(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022131365
(43)【公開日】2022-09-07
(54)【発明の名称】感知柵
(51)【国際特許分類】
E04G 21/32 20060101AFI20220831BHJP
【FI】
E04G21/32 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021030278
(22)【出願日】2021-02-26
(71)【出願人】
【識別番号】393018130
【氏名又は名称】長谷川工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100177264
【弁理士】
【氏名又は名称】柳野 嘉秀
(74)【代理人】
【識別番号】100074561
【弁理士】
【氏名又は名称】柳野 隆生
(74)【代理人】
【識別番号】100124925
【弁理士】
【氏名又は名称】森岡 則夫
(74)【代理人】
【識別番号】100141874
【弁理士】
【氏名又は名称】関口 久由
(74)【代理人】
【識別番号】100166958
【弁理士】
【氏名又は名称】堀 喜代造
(72)【発明者】
【氏名】相田 憲秀
(57)【要約】
【課題】複数の支持部材を近接させた状態で使用できるとともに、連結部材同士が干渉しない姿勢で支持部材を近接して配置できる、感知柵を提供する。
【解決手段】感知柵1が備える支持部材2は、支持脚3と、支柱4と、支柱4の長手方向に沿ってスライド変位可能かつ支柱4において長手方向に沿ってスライド変位可能に固定される連結部材5と、を備え、連結部材5は、柵部材6を支持する支持部54と、荷台CのあおりGに係止可能な係止部53と、を備えるとともに支柱4に対する水平方向の姿勢を変更可能とされ、支持脚3には挿入部31aと被挿入部31bとが形成され、一の支持部材2が備える支持脚3の被挿入部31bに、他の支持部材2が備える支持脚3の挿入部31aを挿入することにより、一の支持部材2の支柱4と他の支持部材2の支柱4とが近接される。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一個の支持部材と、前記支持部材に支持される柵部材と、を備え、荷台からの作業者の転落を防止するための感知柵であって、
前記支持部材は、支持脚と、前記支持脚に立設される支柱と、前記支柱において長手方向に沿ってスライド変位可能に固定される連結部材と、を備え、
前記連結部材は、前記柵部材を支持する支持部と、前記荷台における被係止部材に係止可能な係止部と、を備えるとともに、前記支柱に対する水平方向の姿勢を変更可能とされ、
前記支持脚には挿入部と被挿入部とが形成され、
一の前記支持部材が備える前記支持脚の前記被挿入部に、他の前記支持部材が備える前記支持脚の前記挿入部を挿入することにより、一の前記支持部材の前記支柱と他の前記支持部材の前記支柱とが近接される、感知柵。
【請求項2】
前記連結部材は、前記支柱の長手方向における任意の位置で固定可能とされるとともに、前記支柱に対する水平方向の姿勢を自在に変更可能とされる、請求項1に記載の感知柵。
【請求項3】
前記支持脚は、棒状部材が水平方向に屈曲又は湾曲されることにより前記被挿入部と前記挿入部とが形成され、
前記支持脚には同じ大きさの車輪が複数個設けられる、請求項1又は請求項2に記載の感知柵。
【請求項4】
前記連結部材は、前記支持部と前記係止部との間に板支持部が形成され、
前記板支持部には、前記係止部との間に前記荷台の前記被係止部材を挟持可能な挟持部が形成され、
第一の前記支持部材における前記板支持部と、第二の前記支持部材における前記板支持部と、の間に足場板が架け渡し可能とされる、請求項1から請求項3の何れか一項に記載の感知柵。
【請求項5】
前記連結部材は、前記支持部材の前記支柱を挿通可能な筒部を備え、
前記支柱が前記筒部に挿通された状態で前記連結部材が前記支柱に組付けられ、
