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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022131356
(43)【公開日】2022-09-07
(54)【発明の名称】基板処理装置、及び、基板処理方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/304 20060101AFI20220831BHJP
   F16K 31/42 20060101ALI20220831BHJP
【FI】
H01L21/304 648G
H01L21/304 643A
H01L21/304 648K
F16K31/42 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021030259
(22)【出願日】2021-02-26
(71)【出願人】
【識別番号】000207551
【氏名又は名称】株式会社SCREENホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100168583
【弁理士】
【氏名又は名称】前井 宏之
(72)【発明者】
【氏名】澤崎 尚樹
(72)【発明者】
【氏名】坂 聡一朗
【テーマコード(参考)】
3H056
5F157
【Fターム(参考)】
3H056AA01
3H056BB04
3H056CA01
3H056CB02
3H056CC05
3H056CC07
3H056CD04
3H056CE01
3H056DD02
3H056GG04
3H056GG11
5F157AB02
5F157AB14
5F157AB33
5F157AB45
5F157AB49
5F157AB51
5F157AB64
5F157AB90
5F157BB22
5F157BB45
5F157CF14
5F157CF16
5F157CF42
5F157CF44
5F157CF60
5F157CF99
5F157DC90
(57)【要約】
【課題】バルブが閉じる瞬間の衝撃の発生を抑制できる基板処理装置を提供する。
【解決手段】基板処理装置100は、基板Wを処理液によって処理する。基板処理装置100は、配管9と、バルブ6と、バルブ制御機構7とを備える。配管9には、処理液が流れる。バルブ6は、配管9に配置され、配管9の流路90を開閉する。バルブ制御機構7は、バルブ6の開閉を制御する。バルブ6によって配管9の流路を閉じる場合、バルブ制御機構7は、バルブ閉方向DCに作用する第1駆動力によってバルブ6を駆動し、バルブ6が第1駆動力によって駆動された後に、バルブ閉方向DCに作用する第2駆動力をバルブ6に与える。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を処理液によって処理する基板処理装置であって、
前記処理液が流れる配管と、
前記配管に配置され、前記配管の流路を開閉するバルブと、
前記バルブの開閉を制御するバルブ制御機構と
を備え、
前記バルブによって前記配管の流路を閉じる場合、前記バルブ制御機構は、バルブ閉方向に作用する第1駆動力によって前記バルブを駆動し、前記バルブが前記第1駆動力によって駆動された後に、前記バルブ閉方向に作用する第2駆動力を前記バルブに与える、基板処理装置。
【請求項2】
前記バルブは、前記配管の流路を開閉する弁体部と、前記弁体部を駆動する弾性部材とを含み、
前記第1駆動力は、前記弾性部材の弾性力であり、
前記第2駆動力は、気体の圧力である、請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項3】
前記バルブは、
第1室と、
前記弾性部材が収容され、前記第1室よりも前記弁体部から離れて位置する第2室と、
前記第1室の内部と外部とを連通する第1ポートと、
前記第2室の内部と外部とを連通する第2ポートと
を含み、
前記バルブによって前記配管の流路を閉じる場合、前記バルブ制御機構は、前記第1ポートを通して前記気体を前記第1室から排出することで、前記弾性部材の前記弾性力である前記第1駆動力を前記バルブに与え、前記バルブに前記第1駆動力が与えられた後に、前記第2ポートを通して前記気体を前記第2室に供給することで、前記気体の圧力である前記第2駆動力を前記バルブに与える、請求項2に記載の基板処理装置。
【請求項4】
前記バルブ制御機構は、前記配管を流れる前記処理液の流量を示す流量値に応じて前記バルブの閉速度を設定するか、又は、前記処理液の流量として予め設定された流量値に応じて前記バルブの閉速度を設定する、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の基板処理装置。
【請求項5】
前記バルブ制御機構は、前記流量値が大きいほど、前記バルブの閉速度を小さくする、請求項4に記載の基板処理装置。
【請求項6】
基板を処理液によって処理する基板処理方法であって、
前記処理液が流れる配管の流路を閉じる場合、バルブ閉方向に作用する第1駆動力によってバルブを駆動する工程と、
前記バルブが前記第1駆動力によって駆動された後に、前記バルブ閉方向に作用する第2駆動力を前記バルブに与える工程と
を含む、基板処理方法。
【請求項7】
前記第1駆動力は、前記バルブの弁体部を駆動する弾性部材の弾性力であり、
前記第2駆動力は、気体の圧力である、請求項6に記載の基板処理方法。
【請求項8】
前記バルブは、
第1室と、
前記弾性部材が収容され、前記第1室よりも前記弁体部から離れて位置する第2室と、
前記第1室の内部と外部とを連通する第1ポートと、
前記第2室の内部と外部とを連通する第2ポートと
を含み、
前記第1駆動力によって前記バルブを駆動する前記工程では、前記第1ポートを通して前記気体を前記第1室から排出することで、前記弾性部材の前記弾性力である前記第1駆動力を前記バルブに与え、
前記第2駆動力を前記バルブに与える前記工程では、前記バルブに前記第1駆動力が与えられた後に、前記第2ポートを通して前記気体を前記第2室に供給することで、前記気体の圧力である前記第2駆動力を前記バルブに与える、請求項7に記載の基板処理方法。
【請求項9】
前記配管を流れる前記処理液の流量を示す流量値に応じて前記バルブの閉速度を設定する工程、又は、前記処理液の流量として予め設定された流量値に応じて前記バルブの閉速度を設定する工程を更に含む、請求項6から請求項8のいずれか1項に記載の基板処理方法。
【請求項10】
