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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022131445
(43)【公開日】2022-09-07
(54)【発明の名称】半導体装置及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 25/065 20060101AFI20220831BHJP
   H01L 21/301 20060101ALI20220831BHJP
【FI】
H01L25/08 Y
H01L25/08 E
H01L21/78 Q
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021030397
(22)【出願日】2021-02-26
(71)【出願人】
【識別番号】318010018
【氏名又は名称】キオクシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001612
【氏名又は名称】弁理士法人きさらぎ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松永 健
【テーマコード(参考)】
5F063
【Fターム(参考)】
5F063AA05
5F063AA07
5F063BA07
5F063BA13
5F063BA31
5F063CA01
5F063CA04
5F063CB02
5F063CB06
5F063CB07
5F063CB25
5F063CB28
5F063DD25
(57)【要約】
【課題】好適に製造可能な半導体装置及びその製造方法を提供する。
【解決手段】半導体装置は、複数の貼合電極を介して貼合された第1チップ及び第2チップを備える。第1チップは、第1基板と、第1半導体素子と、複数の貼合電極のうちの一つであり、第1半導体素子に電気的に接続された第1貼合電極と、を備える。第2チップは、第2基板と、第2半導体素子と、複数の貼合電極のうちの一つであり、第2半導体素子に電気的に接続された第2貼合電極と、を備える。第2基板は、第1方向の両端部に設けられ、第1方向と交差する第2方向に延伸する一対の第1領域と、第2方向の両端部に設けられ、第1方向に延伸する一対の第2領域と、を備える。第2基板の表面と交差する第3方向から見て、第2基板の第1領域及び第2領域に設けられた部分は、第1基板と重ならない。
【選択図】図7


【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の貼合電極を介して貼合された第1チップ及び第2チップを備え、
前記第1チップは、
第1基板と、
第1半導体素子と、
前記複数の貼合電極のうちの一つであり、前記第1半導体素子に電気的に接続された第1貼合電極と
を備え、
前記第2チップは、
第2基板と、
第2半導体素子と、
前記複数の貼合電極のうちの一つであり、前記第2半導体素子に電気的に接続された第2貼合電極と
を備え、
前記第2基板は、
第1方向の両端部に設けられ、前記第1方向と交差する第2方向に延伸する一対の第1領域と、
前記第2方向の両端部に設けられ、前記第1方向に延伸する一対の第2領域と
を備え、
前記第2基板の表面と交差する第3方向から見て、前記第2基板の前記第1領域及び前記第2領域に設けられた部分は、前記第1基板と重ならない
半導体装置。
【請求項2】
複数の貼合電極を介して貼合された第1チップ及び第2チップを備え、
前記第1チップは、
第1基板と、
第1半導体素子と、
前記複数の貼合電極のうちの一つであり、前記第1半導体素子に電気的に接続された第1貼合電極と
を備え、
前記第2チップは、
第2基板と、
第2半導体素子と、
前記複数の貼合電極のうちの一つであり、前記第2半導体素子に電気的に接続された第2貼合電極と
を備え、
前記第1基板の第1方向、及び、前記第1方向と交差する第2方向の少なくとも一方における少なくとも一方の端部のラフネスを第1のラフネスとし、
前記第2基板の前記第1方向及び前記第2方向の少なくとも一方における少なくとも一方の端部のラフネスを第2のラフネスとすると、
前記第1のラフネスは、前記第2のラフネスよりも小さい
半導体装置。
【請求項3】
前記第1半導体素子は、データを記憶可能なメモリセルである
請求項1又は2記載の半導体装置。
【請求項4】
第1基板を備える第1ウェハと、第2基板を備える第2ウェハと、を貼合し、
前記第1基板の、ダイシングライン上に設けられた部分を除去して、前記第1基板を複数のダイに対応する複数の部分に分断し、
前記ダイシングラインに沿って前記第1ウェハ及び前記第2ウェハを分断して、前記複数のダイを形成する
半導体装置の製造方法。
【請求項5】
前記第1基板を複数のダイに対応する複数の部分に分断する際、前記第1基板に、複数のコンタクトホールを形成し、
前記複数のコンタクトホールを形成した後、前記複数のダイを形成する前に、前記複数のコンタクトホールの内部に、電極を形成する
請求項4記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本実施形態は、半導体装置及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
2枚のウェハ上に複数の貼合電極を形成し、これら複数の貼合電極を介してこれら2枚のウェハを貼合し、ダイシングブレード等によってこれら2枚のウェハを個片化することにより、複数のダイを形成する技術が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-026518号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
好適に製造可能な半導体装置及びその製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一の実施形態に係る半導体装置は、複数の貼合電極を介して貼合された第1チップ及び第2チップを備える。第1チップは、第1基板と、第1半導体素子と、複数の貼合電極のうちの一つであり、第1半導体素子に電気的に接続された第1貼合電極と、を備える。第2チップは、第2基板と、第2半導体素子と、複数の貼合電極のうちの一つであり、第2半導体素子に電気的に接続された第2貼合電極と、を備える。第2基板は、第1方向の両端部に設けられ、第1方向と交差する第2方向に延伸する一対の第1領域と、第2方向の両端部に設けられ、第1方向に延伸する一対の第2領域と、を備える。第2基板の表面と交差する第3方向から見て、第2基板の第1領域及び第2領域に設けられた部分は、第1基板と重ならない。
