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特開2022-131856デザイン支援装置、及びデザイン支援プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022131856
(43)【公開日】2022-09-07
(54)【発明の名称】デザイン支援装置、及びデザイン支援プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 30/02 20120101AFI20220831BHJP
【FI】
G06Q30/02 320
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021031043
(22)【出願日】2021-02-26
(71)【出願人】
【識別番号】304036743
【氏名又は名称】国立大学法人宇都宮大学
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】特許業務法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】石川 智治
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049BB07
(57)【要約】      (修正有)
【課題】消費者の印象を反映させた結果として、消費者の購買意欲を促進させ、訴求効果の高くなる商品パッケージの文字デザインを支援するデザイン支援装置及びデザイン支援プログラムを提供する。
【解決手段】商品のパッケージのデザインを支援するデザイン支援装置10であって、デザインする対象商品に関する情報である商品情報、前記対象商品のパッケージに対してユーザが受ける印象である印象属性及び対象商品に対してデザインされたパッケージの情報であるパッケージ情報を受け付ける受付部21と、受け付けた商品情報及び印象属性に関連付けて評価された評価項目の評価値を用いて、パッケージ情報を判定する判定部24と、判定した判定結果を提示する提示部25と、を備えている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
商品のパッケージのデザインを支援するデザイン支援装置であって、
デザインする対象商品に関する情報である商品情報、前記対象商品のパッケージに対してユーザが受ける印象である印象属性、及び前記対象商品に対してデザインされたパッケージの情報であるパッケージ情報を受け付ける受付部と、
受け付けた前記商品情報、及び前記印象属性に関連付けて評価された評価項目の評価値を用いて、前記パッケージ情報を判定する判定部と、
判定した判定結果を提示する提示部と、
を備えるデザイン支援装置。
【請求項2】
前記パッケージは、包装している商品がユーザから視認可能な包装物である請求項1に記載のデザイン支援装置。
【請求項3】
前記評価項目は、前記パッケージに付されている文字と、前記パッケージに包装され、かつユーザから視認可能な商品と、の関係を評価の対象として含む請求項2に記載のデザイン支援装置。
【請求項4】
前記提示部は、判定結果として、前記パッケージ情報に対する判定結果を前記評価値に適応させるための指針を評価項目毎に提示する請求項1から請求項3の何れか1項に記載のデザイン支援装置。
【請求項5】
前記提示部は、前記指針として、前記パッケージ情報に対する判定結果を前記評価値に適応させるためのメッセージ、又は画像を提示する請求項4に記載のデザイン支援装置。
【請求項6】
前記受付部は、前記パッケージ情報として、パッケージに付される文字の大きさ及び文字の位置の指定、又はパッケージをデザインした画像を受け付ける請求項1から請求項5の何れか1項に記載のデザイン支援装置。
【請求項7】
前記受付部は、前記指定の変更を受け付け、
前記判定部は、変更された前記指定における判定を行う請求項6に記載のデザイン支援装置。
【請求項8】
前記受付部は、前記パッケージ情報として、前記パッケージに対する視距離の指定を受け付け、
前記判定部は、前記指定に応じて変換された評価値を用いて、前記パッケージ情報を判定する請求項1から請求項7の何れか1項に記載のデザイン支援装置。
【請求項9】
