IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社日本色材工業研究所の特許一覧

<>
  • 特開-化粧料調色用パレット 図1
  • 特開-化粧料調色用パレット 図2
  • 特開-化粧料調色用パレット 図3
  • 特開-化粧料調色用パレット 図4
  • 特開-化粧料調色用パレット 図5
  • 特開-化粧料調色用パレット 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022131479
(43)【公開日】2022-09-07
(54)【発明の名称】化粧料調色用パレット
(51)【国際特許分類】
   A45D 97/00 20110101AFI20220831BHJP
   A61K 8/02 20060101ALI20220831BHJP
   A61Q 1/00 20060101ALI20220831BHJP
【FI】
A45D97/00
A61K8/02
A61Q1/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021030442
(22)【出願日】2021-02-26
(71)【出願人】
【識別番号】390041036
【氏名又は名称】株式会社日本色材工業研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【弁理士】
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【識別番号】100107319
【氏名又は名称】松島 鉄男
(74)【代理人】
【識別番号】100125380
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 綾子
(74)【代理人】
【識別番号】100142996
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 聡二
(74)【代理人】
【識別番号】100166268
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 祐
(74)【代理人】
【識別番号】100096769
【弁理士】
【氏名又は名称】有原 幸一
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 日香梨
(72)【発明者】
【氏名】秋元 麻衣
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083CC11
4C083DD47
(57)【要約】      (修正有)
【課題】化粧料の使用者が自身で化粧料を調色することを可能とする化粧料調色用パレットを提供する。
【解決手段】シート状の本体と、前記本体の保持部2とを備え、当該本体が、化粧料を混合可能な調色部3と、前記化粧料を塗布するための塗布具における化粧料の保持量を調節するしごき部1とを備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート状の本体と、前記本体の保持部とを備え、
当該本体が、化粧料を混合可能な調色部と、前記化粧料を塗布するための塗布具における化粧料の保持量を調節するしごき部とを備える、化粧料調色用パレット。
【請求項2】
前記しごき部が、前記本体の縁部から内部に向かう前記塗布具の通路部と、前記通路部に連通したしごき孔とを備える、請求項1に記載の化粧料調色用パレット。
【請求項3】
前記保持部が、本体に形成された貫通孔、または前記本体に取り付けられた環状把持部である、請求項1または2に記載の化粧料調色用パレット。
【請求項4】
前記本体の少なくとも一部を傾斜可能に支持する汚れ防止部をさらに備える請求項1~3のいずれか1項に記載の化粧料調色用パレット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化粧料調色用パレットに関する。本発明は、特には、化粧料の使用者が自身で化粧料を調色することを可能とする化粧料調色用パレットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、アイメイクに用いられるマスカラとしては、黒やブラウンなど、毛髪の色に近い色の化粧料が主流であったが、近年、カラーマスカラが流行してきている。従来のマスカラの容器は、ブラシと、化粧料保持部と、ブラシに付着する過剰の化粧料を削ぎ落とすためのしごきが一体型となっていた。化粧料の使用者によるマスカラ塗布時には化粧料保持部からしごきを通してブラシを引き抜く必要があることや、しごき穴が小さいこと、容器への充填後の化粧料の取り出しが難しいことから、エンドユーザーが複数の異なる色調の化粧料を調色・混合して使用することは難しく、単色の化粧料のマスカラ製品が一般的であった。
