IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ アンデン株式会社の特許一覧

特開2022-131369ウォッシャ制御システム、ウォッシャ制御装置
<>
  • 特開-ウォッシャ制御システム、ウォッシャ制御装置 図1
  • 特開-ウォッシャ制御システム、ウォッシャ制御装置 図2
  • 特開-ウォッシャ制御システム、ウォッシャ制御装置 図3
  • 特開-ウォッシャ制御システム、ウォッシャ制御装置 図4
  • 特開-ウォッシャ制御システム、ウォッシャ制御装置 図5
  • 特開-ウォッシャ制御システム、ウォッシャ制御装置 図6
  • 特開-ウォッシャ制御システム、ウォッシャ制御装置 図7
  • 特開-ウォッシャ制御システム、ウォッシャ制御装置 図8
  • 特開-ウォッシャ制御システム、ウォッシャ制御装置 図9
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022131369
(43)【公開日】2022-09-07
(54)【発明の名称】ウォッシャ制御システム、ウォッシャ制御装置
(51)【国際特許分類】
   B60S 1/50 20060101AFI20220831BHJP
   B60S 1/46 20060101ALI20220831BHJP
【FI】
B60S1/50
B60S1/46 G
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021030285
(22)【出願日】2021-02-26
(71)【出願人】
【識別番号】390001812
【氏名又は名称】株式会社デンソーエレクトロニクス
(74)【代理人】
【識別番号】110001128
【氏名又は名称】弁理士法人ゆうあい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】森田 学
【テーマコード(参考)】
3D025
3D225
【Fターム(参考)】
3D025AA01
3D025AC02
3D025AD02
3D025AD03
3D025AD09
3D025AF03
3D025AF06
3D225AA01
3D225AC02
3D225AD02
3D225AD03
3D225AD09
3D225AF03
3D225AF06
(57)【要約】
【課題】ウォッシャレベルセンサを複数備えることなく、簡素なシステム構成でウォッシャ液の余裕を把握することを可能とする。
【解決手段】マイコン31にて、モータ電流値とモータ通電時間からウォッシャ液の使用量を算出し、ウォッシャ液の残量が所定値になってからの使用量を所定値から差し引くことでウォッシャ液の残量を推定する。これにより、ウォッシャレベルセンサ20を複数備えることなく、簡素なシステム構成でウォッシャ液の余裕を把握することが可能となる。また、ウォッシャ液の使用期限を報知することで、ドライバにウォッシャ液の余裕を把握させられ、ウォッシャ液が枯渇する前にウォッシャ液の補充を促すことも可能となる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウォッシャ制御システムであって、
車両の走行に関わる状況の監視を行う状況監視装置(5)と、
ウォッシャ液を貯留するウォッシャタンク(11)と、
通電により前記ウォッシャタンク内の前記ウォッシャ液を吸入吐出してウォッシャ噴射を行うことで、前記状況監視装置による監視の妨げになる汚れを除去するウォッシャモータ(12)と、
前記ウォッシャモータへの通電を制御して前記ウォッシャ噴射を制御するウォッシャ制御装置(30)と、を備え、
前記ウォッシャ制御装置は、
前記ウォッシャモータに流される電流の値であるモータ電流値をモニタする電流モニタ部(31d)と、
前記ウォッシャモータの通電時間を取得する通電時間取得部(31e)と、
前記モータ電流値がモニタする前記モータ電流値と前記通電時間取得部が取得する前記通電時間とから前記ウォッシャ液の使用量を算出し、該使用量に基づいて、前記ウォッシャ液の余裕として、前記ウォッシャタンク内における前記ウォッシャ液の残量を算出する演算部(31g)と、を有しているウォッシャ制御システム。
【請求項2】
前記通電時間取得部は、前記ウォッシャ噴射を行っている時間である噴射時間を係数する噴射時間計数部(31e)であり、
前記噴射時間計数部が計数する前記噴射時間を前記通電時間として、前記モータ電流値と前記噴射時間とから前記ウォッシャ液の使用量を算出する、請求項1に記載のウォッシャ制御システム。
【請求項3】
前記ウォッシャタンク内における前記ウォッシャ液の残量が所定値になったことを検出するウォッシャレベルセンサ(20)を有し、
前記演算部は、前記ウォッシャレベルセンサにて前記ウォッシャ液の残量が所定値になったことが検出されると、前記ウォッシャ液の残量が前記所定値になってからの前記使用量を前記所定値から差し引くことによって前記ウォッシャ液の残量を算出する、請求項1または2に記載のウォッシャ制御システム。
【請求項4】
前記ウォッシャタンク内における前記ウォッシャ液の残量が所定値になったことを検出するウォッシャレベルセンサ(20)を有し、
前記演算部は、前記ウォッシャレベルセンサにて前記ウォッシャ液の残量が所定値になったことが検出されるまでは、前記ウォッシャタンクにおける前記ウォッシャ液の許容限度液量から前記使用量を差し引くことによって前記ウォッシャ液の残量を算出し、前記ウォッシャレベルセンサにて前記ウォッシャ液の残量が所定値になったことが検出されると、前記ウォッシャ液の残量を前記所定値に補正し、前記ウォッシャ液の残量が前記所定値になってからの前記使用量を前記所定値から差し引くことによって前記ウォッシャ液の残量を算出する、請求項1または2に記載のウォッシャ制御システム。
【請求項5】
前記演算部は、任意の日から連続する数日分のウォッシャの残量の変化に基づいて、前記数日分における日々の前記ウォッシャ液の残量の低下量を算出し、日にちと前記ウォッシャ液の残量の低下量の関係を直線近似することにより一次方程式で示される推定線を算出すると共に、前記ウォッシャ液の残量と前記推定線とに基づいて、前記ウォッシャ液の余裕として、前記ウォッシャ液の使用期限を算出する、請求項3または4に記載のウォッシャ制御システム。
【請求項6】
前記ウォッシャ液の余裕についての表示を行わせる表示制御装置(40)を備え、
前記表示制御装置は、
前記ウォッシャ液の残量が前記所定値以下のときには、前記ウォッシャ液の余裕として、前記ウォッシャ液の使用期限を表示させる、請求項5に記載のウォッシャ制御システム。
【請求項7】
ウォッシャタンク(11)内のウォッシャ液を吸入吐出してウォッシャ噴射を行うことで、車両の走行に関わる状況の監視を行う状況監視装置(5)による監視の妨げになる汚れを除去するウォッシャモータ(12)への通電を制御するウォッシャ制御装置であって、
前記ウォッシャモータに流される電流の値であるモータ電流値をモニタする電流モニタ部(31d)と、
前記ウォッシャモータの通電時間を取得する通電時間取得部(31e)と、
