(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022131508
(43)【公開日】2022-09-07
(54)【発明の名称】バーナーガン用架台
(51)【国際特許分類】
F22B 37/02 20060101AFI20220831BHJP
F23D 11/36 20060101ALI20220831BHJP
【FI】
F22B37/02 E
F23D11/36
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021030484
(22)【出願日】2021-02-26
(71)【出願人】
【識別番号】000211307
【氏名又は名称】中国電力株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111132
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 浩
(72)【発明者】
【氏名】神野 亮介
(72)【発明者】
【氏名】三宅 大地
【テーマコード(参考)】
3K056
【Fターム(参考)】
3K056AA10
(57)【要約】
【課題】全長を無段階に短縮できるとともに、移動が容易であり、かつ簡易な構造のバーナーガン用架台を提供する。
【解決手段】ボイラー51に抜き差しされる長尺状のバーナーガン50を保持するためのバーナーガン用架台1であって、このバーナーガン用架台1は、一方の本体2と、他方の本体3と、一方の本体2と他方の本体3を連結し、一方の本体2と他方の本体3の間隔dを変更可能な伸縮部材4,4と、一方の本体2の上端2aに配置され、バーナーガン50の第1の端部50aを保持する一方の保持部5と、他方の本体3の上端3aに配置され、バーナーガン50の第2の端部50bを保持する他方の保持部6を備える。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボイラーに抜き差しされる長尺状のバーナーガンを保持するためのバーナーガン用架台であって、
一方の本体と、
他方の本体と、
前記一方の本体と前記他方の本体を連結し、前記一方の本体と前記他方の本体の間隔を変更可能な伸縮部材と、
前記一方の本体の上端に配置され、前記バーナーガンの第1の端部を保持する一方の保持部と、
前記他方の本体の上端に配置され、前記バーナーガンの第2の端部を保持する他方の保持部を備えることを特徴とするバーナーガン用架台。
【請求項2】
前記一方の本体の下端と、前記他方の本体の下端は、それぞれ移動用のキャスターが設けられ、
前記伸縮部材は、パンタグラフ機構であることを特徴とする請求項1に記載のバーナーガン用架台。
【請求項3】
前記一方の本体及び前記他方の本体は、互いに対向する一方の内面及び他方の内面がそれぞれ設けられ、
前記一方の内面及び前記他方の内面のうちの少なくともいずれかに、鉛直方向に沿ってレール部が設けられ、
前記伸縮部材は、その両端のうちの少なくともいずれかが、前記レール部をスライド移動する2個の自由端であり、
前記レール部は、2個の前記自由端のスライド移動を抑制するストッパー部が、1箇所以上形成されることを特徴とする請求項2に記載のバーナーガン用架台。
【請求項4】
前記ストッパー部は、2個の前記自由端同士の接近を抑制可能な所定の位置に配置されることを特徴とする請求項3に記載のバーナーガン用架台。
【請求項5】
前記一方の本体と前記他方の本体、及び、前記一方の保持部と前記他方の保持部の少なくともいずれかにおいて、掛金を備え、
前記掛金は、前記伸縮部材の伸縮方向に平行な平行面に取り付けられることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載のバーナーガン用架台。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ボイラーに抜き差しされる長尺状のバーナーガンを保持するためのバーナーガン用架台に係り、特に、バーナーガンを保持した際に、その長手方向に沿って伸縮し、かつ容易に移動可能なバーナーガン用架台に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ボイラーに差し込まれ、先端部から燃料と蒸気を噴霧するバーナーガンは、燃料等の燃焼により先端部に燃焼残渣が付着してくるため、バーナーガンを定期的にボイラーから抜き出して点検や清掃を行う必要がある。
このバーナーガンは、長さが3000(mm)、直径50(mm)、重さ30(kg)程度の長尺の重量物である。そのため、点検等の際には、2名以上の作業者でバーナーガンの抜き出しや差し込みを行うことにしている。
しかし、バーナーガンは非常に重量があるため、これを落下させないように注意していたとしても、万一の落下の際には作業者が大怪我を負う危険性がある。また、バーナーガンを抜き出した直後は非常に高温となっていることから、接触すると火傷の危険性が高い。さらに、作業場所は狭所であり、バーナーガンの取り回しが困難であるため、周辺の構造物とバーナーガンとの間等に手を挟んでしまう危険性があるとともに、作業を迅速にできないおそれもある。
このような課題を解決するため、ボイラーから抜き出したバーナーガンを保持することで、点検等を安全に実施するための技術が開発されており、それに関して既に発明や考案が開示されている。
【0003】
特許文献1には、「作業台」という名称で、バーナのメンテナンスを容易に行うことができる作業台に関する発明が開示されている。
