(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022131339
(43)【公開日】2022-09-07
(54)【発明の名称】ハンドシステム、ワーク保持方法、ワーク生産方法
(51)【国際特許分類】
B25J 15/08 20060101AFI20220831BHJP
【FI】
B25J15/08 S
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021030231
(22)【出願日】2021-02-26
(71)【出願人】
【識別番号】000006622
【氏名又は名称】株式会社安川電機
(74)【代理人】
【識別番号】110003096
【氏名又は名称】特許業務法人第一テクニカル国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】濱澤 基弘
(72)【発明者】
【氏名】山田 勝巳
(72)【発明者】
【氏名】土居 昭裕
【テーマコード(参考)】
3C707
【Fターム(参考)】
3C707BS12
3C707DS01
3C707ES06
3C707ES10
3C707EV12
3C707KS03
3C707KS04
3C707KS07
3C707KS08
3C707KS09
3C707KT01
3C707KT06
(57)【要約】
【課題】ワークをハンドリングする際の精度をさらに高めることができるハンドシステム、ワーク保持方法、及びワーク生産方法を提供する。
【解決手段】ハンドシステム1は、モータ23により空気の圧力を大気圧よりも減圧して陰圧を生成、又は、空気の圧力を大気圧よりも加圧して陽圧を生成する空圧制御ユニット3と、空圧制御ユニット3により生成された陰圧又は陽圧を用いてワークWを保持するハンド17と、空圧制御ユニット3のモータ23を制御するユニットコントローラ5と、を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータにより流体の圧力を基準圧よりも減圧して陰圧を生成、又は、前記流体の圧力を前記基準圧よりも加圧して陽圧を生成する、流体圧生成装置と、
前記流体圧生成装置により生成された前記陰圧又は前記陽圧を用いてワークを保持するハンドと、
前記モータを制御する制御装置と、
を有する、ハンドシステム。
【請求項2】
前記ハンドが取り付けられ、前記ハンドを移動させる自動機をさらに有し、
前記自動機は、
前記流体圧生成装置と別体として構成されている、
請求項1に記載のハンドシステム。
【請求項3】
前記ハンドは、
前記陰圧又は前記陽圧による内部圧力の変化に応じて形状を変化させる構造を有する、
請求項1または2に記載のハンドシステム。
【請求項4】
前記ハンドは、
前記陰圧又は前記陽圧による内部圧力の変化によって形状を変化させる柔軟な材質で構成されている、
請求項1乃至3のいずれか1項に記載のハンドシステム。
【請求項5】
前記ハンドは、
掌部と、
前記掌部の周囲に突出して設けられ、内部圧力の変化によって前記掌部に対して揺動する複数の指部と、
を有する、
請求項1乃至4のいずれか1項に記載のハンドシステム。
【請求項6】
保持対象の前記ワークを検出するワークセンサと、
前記ハンドが取り付けられ、前記ハンドを移動させる自動機と、をさらに有し、
前記ハンドは、
掌部と、
前記掌部の周囲に突出して設けられ、内部圧力の変化によって前記掌部に対して揺動する複数の指部と、
を有し、
前記制御装置は、
前記自動機が前記ハンドを前記ワークを保持する位置まで移動させるのと並行して、前記モータを制御して前記複数の指部を前記ワークの検出結果に基づく所定の位置に動作させる、
請求項1乃至5のいずれか1項に記載のハンドシステム。
【請求項7】
前記ハンドは、
前記陰圧によって前記ワークを吸着する少なくとも1つの吸着部を有する、
請求項1又は2に記載のハンドシステム。
【請求項8】
前記流体圧生成装置により生成された前記陰圧又は前記陽圧の圧力値を検出する圧力センサをさらに有し、
前記制御装置は、
前記圧力値に基づいて前記モータを制御する、
請求項1乃至7のいずれか1項に記載のハンドシステム。
【請求項9】
前記制御装置は、
目標とする前記圧力値と前記ハンドの挙動との相関を含む特性情報を取得する取得部を有する、
請求項8に記載のハンドシステム。
【請求項10】
前記流体圧生成装置と前記ハンドとの間の流路に設けられ、当該流路を流れる前記流体の流量を検出する流量センサをさらに有する、
請求項1乃至9のいずれか1項に記載のハンドシステム。
【請求項11】
前記流体圧生成装置により生成された前記陰圧又は前記陽圧の圧力値を検出する圧力センサと、
前記ワークを保持した前記ハンドの重量を検出する重量センサと、
前記圧力値、前記重量、前記制御装置が前記モータを制御するために出力する指令値を含むデータを収集するデータ収集装置と、
をさらに有する、
請求項1乃至10のいずれか1項に記載のハンドシステム。
【請求項12】
前記データ収集装置は、
収集した前記データに基づいて所定の解析処理を実行する解析部を有する、
請求項11に記載のハンドシステム。
【請求項13】
前記データ収集装置は、
前記解析部の解析結果に基づいて、前記制御装置が出力する前記指令値を修正する指令修正部を有する、
請求項12に記載のハンドシステム。
【請求項14】
ハンドでワークを保持するワーク保持方法であって、
モータにより流体の圧力を基準圧よりも減圧して陰圧を生成、又は、前記流体の圧力を前記基準圧よりも加圧して陽圧を生成することと、
制御装置により前記モータを制御することと、
生成された前記陰圧又は前記陽圧を用いて前記ハンドで前記ワークを保持することと、
を有する、ワーク保持方法。
【請求項15】
ワーク要素を用いてワークを生産するワーク生産方法であって、
モータにより流体の圧力を基準圧よりも減圧して陰圧を生成、又は、前記流体の圧力を前記基準圧よりも加圧して陽圧を生成することと、
制御装置により前記モータを制御することと、
生成された前記陰圧又は前記陽圧を用いてハンドで前記ワーク要素を保持することと、
保持した前記ワーク要素に対して所定の作業を実行することと、
を有する、ワーク生産方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
開示の実施形態は、ハンドシステム、ワーク保持方法、及びワーク生産方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、掌部と、掌部の周囲に突出して設けられ、掌部を厚さ方向に変形させることにより掌部に向かって倒れる複数の指部と、把持本体を備えた把持装置が記載されている。把持装置は、把持本体内の減圧により掌部が厚さ方向に変形し、複数の指部が掌部へ向かって倒れるように弾性変形してワークを把持する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来技術において、ワークをハンドリングする際の精度をさらに高めることが可能なハンドシステムが求められていた。
【0005】
本発明はこのような問題点に鑑みてなされたものであり、ワークをハンドリングする際の精度をさらに高めることができるハンドシステム、ワーク保持方法、及びワーク生産方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明の一の観点によれば、モータにより流体の圧力を基準圧よりも減圧して陰圧を生成、又は、前記流体の圧力を前記基準圧よりも加圧して陽圧を生成する、流体圧生成装置と、前記流体圧生成装置により生成された前記陰圧又は前記陽圧を用いてワークを保持するハンドと、前記モータを制御する制御装置と、を有する、ハンドシステムが適用される。
