(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022131104
(43)【公開日】2022-09-07
(54)【発明の名称】通信装置
(51)【国際特許分類】
H04M 1/738 20060101AFI20220831BHJP
【FI】
H04M1/738
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021029854
(22)【出願日】2021-02-26
(71)【出願人】
【識別番号】000000295
【氏名又は名称】沖電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100129067
【弁理士】
【氏名又は名称】町田 能章
(74)【代理人】
【識別番号】100183162
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 義文
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】川上 慎輔
【テーマコード(参考)】
5K127
【Fターム(参考)】
5K127AA16
5K127BA01
5K127BB08
5K127BB28
5K127DA12
5K127GA30
5K127MA21
(57)【要約】
【課題】通信機能を維持しつつ、電池の動作時間を長くする。
【解決手段】商用電源110と二次電池1とを切り替える電源切替部4と、電源切替部4を制御すると共に通信機器のモード切替を行う制御部50とを備え、制御部50は、充電率を「高い」、「中」、「低い」の三段階に区分した場合、充電率が高いときに、通信機能を制限せず、充電率が中のときに、通信機能の速度制限を行い、充電率が低いときに、通信機能を停止させる。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
商用電源と電池とを切り替える電源切替部と、
電源切替部を制御すると共に通信機器のモード切替を行う制御部とを備え、
前記制御部は、前記電池のバッテリ残量に応じて、段階的に通信機能を制限する
ことを特徴とする通信装置。
【請求項2】
請求項1に記載の通信装置であって、
時間帯に応じた平均消費電力を学習する学習部をさらに備え、
平均消費電力の異なる複数種類の通信部が前記通信機能を実現し、
前記制御部は、学習した前記平均消費電力が少ない時間帯では、平均消費電力が高い通信部を機能停止させる
ことを特徴とする通信装置。
【請求項3】
請求項2に記載の通信装置であって、
前記電池は、二次電池であり、
前記二次電池の充電率を測定する充電率測定回路をさらに有し、
前記制御部は、前記充電率を「高い」、「中」、「低い」の三段階に区分した場合、前記充電率が高いときに、前記通信機能を制限せず、前記充電率が中のときに、前記通信機能の速度制限を行い、前記充電率が低いときに、前記通信機能を停止させる
ことを特徴とする通信装置。
【請求項4】
請求項3に記載の通信装置であって、
前記制御部は、前記速度制限を行うとき、前記制御部のCPUクロックを維持しつつ、前記通信機能の設定速度を低下させる
ことを特徴とする通信装置。
【請求項5】
請求項3に記載の通信装置であって、
前記制御部は、前記速度制限を行うとき、前記制御部のCPUクロックを低減させると共に、前記通信機能の設定速度を低下させる
ことを特徴とする通信装置。
【請求項6】
請求項3に記載の通信装置であって、
複数種類の前記通信部は、有線LAN部、無線LAN部、及び電話回線部であり、
前記制御部は、前記充電率が第1基準値よりも高い場合には、前記有線LAN部、前記無線LAN部、及び前記電話回線部の全てを機能させ、
前記充電率が前記第1基準値よりも低い第2基準値と前記第1基準値との間にある場合、前記無線LAN部の通信速度を制限し、
前記充電率が前記第2基準値よりも低い第3基準値と前記第2基準値との間にある場合、前記無線LAN部の機能を停止させると共に、前記有線LAN部の通信速度を制限し、
前記充電率が前記第3基準値よりも低い第4基準値と前記第3基準値との間にある場合、前記無線LAN部及び前記有線LAN部の機能を停止させる
ことを特徴とする通信装置。
【請求項7】
請求項6に記載の通信装置であって、
前記制御部は、前記通信速度を制限するとき、前記制御部のCPUクロックを維持しつつ、前記無線LAN部及び前記有線LAN部の何れか一方又は双方の設定速度を低下させる
ことを特徴とする通信装置。
【請求項8】
