(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022131792
(43)【公開日】2022-09-07
(54)【発明の名称】粉体混合分散システム
(51)【国際特許分類】
B01F 25/50 20220101AFI20220831BHJP
B01F 23/50 20220101ALI20220831BHJP
B01F 35/71 20220101ALI20220831BHJP
B01F 35/75 20220101ALI20220831BHJP
【FI】
B01F5/10
B01F3/12
B01F15/02 A
B01F15/02 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021030925
(22)【出願日】2021-02-26
(71)【出願人】
【識別番号】000253019
【氏名又は名称】澁谷工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】393028357
【氏名又は名称】シブヤマシナリー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100156199
【弁理士】
【氏名又は名称】神崎 真
(72)【発明者】
【氏名】北川 嘉宏
(72)【発明者】
【氏名】山本 仁士
【テーマコード(参考)】
4G035
4G037
【Fターム(参考)】
4G035AB46
4G035AC31
4G035AE13
4G037AA08
4G037AA11
4G037EA01
(57)【要約】
【課題】 効率良く混合流体中の粉体を分散させることができる。
【解決手段】 液体Lを収容する貯液タンク2と、液体Lに混合された粉体Pを剪断して分散させる剪断分散手段4とを備えた粉体混合分散システム1において、液体Lに粉体Pを混合させる固液混合手段3と、上記貯液タンク2と上記固液混合手段3との間で液体Lを循環させる第1循環経路C1と、上記貯液タンク2と剪断分散手段4との間で液体Lと粉体Pとの混合流体MLを循環させる第2循環経路C2と、上記第1循環経路C1と第2循環経路C2とを切り換える経路切換手段(第1切換弁V1、第2切換弁V2)とを備える。
上記第1循環経路C1によって液体Lを循環させながら粉体Pを混合させて混合流体MLとし、その後、上記経路切換手段によって上記第1循環経路C1から上記第2循環経路C2へと切り換え、上記第2循環経路C2によって混合流体MLを循環させながら粉体Pを分散させる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を収容する貯液タンクと、液体に混合された粉体を剪断により分散させる剪断分散手段とを備えた粉体混合分散システムにおいて、
液体に粉体を混合させる固液混合手段と、上記貯液タンクと上記固液混合手段との間で液体を循環させる第1循環経路と、上記貯液タンクと上記剪断分散手段との間で液体と粉体の混合流体を循環させる第2循環経路と、 上記第1循環経路と上記第2循環経路とを切り換える経路切換手段とを備え、
上記第1循環経路によって貯液タンクと固液混合手段との間で液体を循環させながら液体に粉体を混合させて混合流体として上記貯液タンクに収容し、その後、上記第経路換手段によって第1循環経路から第2循環経路へと切り換え、上記第2循環経路によって貯液タンクと剪断分散手段との間で上記貯液タンクに収容された混合流体を循環させながら混合流体中の粉体を分散させることを特徴とする粉体混合分散システム。
【請求項2】
上記貯液タンクから液体または上記混合流体を送り出す往路管と、上記貯液タンクに液体または上記混合流体を戻す復路管と、上記往路管に接続されて往路管から上記固液混合手段に液体を送る第1分岐管と、上記復路管に接続されて上記固液混合手段から復路管に液体を送る第1合流管と、上記往路管に接続されて往路管から上記剪断分散手段に上記混合流体を送る第2分岐管と、上記復路管に接続されて上記剪断分散手段から復路管に上記混合流体を送る第2合流管と、上記往路管に対して上記第1分岐管と第2分岐管のいずれかを連通させる第1切換手段と、上記復路管に対して上記第1合流管と第2合流管のいずれかを連通させる第2切換手段を備え、
上記往路管と復路管および上記第1分岐管と第1合流管とにより上記第1循環経路を構成し、上記往路管と復路管および上記第2分岐管と第2合流管とにより上記第2循環経路を構成するとともに、上記第1切換手段と第2切換手段により上記経路切換手段を構成することを特徴とする請求項1に記載の粉体混合分散システム。
【請求項3】
上記混合流体を上記固液混合手段および剪断分散手段のいずれも経由せずに、上記貯液タンクから出て貯液タンクに戻るよう循環させる第3循環経路と、上記第2循環経路と第3循環経路とを切り換えるバイパス切換手段とを備え、
上記第2循環経路によって貯液タンクと剪断分散手段との間で上記混合流体を循環させながら上記混合流体中の粉体を分散させた後、上記バイパス切換手段によって第2循環経路から第3循環経路に液体の流通経路をへと切り換え、上記第3循環経路によって粉体が分散された混合流体を循環させることを特徴とする請求項1または請求項2のいずれかに記載の粉体混合分散システム。
【請求項4】