前記判定部は、前記パッケージに付される文字の大きさと、前記視距離と、から決まる1文字の視角、及び前記文字の文字中心と、文字中心間の間隔と、前記視距離と、から決まる所定角度における前記文字の繰り返し回数である空間周波数に基づき、前記評価値を変換する請求項8項に記載のデザイン支援装置。
【請求項10】
パッケージ情報に対して評価項目毎の評価を行い、評価値を導出する評価部をさらに備え、
前記受付部は、前記評価値を更新するためのパッケージ情報をさらに受け付け、
前記評価部は、前記パッケージ情報に対して評価を行い、評価項目毎の評価値を更新する請求項1から請求項9の何れか1項に記載のデザイン支援装置。
【請求項11】
商品のパッケージのデザインを支援するデザイン支援プログラムであって、
コンピュータに、
デザインする対象商品に関する情報である商品情報、前記対象商品のパッケージに対してユーザが受ける印象である印象属性、及び前記対象商品に対してデザインされたパッケージの情報であるパッケージ情報を受け付け、
受け付けた前記商品情報、及び前記印象属性に関連付けて評価された評価項目の評価値を用いて、前記パッケージ情報を判定し、
判定した判定結果を提示する、
ことを実行させるためのデザイン支援プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デザイン支援装置、及びデザイン支援プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
商品パッケージをデザインするためのソフトウェアの開発が盛んに行われており、商品パッケージに用いる文字をデザインするソフトウェアも提案されている。また、可読性要素である行長、行間、文字色、背景色、文字サイズ、及び視認者の年齢に基づいて表示された文章情報における可読性を評価する技術も提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許6625026号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述のソフトウェア、及び技術では、商品のパッケージにおける消費者の印象や購買意欲の促進については、デザイナーの経験によって商品パッケージがデザインされてきた。
【0005】
そのため、従来技術を用いた場合であっても、商品のパッケージに消費者の印象を反映させた結果として、消費者の購買意欲を促進させ、訴求効果が高くなるパッケージにおける文字のデザインを支援することができるとは限らなかった。
【0006】
本発明は、商品のパッケージに消費者の印象を反映させた結果として、消費者の購買意欲を促進させ、訴求効果の高くなる商品パッケージの文字デザインを支援することができるデザイン支援装置、及びデザイン支援プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の態様のデザイン支援装置は、商品のパッケージのデザインを支援するデザイン支援装置であって、デザインする対象商品に関する情報である商品情報、対象商品のパッケージに対してユーザが受ける印象である印象属性、及び対象商品に対してデザインされたパッケージの情報であるパッケージ情報を受け付ける受付部と、受け付けた商品情報、及び印象属性に関連付けて評価された評価項目の評価値を用いて、パッケージ情報を判定する判定部と、判定した判定結果を提示する提示部と、を備えている。
【0008】
第2の態様のデザイン支援装置は、第1の態様に係るデザイン支援装置において、パッケージは、包装している商品がユーザから視認可能な包装物である。
【0009】
第3の態様のデザイン支援装置は、第2の態様に係るデザイン支援装置において、評価項目は、パッケージに付されている文字と、パッケージに包装され、かつユーザから視認可能な商品と、の関係を評価の対象として含む。
【0010】
第4の態様のデザイン支援装置は、第1の態様から第3の態様の何れか1つの態様に係るデザイン支援装置において、提示部は、判定結果として、パッケージ情報に対する判定結果を評価値に適応させるための指針を評価項目毎に提示する。
【0011】
第5の態様のデザイン支援装置は、第4の態様に係るデザイン支援装置において、提示部は、指針として、パッケージ情報に対する判定結果を評価値に適応させるためのメッセージ、又は画像を提示する。
【0012】
第6の態様のデザイン支援装置は、第1の態様から第5の態様の何れか1つの態様に係るデザイン支援装置において、受付部は、パッケージ情報として、パッケージに付される文字の大きさ及び文字の位置の指定、又はパッケージをデザインした画像を受け付ける。
