(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022131111
(43)【公開日】2022-09-07
(54)【発明の名称】バーナシステム及びその燃焼制御方法
(51)【国際特許分類】
F23D 14/26 20060101AFI20220831BHJP
F23N 1/02 20060101ALI20220831BHJP
F23N 5/00 20060101ALI20220831BHJP
【FI】
F23D14/26
F23N1/02 101
F23N5/00 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021029868
(22)【出願日】2021-02-26
(71)【出願人】
【識別番号】518131296
【氏名又は名称】三菱重工マリンマシナリ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000785
【氏名又は名称】SSIP弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】天野 正広
(72)【発明者】
【氏名】上野 泰弘
(72)【発明者】
【氏名】石原 悠喜
(72)【発明者】
【氏名】寺原 貴澄
【テーマコード(参考)】
3K003
【Fターム(参考)】
3K003AA01
3K003AB03
3K003AB06
3K003BA07
3K003CA03
3K003CA05
3K003CC02
3K003DA03
3K003EA07
3K003FA03
3K003FA10
3K003FB04
3K003FB05
3K003GA03
(57)【要約】
【課題】不活性ガスを含む燃料を使用するメインバーナ及びパイロットバーナを備えるバーナシステムに関して、メインバーナの安定燃焼を図りつつパイロットバーナに過剰な燃料を供給することを抑制することができるバーナシステムを提供する。
【解決手段】不活性ガスを含む燃料ガスが供給されるメインバーナと、メインバーナの火炎を保炎するためのパイロットバーナと、を備えるバーナシステムであって、メインバーナに供給される燃料ガスを分析して燃料ガスの成分に関する情報を取得するように構成された第1分析部と、燃料ガスの成分に関する情報に基づいて、パイロットバーナに供給する燃料ガス及び空気の流量を調整するように構成された流量調整装置と、を備える。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
不活性ガスを含む第1燃料ガスが供給されるメインバーナと、
前記メインバーナの火炎を保炎するためのパイロットバーナと、
前記メインバーナに供給される前記第1燃料ガスを分析して前記第1燃料ガスの成分に関する情報を取得するように構成された第1分析部と、
前記第1分析部によって取得した前記第1燃料ガスの成分に関する情報に基づいて、前記パイロットバーナに供給する第2燃料ガス及び空気の流量を調整するように構成された流量調整装置と、
を備える、バーナシステム。
【請求項2】
前記流量調整装置は、前記第1燃料ガスの成分に関する情報に基づいて前記パイロットバーナに供給する前記第2燃料ガスの流量を増加させる場合に、前記第2燃料ガスの流量を最適燃焼を実現する流量に対して過剰な流量まで増加させた後に、前記パイロットバーナに供給する空気の流量を増加させ、前記第2燃料ガスの流量を減少させるように構成された、請求項1に記載のバーナシステム。
【請求項3】
前記第1分析部は、前記第1燃料ガスの成分に関する情報として、前記不活性ガスの濃度を取得するように構成され、
前記流量調整装置は、前記第1分析部によって取得した前記不活性ガスの濃度に基づいて、前記パイロットバーナに供給する前記第2燃料ガスの流量を調整するように構成された、請求項1又は2に記載のバーナシステム。
【請求項4】
前記流量調整装置は、前記第1分析部によって取得した前記不活性ガスの濃度と基準濃度との差に応じて、前記パイロットバーナに供給する前記第2燃料ガスの流量を調整するように構成された、請求項3に記載のバーナシステム。
【請求項5】
前記流量調整装置は、前記第1分析部によって取得した前記不活性ガスの濃度と基準濃度との差が閾値を超えた場合に、アラーム信号又はボイラの運転を停止するためのボイラ信号を生成するように構成された、請求項4に記載のバーナシステム。
【請求項6】
前記第1分析部は、前記第1燃料ガスの成分に関する情報として、前記第1燃料ガスの発熱量を取得するように構成され、
前記流量調整装置は、前記第1分析部によって取得した前記第1燃料ガスの発熱量に基づいて、前記パイロットバーナに供給する前記第2燃料ガスの流量を調整するように構成された、請求項1又は2に記載のバーナシステム。
【請求項7】
前記流量調整装置は、前記第1燃料ガスの基準発熱量と前記第1分析部によって取得した前記第1燃料ガスの発熱量との差に応じて、前記パイロットバーナに供給する前記第2燃料ガスの流量を調整するように構成された、請求項6に記載のバーナシステム。
【請求項8】
前記流量調整装置は、前記第1燃料ガスの基準発熱量と前記第1分析部によって取得した前記第1燃料ガスの発熱量との差が閾値を超えた場合に、アラーム信号又はボイラの運転を停止するためのボイラ停止信号を生成するように構成された、請求項7に記載のバーナシステム。
【請求項9】
ボイラの排ガスを分析して前記排ガス中の未燃の燃料成分及び燃焼不良の際に生じる成分の少なくとも一方の濃度を検出するように構成された第2分析部を更に備え、
前記流量調整装置は、前記第2分析部によって検出した前記少なくとも一方の濃度に応じて、前記パイロットバーナに供給する前記第2燃料ガスの流量を調整するように構成された、請求項1又は2に記載のバーナシステム。
【請求項10】
前記流量調整装置は、前記第2分析部によって検出した前記少なくとも一方の濃度が成分毎の閾値を超えた場合に、前記パイロットバーナに供給する前記第2燃料ガスの流量を増加させるように構成された、請求項9に記載のバーナシステム。
【請求項11】
前記流量調整装置は、前記第2分析部によって取得した前記少なくとも一方の濃度が前記成分毎の閾値よりも大きい他の閾値を超えた場合に、アラーム信号又はボイラの運転を停止するためのボイラ停止信号を生成するように構成された、請求項10に記載のバーナシステム。
【請求項12】
前記流量調整装置は、前記パイロットバーナが停止した場合に、前記メインバーナへの前記第1燃料ガスの供給を停止させるように構成された、請求項1に記載のバーナシステム。
【請求項13】
不活性ガスを含む第1燃料ガスが供給されるメインバーナと、
前記メインバーナの火炎を保炎するためのパイロットバーナと、
を備えるバーナシステムの燃焼制御方法であって、
前記メインバーナに供給される前記第1燃料ガスを分析して前記第1燃料ガスの成分に関する情報を取得する分析ステップと、
前記分析ステップによって取得した前記第1燃料ガスの成分に関する情報に基づいて、前記パイロットバーナに供給する第2燃料ガス及び空気の流量を調整する流量調整ステップと、
