(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022131689
(43)【公開日】2022-09-07
(54)【発明の名称】釣用ガイドフレーム、および釣用ガイドフレームの製造方法
(51)【国際特許分類】
A01K 87/04 20060101AFI20220831BHJP
【FI】
A01K87/04 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021030757
(22)【出願日】2021-02-26
(71)【出願人】
【識別番号】000002439
【氏名又は名称】株式会社シマノ
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100161506
【弁理士】
【氏名又は名称】川渕 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100161702
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 宏之
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 淳一
(72)【発明者】
【氏名】神納 芳行
(72)【発明者】
【氏名】宮前 和貴
(72)【発明者】
【氏名】谷口 一真
【テーマコード(参考)】
2B019
【Fターム(参考)】
2B019BA01
2B019BA08
(57)【要約】 (修正有)
【課題】撥水性を高めることができ、空気抵抗をコントロールすることでフレームのブレを小さくし、釣竿を振った際のブレを小さく抑えることができる釣用ガイドフレーム、および釣用ガイドフレームの製造方法を提供する。
【解決手段】釣竿の外周面に固定され、釣糸が挿通されるガイドリングを保持するフレーム本体10を有する釣用ガイドフレーム1であって、フレーム本体10は、強化繊維を含有させた繊維強化樹脂によって成形され、フレーム本体10の前面10aには、複数の凸部10Aが形成され、複数の凸部10Aが等間隔に整列された構成の釣用ガイドフレーム。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
釣竿の外周面に固定され、釣糸が挿通されるガイドリングを保持するフレーム本体を有する釣用ガイドフレームであって、
前記フレーム本体は、強化繊維を含有させた繊維強化樹脂によって成形され、
前記フレーム本体の表面には、複数の凸部が形成されている釣用ガイドフレーム。
【請求項2】
前記複数の凸部は、等間隔に整列されている、請求項1に記載の釣用ガイドフレーム。
【請求項3】
隣り合う前記凸部同士の間隔は8~12μmである、請求項1に記載の釣用ガイドフレーム。
【請求項4】
前記複数の凸部によって構成される前記フレーム本体の表面粗さは8~12μmである、請求項1に記載の釣用ガイドフレーム。
【請求項5】
前記繊維強化樹脂は、前記強化繊維の方向及び長さのうち少なくとも方向が不規則に含有している樹脂である、請求項1又は4に記載の釣用ガイドフレーム。
【請求項6】
前記繊維強化樹脂は、複数に積層されたプリプレグシートであり、
前記フレーム本体は、前記プリプレグシートを加熱および加圧させて成形されている、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の釣用ガイドフレーム。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか1項に記載の釣用ガイドフレームの製造方法であって、
前記複数の凸部を形成する複数の凹部を有する第1金型、および該第1金型に対向させて第2金型をセットする工程と、
前記繊維強化樹脂が複数に積層されたプリプレグシートを前記第1金型と前記第2金型との間に配置する工程と、
前記プリプレグシートを加熱するとともに、前記第1金型と前記第2金型とを互いに近接させて前記プリプレグシートを前記第1金型に押し付けて加圧することで、前記プリプレグシートを前記複数の凹部の内側に流動させる工程と、
を有する釣用ガイドフレームの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、釣用ガイドフレーム、および釣用ガイドフレームの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の釣用ガイドフレームとして、フレーム本体が、強化繊維が所定方向に並んで設けられたプリプレグシートを使用して成形されている(例えば、特許文献1参照)。
また、フレーム本体の外周面にセラミックにより凹凸を形成した釣用ガイドフレームとして、例えば、特許文献2に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-137454号公報