【0013】
第7の態様のデザイン支援装置は、第6の態様に係るデザイン支援装置において、受付部は、指定の変更を受け付け、判定部は、変更された指定における判定を行う。
【0014】
第8の態様のデザイン支援装置は、第1の態様から第7の態様の何れか1つの態様に係るデザイン支援装置において、受付部は、パッケージ情報として、パッケージに対する視距離の指定を受け付け、判定部は、指定に応じて変換された評価値を用いて、パッケージ情報を判定する。
【0015】
第9の態様のデザイン支援装置は、第8の態様に係るデザイン支援装置において、判定部は、パッケージに付される文字の大きさと、視距離と、から決まる1文字の視角、及び文字の文字中心と、文字中心間の間隔と、視距離と、から決まる所定角度における文字の繰り返し回数である空間周波数に基づき、評価値を変換する。
【0016】
第10の態様のデザイン支援装置は、第1の態様から第9の態様の何れか1つの態様に係るデザイン支援装置において、パッケージ情報に対して評価項目毎の評価を行い、評価値を導出する評価部をさらに備え、受付部は、評価値を更新するためのパッケージ情報をさらに受け付け、評価部は、パッケージ情報に対して評価を行い、評価項目毎の評価値を更新する。
【0017】
第11の態様のデザイン支援プログラムは、商品のパッケージのデザインを支援するデザイン支援プログラムであって、コンピュータに、デザインする対象商品に関する情報である商品情報、対象商品のパッケージに対してユーザが受ける印象である印象属性、及び対象商品に対してデザインされたパッケージの情報であるパッケージ情報を受け付け、受け付けた商品情報、及び印象属性に関連付けて評価された評価項目の評価値を用いて、パッケージ情報を判定し、判定した判定結果を提示する、ことを実行させる。
【発明の効果】
【0018】
第1の態様のデザイン支援装置、及び第11の態様のデザイン支援プログラムによれば、商品のパッケージに消費者の印象を反映させた結果として、消費者の購買意欲を促進させ、訴求効果の高くなる商品パッケージの文字デザインを支援することができる。
【0019】
第2の態様のデザイン支援装置によれば、包装している商品を考慮して、パッケージにおける意図した印象をユーザに与えることができる。
【0020】
第3の態様のデザイン支援装置によれば、包装している商品を含めて、パッケージにおけるユーザに与える印象を判定することができる。
【0021】
第4の態様のデザイン支援装置によれば、ユーザに与える印象を向上させるパッケージのデザインを支援することができる。
【0022】
第5の態様のデザイン支援装置によれば、ユーザに与える印象を向上させるための指針を明確に提示できる。
【0023】
第6の態様のデザイン支援装置によれば、対象商品のデザインを受け付けて、判定を行うことができる。
【0024】
第7の態様のデザイン支援装置によれば、判定された結果をパッケージのデザインに反映させ、反映したパッケージのデザインについて再度判定を行うことができる。
【0025】
第8の態様のデザイン支援装置によれば、パッケージに対する視距離を受け付けて、視距離に応じた判定を行うことができる。
【0026】
第9の態様のデザイン支援装置によれば、視角及び空間周波数に基づき、視距離に応じた判定を行うことができる。
【0027】
第10の態様のデザイン支援装置によれば、評価項目の評価値に対して、パッケージに対する評価の流動性を反映することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本実施形態に係るデザイン支援装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
図2】本実施形態に係るデザイン支援装置の機能構成の一例を示すブロック図である。
図3】本実施形態に係る印象データベースの一例を示す図である。
図4】本実施形態に係るデザイン支援画面の一例を示す正面図である。
図5】本実施形態に係るデザイン支援処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、図面を参照して、本発明を実施するための形態例を詳細に説明する。
【0030】
