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特開2022-131674マーキング装置における教示方法、および教示用治具
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022131674
(43)【公開日】2022-09-07
(54)【発明の名称】マーキング装置における教示方法、および教示用治具
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/89 20060101AFI20220831BHJP
   G05B 19/42 20060101ALI20220831BHJP
   H01L 21/66 20060101ALI20220831BHJP
【FI】
G01N21/89 Z
G05B19/42 D
H01L21/66 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021030736
(22)【出願日】2021-02-26
(71)【出願人】
【識別番号】000002233
【氏名又は名称】日本電産サンキョー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100142619
【弁理士】
【氏名又は名称】河合 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100125690
【弁理士】
【氏名又は名称】小平 晋
(74)【代理人】
【識別番号】100153316
【弁理士】
【氏名又は名称】河口 伸子
(72)【発明者】
【氏名】倉田 茂
(72)【発明者】
【氏名】吉田 昇悟
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 史朗
【テーマコード(参考)】
2G051
3C269
4M106
【Fターム(参考)】
2G051AA65
2G051AB02
2G051CA03
2G051DA06
2G051DA15
3C269AB26
3C269CC01
3C269JJ09
3C269MN16
3C269SA07
4M106AA20
4M106DA02
4M106DA10
4M106DA20
4M106DJ02
(57)【要約】
【課題】平板状のワークの欠陥位置に適正にマーキングを行うためのマーキング装置における教示方法、および教示用治具を提供すること。
【解決手段】マーキング装置において、検査部において平板状のワークWをカメラで撮像した際の画像から発見された欠陥位置を画像上の第1座標上の位置として特定した後、駆動機構によってマーキングヘッド50を駆動し、ワークWの欠陥箇所にマークキングを施す。駆動機構に第1座標に対応する第2座標を教示する工程では、凸部および凹部のうちの一方からなる第1位置決め部510をマーキングヘッド50に設ける一方、凸部および凹部のうちの他方からなる複数の第2位置決め部380を教示用治具300に設け、教示用治具300とマーキングヘッド50とを相対移動させて第1位置決め部510に第2位置決め部380が嵌った位置を基準に第2座標を教示する。
【選択図】図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
検査用ワーク載置面に載置された平板状のワークをカメラで撮像した際の画像から発見された欠陥位置を前記画像上の第1座標上の位置として特定する検査部と、前記検査部からマーキング用ワーク載置面に搬送されたワークに対してマーキングヘッドを相対移動させる駆動機構を備え、前記検査部で不具合品と判定されたワークの欠陥箇所にマークキングを施すマーキングユニットと、を有するマーキング装置における教示方法において、
前記ワーク載置面に載置するワーク上の第2座標を前記第1座標に対応する座標として前記駆動機構に教示させる第2座標教示工程では、
前記マーキングヘッドに凸部および凹部のうちの一方からなる第1位置決め部を設ける一方、凸部および凹部のうちの他方からなる複数の第2位置決め部を互いに交差する2方向に配列させた教示用治具を前記マーキング用ワーク載置面に載置した状態で、前記教示用治具と前記マーキングヘッドとを相対移動させて前記第1位置決め部に前記第2位置決め部が嵌った位置を基準に前記第2座標を教示することを特徴とするマーキング装置における教示方法。
【請求項2】
請求項1に記載のマーキング装置における教示方法において、
前記第1位置決め部は凹部からなり、
前記教示用治具には穴が設けられており、
前記第2座標教示工程を行う際、前記穴には前記第1位置決め部を構成するためのピンが固定されることを特徴とするマーキング装置における教示方法。
【請求項3】
請求項2に記載のマーキング装置における教示方法において、
前記マーキングヘッドは、マーキングペンを保持するペンホルダを含み、
前記ペンホルダは、中心から径方向にずれた偏心位置に前記マーキングペンを保持する円盤状の内側部材と、ラジアル軸受を介して前記内側部材を前記内側部材の中心を通って上下方向に延在する回転中心軸線周りに回転可能に支持する外側部材と、を含み、
前記マーキングユニットは、前記内側部材を前記回転中心軸線周りに回転させる回転駆動機構を備え、
前記第1位置決め部は、前記回転中心軸線上に設けられていることを特徴とするマーキング装置における教示方法。
【請求項4】
請求項3に記載のマーキング装置における教示方法において、