請求項6に記載の通信装置であって、
前記制御部は、前記通信速度を制限するとき、前記制御部のCPUクロックを低減させると共に、前記無線LAN部及び前記有線LAN部の何れか一方又は双方の設定速度を低下させる
ことを特徴とする通信装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信装置に関し、例えばホームゲートウェイに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、バッテリを用いた携帯無線電話装置が開示されている。特許文献2には、バッテリの残量または電圧の状況に応じて、ICカ-ドへの電流の供給停止やこれを利用したアプリケ-ションの機能を制限する携帯機器が開示されている。特許文献3には、電池残量に応じて、外部機器との通信接続モードを変更することで、電池の消耗を少なくする携帯情報端末が開示されている。なお、接続モードには、外部機器と常時接続する常時接続モード、予め定められた接続ポイントに達した際に事前接続して通信後に切断する事前接続モード、通信を行う都度接続と切断を行う都度接続モードとが含まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許3057860号公報
【特許文献2】特開平7-141069号公報
【特許文献3】特開2011-103565号公報(請求項1,3)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、商用電源などの主電源が失われた非常時の際には、バッテリから給電される通信装置が必要になる。このような通信装置は、非常時の通信手段として、できる限り長時間動作して通信を行えるようにする必要がある。しかしながら、動作時間を長くするためには、通常時は使用しないバッテリ(一次電池、二次電池)のコストが増加するという問題がある。
【0005】
この問題を解決する方法として、非常時のバッテリ動作として、特許文献3の技術を適用してバッテリの消耗を少なくすることが考えられる。しかしながら、特許文献3に記載の技術は、外部機器との接続を遮断する技術であるので、通信機能が遮断する問題点がある。
【0006】
本発明は、このような問題点を解決するためになされたものであり、通信機能を維持しつつ、電池の動作時間を長くすることができる通信装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するために、本発明の通信装置は、商用電源と電池(例えば、一次電池、二次電池)とを切り替える電源切替部と、電源切替部を制御すると共に通信機器のモード切替を行う制御部とを備え、前記制御部は、前記電池のバッテリ残量(例えば、対応する充電率)に応じて、段階的に通信機能を制限することを特徴とする。なお、括弧内の符号や文字は、実施形態において付した符号等であって、本発明を限定するものではない。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、通信機能を維持しつつ、電池の動作時間を長くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の第1実施形態である通信システムの構成図である。
【
図2】本発明の第1実施形態である通信装置の構成図である。
【
図3】本発明の第1実施形態である通信装置の動作を説明するためのフローチャートである。
【
図4】本発明の第1実施形態である通信装置の電源電力制御を説明するためのフローチャートである。
【
図5】本発明の第2実施形態である通信装置の動作を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態につき詳細に説明する。なお、各図は、実施形態を十分に理解できる程度に、概略的に示してあるに過ぎない。また、各図において、共通する構成要素や同様な構成要素については、同一の符号を付し、それらの重複する説明を省略する。
【0011】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態である通信システムの構成図である。
通信システム200は、通信装置100と、電話機120と、PC(Personal Computer)130とを備える。通信装置100は、二次電池1を内部に備え、商用電源110に接続される。これにより、商用電源110が停電になったときでも、二次電池1を用いて通信が維持される。
【0012】