特許文献1に開示された発明は、作業台の長手方向の両端に配置される一対の脚と、この一対の脚を一体に連結する上横材及び下横材とからなる脚部と、この脚部の上部に水平に設けられる天板部と、この天板部の上部に設けられてバーナを天板部の上部に水平に支持する支持手段を備え、支持手段は、バーナの天板部上での回動を規制する回動規制部を備え、天板部及び脚部には、天板部及び脚部の長さを調整する長さ調整手段がそれぞれ設けられ、長さ調整手段は相対的にスライド可能に嵌合される嵌合部と、被嵌合部であることを特徴とする。
特許文献1に開示された発明によれば、支持手段によって、バーナが水平に、かつ天板部上での回動が規制されるため、バーナを安定的に保持でき安全性が向上するとともに、メンテナンスを容易に短時間で行うことができる。また、バーナの長さに応じて、長さ調整手段によって天板部及び脚部の長さを調整することにより、各種の長さのバーナのメンテナンスに対応することができる。
【0004】
特許文献2には、「バーナチップ取り扱い装置」という名称で、安全で容易な作業を可能とするバーナチップ取り扱い装置に関する考案が開示されている。
特許文献2に開示された考案は、バーナガンを固定する支持台と、この支持台に固定されバーナガンに平行するガイドレールと、このガイドレールに沿って移動するバーナチップ固定金物と、このバーナチップ固定金物を移動させる油圧ジャッキを有し、この油圧ジャッキがバーナガンを中心として力が均衡するように複数個配置されたことを特徴とする。
特許文献2に開示された考案によれば、油圧ジャッキを、バーナチップ固定金物を移動させる駆動源とすることによって十分な大きさの力を活用できるため、安全かつ容易に点検等の作業を実施できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009-293886号公報
【特許文献2】実用新案登録第3075163号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に開示された発明においては、脚部を構成する上横材及び下横材がそれぞれ長尺状であり、かつ作業台の全長を変化させ得る距離が嵌合部の長さに限定されるので、全長を無段階に短縮させることができない。そのため、作業台を移動させる際に作業台が周囲の構造物に衝突したり、不使用時の保管場所を確保し難かったりするおそれがある。
また、脚部の下端に移動用部材が備えられていないため、異なる位置に差し込まれている複数のバーナーガンを連続してメンテナンスする際に、度重なる移動に手間取るおそれもある。
【0007】
次に、特許文献2に開示された考案においても、バーナチップ取り扱い装置の長手方向に短縮できず、支持台に移動用部材が備えられていないため、特許文献1に開示された発明と同様の課題を有するおそれがある。
また、バーナチップ固定金物を移動させる油圧ジャッキと、油圧ジャッキのピストンのストローク量を調整する油圧調整装置が設けられることから、構造が複雑なために安価に導入できないおそれもある。
【0008】
本発明は、このような従来の事情に対処してなされたものであり、全長を無段階に短縮できるとともに、移動が容易であり、かつ簡易な構造のバーナーガン用架台を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、第1の発明は、ボイラーに抜き差しされる長尺状のバーナーガンを保持するためのバーナーガン用架台であって、一方の本体と、他方の本体と、一方の本体と他方の本体を連結し、一方の本体と他方の本体の間隔を変更可能な伸縮部材と、一方の本体の上端に配置され、バーナーガンの第1の端部を保持する一方の保持部と、他方の本体の上端に配置され、バーナーガンの第2の端部を保持する他方の保持部を備えることを特徴とする。
このような構成の発明において、伸縮部材は、例えばパンタグラフ機構や蛇腹構造のほか、一方の本体と他方の本体の間隔を短縮する方向に付勢する長尺の弾性体が考えられる。
また、一方及び他方の保持部として、例えば上方に開口部を有する凹構造や、一方及び他方の本体の各上端に載置されたバーナーガンの第1及び第2の端部を、上方から圧接して一方及び他方の本体の各上端に固定する耐熱性の結束帯が考えられる。
上記構成の発明においては、伸縮部材により、一方の本体と他方の本体の間隔が所望の距離に伸展または短縮される。
また、一方及び他方の保持部により、バーナーガンの第1及び第2の端部が、それぞれ一方及び他方の本体から落下したり、ずれたりすることが防止される。
【0010】
第2の発明は、第1の発明において、一方の本体の下端と、他方の本体の下端は、それぞれ移動用のキャスターが設けられ、伸縮部材は、パンタグラフ機構であることを特徴とする。
このような構成の発明においては、第1の発明の作用に加えて、伸縮部材はパンタグラフ機構であるため、一方の本体と他方の本体の間隔が無段階に伸縮する。なお、伸縮部材の両端は、それぞれ固定端と自由端のいずれであってもよい。
また、一方の本体の下端と、他方の本体の下端は、それぞれ移動用のキャスターが設けられるため、一方の本体と他方の本体の移動が容易となる。
【0011】
第3の発明は、第2の発明において、一方の本体及び他方の本体は、互いに対向する一方の内面及び他方の内面がそれぞれ設けられ、一方の内面及び他方の内面のうちの少なくともいずれかに、鉛直方向に沿ってレール部が設けられ、伸縮部材は、その両端のうちの少なくともいずれかが、レール部をスライド移動する2個の自由端であり、レール部は、2個の自由端のスライド移動を抑制するストッパー部が、1箇所以上形成されることを特徴とする。