前記第2座標教示工程を行う際、前記マーキングヘッドから少なくも前記マーキングペンが外される一方、凹部からなる前記第1位置決め部が設けられた部品が前記マーキングヘッドに取り付けられることを特徴とするマーキング装置における教示方法。
【請求項5】
請求項2から4までの何れか一項に記載のマーキング装置における教示方法において、
前記検査部に前記第1座標を教示させる第1座標教示工程では、
前記穴から前記ピンを外した状態の前記教示用治具を前記検査用ワーク載置面に載置した状態で、前記カメラで前記教示用治具を撮像した際の前記穴の位置に基づいて前記第1座標を教示することを特徴とするマーキング装置における教示方法。
【請求項6】
請求項5に記載のマーキング装置における教示方法において、
前記穴は、深さ方向の途中位置に環状面を形成するように深さ方向の途中位置で内径が切り換わった段付き穴であり、
前記カメラで前記教示用治具を撮像した際の前記穴の環状面の位置に基づいて前記第1座標を教示することを特徴とするマーキング装置における教示方法。
【請求項7】
請求項5または6に記載のマーキング装置における教示方法において、
前記カメラは、ラインスキャンカメラであり、
前記教示用治具には、前記ラインスキャンカメラの1ライン分の撮像範囲と重なる領域に、前記撮像範囲が延在する主走査方向、および前記主走査方向に対して交差する副走査方向の双方向に複数の穴が含まれていることを特徴とするマーキング装置における教示方法。
【請求項8】
請求項6に記載のマーキング装置における教示方法において、
前記教示用治具の前記環状面の高さ位置は、前記検査用ワーク載置面にワークを載置した際のワークの上面の高さ位置と等しいことを特徴とするマーキング装置における教示方法。
【請求項9】
検査用ワーク載置面に載置された平板状のワークをカメラで撮像した際の画像から発見された欠陥位置を前記画像上の第1座標上の位置として特定する検査部と、前記検査部からマーキング用ワーク載置面に搬送されたワークに対してマーキングヘッドを相対移動させる駆動機構を備え、前記検査部で不具合品と判定されたワークの欠陥箇所にマークキングを施すマーキングユニットと、を有するマーキング装置において、前記ワーク載置面に載置するワーク上の第2座標を前記第1座標に対応する座標として前記駆動機構に教示させるのに用いる教示用治具において、
前記マーキングヘッドに設けられた凸部および凹部のうちの一方からなる第1位置決め部が嵌る凸部および凹部のうちの他方からなる複数の第2位置決め部が互いに交差する2方向に配列されていることを特徴とする教示用治具。
【請求項10】
請求項9に記載の教示用治具において、
前記マーキングヘッドは、マーキングペンを保持するペンホルダを含み、
前記ペンホルダは、中心から径方向にずれた偏心位置に前記マーキングペンを保持する円盤状の内側部材と、ラジアル軸受を介して前記内側部材を前記内側部材の中心を通って上下方向に延在する回転中心軸線周りに回転可能に支持する外側部材と、を含み、
前記マーキングユニットは、前記内側部材を前記回転中心軸線周りに回転させる回転駆動機構を備え、
前記第1位置決め部は、前記回転中心軸線上に設けられていることを特徴とする教示用治具。
【請求項11】
請求項10に記載の教示用治具において、
前記第1位置決め部は凹部からなり、
前記教示用治具には穴が設けられており、
前記駆動機構に前記第2座標を教示する際、凸部からなる前記第1位置決め部を構成するためのピンが前記穴に固定されることを特徴とする教示用治具。
【請求項12】
請求項11に記載の教示用治具において、
前記穴は、深さ方向の途中位置に環状面を形成するように深さ方向の途中位置で内径が切り換わった段付き穴であり、
前記検査部に前記第1座標を教示する際、前記カメラで前記教示用治具を撮像した際の前記穴の環状面の位置に基づいて前記欠陥位置を特定する座標を教示することを特徴とする教示用治具。
【請求項13】
請求項12に記載の教示用治具において、
前記カメラは、ラインスキャンカメラであり、
前記教示用治具には、前記ラインスキャンカメラの1ライン分の撮像範囲と重なる領域に、前記撮像範囲が延在する主走査方向、および前記主走査方向に対して交差する副走査方向の双方向に前記穴が複数含まれていることを特徴とする教示用治具。
【請求項14】
請求項12または13に記載の教示用治具において、
前記教示用治具の前記環状面の高さ位置は、前記検査用ワーク載置面にワークを載置した際のワークの上面の高さ位置と等しいことを特徴とする教示用治具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マーキング装置における教示方法、および教示用治具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
プリント配線板等の平板状のワークについては、検査工程において不具合品と判定されたものに対し、不具合の発生個所にマーキングを行い、不具合の発生原因の解析等を行うことがある。かかるマーキングを人手によりマーキングするのは非常に効率が悪い。そこで、検査工程において不具合品と判定されたものをマーキング装置において、サインペン等のマーキングペンによって不具合の発生個所に自動的にマーキングする技術が提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000-15170号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の技術では、検査工程において、ワークの欠陥位置を第1座標上の位置として特定した後、マーキング装置において、第1座標上の欠陥位置にマーキングを施すことになるため、かかる動作を適正に行うには、マーキング装置において第1座標に対応する第2座標を設定するための教示作業が必要となる。しかしながら、特許文献1には、教示工程について一切、提案されていない。