前記筒部は、前記支柱を挟持するクランプ部と、前記板支持部の反対側で前記支柱に当接することにより前記支柱に対する前記筒部の姿勢を維持するローラと、を備える、請求項4に記載の感知柵。
【請求項6】
前記柵部材には端部枠部材が組付可能とされ、
前記端部枠部材は、前記柵部材と同一平面に位置する姿勢、又は、平面視で前記柵部材に直交する姿勢で前記柵部材に組付可能とされる、請求項1から請求項5の何れか一項に記載の感知柵。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トラック荷台で作業を行う作業者が感知可能な感知柵に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、トラック等の運搬用車両の荷台で作業者が積荷の積み下ろし作業を行なう際に、荷台から作業員が転落するのを未然に防止するための技術が知られている(例えば、特許文献1を参照)。
【0003】
特許文献1には、車両の荷台に接近して仮設され、荷台上方に水平親綱を張設する構成の車上作業用親綱支柱が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記特許文献1に記載の技術においては、支柱を支持する脚部材(三脚)が互いに干渉するため、複数の支柱を近接させた状態で使用することが困難であった。また、支柱を使用しない場合、複数の支柱を収納するために比較的大きなスペースが必要となっていた。
【0006】
本発明は以上の如き状況に鑑みてなされたものであり、本発明が解決しようとする課題は、複数の支持部材を近接させた状態で使用できるとともに、連結部材同士が干渉しない姿勢で支持部材を近接して配置できる、感知柵を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以下では、上記課題を解決するための手段を説明する。
【0008】
本発明に係る感知柵は、少なくとも一個の支持部材と、前記支持部材に支持される柵部材と、を備え、荷台からの作業者の転落を防止するための感知柵であって、前記支持部材は、支持脚と、前記支持脚に立設される支柱と、前記支柱において長手方向に沿ってスライド変位可能に固定される連結部材と、を備え、前記連結部材は、前記柵部材を支持する支持部と、前記荷台における被係止部材に係止可能な係止部と、を備えるとともに、前記支柱に対する水平方向の姿勢を変更可能とされ、前記支持脚には挿入部と被挿入部とが形成され、一の前記支持部材が備える前記支持脚の前記被挿入部に、他の前記支持部材が備える前記支持脚の前記挿入部を挿入することにより、一の前記支持部材の前記支柱と他の前記支持部材の前記支柱とが近接される。
【0009】
また、本発明に係る感知柵において、前記連結部材は、前記支柱の長手方向における任意の位置で固定可能とされるとともに、前記支柱に対する水平方向の姿勢を自在に変更可能とされることが好ましい。
【0010】
また、本発明に係る感知柵において、前記支持脚は、棒状部材が水平方向に屈曲又は湾曲されることにより前記被挿入部と前記挿入部とが形成され、前記支持脚には同じ大きさの車輪が複数個設けられることが好ましい。
【0011】
また、本発明に係る感知柵において、前記連結部材は、前記支持部と前記係止部との間に板支持部が形成され、前記板支持部には、前記係止部との間に前記荷台の前記被係止部材を挟持可能な挟持部が形成され、第一の前記支持部材における前記板支持部と、第二の前記支持部材における前記板支持部と、の間に足場板が架け渡し可能とされることが好ましい。
【0012】
また、本発明に係る感知柵において、前記連結部材は、前記支持部材の前記支柱を挿通可能な筒部を備え、前記支柱が前記筒部に挿通された状態で前記連結部材が前記支柱に組付けられ、前記筒部は、前記支柱を挟持するクランプ部と、前記板支持部の反対側で前記支柱に当接することにより前記支柱に対する前記筒部の姿勢を維持するローラと、を備えることが好ましい。
