(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022131824
(43)【公開日】2022-09-07
(54)【発明の名称】鮮度表示容器
(51)【国際特許分類】
B65D 23/00 20060101AFI20220831BHJP
G09F 3/00 20060101ALI20220831BHJP
【FI】
B65D23/00 H
G09F3/00 Q
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021030971
(22)【出願日】2021-02-26
(71)【出願人】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100154003
【弁理士】
【氏名又は名称】片岡 憲一郎
(72)【発明者】
【氏名】山科 裕太郎
【テーマコード(参考)】
3E062
【Fターム(参考)】
3E062AA09
3E062AB01
3E062AC02
3E062BA07
3E062BB02
3E062BB06
3E062BB10
3E062DA02
(57)【要約】
【課題】容器に収納された内容物の鮮度を容易に確認することが可能な鮮度表示容器を提供する。
【解決手段】容器本体10と、容器本体10に取り付けられた鮮度表示部20と、を有する鮮度表示容器1であって、鮮度表示部20が、容器本体10に設けられた収納凹部15に固定された袋体21と、分解酵素を含有するとともに表面に凹凸23aを備えた基台23及び基台23の表面に積層されて凹凸23aを覆うとともに分解酵素により分解される被覆部24を有し、袋体21に収納された鮮度表示体22と、を有することを特徴とする鮮度表示容器1。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器本体と、前記容器本体に取り付けられた鮮度表示部と、を有する鮮度表示容器であって、
前記鮮度表示部が、
前記容器本体に設けられた収納凹部に固定された袋体と、
分解酵素を含有するとともに表面に凹凸を備えた基台及び前記基台の表面に積層されて前記凹凸を覆うとともに前記分解酵素により分解される被覆部を有し、前記袋体に収納された鮮度表示体と、を有することを特徴とする鮮度表示容器。
【請求項2】
前記袋体が、
前記鮮度表示体が配置される袋本体部と、
前記袋本体部の下方に連なるとともに前記袋本体部よりも幅が狭く形成され、前記分解酵素により分解された前記被覆部が流入する貯留部と、を有し、
前記収納凹部が、
前記袋本体部が配置される凹部本体部と、
前記凹部本体部の下方に連なるとともに前記凹部本体部よりも幅が狭く形成され、前記貯留部が配置される幅狭部と、を有する、請求項1に記載の鮮度表示容器。
【請求項3】
前記基台及び前記被覆部の何れか一方が、他方と異なる色に着色されている、請求項1または2に記載の鮮度表示容器。
【請求項4】
前記基台が多糖類のハイドロゲルであり、
前記被覆部がタンパク質であり、
前記分解酵素がタンパク質分解酵素である、請求項1~3の何れか1項に記載の鮮度表示容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器本体に内容物の鮮度を表示する鮮度表示部が取り付けられた鮮度表示容器に関する。
【背景技術】
【0002】
生鮮品や加工品などの食品の流通においては、当該食品の鮮度維持のために、食品を冷蔵ないし冷凍の状態を保ったまま流通させるコールドチェーンの管理が求められている。
【0003】
一方、例えばコールドチェーンで管理されていた食品を購入した消費者が家庭において当該食品を常温で放置した場合などにおいて、消費者に当該食品の鮮度の低下を認知させるために、食品を収納するトレーや袋などの容器に、食品とともに当該食品の腐敗の進行に伴って発生する成分によって変色を生じる鮮度ラベルを収納しておくことで、食品の鮮度の変化を容器の外部から可視化することが提案されている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記従来の鮮度ラベルは、食品とともに容器の内部に配置されるものであるので、内部を視認し難い容器に食品を収納して流通させる場合に、鮮度ラベルを目視することが困難となり、また、容器に液状の食品を収納した場合に、鮮度ラベルが液体に浸されて目視することが困難となるなど、内容物の鮮度の変化を容易に確認することができなくなる場合があるという問題点があった。