まず、図1を参照して、デザイン支援装置10の構成について説明する。図1は、本実施形態に係るデザイン支援装置10のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。一例として、本実施形態に係るデザイン支援装置10は、パーソナルコンピュータ等の端末、又はサーバである形態について説明する。
【0031】
図1に示すように、本実施形態に係るデザイン支援装置10は、CPU(Central Processing Unit)11、ROM(Read Only Memory)12、RAM(Random Access Memory)13、ストレージ14、入力部15、モニタ16、及び通信インターフェース(通信I/F)17を含んで構成されている。CPU11、ROM12、RAM13、ストレージ14、入力部15、モニタ16、及び通信I/F17の各々は、バス18により相互に接続されている。
【0032】
CPU11は、デザイン支援装置10の全体を統括し、制御する。ROM12は、本実施形態で用いるデザイン支援プログラムを含む各種プログラム及びデータ等を記憶している。RAM13は、各種プログラムの実行時のワークエリアとして用いられるメモリである。CPU11は、ROM12に記憶されたプログラムをRAM13に展開して実行することにより、デザインに関する指針を画面に表示する処理を行う。ストレージ14は、一例としてHDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、又はフラッシュメモリ等である。なお、ストレージ14には、デザイン支援プログラム等を記憶してもよい。入力部15は、文字及び画像等の入力を受け付けるマウス、及びキーボード等である。モニタ16は、画面及び指針を表示する。通信I/F17は、データの送受信を行う。
【0033】
次に、図2を参照して、デザイン支援装置10の機能構成について説明する。図2は、本実施形態に係るデザイン支援装置10の機能的な構成の一例を示すブロック図である。
【0034】
図2に示すように、デザイン支援装置10は、取得部21、記憶部22、評価部23、判定部24、及び提示部25を備えている。CPU21がデザイン支援プログラムを実行することで、取得部21、記憶部22、評価部23、判定部24、及び提示部25として機能する。
【0035】
取得部21は、ユーザによって入力された、パッケージのデザインを行う対象商品の情報(以下、「商品情報」という。)、及び対象商品のパッケージに対してユーザが受ける印象の属性(以下、「印象属性」という。)を取得する。さらに、取得部21は、対象商品に対してデザインされたパッケージの情報(以下、「パッケージ情報」という。)を取得する。
【0036】
なお、本実施形態に係る対象商品は、野菜であり、商品に付すパッケージは野菜を詰める袋等の包装物である形態について説明する。しかし、これに限定されない。対象商品は、他の飲食物であってもよいし、如何なる物であってもよい。また、パッケージは、箱及び缶等の商品の入れ物であってもよいし、ラップフィルムであってもよいし、如何なる包装であってもよい。
【0037】
また、本実施形態に係る商品情報とは、対象商品の種類、対象商品のサイズ、対象商品の個数、対象商品の色彩、及び対象商品に対してデザインされたパッケージのサイズ等である形態について説明する。
【0038】
また、本実施形態に係る印象属性は、購買意欲、嗜好、印象強さ、高級感、及びかわいさを含む属性である形態について説明する。しかし、これに限定されない。印象属性は、素朴さ、及び格好良さ等の属性を含んでいてもよいし、如何なる属性を含んでいてもよい。
【0039】
また、本実施形態に係るパッケージは、包装している商品が視認可能な透明、又は半透明な包装物である形態について説明する。包装している対象商品が視認可能となることによって、パッケージに付された文字と、ユーザによって視認されている対象商品と、の関係を含めて、パッケージのデザインによってユーザに与える印象が評価される。
【0040】
また、本実施形態に係るパッケージ情報は、パッケージに付された文字のサイズ、文字の配置、及び文字の色等を含んでいる形態について説明する。しかし、これに限定されない。パッケージ情報として、文字のフォント、文字の間隔、1文字当たりの面積等を含んでいてもよいし、現にデザインされたパッケージの画像(以下、「パッケージ画像」という。)を取得してもよい。例えば、取得部21は、入力されたパッケージ画像から文字のサイズ、文字の配置、及び文字の色等をパッケージ情報として取得してもよい。
【0041】
