(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022131415
(43)【公開日】2022-09-07
(54)【発明の名称】通信システム、通信システムのサーバ保守動作方法、サーバ、及びサーバの保守動作方法
(51)【国際特許分類】
G06F 11/20 20060101AFI20220831BHJP
【FI】
G06F11/20 630
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021030355
(22)【出願日】2021-02-26
(71)【出願人】
【識別番号】000000295
【氏名又は名称】沖電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001025
【氏名又は名称】弁理士法人レクスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】八木下 直輝
(72)【発明者】
【氏名】石川 清志
【テーマコード(参考)】
5B034
【Fターム(参考)】
5B034BB17
(57)【要約】
【課題】
通信制御装置に接続されたサーバの保守作業を容易に実施することができる通信システムを提供する。
【解決手段】
複数のサーバのうちの保守作業対象のサーバは、保守作業時に操作に応じて保守状態開始通知を接続制御装置に送信し、保守状態開始通知に対して接続制御装置から保守状態開始了解通知を受信すると、従属下の端末に対して複数のサーバのうちの保守作業対象のサーバ以外のサーバへの従属先変更のための指令を送信し、指令送信後に自身の再起動を実行し、接続制御装置は、保守状態開始通知を受信すると、保守状態開始了解通知を保守作業対象のサーバに送信し、保守作業対象のサーバとの通信接続の切断によるエラー生成動作を停止する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の端末と、
前記複数の端末に対する通信接続を制御する接続制御装置と、
各々が前記複数の端末及び前記接続制御装置と通信可能に接続され、前記接続制御装置と通信を確立した状態において通信サービスを前記複数の端末のうちの各々の従属下の端末に提供する複数のサーバと、を備える通信システムであって、
前記複数のサーバのうちの保守作業対象のサーバは、保守作業時に操作に応じて保守状態開始通知を前記接続制御装置に送信し、前記保守状態開始通知に対して前記接続制御装置から前記保守状態開始了解通知を受信すると、前記従属下の端末に対して前記複数のサーバのうちの前記保守作業対象のサーバ以外のサーバへの従属先変更のための指令を送信し、前記指令の送信後に自身の再起動を実行し、
前記接続制御装置は、前記保守状態開始通知を受信すると、前記保守状態開始了解通知を前記保守作業対象のサーバに送信し、前記保守作業対象のサーバとの前記通信接続の切断によるエラー生成動作を停止することを特徴とする通信システム。
【請求項2】
前記保守作業対象のサーバは、前記保守作業の終了時に、操作に応じて保守状態終了通知を前記接続制御装置に送信し、前記保守状態終了通知に対して前記接続制御装置から前記保守状態終了了解通知を受信すると、前記従属下の端末に対して前記保守作業対象のサーバへの従属先変更のための指令を送信し、
前記接続制御装置は、前記保守状態終了通知を受信すると、前記保守状態終了了解通知を前記保守作業対象のサーバに送信し、前記エラー生成動作を有効にすることを特徴とする請求項1記載の通信システム。
【請求項3】
前記複数のサーバの各々はアプリケーションサーバであり、前記接続制御装置はIP-PBX(電話交換機)であることを特徴とする請求項1又は2記載の通信システム。
【請求項4】
複数の端末と、
前記複数の端末に対する通信接続を制御する接続制御装置と、
各々が前記複数の端末及び前記接続制御装置と通信可能に接続され、前記接続制御装置と通信を確立した状態において通信サービスを前記複数の端末のうちの各々の従属下の端末に提供する複数のサーバと、を備える通信システムのサーバ保守動作方法であって、
前記複数のサーバのうちの保守作業対象のサーバは、
保守作業時に操作に応じて保守状態開始通知を前記接続制御装置に送信するステップと、
前記保守状態開始通知に対して前記接続制御装置から前記保守状態開始了解通知を受信すると、前記従属下の端末に対して前記複数のサーバのうちの前記保守作業対象のサーバ以外のサーバへの従属先変更のための指令を送信するステップと、
前記指令の送信後に自身の再起動を実行するステップと、を有し、
