(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022131717
(43)【公開日】2022-09-07
(54)【発明の名称】トリガー式液体噴出器
(51)【国際特許分類】
B05B 11/00 20060101AFI20220831BHJP
B65D 47/34 20060101ALI20220831BHJP
【FI】
B05B11/00 102E
B65D47/34 100
B65D47/34 200
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021030810
(22)【出願日】2021-02-26
(71)【出願人】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100140718
【弁理士】
【氏名又は名称】仁内 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【弁理士】
【氏名又は名称】大浪 一徳
(74)【代理人】
【識別番号】100188592
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 洋
(72)【発明者】
【氏名】阿部 孝之
(72)【発明者】
【氏名】紅谷 翔太
【テーマコード(参考)】
3E084
【Fターム(参考)】
3E084AA12
3E084AA24
3E084AB01
3E084BA02
3E084DA01
3E084DB12
3E084DC03
3E084FB01
3E084GA01
3E084GB01
3E084HA03
3E084HB02
3E084HD01
3E084HD04
3E084JA20
3E084KB01
3E084LB02
3E084LC01
3E084LD22
3E084LD26
(57)【要約】
【課題】第1印部、若しくは第2印部を視認により容易に判別する。
【解決手段】ノズル部材12は、噴出孔15と縦供給筒部13内とを連通する噴出位置と、噴出孔と縦供給筒部内との連通を遮断する遮断位置と、の間を、前後方向に延びるノズル軸線O2回りに回転可能に設けられ、カバー30に、ノズル部材の外周面を覆い、かつ拡大レンズ41を有するルーペ体42が連結され、ノズル部材の外周面において、拡大レンズで覆われる部分には、ノズル部材が噴出器本体11に対して噴出位置に位置していることを示す第1印部Xと、ノズル部材が噴出器本体に対して遮断位置に位置していることを示す第2印部と、のうちの少なくとも一方が設けられている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体が収容された容器体に装着される噴出器本体と、
前記噴出器本体の前端部に装着され、液体を前方に向けて噴出する噴出孔が形成されたノズル部材と、
前記噴出器本体を覆うカバーと、を備え、
前記噴出器本体は、
上下方向に延び、前記容器体内の液体を吸上げる縦供給筒部と、
前記縦供給筒部の前方に前方付勢状態で後方に移動可能に設けられたトリガー部を有し、前記トリガー部の後方への移動によって、液体を前記縦供給筒部内から前記噴出孔側に向けて流通させるトリガー機構と、を有し、
前記ノズル部材は、前記噴出孔と前記縦供給筒部内とを連通する噴出位置と、前記噴出孔と前記縦供給筒部内との連通を遮断する遮断位置と、の間を、前後方向に延びるノズル軸線回りに回転可能に設けられ、
前記カバーに、前記ノズル部材の外周面を覆い、かつ拡大レンズを有するルーペ体が連結され、
前記ノズル部材の外周面において、前記拡大レンズで覆われる部分には、
前記ノズル部材が前記噴出器本体に対して前記噴出位置に位置していることを示す第1印部と、
前記ノズル部材が前記噴出器本体に対して前記遮断位置に位置していることを示す第2印部と、のうちの少なくとも一方が設けられている、トリガー式液体噴出器。
【請求項2】
前記ノズル部材の外周面に、前記第1印部、および前記第2印部が、前記ノズル軸線回りに沿うノズル周方向の位置を異ならせて設けられ、