【0006】
本発明は、このような問題を解決するために開発されたものであり、その目的は、容器に収納された内容物の鮮度を容易に確認することが可能な鮮度表示容器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の鮮度表示容器は、容器本体と、前記容器本体に取り付けられた鮮度表示部と、を有する鮮度表示容器であって、前記鮮度表示部が、前記容器本体に設けられた収納凹部に固定された袋体と、分解酵素を含有するとともに表面に凹凸を備えた基台及び前記基台の表面に積層されて前記凹凸を覆うとともに前記分解酵素により分解される被覆部を有し、前記袋体に収納された鮮度表示体と、を有することを特徴とする。
【0008】
本発明の鮮度表示容器は、上記構成において、前記袋体が、前記鮮度表示体が配置される袋本体部と、前記袋本体部の下方に連なるとともに前記袋本体部よりも幅が狭く形成され、前記分解酵素により分解された前記被覆部が流入する貯留部と、を有し、前記収納凹部が、前記袋本体部が配置される凹部本体部と、前記凹部本体部の下方に連なるとともに前記凹部本体部よりも幅が狭く形成され、前記貯留部が配置される幅狭部と、を有するのが好ましい。
【0009】
本発明の鮮度表示容器は、上記構成において、前記基台及び前記被覆部の何れか一方が、他方と異なる色に着色されているのが好ましい。
【0010】
本発明の鮮度表示容器は、上記構成において、前記基台が多糖類のハイドロゲルであり、前記被覆部がタンパク質であり、前記分解酵素がタンパク質分解酵素であるのが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、容器に収納された内容物の鮮度を容易に確認することが可能な鮮度表示容器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の一実施の形態に係る鮮度表示容器の正面図である。
【
図6】(a)は、内容物が新鮮であることを示す状態の鮮度表示部の側面図であり、(b)は、内容物が新鮮であることを示す状態の貯留部の正面図である。
【
図7】(a)は、内容物の鮮度が若干低下したことを示す状態の鮮度表示部の側面図であり、(b)は、内容物の鮮度が若干低下したことを示す状態の貯留部の正面図である。
【
図8】(a)は、内容物の鮮度が規定以下に低下したことを示す状態の鮮度表示部の側面図であり、(b)は、内容物の鮮度が規定以下に低下したことを示す状態の貯留部の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照しつつ、本発明の一実施の形態に係る鮮度表示容器1について詳細に例示説明する。
【0014】
なお、特許請求の範囲及び本明細書においては、「上」及び「下」は、
図1、
図2に示すように鮮度表示容器1を正立姿勢で配置した状態における「上」及び「下」を意味するものとする。
【0015】
図1、
図2に示すように、本発明の一実施の形態に係る鮮度表示容器1は、容器本体10と、容器本体10に取り付けられた鮮度表示部20とを有している。
【0016】
容器本体10は、口部11と、口部11の下端に一体に連なる胴部12と、胴部12の下端を閉塞する底部13とを有するボトル形状となっている。口部11には、当該口部11を閉塞するキャップ14が着脱自在に装着されている。胴部12は、口部11の下端から徐々に拡径する肩状部12aと、肩状部12aの下端に連なる外径が一定の円筒状部12bとを有した形状となっている。
【0017】
なお、容器本体10は、口部11、胴部12及び底部13を備えたボトル形状であれば、例えば、胴部12の断面形状が扁平形状のものなど、種々の形状のものであってもよい。また、容器本体10はボトル形状に限らず、種々の形状であってよい。
【0018】
容器本体10は、その内部に、例えば生鮮品や加工品などの、流通時に冷蔵ないし冷凍による保存(コールドチェーンによる管理)が必要な食品を内容物として収納することができる。
