(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022131631
(43)【公開日】2022-09-07
(54)【発明の名称】行動支援システム、行動支援装置および状況予測装置
(51)【国際特許分類】
G06Q 30/06 20120101AFI20220831BHJP
G06Q 10/04 20120101ALI20220831BHJP
G06T 7/00 20170101ALI20220831BHJP
【FI】
G06Q30/06
G06Q10/04
G06T7/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021030663
(22)【出願日】2021-02-26
(71)【出願人】
【識別番号】000000295
【氏名又は名称】沖電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100129067
【弁理士】
【氏名又は名称】町田 能章
(74)【代理人】
【識別番号】100183162
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 義文
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】▲吉▼岡 博之
(72)【発明者】
【氏名】野▲崎▼ 葵
【テーマコード(参考)】
5L049
5L096
【Fターム(参考)】
5L049AA04
5L049BB72
5L096BA02
5L096CA02
5L096DA02
5L096FA02
5L096FA52
5L096JA11
(57)【要約】
【課題】適切な予測によって現場の行動を支援する行動支援システム、行動支援装置および状況予測装置を提供するものである。
【解決手段】現場での行動を支援する行動支援システム1であって、前記現場内の状況に関する現場内データを取得する第1データ取得手段としてのカメラ11と、前記現場を運用することによって表れる周期的もしくは長期的な傾向を示す運用データ、および前記現場外の環境に関する環境データの一方または双方を含む現場外データを取得する第2データ取得手段としての連携システム30と、前記現場内データおよび前記現場外データを用いて前記現場の将来の状況を予測する予測手段としての予測システム20と、予測した予測結果を通知する通知手段としての閲覧用の端末19やセンタシステム40と、を備えることを特徴とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
現場での行動を支援する行動支援システムであって、
前記現場内の状況に関する現場内データを取得する第1データ取得手段と、
前記現場を運用することによって表れる周期的もしくは長期的な傾向を示す運用データ、および前記現場外の環境に関する環境データの一方または双方を含む現場外データを取得する第2データ取得手段と、
前記現場内データおよび前記現場外データを用いて前記現場の将来の状況を予測する予測手段と、
前記予測手段によって予測した予測結果を前記現場で作業する担当者または前記現場を管理する管理者に通知する通知手段と、を備える、
ことを特徴とする行動支援システム。
【請求項2】
前記第1データ取得手段は、カメラであり、
現場側に設けられており、前記カメラで撮像した画像データに写る状況を数値化した数値データを作成する現場側処理手段を備え、
前記予測手段は、前記数値データおよび前記現場外データを用いて前記現場の将来の状況を予測する、
ことを特徴とする請求項1に記載の行動支援システム。
【請求項3】
前記予測手段が用いる前記現場内データは、前記現場で取得したものをリアルタイムで収集したリアルデータであり、
前記予測手段が用いる前記現場外データは、定期的に収集したバッチデータである、
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の行動支援システム。
【請求項4】
前記第1データ取得手段は、前記予測結果に応じた時点の前記現場内データを取得し、
前記予測手段は、前記予測結果と実際の現場の状況との差異を達成率として算出し、
前記通知手段は、前記達成率をさらに通知する、
ことを特徴とする請求項1ないし請求項3の何れか一項に記載の行動支援システム。
【請求項5】
