(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022131267
(43)【公開日】2022-09-07
(54)【発明の名称】発話システム及び警報装置
(51)【国際特許分類】
G10L 13/02 20130101AFI20220831BHJP
G10L 15/10 20060101ALI20220831BHJP
G10L 25/21 20130101ALI20220831BHJP
【FI】
G10L13/02 130Z
G10L15/10 500Z
G10L25/21
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021030127
(22)【出願日】2021-02-26
(71)【出願人】
【識別番号】000000284
【氏名又は名称】大阪瓦斯株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100154726
【弁理士】
【氏名又は名称】宮地 正浩
(72)【発明者】
【氏名】岡本 秀樹
(57)【要約】
【課題】音声情報をスピーカから順次出力させる音声出力処理部を備えた発話システムにおいて、スピーカから出力された音声情報をユーザが聴き取れなかった場合などに既に出力された音声情報をスピーカから再度出力させるというような再発話機能を簡単且つ廉価な構成で実現可能な技術を提供する。
【解決手段】特定の再発話用判定条件を満たす音響の入力に伴って再発話指令を出力する音響指令出力部20と、音声出力処理部23が出力中又は出力後の音声情報を再発話対象に逐次設定する再発話対象設定処理を実行すると共に、音響指令出力部20により再発話指令が出力された際に再発話対象の音声情報を冒頭から再度音声出力処理部23に出力させる再発話制御を実行する再発話制御部12と、を備えた。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
音声情報をスピーカから順次出力させる音声出力処理部を備えた発話システムであって、
特定の再発話用判定条件を満たす音響の入力に伴って再発話指令を出力する音響指令出力部と、
前記音声出力処理部が出力中又は出力後の音声情報を再発話対象に逐次設定する再発話対象設定処理を実行すると共に、前記音響指令出力部により前記再発話指令が出力された際に前記再発話対象の音声情報を冒頭から再度前記音声出力処理部に出力させる再発話制御を実行する再発話制御部と、を備えた発話システム。
【請求項2】
前記音響指令出力部が、所定の再発話用設定音圧レベル以上の音圧レベルを有する音響の入力を、前記再発話用判定条件を満たす音響の入力として識別する請求項1に記載の発話システム。
【請求項3】
前記音響指令出力部が、所定の再発話用設定音圧レベル以上の音圧レベルを有する音響の所定の再発話用設定回数連続した入力を、前記再発話用判定条件を満たす音響の入力として識別する請求項1に記載の発話システム。
【請求項4】
前記音響指令出力部が、前記スピーカからの出力音圧レベル又は周囲環境からの入力音圧レベルに基づいて前記再発話用設定音圧レベルを補正する請求項2又は3に記載の発話システム。
【請求項5】
前記再発話制御部が、前記再発話対象設定処理において、前記音声出力処理部が出力中の音声情報を前記再発話対象に設定すると共に当該音声情報の出力終了時点から所定時間が経過するまでの間は前記再発話対象の更新を禁止する請求項1~4の何れか1項に記載の発話システム。
【請求項6】
前記再発話制御部が、前記再発話制御を実行して前記再発話対象の音声情報を再度前記音声出力処理部に出力させるにあたり、当該音声情報をユーザによる認識性が高い高認識状態で出力する請求項1~5の何れか1項に記載の発話システム。
【請求項7】
前記音響指令出力部が、前記スピーカをマイクとして利用して当該スピーカから音響の入力を受け付ける請求項1~6の何れか1項に記載の発話システム。
【請求項8】
ユーザの居所の異常状態を監視する警報装置であって、
請求項1~7の何れか1項に記載の発話システムを備え、
前記音声出力処理部が、前記異常状態に関する報知情報を前記音声情報として前記スピーカから順次出力させる警報装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、音声情報をスピーカから順次出力させる音声出力処理部を備えた発話システム及びそれを備えた警報装置に関する。
【背景技術】
【0002】
音声情報をスピーカから順次出力(本願では、音声情報をスピーカから出力することを「発話」と呼ぶ場合がある。)させる音声出力処理部を備えた発話システムが知られている(特許文献1,2を参照。)。