記憶部22は、印象データベース(以下、「印象DB」という。)22Aとして、商品情報、及び印象属性に関連付けられた印象情報が予め記憶されている。ここで、印象情報とは、入力された商品情報、及び印象属性において、印象属性の印象を与える要素として評価された項目(以下、「評価項目」という。)、及び最も印象属性の印象を与える評価項目の値(以下、「評価値」という。)である。
【0042】
一例として図3に示すように、印象DB22Aは、商品情報、印象属性、及び印象情報を関連付けて記憶している。また、印象DB22Aは、商品情報として、上述した対象商品の種類、対象商品のサイズ、対象商品の個数、対象商品の色彩、及びパッケージサイズを記憶し、印象情報として、評価項目、及び評価値を記憶している。
【0043】
一例として図3を参照して、記憶部22が記憶している商品情報、及び印象属性に関連付けられている印象情報について説明する。ここで、本実施形態では、ユーザによって対象商品「トマト」、サイズ「10」、個数「1」、色彩「赤」、及びパッケージサイズ「100」、及び印象属性「購買意欲」が指定された場合、について説明する。
【0044】
例えば、記憶部22は、上述した商品情報、及び印象属性に対応する評価項目として「文字サイズ」、「パッケージサイズ当たりの文字の間隔」、及び「商品の重心から文字の重心までの距離」を記憶している。また、記憶部22は、各々の評価項目の評価値として、「文字サイズ」に「10」、「パッケージサイズ当たりの文字の間隔」に「0.5」、及び「商品の重心から文字の重心までの距離」に「8」を記憶している。
【0045】
例えば、評価項目は、上述した商品情報、及び印象属性に対して、「文字サイズ」が購買意欲に影響する項目であることを示す。評価値は、上述した商品情報、及び印象属性に対して、購買意欲に影響する「文字サイズ」が「10ポイント」であることを示す。つまり、印象情報とは、ユーザが指定した対象商品等に対して、指定された印象属性の印象を最大限に与えるための評価項目、及び評価値を関連付けている情報である。換言すると、評価項目、及び評価値は、商品情報(対象商品の種類、及び対象商品のサイズ等)、及び印象属性が異なる場合、各々異なる評価項目、及び評価値が関連付けられている。
【0046】
なお、本実施形態に係る印象情報に係る商品情報、印象属性の関連付けは、ユーザによって設定される形態について説明する。しかし、これに限定されない。対象商品が購入された購入データから導出されてもよい。例えば、対象商品において、最も売れた商品のパッケージに対して、各々の印象属性における評価項目を評価し、評価された値を評価値として更新してもよい。
【0047】
評価部23は、取得した商品情報、及び印象属性に対応する評価項目を取得し、取得したパッケージ情報に対して、評価項目毎に評価を行う。ここで、以下では、評価部23が印象DB22Aから評価項目として、「文字サイズ」、「パッケージサイズ当たりの文字の間隔」、及び「商品の重心から文字の重心までの距離」を取得した場合について説明する。
【0048】
評価部23は、取得したパッケージ情報に対して、当該評価項目の評価を行う。具体的には、評価部23は、パッケージ情報を用いて、評価項目である文字サイズ、パッケージサイズ当たりの文字の間隔、及び商品の重心から文字の重心までの距離の値を導出する。
【0049】
判定部24は、評価部23によって評価項目毎に導出された値が、印象DB22Aから取得した評価値に適応しているか否かの判定を行う。
【0050】
例えば、判定部24は、パッケージ情報から評価項目毎に導出された値と、評価項目毎の評価値と、の差分が予め定められた範囲内に納まっていない場合、パッケージ情報が、商品情報、及び印象属性に適応していないと判定する。なお、予め定められた範囲は、ユーザによって、項目毎に定められていてもよい。
【0051】
提示部25は、適応していると判定された場合、パッケージ情報が、商品情報、及び印象属性に適応したデザインである旨のメッセージを表示する。また、提示部25は、判定部24よって、適応していないと判定された場合、パッケージ情報が、商品情報、及び印象属性に適応するための指針を提示する。
【0052】
具体的には、提示部25は、パッケージ情報から評価項目毎に導出された値が評価値より大きい場合、導出された値を小さくするためのメッセージを表示する。また、提示部25は、パッケージ情報から評価項目毎に導出された値が評価値より小さい場合、導出された値を大きくするためのメッセージを表示する。
