(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022131201
(43)【公開日】2022-09-07
(54)【発明の名称】開閉制御システム
(51)【国際特許分類】
E05F 15/74 20150101AFI20220831BHJP
E05F 15/608 20150101ALI20220831BHJP
【FI】
E05F15/74
E05F15/608
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021030023
(22)【出願日】2021-02-26
(71)【出願人】
【識別番号】307038540
【氏名又は名称】三和シヤッター工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107364
【弁理士】
【氏名又は名称】斉藤 達也
(72)【発明者】
【氏名】森藤 広喜
(72)【発明者】
【氏名】對比地 英樹
(72)【発明者】
【氏名】加藤 翔平
【テーマコード(参考)】
2E052
【Fターム(参考)】
2E052AA01
2E052BA06
2E052CA06
2E052DA02
2E052DB02
2E052EA05
2E052EB01
2E052EC01
2E052GA06
2E052GA10
2E052GB01
2E052GB12
2E052GD00
(57)【要約】
【課題】設置コストを抑制しながら、使用性を高めることが可能になる、開閉制御システムを提供すること。
【解決手段】開閉制御システム40は、対象空間2に設けられる自動ドア装置1を構成する開閉体20の開閉移動を制御するためのシステムであって、開閉タイミングが到来したことを検知する検知手段と、通常開閉制御と、開閉体20を開閉移動させることにより、全開位置及び全開位置を特定する学習開閉制御と、を行う開閉制御手段と、を備え、開閉制御手段は、復帰タイミングが到来した際には、検知手段によって開閉タイミングが到来したことが検知されるまで、学習開閉制御を行わない。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象空間に設けられる自動ドア装置を構成する開閉体であり、前記対象空間における開閉対象領域の開閉を行う開閉体の開閉移動を制御するための開閉制御システムであって、
前記開閉体の開閉移動を開始する開閉タイミングが到来したことを検知する検知手段と、
前記検知手段の検知結果に基づいて前記開閉体を開閉移動させる制御である通常開閉制御と、前記通常開閉制御が行われる前の所定のタイミングで行う制御であり、前記開閉体を開閉移動させることにより、前記開閉体によって前記開閉対象領域を全開した全開状態に対応する全開位置と、前記開閉体によって前記開閉対象領域を全閉した全閉状態に対応する全閉位置とを特定する制御である学習開閉制御と、を行う開閉制御手段と、を備え、
前記開閉制御手段は、
前記所定のタイミングのうち、当該開閉制御システムに対する外部電源からの電力の供給が停止された後に復帰したタイミングである復帰タイミングが到来した際には、前記検知手段によって前記開閉タイミングが到来したことが検知されるまで、前記学習開閉制御を行わない、
開閉制御システム。
【請求項2】
前記開閉制御手段は、
前記復帰タイミングが到来した際には、前記検知手段によって前記開閉タイミングが到来したことが検知されると、前記学習開閉制御を行い、
前記学習開閉制御が行われた後に、前記通常開閉制御を行う、
請求項1に記載の開閉制御システム。
【請求項3】
前記電力の供給状態を、前記電力の供給を継続している継続状態と前記電力の供給を遮断している遮断状態とに切り替える切替手段を備え、
前記開閉制御手段は、
前記所定のタイミングのうち、前記切替手段によって前記電力の供給状態が前記遮断状態から前記継続状態に切り替えられたタイミングである切替タイミングが到来した際には、前記検知手段の検知結果に関わらず、前記学習開閉制御を行う、
請求項1又は2に記載の開閉制御システム。
【請求項4】
前記開閉体の位置を検知する位置検知手段を備え、
前記開閉制御手段は、
前記学習開閉制御を行われた直後に前記位置検知手段によって検知された前記開閉体の位置が前記開閉体の開閉移動を待機する位置である待機位置でない場合には、前記通常開閉制御が行われる前に、前記待機位置まで前記開閉体を開閉移動させる制御である調整開閉制御を行う、
請求項1から3のいずれか一項に記載の開閉制御システム。
【請求項5】
前記開閉制御手段は、
前記開閉体の開閉移動を制御する第1開閉制御手段と、
前記第1開閉制御手段とは別体に構成された第2開閉制御手段であり、前記検知手段の検知結果に基づいて、前記第1開閉制御手段を制御する第2開閉制御手段と、を備える、
請求項1から4のいずれか一項に記載の開閉制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、開閉制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、建物の壁の開口部に設けられる自動ドア装置の開閉体の開閉移動を制御するためのシステムが提案されている。このようなシステムにおいては、例えば、電源が投入されると、通常の開閉動作を行う前に、開閉体を開閉移動させることにより、開閉体によって開口部が全開した状態から全閉した状態になるまでのストロークがいくらあるのかを学習する学習動作を行うことが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、上記従来のシステムについては、建物のトイレブースの開口部に設けられる自動ドア装置に適用されることも想定される。このような場合において、例えば、ユーザがトイレブースを使用している際に、停電が発生してから電源が再投入された場合(いわゆる停電から復帰した場合)には、上述したように、通常の開閉動作を行う前に学習動作を行うことになるので、ユーザがトイレブースを使用しているにも関わらず、ユーザの意図に反して開口部が開放した状態になるおそれがあった。
【0005】
一方、このような問題を回避するために、停電時に上記従来のシステムに対して電力を供給できる非常電源装置を上記従来のシステムに設けることも考えられる。しかしながら、非常電源装置は非常に高価であるので、システムの設置コストが過大になるおそれがあった。
【0006】
以上のことから、システムの使用性及び設置コストの観点からは、改善の余地があった。
【0007】
本発明は、上記従来技術における課題を解決するためのものであって、設置コストを抑制しながら、使用性を高めることが可能になる、開閉制御システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、請求項1に記載の開閉制御システムは、対象空間に設けられる自動ドア装置を構成する開閉体であり、前記対象空間における開閉対象領域の開閉を行う開閉体の開閉移動を制御するための開閉制御システムであって、前記開閉体の開閉移動を開始する開閉タイミングが到来したことを検知する検知手段と、前記検知手段の検知結果に基づいて前記開閉体を開閉移動させる制御である通常開閉制御と、前記通常開閉制御が行われる前の所定のタイミングで行う制御であり、前記開閉体を開閉移動させることにより、前記開閉体によって前記開閉対象領域を全開した全開状態に対応する全開位置と、前記開閉体によって前記開閉対象領域を全閉した全閉状態に対応する全閉位置とを特定する制御である学習開閉制御と、を行う開閉制御手段と、を備え、前記開閉制御手段は、前記所定のタイミングのうち、当該開閉制御システムに対する外部電源からの電力の供給が停止された後に復帰したタイミングである復帰タイミングが到来した際には、前記検知手段によって前記開閉タイミングが到来したことが検知されるまで、前記学習開閉制御を行わない。
【0009】
請求項2に記載の開閉制御システムは、請求項1に記載の開閉制御システムにおいて、前記開閉制御手段は、前記復帰タイミングが到来した際には、前記検知手段によって前記開閉タイミングが到来したことが検知されると、前記学習開閉制御を行い、前記学習開閉制御が行われた後に、前記通常開閉制御を行う。
【0010】
請求項3に記載の開閉制御システムは、請求項1又は2に記載の開閉制御システムにおいて、前記電力の供給状態を、前記電力の供給を継続している継続状態と前記電力の供給を遮断している遮断状態とに切り替える切替手段を備え、前記開閉制御手段は、前記所定のタイミングのうち、前記切替手段によって前記電力の供給状態が前記遮断状態から前記継続状態に切り替えられたタイミングである切替タイミングが到来した際には、前記検知手段の検知結果に関わらず、前記学習開閉制御を行う。
【0011】
請求項4に記載の開閉制御システムは、請求項1から3のいずれか一項に記載の開閉制御システムにおいて、前記開閉体の位置を検知する位置検知手段を備え、前記開閉制御手段は、前記学習開閉制御を行われた直後に前記位置検知手段によって検知された前記開閉体の位置が前記開閉体の開閉移動を待機する位置である待機位置でない場合には、前記通常開閉制御が行われる前に、前記待機位置まで前記開閉体を開閉移動させる制御である調整開閉制御を行う。
【0012】