特許文献1記載の発話システムは、音声出力処理部に加えてユーザの音声を識別する音声識別機能を有する所謂スマートスピーカと呼ばれるシステムであって、ユーザからの音声を識別し、その音声を識別して得た指令に応じてウェブなどの外部情報源から所望のコンテンツ情報を収集し、その収集したコンテンツ情報を音声情報に変換してスピーカから順次出力するものとして構成されている。
特許文献2記載の発話システムは、学習者がキーボードから入力した入力文に対して生成された出力文を音声で出力する語学用教育装置であって、学習者がキーボードの入力操作によってリピート要求コードを入力したときには最新の出力文を再度音声で出力する発話繰り返し機能を有する。
特許文献3記載の発話システムは、音声出力処理部に加えてユーザの音声を識別する音声識別機能を有してユーザとの対話を行うことができるシステムであって、ユーザからの音声を識別し、その音声を識別して得た指令に応じて音声情報の出力を抑止可能なものとして構成されている。
また、ユーザの居所の異常状態を監視する警報装置であって、異常状態に関する報知情報を音声情報としてスピーカから順次出力させる音声出力処理部を備えた発話システムを備えたものが知られている(特許文献4を参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-021040号公報
【特許文献2】特開平03-226783号公報
【特許文献3】特開2017-161637号公報
【特許文献4】特開2020-155956号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特に発話システムを備えた警報装置のようにユーザの要求とは関係なく音声情報をスピーカから出力する構成では、スピーカから出力された音声情報をユーザが聴き取れない場合などに、既に出力された音声情報をスピーカから再度出力させるというような再発話機能の採用が望まれる。
上記特許文献2記載の発話システムのように、キーボードからの入力操作を受け付ける発話システムでは、ユーザがキー入力操作によってリピート要求コードを入力すれば、既に出力された音声情報をスピーカから再度出力させることができるが、キーボードなどのキー入力装置が必要となる上に、それが手の届かない所に設置される場合や、ユーザの手が塞がっている場合には、リピート要求コードの入力を行うことができないという問題がある。
【0005】
また、上記特許文献1,3のように、音声識別機能を有する発話システムでは、ユーザの音声を識別し、その音声を識別した指令に応じて既に出力された音声情報をスピーカから再度出力させることができるが、比較的大がかりな音声識別機能を備える必要があるために、システムが高価で大掛かりなものとなるという問題がある。
この実情に鑑み、本発明の主たる課題は、音声情報をスピーカから順次出力させる音声出力処理部を備えた発話システムにおいて、スピーカから出力された音声情報をユーザが聴き取れなかった場合などに既に出力された音声情報をスピーカから再度出力させるというような再発話機能を簡単且つ廉価な構成で実現可能な技術を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1特徴構成は、音声情報をスピーカから順次出力させる音声出力処理部を備えた発話システムであって、
特定の再発話用判定条件を満たす音響の入力に伴って再発話指令を出力する音響指令出力部と、
前記音声出力処理部が出力中又は出力後の音声情報を再発話対象に逐次設定する再発話対象設定処理を実行すると共に、前記音響指令出力部により前記再発話指令が出力された際に前記再発話対象の音声情報を冒頭から再度前記音声出力処理部に出力させる再発話制御を実行する再発話制御部と、を備えた点にある。
【0007】
本構成によれば、スピーカから出力された音声情報をユーザが聴き取れなかった場合などにおいて、当該ユーザがキー入力装置などを行うことなく特定の再発話用判定条件を満たす音響を発するだけで、上記音響指令出力部により、その音響の入力に伴って再発話指令を出力することができる。一方、上記再発話制御部により上記再発話対象設定処理が実行されるので、上記音声出力処理部が出力中又は出力後の音声情報が逐次再発話対象に設定されている。よって、上記音響指令出力部により再発話指令が出力された際に上記再発話制御部により上記再発話制御が実行されるので、そのときに既にスピーカから出力されて上記再発話対象に設定されている音声情報を冒頭から再度スピーカに出力させる(本願では、このように既に出力された音声情報を再度出力することを「再発話」と呼ぶ場合がある。)ことができる。そして、高価で大掛かりな音声認識機能を必要とせずに、上記音響指令出力部のように特定の条件を満たす音響の入力に伴って識別するという簡単且つ合理的な構成を採用するだけで、上述のような再発話を行わせるための再発話機能を実現することができる。