前記現場内データおよび前記現場外データの一方または双方の中から不要な種類のデータを取り除くチューニング手段をさらに備える、
ことを特徴とする請求項1ないし請求項4の何れか一項に記載の行動支援システム。
【請求項6】
現場での行動を支援する行動支援装置であって、
前記現場内の状況に関する現場内データ、並びに、前記現場を運用することによって表れる周期的もしくは長期的な傾向を示す運用データおよび前記現場外の環境に関する環境データの一方または双方を含む現場外データを用いて前記現場の将来の状況を予測する予測手段と、
前記予測手段によって予測した予測結果を前記現場で作業する担当者または前記現場を管理する管理者に通知する通知手段と、を備える、
ことを特徴とする行動支援装置。
【請求項7】
将来の現場の状況を予測する状況予測装置であって、
前記現場内の状況に関する現場内データ、並びに、前記現場を運用することによって表れる周期的もしくは長期的な傾向を示す運用データおよび前記現場外の環境に関する環境データの一方または双方を含む現場外データを用いて前記現場の将来の状況を予測する、
ことを特徴とする状況予測装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、行動支援システム、行動支援装置および状況予測装置に関する。
【背景技術】
【0002】
スーパーマーケットや百貨店などの店舗に来店した顧客は、陳列された商品から所望の商品を選択し、当該商品の会計のためにキャッシュレジスタ(以下、単にレジと表記)が設置されたレジ場へ移動する。しかし、レジ場では会計待ちの行列ができることがあり、当該会計待ちの行列は顧客の不満に繋がる。
【0003】
従来、レジの混雑状況を予測する技術が提案されている(例えば、特許文献1、非特許文献1参照)。これらの技術を用いれば、レジの混雑状況を予測することが可能であり、混雑しない適正台数でレジを稼動させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】高良信広、外2名、「小売店舗におけるレジ適正台数見える化とレジ混雑予測システム」、OKIテクニカルレビュー、沖電気工業株式会社、2017年12月、第230号 Vol.84 No.2、p.22-p.25
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来技術はレジの混雑状況を予測するものであり、流通業や金融業、旅客業などのリアル店舗における現場の状況(商品の過不足、顧客向けパンフレットの不足、顧客の混雑など)を予測することまでは考慮されていなかった。
【0007】
また、実際に現場の人間によってその予測に基づいた行動がなされなければ予測が意味をなさないが、従来の技術では予測に基づく行動にまで着目して支援する技術が開発されていなかった。
【0008】
本発明は、前記問題に鑑みてなされたものであり、適切な予測によって現場の行動を支援する行動支援システム、行動支援装置および状況予測装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するため、本発明に係る行動支援システムは、現場での行動を支援する行動支援システムであって、前記現場内の状況に関する現場内データを取得する第1データ取得手段と、前記現場を運用することによって表れる周期的もしくは長期的な傾向を示す運用データ、および前記現場外の環境に関する環境データの一方または双方を含む現場外データを取得する第2データ取得手段と、前記現場内データおよび前記現場外データを用いて前記現場の将来の状況を予測する予測手段と、前記予測手段によって予測した予測結果を前記現場で作業する担当者または前記現場を管理する管理者に通知する通知手段と、を備えることを特徴とする。
【0010】
また、本発明に係る行動支援装置は、現場での行動を支援する行動支援装置であって、前記現場内の状況に関する現場内データ、並びに、前記現場を運用することによって表れる周期的もしくは長期的な傾向を示す運用データおよび前記現場外の環境に関する環境データの一方または双方を含む現場外データを用いて前記現場の将来の状況を予測する予測手段と、前記予測手段によって予測した予測結果を前記現場で作業する担当者または前記現場を管理する管理者に通知する通知手段と、を備えることを特徴とする。
【0011】
