(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022131661
(43)【公開日】2022-09-07
(54)【発明の名称】統合された予約支援システム
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/02 20120101AFI20220831BHJP
【FI】
G06Q10/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021030716
(22)【出願日】2021-02-26
(71)【出願人】
【識別番号】515239711
【氏名又は名称】BHI株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002790
【氏名又は名称】One ip弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】日昔 靖裕
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049AA03
(57)【要約】
【課題】一連の行程に関連する予約を支援する統合された予約支援システムを提供する。
【解決手段】本発明による予約支援システムは、複数の外部サービスから行動履歴データを取得する行動履歴データ取得部と、行動履歴データ取得部で取得した行動履歴データを記憶する行動履歴データ記憶部と、ユーザ端末から出発地及び目的地の入力を受け付ける入出力部と、行動履歴データ記憶部に記憶された行動履歴データを学習し、複数の予約すべき項目を含む行程テンプレートを作成する行程テンプレート作成部と、入出力部で受け付けた出発地及び目的地に応じて、行程テンプレート作成部で作成された行程テンプレートを選択し、行動履歴データ記憶部に記憶された行動履歴データを学習して、選択した前記行程テンプレートの複数の予約すべき項目に関する予約候補のリコメンドを生成するリコメンド生成部とを備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一連の行程に関連する予約を支援する統合された予約支援システムであって、
複数の外部サービスから行動履歴データを取得する行動履歴データ取得部と、
前記行動履歴データ取得部で取得した行動履歴データを記憶する行動履歴データ記憶部と、
ユーザ端末から出発地及び目的地の入力を受け付ける入出力部と、
前記行動履歴データ記憶部に記憶された前記行動履歴データを学習し、複数の予約すべき項目を含む行程テンプレートを作成する行程テンプレート作成部と、
前記入出力部で受け付けた前記出発地及び目的地に応じて、前記行程テンプレート作成部で作成された前記行程テンプレートを選択し、前記行動履歴データ記憶部に記憶された前記行動履歴データを学習して、選択した前記行程テンプレートの前記複数の予約すべき項目に関する予約候補のリコメンドを生成するリコメンド生成部と
を備えることを特徴とする、前記統合された予約支援システム。
【請求項2】
前記入出力部は、前記リコメンド生成部で生成した前記予約候補のリコメンドをユーザ端末に出力することを特徴とする、請求項1に記載の統合された予約支援システム。
【請求項3】
前記リコメンド生成部は、選択した前記行程テンプレートの前記複数の予約すべき項目の少なくともいずれかについて予約が完了したことを、前記行動履歴データから検知することを特徴とする、請求項1又は2に記載の統合された予約支援システム。
【請求項4】
前記リコメンド生成部は、前記行程テンプレートの前記複数の予約すべき項目のうち、既に予約が完了している少なくとも1つ以上の予約完了項目の予約情報に基づいて、予約が完了していない少なくとも1つ以上の予約すべき項目に関する予約候補のリコメンドを更新することを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の統合された予約支援システム。
【請求項5】
前記リコメンド生成部は、現在の日時及びユーザ端末の現在の位置情報を取得し、作成した前記行程テンプレートに対応する行程に沿ってユーザが行動中であるか否かを判断し、ユーザが前記行程に沿って行動中であると判断した場合には、前記位置情報及び前記行程の進捗に合わせた新たな予約候補のリコメンドを生成することを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の統合された予約支援システム。
【請求項6】
前記リコメンド生成部は、前記行動履歴データ記憶部に記憶された前記行動履歴データを学習して得られたユーザの時間帯ごとの行動履歴から、現在の時刻に応じた予約候補のリコメンドを生成することを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載の統合された予約支援システム。
【請求項7】
前記リコメンド生成部は、前記行動履歴データ記憶部に記憶された前記行動履歴データを学習して得られたユーザの行動履歴から、ユーザの現在の行動が、日常的行動であるか、非日常的行動であるかを判断し、日常的行動であるか、非日常的行動であるかに応じて、予約候補のリコメンドを生成することを特徴とする、請求項1~6のいずれか一項に記載の統合された予約支援システム。
【請求項8】
前記リコメンド生成部は、現在の日時及びユーザ端末の現在の位置情報を取得し、作成した前記行程テンプレートに対応する行程の通りにユーザが行動することを妨げる要因が生じた場合には、以降の行程について新たな予約候補のリコメンドを生成することを特徴とする、請求項1~7のいずれか一項に記載の統合された予約支援システム。
【請求項9】
前記行動履歴データは、前記複数の外部サービスにおいてやり取りされる電子メールのメッセージ、SNSでやり取りされるメッセージ、カレンダーに記憶されたメッセージ、ニュースを提供するアプリケーションに記憶されたメッセージ、又はクラウド上に記憶されたメッセージであることを特徴とする、請求項1~8のいずれか一項に記載の統合された予約支援システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、統合された予約支援システムに関し、特に、モビリティクラウドを活用したシームレスな移動サービスを構築するための統合された予約支援システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ICT、自動運転等の急速な技術革新を背景としてモビリティクラウドを活用したシームレスな移動サービス(MaaS:Mobility as a service)の分野への投資が進んでいる。その国内市場規模は2030年に6兆円超と予測されている。
【0003】
国土交通省によれば、MaaSは以下の2種類の類型に分類される。第1の類型は、統合的な検索サービス、決済、スマートフォンアプリなどの手段を通じ、複数の交通サービスを対象とした検索・予約・決済管理等を一体的に提供するものである。第2の類型は、オンデマンドバス、カーシェアリング、ライドシェアリング、自動運転サービスなど、利用者のニーズに柔軟に対応できる新しい交通サービスの提供するものである。これらを実現するためには、交通サービスの情報統合と合わせ、個々人にパーソナライズ化された検索、予約、決済、及び交通手段を提供することが課題となる。
【0004】
一方、移動、宿泊、飲食等に関する従来の情報検索サイトにおいては、それぞれが異なる情報検索サービスとして展開されている。そのため、ユーザは、各サービス上で複数の項目や諸条件の入力を手作業で行う必要がある。例えば、旅行や出張の際には、移動、宿泊、飲食等の分野の異なるサービスについて、それぞれ検索をして予約をしなければならない。検索結果も各サービス上で表示されるため、複数のサービス上で複数の検索結果を比較検討することが負担となる。また、複数のサービス上でそれぞれに複数の候補が表示されることから、結果として不要な候補の情報も比較検討のために参照することとなり、無駄な時間や手間を要することとなる。
【0005】
また、C2Cの宿泊サービスや、格安航空のLCC等においては、閑散期や繁忙期等の利用者の増減により価格が時々刻々と変動するダイナミック・プライシングを採用していることも多い。また、競合他社の利用金額・頻度が多いユーザがブランドスイッチにより自社サービスを利用することを期待して、大きなポイント還元やキャッシュバックを行われ、結果的にダイナミック・プライシングとなることもある。
【0006】