【0003】
一方、口紅、アイシャドウ、ほお紅等の化粧料は、複数の異なる色調の化粧料が単一の容器に収められた形態が知られている。また、化粧料の色や明度や質感を変えるために複数の化粧料を混合可能なパレットを備えるオリジナルカラークリエイションシステムも知られている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実用新案登録第3051963号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の単色マスカラでは、消費者は一人一人の好みや、その日の気分、シチュエーションにあった色を探すのは困難であった。
【0006】
また、従来のマスカラ容器の形状並びに使用態様では、仮に多色の化粧料を容器に充填しても、しごき部分から化粧料を引き抜く際に化粧料の調色・混合が調整できず、個人の好みの色調に化粧料を作製することが困難であった。さらに、従来の容器は使用後の塗布具を容器に戻し、キャップを閉めて保管するものが主流であり、自身で調色するために化粧料を混合し、容器に戻して使用することは衛生面の懸念があった。調色可能な形態のマスカラ製品でも、調色後に塗布量を調節することが難しく、綺麗に塗布することが困難であった。
【0007】
このような問題はマスカラ以外の化粧品においても生じており、消費者のより広い嗜好に合わせ、化粧料の使用者が自身で化粧料の調色を可能とし、かつ従来のマスカラ容器が備える、塗布具に付着させる化粧料の量を調節可能にするための製品が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは鋭意検討の結果、しごき部を備えるシート状の本体から構成されるパレットに想到し、本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち、本発明は一実施形態によれば、シート状の本体と、前記本体の保持部とを備え、当該本体が、化粧料を混合可能な調色部と、前記化粧料を塗布するための塗布具における化粧料の保持量を調節するしごき部とを備える、化粧料調色用パレットに関する。
【0010】
前記化粧料調色用パレットにおいて、前記しごき部が、前記本体の縁部から内部に向かう前記塗布具の通路部と、前記通路部に連通したしごき孔とを備えることが好ましい。
【0011】
前記化粧料調色用パレットにおいて、前記保持部が、本体に形成された貫通孔、または前記本体に取り付けられた環状把持部であることが好ましい。
【0012】
前記化粧料調色用パレットにおいて、前記本体の少なくとも一部を傾斜可能に支持する汚れ防止部をさらに備えることが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、個人の好み、気分、シチュエーションにあった色を、繊細に調色することが可能になり、化粧料の使用者が自身で化粧品の色のバリエーションを増やすことが可能になる。本発明によるパレットは、しごき部を設けているために、手指を汚すことなく、塗布具上の化粧料の調節が可能となり、塗布量の調節を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、本発明の一実施形態による化粧料調色用パレットの概念的な平面図である。
図2図2は、本発明の別の実施形態による化粧料調色用パレットの概念的な平面図である。
図3図3は、本発明の別の実施形態による化粧料調色用パレットの概念的な平面図である。
図4図4は、切り込みと円形しごき孔とから構成されるしごき部を例示する部分概念図である。
図5図5は、水滴形状しごき孔から構成されるしごき部を例示する部分概念図である。
図6図6は、等幅の切り欠きから構成されるしごき部を例示する部分概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。ただし、本発明は、以下に説明する実施の形態によって限定されるものではない。なお、本明細書に添付する図面は、発明の説明のための例示であって、各構成部材の寸法や位置関係、相対的な寸法は本発明を限定するものではない。
【0016】
[第1実施形態:化粧料調色用パレット]
本発明は、一実施形態によれば、シート状の本体と、前記本体の保持部とを備える化粧料調色用パレットに関する。図1~3は本発明の第1実施形態による化粧料調色用パレットの概念的な平面図を、図4~6は、しごき部を例示する部分概念図である。
【0017】