【特許文献2】特開平7-3549号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した特許文献2に示すような釣用ガイドフレームでは、凹凸がセラミックにより形成されているので、凹凸が不規則に並んでいるため、表面上に空気の乱気流が発生して、空気抵抗が大きくなり竿を振った際にフレームがブレてしまい、ひいては、振っている竿がブレてしまうという問題点があり、また、フレーム本体の外周面に十分な撥水効果をもたせることができない。
そのため、表面上に発生する乱気流を防止することで、フレームのブレを小さくし、ひいては、釣竿を振った際のブレを小さくでき、しかも釣用ガイドフレームのように水に接触する使用環境において撥水効果の高い釣用ガイドフレームが求められており、その点で改善の余地があった。
【0005】
本発明は、このような事情に考慮してなされたもので、その目的は、撥水性を高めることができ、さらに表面上に発生する乱気流を防止すること、つまりは、空気の流れを一定化させ、空気抵抗をコントロールすることでフレームのブレを小さくし、ひいては、釣竿を振った際のブレを小さく抑えることができる釣用ガイドフレーム、および釣用ガイドフレームの製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本発明に係る釣用ガイドフレームは、釣竿の外周面に固定され、釣糸が挿通されるガイドリングを保持するフレーム本体を有する釣用ガイドフレームであって、前記フレーム本体は、強化繊維を含有させた繊維強化樹脂によって成形され、前記フレーム本体の表面には、複数の凸部が形成されていることを特徴としている。
【0007】
本発明に係る釣用ガイドフレームによれば、強化繊維を含有した繊維強化樹脂を使用することで、製造時において、フレーム本体の表面の複数の凸部に強化繊維が流れ込みやすくなる。そのため、複数の凸部における強化繊維の充填率を高めることができ、フレーム本体に微小な複数の凸部が形成されることになる。このようにフレーム本体に微小な複数の凸部が設けられているので、釣用ガイドフレームに撥水性をもたせることができる。さらに、本発明では、フレーム本体に複数の凸部を形成することにより、表面上に発生する乱気流の発生を抑制することで、空気抵抗一定にコントロールすることができ、フレームのブレを小さくし、ひいては、釣竿のブレを小さく抑えることができる。
【0008】
(2)複数の凸部は、等間隔に整列されていることを特徴としてもよい。
【0009】
この場合には、複数の凸部が等間隔で整列しているため、釣竿を振った際に風切が一定方向となって空気抵抗が一定となる。そのため、空気抵抗による釣竿のブレをさらに確実に抑えることができる。
【0010】
(3)隣り合う前記凸部同士の間隔は8~12μmであることを特徴としてもよい。
【0011】
この場合には、撥水機能が生じる表面粗さとなる凹凸面がフレーム本体に形成されるので、より撥水効果を高めることができる。
【0012】
(4)前記複数の凸部によって構成される前記フレーム本体の表面粗さは8~12μmであることを特徴としてもよい。
【0013】
この場合には、撥水機能が生じる表面粗さとなる凹凸面がフレーム本体に形成されるので、より撥水効果を高めることができる。
【0014】
(5)前記繊維強化樹脂は、前記強化繊維の方向及び長さのうち少なくとも方向が不規則に含有している樹脂であることを特徴としてもよい。
【0015】
この場合には、強化繊維の方向と長さと方向のうち少なくとも方向が不規則に含有する繊維強化樹脂を使用することで、製造時において微小な凸部に強化繊維がより流れ込みやすくなる。そのため、複数の凸部における強化繊維の充填率をさらに高めることができ、フレーム本体自体の強度を向上させることができる。したがって、釣用ガイドフレーム全体としての強度も効率よく強化することができる。
【0016】
(6)前記繊維強化樹脂は、複数に積層されたプリプレグシートであり、前記フレーム本体は、前記プリプレグシートを加熱および加圧させて成形されていることを特徴としてもよい。
【0017】
この場合には、複数層のプリプレグシートを設けることで、製造時において複数の凸部に強化繊維を十分に行き届かせて充填させることができる。
【0018】
(7)本発明に係る釣用ガイドフレームの製造方法は、上記(1)乃至(6)のいずれか1項に記載の釣用ガイドフレームの製造方法であって、前記複数の凸部を形成する複数の凹部を有する第1金型、および該第1金型に対向させて第2金型をセットする工程と、前記繊維強化樹脂が複数に積層されたプリプレグシートを前記第1金型と前記第2金型との間に配置する工程と、前記プリプレグシートを加熱するとともに、前記第1金型と前記第2金型とを互いに近接させて前記プリプレグシートを前記第1金型に押し付けて加圧することで、前記プリプレグシートを前記複数の凹部の内側に流動させる工程と、を有することを特徴としている。
【0019】
