(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022131764
(43)【公開日】2022-09-07
(54)【発明の名称】把手付きポンプ容器
(51)【国際特許分類】
B65D 51/24 20060101AFI20220831BHJP
B65D 47/34 20060101ALI20220831BHJP
【FI】
B65D51/24 300
B65D47/34 200
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021030882
(22)【出願日】2021-02-26
(71)【出願人】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100186358
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 信人
(74)【代理人】
【識別番号】100191145
【弁理士】
【氏名又は名称】佐野 整博
(72)【発明者】
【氏名】水嶋 博
(72)【発明者】
【氏名】小賀坂 優太
【テーマコード(参考)】
3E084
【Fターム(参考)】
3E084AA12
3E084AB01
3E084AB09
3E084CA01
3E084DA01
3E084DB12
3E084FB01
3E084KB01
3E084LD22
(57)【要約】
【課題】 流通時に邪魔にならず、使用時に持ち上げるだけで持ち易い、折り畳み自在な把手を備える把手付きポンプ容器を提供すること。
【解決手段】 内容液を収容する容器本体Aと、容器本体Aに装着され、容器本体A内の内容液を吐出するポンプBと、ポンプBに装着され、外方に向けて延びる把手Cとを備える把手付きポンプ容器であって、ポンプBは、容器本体Aの口部1に装着される装着部B1と、装着部B1に支持されるポンプ本体B2を備え、把手Cは、ポンプBの装着部B1に固定される保持部C1と、保持部C1にヒンジ部C3を介して折り畳み自在に連設される把手部C2とを備えることを特徴とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内容液を収容する容器本体と、容器本体に装着され、容器本体内の内容液を吐出するポンプと、ポンプに装着され、外方に向けて延びる把手とを備える把手付きポンプ容器であって、
ポンプは、容器本体の口部に装着される装着部と、装着部に支持されるポンプ本体を備え、
把手は、ポンプの装着部に固定される保持部と、保持部にヒンジ部を介して折り畳み自在に連設される把手部とを備えることを特徴とする把手付きポンプ容器。
【請求項2】
保持部は、ポンプの装着部から径方向に延設される基壁と、基壁の両側から立設される一対の保持壁とを備え、
把手部は、基壁の先端からヒンジ部を介して一体に形成された底壁と、底壁の両側から立設され、保持壁と当接可能な側壁とを備えることを特徴とする請求項1に記載の把手付きポンプ容器。
【請求項3】
保持部は、基壁から立設されるストッパリブと、保持壁の内側に突設されるストッパ突起とを備え、
把手部は、底壁のヒンジ側から保持部に向けて延設される係止板を備え、
把手部の係止板は、把手の持ち上げ時に、保持部のストッパリブとストッパ突起との間で係止されることを特徴とする請求項2に記載の把手付きポンプ容器。
【請求項4】
把手部は、保持壁と対向する側の側壁内面から保持壁に向けて突設され、保持壁の内面に係合可能な係合凸部を備えることを特徴とする請求項2または3に記載の把手付きポンプ容器。
【請求項5】
保持部は、保持壁の内側に突設される規制突起を備え、
把手部は、底壁のヒンジ側から保持部に向けて延設される係止板を備え、
把手部の係止板は、把手の折り畳み時に、保持部に接近するのを阻止することを特徴とする請求項2~4のいずれかに記載の把手付きポンプ容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、把手付きポンプ容器に関し、特に把手を折り畳み自在とした把手付きポンプ容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
内容液を収容する容器本体と、容器本体に装着され、ポンプのヘッド部を押し下げることで、容器本体内の内容液をノズル部から吐出し、上へ引き戻る際に容器本体内の内容液を吸い上げるポンプ容器は、従来から周知である。
【0003】
このようなポンプ容器として、シリンダ部と、該シリンダ部内に摺動自在なピストン部と、前記シリンダ部内に装着されたバルブケース部と、該バルブケース部から液を外部に吐出するためのノズル部と、該シリンダ部の外に装着されたハウジング部と、ハウジング部に結合されピストン部を上下移動させるトリガー部と、該トリガー部と同じ側でハウジング部に形成された把手部と備え、該把手部とトリガー部とを把持して、トリガー部を把手部側に引き下げることにより、シリンダ部内に圧を加えノズル部を通して外部に内容液を吐出させるポンプ容器も、従来から知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1記載のポンプ容器は、把手部がトリガー部と同じ側でハウジング部に形成されているので、トリガー部に力を掛け易いという利点を有するが、陳列等の流通時にハウジング部から把手部が突出しているため、余分なスペースを確保する必要があり、把手部が邪魔になるという問題があった。