前記バルブの閉速度を調整する前記工程では、前記流量値が大きいほど、前記バルブの閉速度を小さくする、請求項9に記載の基板処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板処理装置、及び、基板処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載されたバルブは、内部ピストン空間と、外部ピストン空間とを有する。バルブは、過度の圧力を外部ピストン空間又は内部ピストン空間に供給することで、空気的に開いたり閉じたりすることができる。内部ピストン空間には、流路を閉じるためのピストンと、ピストンを駆動するためのバネとが収容される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007-78175号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載されたバルブにおいて、バネによる駆動力と、内部ピストン空間へのエアー圧による駆動力とを、同時にピストンに与えると、駆動力が大きいために、バルブが閉じる瞬間に衝撃が発生する可能性がある。その結果、発塵及び/又はウォーターハンマー発生の可能性がある。
【0005】
本発明の目的は、バルブが閉じる瞬間の衝撃の発生を抑制できる基板処理装置及び基板処理方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一局面によれば、基板処理装置は、基板を処理液によって処理する。基板処理装置は、配管と、バルブと、バルブ制御機構とを備える。配管には、前記処理液が流れる。バルブは、前記配管に配置され、前記配管の流路を開閉する。バルブ制御機構は、前記バルブの開閉を制御する。前記バルブによって前記配管の流路を閉じる場合、前記バルブ制御機構は、バルブ閉方向に作用する第1駆動力によって前記バルブを駆動し、前記バルブが前記第1駆動力によって駆動された後に、前記バルブ閉方向に作用する第2駆動力を前記バルブに与える。
【0007】
本発明の一態様においては、基板処理装置において、前記バルブは、前記配管の流路を開閉する弁体部と、前記弁体部を駆動する弾性部材とを含むことが好ましい。前記第1駆動力は、前記弾性部材の弾性力であることが好ましい。前記第2駆動力は、気体の圧力であることが好ましい。
【0008】
本発明の一態様においては、基板処理装置において、前記バルブは、第1室と、第2室と、第1ポートと、第2ポートとを含むことが好ましい。第2室には、前記弾性部材が収容されることが好ましい。第2室は、前記第1室よりも前記弁体部から離れて位置することが好ましい。第1ポートは、前記第1室の内部と外部とを連通することが好ましい。第2ポートは、前記第2室の内部と外部とを連通することが好ましい。前記バルブによって前記配管の流路を閉じる場合、前記バルブ制御機構は、前記第1ポートを通して前記気体を前記第1室から排出することで、前記弾性部材の前記弾性力である前記第1駆動力を前記バルブに与え、前記バルブに前記第1駆動力が与えられた後に、前記第2ポートを通して前記気体を前記第2室に供給することで、前記気体の圧力である前記第2駆動力を前記バルブに与えることが好ましい。
【0009】
本発明の一態様においては、基板処理装置において、前記バルブ制御機構は、前記配管を流れる前記処理液の流量を示す流量値に応じて前記バルブの閉速度を設定するか、又は、前記処理液の流量として予め設定された流量値に応じて前記バルブの閉速度を設定することが好ましい。
【0010】
本発明の一態様においては、基板処理装置において、前記バルブ制御機構は、前記流量値が大きいほど、前記バルブの閉速度を小さくすることが好ましい。
【0011】
本発明の他の局面によれば、基板処理方法においては、基板を処理液によって処理する。基板処理方法は、前記処理液が流れる配管の流路を閉じる場合、バルブ閉方向に作用する第1駆動力によってバルブを駆動する工程と、前記バルブが前記第1駆動力によって駆動された後に、前記バルブ閉方向に作用する第2駆動力を前記バルブに与える工程とを含む。
【0012】
本発明の一態様においては、基板処理方法において、前記第1駆動力は、前記バルブの弁体部を駆動する弾性部材の弾性力であることが好ましい。前記第2駆動力は、気体の圧力であることが好ましい。
【0013】
本発明の一態様においては、基板処理方法において、前記バルブは、第1室と、第2室と、第1ポートと、第2ポートとを含むことが好ましい。第2室には、前記弾性部材が収容されることが好ましい。第2室は、前記第1室よりも前記弁体部から離れて位置することが好ましい。第1ポートは、前記第1室の内部と外部とを連通することが好ましい。第2ポートは、前記第2室の内部と外部とを連通することが好ましい。前記第1駆動力によって前記バルブを駆動する前記工程では、前記第1ポートを通して前記気体を前記第1室から排出することで、前記弾性部材の前記弾性力である前記第1駆動力を前記バルブに与えることが好ましい。前記第2駆動力を前記バルブに与える前記工程では、前記バルブに前記第1駆動力が与えられた後に、前記第2ポートを通して前記気体を前記第2室に供給することで、前記気体の圧力である前記第2駆動力を前記バルブに与えることが好ましい。
【0014】
本発明の一態様においては、基板処理方法は、前記配管を流れる前記処理液の流量を示す流量値に応じて前記バルブの閉速度を設定する工程、又は、前記処理液の流量として予め設定された流量値に応じて前記バルブの閉速度を設定する工程を更に含むことが好ましい。
【0015】
本発明の一態様においては、基板処理方法において、前記バルブの閉速度を調整する前記工程では、前記流量値が大きいほど、前記バルブの閉速度を小さくすることが好ましい。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る基板処理装置および基板処理方法によれば、バルブが閉じる瞬間の衝撃の発生を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の実施形態1に係る基板処理装置の内部を示す平面図である。
図2】実施形態1に係る処理ユニットの内部を示す側面図である。
図3】比較例に係るバルブ及びバルブ制御機構を示す図である。
図4】比較例に係るバルブ制御機構の動作を示すタイムチャートである。
図5】比較例に係るバルブを閉じる際のノズルにおける処理液の状態を示す図である。
図6】実施形態1に係るバルブ及びバルブ制御機構を示す図である。
図7】実施形態1に係るバルブ制御機構の動作を示すタイムチャートである。
図8】実施形態1に係るバルブを閉じる際のノズルにおける処理液の状態を示す図である。
図9】実施形態1に係るバルブの閉速度と第1スピードコントローラーの開度との関係を示す図である。
図10】実施形態1に係る基板処理方法を示すフローチャートである。
図11】本発明の実施形態2に係るバルブ及びバルブ制御機構を示す図である。
図12】実施形態2に係るバルブ制御機構の動作を示すタイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、図中、同一または相当部分については同一の参照符号を付して説明を繰り返さない。また、図面には、説明の便宜のため、三次元直交座標系(X、Y、Z)を適宜記載している。そして、図中、X軸およびY軸は水平方向に平行であり、Z軸は鉛直方向に平行である。
【0019】
(実施形態1)
まず、図1を参照して、基板処理装置100を説明する。図1は、基板処理装置100の内部を示す平面図である。図1に示す基板処理装置100は、基板Wを処理液によって処理する。
【0020】
