IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社オービックの特許一覧

特開2022-131425土地評価額算出装置、土地評価額算出方法および土地評価額算出プログラム
<>
  • 特開-土地評価額算出装置、土地評価額算出方法および土地評価額算出プログラム 図1
  • 特開-土地評価額算出装置、土地評価額算出方法および土地評価額算出プログラム 図2
  • 特開-土地評価額算出装置、土地評価額算出方法および土地評価額算出プログラム 図3
  • 特開-土地評価額算出装置、土地評価額算出方法および土地評価額算出プログラム 図4
  • 特開-土地評価額算出装置、土地評価額算出方法および土地評価額算出プログラム 図5
  • 特開-土地評価額算出装置、土地評価額算出方法および土地評価額算出プログラム 図6
  • 特開-土地評価額算出装置、土地評価額算出方法および土地評価額算出プログラム 図7
  • 特開-土地評価額算出装置、土地評価額算出方法および土地評価額算出プログラム 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022131425
(43)【公開日】2022-09-07
(54)【発明の名称】土地評価額算出装置、土地評価額算出方法および土地評価額算出プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/16 20120101AFI20220831BHJP
【FI】
G06Q50/16
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021030368
(22)【出願日】2021-02-26
(71)【出願人】
【識別番号】398040527
【氏名又は名称】株式会社オービック
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小松 聡司
(72)【発明者】
【氏名】西岡 直樹
(72)【発明者】
【氏名】上野 剛光
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049CC27
(57)【要約】
【課題】不動産の土地評価額を算出可能な土地評価額算出装置等の提供を課題とする。
【解決手段】本実施形態では、(1)担保物件登録データと公示地・基準地明細を有する公示地・基準地データとに基づいて、前記担保物件登録データ中の緯度経度に対して前記公示地・基準地データ中の緯度経度が所定の範囲に属する公示地・基準地明細を抽出し、(2)前記抽出した前記公示地・基準地明細から、前記担保物件登録データ中の用途地域及び最寄り駅からの距離と同じ用途地域及び最寄り駅からの距離を有する前記公示地・基準地明細を物件ごとに選定し、(3)前記選定した前記公示地・基準地明細から、前記物件と公示地または基準地の距離が最も短くなる前記公示地・基準地明細を前記物件ごとに採用し、(4)前記採用した前記物件ごとの前記公示地・基準地明細中の土地単価と、前記物件の評価面積と、に基づいて、前記物件の土地評価額を前記物件ごとに算出する。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御部を備える土地評価額算出装置であって、
前記制御部は、
土地を評価する対象となる物件の位置情報と前記物件の評価面積と前記物件の属性情報とを含む物件データと、公示地または基準地の位置情報と前記公示地または前記基準地の属性情報と前記公示地または前記基準地の公表されている単位面積あたりの土地価格とを有する公示地・基準地明細を含む公示地・基準地データと、に基づいて、前記物件データ中の前記位置情報に対して前記公示地・基準地データ中の前記位置情報が所定の範囲に属する前記公示地・基準地明細を抽出する明細抽出手段と、
前記明細抽出手段で抽出した前記公示地・基準地明細から、前記物件データ中の前記属性情報と同じ前記属性情報を有する前記公示地・基準地明細を前記物件ごとに選定する明細選定手段と、
前記明細選定手段で選定した前記物件ごとの前記公示地・基準地明細から、前記物件データ中の前記位置情報および前記公示地・基準地明細中の前記位置情報に基づいて算出した前記物件と前記公示地または前記基準地の距離が最も短くなる前記公示地・基準地明細を前記物件ごとに採用する明細採用手段と、
前記明細採用手段で採用した前記物件ごとの前記公示地・基準地明細中の前記単位面積あたりの土地価格と、前記物件の前記評価面積と、に基づいて、前記物件の土地評価額を前記物件ごとに算出する評価額算出手段と、
を備えること、
を特徴とする土地評価額算出装置。
【請求項2】
前記属性情報が、前記物件、前記公示地または前記基準地の用途および最寄り駅からの距離に関する段階的な分類であり、
前記明細選定手段は、前記明細抽出手段で抽出した前記公示地・基準地明細から、前記物件データ中の前記用途と同じ前記用途を有し、かつ、前記物件データ中の前記分類と同じ前記分類を有する前記公示地・基準地明細を前記物件ごとに選定すること、
を特徴とする請求項1に記載の土地評価額算出装置。
【請求項3】
前記制御部は、
前記明細採用手段で算出した前記距離が、距離情報マスタに設定された設定値以上である場合、アラートを表示する表示手段
を更に備えること、
を特徴とする請求項1または2に記載の土地評価額算出装置。
【請求項4】
制御部を備える情報処理装置で実行される土地評価額算出方法であって、
前記制御部で実行される、
土地を評価する対象となる物件の位置情報と前記物件の評価面積と前記物件の属性情報とを含む物件データと、公示地または基準地の位置情報と前記公示地または前記基準地の属性情報と前記公示地または前記基準地の公表されている単位面積あたりの土地価格とを有する公示地・基準地明細を含む公示地・基準地データと、に基づいて、前記物件データ中の前記位置情報に対して前記公示地・基準地データ中の前記位置情報が所定の範囲に属する前記公示地・基準地明細を抽出する明細抽出ステップと、