そのような複雑な価格変動の仕組みや情報過多になりがちな検索結果を踏まえながら、ユーザが自ら最適な予約の組み合わせを選択することは難しい状況となりつつある。そのため、移動、宿泊、飲食等の異なるサービスを総合的に判断して最適な予約の組み合わせを提示することが可能なシステムが求められる。
【0007】
旅行の予約を支援するシステムとして、特許文献1では、ウェブサイトを介して交通機関と宿泊施設とを組み合わせたパッケージツアーを予約する際に、候補として検索された候補交通機関情報と候補宿泊施設情報とをマトリクス状に配置された一覧表の形態でユーザに提示する旅行予約支援システムを開示している。
【0008】
また、特許文献2では、一つの旅程を構成する各種情報や各種申込を、旅程企画者が提示する1つの旅程毎に1枚のウェブページ内から行えるようにし、また、一つの旅程を構成する各種情報や各種申込を、旅程順にかつ図解的にPR表示および閲覧利用できるようにした情報処理システムを開示している。
【0009】
また、特許文献3では、旅行の予約を行うためのURLと旅行関連項目とその項目値とを関連付けて記憶し、過去の旅行情報を項目値として記憶し、旅行に対するユーザの希望を項目値として受け付けて記憶し、記憶された情報に合致するURLを提示し、ユーザが選択したURLを検知し、検知したURLによって指定されるウェブページを表示し、表示されたウェブページにおける予約情報を取得し、取得した予約情報を項目値として記憶する旅行計画支援装置を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2006-146439号公報
【特許文献2】特開2012-234505号公報
【特許文献3】特開2013-218601号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
特許文献1は、候補交通機関情報と候補宿泊施設情報とをマトリクス状に配置された一覧表の形態でユーザに提示することにより、パッケージツアーの予約に際してユーザの選択の自由度を拡大させ、ウェブサイトを利用して短時間で予約を行えるようにするものである。しかしながら、特許文献1は、交通機関と宿泊施設の組み合わせのみを考慮するものであり、旅程に含まれる飲食店や観光スポット等の複数の訪問先へのアクセスや予約については考慮されていない。
【0012】
これに対し、特許文献2は、旅程企画者によって用意された1つの旅行プランの旅程を構成する観光スポット、飲食店や観光施設、宿泊施設、交通手段を、ウェブページ上の1 枚の地図内に表示することで、1枚のウェブページ内からこれらの予約を行えるようにするものである。特許文献2では、交通機関、宿泊施設だけでなく、旅程に含まれる飲食店や観光スポット等を1枚のウェブページ内で同時に確認し、予約をすることができる。しかしながら、1枚のウェブページに表示される情報は、予め旅行企画者によって用意された旅行プランに基づくものであり、そのウェブページに表示されていないものについては、情報の取得や予約ができない。そのため、ユーザの細かなニーズや嗜好に合った選択肢が用意されているとは限らないという問題があった。
【0013】
一方、特許文献3は、ユーザが過去に行った旅行の情報を項目値として記憶することで、旅行の計画の際に、ユーザの細かいニーズや無意識レベルで欲求している隠れたニーズに基づいた旅行関係情報を入手することができるようにするものである。しかしながら、特許文献3は、その旅行計画支援装置を利用して計画を行った過去の旅行についての情報は得られるものの、他のシステムやサービスを利用して計画や予約を行った過去の旅行についての情報は得ることができない。そのため、その旅行計画支援装置の利用頻度によっては、ユーザの細かいニーズや無意識レベルで欲求している隠れたニーズに基づいた旅行関係情報を十分に入手することができないという問題があった。
【0014】
そこで、本発明は、上記課題を解決し、メールサービスやカレンダー、Todo、ニュースアプリ等のユーザが日常的に利用している複数の外部サービスを活用し、移動、宿泊、飲食等の種類の異なる複数のサービスの最適な組み合わせの予約候補を提示することが可能な統合された予約支援システムを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記課題を解決するため、本発明では、一連の行程に関連する予約を支援する統合された予約支援システムを提供する。本発明による統合された予約支援システムは、複数の外部サービスから行動履歴データを取得する行動履歴データ取得部と、行動履歴データ取得部で取得した行動履歴データを記憶する行動履歴データ記憶部と、ユーザ端末から出発地及び目的地の入力を受け付ける入出力部と、行動履歴データ記憶部に記憶された行動履歴データを学習し、複数の予約すべき項目を含む行程テンプレートを作成する行程テンプレート作成部と、入出力部で受け付けた出発地及び目的地に応じて、行程テンプレート作成部で作成された行程テンプレートを選択し、行動履歴データ記憶部に記憶された行動履歴データを学習して、選択した行程テンプレートの複数の予約すべき項目に関する予約候補のリコメンドを生成するリコメンド生成部とを備えることを特徴とする。
【0016】
本発明による統合された予約支援システムにおいて、入出力部は、リコメンド生成部で生成した予約候補のリコメンドをユーザ端末に出力することを特徴とする。
【0017】
本発明による統合された予約支援システムにおいて、リコメンド生成部は、選択した行程テンプレートの複数の予約すべき項目の少なくともいずれかについて予約が完了したことを、行動履歴データから検知することを特徴とする。
【0018】
本発明による統合された予約支援システムにおいて、リコメンド生成部は、行程テンプレートの複数の予約すべき項目のうち、既に予約が完了している少なくとも1つ以上の予約完了項目の予約情報に基づいて、予約が完了していない少なくとも1つ以上の予約すべき項目に関する予約候補のリコメンドを更新することを特徴とする。
【0019】
本発明による統合された予約支援システムにおいて、リコメンド生成部は、現在の日時及びユーザ端末の現在の位置情報を取得し、作成した行程テンプレートに対応する行程に沿ってユーザが行動中であるか否かを判断し、ユーザが行程に沿って行動中であると判断した場合には、位置情報及び行程の進捗に合わせた新たな予約候補のリコメンドを生成することを特徴とする。
【0020】
本発明による統合された予約支援システムにおいて、リコメンド生成部は、行動履歴データ記憶部に記憶された行動履歴データを学習して得られたユーザの時間帯ごとの行動履歴から、現在の時刻に応じた予約候補のリコメンドを生成することを特徴とする。
【0021】
本発明による統合された予約支援システムにおいて、リコメンド生成部は、行動履歴データ記憶部に記憶された行動履歴データを学習して得られたユーザの行動履歴から、ユーザの現在の行動が、日常的行動であるか、非日常的行動であるかを判断し、日常的行動であるか、非日常的行動であるかに応じて、予約候補のリコメンドを生成することを特徴とする。
【0022】
本発明による統合された予約支援システムにおいて、リコメンド生成部は、現在の日時及びユーザ端末の現在の位置情報を取得し、作成した前記行程テンプレートに対応する行程の通りにユーザが行動することを妨げる要因が生じた場合には、以降の行程について新たな予約候補のリコメンドを生成することを特徴とする。
【0023】
本発明による統合された予約支援システムにおいて、行動履歴データは、前記複数の外部サービスにおいてやり取りされる電子メールのメッセージ、SNSでやり取りされるメッセージ、カレンダーに記憶されたメッセージ、ニュースを提供するアプリケーションに記憶されたメッセージ、又はクラウド上に記憶されたメッセージであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0024】
本発明の統合された予約支援システムによれば、メールサービスやカレンダー、Todo、ニュースアプリ等のユーザが日常的に利用している複数の外部サービスにおける行動履歴データを学習することにより、移動、宿泊、飲食等の種類の異なる複数のサービスの最適な組み合わせの予約候補を提示することができる。
【0025】
また、本発明によれば、複数の外部サービスにおける行動履歴データを学習することにより、閑散期や繁忙期等の利用者の増減により価格が時々刻々と変動するダイナミック・プライシングを採用する複数のサービスが混在する中でも、ユーザに有利な組み合わせの予約候補を提示することが可能となる。