前記拡大レンズは、前記ノズル部材が前記噴出位置に位置するときに、前記第1印部を覆い、かつ前記ノズル部材が前記遮断位置に位置するときに、前記第2印部を覆う、請求項1に記載のトリガー式液体噴出器。
【請求項3】
前記ノズル部材の外周面は、前後方向から見て、辺部および角部がノズル周方向に交互に連ねられた角形状を呈し、
前記第1印部および前記第2印部は、互いに異なる前記辺部に各別に設けられ、
前記ルーペ体は、前記ノズル部材の外周面に対して進退可能に設けられている、請求項2に記載のトリガー式液体噴出器。
【請求項4】
前記ルーペ体は、前記ノズル部材に着脱可能に装着され、かつ前記ノズル部材の前記ノズル軸線回りの回転移動を規制する規制部を有している、請求項1から3のいずれか1項に記載のトリガー式液体噴出器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トリガー式液体噴出器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えば下記特許文献1に示されるように、容器体内の液体を吸上げる縦供給筒部を有する噴出器本体と、液体を前方に向けて噴出する噴出孔が形成されたノズル部材と、を備え、ノズル部材は、噴出孔と縦供給筒部内とを連通する噴出位置と、噴出孔と縦供給筒部内との連通を遮断する遮断位置と、の間を、前後方向に延びるノズル軸線回りに回転可能に設けられ、ノズル部材の外周面に、ノズル部材が噴出器本体に対して噴出位置に位置していることを示す第1印部と、ノズル部材が噴出器本体に対して遮断位置に位置していることを示す第2印部と、のうちの少なくとも一方が設けられたトリガー式液体噴出器が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記従来のトリガー式液体噴出器では、ノズル部材の外周面が狭く、第1印部、若しくは第2印部を小さくせざるを得ず、特に高齢者および弱視者等の場合、第1印部、若しくは第2印部を視認により判別することが困難な場合があった。
【0005】
本発明は、前述した事情に鑑みてなされたものであって、第1印部、若しくは第2印部を視認により容易に判別することができるトリガー式液体噴出器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、本発明は以下の手段を提案している。
本発明に係るトリガー式液体噴出器は、液体が収容された容器体に装着される噴出器本体と、前記噴出器本体の前端部に装着され、液体を前方に向けて噴出する噴出孔が形成されたノズル部材と、前記噴出器本体を覆うカバーと、を備え、前記噴出器本体は、上下方向に延び、前記容器体内の液体を吸上げる縦供給筒部と、前記縦供給筒部の前方に前方付勢状態で後方に移動可能に設けられたトリガー部を有し、前記トリガー部の後方への移動によって、液体を前記縦供給筒部内から前記噴出孔側に向けて流通させるトリガー機構と、を有し、前記ノズル部材は、前記噴出孔と前記縦供給筒部内とを連通する噴出位置と、前記噴出孔と前記縦供給筒部内との連通を遮断する遮断位置と、の間を、前後方向に延びるノズル軸線回りに回転可能に設けられ、前記カバーに、前記ノズル部材の外周面を覆い、かつ拡大レンズを有するルーペ体が連結され、前記ノズル部材の外周面において、前記拡大レンズで覆われる部分には、前記ノズル部材が前記噴出器本体に対して前記噴出位置に位置していることを示す第1印部と、前記ノズル部材が前記噴出器本体に対して前記遮断位置に位置していることを示す第2印部と、のうちの少なくとも一方が設けられている。
【0007】
本発明によれば、カバーに、拡大レンズを有するルーペ体が連結され、ノズル部材の外周面において、拡大レンズで覆われる部分に、第1印部および第2印部のうちの少なくとも一方が設けられているので、ノズル部材が噴出位置に位置するときに第1印部を拡大して視認させること、およびノズル部材が遮断位置に位置するときに第2印部を拡大して視認させることの少なくとも一方を実現することができる。これにより、第1印部、若しくは第2印部を視認により容易に判別することができる。
