(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022131703
(43)【公開日】2022-09-07
(54)【発明の名称】機器コネクタ
(51)【国際特許分類】
B60R 16/02 20060101AFI20220831BHJP
B60R 16/04 20060101ALI20220831BHJP
H02J 1/00 20060101ALI20220831BHJP
【FI】
B60R16/02 621J
B60R16/04 X
B60R16/02 645A
H02J1/00 304H
H02J1/00 308C
H02J1/00 307E
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021030776
(22)【出願日】2021-02-26
(71)【出願人】
【識別番号】391019681
【氏名又は名称】株式会社コムテック
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】蛸井 経一郎
【テーマコード(参考)】
5G165
【Fターム(参考)】
5G165AA01
5G165EA02
5G165GA09
5G165KA01
5G165KA04
5G165LA01
5G165LA07
5G165MA07
(57)【要約】
【課題】スタンバイ状態が継続した後の車両の起動後においても、後付け車載装置が適切に起動状態となるように構成された機器コネクタを提供することが望ましい。
【解決手段】本開示の一局面における機器コネクタは、接続部と、第1ノイズ判定部と、電力供給開始部と、第1電力制御部と、を備える。第1電力制御部は、前記車両電力の供給開始後、確認処理が終了するまでの間に前記車両が起動状態であることを示す通信信号を受信したか否かを判定する。第1電力制御部は、前記通信信号を受信した場合には、前記車両電力の供給を継続する。第1電力制御部は、前記通信信号を受信しない場合には、前記車両電力の供給を停止する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に後付けするための後付け車載装置と電気的に接続されるように構成された機器コネクタであって、
前記車両に対して離脱可能に接続されて、前記車両と電気的に接続されるように構成された接続部と、
前記車両で発生する電気的な第1ノイズの有無を判定するように構成された第1ノイズ判定部と、
前記第1ノイズが発生したと前記第1ノイズ判定部が判定することに応じて、前記車両が出力する車両電力を前記後付け車載装置に供給するように構成された電力供給開始部と、
前記車両電力の供給開始後、予め定められた確認処理が終了するまでの間に、前記車両が起動状態またはスタンバイ状態であることを示す通信信号を受信した場合には、前記車両電力の供給を継続し、前記通信信号を受信しない場合には、前記車両電力の供給を停止するように構成された第1電力制御部と、
を備える、機器コネクタ。
【請求項2】
請求項1に記載の機器コネクタであって、
前記機器コネクタは、前記車両電力の電圧である車両電圧を検出するように構成された電圧検出部を備え、
前記電力供給開始部は、
前記第1ノイズが発生したと前記第1ノイズ判定部が判定することに加え、
前記電圧検出部で検出された前記車両電圧の電圧値が第1判定値以上であることに応じて、前記車両電力を前記後付け車載装置に供給するように構成されており、
前記第1判定値は、前記車両が起動状態のときの前記車両電圧の電圧値である、
機器コネクタ。
【請求項3】
請求項2に記載の機器コネクタであって、
前記第1電力制御部は、
前記車両電力の供給開始後、前記確認処理が終了するまでの間に、前記通信信号を受信しない場合において、前記電圧検出部で検出された前記車両電圧の電圧値が前記第1判定値以上であることに応じて、前記車両電力の供給を継続するように構成されている、
機器コネクタ。
【請求項4】
請求項2または請求項3に記載の機器コネクタであって、
前記電力供給開始部は、
前記第1電力制御部により前記車両電力の供給が停止された後、前記電圧検出部で検出された前記車両電圧の電圧値が前記第1判定値以上であることに応じて、再び、前記車両電力を前記後付け車載装置に供給するように構成されている、
機器コネクタ。
【請求項5】
請求項1から請求項4のうちいずれか1項に記載の機器コネクタであって、
前記車両のアクセサリ電源のON状態・OFF状態を検出するように構成されたACC検出部を備え、
前記電力供給開始部は、
前記第1ノイズが発生したと前記第1ノイズ判定部が判定することに加え、
前記アクセサリ電源がON状態であることが前記ACC検出部により検出されることに応じて、前記車両電力を前記後付け車載装置に供給するように構成されている、
機器コネクタ。
【請求項6】
請求項5に記載の機器コネクタであって、
前記第1電力制御部は、
前記車両電力の供給開始後、前記確認処理が終了するまでの間に、前記通信信号を受信しない場合において、前記アクセサリ電源がON状態であることが前記ACC検出部により検出されることに応じて、前記車両電力の供給を継続するように構成されている、
機器コネクタ。
【請求項7】
請求項1から請求項6のうちいずれか1項に記載の機器コネクタであって、
前記確認処理は、前記第1電力制御部が、前記車両に対し、前記車両が起動状態であるか否かの問い合わせを予め定められた規定回数にわたり実行する処理であり、
前記第1電力制御部は、前記確認処理における前記問い合わせの回数が前記規定回数を越える前に、前記問い合わせに応答する前記通信信号を受信することに応じて、前記車両が起動状態またはスタンバイ状態であることを示す前記通信信号を受信したと判定し、前記問い合わせの回数が前記規定回数を越えても、前記問い合わせに応答する前記通信信号を受信しないことに応じて、前記車両が起動状態またはスタンバイ状態であることを示す前記通信信号を受信しないと判定するように構成されている、
機器コネクタ。
【請求項8】
請求項1から請求項6のうちいずれか1項に記載の機器コネクタであって、
前記確認処理は、前記第1電力制御部が、前記車両に対し、前記車両が起動状態であるか否かの問い合わせを予め定められた第1待機時間にわたり実行する処理であり、
前記第1電力制御部は、前記確認処理における前記問い合わせの所要時間が前記第1待機時間を越える前に、前記問い合わせに応答する前記通信信号を受信することに応じて、前記車両が起動状態またはスタンバイ状態であることを示す前記通信信号を受信したと判定し、前記問い合わせの所要時間が前記第1待機時間を越えても、前記問い合わせに応答する前記通信信号を受信しないことに応じて、前記車両が起動状態またはスタンバイ状態であることを示す前記通信信号を受信しないと判定するように構成されている、
機器コネクタ。
【請求項9】
請求項1から請求項8のうちいずれか一項に記載の機器コネクタであって、
前記車両は、車両診断用の車両OBDコネクタを備え、
前記接続部は、前記車両OBDコネクタに対して離脱可能に接続されるように構成される、
機器コネクタ。
【請求項10】
請求項1から請求項9のうちいずれか一項に記載の機器コネクタであって、
前記後付け車載装置は、ドライブレコーダ、レーダー探知機、レーザー探知機、カーナビゲーション装置のうち少なくともいずれか1つである、
機器コネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、機器コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
後付け車載装置と電気的に接続されるように構成された機器コネクタが知られている。 後付け車載装置は、車両に後付けするように構成されている。後付け車載装置は、例えば、ドライブレコーダ、レーダー探知機などを含む。
【0003】
機器コネクタは、前記車両に対して離脱可能に接続されて、前記車両と電気的に接続されるように構成されている。つまり、機器コネクタは、車両に対して後付け車載装置を電気的に接続するように構成されている。例えば、機器コネクタは、車両の車両制御部およびバッテリ(車載電源)に対して後付け車載装置を電気的に接続する用途に用いられる。
【0004】
機器コネクタとしては、車両のバッテリで発生したノイズを検出した後、車両制御部からの応答出力を検出したか否かを判定するように構成されたものがある(特許文献1参照)。この機器コネクタは、ノイズ検出後、応答出力を検出した場合に、車両のバッテリから後付け車載装置に対して電力供給を開始する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、車両が休止状態から起動前のスタンバイ状態(例えば、ACC-ON状態等)に移行することでノイズが発生した後に、スタンバイ状態が継続した場合には、車両は応答出力しないため、後付け車載装置へ電力供給されない状態が継続する。つまり、ノイズ発生後、車両のスタンバイ状態が継続している間は、後付け車載装置は、車両からの電力が供給されず、動作できない状態となる。
【0007】