従って、本発明により、音声情報をスピーカから順次出力させる音声出力処理部を備えた発話システムにおいて、スピーカから出力された音声情報をユーザが聴き取れなかった場合などに既に出力された音声情報をスピーカから再度出力させるというような再発話機能を簡単且つ廉価な構成で実現可能な技術を提供することができる。
【0008】
本発明の第2特徴構成は、前記音響指令出力部が、所定の再発話用設定音圧レベル以上の音圧レベルを有する音響の入力を、前記再発話用判定条件を満たす音響の入力として識別する点にある。
【0009】
本構成によれば、上記音響指令出力部において、入力された音響の音圧レベルのみを認識するという簡単且つ合理的な構成を採用するだけで、その入力された音響の音圧レベルが所定の再発話用設定音圧レベル以上となった際に再発話指令を出力することができる。このことで、ユーザは、大きな声を発したり手をたたいたりなどのように、再発話用設定音圧レベル以上の音響を発するというような簡単な行動を起こすだけで、そのときに既にスピーカから出力されている音声情報を再発話させることができる。
【0010】
本発明の第3特徴構成は、前記音響指令出力部が、所定の再発話用設定音圧レベル以上の音圧レベルを有する音響の所定の再発話用設定回数連続した入力を、前記再発話用判定条件を満たす音響の入力として識別する点にある。
【0011】
本構成によれば、上記音響指令出力部において、入力された音響の音圧レベルを認識すると共に、所定の再発話用設定音圧レベル以上の音圧レベルを有する音響の連続的な入力回数をカウントするという簡単且つ合理的な構成を採用するだけで、その入力された音響の音圧レベルが所定の再発話用設定回数連続して所定の再発話用設定音圧レベル以上となった際に再発話指令を出力することができる。このことで、ユーザは、連続して大きな声を発したり連続して手をたたいたりなどのように、再発話用設定音圧レベル以上の音響を連続して発するというような簡単な行動を起こすことで、そのときに既にスピーカから出力されている音声情報を再発話させることができると共に、ユーザの意図に反して大きな音響が連続することなく単発で入力された場合には、誤った再発話指令の出力を防止して再発話制御の無用な実行を防止することができる。
【0012】
本発明の第4特徴構成は、前記音響指令出力部が、前記スピーカからの出力音圧レベル又は周囲環境からの入力音圧レベルに基づいて前記再発話用設定音圧レベルを補正する点にある。
【0013】
本構成によれば、入力された音響が再発話用判定条件を満たすか否かの判定基準となる再発話用設定音圧レベルが、一定の値に固定されるのではなく、スピーカから出力される音響の音量を示す出力音圧レベルや周囲環境から入力される音響の音量を示す入力音圧レベルに基づいて、例えば再発話用設定音圧レベルを出力音圧レベルや入力音圧レベルに対して比例的に変更する形態で、補正されることになる。このことで、ユーザの意図とは関係なく、スピーカから出力された音響や周囲環境の音響が入力された場合において、その音響の入力を誤って再発話用判定条件を満たす音響の入力として判定する誤判定を確実に回避することができる。
【0014】
本発明の第5特徴構成は、前記再発話制御部が、前記再発話対象設定処理において、前記音声出力処理部が出力中の音声情報を前記再発話対象に設定すると共に当該音声情報の出力終了時点から所定時間が経過するまでの間は前記再発話対象の更新を禁止する点にある。
【0015】
本構成によれば、上記音声出力処理部により複数の音声情報を連続して出力する場合などにおいて、出力中の音声情報が再発話対象に設定され、更にその再発話対象は、その音声情報の出力終了時点から所定時間が経過するまでの間は維持されることになる。このことで、ある音声情報の出力が終了した場合であっても、その終了直後に再発話指令が出力された場合には、その時点で出力されている次の音声情報ではなく、出力が終了した前の音声情報を再度出力させることができるので、ユーザは余裕をもって再発話指令を出力させるための音響を発して既に出力が終了した音声情報を再発話させることができる。
【0016】
本発明の第6特徴構成は、前記再発話制御部が、前記再発話制御を実行して前記再発話対象の音声情報を再度前記音声出力処理部に出力させるにあたり、当該音声情報をユーザによる認識性が高い高認識状態で出力する点にある。
【0017】