【0013】
また、本発明に係る感知柵において、前記柵部材には端部枠部材が組付可能とされ、前記端部枠部材は、前記柵部材と同一平面に位置する姿勢、又は、平面視で前記柵部材に直交する姿勢で前記柵部材に組付可能とされることが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る感知柵によれば、複数の支持部材を近接させた状態で使用できるとともに、連結部材同士が干渉しない姿勢で支持部材を近接して配置できる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図3】(a)及び(b)は感知柵を示す平面図及び正面図。
【
図4】(a)は感知柵を示す側面図、(b)は端部枠部材の組付方法を示す側面図。
【
図9】(a)及び(b)は感知柵の隣接状態を示す平面図及び正面図。
【
図10】(a)及び(b)は複数の支持部材の収納状態を示す平面図及び側面図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下では
図1から
図12を用いて、本発明の一実施形態及び別実施形態に係る感知柵1について説明する。本実施形態に係る感知柵1は主にアルミニウム合金製又はスチール合金製の部材を組み合わせて形成される。
図1及び
図2に示す如く、感知柵1はトラックTの荷台Cに近接して使用される。感知柵1は、作業者が荷台Cに乗って荷物の積み下ろし作業を行う際に、手や体に触れて作業者が感知することにより荷台から作業員が転落することを未然に防止するために用いられる。
【0017】
図1及び
図2に示す如く、本実施形態に係る感知柵1は、被係止部材であるあおりGを倒した状態のトラックTの近傍で用いられる。本実施形態においては
図1に示す如く、第一感知柵1A、第二感知柵1B、及び、第三感知柵1Cの三台の感知柵1が隣接して用いられる。第一感知柵1A~第三感知柵1Cの構成は同一であるため、以下では第一感知柵1Aについて説明し、他の感知柵1B・1Cについては詳細な説明を省略する。
【0018】
なお、感知柵1を一台のみで使用することも可能である。また、本実施形態の如く感知柵1を複数台で同時に用いる場合でも、その台数は限定されるものではない。また、
図11及び
図12に示す別実施形態の如く、感知柵1はあおりGを立てた状態のトラックTの近傍で用いることも可能である。
【0019】
図3及び
図4に示す如く、感知柵1は二個の支持部材2・2と、支持部材2・2に両端部が支持される柵部材6と、を備える。
図3(a)及び(b)に示す如く、支持部材2・2(具体的には支持部材2が備える板支持部52)には足場板8が架け渡される。本実施形態に係る感知柵1の如く支持部材2・2に足場板8を架け渡す構成の場合、作業者は荷台Cに荷物を積み下ろしする際に足場板8の上面に乗って作業を行うことができる。
【0020】
本発明に係る感知柵は、柵部材6の形状を調整することにより、一個又は三個以上の支持部材2で柵部材6を支持する構成とすることも可能である。本明細書においては、柵部材6の長手方向(
図1に示すトラックTの前後方向)を感知柵1の左右方向とし、感知柵1から荷台Cに向かって右側を感知柵1の右側方とする。また、柵部材6に直交する方向を感知柵1の前後方向とし、感知柵1から荷台Cに向かう側を感知柵1の前方として説明する。
【0021】
図3(a)及び(b)に示す如く、感知柵1を構成する支持部材2・2は互いに同形状に構成されているため、以下では感知柵1の右側に配置される支持部材2について説明する。支持部材2は、支持脚3、支柱4、及び、連結部材5により構成されている。
【0022】
支持脚3は支持部材2の下端部において支持部材2を支持する部材である。
図3(a)及び(b)に示す如く、支持脚3は脚本体31、支柱支持部32、及び、三個の車輪33で構成される。脚本体31は棒状部材が水平方向に略V字形状に屈曲されることにより形成される。なお、脚本体31を水平方向に湾曲させて構成することも可能である。