後付け車載装置は、電力受電後、所定動作が可能な状態(起動状態)に至るまでに一定時間を要する。そのため、スタンバイ状態の車両が起動状態に移行して、直ちに車両が移動を開始した場合、後付け車載装置が起動状態では無い状況下で車両が移動する状況が生じうる。例えば、後付け車載装置が、GPS信号に基づく位置情報を取得する場合、電力受電から位置情報の取得までに時間を要するため、車両の移動開始直後には、車両の位置情報に基づく処理(例えば、警報通知処理など)を実行できない可能性がある。
【0008】
そこで、本開示は、スタンバイ状態が継続した後の車両の起動後においても、後付け車載装置が適切に起動状態となるように構成された機器コネクタを提供することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示の一局面における機器コネクタは、接続部と、第1ノイズ判定部と、電力供給開始部と、第1電力制御部と、を備える。
機器コネクタは、後付け車載装置と電気的に接続されるように構成されている。後付け車載装置は、車両に後付けするように構成されている。
【0010】
接続部は、前記車両に対して離脱可能に接続されて、前記車両と電気的に接続される。第1ノイズ判定部は、前記車両で発生する電気的な第1ノイズの有無を判定する。電力供給開始部は、前記第1ノイズが発生したと前記第1ノイズ判定部が判定することに応じて、前記車両が出力する車両電力を前記後付け車載装置に供給する。
【0011】
第1電力制御部は、前記車両電力の供給開始後、予め定められた確認処理が終了するまでの間に、前記車両が起動状態またはスタンバイ状態であることを示す通信信号を受信したか否かを判定する。第1電力制御部は、前記車両電力の供給開始後、前記確認処理が終了するまでの間に、前記通信信号を受信した場合には、前記車両電力の供給を継続する。第1電力制御部は、前記車両電力の供給開始後、確認処理が終了するまでの間に、前記通信信号を受信しない場合には、前記車両電力の供給を停止する。
【0012】
この機器コネクタは、車両が休止状態から起動前のスタンバイ状態(例えば、ACC-ON状態等)に移行することでノイズが発生した場合には、車両電力を後付け車載装置に供給することができる。
【0013】
そして、機器コネクタは、前記車両電力の供給開始後、確認処理が終了するまでの間に、前記通信信号を受信した場合には、車両電力の供給を継続するため、車両が起動状態に移行する前であっても、後付け車載装置を適切に起動状態に移行させることができる。
【0014】
よって、本開示の機器コネクタは、スタンバイ状態が継続した後の車両の起動後においても、後付け車載装置が適切に起動状態となるように構成されている。
また、機器コネクタは、前記車両電力の供給開始後、確認処理が終了するまでの間に、前記通信信号を受信しない場合には、車両電力の供給を停止するため、車両電力を無駄に消費することを抑制できる。
【0015】
前記機器コネクタは、電圧検出部を備えてもよい。前記電圧検出部は、前記車両電力の電圧である車両電圧を検出するように構成されている。前記電力供給開始部は、前記第1ノイズが発生したと前記第1ノイズ判定部が判定することに加え、前記電圧検出部で検出された前記車両電圧の電圧値が第1判定値以上であることに応じて、前記車両電力を前記後付け車載装置に供給するように構成されてもよい。前記第1判定値は、前記車両が起動状態のときの前記車両電圧の電圧値である。
【0016】
このような機器コネクタは、車両電圧に基づいて車両が起動状態であるか否かを判定できる。電力供給開始部は、第1ノイズに加えて、車両電圧を用いて判定することで、車両が起動状態であることをより正確に判定できる。
【0017】
前記第1電力制御部は、前記車両電力の供給開始後、前記確認処理が終了するまでの間に、前記通信信号を受信しない場合において、前記電圧検出部で検出された前記車両電圧の電圧値が前記第1判定値以上であることに応じて、前記車両電力の供給を継続するように構成されてもよい。
【0018】
このような機器コネクタは、車両が起動状態またはスタンバイ状態である場合に、何らかの影響で前記通信信号を受信できない状況下であっても、所定条件が成立することに応じて、前記車両電力の供給を継続できる。これにより、機器コネクタは、何らかの影響で前記通信信号を受信できない状況下であっても、後付け車載装置への車両電力の供給を継続できる。
【0019】
前記電力供給開始部は、前記第1電力制御部により前記車両電力の供給が停止された後、前記電圧検出部で検出された前記車両電圧の電圧値が第1判定値以上であることに応じて、再び、前記車両電力を前記後付け車載装置に供給するように構成されてもよい。
【0020】
このような機器コネクタは、所定条件が成立することに応じて、前記車両電力の供給を再開できる。これにより、機器コネクタは、何らかの影響で前記第1電力制御部により前記車両電力の供給が停止された場合でも、後付け車載装置への車両電力の供給を再開できる。
【0021】
上記機器コネクタは、ACC検出部を備えてもよい。ACC検出部は、前記車両のアクセサリ電源のON状態・OFF状態を検出するように構成されてもよい。前記電力供給開始部は、前記第1ノイズが発生したと前記第1ノイズ判定部が判定することに加え、前記アクセサリ電源がON状態であることが前記ACC検出部により検出されることに応じて、前記車両電力を前記後付け車載装置に供給するように構成されてもよい。
【0022】
このような機器コネクタは、アクセサリ電源がON状態であるか否かを判定できる。電力供給開始部は、第1ノイズに加えて、アクセサリ電源の状態を用いて判定することで、車両が起動状態またはスタンバイ状態(例えば、ACC-ON状態など)であることを判定できる。
【0023】
前記第1電力制御部は、前記車両電力の供給開始後、前記確認処理が終了するまでの間に、前記通信信号を受信しない場合において、前記アクセサリ電源がON状態であることが前記ACC検出部により検出されることに応じて、前記車両電力の供給を継続するように構成されてもよい。
【0024】
このような機器コネクタは、車両が起動状態またはスタンバイ状態である場合に、何らかの影響で前記通信信号を受信できない状況下であっても、所定条件が成立することに応じて、前記車両電力の供給を継続できる。これにより、機器コネクタは、何らかの影響で前記通信信号を受信できない状況下であっても、後付け車載装置への車両電力の供給を継続できる。
【0025】
前記確認処理は、前記第1電力制御部が、前記車両に対し、前記車両が起動状態であるか否かの問い合わせを予め定められた規定回数にわたり実行する処理であってもよい。前記第1電力制御部は、前記確認処理における前記問い合わせの回数が前記規定回数を越える前に、前記問い合わせに応答する前記通信信号を受信することに応じて、前記車両が起動状態またはスタンバイ状態であることを示す前記通信信号を受信したと判定してもよい。前記第1電力制御部は、前記問い合わせの回数が前記規定回数を越えても、前記問い合わせに応答する前記通信信号を受信しないことに応じて、前記車両が起動状態またはスタンバイ状態であることを示す前記通信信号を受信しないと判定してもよい。
【0026】
つまり、前記第1電力制御部は、前記問い合わせの回数が規定回数を超える前に、前記問い合わせに応答する前記通信信号を受信したか否かに基づいて、前記車両が起動状態またはスタンバイ状態であることを示す前記通信信号を受信したか否かを判定してもよい。
【0027】
前記確認処理は、前記第1電力制御部が、前記車両に対し、前記車両が起動状態であるか否かの問い合わせを予め定められた第1待機時間にわたり実行する処理であってもよい。前記第1電力制御部は、前記確認処理における前記問い合わせの所要時間が前記第1待機時間を越える前に、前記問い合わせに応答する前記通信信号を受信することに応じて、前記車両が起動状態またはスタンバイ状態であることを示す前記通信信号を受信したと判定してもよい。前記第1電力制御部は、前記問い合わせの所要時間が前記第1待機時間を越えても、前記問い合わせに応答する前記通信信号を受信しないことに応じて、前記車両が起動状態またはスタンバイ状態であることを示す前記通信信号を受信しないと判定してもよい。
【0028】
つまり、前記第1電力制御部は、前記問い合わせの所要時間が前記第1待機時間を越える前に、前記問い合わせに応答する前記通信信号を受信したか否かに基づいて、前記車両が起動状態またはスタンバイ状態であることを示す前記通信信号を受信したか否かを判定してもよい。
【0029】
上記の「前記車両電力の供給開始後、確認処理が終了するまでの期間」は、第1期間としてもよい。第1期間は、前記車両電力の供給開始後、予め定められた第1待機時間が経過するまでの期間であってよい。つまり、前記第1電力制御部は、前記第1期間中に、前記車両から通信信号を受信したか否かを判定してもよい。
【0030】
前記第1電力制御部は、時計情報に基づいて前記第1待機時間が経過したか否かを判定するように構成されてもよい。この場合、時計情報に基づいて計時できる最小時間単位に応じた計測精度で、第1待機時間が経過したことを適切に判定できる。
【0031】
前記計測精度は、秒単位であってもよい。前記計測精度は、ミリ秒単位であってもよい。前記計測精度は、マイクロ秒単位であってもよい。
前記第1電力制御部は、カウンタのカウント回数に基づいて前記第1待機時間が経過したか否かを判定するように構成されてもよい。前記カウンタは、時間経過に伴いカウントされる計時カウンタであってもよい。この場合、カウンタで計時できる粗い計測精度が許容できる用途において、第1待機時間が経過したことを簡便に判定できる。