また、本発明に係る状況予測装置は、将来の現場の状況を予測する状況予測装置であって、前記現場内の状況に関する現場内データ、並びに、前記現場を運用することによって表れる周期的もしくは長期的な傾向を示す運用データおよび前記現場外の環境に関する環境データの一方または双方を含む現場外データを用いて前記現場の将来の状況を予測する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、適切な予測によって現場の行動を支援することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の実施形態に係る行動支援システムの概略構成図である。
【
図2】本発明の実施形態に係る行動支援システムの処理を説明するためのイメージ図である。
【
図3】本発明の実施形態に係る行動支援システムの処理を説明するためのイメージ図である。
【
図4】センタに在席する管理者による現場の担当者への指示のイメージ図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。各図は、本発明を十分に理解できる程度に、概略的に示してあるに過ぎない。よって、本発明は、図示例のみに限定されるものではない。なお、各図において、共通する構成要素や同様な構成要素については、同一の符号を付し、それらの重複する説明を省略する。
【0015】
<実施形態に係る行動支援システムの構成>
図1ないし
図3を参照して、実施形態に係る行動支援システム1の構成について説明する。
図1は、実施形態に係る行動支援システム1の概略構成図である。
図2は、実施形態に係る行動支援システム1の処理を説明するためのイメージ図である。
図3は、実施形態に係る行動支援システム1の処理を説明するためのイメージ図である。
【0016】
図1に示す行動支援システム1は、流通業や金融業、旅客業などのリアル店舗における現場の将来の状況(商品の過不足、顧客向けパンフレットの不足、顧客の混雑など)を予測し、その予測結果を現場の人間に通知することで現場の人間の行動を支援するものである。行動支援システム1を適用可能な分野や業種は特に限定されず、様々な分野や業種に適用可能である。
以下では、行動支援システム1によって実現される支援のことをサービスと呼ぶ場合があり、当該サービスを提供する側を「サービス提供者」と称し、当該サービスを利用する(受ける)側を「サービス利用者」と称する。
【0017】
行動支援システム1は、主に、店内システム10と、予測システム20と、連携システム30A,30B,30Cと、センタシステム40とを備える。店内システム10は、現場である店舗内に構築されるシステムであり、予測システム20、連携システム30A,30B,30Cおよびセンタシステム40は、店舗外に構築されるシステムである。店内システム10とそれ以外のシステムとは、例えばインターネット2を介して通信可能に接続されている。
図1では、サービス提供者側が主に管理する構成要素(例えば、機器やシステム)を領域1Aで示し、サービス利用者側が主に管理する構成要素を領域1Bで示している。なお、この表示は、あくまで例示であり、各構成要素を管理する者はここで示す者に限定されない。
なお、予測システム20は、特許請求の範囲の「状況予測装置」の一例である。また、予測システム20とセンタシステム40または後記する閲覧用の端末19との組合せは、特許請求の範囲の「行動支援装置」の一例である。
【0018】
店内システム10は、例えば、流通業であればスーパーマーケットや百貨店に構築されるシステムであり、金融業であれば銀行の支店に構築されるシステムである。
店内システム10は、カメラ11と、エッジコンピュータ12と、閲覧用の端末19とを主に備える。カメラ11およびエッジコンピュータ12は、例えばサービス提供者の所有であり、現場の将来の状況(商品の過不足、顧客向けパンフレットの不足、顧客の混雑など)を予測する処理に利用される。一方、閲覧用の端末19は、例えばサービス利用者の所有であり、予測した将来の現場の状況をサービス利用者に通知するために利用される。
【0019】
カメラ11は、店内や駐車場内などを撮影するネットワークカメラであり、PoE(Power over Ethernet)ハブ13を介してエッジコンピュータ12やLTEルータ14に接続されている。カメラ11は、予測の対象を撮像する。カメラ11の台数は限定されず、複数のカメラ11を用いて複数の対象を撮像してもよい(