前記明細抽出ステップで抽出した前記公示地・基準地明細から、前記物件データ中の前記属性情報と同じ前記属性情報を有する前記公示地・基準地明細を前記物件ごとに選定する明細選定ステップと、
前記明細選定ステップで選定した前記物件ごとの前記公示地・基準地明細から、前記物件データ中の前記位置情報および前記公示地・基準地明細中の前記位置情報に基づいて算出した前記物件と前記公示地または前記基準地の距離が最も短くなる前記公示地・基準地明細を前記物件ごとに採用する明細採用ステップと、
前記明細採用ステップで採用した前記物件ごとの前記公示地・基準地明細中の前記単位面積あたりの土地価格と、前記物件の前記評価面積と、に基づいて、前記物件の土地評価額を前記物件ごとに算出する評価額算出ステップと、
を含むこと、
を特徴とする土地評価額算出方法。
【請求項5】
制御部を備える情報処理装置に実行させるための土地評価額算出プログラムであって、
前記制御部に実行させるための、
土地を評価する対象となる物件の位置情報と前記物件の評価面積と前記物件の属性情報とを含む物件データと、公示地または基準地の位置情報と前記公示地または前記基準地の属性情報と前記公示地または前記基準地の公表されている単位面積あたりの土地価格とを有する公示地・基準地明細を含む公示地・基準地データと、に基づいて、前記物件データ中の前記位置情報に対して前記公示地・基準地データ中の前記位置情報が所定の範囲に属する前記公示地・基準地明細を抽出する明細抽出ステップと、
前記明細抽出ステップで抽出した前記公示地・基準地明細から、前記物件データ中の前記属性情報と同じ前記属性情報を有する前記公示地・基準地明細を前記物件ごとに選定する明細選定ステップと、
前記明細選定ステップで選定した前記物件ごとの前記公示地・基準地明細から、前記物件データ中の前記位置情報および前記公示地・基準地明細中の前記位置情報に基づいて算出した前記物件と前記公示地または前記基準地の距離が最も短くなる前記公示地・基準地明細を前記物件ごとに採用する明細採用ステップと、
前記明細採用ステップで採用した前記物件ごとの前記公示地・基準地明細中の前記単位面積あたりの土地価格と、前記物件の前記評価面積と、に基づいて、前記物件の土地評価額を前記物件ごとに算出する評価額算出ステップと、
を含むこと、
を特徴とする土地評価額算出プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、土地評価額算出装置、土地評価額算出方法および土地評価額算出プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、不動産投資を行おうとする者が購入資金を準備できない場合には、銀行などの金融機関から、住宅ローンやアパートローンとして資金を借り入れることになることが開示されている(特許文献1の0003段落等参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016-57774号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に記載のように、金融機関等が住宅ローンの融資を行うにあたっては、不動産を担保として融資を行うが、この際、担保とする不動産の時価評価を算出する必要がある。
【0005】
しかしながら、従来においては、不動産の時価評価は、担当者が手動計算により行っていたため、人的負担が大きく、また、顧客に対する回答まで時間がかかってしまうという問題があった。また、近年、マイナス金利およびネット銀行の参入による金融業界の多様化等により、住宅ローン融資の1件あたりの審査に時間をかけたくないという事情もある。その一方で、顧客との繋がりを確保するためには、住宅ローンの融資自体は継続しなければならない。
【0006】
すなわち、住宅ローンの融資業務自体は継続する必要がありつつも、当該業務は利益には繋がらないため、担保とする不動産の土地評価額を、相場の額(概算額)でも良いので簡便かつ短時間で算出できる方法が求められていた。
【0007】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであって、不動産の土地評価額を算出することができる土地評価額算出装置、土地評価額算出方法および土地評価額算出プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る土地評価額算出装置は、制御部を備える土地評価額算出装置であって、前記制御部が、土地を評価する対象となる物件の位置情報と前記物件の評価面積と前記物件の属性情報とを含む物件データと、公示地または基準地の位置情報と前記公示地または前記基準地の属性情報と前記公示地または前記基準地の公表されている単位面積あたりの土地価格とを有する公示地・基準地明細を含む公示地・基準地データと、に基づいて、前記物件データ中の前記位置情報に対して前記公示地・基準地データ中の前記位置情報が所定の範囲に属する前記公示地・基準地明細を抽出する明細抽出手段と、前記明細抽出手段で抽出した前記公示地・基準地明細から、前記物件データ中の前記属性情報と同じ前記属性情報を有する前記公示地・基準地明細を前記物件ごとに選定する明細選定手段と、前記明細選定手段で選定した前記物件ごとの前記公示地・基準地明細から、前記物件データ中の前記位置情報および前記公示地・基準地明細中の前記位置情報に基づいて算出した前記物件と前記公示地または前記基準地の距離が最も短くなる前記公示地・基準地明細を前記物件ごとに採用する明細採用手段と、前記明細採用手段で採用した前記物件ごとの前記公示地・基準地明細中の前記単位面積あたりの土地価格と、前記物件の前記評価面積と、に基づいて、前記物件の土地評価額を前記物件ごとに算出する評価額算出手段と、を備えること、を特徴とする。