【0019】
容器本体10としては、例えばポリエチレンテレフタレート、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、ポリプロピレンなどの合成樹脂材製のブロー成形品、射出成形品又はその他の成形方法によるものを用いることができるが、例えば金属製やガラス製などの合成樹脂製以外のものを用いてもよい。
【0020】
胴部12の円筒状部12bには、収納凹部15が設けられている。収納凹部15は、円筒状部12bの外周面から容器内方に向けて凹んでおり、その内部に鮮度表示部20を収納している。
【0021】
本実施の形態では、収納凹部15は、正面視で略矩形の凹部本体部15aと、凹部本体部15aの下方に連なるとともに凹部本体部15aよりも円筒状部12bの周方向に向けた幅が狭い幅狭部15bとを有している。幅狭部15bは、幅が一定のまま凹部本体部15aから下方に向けて真っ直ぐに延びる細長い溝状である。このように、収納凹部15は、略T字型の形状となっている。
【0022】
なお、収納凹部15は、凹部本体部15aに対して幅狭部15bが下方に位置する配置であれば、胴部12の円筒状部12bに替えて肩状部12aに設けてもよい。
【0023】
鮮度表示部20は、分解速度が温度により変化する「酵素-基質反応」を利用して、容器本体10に収納した内容物の鮮度を、感触及び視覚で疑似的に示すインジケーターとしての機能を有するものである。
【0024】
図3、
図4に示すように、鮮度表示部20は、袋体21と、袋体21に収納された鮮度表示体22とを有している。
【0025】
袋体21は、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ナイロンなどの柔軟性を有する透明ないし半透明のフィルム状の部材で形成されており、内部に収納した鮮度表示体22を外部から視認することができるとともに消費者が指などで触れたときに容易に変形することができるようになっている。
【0026】
本実施の形態では、袋体21は、円筒状部12bの周方向に向けた幅が容器内外方向の厚みよりも大きい正面視で矩形形状の袋本体部21aと、袋本体部21aの下方に連なるとともに袋本体部21aよりも円筒状部12bの周方向に向けた幅が狭い貯留部21bとを有している。貯留部21bは、幅が一定のまま袋本体部21aから下方に向けて真っ直ぐに延びる細長い形状である。このように、袋体21は、略T型の形状となっている。
【0027】
袋本体部21aの円筒状部12bの周方向に向けた幅寸法及び上下方向寸法は、それぞれ凹部本体部15aの円筒状部12bの周方向に向けた幅寸法及び上下方向寸法よりも僅かに小さくなっている。また、貯留部21bの円筒状部12bの周方向に向けた幅寸法及び上下方向寸法は、それぞれ幅狭部15bの円筒状部12bの周方向に向けた幅寸法及び上下方向寸法よりも僅かに小さくなっている。このように、袋体21は、収納凹部15に対応した大きさの略T型の形状となっている。
【0028】
図3に示すように、鮮度表示体22は、袋体21の袋本体部21aの内部に配置されている。鮮度表示体22は、貯留部21bよりも広い幅を有しており、貯留部21bに入り込むことなく袋本体部21aに保持されている。
【0029】
図5に示すように、鮮度表示体22は、基台23と被覆部24とを有している。
【0030】
基台23は、分解酵素を含有する材料により、表面に凹凸23aを備えた形状に形成されている。本実施の形態では、基台23は、矩形の板状部分23bと、それぞれ板状部分23bの表面から突出するとともに互いに等間隔且つ平行に並ぶ複数の断面三角形状の山形突起23cからなる凹凸23aとが一体に形成された形状に形成されている。
【0031】
なお、基台23は、凹凸23aが複数の断面三角形状の山形突起23cからなる形状のものに限らず、例えば、凹凸23aが複数の半球状ないしボス状の突起からなる形状のものとするなど、消費者が指などで触れることで凹凸23aを認識することができる形状であれば、他の形状であってもよい。
【0032】