【0006】
本発明は、上記問題を解決することを課題とし、流通時に邪魔にならず、使用時に持ち上げるだけで持ち易い、折り畳み自在な把手を備える把手付きポンプ容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記の課題を解決するため、把手付きポンプ容器として、内容液を収容する容器本体と、容器本体に装着され、容器本体内の内容液を吐出するポンプと、ポンプに装着され、外方に向けて延びる把手とを備える把手付きポンプ容器であって、ポンプは、容器本体の口部に装着される装着部と、装着部に支持されるポンプ本体を備え、把手は、ポンプの装着部に固定される保持部と、保持部にヒンジ部を介して折り畳み自在に連設される把手部とを備えることを特徴とする構成を採用する。
【0008】
把手付きポンプ容器の実施形態として、保持部は、ポンプの装着部から径方向に延設される基壁と、基壁の両側から立設される一対の保持壁とを備え、把手部は、基壁の先端からヒンジ部を介して一体に形成された底壁と、底壁の両側から立設され、保持壁と当接可能な側壁とを備えることを特徴とする構成を採用する。
【0009】
把手付きポンプ容器の把手の具体的実施形態として、保持部は、基壁から立設されるストッパリブと、保持壁の内側に突設されるストッパ突起とを備え、把手部は、底壁のヒンジ側から保持部に向けて延設される係止板を備え、把手部の係止板は、把手の持ち上げ時に、保持部のストッパリブとストッパ突起との間で係止されることを特徴とする構成を採用し、また、把手部は、保持壁と対向する側の側壁内面から保持壁に向けて突設され、保持壁の内面に係合可能な係合凸部を備えることを特徴とする構成を採用し、保持部は、保持壁の内側に突設される規制突起を備え、把手部は、底壁のヒンジ側から保持部に向けて延設される係止板を備え、把手部の係止板は、把手の折り畳み時に、保持部に接近するのを阻止することを特徴とする構成を採用する。
【発明の効果】
【0010】
本発明の把手付きポンプ容器は、流通時に把手が折り畳まれているために邪魔にならず、使用時に把手を持ち上げるだけで持ち易くなり、ポンプの操作を楽に行うことができる。
また、本発明の把手付きポンプ容器は、保持部と把手部とがヒンジ部を介して連設された把手が一体に成形することができ、製造コストを抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の実施例である把手付きポンプ容器の把手を折り畳んだ状態を示す図であり、(a)は上面図、(b)は側面断面図である。
【
図2】本発明の実施例である把手付きポンプ容器の把手を折り畳んだ状態を示す背面図である。
【
図3】本発明の実施例である把手付きポンプ容器の把手を持ち上げた状態を示す図であり、(a)は上面図、(b)は側面断面図である。
【
図4】本発明の実施例である把手付きポンプ容器を示す図であり、(a)は
図1(a)の要部拡大図、(b)は
図1(b)の要部拡大図、(c)は
図3(a)の要部拡大図、(d)は
図3(b)の要部拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
次に、本発明の把手付きポンプ容器の実施形態について、図面を参照して説明する。
なお、以下の説明において、
図1(b)でみて、上方向を「上方」、下方向を「下方」、左方向を「正面」、右方向を「背面」とする。
【実施例0013】
図1~
図3において、Aは内容液を収容する容器本体、Bは容器本体Aに収容された内容液を吐出するポンプ、CはポンプBに装着された折り畳み式の把手である。
図1に示すように、容器本体Aは、上部に円筒状の口部1を備え、口部1の外周には、ポンプBを装着するために雄ねじ2が形成されている。
【0014】
ポンプBは、容器本体Aの口部1に装着される装着部B1と、装着部B1に支持されるポンプ本体B2とから構成されている。
装着部B1は、口部1の内側に装着された筒状の中栓5と、中栓5の上に載置される支持部6と、中栓5および支持部6を口部1に固定する装着キャップ7とを備えている。
装着キャップ7の内周面には、口部1の雄ねじ2に螺合される雌ねじ8が形成されており、装着キャップ7は、口部1の外周に螺着されている。
【0015】
図1に示すように、ポンプ本体B2は、支持部6の上方に設けられたシリンダ部10と、シリンダ部10の内周面に沿って軸方向に摺動可能なピストン部11と、ピストン部11を操作する操作部12と、シリンダ部10内の液室13に連通されたパイプ状の吸い込み部14と、吸い込み部14と液室13との間に設けられた吸い込み弁15と、シリンダ部10の側方に向かって突出するとともに、シリンダ部10に直結され、液室13に連通された筒状のノズル部16と、ノズル部16と液室13との間に配設された吐出弁17とを備えている。
【0016】
操作部12は、シリンダ部10の上端部に被着された中蓋20と、シリンダ部10に対して相対的に軸方向に沿って押し下げ可能な押下ヘッド21と、押下ヘッド21を上方に付勢するコイルスプリング22と、押下ヘッド21とピストン部11とを連結する連結部材23とを備えている。
【0017】
図1および
図2に示すように、把手Cは、ポンプBの装着部B1に固定される保持部C1と、保持部C1にヒンジ部C3を介して折り畳み自在に連設される把手部C2とを備えている。