を備える、バーナシステムの燃焼制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、バーナシステム及びその燃焼制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ボイラの排ガス中の煤塵、窒素酸化物、酸素又は一酸化炭素の量を検出するセンサと、このセンサによる検出信号に基づいてバーナへの燃料供給量を調整する調整弁とを備えたボイラ用燃料調整装置が開示されている。
特許文献2には、ガスタービン発電システムの安定的な運転を図るために、燃料ガスの熱量を測定し、熱量に応じて減熱ガスや増熱ガスを添加することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008‐157553号公報
【特許文献2】特開2004‐190633号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、メインバーナの燃料として不活性ガスの含有率が高い燃料を使用する場合、メインバーナを保炎するためのパイロットバーナが使用されることがある。この場合、不活性ガスの成分が変化した場合、燃焼不良や失火が発生する可能性がある。この対策として、パイロットバーナの燃焼量を増加させることが考えられるが、燃料を過剰に供給することは燃料コストの増加等を招くため好ましくない。また、特許文献1及び2に記載の構成は、パイロットバーナを備えるものではないため、パイロットバーナの燃焼量の調整については開示されていない。
【0005】
上述の事情に鑑みて、本開示は、不活性ガスを含む燃料を使用するメインバーナと、パイロットバーナを備えるバーナシステムに関して、メインバーナの安定燃焼を図りつつパイロットバーナに過剰な燃料を供給することを抑制することができるバーナシステムおよびその制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本開示の少なくとも一実施形態に係るバーナシステムは、
不活性ガスを含む第1燃料ガスが供給されるメインバーナと、
前記メインバーナの火炎を保炎するためのパイロットバーナと、
前記メインバーナに供給される前記第1燃料ガスを分析して前記第1燃料ガスの成分に関する情報を取得するように構成された第1分析部と、
前記第1分析部によって取得した前記第1燃料ガスの成分に関する情報に基づいて、前記パイロットバーナに供給する第2燃料ガス及び空気の流量を調整するように構成された流量調整装置と、
を備える。
上記目的を達成するため、本開示の少なくとも一実施形態に係るバーナシステムの燃焼制御方法は、
不活性ガスを含む第1燃料ガスが供給されるメインバーナと、
前記メインバーナの火炎を保炎するためのパイロットバーナと、
を備えるバーナシステムの燃焼制御方法であって、
前記メインバーナに供給される前記第1燃料ガスを分析して前記第1燃料ガスの成分に関する情報を取得する分析ステップと、
前記分析ステップによって取得した前記第1燃料ガスの成分に関する情報に基づいて、前記パイロットバーナに供給する第2燃料ガス及び空気の流量を調整する流量調整ステップと、
を備える。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、不活性ガスを含む燃料を使用するメインバーナと、パイロットバーナとを備えるバーナシステムに関して、メインバーナの安定燃焼を図りつつパイロットバーナに過剰な燃料を供給することを抑制することができるバーナシステムおよびその制御方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】一実施形態に係るバーナシステム4を含むボイラ100の概略構成図である。
【
図2】バーナ装置6の構成の一例を示す概略側断面図である。
【
図3】
図2に示したバーナ装置6の概略正面図(火炉2内から視た図)である。
【
図4】燃焼制御装置24のハードウェア構成の一例を示す図である。
【
図5】上記バーナシステム4の燃焼制御装置24による燃焼制御フローの一例を示す概略図である。
【
図6】ボイラ100の負荷とパイロット燃料ガスの流量との関係を示すマップの一例を示す図である。
【
図7】バーナ装置6の燃焼領域におけるメタンの濃度と空気の濃度とCO2の濃度との組み合わせの点によって定まる燃焼状態について、燃焼制御装置による燃焼制御の一例を示している。
【
図8】
図7におけるメタン、空気及びCO
2の濃度の見方を説明するための図である。
【
図9】バーナシステム4の燃焼制御装置24による燃焼制御フローの他の一例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して本開示の幾つかの実施形態について説明する。ただし、実施形態として記載されている又は図面に示されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、発明の範囲をこれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。
例えば、「ある方向に」、「ある方向に沿って」、「平行」、「直交」、「中心」、「同心」或いは「同軸」等の相対的或いは絶対的な配置を表す表現は、厳密にそのような配置を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の角度や距離をもって相対的に変位している状態も表すものとする。
例えば、「同一」、「等しい」及び「均質」等の物事が等しい状態であることを表す表現は、厳密に等しい状態を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の差が存在している状態も表すものとする。
例えば、四角形状や円筒形状等の形状を表す表現は、幾何学的に厳密な意味での四角形状や円筒形状等の形状を表すのみならず、同じ効果が得られる範囲で、凹凸部や面取り部等を含む形状も表すものとする。
一方、一の構成要素を「備える」、「具える」、「具備する」、「含む」、又は、「有する」という表現は、他の構成要素の存在を除外する排他的な表現ではない。
【0010】
図1は、一実施形態に係るバーナシステム4を含むボイラ100の概略構成図である。
図1に示すように、ボイラ100は、火炉2及びバーナシステム4を備える。ボイラ100の用途は特に限定されないが、ボイラ100は例えば舶用ボイラであってもよい。
【0011】
バーナシステム4は、バーナ装置6、メイン燃料ライン8、空気ライン10、パイロット燃料ライン12、排気ライン13、流量制御弁14、流量計15、ファン16、流量制御弁18、流量計19、第1分析器20、第2分析器22及び燃焼制御装置24を含む。
【0012】
まず、バーナ装置6の構成の一例について、
図2及び
図3を用いて説明する。
図2は、バーナ装置6の構成の一例を示す概略側断面図であり、
図3は、
図2に示したバーナ装置6の概略正面図(火炉2内から視た図)である。
【0013】
図2及び
図3に示すように、バーナ装置6は、バーナー本体25と、風箱26と、バーナー本体25の中央に配置されたパイロットガスノズル30と、パイロットガスノズル30の周囲にパイロットガスノズル30に沿って配置された複数のメインガスノズル28(図示する例では6本のメインガスノズル28)と、バーナー本体25内の空気流路29に配置されてバーナ装置6の出口に空気の旋回流れを形成するスワラ32と、を含む。パイロットガスノズル30と、バーナー本体25内におけるパイロットガスノズル30の周囲の空気流路29とは、パイロットバーナ36を構成し、複数のメインガスノズル28と、バーナー本体25内における各メインガスノズル28の周囲の空気流路29とは、メインバーナ34を構成する。