【0009】
また、本発明に係る土地評価額算出装置は、前記属性情報が、前記物件、前記公示地または前記基準地の用途および最寄り駅からの距離に関する段階的な分類であり、前記明細選定手段は、前記明細抽出手段で抽出した前記公示地・基準地明細から、前記物件データ中の前記用途と同じ前記用途を有し、かつ、前記物件データ中の前記分類と同じ前記分類を有する前記公示地・基準地明細を前記物件ごとに選定すること、を特徴とする。
【0010】
また、本発明に係る土地評価額算出装置は、前記制御部が、前記明細採用手段で算出した前記距離が、距離情報マスタに設定された設定値以上である場合、アラートを表示する表示手段を更に備えること、を特徴とする。
【0011】
また、本発明に係る土地評価額算出方法は、制御部を備える情報処理装置で実行される土地評価額算出方法であって、前記制御部で実行される、土地を評価する対象となる物件の位置情報と前記物件の評価面積と前記物件の属性情報とを含む物件データと、公示地または基準地の位置情報と前記公示地または前記基準地の属性情報と前記公示地または前記基準地の公表されている単位面積あたりの土地価格とを有する公示地・基準地明細を含む公示地・基準地データと、に基づいて、前記物件データ中の前記位置情報に対して前記公示地・基準地データ中の前記位置情報が所定の範囲に属する前記公示地・基準地明細を抽出する明細抽出ステップと、前記明細抽出ステップで抽出した前記公示地・基準地明細から、前記物件データ中の前記属性情報と同じ前記属性情報を有する前記公示地・基準地明細を前記物件ごとに選定する明細選定ステップと、前記明細選定ステップで選定した前記物件ごとの前記公示地・基準地明細から、前記物件データ中の前記位置情報および前記公示地・基準地明細中の前記位置情報に基づいて算出した前記物件と前記公示地または前記基準地の距離が最も短くなる前記公示地・基準地明細を前記物件ごとに採用する明細採用ステップと、前記明細採用ステップで採用した前記物件ごとの前記公示地・基準地明細中の前記単位面積あたりの土地価格と、前記物件の前記評価面積と、に基づいて、前記物件の土地評価額を前記物件ごとに算出する評価額算出ステップと、を含むこと、を特徴とする。
【0012】
また、本発明に係る土地評価額算出プログラムは、制御部を備える情報処理装置に実行させるための土地評価額算出プログラムであって、前記制御部に実行させるための、土地を評価する対象となる物件の位置情報と前記物件の評価面積と前記物件の属性情報とを含む物件データと、公示地または基準地の位置情報と前記公示地または前記基準地の属性情報と前記公示地または前記基準地の公表されている単位面積あたりの土地価格とを有する公示地・基準地明細を含む公示地・基準地データと、に基づいて、前記物件データ中の前記位置情報に対して前記公示地・基準地データ中の前記位置情報が所定の範囲に属する前記公示地・基準地明細を抽出する明細抽出ステップと、前記明細抽出ステップで抽出した前記公示地・基準地明細から、前記物件データ中の前記属性情報と同じ前記属性情報を有する前記公示地・基準地明細を前記物件ごとに選定する明細選定ステップと、前記明細選定ステップで選定した前記物件ごとの前記公示地・基準地明細から、前記物件データ中の前記位置情報および前記公示地・基準地明細中の前記位置情報に基づいて算出した前記物件と前記公示地または前記基準地の距離が最も短くなる前記公示地・基準地明細を前記物件ごとに採用する明細採用ステップと、前記明細採用ステップで採用した前記物件ごとの前記公示地・基準地明細中の前記単位面積あたりの土地価格と、前記物件の前記評価面積と、に基づいて、前記物件の土地評価額を前記物件ごとに算出する評価額算出ステップと、を含むこと、を特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、不動産の土地評価額を算出することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、土地評価額算出の構成の一例を示すブロック図である。
図2図2は、担保物件登録データの一例を示す図である。
図3図3は、担保物件登録データの一例を示す図である。
図4図4は、公示地・基準地データの一例を示す図である。
図5図5は、設定距離情報マスタの一例を示す図である。
図6図6は、公示地・基準地の選定の一例を示す図である。
図7図7は、土地評価額の算出の一例を示す図である。
図8図8は、算出した土地評価額の表示の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、本発明に係る土地評価額算出装置、土地評価額算出方法および土地評価額算出プログラムの実施形態を、図面に基づいて詳細に説明する。なお、本実施形態により本発明が限定されるものではない。
【0016】
[1.概要]
住宅ローンの融資を行うにあたっては、不動産を担保として融資を行う。この際、担保とする不動産(土地、建物およびマンション等)の時価評価を算出する必要がある。
【0017】
ここで、不動産評価の業務を行っている業界(例えば、金融業界等)においては、次のような三つの業界背景がある。
【0018】
一つ目に、昨今の低金利(マイナス金利およびネット銀行等の参入による金融業の多様化)により、住宅ローン融資を行っても収益につながらない。このため、住宅ローン融資については、1件当たりの審査に時間を使っていられないという背景がある。しかしながら、顧客とのつながりを確保するためには、住宅ローン融資自体は継続をする必要がある。
【0019】
二つ目に、住宅ローンの担保評価に関しては、
(1)正常先が多く、貸し倒れリスクが少ない。
(2)住宅ローンという性質上、貸し倒れが発生しても担保物件を取り立てづらい。それよりも、個人の属性情報(過去の融資実績および保証人有無等)をきちんと審査し、貸し倒れに繋がらない融資を行うことが重要である。