被覆部24は、基台23に含有される分解酵素により分解される材料により形成され、基台23の表面に積層されて凹凸23aを覆っている。本実施の形態では、被覆部24は、板状部分23bに対応した矩形形状であるとともに、板状部分23bからの凹凸23aの突出高さよりも厚い厚みを有する板状に形成されており、その容器外方を向く面は平面となっている。基台23の凹凸23aの高さ方向の先端(上端)は被覆部24の内部に位置している。
【0033】
被覆部24は、基台23に含有された分解酵素によって徐々に分解され、液状化する。被覆部24の分解が進むと、基台23の凹凸23aが被覆部24から露出する。
【0034】
被覆部24が分解酵素によって分解される分解速度は、鮮度表示容器1の保管温度が高いほど速くなる。また、被覆部24が分解酵素によって分解される量は、鮮度表示容器1の保管時間に比例する。よって、被覆部24が分解酵素によって分解される量は、コールドチェーンによる管理が必要な内容物の鮮度の変化に相関を有する。
【0035】
本実施の形態では、基台23は、分解酵素としてタンパク質分解酵素を含有した多糖類のハイドロゲルにより形成されている。
【0036】
基台23が含有するタンパク質分解酵素としては、例えばブロメライン、パパイン、アクチニジンを用いることができる。また、基台23を形成する多糖類のハイドロゲルとしては、例えば寒天、ジェランガムを用いることができる。本実施の形態では、基台23が含有するタンパク質分解酵素はブロメラインであり、基台23を形成する多糖類のハイドロゲルは寒天である。
【0037】
一方、本実施の形態では、被覆部24は、タンパク質分解酵素により分解されるタンパク質で形成されている。
【0038】
被覆部24を形成するタンパク質としては、例えば魚由来ゼラチン、豚由来ゼラチン、牛由来ゼラチンなどのゼラチンを用いることができる。
【0039】
なお、基台23が含有する分解酵素は、タンパク質分解酵素に限らず、例えばアルギン酸分解酵素、ペクチン分解酵素、デンプン分解酵素等の多糖類分解酵素などの、他の酵素であってもよい。また、被覆部24を形成する材料は、基台23に含有される分解酵素により分解される材料であれば、他の材料であってもよい。例えば、基台23が含有する分解酵素として、上記したアルギン酸分解酵素、ペクチン分解酵素、デンプン分解酵素などの多糖類分解酵素を用いた場合には、被覆部24を形成する材料として、それぞれアルギン酸、ペクチン、デンプンなどの多糖類を用いることができる。
【0040】
被覆部24は、分解酵素によって分解されていない初期状態において、消費者が指などで被覆部24に触れたときに凹凸23aの感触を感じない程度の硬さを有するのが好ましい。被覆部24をゼラチンで形成する場合には、ゼラチンの濃度を10%~20%とすることで、当該硬さとすることができる。
【0041】
上記構成の鮮度表示体22は、被覆部24が分解酵素によって分解されていない初期状態において、基台23の凹凸23aが被覆部24により覆われた全体として矩形のブロック状となっている。
【0042】
このようなブロック状の鮮度表示体22は、消費者が指などで容易に触れることができるように、基台23ないし被覆部24の表面が3cm×2cm程度の大きさとされるのが好ましい。
【0043】
また、ブロック状の鮮度表示体22は、
図6(a)に示すように、凹凸23aが収納凹部15から容器外方に向けて若干突出する程度の厚みとされるのが好ましい。これにより、被覆部24が分解されて凹凸23aが被覆部24から露出したときに、収納凹部15に収納されている鮮度表示体22の凹凸23aに消費者が指などでより容易に触れることができる。
【0044】
なお、鮮度表示体22の損傷を避けるために、鮮度表示体22の厚みを収納凹部15の内部に収まる(容器本体10の外面から突出しない)厚みとしてもよい。この場合、凹部本体部15aの大きさは、消費者の指が侵入しやすい大きさとするのが好ましい。
【0045】
鮮度表示体22は、基台23及び被覆部24の何れか一方が、他方と異なる色に着色された構成とすることができる。本実施の形態では、基台23が白色であるのに対して被覆部24が青色に着色されている。これにより、被覆部24が分解されていることを視覚によってより容易に認識することが可能となる。
【0046】
