(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022131175
(43)【公開日】2022-09-07
(54)【発明の名称】繊維質材料を備える物品
(51)【国際特許分類】
A47G 21/18 20060101AFI20220831BHJP
A47G 21/02 20060101ALI20220831BHJP
A47G 21/04 20060101ALI20220831BHJP
A47G 19/00 20060101ALI20220831BHJP
B27N 3/04 20060101ALI20220831BHJP
【FI】
A47G21/18 ZAB
A47G21/02 Z
A47G21/04 Z
A47G19/00 A
A47G19/00 G
B27N3/04 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021029984
(22)【出願日】2021-02-26
(71)【出願人】
【識別番号】506209422
【氏名又は名称】地方独立行政法人東京都立産業技術研究センター
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100128381
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 義憲
(74)【代理人】
【識別番号】100124062
【弁理士】
【氏名又は名称】三上 敬史
(72)【発明者】
【氏名】酒井 日出子
【テーマコード(参考)】
2B260
3B001
3B115
【Fターム(参考)】
2B260AA03
2B260BA01
2B260BA04
2B260BA07
2B260BA19
2B260BA30
2B260EB01
3B001AA11
3B001CC36
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3B115AA00
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3B115DB11
3B115DB13
3B115DB19
3B115EA00
(57)【要約】
【課題】繊維質材料を含みつつ、物品の廃棄時の環境への負荷を低減することが可能な物品を提供する。
【解決手段】物品100は、繊維質基材10と、繊維質基材10に含浸した天然糊20と、を備える主層30を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
繊維質基材と、前記繊維質基材に含浸した天然糊と、を備える、物品。
【請求項2】
前記繊維質基材は、不織布、織布、編物、組物、及び、紙からなる群から選択される1つである、請求項1に記載の物品。
【請求項3】
前記繊維質基材は、動物性繊維、及び/又は植物性繊維を含む、請求項1又は2に記載の物品。
【請求項4】
前記繊維質基材は、絹、木綿、麻繊維、パルプ、竹材、木材、及び、紙材からなる群から選択される少なくとも1つを含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の物品。
【請求項5】
前記天然糊は、天然樹脂、タンパク質、多糖類、天然蝋からなる群から選択される少なくとも1つである請求項1~4のいずれか一項に記載の物品。
【請求項6】
天然糊を含浸した前記繊維質基材の表面上に、さらに、防水層を備える、請求項1~4のいずれか一項に記載の物品。
【請求項7】
前記防水層は、天然樹脂、及び、天然蝋からなる群から選択される少なくとも1つを含む、請求項6に一項に記載の物品。
【請求項8】
食器、家具、及び、文房具からなる群から選択される1つである、請求項1~7のいずれか一項に記載の物品。
【請求項9】
ストロー、スプーン、フォーク、ナイフ、箸、マドラー、皿からなる群から選択される、請求項1~7のいずれか一項に記載の物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、繊維質材料を備える物品に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、木質繊維、木粉、食物繊維等の繊維質材料と、合成樹脂との混合物からなる種々の物品が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-158751号公報