【0007】
また、本発明の別の観点によれば、ハンドでワークを保持するワーク保持方法であって、モータにより流体の圧力を基準圧よりも減圧して陰圧を生成、又は、前記流体の圧力を前記基準圧よりも加圧して陽圧を生成することと、制御装置により前記モータを制御することと、生成された前記陰圧又は前記陽圧を用いて前記ハンドで前記ワークを保持することと、を有する、ワーク保持方法が適用される。
【0008】
また、本発明の別の観点によれば、ワーク要素を用いてワークを生産するワーク生産方法であって、モータにより流体の圧力を基準圧よりも減圧して陰圧を生成、又は、前記流体の圧力を前記基準圧よりも加圧して陽圧を生成することと、制御装置により前記モータを制御することと、生成された前記陰圧又は前記陽圧を用いてハンドで前記ワーク要素を保持することと、保持した前記ワーク要素に対して所定の作業を実行することと、を有する、ワーク生産方法が適用される。
【発明の効果】
【0009】
本発明のハンドシステム等によれば、ワークをハンドリングする際の精度をさらに高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】ハンドシステムの全体構成の一例を概念的に表すシステム構成図である。
【
図2】空圧制御ユニットの内部構成の一例を表す部分断面図である。
【
図3】ハンドが開いた状態の構成の一例を表す斜視図である。
【
図4】ハンドが閉じた状態の構成の一例を表す斜視図である。
【
図5】ユニットコントローラの機能構成の一例を表すブロック図である。
【
図6】ハンドの特性情報の具体例を表す説明図である。
【
図7】ハンドの特性情報の具体例を表す説明図である。
【
図8】ハンドの特性情報の具体例を表す説明図である。
【
図9】ロボットコントローラの機能構成の一例を表すブロック図である。
【
図10】ロボットがワークの移載作業を行う場合における、ユニットコントローラ及びロボットコントローラによる処理手順の一例を表すフローチャートである。
【
図11】ワークがトマトの場合における、ワークが箱詰めされた容器の一例を表す上面図である。
【
図12】ワークがいちごの場合における、ワークが箱詰めされた容器の一例を表す上面図である。
【
図13】ワークがきゅうりの場合における、ワークが箱詰めされた容器の一例を表す上面図である。
【
図14】吸着式のハンドを有する変形例における、ハンドシステムの全体構成の一例を概念的に表すシステム構成図である。
【
図15】流量センサを有する変形例における、ハンドシステムの全体構成の一例を概念的に表すシステム構成図である。
【
図16】空圧制御ユニットの他の構成例を一部断面で表す側面図である。
【
図17】各種のデータを収集する変形例における、ハンドシステムの全体構成の一例を概念的に表すシステム構成図である。
【
図18】ユニットコントローラのハードウェア構成例を表すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、一実施の形態について図面を参照しつつ説明する。
【0012】
<1.ハンドシステムの構成>
図1を参照しつつ、本実施形態に係るハンドシステム1の構成の一例について説明する。
図1は、ハンドシステム1の全体構成の一例を概念的に表すシステム構成図である。
【0013】
図1に示すように、ハンドシステム1は、空圧制御ユニット3と、ユニットコントローラ5と、ロボット7と、ロボットコントローラ9と、圧力センサ11と、カメラ13と、タッチパネル15とを有する。
【0014】
空圧制御ユニット3(流体圧生成装置の一例)は、駆動源としてモータ23(
図2参照)を有する。空圧制御ユニット3は、モータ23により流体の圧力を基準圧よりも減圧して陰圧を生成する。ロボット7が有するハンド17は、空圧制御ユニット3により生成された陰圧を用いてワークWを保持する。「流体」は例えば空気(エアともいう)である。「基準圧」は例えば大気圧である。空圧制御ユニット3は、ロボット7とは別体として構成されている。空圧制御ユニット3は、ロボット7に搭載されてもよいし、ロボット7とは別の場所に設置されてもよい。
【0015】
空圧制御ユニット3は、例えばハンドが陽圧を用いてワークWを保持する構成である場合には、モータ23により流体の圧力を基準圧よりも加圧して陽圧を生成してもよい。流体は、例えば空気以外の特定の種類の気体(ガス)でもよいし、例えばオイルや水等の液体でもよい。基準圧は、大気圧以外の特定の圧力値でもよい。
【0016】
ユニットコントローラ5(制御装置の一例)は、空圧制御ユニット3のモータ23を制御する。ユニットコントローラ5には、タッチパネル15が通信可能に接続されている。タッチパネル15は、ユーザにより入力された各種情報をユニットコントローラ5に送信すると共に、ユニットコントローラ5の制御に関わる各種の表示を行う。ユニットコントローラ5には、圧力センサ11が通信可能に接続されている。圧力センサ11は、空圧制御ユニット3により生成された陰圧の圧力値を検出し、ユニットコントローラ5に送信する。圧力センサ11は、空圧制御ユニット3とハンド17とを接続する流路18に設置されている。ユニットコントローラ5は、例えばタッチパネル15から受信した情報と、圧力センサ11で検出した圧力値に基づいて、モータ23を制御する。
【0017】
ユニットコントローラ5には、タッチパネル15の代わりに、ユーザが各種情報を入力可能な入力装置や、ユニットコントローラ5の制御に関わる各種の表示を行う表示装置等が独立して接続されてもよい。圧力センサ11は、空圧制御ユニット3に一体的に設けられてもよい。
【0018】
ユニットコントローラ5は、例えば演算装置(CPU)、記録装置、入力装置等を有するコンピュータと、空圧制御ユニット3のモータ23に駆動電力を給電する給電部(サーボアンプ等)等を有する。ユニットコントローラ5は、上記コンピュータに加えて又は代えて、例えばモーションコントローラやプログラマブルロジックコントローラ(PLC)等を備えてもよい。ユニットコントローラ5は、空圧制御ユニット3と一体に配置されてもよいし、分離して配置されてもよい。ユニットコントローラ5は、上述したコンピュータと給電部とが分離されてもよい。この場合、給電部が空圧制御ユニット3に取り付けられてもよい。
【0019】
ロボット7(自動機の一例)は、ハンド17を先端部に取り付けたアーム部19を有する。ロボット7は、例えば6つの関節部を備えた垂直多関節型の6軸ロボットとして構成されている。ロボット7は、アーム部19の駆動によりハンド17を移動させて、ワークWに対し所定の作業を実行する。ハンド17は例えば把持式(グリッパタイプ)のハンドであり、空圧制御ユニット3により生成された陰圧を用いてワークWを把持する。ロボット7は、6軸以外(例えば5軸や7軸等)のロボットとしてもよいし、例えば水平多関節型のロボット等、垂直多関節型以外のロボットとしてもよい。ロボット7は、汎用ロボット以外にも、例えばガントリ機構等、XYZθ方向等に移動可能なアクチュエータを備えた、特定の作業専用に設計された専用作業機等としてもよい。
【0020】
ロボットコントローラ9は、ロボット7を制御する。ロボットコントローラ9は、例えば演算装置(CPU)、記録装置、入力装置等を有するコンピュータと、ロボット7に駆動電力を給電する給電部(サーボアンプ等)等を有する。ロボットコントローラ9は、上記コンピュータに加えて又は代えて、例えばモーションコントローラやプログラマブルロジックコントローラ(PLC)等を備えてもよい。ロボットコントローラ9は、ロボット7に設けられた6つのアクチュエータAc1~Ac6(