基板Wは、例えば、半導体ウエハ、液晶表示装置用基板、プラズマディスプレイ用基板、電界放出ディスプレイ(Field Emission Display:FED)用基板、光ディスク用基板、磁気ディスク用基板、光磁気ディスク用基板、フォトマスク用基板、セラミック基板、又は、太陽電池用基板である。
【0021】
処理液は、例えば、薬液又はリンス液である。
【0022】
薬液は、例えば、希フッ酸(DHF)、フッ酸(HF)、フッ硝酸(フッ酸と硝酸(HNO3)との混合液)、バファードフッ酸(BHF)、フッ化アンモニウム、HFEG(フッ酸とエチレングリコールとの混合液)、燐酸(H3PO4)、硫酸、酢酸、硝酸、塩酸、アンモニア水、過酸化水素水、有機酸(例えば、クエン酸、シュウ酸)、有機アルカリ(例えば、TMAH:テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド)、硫酸過酸化水素水混合液(SPM)、アンモニア過酸化水素水混合液(SC1)、塩酸過酸化水素水混合液(SC2)、イソプロピルアルコール(IPA)、界面活性剤、又は、腐食防止剤である。
【0023】
リンス液は、例えば、脱イオン水、炭酸水、電解イオン水、水素水、オゾン水、または、希釈濃度(例えば、10ppm~100ppm程度)の塩酸水である。
【0024】
図1に示すように、基板処理装置100は、複数のロードポートLPと、インデクサーロボットIRと、センターロボットCRと、複数の処理ユニット1と、制御装置2と、複数の流体ボックス3と、処理液キャビネット4とを備える。制御装置2は、ロードポートLP、インデクサーロボットIR、センターロボットCR、及び、処理ユニット1を制御する。
【0025】
ロードポートLPの各々は、複数枚の基板Wを積層して収容する。インデクサーロボットIRは、ロードポートLPとセンターロボットCRとの間で基板Wを搬送する。センターロボットCRは、インデクサーロボットIRと処理ユニット1との間で基板Wを搬送する。処理ユニット1の各々は、基板Wに処理液を供給して、基板Wを処理する。流体ボックス3の各々は流体機器を収容する。処理液キャビネット4は処理液を収容する。
【0026】
具体的には、複数の処理ユニット1は、平面視においてセンターロボットCRを取り囲むように配置された複数のタワーTW(実施形態1では4つのタワーTW)を形成している。各タワーTWは、上下に積層された複数の処理ユニット1(実施形態1では3つの処理ユニット1)を含む。複数の流体ボックス3は、それぞれ、複数のタワーTWに対応している。処理液キャビネット4内の処理液は、いずれかの流体ボックス3を介して、流体ボックス3に対応するタワーTWに含まれる全ての処理ユニット1に供給される。
【0027】
制御装置2は、ロードポートLP、インデクサーロボットIR、センターロボットCR、処理ユニット1、流体ボックス3、及び、処理液キャビネット4を制御する。制御装置2は、例えば、コンピューターである。
【0028】
制御装置2は、制御部21と、記憶部22とを含む。制御部21は、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサーを含む。記憶部22は、記憶装置を含み、データ及びコンピュータープログラムを記憶する。具体的には、記憶部22は、半導体メモリー等の主記憶装置と、半導体メモリー、ソリッドステートドライブ、及び/又は、ハードディスクドライブ等の補助記憶装置とを含む。記憶部22は、リムーバブルメディアを含んでいてもよい。記憶部22は、非一時的コンピューター読取可能記憶媒体の一例に相当する。
【0029】
次に、図2を参照して、処理ユニット1を説明する。図2は、処理ユニット1の内部を示す側面図である。
【0030】
図2に示すように、処理ユニット1は、チャンバー11と、スピンチャック12と、スピンモーター13と、ノズル14と、ノズル移動部15と、カップ16とを含む。基板処理装置100は、バルブ6と、バルブ制御機構7と、流量計8と、配管9とを更に備える。バルブ6、バルブ制御機構7、流量計8、及び、配管9の一部は、流体ボックス3に収容される。なお、バルブ6は、例えば、チャンバー11に収容されてもよい。
【0031】
チャンバー11は略箱形状を有する。チャンバー11は、スピンチャック12、スピンモーター13、ノズル14、ノズル移動部15、及び、カップ16を収容する。スピンモーター13は、スピンチャック12を回転軸線AXの周りに回転させる。従って、スピンチャック12は、基板Wを水平に保持しながら、回転軸線AXの周りに基板Wを回転させる。具体的には、スピンチャック12は、スピンベース121と、複数のチャック部材122とを含む。スピンベース121は、略円板状であり、水平な姿勢で複数のチャック部材122を支持する。複数のチャック部材122は基板Wを水平な姿勢で保持する。
【0032】
ノズル14は、基板Wに向けて処理液を供給する。ノズル移動部15は、ノズル14を昇降したり、ノズル14を鉛直方向に沿った回動軸線の周りに水平回動させたりする。ノズル移動部15は、ノズル14を昇降するために、例えば、ボールねじ機構と、ボールねじ機構に駆動力を与える電動モーターとを含む。また、ノズル移動部15は、ノズル14を水平回動するために、例えば、電動モーターを含む。カップ16は略筒形状を有する。カップ16は、基板Wから排出された処理液を受け止める。
【0033】
配管9はノズル14に処理液を供給する。従って、配管9には処理液が流れる。バルブ6及び流量計8は、配管9に配置される。バルブ6は、配管9の流路を開閉し、ノズル14に対する処理液の供給と供給停止とを切り替える。実施形態1では、バルブ6は、複動式エアーオペレーションバルブである。複動式とは、エアーが通る2つのポート(後述する第1ポート61及び第2ポート62)を有する方式のことである。バルブ制御機構7は、バルブ6の開閉を制御する。流量計8は、配管9を流れる処理液の流量を計測する。
【0034】
ここで、実施形態1に係るバルブ6及びバルブ制御機構7の詳細を説明する前に、図3図5を参照して、比較例に係るバルブ80及びバルブ制御機構85を簡単に説明する。
【0035】
図3は、比較例に係るバルブ80及びバルブ制御機構85を示す図である。図3に示すように、バルブ80は、配管110の流路を開閉する。図3では、閉じた状態のバルブ80が示されている。配管110には流量計89が配置される。具体的には、バルブ80は、第1ポート801、第2ポート802、第1室803、第2室804、弾性部材805、及び、弁体部806を含む。弾性部材805は、例えば、圧縮コイルばねである。弾性部材805は、第2室804に収容される。第1ポート801は、第1室803の内部と外部とを連通する。第2ポート802は、第2室804の外部と内部とを連通する。バルブ制御機構85はバルブ80を制御する。
【0036】