通信装置100は、ホームゲートウェイであり、主として、無線LAN(Local Area Network)部31と、有線LANポート41と、電話ポート42と、WANポート44とを備える。WANポート44は、携帯電話会社の基地局との無線通信でWAN(Wide Area Network)に接続される。無線LAN部31は、無線LANの通信機能を実現する。つまり、WANポート44及びWAN通信部34は、長距離無線通信部として機能し、無線LAN部31は、短距離無線通信部として機能する。有線LANポート41は、有線LANを介して、例えばPC(Personal Computer)130や通信端末に接続される。電話ポート42は、電話機120に接続される。なお、電話ポート42はTELポートとも呼ばれる。
【0013】
図2は、本発明の第1実施形態である通信装置100の構成図である。
通信装置100は、二次電池1と、停電検出部2と、AC-DC電源部3と、電源切替部4と、充電率測定回路10と、電源回路部20と、通信回路部30と、外部インタフェース部40と、制御部50とを備える。
【0014】
二次電池1は、充放電可能なバッテリであり、AC-DC電源部3の直流出力電圧によって充電される。電池容量FCC(full charge capacity)を基準にしたバッテリ残量(電荷残量RC(Remaining Charge))を充電率SOC(State Of Charge)という。つまり、SOC=RC[Ah]/FCC[Ah]である。
【0015】
停電検出部2は、商用電源110の停電状態を検出する。AC-DC電源部3は、商用電源110の交流電圧を直流電圧に降圧するスイッチング電源である。電源切替部4は、停電検出部2の検出結果に基づいて、AC-DC電源部3の出力電圧と、二次電池1の出力電圧とを切り替えて、電源回路部20に電力供給する電子スイッチである。
【0016】
充電率測定回路10は、電圧測定回路11を備え、二次電池1のバッテリ残量(二次電池1のときは充電率SOC)を推定するために、開放電圧を逐次測定するが、負荷を接続したときの負荷電圧を測定しても構わない。また、充電率測定回路10は、温度測定回路12を備え、充電率SOCの温度特性を補正するために、二次電池1の環境温度[℃]を測定する。
【0017】
通信回路部30は、無線LAN部31と、有線LAN部32と、電話回線部33と、WAN通信部34とを備えるハードウェア資源である。外部インタフェース部40は、有線LANポート41と、電話ポート42と、WANポート44とを備える。
【0018】
無線LAN部31は、無線LANの通信機能を実現する。有線LAN部32は、有線LANポート41を介して、有線LANの通信機能を実現する。電話回線部33は、電話ポート42を介して、電話機120(
図1)の通信機能を実現する。
【0019】
有線LAN部32は、例えば10Mbps/100Mbps/1Gbpsの通信速度が設定可能であり、設定された通信速度が速いほど消費電力が多い。これにより、制御部50が速度設定を切り替えて、消費電力を抑制することができる。
【0020】
WAN通信部34は、WANポート44を介して、携帯電話会社の基地局と無線通信を行う機能を実現する。具体的には、WAN通信部34及びWANポート44の組合せは、無線LAN部31,有線LAN部32、電話回線部33を介した通信を行う。
【0021】
電源回路部20は、3つの電源部21,22,24と、消費電力測定部25とを備える。電源部21は、制御部50の制御に基づいて、電源切替部4の出力電力を無線LAN部31に供給したり、遮断したりするスイッチである。電源部22は、制御部50の制御に基づいて、電源切替部4の出力電力を有線LAN部32に供給したり、遮断したりするスイッチである。電源部24は、電源切替部4の出力電力を電話回線部33及びWAN通信部34に供給する。言い換えれば、電話回線部33及びWAN通信部34は、常に電力供給されている。
【0022】
消費電力測定部25は、無線LAN部31、有線LAN部32、電話回線部33及びWAN通信部34の各々に供給する電力を逐次測定する。なお、消費電力測定部25は、無線LAN部31、有線LAN部32、電話回線部33及びWAN通信部34の各々に流す消費電流を測定することにより、消費電力を求めても構わない。
【0023】