前記モータ電流値がモニタする前記モータ電流値と前記通電時間取得部が取得する前記通電時間とから前記ウォッシャ液の使用量を算出し、該使用量に基づいて、前記ウォッシャ液の余裕として、前記ウォッシャタンク内における前記ウォッシャ液の残量を算出する演算部(31g)と、を有しているウォッシャ制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に備えられるウォッシャ制御システムおよびそれに適用されるウォッシャ制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1において、車両用洗浄システムが提案されている。このシステムでは、ウィンドシールドガラスの汚れを検出した場合に、ウィンドシールドガラスの自動洗浄を行うようにしつつ、ウォッシャレベルセンサを備えることでウォッシャ液の残量を検出している。そして、ウォッシャレベルセンサにてウォッシャ液の残量がウォッシャポンプを作動させるに足る一定値以上であるか否かを判定し、一定値以上であればウォッシャポンプを作動させ、下限値以下であれば運転者にその旨を通知している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-18597号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
先進運転支援システム(以下、ADASという)による自動運転は、各種カメラやセンサ類などの状況監視装置によって各種情報を得ることで行われる。自動運転時に、その機能を維持するための状況監視装置に汚れが付着した場合、ADASに関わる機能が低下する恐れがある。そのため、ウォッシャ制御システムにより状況監視装置に付着した汚れを除去する方策が検討されている。
【0005】
ウォッシャ液の残量を把握するために、上記した特許文献1のように、ウォッシャレベルセンサを1個使用し、ウォッシャ液の有無を確認することが考えられる。
【0006】
しかしながら、ウォッシャレベルセンサを1個使用しただけではウォッシャ液の残量が一定値になったか否かを判定できる2値判定となる。このため、例えばウォッシャ液の残量が無くなって始めて液量不足が通知される等が発生し、自動運転中に状況監視装置を洗浄できなくなる可能性がある。
【0007】
このような課題に対応するためには、ウォッシャレベルセンサで検出する液量の閾値を液量が0になるよりも高い数値に設定することが考えられる。しかし、ウォッシャ液の使用頻度は使用環境によって変化するため、ウォッシャ液の残量予測が困難であり、自動運転時の機能維持が難しい。
【0008】
また、ウォッシャレベルセンサを複数個用意し、ウォッシャ液の残量を多段階で把握するシステム構成も考えられる。しかし、ウォッシャレベルセンサが複数個必要になるなど、システムの部品点数増大を招くと共に、システムコストの増大も招くことになる。
【0009】
本発明は上記点に鑑みて、ウォッシャレベルセンサを複数備えることなく、簡素なシステム構成でウォッシャ液の余裕を把握することが可能なウォッシャ制御システムおよびそれに適用されるウォッシャ制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、ウォッシャ制御システムであって、車両の走行に関わる状況の監視を行う状況監視装置(5)と、ウォッシャ液を貯留するウォッシャタンク(11)と、通電によりウォッシャタンク内のウォッシャ液を吸入吐出してウォッシャ噴射を行うことで、状況監視装置による監視の妨げになる汚れを除去するウォッシャモータ(12)と、ウォッシャモータへの通電を制御してウォッシャ噴射を制御するウォッシャ制御装置(30)と、を備え、ウォッシャ制御装置は、ウォッシャモータに流される電流の値であるモータ電流値をモニタする電流モニタ部(31d)と、ウォッシャモータの通電時間を取得する通電時間取得部(31e)と、モータ電流値がモニタするモータ電流値と通電時間取得部が取得する通電時間とからウォッシャ液の使用量を算出し、該使用量に基づいて、ウォッシャ液の余裕として、ウォッシャタンク内におけるウォッシャ液の残量を算出する演算部(31g)と、を有している。
【0011】
このように、ウォッシャモータに流される電流の値であるモータ電流値と通電時間とからウォッシャ液の使用量を算出することができる。この使用量に基づいて、ウォッシャタンク内におけるウォッシャ液の残量を算出することができる。これにより、ウォッシャ液の残量などのウォッシャ液の余裕を報知することができる。このため、ドライバ等にウォッシャ液の余裕を把握させられ、ウォッシャ液が枯渇する前にウォッシャ液の補充を促すことができる。また、ウォッシャレベルセンサを複数備えることなく、簡素なシステム構成でウォッシャ液の余裕を把握することが可能となる。
【0012】
請求項2に記載の発明では、通電時間取得部は、ウォッシャ噴射を行っている時間である噴射時間を係数する噴射時間計数部(31e)であり、噴射時間計数部が計数する噴射時間を通電時間として、モータ電流値と噴射時間とからウォッシャ液の使用量を算出する。
【0013】
このように、噴射時間計数部が計数する噴射時間を通電時間として、モータ電流値と噴射時間とからウォッシャ液の使用量を算出することができる。
【0014】
請求項3に記載の発明では、ウォッシャタンク内におけるウォッシャ液の残量が所定値になったことを検出するウォッシャレベルセンサ(20)を有し、演算部は、ウォッシャレベルセンサにてウォッシャ液の残量が所定値になったことが検出されると、ウォッシャ液の残量が所定値になってからの使用量を当該所定値から差し引くことによってウォッシャ液の残量を算出する。
【0015】
このように、ウォッシャレベルセンサにてウォッシャ液の残量が所定値になったことを検出できるため、ウォッシャ液の残量が所定値になってからの使用量を所定値から差し引くことによってウォッシャ液の残量を算出することができる。
【0016】
請求項4に記載の発明では、ウォッシャタンク内におけるウォッシャ液の残量が所定値になったことを検出するウォッシャレベルセンサ(20)を有し、演算部は、ウォッシャレベルセンサにてウォッシャ液の残量が所定値になったことが検出されるまでは、ウォッシャタンクにおけるウォッシャ液の許容限度液量から使用量を差し引くことによってウォッシャ液の残量を算出し、ウォッシャレベルセンサにてウォッシャ液の残量が所定値になったことが検出されると、ウォッシャ液の残量を所定値に補正し、ウォッシャ液の残量が所定値になってからの使用量を所定値から差し引くことによってウォッシャ液の残量を算出する。
【0017】
このように、ウォッシャ液が所定値になるまではウォッシャ液の許容限度液量と使用量とからウォッシャ液の残量を算出できる。また、ウォッシャレベルセンサにてウォッシャ液の残量が所定値になったことを検出できるため、許容限度液量とウォッシャ液とから算出したウォッシャ液の残量ではなく、ウォッシャレベルセンサの検出結果に基づいてウォッシャ液の残量を所定値に補正する。そして、補正後は、ウォッシャ液の残量が所定値になってからの使用量を所定値から差し引くことでウォッシャ液の残量を算出できる。これにより、ウォッシャ液の残量の算出精度を高めることが可能になる。
【0018】
請求項5に記載の発明では、演算部は、任意の日から連続する数日分のウォッシャの残量の変化に基づいて、数日分における日々のウォッシャ液の残量の低下量を算出し、日にちとウォッシャ液の残量の低下量の関係を直線近似することにより一次方程式で示される推定線を算出すると共に、ウォッシャ液の残量と推定線とに基づいて、ウォッシャ液の余裕として、ウォッシャ液の使用期限を算出する。
【0019】
このように、ウォッシャ液の残量の変化に基づいて、ウォッシャ液の余裕として、ウォッシャ液の使用期限を算出することができる。このように、ウォッシャ液の使用期限を求めれば、ドライバ等にその使用期限を伝えることもできる。
【0020】
請求項6に記載の発明では、ウォッシャ液の余裕についての表示を行わせる表示制御装置(40)を備え、表示制御装置は、ウォッシャ液の残量が所定値以下のときには、ウォッシャ液の余裕として、ウォッシャ液の使用期限を表示させる。
【0021】
このように、ドライバ等に対して、ウォッシャ液の残量が減ってきたときに、あとどのくらいウォッシャ液を使用可能かについても報知するという形態にできる。
【0022】
