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特開2022-131114通信ケーブルの診断装置及び通信ケーブルの診断方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022131114
(43)【公開日】2022-09-07
(54)【発明の名称】通信ケーブルの診断装置及び通信ケーブルの診断方法
(51)【国際特許分類】
   G01R 31/50 20200101AFI20220831BHJP
   G01R 31/54 20200101ALI20220831BHJP
   G01R 31/58 20200101ALI20220831BHJP
【FI】
G01R31/50
G01R31/54
G01R31/58
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021029872
(22)【出願日】2021-02-26
(71)【出願人】
【識別番号】000227205
【氏名又は名称】NECプラットフォームズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【弁理士】
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100134544
【弁理士】
【氏名又は名称】森 隆一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100162868
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 英輔
(72)【発明者】
【氏名】蓑田 豊
【テーマコード(参考)】
2G014
【Fターム(参考)】
2G014AA02
2G014AB34
(57)【要約】
【課題】コネクタを介して少なくとも2つのデバイスを互いに接続する複数のケーブルの状態を、個々にかつ確実に診断することを可能にする。
【解決手段】第1コネクタC1及び第2コネクタC2内には、各ケーブル1(1A~1D)に対して診断信号a(a1~a4)を出力する診断信号出力手段52と、各ケーブル1(1A~1D)を経た診断信号a(a1~a4)を受信する診断信号入力手段53と、を備えたケーブル診断手段がそれぞれ接続され、ケーブル診断手段の診断信号入力手段53には、各ケーブル1(1A~1D)を経た診断信号a(a1~a4)の状態を監視することで該ケーブル1(1A~1D)を診断する診断受診手段54が設けられる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1デバイスに連結可能な第1コネクタと、第2デバイスに連結可能な第2コネクタと、これら第1及び第2コネクタを互いに接続する複数のケーブルとを有する通信ケーブルにおいて、
前記第1及び第2コネクタ内には、各ケーブルに対して診断信号を出力する診断信号出力手段と、各ケーブルを経た診断信号を受信する診断信号入力手段と、を備えたケーブル診断手段がそれぞれ設置されており、
前記ケーブル診断手段の診断信号入力手段には、各ケーブルを経た診断信号の状態を監視することで該ケーブルを診断する診断受診手段が設けられていることを特徴とする通信ケーブルの診断装置。
【請求項2】
前記ケーブル診断手段には内蔵バッテリから電力を取り込み給電する受給電手段が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の通信ケーブルの診断装置。
【請求項3】
前記ケーブル診断手段には外部から電力を取り込み給電する受給電手段が設けられていることを特徴とする請求項1又は2のいずれか1項に記載の通信ケーブルの診断装置。
【請求項4】
前記ケーブル診断手段の診断信号出力手段として、起動信号を出力する診断起動手段と、該診断起動手段からの起動信号に基づき信号診断を開始する診断開始手段と、該診断開始手段の開始によりケーブルに対して診断信号を出力する診断送信手段とを有することを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の通信ケーブルの診断装置。
【請求項5】
前記ケーブル診断手段の診断信号入力手段として、前記診断受診手段とともに、取り込んだ診断信号に基づきケーブルの状態を判定する診断結果判定手段が設けられていることを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の通信ケーブルの診断装置。