【0026】
また、本発明によれば、複数の外部サービスにおける行動履歴データを学習することにより、ユーザの意思で直接的に入力する情報が少ない場合でも、ユーザの嗜好に合わせた最適な組み合わせの予約候補を提示することができる。
本発明の他の目的、特徴及び利点は添付図面に関する以下の本発明の実施例の記載から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】
図1は、本発明による統合された予約支援システム全体を示す概念図である。
【
図2】
図2は、本発明による統合された予約支援システムの行動履歴データ取得部の処理を示す図である。
【
図3】
図3は、本発明による統合された予約支援システムの行動履歴データ記憶部に記憶される行動履歴データの一例を示す図である。
【
図4】
図4は、本発明による統合された予約支援システムの行程テンプレート作成部の処理を示す図である。
【
図5】
図5は、本発明による統合された予約支援システムのリコメンド生成部の処理を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
図1は、本発明による統合された予約支援システム全体を示す概念図である。
本発明による統合された予約支援システム1は、複数の外部サービス2から行動履歴データを取得する行動履歴データ取得部10と、行動履歴データ取得部10で取得した行動履歴データを記憶する行動履歴データ記憶部20と、ユーザ端末60から出発地及び目的地の入力を受け付ける入出力部30と、行動履歴データ記憶部20に記憶された行動履歴データを学習し、複数の予約すべき項目を含む行程テンプレートを作成する行程テンプレート作成部40と、入出力部で受け付けた出発地及び目的地に応じて、行程テンプレート作成部で作成された行程テンプレートを選択し、行動履歴データ記憶部に記憶された行動履歴データを学習して、選択した行程テンプレートの複数の予約すべき項目に関する予約候補のリコメンドを生成するリコメンド生成部50とを備える。
【0029】
ここで、外部サービス2とは、例えば、メッセージの送受信を行うことが可能な電子メールサービス3やSNSサービス4、カレンダーに予定やTodo等に関するメッセージを記録することが可能なカレンダーサービス5、ユーザの興味、関心、嗜好を示すメッセージに基づいてニュースを検索又は配信することが可能なニュース配信サービス6等の各種サービスを指す。外部サービス2には、既に市場で展開されている複数の外部サービスが含まれるだけでなく、各種のメッセージの送受信、記録、利用が可能な将来追加され得るサービスも含み得る。
【0030】
行動履歴データ取得部10は、複数の外部サービス2から行動履歴データを取得する。行動履歴データ取得部10は、外部サービス2においてやり取りされる電子メール等のメッセージをフィルタリングし、カテゴリごとにメッセージを行動履歴データとして取得する。行動履歴データとして取得するメッセージは、例えば、商品やサービスの予約や購入、飛行機、電車、バス、タクシー、シェアカー、レンタカー、レンタサイクル、船舶等の予約やチケットの購入、デリバリー、ホテル、飲食店等の予約や決済、イベントチケットの予約や購入、金融関連の手続や決済等に関するメッセージである。
【0031】
これらのメッセージは、予めユーザからの同意を得て、行動履歴データとして取得される。また、これらのメッセージは、行動履歴データ取得部10により、電子メールサービス3、SNSサービス4、カレンダーサービス5、ニュース配信サービス6等の外部サービス2から直接、取得されるようにしてもよい。また、これらのメッセージは、予めユーザからの同意を得て、これらの外部サービス2からクラウドサービス7に集約され、行動履歴データ取得部10により、クラウドサービス7からこれらのメッセージを取得されるようにしてもよい。
【0032】
行動履歴データ記憶部20は、行動履歴データ取得部10で取得した行動履歴データを記憶する。取得された行動履歴データは、データベース又はテーブルの形式で記憶される。行動履歴データ取得部10及び行動履歴データ記憶部20は、クラウド上に構築するようにしてもよい。また、行動履歴データ取得部10と行動履歴データ記憶部20とを合わせて1つのサーバとして構築するようにしてもよい。
【0033】
入出力部30は、ユーザ端末60から出発地及び目的地の入力を受け付ける。入力される出発地及び目的地の情報は、都市名、駅名、空港名/港名、施設名、住所等であってもよい。出発地及び目的地の入力により特定される移動は、旅行や出張等の比較的長距離の移動だけでなく、通勤・通学、買い物その他の日常生活における比較的短距離の移動も含まれる。また、入出力部30は、リコメンド生成部50で生成した予約候補のリコメンドをユーザ端末60に出力する。
【0034】
出発地及び目的地は、ユーザから入力を受け付けるだけでなく、カレンダー情報から出発地及び目的地を推定するようにしてもよい。例えば、カレンダー情報に、地図アプリケーションやでルート検索などを行った場合の出発地及び目的地が含まれている場合には、入出力部30は、当該出発地及び目的地を取得することができる。また、交通機関の予約情報から出発地及び目的地を推定するようにしてもよい。
【0035】
また、行程テンプレート作成部40は、対象ユーザの行動履歴のうち、将来の日付の行動履歴(すなわち予約情報)のひとつ(例えば、交通機関の予約情報や宿泊施設の予約情報などを用いることができる。)を特定し、特定した予約情報に含まれている日付又は期間を用いて、当該日付と一致する日付を含む、あるいは、当該期間に含まれる日付を含む、当該ユーザの予約情報を取得し、日時の順に並べて行程データを作成することができる。行程テンプレート作成部40は、例えば、当該行程データの最先の日時から所定時間前から、当該行程データの最遅の日時から所定時間後までの期間に対応する日付の予約情報をさらに行程データに含めることもできる。行程テンプレート作成部40は、行程データに含まれる、最先の日時の予約情報の場所を出発地、最遅の日時の予約情報の場所を目的地として推定することもできる。
【0036】
行程テンプレート作成部40は、行動履歴データ記憶部20に記憶された行動履歴データに基づいて、行程テンプレートを作成する。行程テンプレートとは、典型的な行程のサンプルである。行程テンプレートには、出発地から目的地までの間にユーザが取り得る一連の行動が含まれうる。例えば、ある行程の出発地が東京、目的地が北海道であった場合に、複数の行動として「交通機関で移動」、「宿泊」、「食事」を含む行程テンプレートが作成され得る。行程テンプレート作成部40は、行動履歴データを機械学習により学習し、行程テンプレートを作成できるようにすることもできる。
【0037】
行程テンプレートは、その出発地及び目的地の組み合わせについて、多数のユーザが同じ組み合わせの行動をしている場合に作成される。同じ出発地及び目的地の組み合わせについて、複数通りの行程テンプレートを作成してもよい。行程テンプレート作成部40は、行動履歴データ記憶部20に記憶された行動履歴データを学習することにより、多数のユーザが同じ組み合わせの行動(例えば、交通、店舗、施設等を利用していること)を認識し、行程テンプレートを作成することができる。
【0038】
行程テンプレート作成部40は、複数のユーザの過去の行動履歴から行程テンプレートを作成する。行程テンプレートには一連の行動が含まれる。行動は、カテゴリデータであってよい。行動は、出発、到着、食事、観劇、映画鑑賞、買物などの各種のサービスを受ける行動と、移動手段(交通サービスの提供によるものを含む。)による移動とを含む。行動には、場所を示す情報が付帯されうる。場所は、始点、終点などのユーザから入力された地点、駅、空港、タクシー乗り場、レンタカー店舗、駐車場などの移動手段に関連する場所、ホテル、旅館、休憩所などの宿泊や休憩をする場所、飲食店、劇場、映画館、ショッピングモール等のユーザが各種のサービスを受けられる場所などを含む。
【0039】
行程テンプレート作成部40は、同一の項目について、取り得る行動及び場所を複数含めることができる。行程テンプレート作成部40は、例えば、行動履歴データを機械学習することにより作成された学習モデル(出発地及び目的地に応じて行動や場所を推論するための学習モデル)に基づいて複数の行動(及び当該行動に関連する場所)を、確率の高い順に所定数(又は確率が所定以上であるものすべて)推論し、推論した複数の行動(及び場所)を1つの項目の選択肢として設定し、複数の選択肢が設定された項目を行程テンプレートに含めるようにすることができる。