本発明に係る釣用ガイドフレームの製造方法によれば、製造された釣用ガイドフレームは請求項1と同様の作用効果を有する。すなわち、製造時において、繊維強化樹脂に含有される強化繊維が第1金型の複数の凹部に行き届いて充填されるので、フレーム本体に十分な撥水性と空気抵抗をもたせることができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明に係る釣用ガイドフレーム、および釣用ガイドフレームの製造方法によれば、撥水性を高めることができ、さらに表面上に発生する乱気流を防止すること、つまりは、空気の流れを一定化させ、空気抵抗をコントロールすることでフレームのブレを小さくし、ひいては、釣竿を振った際のブレを小さく抑えることができる撥水性を高めることができ、さらに空気抵抗をもたせることで釣竿を振った際のブレを小さく抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明の実施形態による釣用ガイドフレームの正面図である。
【
図2】釣用ガイドフレームを斜め前方から見た斜視図である。
【
図3】釣用ガイドフレームを斜め後方から見た斜視図である。
【
図4】釣用ガイドフレームの前面に設けられる複数の凸部の構成を示す正面図である。
【
図5】釣用ガイドフレームの複数の凸部の製造時の状態を示す断面図である。
【
図6】釣用ガイドフレームの製造工程を示す図である。
【
図7】
図6に続く釣用ガイドフレームの製造工程を示す図である。
【
図8】
図7に続く釣用ガイドフレームの製造工程を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明に係る釣用ガイドフレーム、および釣用ガイドフレームの製造方法の実施形態について図面を参照して説明する。なお、各図面において、各構成部材を視認可能な大きさとするために必要に応じて各構成部材の縮尺を適宜変更している場合がある。
【0023】
図1及び
図2に示すように本実施形態の釣用ガイドフレーム1は、不図示の釣竿の外周面に固定され、釣糸が挿通されるガイドリング3(
図1に示す二点鎖線)を保持する構成となっている。
【0024】
図3に示すように、釣用ガイドフレーム1は、フレーム本体10と、フレーム本体10から突出して一体に成形された補強リブ20と、を備えている。フレーム本体10は、
図1に示すように、ガイドリング3を内周面で保持するリング保持部11と、リング保持部11を釣竿の外周面から離れる方向に延びて支持する支持脚部12と、を有している。
【0025】
ここで、
図1は、釣用ガイドフレーム1が釣竿に固着された状態において、支持脚部12の長手方向(以下、軸長方向Xという)が釣竿の竿軸方向と一致し、竿尻から竿先を見た正面図である。釣用ガイドフレーム1において、竿尻側を向く方向を前側、前方といい、竿尻から竿先側を向く方向を後側、後方という。
【0026】
リング保持部11は、釣竿の外周面において竿軸方向に所定の間隔をあけて複数配置されている。リング保持部11は、釣竿の外周面から離れた位置で釣糸を案内するガイドリング3を内周面で保持している。リング保持部11は、環状に形成され、ガイドリング3を保持する円形の保持穴11aを有している。リング保持部11は、湾曲部W(後述する第2湾曲部Wb)を介して支持脚部12の一端から釣竿の外周面に対して前方に向けて立ち上がっている。
【0027】
保持穴11aに同軸に保持されるガイドリング3は、円環状に形成され、その内周側の案内面において例えば、チタン、アルミ、SUS、セラミックス等の釣糸の摺動抵抗が小さい材料によって形成されている。ガイドリング3は、フレーム本体10を形成する後述する繊維強化樹脂14とともに一体形成されている。
【0028】
釣用ガイドフレーム1は、支持脚部12に対してリング保持部11を竿先側に向けた状態で釣竿の外周面に固定されている。このとき、支持脚部12は、一方向(軸長方向X)に伸び、その軸長方向Xが釣竿の竿軸方向に一致している。
【0029】
支持脚部12の裏側の当接面12a(
図2、
図3参照)が釣竿の外周面に載置された状態で、糸止めや接着等によって固定される。支持脚部12は、軸長方向Xに沿って略同じ幅寸法となっている。
【0030】
図3に示すように、補強リブ20は、フレーム本体10における後面10bの全面にわたって設けられている。本実施形態では、補強リブ20は、フレーム本体10の後面10bのみに設けられているが、後面10bであることに限定されることはなく、フレーム本体10の前面10a(
図1参照)に設けられていてもよいし、前面10a及び後面10bの両方に設けられていてもよい。
【0031】
図3に示すように、補強リブ20は、リング保持部11及び支持脚部12の外周縁に沿って設けられる外周リブ21と、リング保持部11の保持穴11aが形成される内周縁に沿って設けられる内周リブ22と、支持脚部12に配置される左右一対の外周リブ21同士の間に設けられる中間リブ23と、を有している。中間リブ23は、リング保持部11側まで延びて内周リブ22に接続している。
【0032】
図2及び