【0023】
本実施形態において、脚本体31の外側における中央部分は挿入部31aとして形成される。また、脚本体31の内側は被挿入部31bとして形成される。脚本体31の被挿入部31bには軟質の緩衝材31cが貼付されている。
【0024】
脚本体31の下面には同じ大きさの車輪33が三個設けられることにより、支持部材2を容易に変位可能としている。本実施形態に係る感知柵1においては、脚本体31は棒状部材が水平方向に屈曲される構成であり、脚本体31自身が同一の高さに位置するため、車輪33の大きさを同一にすることができる。即ち、車輪33に用いる部品を共通化して、感知柵1の製造コストを削減することが可能となる。また、支持部材2をシンプルな形状とすることができるため、感知柵1の意匠性を向上させることができる。
【0025】
脚本体31の上面には棒状の支柱支持部32が固定される。支柱支持部32は、脚本体31の重心近傍を通るように配置される。支柱支持部32の上面における中央部には上方に向けて支柱4が立設される。支柱4と脚本体31との間には二本の補助支柱41・41が設けられる。支柱4には長手方向(上下方向)の中途部におけるやや下側に支持孔が開口されており、この支持孔に支持ピン42が挿通可能とされる。
【0026】
支柱4には長手方向に沿ってスライド変位可能に連結部材5が固定される。
図5及び
図6に示す如く、連結部材5は、筒部51、板支持部52、係止部53、支持部54、ブラケット55、挟持部56、クランプ部57、固定部材58、及び、ローラ59が一体的に組み合わされて構成される(
図7を参照)。
【0027】
筒部51は上下に開口部が形成された角筒部材であり、その内部に支柱4が挿通される。筒部51における四個の側面の下端部には半円形状に切り欠かれた被支持凹部51aが形成されている。感知柵1を使用しない場合などは、支柱4に挿通された支持ピン42の上方から被支持凹部51aを係合させることにより、支柱4で連結部材5を支持することができる。
【0028】
上記の如く、被支持凹部51aは筒部51の四箇所に形成されているため、支持ピン42で連結部材5を支持する場合は、筒部51の支柱4に対する水平方向の姿勢を90度ごとに変更することができる。
【0029】
連結部材5においては、筒部51から前方に向かって棒状の板支持部52が延出される。
図3(a)及び(b)に示す如く、支持部材2・2におけるそれぞれの板支持部52・52の上面に足場板8が載置されることにより、感知柵1において二つの支持部材2の間に足場板8が架け渡される。板支持部52の下面における中途部には規制部52aが設けられる。規制部52aは板支持部52に対してあおりGの位置規制をするための部材である。
【0030】
板支持部52の前端部には、下方に向かって板状の係止部53が延出される。
図4(a)及び
図5に示す如く、係止部53はトラックTにおける被係止部材であるあおりGに係止可能とされる。係止部53があおりGに係止されることにより、感知柵1は荷台Cに連結される。
【0031】
板支持部52における基端部の上面には、筒形状の支持部54が設けられる。
図4(a)、
図5、及び
図6に示す如く、支持部54には柵部材6の下端部が上方から挿入される。即ち、支持部54は柵部材6を支持する部材である。支持部54及び柵部材6には、柵部材6に連結された固定ピン6cが挿入されることにより、支持部54から柵部材6が抜けないように構成される。このように、本実施形態に係る感知柵1において、連結部材5には支持部54と係止部53との間に板支持部52が形成されている。
【0032】
上記の如く、本実施形態における感知柵1においては、連結部材5に板支持部52を設けることにより、作業者の作業スペースを確保するための足場板8を感知柵1に設けることを可能としている。なお、本発明に係る感知柵1においては、支持部54と係止部53とを近接させて連結部材5を形成することにより、板支持部52を設けない(足場板8を用いない)構成とすることも可能である。
