(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022131060
(43)【公開日】2022-09-07
(54)【発明の名称】粉粒体の袋詰め方法及び袋詰め装置
(51)【国際特許分類】
B65B 63/02 20060101AFI20220831BHJP
B65B 1/28 20060101ALI20220831BHJP
【FI】
B65B63/02
B65B1/28
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021029796
(22)【出願日】2021-02-26
(71)【出願人】
【識別番号】591029921
【氏名又は名称】フジモリ産業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】510219084
【氏名又は名称】株式会社双葉マテリアル
(74)【代理人】
【識別番号】100085556
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 昇
(74)【代理人】
【識別番号】100115211
【弁理士】
【氏名又は名称】原田 三十義
(72)【発明者】
【氏名】岡本 衛
(72)【発明者】
【氏名】若林 淳也
【テーマコード(参考)】
3E056
3E118
【Fターム(参考)】
3E056AA05
3E056BA03
3E056CA01
3E056DA03
3E056EA01
3E056FF05
3E056FH01
3E056FH20
3E118AA07
3E118AB01
3E118BB15
3E118CA03
3E118DA20
3E118EA07
3E118EA10
(57)【要約】
【課題】脱気工程における作業者の負担を軽減するとともに、塊化した粉粒体を、塊を維持したまま袋詰め可能な方法を提供する。
【解決手段】内容物を解放可能なドラム10内に粉粒体9aを充填する。ドラム10に脱気機構6を接続してドラム10内を脱気して、ドラム10内の粉粒体9aの集合体を塊化させる。該粉粒体の集合体からなる塊をドラム10から解放して袋20内に収容する。好ましくは、ドラム10の胴部11及び底部12が開閉可能である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉粒体を袋詰めする方法であって、
内容物を解放可能なドラム内に前記粉粒体を充填する工程と、
前記ドラムに接続された脱気機構によって前記ドラム内を脱気する工程と、
前記脱気によって、前記ドラム内の粉粒体の集合体を塊化させる工程と、
前記粉粒体の集合体からなる塊を前記ドラムから解放して袋内に収容する工程と
を備えたことを特徴とする粉粒体の袋詰め方法。
【請求項2】
粉粒体を袋詰めする装置であって、
内容物を解放可能な開状態と、内容物を閉じ込める閉状態との間で開閉可能なドラムと、
前記ドラムを開閉させる開閉機構と、
前記ドラム内に前記粉粒体を充填する充填機構と、
前記ドラムに接続されて、前記ドラム内を脱気する脱気機構と、
前記脱気によって塊化された粉粒体の集合体を、前記開閉機構と協働して前記開状態にされたドラムから解放して袋内に収容する移送機構と
を備えたことを特徴とする粉粒体の袋詰め装置。
【請求項3】
前記ドラムの胴部が、互いに環状に配置された複数の分割胴体からなり、
前記開閉機構が、前記複数の分割胴体を互いに離間させることによって前記ドラムを前記開状態にし、前記複数の分割胴体を互いに合わせて前記胴部を環状に閉じることによって前記ドラムを前記閉状態とすることを特徴とする請求項2に記載の袋詰め装置。
【請求項4】
前記ドラムの底部が、互いに環状に配置された複数の分割底板からなり、
前記開閉機構が、前記複数の分割底板を互いに離間させることによって前記ドラムを前記開状態にし、前記複数の分割底板を互いに合わせて前記底部を閉じることによって前記ドラムを前記閉状態にすることを特徴とする請求項2又は3に記載の袋詰め装置。
【請求項5】
