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特開2022-131406モデル学習装置、モデル学習方法、およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022131406
(43)【公開日】2022-09-07
(54)【発明の名称】モデル学習装置、モデル学習方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06N 20/00 20190101AFI20220831BHJP
【FI】
G06N20/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021030341
(22)【出願日】2021-02-26
(71)【出願人】
【識別番号】000232254
【氏名又は名称】日本電気通信システム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109313
【弁理士】
【氏名又は名称】机 昌彦
(74)【代理人】
【識別番号】100149618
【弁理士】
【氏名又は名称】北嶋 啓至
(72)【発明者】
【氏名】石川 竜児
(72)【発明者】
【氏名】井口 省吾
(57)【要約】      (修正有)
【課題】ユーザの要望に応じて、AIのモデルを修正可能にするモデル学習装置、モデル学習方法およびプログラムを提供する。
【解決手段】ユーザ端末、家電製品及びサーバを備えているシステムにおいて、モデル学習装置10は、学習データセットを用いて学習されたモデルによる予測の要因を検索する検索部11と、予測の要因を提示して、モデルを再学習することの要否を確認する確認部12と、予測の要因に基づいて、学習データセットを再構成する構成部13と、再構成された学習データセットを用いて、モデルを再学習する学習部14、を含む。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
学習データセットを用いて学習されたモデルによる予測の要因を検索する検索手段と、
前記予測の要因を提示して、前記モデルを再学習することの要否を確認する確認手段と、
前記予測の要因に基づいて、前記学習データセットを再構成する構成手段と、
前記再構成された学習データセットを用いて、前記モデルを再学習する学習手段と、
を備えたモデル学習装置。
【請求項2】
前記確認手段は、前記予測の要因である学習データを提示する
ことを特徴とする請求項1に記載のモデル学習装置。
【請求項3】
前記学習手段は、装置が搭載したモデルを更新することについての確証を得たのち、再学習した前記モデルを前記装置に適用する
ことを特徴とする請求項1または2に記載のモデル学習装置。
【請求項4】
前記予測の要因に関する説明のテキストデータを生成する出力手段をさらに備えた
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のモデル学習装置。
【請求項5】
前記出力手段は、前記予測の要因に関する説明の要求に応じて、前記予測の要因に関する説明のテキストデータを生成する
ことを特徴とする請求項4に記載のモデル学習装置。
【請求項6】
前記構成手段は、前記予測の要因となる学習データを除いて、前記学習データセットを構成する
ことを特徴とする請求項4または5に記載のモデル学習装置。
【請求項7】
前記モデルを再学習するための学習データを入力することを受け付ける受付手段をさらに備えた
ことを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載のモデル学習装置。
【請求項8】
前記構成手段は、入力された学習データを含めて、前記学習データセットを構成する
ことを特徴とする請求項7に記載のモデル学習装置。
【請求項9】
学習データセットを用いて学習されたモデルによる予測の要因を検索し、
前記予測の要因を提示して、前記モデルを再学習することの要否を確認し、
前記予測の要因に基づいて、前記学習データセットを再構成し、
前記再構成された学習データセットを用いて、前記モデルを再学習する
モデル学習方法。
【請求項10】
学習データセットを用いて学習されたモデルによる予測の要因を検索することと、
前記予測の要因を提示して、前記モデルを再学習することの要否を確認することと、
前記予測の要因に基づいて、前記学習データセットを再構成することと、
前記再構成された学習データセットを用いて、前記モデルを再学習することと
をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モデル学習装置、モデル学習方法、およびプログラムに関し、特に、教師ありの機械学習により、モデルを学習するモデル学習装置、モデル学習方法、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、スマートスピーカ、ペットロボットおよびロボット掃除機など、プログラムによって与えられた判断基準および行動パターンに基づいて作動する様々な家電製品が開発されている。これらの家電製品は、AI(Artificial Intelligence)家電、あるいは、AIを搭載した家電製品とも呼ばれる。AIを搭載した家電製品の高度な機能は、機械学習によって作成されたプログラム(学習済モデルあるいは単にモデルと呼ばれる)をプロセッサが読み込んで実行することによって提供される。例えば、AIのモデルは、CNN(Convolutional Neural Network)などのニューラルネットワークで構築される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-30738号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般消費者向けの汎用の家電製品の動作は、ユーザ固有の要望に必ずしもマッチしない。
【0005】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、ユーザの要望に応じて、AIのモデルを修正可能にすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係わるモデル学習装置は、学習データセットを用いて学習されたモデルによる予測の要因を検索する検索手段と、前記予測の要因を提示して、前記モデルを再学習することの要否を確認する確認手段と、前記予測の要因に基づいて、前記学習データセットを再構成する構成手段と、前記再構成された学習データセットを用いて、前記モデルを再学習する学習手段と、を備えている。
【0007】
本発明の一態様に係わるモデル学習方法は、学習データセットを用いて学習されたモデルによる予測の要因を検索し、前記予測の要因を提示して、前記モデルを再学習することの要否を確認し、前記予測の要因に基づいて、前記学習データセットを再構成し、前記再構成された学習データセットを用いて、前記モデルを再学習する。