本構成によれば、再発話制御を実行して再発話対象の音声情報を再発話するにあたり、その音声情報を通常の状態よりもユーザによる認識性が高い大音量や低速度などの高認識状態で出力するので、ユーザに対して再発話した音声情報を確実に認識させることができる。
【0018】
本発明の第7特徴構成は、前記音響指令出力部が、前記スピーカをマイクとして利用して当該スピーカから音響の入力を受け付ける点にある。
【0019】
本構成によれば、上記音響指令出力部が音響の特性のみで指令の受付を判定することから、音声認識を可能とするような高性能なマイクを利用することなく、簡単な音響特性については認識可能な音響の入力が可能なスピーカをマイクとして利用して、システムの低廉化や簡素化を図ることができる。
【0020】
本発明の第8特徴構成は、ユーザの居所の異常状態を監視する警報装置であって、
上記第1乃至第7特徴構成の何れかを有する発話システムを備え、
前記音声出力処理部が、前記異常状態に関する報知情報を前記音声情報として前記スピーカから順次出力させる点にある。
【0021】
本構成によれば、音声出力処理部がユーザの居所の異常状態に関する報知情報を音声情報としてスピーカから順次出力させる警報装置において、上述した本発明に係る発話システムを備えるので、当該発話システムと同様の作用効果を奏することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】第1実施形態における発話システムの基本構成図
【
図6】第2実施形態における発話システムの基本構成図
【発明を実施するための形態】
【0023】
〔第1実施形態〕
本発明の第1実施形態について
図1等に基づいて説明する。
本実施形態の発話システム(以下「本発話システム」と呼ぶ。)1は、ガス警報器や住宅用火災警報器や火災報知機などのようにユーザの居所に設置されてその居所の異常状態を監視する警報装置50が備えるシステムであって、警報装置50が検知した異常状態に関する報知情報に加えて外部情報源であるウェブ32から音声情報配信システム30が収集した天気予報などのコンテンツ情報を音声データに変換し、当該変換後の音声情報をスピーカ24から順次出力させるものとして構成されている。尚、本実施形態では、発話システム1を警報装置50に備えた例を説明するが、発話システム1は、単独もの又は別の機器に備えられたものであっても構わない。
【0024】
本発話システム1は、音声情報をスピーカ24から順次出力(発話)させる音声出力処理部23を備える。詳しくは、本発話システム1には、入力された音声信号を音声に変換して外部(例えばユーザ側)に向けて出力するスピーカ24と、入力された音声情報を音声信号に変換してスピーカ24に出力する音声出力処理部23と、それらの作動を制御する制御部10と、スピーカ24から出力された音声情報を適宜記憶可能な音声情報記憶部26などが設けられている。更に、制御部10は、発話制御部11として機能し、その発話制御部11では、音声情報配信システム30がユーザの要求や他の条件等に応じて収集した音声情報を音声出力処理部23に順次出力して、その音声情報をスピーカ24に順次出力させて発話させる発話制御が実行される。尚、音声情報配信システム30は、ユーザの居所とは別の管理者側に設置されたサーバシステムとして構成することができ、本発話システム1と音声情報配信システム30とは、インターネット網等の通信回線を通じて通信可能に構成されている。
【0025】
更に、本発話システム1には、特定の判定条件を満たす音響の入力(本願では、このような音響の入力を「特定音響の入力」と表現する場合がある。)に伴って特定の指令を出力する音響指令出力部20が設けられている。尚、音響指令出力部20が判定対象とする音響は、スピーカ24から発話中の音声情報として出力されるものを除いた音響とされている。
また、この音響指令出力部20は、スピーカ24をマイク21として利用して当該スピーカ24から音響信号の入力を受け付けるように構成されている。尚、スピーカ24をマイクとして利用する場合には、スピーカ24として公知のマイクスピーカ兼用素子を利用することができる。また、スイッチング素子を用いて、当該スピーカ24を本来のスピーカとして機能させる状態とマイク21として機能させる状態とを切り替えるように構成することもできる。
尚、
図10に示すように、スピーカ24をマイク21として利用するのではなく、別途マイク21を設け、そのマイク21から音響信号の入力を受け付けるように構成しても構わない。
【0026】