【0014】
メインガスノズル28の各々は、メイン燃料ライン8(
図1参照)に接続しており、メイン燃料ライン8から供給された不活性ガスを含むメイン燃料ガスを火炉2内に向けて噴射する。メイン燃料ガスは、例えばメタン等の炭化水素ガス及び不活性ガスとしてのCO
2を含む。パイロットガスノズル30は、パイロット燃料ライン12(
図1参照)に接続しており、パイロット燃料ライン12から供給されたパイロット燃料ガスを火炉2内に向けて噴射する。パイロット燃料ガスは、例えばメタン等の炭化水素ガスを含む。パイロット燃料ガスにおける不活性ガスの割合は、メイン燃料ガスにおける不活性ガスの割合より小さいか0である。風箱26は、空気ライン10(
図1参照)に接続しており、空気ライン10から風箱26に供給された空気はスワラ32によって旋回流れとなって火炉2内に供給される。
【0015】
メインバーナ34は、メイン燃料ライン8から供給されたCO2を含むメイン燃料ガスを複数のメインガスノズル28から噴射し、スワラ32によって生成された空気の旋回流れと混合して燃焼させることで火炎を形成する。パイロットバーナ36は、パイロット燃料ライン12から供給されたパイロット燃料ガスをパイロットガスノズル30から噴射し、スワラ32によって生成された空気の旋回流れと混合して燃焼させることで火炎を形成し、メインバーナ34の火炎を保炎する。
【0016】
図1に戻り、メイン燃料ライン8には、流量制御弁14、流量計15及び第1分析器20が設けられている。流量制御弁14は、メイン燃料ライン8からメインバーナ34へ供給するメイン燃料ガスの流量を調節可能に構成されている。流量計15は、メインバーナ34に供給するメイン燃料ガスの流量を計測するように構成されている。流量計15の種類は特に限定されず、例えばコリオリ式流量計、差圧式流量計又は超音波式流量計等であってもよい。第1分析器20は、メインバーナ34へ供給するメイン燃料ガスを分析して、メイン燃料ガスの成分に関する情報を取得する。第1分析器20は、メイン燃料ガスの成分に関する情報として、メイン燃料ガスの組成に関する情報、例えばメイン燃料ガスに含まれる各種炭化水素(メタン、エタン及びプロパン等)の濃度と、メイン燃料ガスに含まれるCO
2の濃度を取得する。なお、第1分析器20は、例えばIR(赤外線)式であってもよいし、ガスクロマトグラフであってもよい。
【0017】
空気ライン10には、ファン16が設けられており、バーナ装置6への空気の供給量は、バーナ装置6への燃料供給量に応じて後述の燃焼制御装置24が例えばファン16の回転数を制御することによって調節される。バーナ装置6への空気の供給量は、ファン16の下流に不図示のベーンを設けてベーンの開度によって調整してもよく、この場合は、バーナ装置6への燃料供給量に応じて燃焼制御装置24がベーンの開度を調整する。
【0018】
パイロット燃料ライン12には、流量制御弁18及び流量計19が設けられている。流量制御弁18は、パイロット燃料ライン12からパイロットバーナ36へ供給するパイロット燃料ガスの流量を調節可能に構成されている。流量計19は、パイロットバーナ36へ供給するパイロット燃料ガスの流量を計測するように構成されている流量計15の種類は特に限定されず、例えばコリオリ式流量計、差圧式流量計又は超音波式流量計等であってもよい。
【0019】
排気ライン13には、第2分析器22が設けられている。第2分析器22は、排気ライン13を流れるボイラ100の排ガスを分析して、該排ガスに含まれる未燃の燃料成分の濃度(例えば排ガス中の未燃HCの濃度及びCOの濃度)を取得する。第2分析器22は、例えばIR(赤外線)式であってもよいし、ガスクロマトグラフであってもよい。
【0020】
燃焼制御装置24は、バーナ装置6の燃焼状態を制御するように構成されている。燃焼制御装置24には、流量計15、流量計19、第1分析器20及び第2分析器22の出力が入力される。燃焼制御装置24は、入力された情報に基づいてファン16、流量制御弁14及び流量制御弁18を制御することにより、メインバーナ34の安定燃焼を図りつつパイロットバーナ36に過剰な燃料を供給することを抑制するように、バーナ装置6の燃焼状態を制御する。燃焼制御装置24による燃焼制御の詳細については後述する。
【0021】
なお、上記の例示的な実施形態では、上記メイン燃料ライン8、空気ライン10、パイロット燃料ライン12、流量制御弁14、流量計15、ファン16、流量制御弁18、流量計19、第1分析器20、第2分析器22及び燃焼制御装置24は、流量調整装置60を構成する。
【0022】
図4は、燃焼制御装置24のハードウェア構成の一例を示す図である。
図5は、上記バーナシステム4の燃焼制御装置24による燃焼制御フローの一例を示す概略図である。
【0023】
図4に示すように、燃焼制御装置24は、例えばプロセッサ72、RAM(Random Access Memory)74、ROM(Read Only Memory)76、HDD (Hard Disk Drive)78、入力I/F80、及び出力I/F82を含み、これらがバス84を介して互いに接続されたコンピュータを用いて構成される。なお、燃焼制御装置24のハードウェア構成は上記に限定されず、制御回路と記憶装置との組み合わせにより構成されてもよい。また燃焼制御装置24は、燃焼制御装置24の各機能を実現するプログラムをコンピュータが実行することにより構成される。以下で説明する燃焼制御装置24における各部の機能は、例えばROM76に保持されるプログラムをRAM74にロードしてプロセッサ72で実行するとともに、RAM74やROM76におけるデータの読み出し及び書き込みを行うことで実現される。
【0024】
図5に例示する燃焼制御装置24は、マップ選択部40、記憶部42、パイロット目標流量演算部44、PID制御部46、メイン目標流量演算部48、PID制御部50、アラーム信号生成部52及びボイラ停止信号生成部54を含む。
【0025】
マップ選択部40は、メイン燃料ガスに含まれるCO
2の濃度の範囲毎に記憶部42に保存されたボイラ100の負荷とパイロット燃料ガスの流量との関係を示す複数のマップの中から、第1分析器20によって取得したCO
2の濃度に対応するマップ(
図6参照)を選択する。
図5に示す例では、メイン燃料ガスに含まれるCO
2の濃度の3つの範囲(高濃度、中濃度、低濃度)にそれぞれ対応する3つのマップが記憶部42に保存されており、第1分析器20によって取得したCO
2の濃度に対応するマップを3つのマップの中から選択する。
【0026】