【0032】
前記カウンタは、一定周期ごとにカウントされる周期カウンタであってもよい。一定周期は、例えば、1ms、5ms、10ms、50ms、100msなど、任意の時間であってもよい。
【0033】
上述の機器コネクタは、第2ノイズ判定部と、第2電力制御部と、を備えてもよい。
第2ノイズ判定部は、前記後付け車載装置への前記車両電力の供給中に、前記接続部を介して前記車両の状態を検出し、前記ノイズが発生したか否かを判定してもよい。
【0034】
第2電力制御部は、第2期間中に、前記車両から前記通信信号を受信したか否かを判定する。前記第2期間は、前記ノイズが発生したと前記第2ノイズ判定部が判定した時点から予め定められた第2待機時間が経過するまでの期間に対応する。第2電力制御部は、前記通信信号を受信した場合には、前記第2期間の後も前記車両電力の供給を継続してもよい。第2電力制御部は、前記通信信号を受信しない場合には、前記第2期間の後は前記車両電力の供給を停止してもよい。
【0035】
この機器コネクタは、前記後付け車載装置への前記車両電力の供給中に、車両が起動状態から休止状態に移行することが原因でノイズが発生した場合に、前記車両電力の供給を停止することができる。このため、機器コネクタは、車両が休止状態に移行した後に、車両電力を無駄に消費することを抑制できる。
【0036】
また、この機器コネクタは、前記後付け車載装置への前記車両電力の供給中に、車両が起動状態から休止状態に移行すること以外の要因でノイズが発生した場合には、前記車両電力の供給を継続することができる。このため、機器コネクタは、車両が起動状態のときにノイズが発生しても、前記車両電力の供給を継続することができる。
【0037】
よって、本開示の機器コネクタは、前記後付け車載装置への前記車両電力の供給中に発生するノイズに基づいて、車両が休止状態に移行したことを判定できるため、車両電力を無駄に消費することを抑制できる。
【0038】
前記車両は、車両診断用の車両OBDコネクタを備えてもよい。前記接続部は、前記車両OBDコネクタに対して離脱可能に接続されるように構成されてもよい。
前記車両は、車両OBDコネクタと、車両制御部と、バッテリと、を備えてもよい。車両OBDコネクタは、車両制御部およびバッテリと接続されている。車両制御部は、通信信号を出力するように構成されている。バッテリは、車両電力を出力するように構成されている。
【0039】
機器コネクタは、接続部を介して車両OBDコネクタに接続されることで、車両電力を受電できる。また、機器コネクタは、接続部を介して車両OBDコネクタに接続されることで、通信信号を受信できる。
【0040】
前記後付け車載装置は、ドライブレコーダ、レーダー探知機、レーザー探知機、カーナビゲーション装置のうち少なくともいずれか1つであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【
図1】機器コネクタ、後付け車載装置および車両における電気的構成を表したブロック図である。
【
図2】電力供給制御処理の処理内容を表すフローチャートである。
【
図3】ノイズを検出した後に電力供給を継続する場合における、機器コネクタの各部の状態を表すタイミングチャートである。
【
図4】ノイズを検出した後に電力供給を停止する場合における、機器コネクタの各部の状態を表すタイミングチャートである。
【
図5】電力供給停止処理の処理内容を表すフローチャートである。
【
図6】後付け車載装置への車両電力の供給中にノイズを検出した後に、電力供給を継続する場合における、機器コネクタの各部の状態を表すタイミングチャートである。
【
図7】後付け車載装置への車両電力の供給中にノイズを検出した後に、電力供給を停止する場合における、機器コネクタの各部の状態を表すタイミングチャートである。
【
図9】機器コネクタにおけるスイッチ配置領域を拡大した拡大斜視図である。
【
図10】第5端から見たときの機器コネクタの外観を表す平面図である。
【
図11】
図10におけるXI-XI線断面における機器コネクタの内部構造を表した部分拡大断面図である。
【
図12】機器コネクタの内部構造を模式的に表した説明図である。
【
図13】第2電力供給制御処理における一部の処理内容を表すフローチャートである。
【
図14】第2電力供給制御処理における他の一部の処理内容を表すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0042】
以下、本開示が適用された実施形態について、図面を用いて説明する。
尚、本開示は、以下の実施形態に何ら限定されるものではなく、本開示の技術的範囲に属する限り種々の形態を採り得ることはいうまでもない。
【0043】
[1.第1実施形態]
[1-1.全体構成]
図1に模式的に示すように、車両1は、車両制御部3と、車内通信経路4と、車載バッテリ5(以下、単に、バッテリ5ともいう)と、常時給電経路6と、オルタネータ7と、アクセサリ電源8(以下、ACC電源8ともいう)と、車両診断コネクタ9と、を備える。車両1は、図示しない動力源(内燃機関、モータなど)を備える。車両1は、動力源から出力される動力を用いて移動するように構成されている。
【0044】
車両制御部3は、図示しないCPU(中央演算処理装置)、RAM、ROM、信号入出力部、A/Dコンバータ、および図示しないクロックなどを備える。車両制御部3は、ROM等に予め格納されたプログラムをCPUが実行することで各種制御処理を実行する。車両制御部3は、車両1に搭載された各種センサ(図示省略)の検出結果に基づき、車両1の各部の状態を判断する。
【0045】
車内通信経路4は、車両制御部3と、車両診断コネクタ9と、各種センサ(図示省略)と、接続されている。車内通信経路4は、所定の通信プロトコルに基づいて、各種情報を伝達するように構成されている。通信プロトコルは、例えば、CAN(Controller Area Network。登録商標。)、LIN(Local Interconnect Network)などを含む。
【0046】
車両1は、図示しない起動スイッチ(イグニッションスイッチ、スタートスイッチなど)を備えている。車両1は、起動スイッチを用いた運転者のスイッチ操作によって、起動状態、休止状態、スタンバイ状態のうちいずれかの状態に切り替えられる。起動状態は、動力源およびその他の装置が起動しており、車両1が動力源の動力によって移動可能な状態である。休止状態は、動力源およびその他の装置がいずれも停止しており、車両1が移動できない状態である。スタンバイ状態は、動力源は停止しており車両1が動力源の動力によって移動できない状態であるが、その他の装置は起動している状態である。
【0047】
車両制御部3は、起動スイッチが車両1の起動状態に対応した状態に操作されると、図示しない起動時給電経路を介してバッテリ5から電力供給を受けて起動する。車両制御部3は、起動スイッチが車両1の休止状態またはスタンバイ状態に対応した状態に操作されると、電力供給されず、休止状態となる。
【0048】
バッテリ5は、充電および放電できる二次電池を備えている。バッテリ5は、常時給電経路6および起動時給電経路(図示省略)を介して、車両1の各部に電力を供給する。常時給電経路6は、少なくとも、バッテリ5と、車両診断コネクタ9と、接続されている。常時給電経路6は、バッテリ5から出力される電力を伝達できるように構成されている。
【0049】
オルタネータ7は、図示しない動力源の動力を用いて交流電力を発電するように構成されている。オルタネータ7で発電された交流電力は、図示しない整流器によって直流電力に変換されて、車両1の各部に供給される。オルタネータ7で発電された電力は、バッテリ5の充電に用いることが可能である。ACC電源8は、使用者によって図示しない起動スイッチがスタンバイ状態(換言すれば、ACC-ON状態)に移行することに応じて、ACC電源系統に接続された車載装置にACC電力の供給を開始する。ACC電源系統に接続された車載装置は、例えば、カーナビゲーション装置などが挙げられる。ACC電源8は、ACC電力の供給時には、ACC電圧Vaccを出力する。
【0050】
車両診断コネクタ9は、車両1に対して各種装置を接続するために備えられている。各種装置は、例えば、車両1の診断機器、後付け車載装置などが含まれる。車両診断コネクタ9は、車両OBDコネクタとも呼ばれる。OBDは、On Board Diagnosticsの略語である。
【0051】
車両1は、後付け車載装置11を後付で搭載できるように構成されている。後付け車載装置11は、車両1などに後付けできるように構成されている。後付け車載装置11は、例えば、ドライブレコーダ、レーダー探知機、レーザー探知機、カーナビゲーション装置のうち少なくともいずれか1つであってもよい。
【0052】
後付け車載装置11は、連結部13を備えている。連結部13は、機器コネクタ21と接続されるように構成されている。後付け車載装置11は、機器コネクタ21を介して、車両1と接続されるように構成されている。後付け車載装置11は、車両1が出力する車両電力を用いて稼働するように構成されている。後付け車載装置11は、車両1との間で各種情報を送受信するように構成されている。
【0053】