【請求項6】
前記ケーブル診断手段の診断信号入力手段には、前記診断結果判定手段で判定した判定結果を表示する良否表示手段が設けられていることを特徴とする請求項5に記載の通信ケーブルの診断装置。
【請求項7】
前記ケーブル診断手段の診断信号入力手段には、前記診断結果判定手段で判定した判定結果を記憶する診断結果記録手段が設けられていることを特徴とする請求項5又は6のいずれか1項に記載の通信ケーブルの診断装置。
【請求項8】
前記第1及び第2コネクタ内にそれぞれ位置する前記ケーブル診断手段内の診断信号出力手段及び診断信号入力手段には、互いを短絡して閉回路を形成する信号路切替手段がそれぞれ設けられていることを特徴とする請求項1~7のいずれか1項に記載の通信ケーブルの診断装置。
【請求項9】
前記ケーブル診断手段には、前記ケーブルを流れる通信信号と前記診断信号を分離する信号分離手段が設けられていることを特徴とする請求項1~7のいずれか1項に記載の通信ケーブルの診断装置。
【請求項10】
第1デバイスに連結可能な第1コネクタと、第2デバイスに連結可能な第2コネクタと、これら第1及び第2コネクタを互いに接続する複数のケーブルとを有する通信ケーブルにおいて、
前記第1及び第2コネクタ内にて各ケーブルに対して診断信号を出力する診断信号出力段階と、
前記第1及び第2コネクタ内にて各ケーブルを経た診断信号を受信する診断信号入力段階と、
前記第1及び第2コネクタ内にて前記診断信号入力段階で受信した前記診断信号の状態を監視することで該ケーブルを診断する診断受診段階を設ける段階と、を有することを特徴とする通信ケーブルの診断方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、サーバー及びストレージ等の装置を互いに接続するためのイーサネットケーブル等の状態を簡易に診断することができる通信ケーブルの診断装置及び通信ケーブルの診断方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の情報処理装置は、複数のサーバーやストレージ等の装置をイーサネットケーブル等の通信ケーブルで複雑に接続したシステム構成になっている。
このため、システムを構成する機器間の接続に使用される通信ケーブルは、高い信頼性が求められる重要な部品になっているが、実際の使用に際しては、曲げ、引っ張り等の様々な外力を受ける等で粗略に取り扱われることが多い。
特に、ラック内の通信ケーブルは、規定以上に小さく曲げられていたり、作業中に踏まれたりするリスクが高く、これらに起因する通信品質の悪化が起こる場合もある。
【0003】
一般に、通信ケーブルの断線確認する検査装置としては、ケーブルチェッカーやケーブルテスターなどが市販されている。
しかしながら、このような検査装置には、以下の問題点があった。
【0004】
例えば、これら検査装置は、一旦、通信ケーブルがシステムに組み込まれて運用が開始された状態では、いわゆる後付けにより通信ケーブルに取り付けることができず、当該通信ケーブルの良否の確認に利用することは難しい。
また、これら検査装置は、通信ケーブルを接続した装置間で通信が正常にできることを確認するだけである。
また、システム内の通信ケーブルは同じ規格の物が使用されることが多いので、外観上、いずれの通信ケーブルも形状や色や長さが同じであることが多く、そこで異常が発生した場合に、いずれの通信ケーブルが不良であるかを識別することが難しく、不良ケーブルを特定するのが困難である。また、不良ケーブルの交換作業においても同様に、外観上から交換対象ケーブルを特定するのが困難である。
【0005】
そして、これら問題の解決に関連して特許文献1に示される技術が提供されている。
この特許文献1は、トリガ発生回路、信号発生回路、これらに各々繋がる複数のスイッチ及び異常検出回路で構成された接続診断回路を電子機器のコネクタと、電子機器の内部回路との間に接続した構成である。
そして、このような接続診断回路では、まず、信号発生回路にてトリガ信号を入力して診断の基準となる診断信号を出力する。
その後、この診断信号は、第一の電子機器内の全てのスイッチに入力されて、コネクタなどの接合部を介して1対1接続した第二の電子機器内のスイッチへ送られた後、複数の診断結果信号として異常検出回路に入力される。