【0008】
本発明の一態様に係わるプログラムは、学習データセットを用いて学習されたモデルによる予測の要因を検索することと、前記予測の要因を提示して、前記モデルを再学習することの要否を確認することと、前記予測の要因に基づいて、前記学習データセットを再構成することと、前記再構成された学習データセットを用いて、前記モデルを再学習することとをコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0009】
本発明の一態様によれば、ユーザの要望に応じて、AIのモデルを修正可能である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】全ての実施形態に係わるモデル学習装置を適用されるシステムの構成を概略的に示す図である。
図2】実施形態1に係わるモデル学習装置の構成を示すブロック図である。
図3】実施形態1に係わるモデル学習装置の動作の一例を示すフローチャートである。
図4】実施形態1に係わるモデル学習装置による予測の要因の探索の一例を示す図である。
図5】実施形態2に係わるモデル学習装置の構成を示すブロック図である。
図6】実施形態2に係わるモデル学習装置を備えたシステムの各要素が実行する処理の流れを示すシーケンス図である。
図7】実施形態3に係わるモデル学習装置の構成を示すブロック図である。
図8】実施形態3に係わるモデル学習装置を備えたシステムの各要素が実行する処理の流れを示すシーケンス図である。
図9】実施形態3に係わるモデル学習装置を備えたシステムにおいて、ユーザが学習データを入力するために行う、ユーザ端末に対する操作の一例を示す図である。
図10】全ての実施形態に係わるモデル学習装置を適用されるシステムの構成を概略的に示す図である。
図11図1または図10に示すシステムが備えたユーザ端末のハードウェア構成の一例を示す図である。
図12】実施形態1~3に係わるモデル学習装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(全ての実施形態に共通)
まず、全ての実施形態に共通するシステムの構成の一例を説明する。
【0012】
(システム1)
図1は、後述する実施形態1~3に係わるモデル学習装置10,20,30のいずれかが適用されるシステム1の構成の一例を概略的に示す。図1に示すように、システム1は、ユーザ端末100、家電製品200、及びサーバ300を備えている。ユーザ端末100、家電製品200、およびサーバ300は、無線通信ネットワークを介して、互いに接続されている。以下の説明において、例えば、ユーザ端末100および家電製品200は、ユーザの自宅内にあり、サーバ300は、ネットワーク上に配置されているとする。
【0013】
ユーザ端末100は、ユーザが所持する情報デバイスである。例えば、ユーザ端末100は、スマートフォンまたはタブレット端末である。ユーザ端末100は、Wi-Fi(登録商標)あるいはBluetooth(登録商標)などの無線通信技術により、家電製品200と接続する。
【0014】
ユーザ端末100には、家電製品200を遠隔操作するためのアプリケーションがインストールされている。ユーザは、家電製品200への指示をアプリケーションのUI(User Interface)に入力することにより、ユーザ端末100から家電製品200へ、指示コマンドが送信される。これにより、ユーザは、ユーザ端末100を用いて、家電製品200を遠隔操作することができる。
【0015】
また、ユーザ端末100は、実施形態1~3において詳述するように、家電製品200の動作を改善することの要望を、家電製品200またはサーバ300へ送信するために利用される。
【0016】
家電製品200は、プログラムによって与えられた判断基準および行動パターンに基づいて作動する、一般消費者向けの機器あるいはデバイスである。家電製品200は、いわゆるAI家電である。一例では、家電製品200は、自宅内の様々な障害物を回避しながら、自走して、床の清掃を行う機能を備えたロボット掃除機である。
【0017】
後述の実施形態1~3においては、家電製品200がロボット掃除機であることを想定する。しかしながら、家電製品200は、ロボット掃除機に限定されない。他の例では、家電製品200は、ペットロボット、コミュニケーションロボット、または小型のドローンであってもよい。あるいは、システム1は、家電製品200に替えて、AIを搭載した任意の電子機器を備えていてもよい。一例では、システム1は、家電製品200の代わりに、顔認証や虹彩認証等を実施する生体認証装置、または状況/状態の予測を行う推定装置を備えていてもよい。この場合、以下の説明において、「家電製品200」を「電子機器」または「生体認証装置」または「推定装置」と読み替えられる。
【0018】
サーバ300は、インターネット、ローカルネット、あるいはその中間規模のネットワーク上で構築されている。サーバ300は、オンプレミスであってもよいし、クラウドサーバであってもよい。定期的または非定期的に、サーバ300は、ネットワークを介して、更新プログラムなどの各種データを、家電製品200に送信する。
【0019】
また、サーバ300は、家電製品200の判断基準及び行動パターンを規定するAIのモデルを作成して、作成したモデルを家電製品200へ送信する。ここで、AIのモデルとは、家電製品200のコンピュータが予測、推論、分類、最適化、理解、または認識などの高度な判断を実行するためのプログラムであり、大量の学習データを機械学習することによって、作成する。例えば、ロボット掃除機は、自宅の床に散らばった障害物を認識し、衝突を予測することによって、障害物を回避するように動輪のモータを制御する。これにより、ロボット掃除機は、単純な直線移動だけではなく、1つの部屋あるいは家の全体を清掃(スウィープ)しながら移動する。
【0020】
〔実施形態1〕
図2図4を参照して、実施形態1について説明する。
【0021】
(モデル学習装置10)
図2を参照して、実施形態1に係わるモデル学習装置10の構成を説明する。図2は、モデル学習装置10の構成を示すブロック図である。一例では、以下で説明するモデル学習装置10の各機能は、サーバ300によって実現される。しかしながら、モデル学習装置10の機能の一部または全部は、サーバ300の代わりに、家電製品200の制御部によって実現されてもよい。
【0022】
図2に示すように、モデル学習装置10は、検索部11、確認部12、構成部13、及び学習部14を備えている。
【0023】
検索部11は、学習データセットを用いて学習されたモデルによる予測の要因を検索する。モデルは、例えば、図示しない学習データベースに格納された学習データセットを用いて学習されたもので、例えば、家電製品200に搭載されているAIのソフトウェアである。学習データベースは、サーバ300または家電製品200に備えられる。学習データベースは、モデル学習装置10が通信可能な他の装置に備えられてもよい。検索部11は、検索手段の一例である。