具体的には、バルブ制御機構85は、電磁弁86、第1スピードコントローラー87、及び、第2スピードコントローラー88を備える。第1配管111の一端は第1ポート801に接続され、第1配管111の他端は電磁弁86に接続される。第2配管112の一端は第2ポート802に接続され、第2配管112の他端は電磁弁86に接続される。電磁弁86は、第1配管111の接続先を、エアー供給配管ARとエアー排出配管EXとの間で切り替える。また、電磁弁86は、第2配管112の接続先を、エアー供給配管ARとエアー排出配管EXとの間で切り替える。エアー供給配管ARは、バルブ80にエアーを供給するための配管である。エアー排出配管EXは、バルブ80からエアーを排出するための配管である。
【0037】
図4は、比較例に係るバルブ制御機構85の動作を示すタイムチャートである。図4のチャートCT10、CT20において、横軸は時間を示す。
【0038】
チャートCT10の縦軸は、第1室803へのエアーの供給状態を示す。具体的には、縦軸において、「オン」は、第1配管111から第1室803にエアーが供給される状態を示し、「オフ」は、第1配管111から第1室803にエアーが供給されない状態を示す。すなわち、エアーの供給状態が「オン」である場合には、第1配管111を介して第1室803からエアーが排出されない状態を示し、エアーの供給状態が「オフ」である場合には、第1室803からエアーが排出される状態を示す。
【0039】
チャートCT20の縦軸は、第2室804へのエアーの供給状態を示す。具体的には、縦軸において、「オン」は、第2配管112から第2室804にエアーが供給される状態を示し、「オフ」は、第2配管112から第2室804にエアーが供給されない状態を示す。すなわち、エアーの供給状態が「オン」である場合には、第2配管112を介して第2室804からエアーが排出されない状態を示し、エアーの供給状態が「オフ」である場合には、第2室804からエアーが排出される状態を示す。
【0040】
図4に示すように、時刻t0から時刻t1までの期間T10において、バルブ80は開いており、配管110の流路も開いている。具体的には、電磁弁86は、第2配管112をエアー排出配管EXに接続するとともに、第1配管111をエアー供給配管ARに接続している。その結果、エアー供給配管ARから第1室803にエアーが供給されることで、弁体部806が押し上げられ、配管110の流路が開いている。
【0041】
次に、時刻t1において、電磁弁86は、第1配管111をエアー排出配管EXに接続すると同時に、第2配管112をエアー供給配管ARに接続する。従って、第1室803からエアー排出配管EXに向けてエアーが排出されると同時に、エアー供給配管ARから第2室804にエアーが導入される。その結果、弾性部材805の弾性力である第1駆動力と、第2室804のエアー圧である第2駆動力とが同時に、バルブ80に対してバルブ閉方向DCに与えられる。つまり、第1駆動力と第2駆動力とが同時に、弁体部806に対してバルブ閉方向DCに与えられる。従って、バルブ80(具体的には弁体部806)が閉じる瞬間に衝撃力が発生する可能性がある。その結果、発塵したり、ウォーターハンマーが発生したりする。
【0042】
なお、時刻t1から時刻t3までの期間T20では、第1駆動力及び第2駆動力によってバルブ80は閉じている。
【0043】
図5は、比較例に係るバルブ80を閉じる際のノズルNZにおける処理液LQの状態を示す図である。図5では、ノズルNZにおいてウォーターハンマーが発生することを「ジグザグの直線」によって示している。
【0044】
図5に示すように、第1駆動力(弾性部材805の弾性力)と第2駆動力(第2室804のエアー圧)とを同時にバルブ80に与えると、バルブ80が閉じる瞬間の衝撃によって、ノズルNZにおいてウォーターハンマーが発生する可能性がある。ウォーターハンマーが発生すると、ノズルNZから処理液LQの液滴が飛び散る可能性がある。その結果、液滴によってチャンバー内部が汚染されたり、基板Wに液滴が付着したりする可能性がある。また、バルブ80が閉じる瞬間の衝撃によって、配管110の流路内で発塵の可能性がある。
【0045】
そこで、実施形態1では、バルブ6(図2)に第1駆動力(弾性力)を与えるタイミングと、バルブ6に第2駆動力(エアー圧)を与えるタイミングとを異ならせることで、バルブ6が閉じる瞬間の衝撃が発生することを抑制する。以下、図6図8を参照して、実施形態1に係るバルブ6及びバルブ制御機構7を説明する。
【0046】
図6は、実施形態1に係るバルブ6及びバルブ制御機構7を示す図である。図6に示すように、バルブ6は、配管9の流路90を開閉する。図6では、閉じた状態のバルブ6が示されている。
【0047】
バルブ6は、ハウジング60、第1ポート61、第2ポート62、第1収容室63、第2収容室64、弾性部材65、仕切り部66、連結部67、弁体部68、及び、弁座部69を有する。第1収容室63及び第2収容室64は、ハウジング60に形成される。
【0048】
第1収容室63は、例えば略円筒状の空間を有し、弁体部68、及び、連結部67の一部を収容する。弁座部69は、第1収容室63と流路90とが交差している部分に配置される。弁座部69は、例えば、略円環状である。図6の例では、弁座部69は、略円錐台状である。弁体部68は、流路90を開閉する。具体的には、弁体部68は、バルブ閉方向DCに変位することで、弁座部69に接触し、流路90を閉じる。バルブ閉方向DCは、バルブ6が配管9の流路90を閉じる方向を示す。一方、弁体部68は、バルブ開方向DOに変位することで、弁座部69から離隔し、流路90を開く。バルブ開方向DOは、バルブ6が配管9の流路90を開く方向を示す。弁体部68は、例えば、弁体である。なお、バルブ6の方式は特に限定されず、例えば、弁体部68は、ダイヤフラムであってもよい。
【0049】
第2収容室64は、第1収容室63よりも流路90から離れて位置する。第2収容室64は、例えば略円筒状の空間を有し、弾性部材65、仕切り部66、及び、連結部67の一部を収容する。第2収容室64は、第1室641及び第2室642を有する。具体的には、仕切り部66は、第2収容室64を仕切って、第1室641及び第2室642を形成する。仕切り部66は、例えば、略円柱状又は略円筒状である。仕切り部66は、例えば、ピストンである。
【0050】
第2室642は、第1室641よりも弁体部68及び流路90から離れて位置する。第2室642は、弾性部材65を収容する。弾性部材65は弾性を有する。弾性部材65は、例えば、ばねである。例えば、ばねは、圧縮コイルばねである。弾性部材65は弁体部68を駆動する。具体的には、弾性部材65は、仕切り部66及び連結部67を駆動することで、弁体部68を駆動する。
【0051】
連結部67は、仕切り部66と弁体部68とを連結する。連結部67は、例えば、ロッドである。仕切り部66及び連結部67が駆動されることで、弁体部68は、バルブ閉方向DC又はバルブ開方向DOに変位する。なお、弁体部68が流路90を閉じた状態において、仕切り部66は、第1室641の底部に位置していてもよい。
【0052】
第1ポート61は、第1室641の内部と外部とを連通する。第2ポート62は、第2室642の内部と外部とを連通する。
【0053】
バルブ制御機構7は、バルブ6の開閉を制御する。具体的には、バルブ制御機構7は、第1電磁弁71と、第2電磁弁72と、第1スピードコントローラー73と、第2スピードコントローラー74とを有する。また、基板処理装置100は、第1配管91と、第2配管92とを更に備える。