請求項7に記載のウォッシャ制御装置は、ウォッシャタンク(11)内のウォッシャ液を吸入吐出してウォッシャ噴射を行うことで、車両の走行に関わる状況の監視を行う状況監視装置(5)による監視の妨げになる汚れを除去するウォッシャモータ(12)への通電を制御し、ウォッシャモータに流される電流の値であるモータ電流値をモニタする電流モニタ部(31d)と、ウォッシャモータの通電時間を取得する通電時間取得部(31e)と、モータ電流値がモニタするモータ電流値と通電時間取得部が取得する通電時間とからウォッシャ液の使用量を算出し、該使用量に基づいて、ウォッシャ液の余裕として、ウォッシャタンク内におけるウォッシャ液の残量を算出する演算部(31g)と、を有している。
【0023】
このように、ウォッシャ制御システムにおけるウォッシャ制御装置として本発明を把握することもできる。このようなウォッシャ制御装置を用いることにより、請求項1に記載の効果を得ることができる。
【0024】
なお、各構成要素等に付された括弧付きの参照符号は、その構成要素等と後述する実施形態に記載の具体的な構成要素等との対応関係の一例を示すものである。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】第1実施形態にかかるウォッシャ制御システムの概略構成を示した図である。
図2】ウォッシャ制御処理の詳細を示したフローチャートである。
図3】ウォッシャ液の日々の変化と推定線の一例を示した図である。
図4】推定線の算出方法の一例を説明した図である。
図5】従来のウォッシャ制御システムにおいてウォッシャレベルセンサを1つ備えた場合の回路構成を示した図である。
図6図5の回路構成としたウォッシャ制御システムでのウォッシャ液の残量とそれを抽出できるタイミングを説明した図である。
図7】従来のウォッシャ制御システムにおいてウォッシャレベルセンサを複数備えた場合の回路構成を示した図である。
図8図7の回路構成としたウォッシャ制御システムでのウォッシャ液の残量とそれを抽出できるタイミングを説明した図である。
図9】ウォッシャ液の残量が50%になったタイミングでウォッシャ液の残量の補正を行った場合のウォッシャ液の残量の変化を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、同一符号を付して説明を行う。
【0027】
(第1実施形態)
図1を参照して、本実施形態にかかるウォッシャ制御システム1について説明する。図1は、本実施形態にかかるウォッシャ制御システム1にワイパ制御システム2を加えた回路構成図である。本実施形態では、ウォッシャ制御システム1をワイパ制御システム2からの指示に従ってウォッシャ液の噴射を行うものに適用した場合を例に挙げて説明するが、ワイパ制御システム2と関係無く独立してウォッシャ液の噴射を行うものに適用されても良い。
【0028】
まず、ワイパ制御システム2について説明する。ワイパ制御システム2は、車両に備えられるフロントウィンドシールド3の汚れなどを拭き取るフロントワイパ3aやリアウィンドシールド4の汚れなどを拭き取るリアワイパ4aを制御するシステムである。ワイパ制御システム2は、車両に備えられる電子制御装置(以下、ECUという)、例えばボデーECU2aからの指示に基づいてワイパ制御やウォッシャ指示などを行っている。なお、ボデーECU2aは、車載ECUの1つであり、様々な車両に関わる制御を行うものであり、その機能の1つとしてワイパ制御やウォッシャ指示を行っている。ここでは、ボデーECU2aで行われる機能のうちのワイパ制御やウォッシャ指示に関わる部分についてのみ説明する。
【0029】
具体的には、ボデーECU2aは、図示しないステアリングコラム部に備えられるフロントワイパスイッチ2bやリアワイパスイッチ2c、さらにはフロントウォッシャスイッチ2dやリアウォッシャスイッチ2eの操作状態を示す制御信号が入力されている。ボデーECU2aは、フロントワイパ3aもしくはリアワイパ4aを操作する制御信号が入力されると、その制御信号に基づいてフロントワイパ3aもしくはリアワイパ4aを作動させるための図示しないワイパモータを駆動する。
【0030】
また、ボデーECU2aは、フロントウォッシャスイッチ2dもしくはリアウォッシャスイッチ2eを操作する制御信号が入力されると、対応するウォッシャ噴射が行われるようにウォッシャ制御システム1に対してウォッシャ指示の制御信号を出力する。加えて、ボデーECU2aは、ウォッシャ噴射時に同時に一定期間対応するフロントワイパ3aもしくはリアワイパ4aを作動させるために図示しないワイパモータを駆動する。
【0031】
さらに、ボデーECU2aには、汚れ監視部6による監視結果も入力されるようになっている。汚れ監視部6は、フロント監視部6aとリア監視部6bとを有した構成とされ、それぞれによりフロントウィンドシールド3への汚れの付着とリアウィンドシールド4への汚れの付着を監視している。フロントウィンドシールド3やリアウィンドシールド4の内側、つまり車室内側にはADASによる自動運転に用いられる各種カメラやセンサ類などの車両の走行に関わる状況の監視を行う各種状況監視装置5が搭載されている。このため、フロントウィンドシールド3やリアウィンドシールド4への汚れの付着は各種状況監視装置5による監視の妨げになり、各種状況監視装置5の機能を低下させる可能性がある。したがって、汚れ監視部6により汚れ付着の監視を行い、その監視結果をボデーECU2aに伝えて、汚れの付着が有った場合には、対応するウォッシャ噴射が行われるようにボデーECU2aからウォッシャ制御装置30に対してウォッシャ指示の制御信号が出力されるようにしている。
【0032】
なお、汚れ監視部6は、状況監視装置5がカメラである場合には、カメラで撮像した画像中から汚れを検知するものであっても良いし、赤外線センサなどのように汚れの有無に応じた反射率の変化に基づいて汚れを検知するものであっても良い。また、ここでは汚れ監視部6からボデーECU2aに対して直接監視結果が伝えられるように示しているが、他の形態であっても良い。例えば、ADASによる自動運転の制御を行う他の車載ECUに対して汚れ監視部6の監視信号が伝えられ、その車載ECUで汚れの付着の有無を判定して監視結果を得て、その監視結果がボデーECU2aに伝えられるようにしても良い。
【0033】
次に、ウォッシャ制御システム1について説明する。本実施形態のウォッシャ制御システム1は、ウォッシャ装置10、ウォッシャレベルセンサ20、ウォッシャ制御装置30および表示制御装置40などを備えた構成とされている。
【0034】
ウォッシャ装置10は、ウォッシャ液をフロントウィンドシールド3やリアウィンドシールド4に対して噴出させる機械構造を構成する部分であり、ウォッシャタンク11、ウォッシャモータ12およびウォッシャ噴出器13を備えている。
【0035】
ウォッシャタンク11は、内部にウォッシャ液を貯留するものであり、このウォッシャタンク11内のウォッシャ液が使用されてフロントウィンドシールド3やリアウィンドシールド4に付着した汚れの洗浄が行われる。ウォッシャタンク11内に貯留可能なウォッシャ液の許容限度液量、換言すればウォッシャレベル上限は決まっており、その許容限度液量からウォッシャ液の使用量分を差し引いた値がウォッシャ液の残量となる。ただし、ウォッシャ液の残量が所定値以上ある場合には、液量不足に陥らないため、ウォッシャ液がウォッシャ液の残量を推定する必要性はあまりない。このため、本実施形態では、ウォッシャレベルセンサ20でウォッシャ液の残量が所定値になったことを検出すると、そこからウォッシャ液の残量を推定している。これについては後述する。
【0036】