【0053】
例えば、提示部25は、評価項目が「文字サイズ」である場合において、パッケージ情報に係る文字サイズと、文字のサイズの評価値と、を比較し、パッケージ情報に係る文字サイズが大きかった場合、文字サイズを小さくする旨のメッセージを表示する。また、提示部25は、パッケージ情報に係る文字サイズが評価値より小さかった場合、文字サイズを大きくする旨のメッセージを表示する。
【0054】
なお、本実施形態では、指針として、導出された値が評価値に適応するためのメッセージを提示する形態について説明した。しかし、これに限定されない。指針として、導出された値が評価値に適応するための音声を提示してもよいし、サンプル画像を提示してもよい。例えば、サンプル画像は、過去にデザインされた画像であってもよいし、入力した画像を評価値に適応するように変更した画像であってもよい。
【0055】
次に、デザイン支援装置10の作用について説明する前に、図4を参照して、本実施形態に係るデザイン支援画面30について説明する。図4は、本実施形態に係るデザイン支援画面30の一例を示す正面図である。
【0056】
一例として図4に示すように、デザイン支援画面30は、パラメータ入力領域31、及び表示領域32を備えている。
【0057】
パラメータ入力領域31は、パラメータとして、商品情報、印象属性、及びパッケージ情報の入力を受け付ける。パラメータ入力領域31は、商品情報として、対象商品の種類、対象商品のサイズ、対象商品の個数、対象商品の色彩、及びパッケージサイズの入力を受け付ける。また、パラメータ入力領域31は、印象属性として、属性の入力を受け付け、パッケージ情報として、文字サイズ、文字の配置、及び文字の色彩の入力を受け付ける。ここで、パラメータ入力領域31は、「受付部」の一例である。
【0058】
表示領域32は、指針表示領域33、及びサンプル画像表示領域34を備えている。指針表示領域33は、パラメータ入力領域31に入力されたパッケージ情報における値が、入力された商品情報、及び印象属性に対応した評価項目の評価値に適応するためのメッセージを評価項目毎に表示する。指針表示領域33は、商品情報、印象情報、及びパッケージ情報に対応するパッケージのイメージ、及び指針を表示する。
【0059】
例えば、図4に示すように、指針表示領域33は、指針として、評価項目「文字サイズ」について、文字サイズを大きくする旨のメッセージを表示し、評価項目「パッケージサイズ当たりの文字の間隔」について、文字の間隔を拡げる旨のメッセージを表示する。また、指針表示領域33は、指針として、評価項目「商品の重心から文字の重心までの距離」について、商品の重心から文字の重心までの距離を近づける旨のメッセージを表示する。
【0060】
サンプル画像表示領域34は、サンプル画像として、入力されたパッケージ情報が評価項目の評価値に適応した場合における画像を表示する。
【0061】
例えば、サンプル画像表示領域34は、指針表示領域33において、文字サイズを大きくする旨のメッセージが表示された場合、パッケージ画像の文字サイズを大きくした画像を表示する。同様にサンプル画像表示領域34は、文字の間隔を拡げる旨のメッセージを表示した場合、パッケージ画像の文字の間隔を拡げた画像を表示する。さらに、サンプル画像表示領域34は、商品の重心から文字の重心までの距離を近づける旨のメッセージを表示した場合、商品の重心から文字の重心までの距離を近づけた画像を表示する。
【0062】
なお、本実施形態では、パラメータ入力領域31において、入力された商品情報、印象属性、及びパッケージ情報に基づいて、表示領域32に、対応するパッケージの画像、及び指針を表示する形態について説明した。しかし、これに限定されない。指針の表示をした後に、商品情報、印象属性、及びパッケージ情報の変更を受け付けてもよい。商品情報、印象属性、及びパッケージ情報の変更を受け付けて、再度対応するパッケージの画像、及び指針を表示することによって、指針を反映したパッケージのデザインの支援が可能である。
【0063】
次に、図5を参照して、本実施形態に係るデザイン支援装置10の作用について説明する。図5は、本実施形態に係るデザイン支援処理の一例を示すフローチャートである。CPU11がROM12又はストレージ14からデザイン支援処理プログラムを読み出し、実行することによって、図5に示すデザイン支援処理プログラムが実行される。図5に示すデザイン支援プログラムは、例えば、ユーザから商品情報、印象属性、及びパッケージ情報が入力され、デザイン支援処理を実行する指示が入力された場合、実行される。