【0054】
第1配管91の一端は第1ポート61に接続され、第1配管91の他端は第1電磁弁71に接続される。第1配管91は、第1電磁弁71を介して、エアー供給配管AR又はエアー排出配管EXに接続される。具体的には、第1電磁弁71は、配管911によってエアー供給配管ARに接続される。また、第1電磁弁71は、配管912によってエアー排出配管EXに接続される。
【0055】
エアー供給配管ARは、第2収容室64へエアーを供給するための配管である。エアー供給配管ARには、例えば、圧縮エアーを生成するエアーコンプレッサー(不図示)が接続される。エアー排出配管EXは、第2収容室64からエアーを排出するための配管である。エアー排出配管EXには、例えば、吸引ポンプ(例えば真空ポンプ)が接続される。
【0056】
本明細書において、エアーは、「気体」の一例である。従って、エアーに代えて、「気体」として、例えば、窒素等の不活性ガスを使用してもよい。
【0057】
第1電磁弁71は、第1配管91及び第1ポート61を介した第1室641へのエアーの供給と、第1配管91及び第1ポート61を介した第1室641からのエアーの排出とを切り替える。具体的には、第1電磁弁71は、エアー排出配管EX及び配管912を第1配管91から分離するとともに、エアー供給配管ARを、配管911を介して第1配管91に接続することで、エアーを第1室641に供給する。一方、第1電磁弁71は、エアー供給配管AR及び配管911を第1配管91から分離するとともに、エアー排出配管EXを、配管912を介して第1配管91に接続することで、第1室641からエアーを排出する。
【0058】
第1スピードコントローラー73は、第1ポート61と第1電磁弁71との間において、第1配管91に配置される。第1スピードコントローラー73は、第1配管91を介して第1室641から排出されるエアーの排出速度を調整することで、バルブ6の閉速度を調整する。バルブ6の閉速度は、バルブ閉方向DCにおける仕切り部66及び連結部67の移動速度を示す。つまり、バルブ6の閉速度は、バルブ閉方向DCにおける弁体部68の変位速度を示す。
【0059】
具体的には、第1スピードコントローラー73は、絞り弁731と、逆止弁732とを有する。絞り弁731と逆止弁732とは並列に接続される。逆止弁732は、第1ポート61からエアー排出配管EXに向かうエアーの移動を禁止する。従って、第1配管91を介して第1室641から排出されるエアーは、絞り弁731を通過する。絞り弁731は、第1室641から排出されるエアーの流量を調整することで、エアーの排出速度を調整する。絞り弁731は、例えば、モーターニードルバルブである。
【0060】
第2スピードコントローラー74は、第1ポート61と第1電磁弁71との間において、第1配管91に配置される。第2スピードコントローラー74は、第1配管91を介して第1室641へ供給するエアーの供給速度を調整することで、バルブ6の開速度を調整する。バルブ6の開速度は、バルブ開方向DOにおける仕切り部66及び連結部67の移動速度を示す。つまり、バルブ6の開速度は、バルブ開方向DOにおける弁体部68の変位速度を示す。
【0061】
具体的には、第2スピードコントローラー74は、絞り弁741と、逆止弁742とを有する。絞り弁741と逆止弁742とは並列に接続される。逆止弁742は、エアー供給配管ARから第1ポート61に向かうエアーの移動を禁止する。従って、第1配管91を介して第1室641へ供給されるエアーは、絞り弁741を通過する。絞り弁741は、第1室641へ供給されるエアーの流量を調整することで、エアーの供給速度を調整する。絞り弁741は、例えば、モーターニードルバルブである。
【0062】
第1スピードコントローラー73と第2スピードコントローラー74とは、第1配管91において直列に配置される。第1スピードコントローラー73は、第2スピードコントローラー74よりも第1電磁弁71の側に配置される。なお、第2スピードコントローラー74が、第1スピードコントローラー73よりも第1電磁弁71の側に配置されてもよい。
【0063】
第2配管92の一端は第2ポート62に接続され、第2配管92の他端は第2電磁弁72に接続される。第2配管92は、第2電磁弁72を介して、エアー供給配管AR又はエアー排出配管EXに接続される。具体的には、第2電磁弁72は、配管921によってエアー供給配管ARに接続される。また、第2電磁弁72は、配管922によってエアー排出配管EXに接続される。
【0064】
第2電磁弁72は、第2配管92及び第2ポート62を介した第2室642へのエアーの供給と、第2配管92及び第2ポート62を介した第2室642からのエアーの排出とを切り替える。具体的には、第2電磁弁72は、エアー排出配管EX及び配管922を第2配管92から分離するとともに、エアー供給配管ARを、配管921を介して第2配管92に接続することで、エアーを第2室642に供給する。一方、第2電磁弁72は、エアー供給配管AR及び配管921を第2配管92から分離するとともに、エアー排出配管EXを、配管922を介して第2配管92に接続することで、第2室642からエアーを排出する。
【0065】
図7は、バルブ制御機構7の動作を示すタイムチャートである。図7のチャートCT1、CT2において、横軸は時間を示す。
【0066】
チャートCT1の縦軸は、第1室641へのエアーの供給状態を示す。具体的には、縦軸において、「オン」は、第1配管91から第1室641にエアーが供給される状態を示し、「オフ」は、第1配管91から第1室641にエアーが供給されない状態を示す。すなわち、エアーの供給状態が「オン」である場合には、第1配管91を介して第1室641からエアーが排出されない状態を示し、エアーの供給状態が「オフ」である場合には、第1室641からエアーが排出される状態を示す。
【0067】
チャートCT2の縦軸は、第2室642へのエアーの供給状態を示す。具体的には、縦軸において、「オン」は、第2配管92から第2室642にエアーが供給される状態を示し、「オフ」は、第2配管92から第2室642にエアーが供給されない状態を示す。すなわち、エアーの供給状態が「オン」である場合には、第2配管92を介して第2室642からエアーが排出されない状態を示し、エアーの供給状態が「オフ」である場合には、第2室642からエアーが排出される状態を示す。
【0068】
図6及び図7に示すように、バルブ6によって配管9の流路90を閉じる場合、時刻t1において、バルブ制御機構7は、バルブ閉方向DCに作用する第1駆動力(弾性部材65による弾性力)によってバルブ6を駆動する。従って、第1駆動力によって、バルブ6が閉じて、流路90が閉じられる。また、バルブ6が第1駆動力によって駆動された後に、時刻t2において、バルブ閉方向DCに作用する第2駆動力(エアー圧)をバルブ6に与える。従って、バルブ6は、第1駆動力だけでなく、第2駆動力によっても、閉じた状態を維持できる。つまり、バルブ6は、より強い力で流路90を閉じることができる。
【0069】
