(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022131568
(43)【公開日】2022-09-07
(54)【発明の名称】非接触操作装置及び負荷制御システム
(51)【国際特許分類】
H05B 47/125 20200101AFI20220831BHJP
【FI】
H05B47/125
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021030574
(22)【出願日】2021-02-26
(71)【出願人】
【識別番号】000003757
【氏名又は名称】東芝ライテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100075672
【弁理士】
【氏名又は名称】峰 隆司
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】宮内 拓也
(72)【発明者】
【氏名】鳥居 寛成
(72)【発明者】
【氏名】益子 智信
【テーマコード(参考)】
3K273
【Fターム(参考)】
3K273PA10
3K273QA27
3K273SA21
3K273SA31
3K273SA60
3K273TA03
3K273TA15
3K273TA28
3K273TA39
3K273TA41
3K273UA27
(57)【要約】
【課題】複数の検知部が同時に検知対象の近接を検知したことに起因する負荷の誤作動を有効に防止する非接触操作装置を提供すること。
【解決手段】実施形態によれば、非接触操作装置は、駆動回路及び制御部を備える。駆動回路は、複数の駆動状態に切替わり可能であるとともに、駆動状態が切替わることにより、負荷への電力の供給状態を変化させる。制御部は、撮影部での撮影画像に基づいて、撮影部に検知対象が近接したか否かを判定し、撮影部に検知対象が近接したと判定した場合は、近接した検知対象によって示される指示に対応する駆動状態で駆動回路を駆動させる。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の駆動状態に切替わり可能であるとともに、駆動状態が切替わることにより、負荷への電力の供給状態を変化させる駆動回路と;
撮影部での撮影画像に基づいて、前記撮影部に検知対象が近接したか否かを判定し、前記撮影部に前記検知対象が近接したと判定した場合は、近接した前記検知対象によって示される指示に対応する駆動状態で前記駆動回路を駆動させる制御部と;
を具備する、非接触操作装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記撮影画像における前記検知対象の位置、前記撮影画像における前記検知対象の大きさ、及び、前記撮影画像に前記検知対象が映っている時間のいずれかに基づいて、前記撮影部に前記検知対象が近接したか否かを判定する、請求項1の非接触操作装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記撮影画像の基準割合以上の範囲が第1の閾値時間以内に変化し、かつ、変化した状態が第2の閾値時間以上維持されたことに基づいて、前記検知対象が近接したと判定する、請求項1又は2の非接触操作装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記撮影部に前記検知対象が近接したと判定した場合は、近接した前記検知対象の形状、姿勢及びポーズのいずれかに基づいて、近接した前記検知対象によって示される前記指示を判定する、請求項1乃至3のいずれか1項の非接触操作装置。
【請求項5】
前記制御部は、近接した前記検知対象によって第1の指示が示される場合は、前記駆動回路を第1の駆動状態で駆動させることにより、前記負荷を第1の作動状態で作動させ、
前記制御部は、近接した前記検知対象によって前記第1の指示とは異なる第2の指示が示される場合は、前記駆動回路を前記第1の駆動状態とは異なる第2の駆動状態で駆動させることにより、前記負荷を前記第1の作動状態とは異なる第2の作動状態で作動させる、
請求項1乃至4のいずれか1項の非接触操作装置。