請求項5に記載の開閉制御システムは、請求項1から4のいずれか一項に記載の開閉制御システムにおいて、前記開閉制御手段は、前記開閉体の開閉移動を制御する第1開閉制御手段と、前記第1開閉制御手段とは別体に構成された第2開閉制御手段であり、前記検知手段の検知結果に基づいて、前記第1開閉制御手段を制御する第2開閉制御手段と、を備える。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に記載の開閉制御システムによれば、開閉制御手段が、復帰タイミングが到来した際には、検知手段によって開閉タイミングが到来したことが検知されるまで、学習開閉制御を行わないので、ユーザが対象空間を使用中に復帰タイミングが到来した際に、ユーザの意図に反して開閉体が開閉移動することを回避でき、開閉制御システムの使用性を高めることができる。また、非常電源装置を設ける場合に比べて、開閉制御システムを安価に製造でき、開閉制御システムの設置コストを抑制できる。
【0014】
請求項2に記載の開閉制御システムによれば、開閉制御手段が、復帰タイミングが到来した際には、検知手段によって開閉タイミングが到来したことが検知されると、学習開閉制御を行い、学習開閉制御が行われた後に、通常開閉制御を行うので、復帰タイミングが到来した際でも通常開閉制御を正確に行うことができ、開閉制御システムの使用性を維持しやすくなる。
【0015】
請求項3に記載の開閉制御システムによれば、開閉制御手段が、切替タイミングが到来した際には、検知手段の検知結果に関わらず、学習開閉制御を行うので、切替タイミングが到来した際には、復帰タイミングが到来した場合に比べて学習開閉制御を迅速に行うことができ、開閉制御システムの使用性を一層高めることができる。
【0016】
請求項4に記載の開閉制御システムによれば、開閉制御手段が、学習開閉制御を行われた直後に位置検知手段によって検知された開閉体の位置が待機位置でない場合には、通常開閉制御が行われる前に、調整開閉制御を行うので、学習開閉制御を行われた後に開閉体を待機位置まで自動的に移動させることができ、通常開閉制御をスムーズに行うことが可能となる。
【0017】
請求項5に記載の開閉制御システムによれば、開閉制御手段が、開閉体の開閉移動を制御する第1開閉制御手段と、第1開閉制御手段とは別体に構成された第2開閉制御手段であり、検知手段の検知結果に基づいて、第1開閉制御手段を制御する第2開閉制御手段と、を備えるので、開閉体の待機位置に応じて開閉制御システムの制御内容を変更することを必要とせず、且つ汎用制御装置をそのまま利用して開閉体の開閉移動を制御でき、開閉制御システムの製造コストを低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の実施の形態に係る自動ドア装置を概念的に示す斜視図である。
【
図3】開閉側制御システムの電気的構成を示したブロック図である。
【
図4】実施の形態に係る開閉処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に添付図面を参照して、この発明に係る開閉制御システムの実施の形態を詳細に説明する。まず、〔I〕実施の形態の基本的概念を説明した後、〔II〕実施の形態の具体的内容について説明し、最後に、〔III〕実施の形態に対する変形例について説明する。ただし、実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0020】
〔I〕実施の形態の基本的概念
まず、実施の形態の基本的概念について説明する。実施の形態は、概略的に、対象空間に設けられる自動ドア装置を構成する開閉体であり、対象空間における開閉対象領域の開閉を行う開閉体の開閉移動を制御するための開閉制御システムに関するものである。
【0021】
ここで、「対象空間」とは、自動ドア装置が設置される対象となる空間を意味し、例えば、建物に設けられたトイレブース、更衣室、会議室等を含める概念である。
【0022】
また、「建物」とは、その具体的な構造や種類は任意であるが、例えば、商業施設、オフィスビル、公共施設、アパートやマンションの如き集合住宅等を含む概念であるが、実施の形態では、商業施設として説明する。
【0023】
また、「開閉対象領域」とは、対象空間の領域のうち、開閉体によって開閉される対象となる領域であり、例えば、対象空間の周囲を覆う側壁に形成された出入り口(開口部)等を含む概念である。
【0024】
また、「開閉体」は、対象空間の開閉対象領域の出入りを抑制又は制限するための構造体を意味し、例えば、自動ドア装置用の開閉体等を含む概念である。
【0025】
また、開閉体の開閉構造は任意であり、例えば、片開式の戸、両開式の戸、片引式の戸、引分式の戸、又は折畳式の戸として構成することができる。
【0026】
また、「開閉体の開閉状態」とは、実施の形態では、全閉状態、全開状態、及び半開状態を含む概念である。
【0027】
このうち、「全閉状態」とは、開閉体によって開閉対象領域を全閉した状態であり、この全閉状態における開閉体の位置を「全閉位置」と称する。
【0028】
また、「全開状態」とは、開閉体によって開閉対象領域を全開した状態であり、この全開状態における開閉体の位置を「全開位置」と称する。
【0029】
また、「半開状態」とは、開閉体が全閉位置と全開位置との間に位置している状態であり、開閉対象領域の一部を開いて停止している「半開停止状態」と、開閉体を開放移動させている「半開開放移動状態」と、開閉体を閉鎖移動させている「半開閉鎖移動状態」とを含む概念である。なお、この半開状態における開閉体の位置を「半開位置」と称する。
【0030】
以下、実施の形態では、自動ドア装置の開閉体が、トイレブース(対象空間)の出入り口(開閉対象領域)に設けられる円形片引式の戸である場合について説明する。
【0031】
〔II〕実施の形態の具体的内容
次に、実施の形態の具体的内容について説明する。
【0032】
(構成)
最初に、実施の形態に係る開閉制御システムが適用される自動ドア装置の構成について説明する。
【0033】
以下の説明では、
図1のX方向を自動ドア装置の左右方向(-X方向を自動ドア装置の左方向、+X方向を自動ドア装置の右方向)、
図1のY方向を自動ドア装置の前後方向(+Y方向を自動ドア装置の前方向(対象空間の外側の方向)、-Y方向を自動ドア装置の後方向(対象空間の内側の方向))、及び
図1のZ方向を自動ドア装置の上下方向(+Z方向を自動ドア装置の上方向、-Z方向を自動ドア装置の下方向)と称する。
【0034】
自動ドア装置1は、対象空間2(具体的には、トイレブース)における開閉対象領域3(具体的には、出入り口)を開閉するための装置である。この自動ドア装置1は、
図1、
図2に示すように、対象空間2の前側部分に設けられており、ガイドレール部10、開閉体20、開閉駆動部31、錠部32、出力部33、及び開閉制御システム40を備えている。
【0035】
また、この自動ドア装置1を構成する各構成要素の接続形態については、以下に示す通りに設定している。すなわち、後述する開閉制御システム40の制御装置50は、開閉駆動部31、錠部32、出力部33、後述する開閉制御システム40の内側検知部41、位置検知部42、及び切替部44の各々と配線4を介して電気的に接続されている。これにより、後述する制御装置50と、開閉駆動部31、錠部32、出力部33、後述する開閉制御システム40の内側検知部41、位置検知部42、及び切替部44の各々との相互間で通信又は電力供給を直接的又は間接的に行うことができる。
【0036】
なお、自動ドア装置1を構成する各種部材同士の取付方法(又は接続方法)については任意であるが、例えば、取付側の部材又は取付相手側の部材に形成された取付孔(例えば、リベット孔、ネジ孔、ビス孔等)を介して、取付側の部材を取付相手側の部材に対して固定具(例えば、リベット、取付ネジ、ビス等)、溶接、接着剤、両面テープ等によって取り付ける(又は接続する)方法が採用されている。
【0037】
(構成-対象空間)
図1に戻り、ここで、対象空間2は、
図1、
図2に示すように、複数の壁部5(例えば、公知の壁パネル等)によって周囲が覆われている。また、対象空間2の内側には、便器6が設けられている。
【0038】
このうち、複数の壁部5は、左側壁部5a、右側壁部5b、前側壁部5c、及び後側壁部5dから構成されている。さらに、前側壁部5cは、開閉体20の戸先側に位置する戸先側壁部5e、及び開閉体20の戸尻側に位置する戸尻側壁部5fから構成されている。そして、戸先側壁部5eと戸尻側壁部5fとの相互間に開閉対象領域3が設けられている。
【0039】
また、便器6は、ユーザの大小便を受けるものであり、例えば公知の便器装置を用いて構成されており、対象空間2の内側において開閉体20の開閉移動を妨げない位置(
図2では、対象空間2の後側の位置)に配置されている。
【0040】
(構成-ガイドレール部)
ガイドレール部10は、開閉体20を開閉対象領域3の開閉方向(左右方向)に略沿って移動するように案内するものである。このガイドレール部10は、縦断面形状が略コ字状となるように形成された湾曲状の長尺体であり、対象空間2の上端部又はその近傍において略水平に配置されており、左側壁部5a、右側壁部5b、又は/及び前側壁部5cに対して直接的に固定されており、又は下地材11を介して間接的に固定されている。
【0041】
(構成-開閉体)
図1に戻り、開閉体20は、対象空間2の開閉対象領域3を開閉するためのものである。この開閉体20は、例えば公知の自動ドア装置用の開閉体(一例として、円形片引式の自動ドア装置用の開閉パネル)を用いて構成されている。具体的には、鋼製(例えばスチール製、ステンレス製等)の開閉体フレーム(図示省略)と、開閉体フレームの見込み方向(前後方向)の側面全体を覆うように取り付けられた表面材21(例えば、樹脂製の化粧板等)とを備えている。
【0042】