図9参照)等の駆動を制御することにより、ロボット7の動作を制御する。ロボットコントローラ9は、ロボット7と一体に配置されてもよいし、分離して配置されてもよい。ロボットコントローラ9は、上述したコンピュータと給電部とが分離されてもよい。この場合、給電部がロボット7に取り付けられてもよい。
【0021】
カメラ13(ワークセンサの一例)は、ハンド17による保持の対象であるワークWを撮像する。カメラ13は、撮像した画像データをユニットコントローラ5及びロボットコントローラ9のそれぞれに送信する。ユニットコントローラ5は画像処理部55(
図5参照)を有し、ロボットコントローラ9は画像処理部75(
図9参照)を有する。各画像処理部55,75は、受信した画像データに対して所定の画像処理を実行し、必要な情報を取得する。画像処理部55,75の機能をカメラ13に搭載して、画像処理の結果をユニットコントローラ5及びロボットコントローラ9のそれぞれに送信してもよい。ワークに関する必要な情報(例えば位置、サイズ、形状等)を取得可能であれば、例えばレーザスキャナ等、カメラ以外のセンサを用いてもよい。
【0022】
ワークWは特に限定されるものではないが、例えば食品、部品、装置、容器、商品、箱等、ハンド17がハンドリング可能な多種多様な物体が含まれる。特にハンドシステム1のハンドリング対象としては、例えば野菜や果物のような、不定形で柔軟なワークが好適である。
図1等では、ワークWとして例えばトマトが図示されている。ロボット7が実行する所定の作業には、例えばワークWのピッキング、仕分け、選別、移載、組付け、組み立て、梱包、検査等、ハンド17がワークWを保持して実行可能な多種多様な作業が含まれる。
【0023】
<2.空圧制御ユニットの構成>
図2を参照しつつ、空圧制御ユニット3の構成の一例について説明する。
図2は、空圧制御ユニット3の内部構成の一例を表す部分断面図である。
【0024】
図2に示すように、空圧制御ユニット3は、ベース21と、モータ23と、エンコーダ25と、シリンダチューブ27と、ピストン29と、送りねじ機構31と、カバー32とを有する。モータ23は、ユニットコントローラ5から供給される電力で駆動する例えば回転型の交流モータである。モータ23は、ベース21の一方側(
図2中右側)の端部にエンコーダ25と共に設置されている。エンコーダ25は、モータ23の出力軸33とは反対側に連結されている。エンコーダ25は、モータ23の出力軸33の回転位置(回転角度ともいう)及び回転速度(角速度ともいう)の少なくとも一方を検出し、ユニットコントローラ5に送信する。モータ23は、ユニットコントローラ5により、位置や速度等の目標値に追従するように制御される。モータ23とエンコーダ25を含む構成をサーボモータ35ともいう。
【0025】
なお、モータ23は、例えばユニットコントローラ5から供給される直流のパルス電圧により回転するステッピングモータでもよい。この場合、エンコーダ25を設けてもよいし、設けなくともよい。
【0026】
モータ23の出力軸33は、外周におねじが形成されたねじ軸である。ロッド37は筒状の部材であり、内周にめねじが形成されている。出力軸33の先端側には、ロッド37がねじにより結合している。出力軸33とロッド37とが、出力軸33の回転運動をロッド37の直線運動に変換する送りねじ機構31を構成する。送りねじ機構31として、例えば摩擦抵抗の小さいボールねじ機構を用いてもよい。ロッド37の先端部にはピストン29が設置されている。送りねじ機構31及びピストン29は、例えば円筒状のシリンダチューブ27に収容されている。シリンダチューブ27内の空間のうち、ピストン29よりもサーボモータ35とは反対側の空間39は密封されている。空圧制御ユニット3は、サーボモータ35によりピストン29をサーボモータ35側に移動させることで、空間39内の圧力を大気圧よりも減圧させて陰圧を生成する。生成された陰圧は、流路18を介してハンド17に伝達される。シリンダチューブ27内の空間のうち、ピストン29よりもサーボモータ35側の空間41は、空気穴43により大気圧となっている。シリンダチューブ27はカバー32により覆われている。流路18はカバー32を貫通して設置されている。空圧制御ユニット3は、各部品が上記のように集約配置されることでユニット化されており、コンパクト化されている。
【0027】
空圧制御ユニット3で陽圧を生成する場合には、サーボモータ35によりピストン29をサーボモータ35とは反対側に移動させることで、空間39内の圧力を大気圧よりも加圧させて陽圧を生成する。生成された陽圧は、流路18を介してハンド17に伝達される。
【0028】
<3.ハンドの構成>
図3及び
図4を参照しつつ、ハンド17の構成の一例について説明する。
図3は、ハンド17が開いた状態の構成の一例を表す斜視図である。
図4は、ハンド17が閉じた状態の構成の一例を表す斜視図である。
【0029】
ハンド17は、陰圧による内部圧力の変化に応じて形状を変化させる構造を有する。ハンド17は、例えば陰圧による内部圧力の変化によって形状を変化させる柔軟な材質で構成されている。「柔軟な材質」は、例えば樹脂、ゴム、エラストマー、ウレタン等であるが、これら以外の材質でもよい。
図3及び
図4に示すように、ハンド17は、手首部45と、掌部47と、複数の指部49とを有する。手首部45には流路18が接続されている。手首部45、掌部47、及び各指部49は内部に連通した空間を有する。指部49の数は例えば5本である。複数の指部49は、掌部47の周囲に突出して設けられ、内部圧力の変化によって掌部47に対して揺動する。例えばハンド17の内部圧力が大気圧である場合には、
図3に示すように、掌部47の下部50の膨らみが大きくなり、複数の指部49は例えば最も開いた全開状態となる。ハンド17の内部圧力を減圧させるにしたがって、
図4に示すように、掌部47の下部50の膨らみが徐々に小さくなり、複数の指部49は互いに近づいて徐々に閉じる。
【0030】
ハンド17の特性を表す特性情報は、ユニットコントローラ5の記録部57(
図5参照)に記録されている。特性情報には、例えばハンド17の内部圧力の圧力値と、指部49の動作量(例えば最も開いた位置から閉じる方向への動作量)との相関を表す情報(
図6参照)が含まれる。特性情報には、例えばハンド17の内部圧力の圧力値と、指部49によるワークWに対する把持力との相関を表す情報(
図7参照)が含まれる。特性情報には、例えばモータ23の回転速度と、指部49の動作速度との相関を表す情報(
図8参照)が含まれる。特性情報に上記以外の情報を含めてもよい。
【0031】
ハンド17の種類(例えば指部の数、形状、大きさ、挙動の特性等)は、取り扱うワークWの種類(例えば形状、大きさ、柔らかさ、重量等)に応じて適宜変更されてもよい。例えば指部の数は5本に限らず、2~4本や、6本以上としてもよい。ハンド17は、内部圧力が大気圧の場合に全開状態となる構成に限らず、所定の陰圧又は陽圧の圧力値の場合に全開状態となる構成としてもよい。ハンド17は、例えば内部圧力を大気圧から加圧させた場合に、複数の指部49が互いに近づいて徐々に閉じる構成としてもよい。ハンド17は、柔軟な材質に限らず、硬質な材料で構成されていてもよい。その場合、例えば各指部の関節部を陰圧又は陽圧により駆動する構成とし、ハンド17の各指部が内部圧力の変化に応じて形状を変化させる構造としてもよい。
