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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022131124
(43)【公開日】2022-09-07
(54)【発明の名称】媒体排出装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 31/36 20060101AFI20220831BHJP
   B65H 33/08 20060101ALI20220831BHJP
【FI】
B65H31/36
B65H33/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021029901
(22)【出願日】2021-02-26
(71)【出願人】
【識別番号】000250502
【氏名又は名称】理想科学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(72)【発明者】
【氏名】木村 賢人
【テーマコード(参考)】
3F054
3F107
【Fターム(参考)】
3F054AA01
3F054AB01
3F054AC01
3F054BA02
3F054BB05
3F054BH05
3F054BH07
3F054DA04
3F107AA01
3F107AB01
3F107AC01
3F107BA02
3F107CB03
3F107CB15
3F107CD01
(57)【要約】
【課題】オフセット排紙における排紙揃えのためのジョガー動作の際に、用紙を規制する規制部と用紙束の上面とが接触するのを抑制する。
【解決手段】排出された媒体Mが、排出方向Aにおける先端側のエンドフェンス34と終端側のオフセットガイド板35との間に積載される積載台31と、エンドフェンス34及びオフセットガイド板35を排出方向Aにおける下流側にオフセットした第1ポジションP11と上流側にオフセットした第2ポジションP12との間で平行移動させる移動制御部38aと、第1ポジションP11において、エンドフェンス34のジョガー動作で媒体Mを下流側のオフセット位置に揃えさせる第1ジョガー制御部38aと、第2ポジションP12において、オフセットガイド板35のジョガー動作で媒体Mを上流側のオフセット位置に揃えさせる第2ジョガー制御部38aとを備える。
【選択図】図6B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
排出された媒体が、前記媒体の排出方向における先端側のエンドフェンスと終端側のオフセットガイド板との間に積載される積載台と、
前記エンドフェンス及び前記オフセットガイド板を、前記排出方向における下流側にオフセットした第1ポジションと上流側にオフセットした第2ポジションとの間で、前記排出方向に平行移動させる移動制御部と、
前記第1ポジションにおいて、固定した前記オフセットガイド板により前記媒体の前記排出方向における終端を位置決めし、前記排出方向に往復移動させた前記エンドフェンスにより前記媒体の前記排出方向における先端の位置を揃えて、前記媒体を下流側のオフセット位置に揃えさせる第1ジョガー制御部と、
前記第2ポジションにおいて、固定した前記エンドフェンスにより前記媒体の前記先端を位置決めし、前記排出方向に往復移動させた前記オフセットガイド板により前記媒体の前記終端の位置を揃えて、前記媒体を上流側のオフセット位置に揃えさせる第2ジョガー制御部と、
を備える媒体排出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、媒体排出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、用紙等の媒体が積載される媒体排出装置において、積載台に向けて排出される媒体(積載位置)を規制する規制位置と、この規制位置から退避した退避位置との間を移動するエンドフェンス等の規制部を備える媒体排出装置が知られている。このような媒体排出装置では、規制部は、媒体が積載台に向けて排出される際に、退避位置から規制位置へ移動し、この規制位置から退避位置へ移動する規制動作(ジョガー動作)を行う。
【0003】
また、シート載置台上に排出されたシートをオフセット位置に向けて押し込む一対のジョガーと、このジョガーにより押し込まれるシートをオフセット位置に規制する一対のシートフェンスとを有するシート処理装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011-256047号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