【請求項6】
前記撮影画像を撮影する前記撮影部をさらに具備する、請求項1乃至5のいずれか1項の非接触操作装置。
【請求項7】
請求項1乃至5のいずれか1項の非接触操作装置と;
前記撮影画像を撮影する前記撮影部と;
前記非接触操作装置の前記駆動回路の前記駆動状態が切替わることにより、供給される前記電力の前記供給状態が変化する前記負荷と;
を具備する、負荷制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、非接触操作装置及び負荷制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
照明負荷等の負荷の作動を制御する制御システムにおいて、近接スイッチ装置等の非接触スイッチ装置が用いられている。このような制御システムでは、非接触操作装置である非接触スイッチ装置において、制御部は、センサ等の検知部に手等の検知対象の近接したことに基づいて、駆動回路の駆動状態を切替える。例えば、制御部は、検知対象の近接を検知部が検知したことに基づいて、駆動回路のスイッチ部のON/OFFを切替え、照明負荷の点灯及び消灯を切替える。
【0003】
前述のような負荷の作動を制御する制御システムでは、1つの非接触スイッチ装置に複数の検知部(センサ)が設けられたり、複数の非接触スイッチ装置が互いに対して近い位置に配置されたりする等して、複数の検知部が互いに対して近い位置に配置されることがある。このように複数の検知部が互いに対して近い位置に配置される構成では、操作者の意図に反して検知対象の近接を複数の検知部が同時に検知することを有効に防止し、複数の検知部が同時に検知対象の近接を検知したことに起因する負荷の誤作動等を有効に防止することが、求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2017-135101号公報
【特許文献2】特許第4702768号公報
【特許文献3】特許第4915657号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、複数の検知部が同時に検知対象の近接を検知したことに起因する負荷の誤作動を有効に防止する非接触操作装置及び負荷制御システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態によれば、非接触操作装置は、駆動回路及び制御部を備える。駆動回路は、複数の駆動状態に切替わり可能であるとともに、駆動状態が切替わることにより、負荷への電力の供給状態を変化させる。制御部は、撮影部での撮影画像に基づいて、撮影部に検知対象が近接したか否かを判定し、撮影部に検知対象が近接したと判定した場合は、近接した検知対象によって示される指示に対応する駆動状態で駆動回路を駆動させる。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、複数の検知部が同時に検知対象の近接を検知したことに起因する負荷の誤作動を有効に防止する非接触操作装置及び負荷制御システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、第1の実施形態に係る負荷制御システムを示す概略図である。
【
図2】
図2は、
図1の負荷制御システムの制御系統を示す概略図である。
【
図3】
図3は、第1の実施形態に係る非接触操作装置の制御部によって行われる、照明負荷の制御の一例を概略的に示すフローチャートである。
【
図4】
図4は、第1の実施形態において、近接の検知対象である手が示す指示と照明負荷のそれぞれの作動状態との関係の一例を示す概略図である。
【
図5】
図5は、第1の変形例に係る負荷制御システムの制御系統を示す概略図である。
【
図6】
図6は、第2の変形例に係る負荷制御システムの制御系統を示す概略図である。
【
図7】