上記往路管に上記貯液タンクから液体および上記混合流体を送り出す送液ポンプを設けるとともに、上記往路管の送液ポンプの下流側に気体供給手段の給気管を接続し、上記往路管に気体を供給できるようにしたことを特徴とする請求項2または請求項3のいずれかに記載の粉体混合分散システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は粉体混合分散システムに関し、より詳しくは、液体に混合された粉体を剪断により分散させる剪断分散手段を備えた粉体混合分散システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、液体に混合された粉体を分散させる粉体混合分散システムが知られ、液体を収容する貯液タンクと、液体に混合された粉体を剪断により分散させる剪断分散手段とを備えたものが知られている(特許文献1)。
この特許文献1のシステムは、上記貯液タンクと剪断分散手段との間で液体と粉体の混合流体を循環させる循環経路を備え、当該循環経路によって上記貯液タンクと上記剪断分散手段との間で上記混合流体を循環させながら混合流体中の粉体を分散させるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1のシステムでは、貯液タンクの液体に粉体を直接投入し、貯液タンク内で攪拌翼を回転させて液体に粉体を混合しているが、その場合粉体が液面に浮遊してしまい、攪拌しても十分に混合されない。
しかも、このような混合流体を循環経路で循環させながら上記剪断分散手段により分散させても、浮遊していた粉体は凝集しているため十分にほぐすことができず、いわゆるダマとなって混合流体中に粒残りが発生する。
このようなダマ(凝集塊)を完全に砕いて均一に分散させるには長時間循環させなければならず時間がかかることから、効率良く混合流体中の粉体を均一に分散させることが可能な粉体混合分散システムが求められている。
このような課題に鑑み、本発明は液体に粉体を十分に混合させて、効率良く混合流体中の粉体を均一に分散させることが可能な粉体混合分散システムを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
すなわち請求項1の発明にかかる粉体分散システムは、液体を収容する貯液タンクと、液体に混合された粉体を剪断により分散させる剪断分散手段とを備えた粉体混合分散システムにおいて、
液体に粉体を混合させる固液混合手段と、上記貯液タンクと上記固液混合手段との間で液体を循環させる第1循環経路と、上記貯液タンクと上記剪断分散手段との間で液体と粉体の混合流体を循環させる第2循環経路と、上記第1循環経路と上記第2循環経路とを切り換える経路切換手段とを備え、
上記第1循環経路によって貯液タンクと固液混合手段との間で液体を循環させながら液体に粉体を混合させて混合流体として上記貯液タンクに収容し、その後、上記経路切換手段によって第1循環経路から第2循環経路へと切り換え、上記第2循環経路によって貯液タンクと剪断分散手段との間で上記貯液タンクに収容された混合流体を循環させながら混合流体中の粉体を分散させることを特徴としている。
【発明の効果】
【0006】
このような構成によれば、最初に第1循環経路によって貯液タンクと固液混合手段との間で液体を循環させながら液体に粉体を混合させることにより、液体と粉体が十分に混合された混合流体を得ることができる。
その後、経路切換手段によって第1循環経路から第2循環経路へと切り換え、当該第2循環経路によって貯液タンクと剪断分散手段との間で上記混合流体を循環させながら混合流体中の粉体を分散させるが、循環させる混合流体中の粉体は予め十分に混合されているため、効率良く混合流体中の粉体を均一に分散させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図10】第2実施例にかかる粉体分散システムの動作を説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図示実施例について本発明を説明すると、
図1は液体に粉体を十分に混合させて混合流体とすることで、効率良く混合流体中の粉体を均一に分散させる粉体混合分散システム1の構成図を示している。
上記粉体としては、例えば小麦粉等の食品やカーボンナノチューブ、酸化アルミニウム等の無機材料が想定され、また複数種の粉体を混合させることも可能である。
一方、小麦粉等の食品を分散させる液体としては水が用いられ、カーボンナノチューブ、酸化アルミニウム等の無機材料を分散させる液体としては有機溶剤(NMP:N-メチルピロリドン等)からなる溶媒が用いられる。なお、本実施例は、MNPにカーボンナノチューブを混合して分散させることにより、液体に固体粒子が懸濁したスラリーを作製するシステムとなっている。
【0009】
上記粉体混合分散システム1は、液体Lを収容する貯液タンク2と、液体Lに粉体Pを混合させる固液混合手段3と、液体Lと粉体Pとの混合流体ML(
図3参照)中の粉体Pを剪断して分散させる剪断分散手段4とを備え、また粉体混合分散システム1は制御手段5によって制御されるようになっている。
そして本実施例の粉体混合分散システム1では、上記貯液タンク2と固液混合手段3との間に第1循環経路C1(
図2参照)を形成するとともに、上記貯液タンク2と剪断分散手段4との間に第2循環経路C2(
図3参照)を形成し、これら第1循環経路C1と第2循環経路C2とを後述する経路切換手段によって切り換えるようになっている。
このような構成とすることで、最初に上記第1循環経路C1により貯液タンク2と固液混合手段3との間で液体Lを循環させながら液体Lに粉体Pを混合させて混合流体MLとし、その後、上記経路切換手段によって第1循環経路C1から上記第2循環経路C2へと切り換えることで、上記第2循環経路C2により貯液タンク2と剪断分散手段4との間で混合流体MLを循環させながら混合流体ML中の粉体を均一に分散させるようになっている。