機器コネクタ21は、車両診断コネクタ9に離脱可能に接続されるように構成されている。機器コネクタ21は、連結部13を介して後付け車載装置11に連結されるように構成されている。
【0054】
[1-2.機器コネクタの電気的構成]
図1に示すように、機器コネクタ21は、主処理部20と、通電切替スイッチ25と、ノイズ検出部27と、内部通電スイッチ28と、接続部29と、機器連結部31と、ディップスイッチ33と、通信経路35と、給電経路37と、点灯部39と、を備える。
【0055】
機器コネクタ21は、これらの各構成を用いて、電力供給制御処理、電力供給停止処理などを実行する。電力供給制御処理は、車両1が起動状態であるか否かを判定し、判定結果に応じて、車両1が出力する車両電力を用いた後付け車載装置11への電力供給状態を制御する処理である。電力供給停止処理は、車両1が起動状態であるか否かを判定し、判定結果に応じて、車両1が出力する車両電力を用いた後付け車載装置11への電力供給を停止する処理である。電力供給制御処理および電力供給停止処理の各内容については、後述する。
【0056】
主処理部20は、機器コネクタ21における各種処理を実行するように構成されている。主処理部20は、制御部22と、通信部23と、電圧検出部24と、ACC検出部26と、を備える。
【0057】
制御部22は、中央演算処理装置22a(以下、CPU22aともいう)と、記憶部22bと、を備える。記憶部22bは、例えば、RAM、ROMを備えてもよい。制御部22は、記憶部22bに予め格納されたプログラムをCPU22aが実行することで各種制御処理を実行する。
【0058】
制御部22は、電力供給制御処理に含まれる判定処理などを実行する。
接続部29は、車両診断コネクタ9と離脱可能に接続するように構成されている。接続部29は、通信経路35を介して通信部23と接続されている。接続部29は、給電経路37を介して機器連結部31と接続されている。
【0059】
通信部23は、所定の通信プロトコルに基づいて、制御部22と車両1(詳細には、車両制御部3)との間で通信を行うように構成されている。通信部23は、通信経路35および接続部29を介して、車両1との間で各種情報の送受信を行う。これにより、制御部22は、通信部23を介して車両1との間で各種情報の送受信を行う。
【0060】
電圧検出部24は、車両電圧V1を検出するように構成されている。車両電圧V1は、 車両1から機器コネクタ21に供給される電力の電圧である。電圧検出部24は、給電経路37に接続されている。電圧検出部24は、検出した車両電圧V1を制御部22に通知するように構成されている。
【0061】
ACC検出部26は、車両1のアクセサリ電源8のON状態・OFF状態を検出するように構成されている。ACC検出部26は、ACC電圧Vaccが車両1から出力されているか否かを判定することで、ACC電源8のON状態・OFF状態を検出するように構成されている。ACC検出部26は、ACC電源8がON状態であることを検出することに応じて、その検出結果を制御部22に通知するように構成されている。
【0062】
通電切替スイッチ25は、給電経路37に設けられている。通電切替スイッチ25は、制御部22の指令に基づいて、給電経路37を導通状態または遮断状態に変更するように構成されている。通電切替スイッチ25は、例えば、リレー回路などを備えてもよい。なお、図面では、通電切替スイッチ25を「SW2」と表す。
【0063】
ノイズ検出部27は、給電経路37の電圧変動を検出し、検出結果に基づいて給電経路37に流れる所定の周波数成分を検出するように構成されている。ノイズ検出部27は、給電経路37に車両1で発生した電気的なノイズが流入した場合、そのノイズを検出するように構成されている。つまり、ノイズ検出部27は、車両1でノイズが発生したか否かを判定するように構成されている。
【0064】
ノイズは、例えば、車両1の起動時や停止時に発生する。車両1が動力源として内燃機関を備える場合には、内燃機関の起動時や停止時に生じる電圧変動によってノイズが発生する。車両1が動力源としてモータを備える場合には、車両制御部3などの起動時や停止時に生じる電圧変動によってノイズが発生する。また、ノイズは、車両1が休止状態から起動前のスタンバイ状態(例えば、ACC-ON状態等)に移行するときに、発生することがある。
【0065】
内部通電スイッチ28は、導通指令信号の受信状態に応じて、車両電圧V1を主処理部20に印加する導通状態(ON状態)と、印加しない遮断状態(OFF状態)と、に切り替わるように構成されている。内部通電スイッチ28は、導通指令信号を受信することに応じて、導通状態となり、給電経路37と主処理部20とを電気的に接続するように構成されている。これにより、主処理部20に対して電力供給が行われる。内部通電スイッチ28は、導通指令信号を受信していない場合には、遮断状態となり、給電経路37と主処理部20とを電気的に遮断するように構成されている。これにより、主処理部20に対する電力供給が停止される。内部通電スイッチ28は、例えば、リレー回路などを備えてもよい。なお、図面では、内部通電スイッチ28を「SW1」と表す。
【0066】
内部通電スイッチ28は、制御部22およびノイズ検出部27から、導通指令信号を受信するように構成されている。ノイズ検出部27は、ノイズ検出することに応じて、一定期間(例えば、10sec)にわたり、導通指令信号を内部通電スイッチ28に送信するように構成されている。制御部22は、制御部22が起動することに応じて、導通指令信号を内部通電スイッチ28に送信するように構成されている。
【0067】
機器連結部31は、連結部13と電気的に接続するように構成されている。機器連結部31は、連結部13から離脱しないように、連結部13と一体に連結されている。機器連結部31は、制御部22と電気的に接続されている。
【0068】
ディップスイッチ33は、制御部22の動作設定を切り替えるように構成されている。ディップスイッチ33は、制御部22と接続されている。ディップスイッチ33は、複数のスライドスイッチ33aを備えている。スライドスイッチ33aは、ON状態またはOFF状態に設定されるように構成されている。複数のスライドスイッチ33aのそれぞれの状態(ON状態またはOFF状態)の組合せに応じて、制御部22の動作設定が予め決められている。
【0069】
通信経路35は、車内通信経路4と同様に、所定の通信プロトコルに基づいて、各種情報を伝達するように構成されている。
給電経路37は、常時給電経路6と同様に、バッテリ5から出力される電力を伝達できるように構成されている。
【0070】
点灯部39は、給電経路37における通電切替スイッチ25と機器連結部31との間に設けられている。点灯部39は、車両1が出力する車両電力が後付け車載装置11に供給されているときに点灯し、車両電力が供給されていない時に消灯するように構成されている。点灯部39は、例えば、LEDランプなどを備えてもよい。
【0071】
[1-3.電力供給制御処理]
電力供給制御処理について、
図2のフローチャートを参照して説明する。このフローチャートは、機器コネクタ21が実行する処理内容を表す。
【0072】
電力供給制御処理は、機器コネクタ21が車両診断コネクタ9に接続されて、車両1から車両電力を受けることにより開始される。
電力供給制御処理が開始されると、まず、S110(Sはステップを表す)では、ノイズ検出部27が、給電経路37でノイズが発生したか否かを判定し、肯定判定するとS120に移行し、否定判定すると同ステップを繰り返し実行することで待機する。つまり、S110では、ノイズ検出部27での判定結果に基づいて、車両1でノイズが発生したか否かを判定する。
【0073】
S120では、主処理部20への電力供給が開始される。つまり、ノイズ検出部27でノイズが検出されることに応じて、内部通電スイッチ28がノイズ検出部27からの導通指令信号を受信し、内部通電スイッチ28が導通状態に移行する。これにより、主処理部20に対して電力供給が行われて、制御部22、通信部23、電圧検出部24、ACC検出部26が起動する。
【0074】
制御部22は、起動後に、内部通電スイッチ28に対する導通指令信号の出力を開始する。ノイズ検出部27による導通指令信号の出力が停止された後は、制御部22が導通指令信号の出力を継続することで、内部通電スイッチ28の導通状態が維持される。
【0075】
さらに、制御部22は、後付け車載装置11への電力供給を開始する。つまり、S120を実行する制御部22は、通電切替スイッチ25を導通状態に制御する。これにより、給電経路37が導通状態になり、車両1が出力する車両電力が後付け車載装置11に供給される。これに伴い、点灯部39は、消灯状態から点灯状態に移行する。
【0076】
S130では、制御部22は、タイマによる時間計測を開始する。制御部22は、時計機能を備えており、時計機能が有する時計情報に基づいてタイマによる時間計測を実行する。
【0077】
制御部22は、最小時間単位としてマイクロ秒単位の計測精度で計時できる時計機能を備えている。制御部22が有する時計情報は、マイクロ秒単位の時間経過を計測する用途に利用できる。
【0078】
S140では、制御部22は、車両制御部3からの応答信号(CAN通信などに基づく応答信号)を受信したか否かを判定し、肯定判定するとS150に移行し、否定判定するとS160に移行する。
【0079】