(3)ただし、物件価値から融資倍率は求める必要があるため、担保物件の相場感を持つ必要がある。
【0020】
三つ目に、従来における土地評価は、実際に現地調査を行った結果を指数化して補正を行う等の厳格な評価プロセスによる土地評価、すなわち、手作業による土地評価であった。これは、金融検査マニュアルによって定められており、不動産担保評価を厳正に行っていた時代が長らく続いており、不動産担保評価業務においても保守的な考え方が強く存在していたためである。しかしながら、手作業による土地評価は、人的負担が大きい上に、顧客に対する審査回答までに時間がかかるという問題もあった。
【0021】
このような業界背景を受けて、本実施形態においては、土地評価額の相場観を把握するための以下の(1)~(3)に示す機能を実現した。(1)すなわち、本実施形態においては、例えば、国または地方自治体から公表されている公示地価および基準地価を活用し、電子地図上から、評価をしたい担保物件の位置情報(緯度経度情報)を把握し、一番近くの公示地または基準地を検索することにより、土地の評価額を自動算出する簡易自動評価機能を実装した。言い換えると、住宅ローンの不動産担保評価に際して、地図システムと連動して緯度経度情報を自動で取得し、対象物件の特定および評価基準となる準拠地の自動特定を行い、評価の基礎データとなる平米単価までを自動算出できるようにした。これにより、例えば、住宅ローンの審査業務の省力化および迅速化を実現することができた。(2)また、本実施形態においては、例えば、あらかじめ設定したパラメータをもとに、類似の基準地を選択することもできる。(3)そして、本実施形態においては、例えば、担保物件と公示地または基準地とが、設定値以上に離れている場合は、アラート表示し手動評価へ切り替えることも可能である。以下、具体的な構成および動作について説明する。
【0022】
[2.構成]
本実施形態に係る土地評価額算出装置100の構成の一例について、図1を参照して説明する。図1は、土地評価額算出装置100の構成の一例を示すブロック図である。
【0023】
土地評価額算出装置100は、市販のデスクトップ型パーソナルコンピュータである。なお、土地評価額算出装置100は、デスクトップ型パーソナルコンピュータのような据置型情報処理装置に限らず、市販されているノート型パーソナルコンピュータ、PDA(Personal Digital Assistants)、スマートフォン、タブレット型パーソナルコンピュータなどの携帯型情報処理装置であってもよい。
【0024】
土地評価額算出装置100は、制御部102と通信インターフェース部104と記憶部106と入出力インターフェース部108と、を備えている。予算データ生成装置100が備えている各部は、任意の通信路を介して通信可能に接続されている。
【0025】
通信インターフェース部104は、ルータ等の通信装置および専用線等の有線または無線の通信回線を介して、土地評価額算出装置100をネットワーク300に通信可能に接続する。通信インターフェース部104は、他の装置と通信回線を介してデータを通信する機能を有する。ここで、ネットワーク300は、土地評価額算出装置100とサーバ200とを相互に通信可能に接続する機能を有し、例えばインターネットやLAN(Local Area Network)等である。なお、後述する各種マスタ等のデータは、例えばサーバ200に格納されてもよい。
【0026】
入出力インターフェース部108には、入力装置112および出力装置114が接続されている。出力装置114には、モニタ(家庭用テレビを含む)の他、スピーカやプリンタを用いることができる。入力装置112には、キーボード、マウス、及びマイクの他、マウスと協働してポインティングデバイス機能を実現するモニタを用いることができる。なお、以下では、出力装置114をモニタ114とし、入力装置112をキーボード112またはマウス112として記載する場合がある。
【0027】
記憶部106には、各種のデータベース、テーブルおよびファイルなどが格納される。記憶部106には、OS(Operating System)と協働してCPU(Central Processing Unit)に命令を与えて各種処理を行うためのコンピュータプログラムが記録される。記憶部106として、例えば、RAM(Random Access Memory)・ROM(Read Only Memory)等のメモリ装置、ハードディスクのような固定ディスク装置、フレキシブルディスク、および光ディスク等を用いることができる。
【0028】
記憶部106は、例えば、物件データとしての担保物件登録データ106aと、公示地・基準地データ106bと、距離情報マスタとしての設定距離情報マスタ106cと、を備えている。
【0029】
担保物件登録データ106aは、金融機関等が担保とする物件についての位置情報等を登録するためのデータである。担保物件登録データ106aの一例を、図2および図3に示す。担保物件登録データ106aは、例えば、土地を評価する対象となる物件を識別するための物件識別データ(図3では、物件番号)と、前記物件の位置情報(図3では、緯度経度)と、前記物件の評価面積(図3では、評価面積)と、前記物件の属性情報と、等を含む。当該属性情報は、例えば、前記物件の用途(図3では、用途地域)および最寄り駅からの距離に関する段階的な分類(図3では、最寄り駅からの距離)等である。当該段階的な分類とは、図3の「最寄り駅からの距離」に設定される値が、オペレータによって個別具体的に設定される数値ではなく、例えば、「500メートル以内」、「1km以内」および「1km以上」等の段階的な数値範囲であることを意味する。
【0030】