【0033】
板支持部52の下面にはブラケット55が下方に向けて延出される。ブラケット55には固定板55aを介して挟持部56が組付けられる。
図5に示す如く、挟持部56は係止部53との間で荷台CのあおりGを挟持可能とされる。感知柵1の使用者が挟持部56のロック部56aを押し込んで当接部56bをあおりGに当接させることにより、あおりGは当接部56bと係止部53との間に挟持される。使用者がアンロック部56cを操作することにより、当接部56bはあおりGから退避し、挟持部56によるあおりGの挟持が解除される。
【0034】
筒部51には支柱4を挟持するクランプ部57が設けられる。クランプ部57は、クランプ支持部57a、把持部57b、圧縮ばね57c、押圧部57d、及び、当接板57eで構成される。
【0035】
クランプ支持部57aは筒部51の後面に設けられる筒状部である。クランプ支持部57aには前後方向に進退可能に把持部57b及び押圧部57dが一体的に設けられる。把持部57b及び押圧部57dは圧縮ばね57cの弾性力により前方に付勢されている。一方、筒部51の前側の内側面(押圧部57dに対向する面)には当接板57eが固定される。押圧部57dの前面、及び、当接板57eの後面には樹脂等の弾性素材が設けられる。
【0036】
クランプ部57で支柱4を挟持する際は、使用者が把持部57bを持って後方に引っ張る。把持部57b及び押圧部57dは圧縮ばね57cの弾性力に抗して後方に変位し、押圧部57dと当接板57eとの間隔が大きくなる。この際、押圧部57dと当接板57eとの間に支柱4を挿入し、使用者が把持部57bから手を離すことにより、押圧部57dと当接板57eとにより支柱4が挟持される。
【0037】
なお、本実施形態に係るクランプ部57においては、把持部57bを後方に引っ張った状態で所定位置から軸回りに回転させることにより、押圧部57dと当接板57eとの間隔を保持するストッパー機能が設けられている。これにより、使用者は把持部57bから手を離した状態で押圧部57dと当接板57eとの間に支柱4を挿入することを可能としている。
【0038】
このように、クランプ部57が支柱4を挟持することにより、連結部材5は支柱4の長手方向における任意の位置で固定可能とされる。また、連結部材5は支柱4に対してクランプ部57を介して組付ける構成であるため、支柱4及び支持脚3に対する水平方向の姿勢を自在に変更することができる。本実施形態においては上記の如く構成することにより、支柱4に対する連結部材5の組付構成の自由度を向上させている。
【0039】
なお、支柱4における長手方向(上下方向)の複数個所に支持孔を開口し、この支持孔に挿通された支持ピン42の上方から被支持凹部51aを係合させる(又は、連結部材5の筒部51に支持ピン42を挿通する)ことにより連結部材5を支持する構成とすることも可能である。この場合、連結部材5は支柱4の長手方向における複数の所定位置の何れかで支柱4に支持される。また、この場合、筒部51の支柱4に対する水平方向の姿勢は90度ごとに変更可能とされる。また、この場合は、連結部材5においてクランプ部57、ローラ59等の構成を省略することも可能である。
【0040】
筒部51の後面(板支持部52の反対側)におけるクランプ部57の上側には、ローラ支持部59aを介してローラ59が設けられる。
図6に示す如く、ローラ59の前部は筒部51の内側に挿入される。
図5に示す如く、ローラ59は筒部51の内側で支柱4に当接する。ローラ59が支柱4に当接することにより、板支持部52の重量により連結部材5が支柱4に対して前側が下がる方向(
図5における時計回り方向)に傾くことを防止している。換言すれば、感知柵1においては、ローラ59により支柱4に対する筒部51(連結部材5)の姿勢を維持している。支柱4に対して連結部材5を上下方向に変位させる際には、ローラ59が支柱4に当接しながら転動するため、支柱4が傷つくことを防止できる。