図3に示すように、フレーム本体10に形成される湾曲部Wは、リング保持部11の外周部分に形成される第1湾曲部Waと、リング保持部11と支持脚部12との間の境界部分に形成される第2湾曲部Wbと、を有する。第1湾曲部Waは、リング保持部11のリング形状に沿う曲面で形成されている。
第1湾曲部Wa及び第2湾曲部Wbも、方向及び長さが不規則な強化繊維13を有する繊維強化樹脂14によって成形されている。ここで、本実施形態では、第1湾曲部Wa及び第2湾曲部Wbは、1つの曲率半径からなる曲面に設定されている。
【0033】
図4に示すように、フレーム本体10の前面10a(表面)には、複数の凸部10Aが形成されている。各凸部10Aは、正面視で矩形(ここでは正方形)であり、フレーム本体10の前面10aから膨出している。これら複数の凸部10Aは、縦横に等間隔に整列されている。ここで、フレーム本体10の縦方向X1とは
図4において上下方向であり、横方向X2とは
図4において左右方向である。
図4に示す符号Dは、凸部10A、10A同士の間隔である。
隣り合う凸部10A、10A同士の間隔は、8~12μmに設定されている。さらに、複数の凸部10Aによって構成されるフレーム本体10の表面粗さは、8~12μmに設定されている。
【0034】
図5に示すように、フレーム本体10、補強リブ20(
図3参照)、及びフレーム本体10の前面10aに形成される複数の凸部10Aは、方向及び長さが不規則な強化繊維13を含有する繊維強化樹脂14によって成形されている。繊維強化樹脂14は、複数に積層されたシート状のプリプレグシート15(
図6~
図8参照)である。強化繊維13は、炭素繊維やガラス繊維などである。本実施形態の強化繊維13は、上述したように繊維の方向や長さが一定ではなく、繊維の向きや長さが不規則となっている。繊維強化樹脂14は、強化樹脂13に対して熱硬化性樹脂(例えば、エポキシ樹脂)や熱可塑性樹脂(例えば、ナイロン)をマトリックス樹脂として含浸した構成となっている。フレーム本体10および補強リブ20は、プレス加工によってプリプレグシート15を加熱および加圧させることにより成形されている。
【0035】
次に、上述した釣用ガイドフレームの製造方法について、図面を用いて具体的に説明する。
図6~
図8に示すように、本実施形態の釣用ガイドフレーム1は、上述したようにフレーム本体10、補強リブ20、及びフレーム本体10の前面10aに形成される複数の凸部10Aが方向及び長さが不規則な強化繊維13を有するプリプレグシート15からなる繊維強化樹脂14によって形成される。製造準備として、プリプレグシート15を所定形状に裁断し、これを複数層となるように重ね合わせる。なお、重ね合わせるプリプレグシート15の枚数(層数)等の構成は適宜設定することができる。プリプレグシート15の層数等は、使用時に釣用ガイドフレーム1に作用する負荷や釣竿の曲がり特性等の条件に応じて決められる。
ここで使用されるプリプレグシート15としては、炭素繊維、ガラス繊維等の強化繊維13に対してエポキシ等の熱硬化性樹脂を均等に含浸させて、加熱または乾燥して半硬化状態にした一般的な強化プラスチック成形材料が採用される。
【0036】
図6に示すように、先ず、フレーム本体10の前面10aに形成される複数の凸部10Aの凸形状を形成するための複数の凹部41aを有する第1金型41、および第1金型41に対して近接可能な第2金型42をセットする。
使用する金型4は、例えば上下に半割された第1金型41と第2金型42とを有する構成である。第1金型41と第2金型42との間には、複数枚が積層されたプリプレグシート15がセットされる。第1金型41および第2金型42には、離型剤が塗布されている。なお、第1金型41および第2金型42の分割する方向は、上下方向に限定されず、釣用ガイドフレーム1の形状に応じて左右方向や斜め方向に分割されていてもよい。
【0037】
次に、
図7に示すように、第1金型41の型枠面に複数に積層されたプリプレグシート15を配置する。このとき、
図1に示すガイドリング3も第1金型41にセットしておく。
【0038】
プリプレグシート15を第1金型41にセットした後、プリプレグシート15を加熱するとともに、第2金型42をプリプレグシート15に押し付けて加圧成形する。これにより、プリプレグシート15が厚さ方向(加圧方向)に圧縮力を受けて圧縮され、プリプレグシート15が第1金型41の複数の凹部41aの内側に流入する。このとき、
図5に示すように、流入する繊維強化樹脂14に含有される強化繊維13の方向や長さが一定でなく不規則となっているので、凹部41a全体にわたって充填されることになる。また、ガイド保持部11とガイドリング3とは、加熱と加圧により熱融着または熱接着される。
【0039】
その後、第1金型41および第2金型42を脱型して成形品を金型から取り出すことにより、
図1乃至
図3に示すような釣用ガイドフレーム1が製造される。
【0040】
次に、このように構成される釣用ガイドフレーム、および釣用ガイドフレームの製造方法の作用について、図面に基づいて詳細に説明する。
【0041】
本実施形態では、
図4及び