【0032】
<4.ユニットコントローラの機能構成>
図5乃至
図8を参照しつつ、ユニットコントローラ5の機能構成の一例について説明する。
図5は、ユニットコントローラ5の機能構成の一例を表すブロック図である。
図6~
図8は、ハンド17の特性情報の具体例を表す説明図である。
【0033】
図5に示すように、ユニットコントローラ5は、モーションコントローラ51と、サーボコントローラ53とを有する。モーションコントローラ51とサーボコントローラ53とは、一体の制御装置として構成されてもよいし、別体の制御装置として構成されてもよい。
【0034】
モーションコントローラ51は、画像処理部55と、記録部57と、データ取得部59と、把持位置制御部61と、把持力制御部63と、把持速度制御部65とを有する。
【0035】
画像処理部55は、カメラ13から受信した画像データに対して所定の画像処理を実行し、ワークWに関するワーク情報を取得する。ワーク情報には、例えばワークWの形状、サイズ、向き、種類、位置、隣接するワークWとの隙間距離等が含まれる。ワーク情報にこれら以外の情報を含めてもよい。
【0036】
記録部57は、ハンド17の特性情報を記録する。特性情報は、目標とする圧力値やモータ23の回転速度とハンド17の挙動との相関を表す情報である。特性情報には、例えば
図6に示すように、ハンド17の内部圧力の圧力値と、指部49の動作量との相関を表す情報が含まれる。圧力値は、例えば大気圧Poを基準とした陰圧の圧力値として表してもよい。
図6では、例えば陰圧の圧力値が-P1(Kpa)の場合に指部49の動作量がMA(mm)となっている。特性情報には、例えば
図7に示すように、ハンド17の内部圧力の圧力値と、指部49によるワークWに対する把持力との相関を表す情報が含まれる。圧力値は、例えばハンド17の指部49がワークWに接触した時点の圧力値Ptを基準とした陰圧の圧力値として表してもよい。指部49とワークWとの接触は、例えばカメラ13により検出してもよいし、例えばモータ23の電流値の変動で検出してもよい。
図7では、例えば陰圧の圧力値が-P2(Kpa)の場合に指部49による把持力がGF(N)となっている。特性情報には、例えば
図8に示すように、モータ23の回転速度と、指部49の動作速度との相関を表す情報が含まれる。
図8では、例えばモータ23の回転速度がRV(r/min)の場合に指部49の動作速度がMV(mm/s)となっている。これらの相関情報のデータ形式は特に限定されるものではないが、例えば換算式やテーブル等でもよい。
【0037】
ハンド17の特性情報は、予め記録部57に記録されていてもよい。例えばデータ取得部59(取得部の一例)が、ユニットコントローラ5の外部(タッチパネル15等)から特性情報を取得してもよい。ハンド17の特性情報は、例えばハンド17の種類ごとに複数種類用意されてもよい。ハンド17を交換する場合、データ取得部59が使用するハンド17に対応した特性情報を取得し、記録部57の内容を更新してもよい。ハンド17の種類や特性情報の種類は、例えばユーザによりタッチパネル15で選択されてもよい。
【0038】
把持位置制御部61は、ハンド17の指部49による把持位置を制御する。目標とする把持位置は、例えばカメラ13により検出されたワーク情報(例えばサイズ、形状、種類、隣接するワークWとの隙間距離等)に基づいて設定されてもよいし、タッチパネル15等から入力されてもよい。把持位置制御部61は、例えば
図6に示す特性情報に基づいて、目標とする把持位置に対応する指部動作量から目標とする圧力値を設定する。把持位置制御部61は、圧力センサ11の検出値を参照しつつ、目標とする圧力値に追従するように対応する指令(例えば位置指令、速度指令等)を生成してサーボコントローラ53に送信する。
【0039】
把持力制御部63は、ハンド17の指部49による把持力を制御する。目標とする把持力は、例えばカメラ13により検出されたワーク情報(例えばサイズ、形状、種類、隣接するワークWとの隙間距離等)に基づいて設定されてもよいし、タッチパネル15等から入力されてもよい。把持力制御部63は、例えば
図7に示す特性情報に基づいて、目標とする把持力から目標とする圧力値を設定する。把持力制御部63は、圧力センサ11の検出値を参照しつつ、目標とする圧力値に追従するように対応する指令(例えば位置指令、速度指令等)を生成してサーボコントローラ53に送信する。
【0040】
把持速度制御部65は、ハンド17の指部49の動作速度を制御する。目標とする動作速度は、例えばカメラ13により検出されたワーク情報(例えばサイズ、形状、種類、隣接するワークWとの隙間距離等)に基づいて設定されてもよいし、タッチパネル15等から入力されてもよい。把持速度制御部65は、例えば
図8に示す特性情報に基づいて、目標とする動作速度から目標とするモータ回転速度を設定する。把持速度制御部65は、目標とする回転速度に対応する指令(例えば速度指令等)を生成してサーボコントローラ53に送信する。
【0041】
サーボコントローラ53は、サーボ制御部67と、サーボアンプ69とを有する。サーボ制御部67は、モーションコントローラ51から入力された指令(例えば位置指令、速度指令等)とエンコーダ25の検出値に基づいて、モータ23のトルクや電流値を算出する。サーボアンプ69は、サーボ制御部67から入力されたトルクや電流値に基づいてモータ23に供給する電力の制御を行い、モータ23を制御する。
【0042】
なお、上述した把持位置制御部61、把持力制御部63、把持速度制御部65等における処理等は、これらの処理の分担の例に限定されるものではなく、例えば、更に少ない数の処理部(例えば1つの処理部)で処理されてもよく、また、更に細分化された処理部により処理されてもよい。また、ユニットコントローラ5は、空圧制御ユニット3のモータ23に駆動電力を給電する部分(サーボアンプ等)のみ実際の装置により実装され、その他の機能は後述するCPU901(
図18参照)が実行するプログラムにより実装されてもよい。また、ユニットコントローラ5の機能の一部又は全部がASICやFPGA、その他の電気回路等の実際の装置により実装されてもよい。
【0043】
<5.ロボットコントローラの機能構成>
図9を参照しつつ、ロボットコントローラ9の機能構成の一例について説明する。
図9は、ロボットコントローラ9の機能構成の一例を表すブロック図である。
【0044】
図9に示すように、ロボットコントローラ9は、モーションコントローラ71と、多軸サーボコントローラ73とを有する。モーションコントローラ71と多軸サーボコントローラ73とは、一体の制御装置として構成されてもよいし、別体の制御装置として構成されてもよい。
【0045】
モーションコントローラ71は、画像処理部75と、動作制御部77とを有する。画像処理部75は、カメラ13から受信した画像データに対して所定の画像処理を実行し、ワークWに関するワーク情報を取得する。ワーク情報には、例えばワークWの形状、サイズ、向き、種類、位置、隣接するワークWとの隙間距離等が含まれる。ワーク情報にこれら以外の情報を含めてもよい。
【0046】
動作制御部77は、ロボット7のハンド17をカメラ13により検出されたワークWの把持位置や移動先等に移動させるために必要となる各アクチュエータAc1~Ac6の各モータ76の目標回転角度等を演算(逆運動学演算)する。動作制御部77は、対応するモータ76の指令(例えば位置指令、速度指令等)を生成して多軸サーボコントローラ73に送信する。
【0047】
