IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 大和ハウス工業株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-排泄物処理装置 図1
  • 特開-排泄物処理装置 図2
  • 特開-排泄物処理装置 図3
  • 特開-排泄物処理装置 図4
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022131362
(43)【公開日】2022-09-07
(54)【発明の名称】排泄物処理装置
(51)【国際特許分類】
   A61F 5/451 20060101AFI20220831BHJP
【FI】
A61F5/451 V
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021030270
(22)【出願日】2021-02-26
(71)【出願人】
【識別番号】390037154
【氏名又は名称】大和ハウス工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001081
【氏名又は名称】弁理士法人クシブチ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】仲島 雅
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 大輔
(72)【発明者】
【氏名】後藤 厚
【テーマコード(参考)】
4C098
【Fターム(参考)】
4C098AA09
4C098CC32
4C098CC33
4C098CD01
4C098CD05
(57)【要約】      (修正有)
【課題】使用者の不快感を抑制しながらレシーバの容量を確保する排泄物処理装置を提供する。
【解決手段】排泄物処理装置は、使用者11の股間部11Cに装着されて排泄物を受けるレシーバ21と、レシーバ21に接続された吸引チューブと、吸引チューブを介して尿を吸引する排泄物処理装置において、レシーバ21は、尿の収容空間50Aを有し、柔軟性を有する素材で形成された外装部50を有し、外装部50の使用者11側の表面には、収容空間50Aを使用者11側に開口させて尿を収容空間50Aに通過させる開口部が形成され、吸引チューブは、収容空間50Aに開口する吸引口を有し、収容空間50Aには、収容空間50Aの形状を保持する多孔性の軟質構造体からなる形状保持体が配置されている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用者の股間部に装着されて排泄物を受けるレシーバと、前記レシーバに接続された吸引チューブと、前記吸引チューブを介して前記排泄物を吸引する排泄物処理装置において、
前記レシーバは、前記排泄物の収容空間を有し、柔軟性を有する素材で形成された外装部を有し、
前記外装部の使用者側の表面には、前記収容空間を使用者側に開口させて前記排泄物を前記収容空間に通過させる開口部が形成され、
前記吸引チューブは、前記収容空間に開口する吸引口を有し、
前記収容空間には、前記収容空間の形状を保持する多孔性の軟質構造体からなる形状保持体が配置されている、
ことを特徴とする排泄物処理装置。
【請求項2】
前記軟質構造体は、樹脂製である、
ことを特徴とする請求項1に記載の排泄物処理装置。
【請求項3】
前記軟質構造体の保水率は100%以下である、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の排泄物処理装置。
【請求項4】
前記外装部は、前記開口部を有する第一の外装布と、第二の外装布とを接合した構造を有し、
前記第一の外装布は、前記開口部の周囲に隆起する隆起部を有している、
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の排泄物処理装置。
【請求項5】
前記外装部は、前記開口部を有する第一の外装布と、第二の外装布とを接合した構造を有し、
前記第一の外装布は、前記開口部の少なくとも一部を凹ませる段差部を有している、
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の排泄物処理装置。
【請求項6】
前記第一の外装布と前記第二の外装布の間に、水分を通す表面布が配置されている、
ことを特徴とする請求項4又は5に記載の排泄物処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排泄物処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
尿等の排泄物を、吸引チューブを介して吸引する排泄物処理装置が知られている。この種の排泄物処理装置には、使用者の股間に装着されるレシーバと、レシーバに設けられた尿センサーと、レシーバに吸引チューブや配線を介して接続されるポンプ内蔵ユニットとを備えた集尿装置がある(例えば、特許文献1参照)。特許文献1では、レシーバの容器部の底部に、内部に突出する略円錐台状の隆起部が、長手方向および幅方向に複数形成されており、この隆起部により吸引される空間の形状を維持している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009-022785号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この種の排泄物処理装置では、排泄物を吸引して回収するため、容器部の空間形状を維持することは容量の問題から重要である。
しかしながら、特許文献1に記載のように、容器部に形成された略円錐台状の隆起部により空間形状を維持しようとすると、容器部内のスペースが隆起部により圧迫され易く、容量を確保するためにレシーバが大型化し易いという問題がある。その上、隆起部によりレシーバには剛性が生じ易いため、使用者の装着感を損ない易いという問題もあった。