したがって、例えば高齢者および弱視者等であっても、小さい第1印部、若しくは第2印部を確実に判別させることができる。
【0008】
前記ノズル部材の外周面に、前記第1印部、および前記第2印部が、前記ノズル軸線回りに沿うノズル周方向の位置を異ならせて設けられ、前記拡大レンズは、前記ノズル部材が前記噴出位置に位置するときに、前記第1印部を覆い、かつ前記ノズル部材が前記遮断位置に位置するときに、前記第2印部を覆ってもよい。
【0009】
この場合、拡大レンズが、ノズル部材が噴出位置に位置するときに、第1印部を覆い、かつノズル部材が遮断位置に位置するときに、第2印部を覆うので、ノズル部材が噴出位置に位置するときには第1印部を、ノズル部材が遮断位置に位置するときには第2印部を、それぞれ拡大して視認させることが可能になり、第1印部および第2印部を容易に区別して視認することができる。
【0010】
前記ノズル部材の外周面は、前後方向から見て、辺部および角部がノズル周方向に交互に連ねられた角形状を呈し、前記第1印部および前記第2印部は、互いに異なる前記辺部に各別に設けられ、前記ルーペ体は、前記ノズル部材の外周面に対して進退可能に設けられてもよい。
【0011】
この場合、第1印部および第2印部が、互いに異なる前記辺部に各別に設けられ、ルーペ体が、ノズル部材の外周面に対して進退可能に設けられているので、ルーペ体がノズル部材の外周面のうちの1つの辺部を覆った状態で、ノズル部材をノズル周方向に回転移動させようとすると、ルーペ体におけるノズル周方向の端部が、ノズル部材の外周面において、辺部と角部との接続部分に引っ掛かることとなる。
したがって、ルーペ体がノズル部材の外周面のうちの1つの辺部を覆った状態では、ノズル部材をノズル周方向に回転移動させにくくすることが可能になり、ノズル部材の回転移動を抑制した状態で、拡大レンズを通して第1印部および第2印部の別を確認した後に、ルーペ体をノズル部材の外周面から後退移動させて、ノズル部材を回転移動させることが可能になることから、操作性の悪化を防ぎつつ、安全性を向上させることができる。
【0012】
前記ルーペ体は、前記ノズル部材に着脱可能に装着され、かつ前記ノズル部材の前記ノズル軸線回りの回転移動を規制する規制部を有してもよい。
【0013】
この場合、ルーペ体が、ノズル部材に着脱可能に装着され、かつノズル部材のノズル軸線回りの回転移動を規制する規制部を有しているので、遮断位置に位置するノズル部材を、例えば子供等が誤って噴出位置に移動させてしまうのを防ぐことが可能になり、安全性を向上させることができる。
規制部をノズル部材に装着して、ノズル部材の回転移動を規制した状態で、拡大レンズを用いて第1印部および第2印部の別を確認した後に、規制部をノズル部材から外して、ノズル部材を回転移動させることが可能になることから、操作性の悪化を防ぎつつ、安全性を向上させることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、第1印部、若しくは第2印部を視認により容易に判別することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】一実施形態として示したトリガー式液体噴出器の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、トリガー式液体噴出器の一実施形態について説明する。
図1に示されるように、トリガー式液体噴出器1は、液体が収容された容器体Aに装着される噴出器本体11と、噴出器本体11に装着されたノズル部材12と、噴出器本体11を覆うカバー30と、を備えている。
なお、トリガー式液体噴出器1の各構成部品は、特に記載がなければ合成樹脂を用いた成形品とされている。
【0017】
噴出器本体11は、縦供給筒部13と、トリガー機構Tと、を有している。
以下、縦供給筒部13の中心軸線O1に沿う方向を上下方向といい、上下方向に沿って容器体Aの不図示の底部側を下側、その反対側を上側という。上下方向から見て、縦供給筒部13に対してノズル部材12が位置している側を前側、その逆側を後側という。上下方向から見て、前後方向に直交する方向を左右方向という。
