(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022131241
(43)【公開日】2022-09-07
(54)【発明の名称】走行装置における動力伝達装置の分離機構
(51)【国際特許分類】
A01D 34/76 20060101AFI20220831BHJP
A01D 34/685 20060101ALI20220831BHJP
A01D 34/64 20060101ALI20220831BHJP
【FI】
A01D34/76 E
A01D34/685
A01D34/64 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021030086
(22)【出願日】2021-02-26
(71)【出願人】
【識別番号】390005234
【氏名又は名称】株式会社筑水キャニコム
(74)【代理人】
【識別番号】110002549
【氏名又は名称】弁理士法人綾田事務所
(72)【発明者】
【氏名】包行 良光
(72)【発明者】
【氏名】安部 佳騎
(72)【発明者】
【氏名】山崎 久興
【テーマコード(参考)】
2B083
【Fターム(参考)】
2B083AA02
2B083BA12
2B083BA18
2B083DA02
2B083DA07
2B083EA06
(57)【要約】 (修正有)
【課題】動力伝達装置部のメンテナンス性を向上することができる走行装置における動力伝達装置の分離機構を提供する。
【解決手段】原動機4のPTO軸13が垂直に配置され、原動機4は原動機固定台14に固定され、原動機固定台14は走行装置のシャ-シーフレーム5の側縁部に設けられた回動軸15を中心として上下回動可能に構成され、走行装置のシャーシフレーム5上に配置された原動機5のPTO軸13を、動力伝達装置部と分離可能に構成されている。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行装置のシャーシフレーム上に配置された原動機のPTO軸を、動力伝達装置部と分離可能に構成されていることを特徴とする走行装置における動力伝達装置の分離機構。
【請求項2】
請求項1記載の走行装置における動力伝達装置の分離機構において、
前記原動機のPTO軸が垂直に配置され、
前記原動機は原動機固定台に固定され、
前記原動機固定台は走行装置のシャ-シーフレームの側縁部に設けられた回動軸を中心として上下回動可能に構成されていることを特徴とする走行装置における動力伝達装置の分離機構。
【請求項3】
請求項1又は2記載の走行装置における動力伝達装置の分離機構において、
前記原動機のPTO軸側にオス型テーパ部を、動力伝達装置側の駆動プーリの内径側にはメス型テーパ部をそれぞれ有するカップリングを備え、カップリングの勘合時に調芯をした状態で、原動機のPTO軸と動力伝達装置部との間の動力を伝達するように構成されていることを特徴とする走行装置における動力伝達装置の分離機構。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項に記載の走行装置における動力伝達装置の分離機構において、
前記走行装置が原動機で駆動する刈刃装置を備えた草刈機であることを特徴とする走行装置における動力伝達装置の分離機構。
【請求項5】
請求項4項に記載の走行装置における動力伝達装置の分離機構において、
前記走行装置が運転席と操舵装置を備えた乗用草刈機であることを特徴とする走行装置における動力伝達装置の分離機構。
【請求項6】
請求項1~3のいずれか1項に記載の走行装置における動力伝達装置の分離機構において、
前記走行装置が原動機で駆動する刈刃装置を備えた芝刈機であることを特徴とする走行装置における動力伝達装置の分離機構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乗用草刈機等の走行装置における動力伝達装置の分離機構に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、乗用草刈機は原動機によって駆動される走行装置と草刈用回転刃を備えており、作業者が搭乗操作を行いながら草を刈る構成となっている。
乗用草刈機はシャーシフレームの底に備えられた刈刃回転刃を回転させるために、走行駆動軸や刈刃駆動軸は垂直に配置し、同軸上にある駆動プーリへ、原動機PTO軸に装着された駆動プーリの回転動力を刈刃Vベルトにて伝達している。