【0005】
以上の問題点に鑑みて、本発明の課題は、平板状のワークの欠陥位置に適正にマーキングを行うためのマーキング装置における教示方法、および教示用治具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明において、検査用ワーク載置面に載置された平板状のワークをカメラで撮像した際の画像から発見された欠陥位置を前記画像上の第1座標上の位置として特定する検査部と、前記検査部からマーキング用ワーク載置面に搬送されたワークに対してマーキングヘッドを相対移動させる駆動機構を備え、前記検査部で不具合品と判定されたワークの欠陥箇所にマークキングを施すマーキングユニットと、を有するマーキング装置における教示方法において、前記ワーク載置面に載置するワーク上の第2座標を前記第1座標に対応する座標として前記駆動機構に教示させる第2座標教示工程では、前記マーキングヘッドに凸部および凹部のうちの一方からなる第1位置決め部を設ける一方、凸部および凹部のうちの他方からなる複数の第2位置決め部を互いに交差する2方向に配列させた教示用治具を前記マーキング用ワーク載置面に載置した状態で、前記教示用治具と前記マーキングヘッドとを相対移動させて前記第1位置決め部に前記第2位置決め部が嵌った位置を基準に前記第2座標を教示することを特徴とする。
【0007】
本発明では、マーキングヘッドに設けた第1位置決め部が、教示用治具に設けた第2位置決め部に嵌った位置を基準に第2座標を教示するため、第2座標を適正に設定することができる。従って、平板状のワークの欠陥位置に適正にマーキングを行うことができる。
【0008】
本発明において、前記第1位置決め部は凹部からなり、前記教示用治具には穴が設けられており、前記第2座標教示工程を行う際、前記穴には前記第1位置決め部を構成するた
めのピンが固定される態様を採用することができる。
【0009】
本発明において、前記マーキングヘッドは、前記マーキングペンを保持するペンホルダを含み、前記ペンホルダは、中心から径方向にずれた偏心位置に前記マーキングペンを保持する円盤状の内側部材と、ラジアル軸受を介して前記内側部材を前記内側部材の中心を通って上下方向に延在する回転中心軸線周りに回転可能に支持する外側部材と、を含み、前記マーキングユニットは、前記内側部材を前記回転中心軸線周りに回転させる回転駆動機構を備え、前記第1位置決め部は、前記回転中心軸線上に設けられている態様を採用することができる。
【0010】
本発明において、前記第2座標教示工程を行う際、前記マーキングヘッドから少なくも前記マーキングペンが外される一方、凹部からなる前記第1位置決め部が設けられた部品が前記マーキングヘッドに取り付けられる態様を採用することができる。
【0011】
本発明において、前記検査部に前記第1座標を教示させる第1座標教示工程では、前記穴から前記ピンを外した状態の前記教示用治具を前記検査用ワーク載置面に載置した状態で、前記カメラで前記教示用治具を撮像した際の前記穴の位置に基づいて前記第1座標を教示する態様を採用することができる。
【0012】
本発明において、前記穴は、深さ方向の途中位置に環状面を形成するように深さ方向の途中位置で内径が切り換わった段付き穴であり、前記カメラで前記教示用治具を撮像した際の前記穴の環状面の位置に基づいて前記第1座標を教示する態様を採用することができる。
【0013】
本発明において、前記カメラは、ラインスキャンカメラであり、前記教示用治具には、前記ラインスキャンカメラの1ライン分の撮像範囲と重なる領域に、前記撮像範囲が延在する主走査方向、および前記主走査方向に対して交差する副走査方向の双方向に複数の穴が含まれている態様を採用することができる。
【0014】
本発明において、前記教示用治具の前記環状面の高さ位置は、前記検査用ワーク載置面にワークを載置した際のワークの上面の高さ位置と等しい様を採用することができる。
【0015】
本発明の別態様は、検査用ワーク載置面に載置された平板状のワークをカメラで撮像した際の画像から発見された欠陥位置を前記画像上の第1座標上の位置として特定する検査部と、前記検査部からマーキング用ワーク載置面に搬送されたワークに対してマーキングヘッドを相対移動させる駆動機構を備え、前記検査部で不具合品と判定されたワークの欠陥箇所にマークキングを施すマーキングユニットと、を有するマーキング装置において、前記ワーク載置面に載置するワーク上の第2座標を前記第1座標に対応する座標として前記駆動機構に教示させるのに用いる教示用治具において、前記マーキングヘッドに設けられた凸部および凹部のうちの一方からなる第1位置決め部が嵌る凸部および凹部のうちの他方からなる複数の第2位置決め部が互いに交差する2方向に配列されていることを特徴とする。
【0016】