【0024】
一例では、検索部11は、感度分析の手法を用いる。一般的に、感度分析では、ある事象(パラメータ)の変化が、結果(関数)に与える影響の大きさを測定する。ここでは、検索部11は、モデルの学習のために利用される学習データの変化が、予測(例えば、クラス分類)に与える影響の大きさを測定する。そのため、予測に与える影響の大きさを表す指標として、影響関数を利用する。影響関数は、テストデータを用いた予測の正確さ(スコア)を表す。
【0025】
検索部11は、影響関数の各パラメータをそれぞれ変化させたときの影響関数の値の変化を定量的に計算する。そして、検索部11は、図示しない学習データベースに格納された学習データセットの中から、モデルによる予測に対して大きい影響を与える学習データ(すなわち、予測の要因)を探索する。影響関数の各パラメータは、学習データセットを構成する学習データと1対1で対応する。一例では、大きい影響を与える学習データとは、その学習データの有無による影響関数の値の変化が、閾値以上であるものである。なお、モデルによる予測に対して大きい影響を与える学習データ(すなわち、予測の要因)を探索する手法の一例を、後で説明する(図4)。
【0026】
検索部11は、モデルによる予測に対して大きい影響を与える学習データを示す情報を、確認部12および構成部13のそれぞれへ出力する。
【0027】
確認部12は、予測の要因を提示して、モデルを再学習することの要否を確認する。確認部12は、確認手段の一例である。ここでの提示とは、五感を通じて情報を知得させることを意味する。具体的には、確認部12は、文字、記号、数字、デザイン、音声、発光、および振動のいずれか又はその組み合わせて提示する手段により、予測の要因を明示する。
【0028】
一例では、確認部12は、検索部11から、モデルによる予測に対して大きい影響を与える学習データを示す情報を受信する。確認部12は、モデルによる予測に対して大きい影響を与える学習データを、予測の要因として、上述した手段で提示する。例えば、確認部12は、予測の要因である学習データを、ユーザ端末100の画面に表示させる。そして、確認部12は、再学習の要否を尋ねるメッセージを、ユーザ端末100へ送信する。また、確認部12は、再学習の要否の確認に対する応答の要求を、ユーザ端末100へ送信する。確認部12は、ユーザ端末100から、再学習が必要であるとの応答を受信した場合、構成部13へ、学習データセットを再構成するように指示する。
【0029】
構成部13は、予測の要因に基づいて、学習データセットを再構成する。一例では、構成部13は、再学習の要否の確認に対する応答の受信に起因して、学習データセットを再構成する。構成部13は、構成手段の一例である。
【0030】
一例では、構成部13は、確認部12から、学習データセットを再構成するようにとの指示を受信した場合、検索部11から、モデルによる予測に対して大きい影響を与える学習データを示す情報を受信する。構成部13は、図示しない学習データベースに格納された学習データセットの中から、モデルによる予測に対して大きい影響を与える学習データを排除する。
【0031】
その後、構成部13は、残りの学習データの中から、任意の手法で、モデルの再学習のための学習データセットを構成する学習データを選択する。例えば、構成部13は、残りの学習データをすべて選択してもよいし、残りの学習データの中から、所定数の学習データをランダムに選択してもよい。
【0032】
構成部13は、学習データベースから選択した学習データによって、モデルの再学習のための学習データセットを再構成する。そして、構成部13は、このようにして再構成された学習データセットを、学習部14へ出力する。
【0033】
学習部14は、再構成された学習データセットを用いて、モデルを再学習する。学習部14は、学習手段の一例である。
【0034】
一例では、学習部14は、構成部13から、再構成された学習データセットを受信する。学習部14は、再構成された学習データセットをモデルに適用することによって、モデルを再学習する。再学習の手法は、ディープラーニング等の機械学習である。
【0035】
(モデル学習装置10の動作)
図3を参照して、本実施形態1に係わるモデル学習装置10の動作を説明する。図3は、モデル学習装置10の各部が実行する処理の流れを示すフローチャートである。ここでは、モデル学習装置10の各部に対応する機能は、システム1(図1)のサーバ300によって実現されるとする。
【0036】
一例では、モデル学習装置10は、ユーザ端末100から、家電製品200の動作改善の要求を受信した後、以下において説明する動作を開始する。
【0037】
図3に示すように、まず、検索部11は、学習データセットを用いて学習されたモデルによる予測の要因を検索する(S1)。
【0038】
ここでの予測の要因は、モデルの学習のために使用された学習データのうち、特に、モデルによる予測に対して大きい影響を与える学習データである。検索部11は、モデルによる予測に対して大きい影響を与える学習データを示す情報を、確認部12および構成部13のそれぞれへ出力する。
【0039】
次に、確認部12は、予測の要因を提示して、モデルを再学習することの要否を確認する(S2)。一例では、確認部12は、再学習の要否を尋ねるメッセージを、ユーザ端末100へ送信する。また、確認部12は、再学習の要否の確認に対する応答の要求を、ユーザ端末100へ送信する。
【0040】
構成部13は、再学習の要否の確認に対する応答をユーザ端末100から受信する。ユーザ端末100から、再学習は不要との応答を受信した場合(S3-1でNo)、モデル学習装置10の動作は終了する。
【0041】
一方、ユーザ端末100から、再学習の要望を受信した場合(S3-1でYes)、構成部13は、予測の要因に基づいて、学習データセットを再構成する(S3-2)。一例では、構成部13は、学習データベースに格納された学習データセットから、モデルによる予測に対して大きい影響を与える学習データを排除することによって、再学習のための学習データセットを再構成する。
【0042】
そして、構成部13は、再構成された学習データセットを学習部14へ出力する。
【0043】
最後に、学習部14は、再構成された学習データセットを用いて、モデルを再学習する(S4)。言い換えれば、学習部14は、再学習したモデルを家電製品200に適用することで、モデルを更新する。
【0044】
以上で、本実施形態1に係わるモデル学習装置10の動作は終了する。
【0045】
(変形例)
一変形例では、学習部14は、再学習したモデルを家電製品200に適用する前に、家電製品200に搭載したAIのモデルを更新することをユーザに確認する。一例では、学習部14は、家電製品200に搭載したAIのモデルを更新することの可否を確認するメッセージを、サーバ300からユーザ端末100へ送信し、ユーザ端末100の画面にメッセージを表示させる。