【特許文献2】特開2017-124506号公報
【特許文献3】特開2020-163134号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の物品では、合成樹脂中に繊維質材料を分散させて形状を維持していた。
【0005】
しかしながら、合成樹脂を多量に含む物品は廃棄時の環境への負荷が大きくなってしまう。
【0006】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、繊維質材料を含みつつ、物品の廃棄時の環境への負荷を低減することが可能な物品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一側面にかかる物品は、繊維質基材と、前記繊維質基材に含浸した天然糊と、を備える。
【0008】
前記繊維質基材は、不織布、織布、編物、組物、及び、紙からなる群から選択される1つであることができる。
【0009】
前記繊維質基材は、動物性繊維、及び/又は植物性繊維を含むことができる。
【0010】
前記繊維質基材は、絹、木綿、麻繊維、パルプ、竹材、木材、及び、紙材からなる群から選択される少なくとも1つを含むことができる。
【0011】
前記天然糊は、天然樹脂、タンパク質、多糖類、天然蝋からなる群から選択される少なくとも1つであることができる。
【0012】
天然糊を含浸した前記繊維質基材の表面上に、さらに、防水層を備えることができる。
【0013】
前記防水層は、天然樹脂、及び、天然蝋からなる群から選択される少なくとも1つを含むことができる。
【0014】
上記物品は、食器、家具、及び、文房具からなる群から選択される1つであることができる。
【0015】
上記物品は、ストロー、スプーン、フォーク、ナイフ、箸、マドラー、皿からなる群から選択されることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、繊維質材料を含みつつ、物品の廃棄時の環境への負荷を低減することが可能な物品が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態に係る物品の拡大断面図である。
【
図2】
図2は、本発明の一実施形態に係るストローの斜視図である。
【
図3】
図3は、本発明の他の実施形態に係るストローの斜視図である。
【
図4】
図4は、本発明の他の実施形態に係るストローの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図面を参照して本発明の好適な実施形態の一例について説明する。
【0019】
図1に示すように、本発明の実施形態に係る物品100は、繊維質基材10と、繊維質基材10に含浸した天然糊20と、を有する主層30を備える。
【0020】
繊維質基材10とは、多数の繊維12により形成され、天然糊を含浸しなくても、シート状、棒状、筒状等のひとまとまりの形態を維持できるものである。木粉、食物繊維の粉などは、繊維質基材には含まれない。
【0021】
繊維質基材10の繊維12は、天然繊維でも、人造繊維(化学繊維)でもよい。
【0022】
天然繊維の例は、獣毛(羊毛、カシミア等)、絹等の動物性繊維;木綿、麻繊維(ヘンプ、ラミー、リネン等)、木材パルプ(N材、L材など)、非木材パルプ(ワラ、パガス、ヨシ、ケナフ、クワ、コウゾ、ミツマタ、ガンピ等)、竹材(竹ひご等)、木材(木材リボン等)、紙材(紙リボン等)などの植物性繊維;及び、鉱物繊維である。
【0023】
人造繊維の例は、金属繊維、ガラス繊維、炭素繊維、岩石繊維などの無機質繊維、及び、合成繊維(ナイロン、ポリエステル、アクリル、ビニロン等)、半合成繊維(アセテート、トリアセテート、プロミックス等)、再生繊維(レーヨン、キュプラ等)などの有機繊維である。
【0024】
本発明では、特に、繊維質基材は、天然繊維、なかでも、動物性繊維及び/又は植物性繊維を含むことが好適である。特に、繊維質基材が、天然繊維を含み、人造繊維を含まないことが好適である。
【0025】