公示地・基準地データ106bは、公示地または基準地の土地価格を登録するためのデータである。前記公示地または前記基準地とは、国土交通省等がその価格を公表している土地のことである。公示地・基準地データ106bの例を、図4に示す。公示地・基準地データ106bは、例えば、前記公示地または前記基準地を識別するためのデータ(図4では、番号)と、前記公示地と前記基準地のどちらであるかを示す区分(図4では、公示地基準地区分)と、前記公示地または前記基準地の位置情報(図4では、緯度経度)と、前記公示地または前記基準地の属性情報と、前記公示地または前記基準地の公表されている単位面積あたりの土地価格(図4では、単価(円/m))と、等を有する公示地・基準地明細を含む。当該属性情報は、例えば、前記公示地および前記基準地の用途(図4では、用途地域)および最寄り駅からの距離に関する段階的な分類(図4では、最寄り駅からの距離)等である。当該段階的な分類の意味は、前段落と同様であるが、特筆すべき点として、公示地・基準地データ106b中の前記最寄り駅からの距離とは、前記担保とする物件にとっての最寄り駅からの距離ではなく、前記公示地または前記基準地にとっての最寄り駅からの距離を意味する。
【0031】
設定距離情報マスタ106cは、前記担保とする物件と前記公示地または前記基準地との距離が所定の設定値以上である場合にアラートを表示したい場合において、当該設定値を設定するためのマスタである。設定距離情報マスタ106cは、図5に示すように、例えば、番号(No)と、前記設定値と、等を含む。前記設定値の単位は、特に制限されないが、例えば、メートルである。
【0032】
制御部102は、土地評価額算出装置100を統括的に制御するCPU等である。制御部102は、OS等の制御プログラム・各種の処理手順等を規定したプログラム・所要データなどを格納するための内部メモリを有し、格納されているこれらのプログラムに基づいて種々の情報処理を実行する。
【0033】
制御部102は、機能概念的に、例えば、(1)土地を評価する対象となる物件の位置情報と前記物件の評価面積と前記物件の属性情報とを含む物件データと、公示地または基準地の位置情報と前記公示地または前記基準地の属性情報と前記公示地または前記基準地の公表されている単位面積あたりの土地価格とを有する公示地・基準地明細を含む公示地・基準地データと、に基づいて、前記物件データ中の前記位置情報に対して前記公示地・基準地データ中の前記位置情報が所定の範囲に属する前記公示地・基準地明細を抽出する明細抽出手段としての明細抽出部102aと、(2)前記明細抽出手段で抽出した前記公示地・基準地明細から、前記物件データ中の前記属性情報と同じ前記属性情報を有する前記公示地・基準地明細を前記物件ごとに選定する明細選定手段としての明細選定部102bと、(3)前記明細選定手段で選定した前記物件ごとの前記公示地・基準地明細から、前記物件データ中の前記位置情報および前記公示地・基準地明細中の前記位置情報に基づいて算出した前記物件と前記公示地または前記基準地の距離が最も短くなる前記公示地・基準地明細を前記物件ごとに採用する明細採用手段としての明細採用部102cと、(4)前記明細採用手段で採用した前記物件ごとの前記公示地・基準地明細中の前記単位面積あたりの土地価格と、前記物件の前記評価面積と、に基づいて、前記物件の土地評価額を前記物件ごとに算出する評価額算出手段としての評価額算出部102dと、(5)前記明細採用手段で算出した前記距離が、距離情報マスタに設定された設定値以上である場合、アラートを表示する表示手段としての表示部102eと、を備えている。
【0034】
明細抽出部102aは、土地を評価する対象となる物件の前記位置情報と前記物件の前記評価面積と前記物件の前記属性情報と含む担保物件登録データ106aと、前記公示地または前記基準地の位置情報と前記公示地または前記基準地の前記属性情報と前記公示地または前記基準地の公表されている単位面積あたりの前記土地価格とを有する公示地・基準地明細を含む公示地・基準地データ106bと、に基づいて、担保物件登録データ106a中の前記位置情報に対して公示地・基準地データ106b中の前記位置情報が所定の範囲に属する前記公示地・基準地明細を抽出する。
【0035】
明細選定部102bは、明細抽出部102aで抽出した前記公示地・基準地明細から、担保物件登録データ106a中の前記属性情報と同じ前記属性情報を有する前記公示地・基準地明細を前記物件ごとに選定する。
【0036】
前記属性情報が、前記物件、前記公示地または前記基準地の前記用途および前記最寄り駅からの距離に関する段階的な分類である場合、明細選定部102bは、明細抽出部102aで抽出した前記公示地・基準地明細から、担保物件登録データ106a中の前記用途と同じ前記用途を有し、かつ、担保物件登録データ106a中の前記分類と同じ前記分類を有する前記公示地・基準地明細を前記物件ごとに選定する。
【0037】
明細採用部102cは、明細選定部102bで選定した前記物件ごとの前記公示地・基準地明細から、担保物件登録データ106a中の前記位置情報および前記公示地・基準地明細中の前記位置情報に基づいて算出した前記物件と前記公示地または前記基準地の距離が最も短くなる前記公示地・基準地明細を前記物件ごとに採用する。
【0038】
評価額算出部102dは、明細採用部102cで採用した前記物件ごとの前記公示地・基準地明細中の前記単位面積あたりの土地価格と、前記物件の前記評価面積と、に基づいて、前記物件の土地評価額を前記物件ごとに算出する。
【0039】
表示部102eは、明細採用部102cで算出した前記距離が、設定距離情報マスタ106cに設定された設定値以上である場合、アラートを表示する。
【0040】
[3.処理の具体例]
本項目では、本実施形態に係る処理の具体例を説明する。本項目においては、銀行等における担当者が、住宅ローンの融資判断を行う際に、担保とする物件の土地評価額を算出するという場面を想定して説明する。
【0041】
[3-1.物件所在地登録]