図1を参照して、音響指令出力部20は、所定の設定音圧レベル以上の音圧レベルを有する音響の入力や、所定の設定音圧レベル以上の音圧レベルを有する音響の所定の設定回数連続した入力を、上記特定音響の入力として識別することができる。例えば、ユーザが大きな声を発したり手をたたいたりなどして設定音圧レベル以上の音響がマイク21に入力されたとき、又は、ユーザが連続して大きな声を発したり連続して手をたたいたりなどして設定音圧レベル以上の音響が連続してマイク21に入力されたときには、音響指令出力部20により、その音響の入力が上記特定音響の入力として識別されて、特定の指令が出力される。
【0027】
上記特定の指令を出力するか否かの判定を正確に行うために、通常時に入力されたユーザの声や周囲環境の音響の最大音圧レベルを学習したり、所定の設定モードにおいて実際に入力された音響の音圧レベルを記録して、これら学習した又は記録した音響の音圧レベルを上回る音圧レベルとして上記設定音圧レベルを適宜設定することができる。
更に、音響指令出力部20は、スピーカ24から出力される音声情報の音圧レベルである出力音圧レベル、又は、周囲環境からマイク21に入力される音響の音圧レベルである入力音圧レベルに基づいて、上記設定音圧レベルを自動的に補正することができる。即ち、上記特定の指令を出すか否かの判定基準となる設定音圧レベルが、一定の値に固定されるのではなく、出力音圧レベルや入力音圧レベルに対して比例的に変更される。このことで、ユーザの意図とは関係なく、スピーカから出力された音響や周囲環境の音響が入力された場合において、その音響の入力を誤って再発話用判定条件を満たす音響の入力として判定する誤判定を確実に回避することができる。
また、本実施形態では、入力される音響の音圧レベルに基づいて上記特定の指令を出力するか否かを判定するが、例えば音響の周波数などのように別の音響特性に基づいて判定しても構わない。更に、特定の判定条件を満たす音響の所定の設定回数連続した入力を上記特定音響の入力として識別する場合には、各回の音響の入力に対して設定され判定条件を互いに異ならせることもできる。例えば、大音量や高音の音響と小音量や低音の音響との連続的な入力を特定音響の入力として認識することができる。
【0028】
音響指令出力部20は、上記特定の指令として、後述する再発話制御部12が再発話制御を実行するためのトリガーとなる再発話指令を出力することができる。
即ち、音響指令出力部20は、所定の再発話用設定音圧レベル以上の音圧レベルを有する音響の入力、又は、所定の再発話用設定音圧レベル以上の音圧レベルを有する音響の所定の再発話用設定回数連続した入力を、上記特定音響の入力として認識し、その音響の入力に伴って再発話指令を出力することができる。
【0029】
制御部10は、所定の再発話制御を実行する再発話制御部12として機能する。その再発話制御では、音声出力処理部23が出力中又は出力後の音声情報を再発話対象に逐次設定する再発話対象設定処理が実行されると共に、音響指令出力部20により再発話指令が出力された際に再発話対象の音声情報が冒頭から再度音声出力処理部23により出力(再発話)される。
即ち、上記再発話対象設定処理が実行されることで、音声出力処理部23が出力中又は出力後の音声情報Aが逐次再発話対象に設定されて音声情報記憶部26に記憶される。
そして、例えばユーザの要求とは関係なくスピーカ24から出力された音声情報をユーザが聴き取れなかった場合などにおいて、その音声情報Aの出力中においてそのユーザから上記特定音響の入力があると、音響指令出力部20により、その音響の入力に伴って再発話指令が出力される。すると、再発話制御部12により再発話制御が実行されて、そのときに既にスピーカ24から出力されて再発話対象に設定されている音声情報が音声情報記憶部26から抽出され、その抽出された音声情報Aが冒頭から再度スピーカ24から再発話されることになる。
【0030】
このような再発話制御では、再発話対象の音声情報の再発話を行うにあたり、その音声情報をユーザによる認識性が高い高認識状態で出力することができる。具体的に本実施形態では、高認識状態として、再発話である旨を認識させるための再発話メッセージを冒頭に添える状態で、音声情報を再発話する。尚、高認識状態として、スピーカ24の音量を大きくしたり再生(発話)速度を遅くしたりなどのようなユーザが聴き取り易くなる状態で、音声情報を再発話することができる。
【0031】
上記再発話対象設定処理において、音声出力処理部23が出力中の音声情報が再発話対象に設定されると共に、その音声情報の出力終了時点から所定時間が経過するまでの間は再発話対象の更新が禁止される。
即ち、音声出力処理部23により複数の音声情報を連続して出力する場合などにおいては、出力中の音声情報が再発話対象に順次設定されるにあたり、設定された再発話対象の音声情報は、その音声情報の出力終了時点から所定時間が経過するまでの間は再発話対象に維持されることになる。このことで、ある音声情報の出力が終了した場合であっても、その終了直後に再発話指令が出力された場合には、その時点で出力されている次の音声情報が再発話されるのではなく、出力が終了した前の音声情報が再発話されることになる。よって、ユーザは余裕をもって再発話指令を出力させるための音響を発して既に出力が終了した音声情報を再発話させることができる。