【0005】
そこで、本発明は、使用者の不快感を抑制しながらレシーバの容量を確保することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、排泄物処理装置は、使用者の股間部に装着されて排泄物を受けるレシーバと、前記レシーバに接続された吸引チューブと、前記吸引チューブを介して前記排泄物を吸引する排泄物処理装置において、前記レシーバは、前記排泄物の収容空間を有し、柔軟性を有する素材で形成された外装部を有し、前記外装部の使用者側の表面には、前記収容空間を使用者側に開口させて前記排泄物を前記収容空間に通過させる開口部が形成され、前記吸引チューブは、前記収容空間に開口する吸引口を有し、前記収容空間には、前記収容空間の形状を保持する多孔性の軟質構造体からなる形状保持体が配置されている、ことを特徴とする。
【0007】
上記構成において、前記軟質構造体は、樹脂製であってもよい。
【0008】
また、上記構成において、前記軟質構造体の保水率は100%以下であってもよい。
【0009】
また、上記構成において、前記外装部は、前記開口部を有する第一の外装布と、第二の外装布とを接合した構造を有し、前記第一の外装布は、前記開口部の周囲に隆起する隆起部を有していてもよい。
【0010】
また、上記構成において、前記外装部は、前記開口部を有する第一の外装布と、第二の外装布とを接合した構造を有し、前記第一の外装布は、前記開口部の少なくとも一部を凹ませる段差部を有していてもよい。
【0011】
また、上記構成において、前記第一の外装布と前記第二の外装布の間に、水分を通す表面布が配置されていてもよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、多孔性の軟質構造体によりレシーバが負圧で潰れることを抑制できる。よって、軟質構造体の孔により排泄物の収容空間を確保できると共に、軟質構造体の柔らかさにより使用者の不快感を抑制できる。したがって、使用者の不快感を抑制しながらレシーバの容量を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の実施形態に係る排泄物処理装置の概要構成を示す図である。
図2】レシーバの使用状態を使用者の股間部と共に示す図である。
図3】レシーバを平面状に展開した状態の分解斜視図である。
図4】レシーバの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る排泄物処理装置10の概要構成を示す図である。
排泄物処理装置10は、レシーバ21と、レシーバ21に吸引チューブ36及び配線23を介して接続される排泄物処理ユニット31とを備えている。排泄物処理ユニット31は、装置本体又はポンプ内蔵ユニットということもできる。この排泄物処理装置10は、使用者11から排泄された尿を吸引し、吸引した尿を排泄物処理ユニット31内のタンク32内に回収する装置であり、集尿装置、吸引式集尿装置、又は特殊尿器とも称される。
【0015】
レシーバ21は、尿を受ける容器であり、尿を吸い込む吸込ユニットとして機能する。レシーバ21の外部には、吸引チューブ36の先端(上流端に相当)が接続されるチューブ接続口21Aと、レシーバ21内の尿センサー81に配線23を接続するためのコネクタ21Cとが露出している。
このレシーバ21は、所定の装着部材を利用して使用者11の股間部11C(図2)に装着される。所定の装着部材は、使用者11の股間部11Cに装着される下着、サポータ、又はオムツ等である。但し、装着部材には、使用者11の股間部11Cにレシーバ21を配置可能なものを広く適用可能である。尿センサー81は尿を検出するセンサーである。
【0016】
図1を利用して排泄物処理ユニット31について説明する。
排泄物処理ユニット31は、タンク32と、サブタンク33と、真空ポンプ34と、フィルタ35と、これらにつながる複数本の吸引チューブ36,37及び38とを備え、これらによって尿を吸引する吸引経路が形成される。真空ポンプ34は、吸引経路を真空にすることによって、空気と共にレシーバ21に集められた尿を吸引する。真空ポンプ34の排気口には排気チューブ39が接続されている。なお、図1には空気の流れを矢印で示している。
【0017】
以下の説明において、各吸引チューブ36~38を特に区別して表記する場合、レシーバ21につながる上流側の吸引チューブ36を「第1チューブ36」と表記し、下流側にいくに従って、「第2チューブ37」、「第3チューブ38」とそれぞれ表記する。これら吸引チューブ36~38及び排気チューブ39には、シリコーンゴム製のチューブ、又は塩化ビニル製のチューブ等の可撓性を有するチューブが使用される。なお、排泄物処理ユニット31内に配置される各チューブ37~39のいずれかを、可撓性を有しないチューブとしてもよい。
【0018】
タンク32は、吸引された尿を貯留し、適宜なタイミングで取り外され、貯留された尿を廃棄場所で廃棄可能にする。排泄物処理ユニット31は、タンク32が着脱自在なタンク接続部40を有している。このタンク接続部40に第1チューブ36の下流端及び第2チューブ37の上流端が接続される。タンク32をタンク接続部40に接続することによって、タンク32の上部開口が塞がれてタンク32内の気密状態が保持され、かつ、タンク32内が第1チューブ36及び第2チューブ37に連通する。この構成により、第1チューブ36を介してタンク32内に流入した尿等の液体がタンク32内に貯留される。また、タンク32内の液面よりも上方の空気を第2チューブ37へと流すことができる。
【0019】