本実施形態による化粧料調色用パレットにて調色される化粧料について説明する。化粧料自体は、本実施形態のパレットを構成するものではないが、本実施形態のパレットとともに使用されうる。調色される化粧料は、色、明度、質感等が異なる2以上の化粧料であって、少なくとも一方が、リキッドまたはペースト状、ゲル状、チキソトロピー性のある固形状であり、パレット上で混合し、調色することが可能な化粧料であれば特に限定されない。2以上の化粧料の一方は粉末などの固体状であってもよい。剤型としては水系、O/W、W/O、油性、またはパール剤、ラメ剤などの光輝剤の粉末や繊維を含む粉末化粧料などが挙げられる。
【0018】
リキッドまたはペースト状、ゲル状の化粧料について、化粧料の硬度は、例えば、3~150gの範囲内が好ましい。硬度が3g未満の場合はパレット上に化粧料を置いた後、パレットから化粧料が垂れる懸念があり、硬度が150gを超える場合は化粧料の混合が難しく均一に混ざらない場合や、混合後塗布するまでに乾燥してしまい、上手く塗布できない場合がある。なお、ここでいう硬度とは、化粧料を100mlガラス瓶に充填後、1~3日放置し25℃恒温槽に2時間入れた試料をレオメーターで上昇速度6.0cm/min、アダプター10φ平板、20mm進入により測定して得られた値をいうものとする。
【0019】
化粧料の用途としてはマスカラ等のアイメークアップ化粧料、眉用化粧料、口紅、リップグロス、下地用のリップベース、口紅オーバーコート、リップクリーム等の口唇化粧料などのメイクアップ化粧料が考えられる。
【0020】
リキッドまたはペースト状の化粧料はチューブ、ポンプ、ジャー、マニキュア容器様の容器に充填され、吐出時に手を汚さないものが好ましい。粉末や繊維上の化粧料は、ジャータイプの容器やパウチ容器に充填されたものが好ましい。異なる容器に充填した複数種類の化粧料を用いることも可能である。
【0021】
本実施形態において、化粧料の調色とは、2以上の別個の容器に保持された化粧料を混ぜ合わせて、色、明度、質感等を調整することをいうものとする。
【0022】
塗布具は、調色した化粧料を塗布するために用いる。塗布具は、本実施形態の化粧料調色用パレットを構成するものではないが、本実施形態の化粧料調色用パレットとともに使用されうる。塗布具は、一般に化粧用に用いられる塗布具であってよく、マスカラ及びアイブロウマスカラの場合はブラシやコームであってよい。マスカラブラシは、一般的には、軸部と、軸部から放射状に延びるフィラメントもしくは、軸部にらせん状に取り付けられたフィラメントを備えるブラシ部とを備えるものであってよい。この場合、軸部の直径あるいは長径は、概ね0.3~2.0mmであってよく、ブラシ部の直径は1.5~10.0mmであってよい。マスカラブラシに代えて、市販の歯間ブラシを用いることもできる。グロスなど唇口用化粧料、リキッドアイシャドウやファンデーション等はチップであってよい。しかし塗布具はこれらには限定されない。なお、調色のために、2以上の化粧料を混ぜ合わせるための道具としても同一の塗布具を用いることができる。しかし、塗布具とは異なる任意の道具で2以上の化粧料を混ぜ合わせることもできる。
【0023】
図1~3は第1実施形態の一態様による化粧料調色用パレットを概念的に示す平面図である。図1~3による化粧料調色用パレットは、シート状の本体に、本体の保持部である指穴2を備え、当該本体が、その一方の主面に設けられた化粧料を混合可能な調色部3と、当該化粧料を塗布するための塗布具が保持する化粧料の量を調節可能なしごき部1とを備え、任意選択的に折り目4を備える。
【0024】
シート状の本体は、好ましくは少なくとも調色部3としごき部1において耐水性、耐油性を有し、使用者が保持部である指穴2に指を差し込んで把持した際に、折れ曲がらない程度の強度を備える材料を用いることができる。ある実施形態においては、可撓性の材料で本体を構成することができる。可撓性の材料を用いることで、撓み部分で化粧料を混合しやすく、液だれもしにくいという利点がある。本体の材料は、例えば、紙、プラスチックシート、箔状の金属あるいはそれらの積層体であってよい。紙製の本体は毛羽立ちが少ない洋紙を用いることが好ましく、例えば、目付が30~600g/m程度の紙を用いることができる。紙の本体は防腐性、衛生性、加工性、価格の種々の観点から特に好ましい。また、プラスチックシートとしては、ウレタンシート等を用いることができるが、特定の材料には限定されない。シート状の本体は連続した単一のシート状材料から構成することが好ましいが、調色や塗布量調節の妨げにならない箇所で異なる材料をつなげ合わせて構成することもできる。
【0025】
シート状の本体の形状や大きさは、調色部3としごき部1とを設けることができる形状や大きさであれば特には限定されない。したがって、図1~3に示す長方形以外に、正方形、菱型、台形などの矩形、円形、楕円形のシートであってもよい。デザイン性の観点から、星、花、ハート、音符、文字、乗り物、動物、化粧品容器等の形状であってもよい。調色部3は、本体の一方の主面上にあって、例えば、少なくとも25~225cm程度の連続した平面であることが好ましいが、所定の面積には限定されない。本体上において、調色部3は単にシート状の調色可能な平面として存在すればよく、他の部分、例えばしごき部1や指穴2との境界となる構造や目印が存在する必要はない。しかし、境界となる何らかの構造や目印を設けることもできる。