S150では、制御部22は、後付け車載装置11への電力供給を継続する。S150を実行する制御部22は、通電切替スイッチ25を導通状態に維持する。これにより、車両電力が後付け車載装置11に供給される状態が維持される。点灯部39は、点灯状態を継続する。
【0080】
S160では、制御部22は、タイマによる時間計測に基づいて、第1待機時間Ta1が経過したか否かを判定し、肯定判定するとS170に移行し、否定判定するとS140に移行する。つまり、S160を実行する制御部22は、S130でのタイマ開始時を起点として、第1待機時間Ta1が経過したか否かを判定する。本実施形態では、第1待機時間Ta1は、例えば、10秒に設定されている。
【0081】
S170では、制御部22は、後付け車載装置11への電力供給を停止する。S170を実行する制御部22は、通電切替スイッチ25を遮断状態に制御する。これにより、後付け車載装置11への車両電力の供給が停止される。これに伴い、点灯部39は、点灯状態から消灯状態に移行する。
【0082】
S150またはS170が完了するとS180に移行し、S180では、制御部22は、タイマによる時間計測を停止する。さらに、制御部22は、内部通電スイッチ28に対する導通指令信号の出力を停止する。制御部22が導通指令信号の出力を停止することで、内部通電スイッチ28は遮断状態に移行する。これにより、主処理部20への電力供給が停止されて、主処理部20は休止状態に移行する。
【0083】
主処理部20が休止状態に移行することで、機器コネクタ21は、電力供給制御処理を終了する。
このあと、機器コネクタ21と車両診断コネクタ9との接続状態が継続する間は、ノイズ検出部27によるノイズ検出動作が実行される。つまり、機器コネクタ21は、電力供給制御処理のS110を再び実行する。このようにして、機器コネクタ21は、車両1から電力供給を受けている間は、電力供給制御処理を繰り返し実行する。
【0084】
ここで、ノイズを検出した後に、(A)電力供給を継続する場合と、(B)電力供給を停止する場合と、のそれぞれについて説明する。
まず、
図3のタイミングチャートに基づいて、(A)電力供給を継続する場合について説明する。
【0085】
図3に示すように、時刻t1でノイズを検出すると(S110で肯定判定)、後付け車載装置11への電力供給が開始され(S120)、さらに、タイマによる時間計測が開始される(S130)。
【0086】
図3では、時刻t1から第1待機時間Ta1が経過するまでの期間のうち、時刻t2で、車両制御部3からの応答信号を受信した場合について記載している。時刻t2で車両制御部3からの応答信号を受信すると(S140で肯定判定)、制御部22は、第1待機時間Ta1が経過した後(
図3では時刻t3の後)も、後付け車載装置11への電力供給を継続する(S150)。
【0087】
次に、
図4のタイミングチャートに基づいて、(B)電力供給を停止する場合について説明する。
図4に示すように、時刻t11でノイズを検出すると(S110で肯定判定)、後付け車載装置11への電力供給が開始され(S120)、さらに、タイマによる時間計測が開始される(S130)。
【0088】
図4では、時刻t11から第1待機時間Ta1が経過するまでの期間において、車両制御部3からの応答信号を受信しない場合について記載している。つまり、第1待機時間Ta1が経過した時点(
図4では時刻t12)までに、車両制御部3からの応答信号を受信していない(S140で否定判定)状態である。制御部22は、第1待機時間Ta1が経過すると(
図4では時刻t12。S160で肯定判定)、後付け車載装置11への電力供給を停止する(S170)。
【0089】
このように、機器コネクタ21は、ノイズ検出時点から第1待機時間Ta1が経過するまでの期間(第1期間に相当)に、車両制御部3からの応答信号(通信信号に相当)を受信した場合には、第1待機時間Ta1の経過後も、後付け車載装置11への車両電力の供給を継続する。このため、機器コネクタ21は、車両1が起動状態に移行する前であっても、後付け車載装置11を適切に起動状態に移行させることができる。
【0090】
よって、機器コネクタ21は、スタンバイ状態が継続した後の車両1の起動後においても、後付け車載装置11が適切に起動状態となるように構成されている。
また、機器コネクタ21は、第1期間中に応答信号(通信信号)を受信しない場合には、第1待機時間Ta1の経過後は、後付け車載装置11への車両電力の供給を停止する。このため、機器コネクタ21は、車両電力を無駄に消費することを抑制できる。
【0091】
[1-4.電力供給停止処理]
電力供給停止処理について、
図5のフローチャートを参照して説明する。このフローチャートは、機器コネクタ21が実行する処理内容を表す。
【0092】
電力供給停止処理は、機器コネクタ21が車両診断コネクタ9に接続されて、車両電力が後付け車載装置11へ供給されることにより開始される。
電力供給停止処理が開始されると、まず、S310では、制御部22は、後付け車載装置11に対して車両電力が供給中であるか否かを判定し、肯定判定するとS320に移行し、否定判定すると電力供給停止処理を終了する。
【0093】
S320では、ノイズ検出部27が、給電経路37でノイズが発生したか否かを判定し、肯定判定するとS330に移行し、否定判定すると同ステップを繰り返し実行することで待機する。つまり、S320では、ノイズ検出部27での判定結果に基づいて、車両1でノイズが発生したか否かを判定する。
【0094】
S330では、制御部22が、タイマによる時間計測を開始する。制御部22は、時計機能を備えており、時計機能が有する時計情報に基づいてタイマによる時間計測を実行する。
【0095】
S340では、制御部22は、車両制御部3からの応答信号(CAN通信などに基づく応答信号)を受信したか否かを判定し、肯定判定するとS350に移行し、否定判定するとS360に移行する。
【0096】
S350では、制御部22は、後付け車載装置11への電力供給を継続する。S350を実行する制御部22は、通電切替スイッチ25を導通状態に維持する。これにより、車両電力が後付け車載装置11に供給される状態が維持される。これに伴い、点灯部39は、点灯状態を継続する。
【0097】
S360では、制御部22は、タイマによる時間計測に基づいて、第2待機時間Ta2が経過したか否かを判定し、肯定判定するとS370に移行し、否定判定するとS340に移行する。つまり、S360を実行する制御部22は、S330でのタイマ開始時を起点として、第2待機時間Ta2が経過したか否かを判定する。本実施形態では、第2待機時間Ta2は、例えば、30秒に設定されている。
【0098】
S370では、制御部22は、後付け車載装置11への電力供給を停止する。S370を実行する制御部22は、通電切替スイッチ25を遮断状態に制御する。これにより、後付け車載装置11への車両電力の供給が停止される。これに伴い、点灯部39は、点灯状態から消灯状態に移行する。
【0099】
S350またはS370が完了するとS380に移行し、S380では、制御部22は、タイマによる時間計測を停止する。さらに、制御部22は、内部通電スイッチ28に対する導通指令信号の出力を停止する。制御部22が導通指令信号の出力を停止することで、内部通電スイッチ28は遮断状態に移行する。これにより、主処理部20への電力供給が停止されて、主処理部20は休止状態に移行する。
【0100】
主処理部20が休止状態に移行することで、機器コネクタ21は、電力供給停止処理を終了する。
このあと、機器コネクタ21は、車両電力が後付け車載装置11へ供給されることにおうじて、電力供給停止処理を再び実行する。
【0101】
ここで、後付け車載装置11への車両電力の供給中にノイズを検出した後に、(C)電力供給を継続する場合と、(D)電力供給を停止する場合と、のそれぞれについて説明する。
【0102】
まず、
図6のタイミングチャートに基づいて、(C)電力供給を継続する場合について説明する。
図6に示すように、後付け車載装置11への車両電力の供給中に、時刻t21でノイズを検出すると(S320で肯定判定)、タイマによる時間計測が開始される(S330)。
【0103】
図6では、時刻t21から第2待機時間Ta2が経過するまでの期間のうち、時刻t22で、車両制御部3からの応答信号を受信した場合について記載している。時刻t22で車両制御部3からの応答信号を受信すると(S340で肯定判定)、制御部22は、第2待機時間Ta2が経過した後(
図6では時刻t23の後)も、後付け車載装置11への電力供給を継続する(S350)。
【0104】
次に、
図7のタイミングチャートに基づいて、(D)電力供給を停止する場合について説明する。
図7に示すように、後付け車載装置11への車両電力の供給中に、時刻t31でノイズを検出すると(S320で肯定判定)、タイマによる時間計測が開始される(S330)。
【0105】
図7では、時刻t31から第2待機時間Ta2が経過するまでの期間において、車両制御部3からの応答信号を受信しない場合について記載している。つまり、第2待機時間Ta2が経過した時点(
図7では時刻t32)までに、車両制御部3からの応答信号を受信していない(S340で否定判定)状態である。制御部22は、第2待機時間Ta2が経過すると(
図7では時刻t32。S360で肯定判定)、後付け車載装置11への電力供給を停止する(S370)。