制御部50は、CPU(Central Processing Unit)及び記憶部等(不図示)で構成され、プログラムを実行することにより、電源制御部51と、通信制御部52と、記録部53との機能を実現する。また、電源制御部51は、二次電池1のバッテリ残量(充電率SOC)に応じて、電源部21,22を制御し、段階的に通信機能を制限する。例えば、電源制御部51は、充電率SOCが高い(例えば、70%~100%)ときに、通信回路部30の機能を制限せず、充電率SOCが低いとき(例えば、0%~30%)に、無線LAN部31及び有線LAN部32の何れか一方又は双方を停止させる。また、通信制御部52は、充電率SOCが中のとき(例えば、30%~70%)に、無線LAN部31及び有線LAN部32の何れか一方又は双方の速度制限を行う。なお、電源切替部4は、停電検出部2の検出結果に基づいて、商用電源110と二次電池1とを切り替えるものであるが、電源制御部51が電源切替部4に対して、停電検出部2の検出結果に基づいて、商用電源110から二次電池1に切り替えさせても構わない。
【0024】
また、電源制御部51は、停電前から無線LAN部31の消費電力と、有線LAN部32の消費電力と、電話回線部33の消費電力とを消費電力測定部25に測定させる。
【0025】
また、通信制御部52は、商用電源110で駆動している場合には、速度制限を行わない。通信制御部52は、二次電池1で駆動している場合であって、消費電力が多い時間帯(例えば、有線LANを用いた通信が主の20時~23時)では、原則として、通信速度の制限を行わない。また、電源制御部51は、消費電力が少ない時間帯(例えば、23時~翌6時)では、原則的に無線LAN部31及び有線LAN部32への電力供給を遮断する。なお、通信制御部52は、例外的に、二次電池1の充電率SOCに基づいて、無線LAN部31及び有線LAN部32の何れか一方又は双方の通信速度制限を行う。
【0026】
このとき、電源制御部51は、通信回路部30に対して、段階的に機能制限を行う。二次電池1の充電率SOCが高い第一段階(例えば、70%~100%)では、通信回路部30の機能制限を行わない。第二段階(例えば、30%~70%)で、通信制御部52は、無線LAN部31及び有線LAN部32の何れか一方又は双方の通信速度制限を行う。そして、二次電池1の充電率SOCが低い第三段階(例えば、0%~30%)で、電源制御部51は、電話回線部33を優先する制御を行う。これらの制御により、二次電池1の動作時間を長くすることができる。
【0027】
通信制御部52は、無線LAN部31と、有線LAN部32と、電話回線部33と、WAN通信部34とを制御する。
【0028】
また、通信制御部52は、無線LAN部31及び有線LAN部32の何れか一方又は双方の速度制限を行う。表1は、CPUクロックと、有線LAN部32の速度設定と、有線LAN部32の通信速度との関係を示している。なお、これらの数値は、一例を示すものであり、CPUや通信用デバイスによって値が異なる。
【0029】
【0030】
例えば、制御部50を500MHzのCPUクロックの場合、1Gbps,100Mbps,10Mbpsの速度設定で、1Gbpsのスループット(瞬間的な通信速度)が確保できる場合、有線LAN部32を1Gbpsで動作させることができる。
【0031】
しかしながら、制御部50を400MHzのCPUクロック、100Mbpsの速度設定の場合、100MHzのスループットを確保できるときでは、有線LAN部32を1Gbpsの速度設定で動作させたとしても、制御部50のスループットに引っ張られてしまい、通信速度は1Gbps未満に制限されてしまう。なお、400MHzのCPUクロックの場合でも、100Mbps,10Mbpsの速度設定のとき、100Mbps,10Mbpsの通信速度が得られる。
【0032】
よって、消費電力を抑制する場合は、有線LAN部32の速度設定を100Mbpsに低下させることで、消費電力を低減することができる。つまり、CPUクロックを低下させずに、有線LAN部32の通信速度を変更するだけで、消費電力を抑制することができる。さらに、制御部50のCPUクロックを500MHzから400MHzまで低下させることで、さらに消費電力を抑制することができる。
【0033】
記録部53は、停電前を含めて、消費電力測定部25が測定した無線LAN部31、有線LAN部32、電話回線部33の消費電力(又は消費電流)に基づいて、通信消費電力の多い時間帯を学習した学習結果を不揮発性記憶部(不図示)に記録する。なお、記録部53は、停電後では、各部の消費電力だけでなく、二次電池1の充電率SOCを経過時間と共に記録する。
【0034】
図3は、本発明の第1実施形態である通信装置の動作を説明するためのフローチャートである。
電源スイッチ(不図示)が投入されたときに、装置が起動し(S1)、電源制御部51(