尚、音声情報の出力終了時点から次の音声情報の出力開始時点まで間に、再発話対象の更新を禁止するように構成しても構わない。この場合には、ある音声情報の出力が終了した場合であっても、次の音声情報が出力される前の間に再発話指令が出力された場合には出力が終了した前の音声情報が再発話されることになる。また、出力中の音声情報を再発話対象に設定し、その音声情報の出力終了時点で再発話対象をリセットするように構成することもできる。この場合には、ある音声情報の出力中に再発話指令が出力された場合にのみ音声情報が再発話されることになる。
以下、具体的な実施例を図面に基づいて説明する。
【0032】
(第1実施例)
第1実施例は、
図2に示すように、音声情報Aの発話中に上記特定音響の入力があった場合の例である。
この場合、音声情報Aの発話中の上記特定音響の入力に伴って再発話指令が出力されて、再発話制御が実行される。また、音声情報Aの発話中には、その発話中の音声情報Aが再発話対象に設定されている。よって、特定音響の入力時点で、再発話対象に設定されている発話中の音声情報Aが、適宜再発話メッセージが添えられて冒頭から再発話されることになる。
【0033】
(第2実施例)
第2実施例は、
図3に示すように、音声情報Aの発話終了時点から所定時間Trが経過するまでの間に上記特定音響の入力があった場合の例である。
この場合、音声情報Aの発話終了時点から所定時間Trが経過するまでの間の上記特定音響の入力に伴って再発話指令が出力されて、再発話制御が実行される。また、音声情報Aの発話終了時点から所定時間Trが経過するまでの間は、再発話対象の更新が禁止されているので、発話が終了した音声情報Aが再発話対象に維持されている。よって、特定音響の入力時点で、再発話対象に設定されている既に発話が終了された音声情報Aが、適宜再発話メッセージが添えられて冒頭から再発話されることになる。
【0034】
(第3実施例)
第3実施例は、
図4に示すように、音声情報A及び音声情報Bが連続して順に発話される場合において、音声情報Aの発話終了時点から所定時間Trが経過するまでの間に上記特定音響の入力があった場合の例である。
この場合、音声情報Aの発話終了時点から所定時間Trが経過するまでの間の上記特定音響の入力に伴って再発話指令が出力されて、再発話制御が実行される。また、音声情報Aの発話終了時点から所定時間Trが経過するまでの間は、再発話対象の更新が禁止されているので、発話が終了した音声情報Aが再発話対象に維持されている。よって、特定音響の入力時点で、再発話対象に設定されている既に発話が終了された音声情報Aが、適宜再発話メッセージが添えられて冒頭から再発話されることになり、その音声情報Aの再発話に続いて音声情報Bが再発話されることになる。
【0035】
(第4実施例)
第4実施例は、
図5に示すように、音声情報A及び音声情報Bが連続して順に発話される場合において、音声情報Aの発話終了時点から所定時間Trが経過後であって音声情報Bの発話中に上記特定音響の入力があった場合の例である。
この場合、音声情報Aの発話終了時点から所定時間Trが経過後であって音声情報Bの発話中の上記特定音響の入力に伴って再発話指令が出力されて、再発話制御が実行される。また、音声情報Aの発話終了時点から所定時間Trが経過後においては、再発話対象の更新禁止が解除されて、再発話対象が音声情報Bに更新されている。よって、特定音響の入力時点で、再発話対象に設定されている発話中の音声情報Bが、適宜再発話メッセージが添えられて冒頭から再発話されることになる。
【0036】
〔第2実施形態〕
本発明の第2実施形態について
図6等に基づいて説明する。
尚、本実施形態は、前述の第1実施形態に対して、音響指令出力部20が、上記特定の指令として、再発話指令とは別に発話抑制指令を出力する点、並びに、制御部10が、発話制御部11とは別に発話抑制制御部13として機能する点についてのみ相違する。よって、以下の説明において、前述の第1実施形態と同様の構成については、図面にて同じ符号を付すと共に、詳細な説明を割愛する。
【0037】
音響指令出力部20は、上記特定の指令として、後述する発話抑制制御部13が発話抑制制御を実行するためのトリガーとなる発話抑制指令を出力することができる。