図7は、参考技術におけるエンドフェンス134及びオフセットガイド板135を示す正面図である。図8は、参考技術におけるエンドフェンス134の規制動作を説明するための正面図である。エンドフェンス134は、特許文献1のシートフェンスとジョガーとを兼ねている。
【0006】
図7に示すエンドフェンス134は、積載台131に向けて排出される媒体Mの排出方向Aにおける先端の位置を規制する。エンドフェンス134は、フェンス本体134aと、このフェンス本体134aから下方に突出する突き当て部材134bとを有する。
【0007】
オフセットガイド板135は、媒体Mを挟んでエンドフェンス134に対向するように配置されている。
【0008】
エンドフェンス134及びオフセットガイド板135は、媒体Mの排出方向Aの前後(図7における左右方向)に移動可能に配置され、積載台131における媒体Mの積載位置を媒体Mの排出方向Aの前後にオフセットするオフセット動作を行う。
【0009】
また、図8に示すように、エンドフェンス134は、積載台131に向けて排出される媒体Mの排出方向Aにおける先端の位置を規制する実線で示す規制位置と、この規制位置から退避した破線で示す退避位置(エンドフェンス134-1)との間で移動可能に配置され、媒体Mが積載台131に向けて排出される際に、退避位置から規制位置へ移動し、この規制位置から退避位置へ移動する上述の規制動作を行う。
【0010】
エンドフェンス134及びオフセットガイド板135が上述のようにオフセット動作を行うことで排出方向Aにおける後方(図8における左側)に媒体Mが積載されているときには、エンドフェンス134の下方に、積載された媒体Mが位置する。エンドフェンス134(突き当て部材134b)が退避位置と規制位置との間を移動する際に、下方に位置する媒体Mの上面Maに接触していると、媒体Mの位置がずれる可能性がある。また、媒体Mの上面Maに印刷が印刷される場合、媒体Mの上面Maとエンドフェンス134とが擦れて印刷された画像に画像不良が発生したりする。
【0011】
排出方向Aにおける後方(図8における左側)に積載された媒体Mの上方でエンドフェンス134を規制動作させる場合は、規制位置以外の位置において、移動中のエンドフェンス134の下端を上方に移動させておくことも考えられる。しかし、退避位置と規制位置との移動距離が短い場合は、短い移動時間中にエンドフェンス134の下端を上下に移動させることが難しくなる可能性がある。また、規制動作においてエンドフェンス134が規制位置に移動する度に、エンドフェンス134の下端が下方の媒体Mの上面Maに繰り返し当て付けられるが、そのことが、下方の媒体Mの上面Maに凹み等のダメージを与えることにならないように配慮する必要がある。
【0012】
なお、特許文献1のように一対のジョガーと一対のシートフェンスとを有するシート処理装置においても、同様に、ジョガーが規制位置と退避位置との問を移動する際にジョガーと媒体の上面とが接触していると、媒体の位置がずれる可能性がある。また、媒体の上面に画像が印刷される場合は、ジョガーと媒体の上面との接触で画像不良が発生したりする。
【0013】
本発明の目的は、オフセット排紙における排紙揃えのためのジョガー動作の際に、用紙を規制する規制部と用紙束の上面とが接触するのを抑制することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的を達成するために、本発明の一つの態様による媒体排出装置は、
排出された媒体が、前記媒体の排出方向における先端側のエンドフェンスと終端側のオフセットガイド板との間に積載される積載台と、
前記エンドフェンス及び前記オフセットガイド板を、前記排出方向における下流側にオフセットした第1ポジションと上流側にオフセットした第2ポジションとの間で、前記排出方向に平行移動させる移動制御部と、
前記第1ポジションにおいて、固定した前記オフセットガイド板により前記媒体の前記排出方向における終端を位置決めし、前記排出方向に往復移動させた前記エンドフェンスにより前記媒体の前記排出方向における先端の位置を揃えて、前記媒体を下流側のオフセット位置に揃えさせる第1ジョガー制御部と、
前記第2ポジションにおいて、固定した前記エンドフェンスにより前記媒体の前記先端を位置決めし、前記排出方向に往復移動させた前記オフセットガイド板により前記媒体の前記終端の位置を揃えて、前記媒体を上流側のオフセット位置に揃えさせる第2ジョガー制御部と、
を備えるものとした。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、オフセット排紙における排紙揃えのためのジョガー動作の際に、用紙を規制する規制部と用紙束の上面とが接触するのを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は、本発明の一実施形態に係る媒体排出装置を備える印刷システムの説明図である。