すなわち、実施形態1によれば、バルブ6に第1駆動力を作用させるタイミングと、バルブ6に第2駆動力を作用させるタイミングとを異ならせている。つまり、バルブ6に第1駆動力を作用させた時t1から遅延時間T1が経過した時t2にバルブ6に第2駆動力を作用させる。従って、バルブ6に第1駆動力及び第2駆動力を同時に作用させる場合と比較して、バルブ6が閉じる瞬間の衝撃の発生を抑制できる。その結果、発塵、及び、ウォーターハンマーの発生を抑制できる。
【0070】
特に、実施形態1では、弾性部材65が第1駆動力を発生する。つまり、第1駆動力は、弾性部材65の弾性力である。加えて、第2駆動力は、第2室642のエアー圧である。従って、実施形態1によれば、弾性力及びエアー圧によって、第1駆動力及び第2駆動力を容易に発生できる。エアー圧は、「気体の圧力」の一例に相当する。
【0071】
具体的には、バルブ6によって配管9の流路90を閉じる場合、バルブ制御機構7は、時刻t1において、第1ポート61を通してエアーを第1室641から排出することで、弾性部材65の弾性力である第1駆動力をバルブ6に与える。そして、バルブ6に第1駆動力が与えられた後に、時刻t2において、第2ポート62を通してエアーを第2室642に供給することで、エアー圧である第2駆動力をバルブ6に与える。従って、実施形態1によれば、弾性部材65による第1駆動力をバルブ6に作用させるタイミングと、エアー圧による第2駆動力をバルブ6に作用させるタイミングとを異ならせている。従って、バルブ6が閉じる瞬間の衝撃の発生を抑制できる。その結果、発塵、及び、ウォーターハンマーの発生を抑制できる。
【0072】
より詳細には、時刻t0から時刻t1までの期間T0において、バルブ6は開いており、流路90が開いている。つまり、期間T0において、第1電磁弁71は、エアー供給配管AR、第1配管91及び第1ポート61からエアーを第1室641に供給し、第2電磁弁72は、第2配管92及び第2ポート62を通してエアーを第2室642からエアー排出配管EXに向けて排出する。その結果、仕切り部66及び連結部67がバルブ開方向DOに移動して、弁体部68がバルブ開方向DOに変位している。その結果、流路90が開いている。つまり、期間T0では、第1室641のエアー圧によって、弾性部材65の弾性力に抗して、仕切り部66、連結部67、及び、弁体部68がバルブ開方向DOに押し上げられて、流路90が開いている。
【0073】
次に、時刻t1において、第2電磁弁72が、第2配管92及び第2ポート62を介してエアーを第2室642からエアー排出配管EXに向けて排出している状態において、第1電磁弁71は、第1配管91及び第1ポート61を介して、エアー供給配管ARからのエアーを第1室641に供給している状態から、エアーを第1室641からエアー排出配管EXに向けて排出する状態に切り替える。つまり、時刻t1において、第2電磁弁72がエアーを第2室642から排出している状態において、第1電磁弁71は、第1室641からのエアーの排出を開始する。
【0074】
従って、時刻t1において、弾性部材65は、仕切り部66及び連結部67をバルブ閉方向DCに駆動して、弁体部68をバルブ閉方向DCに変位させる。その結果、弁体部68が流路90を閉じる。つまり、時刻t1から時刻t2までの期間T1では、弾性部材65の弾性力である第1駆動力が、仕切り部66、連結部67、及び、弁体部68に対してバルブ閉方向DCに作用している。一方、時刻t1を含む期間T1では、エアー圧である第2駆動力は、仕切り部66、連結部67、及び、弁体部68に対してバルブ閉方向DCに作用していない。なぜなら、期間T1では、期間T0から引き続き、第2電磁弁72がエアーを第2室642から排出しているからである。
【0075】
次に、時刻t2において、第1電磁弁71が、第1配管91及び第1ポート61を介して、エアーを第1室641からエアー排出配管EXに向けて排出している状態において、第2電磁弁72は、第2配管92及び第2ポート62を介して、エアーを第2室642から排出している状態から、エアー供給配管ARからのエアーを第2室642に供給する状態に切り替える。つまり、時刻t2において、第1電磁弁71がエアーを第1室641から排出している状態において、第2電磁弁72は、第2室642へのエアーの供給を開始する。
【0076】
従って、時刻t2において、弾性部材65の弾性力である第1駆動力に加えて、第2室642のエアー圧である第2駆動力が、仕切り部66、連結部67、及び、弁体部68に対してバルブ閉方向DCに更に作用する。従って、時刻t2から時刻t3までの期間T2では、弾性力及びエアー圧によって弁体部68が流路90を閉じる。その結果、期間T2では、弁体部68は、より強い力で流路90を閉じることができる。
【0077】
なお、期間T1及び期間T2では、第1電磁弁71は、第1配管91及び第1ポート61を介して、第1室641からエアー排出配管EXに向けてエアーを排出している。
【0078】
ここで、弾性部材65による第1駆動力をバルブ6に作用させるタイミングと、エアー圧による第2駆動力をバルブ6に作用させるタイミングとが異なる限りにおいて、期間T0~期間T2の各々の長さは、特に限定されない。
【0079】
図8は、実施形態1に係るバルブ6を閉じる際のノズル14における処理液LQの状態を示す図である。図8に示すように、第1駆動力(弾性力)をバルブ6に作用させるタイミングと第2駆動力(エアー圧)をバルブ6に作用させるタイミングとを異ならせることで、ノズル14において、ウォーターハンマー(図5)の発生を抑制できる。つまり、ウォーターハンマーによる液滴の飛び散りが抑制され、処理液LQが繋がった状態で落下する。
【0080】
次に、図9を参照して、バルブ6の閉速度及び第1スピードコントローラー73の開度を説明する。図9は、バルブ6の閉速度と第1スピードコントローラー73の開度との関係を示す図である。図9のグラフGP1~GP3において、横軸は時間を示し、縦軸はバルブ6の状態を示す。グラフGP1~GP3において、時刻t0~t3及び期間T0~T2は、それぞれ、図7に示す時刻t0~t3及び期間T0~T2を示す。
【0081】
例えば、グラフGP1に示すように、第1スピードコントローラー73の開度が大きいと、バルブ6の閉速度は大きい。例えば、グラフGP2に示すように、第1スピードコントローラー73の開度が中程度であると、バルブ6の閉速度は中程度である。例えば、グラフGP3に示すように、第1スピードコントローラー73の開度が小さいと、バルブ6の閉速度は小さい。第1スピードコントローラー73の開度は、絞り弁731の開度を示す。開度は、絞り弁731が開いている程度を示す。
【0082】
すなわち、第1スピードコントローラー73の開度が小さいほど、バルブ6の閉速度が小さくなる。換言すれば、第1スピードコントローラー73の開度が大きいほど、バルブ6の閉速度が大きくなる。
【0083】