前記ドラムの底部が、気体の透過を許容する一方、前記粉粒体の通過を阻止する多孔部材によって構成されており、
前記脱気機構が、前記底部に接続されることを特徴とする請求項2~4の何れか1項に記載の袋詰め装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば麦芽等の粉粒体を袋詰めする方法及び装置に関し、特に粉粒体を脱気して袋詰めする方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
麦芽等の粉粒体は、脱気することで減容されるだけでなく、空気との接触を殆ど無くして品質を保持可能である。一般には、粉粒体をフレキシブルコンテナ袋等の袋に充填した後、その袋内に吸引ノズルを差し込んで吸引することで、脱気を行っている。袋内の粉粒体は、脱気によって塊化される。通常、前記脱気工程は作業者が手作業で行っている。
【0003】
特許文献1においては、筒状フィルター内に設けられたスクリューの回転によって、粉粒体をホッパーから筒状フィルター内へ送り込むとともに、筒状フィルターを囲む外筒と筒状フィルターとの間の環状空間内を減圧することによって、筒状フィルター内の粉粒体を脱気し、脱気後の粉粒体を前記スクリューによって筒状フィルターの出口端部から送り出して、袋に収容している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
作業者が手作業で吸引ノズルを袋に差し込んで脱気するのは煩雑で時間がかかる。また、特許文献1の装置は、粉粒体をスクリューの回転によって送り出すために、脱気によって塊化された粉粒体をほぐしながら袋に収容することになり、塊化の効果が薄れる。
本発明は、かかる事情に鑑み、脱気工程における作業者の負担を軽減するとともに、塊化した粉粒体を、塊を維持したまま袋詰め可能な方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するため、本発明方法は、粉粒体を袋詰めする方法であって、
内容物を解放可能なドラム内に前記粉粒体を充填する工程と、
前記ドラムに接続された脱気機構によって前記ドラム内を脱気する工程と、
前記脱気によって、前記ドラム内の粉粒体の集合体を塊化させる工程と、
前記粉粒体の集合体からなる塊を前記ドラムから解放して袋内に収容する工程と
を備えたことを特徴とする。
【0007】
本発明装置は、粉粒体を袋詰めする装置であって、
内容物を解放可能な開状態と、内容物を閉じ込める閉状態との間で開閉可能なドラムと、
前記ドラムを開閉させる開閉機構と、
前記ドラム内に前記粉粒体を充填する充填機構と、
前記ドラムに接続されて、前記ドラム内を脱気する脱気機構と、
前記脱気によって塊化された粉粒体の集合体を、前記開閉機構と協働して前記開状態にされたドラムから解放して袋内に収容する移送機構と
を備えたことを特徴とする粉粒体の袋詰め装置。
【0008】
前記ドラムの胴部が、互いに環状に配置された複数の分割胴体からなり、
前記開閉機構が、前記複数の分割胴体を互いに離間させることによって前記ドラムを前記開状態にし、前記複数の分割胴体を互いに合わせて前記胴部を環状に閉じることによって前記ドラムを前記閉状態とすることが好ましい。
【0009】
前記ドラムの底部が、互いに環状に配置された複数の分割底板からなり、
前記開閉機構が、前記複数の分割底板を互いに離間させることによって前記ドラムを前記開状態にし、前記複数の分割底板を互いに合わせて前記底部を閉じることによって前記ドラムを前記閉状態にすることが好ましい。
【0010】
前記ドラムの底部が、気体の透過を許容する一方、前記粉粒体の通過を阻止する多孔部材によって構成されており、
前記脱気機構が、前記底部に接続されることが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、脱気工程を自動化して作業者の負担を軽減するとともに、塊化した粉粒体を、塊を維持したまま袋詰めできる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態に係る袋詰め装置の全体構成を概略的に示す平面図である。