このような構成の発明において、レール部は鉛直方向に沿った溝構造であることが考えられる。この場合、2個の自由端と、ストッパー部は、溝構造の内部に収容される。さらに、2個の自由端が溝構造の内部に収容される場合、これらの自由端を支持する支持体として、例えば溝構造の内部に水平方向に沿って設置される軸体を介し、スライド移動するように構成されてもよいほか、溝構造の構造によっては支持体は設けられなくてもよい。
【0012】
また、ストッパー部は、2個の自由端のうちの少なくとも一方の、上方向または下方向へのスライド移動を抑制する場合は1箇所、上方向及び下方向へのスライド移動を抑制する場合は2箇所、2個の自由端の双方の、上方向または下方向へのスライド移動を抑制する場合は2箇所、上方向及び下方向へのスライド移動を抑制する場合は4箇所に設けられる。
上記構成の発明においては、第2の発明の作用に加えて、2個の自由端がレール部をスライド移動するため、2個の自由端が鉛直方向に沿って互いに逆の方向へ上下運動することがスムーズに行われる。
また、レール部は、2個の自由端のスライド移動を抑制するストッパー部が、1箇所以上形成されるため、伸縮部材を所望の長さで維持することができる。
【0013】
第4の発明は、第3の発明において、ストッパー部は、2個の自由端同士の接近を抑制可能な所定の位置に配置されることを特徴とする。
このような構成の発明においては、第3の発明の作用に加えて、ストッパー部により、複数の自由端同士の接近が抑制されるため、伸縮部材が一定の長さ以上に伸展することが防止される。なお、1本のレール部当たりのストッパー部は、1個以上あればよい。1個のストッパー部であっても、2個の自由端同士の接近を抑制できるからである。
【0014】
第5の発明は、第1乃至第4のいずれかの発明において、一方の本体と他方の本体、及び、一方の保持部と他方の保持部の少なくともいずれかにおいて、掛金を備え、掛金は、伸縮部材の伸縮方向に平行な平行面に取り付けられることを特徴とする。
このような構成の発明において、掛金は、掛け金具と、受け金具からなり、掛け金具及び受け金具は、例えば一方の本体及び他方の本体における伸縮部材の伸縮方向に平行な平行面にそれぞれ取り付けられる。また、掛け金具は、伸縮不能及び伸縮可能のいずれでもよい。
上記構成の発明においては、第1乃至第4のいずれかの発明の作用に加えて、掛け金具が伸縮不能の場合は、例えば伸縮部材が最も強く収縮した状態に維持することができる。一方、掛け金具が伸縮可能の場合は、例えば一方の本体と他方の本体の間隔を拡大または縮小させる際に、伸縮部材が直線状に伸展または短縮するように案内される。
【発明の効果】
【0015】
第1の発明によれば、伸縮部材により、一方の本体と他方の本体の間隔が所望の距離に伸展または短縮されるため、バーナーガン用架台を移動させる際に、周囲の構造物への衝突を回避でき、不使用時の保管場所を確保し難い。
また、一方及び他方の保持部により、バーナーガンの第1及び第2の端部が、それぞれ一方及び他方の本体から落下すること等が防止されるため、作業時の安全性を向上させることができる。
【0016】
第2の発明によれば、第1の発明の効果に加えて、伸縮部材はパンタグラフ機構であり、簡易な構造であるため、製造時や導入時のコストを比較的安価にすることができる。
また、一方の本体と他方の本体の間隔が無段階に伸縮することから、バーナーガンの点検等の前後に、例えばその第2の端部を他方の保持部に保持させた後、伸縮部材を伸展または収縮させることで、作業者がバーナーガンを持ち上げることなく、これを徐々に抜き出したり、差し込んだりするといった使用の仕方が可能となる。よって、火傷を防止できるとともに、1名の作業者でバーナーガンを抜き差しできる。
さらに、移動用のキャスターにより、一方の本体と他方の本体の移動がそれぞれ容易となるため、伸縮部材の伸展や短縮の際の作業者の身体的負担を軽減できるとともに、複数のバーナーガンを繰り返して点検等する場合の作業時間を短縮できる。
【0017】
第3の発明によれば、第2の発明の効果に加えて、2個の自由端の上下運動がスムーズに行われることから、伸縮部材の伸展及び短縮もスムーズに行われることになる。よって、迅速に一方の本体と他方の本体の間隔を変更でき、バーナーガン用架台の使い勝手が良好となる。
また、レール部に形成されるストッパー部により、伸縮部材を所望の長さで維持することができるので、バーナーガンを一方及び他方の保持部に保持した際や、保持せずに移動する際における、一方の本体と他方の本体の間隔が予期せず変化することを防止できる。よって、2名の作業者がそれぞれ一方の本体と他方の本体を保持しておく必要がなく、1名の作業者によっても安全にバーナーガンの点検等や移動を行うことができる。
【0018】
第4の発明によれば、第3の発明の効果に加えて、ストッパー部が2個の自由端同士の接近を抑制可能な所定の位置に配置されることにより、伸縮部材が一定の長さ以上に伸展することが防止される。そのため、例えばバーナーガンを一方及び他方の保持部に保持した際に、不意に伸縮部材が伸展してバーナーガンが落下してしまうといった事態を確実に防止できる。
【0019】
第5の発明によれば、第1乃至第4のいずれかの発明の効果に加えて、掛金により、伸縮部材が最も強く収縮した状態に維持できるので、保管時や移動時にバーナーガン用架台が嵩張ることがなく取り扱いが容易となる。このほか、伸縮部材が直線状に伸展または短縮するように案内されることも可能になるため、この場合は伸縮部材の伸展及び短縮が一層スムーズに行われることになる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】実施例に係るバーナーガン用架台を伸展させた場合の側面図である。