本発明では、マーキングヘッドに設けた第1位置決め部が、教示用治具に設けた第2位置決め部に嵌った位置を基準に第2座標を教示するため、第2座標を適正に設定することができる。従って、平板状のワークの欠陥位置に適正にマーキングを行うことができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明では、マーキングヘッドに設けた第1位置決め部が、教示用治具に設けた第2位置決め部に嵌った位置を基準に第2座標を教示するため、第2座標を適正に設定すること
ができる。従って、平板状のワークの欠陥位置に適正にマーキングを行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明を適用したマーキング装置によって付されるマークの説明図。
図2】本発明の実施の形態に係るマーキング装置の側面図。
図3図2に示すマーキングユニットの上下駆動機構等を示す側面図。
図4図2に示すマーキングユニットの回転駆動機構等を示す正面図。
図5図2に示すマーキングヘッドを拡大して示す説明図である。
図6図2に示すマーキング装置に用いたワークホルダの平面図。
図7図2に示すマーキング装置の教示工程で用いる教示用治具の平面図。
図8図7に示す教示用治具の穴の断面図。
図9図7に示す教示用治具を第2座標教示工程で用いる際の様子を示す説明図。
図10図7に示す教示用治具を用いた第2座標教示工程の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。なお、以下に説明おいて、互いに直交する3つの方向をX軸方向、Y軸方向、およびZ軸方向として説明する。X軸方向は前後方向であり、Y軸方向は幅方向であり、Z軸方向は上下方向である。
(全体構成)
図1は、本発明を適用したマーキング装置1によって付されるマークMの説明図である。図2は、本発明の実施の形態に係るマーキング装置1の側面図である。
【0020】
図1において、表示パネルやプリント配線板等の平板状のワークWにおいて、検査工程において不具合品と判定されたものに対し、不具合の発生個所にマーキングを行い、不具合合の発生原因の解析等を行うことがある。マークMは、不具合の発生個所を囲むように形成される。本形態において、マークMは円弧状あるいは円形である。本形態において、マークMは、周方向の一部M0が欠落した円弧状である。本形態において、ワークWは表示パネルである。
【0021】
図2に示すように、マーキング装置1は、機台3の上方位置に、検査用ワーク載置面110に載置されたワークWをカメラ150で撮像した際の画像から発見された欠陥位置を特定する検査部100と、検査部100で不具合品と判定されたワークWの欠陥箇所にマークキングを施すマーキングユニット10とを有している。
【0022】
カメラ150は、ワークWの搬送方向であるX軸方向に対して直交するY軸方向に主走査方向を向けたラインスキャンカメラ151であり、ワークWは、矢印X1で示されるパネル搬送機構13によって、副走査方向であるX軸方向に搬送される。従って、カメラ150は、ワークWの点灯検査を行う際、ワークWの表示領域の全面を撮像することができる。パネル搬送機構13は、送りネジ機構等のリニアアクチュエータからなる。
【0023】
検査用ワーク載置面110は、ワークWを下方から支持する複数のローラによって構成されている。マーキング用ワーク載置面2も、検査用ワーク載置面110と同様、ワークWを下方から支持する複数のローラによって構成されている。従って、ワークWは、パネル搬送機構13によって、検査用ワーク載置面110からマーキング用ワーク載置面2に搬送される。但し、マーキングヘッド50によってワークWにマーキングを施す際、パネル搬送機構13は停止した状態にある。
【0024】
マーキングユニット10は、検査部100からマーキング用ワーク載置面2に搬送されたワークWに対してマーキングヘッド50を相対移動させる駆動機構を備えている。駆動機構は、例えば、図2に矢印X0、Y0で示すように、マーキングユニット10をX軸方
向に駆動するX軸駆動機構11と、マーキングユニット10をY軸方向に駆動するY軸駆動機構12からなる。
【0025】
本形態では、マーキング用ワーク載置面2と検査用ワーク載置面110とが連続しているが、ワークWは、例えば、マーキング用ワーク載置面2とは別体の検査用ワーク載置面110に載置された状態で検査され、不具合が発生しているワークWのみがロボット等によってマーキング用ワーク載置面2に搬送されることもある。
【0026】
また、ワークWは単独で搬送される場合がある他、ワークホルダに保持された状態で搬送される場合もある。本形態において、ワークWは、図6を参照して後述するワークホルダ200に保持された状態で搬送されるが、図1には、ワークホルダ200の図示を省略してある。
【0027】
(マーキングユニット10の構成)
図3は、図2に示すマーキングユニット10の上下駆動機構30等を示す側面図である。図4は、図2に示すマーキングユニット10の回転駆動機構70等を示す正面図である。図5は、図2に示すマーキングヘッド50を拡大して示す説明図である。
【0028】
図3および図4に示すように、マーキングユニット10は、以下に説明する各部材を支持するベース20と、ベース20の垂直板201に固定された上下駆動機構30と、上下駆動機構30によってベース20に対して上下方向に駆動される可動ブロック40と、可動ブロック40に上下方向に移動可能に支持されたマーキングヘッド50とを備えている。ベース20は、垂直板201、および垂直板201の端部で水平に折れ曲がった水平板202、203等を有する。上下駆動機構30は、可動ブロック40が下方に連結された流体圧シリンダ装置31であり、ベース20の垂直板201に固定されている。マーキングヘッド50は、フェルト、合成繊維、または合成樹脂からなるペン先5aが下向きとされたマーキングペン5を備えており、マーキングペン5は、油性インクを適宜補充できるタイプのペンである。