タンク接続部40は、タンク32内に向けて下方に突出する突出部40Aを有している。突出部40Aには、タンク32内の尿の液面の上昇に応じて上下動するフロートが設けられている。さらに、突出部40Aには、フロートが予め定めた上限位置に移動すると、タンク32と第2チューブ37との連通を遮断する弁機構も設けられている。これらの構成により、タンク32内の液面が上限位置を超えるとタンク32と第2チューブ37との連通が自動遮断される。
【0020】
サブタンク33は、メインタンクとして機能するタンク32と真空ポンプ34との間に配置される。タンク32から流出した水分がサブタンク33に貯留されることによって、真空ポンプ34への水分(尿等)の流入が防止される。このサブタンク33には、第2チューブ37の下流端が着脱自在に接続されると共に、第3チューブ38の上流端が着脱自在に接続される。タンク32及びサブタンク33は取り外し可能である。したがって、各タンク32,33のメンテナンスが容易である。
【0021】
真空ポンプ34の吸気口には、第3チューブ38の下流端が接続される。真空ポンプ34の排気口には排気チューブ39の上流端が接続される。排気チューブ39の下流端にはフィルタ35が接続される。フィルタ35は脱臭フィルタである。したがって、フィルタ35により真空ポンプ34から排出された空気が脱臭される。なお、真空ポンプ34の保護のために、真空ポンプ34の上流である第3チューブ38にフィルタをつけてもよい。
【0022】
排泄物処理ユニット31は、操作部41、報知部42、駆動部43及び制御部44を更に備えている。操作部41は、使用者11等からの各種の指示を入力し、入力された指示を制御部44に出力する。入力可能な指示には、吸引動作を自動で行う自動運転モードの指示、及び、吸引動作を手動で行う手動運転モードの指示等が含まれる。自動運転モードは、尿センサー81によって尿が検出されると、真空ポンプ34を所定時間作動させて尿を自動吸引する動作状態である。また、手動運転モードは、使用者11等の所定操作に応じて真空ポンプ34を作動/停止させる動作状態である。
【0023】
排泄物処理ユニット31が指示を入力する方法は、ハードウェアスイッチの操作、音声入力、及び通信等の公知の様々な方法を適用可能である。報知部42は、制御部44の制御の下、ランプ、表示パネル、及び音声デバイス等の公知のデバイスを用いて各種の情報を外部に報知する。駆動部43は、制御部44の制御の下、吸引源として機能する真空ポンプ34を駆動する。
【0024】
制御部44は、予め記憶された制御プログラムを実行することにより排泄物処理装置10の動作を制御するコンピュータとして機能する。また、制御部44は、配線23を介して尿センサー81が接続されることによって、尿センサー81の検出結果を取得する。この制御部44が実行する処理は、自動運転モード及び手動運転モードを選択的に実行する吸引制御を含んでいる。
【0025】
自動運転モードは、尿センサー81によって尿が検出されると、尿の吸引を開始する動作モードである。なお、尿の吸引を終了するタイミングは、尿センサー81によって尿が検出されてから所定時間が経過したタイミングでもよいし、尿センサー81によって尿が検出されなくなってから所定時間が経過したタイミングでもよい。手動運転モードは、使用者11等からの指示に応じて吸引開始と吸引終了とを行う動作モードである。なお、各モードの具体的な吸引制御には、公知の制御を適用可能である。
【0026】
図2は、レシーバ21の使用状態を使用者11の股間部11Cと共に示す図である。図2に示す使用者11は仰向けの姿勢(仰臥位)である。図2中の下方は使用者11の背側であり、上方は使用者11の腹側であり、符号11Lは使用者11の足を示し、符号11Tは尾てい骨(尾骨とも称する)を示している。図2では、説明の便宜のために片足のみ図示している。
レシーバ21は、股間部11Cに対し尿道口11Nからなる排泄箇所を覆う位置に装着される。レシーバ21は、股間部11Cに沿って湾曲自在な柔軟性を有し、尿道口11Nから肛門11Kに向かって延在し、尾てい骨11T近傍まで延在することが可能な中空の長手部材に形成される。このレシーバ21は、股間部11Cと両足11Lとの間にできる隙間に収まり、使用者11が座った姿勢(坐位)や横向きの姿勢(側臥位)でもレシーバ21を装着し続けることが可能である。
このようにレシーバ21が、尿道口11Nから肛門11Kの間を含む広い領域を覆うので、使用者11が仰臥位、坐位、及び側臥位のいずれの姿勢であってもレシーバ21で尿を受けることができる。
【0027】
図3は、レシーバ21を平面状に展開した状態の分解斜視図である。図3の説明においては、レシーバ21の装着時に使用者11側となる方向を上とし、使用者11から離間する側となる方向を下として説明する。
レシーバ21は、所定の中心線LCに沿って延び、中心線LCに対して幅方向(装着時の使用者11の左右方向)に対称形状に形成されている。中心線LCは、レシーバ21の装着時に股間部11Cの左右中心に位置し、尿道口11Nから肛門11Kに向かって延在する線に相当している。
【0028】
レシーバ21は、尿(排泄物)の収容空間50A(図2参照)を有する外装部50を備えている。本実施形態のレシーバ21は、布タイプの外装部50を備えている。
レシーバ21の外装部50は、第一の外装布の一例としての表面防水布51を有する。表面防水布51は、外装部50の使用者11側の表面(装着時の内表面)を構成し、使用者11の下腹部から股間部11Cを経て臀部の一部までを覆う。表面防水布51は、防水加工された布で形成され、収容空間50Aから尿が染み出ないようにする。外装部50の使用者11側の表面が布で形成されるので、使用者11の装着感を良好にし易くなる。なお、第一の外装布の一例としては、表面防水布51に代えて、撥水加工がなされた布でもよい。
【0029】