前記接続制御装置は、前記保守状態開始通知を受信すると、前記保守状態開始了解通知を前記保守作業対象のサーバに送信し、前記保守作業対象のサーバとの前記通信接続の切断によるエラー生成動作を停止するステップを有することを特徴とするサーバ保守動作方法。
【請求項5】
複数の端末と、前記複数の端末に対する通信接続を制御する接続制御装置とに通信可能に接続され、前記接続制御装置と通信を確立した状態において通信サービスを前記複数の端末のうちの従属下の端末の各々に提供するサーバであって、
保守作業時に操作に応じて保守状態開始通知を前記接続制御装置に送信し、前記保守状態開始通知に対して前記接続制御装置から前記保守状態開始了解通知を受信すると、前記通信サービスを提供する他のサーバへの従属先変更のための指令を前記従属下の端末に対して送信し、前記指令の送信後に自身の再起動を実行し、
前記保守状態開始通知の前記接続制御装置への送信によって、前記接続制御装置に前記サーバとの前記通信接続の切断によるエラー生成動作を停止させることを特徴とするサーバ。
【請求項6】
複数の端末と、前記複数の端末に対する通信接続を制御する接続制御装置とに通信可能に接続され、前記接続制御装置と通信を確立した状態において通信サービスを前記複数の端末のうちの従属下の端末の各々に提供するサーバの保守動作方法であって、
保守作業時に操作に応じて保守状態開始通知を前記接続制御装置に送信ステップと、
前記保守状態開始通知に対して前記接続制御装置から前記保守状態開始了解通知を受信すると、前記通信サービスを提供する他のサーバへの従属先変更のための指令を前記従属下の端末に対して送信するステップと、
前記指令の送信後に自身の再起動を実行するステップと、を有し、
前記保守状態開始通知の前記接続制御装置への送信によって、前記接続制御装置に前記サーバとの前記通信接続の切断によるエラー生成動作を停止させることを特徴とする保守動作方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、IP-PBX等の通信制御装置と共に複数のサーバを備えた通信システム、通信システムのサーバ保守動作方法、サーバ、及びサーバの保守動作方法に関する。
【背景技術】
【0002】
IP-PBXと端末とを繋ぐIPネットワークにIP-PBXの通信負荷軽減を目的としてアプリケーションサーバを設けた通信システムにおいては、一般に、システムの長期稼働確保のためにアプリケーションサーバの再起動を伴う保守作業を定期的に行う必要がある。
【0003】
従来、アプリケーションサーバの保守作業を実施する際には、通信システムの運用を停止することなく保守作業を行うことが求められており、アプリケーションサーバの保守作業中にIP-PBXからの警報の発報やエラー出力を回避するために、アプリケーションサーバ及びIP-PBXの両方に対してコマンド投入を伴う煩雑な保守手順を実施していた。
【0004】
特許文献1には、運用系サーバに障害などが発生した場合に、運用系サーバから仮想化技術を用いた待機系サーバへの切り替えを行う情報処理装置システムが開示されている。上述したようにアプリケーションサーバの保守作業中にも通信システムの運用を停止しないためには、このような運用系サーバから待機系サーバへの切り替え技術を通信システムに適用することが考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載されたような運用系サーバから待機系サーバへの切り替え技術を用いたシステムであっても、IP-PBX等の通信制御装置及び通信システムに精通した保守担当者でなければ、保守作業を実施することができないという課題があった。
【0007】
そこで、本発明の目的は、このような課題に着目し、通信制御装置に接続されたサーバの保守作業を容易に実施することができる通信システム、通信システムのサーバ保守動作方法、サーバ、及びサーバの保守動作方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の通信システムは、複数の端末と、前記複数の端末に対する通信接続を制御する接続制御装置と、各々が前記複数の端末及び前記接続制御装置と通信可能に接続され、前記接続制御装置と通信を確立した状態において通信サービスを前記複数の端末のうちの各々の従属下の端末に提供する複数のサーバと、を備える通信システムであって、前記複数のサーバのうちの保守作業対象のサーバは、保守作業時に操作に応じて保守状態開始通知を前記接続制御装置に送信し、前記保守状態開始通知に対して前記接続制御装置から前記保守状態開始了解通知を受信すると、前記従属下の端末に対して前記複数のサーバのうちの前記保守作業対象のサーバ以外のサーバへの従属先変更のための指令を送信し、前記指令の送信後に自身の再起動を実行し、前記接続制御装置は、前記保守状態開始通知を受信すると、前記保守状態開始了解通知を前記保守作業対象のサーバに送信し、前記保守作業対象のサーバとの前記通信接続の切断によるエラー生成動作を停止することを特徴としている。