ウォッシャモータ12は、ウォッシャポンプとしての機能も有したポンプ一体型モータであり、ウォッシャ制御装置30により制御される。ウォッシャ制御装置30によってウォッシャモータ12が駆動されると、ウォッシャ液を吸入し、ウォッシャ噴出器13に向けて吐出する。本実施形態の場合、ウォッシャモータ12は通電方向に応じて正転と逆転させられる正逆回転可能なモータによって構成され、かつ、内蔵された切替え弁によって正転時と逆転時とでウォッシャ液の吐出口の切替えが行える構造とされている。そして、正転時には後述するフロント噴出器13aにウォッシャ液を吐出し、逆転時にはリア噴出器13bにウォッシャ液を吐出するようになっている。ウォッシャモータ12からのウォッシャ噴出器13へのウォッシャ液の吐出量は、ウォッシャモータ12の回転数に応じた量となっている。
【0037】
ウォッシャ噴出器13は、ウォッシャモータ12から吐出されてきたウォッシャ液をフロントウィンドシールド3やリアウィンドシールド4に向けて吐出するものである。具体的には、ウォッシャ噴出器13は、フロントウィンドシールド3に向けてウォッシャ液を噴射するフロント噴出器13aと、リアウィンドシールド4に向けてウォッシャ液を噴射するリア噴出器13bが備えられている。上記したウォッシャモータ12の正転時には、フロント噴出器13aにウォッシャ液が吐出されてきてフロントウィンドシールド3に対してウォッシャ液が噴射され、逆転時には、リア噴出器13bにウォッシャ液が吐出されてきてリアウィンドシールド4に対してウォッシャ液が噴射される。そして、ウォッシャ液が噴射されるのに加えて、ワイパ制御システム2によってフロントワイパ3aやリアワイパ4aが駆動されることで、フロントウィンドシールド3やリアウィンドシールド4に付着した汚れが洗浄されて除去されるようになっている。
【0038】
ウォッシャレベルセンサ20は、ウォッシャタンク11に貯留されているウォッシャ液の残量を検出し、ウォッシャ制御装置30に伝える。例えば、ウォッシャレベルセンサ20は、ウォッシャタンク11の液面の高さに基づきウォッシャ液の残量が所定値になったことを検出し、ウォッシャ液の残量が所定値になったときの高さまではオフ、その高さになるとオンする液面検出スイッチによって構成される。ウォッシャレベルセンサ20は、オンオフに基づいてウォッシャ液の残量が所定値になったか否かを判定する2値判定を行い、その判定結果をウォッシャ液の残量の検出結果としてウォッシャ制御装置30に伝えている。そして、その検出結果がウォッシャ制御装置30で行われるウォッシャ液の残量推定に用いられる。このウォッシャ液の残量推定の詳細については後述する。
【0039】
ウォッシャ制御装置30は、ウォッシャモータ12への通電を制御することでウォッシャ噴射を制御する。具体的には、ウォッシャ制御装置30は、ボデーECU2aからのウォッシャ指示の制御信号を受け取ると、それに基づいてウォッシャモータ12を駆動してウォッシャ液の噴出を行う。ボデーECU2aから伝えられるウォッシャ指示の制御信号には、ウォッシャモータ12を正転と逆転いずれに回転させるか、つまりフロントウィンドシールド3とリアウィンドシールド4のいずれに対してウォッシャ液を噴出させるかも含まれている。このため、ウォッシャ制御装置30は、その制御信号に基づいてウォッシャモータ12を正転もしくは逆転回転させることで、フロントウィンドシールド3とリアウィンドシールド4のうちの必要な方にウォッシャ液を噴出させる。
【0040】
上記したように、ボデーECU2aは、フロントウォッシャスイッチ2dもしくはリアウォッシャスイッチ2eが操作されたときや、汚れ監視部6で汚れの付着が有ったという監視結果がでたときに、ウォッシャ指示の制御信号を出力する。このため、ウォッシャ制御装置30は、ドライバがワイパの作動要求を行った場合に加えてフロントウィンドシールド3やリアウィンドシールド4に汚れが付着したときに、対応するウォッシャ噴射を行うようになっている。そして、フロントウィンドシールド3やリアウィンドシールド4に汚れが付着したときにウォッシャ噴射を行うことで、それらの内側に搭載された状況監視装置5の機能の低下を抑制することを可能にしている。
【0041】
具体的には、ウォッシャ制御装置30は、マイクロコンピュータ(以下、マイコンという)31とスイッチ部32とを有した構成とされている。
【0042】
マイコン31は、CPU、ROM、RAM、I/Oなどを備えた制御部を構成するもので、ROM等に記憶されたプログラムに従ってスイッチ部32を制御することでウォッシャモータ12の駆動を制御し、ウォッシャ液噴射を行う。具体的には、マイコン31は、ボデーECU2aからウォッシャ指示の制御信号が入力されたときに、スイッチ部32に対して駆動指示信号を出力し、ウォッシャモータ12を駆動させる。これにより、スイッチ部32が制御されてウォッシャモータ12に対して電流が供給され、ウォッシャモータ12が駆動されて、ウォッシャ液が噴射されるようになっている。
【0043】
ボデーECU2aから入力されたウォッシャ指示の制御信号にはフロントウィンドシールド3とリアウィンドシールド4のいずれにウォッシャ液噴射を行わせるかを示すデータも含まれている。このため、マイコン31は、駆動指示信号によってスイッチ部32を制御し、電流の方向を設定してウォッシャモータ12に対して供給することで、ウォッシャモータ12を正転もしくは逆転させるようにしている。
【0044】
また、マイコン31は、ウォッシャレベルセンサ20からの検出信号を入力することでウォッシャ液の残量が所定値になったことを検知している。さらに、マイコン31は、表示制御装置40と通信を行うことで、日付、時間などの日時情報を取得すると共に、その日時情報やウォッシャレベルセンサ20の検出信号に基づいてウォッシャ液の残量を推定している。そして、マイコン31は、ウォッシャ液の残量が所定値以下になったときにウォッシャ液の余裕を示す表示を行わせることで、ドライバに対してウォッシャ液の補充を促す。
【0045】
具体的には、マイコン31は、上記を実現する各機能部として、液量検出部31a、日時取得部31b、ウォッシャ液余裕通知部31c、電流モニタ部31d、噴射時間計数部31e、噴射回数計数部31fおよび演算部31gを備えている。
【0046】
液量検出部31aは、ウォッシャレベルセンサ20の検出信号を入力し、ウォッシャ液の残量が所定値になったことを検知して、それを演算部31gに伝える。本実施形態の場合、液量検出部31aは、例えばウォッシャ液の残量が50%になったときに、ウォッシャ液の残量が所定値になったことを検知しているが、ウォッシャタンク11内におけるウォッシャ液の残量が0%より多く、かつ、100%未満の所定値であることを検知できれば良い。
【0047】
日時取得部31bは、表示制御装置40から日付、時間などの日時情報を取得し、それを演算部31gに伝えている。ここでは、日時取得部31bは、表示制御装置40から日時情報を取得しているが、車内LAN(Local Area Network)など車内通信システムを通じて日時情報を取得できれば良いため、日時情報を取り扱っている他の車載ECUより取得しても良い。
【0048】
ウォッシャ液余裕通知部31cは、ウォッシャ液の残量に基づくウォッシャ液の余裕を表示制御装置40に伝える。ウォッシャ液の余裕は、ウォッシャ液が後どのくらい使用できるかを示す指標であり、演算部31gにて算出される。ウォッシャ液の残量そのもの、ウォッシャ液があと何日間使用可能か、もしくは何月何日まで使用可能かなどの使用期限がウォッシャ液の余裕として表示制御装置40に伝えられる。
【0049】