【0029】
マーキングヘッド50は、マーキングペン5を保持するペンホルダ51を含む。ペンホルダ51は、中心から径方向にずれた偏心位置にマーキングペン5を保持する円盤状の内側部材52と、円筒状のラジアル軸受53を介して内側部材52を内側部材52の中心を通って上下方向に延在する回転中心軸線L周りに回転可能に支持する外側部材54とを含む。
【0030】
図5に示すように、内側部材52は、内側にペンホルダ51を保持する円筒状のカラーからなる第1部材521と、第1部材521がボルト592によって内側に固定された第2部材522と、第1部材521の下端部にボルト593によって固定されたストッパ523とを備えており、ストッパ523は、マーキングペン5の先端側に係合している。従って、マーキングペン5は、第1部材521の内側に上方から挿入可能であるが、ストッパ523によって第1部材521から下方に抜け落ちることが防止されている。なお、第2部材522には、ラジアル軸受53を支持する支持板590がボルト591によって固定されている。
【0031】
再び図3および図4において、マーキングヘッド50において、外側部材54からは上方に垂直軸56が延在しており、可動ブロック40は、ペンホルダ51の垂直軸56を上下方向に移動可能に支持する筒状部材41が固定されている。従って、マーキングヘッド50は、垂直軸56を介して可動ブロック40に上下方向に移動可能に支持されている。ペンホルダ51において、外側部材54は、垂直軸56および筒状部材41によって回転不能である。
【0032】
垂直軸56の上端部には、筒状部材41に上方から当接するストッパ57が当接している。従って、流体圧シリンダ装置31が可動ブロック40を下降させると、ペンホルダ51を含むマーキングヘッド50は、垂直軸56が筒状部材41にガイドされながら自重によって下降する。また、流体圧シリンダ装置31が可動ブロック40を上昇させると、マーキングヘッド50は上昇する。本形態では、外側部材54と可動ブロック40との間には、マーキングペン5の周りに垂直軸56、筒状部材41、およびストッパ57が2組設けられている。
【0033】
ベース20と可動ブロック40との間にはショックアブソーバー26が設けられている。ショックアブソーバー26は、可動ブロック40が下降する際に下降端での下降速度を減衰させる。可動ブロック40には、流体圧シリンダ装置31と隣り合うように垂直板42が連結されており、垂直板42とベース20との間にはショックアブソーバー27が設けられている。ショックアブソーバー27は、可動ブロック40が上昇する際に、上降端での下降速度を減衰させるとともに、可動ブロック40の上昇位置を規定するストッパとして作用する。
【0034】
マーキングユニット10は、ベース20の水平板202に搭載された回転駆動機構70を有している。回転駆動機構70は、ペンホルダ51の内側部材52を回転中心軸線L周りに回転させる。より具体的には、内側部材52からは上方に向けて垂直軸55が延在している一方、回転駆動機構70は、ロータリーアクチュエータ71と、ロータリーアクチュエータ71の出力軸72に連結された水平板73と、水平板73の端部から下方に延在する垂直板74とを備えており、垂直板74の側面には、垂直軸55に両側から当接する2つのローラ75が取り付けられている。従って、ロータリーアクチュエータ71の出力軸72が回転して水平板73および垂直板74が回転中心軸線L周りに回転した際、内側部材52が垂直軸55とともに回転する。なお、垂直軸55には、マーキングペン5の上端部が当接する押さえ部材58が固定されている。
【0035】
このように構成したマーキングユニット10では、ペンホルダ51の外側部材54が固定されている一方、内側部材52は、回転駆動機構70に接続されている。また、マーキングペン5の中心軸線L0は、回転中心軸線Lから離間している。また、回転駆動機構70は、内側部材52を360°未満の角度範囲で回転させる。このため、マーキングペン5のペン先5aは、図1に示すように、周方向の一部M0が欠落した円弧状のマークMをワークWに付すことができる。
【0036】
(ペン圧調整機構90の構成)
図3において、マーキングユニット10では、マーキングヘッド50の自重Gを利用してマーキングペン5のペン先5aをワークWに当接させてマーキングを施す。本形態において、可動ブロック40とマーキングヘッド50との間には、マーキングヘッド50の自重Gに抗する上向きの付勢力Sをマーキングヘッド50に印加するコイルバネ94が配置されている。従って、ワークWにマーキングを施す際にペン先5aがワークWに当接する力であるペン圧は、マーキングヘッド50の自重Gからコイルバネ94の付勢力Sを減算した値である。
【0037】
マーキングユニット10には、コイルバネ94を利用して、マーキングペン5によってワークWにマーキングする際のペン圧を調整するペン圧調整機構90が設けられている。ペン圧調整機構90では、コイルバネ94の長さを調整することより、付勢力Sを調整し、ペン圧を調整する。
【0038】
本形態において、コイルバネ94は、可動ブロック40とマーキングヘッド50との間