【0010】
上記貯液タンク2の内部には攪拌翼2aが設けられており、また上部には密閉蓋2bが装着され、貯液タンク2を密閉するようになっている。
上記貯液タンク2の底部には液体Lまたは混合流体MLを送り出すための往路管6が接続され、上部には液体Lまたは混合流体MLを貯液タンク2に戻すための復路管7が接続されている。そして上記往路管6には液体Lおよび混合流体MLを送液するためのロータリポンプからなる送液ポンプ8が設けられている。
また上記往路管6には、上記送液ポンプ8の下流側に流通する混合流体MLを冷却する冷却手段9が設けられ、さらに上記貯液タンク2には貯液タンク2の内部を負圧にする真空発生手段10が設けられている。
上記冷却手段9は、往路管6の流路中にスタティックミキサーを備えた熱交換器からなり、上記剪断分散手段4において摩擦により加熱された混合流体MLを冷却させる。
また、上記真空発生手段10は、貯液タンク2の内部を負圧にすることにより、混合流体ML中に発生する気泡を除去するものとなっている。
【0011】
上記往路管6の下流側は第1分岐管6Aと第2分岐管6Bとに分岐され、分岐点には往路管6を第1分岐管6Aまたは第2分岐管6Bのいずれかに連通させる第1切換弁V1が設けられている。
また、上記復路管7の上流側には第1合流管7Aと第2合流管7Bとが合流しており、合流点には復路管7を第1合流管7Aまたは第2合流管7Bのいずれかに連通させる第2切換弁V2が設けられている。
上記固液混合手段3の下部には上記第1分岐管6Aが接続され、上部には第1合流管7Aが接続されている。
上記固液混合手段3は従来公知の吸引式の固液混合装置であるため詳細な説明については省略するが、内部には図示しないロータが設けられ、当該ロータの高速回転によって負圧を発生させることで、当該負圧により液体Lと粉体Pとを吸引し、液体Lに粉体Pを混合させるものとなっている。
また、固液混合手段3の上方には粉体Pを保持するホッパ3aが設けられており、このホッパ3aの上方には粉体Pを供給する2台の第1、第2定量供給フィーダ11A、11Bが設けられている。
上記第1、第2定量供給フィーダ11A、11Bはそれぞれ所定量ずつ粉体Pをホッパ3aに落下させることが可能となっており、これらに異なる種類の粉体を収容し、それぞれ粉体の供給量を異ならせることで2種類の粉体を所要の割合で液体に混合させることができる。
なお、いずれか一方の定量供給フィーダだけを作動させて、1種類の粉体を供給してもよく、また3台以上の定量供給フィーダを設けてもよい。
上記ホッパ3aには上記第1、第2定量供給フィーダ11A、11Bより落下した粉体Pが収容され、また当該ホッパ3aの底部には筒状のシュート3bが設けられており、固液混合手段3の上部に接続されて粉体Pを供給するようになっている。
【0012】
図2に示すように、上記送液ポンプ8の作動により貯液タンク2から往路管6に送り出された液体Lが、第1分岐管6Aから固液混合手段3に流入すると、ロータの回転によって液体Lが高速に送液され当該固液混合手段3の内部に負圧が発生し、この負圧によってシュート3bから粉体Pが吸い込まれて、固液混合手段3を流通する液体Lに混合されるようになっている。
そして、固液混合手段3から排出された液体Lは、上記第1合流管7Aから上記復路管7を流通して貯液タンク2に戻るようになっており、このように上記往路管6、第1分岐管6Aおよび第1合流管7A、復路管7によって、上記貯液タンク2と固液混合手段3との間で液体Lを循環させる第1循環経路C2が形成されている。
【0013】
次に、上記剪断分散手段4の上部には上記第2分岐管6Bが接続され、下部には上記第2合流管7Bが接続されている。
上記剪断分散手段4は従来公知の剪断式の分散装置であるため詳細な説明については省略するが、内部には高速に回転するロータ4aとその周囲を取り囲むステータ4bが設けられており、このロータ4aとステータ4bの隙間で混合流体ML中の粉体Pの凝集塊(ダマ)を剪断し、混合流体ML中の粉体Pを均一に分散させるものとなっている。
図3に示すように、上記送液ポンプ8の作動により貯液タンク2から往路管6に送り出された液体Lと粉体Pの混合流体MLは、上記第2分岐管6Bから剪断分散手段4の上部に流入し、ロータ4aの回転により混合流体ML中で粉体Pが分散されるようになっている。
そして、剪断分散手段4から排出された混合流体MLは上記第2合流管7Bを流通した後、上記復路管7に流入して貯液タンク2に戻るようになっており、このように上記往路管6、第2分岐管6Bおよび第2合流管7B、復路管7によって、上記貯液タンク2と剪断分散手段4との間で混合流体MLを循環させる上記第2循環経路C2が形成されている。
【0014】
そして、上記第1循環経路C1と循環経路C2とを切り換える経路切換手段は、上記往路管6に設けた第1切換弁V1と、上記復路管7に設けた第2切換弁V2とによって構成されている。 これら第1切換弁V1、第2切換弁V2は従来公知の三方弁からなり、上記制御手段5によって開閉を制御されるようになっている。
まず、
図2に示す第1循環経路C1を形成する場合は、第1切換弁V1は往路管6を上記第1分岐管6Aに連通させ、また第2切換弁V2は復路管7を上記第1合流管7Aに連通させて、これにより上記貯液タンク2と固液混合手段3とが往路管6、第1分岐管6Aおよび第1合流管7A、復路管7によって連通する循環経路を形成するようになっている。