図2図2は、図1の媒体排出装置の制御構成を示すブロック図である。
図3図3は、図1のサイドフェンス及びエンドフェンスの規制動作を説明するための平面図である。
図4A図4Aは、図1の積載台に排出される媒体を排出方向における下流側のオフセット位置に揃える天側排紙時のエンドフェンス及びオフセットガイド板の状態を示す説明図である。
図4B図4Bは、図1の積載台に排出される媒体を排出方向における下流側のオフセット位置に揃える天側排紙時のエンドフェンス及びオフセットガイド板の状態を示す説明図である。
図5A図5Aは、積載台に排出される媒体を排出方向における上流側のオフセット位置に揃える地側排紙時の参考例におけるエンドフェンス及びオフセットガイド板の状態を示す説明図である。
図5B図5Bは、積載台に排出される媒体を排出方向における上流側のオフセット位置に揃える地側排紙時の参考例におけるエンドフェンス及びオフセットガイド板の状態を示す説明図である。
図6A図6Aは、図1の積載台に排出される媒体を排出方向における上流側のオフセット位置に揃える地側排紙時のエンドフェンス及びオフセットガイド板の状態を示す説明図である。
図6B図6Bは、図1の積載台に排出される媒体を排出方向における上流側のオフセット位置に揃える地側排紙時のエンドフェンス及びオフセットガイド板の状態を示す説明図である。
図6C図6Cは、図1の積載台に排出される媒体を排出方向における上流側のオフセット位置に揃える地側排紙時のエンドフェンス及びオフセットガイド板の状態を示す説明図である。
図6D図6Dは、図1の積載台に排出される媒体を排出方向における上流側のオフセット位置に揃える地側排紙時のエンドフェンス及びオフセットガイド板の状態を示す説明図である。
図6E図6Eは、図1の積載台に排出される媒体を排出方向における上流側のオフセット位置に揃える地側排紙時のエンドフェンス及びオフセットガイド板の状態を示す説明図である。
図7】参考技術の媒体排出装置におけるエンドフェンス及びオフセットガイド板を示す正面図である。
図8図7のエンドフェンスの規制動作を説明するための正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。各図面を通じて同一もしくは同等の部位や構成要素には、同一もしくは同等の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、現実のものとは異なることに留意すべきである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることはもちろんである。
【0018】
また、以下に示す実施形態は、この発明の技術的思想を具体化するための装置等を例示するものであって、この発明の技術的思想は、各構成部品の配置等を下記のものに特定するものでない。この発明の技術的思想は、特許請求の範囲において、種々の変更を加えることができる。
【0019】
図1に示すように、本実施形態の印刷システム1は、印刷装置10と、中間搬送装置20と、媒体排出装置30とを備える。印刷装置10は、媒体供給部11に積載された媒体Mに画像を印刷し、中間搬送装置20に排出する。一例ではあるが、媒体Mは、枚葉紙(用紙)などのシート状の媒体である。印刷装置10は、例えば、図示しないラインヘッド型インクジェットヘッドを用いて、媒体Mに画像を印刷することができる。印刷装置10の印刷方式は、インクジェット印刷方式以外の印刷方式であってもよい。中間搬送装置20は、印刷装置10から排出された印刷済みの媒体Mを搬送し、媒体排出装置30に排出する。
【0020】
媒体排出装置30は、積載台31と、サイドフェンス32,33と、エンドフェンス34と、オフセットガイド板35とを備える。図2に示すように、媒体排出装置30は、規制駆動部36と、積載台駆動部37と、制御部38a(移動制御部、第1ジョガー制御部、第2ジョガー制御部)と、記憶部38bと、インターフェース部38cとをさらに備える。
【0021】
図1に示すように、媒体排出装置30は、印刷装置10とは別体に配置されているが、印刷装置10と一体に配置されていてもよい。媒体排出装置30が印刷装置10と別体に配置される場合、中間搬送装置20を省略して、印刷装置10で印刷された媒体Mが媒体排出装置30に直接排出されるように配置してもよい。媒体排出装置30は、印刷装置10以外の装置と接続して用いることもできる。媒体排出装置30には、例えば、媒体Mに印刷以外の処理を行う処理装置や、媒体Mを搬送する搬送装置から排出される媒体Mが積載されてもよい。
【0022】