また、開閉体20には、被ガイド部(図示省略)が設けられている。被ガイド部は、ガイドレール部10において開閉体20をスライド移動させるためのものである。この被ガイド部は、例えば公知のガイドローラ等を用いて構成され、ガイドレール部10に対して摺動可能となるように取り付けられていると共に、開閉体20に対して固定具等によって接続されている。
【0043】
また、開閉体20の具体的な構成については任意であるが、実施の形態では、開閉体20を開放移動させる際に、被ガイド部とガイドレール部10の戸尻側の端部とが接触することにより、開閉体20が全開位置を超えて開放移動することを制限するように構成されている。また、開閉体20を閉鎖移動させる際に、開閉体20の戸先側部分と戸先側壁部5eに設けられた戸当たり部5gとが接触することにより、開閉体20が全閉位置を超えて閉鎖移動することを制限するように構成されている。
【0044】
(構成-開閉駆動部)
開閉駆動部31は、開閉体20を電動で開閉移動させるための開閉駆動手段である。この開閉駆動部31は、例えば、公知の引き戸式の自動ドア装置用の開閉駆動手段を用いて構成されており、
図1、
図2に示すように、ガイドレール部10の戸尻側部分に設けられ、ガイドレール部10に対して固定具等によって固定されている。
【0045】
(構成-錠部)
図1に戻り、錠部32は、開閉体20を施錠するための装置である。この錠部32は、例えば自動ドア装置用の電気錠を用いて構成されており、
図1に示すように、ガイドレール部10に設けられ、ガイドレール部10に対して固定具等によって固定されている。
【0046】
また、錠部32が電気錠である場合の具体的な動作については任意であるが、例えば、以下に示す通りとなる。すなわち、後述する通常開閉処理において、後述する第2全閉制御が行われている場合には、錠部32によって開閉体20を施錠し、後述する第1全閉制御、後述する第1全開制御、又は後述する第2全開制御が行われている場合には、錠部32による開閉体20の施錠を解除する。
【0047】
(構成-出力部)
出力部33は、対象空間2の使用状況を出力する出力手段である。
【0048】
ここで、「対象空間2の使用状況」とは、例えば、対象空間2にユーザが存在するか否かを示す在室状況、対象空間2の内側で異常が発生しているか否かを示す異常状況等を含む概念であるが、実施の形態では、在室状況として説明する。
【0049】
この出力部33は、例えば公知の出力装置(一例として、表示灯等)を用いて構成されており、
図1に示すように、対象空間2の外側において戸先側壁部5eに設けられ、戸先側壁部5eに対して固定具等によって固定されている。
【0050】
また、出力部33の出力動作については任意であるが、例えば、以下に示す通りとなる。すなわち、開閉体20の位置が全開位置又は半開位置である場合には、対象空間2にユーザが存在しないものとして、出力部33を消灯させる。一方、開閉体20の位置が全閉位置である場合には、対象空間2にユーザが存在するものとして、出力部33を赤色に点灯させる。
【0051】
(構成-開閉制御システム)
開閉制御システム40は、開閉体20の開閉移動を制御するためのシステムであり、
図1、
図2に示すように、内側検知部41、位置検知部42、切替部44、及び制御装置50を備えている。
【0052】
(構成-開閉制御システム-内側検知部)
内側検知部41は、後述する開閉タイミングが到来したことを検知する検知手段であり、且つ内側開閉動作を検知する内側検知手段である。
【0053】
ここで、「内側開閉動作」とは、対象空間2の内側に存在するユーザによって行われる動作であって、開閉体20の開閉動作を開始するトリガとなる動作を意味する。
【0054】
この内側検知部41は、例えば公知の自動ドア装置用の検知センサ(一例として、透過型の光電センサの如き公知の非接触式の検知センサ)を用いて構成されており、具体的には、検知光を照射する送光部と、送光部よりも上方に位置する受光部であって、送光部から照射された検知光を受光する受光部とを備えている(いずれも図示省略)。また、この内側検知部41は、
図2に示すように、対象空間2の内側において左側壁部5aに設けられ、左側壁部5aに対して固定具等によって固定されている。
【0055】
また、内側検知部41が透過型の光電センサである場合の検知動作については、例えば以下に示す通りとなる。すなわち、内側検知部41の送光部から照射された検知光がユーザの指等によって遮られることで、内側検知部41の受光部が検知光を受光できない場合には、内側開閉動作が検知された旨を示す情報を含む信号(以下、「内側開閉動作信号」と称する)を出力する。一方、受光部が検知光を受光できる場合には、内側開閉動作信号を出力しない。
【0056】
(構成-開閉制御システム-位置検知部)
位置検知部42は、開閉体20の位置を検知する位置検知手段である。この位置検知部42は、例えばロータリーエンコーダー等の公知の検知センサを用いて構成されており、開閉駆動部31の近傍位置に設けられており、開閉駆動部31に対して固定具等によって固定されている。
【0057】
また、位置検知部42がロータリーエンコーダーである場合の検知動作については、例えば、開閉体20の位置に応じて出力されるパルス数をカウント手段(図示省略)にて原点位置(実施の形態では、全閉位置)からカウントし、当該カウントされたカウント値を示すカウント値情報を含む信号(以下、「位置検知信号」と称する)を出力すること等が該当する。
【0058】
(構成-開閉制御システム-切替部)
切替部44は、開閉制御システム40に対する外部電源(図示省略)からの電力の供給状態(以下、単に「電力の供給状態」と称する)を、電力の供給を継続している状態(以下、「継続状態」と称する)と電力の供給を遮断している状態(以下、「遮断状態」と称する)とに切り替える切替手段である。
【0059】
ここで、「電力の供給を遮断する」とは、切替部44を用いて、外部電源からの電力供給をユーザ(又はその他の作業者)が意図的に止めることを意味する。
【0060】
また、「外部電源」とは、開閉制御システム40の外部に設けられた電源であり、例えば商用電源等を含む概念である。
【0061】
この切替部44は、例えば公知の切替手段(一例として、ボタン式の切替スイッチ等)を用いて構成されており、
図1に示すように、制御装置50に設けられている。
【0062】
また、切替部44がボタン式の切替スイッチである場合の具体的な動作については任意であるが、例えば以下に示す通りとなる。すなわち、ユーザ(又はその他の作業者)の操作によって切替部44が電力の供給状態が遮断状態から継続状態に切り替えた場合には、その旨を示す信号(以下、「切替信号」と称する)を出力する。一方で、ユーザ(又はその他の作業者)の操作によって切替部44が電力の供給状態が継続状態から遮断状態に切り替えた場合には、切替信号を出力しない。
【0063】
(構成-開閉制御システム-制御装置)
制御装置50は、開閉制御システム40を制御するための装置であり、
図3に示すように、第1制御ユニット60及び第2制御ユニット70を備えている。
【0064】
(構成-開閉制御システム-制御装置-第1制御ユニット)
第1制御ユニット60は、開閉体20の開閉移動を制御するユニットであり、
図3に示すように、第1通信部61、第1電源部62、第1制御部63、及び第1記憶部64を備えている。ただし、第1制御ユニット60に関する特記しない構成については、従来の自動ドア装置用の汎用制御装置(具体的には、常閉仕様の汎用制御装置)と同様であるものとして説明を省略する。
【0065】
(構成-開閉制御システム-制御装置-第1制御ユニット-第1通信部)
第1通信部61は、開閉駆動部31、位置検知部42、及び第2制御ユニット70との間で配線4を介して通信を行うための第1通信手段である。
【0066】
(構成-開閉制御システム-制御装置-第1制御ユニット-第1電源部)
第1電源部62は、外部電源から供給された電力を、配線4を介して第1制御ユニット60の各部に供給すると共に、配線4を介して開閉駆動部31及び位置検知部42にも供給する第1電源手段である。
【0067】
(構成-開閉制御システム-制御装置-第1制御ユニット-第1制御部)
第1制御部63は、第1制御ユニット60の各部を制御する制御手段である。この第1制御部63は、具体的には、CPU、当該CPU上で解釈実行される各種のプログラム(OSなどの基本制御プログラムや、OS上で起動され特定機能を実現するアプリケーションプログラムを含む)及びプログラムや各種のデータを格納するためのRAMの如き内部メモリを備えて構成されるコンピュータである(なお、後述する第2制御部73の構成についても略同様とする)。
【0068】
また、この第1制御部63は、
図3に示すように、機能概念的に、第1開閉制御部63aを備えている。
【0069】
第1開閉制御部63aは、通常開閉制御及び学習開閉制御を行う開閉制御手段であると共に、開閉体20の開閉移動を制御する第1開閉制御手段である。
【0070】
ここで、「通常開閉制御」とは、内側検知部41の検知結果に基づいて開閉体20を開閉移動させる制御を意味する。
【0071】
また、「学習開閉制御」とは、通常開閉制御が行われる前の所定のタイミングで行う制御であって、開閉体20を開閉移動させることにより、全開位置及び全閉位置とを特定する制御を意味する。
【0072】
また、上記所定のタイミングは、実施の形態では、後述する開閉処理が起動したタイミング、復帰タイミング、及び切替タイミング等を含む概念である。
【0073】
このうち、「復帰タイミング」とは、開閉制御システム40に対する外部電源からの電力の供給が停止された後に復帰したタイミングを意味する。また、「電力の供給が停止されている」とは、ユーザ(又はその他の作業者)の意図に反して、外部電源からの電力供給が止められることを意味し、例えば、外的要因(一例として、停電の発生、電源線の断線、又は自動ドア装置1のコンセントが外れること等)により電力の供給が止められること等が該当する。