【0018】
縦供給筒部13は、口部A1内に挿入され、容器体A内の液体を吸上げる。
トリガー機構Tは、トリガー部14の後方への移動によって、液体を縦供給筒部13内から、後述する噴出孔15側に向けて流通させる。トリガー機構Tは、縦供給筒部13の前方に前方付勢状態で後方に移動可能に設けられた上下方向に延びるトリガー部14と、トリガー部14の移動に連係して前後動するピストン16と、ピストン16が挿入され、内部が縦供給筒部13内に連通するシリンダ17と、を備えている。
【0019】
縦供給筒部13の前方に、射出筒部20が設けられている。
射出筒部20は、縦供給筒部13内の液体を、後述する噴出孔15側に向けて流通させる。射出筒部20は、縦供給筒部13の上端部から前方に向けて延びている。射出筒部20の内部は縦供給筒部13の内部に連通している。
【0020】
縦供給筒部13内には、弁機構27が設けられている。
弁機構27は、トリガー部14の後方移動に伴うシリンダ17の内圧の上昇時に、シリンダ17内と容器体A内との連通を遮断しつつ、シリンダ17内と射出筒部20内とを連通し、トリガー部14の前方に向けた復元移動に伴うシリンダ17内の負圧時に、シリンダ17内と射出筒部20内との連通を遮断しつつ、シリンダ17内と容器体A内とを連通する。
【0021】
射出筒部20に対して前方から中継部材18が組み合わされている。
中継部材18は、射出筒部20の前端開口を前方から覆う隔壁19と、隔壁19から後方に向けて延び、射出筒部20に外嵌された外嵌筒部21と、隔壁19から前方に向けて延び、ノズル部材12が装着された第1装着筒部22と、隔壁19のうち、第1装着筒部22の内側に位置する部分から前方に向けて延びるガイド軸部23と、を備えている。
【0022】
隔壁19のうち、第1装着筒部22の内側に位置する部分に、射出筒部20内に連通する連通孔24が形成されている。
ガイド軸部23における前端部の外周面に、前後方向に延びるとともに前方に向けて開口する第1切換溝28が形成されている。ガイド軸部23、および第1装着筒部22は、前後方向に延びる共通軸と同軸に配設されている。
以下、この共通軸をノズル軸線O2といい、前後方向から見て、ノズル軸線O2に交差する方向をノズル径方向といい、ノズル軸線O2回りに周回する方向をノズル周方向という。
【0023】
縦供給筒部13に、正倒立用アダプタ50が装着されている。
正倒立用アダプタ50は、噴出器本体11が装着された容器体Aの正立時だけでなく、この容器体Aの倒立時にも、トリガー部14の前方に向けた復元移動に伴うシリンダ17内の負圧時に、容器体A内の液体が、縦供給筒部13内を通してシリンダ17内に供給可能となるように構成されている。
なお、正倒立用アダプタ50は設けなくてもよい。
【0024】
ノズル部材12は、噴出器本体11の前端部に装着され、液体を前方に向けて噴出する噴出孔15を有している。ノズル部材12は、中継部材18に対してノズル軸線O2回りに回転可能に装着されている。ノズル部材12は、第1装着筒部22に装着されている。
ノズル部材12は、第1装着筒部22に回転可能に外嵌された第2装着筒部25と、第2装着筒部25の内側に設けられ、ガイド軸部23に回転可能に外嵌された嵌合筒部26と、を備えている。第2装着筒部25および嵌合筒部26は、ノズル軸線O2と同軸に配設されている。
【0025】
嵌合筒部26の内周面に、前後方向に延びるとともに、後方に開口する第2切換溝29が形成されている。第2切換溝29は、第1装着筒部22内に連通している。第2切換溝29は、ガイド軸部23の第1切換溝28に対応して配置されている。第2切換溝29の前端部、および第1切換溝28の後端部それぞれの前後方向の位置は、互いに同じになっている。
【0026】