【0006】
一の実施形態に係る半導体装置は、複数の貼合電極を介して貼合された第1チップ及び第2チップを備える。第1チップは、第1基板と、第1半導体素子と、複数の貼合電極のうちの一つであり、第1半導体素子に電気的に接続された第1貼合電極と、を備える。第2チップは、第2基板と、第2半導体素子と、複数の貼合電極のうちの一つであり、第2半導体素子に電気的に接続された第2貼合電極と、を備える。第1基板の第1方向、及び、第1方向と交差する第2方向の少なくとも一方における少なくとも一方の端部のラフネスを第1のラフネスとし、第2基板の第1方向及び第2方向の少なくとも一方における少なくとも一方の端部のラフネスを第2のラフネスとすると、第1のラフネスは、第2のラフネスよりも小さい。
【0007】
一の実施形態に係る半導体装置の製造方法では、第1基板を備える第1ウェハと、第2基板を備える第2ウェハと、を貼合する。また、第1基板の、ダイシングライン上に設けられた部分を除去して、第1基板を複数のダイに対応する複数の部分に分断する。また、ダイシングラインに沿って第1ウェハ及び第2ウェハを分断して、複数のダイを形成する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第1実施形態に係る半導体記憶装置の構成を示す模式的なブロック図である。
図2】同半導体記憶装置の構成を示す模式的な側面図である。
図3】同半導体記憶装置の構成を示す模式的な平面図である。
図4】同半導体記憶装置の構成を示す模式的な分解斜視図である。
図5】同半導体記憶装置の構成を示す模式的な底面図である。
図6】同半導体記憶装置の構成を示す模式的な底面図である。
図7】同半導体記憶装置の構成を示す模式的な断面図である。
図8】同半導体記憶装置の構成を示す模式的な断面図である。
図9】第1実施形態に係る半導体記憶装置の製造方法について説明するための模式的な底面図である。
図10】同製造方法について説明するための模式的な断面図である。
図11】同製造方法について説明するための模式的な断面図である。
図12】同製造方法について説明するための模式的な断面図である。
図13】同製造方法について説明するための模式的な平面図である。
図14】同製造方法について説明するための模式的な断面図である。
図15】同製造方法について説明するための模式的な断面図である。
図16】同製造方法について説明するための模式的な断面図である。
図17】同製造方法について説明するための模式的な断面図である。
図18】同製造方法について説明するための模式的な断面図である。
図19】同製造方法について説明するための模式的な断面図である。
図20】同製造方法について説明するための模式的な断面図である。
図21】同製造方法について説明するための模式的な断面図である。
図22】比較例に係る半導体記憶装置の製造方法について説明するための模式的な断面図である。
図23】比較例に係る半導体記憶装置の製造方法について説明するための模式的な断面図である。
図24】第2実施形態に係る半導体記憶装置の構成を示す模式的な断面図である。
図25】第2実施形態に係る半導体記憶装置の製造方法について説明するための模式的な断面図である。
図26】同製造方法について説明するための模式的な断面図である。
図27】同製造方法について説明するための模式的な断面図である。
図28】同製造方法について説明するための模式的な断面図である。
図29】同製造方法について説明するための模式的な断面図である。
図30】第3実施形態に係る半導体記憶装置の構成を示す模式的な断面図である。
図31】第3実施形態に係る半導体記憶装置の製造方法について説明するための模式的な断面図である。
図32】同製造方法について説明するための模式的な断面図である。
図33】同製造方法について説明するための模式的な断面図である。
図34】第3実施形態に係る半導体記憶装置の他の製造方法について説明するための模式的な断面図である。
図35】同製造方法について説明するための模式的な断面図である。
図36】同製造方法について説明するための模式的な断面図である。
図37】第3実施形態に係る半導体記憶装置の変形例について説明するための模式的な断面図である。
図38】第1実施形態に係る半導体記憶装置の変形例の構成を示す模式的な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
次に、実施形態に係る半導体装置を、図面を参照して詳細に説明する。尚、以下の実施形態はあくまでも一例であり、本発明を限定する意図で示されるものではない。また、以下の図面は模式的なものであり、説明の都合上、一部の構成等が省略される場合がある。また、複数の実施形態について共通する部分には同一の符号を付し、説明を省略する場合がある。
【0010】
また、本明細書において、第1の構成が第2の構成に「電気的に接続されている」と言った場合、第1の構成は第2の構成に直接接続されていても良いし、第1の構成が第2の構成に配線、半導体部材又はトランジスタ等を介して接続されていても良い。例えば、3つのトランジスタを直列に接続した場合には、2つ目のトランジスタがOFF状態であったとしても、1つ目のトランジスタは3つ目のトランジスタに「電気的に接続」されている。
【0011】
また、本明細書において、第1の構成が第2の構成及び第3の構成の「間に接続されている」と言った場合、第1の構成、第2の構成及び第3の構成が直列に接続され、且つ、第2の構成が第1の構成を介して第3の構成に接続されていることを意味する場合がある。
【0012】
また、本明細書において、回路等が2つの配線等を「導通させる」と言った場合には、例えば、この回路等がトランジスタ等を含んでおり、このトランジスタ等が2つの配線の間の電流経路に設けられており、このトランジスタ等がON状態となることを意味する事がある。
【0013】
また、本明細書においては、基板の上面に対して平行な所定の方向をX方向、基板の上面に対して平行で、X方向と垂直な方向をY方向、基板の上面に対して垂直な方向をZ方向と呼ぶ。
【0014】
また、本明細書においては、所定の面に沿った方向を第1方向、この所定の面に沿って第1方向と交差する方向を第2方向、この所定の面と交差する方向を第3方向と呼ぶことがある。これら第1方向、第2方向及び第3方向は、X方向、Y方向及びZ方向のいずれかと対応していても良いし、対応していなくても良い。
【0015】