【0040】
行程テンプレート作成部40は、該当ユーザの行動履歴のうち、該当行程の日程範囲に含まれるものを抽出し、該当する行程を行程テンプレートに格納した行程データを作成する。行程データに含まれるデータのうち、ユーザの行動に関する項目については、時刻(日時)情報が含まれる。行程データに含まれる行動の項目については、時間(移動開始日時及び移動終了日時であってもよいし、1時点であってもよい。)が含まれうる。なお、移動開始日時、移動終了日時は、幅を持った期間であってよい。行程データは、後述する
図3に示す行動履歴データの構成と同様にすることもできる。
【0041】
例えば、ある行程の出発地が東京、目的地が北海道であった場合に、行程テンプレートに、「交通機関で移動」、「交通機関で移動」、「食事」、「宿泊施設に宿泊」が含まれていた場合に、ユーザの将来の行動履歴データに飛行機の予約、電車での移動のTodo、ホテルの予約の行動履歴が存在したときには、例えば、「XX航空XX便で移動」の行動内容、「成田空港/新千歳空港」の場所、「2021年2月1日10:00/2021年2月1日11:30」の時間を含む第1行動と、「千歳線で移動」の行動内容、「新千歳空港/札幌駅」の場所、「2021年2月1日12:30/2021年2月1日13:08」の時間を含む第2項目と、「食事」の行動内容、「XXレストラン」の場所、「2021年2月1日13:20/2021年2月1日15:00」の時間を含む第3項目と、「宿泊」の行動内容、「XXホテル」の場所、「2021年2月1日15:30/2021年2月2日10:00」の時間を含む第4項目とを含む行動データが作成されうる。
【0042】
リコメンド生成部50は、入出力部30で受け付けた出発地及び目的地に応じて、行程テンプレート作成部40で作成された行程テンプレートを選択する。また、リコメンド生成部50は、行程テンプレートに含まれる行動のうち、行程データに具体的な行動内容が設定されていないものについて、リコメンドを生成することができる。リコメンドは、任意の手法により行うことができる。また、リコメンド生成部50は、行動履歴データ記憶部20に記憶された行動履歴データを学習して、リコメンドを生成することもできる。例えば、リコメンド生成部50は、同じ出発地及び目的地に係る行動履歴データに含まれていた行動を抽出してリコメンドを生成することができる。
【0043】
例えば、ある行程の出発地が東京、目的地が北海道であった場合に、リコメンド生成部50は、複数の予約すべき項目として「飛行機で移動、レンタカーで移動、ホテルで宿泊、飲食店で食事」を含む行程テンプレートを選択し、「飛行機で移動」、「レンタカーで移動」、「ホテルで宿泊」、「飲食店で食事」のそれぞれに関する予約候補のリコメンドを生成することができる。
【0044】
図2は、本実施形態に係る統合された予約支援システム1の行動履歴データ取得部10の処理を示す図である。
行動履歴データ取得部10は、外部サービス2からユーザの行動履歴に関するメッセージを行動履歴データとして取得する。行動履歴データは、複数の外部サービス2においてやり取りされる電子メールのメッセージ、SNSでやり取りされるメッセージ、カレンダーに記憶されたメッセージ、ニュースを提供するアプリケーションに記憶されたメッセージ、又はクラウド上に記憶されたメッセージである。
【0045】
ユーザの行動履歴には、例えば、購入、予約、予定、Todo、検索ワード、登録ワード等の情報が含まれ得る。即ち、商品やサービスの購入や予約等の購買行動のみならず、カレンダーへの予定やTodoの登録、ニュース配信サービスでの検索、ユーザの興味、関心、嗜好等を示すキーワード等のニュース配信サービスへの登録等に関するユーザの過去の行動が、ユーザの行動履歴に含まれ得る。
【0046】
また、予めユーザからの同意を得て、ユーザ端末60から直接的に、又は外部サービス2を介して間接的に、ユーザ端末60の位置情報を行動履歴データとして取得するようにしてもよい。行動履歴データ取得部10は、ユーザ端末60の位置情報を、各外部サービス2におけるメッセージのやり取りや検索・登録等のユーザの行動に関連付けて、その行動が行われたときの位置情報として取得し、行動履歴データ記憶部20に記憶するようにしてもよい。位置情報は、ユーザ端末60に備えられたGPS機能等により得ることができる。
【0047】
リコメンド生成部50は、定まった時間、出発地と目的地がある移動、例えば、飛行機、鉄道、タクシー、バス、フェリーなどに関する行動履歴データと、位置情報と、時間とを突合し、精度の高いリコメンドを提案することができる。例えば、その時その場に適した食事や土産、体験イベントなどをリコメンドすることができる。リコメンド生成部50は、興味、関心、嗜好と、位置情報とに応じて、各種イベント(食事、土産、体験イベント)をリコメンドすることができる。
【0048】
また、ユーザ端末60の現在地や移動の軌跡の情報を取得するためにユーザ端末60の位置情報を取得するようにしてもよい。ユーザ端末60の現在の位置情報や移動の軌跡は、ユーザが行程テンプレートに対応する行程に沿ってユーザが行動中であるか否かを判断するために用いることができる。
【0049】
行動履歴データ取得部10は、メッセージのやり取りを行う電子メールサービス3やSNSサービス4から、商品又はサービスの購入や予約等の情報を取得することができる。例えば、行動履歴データ取得部10は、電子メールで送信された商品の購入確認メールを解析することにより、購入日時、購入商品等の情報を取得することができる。これらの情報は、例えば、ユーザの嗜好に合った商品を購入することが可能なショッピング施設等をリコメンドするために用いることができる。
【0050】
また、他の例では、行動履歴データ取得部10は、電子メールで送信されたホテルの予約確認メールを解析することにより、ホテルの予約日時、場所、宿泊日、チェックイン予定時刻、チェックアウト予定時刻、宿泊日数、宿泊人数、部屋のタイプ、ホテルでの食事の有無、オプショナルツアーや施設の入場券等のオプションサービスの有無及び内容等の情報を取得することができる。これらの情報は、行程の基点(始点、終点、経由地等の中間地点、宿泊地点など行程に含まれる各種地点を含む。)となる場所を把握し、ホテルへの移動やホテルから移動に伴う交通手段の予約の要否や、ホテル周辺の飲食店の予約の要否等を判断するために用いることができる。例えば、夕食付きの宿泊プランの予約が完了している場合に、周辺レストランでの夕食の予約をリコメンドする必要性は低いため、予約情報を解析することで、無駄なリコメンドの生成を抑制し、情報過多になることを回避することができる。この場合、行程テンプレート作成部40は、例えば、行程テンプレートに宿泊の行動が含まれている場合に、ユーザに対応する行動履歴データ(予約情報)から当該宿泊に対応する宿泊プランに係るものを特定し、その予約情報から、宿泊に付随する食事(朝食、夕食等)の有無を抽出し、朝食が付随している場合には、行程データにおいて当該宿泊の行動の後の食事の行動の項目を削除するようにしてもよい。また、宿泊に夕食が付随している場合にも、当該宿泊の行動の後の食事の行動の項目を行程データから削除することもできる。また、宿泊プランにイベントへの参加等が含まれている場合には、行程テンプレート作成部40は、予約情報を解析して、含まれているイベントの場所や時間を抽出し、イベントへの参加という行動を行程データに設定することができる。
【0051】
更に他の例では、行動履歴データ取得部10は、電子メールで送信された航空券の予約確認メールを解析することにより、フライトの出発時刻・到着時刻、出発地、目的地、航空会社、座席のタイプ、フライトの時間帯から判断した機内食の利用可能性等の情報を取得することができる。これらの情報は、行程の基点となる場所を把握し、空港からの移動や空港への移動に伴う交通手段の予約の要否や、飲食店の予約の要否等を判断するために用いることができる。
【0052】