特に好適な繊維は、絹、木綿、麻繊維、木材パルプ、非木材パルプ、竹材(たとえば、竹の薄板(平竹ひご)のリボン等)、木材(例えば、木の薄板(突き板)のリボン等)、及び、紙材(例えば、紙のリボン等)からなる群から選択される少なくとも1つである。竹材、木材、紙材の厚みは0.05~2mmとすることができ、幅は8~300mmとすることができる。
【0026】
繊維質基材の形態の例は、不織布、織布、編物、組物、及び、紙からなる群から選択される1つである。
【0027】
不織布の例は、上記の各種の繊維(例えば、羊毛などの獣毛)のフェルトである。
【0028】
織布は、上記の各種の繊維の糸の織布であることができ、例えば、木綿織布、麻繊維織布、絹織布であることができる。
【0029】
編物は、上記の各種繊維(例えば、木綿、絹、羊毛等)の糸の編物であることができ、どのような編み方でもよい。
【0030】
組物は、上記の各種繊維(例えば、木綿、絹、羊毛、パルプ、竹、木等)の糸の組物であってもよく、上記の各種繊維(例えば、木綿、絹、羊毛等)の不織布/織布/編物のリボンの組物であってもよく、竹材、木材、又は紙材のリボンの組物であってもよい。組物の組み方の例は、中実組物(丸、角等)、中空組物(筒状の丸打組物等)、及び、シート状の組物(平打ち組物)である。組物は、組紐とも呼ばれる。
【0031】
紙の例は、洋紙のような木材パルプ紙、及び、和紙のような非木材パルプ紙である。紙は、各種のパルプを公知の方法で漉くことにより得られる。
【0032】
(天然糊)
天然糊とは、天然由来成分を主成分(50質量%以上、好ましくは、70質量%以上、より好ましくは、80質量%以上)とする接着剤である。
【0033】
天然糊は、動物由来、又は、植物由来成分を主成分とする接着剤であることができる。天然糊は水溶性であってよい。
【0034】
天然糊は、天然樹脂、タンパク質、多糖類、及び、天然蝋からなる群から選択される少なくとも1つであることができる。
【0035】
天然樹脂の例は、シェラック、松ヤニ、漆である。
【0036】
シェラックは、カイガラムシが産生する樹脂であり、より詳しくは、ラックカイガラムシ、および近縁種のカイガラムシの分泌する虫体被覆物を精製して得られる。
【0037】
松ヤニは、マツ属の木から分泌される樹脂である。
【0038】
漆は、ウルシオール、ラッコール、チチオールなどを主成分とし、ウルシ科の植物から得られる樹脂である。
【0039】
タンパク質の例は、膠、及び、カゼインである。膠は、牛や豚などの動物に由来するゼラチンなどのタンパク質を主成分とする。カゼインは、牛乳などの乳から分離されるタンパク質である。
【0040】
多糖類の例は、グルコマンナン、デンプン糊、及び、海藻糊である。
【0041】
グルコマンナンは、こんにゃくイモの主成分であり、こんにゃくの原料として知られコンニャクマンナンとも呼ばれる。
【0042】
デンプン糊は、糊化したデンプンを主成分とする糊である。デンプン源の例は、トウモロコシ、コメ、タピオカ、小麦、豆類、ジャガイモ、サツマイモである。
【0043】
海藻糊は海藻から抽出される多糖類を主成分とする糊である。海藻の例は、紅藻である。
【0044】
紅藻の例は、ツノマタ、ギンナンソウ、フノリ、スギノリである。これらの紅藻から抽出される多糖類の例は、カラギーナンである。
【0045】
紅藻の他の例はテングサで有り、テングサから抽出される多糖類の例はアガロース(寒天)である。
【0046】
海藻の他の例は、コンブなどの褐藻であり、これらの褐藻から得られる多糖類の例はアルギン酸及びその塩(ナトリウム塩、カリウム塩など)である。
【0047】
これらの海藻糊の中でも、ツノマタ、ギンナンソウ、フノリ等から抽出されるカラギーナンを主成分とする海藻糊が好ましい。
【0048】
天然蝋の例は、蜜蝋、鯨蝋等の動物蝋、及び、木蝋(ハゼ蝋、漆蝋等)、カルナバ蝋、キャンデリラ蝋、ライス蝋等の植物蝋である。天然蝋は、石油を精製して得られるパラフィンワックスなどを含まない。
【0049】
上記の各天然糊の製造方法は公知であり、市販もされている。
【0050】
天然糊は、特に、グルコマンナン、海藻[紅藻(カラギーナン)]糊、タピオカ糊、シェラック、天然蝋(カルバナ蝋、キャンデリラ蝋、ライス蝋、蜜蝋)から選択される少なくとも一つであることができる。
【0051】