【0046】
加えて、学習部14は、家電製品200が搭載したモデルを更新することについての確証を得たのち、再学習したモデルを家電製品200に適用する。まず、学習部14は、確証の入力をユーザ端末100が受け付けることを、ユーザ端末100に対して要求する。学習部14は、ユーザ端末100へ入力された確証を、ユーザ端末100から受信したのち、再学習したモデルを家電製品200に適用する。具体的には、学習部14は、家電製品200の補助記憶装置230(図11)に格納されたモデルを、再学習したモデルによって置換する。
【0047】
一方、学習部14が、家電製品200に搭載したAIのモデルを更新することは不可であるとの応答を、ユーザ端末100から受信した場合、モデル学習装置10は、上述したステップS1(図3)からの処理を繰り返す。
【0048】
(予測の要因の探索の一例)
図4を参照して、検索部11が、モデルによる予測に対して大きい影響を与える学習データ(すなわち、予測の要因)を探索する手法の一例を説明する。
【0049】
図4に示す表では、学習データベースに格納された学習データの一覧を左列に示す。同じ表の真ん中の列および右列は、対応する左列の学習データが特定の予測(図4では予測A,B)に対して与える影響の大きさ(以下、影響度と呼ぶ)を示す。言い換えれば、左列の学習データの有無が、AIのモデルによる予測を変化させる可能性の高さを表す。影響度のパラメータは、上述した影響関数の値である。予測Aと予測Bは、互いに異なる内容を表す。例えば、予測Aは物体をクラスaとそれ以外に分類することであり、予測Bは物体をクラスbとそれ以外とに分類することである。
【0050】
図4に示す表では、予測Aに対する影響度の降順に学習データを並べている。したがって、表の左列において、上側にある学習データほど、予測Aに対する影響度が大きい。例えば、検索部11は、予測Aの要因を3つ探索するとする。この場合、検索部11は、予測Aに対する影響度の大きさに基づいて、図4において枠で囲んだ3つの学習データを、学習データベースに格納された学習データの一覧から探索する。
【0051】
(本実施形態の効果)
一般消費者向けの汎用の家電製品の動作は、ユーザ固有の要望に必ずしもマッチしない。関連する技術は、ユーザの要望に応じて、AIのモデルを修正することができない。
【0052】
本実施形態の構成によれば、検索部11は、学習データセットを用いて学習されたモデルによる予測の要因を検索する。確認部12は、予測の要因を提示して、モデルを再学習することの要否を確認する。構成部13は、予測の要因に基づいて、学習データセットを再構成する。学習部14は、再構成された学習データセットを用いて、モデルを再学習する。AIのモデルの再学習が行われる前に、予測の要因が提示されるとともに、再学習の要否が確認される。そのため、ユーザは、再学習を実行すべきかどうかを判断することができる。これにより、ユーザの要望に応じて、AIのモデルを修正することができる。
【0053】
〔実施形態2〕
図5図6を参照して、実施形態2について説明する。本実施形態2では、前記実施形態1で説明したモデル学習装置10(図2)とは異なる構成を備えたモデル学習装置20について説明する。本実施形態2に係るモデル学習装置20は、上述のシステム1(図1)に適用される。一例では、以下で説明するモデル学習装置20の各機能は、サーバ300によって実現される。しかしながら、モデル学習装置20の機能の一部または全部は、サーバ300の代わりに、家電製品200の制御部によって実現されてもよい。
【0054】
本実施形態2では、モデル学習装置20がモデル学習装置10と共通して備えた構成に関し、前記実施形態1での説明を引用する。
【0055】
(モデル学習装置20)
図5を参照して、実施形態2に係わるモデル学習装置20の構成を説明する。図5は、モデル学習装置20の構成を示すブロック図である。以下で説明するモデル学習装置20の各機能は、サーバ300および家電製品200によって分担される。しかしながら、モデル学習装置10の機能の全部は、家電製品200の制御部のみによって実現されてもよい。
【0056】
図5に示すように、モデル学習装置20は、検索部11、確認部12、構成部13、及び学習部14を備えている。また、モデル学習装置20は、出力部25をさらに備えている。
【0057】
出力部25は、予測の要因に関する説明のテキストデータを生成する。出力部25は、出力手段の一例である。
【0058】
一例では、出力部25は、検索部11から、モデルによる予測に対して大きい影響を与える学習データを示す情報を受信する。出力部25は、予測に対して大きい影響を与える学習データが予測の要因であることを説明するテキストデータを生成する。
【0059】
例えば、出力部25は、機械学習されたテキスト生成モデルを利用してもよい。具体的には、出力部25は、テキスト生成モデルに対し、予測に対して大きい影響を与える学習データを示す情報を入力する。テキスト生成モデルは、入力された情報に基づいて、予測の要因を説明するテキストデータを出力する。出力部25は、テキスト生成モデルが出力したテキストデータを取得する。
【0060】
あるいは、他の例では、出力部25は、予めメモリに準備されたテンプレートを用いて、予測に対して大きい影響を与える学習データを示す情報から、予測の要因を説明するテキストデータを生成してもよい。
【0061】
出力部25は、このように生成したテキストデータを、家電製品200へ送信する。出力部25は、送信したテキストデータから音声データへ変換するように、家電製品200の音声制御部(例えば、オーディオドライバ、サウンドカード、DA変換回路)(図示せず)に指示する。そして、出力部25は、テキストデータから変換した音声データを、家電製品200のスピーカから出力させる。その後、出力部25は、予測の要因の説明が完了したことを、確認部12へ通知する。
【0062】
本実施形態2において、確認部12は、出力部25からの通知をトリガ―として、再学習の要否の確認を実行する。すなわち、出力部25が予測の要因の説明を完了したのち、確認部12は、ユーザ端末100に対して、再学習の要否を確認するメッセージを送信する。そのため、ユーザは、予測の要因を理解したうえで、モデルの再学習を実行すべきか否かを判断することができる。また、確認部12は、ユーザ端末100から、再学習が必要であるとの応答を受信した場合、構成部13へ、学習データセットを再構成するように指示する。構成部13は、前記実施形態1と同様に、確認部12から、学習データセットを再構成するようにとの指示を受信した場合、検索部11から、モデルによる予測に対して大きい影響を与える学習データを示す情報を受信する。
【0063】
(システム1の動作)
図6を参照して、本実施形態2に係わるモデル学習装置20を備えたシステム1(図1)の動作の一例を説明する。図6は、本実施形態2に係わるシステム1の各部が実行する処理の流れを示すシーケンス図である。ここでは、モデル学習装置20の各部に対応する機能は、サーバ300によって実現されるとする。