【0106】
機器コネクタ21は、後付け車載装置11への車両電力の供給中に、車両1が起動状態から休止状態に移行することが原因でノイズが発生した場合に、車両電力の供給を停止することができる。このため、機器コネクタ21は、車両1が休止状態に移行した後に、車両電力を無駄に消費することを抑制できる。
【0107】
また、機器コネクタ21は、後付け車載装置11への車両電力の供給中に、車両1が起動状態から休止状態に移行すること以外の要因でノイズが発生した場合には、車両電力の供給を継続することができる。このため、機器コネクタ21は、車両1が起動状態のときにノイズが発生しても、車両電力の供給を継続することができる。
【0108】
よって、機器コネクタ21は、後付け車載装置11への車両電力の供給中に発生するノイズに基づいて、車両1が休止状態に移行したことを判定できるため、車両電力を無駄に消費することを抑制できる。
【0109】
[1-5.機器コネクタのハードウェア構成]
次に、機器コネクタ21のハードウェア構成について説明する。
図8に示すように、機器コネクタ21は、略直方体形状である。
【0110】
以下の説明では、機器コネクタ21における、
図8に示すX軸方向における図の奥側の端部を第1端21aと称し、
図8に示すX軸方向における図の手前側の端部を第2端21bと称する。機器コネクタ21における、
図8に示すY軸方向における図の左側の端部を第3端21cと称し、
図8に示すY軸方向における図の右側の端部を第4端21dと称する。機器コネクタ21における、
図8に示すZ軸方向における図の上側の端部を第5端21eと称し、
図8に示すZ軸方向における図の下側の端部を第6端21fと称する。機器コネクタ21は、第1端21aから第6端21fに対応する6個の端部を備える略直方体形状である。
【0111】
機器コネクタ21は、第1端21aに接続部29を備え、第2端21bに機器連結部31を備える。上述のように、接続部29は、車両診断コネクタ9と離脱可能に接続するように構成されている。換言すれば、接続部29は、車両診断コネクタ9に接続可能な形状に形成されている。上述のように、機器連結部31は、連結部13(
図8では図示省略)と一体に連結されている。換言すれば、機器連結部31は、連結部13を介して後付け車載装置11(
図8では図示省略)に連結されている。
【0112】
[1-6.スイッチ配置領域]
機器コネクタ21は、第2端21b、第3端21c、第5端21eのそれぞれが交わる角部に、スイッチ配置領域41と、第1壁面43と、第2壁面45と、第3壁面47と、を備える。
【0113】
スイッチ配置領域41は、ディップスイッチ33を配置するための領域である。詳細には、スイッチ配置領域41は、ディップスイッチ33における複数のスライドスイッチ33aを配置するための領域である。第1壁面43は、X軸方向に対して垂直である。第2壁面45は、Y軸方向に対して垂直である。第3壁面47は、Z軸方向に対して垂直である。スイッチ配置領域41は、第1壁面43と、第2壁面45と、第3壁面47と、によって囲まれる。
【0114】
図9の拡大斜視図に示すように、ディップスイッチ33は、複数のスライドスイッチ33aを備える。複数のスライドスイッチ33aの各々は、スライドスイッチ33aの長手方向がX軸方向に平行となるように配置されている。複数のスライドスイッチ33aの各々は、スライドスイッチ33aのスライド方向がZ軸方向に平行となるように配置されている。複数のスライドスイッチ33aの各々は、複数のスライドスイッチ33aどうしの隣接方向がY軸方向に平行となるように配置されている。
図9では、複数のスライドスイッチ33aは、スライド可能な領域における全て最も上側(図の上側)に配置された状態で表されている。
【0115】
機器コネクタ21は、スイッチ配置領域41において、第1突出部51と、第2突出部53と、を備える。第1突出部51は、第2壁面45および第3壁面47からX軸方向およびZ軸方向に沿って突出している。第2突出部53は、第3壁面47からX軸方向に沿って突出している。
【0116】
図10に示すように、第1突出部51は、機器コネクタ21をZ軸方向に沿って第5端21eから見たときに、複数のスライドスイッチ33aの一部を覆うように構成されている。詳細には、第1突出部51は、複数のスライドスイッチ33aにおける長手方向の根本側を覆うように構成されている。
【0117】
つまり、機器コネクタ21は、第1突出部51を備えることで、機器コネクタ21をZ軸方向に沿って第5端21eから見たときの複数のスライドスイッチ33aにおける露出部分(先端部分)が小さくなるように、構成されている。
【0118】
図11の部分断面図に示すように、第1突出部51は、機器コネクタ21をZ軸方向に沿って第5端21eから見たときに、スライドスイッチ33aの全長L1のうち第1部分L2を覆うように構成されている。これにより、機器コネクタ21をZ軸方向に沿って第5端21eから見たときに、スライドスイッチ33aの全長L1のうち第2部分L3が露出した状態となる。本実施形態では、第2部分L3が1mmとなるように、第1突出部51が形成されている。
【0119】
機器コネクタ21は、第1突出部51を備えることで、Z軸方向に沿って見たときの複数のスライドスイッチ33aにおける露出部分を小さくすることができるため、複数のスライドスイッチ33aの各々に対して、外力が加えられることを抑制できる。これにより、複数のスライドスイッチ33aの各々が外力によって破損することを抑制できる。
【0120】
図11の部分断面図に示すように、第2突出部53は、機器コネクタ21をY軸方向に沿って第3端21cから見たときに、複数のスライドスイッチ33aの全長L1を覆うように構成されている。
【0121】
つまり、機器コネクタ21は、第2突出部53を備えることで、機器コネクタ21をY軸方向に沿って第3端21cから見たときの複数のスライドスイッチ33aにおける露出部分が無くなるように、構成されている。
【0122】
機器コネクタ21は、第2突出部53を備えることで、Y軸方向に沿って見たときの複数のスライドスイッチ33aにおける露出部分を無くすことができため、複数のスライドスイッチ33aの各々に対して、外力が加えられることを抑制できる。これにより、複数のスライドスイッチ33aの各々が外力によって破損することを抑制できる。
【0123】
よって、機器コネクタ21は、第1突出部51または第2突出部53のいずか一方を備えることで、複数のスライドスイッチ33aの各々が外力によって破損することを抑制できる。機器コネクタ21は、第1突出部51および第2突出部53の両者を備えることで、複数のスライドスイッチ33aの各々が外力によって破損することを一層抑制できる。
【0124】
[1-7.アース経路]
次に、機器コネクタ21の内部構造について説明する。特に、機器コネクタ21の電気経路におけるアース経路69について説明する。
【0125】
図12に模式的に示すように、機器コネクタ21は、機器コネクタ21の内部に、第1回路基板61と、第2回路基板63と、連結金属端子65と、端子保持部67と、を備えている。
【0126】
第1回路基板61および第2回路基板63は、それぞれ、いわゆる電気素子などが搭載される回路基板である。第1回路基板61および第2回路基板63は、図示は省略するが、主処理部20(制御部22、通信部23など)、通電切替スイッチ25、ノイズ検出部27などが搭載されている。第2回路基板63は、導電性材料で形成されたアース配線63aを備えている。アース配線63aは、第2回路基板63の板面に沿って配置されるとともに、第2回路基板63から機器連結部31にかけて延設されている。
【0127】
連結金属端子65は、導電性金属材料を用いて構成されている。連結金属端子65は、第1端部65aと、第2端部65bと、を備える。第1端部65aは、車両診断コネクタ9のアース端子(図示省略)と電気的接続されるように構成されている。第2端部65bは、第2回路基板63のアース配線63aと電気的に接続されている。
【0128】
端子保持部67は、絶縁性材料を用いて構成されている。端子保持部67は、複数の金属端子を保持するように構成されている。複数の金属端子の各々は、車両診断コネクタ9における複数の車両金属端子(図示省略)のいずれかと電気的接続されるように構成されている。複数の金属端子の各々は、第1回路基板61および第2回路基板63のうちいずれか一方に電気的に接続されている。連結金属端子65は、複数の金属端子における1つの金属端子に相当する。
【0129】
機器コネクタ21は、アース経路69を備える。アース経路69は、連結金属端子65およびアース配線63aを含んで構成されている。アース経路69は、連結金属端子65およびアース配線63aを介して、接続部29と機器連結部31とを接続するように構成されている。
【0130】
アース経路69は、機器コネクタ21の内部において、第2回路基板63を介して、接続部29と機器連結部31とを電気的に接続するように構成されている。換言すれば、アース経路69は、第1回路基板61および第2回路基板63の両者を介することなく、第2回路基板63のみを介して、接続部29と機器連結部31とを電気的に接続する。
【0131】
