(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022131437
(43)【公開日】2022-09-07
(54)【発明の名称】吐出器
(51)【国際特許分類】
B65D 47/34 20060101AFI20220831BHJP
F04B 9/14 20060101ALI20220831BHJP
【FI】
B65D47/34 110
B65D47/34 BRL
F04B9/14 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021030386
(22)【出願日】2021-02-26
(71)【出願人】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100140718
【弁理士】
【氏名又は名称】仁内 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【弁理士】
【氏名又は名称】大浪 一徳
(74)【代理人】
【識別番号】100188592
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 洋
(72)【発明者】
【氏名】先曽 洋一
(72)【発明者】
【氏名】吉村 和寿
【テーマコード(参考)】
3E084
3H075
【Fターム(参考)】
3E084AA12
3E084AA24
3E084AB01
3E084BA02
3E084CA01
3E084CC03
3E084DA01
3E084DB12
3E084DC03
3E084GA01
3E084GB01
3E084KB01
3E084LB02
3E084LB07
3E084LC01
3E084LD22
3H075AA01
3H075BB03
3H075CC33
3H075CC35
3H075CC40
3H075DA30
3H075DB14
(57)【要約】
【課題】環境負荷低減するとともに、使用者による廃棄の容易化を実現することができる吐出器を提供する。
【解決手段】吐出器1は、容器体Aにおける口部A1の内側に、上方付勢状態で下方移動可能に配設されるステム21と、ステム21が挿入された筒状のシリンダ23と、シリンダ23内でステム21の上下動に連係するとともに、シリンダ23の内周面に上下摺動可能に嵌合されたピストン22と、ステム21を径方向の外側から囲うとともにステム21の上部に取り付けられ、ステム21を上方に付勢する合成樹脂製の付勢部材25と、ステム21の上端部に取り付けられ、内容液を吐出するノズル孔54aを有する押下ヘッド5と、備えている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器体における口部の内側に、上方付勢状態で下方移動可能に配設されるステムと、
前記ステムが挿入された筒状のシリンダと、
前記シリンダ内で前記ステムの上下動に連係するとともに、前記シリンダの内周面に上下摺動可能に嵌合されたピストンと、
前記ステムを径方向の外側から囲うとともに前記ステムの上部に取り付けられ、前記ステムを上方に付勢する合成樹脂製の付勢部材と、
前記ステムの上端部に取り付けられ、内容液を吐出するノズル孔を有する押下ヘッドと、
を備えている、吐出器。
【請求項2】
少なくとも、前記ステム、前記シリンダ、前記ピストンおよび前記付勢部材が、ポンプモジュールを構成し、
前記押下ヘッドは、前記ポンプモジュールにおける前記ステムの上端部に取り付けられる、請求項1に記載の吐出器。
【請求項3】
前記シリンダの上端部に設けられた合成樹脂製のピストン抑えを更に備え、
前記付勢部材は、前記ピストン抑えと一体に形成され、前記ピストン抑えから上方に延びている、請求項1または2に記載の吐出器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吐出器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えば下記特許文献1に示されるように、容器体における口部の内側に、上方付勢状態で下方移動可能に配設されるステムと、ステムが挿入された筒状のシリンダと、シリンダ内でステムの上下動に連係するとともに、シリンダの内周面に上下摺動可能に嵌合されたピストンと、ステムの上端部に取り付けられ、内容液を吐出するノズル孔を有する押下ヘッドと、を備える吐出器が知られている。
一般に、ステムを上方付勢する付勢部材は、金属材料で形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、吐出器では、環境負荷を低減するという観点や、使用者による廃棄の容易化という観点から、金属材料からなる付勢部材を使用しないことが求められている。