で上下方向に圧縮された状態に配置された圧縮コイルバネ95である。ペン圧調整機構90は、圧縮コイルバネ95と、マーキングヘッド50に固定された第1バネ受け部材91と、位置調整用の固定具93によって可動ブロック40に固定された第2バネ受け部材92とを備えており、第1バネ受け部材91と第2バネ受け部材92とが上下方向で対向する部分の間に圧縮コイルバネ95が配置されている。従って、固定具93によって可動ブロック40に固定された際の第2バネ受け部材92の上下方向の位置によって圧縮コイルバネ95の上下方向の長さが調整される。
【0039】
より具体的には、第1バネ受け部材91は、圧縮コイルバネ95が周りに配置される軸部911と、軸部911の上端側で突出して圧縮コイルバネ95の上端が当接する受け部912とを備えている。第2バネ受け部材92は、上下方向の途中位置が固定具93によって可動ブロック40に固定された第1板部921と、第1板部921の下端部から折れ曲がって圧縮コイルバネ95の下端が当接する第2板部922とを備えており、第1バネ受け部材91の受け部912と第2バネ受け部材92の第2板部922との間に圧縮コイルバネ95が圧縮された状態で配置される。固定具93はボルトである。第2板部922には上下方向に延在する長穴923が設けられ、可動ブロック40の側面は、固定具93が止められるネジ穴が形成されている。このため、長穴923の上下方向の範囲内において、固定具93によって第2バネ受け部材92を可動ブロック40に固定する際の上下位置を調整することができる。かかるペン圧調整機構90では、可動ブロック40の上面からの第2バネ受け部材92の上端部分の高さhを調整する。
【0040】
本形態のペン圧調整機構90では、圧縮コイルバネ95、第1バネ受け部材91、第2バネ受け部材92および固定具93が2組設けられている。
【0041】
(監視装置60の構成)
マーキングユニット10では、マーキングペン5によってワークWにマーキングしたマークMを監視する監視装置60がベース20に保持されている。監視装置60は、マークMの掠れ度合等を監視し、マーキングペン5にインクを補充するタイミングを検出する。
【0042】
本形態では、ベース20の水平板202に固定された支持軸65の下端部に監視装置60が保持されており、監視装置60はマーキングヘッド50の側方に位置する。監視装置60は、マークMを撮像する撮像装置であり、ワークWの表面を適正に監視できるように角度を5°程度、傾けてある。
【0043】
(キャップ80の構成)
図4において、マーキング装置1は、マーキングヘッド50が上方で待機している期間、ペン先5aに下方から被さるキャップ80を有している。キャップ80は、図2に示す機台3から上方に延在する支柱4に、図4に示す連結部材86、87、88、89を介して固定されており、マーキングヘッド50の下方に位置する。なお、連結部材86とベース20の水平板203との間には、マーキングユニット10をY軸方向に駆動するY軸駆動機構12が設けられている。
【0044】
キャップ80は、ペン先5aが収容される凹部81の開口縁にマーキングペン5の外周面に当接する円環状のシール部材82を備える。シール部材82は、ゴム等からなる。シール部材82は、ペン先5aの周りでペンホルダ51に当接するように配置されることもある。ここで、キャップ80は、マーキングヘッド50の下方位置にあるが、マーキング装置1には、マーキングヘッド50を上下方向に駆動する上下駆動機構30と、マーキングユニット10をY軸方向に駆動するY軸駆動機構12が設けられている。従って、マーキングヘッド50については、ワークWにマーキングを施す際にはキャップ80を避けた位置で上下方向に移動させることができ、待機位置ではキャップ80と上下方向で重なる
位置でマーキングヘッド50を上下方向に移動させることによりキャップ80への装着およびキャップ80の脱離が行われる。
【0045】
(動作)
本形態のマーキング装置1において、上下駆動機構30は、マーキングヘッド50の高さ位置を最上端、最下端、および中間の3段階に切り替える。図4には、マーキングヘッド50が最上端に位置する様子が示されており、ペン先5aはキャップ80に装着されていない。
【0046】
この状態から上下駆動機構30が可動ブロック40を下降させると、マーキングヘッド50が下降する。その結果、ペン先5aがキャップ80の凹部81の内側に嵌り、マーキングペン5の外周面にシール部材82が当接する待機状態となる。従って、待機状態では、ペン先5aからのインクの蒸発やインクの凝固が発生しにくい。
【0047】
この状態で、上下駆動機構30が可動ブロック40を上昇させると、マーキングヘッド50が最上端まで上昇し、図4に示す状態となる。次に、Y軸駆動機構12がマーキングヘッド50をY軸方向に駆動すると、マーキングヘッド50は、キャップ80と上下方向で重ならない位置に移動する。次に、上下駆動機構30が可動ブロック40を下降させると、マーキングヘッド50が最下端まで下降し、ペン先5aがワークWに当接する。その際、ペン先5aは、ペン圧調整機構90によって設定された最適なペン圧でワークWに当接する。従って、回転駆動機構70がペンホルダ51の内側部材52を回転中心軸線L周りに回転させると、ワークWにマークMが付される。
【0048】
このようにしてマーキングが終了した後は、上下駆動機構30がマーキングヘッド50を最上端まで上昇させた後、Y軸駆動機構12がマーキングヘッド50をキャップ80の真上位置に移動させ、しかる後、上下駆動機構30がマーキングヘッド50を中間位置まで下降させる。その結果、マーキングヘッド50は再び、待機状態となる。