【
図2】
図2は、前記袋詰め装置の充填位置における装置構成を示す側面断面図である。
【
図3】
図3は、前記袋詰め装置の脱気位置における装置構成を示す側面断面図である。
【
図4】
図4は、前記袋詰め装置の籠を、袋セット位置で被せる袋を二点鎖線で加えて示す平面図である。
【
図5】
図5は、前記袋詰め装置の籠を、袋セット位置の装置構成を、該位置で被せる袋を二点鎖線で加えて示す正面図である。
【
図6】
図6は、前記袋詰め装置の移送位置及び袋詰め位置における装置構成を、袋詰め位置のドラムが籠に押し込まれる前の状態で示す正面断面図である。
【
図7】
図7(a)は、前記袋詰め装置の袋詰め位置においてドラムが籠に押し込まれる工程を示す正面断面図である。
図7(b)は、前記袋詰め位置においてドラムが籠の底部まで押し込まれた段階を示す正面断面図である。
【
図8】
図8(a)は、前記袋詰め位置においてドラムを開状態にして内容物を袋内に解放する工程を示す正面断面図である。
図8(b)は、前記袋詰め位置においてドラムが籠及び袋から引き揚げられた段階を示す正面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態を図面にしたがって説明する。
<袋詰め装置1>
図1は、内容物9を袋詰めする装置1を示したものである。内容物9は、例えば麦芽などの粉粒体9aの集合体である。
図1に示すように、袋詰め装置1は、自動袋詰め部2と、前後作業部3を備えている。自動袋詰め部2は、安全柵2aと、ターンテーブル4と、充填機構5と、脱気機構6と、移送機構7と、3つ(複数)のドラム10とを含む。自動袋詰め部2は、完全自動化されており、人が不用意に立ち入らないように安全柵2aで区画されている。安全柵2aのゲート2bには、エリアセンサー2cが設けられており、人が入ろうとするとアラームが発せられる。
【0014】
安全柵2a内に円盤形状のターンテーブル4が設けられている。ターンテーブル4上に3つのドラム10が120度間隔で配置されている。
図1において円弧状の太矢印線にて示すように、ターンテーブル4が120度置きに間歇回転されることによって、各ドラム10が、充填位置4aと脱気位置4bと移送位置4cの3つの位置を順次循環するように移動される。
【0015】
図1に示すように、充填位置4aには、充填機構5が設けられている。
図2に示すように、充填機構5は、内容物9をドラム10に投入、充填するホッパー5aと、充填量を計量するロードセルなどの荷重計5bを含む。
【0016】
図1に示すように、脱気位置4bには、脱気機構6が設けられている。
図3に示すように、脱気機構6は、吸引ノズル6aと、吸引用ブロワ6bを含む。
【0017】
図1に示すように、移送位置4cは、充填位置4aよりも前後作業部3側に配置されている。移送位置4cには、移送機構7が設けられている。
図6に示すように、移送機構7は、ドラム10を把持する把持部7aと、スライド機構7bと、昇降機構7cを含む。スライド機構7bは、移送位置4cから後記袋詰め位置8aへ延びており、把持部7aひいては把持部7aに把持されたドラム10をこれら移送位置4cと袋詰め位置8aとの間で往復移動させる。昇降機構7cは、移送位置4c及び袋詰め位置8aにおいて、把持部7aひいてはドラム10を昇降させる。
【0018】
図1に示すように、ドラム10は、内容物9を解放可能な開状態と、内容物9を閉じ込め可能な閉状態との間で開閉可能である。詳しくは、ドラム10は、開閉可能な円筒状の胴部11及び底部12を有している。胴部11は、互いに環状に配置された3つ(複数)の分割胴体13を含む。各分割胴体13は、3分の1円筒形状に形成されている。分割胴体13どうしは、ドラム10の径方向に互いに接近離間可能である。
【0019】