表面防水布51には、中心線LCに沿って延びる長孔状の開口部51Aが形成されている。開口部51Aは、表面防水布51の先端側に偏った位置に形成されている。レシーバ21を使用者11に装着した場合、開口部51Aは、股間部11Cに沿って使用者11の尿道口11Nから肛門11Kに向かって所定の幅で延在する。この開口部51Aは、収容空間50Aへの尿の入口、及び、レシーバ21内に尿を吸引する吸引口として機能する。本実施形態では、開口部51Aが長孔状であるが、開口部51Aは丸孔状、角孔状など、収容空間50Aへの尿の入口、及び、レシーバ21内に尿を吸引する吸引口として機能する開口形状であれば、開口部51Aは任意の開口形状でよい。
【0030】
表面防水布51の下方(裏面側)には、表面布61が配置される。表面布61は表面防水布51よりも長手方向に短く、表面防水布51の先端側に配置される。表面布61は、透水性を有すると共に柔軟性を有する布地で形成され、表面防水布51の開口部51Aを下方から覆う。表面布61は、開口部51Aよりも大きく、表面防水布51よりも小さい形状に形成されている。開口部51Aが布地からなる表面布61で閉塞されるので、表面布61以外のレシーバ21内の部材が開口部51Aから使用者11に直接接触することを回避でき、装着感の向上に寄与する。なお、表面布61は、保水量の少ない布が好ましい。
【0031】
ここで、透水性を有すると共に柔軟性を有する布地としては、例えば、パイル織物が適用可能である。また、一種類の布地に代えて、機能性の異なる二種類の布地を一体化した布地でもよい。例えば、表面布61としては、軟質性のメッシュの布地と、吸水速乾性の布地とを縫合して一体とされた布地でもよい。この表面布61の場合、軟質性のメッシュの布地が上方(表面側)となり、吸水速乾性の布地が下方(裏面側)となるように、表面布61が表面防水布51の下方に配置される。これにより、吸水速乾性の布地によって、尿の吸込み性と透過性を安定し易くできると共に、軟質性のメッシュの布地によって、使用者11の肌と吸水速乾性の生地が直接触れさせないにして装着感を確保できる。
【0032】
表面布61の下方には、スペーサー62を介して尿センサー81が配置される。スペーサー62は、メッシュ素材からなる柔軟性を有するシート材で形成される。このスペーサー62は、表面布61と同じ大きさに形成され、表面布61と輪郭を揃えた状態で積層される。スペーサー62は表面布61と尿センサー81の間に空間を確保する。表面布61と尿センサー81との間にメッシュ素材のスペーサー62が配置されるので、開口部51Aから進入した尿を尿センサー81に速やかに接触させ易くなる。また、スペーサー62により、尿センサー81が、乾き切っていない表面布61と接触し続けることが防止され、尿吸引後も尿センサー81が短絡した状態を防止し易くできる。なお、スペーサー62は、保水性が少なく、尿等の影響で腐食しない材料が好ましく、例えば、樹脂で形成されている。
【0033】
尿センサー81は、長手方向に延びるセンサーシート82と、センサーシート82の基端側に設けられたコネクタ21Cとを備える。センサーシート82は、スペーサー62の下面側に配置される。コネクタ21Cは、外装部50の外部に導出され、表面防水布51における使用者11の反対側に位置する。これによって、コネクタ21Cは使用者11の肌に接触し難くなっている。センサーシート82は開口部51Aよりも幅狭に形成されている。
センサーシート82には少なくとも一対以上の電極が設けられている。
尿センサー81は、電極間の抵抗値が水分を介して導通したときに低くなることを利用して尿を検出する。この尿センサー81によって開口部51Aを通過する尿を検出するので、外装部50の底面に溜まる尿を検出する場合と比べ、早期に尿を検出し易くなる。なお、上述のスペーサー62は、表面布61と同じ大きさに形成される構成に代えて、少なくとも電極の部分の上部を覆う形状であればよい。
【0034】
尿センサー81の下方には、消臭不織布63が配置される。消臭不織布63は、透水性及び所定の消臭効果を有する不織布で形成され、かつ柔軟性を有している。この消臭不織布63は、スペーサー62と同じ大きさに形成され、スペーサー62と共に尿センサー81のセンサーシート82を挟んでいる。消臭不織布63は、少なくとも尿の消臭効果を有している。
【0035】
消臭不織布63の下方には、吸水布64が配置される。吸水布64は、拡散性が高く柔軟性を有する布地で形成されている。吸水布64は、消臭不織布63の大きさ以上の大きさに形成される。本実施形態では、吸水布64は、消臭不織布63と同じ大きさに形成される。吸水布64は、厚み方向に尿を通過させると共に、通過させた尿の開口部51A側への移動を抑制する。吸水布64は、保水性が少ないほうが好ましい。
【0036】
吸水布64の下方には、先端に吸引口を備える吸引チューブ71が配置される。本実施形態の吸引チューブ71は、チューブ接続口21Aから延びて2つに分岐するYの字状に形成される。吸引チューブ71は、シリコーンゴム製のチューブ、又は塩化ビニル製のチューブといった可撓性を有するチューブである。
吸引チューブ71の2つに分岐した部分71K(以下、先端側部分71Kと言う)の間には、形状保持体65が配置される。先端側部分71K、及び形状保持体65は、内防水布52に設けられた凹状の収容部52Aに収容される。
【0037】
内防水布52は、外装部50の表面の一部を構成する部材であり、第二の外装布の一例である。この内防水布52は、外装部50の使用者11とは反対側の表面(装着時の外表面)を構成する。内防水布52は、収容部52Aと、収容部52Aの周囲に形成されたフランジ状の接合部52Bとを備えている。