【0074】
また、「切替タイミング」とは、切替部44によって電力の供給状態が遮断状態から継続状態に切り替えられたタイミングを意味する。
【0075】
ここで、後述する開閉処理が起動したタイミングで学習開閉制御を実行する理由については、全閉位置及び全開位置を特定することにより、全閉位置を制御の基点位置として開閉体20の開閉移動を正確に行うことができるようにするためである。
【0076】
また、復帰タイミング後に学習開閉制御を実行する理由については、以下に示す通りである。すなわち、開閉制御システム40に対する外部電源からの電力の供給が停止されている状態において、開閉体20の開閉移動が手動で行われると、開閉体20の位置がズレることから、上記電力の供給が復帰した際に位置検知部42によって開閉体20の位置を正確に検知できなくなる。これにより、上記復帰後において開閉体20の開閉移動を正確にできなくなるおそれがあることから、このような問題が生じることを回避するためである(なお、切替タイミング後に学習開閉制御を実行する理由についても略同様とする)。
【0077】
また、この第1開閉制御部63aの具体的な制御内容については任意であるが、実施の形態では、以下の通りとなる。
【0078】
すなわち、後述する開閉処理の処理において、後述する開閉処理が起動したタイミング後、復帰タイミング後、及び切替タイミング後には、学習開閉制御を実行する。ただし、後述するように、復帰タイミング後であっても、第2開閉制御部73aから学習停止信号(学習開閉制御の実行を停止する信号)を受信している場合には、学習停止信号を受信しなくなるまで学習開閉制御の実行を停止させることにより、ユーザの意図に反して開閉体20が開閉移動することを回避するようにする。
【0079】
また、後述する開閉処理のうち、少なくとも後述するSA7及びSA8の処理において、第2開閉制御部73aから後述する起動信号を受信していない場合に、開閉体20の位置が全開位置又は半開位置では、開閉駆動部31に対して閉鎖信号(開閉体20を閉鎖移動させる信号)を出力することで、開閉駆動部31によって開閉体20を閉鎖移動させる。また、開閉体20の位置が全閉位置では、開閉駆動部31に対して停止信号(開閉体20の開閉移動を停止させる信号)を出力することで、開閉駆動部31によって開閉体20の開閉移動を停止させること等が該当する。
【0080】
また、後述する開閉処理のうち、少なくとも後述するSA7及びSA8の処理において、第2開閉制御部73aから後述する起動信号を受信している場合に、開閉体20の位置が全閉位置又は半開位置では、開閉駆動部31に対して開放信号(開閉体20を開放移動させる信号)を出力することで、開閉駆動部31によって開閉体20を開放移動させる。また、開閉体20の位置が全開位置では、開閉駆動部31に対して停止信号を出力することで、開閉駆動部31によって開閉体20の開閉移動を停止させること等が該当する。なお、この第1制御部63によって実行される処理の詳細については後述する。
【0081】
(構成-開閉制御システム-制御装置-第1制御ユニット-第1記憶部)
第1記憶部64は、第1制御ユニット60の動作に必要なプログラム及び各種のデータを記憶する第1記憶手段であり、書き換え可能な記録媒体を用いて構成され、例えばフラッシュメモリ等の不揮発性記録媒体を用いることができる(なお、後述する第2記憶部74の構成についても略同様とする)。
【0082】
(構成-開閉制御システム-制御装置-第2制御ユニット)
第2制御ユニット70は、第1制御ユニット60を制御するユニットであり、第1制御ユニット60とは別体に構成されており(すなわち、後述の第2開閉制御部73aは、第1開閉制御部63aとは別体に構成されており)、
図3に示すように、第2通信部71、第2電源部72、第2制御部73、及び第2記憶部74を備えている。
【0083】
(構成-開閉制御システム-制御装置-第2制御ユニット-第2通信部)
第2通信部71は、錠部32、出力部33、内側検知部41、位置検知部42、切替部44、及び第1制御ユニット60との間で配線4を介して通信を行うための第2通信手段である。
【0084】
(構成-開閉制御システム-制御装置-第2制御ユニット-第2電源部)
第2電源部72は、外部電源から供給された電力を、配線4を介して第2制御ユニット70の各部に供給すると共に、配線4を介して錠部32、出力部33、内側検知部41、位置検知部42、及び切替部44にも供給する第2電源手段である。
【0085】
(構成-開閉制御システム-制御装置-第2制御ユニット-第2制御部)
第2制御部73は、第2制御ユニット70の各部を制御する制御手段であり、
図3に示すように、機能概念的に、第2開閉制御部73a及び開閉状態特定部73bを備えている。
【0086】
第2開閉制御部73aは、通常開閉制御及び学習開閉制御を行う開閉制御手段であると共に、内側検知部41の検知結果と、開閉状態特定部73bの特定結果とに基づいて、第1開閉制御部63aを制御する第2開閉制御手段である。
【0087】
また、この第2開閉制御部73aの具体的な制御内容については任意であるが、実施の形態では、後述する開閉処理の処理内容に応じて、開閉体20の開放移動を指示する旨を示す信号(以下、「起動信号」と称する)又は学習停止信号を第1開閉制御部63aに送信したり、又は送信しないことにより、第1開閉制御部63aを制御すること等が該当する。
【0088】
開閉状態特定部73bは、開閉体20の開閉状態を特定する開閉状態特定手段である。なお、この第2制御部73によって実行される処理の詳細については後述する。
【0089】
(構成-開閉制御システム-制御装置-第2制御ユニット-第2記憶部)
第2記憶部74は、第2制御ユニット70の動作に必要なプログラム及び各種のデータを記憶する第2記憶手段である。
【0090】
このような開閉制御システム40により、後述する開閉処理を実行できることから、ユーザが対象空間2を使用中に復帰タイミングが到来した際に、ユーザの意図に反して開閉体20が開閉移動することを回避でき、開閉制御システム40の使用性を高めることができる。また、開閉制御システム40に非常電源装置を設ける場合に比べて、開閉制御システム40を安価に製造でき、開閉制御システム40の設置コストを抑制できる。さらに、開閉体20の待機位置に応じて開閉制御システム40の制御内容を変更することを必要とせず、且つ汎用制御装置をそのまま利用して開閉体20の開閉移動を制御でき、開閉制御システム40の製造コストを低減できる。
【0091】
(開閉処理)
次に、上述のように構成された第1制御ユニット60の第1制御部63及び第2制御ユニット70の第2制御部73によって実行される開閉処理について説明する。以下の説明では、
図4から
図6に示す各処理の説明ではステップを「S」と略記する。
【0092】
開閉処理は、開閉体20の開閉移動を制御するための処理である。この開閉処理を実行するタイミングは任意であるが、実施の形態では、自動ドア装置1の電源が投入された後に起動されるものとして説明する。
【0093】
また、開閉処理の前提については、実施の形態では、以下に示す通りとなる。すなわち、
図4には図示していないものの、自動ドア装置1の設置時に開閉処理が起動された直後において後述する学習開閉処理(SA5)がすでに実行されていると共に、開閉体20を後述する待機位置に位置させているものとして説明する。また、
図4には図示していないものの、第1制御部63においては、開閉制御システム40に対する外部電源からの電力の供給が停止又は遮断されているかを監視すると共に、上記電力の供給が停止又は遮断された場合に上記電力の供給が復帰したか否かも監視するものとして説明する。
【0094】
図4に示すように、SA1において第2制御部73は、開閉制御システム40に対する外部電源からの電力の供給が停止されているか否かを判定する。
【0095】
具体的には、外部電源からの電力の供給量が閾値未満であるか否かに基づいて判定し、上記閾値未満である場合には上記電力の供給が停止されていると判定し、上記閾値未満でない場合には上記電力の供給が停止されていないと判定する。
【0096】
そして、第2制御部73は、上記電力の供給が停止されていると判定された場合(SA1、Yes)にはSA2へ移行し、上記電力の供給が停止されていないと判定された場合(SA1、No)にはSA4へ移行する。
【0097】
SA2において第2開閉制御部73aは、復帰タイミングが到来したか否かを判定する。
【0098】
この復帰タイミングが到来したか否かの判定方法については任意であるが、実施の形態では、第2記憶部74に記憶されている動作履歴情報(自動ドア装置1の各種の動作を示す情報)を参照しながら、開閉処理が起動されてからSA2において電力の供給が停止されたと判定された後(具体的には、外部電源からの電力の供給量が閾値未満になった後)、外部電源からの電力の供給量が開始された直後において外部電源からの電力の供給量が閾値以上になったか否かに基づいて判定する。ここで、上記閾値以上になった場合には復帰タイミングが到来したと判定し、上記閾値以上になっていない場合には復帰タイミングが到来していないと判定する。
【0099】
そして、第2開閉制御部73aは、復帰タイミングが到来したと判定されるまで待機する(SA2、No)。そして、復帰タイミングが到来したと判定された場合(SA2、Yes)には、SA3へ移行する。さらに、SA3において後述する開閉タイミングが到来したと判定されるまで、学習停止信号を第1開閉制御部63aに対して送信させることにより、復帰タイミングが到来した際に第1開閉制御部63aによって後述する学習開閉処理(SA5)が実行されることを停止させる。