図7は、第3の変形例に係る負荷制御システムの制御系統を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施形態の非接触操作装置(10)は、駆動回路(22A,22B;61)及び制御部(20)を備える。駆動回路(22A,22B;61)は、複数の駆動状態に切替わり可能であるとともに、駆動状態が切替わることにより、負荷(15A,15B;15)への電力の供給状態を変化させる。制御部(20)は、撮影部(12)での撮影画像に基づいて、撮影部(12)に検知対象が近接したか否かを判定し、撮影部(12)に検知対象が近接したと判定した場合は、近接した検知対象によって示される指示に対応する駆動状態で駆動回路(22A,22B;61)を駆動させる。これにより、複数の検知部が同時に検知対象の近接を検知したことに起因する負荷(15A,15B;15)の誤作動が、有効に防止される。
【0010】
実施形態の非接触操作装置(10)では、制御部(20)は、撮影画像における検知対象の位置、撮影画像における検知対象の大きさ、及び、撮影画像に検知対象が映っている時間のいずれかに基づいて、撮影部(12)に検知対象が近接したか否かを判定する。これにより、撮影部(12)での撮影画像に基づいて、検知対象が撮影部(12)に近接したか否かが、適切に判定される。
【0011】
実施形態の非接触操作装置(10)では、制御部(20)は、撮影画像の基準割合以上の範囲が第1の閾値時間以内に変化し、かつ、変化した状態が第2の閾値時間以上維持されたことに基づいて、検知対象が近接したと判定する。これにより、検知対象が撮影部(12)に近接していない状態において検知対象が近接したと誤判定されることが、有効に防止される。
【0012】
実施形態の非接触操作装置(10)では、制御部(20)は、撮影部(12)に検知対象が近接したと判定した場合は、近接した検知対象の形状、姿勢及びポーズのいずれかに基づいて、近接した検知対象によって示される指示を判定する。これにより、近接した検知対象によって示される指示を、適切に判定可能になる。
【0013】
実施形態の非接触操作装置(10)では、制御部(20)は、近接した検知対象によって第1の指示が示される場合は、駆動回路(22A,22B;61)を第1の駆動状態で駆動させることにより、負荷(15A,15B;15)を第1の作動状態で作動させる。そして、制御部(20)は、近接した検知対象によって第1の指示とは異なる第2の指示が示される場合は、駆動回路(22A,22B;61)を第1の駆動状態とは異なる第2の駆動状態で駆動させることにより、負荷(15A,15B;15)を第1の作動状態とは異なる第2の作動状態で作動させる。これにより、撮影部(12)に検知対象を近接させることにより負荷(15A,15B;15)を複数の作動状態の間で切替え可能な構成が、撮影部(12)を1つのみ設けるだけで、容易に実現可能となる。
【0014】
実施形態の非接触操作装置(10)は、撮影画像を撮影する撮影部(12)をさらに備える。これにより、撮影部(12)が搭載される非接触操作装置(10)を用いて、複数の検知部が同時に検知対象の近接を検知したことに起因する負荷(15A,15B;15)の誤作動が、有効に防止される。
【0015】
実施形態の負荷制御システム(1)は、前述の非接触操作装置(10)、撮影部(12)及び負荷(15A,15B;15)を備える。撮影部(12)は、撮影画像を撮影する。そして、非接触操作装置(10)の駆動回路(22A,22B;22)の駆動状態が切替わることにより、負荷(15A,15B;15)に供給される電力の供給状態が変化する。これにより、負荷制御システム(1)では、複数の検知部が同時に検知対象の近接を検知したことに起因する負荷(15A,15B;15)の誤作動が、有効に防止される。
【0016】
以下、実施形態について、図面を参照して説明する。
【0017】
(第1の実施形態)
図1は、実施形態に係る負荷制御システムの一例として第1の実施形態の負荷制御システム1を示す。また、
図2は、
図1の負荷制御システム1の制御系統を示す。
図1及び
図2に示すように、負荷制御システム1は、非接触操作装置10、交流電源等の商用電源13、及び、負荷である照明負荷15A,15Bを備える。本実施形態では、非接触操作装置10は、非接触スイッチ装置である。非接触操作装置10は、カバー等から形成される外装部11、及び、カメラ等の撮影部12を備える。外装部11は、部屋等を形成する空間に一部が露出する状態で、壁面等に取付けられる。また、撮影部12は、撮影窓を有し、撮影窓は、外装部11の空間に露出している表面に位置する。撮影部12は、撮影窓を通して、空間の少なくとも一部を撮影する。本実施形態では、撮影部12は、検知対象の撮影部12への近接を検知する検知部となる。