なお、基台23と被覆部24とを色により識別することができれば、基台23のみを着色してもよく、基台23及び被覆部24の両方を着色してもよい。また、着色する色も青に限らず、種々変更可能である。
【0047】
鮮度表示体22を収納した袋体21は、例えば接着剤や両面テープ等の固定手段により収納凹部15に固定されている。これにより、鮮度表示部20は、鮮度表示体22が配置された袋本体部21aが収納凹部15の凹部本体部15aに配置され、貯留部21bが幅狭部15bに配置されるように、収納凹部15の内部に収納された状態で容器本体10に取り付けられている。
【0048】
被覆部24が、基台23に含有された分解酵素によって分解されて液状化すると、当該液状化した被覆部24は袋本体部21aからその下方にある貯留部21bに自重によって流れ込み、貯留部21bに貯留される。
【0049】
容器本体10の幅狭部15bの上端部分に隣接する部分には、鮮度が低下したことを示す基準線30が設けられている。基準線30は、例えば胴部12と一体に形成された凹リブないし凸リブであってよく、あるいは胴部12に印刷、貼り付け等により設けたものであってもよい。
【0050】
基台23が含有する分解酵素の種類ないし濃度及び被覆部24の種類ないし濃度などの被覆部24の分解速度に関する要素は、容器本体10に収納した内容物の鮮度が規定以下にまで低下したときに、分解酵素によって分解されて貯留部21bに流れ込む被覆部24の量が基準線30に達するように、予め行った実験等に基づいて適宜設定されるのが好ましい。なお、容物の鮮度が規定以下にまで低下したときとは、内容物の鮮度が消費ないし食するのに適さない程度にまで低下したときを意味する。
【0051】
このように、容器本体10に基準線30を設けることで、分解されて貯留部21bに溜まった被覆部24の量が基準線30を超えたことを消費者が目視で確認することで、内容物の鮮度が規定以下に低下していることを容易に確認することができる。
【0052】
容器本体10に基準線30を設けることなく、貯留部21bの容積を被覆部24の体積と同一に設定した構成とすることもできる。この構成によれば、分解された被覆部24が貯留部21bの全体を満たしたことを消費者が目視で確認することで、内容物の鮮度が規定以下に低下していることを容易に確認することができる。
【0053】
上記構成を有する鮮度表示容器1は、容器本体10の内部に収納された内容物が新鮮な初期状態においては、
図6(a)に示すように、基台23の凹凸23aが被覆部24により覆われて鮮度表示体22の表面は平面である。したがって、消費者は、指などにより袋体21の外側から鮮度表示体22の表面に触れたときに凹凸23aを感じないことにより、容器本体10の内部に収納されている内容物が新鮮であることを確認することができる。また、容器本体10の内部に収納された内容物が新鮮な初期状態においては、
図6(b)に示すように貯留部21bは空である。したがって、消費者は、貯留部21bが空であることを目視することで、容器本体10の内部に収納されている内容物が新鮮であることを確認することができる。
【0054】
鮮度表示容器1の保管時間が経過して、容器本体10に収納されている内容物の鮮度が低下し始めると、内容物の鮮度の低下に相関した速度で被覆部24が基台23に含有された分解酵素により分解されて液状化し、
図7(a)に示すように、被覆部24の厚みが徐々に薄くなる。したがって、消費者は、指などにより袋体21の外側から鮮度表示体22の表面に触れたときに凹凸23aを若干感じることで、容器本体10の内部に収納されている内容物の鮮度が低下しつつあることを確認することができる。また、容器本体10に収納されている内容物の鮮度が低下し始めると、内容物の鮮度の低下に相関した速度で被覆部24が基台23に含有された分解酵素により分解されて液状化し、
図7(b)に示すように、液状化した被覆部24が貯留部21bに流れ込む。したがって、消費者は、貯留部21bに液状化した被覆部24が溜まりつつあることを目視することで、容器本体10の内部の鮮度が低下しつつあることを確認することができる。
【0055】
そして、容器本体10に収納されている内容物の鮮度が規定以下にまで低下すると、