【0100】
SA3において第2開閉制御部73aは、開閉体20の開閉移動を開始するタイミング(以下、「開閉タイミング」と称する)が到来したか否かを判定する。
【0101】
この開閉タイミングが到来したか否かの判定方法については任意であるが、実施の形態では、内側検知部41から内側開閉動作信号を受信したか否かに基づいて判定し、内側開閉動作信号を受信した場合には開閉タイミングが到来したと判定し、内側開閉動作信号を受信していない場合には開閉タイミングが到来していないと判定する。
【0102】
そして、第2開閉制御部73aは、開閉タイミングが到来したと判定されるまで待機し(SA3、No)、開閉タイミングが到来したと判定された場合(SA3、Yes)には、第1開閉制御部63aに対する学習停止信号の送信を停止させることにより、第1開閉制御部63aによって学習開閉処理(SA5)を実行させる。
【0103】
このようなSA1からSA3、SA5の処理により、開閉制御システム40に対して電源が投入されたタイミングで学習動作を行う場合に比べて、ユーザが対象空間2を使用中に復帰タイミングが到来した際に、ユーザの意図に反して開閉体20が開閉移動することを回避でき、開閉制御システム40の使用性を高めることができる。また、開閉制御システム40に非常電源装置を設ける場合に比べて、開閉制御システム40を安価に製造でき、開閉制御システム40の設置コストを抑制できる。
【0104】
SA4において第2開閉制御部73aは、切替タイミングが到来したか否かを判定する。
【0105】
この切替タイミングが到来したか否かの判定方法については任意であるが、実施の形態では、切替部44によって電力の供給状態が継続状態から遮断状態に切り替えられた後に、切替信号を受信したか否かに基づいて判定し、上記切替信号を受信した場合には切替タイミングが到来したと判定し、上記切替信号を受信していない場合には切替タイミングが到来していないと判定する。
【0106】
そして、第2開閉制御部73aは、切替タイミングが到来したと判定された場合(SA4、Yes)には、学習停止信号を第1開閉制御部63aに対して送信することなく、第1開閉制御部63aによって学習開閉処理(SA5)を実行させ(すなわち、内側検知部41の検知結果に関わらず、学習開閉処理(SA5)を実行させ)、切替タイミングが到来していないと判定された場合(SA4、No)には通常開閉処理(SA8)を起動する。
【0107】
このような処理により、切替タイミングが到来した際には、復帰タイミングが到来した場合に比べて学習開閉処理を迅速に行うことができ、開閉制御システム40の使用性を一層高めることができる。
【0108】
(開閉処理-学習開閉処理)
次に、
図4のSA5の学習開閉処理について説明する。
【0109】
学習開閉処理は、学習開閉制御を行うための処理であり、実施の形態では、第1制御ユニット60に組み込まれているプログラムに基づいて実行されるものとして説明する。
【0110】
学習開閉処理が起動されると、
図5に示すように、SB1において第1開閉制御部63aは、開閉駆動部31によって開閉体20を開放移動させる。具体的には、後述するSB2において開閉駆動部31の負荷量が閾値以上であると判定されるまで、当該開放移動を行う(より具体的には、後述するSC8の第1全開制御よりも、開閉体20を遅い速度で開放移動を行う)。
【0111】
SB2において第1開閉制御部63aは、開閉駆動部31の負荷量が閾値以上であるか否かを判定する。
【0112】
そして、第1開閉制御部63aは、上記閾値以上であると判定されるまで待機し(SB2、No)、上記閾値以上であると判定された場合(SB2、Yes)にはSB3へ移行する。
【0113】
SB3において、第1開閉制御部63aは、全開位置を特定する。
【0114】
この全開位置の特定方法については任意であるが、実施の形態では、SB3の処理直前に位置検知部42から受信された位置検知信号(具体的には、位置検知信号に含まれるカウント値情報)に対応する開閉体20の位置を、全開位置として特定する。
【0115】
SB4において第1開閉制御部63aは、開閉駆動部31によって開閉体20を閉鎖移動させる。具体的には、後述するSB5において開閉駆動部31の負荷量が閾値以上であり、且つ開閉体20の移動距離が所定値に達したと判定されるまで、当該閉鎖移動を行う(より具体的には、後述するSC4の第1全閉制御よりも、開閉体20を遅い速度で閉鎖移動を行う)。
【0116】
また、この所定値の設定方法については任意であるが、例えば、第2記憶部74(又は第1記憶部64)に記憶された移動距離情報であって、全開位置から全閉位置までの開閉体20の移動距離(いわゆるストローク)を示す移動距離情報に基づいて設定してもよく、あるいは、外部装置(例えば、端末装置等)から受信した移動距離情報に基づいて設定してもよい。
【0117】
SB5において第1開閉制御部63aは、開閉駆動部31の負荷量が閾値以上であり、且つ、位置検知部42の検知結果に基づいて、SB4の処理が終了してからの開閉体20の移動距離(具体的には、開閉体20の閉鎖移動による移動距離)が所定値(上記移動距離情報が示す移動距離)に達したか否かを判定する。ただし、これに限らず、例えば、上記閾値以上であるか否かのみに基づいて判定してもよく、あるいは、開閉体20の移動距離が所定値に達したか否かのみに基づいて判定してもよい。
【0118】
そして、第1開閉制御部63aは、上記閾値以上であり、且つ開閉体20の移動距離が所定値に達したと判定されるまで待機し(SB5、No)、上記閾値以上であり、且つ開閉体20の移動距離が所定値に達したと判定された場合(SB5、Yes)にはSB6へ移行する。
【0119】
SB6において、第1開閉制御部63aは、全閉位置を特定し、学習開閉処理を終了する。そして、第2開閉制御部73aは、学習開閉処理の終了をトリガとして、
図4のSA6へ移行する。
【0120】
また、この全閉位置の特定方法については任意であるが、実施の形態では、SB6の処理直前に位置検知部42から受信された位置検知信号に対応する開閉体20の位置を、全閉位置として特定する。
【0121】
以上のような学習開閉処理により、全開位置及び全閉位置を特定することができる。
【0122】
図4に戻り、SA6において第2開閉制御部73aは、開閉体20の位置が待機位置であるか否かを判定する。
【0123】
ここで、「待機位置」とは、開閉体20の開閉移動を待機する位置を意味し、実施の形態では、全開位置と同じ位置として説明する。
【0124】
また、この開閉体20の位置が待機位置であるか否かの判定方法については任意であるが、実施の形態では、SA6の処理直前に位置検知部42から受信された位置検知信号に対応する開閉体20の位置がSB3にて特定された全開位置と一致するか否かに基づいて判定し、上記一致する場合には上記待機位置であると判定し、上記一致しない場合には上記待機位置でないと判定する。
【0125】
そして、第2開閉制御部73aは、開閉体20の位置が待機位置であると判定された場合(SA6、Yes)には通常開閉処理(SA8)を起動する(すなわち、学習開閉処理が行われた後に、通常開閉処理を行う)。一方で、開閉体20の位置が待機位置でないと判定された場合(SA6、No)にはSA7へ移行する。
【0126】
SA7において第2開閉制御部73aは、調整開閉制御を行い、その後通常開閉処理(SA8)を起動する(すなわち、学習開閉処理が行われた後に、通常開閉処理を行う)。
【0127】
ここで、「調整開閉制御」とは、学習開閉制御を行われた直後に位置検知部42によって検知された開閉体20の位置が待機位置でない場合には、通常開閉制御が行われる前に、待機位置まで開閉体20を開閉移動させる制御を意味する。
【0128】
また、調整開閉制御の具体的な制御内容については任意であるが、実施の形態では、第2開閉制御部73aは、開閉体20の位置が待機位置(全開位置)になるまで、起動信号を第1開閉制御部63aに送信することにより、第2開閉制御部73aによって開閉体20を開放移動させる。
【0129】
また、この起動信号の送信方法については任意であるが、実施の形態では、調整開閉制御が実行されている間において起動信号を連続的に送信するが、これに限らず、例えば、断続的に送信してもよく、あるいは、1回のみ送信(いわゆるパルス送信)してもよい(なお、後述する第1全開制御、及び後述する第2全開制御についても同様とする)。
【0130】
このような処理により、学習開閉制御を行われた後に開閉体20を待機位置まで自動的に移動させることができ、通常開閉制御をスムーズに行うことが可能となる。
【0131】
(開閉処理-通常開閉処理)
次に、
図4のSA8の通常開閉処理について説明する。
【0132】
通常開閉処理は、通常開閉制御を行うための処理である。
【0133】
通常開閉処理が起動されると、
図6に示すように、SC1において開閉状態特定部73bは、開閉体20の開閉状態を特定する。
【0134】
この開閉体20の開閉状態の特定方法については任意であるが、実施の形態では、SC1の処理直前に位置検知部42から受信された位置検知信号と、SC1の処理直前に第1制御部63から開閉駆動部31に対して出力された制御信号(具体的には、閉鎖信号、開放信号、停止信号)に基づいて特定する。
【0135】