図5に示すように、強化繊維13を含有した繊維強化樹脂14を使用することで、製造時において、フレーム本体10の前面10aの複数の凸部10Aに強化繊維13が流れ込みやすくなる。そのため、複数の凸部10Aにおける強化繊維13の充填率を高めることができ、フレーム本体10に微小な凹凸面が形成されることになる。
このようにフレーム本体10に微小な複数の凸部10Aが設けられているので、釣用ガイドフレーム1に撥水性をもたせることができる。さらに、本実施形態では、フレーム本体10に複数の凸部10Aを形成することにより空気抵抗をもたせることができ、釣竿のブレを小さく抑えることができる。
【0042】
また、本実施形態では、フレーム本体10の前面10aに形成される複数の凸部10Aが等間隔で整列しているため、釣竿を振った際に風切が一定方向となって空気抵抗が一定となる。そのため、空気抵抗による釣竿のブレをさらに確実に抑えることができる。
【0043】
さらに、本実施形態では、隣り合う凸部10A、10A同士の間隔Dが8~12μmに設定され、撥水機能が生じる表面粗さとなる凹凸面がフレーム本体10に形成されるので、より撥水効果を高めることができる。
【0044】
さらにまた、本実施形態では、複数の凸部10Aによって構成されるフレーム本体10の表面粗さが8~12μmに設定され、撥水機能が生じる表面粗さとなる凹凸面がフレーム本体10に形成されるので、より撥水効果を高めることができる。
【0045】
また、本実施形態では、強化繊維13の長さと方向とが不規則に含有する繊維強化樹脂14を使用することで、製造時において微小な凸部10Aに強化繊維13がより流れ込みやすくなる。そのため、複数の凸部10Aにおける強化繊維13の充填率をさらに高めることができ、フレーム本体10自体の強度を向上させることができる。したがって、釣用ガイドフレーム1全体としての強度も効率よく強化することができる。
【0046】
さらに、本実施形態では、繊維強化樹脂14が複数に積層されたプリプレグシート15であり、フレーム本体10がプリプレグシート15を加熱および加圧させて成形されている。このように、複数層のプリプレグシート15を設けることで、製造時に複数の凸部10Aに強化繊維13を十分に行き届かせて充填させることができる。
【0047】
上述のように構成された本実施形態による釣用ガイドフレーム、および釣用ガイドフレームの製造方法では、撥水性を高めることができ、さらに、表面上に発生する乱気流の発生を抑制することで、空気抵抗一定にコントロールすることができ、フレームのブレを小さくし、ひいては、釣竿のブレを小さく抑えることができる。
【0048】
以上、本発明による釣用ガイドフレーム、および釣用ガイドフレームの製造方法の実施形態を説明したが、これらの実施形態は例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。実施形態は、その他様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。実施形態やその変形例には、例えば当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、均等の範囲のものなどが含まれる。
【0049】
例えば、本実施形態では、繊維強化樹脂14に含有される強化繊維13として繊維の方向と長さが不規則なものを採用しているが、繊維の方向及び長さは一定の長さのものであってもかまわない。あるいは、少なくとも方向が不規則な強化繊維を含有する繊維強化樹脂であってもよい。
【0050】
また、上記実施形態では、フレーム本体10の前面10aに複数の凸部10Aを設けた構成としているが、前面10aであることに限定されることはなく、フレーム本体10の前面10a及び後面10bの両方に凸部10Aが設けられていてもよい。さらに、リング保持部11のみ、あるいは支持脚部12のみに凸部10Aが設けられていてもよい。
さらにまた、複数の凸部10Aは、縦横に整列されていることに限定されず、例えば、平面部分は曲面部よりも間隔Dを小さくするように配置させてもよいし、フレーム本体10に対して正面視で斜めに整列するように配置することも可能である。
【0051】
また、本実施形態では、隣り合う凸部10A、10A同士の間隔Dを8~12μmに設定し、さらに複数の凸部10Aによって構成されるフレーム本体10の表面粗さを8~12μmに設定しているが、このような寸法であることに制限されることはない。
【0052】
さらに、本実施形態の釣用ガイドフレーム1ではフレーム本体10と補強リブ20とを有する構成としているが、補強リブ20が省略された釣用ガイドフレームも適用対象となる。そして、補強リブの断面形状、延在方向、配置等、具体的な構成についても限定されることはない。
【符号の説明】
【0053】
1 釣用ガイドフレーム
3 ガイドリング
10 フレーム本体
10A 凸部
10a 前面
10b 後面
11 リング保持部
11a 保持穴
12 支持脚部
20 補強リブ
41 第1金型
41a 凹部
42 第2金型
X 軸長方向
W、Wa、Wb 湾曲部