電流モニタ部31dは、ウォッシャモータ12に供給される電流の値(以下、モータ電流値という)をリアルタイムでモニタし、それを演算部31gに伝える。ウォッシャモータ12の回転数(以下、モータ回転数という)は、ここでモニタされるモータ電流値に対してウォッシャモータ12への通電時間(以下、モータ通電時間という)を積算することで得られる。ウォッシャ液の使用量、つまり消費量はモータ回転数に相関しており、例えば比例していることから、モータ回転数に基づいてウォッシャ液の使用量を算出することが可能である。このため、電流モニタ部31dにて、モータ電流値をモニタしている。
【0050】
噴射時間計数部31eは、ウォッシャ液の噴出時間を計数している。ウォッシャ液の噴出時間は、モータ通電時間に相当する時間であり、この噴射時間計数部31eが通電時間取得部に相当する。上記したモータ回転数の算出の際には、このウォッシャ液の噴出時間をモータ通電時間として用いている。後述するように演算部31gからスイッチ部32に対して駆動指示信号を出力することでウォッシャモータ12が駆動されることから、噴射時間計数部31eでその駆動指示信号の出力時間を計数することでウォッシャ液の噴出時間を計数している。
【0051】
噴射回数計数部31fは、ウォッシャ液の噴射回数を計数している。ここでは、イグニッションスイッチオン中のウォッシャ液の噴射回数を計数しているが、ウォッシャ液の使用開始から、例えばウォッシャ液を補充してウォッシャタンク11をフル状態、つまり許容限度液量に満たした状態からのウォッシャ液の噴射回数を計数しても良い。噴射回数については、ウォッシャモータ12への通電時間の長短にかかわらず、継続的にウォッシャモータ12への通電が行われている場合には1回と計数する。
【0052】
演算部31gは、ボデーECU2aからのウォッシャ指示の制御信号に基づいてスイッチ部32を制御し、ウォッシャモータ12に対してモータ電流を流すことでウォッシャ液を噴射させる。ボデーECU2aから伝えられるウォッシャ指示の制御信号には、ウォッシャモータ12を正転と逆転いずれに回転させるか、つまりフロントウィンドシールド3とリアウィンドシールド4のいずれに対してウォッシャ液を噴出させるかも含まれている。このため、演算部31gは、その制御信号に基づいてスイッチ部32を制御し、ウォッシャモータ12を正転もしくは逆転回転させることで、フロントウィンドシールド3とリアウィンドシールド4のうちの必要な方にウォッシャ液を噴出させる。
【0053】
また、演算部31gは、電流モニタ部31dから伝えられるモータ電流値とモータ通電時間に相当するウォッシャ液の噴射時間に基づいてウォッシャ液の1回の使用毎の使用量(以下、1回当り使用量という)を算出し、さらにその使用量の累積値(以下、累積使用量という)を算出している。そして、演算部31gは、1回当り使用量や累積使用量の算出結果に基づいて、日々の使用量の変化を示す推定線を算出しており、ウォッシャレベルセンサ20でウォッシャ液の残量が所定値になったことが検出されると、その後はウォッシャ液の残量や使用期限の算出も行っている。
【0054】
詳細については後述するが、演算部31gは、日々の使用量や累積使用量から所定期間中、例えば任意の日から連続する数日分における日々のウォッシャ液の残量の低下量を算出し、それを直線近似することで推定線を算出している。また、演算部31gは、ウォッシャレベルセンサ20でウォッシャ液の残量が所定値になったことが確認できるため、ウォッシャ液の残量が所定値であったときから更に使用された場合に、所定値からその使用量分を差し引くことでウォッシャ液の残量を算出する。さらに、演算部31gは、算出した推定線に基づいて、ウォッシャ液の使用期限についても算出している。すなわち、演算部31gは、推定線の切片を演算することでウォッシャ液をあと何日間使用可能か算出しており、加えて、日時取得部31bで取得した日付情報とあと何日間使用可能かの算出結果に基づいて、何月何日までウォッシャ液が使用可能かを算出している。そして、演算部31gは、ウォッシャ液余裕通知部31cに対してウォッシャ液の余裕に関するデータを伝えている。
【0055】
ウォッシャ液の余裕については、ウォッシャレベルセンサ20でウォッシャ液の残量が所定値以下になったことが検出されたときからウォッシャ液余裕通知部31cに伝えられることになる。このため、ウォッシャレベルセンサ20で検出される値に応じて、ウォッシャ液の余裕が伝えられる開始タイミングが決まる。ここでは、ウォッシャレベルセンサ20でウォッシャ液の残量が許容限度液量の50%になったことを検出できるように設定しているため、以下の説明では、ウォッシャ液の残量が所定値となることをウォッシャ液の残量が50%になることとして説明する。ただし、ウォッシャ液の残量が所定値になることにおける「所定値」については適宜設定可能であり、必ずしも50%でなくても良い。
【0056】
なお、ウォッシャ液の残量が0%になったあとにもウォッシャモータ12の駆動が継続された場合、モータ回転数は増加していくことから、モータ回転数からウォッシャ液の使用量を算出しただけではウォッシャ液の残量がマイナス値として算出されてしまう。このため、ウォッシャ液の残量が0%になってからウォッシャモータ12の駆動が継続されたとしても、ウォッシャ液の残量については0%と算出されるようにする。ウォッシャ液の残量が0%になったことについては、モータ電流値に基づいて特定できる。ウォッシャ液の残量が0%になると、ウォッシャ液が無くなってウォッシャモータ12が無負荷駆動になるため、ウォッシャ液が存在している有負荷時よりもモータ電流値が小さくなる。したがって、無負荷電流値よりも大きく、かつ、有負荷時よりも小さな閾値を設定しておき、モータ電流値が閾値よりも小さい場合にはウォッシャ液の残量が0%になったと特定できる。
【0057】
一方、スイッチ部32は、ウォッシャモータ12に対するモータ電流の供給を制御するものである。本実施形態では、スイッチ部32は、ウォッシャモータ12を正転だけでなく逆転もさせられるように、モータ電流の向きを制御できる構成とされているが、ウォッシャモータ12が一方向にだけ回転させられるものであれば単なるオンオフスイッチで構わない。ここでは、モータ電流のオンオフに加えて方向についても制御できるように、スイッチ部32をHブリッジ回路によって構成している。
【0058】
Hブリッジ回路は、第1スイッチ32a~第4スイッチ32dを備えている。そして、直列接続された第1スイッチ32aと第2スイッチ32bとの回路と第3スイッチ32cと第4スイッチ32dとの回路が並列接続され、それぞれの中点がウォッシャモータ12の両端に接続されることでHブリッジ回路が構成されている。このようなHブリッジ回路は、対角に配置された一方の各スイッチのオン、他方の各スイッチをオフにすることでウォッシャモータ12に対して所定の方向にモータ電流を流す。具体的には、第1スイッチ32aと第4スイッチ32dをオン、第2スイッチ32bと第3スイッチ32cをオフにすることで図中の矢印A1の方向にモータ電流を流し、各スイッチのオンオフを逆にすることで図中の矢印A2の方向にモータ電流を流す。これにより、ウォッシャモータ12を正転もしくは逆転させることができる。
【0059】
表示制御装置40は、図示しない表示器によるウォッシャ液の余裕の表示を制御するものであり、例えば車載メータ装置などによって構成される。表示制御装置40は、表示器にウォッシャ液の余裕の表示を行うことで、ドライバにウォッシャ液の余裕を報知することを可能にしている。表示器としては、ドライバが視認できるものであればどのようなものであっても良いが、例えばディスプレイ等を用いることができる。
【0060】
以上のようにして、本実施形態にかかるウォッシャ制御システム1やワイパ制御システム2が構成されている。次に、このように構成されたウォッシャ制御システム1やワイパ制御システム2の作動について説明する。
【0061】