【0064】
ステップS101において、CPU11は、商品情報、印象属性、及びパッケージ情報を取得する。
【0065】
ステップS102において、CPU11は、印象DB22Aから取得した商品情報、及び印象属性に関連付けられている評価項目、及び評価項目の評価値を取得する。
【0066】
ステップS103において、CPU11は、取得した商品情報、及びパッケージ情報を用いて、評価項目における値を導出する。
【0067】
ステップS104において、CPU11は、導出した値が評価値に適応していないか否かの判定を行う。導出した値が評価値に適応していない場合(ステップS104:YES)、CPU11は、ステップS105に移行する。一方、導出した値が評価値に適応している場合(ステップS104:NO)、CPU11は、ステップS107に移行する。
【0068】
ステップS105において、CPU11は、指針として、評価項目毎に、評価値に適応するためのメッセージを表示する。
【0069】
ステップS106において、CPU11は、評価値に適応したサンプル画像を生成し、表示する。
【0070】
ステップS107において、CPU11は、入力されたパッケージ情報が、商品情報、及び印象属性に適応したデザインである旨のメッセージを表示する。
【0071】
以上説明したように、本実施形態によれば、消費者の印象を反映させた結果として、消費者の購買意欲を促進させ、訴求効果の高くなる商品パッケージの文字デザインを支援することができる。
【0072】
なお、本実施形態に係る評価項目は、「文字サイズ」、「パッケージサイズ当たりの文字間隔」、及び「商品の重心から文字の重心までの距離」である形態について説明した。しかし、これに限定されない。評価項目は、1文字当たりの面積、パッケージにおける長辺の長さ当たりの文字の間隔、商品の重心と文字の重心との視角、パッケージの中心と文字の重心との視角、対象商品の直径当たりの1文字の直径等であってもよい。また、評価項目は、2つの対象商品の直径当たりの文字全体の直径、文字とパッケージの背景との色差、文字と対象商品との色差、及び文字における原点からの距離とパッケージの高さとの比率であってもよい。
【0073】
(評価項目、及び評価値の導出方法)
本実施形態では、印象DB22Aに記憶されている評価項目、及び評価値は、印象情報として予め定められている形態について説明した。以下では、印象情報に係る評価項目、及び評価値を定める手法について説明する。
【0074】
印象情報に係る評価項目、及び評価値は、文字を付したパッケージ、及びパッケージに包装されている対象商品をユーザに視認させ、ユーザによって印象属性毎にパッケージの印象が評価されることによって定められる。ここで、評価を行う際に、対象商品毎に、対象商品のサイズ、対象商品の個数、パッケージサイズ、パッケージに付された文字のサイズ、文字の配置、及び文字の色等が異なる複数の種類のパッケージについて、感性評価を行う。
【0075】
例えば、複数のユーザが、対象商品毎、及び印象属性(購買意欲、嗜好、印象の強さ、高級感、及びかわいさ等)毎に、上述した複数の種類のパッケージについて、7段階の感性評価を行う。また、パッケージの要素(文字サイズ、文字の配置等)毎に数値化し、当該要素と感性評価との対応付けを行い、多変量解析法を用いて分析することによって、対象商品毎、印象属性毎、及びパッケージの要素毎の感性評価の結果が得られる。ここで、パッケージの要素は、パッケージ情報(文字のサイズ、文字の配置等)をそのまま要素としてもよいし、感性評価に影響を与えるパッケージの差異を抽出して、当該差異を要素としてもよい。
【0076】
ユーザによる感性評価の結果を用いて、商品情報(対象商品、対象商品のサイズ等)毎、及び印象属性毎に、感性評価の評価が高くなるパッケージの要素を評価項目として抽出する。また、感性評価の結果を用いて、評価が高くなるパッケージの要素の値を評価値として抽出する。ここで、高い評価が得られる要素が複数存在する場合、評価が高い上位3位までの要素を抽出してもよい。
【0077】
商品情報毎、及び印象属性毎に、抽出された評価項目、及び評価値を関連付けて記憶する。
【0078】
以上の手法によって商品情報、及び印象属性毎の評価項目、及び評価値が定められる。