【
図2】実施例に係るバーナーガン用架台を収縮させた場合の側面図である。
【
図3】(a)は実施例に係るバーナーガン用架台を構成する伸縮部材の固定端を、
図1におけるA線方向に沿ってみた場合の正面図であり、(b)は(a)におけるC-C線矢視断面図である。
【
図4】(a)は実施例に係るバーナーガン用架台を構成する伸縮部材の自由端を、
図1におけるB線方向に沿ってみた場合の正面図であり、(b)は(a)におけるD-D線矢視断面図である。
【
図5】(a)及び(b)は、それぞれ実施例に係るバーナーガン用架台を構成するストッパー部の作用を説明するための側面図である。
【
図6】(a)及び(b)は実施例に係るバーナーガン用架台の使用状態を示す使用状態図であって、(a)は側面図、(b)は
図1におけるA線方向に沿ってみた場合の正面図である
【
図7】(a)及び(b)は、それぞれ実施例の第1及び第2の変形例に係るバーナーガン用架台を構成するストッパー部の側面図である。
【
図8】(a)は実施例の第3の変形例に係るバーナーガン用架台を構成するストッパー部の横方向断面図であり、(b)及び(c)はそれぞれ同ストッパー部の(a)におけるE-E線矢視断面図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例0021】
本発明の実施の形態に係るバーナーガン用架台の構成について、
図1及び
図2を用いて説明する。
図1は、実施例に係るバーナーガン用架台を伸展させた場合の側面図である。
図2は、実施例に係るバーナーガン用架台を収縮させた場合の側面図である。
図1及び
図2に示すように、実施例に係るバーナーガン用架台1は、ボイラー51(
図6参照)に抜き差しされる長尺円筒状のバーナーガン50(
図6参照)を保持するためのバーナーガン用架台であって、一方の本体2と、他方の本体3と、一方の本体2と他方の本体3を連結し、一定の間隔を空けて並列する1対の伸縮部材4,4と、一方の本体2の上端2aに配置される一方の保持部5と、他方の本体3の上端3aに配置される他方の保持部6と、移動用のキャスター7と、掛金8を備える。なお、一方の本体2及び他方の本体3と、一方の保持部5及び他方の保持部6は、重さ30(kg)程度のバーナーガン50を保持するために、いずれも剛性を有する金属材で形成されることが望ましい。
【0022】
このうち、一方の本体2は、上端2aと、下端2bと、上端2aと下端2bとの間の周面2cからなる中空の略直方体形状をなしている。また、周面2cは、他方の本体3と対向する内面2dと、この内面2dに連なり伸縮部材4,4の伸縮方向Xにそれぞれ平行な平行面2e,2fと、内面2dに平行な外面2gからなる。
他方の本体3も、上端3aと、下端3bと、上端3aと下端3bとの間の周面3cからなる中空の略直方体形状をなしている。また、周面3cは、他方の本体3と対向する内面3dと、この内面3dに連なり伸縮方向Xにそれぞれ平行な平行面3e,3fと、内面3dに平行な外面3gからなる。
【0023】
そして、平行面3e,3fは、それぞれ内面3d寄りに、後述する伸縮部材4の自由端4e,4e´をそれぞれスライド移動可能に支持するためのスリット3h,3i(スリット3iは
図4(b)を参照)が形成される。なお、自由端4e,4e´と、スリット3h,3iの構成については、
図4を用いて詳細に説明する。
【0024】
次に、伸縮部材4は、一方の本体2の内面2dと他方の本体3の内面3dの間隔dを変更可能である。具体的には、伸縮部材4は、傾斜リンク4a,4bと、傾斜リンク4a,4b同士を互いに回動可能に連結するシャフト4cを備えるパンタグラフ機構である。間隔dは、0~2000(mm)の間で変更可能である。
そして、伸縮部材4は、伸縮方向Xと直交し、かつ鉛直方向Vと直交する水平方向に沿って、間隔を空けて並列して1対設けられる。ただし、伸縮部材4の個数は、1対以外であってもよい。
また、伸縮部材4は、その伸縮方向Xに沿った両端において、一方の本体2の内面2dに固定される固定端4dと、他方の本体3の内面3dに沿ってスライド移動可能な2個の自由端4e,4e´が形成される。
【0025】
なお、一方の本体2の内面2dには、鉛直方向Vに沿って収容溝9,9が設けられる。この収容溝9,9は、伸縮部材4,4同士の間隔に対応した間隔を空け、並列して設けられる。詳細には、
図2に示すように、収容溝9は、伸縮部材4を最も収縮させた際に、固定端4d、傾斜リンク4a,4bの一部及びシャフト4cの一部を収容するために形成されたものである。なお、固定端4dを、内面2dから突出させて内面2dに固定してもよく、この場合、収容溝9は省略することができる。
さらに、他方の本体3の内面3dには、鉛直方向Vに沿ってレール部10,10が設けられる。レール部10は、自由端4e,4e´をスライド移動可能に保持するために形成されたものである。また、レール部10,10は、伸縮部材4,4同士の間隔に対応した間隔を空け、並列して設けられる。
加えて、レール部10,10は、2個の自由端4e,4e´のスライド移動を抑制するストッパー部11が、それぞれ2箇所に形成される。
このストッパー部11,11は、側面視でレール部10の奥面10aから突出する四角形状の突起であって、2個の自由端4e,4e´同士の接近を抑制可能な所定の位置に配置される。この所定の位置は、伸縮部材4,4が最も伸展したときの長さがバーナーガン50の長さ以上になることを防止するように決定される。