図8(a)に示すように、被覆部24の厚みがさらに薄くなって被覆部24から凹凸23aが露出する。したがって、消費者は、指などにより袋体21の外側から鮮度表示体22の表面に触れたときに凹凸23aを感じることで、容器本体10の内部に収納されている内容物の鮮度が規定低下にまで低下して消費に適さない状態になっていることを確認することができる。また、容器本体10に収納されている内容物の鮮度が規定以下にまで低下すると、
図8(b)に示すように、貯留部21bに流れ込んだ液状化した被覆部24の量が基準線30を超える。したがって、消費者は、貯留部21bに溜まった液状化した被覆部24の量が基準線30を超えたことを目視することで、容器本体10の内部に収納されている内容物の鮮度が規定低下にまで低下して消費に適さない状態になっていることを確認することができる。
【0056】
このように、本実施の形態の鮮度表示容器1によれば、ボトル形状の容器本体10に収納された内容物の鮮度を、感触と視覚とに基づいて容易に消費者に知らせることができる。したがって、消費者は、鮮度表示部20に触れ、あるいは鮮度表示部20を目視することで、ボトル形状の容器本体10に収納された内容物の鮮度を容易に確認することができる。
【0057】
また、本実施の形態の鮮度表示容器1では、鮮度表示部20を容器本体10に設けた収納凹部15に配置するようにしているので、鮮度表示部20が取り付けられた鮮度表示容器1の美観を高めることができる。
【0058】
さらに、本実施の形態の鮮度表示容器1では、
図6(a)に示すように、凹凸23aを収納凹部15から容器外方に向けて若干突出する程度の厚みとしている。これにより、鮮度表示部20を容器本体10に設けた収納凹部15に配置する構成としても、被覆部24が分解されて凹凸23aが被覆部24から露出したときに、収納凹部15に収納されている鮮度表示体22の凹凸23aに消費者が指などで容易に触れることができるようにして、内容物の鮮度の確認をより容易に行い得るようにすることができる。
【0059】
さらに、本実施の形態の鮮度表示容器1によれば、袋体21を、鮮度表示体22が配置される袋本体部21aと、袋本体部21aの下方に連なるとともに袋本体部21aよりも幅が狭く形成されて分解酵素により分解された被覆部24が流入する貯留部21bと、を有する構成としつつ、収納凹部15を、袋本体部21aが配置される凹部本体部15aと、凹部本体部15aの下方に連なるとともに凹部本体部15aよりも幅が狭く形成されて貯留部21bが配置される幅狭部15bと、を有する構成としたので、貯留部21bに溜まった液状化した被覆部24の量を目視により容易に認識できるようにして、内容物の鮮度の確認をより容易に行い得るようにすることができる。
【0060】
さらに、本実施の形態の鮮度表示容器1によれば、基台23及び被覆部24の何れか一方を、他方と異なる色に着色するようにしたので、被覆部24が分解されていることを視覚によってより容易に認識できるようにして、内容物の鮮度の確認をより容易に行い得るようにすることができる。
【0061】
さらに、本実施の形態の鮮度表示容器1によれば、基台23を多糖類のハイドロゲルで形成されたものとし、被覆部24をタンパク質で形成されたものとし、基台23が含有する分解酵素としてタンパク質分解酵素を用いるようにしたので、被覆部24の分解速度を、内容物の鮮度の低下に対する相関がより強いものとして、内容物の鮮度の低下をより正確に表示することができる。
【0062】
本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
【0063】
例えば、前記実施の形態においては、鮮度表示体22は矩形のブロック状であるが、例えば円板状など、その形状は種々変更可能である。また、鮮度表示体22に合わせて袋体21の形状及び収納凹部15の形状も種々変更可能である。
【符号の説明】
【0064】
1 鮮度表示容器
10 容器本体
11 口部
12 胴部
12a 肩状部
12b 円筒状部
13 底部
14 キャップ
15 収納凹部
15a 凹部本体部
15b 幅狭部
20 鮮度表示部
21 袋体
21a 袋本体部
21b 貯留部
22 鮮度表示体
23 基台
23a 凹凸
23b 板状部分
23c 山形突起
24 被覆部
30 基準線