更に他の例では、行動履歴データ取得部10は、電子メールで送信されたイベントや観光スポット・観光施設等のチケットの予約確認メールを解析することにより、イベントの開始時刻・終了時刻、開催地、イベント名、ジャンル、開催主体、施設等の営業時間、場所、施設名、ジャンル等の情報を取得することができる。これらの情報は、行程の基点となる場所を把握し、イベント開場や施設等への移動、イベント会場や施設等から他の場所への移動に伴う交通手段の予約の要否等を判断するために用いることができる。また、音楽、演劇、祭り、展示会、セミナー等のイベントのジャンルや、名所旧跡、神社仏閣、景勝地、レジャーランド、テーマパーク、博物館、動物園、水族館等の観光スポットや観光施設のジャンルから、ユーザの興味、関心、嗜好を判断してリコメンドの生成するために用いることもできる。例えば、リコメンド生成部50は、行動履歴のうちカテゴリが「交通」であり、「場所」にイベントや観光スポット、観光施設等の場所(施設名等)が設定されているものと、行程データに含まれる、直前の行動項目の場所との組み合わせが設定されているものに基づいて判断することができる。リコメンド生成部50は、例えば、上記組み合わせが設定されている「交通」の行動履歴が存在していた場合に、交通手段の予約が必要と判断することができる。リコメンド生成部50は、抽出した行動履歴を「商品名/サービス名」ごとに集計して、利用された数の多いもの(交通サービス)をリコメンドすることができる。なお、当該ユーザに該当する上記組み合わせを含んだ行動履歴が存在する場合には、その行動履歴に含まれているサービスを優先してリコメンドすることができる。上述したように、行程テンプレート作成部40は、行動履歴を学習した学習モデルを用いて、交通に係る具体的な行動内容をリコメンドするようにすることもできる。
【0053】
行動履歴データ取得部10は、カレンダーサービス5から、カレンダーに登録された予定やTodo等の情報を取得することができる。例えば、行動履歴データ取得部10は、スマートフォンアプリやクラウド上のカレンダーから、カレンダーに登録された予定やTodoの日付、開始時刻、終了時刻、曜日、場所、予定やTodoの名称、予定やTodoのジャンル等の情報を取得することができる。これらの情報は、行程の基点となる場所を把握し、予定やTodoに関する場所への移動やその場所から他の場所への移動に伴う交通手段の予約の要否等を判断するために用いることができる。行程テンプレート作成部40は、カレンダーの予定情報やTodo情報に基づいて、行程データに行動、場所及び時間を設定することができる。
【0054】
行動履歴データ取得部10は、ニュース配信サービス6から、ニュース配信サービス6でのニュース記事の検索に用いた検索ワードや、ユーザの興味、関心、嗜好に合うニュースを配信するためにニュース配信サービス6に登録された登録ワード等の情報を取得することができる。例えば、行動履歴データ取得部10は、スマートフォン用のニュースアプリから、そのニュースアプリでのニュース記事やコラム記事等の検索に用いた検索ワードや検索日時、閲覧した記事のジャンル等の情報を取得することができる。また、他の例では、行動履歴データ取得部10は、政治、経済、国内、国際、スポーツ、ペット、コラム等のそのニュースアプリに登録されたユーザの興味、関心、嗜好に合う記事のジャンル等の情報を取得することができる。これらの情報は、ユーザの興味、関心、嗜好を判断してリコメンドの生成するために用いることもできる。
【0055】
行動履歴データ取得部10は、クラウドサービス7から、クラウドサービス7に集約された、電子メールサービス3、SNSサービス4、カレンダーサービス5、ニュース配信サービス6等の他の複数の外部サービス2からの情報を取得することができる。
【0056】
以上のように、行動履歴データ取得部10は、複数の外部サービス2から得られる異なる種類の情報を取得して統合することができる。また、行動履歴データ取得部10は、取得した情報をカテゴリごとに分類するようにしてもよい。例えば、取得した情報を物販、交通、ホテル、飲食店、イベント等のカテゴリに分類するようにしてもよい。また、取得した情報を、カテゴリを更に細かく分類したサブカテゴリに分類するようにしてもよい。例えば、取得した情報を、交通のカテゴリを更に細かく分類した、飛行機、電車、船舶、タクシー、レンタカー等のサブカテゴリに分類するようにしてもよい。行動履歴データ取得部10により外部サービス2から取得した情報は、行動履歴データ記憶部20に記憶される。
【0057】
図3は、本発明による統合された予約支援システム1の行動履歴データ記憶部20に記憶される行動履歴データの一例を示す図である。
行動履歴データ記憶部20に記憶される行動履歴データは、行動履歴データ取得部10にて、複数の外部サービス2から取得される。
図3の例では、項目として「ID」、「購入/予約日時」、「商品名/サービス名」、「場所」、「開始」、「終了」、「カテゴリ」、「ストア」を有する。項目「ID」にはデータの通し番号が格納される。項目「購入/予約日時」には、商品の購入日時又はサービスの予約日時が格納される。項目「商品名/サービス名」には、ユーザが購入した商品名又はユーザが予約をしたサービス名が格納される。項目「場所」には、商品又はサービスに関連する場所又は出発地及び到着地が格納される。例えば、航空券の予約の場合、場所として空港名を格納してもよい。項目「開始」には、サービスの開始日時が格納される。項目「終了」には、サービスの終了日時が格納される。例えば、航空券の予約の場合、項目「開始」にフライトの出発日時を格納し、項目「終了」にフライトの到着日時を格納してもよい。また、イベントの予約の場合、「開始」にイベントの開始日時、「終了」にイベントの終了日時を格納するようにしてもよい。項目「カテゴリ」には、商品又はサービスのカテゴリが格納される。例えば、「物販」、「交通」、「ホテル」、「施設」、「飲食店」、「イベント」等のカテゴリが格納される。カテゴリは更に細かいサブカテゴリを格納するようにしてもよい。例えば、「交通」のサブカテゴリである「飛行機」、「電車」、「タクシー」等を格納するようにしてもよい。項目「ストア」には、購入や予約に用いたオンラインストア等の名称が格納される。なお、
図3の項目名及び項目の種類は例示であり、これらに限定されるものではない。
【0058】
また、行動履歴データ記憶部20には、行動履歴データ取得部10にて、ユーザ端末60から直接的に、又は外部サービス2を介して間接的に取得した、ユーザ端末60の位置情報を行動履歴データとして記憶するようにしてもよい。また、行動履歴データ記憶部20には、行動履歴データ取得部10にて取得したユーザ端末60の位置情報を、各外部サービス2におけるメッセージのやり取りや検索・登録等のユーザの行動に関連付けて、その行動が行われたときの位置情報として記憶するようにしてもよい。
【0059】
図4は、本発明による統合された予約支援システム1の行程テンプレート作成部40の処理を示す図である。
行程テンプレート作成部40は、複数の予約すべき項目を含む行程テンプレートを作成する。一つの行程において、予約すべき項目は出発地及び目的地によって異なる。例えば、目的地が遠方である場合や複数の日程に跨る場合には、飛行機やホテルの予約が必要になるが、比較的近距離の移動であれば、交通手段の予約は必要でない場合も多い。このように、出発地及び目的地と、予約すべき項目との組み合わせには一定の傾向がある。行程テンプレート作成部40は、行動履歴データ記憶部20に記憶された多数のユーザの行動履歴データを学習することにより、この傾向を把握し、典型的な行程の例として、行程テンプレートを作成する。なお、対象ユーザの行動履歴から同じ出発地及び目的地に係る行動履歴を学習できた場合には、当該ユーザの行動履歴のみから行程テンプレートを作成するようにしてもよい。
【0060】
また、出発地及び目的地が同じであっても、例えば、飛行機よりも新幹線での移動を好む等、ユーザごとに予約すべき項目は異なる。そのため、行程テンプレート作成部40は、行動履歴データ記憶部20に記憶されたユーザ本人の過去の行動履歴データを学習することにより、ユーザ本人の嗜好や傾向に合わせて、行程テンプレートを作成することができる。行程テンプレート作成部40は、例えば、対象ユーザの行動履歴データを学習し、当該ユーザの交通手段の嗜好を推定することができる。学習モデルは、例えば、移動距離又は移動時間に応じて交通手段のカテゴリを推定する学習モデルとすることができる。他の多数のユーザの傾向だけでなく、ユーザ本人の傾向を加味することにより、よりユーザ本人の嗜好に沿った行程テンプレートを作成することができる。この場合には、行程テンプレートに含める行動には優先度を付けることができる。行程テンプレート作成部40は、複数の選択可能な行動を行程テンプレートに含める場合に、対象ユーザの行動履歴から判定された当該ユーザの興味、関心、嗜好に合う度合を優先度として設定することができる。また、リコメンド生成部50は、当該ユーザの興味、関心、嗜好に合う商品・サービスを優先的にリコメンドすることができる。