【0026】
続いて、一方の保持部5は、バーナーガン50の第1の端部50a(
図6参照)を保持し、他方の保持部6は、バーナーガン50の第2の端部50b(
図6参照)を保持する。一方の保持部5及び他方の保持部6は、それぞれ上方に開口部5a,6aを有する凹構造をなす。なお、第1の端部50aはバーナーチップ(図示せず)を備え、第2の端部50bは側面視で直角に屈曲している。
【0027】
また、移動用のキャスター7は、一方の本体2の下端2bと、他方の本体3の下端3bにそれぞれ設けられる。このキャスター7は、図示しない移動防止用ロック部材を備える。
そして、掛金8は、一方の保持部5の平行面5bに、基端が回動軸8cを介して回動可能に取り付けられる長尺板状の掛け金具8aと、他方の保持部6の平行面6bに取り付けられる受け金具8bからなる。なお、平行面5b,6bとは、伸縮部材4の伸縮方向Xに平行な面をいう。また、掛金8は、一方の保持部5の上端面と、他方の保持部6の上端面には設けられない。
さらに、掛け金具8aの先端は、受け金具8bに掛止される切り欠き8dが設けられる。さらに、掛け金具8aは伸縮不能であって、伸縮部材4が最も強く収縮したときに、切り欠き8dを受け金具8bに掛止可能な長さを有している。そして、受け金具8bは、平行面6bから外方へ突出する円板状の頭部を有する突出ピンである。
【0028】
続いて、伸縮部材の固定端の構成について、
図3を用いて説明する。
図3(a)は実施例に係るバーナーガン用架台を構成する伸縮部材の固定端を、
図1におけるA線方向に沿ってみた場合の正面図であり、
図3(b)は
図3(a)におけるC-C線矢視断面図である。なお、
図1及び
図2で示した構成要素については、
図3においても同一の符号を付して、その説明を省略する。
図3(a)及び
図3(b)に示すように、収容溝9は、その横断面が傾斜リンク4a,4bを通過させる開放口9aを有する略箱形状に形成されている。また、伸縮部材4の固定端4dは、傾斜リンク4a,4bより幅広の環状に形成され、その内部を円筒状のシャフト12が貫通することで、このシャフト12に支持される。シャフト12は、平行面2eと、収容溝9,9と、平行面2fと、を貫通している。また、シャフト12は、その両端に、留めねじ12a,12aがそれぞれねじ込まれて、シャフト12の中心軸C
12を中心に揺動したり、伸縮方向Xと直交する水平方向Hに沿ってずれたりすることなく、一方の本体2に固定される。
【0029】
また、シャフト12は、収容溝9,9内において、その外周面に、それぞれ2組の円筒状のスリーブ13a~13cが嵌合されている。スリーブ13a,13bの間には傾斜リンク4aが挟まれ、スリーブ13b,13cの間には傾斜リンク4bが挟まれている。これにより、収容溝9,9内において、傾斜リンク4a,4bが互いに干渉することなく、固定端4d,4dがシャフト12の中心軸C12を中心にそれぞれ回動する。
【0030】
次に、伸縮部材の自由端の構成について、
図4を用いて説明する。
図4(a)は実施例に係るバーナーガン用架台を構成する伸縮部材の自由端を、
図1におけるB線方向に沿ってみた場合の正面図であり、
図4(b)は
図4(a)におけるD-D線矢視断面図である。なお、
図1乃至
図3で示した構成要素については、
図4においても同一の符号を付して、その説明を省略する。
図4(a)及び
図4(b)に示すように、レール部10は、その横断面が傾斜リンク4aを通過させる開放口10bを有する略箱形状に形成されている。また、伸縮部材4の自由端4e´は、傾斜リンク4aの端部であって、傾斜リンク4aより幅広の環状に形成され、その内部を円筒状のシャフト14が貫通することで、このシャフト14に支持される。シャフト14は、平行面3eと、レール部10,10と、平行面3fと、を貫通して設けられる。また、シャフト14は、その両端に、留めねじ14a,14aがそれぞれねじ込まれる。
【0031】
さらに、シャフト14は、平行面3e,3fのスリット3h,3iの短手方向の幅より小さい直径を有している。よって、スリット3h,3iとシャフト14の外周面との間にそれぞれ隙間が維持されることから、シャフト14は、鉛直方向Vに沿ってそれぞれスリット3h,3iを摺動可能である。また、レール部10,10においても、シャフト14の外周面との間に隙間を維持するためのスリット10c,10cが、スリット3h,3iの鉛直方向Vに沿った長さ範囲に対応する長さ範囲で、それぞれ形成される。よって、シャフト14は、レール部10,10において、いずれも鉛直方向Vに沿ってスリット10c,10cを摺動可能である。
【0032】
したがって、自由端4e´,4e´がシャフト14の中心軸C
14を中心に回動するとともに、レール部10,10に沿ってそれぞれスムーズにスライド運動を行う。
なお、図示は省略するが、傾斜リンク4bの端部である自由端4e,4eにおいても、自由端4e´,4e´と同様の構成を有している。そのため、自由端4e,4eも自由端4e´,4e´と同様の運動を行う。
また、
図3で説明したように、固定端4dがシャフト12の中心軸C
12を中心に回動することから、自由端4e,4e´の上記運動と相まって、伸縮部材4のスムーズな伸縮が可能となる。
【0033】
さらに、レール部に設けられるストッパー部の作用について、
図5を用いて説明する。
図5(a)及び
図5(b)は、それぞれ実施例に係るバーナーガン用架台を構成するストッパー部の作用を説明するための側面図である。なお、