【0064】
図6に示すように、まず、ユーザ端末100は、サーバ300に対して、家電製品200の動作(予測に対応する)に関する説明を要求する(S21)。ユーザは、要求の内容をユーザ端末100に入力する。ユーザが、ユーザ端末100に要求の内容を入力したのち、ユーザ端末100からサーバ300へ、家電製品の動作に関する説明の要求が送信される。
【0065】
次に、モデル学習装置20の検索部11は、学習データセットを用いて学習されたモデルによる予測の要因を検索する(S22)。ここでの予測の要因は、モデルの学習のために使用された学習データのうち、特に、モデルによる予測に対して大きい影響を与える学習データである。
【0066】
検索部11は、モデルによる予測に対して大きい影響を与える学習データを示す情報を、確認部12および構成部13のそれぞれへ出力する。加えて、検索部11は、モデルによる予測に対して大きい影響を与える学習データを示す情報を、出力部25にも出力する。
【0067】
出力部25は、予測に対して大きい影響を与える学習データが予測の要因であることを説明するテキストデータを生成する(S23)。出力部25は、生成したテキストデータを家電製品200へ送信する。また、出力部25は、家電製品200のスピーカから、テキストデータから復元した音声を出力させる。出力部25は、予測の要因の説明が完了したことを、確認部12へ通知する。
【0068】
家電製品200は、確認部12からテキストデータを受信する。家電製品200の制御部(図示せず)は、確認部12からの指示により、テキストデータを音声データへ変換する。そして、家電製品200の制御部は、スピーカから音声を出力する(S24)。
【0069】
確認部12は、出力部25から、予測の要因の説明が完了したことを通知される。その後、確認部12は、予測の要因を提示して、モデルを再学習することの要否を確認する(S25)。一例では、確認部12は、再学習の要否を尋ねるメッセージを、ユーザ端末100へ送信する。また、確認部12は、メッセージに対する応答の要求を、ユーザ端末100へ送信する。
【0070】
ユーザは、再学習の要望の有無を、ユーザ端末100に入力する。ここでは、ユーザは、再学習を要望したとする。ユーザ端末100は、再学習の要望を、メッセージに対する応答として、サーバ300へ送信する(S26)。
【0071】
確認部12は、メッセージに対する応答をユーザ端末100から受信する。確認部12は、構成部13へ、学習データセットを再構成するように指示する。構成部13は、確認部12から、学習データセットを再構成するようにとの指示を受信した場合、予測の要因に基づいて、学習データセットを再構成する(S27)。そして、構成部13は、再構成された学習データセットを学習部14へ出力する。
【0072】
学習部14は、再構成された学習データセットを用いて、モデルを再学習する(S28)。その後、学習部14は、再学習したモデルを家電製品200に適用する。すなわち、学習部14は、家電製品200が搭載したAIのモデルを、再学習したモデルによって更新する。
【0073】
一変形例では、学習部14は、前記実施形態1で説明した変形例と同様に、再学習したモデルを家電製品200に適用する前に、家電製品200に搭載したAIのモデルを更新することをユーザに確認する。学習部14は、ユーザ端末100へ入力された確証を、ユーザ端末100から受信したのち、再学習したモデルを家電製品200に適用する。
【0074】
以上で、本実施形態2に係わるモデル学習装置20を備えたシステム1の動作は終了する。
【0075】
(本実施形態の効果)
一般消費者向けの汎用の家電製品の動作は、ユーザ固有の要望に必ずしもマッチしない。関連する技術は、ユーザの要望に応じて、AIのモデルを修正することができない。
【0076】
本実施形態の構成によれば、検索部11は、学習データセットを用いて学習されたモデルによる予測の要因を検索する。確認部12は、予測の要因を提示して、モデルを再学習することの要否を確認する。構成部13は、予測の要因に基づいて、学習データセットを再構成する。学習部14は、再構成された学習データセットを用いて、モデルを再学習する。AIのモデルの再学習が行われる前に、予測の要因が提示されるとともに、再学習の要否が確認される。そのため、ユーザは、再学習を実行すべきかどうかを判断することができる。これにより、ユーザの要望に応じて、AIのモデルを修正することができる。
【0077】
さらに、本実施形態の構成によれば、出力部25は、予測の要因に関する説明のテキストデータを生成する。予測の要因に関する説明のテキストデータは、任意の形態、たとえば、音声データに変換されたうえで、出力される。これにより、ユーザは、予測の要因を理解することができるので、AIのモデルを再学習させるべきか否かをより適切に判断することができる。
【0078】
〔実施形態3〕
図7図9を参照して、実施形態3について説明する。AIのモデルを修正(更新)することによって、ユーザの思い通りに家電製品をカスタマイズする強い需要が存在する。しかしながら、個々の家電製品のカスタマイズに完全に対応できるほど、データサイエンティストやAI技術者などの専門家の数は十分ではないし、また、その対応に掛かるコストも膨大になる。本実施形態3では、この課題を解決する手段の一例を説明する。
【0079】
本実施形態3では、前記実施形態1で説明したモデル学習装置10(図2)、および前記実施形態2で説明したモデル学習装置20(図5)のどちらとも異なる構成を備えたモデル学習装置30について説明する。本実施形態3に係るモデル学習装置30は、上述のシステム1(図1)に適用される。一例では、以下で説明するモデル学習装置30の各機能は、サーバ300によって実現される。しかしながら、モデル学習装置30の機能の一部または全部は、サーバ300の代わりに、家電製品200の制御部によって実現されてもよい。
【0080】
本実施形態3では、モデル学習装置30がモデル学習装置10と共通して備えた構成に関し、前記実施形態1での説明を引用する。
【0081】
(モデル学習装置30)
図7を参照して、実施形態3に係わるモデル学習装置30の構成を説明する。図7は、モデル学習装置30の構成を示すブロック図である。以下で説明するモデル学習装置30の各機能は、サーバ300によって実現される。しかしながら、モデル学習装置30の機能の一部または全部は、サーバ300の代わりに、家電製品200の制御部によって実現されてもよい。
【0082】
図7に示すように、モデル学習装置30は、検索部11、確認部12、構成部13、及び学習部14を備えている。また、モデル学習装置30は、出力部25および受付部36をさらに備えている。
【0083】
出力部25は、予測の要因に関する説明のテキストデータを生成する。出力部25は、出力手段の一例である。