【0018】
非接触スイッチ装置である非接触操作装置10は、制御部20、電源部21、及び、駆動回路であるスイッチ回路22A,22Bを備える。制御部20は、例えば、コンピュータ等の処理装置から構成される。制御部20は、プロセッサ又は集積回路、及び、メモリ等の記憶媒体を備える。プロセッサ又は集積回路は、CPU(Central Processing Unit)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、マイコン、FPGA(Field Programmable Gate Array)及び、DSP(Digital Signal processor)等のいずれかを含む。制御部20は、集積回路等を1つのみ備えてもよく、集積回路等を複数備えてもよい。制御部20は、記憶媒体等に記憶されるプログラム等を実行することにより、処理を行う。
【0019】
電源部21は、電力変換回路等を備える。電源部21には、商用電源13から電力が供給される。そして、電源部21は、商用電源13からの電力を制御部20に対応した電力に変換し、
図2の破線の矢印で示すように、変換した電力を制御部20に供給する。ある一例では、電源部21は、商用電源13からの交流電力を直流電力に変換し、変換した直流電力を制御部20に供給する。制御部20は、電源部21から供給される電力によって起動され、処理を実行可能になる。
【0020】
スイッチ回路22Aは、スイッチ部23Aを備え、スイッチ回路22Bは、スイッチ部23Bを備える。スイッチ回路22Aは、スイッチ部23AがONの状態、及び、スイッチ部23AがOFFの状態の複数の駆動状態に切替わり可能である。同様に、スイッチ回路22Bは、スイッチ部23BがONの状態、及び、スイッチ部23BがOFFの状態の複数の駆動状態に切替わり可能である。制御部20は、スイッチ部23AのON/OFFを制御し、スイッチ回路22Aの駆動状態を制御する。また、制御部20は、スイッチ部23BのON/OFFを制御し、スイッチ回路22Bの駆動状態を制御する。制御部20は、制御信号をスイッチ回路22A,22Bのそれぞれに出力する等して、スイッチ回路22A,22Bの駆動状態を制御する。
【0021】
スイッチ部23AがONの状態では、商用電源13からスイッチ部23Aを通して照明負荷15Aに電力が供給され、照明負荷15Aが点灯する。一方、スイッチ部23AがOFFの状態では、商用電源13からスイッチ部23Aを通して照明負荷15Aに電力が供給されず、照明負荷15Aは点灯しない。したがって、スイッチ回路22Aの駆動状態が切替わることにより、照明負荷15Aへの電力の供給状態が変化する。これにより、照明負荷15Aの作動状態が切替わり、照明負荷15Aの点灯及び消灯が切替わる。同様に、スイッチ回路22Bの駆動状態が切替わることにより、照明負荷15Bへの電力の供給状態が変化する。これにより、照明負荷15Bの作動状態が切替わり、照明負荷15Bの点灯及び消灯が切替わる。なお、スイッチ部23AがOFFの状態でも、電源部21で消費された電流が照明負荷15Aに流れる。ただし、スイッチ部23AがOFFの状態では、照明負荷15Aに流れる電流は小さいため、照明負荷15Aは点灯しない。
【0022】
制御部20は、撮影部12が撮影した撮影画像を取得する。制御部20は、撮影部12での撮影画像を定期的に取得する。このため、制御部20は、撮影画像の時間変化(時間履歴)を取得し、例えば、撮影部12によって撮影される動画を取得する。制御部20は、撮影画像及び撮影画像の時間変化を取得することにより、撮影画像における画素のそれぞれの輝度(赤、緑及び青の3つの輝度)、及び、画素のそれぞれの輝度の時間変化を示す情報を、取得する。
【0023】