その後、この異常検出回路では、診断信号と複数の診断結果信号とをそれぞれ比較して、一致していた場合に信号線に接続異常が発生していないと判定し、逆に一致しない場合に信号線に接続異常が発生していると判定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2000-171515号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に示される技術は、電子機器の内部回路とコネクタとの間の信号線の状態を診断するためのものであって、ケーブルに異常があるかの判断を直接的に行うことができないという問題がある。
【0008】
この発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであって、コネクタを介して少なくとも2つのデバイスを互いに接続する複数のケーブルの状態を、個々にかつ確実に診断することが可能な通信ケーブルの診断装置及び通信ケーブルの診断方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、この発明は以下の手段を提案している。
本発明の第1態様に示す診断装置では、第1デバイスに連結可能な第1コネクタと、第2デバイスに連結可能な第2コネクタと、これら第1及び第2コネクタを互いに接続する複数のケーブルとを有する通信ケーブルにおいて、前記第1及び第2コネクタ内には、各ケーブルに対して診断信号を出力する診断信号出力手段と、各ケーブルを経た診断信号を受信する診断信号入力手段と、を備えたケーブル診断手段がそれぞれ設置されており、前記ケーブル診断手段の診断信号入力手段には、各ケーブルを経た診断信号の状態を監視することで該ケーブルを診断する診断受診手段が設けられていることを特徴とする。
【0010】
本発明の第2態様に示す通信ケーブルの診断方法では、第1デバイスに連結可能な第1コネクタと、第2デバイスに連結可能な第2コネクタと、これら第1及び第2コネクタを互いに接続する複数のケーブルとを有する通信ケーブルにおいて、前記第1及び第2コネクタ内にて各ケーブルに対して診断信号を出力する診断信号出力段階と、前記第1及び第2コネクタ内にて各ケーブルを経た診断信号を受信する診断信号入力段階と、前記第1及び第2コネクタ内にて前記診断信号入力段階で受信した前記診断信号の状態を監視することで該ケーブルを診断する診断受診段階を設ける段階と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明では、複数のケーブルを接続する第1及び第2コネクタ内に、各ケーブルを経た診断信号の状態を監視することで該ケーブルを診断するケーブル診断手段が設けられているので、通信ケーブルがシステムに組み込まれて運用が開始された場合であっても、個々の通信ケーブルの状態を監視することができ、不具合の発生を未然に防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明に係る通信ケーブルの診断装置の最小構成を示す概略構成図である。
図2】本発明の第1実施形態に係る通信ケーブルの診断装置の概略構成図である。
図3図2のケーブル診断装置を具体的に示す構成図である。
図4】第1実施形態に係る通信ケーブル診断装置の動作フローである。
図5】本発明の第2実施形態に係る通信ケーブルの診断装置の概略構成図である。
図6】第2実施形態に係る通信ケーブル診断装置の動作フローである。
図7】本発明の第3実施形態に係る通信ケーブルの診断装置の概略構成図である。
図8】第3実施形態に係る通信ケーブル診断装置の動作フローである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明に係る通信ケーブルCの診断装置50の最小構成について図1を参照して説明する。
この通信ケーブルCは、第1デバイスD1に連結可能な第1コネクタC1と、第2デバイスD2に連結可能な第2コネクタC2と、これら第1コネクタC1及び第2コネクタC2間に接続された複数のケーブル1(1A~1D)とから構成される。
【0014】
これら第1コネクタC1及び第2コネクタC2内には、本発明に係る通信ケーブルCの診断装置50が設置されている。
診断装置50は、第1コネクタC1及び第2コネクタC2内にそれぞれ設置された2組のケーブル診断手段51により構成される。