ノズル部材12のノズル軸線O2回りの回転移動に伴い、第1切換溝28および第2切換溝29それぞれの周方向の位置が互いに一致したときに、噴出孔15と縦供給筒部13内とが、第1装着筒部22内、連通孔24、および射出筒部20内を通して連通し、また、第2切換溝29が第1切換溝28から周方向に離れたときに、噴出孔15と縦供給筒部13内との連通が遮断される。
すなわち、ノズル部材12は、噴出孔15と縦供給筒部13内とを連通する噴出位置と、噴出孔15と縦供給筒部13内との連通を遮断する遮断位置と、の間を、ノズル軸線O2回りに回転可能に設けられている。
【0027】
ノズル部材12は、第2装着筒部25および嵌合筒部26それぞれの前端開口を一体に閉塞する閉塞壁12aと、第2装着筒部25をノズル径方向の外側から囲うノズル筒31と、を備えている。
閉塞壁12aに、前方に向けて開口した噴出孔15が形成されている。噴出孔15の後端開口は、嵌合筒部26内に開口している。
ノズル筒31の前部は、閉塞壁12aから前方に突出している。噴出孔15の前端開口は、ノズル筒31内に開口している。
【0028】
ノズル筒31の外周面(ノズル部材12の外周面)において、後述する拡大レンズ41で覆われる部分には、ノズル部材12が噴出器本体11に対して噴出位置に位置していることを示す第1印部X(
図3参照)と、ノズル部材12が噴出器本体11に対して遮断位置に位置していることを示す第2印部と、のうちの少なくとも一方が設けられている。
【0029】
図示の例では、第1印部X、および第2印部が、ノズル筒31の外周面に、ノズル周方向の位置を異ならせて設けられている。
ノズル部材12をノズル軸線O2回りに回転する過程において、第1印部Xが上方を向いたときに、ノズル部材12が噴出位置に位置していることを示し、第2印部が上方を向いたときに、ノズル部材12が遮断位置に位置していることを示している。なお、このように第1印部Xおよび第2印部が向く向きは、適宜変更してもよい。
【0030】
ノズル筒31の後端部の外周面に、ノズル径方向の外側に向けて膨出した膨出部31aが、ノズル周方向に間隔をあけて複数形成されている。第1印部Xおよび第2印部は、互いに異なる膨出部31aに各別に設けられている。
図2に示されるように、ノズル筒31の外周面が、前後方向から見て、辺部32および角部33がノズル周方向に交互に連ねられた角形状を呈し、第1印部Xおよび第2印部が、互いに異なる辺部32に各別に設けられている。複数の膨出部31aも、互いに異なる辺部32に各別に設けられている。
【0031】
カバー30は、トリガー機構Tの一部、およびトリガー部14の一部を覆っている。なお、カバー30が噴出器本体11を覆う部分は適宜変更可能であり、例えばピストン16、およびシリンダ17の全体を覆ってもよい。
カバー30は、左右一対の側壁35、および上壁36を備えている。側壁35、および上壁36は一体に形成されている。
【0032】
側壁35は、前後方向および上下方向に延びる板状に形成されており、左右方向に間隔をあけて配置されている。側壁35は、噴出器本体11を左右方向の両側から覆っている。側壁35の上下方向の寸法は、前方に向かうに従って小さくなっている。
上壁36は、前後方向および左右方向に延びる板状に形成されており、一対の側壁35の上端部同士を接続している。上壁36は、噴出器本体11を上方から覆っている。
【0033】
そして、本実施形態では、カバー30に、ノズル筒31の外周面を覆い、かつ拡大レンズ41を有するルーペ体42が連結されている。
拡大レンズ41は、ノズル部材12が噴出位置に位置するときに、第1印部Xを覆い、かつノズル部材12が遮断位置に位置するときに、第2印部を覆う。ルーペ体42のうちの少なくとも拡大レンズ41は、透明な合成樹脂材料で形成されている。拡大レンズ41は、覆った文字、図形、若しくは記号等を拡大して視認させる。拡大レンズ41は、膨出した半球面状に形成され、ルーペ体42の後端部に設けられている。
【0034】
ルーペ体42は、ノズル筒31の外周面に対して進退可能に設けられている。なお、ルーペ体42は、カバー30に固定されていてもよい。