図1に示すように、底部12は、3つ(複数)の分割底板14からなる。各分割底板14は、概略三角形ないしは扇形に形成されている。分割底板14ひいては底部12は、気体の透過を許容する一方、粉粒体の通過を阻止する硬質の発泡部材、網状体、パンチングメタル等の多孔部材によって構成されている。3つの分割底板14は、互いに環状に配置されるとともに、これら分割底板14の各々が、対応する分割胴体13に回転可能に連結されている。
【0020】
図8に示すように、ドラム10に開閉機構15が接続されている。開閉機構15は、胴部11に接続された胴開閉機構15aと、底部12に接続された底開閉機構15bを含み、胴部11及び底部12が開いた開状態(
図8(a))と、胴部11及び底部12が閉じた閉状態(
図8(b))との間で、ドラム10を開閉させる。
【0021】
胴開閉機構15aによって、分割胴体13どうしがドラム10の径方向に接近・離間される。
底開閉機構15bによって、各分割底板14が、対応する分割胴体13とのヒンジ連結部14cを中心にして回転動作され、ひいては分割底板14どうしが、互いに離間されたり、互いに合わさったりする。
【0022】
図8に示すように、胴開閉機構15aによる分割胴体13の動きと、底開閉機構15bによる分割底板14の動きは、互いに同期して行われる。ドラム10が開状態のとき、胴開閉機構15aによって分割胴体13どうしが互いに離間されるとともに、底開閉機構15bによって各分割底板14が分割胴体13から垂下されることで分割底板14どうしが互いに離間される。これによって、ドラム10内の内容物9が解放可能となる。
ドラム10が閉状態のとき、胴開閉機構15aによって分割胴体13どうしが互いに接近して合わさって胴部11が環状に閉じられるとともに、底開閉機構15bによって各分割底板14が水平になって分割底板14どうしが合わさり、底部12が閉じられる。これによって、ドラム10内に内容物9が収容可能(閉じ込め可能)となる。
なお、ドラム10は、後記袋詰め位置8aに在るときのみ、開状態にされる。袋詰め位置8a以外の場所に在るドラム10は、閉状態になっている。
【0023】
図1に示すように、袋詰め装置1には、6つ(複数)の作業位置8a~8fが設定されている。2つの作業位置8a,8fは、自動袋詰め部2の安全柵2a内における、ターンテーブル4よりも前後作業部3側の部分に設定されている。4つの作業位置8b~8eは、前後作業部3に設定されている。さらに6つの作業位置8a~8fが、互いに四角環状をなすように配置されている。
【0024】
6つの作業位置8a~8fの各々に可動台8が設けられている。これら可動台8は、台移動機構8g(
図5)によって、袋詰め位置8a、封袋位置8b、搬出位置8c、袋セット位置8d、セット予備位置8e、待機位置8fの順に間歇的に循環移動される。可動台8の間歇移動とターンテーブル4の間歇回転とは互いに同期される。
【0025】
図1に示すように、各可動台8には籠30が設けられている。
図4及び
図5に示すように、籠30は、蓋無しの円筒状に形成されている。籠30の周側部30a(胴部)は、複数の支柱31と、複数のフープ材32を含む。支柱31は、鉛直な棒材によって構成され、互いに周側部30aの周方向に間隔をおいて配置されている。フープ材32は、周側部30aの周方向に沿う環状に形成され、互いに上下に間隔をおいて配置されている。支柱31によって、フープ材32が支持されている。
【0026】
図4及び
図5に示すように、各フープ材32ひいては周側部30aには、多数(複数)の回転体33が設けられている。回転体33の外周部は、中心孔33cから外周へ向かって断面三角形状に尖っており、珠算玉形状に形成されている。なお、回転体33の形状は、前記に限らず、球形などであってもよい。回転体33の中心孔33cにフープ材32が通されている。回転体33は、フープ材32ひいては周側部30aの周方向を向く回転軸線のまわりに回転自在になっている。多数(複数)の回転体33が、フープ材32の長手方向ひいては周側部30aの周方向に密に並べられている。これら回転体33が、籠30の周側部30aの内外両側へ臨んでいる。言い換えると、籠30の周側部30aの内周面及び外周面は、回転体33によって構成されている。
【0027】