また、本明細書において「上」や「下」等の表現を使用した場合、例えば、ダイに含まれる2枚の半導体基板のうち、ボンディングパッド電極が設けられた方を上側の半導体基板とし、ボンディングパッド電極が設けられていない方を下側の半導体基板としても良い。更に、ダイに含まれる構成について言及する場合には、例えば、上記Z方向に沿って上側の半導体基板に近づく向きを上と、Z方向に沿って下側の半導体基板に近付く向きを下と呼んでも良い。また、ある構成について下面や下端と言う場合には、この構成の下側の半導体基板側の面や端部を意味する事とし、上面や上端と言う場合には、この構成の上側の半導体基板側の面や端部を意味する事としても良い。また、X方向又はY方向と交差する面を側面等と呼んでも良い。
【0016】
また、本明細書において、構成、部材等について、所定方向の「幅」、「長さ」又は「厚み」等と言った場合には、SEM(Scanning electronmicroscopy)やTEM(Transmissionelectron microscopy)等によって観察された断面等における幅、長さ又は厚み等を意味することがある。
【0017】
[第1実施形態]
[メモリシステム10]
図1は、第1実施形態に係るメモリシステム10の構成を示す模式的なブロック図である。
【0018】
メモリシステム10は、ホストコンピュータ20から送信された信号に応じて、ユーザデータの読出し、書込み、消去等を行う。メモリシステム10は、例えば、メモリチップ、メモリカード、SSD又はその他のユーザデータを記憶可能なシステムである。メモリシステム10は、ユーザデータを記憶する複数のメモリダイMDと、これら複数のメモリダイMD及びホストコンピュータ20に接続されるコントローラダイCDと、を備える。コントローラダイCDは、例えば、プロセッサ、RAM等を備え、論理アドレスと物理アドレスの変換、ビット誤り検出/訂正、ガベージコレクション(コンパクション)、ウェアレベリング等の処理を行う。
【0019】
図2は、本実施形態に係るメモリシステム10の構成例を示す模式的な側面図である。図3は、同構成例を示す模式的な平面図である。説明の都合上、図2及び図3では一部の構成を省略する。
【0020】
図2に示す様に、本実施形態に係るメモリシステム10は、実装基板MSBと、実装基板MSBに積層された複数のメモリダイMDと、メモリダイMDに積層されたコントローラダイCDと、を備える。実装基板MSBの上面のうち、Y方向の端部の領域にはボンディングパッド電極Pが設けられ、その他の一部の領域は接着剤等を介してメモリダイMDの下面に接着されている。メモリダイMDの上面のうち、Y方向の端部の領域にはボンディングパッド電極Pが設けられ、その他の領域は接着剤等を介して他のメモリダイMD又はコントローラダイCDの下面に接着されている。コントローラダイCDの上面のうち、Y方向の端部の領域にはボンディングパッド電極Pが設けられている。
【0021】
図3に示す様に、実装基板MSB、複数のメモリダイMD、及び、コントローラダイCDは、それぞれ、X方向に並ぶ複数のボンディングパッド電極Pを備えている。実装基板MSB、複数のメモリダイMD、及び、コントローラダイCDに設けられた複数のボンディングパッド電極Pは、それぞれ、ボンディングワイヤBを介してお互いに接続されている。
【0022】
尚、図2及び図3に示した構成は例示に過ぎず、具体的な構成は適宜調整可能である。例えば、図2及び図3に示す例では、複数のメモリダイMD上にコントローラダイCDが積層され、これらの構成がボンディングワイヤBによって接続されている。この様な構成では、複数のメモリダイMD及びコントローラダイCDが一つのパッケージ内に含まれる。しかしながら、コントローラダイCDは、メモリダイMDとは別のパッケージに含まれていても良い。また、複数のメモリダイMD及びコントローラダイCDは、ボンディングワイヤBではなく、貫通電極等を介してお互いに接続されていても良い。
【0023】
[メモリダイMDの構造]
図4は、本実施形態に係る半導体記憶装置の構成例を示す模式的な分解斜視図である。図4に示す通り、メモリダイMDは、メモリセルアレイMCAを含むチップCと、周辺回路を含むチップCと、を備える。
【0024】
チップCの上面には、複数のボンディングパッド電極Pが設けられている。また、チップCの下面には、複数の貼合電極PI1が設けられている。また、チップCの上面には、複数の貼合電極PI2が設けられている。以下、チップCについては、複数の貼合電極PI1が設けられる面を表面と呼び、複数のボンディングパッド電極Pが設けられる面を裏面と呼ぶ。また、チップCについては、複数の貼合電極PI2が設けられる面を表面と呼び、表面の反対側の面を裏面と呼ぶ。図示の例において、チップCの表面はチップCの裏面よりも上方に設けられ、チップCの裏面はチップCの表面よりも上方に設けられる。
【0025】
チップC及びチップCは、チップCの表面とチップCの表面とが対向するよう配置される。複数の貼合電極PI1は、複数の貼合電極PI2にそれぞれ対応して設けられ、複数の貼合電極PI2に貼合可能な位置に配置される。貼合電極PI1と貼合電極PI2とは、チップCとチップCとを貼合し、かつ電気的に導通させるための、貼合電極として機能する。
【0026】
尚、図4の例において、チップCの角部a1、a2、a3、a4は、それぞれ、チップCの角部b1、b2、b3、b4と対応する。
【0027】
図5は、チップCの構成例を示す模式的な底面図である。図6は、チップCに含まれる半導体基板100の構成を示す模式的な底面図である。図7は、メモリダイMDの構成を示す模式的な断面図である。尚、図7は、図5に示す構成をA-A´線に沿って切断し、矢印の方向に沿って見た断面を含んでいる。また、図7は、図5に示す構成をB-B´線に沿って切断し、矢印の方向に沿って見た断面を含んでいる。また、図7は、図5に示す構成をC-C´線に沿って切断し、矢印の方向に沿って見た断面を含んでいる。図8は、図7の一部の構成の模式的な拡大図である。
【0028】
[チップCの構造]
チップCは、例えば図5に示す様に、X及びY方向に並ぶ4つのメモリセルアレイ領域RMCAを備える。また、チップCは、これら4つのメモリセルアレイ領域RMCAに対してY方向の一方側(例えば、図5における下側)に設けられた周辺領域Rを備える。周辺領域Rは、X方向に並ぶ複数の入出力回路領域RIOを備える。また、チップCの四辺には、エッジ領域Rが設けられている。即ち、エッジ領域Rは、X方向の両端部に設けられ、Y方向に延伸する2つの領域と、Y方向の両端部に設けられ、X方向に延伸する2つの領域と、を備える。
【0029】
また、チップCは、例えば図7に示す様に、基体層LSBと、基体層LSBの下方に設けられたメモリセルアレイ層LMCAと、メモリセルアレイ層LMCAの下方に設けられた複数の配線層140,150,160と、を備える。また、メモリセルアレイ層LMCA及び配線層140,150,160中の構成間には、酸化シリコン(SiO)等の絶縁層103が埋め込まれている。