以上、図9に示されるように、実施形態1によれば、弾性部材65による第1駆動力をバルブ6に作用させるタイミング(時刻t1)と、エアー圧による第2駆動力をバルブ6に作用させるタイミング(時刻t2)とを異ならせることで、第1スピードコントローラー73の開度の調整によるバルブ6の閉速度の調整を効果的に実行できる。一方、図3に示すように、比較例では、弾性部材805による第1駆動力をバルブ80に作用させるタイミング(時刻t1)と、エアー圧による第2駆動力をバルブ80に作用させるタイミング(時刻t1)とが同時であるため、第1スピードコントローラー87の開度の調整によるバルブ80の閉速度の調整が、困難又は不可能である。
【0084】
次に、図6を参照して、実施形態1のより好ましい例を説明する。すなわち、バルブ制御機構7(具体的には、第1スピードコントローラー73)は、配管9を流れる処理液の流量を示す流量値に応じてバルブ6の閉速度を調整するか、又は、処理液の流量として予め設定された流量値に応じてバルブ6の閉速度を調整することが好ましい。この好ましい例によれば、配管9を流れる処理液の流量に応じて、バルブ6の閉速度を適切な値に設定できる。従って、バルブ6が閉じる瞬間の衝撃の発生を更に効果的に抑制できる。「配管9を流れる処理液の流量を示す流量値」は、流量計8によって計測された処理液の流量値を示す。また、「処理液の流量として予め設定された流量値」は、例えば、記憶部22に記憶されたレシピに定められた処理液の流量値を示す。レシピは、基板Wの処理内容及び処理手順を規定する情報である。つまり、レシピは、基板Wに対する処理条件を規定する情報である。
【0085】
特に、実施形態1では、バルブ制御機構7は、配管9を流れる処理液の流量値が大きいほど、バルブ6の閉速度を小さくすることが更に好ましい。処理液の流量値が大きい場合に、バルブ6の閉速度を大きくすると、ノズル14においてウォーターハンマーが発生し易くなる可能性があるからである。一方、処理液の流量値が小さい場合に、バルブ6の閉速度を小さくすると、ノズル14において液柱が細くなり過ぎて処理液がダラダラ継続して落下する可能性がある。従って、バルブ制御機構7は、配管9を流れる処理液の流量値が小さいほど、バルブ6の閉速度を大きくすることが更に好ましい。
【0086】
具体的には、制御部21は、流量計8から処理液の流量を示す流量値を取得する。そして、制御部21は、流量値に基づいて第1スピードコントローラー73の開度を設定する。第1スピードコントローラー73の開度が小さいほど、バルブ6の閉速度は小さくなる(図9)。
【0087】
そこで、より詳細には、制御部21は、配管9を流れる処理液の流量値が大きいほど、第1スピードコントローラー73の開度を小さく設定する。従って、配管9を流れる処理液の流量値が大きいほど、バルブ6の閉速度が小さくなる。その結果、ノズル14においてウォーターハンマーの発生を効果的に抑制できる。一方、制御部21は、配管9を流れる処理液の流量値が小さいほど、第1スピードコントローラー73の開度を大きく設定することで、ノズル14において液柱が細くなり過ぎることを抑制できる。
【0088】
又は、制御部21は、記憶部22に記憶されたレシピから、処理液の流量として予め定められた流量値を取得する。そして、制御部21は、流量値に基づいて第1スピードコントローラー73の開度を設定する。より詳細には、制御部21は、予め定められた流量値が大きいほど、第1スピードコントローラー73の開度を小さく設定する。従って、予め定められた流量値が大きいほど、バルブ6の閉速度が小さくなる。その結果、ノズル14においてウォーターハンマーの発生を効果的に抑制できる。一方、制御部21は、予め定められた流量値が小さいほど、第1スピードコントローラー73の開度を大きく設定することで、ノズル14において液柱が細くなり過ぎることを抑制できる。
【0089】
次に、図6及び図10を参照して、実施形態1に係る基板処理方法を説明する。基板処理方法は、基板Wを処理液によって処理する方法である。図10は、基板処理方法を示すフローチャートである。図10に示すように、基板処理方法は、工程S1~工程S5を含む。
【0090】
図6及び図10に示すように、まず、工程S1において、制御部21は、バルブ6が開くように、バルブ6を制御する。従って、バルブ6が開き、流路90が開通する。よって、ノズル14(図2)は、基板Wに向けて処理液を吐出する。その結果、基板Wが処理液によって処理される。
【0091】
次に、工程S2において、制御部21は、記憶部22に記憶されたレシピから、処理液の吐出終了指示を受け付ける。
【0092】
次に、工程S3において、制御部21は、流量計8から処理液の流量値を取得して、配管9を流れる処理液の流量値に応じてバルブ6の閉速度を設定する。具体的には、制御部21は、第1スピードコントローラー73の開度を、配管9を流れる処理液の流量値に応じて設定する。その結果、バルブ6の閉速度が、処理液の流量値に応じて設定される。
【0093】
又は、工程S3において、制御部21は、記憶部22に記憶されたレシピから、処理液の流量として予め定められた流量値を取得して、予め定められた流量値に応じてバルブ6の閉速度を設定する。具体的には、制御部21は、第1スピードコントローラー73の開度を、予め定められた流量値に応じて設定する。その結果、バルブ6の閉速度が、予め定められた流量値に応じて設定される。
【0094】
次に、工程S4において、制御部21は、バルブ制御機構7(具体的には第1電磁弁71)を制御することで、バルブ閉方向DCに作用する第1駆動力(例えば、弾性部材65の弾性力)によってバルブ6(具体的には弁体部68)を駆動する。その結果、バルブ6(具体的には弁体部68)が閉じて、流路90が閉止される。
【0095】
次に、工程S5において、制御部21は、バルブ制御機構7(具体的には第2電磁弁72)を制御することで、バルブ閉方向DCに作用する第2駆動力(例えば、エアー圧)をバルブ6(具体的には弁体部68)に与える。その結果、第1駆動力及び第2駆動力によってバルブ6(具体的には弁体部68)の閉状態が維持される。そして、基板処理方法は、終了する。
【0096】
以上、図10を参照して説明したように、工程S4の後に工程S5を実行することで、バルブ6が閉じる瞬間の衝撃の発生を抑制できる。
【0097】
(実施形態2)
図11及び図12を参照して、本発明の実施形態2に係る基板処理装置100を説明する。実施形態2に係る基板処理装置100及び処理ユニット1の全体構成は、それぞれ、図1及び図2を参照して説明した実施形態1に係る基板処理装置100及び処理ユニット1の全体構成と同様である。特に、実施形態2に係る基板処理装置100は、第1駆動力及び第2駆動力としてエアー圧を利用する点で、実施形態1に係る基板処理装置100と主に異なる。以下、実施形態2が実施形態1と異なる点を主に説明する。
【0098】
図11は、実施形態2に係るバルブ6A及びバルブ制御機構7Aを示す図である。図11に示すように、バルブ6Aは、図6に示す弾性部材65を有していない点で、図6に示すバルブ6と異なる。また、バルブ制御機構7Aは、図6に示すバルブ制御機構7の構成に加えて、圧力調整機構75を有する。圧力調整機構75は、第2ポート62から第2室642に供給するエアーの圧力を調整する。圧力調整機構75は、例えば、レギュレーターである。
【0099】