まず、ドライバがフロントワイパスイッチ2bもしくはリアワイパスイッチ2cを作動させるための操作を行うと、それがボデーECU2aに入力され、ボデーECU2aからの制御信号に基づいて対応するワイパモータが駆動される。これにより、フロントワイパ3aもしくはリアワイパ4aが作動させられる。そして、ドライバがフロントワイパスイッチ2bもしくはリアワイパスイッチ2cの作動を終了させるための操作を行うと、それがボデーECU2aに入力され、ボデーECU2aからの制御信号が解除されてワイパモータが停止させられる。これにより、フロントワイパ3aもしくはリアワイパ4aの作動が終了させられる。
【0062】
また、ドライバがフロントウォッシャスイッチ2dもしくはリアウォッシャスイッチ2eを操作すると、それがボデーECU2aに入力され、ボデーECU2aから対応するワイパモータに制御信号が出力されると共に、ウォッシャ指示の制御信号が出力される。これにより、ウォッシャモータ12が正転もしくは逆転させられて、フロントウィンドシールド3もしくはリアウィンドシールド4にウォッシャ液が噴射されると共に、フロントワイパ3aもしくはリアワイパ4aが一定期間作動させられる。これにより、フロントウィンドシールド3もしくはリアウィンドシールド4の汚れなどがフロントワイパ3aもしくはリアワイパ4aによって拭き取られる。
【0063】
さらに、汚れ監視部6の監視によりフロントウィンドシールド3もしくはリアウィンドシールド4への汚れの付着が検知されると、その監視結果がボデーECU2aに入力される。これにより、汚れの付着が有った場合には、対応するウォッシャ噴射が行われるようにボデーECU2aからウォッシャ制御装置30に対してウォッシャ指示の制御信号が出力され、対応するワイパモータにも制御信号が出力される。そして、ウォッシャモータ12が正転もしくは逆転させられて、フロントウィンドシールド3もしくはリアウィンドシールド4にウォッシャ液が噴射されると共に、フロントワイパ3aもしくはリアワイパ4aが作動させられる。これにより、フロントウィンドシールド3もしくはリアウィンドシールド4の汚れなどがフロントワイパ3aもしくはリアワイパ4aによって拭き取られる。
【0064】
その後、汚れが拭き取られて汚れ監視部6にて汚れが検知されなくなると、その監視結果がボデーECU2aに入力される。これにより、ウォッシャ指示の制御信号やワイパモータへの制御信号が解除され、ウォッシャ噴射が終了となる。
【0065】
また、ドライバからの要求時や汚れ検知時にウォッシャ噴射が行われると、演算部31gにて、ウォッシャ液の使用量および日々の使用量の変化を示す推定線を算出する。そして、ウォッシャレベルセンサ20でウォッシャ液の残量が50%になったことが検出されると、演算部31gにて、ウォッシャ液の残量や使用期限というウォッシャ液の余裕を算出する。そして、ウォッシャ液の余裕を表示制御装置40に伝え、図示しない表示器を通じて表示することでドライバに報知する。
【0066】
具体的には、ウォッシャ制御装置30のマイコン31の各機能部が協働して図2に示すウォッシャ制御処理を行うようにしている。
【0067】
まず、ステップS100では、ウォッシャ駆動の指示が有ったか否かを判定する。ここでは、ボデーECU2aからウォッシャ指示の制御信号が入力されると、ウォッシャ駆動の指示があったと判定している。そして、ウォッシャ指示の制御信号が入力されるまでは本処理を繰り返し行う。
【0068】
ステップS100で肯定判定されるとステップS110に進み、ウォッシャ噴射を行う。すなわち、ウォッシャ指示の制御信号に基づいて、ウォッシャモータ12が正転もしくは逆転させられて、フロントウィンドシールド3もしくはリアウィンドシールド4にウォッシャ液が噴射される。また、ステップS120に進み、ウォッシャ噴射中のモータ回転数を算出する。さらに、ステップS130において、ウォッシャ駆動指示が終了したか否かを判定し、終了するまでステップS110、S120の処理を継続し、終了するとステップS140に進む。そして、ステップS140でウォッシャ噴射を停止する。
【0069】
この後、ステップS150に進み、噴射回数を1回インクリメントしたのち、ステップS160でウォッシャ液の1回当り使用量を算出する。具体的には、ステップS120で算出しておいたモータ回転数に基づいて今回のウォッシャ噴射によるウォッシャ液の1回当り使用量を算出している。次に、ステップS170に進み、ウォッシャ液の累積使用量を算出する。累積使用量については、1回当り使用量の累積値として算出することができ、日にちが変わる毎に累積使用量を算出すれば、日々の使用量についても算出できる。そして、ステップS180に進み、日々の使用量の変化を示す推定線を算出する。
【0070】
ここで、図3および図4を参照して日々の使用量の変化を示す推定線の算出方法について説明する。
【0071】
推定線は、図3中に一点鎖線で示したように、日々のウォッシャ噴射によるウォッシャ液の残量の変化を直線近似した線である。例えば、任意の日から連続する数日分のウォッシャの残量の低下量を算出し、それを直線近似することで算出する。日々のウォッシャ液の残量の変化については、任意の日のウォッシャ液の残量を基準値として、基準値から日々の使用量、つまり日にちが切り替わる毎に算出した累積使用量を差し引くことにより得ている。そして、任意の日からの日々のウォッシャ液の残量の変化を日々の推移としてプロットしていく。これにより、任意の日からの経過日数とウォッシャ液の残量との関係が判る。この関係に基づいて、直線近似によってウォッシャ液を任意の日からの経過日数とウォッシャ液の残量との関係の推定線を算出できる。
【0072】
図4は、例えば現時点から遡った1週間前を任意の日として、1週間のウォッシャ液の残量の変化に基づいて推定線を算出する場合を示している。この図に示すように、1週間毎の日々の使用量がハッチングを示した棒グラフのように表されたとすると、1週間におけるウォッシャ液の残量は図中のプロットに示したように変化する。この日々のウォッシャ液の残量のプロットに基づいて最小二乗法を用いて1週間毎のウォッシャ液の使用量をY=aX+bの一次方程式に近似すれば、推定線を算出できる。なお、一次方程式のうちのYはウォッシャ液の残量、Xは使用可能日数、a、bは直線近似したときに得られる係数や定数である。
【0073】
また、1週間毎に、同様の一次方程式の近似式を算出し、1週間毎に推定線を更新する。このようにすることで、より最新の情報に基づいて推定線を算出でき、より適切にウォッシャ液の使用期限を算出することが可能になる。勿論、1週間毎に推定線を更新するのではなく、移動平均のように、1日経過する毎に推定線を求めるのに使用する1週間分のプロットを1日ずらし、直近の1週間分のデータに基づいて推定線を毎日更新するようにしても良い。なお、本実施形態では、ウォッシャ液の残量が所定値より多い場合には、任意のウォッシャ液の残量を未だ把握することができないが、推定線の傾きについては求めることができる。このため、この後の処理においてウォッシャ液の残量が所定値になったことが検出されると即座に推定線に基づいて使用期限を算出することが可能となる。
【0074】
このようにして、推定線を算出したら、ステップS190に進み、ウォッシャ液の残量が所定値、ここでは50%以下になったか否かを判定する。上記したように、ウォッシャレベルセンサ20にてウォッシャ液の残量が50%になったことを検出できる。このため、ウォッシャレベルセンサ20でウォッシャ液の残量が50%になったことが検出された後は、本ステップで肯定判定される。
【0075】
そして、ステップS190で肯定判定されるとステップS200に進み、ウォッシャ液の残量を算出する。上記したステップS180では、任意の日のウォッシャ液の残量を仮に想定した基準値として推定線を算出している。しかしながら、ステップS190において、ウォッシャレベルセンサ20でウォッシャ液の残量が50%になったことが検出されたタイミングを把握できることから、そのときにウォッシャ液の残量が50%になったとして、そこからの使用量をウォッシャ液の残量50%から差し引くことでウォッシャ液の残量を随時算出できる。