【0030】
[チップCの基体層LSBの構造]
例えば図7に示す様に、基体層LSBは、半導体基板100と、半導体基板100の上面に設けられた絶縁層101と、絶縁層101の上面に設けられた絶縁層102と、を備える。また、入出力回路領域RIOには、絶縁層101と絶縁層102との間に設けられたボンディングパッド電極Pが設けられている。
【0031】
半導体基板100は、例えば、リン(P)等のN型の不純物又はホウ素(B)等のP型の不純物が注入されたシリコン(Si)等の半導体基板である。
【0032】
半導体基板100には、例えば図6に示す様に、4つのメモリセルアレイ領域RMCAに対応する4つの領域Rと、これら4つの領域Rを取り囲む領域Rと、を備える。4つの領域Rは、例えば、お互いに電気的に独立である。
【0033】
これら4つの領域Rは、例えば、ウェル構造によってお互いに電気的に独立に構成されていても良い。例えば半導体基板100がP型の不純物を含むP型の半導体基板である場合、領域Rは、N型の不純物を含むN型ウェルであっても良い。また、領域Rは、P型の不純物を含むP型ウェルであっても良い。
【0034】
また、これら4つの領域Rは、例えば、絶縁層によってお互いに電気的に独立に構成されていても良い。例えば、領域Rは、酸化シリコン(SiO)等の絶縁層を含むSTI( ShallowTrench Isolation )であっても良い。
【0035】
また、これら4つの領域Rは、例えば、お互いに物理的に分断されていても良い。例えば、半導体基板100は、4つの領域Rに対応する4つの部分と、それ以外の領域に対応する1つの部分と、を備えていても良い。また、領域Rは、これら5つの部分を分断する溝であっても良い。
【0036】
また、半導体基板100には、複数の入出力回路領域RIOに対応して、複数のコンタクトホールが設けられている。これら複数のコンタクトホールの内部には、例えば図7に示す様に、ボンディングパッド電極Pの一部が設けられている。
【0037】
また、半導体基板100は、エッジ領域Rには設けられていない。従って、例えば図6に示す様に、メモリダイMDをZ方向から見た場合、エッジ領域においては、絶縁層103、並びに、チップC中の絶縁層203及び半導体基板200が、半導体基板100と重ならない(図7参照)。
【0038】
尚、半導体基板100のX方向及びY方向における側面のラフネスは、チップC中の半導体基板200のX方向及びY方向における側面のラフネスよりも小さい。
【0039】
絶縁層101(図7)は、例えば、酸化シリコン(SiO)等の絶縁材料からなる絶縁層である。絶縁層101は、例えば図7に示す様に、半導体基板100の上面、並びに、X方向及びY方向の側面を覆っている。尚、絶縁層101は、エッジ領域Rにおいて、絶縁層103の上面を覆っていても良いし、覆っていなくても良い。
【0040】
絶縁層102は、例えば、ポリイミド等の絶縁材料からなるパッシベーション層である。絶縁層102は、例えば図7に示す様に、絶縁層101等を介して、半導体基板100の上面、並びに、X方向及びY方向の側面を覆っている。尚、絶縁層102は、エッジ領域Rにおいて、絶縁層103の上面を覆っていても良いし、覆っていなくても良い。
【0041】
ボンディングパッド電極Pは、例えばアルミニウム(Al)等の導電性材料を含む。ボンディングパッド電極Pは、例えば図7に示す様に、絶縁層101を介して半導体基板100の上面に設けられた外部接続領域104と、コンタクトホールの内周面及び底面に設けられた内部接続領域105と、を備える。
【0042】
外部接続領域104は、ボンディングワイヤB(図2図3)に接続される領域である。絶縁層102のうち、外部接続領域104に対応する部分の少なくとも一部には、開口が設けられている。外部接続領域104は、この開口を介してメモリダイMDの外側の領域に露出している。
【0043】
内部接続領域105は、メモリセルアレイ層LMCAに含まれるコンタクト112に接続される領域である。内部接続領域105は、半導体基板100に設けられたコンタクトホールの底面において、メモリセルアレイ層LMCAに含まれる酸化シリコン(SiO)等の絶縁層103の上面を覆う。
【0044】
尚、図7に示す様に、半導体基板100のX方向及びY方向の側面には、絶縁層101を介して、金属層Mが設けられている。金属層Mは、ボンディングパッド電極Pと同じ材料及び同程度の膜厚を備える。金属層Mは、半導体基板100のX方向及びY方向における側面を全周にわたって覆っていても良いし、半導体基板100のX方向及びY方向における側面の一部のみを覆っていても良い。
【0045】
[チップCのメモリセルアレイ層LMCAの構造]
例えば図7に示す様に、メモリセルアレイ層LMCAのメモリセルアレイ領域RMCAには、メモリセルアレイMCAが設けられている。メモリセルアレイMCAは、Y方向に並ぶ複数のメモリブロックBLKと、これら複数のメモリブロックBLKの間にそれぞれ設けられた酸化シリコン(SiO)等のブロック間絶縁層106と、を備える。
【0046】
メモリブロックBLKは、Z方向に並ぶ複数の導電層110と、Z方向に延伸する複数の半導体層120と、複数の導電層110及び複数の半導体層120の間にそれぞれ設けられた複数のゲート絶縁膜130(図8)と、を備える。
【0047】
導電層110は、X方向に延伸する略板状の導電層である。導電層110は、窒化チタン(TiN)等のバリア導電膜及びタングステン(W)等の金属膜の積層膜等を含んでいても良い。また、導電層110は、例えば、リン(P)又はホウ素(B)等の不純物を含む多結晶シリコン等を含んでいても良い。Z方向に並ぶ複数の導電層110の間には、酸化シリコン(SiO)等の絶縁層が設けられている。これら複数の導電層110は、例えば、ワード線及びこれに接続された複数のメモリセルのゲート電極等として機能する。
【0048】
半導体層120は、例えば、複数のメモリセルのチャネル領域等として機能する。半導体層120は、例えば、多結晶シリコン(Si)等の半導体層である。半導体層120は、例えば、略円柱状の形状を有する。また、半導体層120の外周面は、それぞれ導電層110によって囲われており、導電層110と対向している。
【0049】
半導体層120の下端部には、リン(P)等のN型の不純物を含む図示しない不純物領域が設けられている。この不純物領域は、コンタクト121及びコンタクト122を介してビット線BLに接続される。
【0050】
半導体層120の上端部には、リン(P)等のN型の不純物又はホウ素(B)等のP型の不純物を含む図示しない不純物領域が設けられている。この不純物領域は、半導体基板100に接続されている。