パイロット目標流量演算部44は、マップ選択部40によって選択したマップとボイラ100の負荷とに応じて定まるパイロット燃料ガスの流量Fp0に対して、第1分析器20によって取得したメイン燃料ガスに含まれるCO2の濃度X1と選択したマップ毎の基準濃度Cとの差(X1-C)に応じて、パイロット燃料ガスの目標流量Fptを変化させる。すなわち、パイロット目標流量演算部44は、第1分析器20によって取得したメイン燃料ガスに含まれるCO2の濃度X1とマップ選択部40によって選択したマップ毎の基準濃度Cとの差(X1-C)が大きくなるほど、マップ選択部40によって選択したマップとボイラ100の負荷とに応じて定まるパイロット燃料ガスの流量Fp0に対してパイロット燃料ガスの目標流量Fptを増加させる。パイロット燃料ガスの流量はCO2の濃度X1に基づくフィードフォワード制御によって最適化される。幾つかの実施形態では、パイロット目標流量演算部44は、上記の差(X1-C)が第1閾値を超えるまでは、マップ選択部40によって選択したマップとボイラ100の負荷とに応じて定まるパイロット燃料ガスの流量Fp0をパイロット燃料ガスの目標流量Fptとし、上記の差(X1-C)が第1閾値を超えた場合に、上記の差(X1-C)が大きくなるほど、パイロット燃料ガスの上記流量Fp0に対してパイロット燃料ガスの目標流量Fptを増加させてもよい。これにより目標流量Fptを過度に頻繁に変更することを抑制し、燃焼状態を安定させることができる。なお、上記第1閾値は、例えば燃焼状態が悪化する方向に変化すると考えられるポイントに対応する値に設定してもよい。
【0027】
また、パイロット目標流量演算部44は、第2分析器22によって取得した排気ライン13を流れるボイラ100の排ガスに含まれる未燃の燃料成分及び燃焼不良の際に生じる成分の少なくとも一方の濃度が成分毎の閾値を超えた場合に、マップ選択部40によって選択したマップとボイラ100の負荷とに応じて定まるパイロット燃料ガスの流量Fp0に対してパイロット燃料ガスの目標流量Fptを増加させる。例えば、パイロット目標流量演算部44は、第2分析器22によって取得した排気ライン13を流れるボイラ100の排ガスに含まれる未燃HCの濃度X2が第2閾値を超えた場合に、マップ選択部40によって選択したマップとボイラ100の負荷とに応じて定まるパイロット燃料ガスの流量Fp0に対してパイロット燃料ガスの目標流量Fptを増加させる。ここで、第2閾値は、燃焼不良と判定される未燃HCの濃度である。また、パイロット目標流量演算部44は、第2分析器22によって取得した排気ライン13を流れるボイラ100の排ガスに含まれるCOの濃度X3が第3閾値を超えた場合に、マップ選択部40によって選択したマップとボイラ100の負荷とに応じて定まるパイロット燃料ガスの流量Fp0に対してパイロット燃料ガスの目標流量Fptを増加させる。ここで、第3閾値は、燃焼不良と判定されるCOの濃度である。パイロット燃料ガスの流量はボイラ100の排ガスに含まれる未燃の燃料成分の濃度及び燃焼不良の際に生じる成分の濃度に基づくフィードバック制御によって最適化される。
【0028】
PID制御部46は、パイロット目標流量演算部44から出力された目標流量Fptと、流量計19によって計測されたパイロット燃料ガスの流量とに基づいて、流量制御弁18の開度を操作対象とするPID制御を行うことにより、パイロットバーナ36に供給するパイロット燃料ガスの流量を調整する。
【0029】
メイン目標流量演算部48は、ボイラ100の蒸気の需要量に応じて定まる燃料流量(燃料需要量)から、パイロット目標流量演算部44から出力された目標流量Fptを熱量換算で減じることにより、メインバーナ34に供給するメイン燃料ガスの目標流量Fmtを算出する。
【0030】
PID制御部50は、メイン目標流量演算部48から出力された目標流量Fmtと、流量計15によって計測されたメイン燃料ガスの流量とに基づいて、流量制御弁14を操作対象とするPID制御を行うことにより、メインバーナ34に供給するメイン燃料ガスの流量を調整する。
【0031】
アラーム信号生成部52は、第1分析器20によって取得したCO2の濃度X1と、マップ選択部40によって選択したマップ毎の基準濃度Cとの差(X1-C)が第4閾値を超えた場合に、失火が生じる可能性を警告するためのアラーム信号を生成する。なお、第4閾値は、第1閾値よりも大きな値である。また、アラーム信号生成部52は、第2分析器22によって取得した排気ライン13を流れるボイラ100の排ガスに含まれる未燃の燃料成分の濃度(例えば上記濃度X2)が第5閾値を超えた場合に、失火が生じる可能性を警告するためのアラーム信号を生成する。なお、第5閾値は、第2閾値よりも大きな値である。アラーム信号生成部52は、第2分析器22によって取得した排気ライン13を流れるボイラ100の排ガスに含まれる燃焼不良の際に生じる成分の濃度(例えば上記濃度X3)が第6閾値を超えた場合に、失火が生じる可能性を警告するためのアラーム信号を生成する。なお、第6閾値は、第3閾値よりも大きな値である。また、アラーム信号は、不図示のディスプレイ等に警告を表示するための信号であってもよいし、警報器等を作動させるための信号であってもよいし、その他の警告手段を作動させるための信号であってもよい。
【0032】
ボイラ停止信号生成部54は、第1分析器20によって取得したCO2の濃度X1と、マップ選択部40によって選択したマップ毎の基準濃度Cとの差(X1-C)が第7閾値を超えた場合に、ボイラ100の運転を停止するためのボイラ停止信号を生成する。第7閾値は第4閾値よりも大きな値である。また、ボイラ停止信号生成部54は、第2分析器22によって取得した排気ライン13を流れるボイラ100の排ガスに含まれる未燃の燃料成分の濃度(例えば上記濃度X2)が第8閾値を超えた場合に、ボイラ100の運転を停止するためのボイラ停止信号を生成する。なお、第8閾値は、第5閾値よりも大きな値である。また、ボイラ停止信号生成部54は、第2分析器22によって取得した排気ライン13を流れるボイラ100の排ガスに含まれる燃焼不良の際に生じる成分の濃度(例えば上記濃度X3)が第9閾値を超えた場合に、ボイラ100の運転を停止するためのボイラ停止信号を生成する。なお、第9閾値は第6閾値よりも大きな値である。ボイラ停止信号は、ボイラ100の運転に係る各機器に送信されてボイラ100の運転を停止させる。
【0033】
ここで、上記バーナシステム4が奏する作用効果について説明する。
従来、パイロットバーナの燃焼量は計画値(設計値)で決め、燃焼不良の発生の有無をオペレータが確認し、燃焼不良が生じたらオペレータが手動でパイロットバーナの燃料供給量及び空気量を調整していた。
【0034】
上記バーナシステム4によれば、第1分析器20によって取得したメイン燃料ガスの組成に関する情報に基づいて、パイロットバーナ36に供給する燃料ガスの流量及び空気の流量を自動で調整してパイロットバーナ36の燃焼量を調整している。これにより、メインバーナ34の燃焼不良の発生を抑制して安定燃焼を図りつつパイロットバーナ36に過剰な燃料を供給することを抑制することができ、燃料費を削減することができる。また、メイン燃料ガスの組成が変化しても、オペレータの技量によらず、メイン燃料ガスの組成の変化を考慮してパイロット燃料ガスの燃焼量を適切な燃焼量に調整することができ、ボイラ100を安全に利用できる。また、フィードフォワード制御にてパイロットバーナ36の燃焼量を最適化することにより、燃料の組成が変化した場合にバーナ装置6の失火を効果的に防ぐことができる。
【0035】
また、不活性ガスを適切にボイラ100で燃焼することにより、排ガス中の未燃の燃料成分や燃焼不良に伴う有害物質の大気放出を抑制することができる。また、パイロットバーナ36の燃焼量を最適化することで、その運転状態における不活性ガスの燃焼量を最大化することができる。これにより、不活性ガスを大気中に放出することによる環境悪化を軽減することができる。