一方、
図3に示す第2循環経路C2を形成する場合は、第1切換弁V1は往路管6を上記第2分岐管6Bに連通させ、また第2切換弁V2は復路管7を上記第2合流管7Bに連通させて、これにより上記貯液タンク2と剪断分散手段4とが往路管6、第2分岐管6Bおよび第2合流管7B、復路管7によって連通する循環経路を形成するようになっている。
【0015】
次に、本実施例の粉体混合分散システム1では、上記剪断分散手段4によって混合流体ML中の粉体Pを分散させてスラリーS(
図4参照)が作製されると、当該スラリーSを図示しない後工程へと排出するようになっている。
また粉体混合分散システム1の使用後には、上記貯液タンク2や固液混合手段3、剪断分散手段4を洗浄するため、上記往路管6や復路管7および第1、第2分岐管6A、6Bや第1、第2合流管7A、7Bに洗浄液CL(
図6、
図7参照)を流通させるととともに、これを図示しない排液タンク等に排出するようになっている。
上記復路管7には、上記貯液タンク2に近接した位置に、当該復路管7より分岐して後工程に繋がる排出管14が接続されており、復路管7における当該排出管14の接続位置には制御手段5によって開閉を制御される第3切換弁V3が設けられている。
また上記排出管14には、洗浄液CLを排出するための排液管15が分岐して接続されており、排出管14と当該排液管15の接続位置には制御手段5によって開閉を制御される第4切換弁V4が設けられている。
【0016】
ここで、分散や洗浄が終了した後で上記貯液タンク2に収容されたスラリーSや洗浄液CLの全量を送液ポンプ8で送液して上記排出管14に排出するが、貯液タンク2が空になると、それ以降送液ポンプ8では送液することができなくなる。
その結果、上記固液混合手段3や剪断分散手段4、さらには往路管6や復路管7および第1、第2分岐管6A、6Bや第1、第2合流管7A、7B等の配管にスラリーSや洗浄液CLが残留してしまうこととなるため、本実施例では上記往路管6にエアを供給することにより、これら配管等に残留するスラリーSや洗浄液CLを排出するようになっている。
上記往路管6における上記送液ポンプ8と冷却手段9との間には、コンプレッサ等の気体供給装置からなる気体供給手段16の給気管16aが接続されており、往路管6と当該給気管16aの接続位置には制御手段5によって開閉を制御される第5切換弁V5が設けられている。
これにより、気体供給手段16から往路管6に気体を供給して送液ポンプ8の送液方向に送気し、上記配管等に残留するスラリーSや洗浄液CLを圧送して排出管14から排出するようになっている。
また上記排出管14には、上記第4切換弁V4の手前に、スラリーSや洗浄液CLの流通の有無を検出する液切れセンサ18が設けられており、スラリーSや洗浄液CLの流通が途切れたことを検出して制御手段5に送信するようになっている。
【0017】
さらに、上記第1分岐管6Aと上記第1合流管7Aはバイパス管21によって連結されており、第1分岐管6Aとバイパス管21との接続位置には第6切換弁V6を、第1合流管7Aとバイパス管21との接続位置には第7切換弁V7を設けている。
これら第6切換弁V6と第7切換弁V7とを介して第1分岐管6Aと第1合流管7Aとをバイパス管21で連通させることにより、往路管6、第1分岐管6A、バイパス管21、第1合流管7A、復路管7からなる第3循環経路C3(
図11参照)を形成するよう構成している。
なお、当該第3循環経路C3は後述する第2実施例において使用するため、以下に述べる第1実施例の動作の説明では、第6切換弁V6、第7切換弁V7によって第1分岐管6A、第1合流管7Aの流通を遮断することはない。
【0018】
以下、上記構成を有する粉体混合分散システム1の動作を説明する。
最初に、
図2は上記貯液タンク2と固液混合手段3との間で液体Lを循環させながら、当該液体Lに粉体Pを混合させて混合流体MLとする循環混合工程を示している。
このとき、上記貯液タンク2には予め所定量の液体Lが収容され、往路管6および復路管7は、上記経路切換手段としての第1、第2切換弁V1、V2によって第1分岐管6Aおよび第1合流管7Aを介して固液混合手段3と連通させており、これにより上記第1循環経路C1が形成されている。
この状態で上記往路管6に設けた送液ポンプ8を作動させると、貯液タンク2内の液体Lが往路管6から第1分岐管6Aを介して上記固液混合手段3に流入する。
また、固液混合手段3では上記第1、第2定量供給フィーダ11A、11Bから、それぞれ所定量の粉体Pを上記ホッパ3aに落下させてある。
固液混合手段3の内部にはロータの回転によって負圧が発生しており、シュート3bを介してホッパ3aから上記粉体Pが吸引されることにより、流通する液体Lに対して粉体が混合されて混合流体MLとなる。
そして、固液混合手段3より排出された混合流体MLは第1合流管7Aを介して復路管7を流通して貯液タンク2へと戻され、制御手段5は、設定に基づいて、上記ホッパ3aの粉体が全て吸引された後も、所定時間送液ポンプ8の動作を継続させ、第1循環経路C1に混合流体MLを所定回数循環させて、混合流体MLにおける粉体の混合を促進させる。これにより、液体Lに粉体Pの固体粒子が懸濁してスラリー化した混合流体MLが貯液タンク2に収容される。
このように、定量供給フィーダを用いて計量された後にホッパ3aに収容された所定量の粉体Pと、予め計量して貯液タンク2に収容された所定量の液体Lとを、固液混合手段3を用いて循環させながら混合することにより、液体と粉体とを規定量ずつ精度良く混合することができる。
【0019】
次に、