保持部C1は、ポンプBの支持部6の周囲に固定される固定部材30と、固定部材30から径方向背面側に延設される平板状の基壁31と、基壁31の両側から立設される一対の保持壁32とを備え、把手部C2は、保持部C1の基壁31の先端からヒンジ部C3を介して一体に形成される底壁33と、底壁33の両側から長手方向に沿って立設される一対の側壁34とを備えている。
【0018】
さらに、保持部C1は、基壁31の上面から保持壁32と直交する方向に立設されるストッパリブ35と、保持壁32の内面には、把手部C2に対向する側に突設される一対の規制突起36と、ストッパリブ35に近接する側に突設された一対のストッパ突起37とを備え、把手部C2は、底壁33のヒンジ部C3側から保持部C1に向けて延設された係止板38と、保持壁32と対向する側の側壁34の内面から保持壁32に向けて突設される係合凸部39とを備えている。
【0019】
図1、
図4(a)および
図4(b)に示す折り畳み状態では、把手部C2の係止板38は、保持壁32の規制突起36と当接することにより、把手部C2が不用意に持ち上がらないようにしている。
また、
図3、
図4(c)および
図4(d)に示す持ち上げ状態では、把手部C2の係止板38は、基壁31のストッパリブ35と保持壁32のストッパ突起37との間に係止されると同時に、係合凸部39が保持壁32の内面と係合することにより、把手部C2を保持部C1に対してしっかりと固定するようにしている。
【0020】
ここで、本実施例の使用態様と作用効果について説明する。
まず、把手Cは、保持部C1と把手部C2をヒンジ部C3を介して折り曲げた状態で一体に成形することができる。
次に、成形された把手Cは、保持部C1の固定部材30をポンプBの支持部6の周囲に溶着等により固定して取り付けた後、ポンプBは、内容液が充填された容器本体Aの口部1に装着キャップ7を螺合して装着することにより、把手付きポンプ容器が完成する。
なお、本実施例では、把手Cは、保持部C1と把手部C2を一体に成形しているが、別体で成形しても構わない。
【0021】
流通時には、
図1に示すように、把手付きポンプ容器は、把手Cが邪魔にならないように、把手部C2がヒンジ部C3を介して折り畳まれ、折り畳み状態の把手部C2は、係止板38が規制突起36に当接することにより、不用意に持ち上がることがない。
なお、図示しないが、把手Cの折り畳み時に、保持部C1に背面側から固定用バーを差し込むことで把手部C2の動きを規制することもできる。
【0022】
次に、使用時には、
図3に示すように、把手付きポンプ容器は、把手Cがヒンジ部C3を介して持ち上げられ、把手部C2は、係止板38がストッパリブ35とストッパ突起37との間で係止されると同時に、係合凸部39が保持壁32の内面と係合することにより、把手部C2は、上下方向および横方向に動くことがなく、保持部C1にしっかり固定することができる。
【0023】
本実施例の把手付きポンプ容器を用いて内容液を吐出するには、ピストン部11が上昇位置で、シリンダ部10内の液室13に内容液が貯留された状態で、把手Cに指を掛けた状態で押下ヘッド21の上面を押圧し、コイルスプリング22の付勢力に抵抗しながら押下ヘッド21を押し下げる。
【0024】
すると、コイルスプリング22が軸方向に圧縮されるとともに、連結部材23を介して押下ヘッド21に連結されたピストン部11が、押下ヘッド21とともにシリンダ部10に対して下降してシリンダ部10の底部側に押し込まれ、液室13が減容される。
その結果、液室13の内圧が加圧され、その内圧によって吐出弁17が押圧されてノズル部16の先端側に向けて移動し、吐出弁17が開かれる。これにより、液室13内の内容液がノズル部16に向かって流通し、ノズル部16の先端開口から外部に吐出される。
【0025】
次に、押下ヘッド21の押し下げ操作を止めてピストン部11の下降を停止させると、吐出弁17が閉じられ、その結果、ノズル部16からの内容液の吐出が停止される。
次に、押下ヘッド21への押圧力を解除すると、コイルスプリング22の付勢力によって押下ヘッド21が押し上げられ、連結部材23を介して押下ヘッド21に連結されたピストン部11は、押下ヘッド21とともにシリンダ部10に対して上昇してシリンダ部10の上端側に引き戻され、液室13の容積が増大される。
【0026】
その結果、液室13の内圧が負圧となり、この内圧によって吐出弁17が引っ張られ、吐出弁17が閉じられるとともに、吸い込み弁15が開き、吸い込み部14から容器本体A内の内容液を液室13に吸い込むようになる。
【0027】
なお、本実施例では、把手付きポンプ容器として、ノズル部16から液体を泡立たせずに吐出するポンプBを示したが、これに代えて、ノズル部16から泡状の液体を吐出するいわゆるフォーマーポンプであっても構わないし、あるいは、いわゆるエアゾール式の容器であっても構わない。
また、把手付きポンプ容器として、本実施例の押下ヘッド21の代わりに、トリガー部(レバー)による押し下げ構造を採用しても構わない。
本発明の把手付きポンプ容器は、流通時に把手が折り畳まれているために邪魔にならず、使用時に把手を持ち上げるだけで持ち易くなり、ポンプの操作を楽に行うことができるから、ポンプ容器として広く使用することができ、特に、洗浄料や化粧料などのポンプ容器の把手に指を掛けて使用する必要がある把手付きポンプ容器として好適である。