まず、担保物件の所在地についての情報が登録される。当該登録は、(1)電子地図画面からの担保物件位置情報のポインティングにより行われてもよいし、(2)緯度経度の情報がオペレータによって手動入力されることにより行われてもよい。本例では、3つの担保物件についての緯度経度情報が登録されるものとする。緯度経度情報が登録された担保物件登録データ106aを、図2に示す。なお、仮に、上記(1)および(2)のいずれの方法によっても緯度経度情報を登録できない場合は、緯度経度情報は、後述する手動位置登録をしたタイミングで再計算される。
【0042】
[3-2.簡易評価登録]
続いて、担保物件情報の概要が登録される(土地評価の指標となる情報をパラメータ化可能)。具体的には、前記[3-1]で登録された3つの担保物件について、評価面積、用途地域および最寄り駅からの距離が登録される。これらの情報が登録された担保物件登録データ106aを、図3に示す。
【0043】
[3-3.自動評価処理]
続いて、以下のようにして、自動評価処理が実行される。当該処理の詳細は、次段落から説明するが、当該処理の概要は、次文からの説明のとおりである。
(処理の概要)
(1)最初に、明細抽出部102aが、前記公示地・基準地明細を担保物件情報との緯度経度距離順に抽出(リストアップ)する。
(2)次に、明細選定部102bは、(1)にて抽出(リストアップ)された前記公示地・基準地明細から、以下の(2-1)および(2-2)の処理により、前記公示地・基準地明細を選定する。
(2-1)担保物件情報と同様の用途地域の前記公示地・基準地明細を選定する。同様の用途地域が無い、かつ、住宅地も存在しない場合は、エラーとし、手動評価へ切り替える。
(2-2)最寄り駅からの距離が担保物件情報と等しい前記公示地・基準地明細を優先して選定する。以外の場合は、条件に加味しない。
(3)次に、明細採用部102cは、(2)で選定された明細のうち、担保物件と公示地または基準地との距離が近い前記公示地・基準地明細を採用する。
(4)最後に、評価額算出部102dは、(3)にて採用された前記公示地・基準地明細中の単価(円/m)に対して、入力された評価面積を掛けることにより、土地評価額の算出を行う。
(5)なお、表示部102eは、(3)で算出した距離が設定距離情報マスタ106cに設定された設定値以上である場合、距離アラートフラグを立てる。
【0044】
(処理の詳細)
(1)明細抽出処理
最初に、明細抽出部102aは、担保物件登録データ106a(図3参照)中の緯度経度情報に対して、公示地・基準地データ106b中の緯度経度情報が所定の範囲に属する前記公示地・基準地明細を抽出する。
【0045】
ここで、前記所定の範囲に属するとは、特に制限されないが、例えば、担保物件登録データ106a中の緯度に対して公示地・基準地データ106b中の緯度が±〇〇度の範囲内にあり、かつ、担保物件登録データ106a中の経度に対して公示地・基準地データ106b中の経度が±××度の範囲内にある、という条件を意味する。本例では、図4の公示地・基準地データ106bに示す前記公示地・基準地明細が抽出されるものとする。
【0046】
(2)明細選定処理
続いて、明細選定部102bは、(1)において明細抽出部102aで抽出した前記公示地・基準地明細から、
(2-1)担保物件登録データ106a中の用途地域と同じ用途地域を有し、かつ、
(2-2)担保物件登録データ106a中の最寄り駅からの距離と同じ最寄り駅からの距離を有する、
前記公示地・基準地明細を選定する。
【0047】
具体的に、図3の担保物件登録データ106a中の3つの物件に対して、図4の公示地・基準地データ106bから、どの前記公示地・基準地明細が選定されるかを説明する。
【0048】
まず、図3の担保物件登録データ106a中の物件番号「PJ0001」の物件について説明する。図3に示すように、当該物件の用途地域は「住宅地」であり、当該物件の最寄り駅からの距離は「500メートル以内」である。ここで、図4の公示地・基準地データ106bを参照すると、用途地域が「住宅地」であり、かつ、最寄り駅からの距離が「500メートル以内」である前記公示地・基準地明細は、「YY0003」の明細のみである。このため、明細選定部102bは、物件番号「PJ0001」の物件に対しては、「YY0003」の前記公示地・基準地明細を選定する。
【0049】
次に、図3の担保物件登録データ106a中の物件番号「PJ0002」の物件について説明する。図3に示すように、当該物件の用途地域は「工業地」であり、当該物件の最寄り駅からの距離は「1km以内」である。ここで、図4の公示地・基準地データ106bを参照すると、用途地域が「工業地」であり、かつ、最寄り駅からの距離が「1km以内」である前記公示地・基準地明細は、存在しない。このため、明細選定部102bは、物件番号「PJ0002」の物件に対しては、前記公示地・基準地明細を選定しない。
【0050】
最後に、図3の担保物件登録データ106a中の物件番号「PJ0003」の物件について説明する。図3に示すように、当該物件の用途地域は「住宅地」であり、当該物件の最寄り駅からの距離は「1km以上」である。ここで、図4の公示地・基準地データ106bを参照すると、用途地域が「住宅地」であり、かつ、最寄り駅からの距離が「1km以上」である前記公示地・基準地明細は、「XX0001」の明細のみである。このため、明細選定部102bは、物件番号「PJ0003」の物件に対しては、「XX0001」の前記公示地・基準地明細を選定する。
【0051】
(3)明細採用処理
続いて、明細採用部102cは、(2)において明細選定部102bで前記物件ごとに選定した前記公示地・基準地明細から、担保物件登録データ106a中の緯度経度および前記公示地・基準地明細中の緯度経度に基づいて算出した、前記物件と前記公示地または前記基準地の距離が最も短くなる前記公示地・基準地明細を前記物件ごとに採用する。
【0052】