【0084】
一例では、出力部25は、検索部11から、モデルによる予測に対して大きい影響を与える学習データを示す情報を受信する。出力部25は、予測に対して大きい影響を与える学習データが予測の要因であることを説明するテキストデータを生成する。
【0085】
例えば、出力部25は、機械学習されたテキスト生成モデルを利用してもよい。具体的には、出力部25は、テキスト生成モデルに対し、予測に対して大きい影響を与える学習データを示す情報を入力する。テキスト生成モデルは、予測の要因を説明するテキストデータを出力する。その後、出力部25は、テキスト生成モデルが出力したテキストデータを取得する。
【0086】
あるいは、他の例では、出力部25は、予めメモリに準備されたテンプレートを用いて、予測の要因を説明するテキストデータを生成してもよい。
【0087】
受付部36は、モデルを再学習するための学習データを入力することを受け付ける。受付部36は、受付手段の一例である。
【0088】
一例では、受付部36は、学習データの入力を受け付けることを知らせるメッセージを、ユーザ端末100へ送信する。また、受付部36は、メッセージに対する応答の要求を、ユーザ端末100へ送信する。
【0089】
受付部36は、メッセージに対する応答をユーザ端末100から受信する。ユーザ端末100から、ユーザによって入力された学習データを受信した場合、受付部36は、受信した学習データを、構成部13へ出力する。
【0090】
前記実施形態1と同様に、確認部12は、ユーザ端末100から、再学習が必要であるとの応答を受信した場合、構成部13へ、学習データセットを再構成するように指示する。本実施形態3では、構成部13は、受付部36から、ユーザ端末100に入力された学習データを受信する。また、構成部13は、確認部12から、学習データセットを再構成するようにとの指示を受信した場合、検索部11から、モデルによる予測に対して大きい影響を与える学習データを示す情報を受信する。
【0091】
構成部13は、前記実施形態1において説明した手法で、再学習のための学習データセットを構成する学習データを選択する。また、構成部13は、再学習のための学習データセットに、ユーザ端末100に入力された学習データを追加する。構成部13は、このようにして再構成された学習データセットを学習部14へ出力する。
【0092】
(システム1の動作)
図8を参照して、本実施形態3に係わるモデル学習装置30を備えたシステム1(図1)の動作の一例を説明する。図8は、本実施形態3に係わるシステム1の各部が実行する処理の流れを示すシーケンス図である。ここでは、モデル学習装置30の各部に対応する機能は、サーバ300によって実現されるとする。
【0093】
図8に示すように、まず、ユーザ端末100は、サーバ300に対して、家電製品200の動作(予測に対応する)に関する説明を要求する(S21)。ユーザは、要求の内容をユーザ端末100に入力する。ユーザが、ユーザ端末100に要求の内容を入力したのち、ユーザ端末100からサーバ300へ、家電製品の動作に関する説明の要求が送信される。
【0094】
次に、モデル学習装置20の検索部11は、学習データセットを用いて学習されたモデルによる予測の要因を検索する(S22)。ここでの予測の要因は、モデルの学習のために使用された学習データのうち、特に、モデルによる予測に対して大きい影響を与える学習データである。
【0095】
検索部11は、モデルによる予測に対して大きい影響を与える学習データを示す情報を、確認部12および構成部13のそれぞれへ出力する。加えて、検索部11は、モデルによる予測に対して大きい影響を与える学習データを示す情報を、出力部25にも出力する。
【0096】
出力部25は、予測に対して大きい影響を与える学習データが予測の要因であることを説明するテキストデータを生成する(S23)。出力部25は、生成したテキストデータを家電製品200へ送信する。また、出力部25は、家電製品200のスピーカから、テキストデータから変換した音声データを出力させる。出力部25は、予測の要因の説明が完了したことを、確認部12へ通知する。
【0097】
家電製品200は、確認部12からテキストデータを受信する。家電製品200の制御部(図示せず)は、確認部12からの指示により、テキストデータから音声データへ変換する。そして、家電製品200の制御部は、音声データをスピーカへ出力する(S24)。
【0098】
確認部12は、出力部25から、予測の要因の説明が完了したことを通知される。その後、確認部12は、予測の要因を提示して、モデルを再学習することの要否を確認する(S25)。一例では、確認部12は、再学習の要否を尋ねる第1のメッセージを、ユーザ端末100へ送信する。また、確認部12は、第1のメッセージに対する応答の要求を、ユーザ端末100へ送信する。
【0099】
ユーザは、再学習の要望の有無をユーザ端末100に入力する。ここでは、ユーザは、再学習を要望したとする。ユーザ端末100は、再学習の要望を、第1のメッセージに対する応答として、サーバ300へ送信する(S26)。
【0100】
受付部36は、第1のメッセージに対する応答を、ユーザ端末100から受信する。ユーザ端末100から、再学習の要望を受信した場合、受付部36は、学習データの入力を受け付けることを知らせる第2のメッセージを、ユーザ端末100へ送信する(S31)。また、受付部36は、第2のメッセージに対する応答の要求を、ユーザ端末100へ送信する。
【0101】
ユーザは、モデルの再学習のための学習データを、ユーザ端末100に入力する。ユーザ端末100は、入力された学習データを、第2のメッセージに対する応答として、サーバ300へ送信する(S32)。
【0102】
受付部36は、第2のメッセージに対する応答をユーザ端末100から受信する。ユーザ端末100から、ユーザによって入力された学習データを受信した場合、受付部36は、入力された学習データを、構成部13へ出力する。
【0103】
構成部13は、確認部12から、学習データセットを再構成するようにとの指示を受信した場合、予測の要因に基づいて、学習データセットを再構成する(S27)。また、構成部13は、ユーザ端末100に入力された学習データを、学習データセットに追加する。そして、構成部13は、再構成された学習データセットを学習部14へ出力する。
【0104】
学習部14は、再構成された学習データセットを用いて、モデルを再学習する(S28)。その後、学習部14は、再学習したモデルを家電製品200に適用する。すなわち、学習部14は、家電製品200が搭載したAIのモデルを、再学習したモデルによって更新する。
【0105】
一変形例では、学習部14は、前記実施形態1で説明した変形例と同様に、再学習したモデルを家電製品200に適用する前に、家電製品200に搭載したAIのモデルを更新することをユーザに確認する。学習部14は、ユーザ端末100へ入力された確証を、ユーザ端末100から受信したのち、再学習したモデルを家電製品200に適用する。