機器コネクタ21は、導電性材料で形成された分岐アース経路71を備える。分岐アース経路71は、第2回路基板63のアース配線63aと第1回路基板61と電気的に接続するように構成されている。これにより、第1回路基板61および第2回路基板63は、アース経路69の電位(以下、アース電位ともいう)を基準電位として電気的処理を実行することができる。つまり、第1回路基板61は、アース経路69上に配置されているのではなく、アース経路69から分岐した分岐アース経路71を介してアース電位に設定される。
【0132】
機器コネクタ21は、2つの回路基板(第1回路基板61および第2回路基板63)の両者を介して、接続部29と機器連結部31とを電気的に接続するアース経路ではなく、1つの回路基板(第2回路基板63)のみを介して、接続部29と機器連結部31とを電気的に接続するアース経路69を備える。
【0133】
よって、機器コネクタ21は、アース経路69の配置を複雑化させることなくシンプルに形成することができる。
[1-8.効果]
以上説明したように、本実施形態の機器コネクタ21は、車両1が休止状態から起動前のスタンバイ状態(例えば、ACC-ON状態等)に移行することでノイズが発生した場合には、車両電力を後付け車載装置11に供給することができる。
【0134】
そして、機器コネクタ21は、ノイズ検出時点から第1待機時間Ta1が経過するまでの期間(第1期間に相当)に、車両制御部3からの応答信号(通信信号に相当)を受信した場合には、第1期間の後も車両電力の供給を継続する。このため、機器コネクタ21は、車両1が起動状態に移行する前であっても、後付け車載装置11を適切に起動状態に移行させることができる。
【0135】
よって、機器コネクタ21は、スタンバイ状態が継続した後の車両1の起動後においても、後付け車載装置11が適切に起動状態となるように構成されている。
また、機器コネクタ21は、第1期間中に通信信号を受信しない場合には、第1期間の後に車両電力の供給を停止するため、車両電力を無駄に消費することを抑制できる。
【0136】
制御部22は、マイクロ秒単位の時計情報に基づいて第1待機時間Ta1が経過したか否かを判定する。これにより、制御部22は、マイクロ秒単位に応じた計測精度で、第1待機時間Ta1が経過したことを適切に判定できる。
【0137】
また、上述のように、機器コネクタ21は、後付け車載装置11への車両電力の供給中に発生するノイズに基づいて、車両1が休止状態に移行したことを判定できる。このため、機器コネクタ21は、車両電力を無駄に消費することを抑制できる。
【0138】
機器コネクタ21は、接続部29を介して車両診断コネクタ9に接続されることで、車両電力を受電できる。また、機器コネクタ21は、接続部29を介して車両診断コネクタ9に接続されることで、応答信号(通信信号)を受信できる。
【0139】
[1-9.文言の対応関係]
ここで、文言の対応関係について説明する。
ノイズ検出部27が本開示の第1ノイズ判定部の一例に相当し、S120を実行する主処理部20が本開示の電力供給開始部の一例に相当し、S130~S180を実行する主処理部20が本開示の第1電力制御部の一例に相当する。ノイズ検出部27が本開示の第2ノイズ判定部の一例に相当し、S330~S380を実行する主処理部20が本開示の第2電力制御部の一例に相当する。
【0140】
[2.第2実施形態]
[2-1.全体構成]
第2実施形態として、第2電力供給制御処理を実行する第2機器コネクタについて説明する。第2機器コネクタは、機器コネクタ21と比べて、ハードウェア構成は同様である。そのため、第2機器コネクタにおけるハードウェア構成の説明は省略する。
【0141】
第2機器コネクタは、第1実施形態における電力供給制御処理および電力供給停止処理の代わりに、第2電力供給制御処理を実行するように構成されている。そこで、第2電力供給制御処理について説明する。
【0142】
[2-2.第2電力供給制御処理]
第2電力供給制御処理について、
図13および
図14のフローチャートを参照して説明する。このフローチャートは、第2機器コネクタが実行する処理内容を表す。
【0143】
第2電力供給制御処理は、機器コネクタが車両診断コネクタ9に接続されて、車両1から車両電力を受けることにより開始される。
第2電力供給制御処理が開始されると、まず、S510では、ノイズ検出部27が、給電経路37でノイズが発生したか否かを判定し、肯定判定するとS520に移行し、否定判定すると同ステップを繰り返し実行することで待機する。つまり、S510では、ノイズ検出部27での判定結果に基づいて、車両1でノイズが発生したか否かを判定する。
【0144】
S520では、ノイズ検出部27が内部通電スイッチ28に対して導通指令信号を出力することで、内部通電スイッチ28が導通状態(ON状態)に移行する。続くS530では、内部通電スイッチ28を介して、主処理部20に対する電力供給が開始される。これにより、制御部22、通信部23、電圧検出部24、ACC検出部26が起動する。
【0145】
S540では、制御部22は、起動後に、内部通電スイッチ28に対する導通指令信号の出力を開始する。制御部22が導通指令信号の出力を継続することで、内部通電スイッチ28の導通状態が維持される。
【0146】
S550では、ACC検出部26が、ACC電源8がON状態であるか否かを判定し、肯定判定するとS710に移行し、否定判定するとS560に移行する。つまり、S550では、ACC電源8がON状態である場合に肯定判定し、ACC電源8がOFF状態である場合に否定判定する。
【0147】
S560では、制御部22は、電圧検出部24で検出された車両電圧V1が第1判定値VTh1以上であるか否かを判定し、肯定判定するとS710に移行し、否定判定するとS570に移行する。第1判定値VTh1には、車両1が起動状態となりオルタネータ7が発電しているときに車両電圧V1が取りうる電圧値の最低値が設定されている。つまり、制御部22は、車両電圧V1に基づいて、車両1が起動状態であるか否かを判定している。第1判定値VTh1は、例えば、13.0Vが設定されてもよい。
【0148】
S570では、制御部22は、電圧検出部24で検出された車両電圧V1が停止判定値Vtha以上であるか否かを判定し、肯定判定するとS580に移行し、否定判定するとS590に移行する。停止判定値Vthaには、車両1が休止状態となりオルタネータ7が停止しているときに車両電圧V1が取りうる電圧値の最低値が設定されている。つまり、制御部22は、車両電圧V1に基づいて、車両1が休止状態であるか否かを判定している。停止判定値Vthaは、例えば、11.8Vが設定されてもよい。
【0149】
S580では、ノイズ検出部27が、給電経路37でノイズが発生したか否かを判定し、肯定判定するとS560に移行し、否定判定するとS590に移行する。つまり、S580では、ノイズ検出部27での判定結果に基づいて、車両1でノイズが発生したか否かを判定する。
【0150】
S570で否定判定されるか、S580で否定判定されると、S590に移行する。S590では、制御部22は、内部通電スイッチ28に対する導通指令信号の出力を停止する。制御部22が導通指令信号の出力を停止することで、内部通電スイッチ28の導通状態が解除される。これにより、内部通電スイッチ28が遮断状態に移行し、内部通電スイッチ28を介した主処理部20への電力供給が停止する。これに伴い、制御部22は、電力供給が停止されて、動作を停止する。
【0151】
S550で肯定判定されるか、S560で肯定判定されると、S710に移行する。S710では、制御部22は、通電切替スイッチ25をON状態に制御する。これにより、給電経路37が導通状態になり、車両1が出力する車両電力が後付け車載装置11に供給される。
【0152】
続くS720では、制御部22は、通信部23を介して、車両1の車両制御部3(以下、ECU3ともいう)との間で通信を開始する。これにより、制御部22は、ECU3との間で各種情報の送受信を開始する。
【0153】
続くS730では、制御部22は、ECU3との通信が可能か否かを判定し、肯定判定するとS740に移行し、否定判定するとS750に移行する。制御部22は、ECU3に対して問い合わせを行い、前記問い合わせに応答する前記通信信号を受信することに応じて、肯定判定する。制御部22は、ECU3に対して問い合わせを行い、前記問い合わせに応答する前記通信信号を受信しないことに応じて、否定判定する。
【0154】
S740では、制御部22は、ECU3との継続通信が可能か否かを判定し、肯定判定すると同ステップを繰り返し実行し、否定判定するとS750に移行する。制御部22は、予め定められた確認処理が終了するまでの間に、ECU3から通信信号を受信した場合には、継続通信が可能と判定する。制御部22は、確認処理が終了するまでの間に、ECU3から通信信号を受信しない場合には、継続通信が不可能と判定する。S740では、制御部22は、S730で肯定判定された後、ECU3との間で、引き続き継続して通信が可能であるか否かを判定している。
【0155】
前記確認処理は、制御部22がECU3に対して車両1が起動状態であるか否かの問い合わせを予め定められた規定回数N1にわたり実行する処理である。制御部22は、確認処理における問い合わせの回数が規定回数N1を越える前に、問い合わせに応答する通信信号を受信することに応じて、車両1が起動状態またはスタンバイ状態であることを示す通信信号を受信したと判定する。制御部22は、問い合わせの回数が規定回数N1を越えても、問い合わせに応答する通信信号を受信しないことに応じて、車両1が起動状態またはスタンバイ状態であることを示す前記通信信号を受信しないと判定する。