制御部20は、取得した撮影画像及び撮影画像の時間変化に基づいて、スイッチ回路22A,22Bのそれぞれの駆動状態を制御し、照明負荷15A,15Bのそれぞれの作動を制御する。したがって、照明負荷15A,15Bのそれぞれの点灯及び消灯は、撮影部12での撮影画像に基づいて、制御される。本実施形態では、手が検知対象となる。制御部20は、撮影部12での撮影画像に基づいて、検知対象である手が撮影部12に近接したか否かを判定する。この際、制御部20は、例えば、撮影画像における手の位置、撮影画像における手の大きさ、及び、撮影画像に手が映っている時間のいずれかに基づいて、撮影部12に手が近接したか否かを判定する。すなわち、撮影画像を用いた画像認証によって、検知対象である手の近接が検知される。
【0024】
また、手が撮影部12に近接したと判定した場合は、制御部20は、近接した手によって示される指示を判定する。この際、制御部20は、近接した手の形状、姿勢及びポーズのいずれかに基づいて、検知対象である手によって示される指示を判定する。そして、制御部20は、近接した手によって示される指示に対応する駆動状態で、駆動回路であるスイッチ回路22A,22Bを駆動させる。これにより、照明負荷15A,15Bのそれぞれは、近接した手によって示される指示に対応する作動状態で、作動される。
【0025】
ある一例では、近接した検知対象である手によって第1の指示が示される場合において、制御部20は、スイッチ部23AがONとなる状態(第1の駆動状態)で、スイッチ回路22Aを駆動させる。これにより、照明負荷15Aは、第1の作動状態で作動され、点灯する。そして、近接した手によって第1の指示とは異なる第2の指示が示される場合は、制御部20は、スイッチ部23AがOFFとなる状態(第2の駆動状態)で、スイッチ回路22Aを駆動させる。すなわち、手によって第2の指示が示される場合は、手によって第1の指示が示される場合とは異なる駆動状態で、スイッチ回路22Aが駆動される。これにより、照明負荷15Aは、第1の作動状態とは異なる第2の作動状態で作動され、点灯しない。スイッチ部23Bについても、スイッチ部23Aと同様に、近接した手によって示される指示に対応して、駆動状態が切替えられる。これにより、照明負荷15Bの作動状態が切替えられる。
【0026】
図3は、非接触操作装置10の制御部20によって行われる、負荷である照明負荷15A,15Bの制御の一例を示す。
図3の処理は、照明負荷15A,15Bを使用している状態において、経時的に繰返し行われる。また、
図3の処理を行っている状態では、制御部20は、撮影部12での撮影画像を定期的に取得し、撮影画像の時間変化を取得する。このため、
図3の処理を行っている状態では、制御部20は、撮影画像における画素のそれぞれの輝度、及び、画素のそれぞれの輝度の時間変化を取得する。
図3の処理を開始すると、制御部20は、撮影画像及び撮影画像の時間変化に基づいて、S31~S33の条件を判定し、検知対象(手)が撮影部12に近接したか否かを判定する。
【0027】
検知対象が近接したか否かの判定では、制御部20は、撮影画像の基準割合以上の範囲が変化したか否かを判定する(S31)。基準割合は、任意に設定可能な基準の割合である。撮影画像の基準割合以上の範囲が変化した場合は(S31-Yes)、制御部20は、前述した基準割合以上の範囲の変化が第1の閾値時間以内に起こったか否かを判定する(S32)。第1の閾値時間は、任意に設定可能な基準時間である。そして、変化が第1の閾値時間以内で起こった場合は(S32-Yes)、制御部20は、基準割合以上の範囲が変化した状態が第2の閾値時間以上維持されたか否かを判定する(S33)。第2の閾値時間は、任意に設置可能な基準時間である。また、第2の閾値時間は、第1の閾値時間と同一の値であってもよく、第1の閾値時間とは異なる値であってもよい。
【0028】
変化した状態が第2の閾値時間以上維持された場合は(S33-Yes)、制御部20は、検知対象が撮影部12に近接したと判定する(S34)。したがって、
図3の処理では、撮影画像の基準割合以上の範囲が第1の閾値時間以内に変化し、かつ、変化した状態が第2の閾値時間以上維持されたことに基づいて、検知対象が近接したと判定される。なお、制御部20は、例えば、撮影画像における画素のそれぞれの輝度の時間変化に基づいて、S31~S33の判定を行う。