【0106】
以上で、本実施形態3に係わるモデル学習装置30を備えたシステム1の動作は終了する。
【0107】
(学習データの入力の一例)
図9は、ユーザ端末100に対して、学習データを入力する手法の一例を示す。図9に示す一例では、ユーザは、ユーザ端末100の画面にタッチ操作する。ここで、ユーザ端末100の画面に表示された画像は、家電製品200のカメラ250(図11)によって撮影された動画のフレーム画像である。
【0108】
受付部36(図7)は、家電製品200の制御部に対して、動画のデータをユーザ端末100へ送信するように指示する。あるいは、受付部36は、予め、家電製品200から動画のデータを取得する。そして、受付部36は、モデルを再学習するための学習データの入力を受け付ける際に、家電製品200から取得した動画のデータを、ユーザ端末100へ転送してもよい。
【0109】
図9に示すように、ユーザは、ユーザ端末100の画面に表示された画像において、学習データに指定したい物体Xの領域を、ドラッグまたはタップなどのタッチ操作によって指示する。しかしながら、これら以外のタッチ操作、またはタッチ操作とは異なる操作が用いられてもよい。ユーザ端末100は、物体Xの領域を含む部分画像のデータを、学習データとして、サーバ300へ送信する。
【0110】
なお、本実施形態3において説明したユーザ端末100の機能は、ユーザ端末100の代わりに、家電製品200によって提供されてもよい。具体的には、ユーザは、ユーザ端末100の代わりに、家電製品200を直接に操作することによって、家電製品200に学習データを入力(図9)してもよい。この場合、ユーザは、ユーザ端末100なしで、家電製品200をカスタマイズすることができる。
【0111】
(本実施形態の効果)
一般消費者向けの汎用の家電製品の動作は、ユーザ固有の要望に必ずしもマッチしない。関連する技術は、ユーザの要望に応じて、AIのモデルを修正することができない。
【0112】
本実施形態の構成によれば、検索部11は、学習データセットを用いて学習されたモデルによる予測の要因を検索する。確認部12は、予測の要因を提示して、モデルを再学習することの要否を確認する。構成部13は、予測の要因に基づいて、学習データセットを再構成する。学習部14は、再構成された学習データセットを用いて、モデルを再学習する。AIのモデルの再学習が行われる前に、予測の要因が提示されるとともに、再学習の要否が確認される。そのため、ユーザは、再学習を実行すべきかどうかを判断することができる。これにより、ユーザの要望に応じて、AIのモデルを修正することができる。
【0113】
さらに、本実施形態の構成によれば、出力部25は、予測の要因に関する説明のテキストデータを生成する。予測の要因に関する説明のテキストデータは、任意の形態、たとえば、音声データに変換されたうえで、出力される。これにより、ユーザは、予測の要因を理解することができるので、AIのモデルを再学習させるべきか否かをより適切に判断することができる。
【0114】
さらに、本実施形態の構成によれば、受付部36は、モデルを再学習するための学習データの入力を受け付ける。構成部13は、モデルの再学習のための学習データセットに、入力された学習データを追加する。これにより、ユーザの要望をより反映したモデルを得ることができる。
【0115】
(全ての実施形態に共通)
最初に説明したシステム1とは異なる構成を備えたシステム2について、ここで説明する。上述した実施形態1~3に係わるモデル学習装置10~30のいずれも、システム1だけではなく、システム2にも適用することができる。
【0116】
続いて、システム1およびシステム2の共通要素である家電製品200のハードウェア構成の一例も説明する。
【0117】
(システム2)
図10は、前記実施形態1~3に係わるモデル学習装置10,20,30のいずれかが適用されるシステム2の構成の一例を概略的に示す。図10に示すように、システム2は、ユーザ端末100および家電製品200を備えている。システム2は、サーバ300(図1)を備えていない点で、上述したシステム1とは異なる。ユーザ端末100および家電製品200は、無線通信ネットワークを介して、互いに接続されている。ここでは、ユーザ端末100および家電製品200は、どちらもユーザの自宅内にある。
【0118】
システム2では、家電製品200の制御部(図示せず)が、前記実施形態1~3に係わるモデル学習装置10,20,30の各部として機能する。前記実施形態1~3に係わるモデル学習装置10,20,30の各部の機能は、家電製品200の演算部210およびメモリ220(どちらも図11)の協働によって実現される。より詳細には、演算部210が、メモリ220に読み込んだコンピュータプログラムを実行することによって、前記実施形態1~3に係わるモデル学習装置10,20,30の各部と対応する処理を実行する。演算部210は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、またはASIC(Application Specific Integrated Circuit)である。
【0119】
システム2では、システム1のように、サーバ300上で処理が行われない。そのため、ユーザ端末100および家電製品200がインターネット(またはサーバ300のあるネットワーク)と接続されていない場合であっても、前記実施形態1~3において説明したモデル学習装置10~30の各部の機能を提供することができる。
【0120】
(家電製品200のハードウェア構成)
図11は、家電製品200のハードウェア構成の一例を概略的に示す。ここでは、家電製品200がロボット掃除機であることを想定している。ロボット掃除機とは、自宅内の様々な障害物を回避しながら、自走して、主に床の清掃を行う高性能な掃除機である。
【0121】
図11に示すように、家電製品200は、演算部210、メモリ220、補助記憶装置230、タイマ240、カメラ250、入出力部260、駆動部270、および計器280を備えている。
【0122】
演算部210は、メモリ220に読み込んだコンピュータプログラムにしたがって、情報演算処理を実行する。例えば、演算部210は、1または複数のプロセッサである。
【0123】
メモリ220は、演算部210が実行中のプログラムデータを格納するためのいわゆるメインメモリである。例えば、メモリ220は、RAM(Random Access Memory)である。演算部210およびメモリ220は協働して、家電製品200の制御部として機能する。特に、上述のシステム2(図10)においては、演算部210およびメモリ220は、前記実施形態1~3に係わるモデル学習装置10~30の各部に相当する機能を提供する。
【0124】
補助記憶装置230は、ハードディスクやメディアドライブなどのストレージである。補助記憶装置230は、家電製品200から取り外し可能なカートリッジタイプであってもよい。補助記憶装置230には、家電製品200の動作させるための様々なプログラムデータとともに、AIのモデルが格納されている。