【0051】
尚、図7に例示する半導体層120は、上方に設けられた約半数の導電層110に対向する部分123と、下方に設けられた約半数の導電層110に対向する部分124と、を備える。部分123の上端部のX方向及びY方向における幅は、部分123の下端部のX方向及びY方向における幅よりも小さい。また、部分124の上端部のX方向及びY方向における幅は、部分124の下端部のX方向及びY方向における幅よりも小さい。また、部分124の上端部のX方向及びY方向における幅は、部分123の下端部のX方向及びY方向における幅よりも小さい。ただし、半導体層120は、この様な形状を備えていなくても良い。
【0052】
ゲート絶縁膜130(図8)は、半導体層120の外周面を覆う略円筒状の形状を有する。ゲート絶縁膜130は、半導体層120及び導電層110の間に積層されたトンネル絶縁膜131、電荷蓄積膜132及びブロック絶縁膜133を備える。トンネル絶縁膜131及びブロック絶縁膜133は、例えば、酸化シリコン(SiO)等の絶縁膜である。電荷蓄積膜132は、例えば、窒化シリコン(Si)等の電荷を蓄積可能な膜である。トンネル絶縁膜131、電荷蓄積膜132、及び、ブロック絶縁膜133は略円筒状の形状を有し、半導体層120の外周面に沿ってZ方向に延伸する。
【0053】
尚、図8には、ゲート絶縁膜130が窒化シリコン等の電荷蓄積膜132を備える例を示した。しかしながら、ゲート絶縁膜130は、例えば、N型又はP型の不純物を含む多結晶シリコン等のフローティングゲートを備えていても良い。
【0054】
また、メモリセルアレイ層LMCAの入出力回路領域RIOは、例えば図7に示す様に、絶縁層103を貫通してZ方向に延伸する複数のコンタクト112を備える。
【0055】
コンタクト112は、例えば、窒化チタン(TiN)等のバリア導電膜及びタングステン(W)等の金属膜の積層膜等を含む。コンタクト112は、例えば、略円柱状の形状を有する。これら複数のコンタクト112の上端は、それぞれボンディングパッド電極Pの内部接続領域105の下面に接続されている。また、複数のコンタクト112は、下端において、それぞれ配線141に接続されている。
【0056】
[チップCの配線層140,150,160の構造]
配線層140,150,160に含まれる複数の配線は、例えば、メモリセルアレイ層LMCA中の構成及びチップC中の構成の少なくとも一方に電気的に接続される。
【0057】
配線層140は、複数の配線141を含む。これら複数の配線141は、例えば、窒化チタン(TiN)等のバリア導電膜及び銅(Cu)等の金属膜の積層膜等を含んでいても良い。尚、複数の配線141のうちの一部は、ビット線BLとして機能する。ビット線BLは、例えば、X方向に並び、Y方向に延伸する。また、これら複数のビット線BLは、それぞれ、複数の半導体層120に接続されている。
【0058】
配線層150は、複数の配線151を含む。これら複数の配線151は、例えば、窒化チタン(TiN)等のバリア導電膜及び銅(Cu)等の金属膜の積層膜等を含んでいても良い。
【0059】
配線層160は、複数の貼合電極PI1を含む。これら複数の貼合電極PI1は、例えば、窒化チタン(TiN)等のバリア導電膜及び銅(Cu)等の金属膜の積層膜等を含んでいても良い。
【0060】
[チップCの構造]
チップCは、例えば、半導体基板200と、半導体基板200の上方に設けられたトランジスタ層LTRと、トランジスタ層LTRの上方に設けられた複数の配線層220,230,240,250と、を備える。また、トランジスタ層LTR及び配線層220,230,240,250中の構成間には、酸化シリコン(SiO)等の絶縁層203が埋め込まれている。尚、絶縁層203の材料として、絶縁層103の材料よりも誘電率の低い材料を用いることも可能である。
【0061】
[チップCの半導体基板200の構造]
半導体基板200は、例えば、ホウ素(B)等のP型の不純物を含むP型のシリコン(Si)からなる半導体基板である。半導体基板200の表面には、半導体基板領域200Sと、絶縁領域200Iと、が設けられている。
【0062】
半導体基板200は、エッジ領域Rを含め、メモリダイMD中の全ての領域にわたって設けられている。
【0063】
[チップCのトランジスタ層LTRの構造]
半導体基板200の上面には、絶縁層200Gを介して、電極層210が設けられている。電極層210は、半導体基板200の表面と対向する複数の電極211を含む。また、半導体基板200の各領域及び電極層210に含まれる複数の電極211は、それぞれ、コンタクト201に接続されている。
【0064】
半導体基板200の半導体基板領域200Sは、周辺回路を構成する複数のトランジスタTrのチャネル領域等として機能する。
【0065】
電極層210に含まれる複数の電極211は、それぞれ、周辺回路を構成する複数のトランジスタTrのゲート電極等として機能する。電極211は、例えば、リン(P)等のN型の不純物又はホウ素(B)等のP型の不純物を含む多結晶シリコン(Si)等の半導体層と、この半導体層の上面に設けられたタングステン(W)等の金属層と、を備える。
【0066】
コンタクト201は、Z方向に延伸し、下端において半導体基板200又は電極211の上面に接続されている。コンタクト201は、例えば、窒化チタン(TiN)等のバリア導電膜及びタングステン(W)等の金属膜の積層膜等を含んでいても良い。
【0067】
尚、半導体基板200に設けられた複数のトランジスタTrは、それぞれ、周辺回路の一部を構成する。
【0068】
[チップCの配線層220,230,240,250の構造]
配線層220,230,240,250に含まれる複数の配線は、例えば、トランジスタ層LTR中の構成及びチップC中の構成の少なくとも一方に電気的に接続される。
【0069】
配線層220は、複数の配線221を含む。これら複数の配線221は、例えば、窒化チタン(TiN)等のバリア導電膜及び銅(Cu)等の金属膜の積層膜等を含んでいても良い。
【0070】
配線層230は、複数の配線231を含む。これら複数の配線231は、例えば、窒化チタン(TiN)等のバリア導電膜及び銅(Cu)等の金属膜の積層膜等を含んでいても良い。
【0071】
配線層240は、複数の配線241を含む。これら複数の配線241は、例えば、窒化チタン(TiN)等のバリア導電膜及び銅(Cu)等の金属膜の積層膜等を含んでいても良い。
【0072】
配線層250は、複数の貼合電極PI2を含む。これら複数の貼合電極PI2は、例えば、窒化チタン(TiN)等のバリア導電膜及び銅(Cu)等の金属膜の積層膜等を含んでいても良い。