まず、図3の担保物件登録データ106a中の物件番号「PJ0001」の物件に対しては、(2)で説明したように、「YY0003」の前記公示地・基準地明細のみが選定されている。このため、明細採用部102cは、物件番号「PJ0001」の物件に対しては、「YY0003」の前記公示地・基準地明細を採用する。
【0053】
次に、図3の担保物件登録データ106a中の物件番号「PJ0002」の物件に対しては、(2)で説明したように、前記公示地・基準地明細が選定されていない。この場合、明細採用部102cは、物件番号「PJ0002」の物件の緯度経度「35.67,139.80」および公示地・基準地データ106b中の緯度経度に基づいて、当該物件と前記公示地または前記基準地との間の距離を算出する。明細採用部102cは、公示地・基準地データ106bから、当該距離が最も小さくなる「YY0001」の前記公示地・基準地明細を採用する。
【0054】
最後に、図3の担保物件登録データ106a中の物件番号「PJ0003」の物件に対しては、(2)で説明したように、「XX0001」の前記公示地・基準地明細のみが選定されている。このため、明細採用部102cは、物件番号「PJ0003」の物件に対しては、「XX0001」の前記公示地・基準地明細を採用する。
【0055】
各物件に対して採用された前記公示地・基準地明細(採用準拠地)および採用根拠をまとめた表を、図6に示す。
【0056】
(4)評価額算出処理
最後に、評価額算出部102dは、(3)において明細採用部102cで採用した物件ごとの前記公示地・基準地明細中の単価(円/m)と、前記土地の評価面積と、を掛けることにより、前記物件の土地評価額を前記物件ごとに算出する。
【0057】
まず、図3の担保物件登録データ106a中の物件番号「PJ0001」の物件に対しては、(3)で説明したように、「YY0003」の前記公示地・基準地明細が採用されている。このため、評価額算出部102dは、「YY0003」の前記公示地・基準地明細中の単価230,000円/mと、物件番号「PJ0001」の物件の評価面積80mと、を掛けることにより、18,400千円を算出する。
【0058】
次に、図3の担保物件登録データ106a中の物件番号「PJ0002」の物件に対しては、(3)で説明したように、「YY0001」の前記公示地・基準地明細が採用されている。このため、評価額算出部102dは、「YY0001」の前記公示地・基準地明細中の単価200,000円/mと、物件番号「PJ0002」の物件の評価面積120mと、を掛けることにより、24,000千円を算出する。
【0059】
最後に、図3の担保物件登録データ106a中の物件番号「PJ0003」の物件に対しては、(3)で説明したように、「XX0001」の前記公示地・基準地明細が採用されている。このため、評価額算出部102dは、「XX0001」の前記公示地・基準地明細中の単価100,000円/mと、物件番号「PJ0003」の物件の評価面積100mと、を掛けることにより、10,000千円を算出する。
【0060】
各物件についての土地評価額の計算式および各物件について算出された土地評価額をまとめた表を、図7に示す。
【0061】
(5)評価結果画面の表示
最後に、表示部102eは、(3)において明細採用部102cが採用した前記距離が、設定距離情報マスタ106cに設定された設定値以上である場合、自動評価した結果を画面に表示する際に、アラートも併せて表示する。
【0062】
前記画面の例を、図8に示す。表示部102eは、図8に示すように、各物件について自動評価(自動算出)された土地評価額を表示する。ここで、仮に、物件番号「PJ0004」の物件について、前記物件と前記公示地または前記基準地の距離が22,000メートルであるとして、かつ、設定距離情報マスタ106cに設定された設定値が、図5に示すように20,000メートルであるとすると、距離22,000メートルは設定値20,000メートル以上である。この場合、表示部102eは、図8に示すように、物件番号「PJ0004」の物件に対して、「設定距離内に公示地基準地無し」という距離アラートを表示する。
【0063】
図8に表示された評価結果(土地評価額)に問題がない場合、オペレータは、評価結果(土地評価額)を確定する。これに対して、図8に表示された評価結果(土地評価額)に問題がある場合、オペレータは、評価結果(土地評価額)の補正をすることができる。
【0064】
[4.本実施形態のまとめ]
このように、本実施形態に係る土地評価額算出装置100によれば、[3-3]の(1)~(4)で主に説明したように、不動産の土地評価額を算出することができる。これにより、例えば、担保とする不動産の土地評価額の相場額を、簡便かつ短時間に把握することが可能となった。
【0065】
また、本実施形態に係る土地評価額算出装置100によれば、[3-3]の(5)で主に説明したように、前記担保物件と前記公示地または前記基準地との間の距離が、所定の設定値以上である場合、アラートを表示することができる。
【0066】
[5.国連が主導する持続可能な開発目標(SDGs)への貢献]
本実施形態により、業務効率化や企業の適切な経営判断を推進することに寄与することができるので、SDGsの目標8及び9に貢献することが可能となる。
【0067】
また、本実施形態により、廃棄ロス削減や、ペーパレス・電子化を推進することに寄与することができるので、SDGsの目標12、13及び15に貢献することが可能となる。
【0068】
また、本実施形態により、統制、ガバナンス強化に寄与することができるので、SDGsの目標16に貢献することが可能となる。
【0069】
[6.他の実施形態]
本発明は、上述した実施形態以外にも、特許請求の範囲に記載した技術的思想の範囲内において種々の異なる実施形態にて実施されてよいものである。
【0070】