図1では2台を示している)。予測の対象は、例えば商品(惣菜や弁当など)、お客様向け資料・備品(パンフレット・封筒など)、ATMの状況(待機列・封筒など)、混雑状況(来店者数・車両など)である。カメラ11で撮像した画像データは、現場の将来の状況を予測する基になるデータである。カメラ11は、撮影した画像(映像であってもよい)をエッジコンピュータ12に送信する。
なお、カメラ11が撮像した画像データは、現場内の状況に関する「現場内データ」の一例であり、また、カメラ11は、特許請求の範囲の「第1データ取得手段」の一例である。
【0020】
エッジコンピュータ12は、店内(エッジ)に設けられたIoT(Internet of Things)センシング用のコンピュータであり、PoEハブ13を介してカメラ11やLTEルータ14に接続されている。エッジコンピュータ12の台数は限定されず、複数のエッジコンピュータ12を用いて分散して処理を行ってもよい(
図1では2台を示している)。エッジコンピュータ12には、センシングエンジンが搭載されており、カメラ11で撮影した画像データに対して検知処理を実行し、画像データに写る対象に関する情報を取得する。エッジコンピュータ12は、例えば画像データから得られる店内の状況を数値化する(例:商品の陳列量が〇〇%、店内顧客混雑度XX%など)。エッジコンピュータ12により実現される機能は、例えば人工知能(AI:Artificial Intelligence)技術を用いたものであってよい。エッジコンピュータ12は、現場内データを数値化した数値データを予測システム20へ送る。なお、エッジコンピュータ12は、特許請求の範囲の「現場側処理手段」の一例である。
【0021】
図2を参照して、エッジコンピュータ12の検知処理を説明する。
例えば、予測の対象が店内で販売されている商品(例えばパック詰めされた惣菜や弁当など)である場合、エッジコンピュータ12は、例えば商品の数(売れ残り数)や最大個数に対する売れ残り数の割合を検知する。
また、予測の対象が店内に置かれているお客様向け資料や備品(例えばパンフレットや封筒など)である場合、エッジコンピュータ12は、例えば資料や備品の数(残り数)や最大個数に対する残り数の割合を検知する。
また、予測の対象が現金自動預け払い機(ATM:Automated Teller Machine)の待機列、ATMの隣に置かれたお客様向け資料や備品(例えばパンフレットや封筒など)である場合、エッジコンピュータ12は、例えば待機列の人数、資料や備品の数(残り数)や最大個数に対する残り数の割合を検知する。
また、予測の対象が店内や駐車場の混雑状況である場合、エッジコンピュータ12は、例えば来店者数や駐車場に入庫する車両数を検知する。
【0022】
閲覧用の端末19は、店内にいる担当者に予測結果を通知するために使用される。端末19は、予測結果を担当者に通知することができればよく、端末の種類や数は特に限定されない。
図1では、閲覧用のPC(Personal Computer)19Aと、スマートフォン19Bを例示している。なお、閲覧用の端末19は、特許請求の範囲の「通知手段」の一例である。
【0023】
図1に示す連携システム30A,30B,30Cは、店舗外に構築されるシステムの一つであり、現場外データを取得し、また取得した現場外データを格納および提供するものである。現場外データは、現場の将来の状況を予測する基になるデータである。現場外データには、現場を運用することによって表れる周期的もしくは長期的な傾向を示す「運用データ」や現場外の環境に関する「環境データ」が含まれる。運用データは、例えば、過去の売上げデータ、過去の来店者数、在庫管理データなどである。環境データは、例えば、天気予報データ、各店舗周辺のイベント情報などである。連携システム30A,30B,30は、例えば提供する現場外データの種類が異なる。連携システム30A,30B,30Cを区別せずに説明する場合に、「連携システム30」と表記する場合がある。連携システム30は、現場外データを予測システム20へ送る。なお、連携システム30は、特許請求の範囲の「第2データ取得手段」の一例である。
【0024】
図1に示すように、連携システム30Aは、過去の売上げに関するデータ(売上データ)を格納および提供するものである。売上データは、例えば時刻情報(日付や曜日を含んだものであってもよい)に対応付けた店舗ごとの売上げや商品単位の売上げ、販売個数などである。
また、連携システム30Bは、天気予報に関するデータ(天気予報データ)を格納および提供するものである。天気予報データは、例えば時刻情報(日付や曜日を含んだものであってもよい)に対応付けた地域ごとの気象情報(天候、気温、湿度、降水量など)である。