図3は上記貯液タンク2と剪断分散手段4との間で上記混合流体MLを循環させながら、上記混合流体ML中の粉体Pを均一に分散させる循環分散工程を示している。
制御手段5は、上記経路切換手段としての第1、第2切換弁V1、V2を制御し、上記往路管6と第1分岐管6Aとの連通を遮断して往路管6を上記第2分岐管6Bに連通させ、上記第1合流管7Aと復路管7との連通を遮断して上記第2合流管7Bを往路管7に連通させることで、貯液タンク2と剪断分散手段4とを連通させ、上記第2循環経路C2を形成する。
上記往路管6に設けた送液ポンプ8は作動を継続しており、上記循環混合工程で混合した貯液タンク2の混合流体MLが往路管6および上記第2分岐管6Bを介して上記剪断分散手段4に流入すると、ロータ4aとステータ4bの隙間で剪断されて粉体Pが分散される。
その後剪断分散手段4より排出された混合流体MLは第2合流管7Bから復路管7に流入して貯液タンク2へと戻され、制御手段5は、設定に基づいて、所定時間送液ポンプ8の作動を継続させて第2循環経路C2に混合流体MLを所定回数循環させることで、粉体が均一に分散されたスラリーSを得ることができる。
ここで、上記剪断分散手段4によって混合流体MLを剪断すると、摩擦熱により混合流体MLが加熱されてしまうため、第2循環経路C2に混合流体MLを循環させる間、上記往路管6に設けた冷却手段9によって常時冷却している。
また第2循環経路C2に混合流体MLを循環させる間、上記貯液タンク2に設けた真空発生手段10を作動させて、混合流体ML中に発生する気泡を除去するようになっている。
【0020】
次に、
図4は得られたスラリーSを粉体混合分散システム1の後工程へと排出する払い出し工程を示している。
制御手段5は、上記貯液タンク2と剪断分散手段4とを連通させた第2循環経路C2を形成した状態から、上記復路管7に設けた第3切換弁V3を作動させて、復路管7と貯液タンク2の連通を遮断して復路管7を排出管14に連通させる。
これにより、貯液タンク2内のスラリーSは往路管6および上記第2分岐管6Bを介して上記剪断分散手段4に流入する上記第2循環経路C2と同じ経路を流通し、その後スラリーSは上記第2合流管7Bから復路管7に流入し、さらに排出管14を流通して後工程の装置へと排出される。
ここで、本実施例の払い出し工程においては、固液混合手段3からは払い出しを行わないようになっている。
これは、固液混合手段3には、上記ホッパ3aから吸引された粉体Pが十分に混合されずに残留している恐れがあり、このような粉体Pが分散が完了したスラリーSに混入することを防ぐため、本実施例では固液混合手段3内の残留物は、回収せず後工程には送らないものとなっている。
【0021】
図5は、配管等に残留したスラリーSを払い出す残留液払い出し工程を示している。
制御手段5は、送液ポンプ8を停止させた後、
図4に示す払い出し工程の状態から、第5切換弁V5を作動させて、送液ポンプ8に繋がる流路を遮断して往路管6に給気管16aを連通させ、当該給気管16aを介して上記気体供給手段16から往路管6に気体を供給する。
往路管6に供給された気体は、残留しているスラリーSを押しながら冷却手段9を通過して第1切換弁V1から上記第2分岐管6Bに流入し、第2分岐管6B、剪断分散手段4、第2合流管7Bに残留しているスラリーSを押して第2切換弁V2から復路管7に流入する。そして気体により押されたスラリーSは、第3切換弁V3から排出管14に押し出されて次工程に送液される。
配管等に残留するスラリーSが全て排出管14に押し出され、気体が排出管14を流通するようになると、上記液切れセンサ18がスラリーSが途切れたことを検出し、制御手段5によって第5切換弁V5を切り換えて上記気体供給手段16による往路管6への気体の供給を停止させる。
なお、気体供給手段16が供給する気体としては空気の他、スラリーSが酸化を嫌う場合には窒素を用いることができる。
【0022】
図6~
図9は、スラリーSの払い出しを行う残留液払い出し工程が終了した後に、粉体混合分散システム1を構成する配管等の洗浄および乾燥を行う洗浄乾燥工程を示している。
図6は上記固液混合手段3を洗浄する動作を示し、換言すると、第1循環経路C1に洗浄液CLを流通させて、これを洗浄するものとなっている。
洗浄乾燥工程を行う前に、予め上記貯液タンク2には洗浄液CLを供給しておく。洗浄液CLとしては、水に小麦粉等の食品を分散させた場合には洗浄液CLとして水を用い、有機溶剤等の溶媒に無機材料を分散させた場合には洗浄液CLとして所要の溶媒を用いることができ、本実施例ではNMPを使用する。
制御手段5は、
図2に示す循環混合工程のように経路切換手段としての第1切換弁V1と第2切換弁V2を切り換えて、貯液タンク2を往路管6および第1分岐管6Aを介して固液混合手段3に連通させるとともに、固液混合手段3を第1合流管7Aを介して復路管7に連通させる。
しかしながら、制御手段5は第3切換弁V3により復路管7を貯液タンク2には連通させず排出管14への連通を維持し、さらに排出管14に設けた第4切換弁V4により排出管14から次工程への流通を遮断して排出管14を排液管15に連通させる。
この状態で上記送液ポンプ8を作動させることにより、貯液タンク2の洗浄液CLが往路管6を流通して冷却手段9を通過し、第1分岐管6Aを介して上記固液混合手段3に流入する。
その後洗浄液CLは固液混合手段3から第1合流管7Aを介して復路管7を流入し、第3切換弁V3から排出管14に流入した後、上記第4切換弁V4から排液管15を流通して図示しない廃液タンクに排出される。