図示の例では、ルーペ体42の後端部と、カバー30の上壁36の前端部と、がヒンジ部43を介して連結されている。ルーペ体42は、ヒンジ部43回りに上下方向に回転可能に設けられている。ルーペ体42は、カバー30と一体に形成されている。ルーペ体42は、ノズル筒31の外周面に対して上下方向に進退可能に設けられている。
【0035】
なお、ルーペ体42は、カバー30と別体であってもよい。ルーペ体42は、ノズル筒31の外周面に対して、前後方向、若しくは左右方向等に進退可能に設けられてもよい。
【0036】
ルーペ体42は、表裏面が上下方向を向く板状に形成されている。ルーペ体42は、上下方向から見て四角形状を呈する。この四角形状を画成する一対の辺は前後方向に延び、残り一対の辺は左右方向に延びている。ルーペ体42の裏面は、ノズル筒31の外周面に当接、若しくは近接する。
図3に示されるように、ルーペ体42、およびノズル筒31の外周面のうちの1つの辺部32それぞれの周方向の大きさは互いに同等になっている。ルーペ体42の裏面に、ノズル部材12の膨出部31aが着脱可能に嵌合される窪み部42aが形成されている。窪み部42a、および拡大レンズ41は、ルーペ体42の板厚方向で互いに対向している。
【0037】
ルーペ体42は規制部44を有している。規制部44は、ノズル部材12に着脱可能に装着され、ノズル部材12のノズル軸線O2回りの回転移動を規制する。
規制部44は、ルーペ体42の前端部に形成されている。規制部44は、ルーペ体42の前端部から下方に向けて突出し、ノズル筒31の前端開口縁のうちの上端部に離脱可能に係止されている。規制部44のうちの後方を向く後面に、係止突起が形成されており、係止突起が、ノズル筒31の前端開口縁に着脱可能にアンダーカット嵌合されている。
【0038】
次に、上述のように構成されたトリガー式液体噴出器1の作用について説明する。
なお、トリガー部14の複数回の操作によって、噴出器本体11の各部内に液体が充填されているものとする。
【0039】
まず、拡大レンズ41を通してノズル筒31の外周面を目視し、第1印部Xおよび第2印部の別を確認することで、ノズル部材12が噴出位置に位置しているのか、遮断位置に位置しているのかを確認する。
拡大レンズ41を通して第2印部を視認し、ノズル部材12が遮断位置に位置していることを確認した場合、ルーペ体42を、ヒンジ部43回りに上方に向けて回転してノズル筒31から後退移動させ、規制部44をノズル部材12から離脱させる。そして、ノズル部材12をノズル軸線O2回りに所定量回転させた後に、ルーペ体42を、ヒンジ部43回りに下方に向けて回転してノズル筒31の外周面に当接、若しくは近接させ、規制部44をノズル部材12の前端開口縁に係止する。この状態で、再度、拡大レンズ41を通してノズル筒31の外周面を目視する。
このときに、
図3に示されるように、第1印部Xが視認された場合、ノズル部材12が噴出位置に位置していることが確認される。この際、噴出孔15と縦供給筒部13内とが、第1切換溝28、第2切換溝29、第1装着筒部22内、連通孔24、および射出筒部20内を通して連通している。
【0040】
次に、トリガー部14を前方付勢力に抗して後方に引くと、トリガー部14の後方移動に伴ってピストン16が後退するので、シリンダ17内の液体が、縦供給筒部13内に導入される。縦供給筒部13内に導入された液体は、弁機構27を作動させつつ、容器体A内には供給されず、射出筒部20内に供給された後に、連通孔24、第1装着筒部22内、第2切換溝29、および第1切換溝28を通じて噴出孔15に到達し、噴出孔15から噴出される。
【0041】
液体の噴出後、トリガー部14を解放すると、トリガー部14が前方に復元移動するので、これに伴ってピストン16が前方移動する。そのため、シリンダ17内に負圧が生じ、この負圧によって、弁機構27が作動し、容器体A内の液体が、縦供給筒部13内に吸い上げられた後に、射出筒部20内には導入されず、シリンダ17内に導入される。
その後、前述と同様にして、ルーペ体42のヒンジ部43回りの回転、ノズル部材12のノズル軸線O2回りの回転、並びに、拡大レンズ41を通した第1印部Xおよび第2印部の別の視認を行うことで、遮断位置に位置させたノズル部材12の前端開口縁に規制部44を係止する。