図2)は、二次電池1で動作しているかの判定を行う(S2)。このとき、電源制御部51は、停電検出部2が停電を検出し、電源切替部4が二次電池1に切り替えたか否かの判定を行う。二次電池1が動作していなければ(No)、電源制御部51は、二次電池1が動作するまで待機する。つまり、電源制御部51は、商用電源110から電力供給を受けているときに、待機する。
【0035】
一方、二次電池1が動作していれば(Yes)、電源制御部51は、実行時の時間帯における通信消費電力を記録部から読み出す(S3)。これにより、無線LAN部31と、有線LAN部32と、電話回線部33とが消費する全消費電力が読み出される。S3の処理後、電源制御部51は、電源部21,22(
図2)を制御する(S10a)。つまり、電源制御部51は、無線LAN部31、有線LAN部32及び電話回線部33の何れか一つ又はこれらの組合せに対して、電力供給したり、遮断したりする。また、制御部50は、無線LAN部31及び有線LAN部32の何れか一方又は双方の通信速度の設定を変更する。
【0036】
図4は、本発明の第1実施形態である通信装置の電源電力制御を説明するためのフローチャートである。
フローチャートのステップS10aでは、時間帯に応じた通信消費電力が多いか否かについて判定する(S11)。通信消費電力が所定値よりも多い時間帯(例えば、20時~23時)には(S11で「多い」)、電源制御部51は、充電率SOCが高いか低いか判定する(S12)。充電率SOCが第1基準値(例えば、70%)よりも高いとき(例えば70%~100%)には(S12で「かなり高い」)、制御部50は、通信速度の制限を行わない(S13)。
【0037】
充電率SOCが第1基準値よりも低い第2基準値(例えば、50%)と第1基準値との間のとき(例えば、50%~70%)には(S12で「高い」)、制御部50は、制御部50は、無線LAN部31の通信速度を制限する(S14)。充電率SOCが第2基準値(例えば、50%)よりも低い第3基準値(例えば、30%)と第2基準値との間のときには(S12で「低い」)、制御部50は、無線LAN部31を切断し、有線LAN部32の通信速度を制限する(S15)。充電率SOCが第3基準値(例えば、30%)よりも低いとき(例えば、0%~30%)には(S12で「かなり低い」)、制御部50は、無線LAN部31及び有線LAN部32を切断する。
【0038】
一方、通信消費電力が少ない時間帯(例えば、23時~翌6時)には(S11で「少ない」)、電源制御部51は、充電率SOCが高いか低いか判定する(S17)。充電率SOCが第4基準値(例えば、50%)よりも低いとき(例えば、0%~50%)には(S17で「低い」)、制御部50は、無線LAN部31及び有線LAN部32を切断する(S16)。一方、充電率SOCが第4基準値(例えば、50%)よりも高いとき(例えば、50%~100%)には(S17で「高い」)、制御部50は、無線LAN部31を切断し、有線LAN部32の通信速度を制限する(S18)。そして、S14,S15,S16,S18の処理後、もとのフロー(
図3)に戻る。
【0039】
図3のS4aでは、電源制御部51は、次制御に移行するか否か判定する(S4a)。例えば、電源制御部51は、S2で二次電池1の動作を確認してからの時間経過(時間帯の変化)によって、通信消費電力が変わったか否か判定する。次制御に移行する必要が無ければ(No)、電源制御部51は、次制御に移行する必要が生じるまでS10aの制御を実行する。
【0040】
次制御に移行する必要が生じたら(S4aでYes)、電源制御部51は、充電率SOC及び消費電力を時刻と共に記録する(S5a)。S5aの処理後、電源制御部51は、次の制御を実行する(S10b)。この制御(S10b)では、新たな時間帯に応じた通信消費電力が多いか否かについて判定し(S11(
図4))、この判定結果にしたがって、電力供給や通信速度の制御を行う。
【0041】
さらに、電源制御部51は、制御(S10b)、次制御に移行するか否かの判定(S4b)、及び充電率SOC及び消費電力の記録(S5b)の組合せ(破線参照)を繰り返すことにより、通信消費電力(又は消費電流)及び時間の学習が行われる(S20)。
【0042】
以上説明したように、本実施形態の通信システム200(