【0073】
[メモリダイMDの製造方法]
次に、図9図21を参照して、メモリダイMDの製造方法について説明する。図9は、同製造方法について説明するための模式的な底面図である。図10図12、及び、図14図21は、同製造方法について説明するための模式的な断面図である。尚、図10図12、及び、図14図19は、図7に対応する部分を示している。図13は、同製造方法について説明するための模式的な平面図である。
【0074】
図9には、チップCの製造に用いられるウェハWを例示している。ウェハWの半導体基板100Aには、X方向又はY方向に延伸する複数のダイシングラインDLが設けられている。また、これら複数のダイシングラインDLによって仕切られた各領域は、メモリダイ領域RMDとなる。
【0075】
この製造方法においては、例えば図10及び図11に示す様に、チップCの製造に用いられるウェハWと、チップCの製造に用いられるウェハWと、を貼合する。この貼合工程では、例えば、ウェハWをウェハWに向かって押し付けることによってウェハWをウェハWに密着させ、熱処理等を行う。これにより、貼合電極PI1及び貼合電極PI2を介して、ウェハWがウェハWに貼合される。
【0076】
次に、例えば図12に示す様に、半導体基板100Aの一部を除去して、ボンディングパッド電極Pに対応するコンタクトホールを形成する。また、例えば図12及び図13に示す様に、ダイシングラインDL及びエッジ領域Rにおいて、半導体基板100Aの一部を除去する。これにより、コンタクトホールの底面、ダイシングラインDL及びエッジ領域Rにおいて、絶縁層103が露出する。また、半導体基板100が形成される。この工程は、例えば、RIE( ReactiveIon Etching )等の方法によって行う。
【0077】
次に、例えば図14に示す様に、図12に示した構造の上面に、絶縁層101を形成する。この工程は、例えば、CVD( ChemicalVapor Deposition )等の方法によって行われる。
【0078】
次に、例えば図15に示す様に、コンタクトホールの底面、ダイシングラインDL及びエッジ領域Rにおいて、絶縁層101を除去する。これにより、コンタクトホールの底面、ダイシングラインDL及びエッジ領域Rにおいて、絶縁層103が露出する。この工程は、例えば、RIE等の方法によって行う。
【0079】
次に、例えば図16に示す様に、絶縁層101の上面、絶縁層101のX方向及びY方向の側面(コンタクトホールの内周面を含む)、並びに、絶縁層103の上面に、金属層Mを形成する。この工程は、例えば、CVD等の方法によって行われる。
【0080】
次に、例えば図17に示す様に、金属層Mの一部を除去して、ボンディングパッド電極Pを形成する。この工程は、例えば、RIE等の方法によって行われる。尚、この工程では、図示の様に、絶縁層101のX方向及びY方向の側面において、金属層Mを除去せずに残存させても良い。
【0081】
次に、例えば図18に示す様に、絶縁層101の上面、金属層Mの上面、金属層MのX方向及びY方向の側面(コンタクトホール内部の内周面を含む)、並びに、絶縁層103の上面に、絶縁層102を形成する。この工程は、例えば、CVD等の方法によって行われる。
【0082】
次に、例えば図19に示す様に、絶縁層102の一部を除去して、ボンディングパッド電極Pの外部接続領域104の一部を露出させる。この工程は、例えば、RIE等の方法によって行われる。尚、この工程では、図示の様に、エッジ領域Rにおいて、絶縁層102を除去しても良いし、除去しなくても良い。
【0083】
次に、例えば図20及び図21に示す様に、ウェハW,WをダイシングラインDLに沿って切断する。これにより、各メモリダイ領域RMDに設けられた構成が、それぞれ、メモリダイMDとなる。尚、図20及び図21には、ダイシングブレードDBによってウェハW,Wを切断する様子を例示している。
【0084】
尚、例えば、図12及び図13を参照して説明した工程を、RIE等の方法によって行った場合、コンタクトホールの内周面及び半導体基板100のX方向及びY方向の側面におけるラフネスは、比較的小さくなる。一方、図20及び図21を参照して説明した工程を、ダイシングブレードDB等を用いて行った場合、半導体基板200のX方向及びY方向の側面におけるラフネスは、比較的大きくなる。この様な場合、半導体基板100のX方向及びY方向における側面のラフネスは、半導体基板200のX方向及びY方向における側面のラフネスよりも小さくなる場合がある。
【0085】
[比較例]
次に、図22及び図23を参照して、比較例に係る半導体記憶装置の製造方法について説明する。図22及び図23は、同製造方法について説明するための模式的な断面図である。
【0086】
第1実施形態に係る半導体記憶装置の製造方法においては、図12及び図13を参照して説明した様に、ボンディングパッド電極Pに対応するコンタクトホールを作成する工程において、ダイシングラインDLに沿って半導体基板100の一部を除去していた。一方、比較例に係る製造方法では、この工程において、ダイシングラインDLに沿って半導体基板100の一部を除去しない。
【0087】
また、図22及び図23に示す様に、ウェハW,WをダイシングラインDLに沿って切断する際、ダイシングラインDL上に、半導体基板100A,200Aが残存している。
【0088】
この様な方法では、ダイシングブレードDBによって半導体基板100A,200Aの間の構成に応力がかかりやすく、図23に例示する様に、ウェハW,W中の構成にクラックd1が生じてしまったり、膜剥がれd2が生じてしまったりする場合がある。
【0089】
[効果]
第1実施形態に係る半導体記憶装置の製造方法においては、図12及び図13を参照して説明した様に、ボンディングパッド電極Pに対応するコンタクトホールを作成する工程において、ダイシングラインDLに沿って半導体基板100Aの一部を除去する。従って、図20及び図21に示す様に、ウェハW,WをダイシングラインDLに沿って切断する際、ダイシングラインDL上に、半導体基板100Aが残存していない。従って、比較例に係る製造方法と比較して、クラックや膜剥がれ等の発生を好適に抑制可能である。
【0090】
また、第1実施形態に係る半導体記憶装置の製造方法においては、図12及び図13を参照して説明した工程において、ボンディングパッド電極Pに対応するコンタクトホールの作成と、ダイシングラインDLに沿った半導体基板100Aの一部の除去と、を一括して行っている。これにより、製造工程数の増大を抑制可能である。
【0091】
[第2実施形態]
次に、図24を参照して、第2実施形態に係る半導体記憶装置の構成について説明する。図24は、第2実施形態に係る半導体記憶装置の一部の構成を示す模式的な断面図である。