【0009】
本発明の通信システムのサーバ保守動作方法は、複数の端末と、前記複数の端末に対する通信接続を制御する接続制御装置と、各々が前記複数の端末及び前記接続制御装置と通信可能に接続され、前記接続制御装置と通信を確立した状態において通信サービスを前記複数の端末のうちの各々の従属下の端末に提供する複数のサーバと、を備える通信システムのサーバ保守動作方法であって、前記複数のサーバのうちの保守作業対象のサーバは、保守作業時に操作に応じて保守状態開始通知を前記接続制御装置に送信するステップと、前記保守状態開始通知に対して前記接続制御装置から前記保守状態開始了解通知を受信すると、前記従属下の端末に対して前記複数のサーバのうちの前記保守作業対象のサーバ以外のサーバへの従属先変更のための指令を送信するステップと、前記指令の送信後に自身の再起動を実行するステップと、を有し、前記接続制御装置は、前記保守状態開始通知を受信すると、前記保守状態開始了解通知を前記保守作業対象のサーバに送信し、前記保守作業対象のサーバとの前記通信接続の切断によるエラー生成動作を停止するステップを有することを特徴としている。
【0010】
本発明のサーバは、複数の端末と、前記複数の端末に対する通信接続を制御する接続制御装置とに通信可能に接続され、前記接続制御装置と通信を確立した状態において通信サービスを前記複数の端末のうちの従属下の端末の各々に提供するサーバであって、保守作業時に操作に応じて保守状態開始通知を前記接続制御装置に送信し、前記保守状態開始通知に対して前記接続制御装置から前記保守状態開始了解通知を受信すると、前記通信サービスを提供する他のサーバへの従属先変更のための指令を前記従属下の端末に対して送信し、前記指令の送信後に自身の再起動を実行し、前記保守状態開始通知の前記接続制御装置への送信によって、前記接続制御装置に前記サーバとの前記通信接続の切断によるエラー生成動作を停止させることを特徴としている。
【0011】
本発明の保守動作方法は、複数の端末と、前記複数の端末に対する通信接続を制御する接続制御装置とに通信可能に接続され、前記接続制御装置と通信を確立した状態において通信サービスを前記複数の端末のうちの従属下の端末の各々に提供するサーバの保守動作方法であって、保守作業時に操作に応じて保守状態開始通知を前記接続制御装置に送信ステップと、前記保守状態開始通知に対して前記接続制御装置から前記保守状態開始了解通知を受信すると、前記通信サービスを提供する他のサーバへの従属先変更のための指令を前記従属下の端末に対して送信するステップと、前記指令の送信後に自身の再起動を実行するステップと、を有し、前記保守状態開始通知の前記接続制御装置への送信によって、前記接続制御装置に前記サーバとの前記通信接続の切断によるエラー生成動作を停止させることを特徴としている。
【発明の効果】
【0012】
本発明の通信システム、通信システムのサーバ保守動作方法、サーバ、及びサーバの保守動作方法によれば、保守作業者がサーバの保守作業のために、IP-PBX等の接続制御装置及びサーバの双方を操作する必要がなく、サーバの保守作業を容易に実施することができる。また、保守作業中のサーバの再起動でサーバと接続制御装置との通信接続が切断されても、それによる接続制御装置のエラー生成を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明によるIP電話交換システムの基本構成を示すブロック図である。
【
図2】
図1のシステム中のアプリケーションサーバが実行する定期保守動作を示すシーケンス図である。
【
図3】保守作業者がIP-PBX及びアプリケーションサーバの双方を操作する定期保守作業の手順を例示するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施例を、図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0015】
図1は本発明の通信システムの実施例としてIP電話交換システムの基本構成を示している。かかるIP電話交換は、サーバ異常時及び保守時の冗長性確保のため2系統運用システムであり、IP-PBX11の他に、2系統分のアプリケーションサーバ12、13及び従属端末群14、15を含んでいる。なお、IP電話交換システムは2系統分より多くの系統分のアプリケーションサーバを備えても良い。
【0016】