【0041】
上記の如く、本実施形態に係る感知柵1においては、クランプ部57で支柱4を挟持するとともに、ローラ59を支柱4に当接させる構成としている。これにより、支柱4に対して筒部51の組付強度を高めることができる。即ち、連結部材5を支柱4に安定的に組付けることを可能としている。
【0042】
図5及び
図6に示す如く、板支持部52の側部には足場板8を固定するための固定部材58が設けられる。固定部材58は上側が水平に折り曲げられた棒状部材であり、固定ばね58aにより下方に付勢された状態で板支持部52に設けられる。固定ばね58aが固定部材58を下方に付勢し、固定部材58の上部と板支持部52とで足場板8を挟み込むことにより、足場板8は板支持部52に固定される。
【0043】
柵部材6は折り曲げられた棒状部材に複数の棒状部材を組み合わせて構成される柵体である。柵部材6には二本の横管6aが設けられる。
図8に示す如く、柵部材6における横管6aと同じ高さには前後方向に突出する突起部6bが形成されている。
図3(b)に示す如く、下側の横管6aには、柵部材6を支持部54に挿入した際の抜け止めをする固定ピン6cが連結されている。
【0044】
本実施形態に係る感知柵1においては
図4(b)及び
図8に示す如く、柵部材6に端部枠部材7を組付可能とされている。端部枠部材7は、
図8に示す如く柵部材6と同一平面に位置する姿勢、又は、
図4(b)に示す如く平面視で柵部材6に直交する姿勢の何れかで柵部材6に組付可能とされる。
【0045】
具体的には
図4(b)に示す如く、端部枠部材7には、鉤形状の係止部7a、孔部が開口された抜止部7b、及び、抜止ピン7cが設けられる。そして、端部枠部材7を柵部材6に対して直交する姿勢で組付ける際には、
図4(b)に示す如く、係止部7aを横管6aに係止した状態で、柵部材6の反対側で抜止ピン7cを抜止部7bの孔部に挿入する。これにより、端部枠部材7は柵部材6に直交する姿勢で組付けられる。
【0046】
一方、端部枠部材7を柵部材6に対して同一平面上で組付ける際には、
図8に示す如く、係止部7aを突起部6bに係止した状態で、柵部材6の反対側で抜止ピン7cを抜止部7bの孔部に挿入する。これにより、端部枠部材7は柵部材6に対して同一平面上に組付けられる。
【0047】
このように、本実施形態に係る感知柵1においては、端部枠部材7を二つの姿勢で柵部材6に組付可能としている。
図1中の第二感知柵1Bに設ける端部枠部材7の如く、隣接する第一感知柵1Aとの隙間(柵部材6・6の隙間)を塞ぐ目的で使用する場合は、
図8に示す如く端部枠部材7を柵部材6に対して同一平面上で組付けることが好適である。一方、
図1中の第一感知柵1Aに設ける端部枠部材7の如く、連続する感知柵1の端部(足場板8の終端部)を作業者に感知させる目的で使用する場合は、
図4(a)及び(b)に示す如く端部枠部材7を柵部材6に対して直交する姿勢で組付けることが好適である。
【0048】
このため、本実施形態においては
図1に示す如く、第一感知柵1Aの右側端部及び第三感知柵1Cの左側端部には、端部枠部材7を柵部材6に対して直交する姿勢で組付けて、感知柵1の端部(第一感知柵1A~第三感知柵1Cの端部)を作業者に感知させる構成としている。また、第二感知柵1Bの右側端部及び第三感知柵1Cの右側端部には、端部枠部材7を柵部材6に対して同一平面状に組付けて、隣接する柵部材6・6の隙間を塞ぐ構成としている。
【0049】
なお、本実施形態においては
図2及び
図12に示す如く、柵部材6における一方の側部に対して二個の端部枠部材7を設けることも可能である。これにより、端部枠部材7の上下方向の隙間を狭くすることができるため、作業者の安全性を高めることが可能となる。
【0050】
本実施形態に係る感知柵1を使用する際には、