【0036】
また、メイン燃料ガスに含まれる不活性ガスであるCO2の濃度に基づいてパイロットバーナ36に供給するパイロット燃料ガスの流量及び空気量を調整しているため、メイン燃料ガスのCO2の濃度が変化しても、CO2の濃度の変化を考慮してパイロットバーナ36の燃焼量を適切な燃焼量に調整することができる。これにより、メインバーナ34の安定燃焼を図りつつパイロットバーナ36に過剰な燃料を供給することを効果的に抑制することができる。
【0037】
また、メイン燃料ガスに含まれるCO2の濃度と基準濃度との差に応じて、パイロット燃料ガスの流量及び空気の流量を調整しているため、CO2の基準濃度が定められたメイン燃料ガスをメインバーナ34の燃料として使用する場合に、メインバーナ34の安定燃焼を図りつつパイロットバーナ36に過剰な燃料を供給することを抑制することができる。
【0038】
また、ボイラ100の排ガスに含まれる未燃の燃料成分の濃度が閾値を超えた場合に、ボイラ100が燃焼不良状態にあると判断してパイロット燃料ガスの流量の流量及び空気の流量を増加させることにより、ボイラの燃焼状態に応じた適切な量のパイロット燃料ガスをパイロットバーナ36に供給することができる。したがって、メインバーナ34の安定燃焼を図りつつパイロットバーナ36に過剰な燃料を供給することを抑制することができる。
【0039】
また、第1分析器20によって取得したCO2の濃度X1と、マップ選択部40によって選択したマップ毎の基準濃度Cとの差(X1-C)が第4閾値を超えた場合、第2分析器22によって取得した排気ライン13を流れるボイラ100の排ガスに含まれる未燃の燃料成分の濃度(例えば上記濃度X2)が第5閾値を超えた場合、又は、第2分析器22によって取得した排気ライン13を流れるボイラ100の排ガスに含まれる燃焼不良の際に生じる成分の濃度(例えば上記濃度X3)が第6閾値を超えた場合に、失火が生じる可能性を警告するためのアラーム信号を生成することにより、CO2の基準濃度が定められたメイン燃料ガスをメインバーナ34の燃料として使用する場合に、失火が生じる可能性を警告して適切な対処を促すことができる。
【0040】
また、第1分析器20によって取得したCO2の濃度Xと、マップ選択部40によって選択したマップ毎の基準濃度Cとの差(X1-C)が第7閾値を超えた場合、第2分析器22によって取得した排気ライン13を流れるボイラ100の排ガスに含まれる未燃の燃料成分の濃度(例えば上記濃度X2)が第8閾値を超えた場合、又は、第2分析器22によって取得した排気ライン13を流れるボイラ100の排ガスに含まれる燃焼不良の際に生じる成分の濃度(例えば上記濃度X3)が第9閾値を超えた場合に、ボイラ100の運転を停止するためのボイラ停止信号を生成することにより、CO2の基準濃度が定められたメイン燃料ガスをメインバーナ34の燃料として使用する場合にボイラ100に安全上のトラブル等が生じることを回避することができる。
【0041】
幾つかの実施形態では、上記燃焼制御装置24は、パイロットバーナ36が停止した場合に、メインバーナ34へのメイン燃料ガスの供給を停止させるように構成されてもよい。なお、「パイロットバーナ36の停止」とは、パイロットバーナ36の燃焼の停止を意味し、オペレータの意図した停止及び保護装置による緊急停止の両方を含む。
【0042】
CO2等の不活性ガスを一定割合以上含む燃料は単体では自燃できないため、メインバーナ34とパイロットバーナ36は同時に燃焼させる必要がある。このため、何らかの原因でパイロットバーナがトリップする場合には、上記のようにメインバーナ34もトリップさせることが望ましい。
【0043】
幾つかの実施形態では、例えば
図7に示すように、上記燃焼制御装置24は、メイン燃料ガスの組成に基づいてパイロットバーナ36に供給する燃料ガスの流量を増加させる場合に、パイロットバーナ36に供給する燃料の流量を最適燃焼を実現する流量に対して一時的に過剰な流量まで増加させた後に、パイロットバーナ36に供給する空気の流量を増加させ、パイロットバーナに供給する燃料の流量を減少させてもよい。
【0044】
図7の見方について
図8を用いて説明する。
図8に示すように、ある点Aにおけるメタンの濃度は、点Aから破線に平行に左側に進んだときに実線の三角形の左上の辺との交点によって定まり、該左上の辺に沿って上に向かうにつれて大きくなる。点Aにおける空気の濃度は、点Aから一点鎖線に平行に右下に進んだときに実線の三角形の底辺との交点によって定まり、該底辺に沿って左に向かうにつれて大きくなる。点AにおけるCO
2の濃度は、点Aから二点鎖線に平行に右上に進んだときに実線の三角形の右上の辺との交点によって定まり、該右上の辺に沿って下に向かうにつれて大きくなる。
【0045】
図7は、バーナ装置6の燃焼領域におけるメタンの濃度と空気の濃度とCO
2の濃度との組み合わせの点によって定まる燃焼状態について、燃焼制御装置による燃焼制御の一例を示している。
図7において、ある点P1は、最適燃焼状態(燃料ガスを過剰に消費することなく失火を生じずに安定燃焼している状態)を示す範囲S1の範囲内であったのに対し、点P1の燃焼状態からメイン燃料ガスのCO
2の濃度が増加してメタンの濃度が低下すると、失火の危険がある失火危険範囲S2内の点P2に燃焼状態が遷移する場合がある。このような場合に、燃焼制御装置24は、以下のように燃焼状態を点P3を経て点P4へ移行させる燃焼制御を行う。
【0046】
点P1から点P2に遷移する場合とは、例えば上述のように、第1分析器20によって取得したメイン燃料ガスに含まれるCO2の濃度X1と選択したマップ毎の基準濃度Cとの差(X1-C)が第1閾値を超えた場合である。この場合、燃焼制御装置24は、パイロットバーナ36に供給する燃料の流量を、最適燃焼状態を実現する流量(範囲S1内の状態を実現する流量)に対して一時的に過剰な流量(例えば範囲S3内の点P3を実現する流量)まで増加させた後に、パイロットバーナ36に供給する空気の流量を増加させ、パイロットバーナ36に供給するパイロット燃料ガスの流量を最適燃焼状態を実現する流量(例えば範囲S1内の点P4を実現する流量)まで低下させる。
【0047】
本願発明者の知見によれば、失火の可能性がある燃焼状態からパイロット燃料ガスの流量と空気の流量を同時に変更すると、燃焼状態が不安定となり失火が発生する恐れがあった。これに対し、上記の燃焼制御方法では、失火の可能性がある燃焼状態からパイロット燃料ガスの流量を増加させるに際し、空気の流量を維持しながらパイロット燃料ガスの流量を最適燃焼状態を実現する流量に対して一時的に過剰な流量まで増加させた後に、パイロットバーナ36に供給する空気の流量を増加させて、パイロットバーナ36に供給する燃料の流量を減少させることにより、パイロット燃料ガスの流量を最適燃焼状態を実現する流量に制御している。これにより、失火の可能性がある燃焼状態から最適燃焼状態に移行するためにパイロットバーナの燃料の流量及び空気の流量を調整する過程において、燃焼状態の不安定化及び失火の発生を抑制することができる。
【0048】
幾つかの実施形態では、
図1等に示したバーナシステム4の第1分析器20は、メイン燃料ガスの組成に関する情報に代えてメイン燃料ガスの発熱量を取得するように構成されたガス熱量計であってもよい。この場合の燃焼制御装置24による燃焼制御フローについて、