【0026】
図1~3に示す態様において、保持部は、本体を貫通する1つの指穴2である。指穴2は、使用者が自身の指を通して、本体を把持し、固定することが可能な位置に設けることができ、例えば本体の縁から1~10cmの位置に設けることができるが、特定の位置には限定されない。また、使用者が1本以上の指を通すことができる大きさであればよく、直径が2~3cm程度の穴とすることができるが、特定の寸法には限定されない。2以上の指穴を設けてもよい。また、指穴の形状は図示する円形には限定されず、矩形やその他の形状であってもよい。他の態様として、図示はしないが、保持部は本体に取り付けた、あるいは本体の一部を折り曲げて形成可能な環状の把持部材であってもよい。具体的には、例えば、本体の、調色部3が設けられるのとは反対側の主面に取り付けられた環状把持部材であってよく、本体と同じ素材で構成されていても、異なる素材で構成されていてもよい。なお、環状の把持部材は、必ずしもその外形が円形である必要はなく、貫通孔を有する方形の把持部材であればよく、使用者の指を差し込んで、本体を保持することができればよい。
【0027】
しごき部1は、化粧料を塗布するための塗布具が保持する化粧料の量を調節する部分であり、本体の縁部に設けられる。本実施形態による化粧料調色パレットを使用するにあたって、使用者が調色した化粧料を塗布具に付着させた後であって、使用者の睫毛、眉毛、皮膚等に塗布する前に、塗布具が保持しうる過剰の化粧料を削ぎ落すためにしごき部1を用いることができる。したがって、しごき部1は、塗布具の化粧料付着部を包囲する態様にて、塗布具に線接触あるいは面接触可能であって、塗布具を動かすことにより、化粧料の一部を塗布具から、しごき部1に移すことができる構造とすることができる。以下に、しごき部1の構造例を説明する。
【0028】
図1に示すしごき部1は、長方形状の本体の一辺に離間して設けられた、複数の三角形の切り欠き部である。三角形の切り欠き部からなるしごき部1は、本体の縁部から内部に向かって、幅が徐々に狭くなっている。この三角形の頂角部分に塗布具を押し当てることで、塗布具が保持する過剰の化粧料を削ぎ落とすことができる。また、図1に示す複数のしごき部1は、切り欠き部の大きさが異なっている。これにより、各種の形状や大きさの塗布具に対応することができる。また、しごき部1の切り欠きが大きいと、塗布具への化粧料の付着量を多くすることができ、しごき部1の切り欠きが小さいと、塗布具への化粧料の付着量を少なくすることができる。これにより、例えば、化粧料がマスカラの場合、しごき部1の切り欠きが大きい部分を用いることでボリュームマスカラの用途に、しごき部1の切り欠きが小さい部分を用いることでセパレートマスカラの用途に用いることができる。しごき部1の数は限定されず、一つだけ設けられていてもよく、2つ、あるいは4つ以上設けられていてもよい。しごき部1を設ける位置は、より近接して、連続的に設けられていてもよいし、離間して設けられていてもよい。また、しごき部1の大きさは、図示する態様には限定されず、複数のしごき部1の大きさがすべて同じであってもよく、一部が同じであってもよく、またそれぞれが異なっていてもよい。しごき部1の大きさは、化粧料の剤型や硬度によって大きさは自由に設計できる。
【0029】
切り欠き形状のしごき部の変形態様として、四角形の切り欠き形状や、多角形の切り欠き形状であってもよい。角をもつ形状のしごき部は、塗布具のブラシの形状や大きさによらず、化粧料を削ぎ落としやすい点で有利である。これらの切り欠き形状の角部の1つまたは複数に丸みを設けることもできる。
【0030】
しごき部は、場合により、本体の縁部から内部に向かう前記塗布具の通路部と、通路部と連通したしごき孔から構成することもできる。ある態様においては、しごき部は、本体の内部に相対的に幅の広いしごき孔を備え、当該しごき孔と本体の縁部を繋ぐ相対的に幅の狭い通路部を備えている。このように相対的に幅の狭い塗布具の通路部を設けることにより、塗布具をしごき孔まで移動させる通路を確保することができ、塗布具上で化粧料が過剰になる面と不足する面が出来る切り欠き状のしごきと異なり、塗布具上の過剰な化粧料を均等にそぎ落とすことが可能になる。そのため、例えば化粧料がマスカラの場合、従来容器のマスカラと同様の塗布方法で使用できる。通路部の幅は、一定であってもよく、本体の縁部から内部に向かって狭まっていてもよく、拡がっていてもよい。通路部は、本体に設けた切れ込みであってもよく、この場合は実質的に幅のない通路部ということもできる。また、通路部の長さは特には限定されないが、20mm以下程度とすることができる。長すぎると塗布具を通路部に挿入し、しごき孔まで移動する操作が煩わしくなり、あるいは調色部が狭くなる場合がある。しごき孔は、シート状の本体を貫通する孔部であって、塗布具の化粧料をそぎ落とすために使用する部分である。しごき孔の形状例については、後述するが、塗布具の形状に合わせて、あるいは所望により、適宜決定することができる。