【0015】
これら各ケーブル診断手段51は、各ケーブル1(1A~1D)に対して診断信号a(a1~a4)を出力する診断信号出力手段52と、各ケーブル1(1A~1D)を経た診断信号a(a1~a4)を受信する診断信号入力手段53とをそれぞれ備えている。
さらに、ケーブル診断手段51の診断信号入力手段53には、各ケーブル1(1A~1D)を経た診断信号a(a1~a4)の状態をそれぞれ監視する診断受診手段54が設けられている。
なお、ケーブル診断手段51は、各ケーブル1(1A~1D)の双方向に対して診断信号a(a1~a4)を流してケーブル1の状態を監視することもできる。
【0016】
そして、以上のような本発明に係る通信ケーブルCの診断装置50では、第1コネクタC1内に設けられたケーブル診断手段51から診断信号a(a1~a4)を出力することができる(図1の例では、診断信号a1,a2が送信される例が示されている)。
この診断信号a(a1~a4)は、第1コネクタC1に接続された各ケーブル1(1A~1D)を経て、デバイスD2の第2コネクタC2内に設けられたケーブル診断手段51に送ることができる。
そして、第2コネクタC2内のケーブル診断手段51では、内部の診断受診手段54において各ケーブル1(1A~1D)を経た診断信号a(a1~a4)をそれぞれ監視することで当該ケーブル1(1A~1D)の状態を診断することができる。
すなわち、本発明に係る診断装置50では、通信ケーブルCがシステムに組み込まれて運用が開始された場合であっても、コネクタC1,C2に内蔵されたケーブル診断手段51により、個々のケーブル1(1A~1D)の状態を直接監視することができ、不具合の発生を未然に防止することが可能となる。
【0017】
《実施形態1》
本発明の第1実施形態に係る通信ケーブルCの診断装置50Aについて図2図4を参照して説明する。
この通信ケーブルCは、図2に示すように第1デバイスD1に連結可能な第1コネクタC1と、第2デバイスD2に連結可能な第2コネクタC2と、これら第1コネクタC1及び第2コネクタC2を接続する複数のケーブル1(1A~1E)とから構成される。
【0018】
これら第1コネクタC1及び第2コネクタC2内には、本発明に係る通信ケーブルCの診断装置50Aが設置されている。
診断装置50Aは、第1コネクタC1及び第2コネクタC2内にそれぞれ設置された2組のケーブル診断手段10により構成される。
【0019】
これら各ケーブル診断手段10は、各ケーブル1(1A~1E)に対して診断信号G(G1~G5)を出力する診断信号出力手段11と、各ケーブル1(1A~1E)を経た診断信号G(G1~G5)を受信する診断信号入力手段12とをそれぞれ備えている。
【0020】
診断信号出力手段11は、診断起動手段200、診断開始手段210及び診断送信手段220を具備するものであって、送信信号線 (TX:Transmitter)側となる各ケーブル1(1A~1E)に対して診断信号G(G1~G5)を出力する。
診断信号入力手段12は、診断受診手段300、診断結果判定手段310、良否表示手段320、診断結果記録手段330及びセレクタ400を具備し、受信信号線 (RX:Receiver)側となる各ケーブル1(1A~1E)から診断信号G(G1~G5)を取り込む。
なお、本例では、ケーブル1(1A~1E)の中で、ケーブル1(1A~1C)では右方向に診断信号G(G1~G3)が供給され、ケーブル1(1D,1E)では左方向に診断信号G(G4,G5)が供給される例が示されている。
【0021】
また、第1コネクタC1及び第2コネクタC2内のケーブル診断手段10のそれぞれには給電を受けるための受給電手段100が設けられている。
この受給電手段100は、デバイスD1,D2からの電力供給又は無線により給電され、ケーブル診断手段10の各構成要素を駆動する。
電力供給は、デバイスD1,D2に接続された状態で、PoE(Power over Ethernet)による電力供給を受けることができる。また、電力供給は、デバイスD1,D2に接続されている状態であっても、外部から無線給電として電力供給を受けることができる他、内蔵バッテリからも電力供給を受けることができる。
【0022】
まず、診断信号出力手段11の各構成要素について図2及び図3を参照して説明する。
診断起動手段200は、ケーブル診断手段10にてケーブル診断を開始するに際して起動信号を診断開始手段210に対して出力するためのものである。
