傾けることなく設置可能で、かつ筐体10を背面24側に倒した状態で2つの自在キャスタ21a,21aを転動させてチラー2を移動させることができる。また、背面24側の2つの自在キャスタ21a,21aに代えて、筐体10の左右方向に沿って配設した車軸を中心に転動可能な車輪(図示せず)を取り付けることもできる。
【0077】
また、水(真水)を「熱媒液」として使用する構成のチラー2(冷却システム1)を例に挙げて説明したが、水に代えて、不凍液や合成油などの「液状の熱媒体」を「熱媒液」として使用する構成を採用することができる。さらに、冷却した「熱媒液」を「供給対象」に供給して「供給対象」を冷却する構成を例に挙げて説明したが、このような構成に代えて(または、このような構成に加えて)、加熱した「熱媒液」を「供給対象(例えば、ウォータージャケット3)」に供給して「供給対象」を加熱する構成(凝縮器32における冷媒との熱交換によって「熱媒液」を加熱して「供給対象」に供給する構成)を採用することもできる。これらの構成においても、前述のチラー2(冷却システム1)と同様の効果を奏することができる。
【0078】
また、「貯液槽」としてのタンク12を備えた構成を例に挙げて説明したが、「貯液槽」を備えない構成を採用することもできる。このような構成を採用する際には、「熱媒液」の流路中に配設した「熱交換器」内に「蒸発器(熱媒液を冷却する構成のとき)」や「凝縮器(「熱媒液を加熱する構成のとき)」を配設して、「熱媒液」の通過時に温度を調整する構成を採用することができる。さらに、「供給対象」との間で「熱媒液(上記の例では、水)」を循環させる「循環型の温度調整装置」の構成を例に挙げて説明したが、「供給対象」から「熱媒液」を回収しない「非循環型の温度調整装置」にも本願の構成を採用することができる。
【0079】
また、ウォータージャケット3(ウォータージャケット3の装着者:人体)を「供給対象」として「熱媒液(上記の例では水)」を供給する使用形態を例に挙げて説明したが、「熱媒液を供給する供給対象」はこれに限定されず、温度調整を必要とする各種の機械を「供給対象」としたり、任意の温度を維持すべき物品の収納庫(冷蔵庫や保温槽)を「供給対象」としたり、生育環境を所望の温度範囲内の温度とすべき植物(作物)の成育場所(育成用冷却・加熱シート)を「供給対象」としたりすることもできる。
【0080】
また、電源ケーブルCを商用交流に接続して使用する構成のチラー2(冷却システム1)を例に挙げて説明したが、このような構成に代えて(または、このような構成に加えて)、冷凍サイクル11(圧縮機31および膨張弁33)やポンプ13等を動作させるための電源を蓄電可能な二次電池を搭載することもできる。この場合、二次電池として鉛バッテリー等の「バッテリー液使用型」を搭載したときには、その重量が比較的重く、そのなかでも、開放型バッテリーの場合には、倒した状態においてバッテリー液の漏出を招くおそれがある。したがって、そのような二次電池を搭載するに当たっては、「傾動抑制機構」における「固定部」に二次電池を固定すると共に、「固定部」に固定する他の構成部品の重量を踏まえて、二次電池の搭載位置を規定して各構成要素の重量配分を均衡させるのが好ましい。
【0081】
また、任意の場所に携行して使用可能な可搬型のチラー2および冷却システム1の構成を例に挙げて説明したが、任意の場所に固定的に設置して使用する固定型の「温度調整装置」および「温度調整システム」において本願発明の構成を採用することもできる。この場合、固定型の「温度調整装置」および「温度調整システム」では、一般的には、水平な設置面に「温度調整装置」を設置して使用することとなるが、地震等によって設置面に傾きが生じることがある。また、屋根上等の様々な角度の傾斜面に「温度調整装置」を固定的に設置して使用することもある。このような使用環境下においても、本願発明の構成を採用することで、「筐体」を傾けた状態においても好適に使用することができる。
【0082】
加えて、「温度調整装置」の一例であるチラー2に加えて、ウォータージャケット3および連結ホース4を備えた冷却システム1の実施形態について説明したが、「温度調整装置」以外の構成要素(冷却システム1におけるウォータージャケット3や連結ホース4)については、既存の物品(他の「温度調整装置」から「熱媒液」の供給を受けて「供給対象」を温度調整するための物品)を使用することもできる。
【符号の説明】
【0083】
1 冷却システム
2 チラー
3 ウォータージャケット
4 連結ホース
10 筐体
11 冷凍サイクル
12 タンク
13 ポンプ
14 水平維持機構
15 操作部
16 表示部
17 制御部
18 記憶部
21 底面
21a 自在キャスタ
22 正面
22a 排気口
23 側面
23a 吸気口
23b,24a 取っ手
24 背面
25 上面
26 角面
26a 給水口
26b キャップ
26i 回収口
26o 供給口
31 圧縮機
32 凝縮器
33 膨張弁
34 蒸発器
35 ファン
41 基部
42 ガイド部
43 機構取付け部
44a,44b ローラー
45a,45b スプリング
C 電源ケーブル
O 傾動中心
S1 下方空間S1
S2 上方空間S2
X 仮想水平面
図1
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