【0076】
この後、ステップS210に進み、推定線を算出したときの日にちとそのときのウォッシャ液の残量および推定線に基づいて、今後のウォッシャ液の使用可能日数もしくは何月何日まで使用できるかという使用期限を算出する。すなわち、一次式で示される推定線における日数を表す軸の切片、図3で言えばX軸の切片を算出することで使用期限を求めることができる。推定線については、ウォッシャ液の残量が50%になる以前から算出しているため、ウォッシャ液の残量が50%になって直ぐのときにも使用期限を算出できる。このようにして、ウォッシャ液の余裕として、ウォッシャ液の残量や使用期限が算出される。そして、ステップS220に進み、ステップS210で算出されたウォッシャ液の余裕を表示器にて表示させるために、表示制御装置40との通信を行う。これにより、表示制御装置40が図示しない表示器を通じてウォッシャ液の余裕を表示する。
【0077】
以上説明したように、本実施形態のウォッシャ制御システム1によれば、ウォッシャ液の余裕、すなわちウォッシャ液の残量や使用期限をドライバに報知することができる。このため、ドライバにウォッシャ液の余裕を把握させられ、ウォッシャ液が枯渇する前にウォッシャ液の補充を促すことができる。したがって、ADASによる自動運転時の機能維持を図ることが可能となる。また、ウォッシャレベルセンサ20を複数備えることなく、簡素なシステム構成でウォッシャ液の余裕を把握することが可能となる。
【0078】
参考として、従来のウォッシャ制御システムの構成との比較について説明する。図5は、従来のウォッシャ制御システムにおいてウォッシャレベルセンサを1つ備えた場合の回路構成、図6は、図5の回路構成としたウォッシャ制御システムでのウォッシャ液の残量とそれを検出できるタイミングを説明する図である。また、図7は、従来のウォッシャ制御システムにおいてウォッシャレベルセンサを複数備えた場合の回路構成、図8は、図7の回路構成としたウォッシャ制御システムでのウォッシャ液の残量とそれを検出できるタイミングを説明する図である。
【0079】
図5および図7に示すように、従来のウォッシャ制御システムJ1も、ウォッシャモータJ2をウォッシャ制御装置J3で制御することでウォッシャ噴射を行っている。ウォッシャ制御装置J3には、マイコンJ31とスイッチ部J32が備えられ、マイコンJ31にてスイッチ部J32を制御することでウォッシャモータJ2を制御している。具体的には、スイッチ部J32は、第1トランジスタJ32aおよび第2トランジスタJ32bと、第1リレーJ32cおよび第2リレーJ32dを有した構成とされている。第1トランジスタJ32aをオン、第2トランジスタJ32bをオフにすると、第1リレーJ32cの可動接点が電源電位、第2リレーJ32dの可動接点が接地電位とされることでウォッシャモータJ2に図中上から下に向かう方向のモータ電流を流す。これにより、ウォッシャモータJ2が正転させられる。また、第1トランジスタJ32aをオフ、第2トランジスタJ32bをオンにすると、第1リレーJ32cの可動接点が接地電位、第2リレーJ32dの可動接点が電源電位とされることでウォッシャモータJ2に図中下から上に向かい方向のモータ電流を流す。これにより、ウォッシャモータJ2が逆転させられる。
【0080】
そして、図5に示すウォッシャ制御装置には、1つのウォッシャレベルセンサJ4からの検出結果が入力され、図6に示すウォッシャ制御装置には、複数個、ここでは5個のウォッシャレベルセンサJ4a~J4eからの検出結果が入力されるようになっている。
【0081】
図6の構成のウォッシャ制御システムの場合、図7に示すように、ウォッシャタンク内にウォッシャ液がフル状態となっている状態から低下してもウォッシャ液の残量を検出することはできず、ウォッシャレベルセンサJ4の検出結果が出たときにのみ検出できる。すなわち、ウォッシャレベルセンサJ4でウォッシャ液の残量を検出できたときには、ウォッシャ液が所定値、例えば0%になってしまっている。
【0082】
図7の構成のウォッシャ制御システムの場合も、図8に示すように、ウォッシャタンク内にウォッシャ液がフル状態となっている状態から低下してもウォッシャ液の残量をウォッシャレベルセンサJ4a~J4eの検出結果が出たときにのみ検出できる。すなわち、図5の構成と比較すれば、ウォッシャレベルセンサJ4a~J4eを複数個備えているため、ウォッシャ液の残量が複数の所定値になったことを段階的に検出できるものの、そのときにしか検出できない。
【0083】
このため、図5図7いずれの構成であっても、ウォッシャレベルセンサJ4、J4a~J4eが無いとウォッシャ液の残量を検出できないし、検出できるのもウォッシャレベルセンサJ4、J4a~J4eで設定されている値だけである。また、多段階でウォッシャ液の残量を検出できるようにするにはウォッシャレベルセンサJ4a~J4eを複数個備える必要があり、システムの部品点数増大を招くと共に、システムコストの増大を招くことになる。
【0084】
これに対し、本実施形態では、モータ電流値とモータ通電時間、換言すればウォッシャ液の噴出時間からウォッシャ液の使用量を算出し、ウォッシャ液の残量が所定値になってからの使用量を所定値から差し引くことでウォッシャ液の残量を推定している。このため、ウォッシャレベルセンサ20を複数備えることなく、簡素なシステム構成でウォッシャ液の余裕を把握することが可能となる。また、ウォッシャ液の使用期限を報知することで、ドライバにウォッシャ液の余裕を把握させられ、ウォッシャ液が枯渇する前にウォッシャ液の補充を促すことも可能となる。
【0085】
(第2実施形態)
第2実施形態について説明する。本実施形態は、第1実施形態に対してマイコン31で行っている処理を変更したものであり、その他については第1実施形態と同様であるため、第1実施形態と異なる部分についてのみ説明する。
【0086】
上記第1実施形態では、ウォッシャ液の残量が所定値、例えば50%になったことを検出し、そこからウォッシャ液の残量を算出するようにした。これに対して、本実施形態では、ウォッシャ液の残量をウォッシャタンク11がフルの状態から測定するようにし、ウォッシャレベルセンサ20によるウォッシャ液の残量が所定値になったことの検出結果については補正に用いる。
【0087】
具体的には、ウォッシャ液の残量が50%以上のときには、ウォッシャ液の残量をそのままウォッシャ液の余裕のデータとする。このときのウォッシャ液の残量については、許容限度液量からウォッシャ液の使用量を差し引くことによって算出することができる。これにより、ウォッシャ液の残量が50%以上のときには、ウォッシャ液の残量が常時ドライバに伝えられるようにする。
【0088】
また、ウォッシャレベルセンサ20にて、ウォッシャ液の残量が50%になったことが検出されたときには、演算部31gで算出されているウォッシャ液の残量について補正を行う。本実施形態の場合、演算部31gでウォッシャ液の残量を常時算出しているが、ここで算出されるウォッシャ液の残量は推定値であり、正しい値に対してずれが生じている可能性がある。これに対して、ウォッシャレベルセンサ20でのウォッシャ液の残量が50%になったことの検出精度は、演算部31gで算出される推定値よりも高い。このため、ウォッシャレベルセンサ20にて、ウォッシャ液の残量が50%になったことが検出されたときに、改めて演算部31gでもウォッシャ液の残量を50%に補正する。そして、演算部31gでは、これ以降にウォッシャ液の残量を算出する際に、補正後からのウォッシャ液の使用量分を差し引くことでウォッシャ液の残量を算出するようにする。