ロボット7は、前述のように、例えば6つのアクチュエータAc1~Ac6を備えた6つの関節部を有する垂直多関節型の6軸ロボットである。各関節部を駆動するアクチュエータAc1~Ac6の各々は、例えばモータ76、エンコーダ78、及び減速機79等により構成されている。
【0048】
多軸サーボコントローラ73は、サーボ制御部81と、サーボアンプ83とを有する。サーボ制御部81は、モーションコントローラ71から入力された各モータ76への指令とアクチュエータAc1~Ac6の各エンコーダ78の検出値に基づいて、各モータ76のトルクや電流値を算出する。サーボアンプ83は、サーボ制御部81から入力されたトルクや電流値に基づいて各モータ76に供給する電力の制御を行い、ロボット7の動作を制御する。
【0049】
なお、上述した画像処理部75、動作制御部77等における処理等は、これらの処理の分担の例に限定されるものではなく、例えば、更に少ない数の処理部(例えば1つの処理部)で処理されてもよく、また、更に細分化された処理部により処理されてもよい。また、ロボットコントローラ9は、ロボット7の各アクチュエータAc1~Ac6に駆動電力を給電する部分(サーボアンプ等)のみ実際の装置により実装され、その他の機能はCPU等が実行するプログラムにより実装されてもよい。また、ロボットコントローラ9の機能の一部又は全部がASICやFPGA、その他の電気回路等の実際の装置により実装されてもよい。
【0050】
<6.ユニットコントローラ、ロボットコントローラの処理手順>
図10を参照しつつ、ユニットコントローラ5及びロボットコントローラ9の処理手順の一例について説明する。
図10は、ロボット7が例えばワークWの移載作業を行う場合における、ユニットコントローラ5及びロボットコントローラ9による処理手順の一例を表すフローチャートである。
【0051】
ステップS10では、ユニットコントローラ5及びロボットコントローラ9の各々は、カメラ13により検出された把持対象であるワークWの位置やサイズ等を含むワーク情報を取得する。
【0052】
ステップS20では、ロボットコントローラ9は、動作制御部77及び多軸サーボコントローラ73によりロボット7を動作させ、ハンド17のワークWの把持位置までの移動を開始する。
【0053】
ステップS30では、上記ステップS20でロボット7がハンド17をワークWを把持位置まで移動させるのと並行して、ユニットコントローラ5は、空圧制御ユニット3のモータ23を制御して複数の指部49をワークWの検出結果に基づく所定の位置に動作させる。ユニットコントローラ5は、把持位置制御部61及びサーボコントローラ53により、指部49の位置を所定の位置に調整する。「所定の位置」は、例えばワークWの掴み幅の近傍位置(掴み幅よりも若干量だけ開いた位置)である。ユニットコントローラ5は、把持速度制御部65及びサーボコントローラ53により、指部49の動作速度を目標値に調整する。
【0054】
ステップS40では、ロボットコントローラ9は、ハンド17のワークWの把持位置までの移動を完了する。ユニットコントローラ5は、空圧制御ユニット3のモータ23を制御して複数の指部49を上記所定の位置から閉じ、ワークWを把持する。この際、ユニットコントローラ5は、把持位置制御部61及びサーボコントローラ53により、把持位置を目標値に調整する。ユニットコントローラ5は、把持速度制御部65及びサーボコントローラ53により、指部49の閉じ動作の速度を目標値に調整する。
【0055】
ステップS50では、ユニットコントローラ5は、把持力制御部63及びサーボコントローラ53により、把持力を目標値に調整する。
【0056】
ステップS60では、ロボットコントローラ9は、ワークWを把持した状態のハンド17を、ワークWの移動先まで移動させる。
【0057】
ステップS70では、ユニットコントローラ5は、空圧制御ユニット3のモータ23を制御して複数の指部49を開き、ワークWの把持を解除して移載する。この際、ユニットコントローラ5は、把持位置制御部61及びサーボコントローラ53により、指部49の開き位置を目標値に調整する。ユニットコントローラ5は、把持速度制御部65及びサーボコントローラ53により、指部49の開き動作の速度を目標値に調整する。以上により、本フローチャートを終了する。
【0058】
なお、上述した処理手順は一例であって、上記手順の少なくとも一部を削除又は変更してもよいし、上記以外の手順を追加してもよい。また、上記手順の少なくとも一部の順番を変更してもよいし、複数の手順が単一の手順にまとめられてもよい。
【0059】
<7.ワークの移載の具体例>
図11~
図13を参照しつつ、ハンドシステム1によるワークWの移載の具体例について説明する。
図11はワークWがトマトの場合(以下適宜「トマトW1」という)、
図12はワークWがいちごの場合(以下適宜「いちごW2」という)、
図13はワークWがきゅうりの場合(以下適宜「きゅうりW3」という)における、ワークWが箱詰めされた容器の一例を表す上面図である。
【0060】
図11に示すように、容器85内には複数のトマトW1が収容されている。トマトW1は、例えば各トマトの位置に凹部87が形成された位置決め用の台紙89に載置されている。容器85の収容効率を上げるために各トマトW1の間隔は小さく設定されている。台紙89を設けずに、各トマトW1を当接させながら収容してもよい。仮に、例えば予め設定された開位置と閉位置の2位置でしか駆動できないハンドを使用する場合には、トマトW1を容器85内に載置した後ハンドを開いた際に、隣接するトマトW1に干渉する可能性がある。この場合には接触したトマトW1の位置ずれ等が生じてしまい、効率良く収容することができない。
【0061】
本実施形態のハンドシステム1では、前述のようにハンド17の指部49の開き位置を微調整することができる。これにより、トマトW1を容器85内に載置した後ハンドを開く際に、隣接するトマトW1への干渉を防止又は抑制することが可能となる。また、各トマトW1にはサイズや形状の個体差があるため、例えばカメラ13による検出結果に基づいて、隙間が生じる又は大きい方向に指部49が位置するように向きを調整したり、当該隙間の大きさに合わせて指部49の開き位置を調整すること等も可能である。さらに、指部49の開き動作の速度についても調整できるので、例えば干渉が避けられない場合にはゆっくりと開いて位置ずれを抑制する等も可能となる。
【0062】
図12に示すように、容器91内には複数のいちごW2が収容されている。いちごW2は、例えば見栄えが良くなるように一定の方向に向きを合わせつつ、隣接するいちごW2と当接するように容器91内に隙間なく収容されている。このような場合、上述した予め設定された開位置と閉位置の2位置でしか駆動できないハンドを使用する場合には、収容が難しい。
【0063】
本実施形態のハンドシステム1では、前述のようにハンド17の指部49の開き位置を微調整することができる。これにより、例えばカメラ13による検出結果に基づいて、隙間が生じる又は大きい方向に指部49が位置するように向きを調整しつつ指部49の開き位置を微調整し、隣接するいちごW2への干渉を抑制することが可能となる。また、指部49の位置に加えて動作速度を調整できるので、例えば隙間がない場合にはいちごW2を容器91内に差し込まずに、収容場所の上方でゆっくりと開いて衝撃を小さくしつつ落下させる等も可能となる。
【0064】