なお、この診断起動手段200では、外部からの指示、又は予め定めた条件(一定時間毎、デバイスD1,D2停止時等の条件)に基づき起動信号を出力する。
【0023】
診断開始手段210は、送信信号線 (TX)と診断送信手段220とに接続されるものであって、診断起動手段200からの起動信号に基づき、診断送信手段220に対して診断信号G(G1~G5)を出力させる。
診断送信手段220は、診断開始手段210と送信信号線(TX)とに接続されるものであって、診断開始手段210からの診断開始信号に基づき、各ケーブル1(1A~1E)に向けて診断信号G(G1~G5)を出力する。
【0024】
次に、診断信号入力手段12を構成する各構成要素について、図2及び図3を参照して説明する。
診断受診手段300は、診断結果判定手段310、セレクタ400及びケーブル1側の受信信号線(RX)と接続されるものであって、各ケーブル1(1A~1E)を経た診断信号G(G1~G5)が最初に取り込まれる箇所となる。
【0025】
診断結果判定手段310は、診断受診手段300、良否表示手段320及び診断結果記録手段330と接続されており、各ケーブル1(1A~1E)を経た診断信号G(G1~G5)を、正常時の信号波形の比較することで各ケーブル1(1A~1E)の異常を判定する他、診断用パケットの受信状態によりパケットの欠落等による異常を判定する。
【0026】
良否表示手段320は、診断結果判定手段310及び診断結果記録手段330に接続されるものであって、診断結果判定手段310での判定結果を表示する。
なお、良否表示手段320の具体的構成としては、LED(Light Emitting Diode) 又は LCD(Liquid Crystal Display)などの表示装置をコネクタC1,C2や、ケーブル1の被覆上に設置する形態とすることもできる。また、この良否表示手段320では、RFID(Radio Frequency Identifier)での読み取りにより、診断結果を外部に表示する形態とすることもできる。
【0027】
診断結果記録手段330は、診断結果判定手段310及び良否表示手段320に接続されるものであって、診断結果判定手段310での判定結果を記録する。
また、この診断結果記録手段330は、nvRAM(Non-Volatile Random Access Memory)などの記録デバイスにより構成されており、診断結果判定手段310での判定結果とともに、時刻の履歴を記録する。
【0028】
セレクタ400は、ケーブル1側の受信信号線(RX)の途中に設けられるものであって、各ケーブル1(1A~1E)を経た信号を、ケーブル1側の受信信号線(RX)と、診断受診手段300のいずれかに送信するかを切り替える。
【0029】
次に、図4を参照して、図2及び図3に示すケーブル診断手段10の動作フローについてステップS毎に説明する。
なお、以下のステップS2~S4は、ケーブル1の一方側に位置する第1コネクタC1内のケーブル診断手段10の診断信号出力手段11で行う処理であり、また、ステップS5~S8はケーブル1の他方側に位置する第2コネクタC2内のケーブル診断手段10の診断信号入力手段12で行う処理であるが、逆であっても良い。
また、以下のステップSで示すケーブル診断は、符号1A~1Eで示す各ケーブル1毎に行うことができる。
【0030】
〔ステップS1〕
受給電手段100によりコネクタC1,C2内の各ケーブル診断手段10への給電を行う。この受給電手段100では、デバイスD1,D2からの電力供給又は無線給電により給電を行う。
【0031】
〔ステップS2〕
第1コネクタC1内に位置するケーブル診断手段10内の診断起動手段200にて、診断開始手段210に対してケーブル診断の起動信号を出力させる。
また、運用中に定期的に診断を行う場合には、診断起動手段200からタイマを用いて定期的に起動信号を出力させる。
また、この診断開始手段210では、通常の通信への影響を少なくするために通信データを観測して空き時間の予測を行うことで、統計情報を基にして起動信号を出力しても良い。
また、この診断開始手段210では、RFIDを利用した無線通信により、外部から診断開始指示を受け取り、診断起動を指示することもできる。
【0032】
〔ステップS3〕