また、走行装置部もシャーシフレームに備えられた減速機へ走行Vベルトを介して伝えられ、シャーシフレームに備えられた車輪が回転することで走行する。
(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の乗用草刈機の動力伝達部はシャーシフレーム上面に配置された原動機固定台を基準に、上部に原動機、下部に走行部と刈刃回転刃が配置されているが、各装置間の動力伝達装置部は同様に下部に配置されているため、見えにくく、メンテナンスはシャーシフレームの下方よりアクセスしなければならず、メンテナンス品質にも問題があった。
【0005】
本発明の解決しようとする課題は、動力伝達装置部のメンテナンス性を向上することができる走行装置における動力伝達装置の分離機構を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため請求項1記載の走行装置における動力伝達装置の分離機構は、走行装置のシャーシフレーム上に配置された原動機のPTO軸を、動力伝達装置部と分離可能に構成されていることを特徴とする。
【0007】
請求項2記載の走行装置における動力伝達装置の分離機構は、請求項1記載の走行装置における動力伝達装置の分離機構において、
前記原動機のPTO軸が垂直に配置され、
前記原動機は原動機固定台に固定され、
前記原動機固定台は走行装置のシャ-シーフレームの側縁部に設けられた回動軸を中心として上下回動可能に構成されていることを特徴とする。
【0008】
請求項3記載の走行装置における動力伝達装置の分離機構は、請求項1又は2記載の走行装置における動力伝達装置の分離機構において、
前記原動機のPTO軸側にオス型テーパ部を、動力伝達装置側の駆動プーリの内径側にはメス型テーパ部をそれぞれ有するカップリングを備え、カップリングの勘合時に調芯をした状態で、原動機のPTO軸と動力伝達装置部との間の動力を伝達するように構成されていることを特徴とする。
【0009】
請求項4記載の走行装置における動力伝達装置の分離機構は、請求項1~3のいずれか1項に記載の走行装置における動力伝達装置の分離機構において、
前記走行装置が原動機で駆動する刈刃装置を備えた草刈機であることを特徴とする。
【0010】
請求項5記載の走行装置における動力伝達装置の分離機構は、請求項4項に記載の走行装置における動力伝達装置の分離機構において、
前記走行装置が運転席と操舵装置を備えた乗用草刈機であることを特徴とする。
【0011】
請求項6記載の走行装置における動力伝達装置の分離機構は、請求項1~3のいずれか1項に記載の走行装置における動力伝達装置の分離機構において、
前記走行装置が原動機で駆動する刈刃装置を備えた芝刈機であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明の走行装置における動力伝達装置の分離機構では、上述のように、走行装置のシャーシフレーム上に配置された原動機のPTO軸を、動力伝達装置部と分離可能に構成することで、メンテナンス時に動力伝達装置部から原動機を切り離すことができるため、従来メンテナンス時に原動機で見えにくかった動力伝達装置部を直視することが出来るようになり、動力伝達装置部のメンテナンス性の向上が図れるようになる。
【0013】
また、原動機のPTO軸が垂直に配置され、原動機は原動機固定台に固定され、原動機は原動機固定台に固定された走行装置において、原動機固定台を走行装置のシャ-シーフレームの側縁部に設けられた回動軸を中心として上下回動可能に構成することで、原動機のPTO軸と動力伝達装置部と切り離すことができるため、従来メンテナンス時に原動機で見えにくかった動力伝達装置部を上方から直視することが出来るようになり、動力伝達装置部のメンテナンス性の向上が図れるようになる。
【0014】
また、原動機のPTO軸側にオス型テーパ部を、動力伝達装置側の駆動プーリの内径側にはメス型テーパ部をそれぞれ備えたカップリングを備えることにより、カップリングの勘合時に自動的に調芯をした状態で原動機のPTO軸と動力伝達装置部との間の動力接続が完了し、これによりメンテナンス時間の短縮が図れるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】実施例1の走行装置における動力伝達装置の分離機構を備えた乗用草刈機を示す平面図である。