【0125】
タイマ240は、時間をカウントする。タイマ240は、家電製品200が予め設定されたタイムスケジュールにしたがって正しく作動するために、演算部210によって利用される。
【0126】
カメラ250は、家電製品200が環境を把握して、障害物を避けながら作動するために、演算部210によって利用される。加えて、実施形態3において説明したように、カメラ250が撮影した動画のデータは、ユーザがユーザ端末100に学習データを入力するためにも用いられる(図9)。
【0127】
入出力部260は、家電製品200の電源ボタンおよびディスプレイなど、ユーザとのコミュニケーションのためのデバイスを含む。また、入出力部260は、ネットワークに接続するための通信部を含む。
【0128】
駆動部270は、家電製品200が作動するための可動パーツおよびその補助パーツである。駆動部270は、バッテリ、モータ、車輪(動輪)、シャフト、及びブラシを含む。
【0129】
計器280は、家電製品200の環境の状況を計測する。計器280は、圧力計、温度計、湿度計、加速度センサ、および赤外線センサを含む。
【0130】
(ハードウェア構成について)
前記実施形態1~3で説明したモデル学習装置10~30の各構成要素は、機能単位のブロックを示している。これらの構成要素の一部又は全部は、例えば図12に示すような情報処理装置900により実現される。図12は、情報処理装置900のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【0131】
図12に示すように、情報処理装置900は、一例として、以下のような構成を含む。
【0132】
・CPU(Central Processing Unit)901
・ROM(Read Only Memory)902
・RAM(Random Access Memory)903
・RAM903にロードされるプログラム904
・プログラム904を格納する記憶装置905
・記録媒体906の読み書きを行うドライブ装置907
・通信ネットワーク909と接続する通信インタフェース908
・データの入出力を行う入出力インタフェース910
・各構成要素を接続するバス911
前記実施形態1~3で説明したモデル学習装置10~30の各構成要素は、これらの機能を実現するプログラム904をCPU901が読み込んで実行することで実現される。各構成要素の機能を実現するプログラム904は、例えば、予め記憶装置905やROM902に格納されており、必要に応じてCPU901がRAM903にロードして実行される。なお、プログラム904は、通信ネットワーク909を介してCPU901に供給されてもよいし、予め記録媒体906に格納されており、ドライブ装置907が当該プログラムを読み出してCPU901に供給してもよい。
【0133】
上記の構成によれば、前記実施形態1~3において説明したモデル学習装置10~30が、ハードウェアとして実現される。したがって、前記実施形態において説明した効果と同様の効果を奏することができる。
【0134】
〔付記〕
上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
【0135】
(付記1)
学習データセットを用いて学習されたモデルによる予測の要因を検索する検索手段と、
前記予測の要因を提示して、前記モデルを再学習することの要否を確認する確認手段と、
前記予測の要因に基づいて、前記学習データセットを再構成する構成手段と、
前記再構成された学習データセットを用いて、前記モデルを再学習する学習手段と、
を備えたモデル学習装置。
【0136】
(付記2)
前記確認手段は、前記予測の要因である学習データを提示する
ことを特徴とする付記1に記載のモデル学習装置。
【0137】
(付記3)
前記学習手段は、装置が搭載したモデルを更新することについての確証を得たのち、再学習した前記モデルを前記装置に適用する
ことを特徴とする付記1または2に記載のモデル学習装置。
【0138】
(付記4)
前記予測の要因に関する説明のテキストデータを生成する出力手段をさらに備えた
ことを特徴とする付記1から3のいずれか1項に記載のモデル学習装置。
【0139】
(付記5)
前記出力手段は、前記予測の要因に関する説明の要求に応じて、前記予測の要因に関する説明のテキストデータを生成する
ことを特徴とする付記4に記載のモデル学習装置。
【0140】
(付記6)
前記構成手段は、前記予測の要因となる学習データを除いて、前記学習データセットを構成する
ことを特徴とする付記4または5に記載のモデル学習装置。
【0141】
(付記7)
前記モデルを再学習するための学習データを入力することを受け付ける受付手段をさらに備えた
ことを特徴とする付記1から6のいずれか1項に記載のモデル学習装置。
【0142】
(付記8)
前記構成手段は、入力された学習データを含めて、前記学習データセットを構成する
ことを特徴とする付記7に記載のモデル学習装置。
【0143】
(付記9)
学習データセットを用いて学習されたモデルによる予測の要因を検索し、
前記予測の要因を提示して、前記モデルを再学習することの要否を確認し、
前記予測の要因に基づいて、前記学習データセットを再構成し、
前記再構成された学習データセットを用いて、前記モデルを再学習する
モデル学習方法。
【0144】
(付記10)
学習データセットを用いて学習されたモデルによる予測の要因を検索することと、
前記予測の要因を提示して、前記モデルを再学習することの要否を確認することと、
前記予測の要因に基づいて、前記学習データセットを再構成することと、
前記再構成された学習データセットを用いて、前記モデルを再学習することと
をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【0145】
(付記11)
前記構成手段は、前記モデルによる予測を修正するように、前記学習データセットを構成する
ことを特徴とする付記1から10のいずれか1項に記載のモデル学習装置。
【0146】
(付記12)
前記出力手段は、前記予測の要因についての説明を音声又はテキストの形態で出力する
ことを特徴とする付記4から6のいずれか1項に記載のモデル学習装置。
【産業上の利用可能性】
【0147】
本発明は、例えば、ロボット掃除機、ペットロボット、及び小型ドローンなど、屋内で主に使用される家電製品に利用することができる。
【符号の説明】
【0148】
1 システム
2 システム
10 モデル学習装置
11 検索部
12 確認部
13 構成部
14 学習部
20 モデル学習装置
25 出力部
30 モデル学習装置
36 受付部
100 ユーザ端末
200 家電製品
300 サーバ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12