次に、同じケーブル診断手段10内に設けられた診断開始手段210では、ケーブル1の送信信号線(TX)を監視し、信号線が使用されていない場合に信号線の診断開始信号を診断送信手段220に指示する。なお、このときの信号線の監視は通信のフロー制御を利用する。
【0033】
〔ステップS4〕
次に、同じケーブル診断手段10内の診断送信手段220では、フロー制御により送信を待機させるために、PAUSEフレームやコリジョンを用いたバックプレッシャ(Back Pressure)輻輳制御を利用した送信を行う。
そして、診断送信手段220では、ケーブル1が使用されていない状況下において診断信号Gを生成し、送信信号線(TX)に送出する(図3の例では、診断信号G(G1,G2)を生成及び送出)。
なお、この診断信号Gは、診断用のパケットを用いてもよいし、専用の診断用信号を用いることもできる。
【0034】
〔ステップS5〕
次に、第2コネクタC2内に位置するケーブル診断手段10内の診断受診手段300では、ケーブル1側の受信信号線(RX)を監視し、診断開始手段210により診断開始指示が発せられたとき、セレクタ400による信号線の切り替えにより、診断開始手段210から送信された診断信号Gを受信し、診断結果判定手段310へ送る。
さらに、診断受診手段300では、診断信号Gの受信後に、信号線を直進させるようにセレクタ400を元に戻す。
【0035】
〔ステップS6〕
次に、同じケーブル診断手段10内の診断結果判定手段310では、診断受診手段300が受信した診断信号Gから、ケーブルの良否を判定する。
診断結果判定手段310での良品の判定は、診断用パケットの受信状態によりパケットの欠落等により判断する。
また、同じケーブル診断手段10内の診断結果判定手段310では、専用の診断信号Gの場合に、信号波形の比較を正常時と比較し判定する形態とすることもできる。
【0036】
〔ステップS7〕
同じケーブル診断手段10内に位置するLED、LCD等の表示装置からなる良否表示手段320にて、診断結果判定手段310での判定結果を表示する。
【0037】
〔ステップS8〕
同じケーブル診断手段10内に位置するnvRAM等の記録デバイスからなる診断結果記録手段330にて、診断結果判定手段310での判定結果を記録した後、本フローチャートを終了する。
【0038】
そして、以上のように構成された本実施形態に係る通信ケーブルCの診断装置50Aでは、以下に示す効果が得られる。
第1の効果としては、通信ケーブルCを機器のデバイスD1,D2に実装するに際してケーブル診断をすることができる。
第2の効果としては、通信ケーブルCを多数実装している状態で容易に対象のケーブル1の不具合を特定することができる。
【0039】
第3の効果としては、受給電手段100にバッテリ電源を使用することで、機器のデバイスD1,D2が電源OFFの状態又はシステム非運用中であっても、容易に対象のケーブル1の不具合を特定することができる。
第4の効果としては、システム運用中であっても通信信号の流れていない時間を利用すれば、継続的に通信ケーブルCの診断ができる。
【0040】
第5の効果としては、診断装置50Aを使うことで、保守員等がその場で通信ケーブルCの良否を確認できる。従って通信経路で異常が発生した場合には、異常の原因の切り分け作業が短縮できる。
第6の効果としては、通信ケーブルCを交換した後でも、良否表示手段320及び診断結果記録手段330にて、診断結果記録を参照することで、過去の履歴を容易に確認することができる。
すなわち、本実施形態の診断装置50Aでは、通信ケーブルCの自己診断機能をコネクタC1,C2に持ち、診断信号G(G1~G5)を供給することで通信ケーブルCの診断を行い、かつ診断結果を表示することができる。また、この診断装置50Aでは、装置の運用中であっても、通常の通信に影響を与えることなく、前述の診断を実施することもできる。
【0041】
《実施形態2》
本発明の第2実施形態に係る通信ケーブルCの診断装置50Bについて図5及び図6を参照して説明する。
第2実施形態に係る通信ケーブルCの診断装置50Bが、第1実施形態に係る通信ケーブルCの診断装置50Aと構成を異にするのは、ケーブル診断手段10内の診断信号出力手段11と診断信号入力手段12との間に、受信信号線(RX)に流れる診断信号G(G1~G5)を、送信信号線(TX)側に折り返すセレクタ400,401を設けた点にある。
【0042】