【0061】
一方、新規ユーザ等、ユーザ本人が過去に予約支援システム1を利用したことがない場合や利用した回数が少ない場合であっても、他の多数のユーザの傾向に基づいて行程テンプレートを作成することができる。このように行動履歴データの学習を行うことで、ユーザからは出発地及び目的地の入力を受け付けるのみで、そのユーザに合わせた行程テンプレートを作成することができる。
【0062】
図4に示すように行程テンプレート作成部40は、行動履歴データ記憶部20に記憶された、購入、予約、予定、Todo、検索ワード、登録ワード等の情報を含む行動履歴データを学習する。また、行程テンプレート作成部40は、入出力部30でユーザ端末60から受け付けられた出発地及び目的地の情報を取得し、出発地及び目的地に合わせて行程テンプレートを作成する。行程テンプレート作成部40により作成された行程テンプレートは、リコメンド生成部50において、リコメンドを作成するために用いられる。また、行程テンプレート作成部40は、作成した行程テンプレートを行動履歴データ記憶部20に記憶し、過去に作成された行程テンプレートとして学習に用いることができるようにしてもよい。
【0063】
図4の例では、出発地が「東京」、目的地が「北海道」である場合に、「飛行機、レンタカー、ホテル、飲食店」等を予約すべき項目として含む行程テンプレートを作成している。しかしながら、例えば、ユーザ本人が過去に飛行機又は新幹線での移動が可能な行程について、新幹線を選ぶ傾向が強い場合には、
図4の行程テンプレートの「飛行機」に代えて「新幹線」を予約すべき項目として、行程テンプレートが作成される。リコメンド生成部50は、行程テンプレートの項目に複数の行動が設定されている場合には、選択肢ごとにリコメンドを行うことができる。例えば、ホテルでの宿泊後、空港でのフライトまでの間に、飲食店での食事の選択肢と、店舗での買物の選択肢とが設定されている場合に、リコメンド生成部50は、飲食店又は食事メニューのリコメンドと、買物を行い得る店舗又は商品のリコメンドとを生成することができる。リコメンド生成部50は、ユーザの興味、関心、嗜好に応じてリコメンドする店舗や商品、メニューなどを変更することができる。
【0064】
行程テンプレート作成部40は、好ましくは、1つの行程につき複数の行程テンプレートを作成するが、1つの行程につき1つの行程テンプレートのみを作成するようにしてもよい。例えば、その行程につき初めて行程テンプレートを作成する場合や、多数のユーザのほぼ全員が同じ傾向にある場合には、1つの行程につき1つの行程テンプレートのみが作成されることもあり得る。一方、例えば、多数のユーザの傾向がほぼ二分されるような場合には、1つの行程につき2つの行程テンプレートが作成され、多数のユーザの傾向にばらつきがある場合には、1つの行程につき複数の行程テンプレートが作成されることが想定される。
【0065】
また、行程テンプレートは、各予約すべき項目について、予約が完了したか否かの情報、及び完了した予約の内容についての情報を保持することができる。これにより、複数の予約すべき項目のうち、どの項目について予約が完了しており、どの項目について予約が完了していないかを管理することができる。これは、後にリコメンド生成部50において、予約が完了していない項目のみについてリコメンドを生成することに利用できる。
【0066】
行程テンプレートは、仮想的なテンプレートであり、データベース又はテーブルの形式で構成される。行程テンプレートに対しては、情報の追加や削除、修正、更新をすることができる。
【0067】
以上の通り、行程テンプレート作成部40は、行動履歴データ記憶部20に記憶された過去の行動履歴データを学習し、ユーザが実際に採用する行程を予測して作成されたものである。これに基づいて、リコメンド生成部50がリコメンドを行い、実際の行程が決定される。即ち、行程テンプレート作成部40で作成される行程テンプレートはいわば仮の状態であり、この状態から必要に応じて更にカスタマイズされて実際の行程となる。
【0068】
図5は、本発明による統合された予約支援システムのリコメンド生成部の処理を示す図である。
リコメンド生成部50は、入出力部30で受け付けた出発地及び目的地の情報に加えて、行動履歴データ記憶部20に記憶された行動履歴データを学習することにより、ユーザの嗜好を考慮して、行程テンプレート作成部40で作成された行程テンプレートを選択する。また、リコメンド生成部50は、行動履歴データ記憶部20に記憶された行動履歴データを学習することにより、ユーザの嗜好を考慮して、選択した行程テンプレートの複数の予約すべき項目に関する予約候補のリコメンドを生成する。なお、予約候補は、あくまで候補であり、予約が必須でない候補も含まれる。例えば、特急列車の特急券の指定席を予約しなくても自由席に乗車できる場合や、予約なしでも利用することができるレストラン等も候補としてリコメンドすることができる。
【0069】
このようにリコメンド生成部50は、行動履歴データを学習することによりリコメンドを生成する。これにより、ユーザが目的地に対する土地勘を有しておらず、どのような行程で移動すべきか不明な場合等であっても、ユーザは出発地及び目的地を入力するのみで、複数の交通機関等の移動手段だけでなく、宿泊や飲食等に関するリコメンドもまとめて受けられる。交通、宿泊、飲食等の複数の異なる種類の予約に対しても、それぞれのサービスごとにユーザが事細かに検索条件を入力する必要がなく、ユーザの手間を著しく省くことができる。
【0070】
また、リコメンド生成部50は、選択した行程テンプレートの複数の予約すべき項目の少なくともいずれかについて予約が完了したことを、行動履歴データから検知する。例えば、外部サービス2を介して、電子メールにて航空券の予約確認メールがユーザ端末60に送信されると、その情報が行動履歴データ取得部10を介して行動履歴データとして行動履歴データ記憶部20に記憶され、リコメンド生成部50は、その行動履歴データから、予約すべき項目のうち「飛行機」についての予約が完了したことを検知する。また、リコメンド生成部50は、その行動履歴データから予約情報を取得する。
【0071】
また、リコメンド生成部50は、予約済の項目の予約内容を踏まえて、未だ予約が完了していない予約すべき項目のリコメンドを生成することができる。リコメンド生成部50は、行程テンプレートの複数の予約すべき項目のうち、既に予約が完了している少なくとも1つ以上の予約完了項目の予約情報に基づいて、予約が完了していない少なくとも1つ以上の予約すべき項目に関する予約候補のリコメンドを更新する。例えば、予約すべき項目のうち「飛行機」についての予約が完了したことを検知すると、行動履歴データから予約情報を取得し、予約の内容に応じて、予約が完了していない「ホテル」について、予約候補をリコメンドするようにしてもよい。例えば、到着予定の空港の場所に応じて、ユーザが選択する可能性の高いホテルをリコメンドするようにしてもよい。
【0072】
図5の例では、行程テンプレートの複数の予約すべき項目のうち、「飛行機」、「レンタカー」及び「飲食店」については予約が完了している状態を示しており、「飛行機」、「レンタカー」及び「飲食店」の予約情報に基づいて、ユーザが選択する可能性の高いホテルをリコメンドするようにしてもよい。この場合、例えば、「飛行機」が到着する空港から「ホテル」まで、あるいは「ホテル」から「飲食店」まで、「レンタカー」で移動することが便利な「ホテル」をリコメンドするようにしてもよい。また、他の多数のユーザ又はユーザ本人が、同じ目的地において、同じ条件の「飛行機」、「レンタカー」及び「飲食店」の予約が完了している場合に、選択する可能性が高い「ホテル」をリコメンドするようにしてもよい。
【0073】
例えば、予約支援システム1は、空港、駅などの交通機関の発着場所と、ホテル、旅館などの宿泊場所とのペアのそれぞれについて、取り得る交通手段の選択肢を記憶する交通手段情報記憶部を備えるようにすることができる。交通手段情報記憶部では、各選択肢の交通手段について、発着場所と宿泊場所とに対応付けて便利度合を記憶することができる。なお、発着場所と宿泊場所とのペアのみでなく、飲食店と宿泊場所とのペア、発着場所と飲食店とのペア、買物店舗と宿泊場所とのペアなど、各種の行程の基点となる2つの場所のペアについて、交通手段の選択肢とその便利度合とを予め記憶しておくようにすることができる。交通手段情報記憶部には、手動で交通手段を設定するようにしてもよいし、行動履歴を学習した結果を設定するようにしてもよい。