図9を用いて以下に説明する。
【0049】
マップ選択部40は、メイン燃料ガスの発熱量の範囲毎に記憶部42に保存されたボイラ100の負荷とパイロット燃料ガスの流量との関係を示す複数のマップの中から、第1分析器20によって取得したメイン燃料ガスの発熱量に対応するマップ(
図9参照)を選択する。
図9に示す例では、メイン燃料ガスの発熱量の3つの範囲(高発熱量、中発熱量及び低発熱量)にそれぞれ対応する3つのマップが記憶部42に保存されており、第1分析器20によって取得したメイン燃料ガスの発熱量に対応するマップを3つのマップの中から選択する。
【0050】
パイロット目標流量演算部44は、マップ選択部40によって選択したマップとボイラ100の負荷とに応じて定まるパイロット燃料ガスの流量Fp0に対して、選択したマップ毎の基準発熱量Qと第1分析器20によって取得したメイン燃料ガスの発熱量Y1との差(Q-Y1)に応じて、パイロット燃料ガスの目標流量Fptを変化させる。すなわち、パイロット目標流量演算部44は、マップ選択部40によって選択したマップ毎の基準発熱量Qと第1分析器20によって取得したメイン燃料ガスの発熱量Y1との差(Q-Y1)が大きくなるほど、マップ選択部40によって選択したマップとボイラ100の負荷とに応じて定まるパイロット燃料ガスの流量Fp0に対してパイロット燃料ガスの目標流量Fptを増加させる。幾つかの実施形態では、パイロット目標流量演算部44は、上記の差(Q-Y1)が第10閾値を超えるまでは、マップ選択部40によって選択したマップとボイラ100の負荷とに応じて定まるパイロット燃料ガスの流量Fp0をパイロット燃料ガスの目標流量Fptとし、上記の差(Q-Y1)が第10閾値を超えた場合に、上記の差(Q-Y1)が大きくなるほど、パイロット燃料ガスの上記流量Fp0に対してパイロット燃料ガスの目標流量Fptを増加させてもよい。これにより目標流量Fptを過度に頻繁に変更することを抑制し、燃焼状態を安定させることができる。
【0051】
また、パイロット目標流量演算部44は、第2分析器22によって取得した排気ライン13を流れるボイラ100の排ガスに含まれる未燃の燃料成分及び燃焼不良の際に生じる成分の少なくとも一方の濃度が成分毎の閾値を超えた場合に、マップ選択部40によって選択したマップとボイラ100の負荷とに応じて定まるパイロット燃料ガスの流量Fp0に対してパイロット燃料ガスの目標流量Fptを増加させる。例えば、パイロット目標流量演算部44は、第2分析器22によって取得した排気ライン13を流れるボイラ100の排ガスに含まれる未燃HCの濃度が第2閾値を超えた場合に、マップ選択部40によって選択したマップとボイラ100の負荷とに応じて定まるパイロット燃料ガスの流量Fp0に対してパイロット燃料ガスの目標流量Fptを増加させる。また、パイロット目標流量演算部44は、第2分析器22によって取得した排気ライン13を流れるボイラ100の排ガスに含まれるCOの濃度が第3閾値を超えた場合に、マップ選択部40によって選択したマップとボイラ100の負荷とに応じて定まるパイロット燃料ガスの流量Fp0に対してパイロット燃料ガスの目標流量Fptを増加させる。
【0052】
PID制御部46、メイン目標流量演算部48及びPID制御部50の構成は、
図5を用いて説明した構成と同様であるため説明を省略する。
【0053】
アラーム信号生成部52は、マップ選択部40によって選択したマップ毎の基準発熱量Qと第1分析器20によって取得したメイン燃料ガスの発熱量Y1との差(Q-Y1)が第11閾値を超えた場合に、失火が生じる可能性を警告するためのアラーム信号を生成する。なお、第11閾値は、第10閾値よりも大きな値である。アラーム信号は、不図示のディスプレイ等に警告を表示するための信号であってもよいし、警報器等を作動させるための信号であってもよいし、その他の警告手段を作動させるための信号であってもよい。
【0054】
ボイラ停止信号生成部54は、マップ選択部40によって選択したマップ毎の基準発熱量Qと第1分析器20によって取得したメイン燃料ガスの発熱量Y1との差(Q-Y1)が第12閾値を超えた場合に、ボイラ100の運転を停止するためのボイラ停止信号を生成する。第12閾値は第11閾値よりも大きな値である。ボイラ停止信号は、ボイラ100の運転に係る各機器に送信されてボイラ100の運転を停止させる。
【0055】
上記バーナシステム4によれば、第1分析器20によって取得したメイン燃料ガスの発熱量に基づいて、パイロットバーナ36に供給する燃料ガスの流量及び空気の流量を自動で調整してパイロットバーナ36の燃焼量を調整している。これにより、メインバーナ34の燃焼不良の発生を抑制して安定燃焼を図りつつパイロットバーナ36に過剰な燃料を供給することを抑制することができる。また、メイン燃料ガスの発熱量が変化しても、オペレータの技量によらず、メイン燃料ガスの発熱量の変化を考慮してパイロット燃料ガスの燃焼量を適切な燃焼量に調整することができ、ボイラ100を安全に利用できる。
【0056】
また、メイン燃料ガスの基準発熱量と第1分析器20によって取得したメイン燃料ガスの発熱量との差に応じて、パイロット燃料ガスの流量を調整しているため、基準発熱量が予め分かっているメイン燃料ガスをメインバーナの燃料として使用する場合に、メインバーナ34の安定燃焼を効果的に実現しつつパイロットバーナ36に過剰な燃料を供給することを抑制することができる。
【0057】
また、ボイラ100の排ガスに含まれる未燃の燃料成分及び燃焼不良の際に生じる成分の少なくとも一方の濃度が成分毎の閾値を超えた場合に、ボイラ100が燃焼不良状態にあると判断してパイロット燃料ガスの流量を増加させることにより、ボイラ100の燃焼状態に応じた適切な量のパイロット燃料ガスをパイロットバーナ36に供給することができる。したがって、メインバーナ34の安定燃焼を図りつつパイロットバーナ36に過剰な燃料を供給することを抑制することができる。
【0058】
また、マップ選択部40によって選択したマップ毎の基準発熱量Qと第1分析器20によって取得したメイン燃料ガスの発熱量Y1との差(Q-Y1)が第11閾値を超えた場合に、失火が生じる可能性を警告するためのアラーム信号を生成することにより、メイン燃料ガスの基準発熱量が予め分かっているメイン燃料ガスをメインバーナの燃料として使用する場合に、失火が生じる可能性を警告して適切な対処を促すことができる。
【0059】
また、マップ選択部40によって選択したマップ毎の基準発熱量Qと第1分析器20によって取得したメイン燃料ガスの発熱量Y1との差(Q-Y1)が第12閾値を超えた場合に、ボイラ100の運転を停止するためのボイラ停止信号を生成することにより、基準発熱量が予め分かっているメイン燃料ガスをメインバーナの燃料として使用する場合にボイラ100に安全上のトラブル等が生じることを回避することができる。
【0060】
幾つかの実施形態では、
図9に示したバーナシステム4は、メイン燃料ガスの発熱量に基づいてパイロットバーナ36に供給するパイロット燃料ガスの流量を増加させる場合(例えば上記差(Q-Y1)が第10閾値を超えた場合)に、
図8を用いて説明した手法と同様の手法により、パイロットバーナ36に供給するパイロット燃料の流量を最適燃焼を実現する流量に対して過剰な流量まで増加させた後に、パイロットバーナ36に供給する空気の流量を増加させ、パイロットバーナ36に供給する燃料の流量を減少させてもよい。