図13に示すように、容器93内には複数のきゅうりW3が収容されている。一般にきゅうりW3は、例えば太さや長さ、曲がり具合等、形状の個体差が比較的大きい。したがって、容器93に効率良く収容するには、各きゅうりW3の向きや位置等を形状に応じて適宜調整するのが好ましい。このような場合、上述した予め設定された開位置と閉位置の2位置でしか駆動できないハンドを使用する場合には、ハンドの動作の自由度が低いため効率の良い収容が難しい。
【0065】
本実施形態のハンドシステム1では、前述のようにハンド17の指部49の位置や速度を調整することができるので、ハンド17の動作の自由度が高い。これにより、例えばカメラ13による検出結果に基づいて、容器93に効率良く収容するためにきゅうりW3の向きや位置等を調整しつつ、指部49の向きや開き位置を微調整し、隣接するきゅうりW3への干渉を抑制することが可能となる。また、指部49の位置に加えて動作速度を調整できるので、例えば隙間がない場合にはきゅうりW3を容器93内に差し込まずに、収容場所の上方でゆっくりと開いて衝撃を小さくしつつ落下させる等も可能となる。
【0066】
上記において、トマトW1、いちごW2、及びきゅうりW3がワーク要素の一例であり、箱詰めが完了した容器85,91,93がワーク要素を用いて生産されるワークの一例である。トマトW1、いちごW2、及びきゅうりW3の容器85,91,93に対する移載作業(収容作業)が、ワーク要素に対して実行する所定の作業の一例である。
【0067】
<8.実施形態の効果>
本実施形態のハンドシステム1は、モータ23により空気の圧力を大気圧よりも減圧して陰圧を生成する空圧制御ユニット3と、空圧制御ユニット3により生成された陰圧を用いてワークWを保持するハンド17と、モータ23を制御するユニットコントローラ5と、を有する。
【0068】
例えば不定形で柔らかいワークをハンドリングするハンドとして、空気圧を用いてワークを保持するハンドがある。一般にこのようなハンドでは、ソレノイドバルブを使用してシリンダーやエアチャック等の空圧機器を駆動する。この場合、例えば把持式のハンドの場合には予め設定された開位置と閉位置の2位置でしか駆動できず、把持力についても供給される一次側の空気圧によって一定の力になってしまう場合がある。
【0069】
本実施形態では、空圧制御ユニット3がモータ23により空気の陰圧を生成し、生成した陰圧を用いてハンド17がワークWを保持する。モータ23により空気圧を様々な値に調整できるので、ハンド17の動作の自由度を高めることができる。これにより、ワークWをハンドリングする際の精度を高めることができる。また、一次側で空気圧を供給するコンプレッサが不要となるため、駆動源を電気式としたシステムが可能となる。このため、例えばバッテリを搭載する等により移動自在なハンドシステム1を実現できる。また、コンプレッサが不要となることで騒音、振動を低減できる。
【0070】
ハンドシステム1が、ハンド17が取り付けられ、ハンド17を移動させるロボット7をさらに有し、ロボット7は、空圧制御ユニット3と別体として構成されてもよい。
【0071】
この場合、ロボット7によりハンド17を所定の位置に移動させてワークWを保持し、保持した状態でハンド17を別の位置に移動させてワークWの保持を解除することにより、ワークWの移載作業ができる。また、ロボット7と空圧制御ユニット3を一体でなく別体として構成することにより、空圧制御ユニット3を複数のロボット7に対して使い回すことが可能となり、汎用性の向上、ロボットの小型化、コスト削減等が可能となる。また、ロボット7とハンド17を組み合わせて移動自在なロボットシステムを実現できるので、人と共に稼働することが可能な人協働ロボットへの適用も容易となる。
【0072】
ハンド17は、陰圧による内部圧力の変化に応じて形状を変化させる構造を有してもよい。この場合、ハンド17に内部圧力の変化に応じた動きをさせることができるので、内部圧力でハンド17での動作速度や動作態様(開き幅、把持力など)をきめ細かく制御することが可能となる。
【0073】
ハンド17は、陰圧による内部圧力の変化によって形状を変化させる柔軟な材質で構成されてもよい。この場合、空圧制御ユニット3で生成した陰圧を用いてハンド17の形状を変化させることができ、この形状の変化によりワークWを保持することができる。また、ハンド17を柔軟な材質で構成することで、ワークWを優しく把持することが可能となるので、例えば野菜や果物のような不定形で柔軟なワークの損傷を抑制できる。また、例えばハンドリング精度の高いサーボハンドに比べて、ハンド17にサーボモータ等の機構を備えないため、大幅な軽量化及びコンパクト化が可能となり、且つ、洗浄が容易となる。その結果、衛生面を向上できるので、食品をハンドリングする作業等にも有効である。また、ハンド17を軽量化できる結果、可搬重量を小さくできるためロボット7を小型化できる。
【0074】
ハンド17は、掌部47と、掌部47の周囲に突出して設けられ、内部圧力の変化によって掌部47に対して揺動する複数の指部49とを有してもよい。この場合、空圧制御ユニット3で生成した陰圧を用いて、複数の指部49を掌部47に対して揺動させることで、複数の指部49を開閉動作させてワークWの把持及び開放を行うことができる。したがって、ワークWのハンドリング精度が高い空気圧を用いた把持式ハンドを実現できる。
【0075】
ハンドシステム1は、保持対象のワークWを検出するカメラ13をさらに有し、ユニットコントローラ5は、ロボット7がハンド17をワークWを保持する位置まで移動させるのと並行して、モータ23を制御して複数の指部49をワークWの検出結果に基づく所定の位置に動作させてもよい。
【0076】
この場合、例えばハンド17の移動中に指部49をワークWの把持位置近傍まで閉じておくことで、移動完了後に必要な指部49の動作量を減少させることができる。したがって、例えばハンド17のワーク保持位置までの移動が完了した後に指部49を動作させてワークWを保持する場合に比べて、サイクルタイムを短縮することができる。
【0077】
ハンドシステム1は、空圧制御ユニット3により生成された陰圧の圧力値を検出する圧力センサ11をさらに有し、ユニットコントローラ5は、圧力値に基づいてモータ23を制御してもよい。
【0078】
この場合、圧力センサ11の検出値(空圧制御ユニット3により生成した空気圧の圧力値)を目標圧力とするように制御するフィードバック制御が可能となる。これにより、例えば把持式のハンド17の場合、各指部49の位置と圧力値との相関情報を予め用意しておくことで、各指部49の位置制御を行うことが可能となる。また、指部49による把持力と圧力値との相関情報を予め用意しておくことで、把持力の制御を行うことも可能となる。さらに、モータ23の回転速度によりハンド17の指部49の速度を制御することが可能となるので、空気の流量を測定する流量計が不要となる。これにより、部品点数やコストの削減が可能となる。
【0079】
ユニットコントローラ5は、目標とする圧力値とハンド17の挙動(例えば把持位置、把持力等)との相関を含む特性情報を取得するデータ取得部59を有してもよい。この場合、ユニットコントローラ5において、例えば使用するハンド17の特性に応じた特性情報を取得することで、特定の種類のハンド17に対して専用のシステムとするのではなく、様々な種類のハンドに対して適用可能なハンドシステム1を実現できる。したがって、ハンドシステム1の汎用性を向上できる。
【0080】
<9.変形例>
なお、開示の実施形態は、上記に限られるものではなく、その趣旨及び技術的思想を逸脱しない範囲内で種々の変形が可能である。以下、そのような変形例を説明する。
【0081】
(9-1.吸着式のハンドの場合)