【0079】
なお、上記のユーザによる感性評価は、例えばユーザが実際にパッケージを見ることを想定した視距離(例えば、50cm)を設定して行う。しかし、パッケージに付される文字の大きさ及び文字の間隔が同じであっても、視距離に応じてユーザの感性評価は異なる場合がある。この視距離による問題は、例えば、視角、及び空間周波数が同じであれば、ユーザの感性評価はそれほど変わることは無いという考え方を導入することにより、解決することができる。ここで、視角とは、パッケージに付される文字の大きさ、及び視距離から決まる文字の大きさの度合であり、空間周波数とは、文字の文字中心、文字中心間の間隔、及び視距離から決まる所定角度における文字の繰り返し回数である。
【0080】
即ち、パラメータ入力領域31において、パッケージ情報として、パッケージに対する視距離の指定を受け付けることができるようにする。印象DB22Aには、所定の視距離における評価値が記憶されている。判定部24における判定において、指定された視距離に係る視角及び空間周波数が、記憶されている所定の視距離に係る視角及び空間周波数と同等になるように、記憶されている文字の大きさ及び文字の間隔に対する評価値を変換する。変換された評価値を用いて判定を行うことにより、指定された視距離におけるデザインの判定を行うことができる。ここで、評価値の変換として、例えば、指定された視距離、及び記憶されている所定の視距離の比を記憶されている評価値に積算してもよいし、指定された視距離、及び記憶されている所定の視距離の比の大きさに応じて予め定められた値を評価値に積算してもよい。
【0081】
また、デザイン支援画面30の表示領域32には、デザインしたパッケージと同じ大きさのパッケージイメージやサンプル画像を表示できるようにすることにより、指定した視距離でのデザインのイメージを把握しながら作業することが可能となる。
【0082】
以上、各実施形態を用いて本発明について説明したが、本発明は各実施形態に記載の範囲には限定されない。本発明の要旨を逸脱しない範囲で各実施形態に多様な変更又は改良を加えることができ、当該変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0083】
なお、上記実施形態において、プロセッサとは広義的なプロセッサを指し、例えば汎用的なプロセッサ(例えば、CPU:Central Processing Unit)や、専用のプロセッサ(例えば、GPU:Graphics Processing Unit、ASIC:Application Specific Integrated Circuit、FPGA:Field Programmable Gate Array、プログラマブル論理デバイス、等)を含むものである。
【0084】
また、本実施形態におけるプロセッサの動作は、1つのプロセッサによって成すのみでなく、物理的に離れた位置に存在する複数のプロセッサが協働して成すものであってもよい。また、プロセッサの各動作の順序は本実施形態において記載した順序のみに限定されるものではなく、適宜変更してもよい。
【0085】
また、本実施形態では、デザイン支援プログラムがストレージにインストールされている形態を説明したが、これに限定されるものではない。本実施形態に係るデザイン支援プログラムを、コンピュータが読取可能な記憶媒体に記録した形態で提供してもよい。例えば、本発明に係るデザイン支援プログラムを、CD(Compact Disc)-ROM及びDVD(Digital Versatile Disc)-ROM等の光ディスクに記録した形態で提供してもよい。本実施形態に係るデザイン支援プログラムを、USB(Universal Serial Bus)メモリ及びメモリカード等の半導体メモリに記録した形態で提供してもよい。また、本実施形態に係るデザイン支援プログラムを、通信I/Fに接続された通信回線を介して外部装置から取得するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0086】
10 デザイン支援装置
11 CPU
12 ROM
13 RAM
14 ストレージ
15 入力部
16 モニタ
17 通信I/F
18 バス
21 取得部
22 記憶部
23 評価部
24 判定部
25 提示部
30 デザイン支援画面
31 パラメータ入力領域
32 表示領域
33 指針表示領域
34 サンプル画像表示領域
図1
図2
図3
図4
図5