実施形態2では、バルブ6Aに第1駆動力(第1エアー圧P1)を与えるタイミングと、バルブ6Aに第2駆動力(第2エアー圧P2)を与えるタイミングとを異ならせることで、バルブ6Aが閉じる瞬間の衝撃が発生することを抑制する。
【0100】
図12は、バルブ制御機構7Aの動作を示すタイムチャートである。図12のチャートCT11、CT12において、横軸は時間を示す。チャートCT11の縦軸は、図7に示すチャートCT1の縦軸と同様である。チャートCT12の縦軸は、第2室642へのエアーの供給状態を示す。具体的には、縦軸において、「P1」は、第2配管92から第2室642に対して第1エアー圧P1でエアーが供給される状態を示す。「P1+P2」は、第2配管92から第2室642に対して、第1エアー圧P1+第2エアー圧P2でエアーが供給される状態を示す。「オフ」は、第2配管92から第2室642にエアーが供給されない状態を示す。従って、エアーの供給状態が「オフ」である場合には、第2室642からエアーが排出される状態を示す。
【0101】
図11及び図12に示すように、バルブ6Aによって配管9の流路90を閉じる場合、時刻t1において、バルブ制御機構7Aは、バルブ閉方向DCに作用する第1駆動力(第1エアー圧P1)によってバルブ6Aを駆動する。従って、第1駆動力によって、バルブ6Aが閉じて、流路90が閉じられる。また、バルブ6Aが第1駆動力によって駆動された後に、時刻t2において、バルブ閉方向DCに作用する第2駆動力(第2エアー圧P2)を更にバルブ6Aに与える。従って、バルブ6Aは、第1駆動力だけでなく、第2駆動力によっても、閉じた状態を維持できる。つまり、バルブ6Aは、より強い力で流路90を閉じることができる。
【0102】
すなわち、実施形態2によれば、バルブ6Aに第1駆動力を作用させるタイミングと、バルブ6Aに第2駆動力を作用させるタイミングとを異ならせている。従って、バルブ6Aに第1駆動力及び第2駆動力を同時に作用させる場合と比較して、バルブ6Aが閉じる瞬間の衝撃の発生を抑制できる。その結果、発塵、及び、ウォーターハンマーの発生を抑制できる。
【0103】
具体的には、バルブ6Aによって配管9の流路90を閉じる場合、バルブ制御機構7Aは、時刻t1において、第1ポート61を通してエアーを第1室641から排出するとともに、第2ポート62を通してエアーを第2室642に供給することで、第2室642における第1エアー圧P1である第1駆動力をバルブ6Aに与える。この場合、圧力調整機構75が、第2配管92に流れるエアーの圧力を第1エアー圧P1に設定する。
【0104】
そして、バルブ6Aに第1駆動力が与えられた後に、時刻t2において、第2ポート62を通してエアーを第2室642に供給することで、第2エアー圧P2である第2駆動力をバルブ6Aに更に与える。この場合、圧力調整機構75が、第2配管92に流れるエアーの圧力を、第1エアー圧P1+第2エアー圧P2に設定する。
【0105】
従って、実施形態2によれば、第1エアー圧P1による第1駆動力をバルブ6Aに作用させるタイミングと、第2エアー圧P2による第2駆動力をバルブ6Aに更に作用させるタイミングとを異ならせている。従って、バルブ6Aが閉じる瞬間の衝撃の発生を抑制できる。その結果、発塵、及び、ウォーターハンマーの発生を抑制できる。
【0106】
より詳細には、時刻t0から時刻t1までの期間T0におけるバルブ6A及びバルブ制御機構7Aの動作は、図7に示す期間T0におけるバルブ6及びバルブ制御機構7の動作と同様である。
【0107】
時刻t1において、第1電磁弁71は、第1配管91及び第1ポート61を介して、エアー供給配管ARからのエアーを第1室641に供給している状態から、エアーを第1室641からエアー排出配管EXに向けて排出する状態に切り替える。加えて、時刻t1において、第2電磁弁72は、第2配管92及び第2ポート62を介してエアーを第2室642からエアー排出配管EXに向けて排出している状態から、エアー供給配管ARからのエアーを第2室642に向けて第1エアー圧P1で供給する状態に切り替える。
【0108】
従って、時刻t1において、仕切り部66及び連結部67は、第1エアー圧P1によってバルブ閉方向DCに駆動されて、弁体部68がバルブ閉方向DCに変位する。その結果、弁体部68が流路90を閉じる。つまり、時刻t1から時刻t2までの期間T1では、第1エアー圧P1による第1駆動力が、仕切り部66、連結部67、及び、弁体部68に対してバルブ閉方向DCに作用している。
【0109】
次に、時刻t2において、圧力調整機構75が、第1配管91を流れるエアーの圧力を、第1エアー圧P1+第2エアー圧P2に設定する。従って、仕切り部66、連結部67、及び、弁体部68に対して、バルブ閉方向DCに、第1エアー圧P1による第1駆動力に加えて、第2エアー圧P2による第2駆動力が与えられる。よって、時刻t2から時刻t3までの期間T2では、第1エアー圧P1及び第2エアー圧P2によって弁体部68が流路90を閉じる。その結果、期間T2では、弁体部68は、より強い力で流路90を閉じることができる。
【0110】
なお、期間T1及び期間T2では、第1電磁弁71は、第1配管91及び第1ポート61を介して、第1室641からエアー排出配管EXに向けてエアーを排出している。
【0111】
ここで、第1エアー圧P1による第1駆動力をバルブ6Aに作用させるタイミングと、第2エアー圧P2による第2駆動力をバルブ6Aに更に作用させるタイミングとが異なる限りにおいて、期間T0~期間T2の各々の長さは、特に限定されない。
【0112】
また、実施形態2に係る基板処理方法は、図10を参照して説明した実施形態1に係る基板処理方法と同様である。
【0113】
以上、図面を参照して本発明の実施形態について説明した。ただし、本発明は、上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の態様において実施できる。また、上記の実施形態に開示される複数の構成要素は適宜改変可能である。例えば、ある実施形態に示される全構成要素のうちのある構成要素を別の実施形態の構成要素に追加してもよく、または、ある実施形態に示される全構成要素のうちのいくつかの構成要素を実施形態から削除してもよい。
【0114】
図面は、発明の理解を容易にするために、それぞれの構成要素を模式的に示しており、図示された各構成要素の厚さ、長さ、個数、間隔等は、図面作成の都合上から実際とは異なる場合もある。また、上記の実施形態で示す各構成要素の構成は一例であって、特に限定されるものではなく、本発明の効果から実質的に逸脱しない範囲で種々の変更が可能であることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0115】
本発明は、基板処理装置及び基板処理方法に関するものであり、産業上の利用可能性を有する。
【符号の説明】
【0116】
6、6A バルブ
7、7A バルブ制御機構
9 配管
61 第1ポート
62 第2ポート
65 弾性部材
68 弁体部
641 第1室
642 第2室
100 基板処理装置
W 基板
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12