即ち、音響指令出力部20は、所定の発話抑制用設定音圧レベル以上の音圧レベルを有する音響の入力、又は、所定の発話抑制用設定音圧レベル以上の音圧レベルを有する音響の所定の発話抑制用設定回数連続した入力を、上記特定音響の入力として認識し、その音響の入力に伴って発話抑制指令を出力することができる。
【0038】
制御部10は、所定の発話抑制制御を実行する発話抑制制御部13として機能する。その発話抑制制御では、音響指令出力部20により発話抑制指令が出力された際に音声出力処理部23による音声情報の出力(発話)が抑制される。
即ち、スピーカ24からユーザの意図や状況に関係なく出力された音声情報がユーザにとって耳障りな場合などにおいて、例えばその音声情報の出力中においてそのユーザから上記特定音響の入力があると、音響指令出力部20により、その音響の入力に伴って発話抑制指令が出力される。すると、発話抑制制御部13により発話抑制制御が実行されて、そのときの音声情報の出力が抑制されることになる。
更に、音声情報の具体的な出力抑制方法としては、音声情報の出力を一時的に停止する方法が採用されている。具体的には、スピーカ24からの音声情報の出力が停止され、その停止時点から所定の発話停止時間が経過した時点においてその音声情報が冒頭から出力される。
尚、本実施形態では、一時停止後に音声情報を冒頭から再度出力するように構成しているが、再度出力する際に、既に出力された部分を飛ばして続きから音声情報を出力したり、その再度出力する音声情報やそれ以降に出力する音声情報のスピーカ24の音量を小さくする方法を採用することができる。また、音声情報の別の出力抑制方法としては、音声情報の出力を停止することなく継続しながらスピーカ24の音量を小さくする方法を採用することもできる。
更に、発話抑制制御によって特定の音声情報の出力を停止する又は音量を小さくするなどの方法で発話抑制を行った場合において、それ以降に出力される全ての音声情報についても同様の発話抑制を行ってもよいが、例えば発話抑制が行われた音声情報と同じジャンル又は同じ出力時間帯の音声情報の出力に対してのみ発話抑制を行うように構成することもできる。また、同じジャンルの音声情報の出力に対して発話抑制を行う場合には、その旨をユーザに知らしめるための音声案内を行うこともできる。また、同じジャンルの音声情報の出力停止は、発話システム1側で行うこともできるが、音声情報配信システム30側で行うこともできる。
【0039】
音声出力処理部23が出力する音声情報は、発話優先度を識別可能な情報として構成されている。即ち、警報装置50から発信された報知情報などのようにユーザに対して確実に認識させる必要がある音声情報については発話優先度が高く設定されており、一方、一般的なコンテンツ情報に関する音声情報については発話優先度が低く設定されている。
そして、発話抑制制御部13は、音声出力処理部23による発話優先度が高い音声情報の出力時には、上述の発話抑制制御の実行を禁止する。このことで、発話優先度が高い音声情報については、抑制されることなくユーザがはっきりと聴き取れるように出力されることになる。
【0040】
音響指令出力部20は、上記特定音響の入力に伴って、再発話指令と発話抑制指令とを判別して出力することができる。例えば、再発話用設定音圧レベルや再発話用設定回数を含む再発話用判定条件と、発話抑制用設定音圧レベルや発話抑制用設定回数を含む発話抑制用判定条件とを、夫々別の条件として設定することができるが、本実施形態では、再発話用判定条件と発話抑制用判定条件とを同じ条件として、その条件を満たす音響が入力されたタイミングで再発話指令と発話抑制指令とを判別して出力するように構成されている。
具体的に、音響指令出力部20は、上記特定音響の入力時点が、発話抑制指令の出力時点から所定時間が経過するまでの再発話指令受付時間帯である場合には、その特定音響の入力に伴って再発話指令を出力し、その再発話指令受付時間帯以外の時間帯である場合には、その特定音響の入力に伴って発話抑制指令を出力する。
この構成により、発話抑制が行われた音声情報をユーザが再度確認したい場合には、上記再発話指令受付時間帯の特定音響の入力に伴って再発話指令を出力して、上記再発話対象に設定されている音声情報を再発話させることができる。
以下、具体的な実施例を図面に基づいて説明する。
【0041】
(実施例5)
実施例5は、
図7に示すように、音声情報Aの発話中に上記特定音響の入力があり、更にその時点を起点とする再発話指令受付時間帯Tz中に上記特定音響の入力があった場合の例である。
この場合、音声情報Aの発話中の上記特定音響の入力に伴って発話抑制指令が出力されて、発話抑制制御が実行される。よって、特定音響の入力時点で、音声情報Aの発話が一時的に停止され、例えば2度目の特定音響の入力が無い場合には、当該停止時点から所定の発話停止時間Txが経過した時点で、一時的に発話が停止された音声情報Aが冒頭から再発話されることになる。