【0029】
撮影画像が変化しなかった場合、及び、撮影画像において変化した範囲が基準割合より小さい場合は(S31-No)、制御部20は、検知対象が近接していないと判定する。また、撮影画像において基準割合以上の範囲が変化しても、変化に第1の閾値時間より長い時間を要した場合は(S32-No)、制御部20は、検知対象が近接していないと判定する。そして、撮影画像の基準割合以上の範囲が第1の閾値時間以内に変化しても、変化した状態が維持された時間が第2の閾値時間より短かった場合は(S33-No)、制御部20は、検知対象が近接していないと判定する。検知対象が近接していないと判定した場合、制御部20は、駆動回路であるスイッチ回路22A,22Bをリアルタイムの駆動状態から切替えず、照明負荷15A,15Bのそれぞれをリアルタイムの作動状態で維持する。そして、制御部20は、再びS31以降の処理を順次に行う。
【0030】
一方、検知対象が撮影部12に近接したと判定した場合は、制御部20は、近接した検知対象によって示される指示を判定する(S35)。この際、制御部20は、例えば、撮影画像における画素のそれぞれの輝度、及び、画素のそれぞれの輝度の時間変化等に基づいて、近接した検知対象の形状、姿勢及びポーズのいずれかを判定する。そして、制御部20は、検知対象の形状、姿勢及びポーズのいずれかに基づいて、検知対象によって示される指示を判定する。検知対象によって示される指示を判定すると、制御部20は、近接した検知対象によって示される指示に対応する駆動状態で、スイッチ回路22A,22Bを駆動させる(S36)。これにより、照明負荷15A,15Bのそれぞれは、検知対象によって示される指示に対応する作動状態で、作動される。
【0031】
S36の処理を行うと、制御部20は、近接した検知対象が、撮影部12から離れたか否かを判定する(S37)。この際、制御部20は、検知対象が撮影画像に映らなくなったこと、又は、撮影画像における検知対象が占める範囲が前述の基準割合より小さくなったこと等に基づいて、近接した検知対象が撮影部12から離れたと判定する。S37の処理は、検知対象が撮影部12から離れたと判定されるまで、繰返し行われる。そして、検知対象が撮影部12から離れたと判定すると(S37-Yes)、制御部20は、再びS31以降の処理を順次に行う。
【0032】
図4は、検知対象である手が示す指示と照明負荷15A,15Bのそれぞれの作動状態との関係の一例を示す。制御部20の記憶媒体等には、
図4に示す関係等の手が示す指示と照明負荷15A,15Bのそれぞれの作動状態との関係を示すデータが、記憶される。
図4の一例では、制御部20は、検知対象である手のポーズに基づいて、手によって示される指示を判定する。
【0033】
例えば、手がいわゆる“グー”のポーズである場合は、制御部20は、スイッチ部23A,23Bの両方をOFFにし、照明負荷15A,15Bの両方が点灯しない状態にする。また、手が人差し指の1本のみを立てたポーズである場合は、制御部20は、スイッチ部23AをON、かつ、スイッチ部23BをOFFにし、照明負荷15Aのみを点灯させる。また、手がいわゆる“チョキ”のポーズである場合は、制御部20は、スイッチ部23AをOFF、かつ、スイッチ部23BをONにし、照明負荷15Bのみを点灯させる。そして、手が人指し指、中指及び薬指の3本を立てたポーズである場合は、制御部20は、スイッチ部23A,23Bの両方をONにし、照明負荷15A,15Bの両方を点灯させる。
【0034】
前述のように本実施形態では、撮影部12での撮影画像に基づいて、制御部20は、撮影部12に検知対象が近接したか否かを判定する。そして、撮影部12に検知対象が近接したと判定した場合は、制御部20は、近接した検知対象によって示される指示に対応する駆動状態でスイッチ回路(駆動回路)22A,22Bを駆動させる。このため、本実施形態では、1つの撮影部(カメラ)12で複数のスイッチ回路22A,22Bの駆動状態を制御可能となり、1つの撮影部12で複数の照明負荷(負荷)15A,15Bの作動(点灯及び消灯)を制御可能になる。これにより、複数の照明負荷15A,15Bの作動を制御する負荷制御システム1であっても、複数の検知部(センサ)を互いに対して近い位置に配置する必要はない。複数の検知部が互いに対して近い位置に配置されない構成にすることにより、操作者の意図に反して検知対象の近接を複数の検知部が同時に検知すること等が、有効に防止される。これにより、複数の検知部が同時に検知対象の近接を検知したことに起因する負荷(照明負荷15A,15B等)の誤作動が、有効に防止される。