例えば、上記位置検知信号に対応する開閉体20の位置が全開位置であり、且つ上記制御信号が停止信号である場合には、全開状態として特定する。また、上記位置検知信号に対応する開閉体20の位置が全閉位置であり、且つ上記制御信号が停止信号である場合には、全開状態として特定する。また、上記位置検知信号に対応する開閉体20の位置が半開位置であり、且つ上記制御信号が閉鎖信号である場合には、半開閉鎖移動状態として特定する。また、上記位置検知信号に対応する開閉体20の位置が半開位置であり、且つ上記制御信号が開放信号である場合には、半開開放移動状態として特定する。
【0136】
SC2において開閉状態特定部73bは、SC1にて特定された開閉体20の開閉状態が全開状態であるか否かを判定する。
【0137】
そして、開閉状態特定部73bは、全開状態であると判定された場合(SC2、Yes)にはSC3へ移行し、全開状態でないと判定された場合(SC2、No)にはSC6へ移行する。
【0138】
SC3において第2開閉制御部73aは、内側検知部41から内側開閉動作信号を受信しているか否かを判定する。
【0139】
そして、第2開閉制御部73aは、内側開閉動作信号を受信していると判定された場合(SC3、Yes)にはSC4へ移行し、内側開閉動作信号を受信していないと判定された場合(SC3、No)にはSC5へ移行する。
【0140】
SC4において第2開閉制御部73aは、第1全閉制御を行う。その後、通常開閉処理を終了してSA1へ移行し、以降同様にSA1からSA8の処理を繰り返す。
【0141】
ここで、「第1全閉制御」とは、開閉体20の位置が全閉位置になるように、第1開閉制御部63aを制御することを意味する。
【0142】
また、第1全閉制御の具体的な制御内容については任意であるが、実施の形態では、第2開閉制御部73aが、開閉体20が全開位置から閉鎖方向側に向けて所定距離離れた位置に到達するまで、起動信号を第1開閉制御部63aに送信しないことにより、第1開閉制御部63aによって開閉体20を閉鎖移動させる。
【0143】
また、この所定距離の設定方法については任意であるが、例えば、第2記憶部74(又は第1記憶部64)に記憶された移動距離情報に基づいて設定してもよく、あるいは、外部装置(例えば、端末装置等)から受信した移動距離情報に基づいて設定してもよい。
【0144】
また、この所定距離の設定方法については任意であるが、例えば、第2記憶部74(又は第1記憶部64)に記憶された移動距離情報に基づいて設定してもよく、あるいは、外部装置(例えば、端末装置等)から受信した移動距離情報に基づいて設定してもよい。
【0145】
SC5において第2開閉制御部73aは、第2全開制御を行う。その後、通常開閉処理を終了してSA1へ移行し、以降同様にSA1からSA8の処理を繰り返す。
【0146】
ここで、「第2全開制御」とは、開閉体20の開閉状態を全開状態に維持するように、第1開閉制御部63aを制御することを意味する。
【0147】
また、第2全開制御の具体的な制御内容については任意であるが、実施の形態では、第2開閉制御部73aが、起動信号を第1開閉制御部63aに送信することにより、第1開閉制御部63aによって開閉体20の開閉移動を停止させる(具体的には、開閉体20を閉鎖移動させないようにする)。
【0148】
このようなSC2からSC5の処理により、待機位置が全開位置に設定されている場合に、ユーザによる対象空間2の使用状況に応じた開閉体20の開閉移動を行うことができ、開閉制御システム40の使用性を高めることができる。
【0149】
SC6において開閉状態特定部73bは、SC1にて特定された開閉体20の開閉状態が全閉状態であるか否かを判定する。
【0150】
そして、開閉状態特定部73bは、全閉状態であると判定された場合(SC6、Yes)にはSC7へ移行し、全閉状態でないと判定された場合(SC6、No)にはSC10へ移行する。
【0151】
SC7において第2開閉制御部73aは、内側検知部41から内側開閉動作信号を受信しているか否かを判定する。
【0152】
そして、第2開閉制御部73aは、内側開閉動作信号を受信していると判定された場合(SC7、Yes)にはSC8へ移行し、内側開閉動作信号を受信していないと判定された場合(SC7、No)にはSC9へ移行する。
【0153】
SC8において第2開閉制御部73aは、第1全開制御を行う。その後、通常開閉処理を終了してSA1へ移行し、以降同様にSA1からSA8の処理を繰り返す。
【0154】
ここで、「第1全開制御」とは、開閉体20の位置が全開位置になるように、第1開閉制御部63aを制御することを意味する。
【0155】
また、第1全開制御の具体的な制御内容については任意であるが、実施の形態では、第2開閉制御部73aが、起動信号を第1開閉制御部63aに送信することにより、第1開閉制御部63aによって開閉体20を開放移動させる。
【0156】
SC9において第2開閉制御部73aは、第2全閉制御を行う。その後、通常開閉処理を終了してSA1へ移行し、以降同様にSA1からSA8の処理を繰り返す。
【0157】
ここで、「第2全閉制御」とは、開閉体20の開閉状態を全閉状態に維持するように、第1開閉制御部63aを制御することを意味する。
【0158】
また、第2全閉制御の具体的な制御内容については任意であるが、実施の形態では、第2開閉制御部73aが、起動信号を第1開閉制御部63aに送信しないことにより、第1開閉制御部63aによって開閉体20の開閉移動を停止させる(具体的には、開閉体20を開放移動させないようにする)。
【0159】
このようなSC6からSC9の処理により、待機位置が全開位置に設定されている場合に、ユーザによる対象空間2の使用状況に応じた開閉体20の開閉移動を行うことができ、開閉制御システム40の使用性を一層高めることができる。また、SC2からSC9の処理により、内側検知部41だけを用いてユーザの対象空間2への出入りをスムーズに行うことができ、開閉制御システム40の設置コストを低減できる。
【0160】
SC10において第2開閉制御部73aは、半開制御を行う(すなわち、内側検知部41の検知結果に関わらず、半開制御を行う)。その後、通常開閉処理を終了してSA1へ移行し、以降同様にSA1からSA8の処理を繰り返す。
【0161】
ここで、「半開制御」とは、開閉体20の開閉状態を半開状態に維持するように、第1開閉制御部63aを制御することを意味する。
【0162】
また、内側検知部41の検知結果に関わらず、半開制御を行う理由については、以下に示す通りである。すなわち、内側検知部41の検知結果に基づいて半開制御を行う場合には、例えばSC4の第1全閉制御(開閉体20閉鎖移動)が行われてから全閉状態になるまでの間において、内側検知部41と荷物等との接触により内側検知部41が誤検知することにより、開閉体20の閉鎖移動を維持するのではなく、開閉体20を開放移動させる制御(いわゆる反転制御)を行ってしまう可能性がある。このようなユーザの意図しない制御(上記反転制御等)によって、ユーザが内側開閉動作を行う手間を要することになり、開閉制御システム40の使用性を低下させてしまうおそれがあるので、このような問題を回避するためである。
【0163】
また、半開制御の具体的な制御内容については任意であるが、実施の形態では、以下の通りとなる。
【0164】
すなわち、SC1にて特定された開閉体20の開閉状態が半開開放移動状態である場合には、第2開閉制御部73aが、起動信号を第1開閉制御部63aに送信することにより、第1開閉制御部63aによって開閉体20の開放移動を継続させる(具体的には、第1全開制御を継続させる)。
【0165】
また、SC1にて特定された開閉体20の開閉状態が半開閉鎖移動状態である場合には、第2開閉制御部73aが、起動信号を第1開閉制御部63aに送信しないことにより、第1開閉制御部63aによって開閉体20の閉鎖移動を継続させる(具体的には、第1全閉制御を継続させる)。
【0166】
このようなSC10の処理により、半開状態である場合に、内側検知部41の検知結果によって半開状態が維持されなくなることを回避でき、開閉制御システム40の使用性を高めることができる。
【0167】
以上のような開閉処理により、復帰タイミング及び切替タイミングが到来した際に、学習開閉制御を行った後に通常開閉制御を行うことができ、通常開閉制御を正確に行うことができる。また、第1制御ユニット60及び第2制御ユニット70を用いて、学習開閉制御及び通常開閉制御を正確に行うことができ、開閉体20の待機位置に応じて開閉制御システム40の制御内容を変更することを必要とせず、且つ汎用制御装置をそのまま利用して開閉体20の開閉移動を制御でき、開閉制御システム40の製造コストを低減できる。
【0168】
(開閉処理-具体的な処理内容)
続いて、実施の形態に係る開閉処理が実行される具体的な処理内容について、以下で説明する。
【0169】
(開閉処理-具体的な処理内容-1つ目の具体的な例)
最初に、1つ目の具体的な例について説明する。
【0170】
1つ目の具体的な例については、開閉処理が起動されてから
図4のSA8の通常開閉処理が行われた後に、ユーザが対象空間2を使用する場合には、以下に示す処理が行われる。
【0171】
すなわち、まず、ユーザが対象空間2に入る前には、
図6のSC2において全開状態と判定され、
図6のSC3において内側開閉動作信号が受信されていないので、
図6のSC5において第2全開制御によって全開状態が維持される。
【0172】
次に、ユーザが対象空間2に入った後に、内側検知部41によって内側開閉動作が検知されることで、
図6のSC3において内側開閉動作信号が受信されると、
図6のSC4において第1全閉制御によって開閉体20が閉鎖移動される。その後、
図6のSC6において全閉状態と判定されて、