図7に示す如く、支柱4を筒部51に挿通して連結部材5を支柱4に固定する。そして、係止部53であおりGを係止して、係止部53と挟持部56とによりあおりGを挟持する。さらに、板支持部52の上面に足場板8を固定し、支持部54に柵部材6を組付ける。その後、柵部材6に一個又は複数個の端部枠部材7を感知柵1の配置形状に応じて組付ける。
【0051】
本実施形態において、連結部材5は支柱4の長手方向に沿ってスライド変位可能に固定される。このため、連結部材5を支柱4における低い位置に固定した場合は、
図1及び
図2に示す如くトラックTにおいて倒した状態のあおりGに感知柵1を連結することができる。一方、連結部材5を支柱4における高い位置に固定した場合は、
図11及び
図12に示す如くトラックTにおいて立てた状態のあおりGに感知柵1を連結することができる。このように、本実施形態に係る感知柵1においては、支柱4における連結部材5の固定位置を変更することにより、柵部材6の高さを変更することを可能としている。
【0052】
本実施形態においては、
図9(a)及び(b)に示す如く、第一感知柵1Aにおいて左側の支持部材2が備える支持脚3の被挿入部31bに、第二感知柵1Bにおいて右側の支持部材2が備える支持脚3の挿入部31aを挿入することにより、第一感知柵1Aと第二感知柵1Bとを近接して配置することができる。この場合、それぞれの支持部材2において、支柱4に対する連結部材5の水平方向姿勢を
図2で示す位置から回転させて、右側の支持脚3の被挿入部31bに左側の支持脚3の挿入部31aが挿入される姿勢に変更する必要がある。
【0053】
上記の如く、本実施形態においては、第一感知柵1Aにおける左側の支持部材2が備える支柱4と、第二感知柵1Bにおける右側の支持部材2が備える支柱4と、を近接して配置することができるため、それぞれの柵部材6・6の隙間を小さくして端部枠部材7の寸法をコンパクトにすることが可能となる。
【0054】
また、本実施形態においては、
図10(a)及び(b)に示す如く、感知柵1を使用しない場合などで複数個の支持部材2を保管する際に、一の支持部材2が備える支持脚3の被挿入部31bに、他の支持部材2が備える支持脚3の挿入部31aを連続して挿入することにより、支持部材2・2・・が備える支柱4・4・・を近接して配置することができる。この際、一の脚本体31における緩衝材31cに他の脚本体31が当接することにより、脚本体31同士が直接触れない構成としている。
【0055】
この場合についても、それぞれの支持部材2において、連結部材5を
図2で示す位置から水平方向に回転させて、支柱4に対する連結部材5の水平方向姿勢を変更することができる。これにより、一の支持脚3の被挿入部31bに他の支持脚3の挿入部31aを挿入した際に連結部材5の板支持部52が互いに干渉しない構成とすることができる。即ち、本実施形態に係る感知柵1においては、連結部材5の板支持部52同士が干渉しない姿勢で、複数の支持部材2・2・・を近接して配置できる。このため、複数の支持部材2・2・・を、連結部材5を取り外すことなく、コンパクトに収納することが可能となる。なお、支柱4から連結部材5を取り外した状態で複数の支持部材2を保管することも可能である。
【符号の説明】
【0056】
1 感知柵 1A 第一感知柵
1B 第二感知柵 1C 第三感知柵
2 支持部材 3 支持脚
4 支柱 5 連結部材
6 柵部材 6a 横管
6b 突起部 6c 固定ピン
7 端部枠部材 7a 係止部
7b 抜止部 7c 抜止ピン
8 足場板
31 脚本体 31a 挿入部
31b 被挿入部 31c 緩衝材
32 支柱支持部 33 車輪
41 補助支柱 42 支持ピン
51 筒部 51a 被支持凹部
52 板支持部 52a 規制部
53 係止部 54 支持部
55 ブラケット 55a 固定板
56 挟持部 56a ロック部
56b 当接部 56c アンロック部
57 クランプ部 57a クランプ支持部
57b 把持部 57c 圧縮ばね
57d 押圧部 57e 当接板
58 固定部材 58a 固定ばね
59 ローラ 59a ローラ支持部
T トラック C 荷台
G あおり(被係止部材)