【0005】
本発明は、このような事情を考慮してなされたもので、環境負荷低減するとともに、使用者による廃棄の容易化を実現することができる吐出器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
<1>本発明の一態様に係る吐出器は、容器体における口部の内側に、上方付勢状態で下方移動可能に配設されるステムと、前記ステムが挿入された筒状のシリンダと、前記シリンダ内で前記ステムの上下動に連係するとともに、前記シリンダの内周面に上下摺動可能に嵌合されたピストンと、前記ステムを径方向の外側から囲うとともに前記ステムの上部に取り付けられ、前記ステムを上方に付勢する合成樹脂製の付勢部材と、前記ステムの上端部に取り付けられ、内容液を吐出するノズル孔を有する押下ヘッドと、を備えている。
【0007】
この吐出器では、押下ヘッドが押下され、ステムおよびピストンが下降するときに、ステムの下降に伴って付勢部材が上下方向に弾性的に圧縮変形される。押下ヘッドの押下が解除されると付勢部材が復元変形し、ステム、ピストンおよび押下ヘッドが押し上げられる。このとき、付勢部材がステムに取り付けられており、付勢部材の復元変形に伴ってステムが確実に上方に復元変位する。よって、例えば、下降したステムが上方に復元変位しない等という不具合の発生が抑えられる。
付勢部材が合成樹脂材料で形成されているので、環境負荷低減することができる。さらに例えば、全ての部材が合成樹脂材料によって形成された吐出器を実現することができる。その結果、吐出器の廃棄に際し、付勢部材と、合成樹脂材料からなる他の部材と、を分別する必要をなくすことができる。よって、使用者による廃棄の容易化を実現することができる。
付勢部材が、ステムの上部に取り付けられている。よって、例えば、ステムが押下されたときに、付勢部材が押下されることなくステムのみがシリンダ内に下降すること等が抑えられる。
【0008】
<2>上記<1>に係る吐出器では、少なくとも、前記ステム、前記シリンダ、前記ピストンおよび前記付勢部材が、ポンプモジュールを構成し、前記押下ヘッドは、前記ポンプモジュールにおける前記ステムの上端部に取り付けられる構成を採用してもよい。
【0009】
押下ヘッドが、ポンプモジュールにおけるステムの上端部に取り付けられる。よって、例えば、この吐出器を、種類が異なる複数の製品に適用する場合において、ポンプモジュールは共通とさせつつ、押下ヘッドなどを製品に応じて適宜変更すること等ができる。
【0010】
<3>上記<1>または<2>に係る吐出器では、前記シリンダの上端部に設けられた合成樹脂製のピストン抑えを更に備え、前記付勢部材は、前記ピストン抑えと一体に形成され、前記ピストン抑えから上方に延びている構成を採用してもよい。
【0011】
付勢部材がピストン抑えと一体に形成されている。すなわち、付勢部材とピストン抑えとが1つの成形品によって形成されている。よって、部品点数の増加を抑えることができるとともに、吐出器を容易に組み立てることもできる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、環境負荷低減するとともに、使用者による廃棄の容易化を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る吐出器の縦断面図である。
【
図3】
図1に示す吐出器を構成するポンプモジュールの縦断面図である。
【
図4】本発明の第2実施形態に係る吐出器の縦断面図である。
【
図5】本発明の第1変形例に係るステムと付勢部材との取り付け形態を示す縦断面図である。
【
図6】本発明の第2変形例に係るステムと付勢部材との取り付け形態を示す縦断面図である。
【
図7】本発明の第3変形例に係るステムと付勢部材との取り付け形態を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(第1実施形態)
以下、本発明に係る吐出器の第1実施形態について図面を参照して説明する。
図1から
図3に示すように、本実施形態の吐出器1は、ステム21を有するポンプモジュール2と、ステム21に装着された押下ヘッド5と、ポンプモジュール2を内容液が収容された容器体Aの口部A1に装着する装着キャップ7と、を備えている。
吐出器1を構成する全ての部品は、合成樹脂材料により形成されている。
【0015】
ステム21および装着キャップ7は、共通軸と同軸に配設されている。以下、この共通軸を中心軸線Oといい、中心軸線Oに沿って押下ヘッド5側を上側、容器体Aの図示しない底部側を下側という。また、中心軸線Oに沿う方向を上下方向といい、上下方向から見て、中心軸線Oに交差する方向を径方向、中心軸線O回りに周回する方向を周方向という。