【0035】
また、前述した非接触操作装置10を複数設け、複数の非接触操作装置10が壁面等において互いに対して近い位置に設置された場合等は、複数の撮影部12が互いに対して近い位置に配置される。この場合も、複数の撮影部12で、撮影範囲を互いに対してずらす等することにより、検知対象が近接したと複数の非接触操作装置10の制御部20が同時に判定することが、有効に防止される。これにより、複数の非接触操作装置10を互いに近い位置に配置する構成であっても、負荷の誤作動が有効に防止される。
【0036】
また、本実施形態では、制御部20は、撮影画像における検知対象の位置、撮影画像における検知対象の大きさ、及び、撮影画像に検知対象が映っている時間のいずれかに基づいて、撮影部12に検知対象が近接したか否かを判定する。このため、撮影画像に基づいて、すなわち、撮影画像を用いた画像認証によって、検知対象が撮影部12に近接したか否かが、適切に判定される。
【0037】
また、本実施形態では、制御部20は、撮影画像の基準割合以上の範囲が第1の閾値時間以内に変化し、かつ、変化した状態が第2の閾値時間以上維持されたことに基づいて、検知対象が近接したと判定する。このため、撮影部12の撮影範囲において撮影部12から遠い位置に手等の検知対象が映し出されても、検知対象が近接したと判定されない。また、撮影部12の撮影範囲において撮影部12に近い位置を人が一瞬横切った場合等も、検知対象が近接したと判定されない。すなわち、検知対象が撮影部12に近接していない状態において検知対象が近接したと誤判定されることが、有効に防止される。これにより、検知対象が撮影部12に近接したか否かが、さらに適切に判定される。
【0038】
また、本実施形態では、制御部20は、撮影部12に検知対象が近接したと判定した場合は、近接した検知対象の形状、姿勢及びポーズのいずれかに基づいて、近接した検知対象によって示される指示を判定する。このため、制御部20は、近接した検知対象によって示される指示を適切に判定可能になる。これにより、指示に対応する駆動状態でスイッチ回路(駆動回路)22A,22Bが適切に駆動され、指示に対応する作動状態で照明負荷15A,15Bが適切に作動される。すなわち、操作者の要望する作動状態で、照明負荷15A,15Bが適切に作動される。
【0039】
また、本実施形態では、スイッチ回路22A,22Bのそれぞれは、複数の駆動状態の中から、撮影部12に近接した検知対象によって示される指示に対応する駆動状態で、駆動される。そして、照明負荷15A,15Bのそれぞれは、複数の作動状態の中から、撮影部12に近接した検知対象によって示される指示に対応する作動状態で、作動される。したがって、撮影部12に検知対象を近接させることにより照明負荷15A,15Bのそれぞれを複数の作動状態の間で切替え可能な構成が、撮影部12を1つのみ設けるだけで、容易に実現可能となる。
【0040】
(変形例)
なお、
図5に示す第1の変形例のように、負荷制御システム1では、カメラ等の撮影部12は、非接触操作装置10に設けられる必要はない。本変形例では、非接触操作装置10とは別体の防犯カメラ、及び、照明器具と一体に形成されるカメラ等のいずれかが、撮影部12となる。本変形例でも、前述の実施形態等と同様に、制御部20は、撮影部12での撮影画像に基づいて、撮影部12に検知対象が近接したか否かを判定し、撮影部12に検知対象が近接したと判定した場合は、近接した検知対象によって示される指示に対応する駆動状態で駆動回路であるスイッチ回路22A,22Bを駆動させる。このため、本変形例でも、前述の実施形態等と同様の作用及び効果を奏する。
【0041】
また、