【0074】
学習による場合、行程テンプレート作成部40は、2点の基点間の交通に係る行動履歴を用いて、2点の基点間に用いられる交通を推論する学習モデルを作成することができる。行程テンプレート作成部40は、複数の交通手段について、推論の確率を便利度合として、すなわち、より多くの人が利用した交通手段はより便利であるものとして、行程テンプレートの項目に設定することができる。リコメンド生成部50は、取り得る交通手段について、具体的な予約をリコメンドするとともに、その便利度合を提示することができる。
【0075】
また、リコメンド生成部50は、行程全体にかかる費用が安くなる組み合わせとなるように予約すべき項目のリコメンドを生成することができる。各項目の通常の費用を足し合わせた場合のみならず、特定の組み合わせについて特別な費用が設定される場合や、予約人数等に応じて価格が変動するダイナミック・プライシングを採用している場合についても考慮して行程全体にかかる費用が安くなる組み合わせを判断することができる。
【0076】
行動履歴には価格を含めることができる。この場合に、行程テンプレート作成部40は、行動履歴から価格も併せて学習し、「商品名/サービス名」ごとの「価格」を推論可能な学習モデルと、「カテゴリ」ごとの「価格」を推論可能な学習モデルと作成し、行程テンプレートの項目にはカテゴリとそのカテゴリごとの価格を含めるようにすることができる。
ここで、特定の組み合わせについて特別な費用(例えば割引価格)が設定される場合には、予約支援システム1は、商品名/サービス名の組み合わせと特別価格との対応表を備えるようにすることができる。
【0077】
リコメンド生成部50は、商品名/サービス名のリコメンド時に、その価格もリコメンドするようにするとともに、複数の項目についてリコメンドした商品名/サービス名の組み合わせのそれぞれについて、当該組み合わせが対応表に存在する場合には、対応表から価格を読み出し、読み出した価格とともに、当該組み合わせを提示することができる。また、リコメンド生成部50は、行程の金額を合計する際に、当該組み合わせの価格(割引価格)を用いて合計処理を行うことができる。
【0078】
また、リコメンド生成部50は、ある1つの項目について、商品名/サービス名をリコメンドする際に、その価格もリコメンドするとともに、当該商品名/サービス名に対応する組み合わせが対応表に存在し、当該組み合わせに含まれる他の商品名/サービス名がリコメンドされておらず、かつ、他の商品名/サービス名のカテゴリが行程テンプレートに含まれている場合には、当該カテゴリについて、当該他の商品名/サービス名をリコメンドするようにすることができる。このリコメンドの際に、リコメンド生成部50は、組み合わせによる特別価格を提示することができる。
【0079】
なお、リコメンド生成部50は、行程の合計費用が下がらない場合には、リコメンドを行わないようにすることができる。
【0080】
また、ある業者から他の業者への乗り換え(いわゆるブランドスイッチ)が行われる場合に特別な価格が設定される場合についても考慮して行程全体にかかる費用が安くなる組み合わせを判断することができる。
【0081】
予約支援システム1は、乗り換え元の商品名/サービス名と、乗り換え先の商品名/サービス名とを対応付ける乗り換え対応表を備えるようにすることができる。リコメンド生成部50は、商品名/サービス名のリコメンド時に、当該商品名/サービス名が乗り換え対応表の乗り換え元に設定されている場合には、対応する乗り換え先の商品名/サービス名をリコメンドするようにしてもよい。なお、リコメンド生成部50は、行程の合計費用が下がらない場合には、リコメンドを行わないようにすることができる。
【0082】
また、単純に価格の合計が安くなるだけでなく、ポイントの還元や割引クーポンの発行等により、実質的に費用が安くなる場合も考慮される。また、行動履歴データ記憶部20に記憶されたユーザの過去の行動履歴データから、ユーザが他の指標よりも価格の優位性を重視して予約等を行っているか否か等を判断して、リコメンドの生成を行うようにしてもよい。
【0083】
予約支援システム1は、商品名/サービス名と、その商品/サービスを購入した場合に発行されるポイントやクーポンの内容を記憶する報賞記憶部を備えるようにすることができる。リコメンド生成部50は、商品名/サービス名のリコメンド時に、当該商品名/サービス名に対応するポイントやクーポンが報賞記憶部に設定されている場合には、対応するポイントやクーポンをリコメンドするようにしてもよい。また、ポイントやクーポンを金銭評価できる場合には、リコメンド生成部50は、ポイントやクーポンの金銭評価額を商品/サービスの価格から減じるようにして、価格の安い順にリコメンドを行うようにすることもできる。
【0084】
上記のような、(i)特定の組み合わせについて特別な費用が設定される場合や、(ii)予約人数等に応じて価格が変動するダイナミック・プライシングを採用している場合、(iii)ある業者から他の業者への乗り換え(ブランドスイッチ)が行われる場合に特別な価格が設定される場合、(iv)ポイントの還元や割引クーポンの発行等により、実質的に費用が安くなる場合等の特別な条件については、行動履歴データ記憶部20に記憶された行動履歴データから抽出される。例えば、外部サービス2を介して電子メールやSNS等にて特別なキャンペーンの通知がされ、その中に上記のような特別な条件が記載されていた場合、行動履歴データ取得部10によりその条件が抽出され、行動履歴データ記憶部20に記憶される。リコメンド生成部50は、行動履歴データ記憶部20に記憶された行動履歴データから得た特別な条件の情報を考慮して、リコメンドの作成を行うようにしてもよい。
【0085】
例えば、
図5の例では、行程テンプレートの複数の予約すべき項目のうち、「飛行機」、「レンタカー」及び「飲食店」についての予約が完了している場合に、「Aホテル」と予約が完了している「飛行機」、「レンタカー」及び「飲食店」との組み合わせを採用した場合に、価格の特別な割引やポイントの還元等が適用される場合は、「Aホテル」を優先してリコメンドを生成するようにしてもよい。
【0086】
また、リコメンド生成部50は、行程データの行動と次の行動との間に取り得る行動について、リコメンドを生成することができる。リコメンド生成部50は、例えば、行程データにホテルの宿泊と観光施設の訪問が含まれていた場合に、ホテルから観光施設への交通機関や、ホテルから観光施設の間で立ち寄ることが可能な飲食店、観光地、映画館、劇場、遊園地、球場、スポーツジム、ショッピング、イベント等についてリコメンドを生成するようにすることができる。この場合、予約支援システム1は、飲食店、観光地、映画館、劇場、遊園地、球場、スポーツジム、ショッピング、イベント会場等の場所(位置情報)と、営業時間とを記憶しておく店舗情報記憶部を備えることができる。リコメンド生成部50は、ホテルの位置から観光施設の位置までの間のルート(直線であってもよいし、電車の乗り換えであってもよいし、道路の経路であってもよい。)から所定距離内の位置の飲食店、観光地、映画館、劇場、遊園地、球場、スポーツジム、ショッピング、イベント会場等のうち、営業時間がホテルの出発時刻から観光地の到着時刻までの間と少なくとも一部が重なっているものとリコメンドすることができる。このリコメンドは、行動履歴データから学習した学習モデルに基づくものであってもよい。例えば、行程テンプレート作成部40は、同一のユーザに対応する行動履歴データを時系列に並べ、特定の2つの場所(例えば、飲食店、観光地、映画館、劇場、遊園地、球場、スポーツジム、ショッピング、イベント会場等)に係る2つの行動履歴データの間に含まれる行動履歴データの行動カテゴリを学習した学習モデルを作成し、リコメンド生成部50は、この学習モデルに、行程データに含まれる2つの行動に係る場所を与えて、その2つの行動の間に行われうる他の行動を推定するようにすることができる。
【0087】
また、リコメンド生成部50は、予定の当日になる前に予め予約候補のリコメンドを行うだけでなく、予定の当日にもユーザの行動の状況に合わせてリコメンドを生成することができる。即ち、ユーザが予定の当日に予定していた行程に沿って行動している最中にリコメンドを生成することができる。リコメンド生成部50は、現在の日時及びユーザ端末の現在の位置情報を取得し、作成した行程テンプレートに対応する行程に沿ってユーザが行動中であるか否かを判断し、ユーザが行程に沿って行動中であると判断した場合には、位置情報及び行程の進捗に合わせた新たな予約候補のリコメンドを生成する。例えば、ユーザ端末の現在の位置情報から、ユーザが空港に到着したことを判断し、ホテルまでの移動手段として電車、レンタカー、タクシー等の利用をリコメンドするようにしてもよい。