【0089】
このようにすることで、演算部31gによるウォッシャ液の残量の算出精度を高めることが可能となる。図9は、ウォッシャ液の残量が50%になったタイミングでウォッシャ液の残量の補正を行った場合のウォッシャ液の残量の変化を示した図である。この図に示されるように、許容限度液量からウォッシャ液の使用量を差し引いて算出されるウォッシャ液の残量が、ウォッシャレベルセンサ20でウォッシャ液の残量が50%になったと検出されたときに50%で無くても、ウォッシャ液の残量を50%に補正する。その後は、ウォッシャ液の残量が50%になってからのウォッシャ液の使用量分を50%から差し引くことで、より精度良くウォッシャ液の残量を算出できる。
【0090】
さらに、ウォッシャ液の残量が50%未満になった場合、ウォッシャ液の残量が0%になるまでにウォッシャ液があと何日間使用可能か、もしくは何月何日まで使用可能かなどの使用期限のデータをウォッシャ液の余裕に関するデータとする。使用期限については、第1実施形態で説明したように推定線を用いて算出すれば良い。勿論、このときにもウォッシャ液の残量そのもののデータについても、ウォッシャ液の余裕に関するデータとして含めることができる。
【0091】
このようにすることで、ドライバに対して、ウォッシャ液にまだ余裕があるときには残量を報知するだけとし、ウォッシャ液の残量が減ってきたときに、あとどのくらいウォッシャ液を使用可能かについても報知するという形態にできる。
【0092】
また、本実施形態ではウォッシャレベルセンサ20を1つ備えているが、ウォッシャレベルセンサ20を備えていなくてもウォッシャ液の残量を推定できる。このため、ウォッシャレベルセンサ20を1つも備えない構成とすればより簡素なシステム構成にできるし、逆に、ウォッシャレベルセンサ20を備える構成とすればウォッシャレベルセンサ20を1つ備えるだけでより精度良くウォッシャ液の残量が推定可能になる。
【0093】
なお、ウォッシャ液がフル状態であることについては、例えば、ドライバなどがウォッシャ液を任意に補充したときに、再び表示制御装置40が制御する図示しないタッチパネルディスプレイを通じて入力され、そのときにウォッシャ液の残量が100%に更新される。勿論、表示器とは別に、入力スイッチを設けておき、その入力スイッチを通じてウォッシャ液の補充が行われたことが入力されるようにしても良い。
【0094】
(他の実施形態)
本開示は、上記した実施形態に準拠して記述されたが、当該実施形態に限定されるものではなく、様々な変形例や均等範囲内の変形をも包含する。加えて、様々な組み合わせや形態、さらには、それらに一要素のみ、それ以上、あるいはそれ以下、を含む他の組み合わせや形態をも、本開示の範疇や思想範囲に入るものである。
【0095】
例えば、上記実施形態では、状況監視装置5での機能の低下を抑制するために、フロントワイパ3aもしくはリアワイパ4aを駆動してフロントウィンドシールド3やリアウィンドシールド4の汚れを拭き取るようにしている。しかしながら、これは状況監視装置5での機能の低下を抑制するための一形態を示したのであり、ウォッシャ液の噴射によって汚れを除去するものであれば、どのような形態であっても良い。
【0096】
一例を挙げると、状況監視装置5に直接汚れが付着するような場合、ウォッシャ液が状況監視装置5に直接噴射されるようにすることで汚れを除去しても良い。なお、状況監視装置5は、各種カメラやセンサ類などによって構成されているが、カメラであればレンズ部、センサ類であればセンシング部に汚れが付着するとADASに関わる機能が低下する恐れがある。その場合、ウォッシャ噴出器13の噴出口を、それらレンズ部やセンシング部などに向けることで汚れが適切に洗浄されるようにできる。
【0097】
また、図1では、スイッチ部32やウォッシャモータ12を1個ずつしか記載していないが、汚れが付着する対象の個数、つまりADASでの自動運転に関わる状況監視装置5の数に対応した個数、スイッチ部32やウォッシャモータ12を備えることができる。そして、ウォッシャ制御装置30は、汚れが検知されて洗浄する必要がある状況監視装置5と対応するウォッシャモータ12を駆動することで、汚れた状況監視装置5を洗浄して汚れを除去することができる。
【0098】
上記第2各実施形態では、ウォッシャ液の残量が所定値以下になった場合にウォッシャの残量に加えてウォッシャ液の使用期限を算出するようにした。しかしながら、これも一例を示したに過ぎず、例えばウォッシャ液の残量に関わらずウォッシャ液の使用期限を算出しても良い。また、ウォッシャ液の余裕としては、少なくとも残量を算出していれば良く、使用期限については任意である。
【0099】
また、上記各実施形態では、ドライバに対してウォッシャ液の余裕を報知する場合について説明したが、ドライバ不在で自動運転を行う完全自動運転であっても良い。その場合、ドライバへの報知ではなく、他の車載ECUにウォッシャ液の余裕を伝えるようにしても良い。例えば、完全自動運転を行う場合には、ADASの自動運転に関わる車載ECUに対してウォッシャ液の余裕を伝えることが考えられる。これにより、例えばウォッシャ液の余裕がないときには、車載ECUにおいて、完全自動運転が実施されないようにするなどの処置が取られるようにし、完全自動運転の前に車両の所有者にウォッシャ液の補充を促す報知が行われるようにすることができる。
【0100】
また、上記実施形態では、ボデーECU2aを介してウォッシャ指示が行われる形態について説明したが、ボデーECU2aを介さずに、もしくは他のECUを介してウォッシャ指示が行われる形態であっても構わない。
【0101】
本開示に記載の制御部及びその手法は、コンピュータプログラムにより具体化された一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサ及びメモリーを構成することによって提供された専用コンピュータにより、実現されてもよい。あるいは、本開示に記載の制御部及びその手法は、一つ以上の専用ハードウエア論理回路によってプロセッサを構成することによって提供された専用コンピュータにより、実現されてもよい。もしくは、本開示に記載の制御部及びその手法は、一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサ及びメモリーと一つ以上のハードウエア論理回路によって構成されたプロセッサとの組み合わせにより構成された一つ以上の専用コンピュータにより、実現されてもよい。また、コンピュータプログラムは、コンピュータにより実行されるインストラクションとして、コンピュータ読み取り可能な非遷移有形記録媒体に記憶されていてもよい。
【符号の説明】
【0102】
1…ウォッシャ制御システム、2…ワイパ制御システム、2a…ボデーECU、2b…フロントワイパスイッチ、2c…リアワイパスイッチ、2d…フロントウォッシャスイッチ、2e…リアウォッシャスイッチ、3…フロントウィンドシールド、3a…フロントワイパ、4…リアウィンドシールド、4a…リアワイパ、5…状況監視装置、6…監視部、6a…フロント監視部、6b…リア監視部、10…ウォッシャ装置、11…ウォッシャタンク、12…ウォッシャモータ、13…ウォッシャ噴出器、13a…フロント噴出器、13b…リア噴出器、20…ウォッシャレベルセンサ、30…ウォッシャ制御装置、31…マイコン、31a…液量検出部、31b…日時取得部、31c…ウォッシャ液余裕通知部、31d…電流モニタ部、31e…噴射時間計数部、31f…噴射回数計数部、31g…演算部、32…スイッチ部、40…表示制御装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9