セレクタ400は診断信号入力手段12内に設けられ、かつセレクタ401は診断信号出力手段11内に設けられるものであって、受信信号線(RX)を送信信号線(TX)側に折り返すことができるように診断信号G(G1~G5)の流れを切り替える。
そして、このような通信ケーブルCの診断装置50Bでは、診断信号出力手段11及び診断信号入力手段12内のセレクタ400,401により閉回路を形成することができる。
これにより上記通信ケーブルCの診断装置50Bでは、機器のデバイスD1,D2が電源OFFの状態又はシステム非運用中であっても、通信ケーブルC内で対象のケーブル1の不具合を特定することができ、運用範囲の拡大を図ることができる。
【0043】
なお、このようなセレクタ400,401の切り替え動作は、図6に示す動作フローのステップS10にて行う。
図6に示すステップS10は、図4に示すステップS3に代えて実施されるものであって、診断開始手段210にて、診断送信手段220に対して診断信号Gをケーブル1に出力する指示を出させるとともに(ステップS4での処理)、セレクタ400,401を切り替えて診断信号Gを折り返すようにする。
これにより、本実施形態の診断装置50Bでは、診断信号出力手段11及び診断信号入力手段12内のセレクタ400,401により閉回路を形成することができ、前述のように機器のデバイスD1,D2が電源OFFの状態又はシステム非運用中であっても、通信ケーブルC内で対象のケーブル1の不具合を特定することができる。
【0044】
《実施形態3》
本発明の第3実施形態に係る通信ケーブルCの診断装置50Cについて図7及び図8を参照して説明する。
第3実施形態に係る通信ケーブルCの診断装置50Cが、第1実施形態に係る通信ケーブルCの診断装置50Aと構成を異にするのは、セレクタ400を省略する一方、診断追加手段240及び診断除去手段350を追加した点にある。
【0045】
診断追加手段240は診断信号出力手段11内に設けられ、診断除去手段350は診断信号入力手段12に設けられている。
具体的には、診断追加手段240は、診断開始手段210と診断送信手段220と送信信号線(TX)とに接続されるものであって、送信開始手段210によって診断の開始が指示されると、前記送信信号線(TX)に流れているパケットに対して診断パケットを追加する。
診断除去手段350は、診断受診手段300と受信信号線(RX)に接続されるものであって、論理的に通信信号と診断信号Gとを分離する。
【0046】
そして、これら診断追加手段240及び診断除去手段350での処理は、図8に示す動作フローのステップS20,S21にて行う。
すなわち、図8に示す動作フローのステップS20では、診断追加手段240にて送信信号線(TX)に流れる通信信号に診断信号Gを追加する。
また、ステップS21では、受信信号線(RX)で流れる通信信号から診断信号Gを分離する。
これにより本実施形態の診断装置50Cでは、診断追加手段240と診断除去手段350を追加することで、論理的に通信信号と診断信号Gとを分離し、運用中に通信を止めることなくケーブル1の診断を行なうことが可能となる。
【0047】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明は、データーセンターなどで装置間を多数のケーブルで接続されている環境に適用すると、保守を行う際に効率的にケーブルに対する診断、識別の実施に利用することができる。
また、本発明は、ケーブルにより接続される装置間が離れている環境に適用した場合に、ケーブル長が長い場合にも、設置された状態のままで行われる保守作業に利用することができる。
【符号の説明】
【0049】
1(1A~1E) ケーブル
10 ケーブル診断手段
11 診断信号出力手段
12 診断信号入力手段
50 診断装置
50A 診断装置
50B 診断装置
50C 診断装置
51 ケーブル診断手段
52 診断信号出力手段
53 診断信号入力手段
54 診断受診手段
200 診断起動手段
210 診断開始手段
220 診断送信手段
240 診断追加手段
300 診断受診手段
310 診断結果判定手段
320 良否表示手段
330 診断結果記録手段
350 診断除去手段
400 セレクタ
401 セレクタ
C 通信ケーブル
C1 第1コネクタ
C2 第2コネクタ
D1 第1デバイス
D2 第2デバイス
G(G1~G5) 診断信号
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8