また、連携システム30Cは、各店舗周辺のイベントに関するデータ(イベント情報)を格納および提供するものである。イベント情報は、例えば位置情報(緯度経度または店舗からの距離など)に対応付けたイベントの開催、内容に関する情報や、時刻情報(日付や曜日を含んだものであってもよい)に対応付けたイベントの開始時刻、終了時刻などの情報などである。
【0025】
図1に示す予測システム20は、店舗外に構築されるシステムの一つであり、インターネット2を介して店内システム10、連携システム30、センタシステム40に接続されている。予測システム20は、現場の将来の状況を予測するAI認識プロダクトを有している。予測システム20は、例えば店内システム10から提供される現場内データ(またはその数値データ)および連携システム30から提供される現場外データを用いて、学習や解析(本実施形態では、現場の将来の状況に関する予測)を行う。これにより、予測システム20は、一定時間後の店内の様子を数値で見える化する。例えば、予測システム20は、一定時間後の商品の欠品情報予測、パンフレットの残量予測、来店者の混雑予測などを行う。予測システム20により実現される機能は、例えば人工知能技術を用いたものであってよい。予測システム20は、予測結果をインターネット2を介して、センタシステム40や店内システム10の閲覧用の端末19に送る。なお、予測システム20は、特許請求の範囲の「予測手段」の一例である。
【0026】
予測システム20は、現場内データ(本実施形態ではその数値データを想定)をリアルタイムで収集し、収集したリアルタイムの現場内データを用いて予測を行うのがよい。リアルタイムで収集した現場内データを「リアルデータ」と称する場合がある。
また、予測システム20は、現場外データを定期的に収集し、定期的に収集した現場外データを用いて予測を行うのがよい。定期的に収集した現場外データを「バッチデータ」と称する場合がある。
なお、ここで示した現場内データおよび現場外データを収集するタイミングは例示であり、予測システム20が現場内データおよび現場外データを取得するタイミングは特に限定されない。
【0027】
予測システム20は、予測結果に応じた時点の現場内データ(またはその数値データ)を取得し、予測結果と実際の現場の状況との差異を達成率として算出してもよい。予測システム20は、例えば算出した達成率を予測結果と共にセンタシステム40や店内システム10の閲覧用の端末19に送る。
図3の符号21として、一定時間後の在庫予測を行った場合の予測結果を例示する。
図3では、現状の在庫が「60%」であるのに対して30分後には「20%」になることを予測した場合を示している。また、
図3の符号22として、一定時間後の予測に対して達成率を算出した場合を例示する。
図3の例1では、30分後の在庫が「70%」であるのが望ましいとした予測に対して、担当者が行動を実施して実際に30分後の在庫が「70%」であったことを示している。
図3の例2についても同様である。
【0028】
予測システム20は、予測の精度を向上させるために、チューニングを繰り返しながら不要なインプットデータは削除等して改善するのが望ましい。予測システム20は、例えば、現場内データおよび現場外データの一方または双方の中から不要な種類のデータを取り除く処理を適宜行うチューニング手段を有する。なお、エッジコンピュータ12で現場内データの中から不要な種類のデータを取り除くチューニング処理を実行してもよい。つまり、予測システム20に代えてまたは予測システム20と共に、エッジコンピュータ12がチューニング手段を有していてもよい。どの種類のインプットデータを削除するかの判断は、例えばシステムを管理する人間が行ってもよいし、人工知能技術を用いて自動で判断してもよい。後者の場合、例えばインプットデータの種類を代えて予測を繰り返し行い、最適なものを最終的に導き出す。なお、予測システム20やエッジコンピュータ12は、特許請求の範囲の「チューニング手段」の一例である。
【0029】
図1に示すセンタシステム40は、店舗外に構築されるシステムの一つであり、例えば店舗を統括する本部や店舗の情報を管理するセンタに構築されるシステムである。この本部やセンタには、例えば店舗を統括する管理者が在席している。予測システム20は、予測結果をセンタシステム40に送信し、管理者はセンタシステム40に配置される端末を用いて予測結果を確認する。管理者は、通知された予測結果に基づいて、現場である店内の担当者に指示を出してもよい。なお、センタシステム40に配置される端末は、特許請求の範囲の「通知手段」の一例である。