本実施形態の印刷システム1では、積載台31には、中間搬送装置20から排出される媒体M、すなわち、印刷装置10から排出され、中間搬送装置20によって搬送された媒体Mが積載される。積載台31は、後述する積載台駆動部37の駆動によって昇降可能に配置されている。積載台31は、媒体Mが積載されるベルトコンベアやローラコンベアなど、すなわち、搬送手段を有する積載台であってもよい。積載台31は、昇降可能に配置されているが、昇降不能に配置されていてもよい。
【0023】
図3に示すように、サイドフェンス32,33は、積載台31に向けて排出される媒体Mの排出方向Aに直交する媒体Mの幅方向に互いに対向するように配置されている。
【0024】
サイドフェンス32,33は、仮想線で示す規制位置P2と、この規制位置P2から退避した実線の退避位置P1との間を、媒体Mの幅方向に移動することができる。サイドフェンス32,33は、退避位置P1から規制位置P2へ移動し、例えば規制位置P2で静止せずに、規制位置P2から退避位置P1へ移動する規制動作(ジョガー動作)を行う。規制位置P2において、サイドフェンス32,33は、積載台31に向けて排出される媒体Mの幅方向における端部に接触することで、媒体Mの幅方向の位置を揃える。
【0025】
エンドフェンス34は、積載台31に向けて排出される媒体Mの位置を、積載台31に対する媒体Mの排出方向Aに規制する規制部の一例である。エンドフェンス34は、積載台31に積載される媒体Mよりも排出方向Aの下流側(図3における右側)に配置されている。エンドフェンス34は、積載台31に向けて排出される媒体Mの排出方向Aにおける先端に接触し、媒体Mの排出方向Aへの過剰な移動を規制して、排出された媒体Mを積載台31上に誘導する。
【0026】
図4Aに示すように、エンドフェンス34は、フェンス本体34aと、このフェンス本体34aから下方に突出し、媒体Mが突き当てられる上下動可能な突き当て部材34bとを有する。
【0027】
突き当て部材34bは、例えば、図2の規制駆動部36の駆動によって上昇可能に配置されるとともに自重で下降可能に配置されている。一例ではあるが、エンドフェンス34の下方に媒体Mが位置するとき、突き当て部材34bは、媒体Mの積載位置がオフセットされた後、積載台31が複数回下降するまでは突き当て部材34bが自重で下降し続けながら媒体Mの上面Maに接触する。その後も積載台31が下降すると、突き当て部材34bは、自重で最も下方まで下降した後、図4Aに示すように、媒体Mの上面Maに接触しなくなる。
【0028】
オフセットガイド板35は、積載台31に積載される媒体Mよりも、排出方向Aの上流側(図4Aにおける左側)に配置されている。エンドフェンス34及びオフセットガイド板35は、排出方向Aにおける媒体Mの寸法よりも大きい間隔をおいて、排出方向Aに対向するように配置される。
【0029】
エンドフェンス34及びオフセットガイド板35は、図2に示す制御部38aの制御による規制駆動部36の動作で、例えば印刷ジョブごとに、あるいは、媒体Mの排出枚数が一定数に達する毎に、オフセット動作を行う。オフセット動作では、エンドフェンス34及びオフセットガイド板35が、排出方向Aにおける間隔を保ったまま、セットで排出方向Aの前後(図4Aにおける左右方向)に平行移動する。エンドフェンス34及びオフセットガイド板35のオフセット動作によって、積載台31における媒体Mの積載位置を排出方向Aの前後に交互にオフセットさせることができる。
【0030】
規制駆動部36は、図4Aに示す、排出方向Aにおける下流側の第1ポジションP11(図4A図4Bにおける右側)と、図4Bに示す、排出方向Aにおける上流側の第2ポジションP12(図4A図4Bにおける左側)との間で、エンドフェンス34とオフセットガイド板35とを平行移動させる。
【0031】
第1ポジションP11のエンドフェンス34は、図2に示す制御部38aの制御による規制駆動部36の動作で、図3の仮想線で示す規制位置P2と、この規制位置P2から退避した実線の退避位置P1との間を、媒体Mの排出方向Aに往復移動することができる。第1ポジションP11では、オフセットガイド板35が図4Aに示す位置で排出方向Aにおいて固定され、排出方向Aにおける媒体Mの終端を位置決めする。また、第1ポジションP11では、エンドフェンス34がジョガー動作して、退避位置P1と規制位置P2との間を往復移動する。ジョガー動作したエンドフェンス34は、積載台31に排出された媒体Mを、図4Aに示す、排出方向Aにおける下流側のオフセット位置に揃える(天側排紙)。
【0032】
ジョガー動作の際に、エンドフェンス34は、退避位置P1から規制位置P2へ移動し、例えば規制位置P2で静止せずに、規制位置P2から退避位置P1へ移動する。第1ポジションP11のエンドフェンス34は、規制位置P2において、積載台31に向けて排出される媒体Mの排出方向Aにおける先端に接触することで、媒体Mの先端の位置を下流側のオフセット位置において揃える。