図6に示す第2の変形例では、非接触操作装置10において、スイッチ回路22A,22Bの代わりに調光回路61が、駆動回路として設けられる。本変形例の負荷制御システム1では、負荷として照明負荷15が1つのみ、設けられる。本変形例では、制御部20は、調光回路61の駆動状態を制御することにより、照明負荷15への電力の供給状態を制御する。そして、調光回路61の駆動状態を制御することにより、制御部20は、照明負荷15への調光回路61を通しての電力の供給の有無に加えて、照明負荷15へ供給される電力の大きさを制御する。このため、本変形例では、制御部20は、照明負荷15の作動を制御することにより、照明負荷15の点灯及び消灯を切替えるとともに、照明負荷15からの照射光の明るさを調光する。
【0042】
本変形例では、制御部20は、撮影部12での撮影画像に基づいて、撮影部12に検知対象が近接したか否かを判定し、撮影部12に検知対象が近接したと判定した場合は、近接した検知対象によって示される指示に対応する駆動状態で駆動回路である調光回路61を駆動させる。したがって、前述の実施形態等と同様に、撮影部12に検知対象が近接したと判定した場合は、制御部20は、近接した検知対象によって示される指示に対応する作動状態で、照明負荷15を作動させる。ただし、本変形例では、制御部20は、検知対象によって示される指示に対応する状態に照明負荷15の点灯及び消灯を切替えるとともに、検知対象によって示される指示に対応する状態に照明負荷15の照明光の明るさを調光する。
【0043】
ある一例では、照明負荷15の照射光の明るさについて、複数のレベルが設定される。そして、検知対象である手が撮影部12に近接したと判定した場合は、制御部20は、手のポーズに基づいて、手によって示される指示を判定する。この際、例えば、手が人差し指の1本のみを立てたポーズである場合は、制御部20は、調光回路61の駆動状態を制御することにより、照明負荷15の照明光の明るさのレベルを1つ上げる。また、手がいわゆる“チョキ”のポーズである場合は、制御部20は、調光回路61の駆動状態を制御することにより、照明負荷15の照明光の明るさのレベルを1つ下げる。
【0044】
本変形例でも前述の実施形態等と同様の作用及び効果を奏する。また、本変形例では、撮影部12に検知対象を近接させることにより照明負荷15からの照明光の明るさを調光する構成が、撮影部12を1つのみ設けるだけで、容易に実現可能となる。
【0045】
また、商用電源13及び照明負荷(15A,15B;15)のそれぞれと非接触操作装置10との間の配線構造は、前述の実施形態等の配線構造に限るものではない。例えば、商用電源13及び照明負荷15A,15Bのそれぞれと非接触操作装置10との間の配線構造が、
図7の第3の変形例のように形成されてもよい。
図7の配線構造では、
図2の配線構造等とは異なり、スイッチ部23AがOFFの状態において、電源部21で消費された電流が照明負荷15Aに流れない。
【0046】
なお、前述の実施形態等は、負荷として照明負荷を例に挙げて説明したが、負荷は、照明負荷に限るものではない。駆動回路の駆動状態が切替わることにより、負荷への電力の供給状態が変化し、負荷の作動状態が変化する構成であれば、前述の実施形態等の非接触操作装置10を適用可能である。また、検知対象として手を例に挙げて説明したが、検知対象は、手に限るものではない。
【0047】
これら少なくとも一つの実施形態によれば、非接触操作装置の制御部は、撮影部での撮影画像に基づいて、撮影部に検知対象が近接したか否かを判定し、撮影部に検知対象が近接したと判定した場合は、近接した検知対象によって示される指示に対応する駆動状態で駆動回路を駆動させる。これにより、複数の検知部が同時に検知対象の近接を検知したことに起因する負荷の誤作動を有効に防止する非接触操作装置及び負荷制御システムを提供することができる。
【0048】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0049】
1…負荷制御システム、10…非接触操作装置、12…撮影部、15,15A,15B…照明負荷(負荷)、20…制御部、22A,22B…スイッチ回路(駆動回路)、61…調光回路(駆動回路)。