IP-PBX11はIP電話の交換制御を行う電話交換機である。アプリケーションサーバ12、13の各々はIP-PBX11の通信負荷軽減を目的として設置しており、図示しないデータベースを用いて発着信記録保持等のデータ保持の役割も担うものである。また、アプリケーションサーバ12、13の各々には、例えば、SIP(Session Initiation Protocol)サーバの機能を有しても良い。
【0017】
アプリケーションサーバ12、13は、IP-PBX11の個別の端子に接続され、TCP(Transmission Control Protocol)コネクション確立下でIP-PBX11と通信可能にされている。アプリケーションサーバ12、13及び従属端末群14、15の各々はIPネットワーク17に接続されている。IPネットワーク17はインターネットである。従属端末群14、15の各々は複数の端末141~14m、151~15nを有している。端末141~14m、151~15nは、電話機、パーソナルコンピュータ等であり、各々にIPアドレス及び電話番号が割り当てられている。
【0018】
通常運用時には、第1系統はアプリケーションサーバ12及び従属端末群14からなり、第2系統はアプリケーションサーバ13及び従属端末群15からなる。アプリケーションサーバ12は通常運用時に従属端末群14の端末141~14mを従属下に置き、端末141~14mはアプリケーションサーバ12を運用系サーバ(従属先サーバ)とする。端末141~14m同様にアプリケーションサーバ13は通常運用時に従属端末群15の端末151~15nを従属下に置き、端末151~15nはアプリケーションサーバ13を運用系サーバとする。
【0019】
第1系統のアプリケーションサーバ12に故障等の通信異常が生じた場合には端末141~14mは第2系統のアプリケーションサーバ13を迂回系サーバとして利用することが可能である。同様に、第2系統のアプリケーションサーバ13に故障等の通信異常が生じた場合には端末151~15nは第1系統のアプリケーションサーバ12を迂回系サーバとして利用することが可能である。
【0020】
次に、第1系統のアプリケーションサーバ12について定期保守を行う際のIP-PBX11及びアプリケーションサーバ12の動作を
図2を用いて説明する。定期保守を行う際には、
図2に示すように、既にIP-PBX11とアプリケーションサーバ12、13各々との間はTCPコネクション(通信接続)が確立しているとする(ステップS11、S12)。
【0021】
先ず、保守作業者の手動操作により、アプリケーションサーバ12が保守用アプリケーションの起動を行い(ステップS13)、それによってIP-PBX11へ定期保守状態開始通知を送信する(ステップS14)。定期保守状態には後述するようにアプリケーションサーバ12の再起動が含まれる。
【0022】
IP-PBX11は、アプリケーションサーバ12から定期保守状態開始通知を受信すると、それに応答してアプリケーションサーバ12へ定期保守状態開始了解通知を送信し(ステップS15)、アプリケーションサーバ12に対する動作モードを通常運用状態から定期保守待機状態にする(ステップS16)。ステップS16の定期保守待機状態では、IP-PBX11は、アプリケーションサーバ12の再起動に伴うTCPコネクション切断を検知した場合に実行するエラー生成動作を停止する。すなわち、IP-PBX11は、通常、TCPコネクション切断を検知すると、TCP制御処理で警報に関ずるメッセージを書き換え、エラー出力及び警報発報が発生するエラー生成動作を行うが、この定期保守待機状態ではアプリケーションサーバ12についてのエラー生成動作が実行されないように無効とされ、エラー生成動作の停止処理を実行する。
【0023】
アプリケーションサーバ12は、IP-PBX11から定期保守状態開始了解通知を受信すると、端末141~14mの各々に対して迂回系サーバへの従属先変更を指令する(ステップS17)。この指令に応答して端末141~14mの各々は、迂回系サーバである第2系統のアプリケーションサーバ13に従属し、例えば、発着信処理をアプリケーションサーバ13を介して行う。
【0024】
ステップS17の実行後、アプリケーションサーバ12は保守作業可能状態となるので、保守作業者によってアプリケーションサーバ12の保守作業が開始される。保守作業には、例えば、上記した保守用アプリケーションの実行によって、サーバ各部の動作確認等の様々な点検と共に、アプリケーションサーバ12の再起動が含まれるので、保守作業中にアプリケーションサーバ12は自身の再起動を実行する(ステップS18)。この再起動によってIP-PBX11とアプリケーションサーバ12との間のTCPコネクションが切断される(ステップS19)。この時、IP-PBX11とアプリケーションサーバ13との間のTCPコネクションは維持されるので(ステップS20)、端末141~14mの各々は第2系統のアプリケーションサーバ13を介して発着信可能である。