図1乃至
図4で示した構成要素については、
図5においても同一の符号を付して、その説明を省略する。
図5(a)に示すように、伸縮部材4が伸縮方向Xに沿って短縮する場合に、自由端4e,4e´は、互いに逆方向へ移動し、平行面3eに形成されたスリット3hの上端及び下端とそれぞれ一致する位置に到達する。すなわち、伸縮部材4が短縮する場合の自由端4e,4e´の移動範囲は、スリット3hの鉛直方向Vに沿った長さ範囲に制限される。
【0034】
これに対し、
図5(b)に示すように、伸縮部材4が伸縮方向Xに沿って伸展した場合に、自由端4e,4e´は、平行面3e寄りのレール部10に設けられるストッパー部11,11にそれぞれ当接する。すなわち、伸縮部材4が伸展する場合の自由端4e,4e´の移動範囲は、ストッパー部11,11の位置に制限される。
【0035】
さらに、バーナーガン用架台の使用状態について、
図6を用いて説明する。
図6(a)及び
図6(b)は実施例に係るバーナーガン用架台の使用状態を示す使用状態図であって、
図6(a)は側面図、
図6(b)は
図1におけるA線方向に沿ってみた場合の正面図である。なお、
図1乃至
図5で示した構成要素については、
図6においても同一の符号を付して、その説明を省略する。
図6(a)に示すように、バーナーガン50の点検等を行う際に、第1の端部50aと、第2の端部50bは、それぞれ一方の保持部5と、他方の保持部6に保持されている。このとき、伸縮部材4,4は、最も伸展した状態である。
【0036】
図6(b)に示すように、一方の保持部5は、開口部5aと、底面5cと、側壁面5d,5dを備える凹構造をなす。このうち、側壁面5d,5d同士の間隔は、バーナーガン50の第1の端部50aの直径とほぼ等しい。他方の保持部6も一方の保持部5と同様な凹構造である。
【0037】
なお、ボイラー51に差し込まれたバーナーガン50を、
図6(a)に示す状態とする手順として、まず、第2の端部50bを引き出して、一方の保持部5と他方の保持部6に載置する。このとき、一方の本体2に他方の本体3が最も接近している。そして、一方の本体2を移動させないようにしておき、他方の本体3を一方の本体2から遠ざけるように移動させると、第2の端部50bがさらに引き出されて、最終的に第1の端部50aが一方の保持部5に保持される。すなわち、バーナーガン50が
図6(a)に示すように、完全にボイラー51から抜き出されることになる。
これに対し、上記と逆の手順を行うことによって、点検等を完了したバーナーガン50が再度ボイラー51に差し込まれる。
【0038】
上記構成のバーナーガン用架台1においては、伸縮部材4はパンタグラフ機構であるため、一方の本体2と他方の本体3の間隔dが無段階に伸縮する。
また、一方の本体2の下端2bと、他方の本体3の下端3bは、それぞれ移動用のキャスター7が設けられるため、一方の本体2と他方の本体3の移動がそれぞれ容易となる。
ただし、伸縮部材4が短縮する場合の自由端4e,4e´の移動範囲は、スリット3hの鉛直方向Vに沿った長さ範囲に制限されるため、伸縮部材4が過剰に短縮して一方の本体2と他方の本体3によって強い圧力が加えられることがなく、伸縮部材4の破損が防止される。平行面3fに形成されたスリット3iによっても、同様の破損防止作用が発揮される。
【0039】
また、伸縮部材4が伸展する場合の自由端4e,4e´の移動範囲は、ストッパー部11,11の位置に制限されるため、伸縮部材4が過剰に伸展して、一方の保持部5と他方の保持部6の間からバーナーガン50が落下することや、伸縮部材4が破損することが防止される。平行面3f寄りのレール部10に設けられたストッパー部11,11によっても、同様の落下防止作用と、破損防止作用が発揮される。
さらに、掛金8が設けられることで、伸縮部材4が最も強く収縮したときに、伸縮部材4が最も強く収縮した状態に維持することができる。
【0040】
以上説明したように、バーナーガン用架台1によれば、一方の本体2と他方の本体3の間隔が無段階に伸縮することから、バーナーガン用架台1を移動させる際に、周囲の構造物への衝突を回避でき、不使用時の保管場所を確保し難い。加えて、バーナーガン50の点検等の前後に、作業者がバーナーガン50を持ち上げることなく、バーナーガン50を徐々に抜き出したり、差し込んだりするといった使用の仕方が可能となる。よって、火傷を防止できるとともに、1名の作業者によってバーナーガン50を抜き差しできる。
また、一方の保持部5及び他方の保持部6が凹構造をなすことにより、バーナーガン50の第1の端部50a及び第2の端部50bが、それぞれ一方の保持部5及び他方の保持部6から落下すること等が防止されるため、作業時の安全性を向上させることができる。
さらに、バーナーガン用架台1は、一方の本体2と、他方の本体3と、パンタグラフ機構である伸縮部材4等からなり、いずれも簡易な構造であるため、製造時や導入時のコストを比較的安価にすることができる。
【0041】
加えて、バーナーガン用架台1によれば、固定端4dがシャフト12の中心軸C12を中心に回動し、自由端4e´,4e´がレール部10,10に沿ってスムーズにスライド運動を行うことから、伸縮部材4の伸展と短縮もスムーズに行われることになる。よって、迅速に一方の本体2と他方の本体3の間隔dを変更できる。
また、ストッパー部11,11によって、バーナーガン50の落下防止作用と、破損防止作用が発揮されるため、2名の作業者がそれぞれ一方の本体2と他方の本体3を保持しておく必要がなく、1名の作業者によっても安全に点検等や移動を行うことができる。