【0033】
第1ポジションP11のエンドフェンス34をジョガー動作させると、図4Aに示すように、排出方向Aにおける上流側のオフセット位置に揃えた媒体Mの束の上で、積載台31に排出された媒体Mが下流側のオフセット位置に揃えられる。この場合、突き当て部材34bの下方には、上流側のオフセット位置に揃えた媒体Mの束が存在しない。よって、第1ポジションP11のエンドフェンス34がジョガー動作しても、エンドフェンス34の突き当て部材34bは、上流側のオフセット位置に揃えた下方の媒体Mの束の上面Maに接触しない。
【0034】
仮に、図4Bに示す第2ポジションP12においても、オフセットガイド板35を排出方向Aにおいて固定し、エンドフェンス34をジョガー動作させると、排出方向Aにおける下流側のオフセット位置に揃えた媒体Mの束の上で、積載台31に排出された媒体Mを上流側のオフセット位置に揃えることになる。この場合は突き当て部材34bの下方に、図5Aに示す参考例のように、下流側のオフセット位置に揃えた媒体Mの束が存在する。
【0035】
よって、第2ポジションP12のエンドフェンス34がジョガー動作すると、図5Bの参考例のように、エンドフェンス34の突き当て部材34bが、下流側のオフセット位置に揃えた媒体Mの束の上面Maに接触する。上面Maに接触した突き当て部材34bは、エンドフェンス34のジョガー動作中に上面Ma上を摺動し、揃えた媒体Mを位置ずれさせたり、媒体Mに印刷された画像を擦れにより劣化させる可能性がある。
【0036】
そこで、本実施形態では、第2ポジションP12において、オフセットガイド板35を媒体Mの排出方向Aに移動できるようにする。そして、第2ポジションP12では、エンドフェンス34を排出方向Aにおいて固定し、排出方向Aにおける媒体Mの先端を位置決めさせる。また、第2ポジションP12では、オフセットガイド板35にジョガー動作させて、積載台31に排出された媒体Mを、図4Bに示す、排出方向Aにおける上流側のオフセット位置に揃えさせる(地側排紙)。
【0037】
具体的には、第2ポジションP12のオフセットガイド板35は、図2に示す制御部38aの制御による規制駆動部36の動作で、図6Aに示す退避位置P21と、退避位置P21から排出方向Aの下流側(図6Aにおける右側)に進出した規制位置P22との間を、媒体Mの排出方向Aに往復移動することができる。
【0038】
ジョガー動作の際に、オフセットガイド板35は、排出方向Aにおける下流側のオフセット位置に揃えた媒体Mの束の上面Maよりも上方で、退避位置P21から規制位置P22へ移動し、例えば規制位置P22で静止せずに、規制位置P22から退避位置P21へ移動する。図6Bに示すように、第2ポジションP12のオフセットガイド板35は、規制位置P2において、積載台31に向けて排出される媒体Mの排出方向Aにおける終端に接触することで、媒体Mの終端の位置を下流側のオフセット位置において揃える。
【0039】
媒体Mの終端を下流側のオフセット位置に揃えた第2ポジションP12のオフセットガイド板35は、次に積載台31に排出される媒体Mの排出方向Aにおける先端がエンドフェンス34に接触するまでに、図2の制御部38aの制御により、規制位置P22から図6Cに示す退避位置P21に戻る。オフセットガイド板35が退避位置P21に戻ると、排出方向Aにおける媒体Mの寸法以上の間隔がエンドフェンス34との間にでき、オフセットガイド板35が積載台31に次に排出される媒体Mの後端と干渉しなくなる。
【0040】
この後、図6Dに示すように、第2ポジションP12のオフセットガイド板35は、図2の制御部38aの制御により、退避位置P21から規制位置P22へ移動し、積載台31に積載された次の媒体Mの終端の位置を下流側のオフセット位置において揃える。媒体Mの終端を下流側のオフセット位置に揃えた第2ポジションP12のオフセットガイド板35は、図2の制御部38aの制御により、規制位置P22から図6Eに示す退避位置P21に戻る。
【0041】
以後、例えば印刷ジョブの終了まで、あるいは、媒体Mの排出枚数が一定数に達するまで、図2の制御部38aの制御により、図6A図6Eのジョガー動作をオフセットガイド板35が繰り返す。ジョガー動作するオフセットガイド板35の下方には、下流側のオフセット位置に揃えた媒体Mの束が存在しない。よって、第2ポジションP12のオフセットガイド板35がジョガー動作しても、オフセットガイド板35は、下流側のオフセット位置に揃えた下方の媒体Mの束の上面Maに接触しない。
【0042】