【0031】
図2は、通路部としごき孔とから構成されるしごき部を備える化粧料調色パレットを示す概念的な平面図である。図2において、しごき部1は、本体を貫通する星型のしごき孔12と、星型の一つの角の頂点が切り取られてできる短い通路部11を備える。通路部11の幅は例えば、1~5mmとすることができる。星型は、複数の角をもつ形状の孔であり、塗布具の形状や大きさによらず化粧料が削ぎ落としやすいため、サイズは特には限定されないが、一辺が0.3~1.5mm程度とすることができる。なお、本態様では、通路部11としごき孔12との境界が明確ではないが、境界が明確に存在する必要はない。図2に示すしごき部1は、デザイン性に優れることに加え、角部を多く備える星型のしごき孔12により、それぞれの角部で化粧料の一部を塗布具から、しごき部1に移すことができるため、硬度が高く塗布具に強く粘着するような化粧料でも調色・塗布しやすい量に塗布具上の化粧料を調節することができる。
【0032】
図3もまた、通路部としごき孔とから構成されるしごき部を備える化粧料調色パレットを示す概念的な平面図である。図3において、しごき部1は、本体を貫通する円形しごき孔12と、当該しごき孔と本体の縁部を繋ぐ通路部11であって、幅が一定の通路部11とを備える。図3に示すしごき部1において、通路部11の幅が、塗布具の軸部の径よりも大きいことが好ましく、しごき孔12の大きさが、塗布具のブラシ部の径よりも大きいことが好ましい。通路部11の幅は例えば1~5mmとすることができ、長さは例えば0~20mmとすることができる。円形しごき孔12の直径は例えば2~10mmとすることができる。図3に示すしごき部1は、塗布具の軸部及びブラシ部の径に適合するように設計した通路部11及び円形しごき孔12により、塗布具上の過剰に付着した化粧料の量を全面均一にそぎ落とすことができ、且つ塗布具をしごき部に挿入しやすいといった利点が得られる。
【0033】
図4から図6は、しごき部の他の形状を例示する概念的な部分平面図である。図4は、本体に形成した切り込みからなる通路部と、円形しごき孔とを備えるしごき部を例示する平面図である。図4に示すしごき部は、切り込みからなる通路部を備えることで、しごきの形状が図3と比較しても、全周にわたって円弧が存在する、より完全な円をなしており、塗布具上の過剰な化粧料を、より全面均等にそぎ落とすことができるといった利点が得られる。図5は、雫形状のしごき部を例示する。図5に示すしごき部は、塗布具上の化粧料の量が多い面と少ない面をつくることができる。そのため、例えば化粧料がマスカラである場合、付着量が多い面でまつ毛に塗布後、付着量が少ない面でまつ毛に乗った化粧料をさばき、セパレートさせることができ、カラーマスカラ塗布時のまつげの色むらを防ぐことができるといった利点が得られる。図6は、一定幅の通路部と方形しごき孔とを備えるしごき部を例示する。図6に示す態様においては、通路部としごき孔とが連続的に区別できない態様で設けられている。この態様は、コーム状の塗布具に適しており、コームの幅に適合する幅の通路部を設けることができる。本態様によれば、コームの梳かし面を上向きにしてしごくことで、コームの背面の化粧料をほとんど取り除き、且つ梳かし面にはカラーリングに必要な量を残すことができるといった利点が得られる。
【0034】
上記のしごき部の形状は一例であって、他にも、花、ハート、音符、文字、乗り物、動物、化粧品容器等の各種形状のしごき部とすることができ、これらの形状のしごき孔と、しごき孔に連通する通路部を設けることで、上記同様の効果を得ることができる。
【0035】
なお、1つの本体上に異なる複数の形状のしごき部を備えることも可能である。異なる形状のしごき部を単一の本体上に備えることで、種々の形状及びサイズの塗布具に適したしごき部を提供することができ、単一の化粧料調色用パレットにより、塗布具への化粧料の調節の態様に変化を与えることができる利点がある。
【0036】
本実施形態による化粧料調色用パレットはまた、汚れ防止部を備えていてもよい。汚れ防止部は、シート状の化粧料調色用パレットの使用時に、使用者が保持せず、化粧台などの面に載置した場合に、調色部、しごき部に付着した化粧料が、載置した場所に付着して汚すことを防止するための構造である。したがって、汚れ防止部は、本体の少なくとも一部を傾斜可能に支持する構造であってよい。具体的には、汚れ防止部は折り目であってよく、平面に載置した場合に、しごき部が設けられた本体の縁部を当該平面から浮かせることが可能な折り目であってよい。