しかし、図示するように、発話抑制指令の出力時点から所定時間が経過するまでの再発話指令受付時間帯Tzに特定音響が入力されているので、その特定音響の入力に伴って再発話抑制指令が出力されて、再発話抑制制御が実行される。また、再発話指令受付時間帯Tzでは、発話停止中の音声情報Aが再発話対象に設定されている。よって、特定音響の入力時点で、再発話対象に設定されている発話停止中の音声情報Aが、適宜再発話メッセージが添えられて冒頭から再発話されることになる。
尚、本実施例では、上記再発話指令受付時間帯Tzを上記発話停止時間Txと同じ時間帯としているが、上記再発話指令受付時間帯Tzを上記発話停止時間Txよりも短い時間帯としても構わない。
【0042】
(実施例6)
実施例6は、
図8に示すように、導入部とそれに続く本文とからなる音声情報Aを発話する場合において、音声情報Aの導入部の発話中に上記特定音響の入力があった場合の例である。尚、音声情報Aにおいて、導入部はユーザにとって特に重要ではなく発話優先度が低い情報であり、本文は導入部よりもユーザにとって重要であって発話優先度が高いものである。そして、音響指令出力部20は、音声情報Aの導入部の発話中に上記特定音響の入力があった場合にはその特定音響の入力に伴って発話抑制指令を出力し、一方、音声情報Aの本文の発話中に上記特定音響の入力があった場合には、上記特定音響の入力に伴って再発話指令を出力するように構成されている。
例えば、図示するように、音声情報Aの導入部の発話中に上記特定音響の入力があった場合には、その特定音響の入力に伴って発話抑制指令が出力されて、発話抑制制御が実行される。よって、特定音響の入力時点で、音声情報Aの発話が一時的に停止され、当該停止時点から所定の発話停止時間Txが経過した時点で、一時的に発話が停止された音声情報Aが冒頭の導入部から再発話されることになる。
更に、発話抑制指令の出力を起点とする再発話指令受付時間帯Tz中に再度上記特定音響の入力があった場合には、図示は省略するが、上記実施例5と同様に、再発話指令受付時間帯Tzの特定音響の入力に伴って再発話抑制指令が出力されて、再発話抑制制御が実行されて、再発話対象に設定されている発話停止中の音声情報Aが、適宜再発話メッセージが添えられて冒頭の導入部から再発話されることになる。
尚、本実施形態では、上記再発話指令受付時間帯Tzを上記発話停止時間Txと同じ時間帯としているが、上記再発話指令受付時間帯Tzを上記発話停止時間Txよりも短い時間帯としても構わない。
【0043】
(実施例7)
実施例7は、
図9に示すように、導入部とそれに続く本文とからなる音声情報Aを発話する場合において、音声情報Aの本文の発話中に上記特定音響の入力があった場合の例である。尚、音声情報Aにおいて、導入部はユーザにとって特に重要ではなく発話優先度が低い情報であり、本文は導入部よりもユーザにとって重要であって発話優先度が高いものである。そして、音響指令出力部20は、音声情報Aの導入部の発話中に上記特定音響の入力があった場合にはその特定音響の入力に伴って発話抑制指令を出力し、一方、音声情報Aの本文の発話中に上記特定音響の入力があった場合には、上記特定音響の入力に伴って再発話指令を出力するように構成されている。
尚、音響指令出力部20は、導入部とそれに続く本文とからなる音声情報Aを発話するにおいて、導入部よりも発話優先度が高い本文の発話中にのみ再発話指令を出力するように構成されている。
例えば、図示するように、音声情報Aの本文の発話中に上記特定音響の入力があった場合には、その特定音響の入力に伴って再発話指令が出力されて、再発話制御が実行される。また、音声情報Aの発話中には、その発話中の音声情報Aが再発話対象に設定されている。よって、特定音響の入力時点で、再発話対象に設定されている発話中の音声情報Aが、適宜再発話メッセージが添えられて冒頭の導入部から再発話されることになる。
【0044】
また、
図6に示すように、近くに居るユーザーを検知する人感センサ25を設け、音響指令出力部20が、音声情報の発話中に上記特定音響の入力があった場合において、人感センサ25がユーザを検知しているときには、ユーザが再発話を要望していると判断して再発話指令を出力し、人感センサ25がユーザを検知していないときにはユーザが発話抑制を要望していると判断して発話抑制指令を出力するように構成することもできる。
【符号の説明】
【0045】
1 発話システム
10 制御部
11 発話制御部
12 再発話制御部
20 音響指令出力部
21 マイク
23 音声出力処理部
24 スピーカ
A 音声情報
B 音声情報
Tr 所定時間