【0092】
第2実施形態に係る半導体記憶装置は、基本的には、第1実施形態に係る半導体記憶装置と同様に構成されている。ただし、図7を参照して説明した様に、第1実施形態においては、半導体基板100のX方向及びY方向の側面が、絶縁層101及び金属層Mによって覆われていた。一方、図24に示す様に、第2実施形態においては、半導体基板100のX方向及びY方向の側面が、絶縁層101及び金属層Mによって覆われていない。
【0093】
次に、図25図29を参照して、第2実施形態に係る半導体記憶装置の製造方法について説明する。図25図29は、同製造方法について説明するための模式的な断面図である。
【0094】
第2実施形態に係る半導体記憶装置の製造方法においては、第1実施形態に係る半導体記憶装置の製造方法のうち、図11を参照して説明した工程までを実行する。
【0095】
次に、例えば図25に示す様に、半導体基板100Aの一部を除去して、ボンディングパッド電極Pに対応するコンタクトホールを形成する。これにより、コンタクトホールの底面において、絶縁層103が露出する。この工程は、例えば、RIE等の方法によって行う。
【0096】
次に、例えば図26に示す様に、図25に示した構造の上面に、絶縁層101及びボンディングパッド電極Pを形成する。この工程は、例えば、CVD及びRIE等の方法によって行われる。
【0097】
次に、例えば図27に示す様に、ダイシングラインDL及びエッジ領域Rにおいて、半導体基板100Aの一部を除去する。これにより、ダイシングラインDL及びエッジ領域Rにおいて、絶縁層103が露出する。また、半導体基板100が形成される。この工程は、例えば、RIE等の方法によって行う。
【0098】
次に、例えば図28に示す様に、絶縁層101の上面、ボンディングパッド電極Pの上面、ボンディングパッド電極PのX方向及びY方向の側面(コンタクトホール内部の内周面を含む)、並びに、絶縁層103の上面に、絶縁層102を形成する。この工程は、例えば、CVD等の方法によって行われる。
【0099】
次に、例えば図29に示す様に、絶縁層102の一部を除去して、ボンディングパッド電極Pの外部接続領域104の一部を露出させる。この工程は、例えば、RIE等の方法によって行われる。尚、この工程では、図示の様に、エッジ領域Rにおいて、絶縁層102を除去しても良いし、除去しなくても良い。
【0100】
次に、例えば図20及び図21を参照して説明した様に、ウェハW,WをダイシングラインDLに沿って切断する。
【0101】
第2実施形態に係る半導体記憶装置の製造方法によれば、第1実施形態と同様に、比較例に係る製造方法と比較して、クラックや膜剥がれ等の発生を好適に抑制可能である。
【0102】
また、第2実施形態に係る半導体記憶装置の製造方法においては、ウェハW,WをダイシングラインDLに沿って切断する際、半導体基板100のX方向及びY方向の側面に、金属層Mが残存していない。従って、ダイシングラインDL及びエッジ領域Rを比較的小さくすることが可能である。これにより、ウェハ1枚から製造可能なメモリダイMDの数を増やして、製造コストを削減することが可能である。
【0103】
[第3実施形態]
次に、図30を参照して、第3実施形態に係る半導体記憶装置の構成について説明する。図30は、第3実施形態に係る半導体記憶装置の一部の構成を示す模式的な断面図である。
【0104】
第3実施形態に係る半導体記憶装置は、基本的には、第2実施形態に係る半導体記憶装置と同様に構成されている。ただし、図24を参照して説明した様に、第2実施形態においては、半導体基板100のX方向及びY方向の側面が、絶縁層102によって覆われていた。一方、図30に示す様に、第3実施形態においては、半導体基板100のX方向及びY方向の側面が、絶縁層102によって覆われていない。
【0105】
次に、図31図33を参照して、第3実施形態に係る半導体記憶装置の製造方法について説明する。図31図33は、同製造方法について説明するための模式的な断面図である。
【0106】
第3実施形態に係る半導体記憶装置の製造方法においては、第2実施形態に係る半導体記憶装置の製造方法のうち、図26を参照して説明した工程までを実行する。
【0107】
次に、例えば図31に示す様に、絶縁層101の上面、ボンディングパッド電極Pの上面、ボンディングパッド電極PのX方向及びY方向の側面(コンタクトホール内部の内周面を含む)、並びに、絶縁層103の上面に、絶縁層102を形成する。この工程は、例えば、CVD等の方法によって行われる。
【0108】
次に、例えば図32に示す様に、絶縁層102の一部を除去して、ボンディングパッド電極Pの外部接続領域104の一部を露出させる。この工程は、例えば、RIE等の方法によって行われる。
【0109】
次に、例えば図33に示す様に、ダイシングラインDL及びエッジ領域Rにおいて、半導体基板100Aの一部を除去する。これにより、ダイシングラインDL及びエッジ領域Rにおいて、絶縁層103が露出する。また、半導体基板100が形成される。この工程は、例えば、RIE等の方法によって行う。
【0110】
次に、例えば図20及び図21を参照して説明した様に、ウェハW,WをダイシングラインDLに沿って切断する。
【0111】
第3実施形態に係る半導体記憶装置の製造方法によれば、第1実施形態と同様に、比較例に係る製造方法と比較して、クラックや膜剥がれ等の発生を好適に抑制可能である。
【0112】
また、第3実施形態に係る半導体記憶装置の製造方法によれば、第2実施形態と同様に、製造コストを削減することが可能である。
【0113】
[その他の実施形態]
以上、第1実施形態~第3実施形態に係る半導体記憶装置及びその製造方法について説明した。しかしながら、これらの実施形態に係る半導体記憶装置はあくまでも例示であり、具体的な構成、方法等は適宜調整可能である。
【0114】
例えば、第3実施形態に係る製造方法においては、図32及び図33を参照して説明した様に、絶縁層102の一部を除去してボンディングパッド電極Pを露出させる工程と、ダイシングラインDL及びエッジ領域Rにおいて半導体基板100Aの一部を除去する工程と、を別々に行っていた。しかしながら、この様な方法はあくまでも例示に過ぎず、具体的な方法は適宜調整可能である。例えば、第3実施形態に係る製造方法では、図31を参照して説明した工程の実行後、例えば図34に示す様に、図31に示した構造の上面にレジスト301を形成しても良い。レジスト301には、例えば、ボンディングパッド電極Pの外部接続領域104に対応する位置に、開口が設けられている。また、レジスト301には、例えば、ダイシングラインDL及びエッジ領域Rに対応する位置に、開口が設けられている。この様な状態で、RIE等の方法によって、絶縁層102の一部、及び、半導体基板100Aの一部を一括して除去し、図33を参照して説明した様な構造を形成することも可能である。この様な場合、RIE等の方法は、例えば、半導体基板100Aが、ボンディングパッド電極Pよりも除去されやすい条件で実行される。