【0016】
容器体Aは、有底筒状に形成され、口部A1の外周面に雄ねじが形成されている。容器体Aは、中心軸線Oと同軸に配設されている。
装着キャップ7は、環状の天壁および周壁を有する有頂筒状に形成されている。装着キャップ7の天壁の内側に、ステム21が上下動可能に挿入されている。装着キャップ7の周壁の内周面に、口部A1の雄ねじに螺合する雌ねじが形成されている。なお、装着キャップ7の周壁は、口部A1に、例えばアンダーカット嵌合等されてもよい。装着キャップ7は、天壁から上方に向けて突出した案内筒73を更に備えている。案内筒73は、中心軸線Oと同軸に配設されている。
【0017】
ポンプモジュール2は、ステム21、ピストンガイド40、ピストン22、シリンダ23、下部弁体24、パッキン9および付勢部材25を備えている。
【0018】
シリンダ23は、環状の底壁および周壁を有する有底筒状に形成され、中心軸線Oと同軸に配設されている。シリンダ23の底壁における内周縁部に、下方に向けて延びる取付筒27が設けられている。取付筒27には、吸上筒28(パイプ)の上端部が嵌合されている。吸上筒28の下端開口部は、容器体Aの図示しない底部内に位置する。
シリンダ23の周壁の上端部に、径方向の外側に向けて突出するとともに、周方向に延びる固定フランジ部29が形成されている。固定フランジ部29は、パッキン9を介して容器体Aの口部A1の上端開口縁に配置される。固定フランジ部29の上面には、装着キャップ7の天壁の下面が配置されている。シリンダ23の周壁の下端部内に、下部弁体24が設けられている。
【0019】
下部弁体24は、嵌合筒31、弁本体32、および連結片33を備えている。
嵌合筒31は、シリンダ23の周壁の下端部内に嵌合されている。弁本体32は板状に形成され、シリンダ23の底壁の上面における開口周縁部に着座し、シリンダ23の底壁の内側を閉塞している。弁本体32は、嵌合筒31の内周面に、弾性変形可能な連結片33を介して連結されている。弁本体32は、連結片33の弾性変形に伴い上下方向に弾性変位する。
下部弁体24は、シリンダ23内の加圧時に、シリンダ23の底壁の内側を閉塞した状態に保持し、シリンダ23内の減圧時に、シリンダ23の底壁の内側を開放する逆止弁となっている。これにより、下部弁体24は、シリンダ23内の加圧時に、シリンダ23内の内容液がシリンダ23の底壁の内側を通じて容器体Aに戻ることを阻止する一方、シリンダ23内の減圧時に、容器体A内の内容液をシリンダ23の底壁の内側を通じてシリンダ23内に流入させる。
【0020】
ステム21は、口部A1に上方付勢状態で下方移動可能に立設される。ステム21は、筒状に形成されている。ステム21の下端部21aは、シリンダ23内に収容されている。ステム21の下端部21aは、ステム21において下端部21aよりも上側に位置する部分よりも拡径している。ステム21の上部は、シリンダ23の上端開口部より上方に位置している。
【0021】
ピストンガイド40は、ステム21に対して下方から取り付けられている。ピストンガイド40は、有底筒状に形成されている。ピストンガイド40の上端部は、ステム21において、下端部21aよりも上側に位置する部分内に嵌め込まれている。ピストンガイド40には、径方向に貫く連通孔34が形成されている。ピストンガイド40には、径方向の外側に突出した台座部35が形成されている。台座部35は、ピストンガイド40のうち、連通孔34より下方に位置する部分に形成されている。台座部35は、ピストン22を、ピストン22の下方から支持している。
【0022】
ピストン22は、外筒38、内筒37、および連結板39を備えている。
外筒38は、円筒状に形成され、中心軸線Oと同軸に設けられている。外筒38は、シリンダ23内に上下摺動可能に嵌合されている。シリンダ23において、外筒38と径方向で対向する部分に、径方向に貫通する貫通孔が形成されている。
内筒37は、円筒状に形成され、中心軸線Oと同軸に設けられている。内筒37の下端部は、ピストンガイド40の台座部35に離反可能に着座している。これにより、内筒37は、シリンダ23内において、ピストン22より下方に位置する部分(以下、下室23aという)と、ピストンガイド40の連通孔34と、の連通、およびその遮断を切替える。このようなピストンガイド40は、ポンプモジュール2における上部弁体として機能する。内筒37の上部は、ステム21の下端部21a内に上下摺動可能に嵌合されている。