【0061】
これにより、失火の可能性がある燃焼状態から最適燃焼状態に移行するためにパイロットバーナ36の燃料の流量及び空気の流量を調整する過程において、燃焼状態の不安定化及び失火の発生を抑制することができる。
【0062】
本開示は上述した実施形態に限定されることはなく、上述した実施形態に変形を加えた形態や、これらの形態を適宜組み合わせた形態も含む。
例えば、上述した実施形態では、不活性ガスの例としてCO2を挙げたが、不活性ガスは、CO2に限らず、例えばN2やAr、ヘリウム等の反応性の低い他のガスであってもよい。また、メイン燃料ガスは、複数種類の不活性ガスを含んでいてもよい。この場合、上記の不活性ガスの濃度に係る各閾値は不活性ガスの種類毎に設けられていてもよい。
【0063】
また、上述した実施形態では、第2分析器22は、排ガス中の未燃の燃料成分の濃度及び燃焼不良の際に生じる成分の濃度を検出したが、排ガス中の未燃の燃料成分の濃度を検出せずに未燃の燃料成分の濃度のみを検出してもよいし、排ガス中の燃焼不良の際に生じる成分の濃度を検出せずに排ガス中の未燃の燃料成分の濃度のみを検出してもよい。流量調整装置60は、排ガス中の未燃の燃料成分及び燃焼不良の際に生じる成分の少なくとも一方の濃度に応じて、パイロットバーナ36に供給するパイロット燃料ガスの流量を調整すればよい。
【0064】
上記各実施形態に記載の内容は、例えば以下のように把握される。
【0065】
(1)本開示の少なくとも一実施形態に係るに係るバーナシステム(例えば上述のバーナシステム4)は、
不活性ガス(例えば上述のCO2、N2、Ar等)を含む第1燃料ガス(例えば上述のメイン燃料ガス)が供給されるメインバーナ(例えば上述のメインバーナ34)と、
前記メインバーナの火炎を保炎するためのパイロットバーナ(例えば上述のパイロットバーナ36)と、
前記メインバーナに供給される前記第1燃料ガスを分析して前記第1燃料ガスの成分に関する情報(例えば上述の不活性ガスの濃度又は第1燃料ガスの発熱量)を取得するように構成された第1分析部と、
前記第1分析部によって取得した前記第1燃料ガスの成分に関する情報に基づいて、前記パイロットバーナに供給する第2燃料ガス(例えば上述のパイロット燃料ガス)及び空気の流量を調整するように構成された流量調整装置(例えば上述の流量調整装置60)と、
を備える。
【0066】
上記(1)に記載のバーナシステムによれば、第1分析器によって取得した第1燃料ガスの成分に関する情報に基づいて、パイロットバーナに供給する第2燃料ガスの流量及び空気の流量を自動で調整してパイロットバーナの燃焼量を調整している。これにより、メインバーナの燃焼不良の発生を抑制して安定燃焼を図りつつパイロットバーナに過剰な燃料を供給することを抑制することができる。このため、第1燃料ガスの組成が変化しても、オペレータの技量によらず、第1燃料ガスの組成の変化を考慮して第2燃料ガスの燃焼量を適切な燃焼量に調整することができ、ボイラを安全に利用できる。
【0067】
(2)幾つかの実施形態では、上記(1)に記載のバーナシステムにおいて、
前記流量調整装置は、前記第1燃料ガスの成分に関する情報に基づいて前記パイロットバーナに供給する前記第2燃料ガスの流量を増加させる場合に、前記第2燃料ガスの流量を最適燃焼を実現する流量(例えば上述の範囲S1内の流量)に対して過剰な流量(例えば上述の範囲S2内の流量)まで増加させた後に、前記パイロットバーナに供給する空気の流量を増加させ、前記第2燃料ガスの流量を減少させるように構成される。
【0068】
本願発明者の知見によれば、失火の可能性がある燃焼状態から第2燃料ガスの流量と空気の流量を同時に変更すると、燃焼状態が不安定となり失火が発生する恐れがあった。これに対し、上記(2)に記載のバーナシステムでは、第1燃料ガスの成分に関する情報に基づいてパイロットバーナに供給する第2燃料ガスの流量を増加させるに際し、第2燃料ガスの流量を最適燃焼状態を実現する流量に対して一時的に過剰な流量まで増加させた後に、パイロットバーナに供給する空気の流量を増加させて、第2燃料の流量を減少させることにより、第2燃料ガスの流量を最適燃焼状態を実現する流量に制御している。これにより、失火の可能性がある燃焼状態から最適燃焼状態に移行するためにパイロットバーナに供給する第2燃料の流量及び空気の流量を調整する過程において、燃焼状態の不安定化及び失火の発生を抑制することができる。
【0069】
(3)幾つかの実施形態では、上記(1)又は(2)に記載のバーナシステムにおいて、
前記第1分析部は、前記第1燃料ガスの成分に関する情報として、前記不活性ガスの濃度を取得するように構成され、
前記流量調整装置は、前記第1分析部によって取得した前記不活性ガスの濃度に基づいて、前記パイロットバーナに供給する前記第2燃料ガスの流量を調整するように構成される。
【0070】
上記(3)に記載のバーナシステムによれば、第1燃料ガスに含まれる不活性ガスの濃度に基づいてパイロットバーナに供給する第2燃料ガスの流量を調整するため、第1燃料ガスの不活性ガスの濃度が変化しても、不活性ガスの濃度の変化を考慮して第2燃料ガスの流量を適切な流量に調整することができる。これにより、メインバーナの安定燃焼を図りつつパイロットバーナに過剰な燃料を供給することを効果的に抑制することができる。
【0071】
(4)幾つかの実施形態では、上記(3)に記載のバーナシステムにおいて、
前記流量調整装置は、前記第1分析部によって取得した前記不活性ガスの濃度と基準濃度との差(例えば上述の差(X1-C))に応じて、前記パイロットバーナに供給する前記第2燃料ガスの流量を調整するように構成される。
【0072】
上記(4)に記載のバーナシステムによれば、メイン燃料ガスに含まれるCO2の濃度と基準濃度との差に応じて、パイロット燃料ガスの流量を調整しているため、CO2の基準濃度が定められた第1燃料ガスをメインバーナの燃料として使用する場合に、メインバーナの安定燃焼を図りつつパイロットバーナに過剰な燃料ガスを供給することを抑制することができる。
【0073】
(5)幾つかの実施形態では、上記(4)に記載のバーナシステムにおいて、
前記流量調整装置は、前記第1分析部によって取得した前記不活性ガスの濃度と基準濃度との差が閾値(例えば上述の第4閾値又は第7閾値)を超えた場合に、アラーム信号又はボイラの運転を停止するためのボイラ信号を生成するように構成される。
【0074】
上記(5)に記載のバーナシステムによれば、アラーム信号を生成する場合にはアラーム信号に基づく適切な対処を促すことができ、ボイラ停止信号を生成する場合にはボイラに安全上のトラブル等が生じることを回避することができる。
【0075】
(6)幾つかの実施形態では、上記(1)又は(2)に記載のバーナシステムにおいて、
前記第1分析部は、前記第1燃料ガスの成分に関する情報として、前記第1燃料ガスの発熱量を取得するように構成され、
前記流量調整装置は、前記第1分析部によって取得した前記第1燃料ガスの発熱量に基づいて、前記パイロットバーナに供給する前記第2燃料ガスの流量を調整するように構成される。
【0076】