籠30には、内容物9を収容するための袋20がセット可能である。
袋20は、外袋21と内袋22とからなる二重袋構造のフレキシブルコンテナ袋によって構成されている。外袋21は、樹脂繊維の織布によって構成されている。内袋22は、樹脂フィルムによって構成されている。外袋21には、一対の持ち手状の吊り部23が設けられている。
【0028】
<袋詰め方法>
麦芽などの粉粒体9aは、次のようにして袋詰めされる。
図2に示すように、充填機構5のホッパー5aから充填位置4aのドラム10内に粉粒体9aを充填する(充填工程)。荷重計5bによる計量によって、充填量が所定になるよう調節する。
【0029】
続いて、
図1に示すように、ターンテーブル4が120度回転され、前記粉粒体9aを充填したドラム10が脱気位置4bへ移動される。
図3に示すように、該ドラム10の底部に吸引ノズル6aが宛がわれることによって、脱気機構6がドラム10に接続される。ドラム10の上端開口には蓋16が被せられてもよい。更に、吸引用ブロワ6bの駆動によって、ドラム10内のガス(空気)が、多孔部材からなる底部12を通して吸引ノズル6aに吸い込まれることで、ドラム10内が脱気される(脱気工程)。脱気によって、ドラム10内の粉粒体9aの集合体が塊化される(塊化工程)。
袋詰め装置1においては、充填工程及び脱気工程を完全に自動化できるから、作業者の負担を軽減できる。
【0030】
続いて、
図1に示すように、ターンテーブル4が120度回転され、前記脱気後のドラム10が移送位置4cへ移動される。
図6に示すように、該ドラム10を移送機構7の把持部7aによって把持する。該把持部7aひいてはドラム10を昇降機構7cによって吊り上げるとともに、スライド機構7bによって袋詰め位置8a上へ移動させる。
【0031】
図1に示すように、別途、袋セット位置8dにおいては、袋20が籠30に被せられる(袋セット工程)。この作業は、袋セット位置8dの作業者aが手作業で行う。
図4及び
図5に示すように、袋20は、予め袋内面22aが外を向くように裏返しにされている。その袋20の袋底部20bを上にして、籠30の上方及び外周に被せる。袋20の周側部は、籠30の外周部を構成する回転体33とだけ接触される。
前記袋セット工程は、セット予備工程8eで行うこともできる。
【0032】
図1に示すように、このようにして、袋20が被せられた籠30が、それを載せた可動台8と共に、待機位置8fを経て、袋詰め位置8aへ移動される。その直上には、
図6に示すように、前記粉粒体9aの集合体の塊9が収容されたドラム10が配置される。
【0033】
図7(a)に示すように、該ドラム10が、昇降機構7cによって直下の籠30へ向けて下降されて籠30に差し入れられる。言い換えると、ドラム10及び昇降機構7cからなる押し込み機構17によって、粉粒体9aの集合体の塊を、袋20が被さった状態の籠30の上方から該籠30の内底へ向けて押し込むように相対的に下降させる(押し込み工程)。これによって、裏返しになっていた袋20が、籠30の内部に押し入れられながら、表返しにされるとともに、該袋20の内部にドラム10ひいては粉粒体9aの集合体の塊からなる内容物9が包み込まれる。
【0034】
袋20が押し込まれるときの籠30において、袋20と接している部分は、実質的に回転体33だけである。回転体33における、籠30の外面を構成する部分が、袋20の未だ裏返しになっている部分と接し、回転体33における、籠30の内面を構成する部分が、袋20の表返しになった部分と接する。該回転体33が回転されることによって、袋20と籠30との間の摩擦抵抗を大幅に低減できる。これによって、袋20を、スムーズに籠30内に押し込んで表返しにすることができる。
【0035】
図7(a)に示すように、籠30に差し入れられるときのドラム10は閉状態になっている。
図7(b)に示すように、ドラム10が籠30の底部に着き、袋20が完全に表返しになった後、