さらに、掛金8により、伸縮部材4が最も強く収縮した状態に維持できるので、保管時や移動時にバーナーガン用架台1が嵩張ることがなく取り扱いが容易となる。
【0042】
続いて、実施例の第1及び第2の変形例に係るバーナーガン用架台の構成について、
図7を用いて説明する。
図7(a)及び
図7(b)は、それぞれ実施例の第1及び第2の変形例に係るバーナーガン用架台を構成するストッパー部の側面図である。なお、
図1乃至
図6で示した構成要素については、
図7においても同一の符号を付して、その説明を省略する。
図7(a)に示すように、実施例の第1の変形例に係るバーナーガン用架台1Aは、実施例に係るバーナーガン用架台1を構成するレール部10と、ストッパー11,11の代わりに、それぞれレール部10Aと、ストッパー部11A,11Aを備える。また、バーナーガン用架台1Aでは、バーナーガン用架台1の平行面3e,3fにそれぞれ形成されるスリット3h,3iと、シャフト14,14は省略される。
【0043】
このうち、レール部10Aは、バーナーガン用架台1のレール部10に、長尺板状の蓋部15が内面3dと同一平面に設けられたものであるが、レール部10に形成されるスリット10c,10cは省略されている。また、蓋部15には、傾斜リンク4a,4bが通過可能であるものの、自由端4e,4e´は通過不能な横幅を有するスリット15aが、レール部10Aの長手方向、すなわち鉛直方向Vに沿って形成されている。
よって、自由端4e,4e´は、レール部10Aの内部に収容された状態でレール部10Aの長手方向に沿ってスライド運動可能である。
また、ストッパー部11A,11Aは、いずれも自由端4e,4e´を挿入可能な大きさを有する空間であって、レール部10Aの長手方向と直交し、かつ内面3dから外面3gに向かう方向に沿って延びている。さらに、レール部10Aの長手方向におけるストッパー部11A,11Aの高さ位置は、伸縮部材4,4が最大に伸展するときの自由端4e,4e´の高さ位置と一致している。これ以外のバーナーガン用架台1Aの構成は、バーナーガン用架台1の構成と同様である。
【0044】
上記構成のバーナーガン用架台1Aにおいては、伸縮部材4の伸展に伴って自由端4e,4e´がそれぞれストッパー部11A,11Aの高さ位置に到達したとき、他方の本体3を一方の本体2の方向へ近づけると、自由端4e,4e´がそれぞれストッパー部11A,11Aに係止される。よって、伸縮部材4,4が最大に伸展した状態が維持され、バーナーガン50を安定的に保持できる。これ以外のバーナーガン用架台1Aの作用及び効果は、バーナーガン用架台1の作用及び効果と同様である。
【0045】
図7(b)に示すように、実施例の第2の変形例に係るバーナーガン用架台1Bは、実施例に係るバーナーガン用架台1を構成するレール部10と、ストッパー11,11の代わりに、それぞれレール部10Bと、ストッパー部11B,11Bを備える。また、ストッパー部11B,11Bは、バーナーガン用架台1の平行面3e,3fにそれぞれ形成されるスリット3h,3iの代わりに設けられるものでもある。なお、バーナーガン用架台1におけるシャフト14,14は省略されている。
【0046】
レール部10Bは、バーナーガン用架台1Aのレール部10Aと同様に、スリット15aを備える蓋部15が内面3dと同一平面に設けられる。また、バーナーガン用架台1のレール部10に形成されるスリット10c,10c(
図4(b)参照)は残されている。
よって、自由端4e,4e´も、レール部10Bの内部に収容された状態でレール部10Bの長手方向(鉛直方向V)に沿って、それぞれスライド運動可能である。
また、ストッパー部11B,11Bは、いずれも平行面3e,3fに形成される円形の孔部である。さらに、レール部10Bの長手方向におけるストッパー部11B,11Bの高さ位置は、伸縮部材4,4が最大に伸展するときの自由端4e,4e´の高さ位置に接している。これ以外のバーナーガン用架台1Bの構成は、バーナーガン用架台1の構成と同様である。
【0047】
上記構成のバーナーガン用架台1Bにおいては、伸縮部材4の伸展に伴って自由端4eが上方のストッパー部11Bの高さ位置に接したときに、棒状体(図示せず)を、例えば平行面3eのストッパー部11Bに差し込むと、棒状体が順次レール部10B,10Bの各スリット10c,10cと、平行面3fのストッパー部11Bに挿入される。自由端4e´が下方のストッパー部11Aの高さ位置に接したときにも、棒状体をストッパー部11B、レール部10B,10Bの各スリット10c,10cと、ストッパー部11Bの順に挿入できる。
これにより、伸縮部材4,4が最大に伸展した状態が維持され、バーナーガン50を安定的に保持できる。これ以外のバーナーガン用架台1Bの作用及び効果は、バーナーガン用架台1の作用及び効果と同様である。
【0048】
そして、実施例の第3の変形例に係るバーナーガン用架台の構成について、
図8を用いて説明する。
図8(a)は実施例の第3の変形例に係るバーナーガン用架台を構成するストッパー部の横方向断面図であり、
図8(b)及び
図8(c)はそれぞれ同ストッパー部の
図8(a)におけるE-E線矢視断面図である。なお、
図1乃至
図7で示した構成要素については、
図8においても同一の符号を付して、その説明を省略する。
図8(a)乃至