上記(6)に記載のバーナシステムによれば、第1燃料ガスの発熱量に基づいてパイロットバーナに供給する第2燃料ガスの流量を調整するため、第1燃料ガスの発熱量が変化しても、該発熱量の変化を考慮して第2燃料ガスの流量を適切な流量に調整することができる。これにより、メインバーナの安定燃焼を図りつつパイロットバーナに過剰な燃料を供給することを効果的に抑制することができる。
【0077】
(7)幾つかの実施形態では、上記(6)に記載のバーナシステムにおいて、
前記流量調整装置は、前記第1燃料ガスの基準発熱量と前記第1分析部によって取得した前記第1燃料ガスの発熱量との差(例えば上述の差(Q-Y1)に応じて、前記パイロットバーナに供給する前記第2燃料ガスの流量を調整するように構成される。
【0078】
上記(7)に記載のバーナシステムによれば、第1燃料ガスの基準発熱量と第1分析部によって取得した第1燃料ガスの発熱量との差に応じて第2燃料ガスの流量を調整しているため、基準発熱量が定められた第1燃料ガスをメインバーナの燃料として使用する場合に、メインバーナの安定燃焼を図りつつパイロットバーナに過剰な燃料ガスを供給することを抑制することができる。
【0079】
(8)幾つかの実施形態では、上記(7)に記載のバーナシステムにおいて、
前記流量調整装置は、前記第1燃料ガスの基準発熱量と前記第1分析部によって取得した前記第1燃料ガスの発熱量との差が閾値(例えば上述の第11閾値又は第12閾値)を超えた場合に、アラーム信号又はボイラの運転を停止するためのボイラ停止信号を生成するように構成される。
【0080】
上記(8)に記載のバーナシステムによれば、アラーム信号を生成する場合にはアラーム信号に基づく適切な対処を促すことができ、ボイラ停止信号を生成する場合にはボイラに安全上のトラブル等が生じることを回避することができる。
【0081】
(9)幾つかの実施形態では、上記(1)又は(2)に記載のバーナシステムにおいて、
ボイラの排ガスを分析して前記排ガス中の未燃の燃料成分及び燃焼不良の際に生じる成分の少なくとも一方の濃度を検出するように構成された第2分析部を更に備え、
前記流量調整装置は、前記第2分析部によって検出した前記少なくとも一方の濃度に応じて、前記パイロットバーナに供給する前記第2燃料ガスの流量を調整するように構成される。
【0082】
上記(9)に記載のバーナシステムによれば、排ガス中の未燃の燃料成分の濃度及び燃焼不良の際に生じる成分の少なくとも一方に基づいてパイロットバーナに供給する第2燃料ガスの流量を調整するため、ボイラの燃焼状態が変化しても、排ガス中の未燃の燃料成分の濃度及び燃焼不良の際に生じる成分の少なくとも一方の変化を考慮して第2燃料ガスの流量を適切な流量に調整することができる。これにより、メインバーナの安定燃焼を図りつつパイロットバーナに過剰な燃料を供給することを効果的に抑制することができる。
【0083】
(10)幾つかの実施形態では、上記(9)に記載のバーナシステムにおいて、
前記流量調整装置は、前記第2分析部によって検出した前記少なくとも一方の濃度が成分毎の閾値(例えば上述の第2閾値又は第3閾値)を超えた場合に、前記パイロットバーナに供給する前記第2燃料ガスの流量を増加させるように構成される。
【0084】
上記(10)に記載のバーナシステムによれば、ボイラの排ガスに含まれる未燃の燃料成分及び燃焼不良の際に生じる成分の少なくとも一方の濃度が成分毎の閾値を超えた場合にボイラが燃焼不良状態にあると判断してパイロットバーナに供給する第2燃料ガスの流量を増加させることにより、ボイラの燃焼状態に応じた適切な量の第2燃料ガスをパイロットバーナに供給することができる。したがって、メインバーナの安定燃焼を図りつつパイロットバーナに過剰な燃料を供給することを抑制することができる。
【0085】
(11)幾つかの実施形態では、上記(10)に記載のバーナシステムにおいて、
前記流量調整装置は、前記第2分析部によって取得した前記少なくとも一方の濃度が前記成分毎の閾値よりも大きい他の閾値(例えば上述の第5閾値、第6閾値、第8閾値又は第9閾値)を超えた場合に、アラーム信号又はボイラの運転を停止するためのボイラ停止信号を生成するように構成される。
【0086】
上記(11)に記載のバーナシステムによれば、アラーム信号を生成する場合にはアラーム信号に基づく適切な対処を促すことができ、ボイラ停止信号を生成する場合にはボイラに安全上のトラブル等が生じることを回避することができる。
【0087】
(12)幾つかの実施形態では、上記(1)乃至(11)の何れかに記載のバーナシステムにおいて、
前記流量調整装置は、前記パイロットバーナが停止した場合に、前記メインバーナへの前記第1燃料ガスの供給を停止させるように構成される。
【0088】
上記(12)に記載のバーナシステムによれば、不活性ガスは単体では自燃できないため、メインバーナとパイロットバーナは同時に燃焼させる必要がある。このため、何らかの原因でパイロットバーナが失火する場合には、上記(12)に記載のようにメインバーナへの第1燃料ガスの供給を停止させることが望ましい。
【0089】
(13)本開示の少なくとも一実施形態に係るバーナシステム(例えば上述のバーナシステム4)の燃焼制御方法は、
不活性ガス(例えば上述のCO2又はN2)を含む第1燃料ガス(例えば上述のメイン燃料ガス)が供給されるメインバーナ(例えば上述のメインバーナ34)と、
前記メインバーナの火炎を保炎するためのパイロットバーナ(例えば上述のパイロットバーナ36)と、
を備えるバーナシステムの燃焼制御方法であって、
前記メインバーナに供給される前記第1燃料ガスを分析して前記第1燃料ガスの成分に関する情報(例えば上述の不活性ガスの濃度又は第1燃料ガスの発熱量)を取得する分析ステップと、
前記分析ステップによって取得した前記第1燃料ガスの成分に関する情報に基づいて、前記パイロットバーナに供給する第2燃料ガス(例えば上述のパイロット燃料ガス)の流量を調整する流量調整ステップと、
を備える。
【0090】
上記(13)に記載のバーナシステムによれば、分析ステップによって取得した第1燃料ガスの成分に関する情報に基づいて、パイロットバーナに供給する第2燃料ガスの流量及び空気の流量を自動で調整してパイロットバーナの燃焼量を調整している。これにより、メインバーナの燃焼不良の発生を抑制して安定燃焼を図りつつパイロットバーナに過剰な燃料を供給することを抑制することができる。このため、第1燃料ガスの組成が変化しても、オペレータの技量によらず、第1燃料ガスの組成の変化を考慮して第2燃料ガスの燃焼量を適切な燃焼量に調整することができ、ボイラを安全に利用できる。
【符号の説明】
【0091】
2 火炉
4 バーナシステム
6 バーナ装置
8 メイン燃料ライン
10 空気ライン
12 パイロット燃料ライン
13 排気ライン
14 流量制御弁
15 流量計
16 ファン
18 流量制御弁
19 流量計
20 第1分析器
22 第2分析器
24 燃焼制御装置
26 風箱
28 メインガスノズル
29 空気流路
30 パイロットガスノズル
31 空気流路
32 スワラ
34 メインバーナ
36 パイロットバーナ
40 マップ選択部
42 記憶部
44 パイロット目標流量演算部
46 PID制御部
48 メイン目標流量演算部
50 PID制御部
52 アラーム信号生成部
54 ボイラ停止信号生成部
60 流量調整装置
72 プロセッサ
74 RAM
76 ROM
78 HDD
80 入力I/F
82 出力I/F
84 バス
100 ボイラ