図6のSC7において内側開閉動作信号が受信されていない場合には、
図6のSC9において第2全閉制御によって全閉状態が維持される。
【0173】
続いて、ユーザが対象空間2から出る直前に、内側検知部41によって内側開閉動作が検知されることで、
図6のSC7において内側開閉動作信号が受信されると、
図6のSC8において第1全開制御によって開閉体20が開放移動される。その後、
図6のSC2において全開状態と判定されると、
図6のSC3において内側開閉動作信号が受信されていない場合には、
図6のSC5において第2全開制御によって全開状態が維持される。これにより、ユーザが対象空間2から出ることができる。
【0174】
ここで、ユーザが対象空間2に入っている際に停電が発生した場合には、まず、
図4のSA1において開閉制御システム40に対する外部電源からの電力の供給が停止されていると判定される。次いで、停電が復旧することで
図4のSA2において復帰タイミングが到来したと判定された後、内側検知部41によって内側開閉動作が検知されるまで学習開閉処理が実行されないので、開閉体20が開閉移動することを回避できる。その後、ユーザが対象空間2から出る直前に、内側検知部41によって内側開閉動作が検知されることでSA3において開閉タイミングが到来したと判定されると、
図4のSA5の学習開閉処理が実行される。そして、
図4のSA7において調整開閉制御によって開閉体20が待機位置まで開放移動された後に、
図4のSA8の通常開閉処理が実行される。これにより、ユーザが対象空間2から出ることができる。
【0175】
このような1つ目の具体的な例に対応する処理により、待機位置が全開状態に対応する位置に設定されている場合に、ユーザによる対象空間2の使用状況に応じた開閉体20の開閉移動を行うことができる。また、ユーザが対象空間2を使用中に復帰タイミングが到来した際に、ユーザの意図に反して開閉体20が開閉移動することを回避できる。
【0176】
(開閉処理-具体的な処理内容-2つ目の具体的な例)
次に、2つ目の具体的な例について説明する。
【0177】
2つ目の具体的な例については、開閉処理が起動されてから
図4のSA8の通常開閉処理が行われた後に、自動ドア装置1の管理者(以下、「管理者」と称する)が対象空間2のメンテナンス作業を行う場合には、以下に示す処理が行われる。
【0178】
すなわち、まず、管理者が対象空間2に入る前には、
図6のSC2において全開状態と判定されて、
図6のSC3において内側開閉動作信号が受信されていないので、
図6のSC5において第2全開制御によって全開状態が維持される。
【0179】
次に、管理者が対象空間2に入った後に、内側検知部41によって内側開閉動作が検知されることで、
図6のSC3において内側開閉動作信号が受信されると、
図6のSC4において第1全閉制御によって開閉体20が閉鎖移動される。次いで、
図6のSC6において全閉状態と判定されて、
図6のSC7において内側開閉動作信号が受信されていない場合には、
図6のSC9において第2全閉制御によって全閉状態が維持される。その後、管理者の操作によって切替部44が電力の供給状態を継続状態から遮断状態に切り替えると、管理者がメンテナンス作業を行う。
【0180】
続いて、上記メンテナンス作業が終了した後に、管理者の操作によって切替部44が電力の供給状態を遮断状態から継続状態に切り替えることで、
図4のSA4において切替タイミングが到来したと判定されると、内側検知部41の検知結果に関わらず、
図4のSA5の学習開閉処理が実行される。そして、
図4のSA7において調整開閉制御によって開閉体20が待機位置まで開放移動された後に、
図4のSA8の通常開閉処理が実行される。これにより、管理者が対象空間2から出ることができる。
【0181】
このような2つ目の具体的な例に対応する処理により、管理者が対象空間2を使用中に切替タイミングが到来した際には、復帰タイミングが到来した場合に比べて学習開閉処理を迅速に行うことができる。
【0182】
(実施の形態の効果)
このように実施の形態によれば、開閉制御手段が、復帰タイミングが到来した際には、検知手段によって開閉タイミングが到来したことが検知されるまで、学習開閉制御を行わないので、ユーザが対象空間2を使用中に復帰タイミングが到来した際に、ユーザの意図に反して開閉体20が開閉移動することを回避でき、開閉制御システム40の使用性を高めることができる。また、非常電源装置を設ける場合に比べて、開閉制御システム40を安価に製造でき、開閉制御システム40の設置コストを抑制できる。
【0183】
また、開閉制御手段が、復帰タイミングが到来した際には、検知手段によって開閉タイミングが到来したことが検知されると、学習開閉制御を行い、学習開閉制御が行われた後に、通常開閉制御を行うので、復帰タイミングが到来した際でも通常開閉制御を正確に行うことができ、開閉制御システム40の使用性を維持しやすくなる。
【0184】
また、開閉制御手段が、切替タイミングが到来した際には、検知手段の検知結果に関わらず、学習開閉制御を行うので、切替タイミングが到来した際には、復帰タイミングが到来した場合に比べて学習開閉制御を迅速に行うことができ、開閉制御システム40の使用性を一層高めることができる。
【0185】
また、開閉制御手段が、学習開閉制御を行われた直後に位置検知部42によって検知された開閉体20の位置が待機位置でない場合には、通常開閉制御が行われる前に、調整開閉制御を行うので、学習開閉制御を行われた後に開閉体20を待機位置まで自動的に移動させることができ、通常開閉制御をスムーズに行うことが可能となる。
【0186】
また、開閉制御手段が、開閉体20の開閉移動を制御する第1開閉制御部63aと、第1開閉制御部63aとは別体に構成された第2開閉制御部73aであり、検知手段の検知結果に基づいて、第1開閉制御手段を制御する第2開閉制御部73aと、を備えるので、開閉体20の待機位置に応じて開閉制御システム40の制御内容を変更することを必要とせず、且つ汎用制御装置をそのまま利用して開閉体20の開閉移動を制御でき、開閉制御システム40の製造コストを低減できる。
【0187】
〔III〕実施の形態に対する変形例
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明の具体的な構成及び手段は、特許請求の範囲に記載した各発明の技術的思想の範囲内において、任意に改変及び改良することができる。以下、このような変形例について説明する。
【0188】
(解決しようとする課題や発明の効果について)
まず、発明が解決しようとする課題や発明の効果は、前記した内容に限定されるものではなく、本発明によって、前記に記載されていない課題を解決したり、前記に記載されていない効果を奏することもでき、また、記載されている課題の一部のみを解決したり、記載されている効果の一部のみを奏することがある。
【0189】
(分散や統合について)
また、上述した各電気的構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各部の分散や統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散又は統合して構成できる。例えば、第2制御ユニット70を、相互に通信可能に構成された複数の装置に分散して構成し、これら複数の装置の一部に第2制御部73を設けると共に、これら複数の装置の他の一部に第2記憶部74を設けてもよい。
【0190】
(形状、数値、構造、時系列について)
実施の形態や図面において例示した構成要素に関して、形状、数値、又は複数の構成要素の構造若しくは時系列の相互関係については、本発明の技術的思想の範囲内において、任意に改変及び改良することができる。
【0191】
(自動ドア装置について)
上記実施の形態では、自動ドア装置1が、錠部32及び出力部33を備えていると説明したが、これに限らず、例えば、錠部32又は出力部33の少なくともいずれか一方を省略してもよい。
【0192】
(開閉制御システムについて)
上記実施の形態では、開閉制御システム40が、切替部44を備えていると説明したが、これに限らず、例えば、切替部44を省略してもよい。この場合には、開閉処理のSA4の処理を省略すると共に、SA1において開閉制御システム40に対する外部電源からの電力の供給が停止されていないと判定された場合に、通常開閉処理(SA8)を起動してもよい。
【0193】
(検知手段について)
上記実施の形態では、検知手段が、内側検知部41を備えていると説明したが、これに限らない。例えば、対象空間2が会議室等である場合には、内側検知部41に加えて、さらに異なる他の検知手段(一例として、外側開閉動作を検知する外側検知手段)を備えてもよい。なお、「外側開閉動作」とは、対象空間2の外側に存在するユーザによって行われる動作であって、開閉体20の開閉動作を開始するトリガとなる動作を意味する。
【0194】
また、上記実施の形態では、内側検知部41が透過型の光電センサであると説明したが、これに限らず、量子型の赤外線センサ、又は押しボタン式スイッチであってもよい。
【0195】
(制御装置について)
上記実施の形態では、制御装置50が、それぞれ別体に構成された第1制御ユニット60及び第2制御ユニット70を備えていると説明したが、これに限らない。例えば、第1制御ユニット60及び第2制御ユニット70の機能を有する一つの制御ユニットを備えてもよい(すなわち、第1開閉制御手段及び第2開閉制御手段を1つの開閉制御手段として一体に構成してもよい)。この場合には、開閉体20の待機位置に応じて開閉制御システム40の制御内容を変更することが望ましい。
【0196】