上記実施形態では、把持式のハンドを用いる場合を一例として説明したが、エア等の流体圧を用いてワークを保持するハンドには、ワークを吸着して保持する吸着式のハンドがある。本変形例は、ロボット7が吸着式のハンドを有する場合である。
図14は、本変形例に係るハンドシステム1の全体構成の一例を概念的に表すシステム構成図である。
【0082】
図14に示すように、本変形例のロボット7はハンド95を有する。ハンド95は、空圧制御ユニット3により生成された陰圧を用いてワークWを吸着する吸着式のハンドである。ハンド95は、ワークWの表面に吸着する例えばパッド等の吸着部97を有する。ハンド95は、複数の吸着部97を有してもよい。上記以外の構成は、前述の実施形態と同様であるため説明を省略する。
【0083】
吸着式のハンドにおいて、例えばソレノイドバルブを使用してシリンダーやエアチャック等の空圧機器を駆動する場合、供給される一次側の流体圧によって吸着力が一定の力になってしまう場合がある。この場合、ワークWの種類(例えばトマト等)によっては吸着痕等が生成してしまい、ワークWの品質の低下を招く等の課題がある。
【0084】
本変形例では、空圧制御ユニット3がモータ23により空気の陰圧を生成し、生成した陰圧を用いてハンド95によりワークWを吸着して保持する。モータ23により陰圧を様々な値に調整できるので、吸着力をワークWに応じた適切な値に調整することが可能となる。これにより、ワークWをハンドリングする際の吸着力の自由度や精度を高めることができる。その結果、吸着痕の生成を抑制でき、ワークの品質の低下を低減できる。
【0085】
(9-2.流量センサを設ける場合)
上記実施形態では設置しなかったが、流路18を流れる空気の流量を検出する流量センサを設置してもよい。
図15は、本変形例に係るハンドシステム1の全体構成の一例を概念的に表すシステム構成図である。
【0086】
図15に示すように、本変形例のハンドシステム1では、空圧制御ユニット3とハンド17との間の流路18に、流量センサ99が設置されている。流量センサ99は、流路18を流れる空気の流量を検出し、検出値をユニットコントローラ5に送信する。流量センサ99は、流路18において例えば圧力センサ11よりもハンド17側に設置されている。反対に、流量センサ99を流路18において圧力センサ11よりも空圧制御ユニット3側に設置してもよい。
【0087】
前述のように、ハンドシステム1では、モータ23の回転速度によりハンド17の指部49の動作速度を制御することができる。このため、速度制御を行うために流量センサは必ずしも必要ではない。本変形例では、流量センサ99を設置して実際に流路18を流れる空気の流量を検出することで、例えば空圧制御ユニット3の動作異常や流路18の漏れ等、ハンドシステム1に何らかの異常が生じてないか否かを監視することが可能となる。したがって、ハンドシステム1の安全性や信頼性を向上できる。把持速度制御部65が、モータ23の回転速度に代えて又は加えて、流量センサ99の検出値に基づいてハンド17の指部49の動作速度を制御してもよい。
【0088】
(9-3.空圧制御ユニットの他の構成)
空圧制御ユニットは、上記実施形態で説明した構成に限定されるものではない。
図16は、空圧制御ユニットの他の構成例を一部断面で表す側面図である。
【0089】
図16に示すように、本変形例の空圧制御ユニット101は、ベース21と、モータ23と、エンコーダ25と、シリンダチューブ103と、ピストン105と、ロッド107と、送りねじ機構109と、支持部材111,113,115とを有する。ベース21、モータ23、エンコーダ25等は、前述の実施形態と同様であるため説明を省略する。
【0090】
支持部材111,113,115は、ベース21に立設されている。モータ23の出力軸33は、支持部材111,113に設けられた軸受(図示省略)により回転可能に支持されている。出力軸33はねじ軸である。スライダ117は、筒状の部材であり、内周にめねじが形成されている。出力軸33にはスライダ117がねじにより結合している。出力軸33とスライダ117とが、出力軸33の回転運動をスライダ117の直線運動に変換する送りねじ機構109を構成する。スライダ117には支持部119が立設されている。支持部119にはロッド107の一方側(
図16中右側)の端部が固定されている。ロッド107の他方側(
図16中左側)の端部にはピストン105が設置されている。ピストン105は、例えば円筒状のシリンダチューブ103に収容されている。シリンダチューブ103内の空間のうち、ピストン105よりもサーボモータ35とは反対側の空間121は密封されている。空圧制御ユニット101は、サーボモータ35によりピストン105をサーボモータ35側に移動させることで、空間121内の圧力を大気圧よりも減圧させて陰圧を生成する。生成された陰圧は、流路18を介してハンド17に伝達される。シリンダチューブ103内の空間のうち、ピストン105よりもサーボモータ35側の空間123は、空気穴125により大気圧と同等となっている。シリンダチューブ103は支持部材113,115により固定されている。
【0091】
空圧制御ユニット101で陽圧を生成する場合には、サーボモータ35によりピストン105をサーボモータ35とは反対側に移動させることで、空間121内の圧力を大気圧よりも加圧させて陽圧を生成する。生成された陽圧は、流路18を介してハンド17に伝達される。
【0092】
本変形例の空圧制御ユニット101によっても前述の実施形態と同様の効果が得られる。空圧制御ユニットを、例えばクランクシャフトを介してピストンを駆動する構成等、送りねじ機構を有しない構成としてもよい。モータも回転型に限らず、例えばリニア型等のモータを使用してもよい。空圧制御ユニットは、流体の圧力を基準圧よりも減圧して陰圧を生成、又は、流体の圧力を基準圧よりも加圧して陽圧を生成することが可能であれば、どのような構成としてもよい。
【0093】
(9-4.各種のデータを収集する場合)
ハンドシステム1において、各種のデータを収集して解析する構成としてもよい。
図17は、本変形例に係るハンドシステム1の全体構成の一例を概念的に表すシステム構成図である。
【0094】
図17に示すように、本変形例のロボット7は、アーム部19とハンド17との間に重量センサ127を有する。重量センサ127はハンド17の重量を検出し、検出値をユニットコントローラ5に送信する。ユニットコントローラ5は、検出値から例えば予め設定されたハンド17の重量を差し引くことで、ワークWの重量を算出する。ワークWの重量以外を検出するセンサを設けてもよい。
【0095】
本変形例のハンドシステム1は、データ収集装置129を有する。データ収集装置129は、例えばユニットコントローラ5及びロボットコントローラ9と通信可能に接続されている。データ収集装置129は、例えば圧力センサ11の圧力値、重量センサで検出したワークWの重量、ユニットコントローラ5がモータ23を制御するために出力する指令値(例えば位置指令、速度指令等)、ロボットコントローラ9がロボット7の各アクチュエータAc1~Ac6を制御するために出力する指令値(例えば位置指令、速度指令等)等を含むデータを収集する。
【0096】
データ収集装置129は、解析部131と、指令修正部133とを有する。解析部131は、収集したデータに基づいて所定の解析処理を実行する。「所定の解析処理」は、例えばハンド17の挙動と把持したワークWの重量との相関に関する解析等である。その他、例えばカメラ13で検出したワーク情報等を使用して様々な種類の解析を実行することにより、収集したデータを様々な用途に使用することも可能である。指令修正部133は、解析部131の解析結果に基づいて、例えばユニットコントローラ5の指令値やロボットコントローラ9の指令値を修正する。