【0156】
本実施形態では、規定回数N1は、10回に設定されている(N=10)。なお、規定回数N1は、10回より小さい値でもよいし、10回よりも大きい値であってもよい。
なお、前記確認処理は、制御部22がECU3に対して車両1が起動状態であるか否かの問い合わせを予め定められた第1待機時間にわたり実行する処理であってもよい。制御部22は、確認処理における問い合わせの所要時間が第1待機時間を越える前に、問い合わせに応答する通信信号を受信することに応じて、車両1が起動状態またはスタンバイ状態であることを示す通信信号を受信したと判定してもよい。制御部22は、問い合わせの所要時間が第1待機時間を越えても、問い合わせに応答する通信信号を受信しないことに応じて、車両1が起動状態またはスタンバイ状態であることを示す前記通信信号を受信しないと判定してもよい。第1待機時間は、上述の第1実施形態の第1待機時間Ta1と同じ値を設定してもよい。
【0157】
S750では、ACC検出部26が、ACC電源8がON状態であるか否かを判定し、肯定判定するとS720に移行し、否定判定するとS760に移行する。
S760では、制御部22は、通電切替スイッチ25をOFF状態に制御する。これにより、給電経路37が遮断状態になり、車両1が出力する車両電力は後付け車載装置11に供給されない。
【0158】
続くS770では、制御部22は、電圧検出部24で検出された車両電圧V1が第1判定値VTh1以上であるか否かを判定し、肯定判定するとS710に移行し、否定判定するとS580に移行する。
【0159】
上述のように、S590にて、内部通電スイッチ28を介した主処理部20への電力供給が停止する。これにより、主処理部20への電力供給が停止されて、主処理部20は休止状態に移行する。主処理部20が休止状態に移行することで、第2機器コネクタは、第2電力供給制御処理を終了する。
【0160】
このあと、第2機器コネクタと車両診断コネクタ9との接続状態が継続する間は、ノイズ検出部27によるノイズ検出動作が実行される。つまり、第2機器コネクタは、第2電力供給制御処理のS510を再び実行する。このようにして、第2機器コネクタは、車両1から電力供給を受けている間は、第2電力供給制御処理を繰り返し実行する。
【0161】
[2-3.効果]
以上説明したように、本第2実施形態の第2機器コネクタは、第1実施形態と同様に、車両1が休止状態から起動前のスタンバイ状態(例えば、ACC-ON状態等)に移行することでノイズが発生した場合には、車両電力を後付け車載装置11に供給できる。
【0162】
第2機器コネクタは、車両電圧に基づいて車両1が起動状態であるか否かを判定できる。第2機器コネクタの主処理部20は、ノイズ検出部27で検出されるノイズに加えて、電圧検出部24で検出される車両電圧を用いて判定することで、車両1が起動状態であることをより正確に判定できる。
【0163】
主処理部20は、車両電力の供給開始後(換言すれば、S710の実行後)、前記確認処理が終了するまでの間に、前記通信信号を受信しない場合において(S740で否定判定)、車両電圧の電圧値が1判定値VTh1以上であることに応じて(S770で肯定判定)、車両電力の供給を継続する。
【0164】
このような第2機器コネクタは、車両1が起動状態である場合に、何らかの影響で前記通信信号を受信できない状況下であっても、所定条件が成立すること(S770で肯定判定)に応じて、前記車両電力の供給を継続できる。これにより、第2機器コネクタは、何らかの影響で前記通信信号を受信できない状況下であっても、後付け車載装置11への車両電力の供給を継続できる。
【0165】
第2機器コネクタは、ACC検出部26により、アクセサリ電源8がON状態であるか否かを判定できる。主処理部20は、ノイズ検出部27で検出されるノイズに加えて、アクセサリ電源の状態を用いて判定することで、車両1が起動状態またはスタンバイ状態(例えば、ACC-ON状態など)であることを判定できる。
【0166】
第2機器コネクタは、車両電力の供給開始後(S710)、前記確認処理が終了するまでの間に、前記通信信号を受信しない場合(S740で否定判定)において、前記アクセサリ電源がON状態であることが前記ACC検出部26により検出されることに応じて(S750で肯定判定)、車両電力の供給を継続する。
【0167】
このような第2機器コネクタは、車両1が起動状態またはスタンバイ状態である場合に、何らかの影響で前記通信信号を受信できない状況下であっても、所定条件が成立すること(S750で肯定判定)に応じて、前記車両電力の供給を継続できる。これにより、第2機器コネクタは、何らかの影響で前記通信信号を受信できない状況下であっても、後付け車載装置11への車両電力の供給を継続できる。
【0168】
[2-4.文言の対応関係]
ここで、文言の対応関係について説明する。
S550,S560,S710を実行する主処理部20が本開示の電力供給開始部の一例に相当し、S740~S770を実行する主処理部20が本開示の第1電力制御部の一例に相当する。
【0169】
[3.他の実施形態]
以上、本開示の実施形態について説明したが、本開示は上記実施形態に限定されるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲において、様々な態様にて実施することが可能である。
【0170】
(a)上記の第1実施形態では、時計情報に基づいて第1待機時間Ta1および第2待機時間Ta2が経過したか否かを判定するように構成された制御部を備える機器コネクタについて説明したが、本開示の機器コネクタは、このような構成に限られることはない。
【0171】
例えば、制御部は、カウンタのカウント回数に基づいて第1待機時間Ta1および第2待機時間Ta2が経過したか否かを判定するように構成されてもよい。カウンタは、時間経過に伴いカウントされるように構成されている。カウンタが100ms毎にカウントアップされる場合には、10回のカウント回数が経過するまで待機することで、1秒の待機時間が経過したか否かを計測できる。
【0172】
この場合、カウンタで計時できる粗い計測精度(例えば、100ms単位など)が許容できる用途において、待機時間が経過したことを簡便に判定できる。
(b)上記の第1実施形態では、第1待機時間Ta1は10秒に設定され、第2待機時間Ta2は30秒に設定された形態について説明したが、各待機時間はこれらの時間に限定されることはなく、用途や後付け車載機器の種類などに応じて、任意の値を設定してもよい。例えば、第1待機時間Ta1は、10秒未満でもよいし、10秒よりも長い時間であってもよい。第2待機時間Ta2は、30秒未満でもよいし、30秒よりも長い時間であってもよい。
【0173】
(c)上記の各実施形態の各処理(フローチャート)における全てのステップは必須ではなく、必要に応じて一部のステップを省略してもよい。
例えば、第2実施形態において、S750、S770を省略してもよい。この場合、S730で否定判定、あるいはS740で否定判定されることに応じて、S760で通電切替スイッチ25をOFF状態に制御する。これにより、S730で否定判定、あるいはS740で否定判定された後は、S720に移行することは無くなる。換言すれば、S730で否定判定、あるいはS740で否定判定された後は、車両1が出力する車両電力の後付け車載装置11への供給が継続されることは無い。
【0174】
あるいは、第2実施形態において、S550~S580を省略して、S540の後にS710に移行するようにもよい。この場合、S510で肯定判定されることに応じて、S710で通電切替スイッチ25をON状態に制御する。これにより、ノイズ検出結果に基づいて、車両電力を後付け車載装置11へ供給するか否かを判定することができる。この場合、S770で否定判定されることに応じて、S590に移行してもよい。
【0175】
(d)上記実施形態における1つの構成要素が有する機能を複数の構成要素として分散させたり、複数の構成要素が有する機能を1つの構成要素に統合させたりしてもよい。また、上記実施形態の構成の少なくとも一部を、同様の機能を有する公知の構成に置き換えてもよい。また、上記実施形態の構成の一部を省略してもよい。また、上記実施形態の構成の少なくとも一部を、他の上記実施形態の構成に対して付加又は置換してもよい。なお、特許請求の範囲に記載した文言のみによって特定される技術思想に含まれるあらゆる態様が本開示の実施形態である。
【符号の説明】
【0176】
1…車両、3…車両制御部、5…車載バッテリ、9…車両診断コネクタ、11…後付け車載装置、13…連結部、21…機器コネクタ、22…制御部、22a…中央演算処理装置(CPU)、22b…記憶部、23…通信部、25…通電切替スイッチ、27…ノイズ検出部、29…接続部、31…機器連結部、33…ディップスイッチ、35…通信経路、37…給電経路、39…点灯部、41…スイッチ配置領域、51…第1突出部、53…第2突出部、61…第1回路基板、63…第2回路基板、63a…アース配線、65…連結金属端子、67…端子保持部、69…アース経路、71…分岐アース経路。