また、上記実施の形態では、第1制御ユニット60が、常閉仕様の汎用制御装置で構成されていると説明したが、これに限らない。例えば、対象空間2が特殊な作業室等である場合には、常開仕様の汎用制御装置で構成されてもよい。この場合には、起動信号は、開閉体20の閉鎖移動を指示する旨を示す信号とし、待機位置が全閉位置に設定し、及び、内側検知部41に代えて、上記外側検知手段が設けられてもよい。
【0197】
(第2制御部について)
上記実施の形態では、第2制御部73が、開閉状態特定部73bを備えていると説明したが、これに限らず、例えば、開閉状態特定部73bを省略してもよい。この場合には、内側検知部41が、開閉体20の開放動作を開始するトリガとなる内側開放動作を検知する第1内側検知部と、開閉体20の閉鎖動作を開始するトリガとなる内側閉鎖動作を検知する第2内側検知部とを備えてもよい。そして、通常開閉処理において、第2開閉制御部73aは、第1内側検知部及び第2内側検知部の検知結果に基づいて(すなわち、検知手段の検知結果のみに基づいて)、第1開閉制御部63aを制御してもよい。
【0198】
一例として、通常開閉処理では、第2開閉制御部73aは、学習開閉制御が行われて待機位置まで開閉体20を位置させた後に、第1内側検知部によって内側開放動作が検知されておらず、且つ第2内側検知部によって内側閉鎖動作が検知されていない場合には、開閉体20の開閉状態を全開状態に維持するように、第1開閉制御部63aを制御してもよい。次いで、第2内側検知部によって内側閉鎖動作が検知された場合には、開閉体20の開閉状態が全閉状態になるように、第1開閉制御部63aを制御すると共に、第1内側検知部によって内側開放動作が検知されるまで、開閉体20の開閉状態を全閉状態に維持するように、第1開閉制御部63aを制御してもよい。続いて、第1内側検知部によって内側開放動作が検知された場合には、開閉体20の開閉状態が全開状態になるように、第1開閉制御部63aを制御すると共に、第1内側検知部によって内側閉鎖動作が検知されるまで、開閉体20の開閉状態を全開状態に維持するように、第1開閉制御部63aを制御してもよい。
【0199】
(開閉処理について)
上記実施の形態では、SA1、SA2の処理が個別に行われると説明したが、これに限らず、例えば、SA1及びSA2の処理がまとめて行われてもよい。一例として、第2記憶部74に記憶されている動作履歴情報を参照しながら開閉処理において電力の供給が停止されてから復帰タイミングが到来したか否かを判定してもよい。具体的には、開閉処理において外部電源からの電力の供給量が閾値未満になってから、外部電源からの電力の供給が再開された際に外部電源からの電力の供給量が閾値以上になったか否かに基づいて判定してもよい。
【0200】
また、上記実施の形態では、SA7の処理が行われると説明したが、これに限らず、例えば、SA7の処理を省略してもよい。この場合において、SA6において開閉体20の位置が待機位置でないと判定された場合には、開閉体20の位置が待機位置となるように、管理者等によって開閉体20を手動で開閉移動させてもよい。
【0201】
また、上記実施の形態では、SA4において切替タイミング到来したと判定された場合に、内側検知部41の検知結果に関わらず、学習開閉処理(SA5)を起動すると説明したが、これに限らない。例えば、SA4において切替タイミング到来したと判定された場合に、内側検知部41によって開閉タイミングが到来したことが検知されることで、学習開閉処理(SA5)を起動するようにしてもよい。
【0202】
(学習開閉処理について)
上記実施の形態では、開閉体20を全開位置まで開放移動させて全開位置を特定した後に、全閉位置まで閉鎖移動させて全閉位置を特定すると説明したが、これに限らない。例えば、開閉体20を全閉位置まで開放移動させて全閉位置を特定した後に、全開位置まで閉鎖移動させて全開位置を特定してもよい。
【0203】
(付記)
付記1の開閉制御システムは、対象空間に設けられる自動ドア装置を構成する開閉体であり、前記対象空間における開閉対象領域の開閉を行う開閉体の開閉移動を制御するための開閉制御システムであって、前記開閉体の開閉移動を開始する開閉タイミングが到来したことを検知する検知手段と、前記検知手段の検知結果に基づいて前記開閉体を開閉移動させる制御である通常開閉制御と、前記通常開閉制御が行われる前の所定のタイミングで行う制御であり、前記開閉体を開閉移動させることにより、前記開閉体によって前記開閉対象領域を全開した全開状態に対応する全開位置と、前記開閉体によって前記開閉対象領域を全閉した全閉状態に対応する全閉位置とを特定する制御である学習開閉制御と、を行う開閉制御手段と、を備え、前記開閉制御手段は、前記所定のタイミングのうち、当該開閉制御システムに対する外部電源からの電力の供給が停止された後に復帰したタイミングである復帰タイミングが到来した際には、前記検知手段によって前記開閉タイミングが到来したことが検知されるまで、前記学習開閉制御を行わない。
【0204】
付記2の開閉制御システムは、付記1に記載の開閉制御システムにおいて、前記開閉制御手段は、前記復帰タイミングが到来した際には、前記検知手段によって前記開閉タイミングが到来したことが検知されると、前記学習開閉制御を行い、前記学習開閉制御が行われた後に、前記通常開閉制御を行う。
【0205】
付記3の開閉制御システムは、付記1又は2に記載の開閉制御システムにおいて、前記電力の供給状態を、前記電力の供給を継続している継続状態と前記電力の供給を遮断している遮断状態とに切り替える切替手段を備え、前記開閉制御手段は、前記所定のタイミングのうち、前記切替手段によって前記電力の供給状態が前記遮断状態から前記継続状態に切り替えられたタイミングである切替タイミングが到来した際には、前記検知手段の検知結果に関わらず、前記学習開閉制御を行う。
【0206】
付記4の開閉制御システムは、付記1から3のいずれか一項に記載の開閉制御システムにおいて、前記開閉体の位置を検知する位置検知手段を備え、前記開閉制御手段は、前記学習開閉制御を行われた直後に前記位置検知手段によって検知された前記開閉体の位置が前記開閉体の開閉移動を待機する位置である待機位置でない場合には、前記通常開閉制御が行われる前に、前記待機位置まで前記開閉体を開閉移動させる制御である調整開閉制御を行う。
【0207】
付記5の開閉制御システムは、付記1から4のいずれか一項に記載の開閉制御システムにおいて、前記開閉制御手段は、前記開閉体の開閉移動を制御する第1開閉制御手段と、前記第1開閉制御手段とは別体に構成された第2開閉制御手段であり、前記検知手段の検知結果に基づいて、前記第1開閉制御手段を制御する第2開閉制御手段と、を備える。
【0208】
(付記の効果)
付記1に記載の開閉制御システムによれば、開閉制御手段が、復帰タイミングが到来した際には、検知手段によって開閉タイミングが到来したことが検知されるまで、学習開閉制御を行わないので、ユーザが対象空間を使用中に復帰タイミングが到来した際に、ユーザの意図に反して開閉体が開閉移動することを回避でき、開閉制御システムの使用性を高めることができる。
また、非常電源装置を設ける場合に比べて、開閉制御システムを安価に製造でき、開閉制御システムの設置コストを抑制できる。
【0209】
付記2に記載の開閉制御システムによれば、開閉制御手段が、復帰タイミングが到来した際には、検知手段によって開閉タイミングが到来したことが検知されると、学習開閉制御を行い、学習開閉制御が行われた後に、通常開閉制御を行うので、復帰タイミングが到来した際でも通常開閉制御を正確に行うことができ、開閉制御システムの使用性を維持しやすくなる。
【0210】
付記3に記載の開閉制御システムによれば、開閉制御手段が、切替タイミングが到来した際には、検知手段の検知結果に関わらず、学習開閉制御を行うので、切替タイミングが到来した際には、復帰タイミングが到来した場合に比べて学習開閉制御を迅速に行うことができ、開閉制御システムの使用性を一層高めることができる。
【0211】
付記4に記載の開閉制御システムによれば、開閉制御手段が、学習開閉制御を行われた直後に位置検知手段によって検知された開閉体の位置が待機位置でない場合には、通常開閉制御が行われる前に、調整開閉制御を行うので、学習開閉制御を行われた後に開閉体を待機位置まで自動的に移動させることができ、通常開閉制御をスムーズに行うことが可能となる。
【0212】
付記5に記載の開閉制御システムによれば、開閉制御手段が、開閉体の開閉移動を制御する第1開閉制御手段と、第1開閉制御手段とは別体に構成された第2開閉制御手段であり、検知手段の検知結果に基づいて、第1開閉制御手段を制御する第2開閉制御手段と、を備えるので、開閉体の待機位置に応じて開閉制御システムの制御内容を変更することを必要とせず、且つ汎用制御装置をそのまま利用して開閉体の開閉移動を制御でき、開閉制御システムの製造コストを低減できる。
【符号の説明】
【0213】
1 自動ドア装置
2 対象空間
3 開閉対象領域
4 配線
5 壁部
5a 左側壁部
5b 右側壁部
5c 前側壁部
5d 後側壁部
5e 戸先側壁部
5f 戸尻側壁部
5g 戸当たり部
6 便器
10 ガイドレール部
11 下地材
20 開閉体
21 表面材
31 開閉駆動部
32 錠部
33 出力部
40 開閉制御システム
41 内側検知部
42 位置検知部
44 切替部
50 制御装置
60 第1制御ユニット
61 第1通信部
62 第1電源部
63 第1制御部
63a 第1開閉制御部
64 第1記憶部
70 第2制御ユニット
71 第2通信部
72 第2電源部
73 第2制御部
73a 第2開閉制御部
73b 開閉状態特定部
74 第2記憶部