図8(a)に示すように、昇降機構7cによってドラム10が引き揚げられる。ドラム10が少しだけ引き揚げられて、まだ籠30の内部にある段階で、開閉機構15によってドラム10が開状態にされる。引き揚げ開始と同時併行して、ドラム10を開状態にする動作を行なってもよい。これによって、ドラム10の分割胴体13どうしが互いに離間されるとともに、各分割底板14が分割胴体13から垂れ下がることで分割底板14どうしが互いに離間される。ドラム10が籠30の底部から少し上昇された位置で開状態とされることで、分割底板14の開きしろを確保できる。これによって、
図8(b)に示すように、ドラム10内の内容物9が、ドラム10から解放されて袋20内に留まるとともに、ドラム10は袋20及び籠30から引き揚げられる。
【0036】
このようにして、内容物9が袋20に収容される(収容工程)。要するに、移送機構7と開閉機構15とが協働して、内容物9(粉粒体9aの集合体からなる塊)を、ドラム10から解放して袋20内に収容する(解放工程)。塊化した粉粒体9aの集合体を、塊を維持したままで、塊ごと袋詰めできる。
【0037】
図8(b)に示すように、引き揚げられた後のドラム10は、開閉機構15によって閉状態にされるとともに、移送機構7によって移送位置4cに戻される。さらに、ターンテーブル4が120度回転されることで、再び充填位置4aへ送られて、粉粒体9aの充填工程に供される。
【0038】
図1に示すように、併行して、可動台8の移動によって、内容物9が収容された袋20が、それを入れた籠30と共に袋詰め位置8aから封袋位置8bへ送られる。封袋位置8bにおいて、袋20が封袋される。封袋作業は、作業者bが手作業で行う。
【0039】
封袋後の袋20及び籠30は、搬出位置8へ送られる。搬出位置8において、吊り部23が、作業者cによってフォークリフト40(搬出機)のフォーク41に掛けられて、袋20が吊り上げられて搬出される。
袋20の搬出によって空になった籠30は、可動台8の移動によって、袋セット位置8dへ送られる。
以上の操作を循環的に反復して行うことによって、内容物9を所定量ごとに袋詰めして順次搬出できる。内容物9を一度に簡易かつ確実に袋詰めでき、作業者の所要作業を簡易化したり、各工程の所要人員を減らしたりできる。
【0040】
本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の改変をなすことができる。
例えば、昇降機構7cは、ドラム10を籠30に対して相対的に昇降させて籠30に出し入れするものであればよく、ドラム10が静止して籠30が昇降されるようになっていてもよい。
ドラム10は、胴部11と底部12のうち底部12だけが開閉されるようになっていてもよく、内容物9を胴部の開口から出す機構を付加する等して胴部11だけが開閉されるようになっていてもよい。
袋20を表返しにした後、ドラム10が上下反転して、内容物9がドラム上端開口から出されて袋内に収容されるようにしてもよい。
内容物の粉粒体は、麦芽に限らず、肥料、小麦粉、種子、胡麻などであってもよい。
【符号の説明】
【0041】
1 袋詰め装置
2 自動袋詰め部
2a 安全柵
2b ゲート
2c エリアセンサー
3 前後作業部
4 ターンテーブル
4a 充填位置
4b 脱気位置
4c 移送位置
5 充填機構
5a ホッパー
5b 荷重計
6 脱気機構
6a 吸引ノズル
6b 吸引用ブロワ
7 移送機構
7a 把持部
7b スライド機構
7c 昇降機構
8 可動台
8a 袋詰め位置(作業位置)
8b 封袋位置(作業位置)
8c 搬出位置(作業位置)
8d 袋セット位置(作業位置)
8e セット予備位置(作業位置)
8f 待機位置(作業位置)
8g 台移動機構
9 内容物(粉粒体の集合体の塊)
9a 粒状体
10 ドラム
11 胴部
12 底部
13 分割胴体
14 分割底板
15 開閉機構
15a 胴開閉機構
15b 底開閉機構
16 蓋
17 押し込み機構
20 袋
20b 袋底部
21 外袋
22 内袋
22a 袋内面
23 吊り部
30 蓋無し筒状の籠
30a 周側部
31 支柱
32 フープ材
33 回転体
33c 中心孔
40 搬出機
41 フォーク