内防水布52は、表面防水布51の外周部51Bと接合部52Bで熱溶着される。表面防水布51と内防水布52とが熱溶着されることによって、外装部50、及びその収容空間50Aが形成される。熱溶着で接合した構造により、外装部50およびその収容空間50Aが形成される。内防水布52は、防水加工された布で形成され、収容空間50Aから尿が染み出ないようにする。なお、第二の外装布の一例としては、内防水布52に代えて、撥水加工がなされた布でもよい。
【0038】
表面防水布51と内防水布52とが合わせ構造で接合されることで、各種部材61~65、71、81が収容空間50Aに積層状に挟まれて一体とされる。熱溶着で接合するため、縫合で接合する場合と比べて収容空間50Aからの尿漏れを防止し易い。外装部50と、各種部材61~65、71、81により、本実施形態のレシーバ21が構成される。
【0039】
図4は、レシーバ21の平面図である。図4では、表面布61、スペーサー62、尿センサー81、消臭不織布63、及び吸水布64の図示を省略しており、開口部51Aから形状保持体65が露出した状態を図示している。
図3図4に示すように、開口部51Aの開口幅中心線は中心線LCに一致する。本実施形態では、開口部51Aの外周側に対応して、表面防水布51に、上方に隆起する隆起部51A1が形成されている。隆起部51A1は開口部51Aの全周囲に沿って環状に延びており、その断面形状が山形状である。レシーバ21の装着時には、表面防水布51における隆起部51A1が使用者の肌に密着し易い。このため、端縁としての開口部51Aが使用者11からは離間し易くなるので、装着感の向上に寄与する。また、使用者11と外装部50との間に尿のバッファー空間を確保し、側臥位の場合の溢れ防止にも有利である。
【0040】
収容空間50Aの収容部52Aは、開口部51Aの長手方向に延びる長穴形状で凹む形状に形成されている。収容部52Aは、長手方向に延びる底部52Cと、底部52Cの周囲に設けられた内壁(底部52Cの外周となる外周壁)52Dとを有する。内壁52Dの開口側には、フランジ状の接合部52Bが形成される。
本実施形態では、収容部52Aは、先端側に進むに連れて幅広となる三角形状の拡幅部52A1と、拡幅部52A1から先端側に延びる略角丸長方形状の本体部52A2とを備える。内壁52Dは、本体部52A2に対応して、先端側の内壁52D1と、先端側の内壁52D1の両側から延びる幅方向一対の内壁52D2、52D3とを有している。なお、収容部52Aは、拡幅部52A1が省略された形状でもよく、全体が略角丸長方形状でもよい。
この収容部52Aに、吸引チューブ71の2つに分岐した先端側部分71K及び形状保持体65が嵌まることによって、先端側部分71Kが収容部52Aの内壁52Dに沿った状態で内防水布52に位置決めされる。先端側部分71Kは、開口部51Aの長手方向にわたって開口部51Aの幅方向に間隔を空けて配置される。
【0041】
吸引チューブ71のチューブ接続口21Aは、収容部52Aの外部に導出される。
吸引チューブ71は、図4に示すように、チューブ接続口21Aから収容部52Aに向かって延びるチューブ基部72を有する。チューブ基部72の先端には、先端から開口幅方向一側に分岐して延びる一側チューブ部73が設けられている。一側チューブ部73は形状保持体65の一側側面65Aと、収容部52Aの一側の内壁52D2に挟まれた状態で延びており、中心線LCよりも開口幅方向一側に配置される。
【0042】
一側チューブ部73の先端には、一側吸引口73Hが形成されている。一側吸引口73Hは、収容部52Aの一側の内壁52D2に近接している。なお、一側チューブ部73の側部は内壁52D2に接触して位置決めされている。一側吸引口73Hは、収容部52Aの本体部52A2の先端側に配置される。本実施形態では、一側吸引口73Hは、開口部51Aの先端側(レシーバ21の長手方向外側)に配置されており、収容部52Aの先端側の内壁52D1に対向して配置される。一側吸引口73Hと、収容部52Aの先端側の内壁52D1との間には、所定の隙間52A3(図4)が形成されている。隙間52A3は、一側チューブ部73の内径程度以上の大きさである。隙間52A3があるため、吸引口73Hが内防水布52を吸引し難くなっている。
【0043】
チューブ基部72の先端には、先端から開口幅方向他側に分岐して延びる他側チューブ部74が設けられている。他側チューブ部74は、一側チューブ部73に対して中心線LCで幅方向対称に設けられている。すなわち、他側チューブ部74は形状保持体65の他側側面65Bと、収容部52Aの他側の内壁52D3に挟まれた状態で延びており、中心線LCよりも開口幅方向他側に配置される。
【0044】
他側チューブ部74の先端には、他側吸引口74Hが形成されている。他側吸引口74Hは、収容部52Aの他側の内壁52D3に近接している。なお、他側チューブ部74の側部は内壁52D3に接触して位置決めされている。他側吸引口74Hは、収容部52Aの本体部52A2の先端側に配置される。本実施形態では、他側吸引口74Hは、開口部51Aの先端側に配置されており、収容部52Aの先端側の内壁52D1に対向して配置される。他側吸引口74Hと、収容部52Aの先端側の内壁52D1との間には、所定の隙間52A4(図4)が形成されている。隙間52A4は、他側チューブ部74の内径程度以上の大きさである。隙間52A4があるため、吸引口74Hが内防水布52を吸引し難くなっている。
【0045】
チューブ基部72の先端により、一側チューブ部73と他側チューブ部74とが分岐する部分としての分岐部72Aが構成される。また、一側吸引口73H及び他側吸引口74Hは、図4に示す開口部51Aの平面視で、開口部51Aの開口幅WK程度の間隔を空けて配置される。本実施形態では、一側吸引口73H及び他側吸引口74Hは、開口部51Aの開口幅WKよりも幅方向内側に配置される。本実施形態では、一側吸引口73H及び他側吸引口74Hは、収容部52Aの開口幅方向外側の内壁52D2、52D3に近接している。
【0046】