【0097】
データ収集装置129は、例えば演算装置(CPU)、記録装置、入力装置等を有するコンピュータである。データ収集装置129は、単体の独立した制御装置として構成されてもよいし、例えばユニットコントローラ5にデータ収集装置129の機能を実装させ、ユニットコントローラ5と一体的な制御装置として構成してもよい。
【0098】
本変形例によれば、データ収集装置129で収集したデータを活用することにより、単にワークWに対するハンドリング精度を高めるだけでなく、例えばデータに含まれる重量に基づいて把持の仕方を変更したり、より効率の良い把持の仕方を学習する等の処理が可能となる。これにより、よりスマートなハンドシステム1の実現が可能となる。例えば、収集したデータの解析結果に基づいてユニットコントローラ5の指令値やロボットコントローラ9の指令値を修正する場合、次のような効果が得られる。例えばワークWがばら状、粒状、粉状の固形物の場合のように、ハンド17による把持の仕方(例えばハンド17の位置、向き、開き量、把持力、動作速度、ワークWへの差し込み量等)によってワークWの保持量が変動するような場合に、ワークWの保持量が目標の重量となるように、ロボット7やハンド17の動作を調整する等の処理が可能となる。
【0099】
(9-5.その他)
以上では、ユニットコントローラ5とロボットコントローラ9とが独立した制御装置として構成されている場合について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、ロボットコントローラ9に外部軸等としてユニットコントローラ5の機能を実装させ、ユニットコントローラ5とロボットコントローラ9とを一体的な制御装置として構成してもよい。この場合、ロボット7とハンド17とが連動する動作を1つのコントローラに対して一度に教示することが可能となるので、教示作業が容易となる。
【0100】
<10.ユニットコントローラのハードウェア構成例>
次に、
図18を参照しつつ、ユニットコントローラ5のハードウェア構成例について説明する。ロボットコントローラ9についても同様なハードウェア構成としてもよい。
図18では、ユニットコントローラ5のモータ23に駆動電力を給電する機能に係る構成を適宜省略して図示している。
【0101】
図18に示すように、ユニットコントローラ5は、例えば、CPU901と、ROM903と、RAM905と、ASIC又はFPGA等の特定の用途向けに構築された専用集積回路907と、入力装置913と、出力装置915と、記録装置917と、ドライブ919と、接続ポート921と、通信装置923とを有する。これらの構成は、バス909や入出力インターフェース911を介し相互に信号を伝達可能に接続されている。
【0102】
プログラムは、例えば、ROM903やRAM905、例えばハードディスク等の記録装置917等に記録しておくことができる。
【0103】
また、プログラムは、例えば、フレキシブルディスクなどの磁気ディスク、各種のCD・MOディスク・DVD等の光ディスク、半導体メモリ等のリムーバブルな記録媒体925に、一時的又は非一時的(永続的)に記録しておくこともできる。このような記録媒体925は、いわゆるパッケージソフトウエアとして提供することもできる。この場合、これらの記録媒体925に記録されたプログラムは、ドライブ919により読み出されて、入出力インターフェース911やバス909等を介し上記記録装置917に記録されてもよい。
【0104】
また、プログラムは、例えば、ダウンロードサイト・他のコンピュータ・他の記録装置等(図示せず)に記録しておくこともできる。この場合、プログラムは、LANやインターネット等のネットワークNWを介し転送され、通信装置923がこのプログラムを受信する。そして、通信装置923が受信したプログラムは、入出力インターフェース911やバス909等を介し上記記録装置917に記録されてもよい。
【0105】
また、プログラムは、例えば、適宜の外部接続機器927に記録しておくこともできる。この場合、プログラムは、適宜の接続ポート921を介し転送され、入出力インターフェース911やバス909等を介し上記記録装置917に記録されてもよい。
【0106】
そして、CPU901が、上記記録装置917に記録されたプログラムに従い各種の処理を実行することにより、前述の画像処理部55、記録部57、データ取得部59、把持位置制御部61、把持力制御部63、把持速度制御部65等による処理が実現される。この際、CPU901は、例えば、上記記録装置917からプログラムを直接読み出して実行してもよいし、RAM905に一旦ロードした上で実行してもよい。更にCPU901は、例えば、プログラムを通信装置923やドライブ919、接続ポート921を介し受信する場合、受信したプログラムを記録装置917に記録せずに直接実行してもよい。
【0107】
また、CPU901は、必要に応じて、例えばマウス・キーボード・マイク(図示せず)等の入力装置913(前述のタッチパネル15を含む)から入力する信号や情報に基づいて各種の処理を行ってもよい。
【0108】
そして、CPU901は、上記の処理を実行した結果を、例えば表示装置や音声出力装置等の出力装置915(前述のタッチパネル15を含む)から出力してもよく、さらにCPU901は、必要に応じてこの処理結果を通信装置923や接続ポート921を介し送信してもよく、上記記録装置917や記録媒体925に記録させてもよい。
【0109】
なお、以上の説明において、「垂直」「平行」「平面」等の記載がある場合には、当該記載は厳密な意味ではない。すなわち、それら「垂直」「平行」「平面」とは、設計上、製造上の公差、誤差が許容され、「実質的に垂直」「実質的に平行」「実質的に平面」という意味である。
【0110】
また、以上の説明において、外観上の寸法や大きさ、形状、位置等が「同一」「同じ」「等しい」「異なる」等の記載がある場合は、当該記載は厳密な意味ではない。すなわち、それら「同一」「同じ」「等しい」「異なる」とは、設計上、製造上の公差、誤差が許容され、「実質的に同一」「実質的に同じ」「実質的に等しい」「実質的に異なる」という意味である。
【0111】
但し、例えばしきい値(
図10のフローチャート参照)や基準値等、所定の判定基準となる値あるいは区切りとなる値の記載がある場合は、それらに対しての「同一」「等しい」「異なる」等は、上記とは異なり、厳密な意味である。
【0112】
また、以上既に述べた以外にも、上記実施形態や各変形例による手法を適宜組み合わせて利用しても良い。その他、一々例示はしないが、上記実施形態や各変形例は、その趣旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更が加えられて実施されるものである。
【符号の説明】
【0113】
1 ハンドシステム
3 空圧制御ユニット(流体圧生成装置)
7 ロボット(自動機)
11 圧力センサ
13 カメラ(ワークセンサ)
17 ハンド
18 流路
23 モータ
47 掌部
49 指部
59 データ取得部(取得部)
95 ハンド
97 吸着部
99 流量センサ
101 空圧制御ユニット(流体圧生成装置)
127 重量センサ
129 データ収集装置
131 解析部
133 指令修正部
W ワーク
W1 トマト
W2 いちご
W3 きゅうり