連結板39は、外筒38の内周面と内筒37の外周面とを連結し、周方向の全長にわたって連続して延びている。連結板39の上面は、ステム21の下端開口縁(下端部21a)と上下方向の隙間をあけた状態で対向している。
【0023】
押下ヘッド5は、頂壁部51および外筒部52を有する有頂筒状に形成され、中心軸線Oと同軸に配設されている。外筒部52は、装着キャップ7の案内筒73より径方向の内側に設けられている。外筒部52の下端部は、案内筒73の上端部より下方に位置している。
押下ヘッド5は、頂壁部51から下方に突出した装着筒部53と、装着筒部53から径方向の外側に向けて延び、外筒部52を径方向に貫くノズル筒部54と、頂壁部51から下方に延びるリブ55と、を有する。ノズル筒部54の先端には、径方向に開口するノズル孔54aが形成されている。ノズル筒部54の内部は、装着筒部53内に連通している。装着筒部53は、中心軸線Oと同軸に配設されている。装着筒部53の下端部は、外筒部52の下端部よりも上方に位置している。装着筒部53の外側には、ステム21の上端部が嵌合されている。装着筒部53は、ステム21内に挿入されている。リブ55における径方向の内側の端部は、装着筒部53の外周面に接続されている。リブ55における径方向の外側の端部は、外筒部52の内周面に接続されている。リブ55の下端は、ノズル筒部54の下端よりも下方に位置している。リブ55は、周方向に間隔をあけて複数配置されている。
【0024】
ここでシリンダ23の上端部には、ピストン抑え41が設けられている。ピストン抑え41は、ピストン22など、シリンダ23内の部品の抜け止めとして機能する。ピストン抑え41内には、ステム21が挿通されている。ピストン抑え41は、中心軸線Oと同軸に配置されている。
ピストン抑え41は、板部42と、第1筒部43と、第2筒部44と、連結部45と、を備えている。板部42は、表裏面が上下方向を向く環状の板である。板部42の外周部は、固定フランジ部29上に配置されている。板部42の外周部は、固定フランジ部29と装着キャップ7との間に上下方向に挟まれている。第1筒部43は、板部42の内周縁から下方に延びている。第1筒部43は、シリンダ23の周壁の上端部内に嵌合されている。第1筒部43は、シリンダ23の周壁の上端部とステム21の下端部21aとの間に配置されている。第2筒部44は、第1筒部43の径方向の内側に配置されている。第2筒部44は、第1筒部43における上下方向の中央よりも上側に配置されている。第2筒部44は、ステム21の下端部21aの上方に配置されている。連結部45は、第1筒部43と第2筒部44とを連結する。連結部45は、環状である。連結部45は、第2筒部44の下端から径方向の外側に延びている。連結部45の径方向の外周縁は、第1筒部43の内周面に連結されている。第1筒部43と第2筒部44との間には、環状の隙間が設けられている。
【0025】
付勢部材25は、ピストン抑え41から上方に延びる。付勢部材25は、シリンダ23の外部に配置されている。付勢部材25は、全体として筒状に形成されている。付勢部材25は、ステム21を径方向の外側から囲っている。付勢部材25は、案内筒73の内部に配置されている。
【0026】
なお図示の例では、付勢部材25は、複数の環状体25aと、複数の連結体25bと、を備えている。複数の環状体25aは、上下方向に間隔をあけて並んでいる。複数の環状体25aは、中心軸線Oと同軸に配置されている。上下方向に隣り合う環状体25aは、連結体25bを介して互いに連結されている。本実施形態では、付勢部材25が、環状体25aと連結体25bとが上下方向に交互に並ぶことで形成されている。連結体25bは、上下方向に隣り合う環状体25aを弾性的に連結している。連結体25bは、周方向に間隔をあけて複数(例えば3つ)配置されたばね片25cを備えている。ばね片25cは、ばね片25cを径方向の外側から見た正面視において、中心軸線Oに対して傾斜している。環状体25aを間に挟んで隣り合う連結体25bでは、ばね片25cが傾斜する方向が互いに反対側となる。環状体25aを間に挟んで隣り合う連結体25bのうち、上側の連結体25bにおけるばね片25cの下端は、下側の連結体25bにおけるばね片25cの上端と、周方向に同等の位置である。なお、付勢部材25の形態はこれに限られず、公知の樹脂ばねの形態を採用することが可能である。例えば設計者は、付勢部材25の径方向の厚さ(肉厚)を適宜変更してもよい。
【0027】
付勢部材25の下端部は、ピストン抑え41の上面に固定されている。付勢部材25の下端部は、ピストン抑え41の第1筒部43と第2筒部44との間の前記隙間に嵌め込まれている。図示の例では、付勢部材25のうちの最も下側の環状体25aが、前記隙間に嵌め込まれている。付勢部材25の下端部は、連結部45に支持されている。