【0025】
ステップS18の再起動後、アプリケーションサーバ12はIP-PBX11とのTCPコネクションの確立を行う(ステップS21)。すなわち、IP-PBX11とアプリケーションサーバ12との間のTCPコネクションが自動的に復旧する。この時においても、IP-PBX11とアプリケーションサーバ13との間のTCPコネクションは維持される(ステップS22)。
【0026】
アプリケーションサーバ12は、IP-PBX11とのTCPコネクションが確立すると、定期保守終了動作を保守作業者の操作に応じて開始する(ステップS23)。例えば、保守用アプリケーションの動作によってアプリケーションサーバ12のディスプレイ画面に定期保守結果が表示され、保守作業者がその定期保守結果を確認し、そして、定期保守終了OKの操作することにより定期保守終了動作は開始される。アプリケーションサーバ12は、IP-PBX11へ定期保守状態解除通知を送信する(ステップS24)。
【0027】
IP-PBX11は、アプリケーションサーバ12から定期保守状態解除通知を受信すると、それに応答してアプリケーションサーバ12へ定期保守状態解除了解通知を送信し(ステップS25)、アプリケーションサーバ12に対する動作モードを定期保守待機状態から通常運用状態に変更する(ステップS26)。通常運用状態では上述したアプリケーションサーバ12についてのエラー生成動作が有効とされ、例えば、アプリケーションサーバ12との間のTCPコネクション切断を検知した場合にはエラー生成動作が実行される。
【0028】
アプリケーションサーバ12は、IP-PBX11から定期保守状態解除了解通知を受信すると、端末141~14mの各々に対して運用系サーバへの従属先変更を指令する(ステップS27)。この指令に応答して端末141~14mの各々は、運用系サーバである第1系統のアプリケーションサーバ12に従属し、例えば、発着信処理はアプリケーションサーバ12を介して行うことになる。
【0029】
以上のように、本発明の実施例によれば、アプリケーションサーバ12における保守作業者の操作のみで定期保守作業を実施することができる。
【0030】
例えば、
図3に示すように、定期保守作業の際に、先ず、保守作業者がIP-PBXの操作によりコマンドを投入してTCPコネクションを切断させ(ステップS31)、同様に保守作業者がIP-PBXへの操作によりコマンドを投入してTCPパッケージの使用を停止させる(ステップS31)。次に、保守作業者がアプリケーションサーバへの操作によりコマンドを投入してアプリケーションの実行を停止させ(ステップS33)、同様に保守作業者がアプリケーションサーバへの操作によりアプリケーションサーバを再起動させる(ステップS34)。アプリケーションサーバの再起動後に、保守作業者がアプリケーションサーバへの操作によりアプリケーションサーバのアプリケーションの実行を開始させる(ステップS35)。また、保守作業者がIP-PBXへの操作によりコマンドを投入してTCPパッケージの使用を開始させ(ステップS36)、同様に保守作業者がIP-PBXの操作によりコマンドを投入してTCPコネクションを確立させる(ステップS37)。
【0031】
すなわち、この
図3に示した、保守作業者がIP-PBX及びアプリケーションサーバの双方を操作するというような定期保守作業を本発明の実施例ではしなくて済む。したがって、IP-PBX11に精通していない保守作業者でも容易にアプリケーションサーバ12の定期保守作業を実施することができる。また、定期保守中はアプリケーションサーバ13のみの片系運用とすることで、サービスを停止することなく定期保守作業を実施することができる。
【0032】
なお、上記した実施例においては、アプリケーションサーバ12についての保守作業動作について説明したが、アプリケーションサーバ13についての保守作業動作も同様に実行することができる。
【0033】
実際の運用例としては、鉄道指令システムにおける指令用操作卓とIP-PBX間の回線情報・制御情報を中継するためのサーバでの定期保守作業があげられる。
【0034】
なお、上記した実施例においては、定期保守作業時の通信システムの動作について説明したが、本発明は定期保守作業に限らず、アプリケーションサーバの再起動を伴う保守作業を行う通信システムに適用することができる。また、本発明はアプリケーションサーバに限らず、データベースサーバ、メールサーバ等の他のサーバの再起動を伴う保守作業を行う通信システムに適用することができる。
【符号の説明】
【0035】
11 IP-PBX
12、13 アプリケーションサーバ
14、15 従属端末群
141~14m、151~15n 端末
17 IPネットワーク