天然糊20は、繊維質基材10内に含浸されている。天然糊20は、繊維質基材10の各繊維(糸など)12内に存在していることができ、繊維質基材10の繊維12間の隙間に存在していることもできる。繊維質基材10の繊維12が糸やパルプを含む場合、繊維12内及び繊維12間の両方に天然糊20が介在することで、主層30に十分な強度を与えることができ、また、水等の液体や空気等の気体が主層30を通り抜けにくくなるため、食器などの用途に利用しやすくなる。また、繊維質基材10の繊維12が竹材、木材などの場合には、通常天然糊を当該繊維12に含浸させることは困難であるが、繊維12間に天然糊20が介在すれば同様に強度の向上及び液体や気体の通過の抑制という機能を奏することができる。
【0052】
(防水層)
本実施形態の物品100は、繊維質基材10及び天然糊20を含む主層30の一方又は両方の表面上に、防水層40を備えることができる。防水層40は、主層30の一方の表面だけに設けられていてもよいが、両方の表面にそれぞれ設けられていることが好適である。
【0053】
防水層40は、上記の天然樹脂、及び、上記の天然蝋からなる群から選択される少なくとも1つを含む層であることができる。防水層40は、上記の天然樹脂及び天然蝋を合計で50質量%以上含むことが出来、好ましくは、70質量%以上、より好ましくは、80質量%以上含むことができる。防水層40は、塩化ビニル樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂等の合成樹脂を含んでいてもよいが、含まないことが好適である。
【0054】
防水層40がシェラックを含むと、耐水性が向上して、食器などの物品に好適であるのに加え、120℃程度までの耐熱性も付与することができるので、特に、耐熱性が要求される、コーヒーカップなどのカップ、スープ皿などの皿、あるいは、ランプシェードなどに好適に適用することができる。
【0055】
(物品の製造方法)
このような物品を製造するには、まず、繊維質基材10を用意し、当該繊維質基材10に天然糊溶液などの未固化の天然糊を含浸させる。その後、必要に応じて繊維質基材10の形状を所望の形状、例えば、ストローなどの最終形状に変形して保持し、その状態で、乾燥して、天然糊を固化させればよい。
【0056】
天然糊溶液は、天然糊を必要に応じて水、アルコールなどの溶媒に溶かすことなどにより得ることができる。
【0057】
また、天然蝋など天然糊が熱可塑性である場合には、天然糊溶液に代えて、天然糊を加熱して液状にして繊維質基材に含浸させることができる。また、天然糊を含浸した繊維質基材を温めながら主層の成形及び接着をすることもできる。
【0058】
(物品の具体的な形態)
次に、具体的な物品100の形態について説明する。
図2は、本発明の1実施形態に係るストロー200である。なお、簡略化のため、
図1において、繊維質基材10のみを表し、天然糊及び防水層の図示を省略している。本実施形態のストロー200では、繊維質基材10の端部同士を一部重ねることで筒状形状が形成されている。繊維質基材10同士は当該繊維質基材10に含浸された天然糊で接着されている。このようなストローは、所定の大きさにカットした繊維質基材10に天然糊溶液を含浸させ、当該繊維質基材10を円柱の外周に沿って筒状に丸めつつ、繊維質基材10同士を一部重ね、その状態で、乾燥させることで製造できる。
【0059】
繊維質基材としては、織布、不織布、編物、組物、紙のいずれを用いることもできる。
【0060】
図3は、他の実施形態に係るストロー200の例である。本実施形態では、
図2とは異なり、繊維質基材10に大きな継ぎ目がない。このような繊維質基材10の例は、糸を丸編みすることにより得られる筒状の編物、環状織機などで糸を環状に織って得ることができる筒状の織布、各種のリボン状の繊維(織布、不織布、編物、木材、竹材、紙材)を筒状に組んだ組物等を使用することで得ることができる。この場合、繊維質基材10に大きな継ぎ目がないので美観に優れ、ストローの強度も強くなる。
【0061】
図4は、繊維質基材としてリボン状の繊維12を筒状に組んだ組物を使用したストローの例である。この組物は、具体的には、らせん状に伸びる複数のリボン状の繊維12を筒状にくみ上げた丸打ち組物である。
【0062】
上述のように、組物に用いられるリボン状の繊維の例は、竹材、木材、紙材、不織布、織布、編物である。天然糊は、リボン状の繊維12間に介在し、場合によっては、リボン状の繊維の内部に存在している。
【0063】
(作用効果)