【0028】
付勢部材25は、ステム21の上部に取り付けられている。図示の例では、付勢部材25の上端部には、凸部25dが設けられている。凸部25dは、複数の環状体25aのうち、最も上側に位置する環状体25aに設けられている。なお、前記最も上側に位置する環状体25aは、他の環状体25aに比べて、上下方向に大きく、かつ、径方向に厚い。凸部25dは、付勢部材25から径方向の内側に向けて突出している。ステム21の上端部には、凹部21dが設けられている。凹部21dは、ステム21の外周面から径方向の内側に向けて窪んでいる。凹部21dには、凸部25dが嵌め込まれている。凹部21dと凸部25dとはアンダーカット嵌合されており、凸部25dは凹部21dに対して上下方向に実質的に相対変位不能に嵌め込まれている。言い換えると、凸部25dが凹部21dに対して、上下方向に遊びなく嵌め込まれている。その結果、本実施形態では、付勢部材25の上端部とステム21の上端部とが、上下方向に相対変位不能である。
【0029】
なお凸部25dが凹部21dに対して、上下方向に相対変位可能に嵌め込まれていてもよい。言い換えると、凸部25dが凹部21dに対して、上下方向に遊びをもって嵌め込まれていてもよい。このような構成は、例えば、凹部21dの上下方向の大きさが、凸部25dの上下方向の大きさよりも大きい場合に実現することができる。凹部21dの上下方向の大きさが、凸部25dの上下方向の大きさに対して1倍~1.5倍程度の大きさであってもよい。この場合、付勢部材25とステム21とが、上下方向に僅かに相対変位可能である。
さらに、本実施形態では、付勢部材25の上端部がステム21の上端部に取り付けられているが、付勢部材25がステム21の上部に取り付けられた他の形態に適宜変更可能である。例えば、付勢部材25の上端部が、ステム21の上部のうち、上下方向の端寄りに位置する部分でなく、中央寄りに位置する部分に取り付けられていてもよい。
また図示の例では、付勢部材25の上端面は、押下ヘッド5(リブ55の下端)に対して下方に離れているが、付勢部材25の上端面が押下ヘッド5に接していてもよい。
【0030】
次に、
図1に示す上述した吐出器1の作用について説明する。
【0031】
押下ヘッド5を押し下げると、ステム21が下降しながら、付勢部材25の上端部がステム21の上端部に連係して下降し、付勢部材25が上下方向に弾性的に圧縮変形されられる。このとき、ピストンガイド40の台座部35とピストン22の内筒37との間のシールが解除され、シリンダ23内の下室23aと、ピストンガイド40の連通孔34と、が連通する。この状態からさらに押下ヘッド5を継続して押し下げると、ステム21の下端開口縁がピストン22の連結板39の上面に当接することで、ピストン22も押下ヘッド5とともに下方移動する。これにより、シリンダ23内の下室23aが加圧され、シリンダ23内の内容液が、台座部35とピストン22との間の上下方向の隙間、連通孔34、ステム21内、装着筒部53内、およびノズル筒部54内をこの順に通過して、ノズル孔54aから吐出される。この際、下部弁体24の弁本体32が、シリンダ23の底壁の上面における開口周縁部に着座した状態に保たれる。
【0032】
その後、押下ヘッド5の押し下げを解除すると、付勢部材25による上方付勢力により、押下ヘッド5がステム21とともに上方に復元移動する。この過程において、ピストンガイド40の台座部35が、ピストン22にピストン22の下方から当接し、台座部35と内筒37との間がシールされることで、シリンダ23内の下室23aと、ピストンガイド40の連通孔34と、の連通が遮断され、その後継続して、ピストン22も押下ヘッド5とともに上方に移動すると、シリンダ23内の下室23aが減圧され、下部弁体24における弁本体32が、連結片33を弾性変形させつつ、シリンダ23の底壁の上面における開口周縁部から上方に離間することで、容器体A内の内容液が、吸上筒28内を通してシリンダ23内に流入する。なお、付勢部材25の復元変形時、付勢部材25がステム21に取り付けられており、付勢部材25の復元変形に伴ってステム21が確実に上方に復元変位する。よって、例えば、下降したステム21が上方に復元変位しない等という不具合の発生が抑えられる。
【0033】
以上説明したように、本実施形態に係る吐出器1によれば、付勢部材25が合成樹脂材料で形成されているので、環境負荷低減することができる。さらに例えば、全ての部材が合成樹脂材料によって形成された吐出器1を実現することができる。その結果、吐出器1の廃棄に際し、付勢部材25と、合成樹脂材料からなる他の部材と、を分別する必要をなくすことができる。よって、使用者による廃棄の容易化を実現することができる。