【
図4】実施例1の走行装置における動力伝達装置の分離機構における原動機部を回転して動力伝達装置部を開放する前の状態を示す一部切欠拡大背面図である。
【
図5】実施例1の走行装置における動力伝達装置の分離機構における原動機部を回転して動力伝達装置部を開放した状態を示一部切欠拡大背面図である。
【
図6】実施例1の走行装置における動力伝達装置の分離機構における原動機部を回転して動力伝達装置部を開放した状態を示す斜視図である。
【
図8】実施例1の走行装置における動力伝達装置の分離機構における動力伝達装置部の詳細を示す平面説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下にこの発明の実施例を図面に基づいて説明する。
【実施例0017】
まず、この実施例1の乗用草刈機における動力伝達装置の分離機構を図面に基づいて説明する。
この実施例1の動力伝達装置の分離機構を備えた乗用草刈機は、人が搭乗して操作を行う乗用型草刈機であり、
図1~8に示すように、シャーシフレーム部1と、その上方に配置した原動機4を内臓した原動機部2と、その下方に設けた動力伝達装置部3と、刈刃装置12と、を主な構成として備えている。
【0018】
さらに詳述すると、前記原動機4によって駆動される動力伝達装置部3は、
図8に示すように、シャーシフレーム5下方に設けられた駆動プーリ6と、伝達力を伝える刈刃Vベルト7と、走行Vベルト8と、走行プーリ9と、刈刃プーリ10を備え、走行減速機11と刈刃装置12へそれぞれ原動機4の駆動力を伝える。
【0019】
また、
図4、5に示すように、前記原動機4のPTO軸13側にオス型テーパ部16aを、駆動プーリ6の内径側にはメス型テーパ部16bをそれぞれ備えたカップリング16により、勘合時に調芯を自動的に行うことにより原動機4のPTO軸13と動力伝達装置部3との間の動力を伝達する。
【0020】
刈刃装置12に設けられた刈刃プーリ10の動力が伝わると、刈刃駆動軸21を回し、最下部に設けられた刈刃回転刃22が回転して草刈を行う。
【0021】
駆動プーリ6に原動機4の動力が伝わると、走行減速機11を介し駆動軸17を回し後輪18を駆動する。
後輪タイヤ18が駆動され回転することで、機体全体が前進または後退方向へ動く。
【0022】
機体を右旋回する場合はハンドル19を右回転させ、左旋回する場合はハンドル19を左回転させることで前輪タイヤ20の向きが変わり旋回する。
【0023】
また、
図4、5に示すように、前記原動機4は原動機台14に固定され、原動機台14は、シャ-シーフレーム5の側縁部に設けられた回動軸15を中心として回動可能に構成されていて、原動機4の原動機固定台14がシャ-シーフレーム5の側縁部に設けられた回動軸15を中心として回動することにより、動力伝達装置部3に対して原動機部2が持ち上がって原動機4のPTO軸13と動力伝達装置部3との間の動力伝達が切り離されると共に、動力伝達装置部3を上方から直視できるようになる。
【0024】
次に実施例1の作用・効果を説明する
従来、動力伝達装置3に設けられた刈刃Vベルト7や走行Vベルト8は摩耗により伝達力低下となるため、定期的に交換が必要となり、交換の際はVベルトの張力を緩めVベルトを脱着するが、動力伝達装置の分離機構を備えていない場合は原動機固定台下部へのアクセスがやりにくく交換には時間を要する。
そこで、上述の動力伝達装置の分離機構により原動機4を回動させて持ち上げることでき、動力伝達装置部3の各Vベルト等の点検整備箇所を上方から直視可能になるため、点検整備の品質が確保され安全性が保たれる。
【0025】
また、原動機4のPTO軸13側にオス型テーパ部16aを、駆動プーリ6の内径側にはメス型テーパ部16bをそれぞれ備えたカップリング16を備えることで、カップリング16の勘合時に自動的に調芯がおこなわれると同時に、原動機4のPTO軸13と動力伝達装置部3との間の動力接続が完了する。
【0026】
以上本実施例を説明してきたが、本発明は上述の実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等があっても、本発明に含まれる。
【0027】
例えば、実施例1では、原動機のPTO軸が垂直に配置された乗用草刈機を例にとって説明したが、原動機のPTO軸が水平に配置されている場合は、動力伝達装置の分離機構として原動機を水平方向にスライド可能に構成するようにしてもよい。