【0049】
(ワークホルダ200の構成)
図6は、図2に示すマーキング装置1に用いたワークホルダ200の平面図である。図2に示すマーキング装置1において、図6に示すワークホルダ200は、四角形の枠状部材であり、X軸方向で対向する板部210、220と、Y軸方向で対向する板部230、240とを備えている。板部220には、パネル搬送機構13との連結部250が設けられている。板部230において板部240の側に位置する端部、および板部240において板部230の側に位置する端部はいずれも、ワークWを下方から支持する支持面231、241になっており、支持面231、241では、ワークWを保持する真空吸着機構の複数の吸着口233、243が開口している。
【0050】
また、板部210には、ワークWの端部に当接する位置決めローラ214が設けられている。また、板部230、240には、ワークWの端部を上方から押圧するクランプ機構232、242が設けられている。
板部230には、ワークWの端部に当接する位置決めローラ234と、位置決めローラ234のY軸方向の位置を調整する傾き調整部235とが設けられている。従って、ワークホルダ200でのワークWの傾きを調整することができる。
【0051】
(第1座標教示工程)
図7は、図2に示すマーキング装置1の教示工程で用いる教示用治具300の平面図である。図8は、図7に示す教示用治具300の穴3315aの断面図である。
【0052】
図2に示すマーキング装置1の検査部100では、検査用ワーク載置面110に載置さ
れたワークWをカメラ150で撮像した際の画像から発見された欠陥位置を画像上の第1座標上の位置として特定する。従って、検査部100では、実際の検査工程を行う前に、検査部100に第1座標を教示させる第1座標教示工程が行われる。具体的には、図8に示す教示用治具300をワークホルダ200に固定した状態でワークWを検査用ワーク載置面110に載置する。ここで、教示用治具300は、ワークWと同一サイズの金属板であり、教示用治具300は、X軸方向で対向する辺301、302と、Y軸方向で対向する辺303、304とを備える。教示用治具300の端部には、教示用治具300の位置合わせ等に用いる凹部330が設けられている。本形態において、教示用治具300は、ワークWより厚いアルミニウム板である。
【0053】
教示用治具300において、辺301と辺303とが形成する第1角部306には穴316aが形成され、辺302と辺303とが形成する第2角部307には穴317aが形成され、辺302と辺304とが形成する第3角部308には穴318aが形成され、辺301と辺304とが形成する第4角部309には穴319aが形成されている。また、穴316aと穴319aとの中間には穴315aが形成されている。
【0054】
ここで、穴316aと穴317aとはY軸方向における位置が等しく、穴318aと穴319aとはY軸方向における位置が等しい。また、穴317aと穴318aとはX軸方向における位置が等しく、穴315aと穴316aと穴319aとはX軸方向における位置が等しい。従って、教示用治具300では、互いに交差する2方向であるX軸方向およびY軸方向に複数の穴が配列されている。それ故、カメラ150によって、教示用治具300の全面を撮像すれば、穴315a、316a、317a、318a、319aを基準点として、画像上の第1座標を設定することができる。ここで、穴315a、316a、317a、318a、319aのうち、少なくとも、3つの穴316a、317a、318aを基準点とすれば、画像上の第1座標を設定することができる。それ故、検査工程において、カメラ150によって、ワークWの全面を撮像した際、欠陥が発見できれば、第1座標上の欠陥位置を特定することができる。
【0055】
本形態においては、図8に示すように、穴315a、316a、317a、318a、319aはいずれも、深さ方向の途中位置に環状面310を形成するように深さ方向の途中位置で内径が切り換わった段付き穴である。より具体的には、穴315a、316a、317a、318a、319aはいずれも、教示用治具300の下面で開口する第1穴311と、第1穴311より大きな径で教示用治具300の上面で開口する第2穴312とを備えており、第1穴311と第2穴312とは連通している。従って、カメラ150で教示用治具300を撮像した際の環状面310の像から導いた中心を基準点にして第1座標を設定することができる。従って、カメラ150で撮像した際、穴315a、316a、317a、318a、319aを確実に検出することができる。また、環状面310は、教示用治具300の環状面310の高さ位置は、検査用ワーク載置面110にワークWを載置した際のワークWの上面の高さ位置と等しい。このため、ワークWを実際に撮像する条件と同一の条件で教示工程を行うことができる。
【0056】
本形態では、図7に示すように、穴315a、316a、319aの周りには、さらに複数の穴315b、316b、319bが形成されている。従って、第1座標教示工程を行う際、教示用治具300には、図7に一点鎖線Pで示すように、穴315a、316a、319aに重なるように、ラインスキャンカメラ151の1ライン分の撮像範囲が穴315a、316a、319aに重なったとき、撮像範囲が延在する主走査方向、および主走査方向に対して交差する副走査方向の双方向に穴315a、315b、316a、316b、319a、319bが複数含まれていることになる。従って、第1座標教示工程の最初の段階で、教示用治具300に対するラインスキャンカメラ151の撮像範囲の傾きを検出することができる。それ故、教示用治具300に対するラインスキャンカメラ15