吸引チューブ71は、排泄物処理ユニット31の吸引力によって、外装部50内の収容空間50Aを負圧にし、吸水布64と収容部52Aとの間に入った尿を吸引口73H、74Hから吸引する。吸引チューブ71の先端は、仰臥位等の場合に、収容空間50Aのうちの最下端又は最下端近傍に位置し、先端に設けられた吸引口73H、74Hにより収容空間50A内の尿を吸引し易くなる。特に、本実施形態では、吸引チューブ71の先端が収容部52Aの内壁52Dに接触する幅方向外端に配置されている。これにより、側臥位の場合には、一般にはレシーバ21の幅方向が重力方向に対応するため、いずれか一方の吸引口73H、74Hが収容部52Aのうちの最下端又は最下端近傍に位置し易い。よって、本実施形態では、使用者の姿勢に関わらず、吸引口73H、74Hにより収容部52A内の尿を吸引し易くなっている。
【0047】
一側チューブ部73と他側チューブ部74との間の形状保持体65は、多孔性の軟質構造体で形成されている。形状保持体65は、多孔性を有するので、吸水布64と収容部52Aとの間の空間の空気及び尿の流れを妨げない。また、形状保持体65は、吸引チューブ71からの吸引によって収容空間50Aが負圧になっても変形しない程度の強度や弾性力を有している。多孔性の軟質構造体としは、スポンジ状や、軟質性の波状板などでもよいが、本実施形態では、樹脂繊維66が適宜の空孔を空けるように絡み合った構造体が適用される。形状保持体65は、洗濯が可能な耐久性、尿の染み出しを抑制可能な保水率、十分な通気性及び通水性を有する空孔率、及び、熱溶着時の熱変形を抑制可能な耐熱性などを有する素材を広く適用可能である。
【0048】
図3に示すように、形状保持体65は、吸引チューブ71の2つに分岐した先端側部分71K、すなわち、一側チューブ部73(図4)と他側チューブ部74(図4)とを、収容空間50Aの開口幅方向外側の内壁52D2、52D3に接触させて配置した状態で、吸水布64と収容部52Aとの間に空く空間を埋める形状に形成されている。これによって、形状保持体65は、一側チューブ部73と他側チューブ部74との間を架橋する架橋部材として機能し、吸引時の負圧等で吸引チューブ71が位置ずれする事態や、収容空間50Aが狭くなる事態を抑制できる。
【0049】
また、形状保持体65は、吸引チューブ71の外径以上の厚みを有することで、吸水布64と収容部52Aとの間を上下に渡って架橋する架橋部材としても機能する。これによって、吸引時の負圧等で収容空間50Aが負圧になった場合でも、吸水布64と収容部52Aとの間に空く空間が上下に狭くなる事態を抑制できる。吸水布64と収容部52Aとの間に空く空間以外は、上記シート部材61~64、82が積層される構成であるので、吸引時の負圧が作用しても上記シート部材61~64、82の箇所は殆ど変形しない。すなわち、形状保持体65によって、外装部50を含むレシーバ21の形状変更を抑制することができる。
【0050】
本構成では、図3図4に示すように、形状保持体65は、平面視において、表面防水布51の開口部51Aに重複して配置されており、吸引チューブ71と共に、開口部51Aの長手方向全体に亘って配置されている。このため、排出開始直後の尿を収容部52A内に導入させ易く、かつ、吸引時に開口部51Aの長手方向全体に吸引力を作用させやすくなる。
【0051】
本構成では、吸引チューブ71および形状保持体65は、一体とされた状態で、収容空間50Aの収容部52Aに収容される。具体的には、図4に示すように、吸引チューブ71および形状保持体65は、バンド67、68で一体とされる。一側チューブ部73は、形状保持体65の一側側面65A(図4)に沿って配置されることにより、一側チューブ部73の外周面が一側側面65Aに接触した状態で配置される。また、他側チューブ部74は、形状保持体65の他側側面65B(図4)に沿って配置されることにより、他側チューブ部74の外周面が他側側面65Bに接触した状態で配置される。そして、一側チューブ部73と他側チューブ部74との間に形状保持体65が挟まれた状態で、吸引チューブ71および形状保持体65が一対のバンド67、68で巻かれて留められる。
【0052】
バンド67は吸引チューブ71の吸引口73H、74H側に配置され、吸引チューブ71および形状保持体65を保持する。また、バンド68は、先端側部分71Kの長手方向中央部に配置され、吸引チューブ71および形状保持体65を保持する。バンド67、68は熱溶着で、形状保持体65と、一側チューブ部73と、他側チューブ部74とを一体に接合する。
【0053】
吸引チューブ71および形状保持体65が一体とされた状態で収容部52Aに収容されるため、レシーバ21の組み立て性が向上している。また、管形状の吸引チューブ71が、平坦で、且つ吸引チューブ71の外径よりも厚い形状保持体65と一体にされるため、吸引チューブ71と形状保持体65との全体が平坦形状に保持され易くなっている。したがって、例えば、使用者11が姿勢を変化させる場合に、管形状の吸引チューブ71は位置ずれを起こし難くなっている。また、布製のレシーバ21を洗濯する際に、吸引チューブ71が位置ずれを起こし難くなっている。
【0054】
次に、形状保持体65に適用することが好適な多孔性の軟質構造体について説明する。
形状保持体65は、収容空間50Aの収容部52Aの形状を保持する機能に加え、適切な耐久性や入手のし易さ、尿の染み出しを抑制可能な保水率、十分な通気性及び通水性を有する空孔率を有することが望まれる。また、本構成では形状保持体65の製作に熱溶着を採用することから、熱溶着に対応可能な耐熱性を有することも望まれる。
耐久性は、尿等によって劣化せず、使用に伴う圧縮変形への復元力が高く、かつ、洗濯が可能で有ることが望ましく、例えば、ポリエステル、塩化ビニリデン等の化学繊維が望ましい。
【0055】