図1)によれば、停電による非常時に、商用電源110から二次電池1に切り替わる。二次電池1に切り替わる前から学習により、時間帯に応じた通信消費電力の大小が判定される(S11)。通信消費電力が多い時間帯(例えば、20時~23時)では、通信装置100は、充電率SOCが高いとき(例えば、70%~100%)には、無線LAN部31及び有線LAN部32の通信速度を制限しない。しかしながら、充電率SOCが低いとき(例えば、0%~30%)には、通信装置100は、無線LAN部31及び有線LAN部32の電源の電力供給を切断し、電話回線部33のみ機能させる。なお、充電率SOCが中間のとき(例えば、30%~70%)には、通信装置100は、無線LAN部31及び有線LAN部32の何れか一方又は双方の通信速度を制限する。
【0043】
一方、通信消費電力が少ない時間帯(例えば、23時~翌6時)では、通信装置100は、充電率SOCが高ければ(例えば、50%~100%)、無線LAN部31を切断し、有線LAN部32の通信速度を制限するが、充電率SOCが低ければ(例えば、0%~50%)、無線LAN部31及び有線LAN部32の電源の電力供給を切断する。これらの処理により、通信回路部30の消費電力が段階的に減少し、二次電池1の動作時間が長くなる。
【0044】
これにより、二次電池1の動作時間が長くなるので、二次電池1の容量を抑えることができる。結果的に、通信装置100のコストを抑えることができる。ここで、無線LAN部31及び有線LAN部32の電源の電力供給を切断したときでも、二次電池1が枯渇しない限り、電話回線部33は起動するので、電話機120(
図1)とWAN(
図1)との通信は行われる。
【0045】
(第2実施形態)
前記第1実施形態では、二次電池1が動作してからも通信回路部30の消費電力を測定・記録したが、二次電池1が動作することなく、商用電源110で動作しているときのみ通信回路部30の消費電力を測定・記録しても構わない。
【0046】
図5は、本発明の第2実施形態である通信装置の動作を説明するためのフローチャートである。
電源スイッチ(不図示)が投入されたときに、装置が起動し(S1)、電源制御部51(
図2)は、商用電源110から電力供給を受けているか二次電池1から電力供給を受けているか判定する(S32)。商用電源110から電力供給を受けているときには(S32で「商用電源」)、電源制御部51は、通信回路部30の消費電力を測定する(S33)。S33の処理後、電源制御部51は、測定した消費電力を記録部53(
図2)に格納し(S34)、S32の判定を繰り返す。
【0047】
一方、二次電池1から電力供給を受けているとき(S32で「二次電池」)、電源制御部51は、記録部53から通信消費電力の履歴を読み出す(S35)。S35の処理後、電源制御部51は、二次電池1の充電率を充電率測定回路10(
図2)に測定させる(S36)。S36の処理後、電源制御部51は、電源電力制御(
図4)を実行し(S10)、S32の判定を繰り返す。
【0048】
(変形例)
本発明は前記した実施形態に限定されるものではなく、例えば以下のような種々の変形が可能である。
(1)前記各実施形態では、二次電池1を使用していたが、一次電池でも構わない。前記実施形態では、二次電池1の充電率SOCを推定し、バッテリ残量の推定に代えていたが、一次電池のときは、バッテリ残量(電荷残量)を推定する。
(2)前記各実施形態では、通信回路部30の通信速度設定を変更したり、制御部50のCPUクロックを下げたりして、電力消費を抑制したが、電源電圧を低下させても消費電力を抑制することができる。
【0049】
(3)記録部53は、履歴データから、二次電池1の状態を学習し、電源回路部20や通信回路部30を制御する閾値(例えば、時間帯や充電率SOC)を決定しても構わない。
【0050】
(4)前記各実施形態の
図4では、充電率SOCが高いときには、無線LANの通信速度を制限したが、無線LAN/有線LANの使用率に応じて、動作を逆にしても構わない。例えば、無線LANのみ使用していて、ずっと有線LANを使用していないなら、有線LANを先に切断してしまっても構わない。また、無線LAN及び有線LANの双方を使っているようなら、両方のスピードを落としても構わない。
【0051】
(5)前記各実施形態のWAN通信部34は、長距離無線通信部としての機能により、携帯電話会社の基地局と無線通信していたが、ONU(Optical Network Unit:光回線終端装置)やルータなどを介してWANに接続しても構わない。
【符号の説明】
【0052】
1 二次電池
4 電源切替部
10 充電率測定回路
20 電源回路部
21,22,24 電源部
25 消費電力測定部
30 通信回路部
31 無線LAN部(短距離無線通信部)
32 有線LAN部
33 電話回線部
34 WAN通信部(長距離無線通信部)
42 電話ポート
50 制御部
53 記録部
100 通信装置
110 商用電源
120 電話機