付勢部材25が、ステム21の上部に取り付けられている。よって、例えば、ステム21が押下されたときに、付勢部材25が押下されることなくステム21のみがシリンダ23内に下降すること等が抑えられる。
【0034】
押下ヘッド5が、ポンプモジュール2におけるステム21の上端部に取り付けられる。よって、例えば、この吐出器1を、種類が異なる複数の製品に適用する場合において、ポンプモジュール2は共通とさせつつ、押下ヘッド5や装着キャップ7を製品に応じて適宜変更すること等ができる。
【0035】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態に係る吐出器を、
図4を参照して説明する。
なお、この第2実施形態においては、第1実施形態における構成要素と同一の部分については同一の符号を付し、その説明を省略し、異なる点についてのみ説明する。
【0036】
本実施形態に係る吐出器1Aでは、ピストン抑え41および付勢部材25は、一体に形成されている。ピストン抑え41および付勢部材25は、合成樹脂製の1つの成形品(射出成型品)である。
ピストン抑え41は、板部42と、第1筒部43と、を備えていて、第2筒部44および連結部45は備えていない。付勢部材25は、ピストン抑え41から上方に延びる。付勢部材25は、板部42の内周縁に設けられている。付勢部材25は、板部42を上下方向に挟んで第1筒部43の反対側に配置されている。
【0037】
以上説明したように、本実施形態に係る吐出器1Aによれば、付勢部材25がピストン抑え41と一体に形成されている。すなわち、付勢部材25とピストン抑え41とが1つの成形品によって形成されている。よって、部品点数の増加を抑えることができる。また、ピストン抑え41をシリンダ23の周壁の上端部に装着することで、付勢部材25をシリンダ23に組み付けることができる。よって、吐出器1を容易に組み立てることもできる。
【0038】
なお、本発明の技術的範囲は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【0039】
付勢部材25とステム21の上部との取り付けの形態は、前記実施形態にしましたような凹凸嵌合に限られない。
例えば、前記取り付けの形態が、
図5に示すような接着層25eを用いた形態であってもよい。この場合、接着層25eが、付勢部材25の上端部とステム21の上端部との間に配置される。接着層25eは、接着剤によって形成される。なお、接着に代えて溶着により、付勢部材25をステム21の上部に取り付けてもよい。
例えば、前記取り付けの形態が、
図6に示すような、雄ねじ21fおよび雌ねじ25fを用いた形態であってもよい。この場合、雄ねじ21fがステム21の上端部の外周面に設けられ、雌ねじ25fが付勢部材25の上端部の内周面に設けられている。雄ねじ21fおよび雌ねじ25fは、互いに螺合される。
例えば、前記取り付けの形態が、
図7に示すようなリブ21g、25gを用いた形態であってもよい。この場合、リブ21gがステム21の上端部の外周面に設けられ、リブ25gが付勢部材25の上端部の内周面に設けられている。リブ21gは上下方向に延びる縦リブであり、リブ25gは周方向に延びる横リブである。これらのリブ21g、25gは互いに食い込んでいる。これにより、前記取り付けが実現されている。
さらに上記の各形態の他、前記取り付けの形態は、アンダーカット嵌合や圧入などであってもよい。
【0040】
吐出器1、1Aを構成する全ての部品が合成樹脂製でなくてもよい。
ポンプモジュール2は、パッキン9を含んでいなくてもよい。例えば、ポンプモジュール2とパッキン9とを別々に準備しておき、容器体Aにポンプモジュールを組み付けるときに、パッキン9をポンプモジュール2と容器体Aの間に配置してもよい。
前記第2実施形態では、付勢部材25がピストン抑え41と一体に形成されているが、本発明は、付勢部材25が、シリンダ23と一体に形成されている他の形態であってもよい。例えば付勢部材25が、固定フランジ部29やシリンダ23の周壁などと一体であってもよい。
【0041】
その他、本発明の趣旨に逸脱しない範囲で、前記実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、前記した変形例を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0042】
1、1A 吐出器
2 ポンプモジュール
5 押下ヘッド
7 装着キャップ
21 ステム
22 ピストン
23 シリンダ
25 付勢部材
41 ピストン抑え
A 容器体
A1 口部