【0115】
尚、この様な方法を実行した場合、例えば図35に示す様に、絶縁層103のうち、ダイシングラインDL及びエッジ領域Rに設けられた部分の少なくとも一部が除去される場合がある。これにより、絶縁層103の上面には、半導体基板100との接触面103aよりも下方に位置する面103bが形成される。この様な場合、例えば図36に示す様に、ウェハW,WをダイシングラインDLに沿って切断した場合、絶縁層103の上面には、面103bが除去されずに残存する場合がある。この様な方法によってメモリシステム10(図2図3)を製造した場合、例えば図37に示す様に、面103aは半導体基板100に接し、面103bはモールド樹脂302に接することとなる。
【0116】
尚、絶縁層103の面103a,103bのラフネスは、絶縁層103のX方向及びY方向における側面103c(例えば、ダイシングブレードDBによる切断面)のラフネスよりも小さくなる場合がある。
【0117】
また、モールド樹脂302は、例えば、ポリイミド、エポキシ樹脂等の絶縁層であっても良い。また、モールド樹脂302には、フィラーが含まれていても良い。また、図7図24及び図30においては図示を省略しているものの、これらの図に示した構造のボンディングパッド電極Pには、図37と同様の態様で、ボンディングワイヤBが接続されていても良い。また、これらの図に示した構造の上面、並びに、X方向及びY方向における側面は、モールド樹脂302と接していても良い。
【0118】
また、例えば、第1実施形態~第3実施形態に係る製造方法においては、ウェハW,Wの個片化に際して、例えば図20及び図21を参照して説明した様に、ダイシングブレードDBによってウェハW,Wを切断していた。しかしながら、この様な方法はあくまでも例示に過ぎず、具体的な方法は適宜調整可能である。
【0119】
例えば、ウェハW,Wの個片化に際して、レーザを利用することも考えられる。例えば、レーザによってウェハW,W中の構成の一部をダイシングラインDLに沿って除去し、その後でダイシングブレードDBによる切断を行うことが考えられる。また、レーザによってウェハW,W中の構成にダイシングラインDLに沿ってダメージを与え、ダイシングブレードではなく機械適応力によってウェハW,Wを個片化することも考えられる。
【0120】
ここで、この様なレーザを用いた手法を採用する場合、予め半導体基板100A,200Aの一方をダイシングラインDLに沿って除去する工程が必要となる。この工程を、第1実施形態~第3実施形態に係る製造方法と同様の方法によって実行することも可能である。換言すれば、第1実施形態~第3実施形態に係る製造方法において、図20及び図21に例示した様な工程のかわりに、上述の様なレーザを用いた手法を採用しても良い。
【0121】
また、第1実施形態~第3実施形態に係る半導体記憶装置においては、例えば図7に示す様に、メモリセルアレイ層LMCAのエッジ領域Rに絶縁層103のみが設けられていても良い。また、例えば図38に示す様に、メモリセルアレイ層LMCAのエッジ領域Rに、複数の絶縁層110A又は複数の半導体層と、これらを貫通する複数の構造体120´と、が設けられていても良い。
【0122】
複数の絶縁層110A又は複数の半導体層は、例えば、複数の導電層110に対応してZ方向に並ぶ。また、これら複数の絶縁層110Aは、例えば、窒化シリコン(Si)等を含んでいても良い。また、これら複数の半導体層は、例えば、シリコン(Si)等を含んでいても良い。また、これら複数の絶縁層110A又は複数の半導体層の間には、例えば、酸化シリコン(SiO)等の絶縁層が設けられている。
【0123】
構造体120´は、例えば、略円柱状の形状を有する。また、半導体層120の外周面は、それぞれ、複数の絶縁層110A又は複数の半導体層によって囲われており、複数の絶縁層110A又は複数の半導体層と対向している。構造体120´の上端部は、半導体基板100に接続されている。構造体120´は、例えば、酸化シリコン(SiO)等を含んでいても良いし、シリコン(Si)等を含んでいても良いし、その他の材料を含んでいても良い。
【0124】
尚、図38に例示する構造体120´は、上方に設けられた約半数の絶縁層110A又は半導体層に対向する部分123´と、下方に設けられた約半数の絶縁層110A又は半導体層に対向する部分124´と、を備える。部分123´の上端部のX方向及びY方向における幅は、部分123´の下端部のX方向及びY方向における幅よりも小さい。また、部分124´の上端部のX方向及びY方向における幅は、部分124´の下端部のX方向及びY方向における幅よりも小さい。また、部分124´の上端部のX方向及びY方向における幅は、部分123´の下端部のX方向及びY方向における幅よりも小さい。
【0125】
また、第1実施形態~第3実施形態では、半導体装置の一態様として、半導体記憶装置を例示した。しかしながら、第1実施形態~第3実施形態において例示した様な構成及び製造方法は、半導体記憶装置以外の半導体装置についても適用可能である。この様な半導体装置の一例としては、例えば、画像センサ、音声センサ若しくはその他のセンサ、CPU( Central ProcessingUnit )、GPU( Graphic Processing Unit )、FPGA( FieldProgramable Gate Array )若しくはその他の演算装置、又は、通信回路等が挙げられる。
【0126】
また、第1実施形態~第3実施形態では、2枚のチップC,Cに含まれる基板として、半導体基板を例示した。しかしながら、貼合される2枚のチップに含まれる基板は、半導体基板以外の基板であっても良い。
【0127】
[その他]
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことが出来る。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0128】
100,200…半導体基板、C,C…チップ、W,W…ウェハ、PI1,PI2…貼合電極、P…ボンディングパッド電極。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
図31
図32
図33
図34
図35
図36
図37
図38