なお、上記のように固液混合手段3やこれに繋がる配管を洗い流す前後で、第3切換弁V3により復路管7を貯液タンク2に連通させて第1循環経路C1を形成し、貯液タンク2から洗浄液CLを循環させることで、第3切換弁V3と貯液タンク2の間の復路管7や貯液タンク2を含めて洗浄するようにしてもよい。
【0023】
図7は続いて上記剪断分散手段4を洗浄する動作を示し、換言すると、第2循環経路C2に洗浄液CLを流通させて、これを洗浄するものとなっている。
制御手段5は、
図6の状態から、
図3に示す循環分散工程のように経路切換手段としての第1切換弁V1と第2切換弁V2を切り換えて、往路管6を第2分岐管6Bに連通させて貯液タンク2と剪断分散手段4とを連通させるとともに、第2合流管7Bを復路管7に連通させ、さらに第3切換弁V3により復路管7を排出管14に連通させる。
これにより、貯液タンク2内の洗浄液CLは往路管6および上記第2分岐管6Bを介して上記剪断分散手段4に流入し、さらに洗浄液CLは上記第2合流管7Bを介して復路管7を流通した後、排出管14からさらに排液管15を流通して廃液タンクに排出される。
【0024】
図8は、往路管6、第1分岐管6A、第1合流管7A、復路管7および上記固液混合手段3について、洗浄後に残留する洗浄液CLを排出させて乾燥させる動作を示している。
上記貯液タンク2の洗浄液CLが空となって洗浄動作が終了すると、制御手段5は送液ポンプ8を停止させるとともに、上記
図6に示す洗浄動作時と同様に経路切換手段としての第1、第2切換弁V1、V2を切り換え、往路管6を第1分岐管6Aに連通させるとともに復路管7を第1合流管7Aに連通させる。
また第3切換弁V3は復路管7と排出管14の連通を維持し、上記往路管6に設けた第5切換弁V5については、送液ポンプ8との連通を遮断して往路管6に給気管16aを連通させ、上記気体供給手段16によって往路管6に気体を供給する。
これにより、上記気体供給手段16から供給される気体は、残留している洗浄液CLを押しながら往路管6および第1分岐管6Aを介して上記固液混合手段3に流入し、さらに、第1合流管7Aおよび復路管7を通過して排出管14に洗浄液CLを排出押し出して上記排液管15から排出させるようになっている。
そして液切れセンサ18により洗浄液CLの流通が途切れたことを検出すると、その後所定時間、気体供給手段16による気体供給を継続することにより、固液混合手段3や第1分岐管6A、第1合流管7Aを乾燥させる。
なお、上記の残留液排出、乾燥動作の前後で、上記第3切換弁V3については排出管14を貯液タンク2に連通させるよう切り換え、上記第5切換弁V5については給気管16aを送液ポンプ8および貯液タンク2に連通させるよう切り換えて、気体供給手段16から送液ポンプ8および貯液タンク2を経由して排出管14に気体を流通させて上記排液管15から排出させることで、第5切換弁V5と貯液タンク2の間の往路管6、第3切換弁V3と貯液タンク2の間の復路管7および貯液タンク2の内部や送液ポンプ8についても乾燥させることができる。
【0025】
そして
図9は第2分岐管6B、第2合流管7Bおよび上記剪断分散手段4について、洗浄液CLを排出させて乾燥させる動作を示している。
制御手段5は、
図8に示す状態から引き続き、上記経路切換手段としての第1、第2切換弁V1、V2を切り換え、往路管6を第2分岐管6Bに連通させて気体供給手段16と剪断分散手段4とを連通させるとともに、第2合流管7Bを復路管7に連通させて剪断分散手段4を排出管14に連通させる。
これにより、上記気体供給手段16から供給される気体は、往路管6および上記第2分岐管6Bを介して上記剪断分散手段4に流入して残留している洗浄液CLを排出させる。
さらに上記気体は、第2合流管7Bを介して復路管7に流入して上記排出管14に洗浄液CLを押し出して排液管15から排出させる。
その後、液切れセンサ18により洗浄液CLの流通が途切れたことを検出すると、さらに所定時間、気体供給手段16による気体供給を継続することにより、往路管6、復路管7および剪断分散手段4や第2分岐管6B、第2合流管7Bを乾燥させる。
【0026】
このように、本実施例の粉体分散システム1によれば、最初に第1循環経路C1を用いて液体Lを循環させながら、上記固液混合手段3により粉体Pを液体Lに混合させて混合流体MLとするため、粉体Pを十分に液体Lに混合させて混合流体MLとすることができ、粉体の凝集塊の発生を可及的に抑制することができる。
その後、粉体Pが混合された混合流体MLを上記第2循環経路C2で循環させながら、上記剪断分散手段4により混合流体ML中に粉体Pを均一に分散させるが、このとき第1循環経路C1に混合流体MLを循環させることで混合流体ML中に粉体Pが十分に混合されていることから、第2循環経路C2に混合流体MLを所定回数循環させながら剪断分散手段4で分散することにより、効率良く粉体Pを均一に分散させたスラリーSを得ることができる。
また、第1循環経路C1と第2循環経路C2とは、貯液タンク2に接続する往路管6と復路管7とを共用しており、経路切換手段によって、貯液タンク2に対する固液混合手段3または剪断分散手段4との連通を切り換えて循環経路を形成するよう構成している。
その結果、固液混合手段3と剪断分散手段4とが個々に貯液タンク2と連通するよう循環経路を形成する場合に比較して、配管の使用量が削減されシステムをコンパクトに構成することが可能であり、配管におけるスラリーSの残留量が少なく、払い出し時間が短縮されるとともに、洗浄液CLの使用量を削減できる。
【0027】
図10~