例えば、実施形態において説明した各処理のうち、自動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を手動的に行うこともでき、あるいは、手動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を公知の方法で自動的に行うこともできる。
【0071】
また、本明細書中や図面中で示した処理手順、制御手順、具体的名称、各処理の登録データや検索条件等のパラメータを含む情報、画面例、データベース構成については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。
【0072】
また、土地評価額算出装置100に関して、図示の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。
【0073】
例えば、土地評価額算出装置100が備える処理機能、特に制御部にて行われる各処理機能については、その全部または任意の一部を、CPUおよび当該CPUにて解釈実行されるプログラムにて実現してもよく、また、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現してもよい。尚、プログラムは、本実施形態で説明した処理を情報処理装置に実行させるためのプログラム化された命令を含む一時的でないコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されており、必要に応じて土地評価額算出装置100に機械的に読み取られる。すなわち、ROMまたはHDD(Hard Disk Drive)などの記憶部などには、OSと協働してCPUに命令を与え、各種処理を行うためのコンピュータプログラムが記録されている。このコンピュータプログラムは、RAMにロードされることによって実行され、CPUと協働して制御部を構成する。
【0074】
また、このコンピュータプログラムは、土地評価額算出装置100に対して任意のネットワークを介して接続されたアプリケーションプログラムサーバに記憶されていてもよく、必要に応じてその全部または一部をダウンロードすることも可能である。
【0075】
また、本実施形態で説明した処理を実行するためのプログラムを、一時的でないコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納してもよく、また、プログラム製品として構成することもできる。ここで、この「記録媒体」とは、メモリーカード、USB(Universal Serial Bus)メモリ、SD(Secure Digital)カード、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、EEPROM(登録商標)(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory)、CD-ROM(Compact Disk Read Only Memory)、MO(Magneto-Optical disk)、DVD(Digital Versatile Disk)、および、Blu-ray(登録商標) Disc等の任意の「可搬用の物理媒体」を含むものとする。
【0076】
また、「プログラム」とは、任意の言語または記述方法にて記述されたデータ処理方法であり、ソースコードまたはバイナリコード等の形式を問わない。なお、「プログラム」は必ずしも単一的に構成されるものに限られず、複数のモジュールやライブラリとして分散構成されるものや、OSに代表される別個のプログラムと協働してその機能を達成するものをも含む。なお、実施形態に示した各装置において記録媒体を読み取るための具体的な構成および読み取り手順ならびに読み取り後のインストール手順等については、周知の構成や手順を用いることができる。
【0077】
記憶部に格納される各種のデータベース等は、RAM、ROM等のメモリ装置、ハードディスク等の固定ディスク装置、フレキシブルディスク、および、光ディスク等のストレージ手段であり、各種処理やウェブサイト提供に用いる各種のプログラム、テーブル、データベース、および、ウェブページ用ファイル等を格納する。
【0078】
また、土地評価額算出装置100は、既知のパーソナルコンピュータまたはワークステーション等の情報処理装置として構成してもよく、また、任意の周辺装置が接続された当該情報処理装置として構成してもよい。また、土地評価額算出装置100は、当該装置に本実施形態で説明した処理を実現させるソフトウェア(プログラムまたはデータ等を含む)を実装することにより実現してもよい。
【0079】
更に、装置の分散・統合の具体的形態は図示するものに限られず、その全部または一部を、各種の付加等に応じてまたは機能負荷に応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。すなわち、上述した実施形態を任意に組み合わせて実施してもよく、実施形態を選択的に実施してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0080】
本発明は、例えば、不動産(土地および建物等)の評価額を簡易算出する業務を行っている業界において有用であり、特に、金融業界においては極めて有用である。
【符号の説明】
【0081】
100 土地評価額算出装置
102 制御部
102a 明細抽出部
102b 明細選定部
102c 明細採用部
102d 評価額算出部
102e 表示部
104 通信インターフェース部
106 記憶部
106a 担保物件登録データ
106b 公示地・基準地データ
106c 設定距離情報マスタ
108 入出力インターフェース部
112 入力装置
114 出力装置
200 サーバ
300 ネットワーク
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8