図8(c)に示すように、実施例の第3の変形例に係るバーナーガン用架台1Cは、実施例に係るバーナーガン用架台1を構成するレール部10と、ストッパー11,11の代わりに、それぞれレール部10Cと、ストッパー部11C,11Cを備える。また、バーナーガン用架台1Cでは、バーナーガン用架台1の平行面3e,3fにそれぞれ形成されるスリット3h,3iと、シャフト14,14は省略される。
【0049】
このうち、レール部10Cは、バーナーガン用架台1のレール部10に、長尺板状の蓋部16が内面3dと略同一平面に設けられたものであるが、レール部10に形成されるスリット10c,10cは省略されている。また、蓋部16には、傾斜リンク4bが通過可能であるものの、後述するスリーブ17は通過不能な横幅を有するスリット16aが、レール部10Cの長手方向、すなわち鉛直方向Vに沿って形成されているとともに、ストッパー部11Cの一部を突出させて係止させるための係止孔16bが形成されている。また、自由端4eは、スリーブ17と接続されているために、スリット16aを通過できない。
【0050】
また、ストッパー部11Cは、自由端4eの内部に挿入されるスリーブ17と、このスリーブ17の内部空間に一部が収容される金属片18からなる。なお、スリーブ17の外周面と自由端4eの内面の間には、図示しない軸受が設けられているため、自由端4eは、スリーブ17の外周面に沿って摺動可能である。
このうち、
図8(b)及び
図8(c)に示すように、スリーブ17は、その内部空間から後述する金属片18の爪部18aを外方へ通過させる貫通孔17aが形成される。また、金属片18は、側面視で、略半月形状をなし係止孔16bに先端が係止される爪部18aと、この爪部18aの基端に連なり、スリーブ17の内周面に沿って設けられる略環状をなす環状部18bからなる。この環状部18bの一部は、爪部18aを係止孔16bの方向へ移動させるように付勢する弾性変形部18cである。また、弾性変形部18cでない環状部18bの一か所に、スリーブ17の内周面に形成された凹みに固着される固着部18dが形成される。
また、レール部10Cの長手方向における係止孔16b,16bの高さ位置は、伸縮部材4,4が最大に伸展するときの自由端4e,4eの高さ位置と略一致している。なお、自由端4e´,4e´においても、上記と同様の構成を有する。また、これ以外のバーナーガン用架台1Cの構成は、バーナーガン用架台1の構成と同様である。
【0051】
上記構成のバーナーガン用架台1Cにおいては、
図8(b)に示すように、自由端4eがレール部10Cの長手方向に沿って下降してくると、弾性変形部18cによって付勢された爪部18aが、貫通孔17aを通過して係止孔16bに進入する。よって、爪部18aが係止孔16bに係止されるため、自由端4eの下降が抑制される。このとき、伸縮部材4,4が最大に伸展した状態が維持され、バーナーガン50を安定的に保持できる。
これに対し、
図8(c)に示すように、作業者が爪部18aを押し込むとともに、他方の本体3を一方の本体2の方に近づけると、弾性変形部18cが変形して爪部18aの係止孔16bへの係止が解除される。よって、自由端4eがレール部10Cの長手方向に沿って上昇可能になる。なお、自由端4e´においても、上記と同様に、自由端4e´がレール部10Cの長手方向に沿って上昇してくると、爪部18aが係止孔16bに係止されて、自由端4e´の上昇が抑制されるという作用を有する。また、これ以外のバーナーガン用架台1Aの作用及び効果は、バーナーガン用架台1の作用及び効果と同様である。
本発明に係るバーナーガン用架台は、実施例に示したものに限られない。例えば、一方の本体2の内面2d及び他方の本体3の内面3dのいずれにも、レール部10,10が設けられてもよく、この場合、伸縮部材4,4は、その両端が、レール部10,10をスライド移動する2個の自由端4e,4e´となる。
また、収容溝9やレール部10,10は、鉛直方向Vに沿った突出構造であってもよい。
さらに、掛金8は、一方の本体2の平行面2eと他方の本体3の平行面3e、または、一方の本体2の平行面2fと他方の本体3の平行面3fに取り付けられてもよく、平行面2eと平行面3e、及び、平行面2fと平行面3fの双方に取り付けられてもよい。
このほか、掛金8の掛け金具8aの代わりに、例えば、入れ子式の複数段からなるレール部材といった伸縮可能なものが用いられてもよい。この場合、例えば一方の本体2と他方の本体3の間隔dを拡大または縮小させる際に、伸縮部材4が直線状に伸展または短縮するように案内される。よって、伸縮部材4の伸展及び短縮が一層スムーズに行われることになる。
1,1A~1C…バーナーガン用架台 2…一方の本体 3…他方の本体 2a,3a…上端 2b,3b…下端 2c,3c…周面 2d,3d…内面 2e,2f,3e,3f…平行面 2g,3g…外面 3h,3i…スリット 4…伸縮部材 4a,4b…傾斜リンク 4c…シャフト 4d…固定端 4e,4e´…自由端 5…一方の保持部 6…他方の保持部 5a,6a…開口部 5b,6b…平行面 5c…底面 5d…側壁面 7…キャスター 8…掛金 8a…掛け金具 8b…受け金具 8c…回動軸 8d…切り欠き 9…収容溝 9a…開放口 10,10A~10C…レール部 10a…奥面 10b…開放口 10c…スリット 11,11A~11C…ストッパー部 12…シャフト 12a…留めねじ 13a~13c…スリーブ 14…シャフト 14a…留めねじ 15,16…蓋部 15a,16a…スリット 16b…係止孔 17…スリーブ 17a…貫通孔 18…金属片 18a…爪部 18b…環状部 18c…弾性変形部 18d…固着部 50…バーナーガン 50a…第1の端部 50b…第2の端部 51…ボイラー