図15は、上記第3循環経路C3を使用する第2実施例にかかる粉体混合分散システム1を説明する図となっている。なお、第2実施例において上記第1実施例と共通する構成および動作についての詳細な説明は省略するものとする。
本実施例の粉体混合分散システム1は、上述したように上記第1分岐管6Aと第1合流管7Aとの間にバイパス管21を設けたものとなっている。
また上記第1分岐管6Aおよび第1合流管7Aにおける上記バイパス管21との接続位置には、それぞれバイパス切換手段としての第6、第7切換弁V6、V7が設けられ、それぞれ制御手段5によって開閉を制御されるようになっている。
これにより、上記往路管6と第1分岐管6Aの一部とバイパス管21および第1合流管7Aの一部と復路管7とによって、上記貯液タンク2から出て貯液タンク2に戻る第3循環経路C3が形成されるようになっている。
そして、貯液タンク2に収容された混合流体MLは上記送液ポンプ8によって送液されることで、上記バイパス管21を流通した後、貯液タンク2に循環するようになっている。
なお、
図1~
図9にかかる第1実施例の粉体混合分散システム1においても、上記バイパス管21および第6、第7切換弁V6、V7を備えているが、当該第1実施例においてはこれらを省略することが可能となっている。
【0028】
以下、第2実施例にかかる粉体混合分散システム1の動作について説明する。なお、上記第1実施例においては、循環分散工程で混合流体ML中の粉体Pを均一に分散させたところで、スラリーSとして後工程に送っているが、第2実施例においては、循環分散工程の後で安定化工程を実施することで、粉体Pが均一に分散された混合流体MLを安定化させた後、スラリーSとして後工程に送るものとしている。
まず
図10は、第1実施例における
図3に示した循環分散工程が完了した後の動作を示し、第2循環経路C2、特に第2分岐管6B、剪断分散手段4、第2合流管7Bに残留する混合流体MLを、貯液タンク2に回収する工程を示している。
つまり、第2実施例においても、第1実施例で説明した
図2に示す第1循環経路C1を用いた循環混合工程と、
図3に示す第2循環経路C2を用いた循環分散工程とを行い、液体Lに粉体Pを分散させた混合流体MLが作製された状態となっている。
上記循環分散工程では第2循環経路C2に混合流体MLを循環させて上記剪断分散手段4によって粉体Pを分散させており、これにより第2循環経路C2を構成する第2分岐管6B、剪断分散手段4、第2合流管7Bには、粉体Pが均一に分散された混合流体MLが残留している。
そこで制御手段5は、
図3に示す第2循環経路C2が形成されている状態から、往路管6に設けた第5切換弁V5を作動させて、往路管6に気体供給手段16を連通させる。
この状態で上記気体供給手段16から気体を供給すると、当該気体は往路管6から第2分岐管6Bに流入して剪断分散手段4に流入し、さらに第2合流管7Bを流通して往路管7から貯液タンク2に流入する。
これにより、往路管6や復路管7および上記第2分岐管6Bから循環分散手段4を介して第2合流管7Bにわたって残留していた混合流体MLを押し出すことができ、これを上記貯液タンク2に回収させる。
【0029】
図11は、剪断分散手段4により分散処理された混合流体MLを安定化させる安定化工程を示している。
上述したように、上記第2循環経路C2で混合流体MLを循環させながら、上記剪断分散手段4によって剪断すると、摩擦によって混合流体MLが加熱されてしまい、また混合流体ML中に気泡が発生する。
そこで第2実施例では、上記第3循環経路C3に混合流体MLを循環させることにより、混合流体MLの冷却および気泡の除去を行い、また混合流体MLの安定化を図ってスラリーSとして後工程に送るものとなっている。
すなわち、
図10の状態から、制御手段5は、経路切換手段としての第1、第2切換弁V1、V2により、往路管6と第2分岐管6Bとの連通を解除して第1分岐管6Aと連通させるとともに、復路管7と第2合流管7Bとの連通を解除して第1合流管7Aと連通させ、さらに第5切換弁V5を作動させて往路管6と気体供給手段16との接続を解除する。
さらに、制御手段5は上記バイパス切換手段としての第6、第7切換弁V6、V7を作動させて、第1分岐管6Aと第1合流管7Aとをバイパス管21により連通させる。これにより、混合流体MLが貯液タンク2を出て固液混合手段3や剪断分散手段4のいずれにも経由せずに、貯液タンク2に戻る循環経路が形成される。なお、本第2実施例における配管の構成では、上記第1、第2切換弁V1、V2を含めてバイパス切換手段を構成している。
この状態で上記送液ポンプ8を作動させると、貯液タンク2から往路管6に流出された混合流体MLは、第1分岐管6A、バイパス管21、第1合流管7Aを流通して復路管7に流入して、上記固液混合手段3、剪断分散手段4を経由せずに貯液タンク2に流入する第3循環経路を循環し、その間、混合流体MLは冷却手段9によって冷却され、また、貯液タンク2内では真空発生手段10によって混合流体ML中の気泡が除去される。
そして制御手段5はこの状態を所定時間維持し、これにより混合流体MLは冷却ならびに脱泡、脱気が行われて、状態が安定したスラリーSが得られるようになっている。
【0030】
次に、
図12は混合流体MLが安定化されて得られるスラリーSを粉体混合分散システム1の後工程へと排出する払い出し工程を示している。
制御手段5は、第3循環経路C3に混合流体MLを循環させている
図11の状態から、復路管7に設けた第3切換弁V3を作動させて、復路管7を排出管14に連通させる。