本発明によれば、主層30において天然糊により繊維質基材10における隙間を埋めることができ、主層30の形状の維持を可能としたり、主層30の強度を高くしたりすることができる。したがって、物品における合成樹脂の使用量を減らすことができ、繊維質基材を利用した種々の物品を提供することができる。廃棄時の環境負荷の観点から、主層30は、酢酸ビニル樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂などの合成樹脂を含んでもよいが、合成樹脂を含まないことが好適である。また、必要に応じて、物品は、主層30とは別に、合成樹脂を含む部材を別途備えることは可能であるが、合成樹脂を含む部材を有さないことが好適である。
【0064】
また、主層30の上に防水層40を備えると、さらに、主層30への水のしみこみが抑制され、ストローなど水系の液体と接触する用途の物品等に好適に使用できる。また、物品を洗浄して再利用することも容易となる。
【0065】
特に、繊維質基材の繊維が、天然繊維、なかでも、動物性繊維及び/又は植物性繊維を含むと、使用後に、天然糊に加えて繊維質基材の環境中での分解も容易になり、廃棄後の環境負荷がより一層少なくなる。
【0066】
本発明は、上記実施形態に限定されず様々な変形態様が可能である。
例えば、物品の形態の例は、食器、家具、及び、文房具である。
【0067】
食器の例は、ストロー、スプーン、フォーク、ナイフ、箸、マドラー、皿、コースターである。
【0068】
家具の例は、ランプシェード、椅子(背もたれ/アーム部/シート部等)、テーブル(天板等)、引き出し(正面化粧板等)、タンス(正面化粧板等)である。
【0069】
文房具の例は、主層をペン軸に採用したボールペン、シャープペン、鉛筆などの各種ペン、スマートフォン、筆箱等のケースである。
【0070】
これらの大きさに特に限定はなく、用途に応じて適宜設定できる。
【0071】
物品は、主層30及び主層30の片面または両面に必要に応じて設けられる防水層のみからなってもよいし、それ以外の他の部材を含んでもよい。
【0072】
特に好適な、繊維質基材及び天然糊の組み合わせは、絹織布(例えば絹100%)又は綿織布(綿100%)と、グルコマンナン又はカラギーナンとの組み合わせであり、さらに、シェラックの防水層を組み合わせるとなお好適である。
【実施例0073】
(実施例1)
図2のような態様のストローを作成した。具体的には、繊維質基材として、手漉きの和紙、絹100%の織布、綿100%の織布をそれぞれ用意した。各繊維質基材に、カラギーナン溶液またはグルコマンナン溶液を含浸させた後、一部が重なるように円筒の外周面に巻き付け、その後乾燥させて、天然糊及び繊維質基材を含む筒状の主層を得た。乾燥後に、繊維質基材及び天然糊を含む主層の両面に、シェラック溶液を塗布し、乾燥させて防水層を形成した。
得られたストローは十分な強度を有し、ストローとして使用できた。
【0074】
(実施例1A)
リボン状にした手漉きの和紙を用意し、ライスワックスまたはカルナバワックスを85℃に加熱し溶かし含浸させた後、円柱の外周面に沿ってらせん状にかつ一部重ねながら巻き付け、ドライヤーで温めながら形状を整え乾燥させた。得られたストローは十分な強度を有し、ストローとして使用できた。
【0075】
(実施例1B)
天然糊(カラギーナンまたはグルコマンナン)溶液の含浸済みの繊維質基材をスプーンの形状、及び、皿の形状に保持し、乾燥させて、スプーン及び皿を得た。
【0076】
(実施例2)
図3のような態様のストローを作成した。具体的には、繊維質基材として、綿100%の糸を丸編みした筒状の編物を用いる以外は実施例1と同様とした。得られたストローは十分な強度を有し、ストローとして使用できた。
【0077】
(実施例3)
図4のような態様のストローを作成した。具体的には、筒状の繊維質基材として、紙のリボンの丸打ち組物、及び、平竹ひごの丸打ち組物を用いる以外は、実施例1と同様とした。得られたストローは十分な強度を有し、ストローとして使用できた。
【0078】
(実施例4)
絹、木綿、パルプ、又は、竹の糸からなる複数の紐を組んで、4種類の中実棒状の組紐を得た。組紐にグルコマンナン溶液又はカラギーナンを含浸させ、柱状となる状態で乾燥させた。その後、表面にシェラック溶液で防水層を形成して棒状物品を得た。この棒状物品は、マドラー、箸として使用可能であった。