【0037】
図1、2を参照すると、汚れ防止部4は、しごき部1が設けられた辺の一端にある角部に設けられた折り目4であってもよい。図1、2に示す実施態様では、折り目4を山折りにすることで、本体を載置面から浮かせ、しごき部1の周囲に付着する化粧料が載置面に付着するのを防止することができる。変形態様としては、本体の角の2つ以上に折り目が設けられていてもよい。
【0038】
図3を参照すると、汚れ防止部は、しごき部1と調色部3との境界付近に設けられた折り目4である。図3に示す実施態様では、折り目4を谷折りにすることで、指穴2及び調色部3を平面に載置した状態に保持したまま、折り目4によりしごき部1のみを鉛直方向上方に傾斜させて浮かせることができ、しごき部1の周囲に付着する化粧料が載置面に付着するのを防止することができる。
【0039】
さらなる変形態様としては、図示はしないが、パレットを傾斜させて固定するスタンド状の汚れ防止部を設けてもよい。なお、汚れ防止部は、任意選択的な構成要素であって、化粧料調色用パレットは汚れ防止部を必須の構成とするものでなくてもよい。
【0040】
化粧料調色用パレットの製造は、必要に応じて表面処理等を行った紙やプラスチックからなるシート状の本体を準備し、本体に、保持部及びしごき部を形成し、任意選択的に汚れ防止部を形成することにより行うことができる。本実施形態による化粧料調色用パレットは、単純な構造であり、製造が容易であるため、安価に製造できる利点がある。
【0041】
本実施形態に係る化粧料調色用パレットの使用方法を、図1及び図3に示す化粧料調色用パレットを参照して説明する。使用前に、必要に応じて折り目4を所定の向きに折り、しごき部1を載置面から浮上させた状態とする。なお、この操作は行わない場合もあり、使用の任意の時点で行ってもよい。次いで、2以上の化粧料を調色部3に適用して調色する。そして、必要に応じて指穴2に手指の一部を差し込み、本体を他の指等で保持し、調色に用いた塗布具、あるは他の塗布具に化粧料を付着させて、しごき部1にてその付着量を調節する。図1に示すしごき部1を用いる場合、例えば、塗布具がブラシの場合には、塗布具のブラシ部を、切り欠きの頂角部分に接触させ、ブラシを、軸部に平行な方向に往復移動させることで、ブラシに付着した過剰の化粧料を削ぎ落すことができる。特に、図1に示すしごき部1はその形状と、ブラシの移動操作により、ブラシ上において、化粧料が相対的に多く付着している部分と、相対的に少なく付着している部分とをつくることができる。これにより、例えば化粧料がマスカラの場合には、塗布量の多い部分でまつ毛上に化粧料をしっかり付着させた後、塗布量の少ない面で化粧料をさばくことが可能になり、まつ毛をムラなくカラーリングすることが可能になる。図3に示すしごき部1を用いる場合、例えば、塗布具がブラシの場合には、塗布具の軸部を通路部11に差し込み、通路部11に沿って、本体の縁部から内側のしごき孔12に移動させる。そして、しごき孔12にブラシ部をあて、ブラシを、軸部に平行な方向に往復移動させることで、ブラシに付着した過剰の化粧料を削ぎ落すことができる。このようにして、塗布具に所望の量の化粧料を、所望の様式にて付着させた後、使用者の睫毛や皮膚などに、化粧料を塗布することができる。これにより、特にマスカラ等の粘性の高い化粧料を塗布するにあたって、束やダマによる塗布時の不具合を低減することができる。
【0042】
本実施形態に係る化粧料調色用パレットは、主として1回の使用を目的とした使い捨てパレットとすることができる。この場合、本体は紙製であることが好ましい。使い捨てパレットは、衛生的であり、使用者の手等を汚さない利点がある。化粧料調色用パレットは、繰り返しの使用を意図したものであってよい。この場合は、例えば、使用後に調色部及びしごき部に付着した化粧料の除去を容易にする材料から本体を構成することができる。
【0043】
[第2実施形態:化粧料調色用キット]
本発明はまた別の実施形態によれば、第1実施形態による化粧料調色用パレットと、化粧料及び/または塗布具とを含む、化粧料調色用キットである。任意選択的に、化粧料調色用パレットの使用説明書を含んでいてもよい。化粧料調色用パレットは第1実施形態において説明したとおりである。そして、化粧料調色用パレットとともに使用可能な上記好ましい形態による化粧料、及び/または塗布具と適宜組み合わせて用いることができる。
【符号の説明】
【0044】
1 しごき部、11 通路部、12 しごき孔
2 指穴、3 調色部、4 折り目
図1
図2
図3
図4
図5
図6