これにより、貯液タンク2内のスラリーSは送液ポンプ8の作動により往路管6を流通し、第1分岐管6Aからバイパス管21を介して上記第1合流管7Aに流入し、その後復路管7を流通して排出管14より後工程へと排出される。
【0031】
図13は、
図12に示す払い出し工程の後に、送液ポンプ8よりも下流側の配管に残留するスラリーSを払い出す残留液払い出し工程を示している。
制御手段5は
図12の状態から、上記第5切換弁V5を作動させて、往路管6に気体供給手段16を接続させ、上記気体供給手段16から気体を往路管6に供給する。
これにより、上記往路管6に残留しているスラリーSが気体によって押され、第1分岐管6Aから上記バイパス管21および第1合流管7Aを流通した後、復路管7を流通して排出管14に排出される。
また、配管等に残留するスラリーSが全て払い出されて、排出管14に気体が流入すると、上記液切れセンサ18が液切れを検出し、制御手段5が第5切換弁V5を切り換えて気体供給手段16による気体の供給を停止させる。
【0032】
図14、
図15は、上記第3循環経路C3の洗浄および洗浄液CLの排出と乾燥をする動作を示し、第1実施例における
図6~
図9で説明した洗浄乾燥工程に追加して行われるものとなっている。
まず、
図14は上記第3循環経路C3を洗浄する状態を示し、上記第1実施例における
図7に示す第2循環経路C2の洗浄の後に行うものとなっている。
図7に示す第2循環経路C2の洗浄が終了すると、制御手段5は上記経路切換手段としての第1、第2切換弁V1、V2により往路管6と第2分岐管6Bとの連通を解除して第1分岐管6Aと連通させるとともに、復路管7と第2合流管7Bとの連通を解除して第1合流管7Aと連通させる。また上記バイパス切換手段としての第6、第7切換弁V6、V7により第1分岐管6Aと第1合流管7Aをバイパス管21を介して連通させる。
この状態で送液ポンプ8を作動させることで、貯液タンク2から流出された洗浄液CLは、往路管6、第1分岐管6Aを流通した後に上記バイパス管21から第1合流管7Aに流入し、その後上記復路管7から排出管14へと流入して、上記排液管15より図示しない廃液タンクに排出されてバイパス管21を洗浄することができる。
【0033】
次に、
図15は上記第3循環経路C3の洗浄液CLを排出し乾燥させる動作を示しており、上記第1実施例における
図9に示す工程の後に行うものとなっている。
図9に示す工程が終了すると、制御手段5は上記経路切換手段としての第1、第2切換弁V1、V2を作動させて往路管6と第2分岐管6Bとの連通を解除して第1分岐管6Aと連通させるとともに、復路管7と第2合流管7Bとの連通を解除して第1合流管7Aと連通させる。また上記バイパス切換手段としての第6、第7切換弁V6、V7を作動させて第1分岐管6Aと第1合流管7Aをバイパス管21により連通させる。
この状態で第5切換弁V5を介して給気供給手段16から気体を供給する。給気管16aから供給される気体が往路管6、第1分岐管6Aを流通して上記バイパス管21から第1合流管7A、復路管7に流入し、その後上記復路管7から排出管14へと流入して、上記排液管15より図示しない廃液タンクに排出されてバイパス管21を乾燥することができる。
【0034】
以上のように、第2実施例によれば、液体Lを第1循環経路C1で循環させながら粉体Pを混合して混合流体MLとし、当該混合流体MLを第2循環経路C2で循環させながら粉体Pを分散させた後、第3循環経路C3に混合流体MLを循環させることで安定化したスラリーSを得ることが可能となっている。
なお、上記の説明では、第1分岐管6Aと第1合流管7Aをバイパス管21で連通させて第3循環経路C3を構成し、第1分岐管6Aに第6切換弁V6を第1合流管7Aに第7切換弁V7を設けてバイパス切換手段を構成しているが、第2分岐管6Bと第2合流管7Bをバイパス管21で連通させて第3循環経路C3を構成し、第2分岐管6Bに第6切換弁V6を第2合流管7Bに第7切換弁V7を設けてバイパス切換手段を構成することも可能であり、さらには、往路管6と復路管7をバイパス管21で連通させて第3循環経路C3を構成し、往路管6に第6切換弁V6を復路管7に第7切換弁V7を設けてバイパス切換手段を構成することも可能である。
バイパス管21の設け方としてはその他のパターンが考えられるが、要は固液混合手段3および剪断分散手段4のいずれも経由させずに、混合流体MLを貯液タンク2から出て貯液タンク2に戻すように循環させることができればよい。
また、第3循環経路C3は、第1循環経路C1および第2循環経路C2と、貯液タンク2に接続する往路管6と復路管7とを共用しており、第3循環経路C3を単独で設ける場合に比較して、配管の使用量が削減されシステムをコンパクトに構成することが可能であり、スラリーSの残留量が少なく払い出し時間が短時間で済み洗浄液CLの使用量を削減できる。
【符号の説明】
【0035】
1 粉体混合分散システム 2 貯液タンク
3 固液混合手段 4 剪断分散手段
5 制御手段 6 往路管
6A 第1分岐管 6B 第2分岐管
7 復路管 7A 第1合流管
7B 第2合流管 8 送液ポンプ
9 冷却手段 14 排出管
15 排液菅 16 気体供給手段
16a 給気管 21 バイパス管
C1 第1循環経路 C2 第2循環経路
C3 第3循環経路
V1 第1切換弁(経路切換手段) V2 第2切換弁(経路切換手段)
V3 第3切換弁 V5 第5切換弁
V6 第6切換弁(バイパス切換手段)
V7 第7切換弁(バイパス切換手段)
P 粉体 L 液体
ML 混合流体 CL 洗浄液
S スラリー