保水率は、使用者11の体重で圧縮した場合でも尿が染み出さないために、低い値が望ましい。また、保水率が低いことにより、乾燥し易く、洗濯後には湿りが残ることも低減される。本説明において、保水率は、標準状態の質量に対して保水分の重量を百分率と定義する。すなわち、保水率mは、m={(m2-m1)/m1}×100で算出される。mは保水率[%]であり、m1は試験片の標準状態での質量[mg]であり、m2は試験片を湿潤して試験片の表面の水滴を落とした後の質量[mg]である。
【0056】
空孔率は、十分な通気性及び通水性を有するために高い値が望ましい。本説明において、空孔率は、物質の全体積に占める空間の体積の割合と定義する。すなわち、空孔率vは、v=(v2/v1)×100で算出される。vは空孔率[%]であり、v1は形状保持体65の外観の体積[mm]であり、v2は形状保持体65の内部の空間の体積[mm]である。
【0057】
耐熱性は、熱溶着時の温度、及び使用に伴う温度(例えば温風乾燥、熱水消毒などに使用される温度)等に十分に耐えればよく、摂氏100度以上が望ましい。
【0058】
発明者等は入手可能な5つの素材を選定し、これら素材について評価を行った。
表1には、5つの素材の材質、保水率、空孔率、耐熱性と、形状保持体65へ実際に適用した場合の評価結果を示す。表1において、「◎」は形状保持体65に適用する素材として最良であるとの評価を示し、「〇」は形状保持体65に適用する素材として良好であるとの評価を示し、「×」は形状保持体65に適用する素材として不適であるとの評価を示す。
【0059】
【表1】
【0060】
実施例1の材質は、ポリエステル製であり、保水率は35[%]、空孔率は95[%]以上、耐熱性は180[℃]である。発明者等が評価したところ、耐久性や入手のし易さ、保水率、空孔率の全てについて総合的に最良な評価が得られた。特に、保水率は、他の素材に比べて1/3~1/17と相当程度に小さく、この点で今回選定した5つの素材の中では、形状保持体65に最適である。
【0061】
実施例2の材質は、塩化ビニリデン製であり、保水率は100[%]、空孔率は97[%]、耐熱性は140[℃]~180[℃]である。発明者等が評価したところ、保水率の点で実施例1に比べて乾燥性は劣るが、耐久性や入手のし易さ、保水率、空孔率について総合的に良好な評価が得られた。
【0062】
比較例1の材質は、ポリエステル製であり、保水率は400[%]、空孔率は98[%]、耐熱性は180[℃]である。発明者等が評価したところ、空孔率、耐熱性は良好であるが、保水率が400[%]と高く、使用者11の体重で圧縮した場合に尿が染み出すため、形状保持体65に不適である。
【0063】
比較例2の材質は、ウレタン製であり、保水率は400[%]、空孔率は83[%]、耐熱性は130[℃]である。発明者等が評価したところ、耐熱性は130[℃]と良好であるが、保水率が400[%]と高く、この点で、形状保持体65に不適である。
【0064】
比較例3の材質は、PVA(polyvinyl alcohol)製であり、保水率は600[%]、空孔率は90[%]、耐熱性は60[℃]である。発明者等が評価したところ、保水率が600[%]と高く、この点で、形状保持体65に不適である。また、比較例3の材質は、耐熱性は60[℃]であり、100[℃]よりも低く、継続的な利用の観点(洗濯、乾燥、消毒等)からは不適である。
【0065】
ここで、実施例1と比較例1とを比べると、材質、空孔率、耐熱性の点については同一、あるいは略同様である。しかしながら、発明者等の評価では、保水率が400[%]以上の場合には尿の染み出しを許容できず、比較例1は、形状保持体65の素材として不適と評価した。したがって、形状保持体65の素材としては、保水率が特に重要である。保水率は200[%]以下であれば尿の染み出しが許容できる範囲である。発明者等の評価では、保水率が100[%]以下の素材が好適と判断される。
【0066】
次に、本実施形態の作用を説明する。
排泄物処理装置10では、レシーバ21を装着している使用者11が排尿すると、レシーバ21の収容空間50Aに開口部51Aを通じて尿が流入する。収容空間50Aに流入した尿は、表面布61、スペーサー62と厚み方向に順に浸透していき、尿センサー81を通過して、収容部52Aに流入する。収容部52Aに流入した尿は、形状保持体65の孔に流入するなどして収容部52Aに貯留可能となっている。この際に、尿センサー81により尿が検出されるなどして真空ポンプ34が作動すると、吸引チューブ71によって、吸水布64に塞がれた収容部52Aが負圧にされる。よって、レシーバ21内の収容空間50Aでは、収容部52Aに尿が吸引されると共に、収容部52Aに移動した尿が吸引チューブ71で吸引される。これにより、排泄物処理装置10で尿が回収される。
【0067】
収容部52Aは負圧にされるため、吸水布64と内防水布52とが潰れる虞があるが、形状保持体65により、吸水布64と収容部52Aとの間に空く空間が上下に狭くなる事態を抑制できる。形状保持体65によって、外装部50を含むレシーバ21の形状変更を抑制することができる。本構成では、図3に示すように、形状保持体65は、表面防水布51の開口部51Aに対応する領域全体を覆っており開口部51Aの長手方向全体に亘って配置されており、排出開始直後の尿を収容部52A内に導入させ易く、かつ、吸引時に開口部51Aの長手方向全体に吸引力を作用させやすくなる。よって、吸引チューブ71により適切に空気や尿が吸引されて、レシーバ21内の尿が適切に吸引され易くなっている。
【0068】