1の撮像範囲の傾きが大きい場合には、図6に示す傾き調整部235で位置決めローラ234の位置を調整すれば、第1座標教示工程の最初の段階で、教示用治具300に対するラインスキャンカメラ151の撮像範囲の傾きを是正することができる。それ故、検査部に対して、第1座標を適正に教示することができる。
【0057】
(第2座標教示工程)
図9は、図7に示す教示用治具300を第2座標教示工程で用いる際の様子を示す説明図である。図10は、図7に示す教示用治具300を用いた第2座標教示工程の説明図である。
【0058】
マーキング用ワーク載置面2に載置するワークW上の第2座標を第1座標に対応するようにX軸駆動機構11およびY軸駆動機構12に教示させる第2座標教示工程では、マーキングヘッド50に凸部および凹部のうちの一方からなる第1位置決め部510を設け、教示用治具300には、凸部および凹部のうちの他方からなる複数の第2位置決め部380を設け、第1位置決め部510に第2位置決め部380が嵌った位置を基準に第2座標を教示する。従って、教示用治具300には、互いに交差するX軸方向およびY軸方向に複数配列させる。
【0059】
本形態では、図9および図10に示すように、第2座標教示工程を行う際、第1位置決め部510は凹部からなり、教示用治具300の穴315a、316a、317a、318a、319aには、凸部からなる第2位置決め部380を構成するためのピン385が円筒状の部材386を介して固定される。
【0060】
また、マーキングヘッド50では、第2座標教示工程を行う際、マーキングヘッド50から少なくもマーキングペン5が外される一方、凹部からなる第1位置決め部510が設けられた部品515がマーキングヘッド50に取り付けられる。より具体的には、図5に示す第1部材521、およびストッパ523を外す一方、部品B515を第2部材522にボルト592によって固定する。この状態で、第1位置決め部510は、回転中心軸線L上に位置する。
【0061】
本形態では、教示用治具300の穴315a、316a、317a、318a、319aのうち、少なくとも、穴316a、317a、319aに対してピン385を固定して第2位置決め部380を構成し、マーキングヘッド50を手動で移動させて第1位置決め部510に第2位置決め部380が嵌った位置を基準に第2座標を教示する。
【0062】
このように本形態では、マーキングヘッド50に設けた第1位置決め部510が、教示用治具300に設けた第2位置決め部380に嵌った位置を基準に第2座標を教示するため、第2座標を適正に設定することができる。従って、平板状のワークWの欠陥位置に適正にマーキングを行うことができる。また、第1座標教示工程と第2座標教示工程とにおいて共通の教示用治具300を用いるため、第1座と第2座標とが適正に対応する。従って、マーキング装置1の制御部(図示せず)が第1座標を第2座標に変換してX軸駆動機構11およびY軸駆動機構12を制御すれば、検査部100で発見された欠陥位置に適正にマーキングを施すことができる。
【0063】
[その他の実施の形態]
上記の実施の形態において、第1位置決め部510を凹部とし、第2位置決め部380を凸部としたが、第1位置決め部510を凸部とし、第2位置決め部380を凹部としてもよい。
【0064】
上記の実施の形態において、マークMは、周方向の一部M0が欠落した円弧状であった
が、円形のマークMを付す構成であってもよい。また、上記の実施の形態において、マークMを付す際、マーキングペン5を回転させる構成であったが、マーキングペン5を回転させずにペン先5aをワークWに当接させるタイプのマーキング装置において、ペン圧を調整する場合に本発明を適用してもよい。
【符号の説明】
【0065】
1…マーキング装置、2…マーキング用ワーク載置面、5…マーキングペン、5a…ペン先、10…マーキングユニット、11…X軸駆動機構、12…Y軸駆動機構、13…パネル搬送機構、20…ベース、30…上下駆動機構、31…流体圧シリンダ装置、40…可動ブロック、41…筒状部材、50…マーキングヘッド、51…ペンホルダ、52…内側部材、53…ラジアル軸受、54…外側部材、60…監視装置、70…回転駆動機構、71…ロータリーアクチュエータ、80…キャップ、90…ペン圧調整機構、94…コイルバネ、95…圧縮コイルバネ、100…検査部、110…検査用ワーク載置面、150…カメラ、151…ラインスキャンカメラ、200…ワークホルダ、300…教示用治具、306…第1角部、307…第2角部、308…第3角部、309…第4角部、315a、315b、316a、316b、317a、318a、319a、319b…穴、310…環状面、380…第2位置決め部、385…ピン、510…第1位置決め部、515…部品、521…第1部材、522…第2部材、G…自重、L…回転中心軸線、L0…中心軸線、M…マーク、S…付勢力、W…ワーク
図1
図2
図3
図4
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図6
図7
図8
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図10