第2ポジションP12のオフセットガイド板35がジョガー動作を行う間、積載台31は、積載された媒体Mが増えるにつれて下降する。積載台31が下降する際、オフセットガイド板35は、規制位置P22において媒体Mを下流側のオフセット位置に揃える一瞬を覗いて、媒体Mの排出方向Aにおける終端から離間している。このため、積載台31が下降する際に、媒体Mの排出方向Aにおける終端が、オフセットガイド板35又はその周辺の壁等の構造物に接触するのを避け、媒体Mにダメージが加わるのを回避することができる。
【0043】
本実施形態によれば、媒体排出装置30において、媒体Mを排出方向Aにおける下流側にオフセットさせて積載台31に排出(天側排紙)する際に、ジョガー動作して媒体Mを揃えるエンドフェンス34の下方に、上流側のオフセット位置に揃えた媒体Mの束が存在しない。このため、エンドフェンス34(の突き当て部材34b)が下方の媒体Mの上面Maに接触して、媒体Mにダメージを与えたり、上面Maに印刷された画像を劣化させるのを避けることができる。
【0044】
また、媒体Mを排出方向Aにおける上流側にオフセットさせて積載台31に排出(天側排紙)する際にも、ジョガー動作して媒体Mを揃えるオフセットガイド板35の下方には、上流側のオフセット位置に揃えた媒体Mの束が存在しない。このため、オフセットガイド板35が下方の媒体Mの上面Maに接触して、媒体Mにダメージを与えたり、上面Maに印刷された画像を劣化させるのを避けることができる。
【0045】
さらに、エンドフェンス34のジョガー動作の際に、エンドフェンス34の突き当て部材34bをフェンス本体34aから下方に出没させて、下方の媒体Mの上面Maへの接触を避ける必要がないので、短時間に突き当て部材34bを出没させる制御を実現させたり、下方の媒体Mの上面Maに凹み等のダメージが加わらないようにする配慮を、必要ないようにすることができる。
【0046】
なお、積載台31の媒体Mを排出方向Aに揃えて積載台31上に最初の媒体Mの束を作る際には、エンドフェンス34とオフセットガイド板35とを、サイドフェンス32,33と同様に、互いに接近離間するように同時にジョガー動作させてもよい。
【0047】
このように、本発明は上記の実施形態のままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記の実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。
【0048】
[付記]
以上に説明した実施形態によって、以下に示す態様の発明が開示される。
【0049】
即ち、一つの態様の発明として、
排出された媒体が、前記媒体の排出方向における先端側のエンドフェンスと終端側のオフセットガイド板との間に積載される積載台と、
前記エンドフェンス及び前記オフセットガイド板を、前記排出方向における下流側にオフセットした第1ポジションと上流側にオフセットした第2ポジションとの間で、前記排出方向に平行移動させる移動制御部と、
前記第1ポジションにおいて、固定した前記オフセットガイド板により前記媒体の前記排出方向における終端を位置決めし、前記排出方向に往復移動させた前記エンドフェンスにより前記媒体の前記排出方向における先端の位置を揃えて、前記媒体を下流側のオフセット位置に揃えさせる第1ジョガー制御部と、
前記第2ポジションにおいて、固定した前記エンドフェンスにより前記媒体の前記先端を位置決めし、前記排出方向に往復移動させた前記オフセットガイド板により前記媒体の前記終端の位置を揃えて、前記媒体を上流側のオフセット位置に揃えさせる第2ジョガー制御部と、
を備える媒体排出装置が開示される。
【0050】
そして、上記態様による発明によれば、オフセット排紙における排紙揃えのためのジョガー動作の際に、用紙を規制する規制部と用紙束の上面とが接触するのを抑制することができる。
【符号の説明】
【0051】
1 印刷システム
10 印刷装置
11 媒体供給部
20 中間搬送装置
30 媒体排出装置
31 積載台
32,33 サイドフェンス
34 エンドフェンス
34a フェンス本体
34b 突き当て部材
35 オフセットガイド板
36 規制駆動部
37 積載台駆動部
38a 制御部(移動制御部、第1ジョガー制御部、第2ジョガー制御部)
38b 記憶部
38c インターフェース部
131 積載台
134 エンドフェンス
134-1 エンドフェンス
134a フェンス本体
134b 突き当て部材
135 オフセットガイド板
A 排出方向
M 媒体
Ma 上面
P1 退避位置
P2 規制位置
P11 第1ポジション
P12 第2ポジション
P21 退避位置
P22 規制位置
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5A
図5B
図6A
図6B
図6C
図6D
図6E
図7
図8