【0042】
以上説明したように、本実施形態に係るトリガー式液体噴出器1によれば、カバー30に、拡大レンズ41を有するルーペ体42が連結され、ノズル部材12の外周面において、拡大レンズ41で覆われる部分に、第1印部Xおよび第2印部のうちの少なくとも一方が設けられているので、ノズル部材12が噴出位置に位置するときに第1印部Xを拡大して視認させること、およびノズル部材12が遮断位置に位置するときに第2印部を拡大して視認させることの少なくとも一方を実現することができる。これにより、第1印部X、若しくは第2印部を視認により容易に判別することができる。
したがって、例えば高齢者および弱視者等であっても、小さい第1印部X、若しくは第2印部を確実に判別させることができる。
【0043】
拡大レンズ41が、ノズル部材12が噴出位置に位置するときに、第1印部Xを覆い、かつノズル部材12が遮断位置に位置するときに、第2印部を覆うので、ノズル部材12が噴出位置に位置するときには第1印部Xを、ノズル部材12が遮断位置に位置するときには第2印部を、それぞれ拡大して視認させることが可能になり、第1印部Xおよび第2印部を容易に区別して視認することができる。
【0044】
第1印部Xおよび第2印部が、互いに異なる前記辺部32に各別に設けられ、ルーペ体42が、ノズル部材12の外周面に対して進退可能に設けられているので、ルーペ体42がノズル部材12の外周面のうちの1つの辺部32を覆った状態で、ノズル部材12をノズル周方向に回転移動させようとすると、ルーペ体42におけるノズル周方向の端部が、ノズル部材12の外周面において、辺部32と角部33との接続部分に引っ掛かることとなる。
【0045】
したがって、ルーペ体42がノズル部材12の外周面のうちの1つの辺部32を覆った状態では、ノズル部材12をノズル周方向に回転移動させにくくすることが可能になり、ノズル部材12の回転移動を抑制した状態で、拡大レンズ41を通して第1印部Xおよび第2印部の別を確認した後に、ルーペ体42をノズル部材12の外周面から後退移動させて、ノズル部材12を回転移動させることが可能になることから、操作性の悪化を防ぎつつ、安全性を向上させることができる。
【0046】
ルーペ体42が、ノズル部材12に着脱可能に装着され、かつノズル部材12のノズル軸線O2回りの回転移動を規制する規制部44を有しているので、遮断位置に位置するノズル部材12を、例えば子供等が誤って噴出位置に移動させてしまうのを防ぐことが可能になり、安全性を向上させることができる。
規制部44をノズル部材12に装着して、ノズル部材12の回転移動を規制した状態で、拡大レンズ41を用いて第1印部Xおよび第2印部の別を確認した後に、規制部44をノズル部材12から外して、ノズル部材12を回転移動させることが可能になることから、操作性の悪化を防ぎつつ、安全性を向上させることができる。
【0047】
なお、本発明の技術的範囲は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【0048】
例えば、ノズル筒31の外周面は、前後方向から見て円形状等を呈してもよい。
ルーペ体42は、カバー30の側壁35等に連結されてもよい。
ノズル部材12の外周面に、第1印部Xおよび第2印部のうちのいずれか一方のみを設けてもよい。
【0049】
その他、本発明の趣旨に逸脱しない範囲で、前記実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、前記した実施形態および変形例を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0050】
1 トリガー式液体噴出器
11 噴出器本体
12 ノズル部材
13 縦供給筒部
14 トリガー部
15 噴出孔
30 カバー
32 辺部
33 角部
41 拡大レンズ
42 ルーペ体
44 規制部
A 容器体
A1 口部
O2 ノズル軸線
T トリガー機構
X 第1印部