【0088】
また、リコメンド生成部50は、日常や旅先等での交通等のアクシデントに対応して、リコメンドを生成することができる。リコメンド生成部50は、現在の日時及びユーザ端末の現在の位置情報を取得し、作成した前記行程テンプレートに対応する行程の通りにユーザが行動することを妨げる要因が生じた場合には、以降の行程について新たな予約候補のリコメンドを生成する。例えば、予約していたフライトの運休を知らせる電子メールが通知された場合に、飛行機に代えて新幹線の予約や利用をリコメンドするようにしてもよい。また、例えば、電子メールで電車の遅延が通知され、次の移動先である飲食店の予約に間に合わないと判断した場合に、別ルートとして、タクシーの予約や利用をリコメンドするようにしてもよい。
【0089】
また、リコメンド生成部50は、出張や旅行等の移動を伴う行程に対してだけでなく、日常の生活の中で行われる予約についてもリコメンドを生成することができる。リコメンド生成部50は、行動履歴データ記憶部に記憶された行動履歴データを学習して得られたユーザの時間帯ごとの行動履歴から、現在の時刻に応じた予約候補のリコメンドを生成する。例えば、18:30~の予約で1週間後の金曜日のディナーの予約をすることが多いユーザに対しては、金曜日に1週間後の金曜日の18:30~の予約が可能なディナーのプランをリコメンドするようにしてもよい。
【0090】
また、リコメンド生成部50は、事前に予約をする必要がないものについてもリコメンドを生成することができる。例えば、12:00~13:00の間に飲食店で昼食を取ることが多いユーザに対しては、12:00前後になるとランチの時間帯に営業をしている飲食店をリコメンドするようにしてもよい。また、平日の19:00以降にチケットの予約をすることなく映画を観る傾向があるユーザに対しては、当日の19:00以降に観ることができる映画をリコメンドするようにしてもよい。
【0091】
また、リコメンド生成部50は、ユーザが日常と非日常とで行動が変わる傾向がある場合にも対応することができる。リコメンド生成部50は、行動履歴データ記憶部に記憶された行動履歴データを学習して得られたユーザの行動履歴から、ユーザの現在の行動が、日常的行動であるか、非日常的行動であるかを判断し、日常的行動であるか、非日常的行動であるかに応じて、予約候補のリコメンドを生成する。例えば、日常生活においては、飲食店で昼食を取ることは少ないが、旅行先等では必ず飲食店で昼食を取る傾向にあるユーザの場合に、ユーザが旅行先等で非日常的行動をしている最中にのみ昼食の時間帯に飲食店をリコメンドするようにしてもよい。
【0092】
また、リコメンド生成部50は、行程テンプレートに含まれる出発地を目的地とした移動をリコメンドすることもできる。例えば、出発地(羽田)から目的地(千歳空港)となっている飛行機の場合に、ユーザは羽田に行かねばならず、その前段階では「出発地(羽田)」は「目的地(羽田)」に変わる。これは自宅やオフィスからの移動、あるいは経由地からの移動の目的地を意味する。この場合に、リコメンド生成部50は、自宅やオフィスから「出発地であり目的地である羽田」まで行くルートに、電車やタクシーやバスの複数の移動手段をリコメンドすることができる。
【0093】
また、リコメンド生成部50は、基点から所定距離内におけるイベント会場又は当該イベント会場で体験可能なイベントをリコメンドすることができる。イベント会場は、例えば、映画館、美術館、劇場、遊園地等の娯楽施設、健康ランド、スポート観戦、スポーツ参加、レストラン、美容・エステ、宿泊、学習やセミナーなど、その場で、あるいはその場を発着としてイベントを体験することのできる場所である。リコメンド生成部50は、ユーザの行動履歴に基づいてユーザの興味、関心、嗜好を判定することができる。興味、関心、嗜好の判定処理は一般的な手法を用いることができる。リコメンド生成部50は、ユーザの興味、関心、嗜好と、基点からの距離とに応じて、イベント又はイベント会場をリコメンドすることができる。
【0094】
また、予約支援システム1は、イベント(キャンプやダイビング、スポーツなど)について、道具等の必要な物品や必要な準備(以下、必要物)を記憶する必要物記憶部を備えることができる。必要物記憶部は、イベントのカテゴリに応じて必要物を記憶することができる。リコメンド生成部50は、行程データに含まれる予約済みの行動、又は、リコメンドする行動に対応する必要物が必要物記憶部に登録されている場合には、当該必要物をリコメンドするようにすることができる。リコメンド生成部50は、当該ユーザが当該必要物を購入した行動履歴が存在する場合には、当該必要物のリコメンドをしないようにすることもできる。
【0095】
また、予約支援システム1は、ユーザの自宅やオフィスなど日常生活の基点を記憶する日常基点記憶部を備えることができる。リコメンド生成部50は、日常生活の基点から離れた将来の行動履歴(すなわち予約情報)を検出した場合、当該ユーザは旅行又は出張に行くことを推論することができる。リコメンド生成部50は、旅行又は出張と推論した場合、旅行又は出張に必要とされる所与の商品をリコメンドするようにすることができる。
【0096】
上記で説明したリコメンド生成部50の機能は、それぞれ単独でも実装し得る他、上記で説明したリコメンド生成部50の機能の全てを備えることもでき、複数の機能のあらゆる任意の組み合わせも可能である。
【0097】
以上に述べた通り、本発明の統合された予約支援システム1によれば、メールサービスやカレンダー、Todo、ニュースアプリ等のユーザが日常的に利用している複数の外部サービス2における行動履歴データを学習することにより、ユーザに細かな条件の入力を要求することなく、移動、宿泊、飲食等の種類の異なる複数のサービスの最適な組み合わせの予約候補を提示することができる。これにより、ユーザは予約のために複数の異なる予約サイトを横断しながら複雑な比較検討をすることなく、一連の行程に関し一括してユーザの嗜好に応じたリコメンドを享受することができる。
【0098】
本発明の統合された予約支援システム1は、生成したリコメンドをユーザ端末60に表示するアプリケーションとして実装する場合だけでなく、他のシステムに組み込むために、リコメンドを生成するところまでを行うリコメンドエンジンとして利用することもできる。また、統合された予約支援システム1は、他のシステムに組み込むために、行動履歴データを取得するところまでを行う行動履歴データ取得エンジンとして利用することもできる。また、統合された予約支援システム1は、他のシステムに組み込むために、行程テンプレートを作成するところまでを行う行程テンプレート作成エンジンとして利用することもできる。
【0099】
また、本発明の統合された予約支援システム1の変形例においては、ユーザが実際に採用し体験した行程や、その行程に含まれていた各種の予約について、ユーザが評価やレビューを付与することができるようにしてもよい。また、その評価やレビューについても行動履歴データとして取得し、評価やレビューと関連付けられた行動履歴データを学習することにより、ユーザ本人又は他の多数のユーザの評価やレビューを行程テンプレートの作成やリコメンドの作成に反映させるようにしてもよい。その際、評価やレビューは統合された予約支援システム1内で蓄積してもよいが、外部サービス2の一種としてのファンサイトやSNSサービス4等により、評価やレビューを蓄積し、行動履歴データ取得部10によりこれらの外部サービス2から評価やレビューを取得するようにしてもよい。
【0100】
このように、本発明の統合された予約支援システム1は、上記に例示された場合に限られず、他の外部サービス2を介した行動履歴データの取得が可能であり、例示された以外の異なる種類のサービスを更に統合することにより、行程テンプレートやリコメンドの作成の精度及び品質を更に高めることをも想定し得るものである。
上記記載は実施例についてなされたが、本発明はそれに限らず、本発明の原理及び添付の請求の範囲の範囲内で種々の変更および修正をすることができることは当業者に明らかである。
【符号の説明】
【0101】
1 予約支援システム
2 外部サービス
10 行動履歴データ取得部
20 行動履歴データ記憶部
30 入出力部
40 行程テンプレート作成部
50 リコメンド生成部
60 ユーザ端末