以上説明したように、本実施形態の排泄物処理装置10は、使用者11の股間部11Cに装着されて尿(排泄物)を受けるレシーバ21と、レシーバ21に接続された吸引チューブ71と、吸引チューブ71を介して尿を吸引する排泄物処理装置10において、レシーバ21は、尿の収容空間50Aを有し、柔軟性を有する素材で形成された外装部50を有し、外装部50の使用者11側の表面には、収容空間50Aを使用者11側に開口させて尿を収容空間50Aに通過させる開口部51Aが形成され、吸引チューブ71は、収容空間50Aに開口する吸引口73H、74Hを有し、収容空間50Aには、収容空間50Aの収容部52Aの形状を保持する多孔性の軟質構造体からなる形状保持体65が配置されている。
したがって、多孔性の軟質構造体の形状保持体65によりレシーバ21が負圧で潰れることを抑制できる。よって、形状保持体65の空孔により尿の収容空間としての収容部52Aを確保できると共に、形状保持体65の柔らかさにより使用者11の不快感を抑制できる。したがって、使用者11の不快感を抑制しながらレシーバ21の容量を確保することができる。
【0069】
本実施形態では、軟質構造体である形状保持体65は、樹脂製である。
したがって、形状保持体65について、使用に伴う圧縮変形への復元力を高め易く、かつ、洗濯し易くできる。
【0070】
また、本実施形態では、軟質構造体の保水率は100%以下である。
したがって、形状保持体65に尿が残留し難く、使用者11の体重で圧縮した場合でも尿が染み出し難くなっている。また、形状保持体65を乾燥させ易いために、洗濯後には湿りが残ることも低減され易い。よって、使用者の不快感を抑制できる。
【0071】
また、本実施形態では、外装部50は、開口部51Aを有する表面防水布51と、内防水布52とを接合した構造を有し、表面防水布51は、開口部51Aの周囲に隆起する隆起部51A1を有している。
したがって、表面防水布51の隆起部51A1が使用者11に密着する際に、端縁としての開口部51Aが使用者11から離間し易くなるので、使用者11の装着感の向上に寄与し易くなっている。また、使用者11と外装部50との間に尿のバッファー空間を確保し、側臥位の場合の溢れ防止にも有利にできる。
【0072】
また、本実施形態では、表面防水布51と内防水布52の間に、水分を通す表面布61が配置されている。
したがって、開口部51Aを表面布61で閉塞できて形状保持体65が使用者11に接触することを回避できると共に、濡れ易い表面布61が使用者11に接触し難くなり、使用者11の不快感を抑制できる。
【0073】
なお、上記実施形態は、あくまでも本発明の一態様の例示であり、本発明の主旨を逸脱しない範囲において任意に変形、及び応用が可能である。
図1に示す排泄物処理装置10に本発明を適用する場合を説明したが、各部の構造、及び形状等は適宜に変更してもよい。例えば、表面防水布51には、隆起部51A1が開口部51Aの周囲に対して外周全体に形成された構成を説明したが、隆起部51A1は、尿道口11Nの近傍にのみ形成される構成でもよい。よって、例えば、隆起部は、開口部51Aの幅方向に一対、筋状に設けられた構成でもよい。また、尿道口11N側、すなわち、基端側に隆起部がU字状に延びて形成された構成でもよい。さらに、例えば、基端側に隆起部がU字状に延びて形成されると共に、先端側に隆起部がU字状に延びて形成された構成でもよい。すなわち、実施形態の隆起部51A1において、隆起部51A1の環状の途中部分が省略された構成でもよい。
【0074】
表面防水布51には、隆起部51A1が形成された構成を説明した。しかしながら、表面防水布(第一の外装布)51は、隆起部51A1に代えて、開口部51Aの少なくとも一部を凹ませる段差部を有してもよい。この段差部も、環状、U字状、一対の構成などでもよい。この構成によれば、表面防水布51が使用者11に密着する際に、段差部により、端縁としての開口部51Aが使用者11から離間し易くなるので、使用者11の装着感の向上に寄与する。また、使用者11と外装部50との間に排泄物のバッファー空間を確保し、側臥位の場合の溢れ防止にも有利にできる。
【0075】
吸引チューブ71はチューブ接続口21AからYの字状に延びる構造を説明したが、これに限定されず、延びる形状は任意である。例えば、吸引チューブ71は、中心線LCに沿って延びる一本のチューブでもよい。また、チューブ基部72の分岐部72Aに対して、収容部52Aの内壁に沿った環状(Oの字状)に延びる管が接続された構造でもよい。この場合、例えば、中心線LCに対して幅方向両側の外側となる位置において、環状の管の途中部に少なくとも2つ以上の吸引口を設けてもよい。
【0076】
また、分岐部72Aが収容部52Aの基端側(長手方向でチューブ接続口21A側)に配置された構成を説明したが、先端側(長手方向でチューブ接続口21Aから離間した側)に分岐部72Aが配置された構成でもよく、例えば、吸引チューブ71がTの字状でもよい。さらに、吸引チューブ71の吸引口は二つに限定されず、一つや三つ以上でもよい。よって、例えば、吸引チューブ71は、中心線LCに沿って延びる一本のチューブでもよい。また、吸引チューブ71は、チューブ接続口21Aから延びる三叉状でもよい。
【0077】
形状保持体65は、一体の構成を説明したがこれに限定されず、複数の構成でもよい。例えば、一本の吸引チューブの場合には、2つの形状保持体で一本の吸引チューブを両側から挟んで収容部52Aに配置する構成が可能である。
【0078】
外装部50は、布で製作する場合を説明したが、これに限定されず、フィルムなどの軟質樹脂でもよい。
【0079】
また、尿を吸引する排泄物処理装置10に本発明を適用する場合に限定されず、尿、便、経血及びその他の排泄物を吸引する排泄物処理装置に本発明を適用してもよい。
【符号の説明】
【0080】
10 排泄物処理装置
11 使用者
11C 股間部
21 レシーバ
71 吸引チューブ
50A 収容空間
50 外装部
51 表面防水布(第一の外装布)
51A 開口部
51A1 隆起部
52 内防水布(第二の外装布)
61 表面布が配置されている。
65 形状保持体
73H 吸引口
74H 吸引口
図1
図2
図3
図4