【0030】
センタに在席する管理者による現場の担当者への指示のイメージを
図4に示す。
図4では、管理者がA店に対して補充指示を送り、B店に対して在庫発注指示を送り、C店に対して値引き指示を送る場合を例示している。各指示を受けた現場の担当者は、指示に基づく作業を自身で行ったり、現場の作業者に行わせたりする。
このように、各店舗の運用ではなく、本部やセンタなどから一括で店舗運営を行う仕組みを作ることで、店舗の負担を軽減することも可能である。また、各店舗の担当者の経験に左右されない運営をサポートすることができる。
【0031】
<実施形態に係る行動支援システムの動作>
図1ないし
図3を参照して、実施形態に係る行動支援システム1の動作について説明する。
店内に設置したカメラ11で、店舗内の様子(商品の過不足、顧客向けパンフレットの冊数、顧客の混雑状況など)を撮影する。撮影した映像データをエッジコンピュータ12に送り、エッジコンピュータ12上に搭載されたセンシングエンジンにより、映像データから得られる店内の状況を数値化する(例:商品の陳列量が〇〇%、店内顧客混雑度XX%など)。エッジコンピュータ12で数値化した数値データを予測システム20へ送る。予測システム20上で各種現場外データ(過去の売上データ、天気予報、周辺のイベント情報、過去の来店客数など)をインプットしてAI予測を行い、一定時間後の店内の様子を数値で見える化する。予測の精度向上についてはチューニングを繰り返しながら不要なインプットデータは削除等して改善する。店内での対応が必要になった場合には、管理者へ通知を送る。予測システム20の分析結果や達成率については、例えばダッシュボード表示用PC(例えば閲覧用の端末19)に表示をする。複数店舗に対応する場合、センタ側から各店舗へ指示を出すのがよい。人間による指示がなくても商品などを自動で補充できるように他のシステムと連携させてもよい。例えば、指示の自動化に向けてのステップを下記に示す。
【0032】
(Step1 : 管理者による指示)
AIが予測したデータを見ながら一定以上の閾値を超えた場合に指示する。
(Step2 : 自動指示)
管理者指示の手法をAIが学習して自動的に店舗の担当者に連絡する。
(Step3 : 自動指示の精度向上)
売り場担当が指示を受けて実行した結果をフィードバックして、AIの精度を向上させる(例 : 在庫システムへの入力実績をバッチデータとして還元)。
【0033】
以上のように、行動支援システム1によれば、店内システム10から提供される現場内データ(またはその数値データ)および連携システム30から提供される現場外データを用いて予測を行うことにより、従来よりも適切な予測が可能である。その結果、適切な予測によって現場の行動を支援することができる。
例えば、流通業では販売したい時に在庫がないといった販売機会のロスや、商品が売れ残ることによる廃棄ロスの発生を抑制できる。また、金融業や旅客業ではお客様向けパンフレットが店舗内で不足していることに気づかず販売機会を逃すことや、顧客満足度の低下を招くことを抑制できる。また、ATMコーナーでの現金封筒の不足を同様に抑制できる。なお、複数店舗や複数拠点を保有する流通業や金融機関、旅客業では、本部やセンタなどから一括で店舗運営を行う仕組みを作ることで、店舗ごとの運用にばらつきが生じることも抑制できる。
【0034】
また、行動支援システム1によれば、達成率を通知するので、実際に現場の人間によってその予測に基づいた行動を促すとともに、行動がなされなかった場合にそのことが明確になる。
【0035】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、特許請求の範囲の趣旨を変えない範囲で実施することができる。
【符号の説明】
【0036】
1 行動支援システム
2 インターネット
10 店内システム
11 カメラ(第1データ取得手段)
12 エッジコンピュータ(現場側処理手段、チューニング手段)
13 PoEハブ
14 LTEルータ
19 端末(通知手段)
20 予測システム(予測手段、チューニング手段、状況予測装置)
30A,30B,30C,30 連携システム(第2データ取得手段)
40 センタシステム(通知手段)